(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20241007BHJP
H04W 76/19 20180101ALI20241007BHJP
H04W 48/04 20090101ALI20241007BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20241007BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W76/19
H04W48/04
H04W84/00 110
(21)【出願番号】P 2020156392
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 正志
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/061760(WO,A1)
【文献】特開2019-121980(JP,A)
【文献】特開2018-26785(JP,A)
【文献】特開2016-36142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0072669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局とUserEquipmentとの間の通信を中継する通信装置であって、
前記通信装置を介した前記User Equipmentと前記基地局との間の通信を管理する管理手段と、
前記通信装置と前記基地局との間のアクセスに用いられる第1論理情報の更新に基づいて
前記基地局と接続する他の装置によって更新される第2論理情報を、送信する送信手段とを備え、
前記第2論理情報は、前記通信装置を介した前記User Equipmentと前記基地局との間のアクセスに用いられ
ることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記UserEquipmentは、第1無線通信媒体を用いて前記通信装置に接続可能であり、前記通信装置は第2無線通信媒体を用いて前記基地局に接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信装置にて管理されるセル情報の変化を認知する認知手段をさらに備え
ることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記セル情報の変化は、前記通信装置の移動に伴う前記基地局の変更に起因することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記セル情報の変化は、同一セル内に収容されるUser Equipmentの数の増減に起因することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記セル情報の変化は、同一セル内に収容されるUser Equipmentの固有情報の更新操作に起因することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項7】
前記
他の装置は、
前記基地局と通信可能なセルごとにアクセス制御を行う第1制御手段と、
前記UserEquipmentの移動状況を管理する第1管理手段と、
前記通信装置を介した前記User Equipmentの通信セッションを管理する第2管理手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記他の装置は、
前記第2論理情報を更新すべきUser Equipmentが省電力状態にある場合、前記User Equipmentを通常通信状態に移行させる移行手段をさらに備え
ることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記移行手段は、前記User Equipmentに対してページングメッセージを送信することで、前記User Equipmentを前記通常通信状態に移行させることを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記移行手段は、前記第2論理情報が更新されたUser Equipmentによる無線通信回線を利用した通信が一定期間だけ未実施であることを認知した場合、前記省電力状態への移行を促すことを特徴とする請求項8または9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記UserEquipmentは、無線オンラインゲーム機であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記UserEquipmentは、当該User Equipment内に記憶しているコンテンツ情報と、無線通信回線を通じて取得する情報を組み合わせてサービスを提供することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
基地局とUserEquipmentとの間の通信を中継する通信装置の通信方法であって、
前記通信装置を介した前記User Equipmentと前記基地局との間の通信を制御するステップと、
前記通信装置と前記基地局との間のアクセスに用いられる第1論理情報の更新に基づいて、
前記基地局と接続する他の装置によって更新される第2論理情報を、送信する送信ステップとを備え、
前記第2論理情報は、前記通信装置に接続されている前記User Equipmentと前記基地局との間のアクセスに用いられ
ることを特徴とする通信方法。
【請求項14】
コンピュータを請求項1から12のいずれか1項に記載の通信装置として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局からの電波を中継し、無線通信可能なエリアを拡張するためのリレー通信装置が利用されている。
