(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ガスタービンおよびガスタービンの製造方法
(51)【国際特許分類】
F01D 25/24 20060101AFI20241007BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F01D25/24 T
F01D25/30 B
(21)【出願番号】P 2020144407
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-02-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】岩井 章吾
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】高木 紀和
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066364(JP,A)
【文献】特開昭50-101712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/24
F01D 25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングを貫通するように配設されたロータシャフトと、
前記ケーシング内に配設され、前記ロータシャフトの軸方向に沿って設けられ作動流体が通過する複数のタービン段落と、
前記ケーシングの
前記軸方向の両外側に配されて前記ロータシャフトを回転可能に支持する2つの軸受と、
前記ケーシングの一部であって、前記タービン段落で仕事を終えた前記作動流体が
、前記複数のタービン段落のうちの最下流のタービン段落から排気ガスとして
流出する出口部分であり、かつ、前記最下流のタービン段落よりも前記軸方向の下流側に位置する排気室
を形成する排気室壁部と、
前
記排気室壁部に設けられ前記排気室から前記排気ガスを排気する複数の出口配管と、
を備え、
前記出口配管は、前記ケーシングの上半および前記ケーシングの下半にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とするガスタービン。
【請求項2】
前記出口配管は4本であり、前記ケーシングの前記上半に2本、前記ケーシングの前記下半に2本、それぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
【請求項3】
前記出口配管の上流側の端部は、周方向に互いに等しい間隔を置いて配されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスタービン。
【請求項4】
前記ケーシングは一重で、それぞれの前記出口配管を介して、前記ケーシング内部の前記作動流体が前記ケーシング外へ排出されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項5】
前記ケーシングは、内部ケーシングと前記内部ケーシングを収納する外部ケーシングとを有し、それぞれの前記出口配管を介して、前記内部ケーシング内部の前記作動流体が前記ケーシング外へ排出されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項6】
前記ケーシングは、内部ケーシングと前記内部ケーシングを収納する外部ケーシングとを有し、
前記出口配管は、それぞれ、前記外部ケーシングに形成された貫通孔の外側で溶接された外側配管と、前記内部ケーシングに形成された貫通孔と前記外部ケーシングに
形成された貫通孔とを連通するスリーブと、
を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項7】
出口配管が2本である従来のガスタービンの構造を確定する従来構造確定ステップと、
前記従来構造確定ステップで確定した前記従来のガスタービンの前記出口配管を、ケーシングの下半および上半に2本ずつに変更して新たなガスタービンの出口配管とし、当該出口配管における排気ガスの平均流速を前記従来のガスタービンの前記出口配管における排気ガスの平均流速に維持することにより、当該出口配管の外径を設定しかつ前記従来のガスタービンの前記出口配管からの外径減少分を算出する出口配管数変更ステップと、
前記出口配管数変更ステップで得られた前記外径減少分に基づいて軸受間の距離を減少させる軸受間距離減少ステップと、
を有することを特徴とするガスタービンの製造方法。
【請求項8】
前記軸受間距離減少ステップの前に、タービン段落を追加するとともに当該タービン段落の追加による軸方向の追加寸法を得るタービン段落追加ステップをさらに有し、
前記軸受間距離減少ステップは、前記出口配管数変更ステップで得られた前記外径減少分と、前記タービン段落追加ステップで得られた前記軸方向の追加寸法を用いて、前記軸受間の距離を減少させる、
