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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】信号生成装置および信号読取システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
H04L25/02 303Z
H04L25/02 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020162898
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2021064940
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2019186996
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 浩一
(72)【発明者】
【氏名】笠井 真
(72)【発明者】
【氏名】池田 大桂
(72)【発明者】
【氏名】坂井 智春
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-146141(JP,A)
【文献】特開2019-128805(JP,A)
【文献】特開昭48-053605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆導線で構成される通信路を介して伝送されるロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、
前記被覆導線から検出された前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより、当該ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を生成する信号復元部と、
前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えている信号生成装置。
【請求項2】
前記信号復元部は、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記被覆導線における被覆部に接触させられる電極と当該被覆導線との間の結合容量を介して当該電極によって検出された信号を前記一次巻線に入力すると共に前記二次巻線から出力される前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する請求項1記載の信号生成装置。
【請求項3】
前記信号復元部は、前記被覆導線における被覆部に接触させられる電極と当該被覆導線との間の結合容量を介して容量結合を介して当該電極によって検出された信号を入力する抵抗素子を備え、当該抵抗素子に発生した前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する請求項1記載の信号生成装置。
【請求項4】
前記信号復元部は、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記被覆導線に装着された電流検出プローブから出力される信号を前記一次巻線に入力すると共に前記二次巻線から出力される前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する請求項1記載の信号生成装置。
【請求項5】
前記信号復元部は、前記被覆導線に装着された電流検出プローブから出力される信号を入力する抵抗素子を備え、当該抵抗素子に発生した前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する請求項1記載の信号生成装置。
【請求項6】
前記信号復元部と前記信号生成部との間に配設されて、前記復元信号を、当該復元信号のピークピーク電圧と同等のピークピーク電圧で、かつ低電圧期間の電圧がターゲット定電圧に規定されたシングルエンド信号に整形して出力する波形整形部を備えている請求項1から5のいずれかに記載の信号生成装置。
【請求項7】
前記信号復元部と前記信号生成部との間に配設されて、前記復元信号を、当該復元信号のピークピーク電圧と同等のピークピーク電圧で、かつ高電圧期間の電圧がターゲット定電圧に規定されたシングルエンド信号に整形して出力する波形整形部を備えている請求項1から5のいずれかに記載の信号生成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の信号生成装置と、
前記信号生成装置によって生成された前記符号特定用信号を前記ロジック信号の通信方式に準拠した通信方式の信号に変換して出力する信号変換装置とを備えている信号読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信路を介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号に基づいてロジック信号に対応する符号列を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置、およびそのような信号生成装置を備えた信号読取システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1には、CAN通信用のシリアルバス(車内LAN)を介して伝送されている各種CANフレーム(制御データ)を収集して記録可能に構成された車両データ収集装置(以下、単に「収集装置」ともいう)の発明が開示されている。この収集装置は、故障診断やメンテナンスなどを目的として外部機器を接続可能にシリアルバスに設けられているダイアグコネクタ(診断機器接続用コネクタ:以下、単に「コネクタ」ともいう)に接続可能に構成されている。また、この収集装置では、上記のコネクタに接続することでコネクタを介して供給される電源によって動作し、イグニッションスイッチの操作に連動してシリアルバスからのCANフレームの収集の開始/停止を自動的に実行する構成が採用されている。