また、機器間相互接続通信用の無線通信媒体を用いて通信中に無線ネットワークへのアクセスを無線通信装置に提供するネットワークリレー通信装置が規格化団体で検討中である。このネットワークリレー通信装置は、機器間相互接続通信用の無線通信媒体で授受される通信データと、基地局通信用の無線通信媒体で授受される通信データをブリッジする。これにより、ネットワークリレー通信装置は、機器間相互接続通信用の無線通信媒体で通信中に無線ネットワークへのアクセスを提供する。
【0003】
特許文献1には、ネットワークリレー通信装置に接続中の無線通信装置が、無線ネットワーク宛のリレー通信の開始を要求する際に、無線通信装置側で収集済の近隣セルに関するセル情報を通知する技術が開示されている。この技術では、通知を受けたネットワーク側の制御装置で認識する当該無線通信装置の近隣セルに関するセル情報の更新を促し、ネットワーク側で認識している無線通信装置の所在セルに関する制御情報との齟齬を解消する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、無線基地局とネットワークリレー装置との間で利用される無線通信媒体と、ネットワークリレー装置と無線通信装置との間で利用される無線通信媒体が異なる場合、無線通信装置は近隣セルに関するセル情報を認知できない。このため、特許文献1に記載の技術では、無線通信装置で認識している所在セルに関する制御情報と、ネットワーク側で認識している無線通信装置の所在セルに関する制御情報との齟齬を解消することができない。
【0006】
無線通信装置側と無線網管理装置側で認識している無線通信装置の所在セルに関する制御情報との間で齟齬があると、休止中の無線ネットワークアクセス用の無線通信を再開する際に、制御情報の再割当のためのネゴシエーション手順が起動される。このため、無線通信装置の所在セルに関する制御情報の齟齬が無い場合と比較して通信再開までに時間がかかる恐れがあった。
【0007】
本発明は、上述の課題を鑑み、通信機器と基地局との間の通信を中継する中継手段が移動する場合においても、通信機器と基地局との間の通信再開までにかかる時間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る通信装置は、基地局とUser Equipmentとの間の通信を中継する通信装置であって、前記通信装置を介した前記User Equipmentと前記基地局との間の通信を管理する管理手段と、前記通信装置と前記基地局との間のアクセスに用いられる第1論理情報の更新に基づいて前記基地局と接続する他の装置によって更新される第2論理情報を、送信する送信手段とを備え、前記第2論理情報は、前記通信装置を介した前記User Equipmentと前記基地局との間のアクセスに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る通信装置が適用される通信システムの一例を示す図。
【
図2】
図1の通信機器の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】
図1の中継器の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】
図1の網側管理装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図5】
図1の通信システムにおける通信機器の通信開始シーケンスを示す図。
【
図6】
図1の中継器で管理されるセル情報の変化時の論理接続情報未共有の場合の状況を示す図。
【
図7】論理接続情報の未共有時の通信機器の通信再開シーケンスを示す図。
【
図8】
図1の中継器で管理されるセル情報の変化時の論理接続情報共有済の場合の状況を示す図。
【
図9】第1実施形態に係る通信機器の通信再開前の論理接続情報の更新シーケンスを示す図。
【
図10】
図4のセッション管理データベースに格納されるテーブルの一例を示す図。
【
図11】
図4の移動状況管理データベースに格納されるテーブルの一例を示す図。
【
図12】
図4の移動状況管理部の論理接続情報更新処理を示すフローチャート。
【
図13】
図4のセッション管理部の論理接続情報更新処理を示すフローチャート。
【
図14】
図4のアクセス制御部の論理接続情報更新処理を示すフローチャート。
【
図15】論理接続情報の共有時の通信機器の通信再開シーケンスを示す図。
【
図16】第2実施形態に係る論理接続情報の共有方法を示す図。
【
図17】第2実施形態に係る通信機器の通信再開前の論理接続情報の更新シーケンスを示す図。
【
図18】第2実施形態に係るアクセス制御部の論理接続情報更新処理を示すフローチャート。
【
図19】第3実施形態に係る論理接続情報を用いた通信方法を示す図。
【
図20】
図19の通信システムにおける通信機器の通信再開シーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されない。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る通信装置が適用される通信システムの一例を示す図である。
図1において、この通信システムは、通信機器1、2、中継器3、基地局4および網側管理装置5Aを備える。この通信システムは、例えば、各通信機器1、2が携帯ゲーム機として用いられる場合、携帯ゲーム機を用いたオンラインゲームサービスを提供する。
【0012】
各通信機器1、2は、無線通信媒体WAを用いてローカル通信を行うとともに、無線通信媒体WAを用いたまま中継器3を介してネットワーク通信も行う。各通信機器1、2は、中継器3経由でのネットワーク通信を開始する場合、網側管理装置5Aより論理接続情報の付与を受ける。無線通信媒体WAを通信に用いる場合、例えば、装置間通信用のPC5と呼ばれる無線インタフェースが用いられる。各通信機器1、2は、例えば、無線オンラインゲーム機である。各通信機器1、2は、例えば、無線オンラインゲームを実現するアプリケーションがインストールされたスマートフォンなどの携帯情報端末であってもよい。