をことを特徴とする請求項7に記載のガスタービンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガスタービンおよびガスタービンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンおよび蒸気タービンなどのタービンにおいては、高温、高圧の流体が入口から供給され、タービン内部で膨張し、タービンに回転エネルギを与え、仕事をした後に、出口配管から流出する。
【0003】
近年、タービンの大容量化、高圧化が図られているが、タービンプラント性能を確保しつつ、タービンの大容量化を図ろうとすると、タービンは大型化し、この結果、軸受間の距離も増大する場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、タービンの大容量化、高圧化に伴って、スチームホワールあるいはガスホワールなどのホワール現象が経験されている。ホワール現象は、ロータシャフトが、作動流体のシール部において発生する作動流体力により引き起こされる自励振動である。すなわち、タービン動翼先端の作動流体の漏れにより生じる励振力や、タービン静翼とロータシャフト間のラビリンスシール部の圧力変動により生じる励振力などが原因となって、軸系の1次モードの振動が発生する現象である。ホワール現象は、負荷上昇と共に発生しやすく、タービンプラントの正常な運転を妨げる要因となる。
【0006】
上述のように、ホワール振動は、軸系の1次モードの振動であることから、軸受間の距離を極力減少させることが望まれる。
【0007】
そこで、本発明の実施形態は、タービン性能を確保しながら、軸受間の距離を減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係るガスタービンは、ケーシングと、前記ケーシングを貫通するように配設されたロータシャフトと、前記ケーシング内に配設され、前記ロータシャフトの軸方向に沿って設けられ作動流体が通過する複数のタービン段落と、前記ケーシングの前記軸方向の両外側に配されて前記ロータシャフトを回転可能に支持する2つの軸受と、前記ケーシングの一部であって、前記タービン段落で仕事を終えた前記作動流体が、前記複数のタービン段落のうちの最下流のタービン段落から排気ガスとして流出する出口部分であり、かつ、前記最下流のタービン段落よりも前記軸方向の下流側に位置する排気室を形成する排気室壁部と、前記排気室壁部に設けられ前記排気室から前記排気ガスを排気する複数の出口配管と、を備え、前記出口配管は、前記ケーシングの上半および前記ケーシングの下半にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るガスタービンの構成を示すタービン軸芯に沿った
図2のI-I線矢視断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るガスタービンの構成を示す
図1のII-II線矢視断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るガスタービンの効果を説明するための従来のガスタービンの構成例を示すタービン軸芯に沿った
図4のIII-III線矢視断面図である。
【
図4】従来のガスタービンの構成例を示す
図3のIV-IV線矢視断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るガスタービンの効果を説明するための最終段動翼出口の周方向の圧力分布の従来のガスタービンとの比較図である。
【
図6】第1の実施形態に係るガスタービンの製造方法の手順を示すフロー図である。
【
図7】第2の実施形態に係るガスタービンの製造方法の手順を示すフロー図である。
【
図8】第2の実施形態に係るガスタービンの構成を示すタービン軸芯に沿った断面図である。
【
図9】第2の実施形態に係るガスタービンの効果を説明するためのガスタービンの効率の段落数と反動度への依存性を示すグラフである。
【
図10】第3の実施形態に係るガスタービンの構成を示すタービン軸芯に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るガスタービンおよびガスタービンの製造方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るガスタービン10の構成を示すタービン軸芯Cに沿った
図2のI-I線矢視断面図であり、
図2は、
図1のII-II線矢視断面図である。以下、タービン軸芯Cに平行な方向を軸方向、タービン軸芯Cから軸方向に垂直に外側に向かう方向を径方向と呼ぶ。
【0012】