【0003】
ところで、上記の収集装置の構成とは異なる構成(シリアルバスに設けられているコネクタを使用しない構成)で、シリアルバスからCANフレームを読み取る装置が望まれていたため、本願出願人は、下記の特許文献2に開示されている信号生成装置および信号読取システムを提案した。
【0004】
この信号生成装置は、通信路(CAN通信用のシリアルバスを構成する一対の被覆導線)を介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号における高電位期間および低電位期間の配列パターンであるロジックパターンに従って変化する各被覆導線間の電位差の変化を示す差分信号を検出する検出部と、信号生成部とを備えて、ロジック信号に対応する符号列を特定可能な符号特定用信号を生成する。
【0005】
この場合、検出部は、一次巻線および二次巻線を有するトランスとこの二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、一対の被覆導線における被覆部にそれぞれ接触させられる一対の電極とこの一対の被覆導線との間の結合容量を介してこの一対の電極によって検出された各信号を一次巻線の各端子に入力すると共に二次巻線の各端子から出力される出力信号に基づいて、上記の差分信号を検出する。信号生成部は、差分信号の立ち上がり時の電圧が第1基準値以上となったときを低電圧期間の開始とし、かつ差分信号の立ち下がり時の電圧が第2基準値以下となったときを高電圧期間の開始とする信号を符号特定用信号として生成する。
【0006】
この構成の信号生成装置では、一対の電極と検出部とを接続するシールドケーブルの配線容量を考慮しない構成(この配線容量の容量値が無視し得る程度に小さい構成)においては、被覆導線の電圧が結合容量で微分されて電極に伝送される構成のため、検出部から出力される差分信号Sdは、図16に示すように、一対の被覆導線の各電圧Va,Vbの差分電圧(Va-Vb)で表されるロジック信号Saの低電圧の状態(符号Cs「1」を示すレセッシブの状態)から高電圧の状態(符号Cs「0」を示すドミナントの状態)に移行するタイミング(ロジック信号Saの立ち上がりエッジ)でゼロボルトから最大正電圧まで短時間に立ち上がり、その後、徐々に低下してゼロボルトに戻り、ロジック信号Saの高電圧の状態から低電圧の状態に移行するタイミング(ロジック信号Saの立ち下がりエッジ)でゼロボルトから最大負電圧まで短時間に立ち下がり、その後、徐々に上昇してゼロボルトに戻るという波形(微分波形)の信号となっている。
【0007】
検出部の後段に配設された信号生成部は、一例として、正負の2つの作動電圧(例えば、±5V)で動作するヒステリシス付のコンパレータ(出力電圧がゼロボルトを基準として抵抗分圧されて非反転入力端子に印加され、差分信号Sdが反転入力端子に入力されるコンパレータ)で構成されている。この構成により、信号生成部は、図16に示すように、正側の出力電圧(正側の作動電圧に近い電圧)が抵抗分圧されて得られる第1基準値としての正側閾値Vr1と、負側の出力電圧(負側の作動電圧に近い電圧)が抵抗分圧されて得られる第2基準値としての負側閾値Vr2(|Vr2|=|Vr1|)とに基づいて、検出部からの差分信号Sdを二値化信号としての符号特定用信号Sfに変換して出力する。この場合、図16に示すように、符号特定用信号Sfは、高電圧期間がロジック信号Saの符号「1」の期間(レセッシブ)に対応し、低電圧期間がロジック信号Saの符号「0」の期間(ドミナント)に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-70133号公報(第4-11頁、第1-17図)
【文献】特開2019-146141号公報(第14-16頁、第1-3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、CAN通信用のシリアルバスでは、シリアルバスに接続されている複数の電子制御装置(ECU)から出力される信号同士が衝突する事態が常態において発生している。このため、ロジック信号Saの信号波形は、上記した図16に示すような、符号Cs「1」,「0」の各期間において、符号「1」,「0」に対応した電圧(低電圧または高電圧)で一定となる理想的な波形ではなく、図17に示すように、特に高電圧の期間においてパルス状やステップ状に上昇したり低下したりする波形となっている。このため、上記の本願出願人が提案した信号生成装置のように、検出部が、ロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形の差分信号Sdを生成し、かつヒステリシス付のコンパレータで構成される信号生成部が、この差分信号Sdを正側閾値Vr1および負側閾値Vr2と比較して符号特定用信号Sfを生成する構成では、図17に示すように、符号Cs「1」,「0」の切り替わりタイミング以外のときにおいても、ロジック信号Saの電圧がパルス状やステップ状に上昇したり低下したりする際の変化率が大きいタイミングで、差分信号Sdが正側閾値Vr1を上回ったり(例えば、同図中の時間t2,t4,t6のタイミング)、負側閾値Vr2を下回ったり(例えば、同図中の時間t1,t3,t5のタイミング)する状態が発生する。したがって、この信号生成装置には、図17に示すように、符号「0」に対応した低電圧期間において一時的に高電圧となる状態が発生する(つまり、誤った符号特定用信号Sfが生成される)という改善すべき課題が存在している。