【0013】
各通信機器1、2は、ローカル通信(機器間相互接続通信とも言う)の利用場面では、例えば、ゲーム内でのシューティングコマンドの共有などのゲーム中のユーザ操作情報の共有を実施できる。各通信機器1、2は、ネットワーク通信(基地局通信とも言う)の利用場面では、例えば、ゲームリプレイシーンの高品位再生などのゲーム機内にないデータのダウンロードを実施できる。
【0014】
中継器3は、各通信機器1、2と基地局4との間の通信を中継する。中継器3は、中継元の無線チャネルと中継先の無線チャネルで異なる周波数帯を利用する。各通信機器1、2は、無線通信媒体WAを用いて中継器3に接続可能であり、中継器3は、無線通信媒体WBを用いて基地局3に接続可能である。このとき、中継器3は、無線通信媒体WBを用いて基地局4と通信しながら、近隣の通信機器1、2と無線通信媒体WAを用いて通信することができる。無線通信媒体WBを通信に用いる場合、例えば、ネットワーク通信用のUuと呼ばれる無線インタフェースが用いられる。
【0015】
中継器3は、例えば、窓際などの基地局4からの電波が届く場所に設置されることで、屋内の電波環境を改善することができる。中継器3は、例えば、UE-to-Network Relay UEである。この場合、通信機器1、2をRemote UE(User Equipment)と呼ぶ。Network Relayは、無線リピータである。中継器3に接続中の通信機器1、2は、無線通信媒体WAを用いたチャンネルを監視し、無線通信媒体WBを用いたチャンネルを監視しないようにすることで、省電力化を図ることができる。
【0016】
基地局4は、電波の届く範囲であるセルごとに設置される。基地局4は、無線通信媒体WBを用いることで各通信機器1、2および中継器3と通信可能である。
【0017】
網側管理装置5Aは、中継器3を介した各通信機器1、2と基地局4との間の通信を管理する。網側管理装置5Aは、セル情報認知部501および論理情報更新部502を備える。セル情報認知部501は、中継器3にて管理されるセル情報の変化を認知する。論理情報更新部502は、中継器3と基地局4との間のアクセスに用いられる論理情報の更新に基づいて、中継器3に接続されている各通信機器1、2と基地局4との間のアクセスに用いられる論理情報を更新する。この論理情報は、例えば、ユーザIDまたはIPアドレスなどの論理接続情報である。
【0018】
図2は、
図1の通信機器の構成の一例を示すブロック図である。
図2において、各通信機器1、2は、CPU(Central Processing Unit)10、表示部11、操作部12、撮像部13、不揮発記憶部14、加入者認識部15およびゲームソフトウェア記憶部16を備える。また、各通信機器1、2は、RAM(Randam Access Memory)17、ROM(Read Only Memory)18、基地局通信部19、機器間通信部20および論理接続情報記憶部21を備える。
【0019】
CPU10は、各通信機器1、2全体の制御を司るハードウェアである。CPU10は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。表示部11は、例えば、液晶モニタ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイまたはマイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイである。操作部12は、例えば、キー、ボタンまたはタッチパネルなどである。撮像部13は、カメラ機能を持つイメージセンサおよびレンズなどの光学系を備える。不揮発記憶部14は、例えば、メモリカードまたはUSB(Universal Serial Bus)メモリである。
【0020】
加入者認識部15は、各通信機器1、2の使用権限が与えられた加入者を識別する。加入者認識部15は、SIM(Subscriber Identity Module)機能を持つ。ゲームソフトウェア記憶部16は、ゲームソフトウェアおよびゲーム中に表示される画像およびキャラクタなどのコンテンツ情報を記憶する。このとき、各通信機器1、2は、自装置内に記憶しているコンテンツ情報と、無線通信回線を通じて取得する情報を組み合わせてサービスを提供することができる。RAM17は、CPU10が実行中のプログラムを格納したり、CPU10がプログラムを実行するためのワークエリアを設けたりする。ROM18は、各種プログラムの実行ファイルやプログラムの実行に用いられるデータを保持する。
【0021】
基地局通信部19は、基地局4との通信に用いられるインタフェースである。基地局通信部19は、例えば、NR(New Radio) Uuと呼ばれる無線インタフェースである。機器間通信部20は、通信機器1、2間での直接通信に用いられるインタフェースである。機器間通信部20は、例えば、NR PC5と呼ばれる無線インタフェースである。論理接続情報記憶部21は、自装置に割り当てられた論理接続情報を記憶する。
【0022】
図3は、
図1の中継器の構成の一例を示すブロック図である。
図3において、中継器3は、CPU30、表示部31、操作部32、不揮発記憶部34、加入者認識部35、RAM37、ROM38、基地局通信部39、機器間通信部40および論理接続情報記憶部41を備える。
【0023】
CPU30は、中継器3全体の制御を司るハードウェアである。表示部31は、例えば、液晶モニタ、有機ELディスプレイまたはマイクロLEDディスプレイである。操作部32は、例えば、キー、ボタンまたはタッチパネルなどである。不揮発記憶部34は、例えば、メモリカードまたはUSBメモリである。
【0024】
加入者認識部35は、中継器3の使用権限が与えられた加入者を識別する。加入者認識部35は、SIM機能を持つ。RAM37は、CPU30が実行中のプログラムを格納したり、CPU30がプログラムを実行するためのワークエリアを設けたりする。ROM38は、各種プログラムの実行ファイルやプログラムの実行に用いられるデータを保持する。