ガスタービン10は、軸流タービンであり、ケーシングすなわち内部ケーシング13およびこれを包囲する外部ケーシング15、ロータシャフト11、作動流体が通過する複数のタービン段落12、2つの軸受すなわち前部軸受16aおよび後部軸受16b、作動流体をタービン段落12に案内するトランジションピース17、および各タービン段落12で仕事を終えた作動流体(以下、排気ガスという)を排気する複数の出口配管20を有する。
【0013】
ケーシング、すなわち内部ケーシング13および外部ケーシング15は、
図2に示すように、それぞれ、下半部と上半部とに分割されており、フランジにおいて図示しないボルトおよびナットで結合されている。ただし、内部ケーシング13および外部ケーシング15がそれぞれ下半部と上半部とに分割されておらず、それぞれが環状の断面を有して一体に形成されている場合であってもよい。さらに、ケーシングが内部ケーシング13および外部ケーシング15を有さずに、一重の場合であってもよい。
【0014】
以下では、ケーシングが内部ケーシング13および外部ケーシング15を有し、下半部と上半部とに分割されている場合を例にとって説明する。
【0015】
ロータシャフト11は、軸方向に内部ケーシング13および外部ケーシング15を貫通するように配設されている。2つの軸受は、ロータシャフト11の軸方向の両側を回転可能に支持している。2つの軸受のうち、前部軸受16aは作動流体の上流側、後部軸受16bは作動流体の下流側の、それぞれ外部ケーシング15の軸方向の外側に配されている。
【0016】
ここで、
図1に示す前部軸受16aの軸方向の中央位置と後部軸受16bの軸方向の中央位置との間の距離を、軸受間の距離と呼ぶ。
図1では、軸受間の距離はL1である。
【0017】
複数のタービン段落12は、軸方向に互いに間隔をおいて配されており、トランジションピース17により導かれた作動流体が流れ仕事をする環状の流路となる。
【0018】
それぞれのタービン段落12は、複数の静翼12aとその下流側に隣接する複数の動翼12bを有する。複数の静翼12aは、周方向に亘って内部ケーシング13に取り付けられて静翼翼列を形成する。また、複数の動翼12bは、周方向に亘ってロータシャフト11に取り付けられて動翼翼列を形成する。
【0019】
内部ケーシング13の最下流の部分、すなわち作動流体が最下流のタービン段落12の最終段動翼翼列12cから流出した出口部分は、排気室壁部14となっており、排気室14aを形成している。なお、
図2においては、最終段動翼翼列12cの個々の動翼の図示を省略している。
【0020】
複数の出口配管20は、タービン段落12で仕事を終えた内部ケーシング13内部の作動流体を排気ガスとして排気する。複数の出口配管20は、内部ケーシング13の下半に接続された2本の下半配管20aと、内部ケーシング13の上半に2本の上半配管20bを有する。
下半配管20aおよび上半配管20bのそれぞれは、外側配管21、スリーブ22、第1シール構造23、および第2シール構造24を有する。
【0021】
外側配管21は、外部ケーシング15に形成された排出用第1貫通孔15hに連通するように、外部ケーシング15の外側表面にたとえば溶接により接続されている。なお、外側配管21は、外部を引き回されて外部ケーシング15と接続される配管の場合であってもよいし、あるいは、外側ケーシング15に取り付けられて外部から外部ケーシング15の近傍まで引き回された配管と接続する管台の部分の場合であってもよい。
【0022】
スリーブ22は、外部ケーシング15に形成された排出用第1貫通孔15hと、内部ケーシング13に形成された排出用第2貫通孔13hとに連通するように、外部ケーシング15と内部ケーシング13間に設けられている。
【0023】
排出用第1貫通孔15hおよび排出用第2貫通孔13hのそれぞれにおいて、スリーブ22の径方向外側にそれぞれ、たとえばシールリングのような第1シール構造23および第2シール構造24が配され、シール性が確保されている。
【0024】
なお、出口配管20は、このような構成には限らない。たとえば、出口配管20がスリーブ22を有さずに、外側配管21が、外部ケーシング15を貫通して、内部ケーシング13に形成された排出用第2貫通孔13hに連通する場合であってもよい。
また、外部ケーシング15あるいは内部ケーシング13に形成された貫通孔と出口配管あるいはスリーブ等との接続構造も、貫通孔の外側で接続するいわゆるセットオン方式、貫通孔を貫通して接続するセットイン方式のいずれでもよい。
【0025】
図2に示すように、出口配管20は4本設けられており、出口配管20のうち、下半配管20aが下半部に2本、上半配管20bが上半部に2本、それぞれ配されている。
【0026】
なお、
図2では、2本の下半配管20aが互いに平行に、また、2本の上半配管20bが互いに平行に配されている場合を例にとって示しているが、これに限定されない。すなわち、ガスタービン10の外側での出口配管20あるいはこれと接続する下流側の配管の引き回し、配置の状況に応じて、出口配管20の径方向への引き出し方向を決定することでもよい。
【0027】