【0010】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、結合容量を介してCAN通信用のシリアルバスのような通信路と接続される構成を採用しつつ、ロジック信号で示される符号を正確に特定し得る符号特定用信号を生成可能な信号生成装置および信号読取システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく本発明の信号生成装置は、被覆導線で構成される通信路を介して伝送されるロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、前記被覆導線から検出された前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより、当該ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を生成する信号復元部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えている。
【0012】
また、本発明の信号生成装置は、上記の信号生成装置において、前記信号復元部は、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記被覆導線における被覆部に接触させられる電極と当該被覆導線との間の結合容量を介して当該電極によって検出された信号を前記一次巻線に入力すると共に前記二次巻線から出力される前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する。ここで、この信号生成装置としては、以下の構成を採用することができる。例えば、通信路が一対の被覆導線で構成されている場合、一対の被覆導線で構成される通信路を介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記一対の被覆導線における被覆部にそれぞれ接触させられる一対の電極と当該一対の被覆導線との間の結合容量を介して当該一対の電極によって検出された各信号を前記一次巻線の各端子に入力すると共に前記二次巻線の各端子から出力される出力信号に基づいて前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形の検出信号を出力する検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。また、通信路が1本の被覆導線で構成されている場合、1本の被覆導線で構成される通信路を介して伝送されるロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記被覆導線における被覆部に接触させられる電極と当該被覆導線との間の結合容量を介して当該電極によって検出された信号を前記一次巻線に入力すると共に前記二次巻線から出力される出力信号に基づいて前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形の検出信号を出力する検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。
【0013】
また、本発明の信号生成装置は、上記の信号生成装置において、前記信号復元部は、前記被覆導線における被覆部に接触させられる電極と当該被覆導線との間の結合容量を介して容量結合を介して当該電極によって検出された信号を入力する抵抗素子を備え、当該抵抗素子に発生した前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する。ここで、この信号生成装置としては、以下の構成を採用することができる。例えば、通信路が一対の被覆導線で構成されている場合、一対の被覆導線で構成される通信路を介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、前記一対の被覆導線における被覆部にそれぞれ接触させられる一対の電極のうちの一方の電極と接続されて、前記一対の被覆導線のうちの当該一方の電極と容量結合する一方の被覆導線に伝送されている電圧信号の微分波形に相当する信号波形の第1電圧信号を発生させる第1抵抗素子、前記一対の電極のうちの他方の電極と接続されて、前記一対の被覆導線のうちの当該他方の電極と容量結合する他方の被覆導線に伝送されている電圧信号の微分波形に相当する信号波形の第2電圧信号を発生させる第2抵抗素子、および前記第1電圧信号および前記第2電圧信号の差分電圧に基づいて前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形の検出信号を出力する差動増幅部を備えている検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。また、通信路が1本の被覆導線で構成されている場合、1本の被覆導線で構成される通信路を介して伝送されるロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、前記被覆導線における被覆部に接触させられる電極と接続されて、当該電極と容量結合する当該被覆導線に伝送されている前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形の電圧信号を発生させる抵抗素子、および当該電圧信号を増幅して検出信号として出力する増幅部を備えている検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。