【0025】
基地局通信部39は、基地局4との通信に用いられるインタフェースである。基地局通信部39は、例えば、NR Uuと呼ばれる無線インタフェースである。機器間通信部40は、各通信機器1、2との間の通信に用いられるインタフェースである。機器間通信部40は、例えば、NR PC5と呼ばれる無線インタフェースである。論理接続情報記憶部41は、中継器3に割り当てられた論理接続情報を記憶する。
【0026】
図4は、
図1の網側管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4において、網側管理装置5Aは、アクセス制御部51、移動状況管理部52、セッション管理部53、リソースデータベース54、移動状況管理データベース55およびセッション管理データベース56を備える。
アクセス制御部51、移動状況管理部52およびセッション管理部53は、通信路57を介して互いに接続されている。アクセス制御部51は、リソースデータベース54にアクセス可能である。移動状況管理部52は、移動状況管理データベース55にアクセス可能である。セッション管理部53は、セッション管理データベース56にアクセス可能である。
【0027】
アクセス制御部51は、各基地局4が受け持つセルごとにアクセス制御を行う。アクセス制御部51は、NG(Next Generation)-RAN(Radio Access Network)機能を持つ。ここで言うNGは5G(5th Generation)である。
リソースデータベース54は、各基地局4が受け持つセルごとのリソース情報を記憶する。リソースデータベース54は、RRC(Radio Resource Control)-DB(Data Base)機能を持つ。
【0028】
移動状況管理部52は、各通信機器1、2の移動状況を管理する。移動状況管理部52は、NG-AMF(Access Mobility Function)機能を持つ。
移動状況管理データベース55は、各通信機器1、2が在圏するセル在圏セルとも言う)のセル情報を記憶する。移動状況管理データベース55は、AMF-DB機能を持つ。
【0029】
セッション管理部53は、インターネット6宛のU-Plane通信用PDU(Protocol Data Unit)セッションを管理する。セッション管理部53は、NG-SMF(Session Management Function)機能を持つ。
セッション管理データベース56は、各通信機器1、2のPDUセッション情報を記憶する。セッション管理データベース56は、SMF-DB機能を持つ。
【0030】
図5は、
図1の通信システムにおける通信機器の通信開始シーケンスを示す図である。
図5において、網側管理装置5Aは、中継器3および通信機器1の認証・許可処理を実施し(K11、K12)、認証・許可処理に成功すると、中継器3は、自装置のネットワーク通信PDUセッションのみを設定する(K13)。
【0031】
次に、中継器3は、装置間直接通信用の無線通信媒体WAを用いたローカル探索を実施する(K14)。このとき、中継器3は、通信機器1のネットワーク通信の実施要求を認知すると、装置間直接通信用の無線通信媒体WAでの無線回線を通信機器1と中継器3との間で設定する(K15)。中継器3は、通信機器1と中継器3との間の接続設定とともに、通信機器1用のPDUセッションを追加設定する(K16)。
【0032】
次に、網側管理装置5Aは、PDUセッションが追加設定されると、IPアドレスなどの論理接続情報を通信機器1に設定(RRC Setup)する(K17)。
通信機器1は、論理接続情報を受領すると、その受領した論理接続情報を利用して、中継器3経由でU-Plane通信路の開始を網側管理装置5Aに要求する(K18、K19)。
【0033】
網側管理装置5Aは、U-Plane通信路の開始要求を受けると、ネットワーク通信用のポートを開くことで、中継器3経由で通信機器1とサーバ3との間のネットワーク通信を開始する(K20、K21)。サーバ3は、例えば、アプリケーションサーバである。
【0034】
ここで、中継器3の移動等に起因して中継器3の接続セルに変更が発生した場合、通信機器1のネットワーク通信の再開を可能とするためには、中継器3の接続セルの変更に対応して通信機器1の論理接続情報の更新が必要である。
【0035】
図6は、
図1の中継器で管理されるセル情報の変化時の論理接続情報未共有の場合の状況を示す図である。
図6において、基地局4AはセルNWA内での通信を受け持ち、基地局4BはセルNWB内での通信を受け持つ。バス7内では、携帯ゲーム機である通信機器1と中継器3を用いたオンラインゲームサービスが提供されるものとする。
【0036】
通信機器1は、ゲームシナリオの進捗状況に応じて、ネットワーク通信動作状態とローカル通信動作状態を切り換えて運用する。このとき、バス7がセルNWA内に存在する場合、ローカル通信動作中の通信機器1は、セルNWA内でネットワーク通信に利用する論理接続情報IAを自装置内に記憶することで、通信動作状態の切換をスムーズに実施する。
【0037】
バス7がセルNWA内からセルNWB内に移動したものとする。このとき、中継器3は、無線通信媒体WBを用いたチャンネルを監視することで、セル情報の変化を認知し、セルNWA内でネットワーク通信に利用する論理接続情報をセルNWB内でネットワーク通信に利用する論理接続情報に更新する。一方、通信機器1は、省電力化を図るために、無線通信媒体WBを用いたチャンネルを監視しないものとすると、セル情報の変化を認知できない。このため、通信機器1は、バス7がセルNWA内からセルNWB内に移動した場合においても、セルNWA内でネットワーク通信に利用する論理接続情報を保持し続ける。このため、通信機器1は、ネットワーク通信の再開に失敗し、セルNWB内でネットワーク通信に利用する論理接続情報の再設定処理を行う。この再設定処理では、
図5のK15~K19の処理が実行され、ネットワーク通信再開まで数秒程度かかることがある。