また、出口配管20の排気室14a側の端部の位置は、
図2では、下半部および上半部においてそれぞれ2本ずつが、タービン軸芯C(
図1)を含む鉛直平面の両側に互いに平行に配されているが、これに限定されない。たとえば、4本の出口配管20の排気室14a側の端部の位置が、周方向に互いに等間隔の場合であってもよい。
【0028】
図3は、第1の実施形態に係るガスタービンの効果を説明するための従来のガスタービンの構成例を示すタービン軸芯Cに沿った
図4のIII-III線矢視断面図であり、
図4は、
図3のIV-IV線矢視断面図である。
【0029】
従来のガスタービンの構成例においては、
図4に示すように、出口配管18は、排気室壁部14の下半部にのみ2本設けられている点が異なる。従来のガスタービンの構成例においては出口配管18が2本であることから、従来のガスタービンの構成例における出口配管18は、4本の出口配管20を有する本実施形態の場合の出口配管20よりは配管の外径が大きい。
【0030】
本実施形態と従来例において、本実施形態の出口配管20での排気ガスの流れによる圧力損失を、従来例の出口配管18の圧力損失と同様にするためには、基本的には、本実施形態の出口配管20と従来例の出口配管18における排気ガスの平均流速を合わせる、すなわち、排気ガスの平均流速を維持することになる。この結果、排気ガスの平均流速を維持する上で、従来例の出口配管18は、本実施形態の出口配管20より大口径となる。
【0031】
従来例の出口配管18の外径と本実施形態の出口配管20の外径との差をΔDとすると、本実施形態においては、従来例に比べて、このΔD分だけ、内部ケーシング13の排気室壁部14の軸方向の長さが短縮可能である。
【0032】
この結果、本実施形態における前部軸受16aと後部軸受16bとの距離L1は、従来例における前部軸受16aと後部軸受16bとの距離L0に比べて、少なくとも、ΔD分だけ短くなる。
【0033】
図5は、第1の実施形態に係るガスタービンの効果を説明するための最終段動翼出口の周方向の圧力分布の従来のガスタービンとの比較図である。横軸は、周方向角度Θ(度)、縦軸は、最終段動翼出口圧力を示す。
【0034】
ここで、周方向角度Θ(度)は、
図4に示すように、排気室14a側から最終段動翼翼列12c側を見たときの、上半部中央を0度とする時計回りの角度である。
【0035】
図5において、破線は、従来例における最終段動翼出口圧力の周方向分布、実線は、本実施形態における最終段動翼出口圧力の周方向分布を示す。
【0036】
従来例においては、上半部において最終段の動翼12bから流出した排気ガスは、下半部にある出口配管18に到達するまで排気室14a内を流れるため、下半部において最終段の動翼12bから流出した排気ガスの流れより圧力損失が大きくなる。いずれの流れも出口配管18の入り口における圧力は等しいことから、
図5に示すように、上半部において最終段の動翼12bから流出した排気ガスの圧力が、この圧力損失の分だけ高くなる。したがって、周方向角度Θが0度を中心に、上半部での最終段動翼出口圧力が高くなる。
【0037】
一方、本実施形態の場合は、上半部にも出口配管20が設けられていることから、最終段動翼出口圧力が従来例のように高くなる部分がなく、周方向の最終段動翼出口圧力がほぼ均一化されている。この結果、タービン効率が改善される。
【0038】
図6は、第1の実施形態に係るガスタービンの製造方法の手順を示すフロー図である。
図6に示すガスタービンの製造方法は、従来の2本の出口配管を有するガスタービンの構成から、4本の出口配管を有する構成に変更する場合のガスタービンの製造方法を示している。
【0039】
まず、出口配管が2本である従来のガスタービンの基本構造を確定する(ステップS11)。
【0040】
次に、出口配管本数を2本から4本に変更する場合の出口配管20の内径の設定を行う(ステップS12)。出口配管20の内径の設定は、たとえば、出口配管20での排気ガスの平均流速を、従来例の2本の出口配管における排気ガスの平均流速に合わせる、すなわち、排気ガスの平均流速を維持することにより行う。また、肉厚は、出口配管20の圧力条件からの必要厚さを確保する。このようにして算出された出口配管の内径値および必要肉厚さに基づいて、この内径値を下回らずかつ必要肉厚を確保する寸法を選定する。これにより、出口配管20の外径が得られる。この外径に基づいて、併せて、出口配管本数を2本から4本に変更することによる出口配管の外径減少分を算出する。
【0041】
次に、出口配管の外径減少分に基づいて、軸受間の距離を減少させる(ステップS13)。すなわち、出口配管外径の減少分に基づいて、内部ケーシング13、外部ケーシング15の軸方向の長さを設定し、前部軸受16aと後部軸受16bの位置を設定する。この結果、前部軸受16aと後部軸受16b間の距離を減少させることができる。
【0042】