【0014】
また、本発明の信号生成装置は、上記の信号生成装置において、前記信号復元部は、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記被覆導線に装着された電流検出プローブから出力される信号を前記一次巻線に入力すると共に前記二次巻線から出力される前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する。ここで、この信号生成装置としては、以下の構成を採用することができる。例えば、通信路が一対の被覆導線で構成されている場合、一対の被覆導線で構成される通信路を介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記一対の被覆導線のうちの一方の被覆導線に装着された第1電流検出プローブから出力される電流信号および前記一対の被覆導線のうちの他方の被覆導線に装着された第2電流検出プローブから出力される電流信号を前記一次巻線の各端子に入力すると共に前記二次巻線の各端子から出力される出力信号に基づいて前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形の検出信号を出力する検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。また、通信路が1本の被覆導線で構成されている場合、1本の被覆導線で構成される通信路を介して伝送されるロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、一次巻線および二次巻線を有するトランスと当該二次巻線の各端子間に接続された抵抗とを備えて、前記被覆導線に装着された電流検出プローブから出力される電流信号を前記一次巻線に入力すると共に前記二次巻線から出力される出力信号に基づいて前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形の検出信号を出力する検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。
【0015】
また、本発明の信号生成装置は、上記の信号生成装置において、前記信号復元部は、前記被覆導線に装着された電流検出プローブから出力される信号を入力する抵抗素子を備え、当該抵抗素子に発生した前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分することにより前記復元信号を生成する。ここで、この信号生成装置としては、以下の構成を採用することができる。例えば、通信路が一対の被覆導線で構成されている場合、一対の被覆導線で構成される通信路を介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、前記一対の被覆導線のうちの一方の被覆導線に装着された第1電流検出プローブと接続されて、当該一方の被覆導線に伝送されている電圧信号の微分波形に相当する信号波形の第1電圧信号を発生させる第1抵抗素子、前記一対の被覆導線のうちの他方の被覆導線に装着された第2電流検出プローブと接続されて、当該他方の被覆導線に伝送されている電圧信号の微分波形に相当する信号波形の第2電圧信号を発生させる第2抵抗素子、および前記第1電圧信号および前記第2電圧信号の差分電圧に基づいて前記ロジック信号の微分波形に相当する信号波形の検出信号を出力する差動増幅部を備えている検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。また、通信路が1本の被覆導線で構成されている場合、1本の被覆導線で構成される通信路を介して伝送されるロジック信号に基づき、当該ロジック信号に対応する符号を特定可能な符号特定用信号を生成する信号生成装置であって、前記被覆導線に装着された電流検出プローブと接続されて、当該被覆導線に伝送されている電圧信号の微分波形に相当する信号波形の電圧信号を発生させる抵抗素子、および当該発生させられた電圧信号を増幅して検出信号として出力する増幅部を備えている検出部と、前記検出信号を積分することにより、前記ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を出力する積分部と、前記復元信号を閾値電圧と比較して二値化することにより前記符号特定用信号を生成する信号生成部とを備えて構成される。
【0016】
また、本発明の信号生成装置は、上記のいずれかの信号生成装置において、前記信号復元部と前記信号生成部との間に配設されて、前記復元信号を、当該復元信号のピークピーク電圧と同等のピークピーク電圧で、かつ低電圧期間の電圧がターゲット定電圧に規定されたシングルエンド信号に整形して出力する波形整形部を備えている。
【0017】