【0038】
図7は、論理接続情報の未共有時の通信機器の通信再開シーケンスを示す図である。
図7において、
図7のバス7の移動によりバス7の在圏セルが、セルNWBに替わったものとする。このとき、中継器3は、無線基地局通信用の基地局通信部39が稼働状態にあるので、セル情報の変化を認知し、網側管理装置5Aとセル情報の変化を共有することで(K31)、セルNWB用の論理接続情報に更新する(K32、K34)。
【0039】
一方、通信機器1は、無線基地局通信用の基地局通信部19が稼働状態にないので、セル情報の変化を認知できない。このため、通信機器1は、セルNWAでの論理接続情報の記憶を継続し、中継器3との間で論理接続情報が未共有となる(K33)。
この結果、通信機器1は、セルNWBへ移動後に、セルNWA用の論理接続情報を用いてネットワーク通信の再開処理KAを開始する(K35)。
【0040】
再開処理KAにおいて、中継器3は、装置間直接通信用の無線通信媒体WAでの通信機器1と中継器3との間の接続を再開し(K36)、通信機器1用のPDUセッションを再開する(K37)。このとき、通信機器1が利用するセルNWA用の論理接続情報は、セルNWBでは利用可能ではないので、網側管理装置5Aは、ネットワーク通信の再開に失敗し(K38)、再開失敗を通信機器1に通知する(K39)。
【0041】
ネットワーク通信の再開に失敗すると、
図5のK15~K19と同様の処理が実行される(K40~K45)。そして、網側管理装置5Aは、ネットワーク通信用のポートを開くことで、通信機器1との間で中継器3経由のネットワーク通信を再開する(K46)。
【0042】
この再開処理KAでは、ネットワーク通信再開まで数秒程度かかることがある。ネットワーク通信再開までにかかる時間を短縮するため、網側管理装置5Aは、中継器3の論理接続情報の更新に併せて通信機器の論理接続情報を更新する。
【0043】
図8は、
図1の中継器で管理されるセル情報の変化時の論理接続情報共有済の場合の状況を示す図である。
図8において、バス7がセルNWA内に存在する場合、ローカル通信動作中の通信機器1は、セルNWA内でネットワーク通信に利用する論理接続情報IAを自装置内に記憶する。
【0044】
バス7がセルNWA内からセルNWB内に移動すると、セル情報認知部501は、中継器3にて管理されるセル情報の変化を認知する。そして、論理情報更新部502は、中継器3と基地局4との間のアクセスに用いられる論理接続情報の更新に基づいて、中継器3に接続されている通信機器1のセルNWA用の論理接続情報IAをセルNWB用の論理接続情報IBに更新する。そして、通信機器1は、セルNWBへ移動後に、セルNWB用の論理接続情報を用いてネットワーク通信の再開処理を開始する。このとき、通信機器1は、セルNWBで利用可能なセルNWB用の論理接続情報を保持しているので、網側管理装置5Aは、ネットワーク通信の再開に成功する。このため、網側管理装置5Aは、通信機器1がセルNWBへ移動後に、
図7の再開処理KAを実施することなくネットワーク通信を再開可能とすることができ、ネットワーク通信再開まで数百ミリ秒程度で済ませることができる。
【0045】
図9は、第1実施形態に係る通信機器の通信再開前の論理接続情報の更新シーケンスを示す図である。
図9において、
図7のバス7の移動によりバス7の在圏セルが、セルNWBに替わったものとする。このとき、中継器3は、無線基地局通信用の基地局通信部39が稼働状態にあるので、セル情報の変化を認知し、網側管理装置5Aとセル情報の変化を共有することで(K51)、セルNWB用の論理接続情報に更新する(K52、K54)。
【0046】
また、移動状況管理部52は、網側管理装置5Aでセル情報の変化を認識すると、セル情報の変化が発生した機器種別が中継器3である場合、セッション管理部53にセル情報の変化を通知する(K53)。
次に、セッション管理部53は、中継器3経由の通信機器1用の通信セッションを保持している場合(K55)、通信機器1用の論理接続情報の更新要求をアクセス制御部51に通知する(K56)。
【0047】
次に、アクセス制御部51は、中継器3のセル情報の変化状況に応じて、通信機器1の論理接続情報を更新する(K57、K58)。
次に、アクセス制御部51は、通信機器1の論理接続情報を更新の完了を確認し、網側管理装置5Aと通信機器1との間で論理接続情報を共有する(K61)。
また、アクセス制御部51は、論理接続情報を更新の完了を移動状況管理部52に通知し(K59)、移動状況管理部52は、通信機器1用の論理接続情報の更新要求に対する応答をセッション管理部53に返送する(K60)。
【0048】
図10は、
図4のセッション管理データベースに格納される情報管理テーブルの一例を示す図である。
図10において、この情報管理テーブルは、管理対象中継器ID、PDU接続番号、対象通信機器ID、割当済IP情報およびユーザIDのエントリを有する。1つの管理対象中継器IDには複数のPDU接続番号を割り当て可能である。1つのPDU接続番号には、対象通信機器ID、割当済IP情報およびユーザIDがそれぞれ1つずつ割り当てられる。管理対象中継器IDおよび対象通信機器IDは、例えば、IMEI(International Mobile Equipment Identifier)である。
【0049】
図11は、
図4の移動状況管理データベースに格納される情報管理テーブルの一例を示す図である。
図11において、この情報管理テーブルは、管理対象通信機器IDおよび接続中基地局ID(IP情報)のエントリを有する。1つの管理対象通信機器IDには、1つの接続中基地局IDが割り当てられる。管理対象通信機器IDは、例えば、IMEIである。
【0050】
図12は、
図4の移動状況管理部の論理接続情報更新処理を示すフローチャートである。
図12において、移動状況管理部52は、網側管理装置5Aでセル情報の変化を認識すると(S10)、論理接続情報更新処理を起動する。
【0051】