次に、出口配管が4本であるガスタービンの構造を確定する(ステップS14)。各対された構造に基づいて、ガスタービンの製造を行う(ステップS15)。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、出口配管を上半部および下半部と、全周に亘り設け、出口配管内の排気ガスの平均流速を維持することにより、軸受間の距離を減少させることができる。また、最終段動翼出口圧力の高い部分をなくして周方向分布を均一化することによりタービン効率を改善することができる。
【0044】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形である。第1の実施形態と同様に、出口配管を排気室壁部14の上半部にも設けることにより、軸受間の距離を低減してホワール現象を低減する点では、第1の実施形態と同様であるが、併せてタービン段落12を追加している点が異なる。
【0045】
図7は、第2の実施形態に係るガスタービンの製造方法の手順を示すフロー図である。
【0046】
ステップS11およびステップS12の出口配管のサイジングを行うまでの手順、およびステップS14およびステップS15の変更後のガスタービンの構造の確定および製造の手順は、第1の実施形態と同様であるが、ステップ13に代えてステップ21およびステップ22となっている点が異なっている。
【0047】
ステップS12の次に、タービン段落12を追加する(ステップS21)。併せて、タービン段落12の追加による軸方向の追加寸法を得る。タービン段落12の追加部分については、ガスタービン10の性能が最大となるように設定される。なお、ステップS21は、ステップS11およびステップS12と並行に行ってもよい。
【0048】
次に、出口配管外径の減少分と、追加されたタービン段落寸法との差分、その他の調整結果により、軸受間の距離を減少させる(ステップS22)。すなわち、出口配管口径の減少分から追加されたタービン段落寸法を減じた差分だけ、軸受間の距離を短縮する。
【0049】
図8は、第2の実施形態に係るガスタービンの構成を示すタービン軸芯Cに沿った断面図である。
図8に示すように、タービン段落12は、
図1で示す第1の実施形態の場合に比べて1段分増加している。
【0050】
図9は、第2の実施形態に係るガスタービンの効果を説明するためのガスタービンの効率の段落数と反動度への依存性を示すグラフである。
図9は、非特許文献1に記載の図を模式的に示したものである。横軸は段落数、縦軸は反動度を示している。また、等高線はタービン効率を示し、破線白抜き矢印は、タービン効率が増大する方向を示している。
【0051】
図9に示すように、一般的に、段落数が増加するにしたがって、タービン効率は上昇する。
【0052】
本実施形態においては、軸受間の距離を減少させるとともに、タービン効率をさらに上昇することができる。
【0053】
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態に係るガスタービン10aの構成を示すタービン軸芯に沿った断面図である。
【0054】
本実施形態は、第1の実施形態の変形であり、ガスタービン10aにおいて、ケーシングは内部ケーシング13および外部ケーシング15を有するが、排気付近では、ケーシングが一重となっている。すなわち、排気付近では、ケーシングは外部ケーシング15のみであり、排気室14bを形成する排気室壁部14は、外部ケーシング15の一部である。
【0055】
本実施形態においては、出口配管20は、外側配管21のみを有する。外側配管21は、外部ケーシング15に形成された排出用第1貫通孔15hに連通するように、外部ケーシング15の外側に溶接等により取り付けられている。
【0056】
本実施形態においても、出口配管20を4本とする構造を採用することによって、軸受間の距離を減少させることができる。
[その他の実施形態]
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。すなわち、ガスタービンの排気口までの構成は、他の形態、構成でも適用可能である。
【0058】
また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0059】
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
10、10a…ガスタービン、11…ロータシャフト、12…タービン段落、12a…静翼、12b…動翼、12c…最終段動翼翼列、13…内部ケーシング、13h…排出用第2貫通孔、14…排気室壁部、14a、14b…排気室、15…外部ケーシング、15h…排出用第1貫通孔、16a…前部軸受、16b…後部軸受、17…トランジションピース、18…出口配管、20…出口配管、20a…下半配管、20b…上半配管、21…外側配管、22…スリーブ、23…第1シール構造、24…第2シール構造、C…タービン軸芯。