また、本発明の信号生成装置は、上記のいずれかの信号生成装置において、前記信号復元部と前記信号生成部との間に配設されて、前記復元信号を、当該復元信号のピークピーク電圧と同等のピークピーク電圧で、かつ高電圧期間の電圧がターゲット定電圧に規定されたシングルエンド信号に整形して出力する波形整形部を備えている。
【0018】
また、本発明の信号読取システムは、上記のいずれかに記載の信号生成装置と、前記信号生成装置によって生成された前記符号特定用信号を前記ロジック信号の通信方式に準拠した通信方式の信号に変換して出力する信号変換装置とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
上記の信号生成装置、およびこの信号生成装置のうちのいずれかを備えた信号読取システムでは、信号復元部が、被覆導線で構成される通信路に伝送されるロジック信号の微分波形に相当する信号波形を積分してロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を生成する。
【0020】
したがって、これらの信号生成装置およびこの信号読取システムによれば、ロジック信号の信号波形にパルス状やステップ状の電圧変化が生じている状態においても、この電圧変化の影響を殆ど受けることなく、信号生成部において復元信号を1つの閾値電圧で正しく二値化して、正しい符号特定用信号を生成することができる。
【0021】
上記の信号生成装置、およびこの信号生成装置を備えた信号読取システムによれば、波形整形部が、信号復元部から出力された復元信号の振幅(ピークピーク電圧)を維持しつつ、低電圧側の電圧レベル(低電圧期間の電圧)をターゲット定電圧に揃えて(つまり、シングルエンド信号に整形して)、新たな復元信号として信号生成部に出力するため、信号生成部ではターゲット定電圧よりも若干高い電圧を閾値電圧として規定することで、信号復元部から出力されている復元信号における低電圧側の電圧レベルが変動しているときでも、シングルエンド信号に整形された新たな復元信号を閾値電圧で確実に二値化して符号特定用信号を生成することができる。
【0022】
上記の信号生成装置、およびこの信号生成装置を備えた信号読取システムによれば、波形整形部が、信号復元部から出力された復元信号の振幅(ピークピーク電圧)を維持しつつ、高電圧側の電圧レベル(高電圧期間の電圧)をターゲット定電圧に揃えて(つまり、シングルエンド信号に整形して)、新たな復元信号として信号生成部に出力するため、信号生成部ではターゲット定電圧よりも若干低い電圧を閾値電圧として規定することで、信号復元部から出力されている復元信号における高電圧側の電圧レベルが変動しているときでも、シングルエンド信号に整形された新たな復元信号を閾値電圧で確実に二値化して符号特定用信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】信号読取システム1Aの構成を示す構成図である。
図2】信号生成装置2Aの構成を示す構成図である。
図3】符号Cs、ロジック信号Sa、電流信号I1、検出信号Sd、復元信号Sre、および符号特定用信号Sfの波形図である。
図4】信号生成装置2Bの構成を示す構成図である。
図5図4における差動増幅部23の他の構成を示す構成図である。
図6】信号読取システム1Bの構成を示す構成図である。
図7】信号生成装置2Cの構成を示す構成図である。
図8】信号生成装置2Dの構成を示す構成図である。
図9】信号生成装置2A(2B)を電流検出プローブPLc,PLdで被覆導線La,Lbに接続する信号読取システム1Cの構造を説明するための構成図である。
図10】信号生成装置2C(2D)を電流検出プローブPLcで被覆導線Lwに接続する信号読取システム1Dの構造を説明するための構成図である。
図11】信号生成装置2A,2B,2C,2Dの他の構成(波形整形部7を有する構成)を示す構成図である。
図12図11中の信号生成部6および波形整形部7の回路図である。
図13図11中の信号生成部6および波形整形部7の他の回路図である。
図14】信号生成装置2Aの他の構成を示す構成図である。
図15】信号生成装置2Bの他の構成を示す構成図である。
図16】背景技術を説明するための符号Cs、ロジック信号Sa、差分信号Sd、および符号特定用信号Sfの波形図である。
図17】背景技術の課題を説明するための符号Cs、ロジック信号Sa、差分信号Sd、および符号特定用信号Sfの他の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、信号生成装置および信号読取システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、「信号読取システム」の一例である信号読取システム1Aは、「信号生成装置」の一例である信号生成装置2Aを有して、一対の被覆導線La,Lbで構成される通信路SBを介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号(被覆導線La,Lbに伝送されている各電圧Va,Vbの差分で規定されるロジック信号Sa)を検出して、ロジック信号Saに対応する符号Cs(ロジック信号Saの電圧で示される「1」または「0」の符号。図3参照)を特定可能な符号特定用信号Sfを生成し(読み取り)、この符号特定用信号Sfを通信路SBのロジック信号Saと同じ通信プロトコルに準拠した送信信号Soに変換して、各種のCAN通信対応機器に出力(送信)することができるように構成されている。
【0026】