そして、移動状況管理部52は、セル情報の変化が発生した機器種別が中継器であるか否かを判定する(S11)。移動状況管理部52は、機器種別が中継器である場合、中継サービスを稼働している中継器の移動などに起因するセル情報の変化をセッション管理部53に通知する(S12)。一方、移動状況管理部52は、機器種別が中継器でない場合、論理接続情報更新処理を終了する。
【0052】
次に、移動状況管理部52は、通信機器のRRC情報の更新要求をセッション管理部53より受け付けたか否かを判定する(S13)。移動状況管理部52は、通信機器1のRRC情報の更新要求を受け付けた場合、通信機器1の論理接続情報の更新要求をアクセス制御部51に転送する(S14)。このとき、移動状況管理部52は、
図10の情報管理テーブルを参照し、少なくとも1つ以上のアクセス制御部51の中から、中継器3の移動先のセルの論理接続情報を管理するアクセス制御部51を確定する。一方、移動状況管理部52は、通信機器1のRRC情報の更新要求を受け付けてない場合、論理接続情報更新処理を終了する。
【0053】
次に、移動状況管理部52は、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了をアクセス制御部51より受領したか否かを判定する(S15)。移動状況管理部52は、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了を受領した場合、受け付けた通信機器1の論理接続情報の更新要求応答をセッション管理部53に返送する(S16)。一方、移動状況管理部52は、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了を受領してない場合、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了を受領するまで、S15の処理を繰り返す。
【0054】
図13は、
図4のセッション管理部の論理接続情報更新処理を示すフローチャートである。
図13において、セッション管理部53は、中継器3の移動などに起因するセル情報の変化の通知を移動状況管理部52から受領すると(S20)、論理接続情報更新処理を起動する。
【0055】
そして、セッション管理部53は、
図10の情報記憶テーブル情報を参照し、中継サービス稼働中の中継器3経由での通信セッションを保持しているか否かを判定する(S21)。セッション管理部53は、中継器3経由での通信セッションを保持している場合、該当する通信機器1用の論理接続情報の更新要求をアクセス制御部51に通知する(S22)。一方、セッション管理部53は、中継器3経由での通信セッションを保持していない場合、論理接続情報更新処理を終了する。
【0056】
次に、セッション管理部53は、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了通知をアクセス制御部51より受領したか否かを判定する(S23)。セッション管理部53は、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了通知を受領した場合、論理接続情報更新処理を終了する。一方、セッション管理部53は、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了通知を受領してない場合、更新対象の通信機器1のRRC情報の更新完了通知を受領するまで、S23の処理を繰り返す。
【0057】
図14は、
図4のアクセス制御部の論理接続情報更新処理を示すフローチャートである。
図14において、アクセス制御部51は、中継サービス稼働中の中継器3に接続中の通信機器1の論理接続情報の更新要求通知を領移動状況管理部52から受信すると(S30)、論理接続情報更新処理を起動する。
【0058】
そして、アクセス制御部51は、指定された通信機器1の無線機能の状態が、通常通信状態であるRRC_CONNECTEDであることを確認した後、該当通信機器1用の論理接続情報を中継器3のセル情報の変化状況に合せて更新する(S31)。
【0059】
次に、アクセス制御部51は、通信機器1用の論理接続情報の更新が完了したか否かを判定する(S32)。アクセス制御部51は、通信機器1用の論理接続情報の更新が完了した場合、通信機器1用の論理接続情報の更新完了を領移動状況管理部52に通知し(S33)、論理接続情報更新処理を終了する。一方、アクセス制御部51は、通信機器1用の論理接続情報の更新が完了してない場合、通信機器1用の論理接続情報の更新が完了するまで、S33の処理を繰り返す。
【0060】
図15は、論理接続情報の共有時の通信機器の通信再開シーケンスを示す図である。
図15において、
図9のシーケンスにより、網側管理装置5Aと通信機器1との間で論理接続情報が共有されているものとする(K61)。
このとき、通信機器1は、ネットワーク通信を再開すると(K71)、セルNWB用の論理接続情報を用いて再開処理KBを開始する。
【0061】
再開処理KBにおいて、中継器3は、装置間直接通信用の無線通信媒体WAでの通信機器1と中継器3との間の接続を再開し(K72)、通信機器1用のPDUセッションを再開する(K73)。このとき、通信機器1は、セルNWBで利用可能なセルNWB用の論理接続情報を保持しているので、網側管理装置5Aは、ネットワーク通信の再開に成功し(K74)、再開成功を通信機器1に通知する(K75)。そして、網側管理装置5Aは、ネットワーク通信用のポートを開くことで、通信機器1との間で中継器3経由のネットワーク通信を再開する(K76)。
【0062】
このとき、ネットワーク通信の再開処理KBでは、論理接続情報の再割り当て処理を実施する必要がなくなるため、
図7の再開処理KAに比べ、ネットワーク通信の再開までにかかる時間を短縮することが可能になる。
【0063】
以上説明したように、上述した第1実施形態によれば、中継器は、自装置の移動または在圏装置数の増減などに起因するセル情報の変化を認知する。そして、無線網管理装置は、セル情報の更新を実施した中継器からの情報更新を受付け、中継器に接続中の通信機器の論理接続情報も併せて更新する。これにより、無線網管理装置は、休止中のネットワーク無線通信の再開前に、通信機器の所在セルに関する論理接続情報を更新することができ、ネットワーク無線通信の再開時の所在セルに関する論理接続情報の齟齬の発生を未然に防止することができる。このため、休止中のネットワーク無線通信を再開時の論理接続情報の再割り当てを不要とし、ネットワーク無線通信の再開までにかかる時間を短縮することができる。
【0064】
<第2実施形態>
第2実施形態では、無線網管理装置5Bは、通信機器1がサスペンド状態にある場合、その通信機器1をアクティベート状態に移行させてから、中継器3に接続中の通信機器8の論理接続情報も併せて更新する。なお、サスペンド状態をRRC_INACTIVE、アクティベート状態をRRC_CONNECTEDとも言う。
【0065】
図16は、第2実施形態に係る論理接続情報の共有方法を示す図である。
図16において、この通信システムは、
図6の網側管理装置5Aの代わりに網側管理装置5Bを備える。網側管理装置5Bは、セル情報認知部501および論理情報更新部502に加え、通信状態移行部503をさらに備える。網側管理装置5Bは、
図3の網側管理装置5Aと同様のハードウェア構成を備える。通信状態移行部503は、中継器3と接続中に論理接続情報が更新される通信機器1が省電力通信状態にある場合、通信機器1を通常通信状態に移行させる。このとき、通信状態移行部503は、通信機器1をRRC_INACTIVEに遷移させることで省電力通信状態に移行させ、通信機器1をRRC_CONNECTEDに遷移させることで通常通信状態に移行させることができる。
【0066】
中継器3は、基地局4の報知信号を常に監視することでセル情報の変化を認知し、セル情報の変化を認知した場合、無線通信機能部がアクティベート状態に復帰し、論理接続情報を更新する。
【0067】
通信機器1は、オンラインゲームサービスを享受する携帯ゲーム機として動作する。このとき、通信機器1は、省電力を図るため、通信機器1の動作状態に応じてサスペンド状態とアクティベート状態を切り換える。
通信機器1は、中継器3が送信する報知信号を監視し、基地局4が送信する報知信号を監視しない。このため、通信機器1は、中継器3と同じ方向かつ同じ速度で移動すると、セル情報の変化を認知できない。
【0068】
バス7がセルNWA内からセルNWB内に移動すると、セル情報認知部501は、中継器3にて管理されるセル情報の変化を認知する。次に、通信状態移行部503は、その中継器3に接続されている通信機器1がRRC_CONNECTED状態にあるか否か判断する。通信機器1がRRC_CONNECTED状態にない場合、通信状態移行部503は、中継器3を介してページングメッセージ(着呼メッセージ)PEを通信機器1に送信し、通信機器1をRRC_CONNECTED状態に遷移させる。そして、論理情報更新部502は、中継器3と基地局4との間のアクセスに用いられる論理接続情報の更新に基づいて、中継器3に接続されている通信機器1のセルNWA用の論理接続情報IAをセルNWB用の論理接続情報IBに更新する。また、通信状態移行部503は、論理接続情報が更新された通信機器1による無線通信回線を利用した通信が一定期間だけ未実施であることを認知した場合、通信機器1に対して省電力通信状態への移行を促す。
【0069】
図17は、第2実施形態に係る通信機器の通信再開前の論理接続情報の更新シーケンスを示す図である。
図17の更新シーケンスでは、K101~K103の処理が
図9の更新シーケンスに追加される。
図17の更新シーケンスでは、網側管理装置5Bは、K57の処理後、通信機器1の無線通信機能部がRRC_CONNECTEDでない場合、通信機器1にページングメッセージを送信する(K101)。通信機器1は、ページングメッセージを受信すると、RRC_INACTIVEからRRC_CONNECTEDに遷移する(K102)。
網側管理装置5Bは、網側管理装置5Aと通信機器1との間で論理接続情報が共有されると(K61)、RRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEに遷移させる(K103)。
【0070】
これにより、網側管理装置5Bは、通信機器1が無線通信機能部の状態制御で省電力制御を図ることを可能としつつ、中継器3の論理接続情報の更新に併せて、中継器3に接続されている通信機器1の論理接続情報を更新することができる。
【0071】
図18は、第2実施形態に係るアクセス制御部の論理接続情報更新処理を示すフローチャートである。
図18のフローでは、S41~S44の処理が
図14のフローに追加される。
網側管理装置5Bは、S30の処理後、指定の通信機器1がRRC_CONNECTED状態であるか否かを判定する(S41)。網側管理装置5Bは、指定の通信機器1がRRC_CONNECTED状態である場合、S31に進む。一方、網側管理装置5Bは、指定の通信機器1がRRC_CONNECTED状態でない場合、更新対象の通信機器1にページングメッセージを送信し(S42)、S41に戻る。
【0072】
また、網側管理装置5Bは、S33の処理後、指定の通信機器1の中継器3経由のU-Plane通信がサスペンド中であるか否かを判定する(S43)。網側管理装置5Bは、指定の通信機器1の中継器3経由のU-Plane通信がサスペンド中でない場合、論理接続情報更新処理を終了する。一方、網側管理装置5Bは、指定の通信機器1の中継器3経由のU-Plane通信がサスペンド中である場合、指定の通信機器1にRRC_INACTIVE状態への移行を指示し(S44)、論理接続情報更新処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、上述した第2実施形態によれば、網側管理装置は、中継器と接続中に論理接続情報が更新される通信機器が省電力通信状態にある場合、通信機器を通常通信状態に移行させる。これにより、網側管理装置は、中継器と接続中の通信機器がセル間を移動する場合においても、通信機器が省電力制御を図ることを可能としつつ、ネットワーク無線通信の再開までにかかる時間を短縮することができる。
【0074】
<第3実施形態>
第1実施形態および第2実施形態では、中継器3に接続中の通信機器1が中継器3と同方向かつ同速度で移動する際に、中継器3の論理接続情報の更新に併せて、中継器3に接続されている通信機器1の論理接続情報を更新する方法について説明した。
第3実施形態では、中継器3に接続中の通信機器1が在圏セルにとどまり、中継器3が通信機器1の在圏セルから移動した場合、通信機器1は、通信機器1が保持する在圏セルの論理接続情報を用いることで、中継器3から基地局4Aに接続先を切り換える。
【0075】
図19は、第3実施形態に係る論理接続情報を用いた通信方法を示す図である。
図19において、この通信システムは、
図6の通信機器1の代わりに通信機器8を備える。通信機器8は、論理情報記憶部801および接続先切替部802を備える。通信機器8は、
図2の通信機器1、2と同様のハードウェア構成を備える。
論理情報記憶部801は、中継器3を介して更新された基地局4Aとの間の接続に用いられる論理接続情報IAを記憶する。接続先切替部802は、無線通信媒体WAを用いる中継器3との間の通信の切断を認知した場合、論理情報記憶部80に記憶された論理接続情報IAに基づいて、無線通信媒体WBを用いる基地局4Aとの間の通信に切り換える。
【0076】
バス7がセルNWA内に存在するときに、通信機器8の携帯者は、バス7から下車したものとする。その後、バス7は、セルNWA内からセルNWB内に移動する。このとき、通信機器8と中継器3との間では、無線通信媒体WAを用いたチャンネルを維持できなくなる。
【0077】
通信機器8は、機器間通信部20にて無線通信媒体WAを監視することにより、中継器3がセルNWAのエリア外に移動したことを認知する。
通信機器8は、中継器3がセルNWAのエリア外に移動したことを認知すると、基地局通信部19を起動し、無線通信媒体WBを用いた基地局4Aとの間の直接通信路の確保を行う。そして、通信機器8は、中継器3を介在させることなく、基地局4Aとの間でネットワーク通信を実施する。
【0078】
図20は、
図19の通信システムにおける通信機器の通信再開シーケンスを示す図である。
図20において、網側管理装置5Aは、通信機器8の認証・許可処理を実施し(K81)、認証・許可処理に成功すると、通信機器8は、無線通信媒体WBを用いた通信機器8と網側管理装置5Aとの間の接続を再開する(K82)。このとき、通信機器8は、セルNWAで利用可能なセルNWA用の論理接続情報を保持しているので、網側管理装置5Aは、ネットワーク通信の再開に成功し(K83)、再開成功を通信機器8に通知する(K84)。そして、網側管理装置5Aは、ネットワーク通信用のポートを開くことで、通信機器8との間でネットワーク通信を再開する(K85)。
【0079】
以上説明したように、上述した第3実施形態によれば、通信機器は、中継器との間の通信の切断を認知した場合、通信機器が保持する論理接続情報に基づいて、基地局との間の直接通信に切り換える。これにより、通信機器の在圏セルのエリア外に中継器が移動した場合においても、通信機器が保持する論理接続情報を更新することなく、ネットワーク通信を再開することができ、ネットワーク通信の再開までにかかる時間を低減することができる。
【0080】
<その他の実施形態>
その他の実施形態として、前述の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置のコンピュータが記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行するようにしてもよい。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現し、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本実施形態を構成する。
【0081】
プログラムコードを供給する記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、前述の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSが実際の処理の一部または全部を行い、前述の機能を実現してもよい。OSとは、Operating Systemの略である。
【0082】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張ボードまたはコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込む。そして、そのプログラムコードの指示に基づき、機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUが実際の処理の一部または全部を行い、前述の機能を実現してもよい。
【0083】
また、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給してもよい。そして、上述の実施形態の1以上の機能は、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0084】
また、上述した実施形態では、セル情報の変化は、中継器の移動に伴う基地局の変更に起因する場合を例にとった。セル情報の変化は、同一セル内に収容される通信機器の増減に起因する場合であってもよいし、同一セル内に収容される通信機器の固有情報の更新操作に起因する場合であってもよい。通信機器の固有情報は、例えば、通信機器に固有のIDである。
【符号の説明】
【0085】
1、2 通信機器8 中継器、4 基地局、5A~5C 網側管理装置、51 アクセス制御部、52 移動状況管理部、53 セッション管理部、54 リソースデータベース、55 移動状況管理データベース、56 セッション管理データベース