この信号生成装置2Aおよび信号読取システム1Aは、このロジック信号Saとして、「CAN(登録商標)プロトコル」、「CAN FD」、「FlexRay(登録商標)」などの各種通信プロトコルに準拠した各種の「2線差動電圧方式のロジック信号」や、「LVDS」による小振幅低消費電力通信が可能な各種通信プロトコルに準拠した各種の「2線差動電圧方式のロジック信号」を対象とすることができる。この場合、「CANプロトコル」および「CAN FD」の「CAN通信用のシリアルバス」では、「高電位側信号線(CANH)/低電位側信号線(CANL)」が「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」に相当し、「FlexRay通信用のシリアルバス」では、「正側信号線(BP)/負側信号線(BM)」が「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」に相当し、「LVDSによる通信を行うシリアルバス」では、「正論理側信号線/負論理側信号線」が「ロジック信号を伝送するための一対の被覆導線」に相当する。以下では、一例として、自動車に配設されている通信路SBとしてのCANバス(CAN通信用のシリアルバス。以下、CANバスSBともいう)に適用した例を挙げて説明する。
【0027】
信号読取システム1Aは、図1に示すように、信号生成装置2Aおよび信号変換装置3(「信号変換装置」の一例)を備えて構成されている。なお、CANバスSBを介してのロジック信号Saの伝送原理については公知のため、詳細な説明を省略するが、本例では、被覆導線Laが「CANH」に対応する信号線であり、被覆導線Lbが「CANL」に対応する信号線であるものとする。この構成により、各電圧Va,Vbの差分(Va-Vb)で規定されるロジック信号Saは、図3に示すように、低電圧となる期間では、符号Cs「1」を示すレセッシブの期間に対応し、高電圧となる期間では、符号Cs「0」を示すドミナントの期間に対応する。
【0028】
信号生成装置2Aは、一例として、図2に示すように、検出部4A、積分部5および信号生成部6を備えると共に、一対のプローブPLa,PLbを介して一対の被覆導線La,Lbに接続されて、符号特定用信号Sfを生成して出力する。
【0029】
一対のプローブPLa,PLbは、シールドケーブル(一例として、同軸ケーブル)を用いて、金属非接触型のプローブとして同一に構成されている。具体的には、プローブPLaは、対応する被覆導線Laに取り外し自在に接続される自由端側(自由端部)には、被覆導線Laの不図示の芯線と接続される(容量結合で接続される)電極部11aが配設され、また基端側(基端部)には、信号生成装置2Aの後述する入力端子部14,15のうちの対応する入力端子部14に接続される(固定的、または取り外し自在に接続される)不図示の接続コネクタが配設されて構成されている。また、プローブPLbは、対応する被覆導線Lbに取り外し自在に接続される自由端側(自由端部)には、被覆導線Lbの不図示の芯線と接続される(容量結合で接続される)電極部11bが配設され、また基端側(基端部)には、信号生成装置2Aの入力端子部14,15のうちの対応する入力端子部15に接続される(固定的、または取り外し自在に接続される)接続コネクタ(不図示)が配設されて構成されている。
【0030】
電極部11aは、図1,2に示すように、被覆導線Laに接続された状態において、被覆導線Laの不図示の絶縁被覆部(以下、単に「被覆部」ともいう)に接触(当接)して、被覆導線Laの不図示の芯線(導体自体(金属部))と容量結合する電極12aと、被覆導線Laの被覆部における電極12aの接触部位をこの電極12aを含めて覆うことで、電極12aの他の金属部(被覆導線Laの芯線以外の金属部)との容量結合を防止するためのシールド13aとを備えている。また、電極12aは、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線および入力端子部14の一の端子を介して検出部4Aの後述するトランス21における一次巻線21aの一方の端子TP1に接続されている。また、シールド13aは、このシールドケーブルのシールドおよび入力端子部14の他の端子を介して、信号生成装置2Aにおける一次側(トランス21の一次巻線21a側)の第1基準電位の部位(第1グランドG1)に接続されている。
【0031】
また、電極部11bは、図1,2に示すように、被覆導線Lbに接続された状態において、被覆導線Lbの不図示の絶縁被覆部(以下、単に「被覆部」ともいう)に接触(当接)して、被覆導線Lbの不図示の芯線(導体自体(金属部))と容量結合する電極12bと、被覆導線Lbの被覆部における電極12bの接触部位をこの電極12bを含めて覆うことで、電極12bの他の金属部(被覆導線Lbの芯線以外の金属部)との容量結合を防止するためのシールド13bとを備えている。また、電極12bは、プローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線および入力端子部15の一の端子を介して検出部4Aのトランス21における一次巻線21aの他方の端子TP2に接続されている。また、シールド13bは、このシールドケーブルのシールドおよび入力端子部15の他の端子を介して、第1グランドG1に接続されている。
【0032】
この構成により、被覆導線Laの芯線から、この芯線と電極12aとの間の結合容量、電極12a、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線、入力端子部14の一の端子、一次巻線21a、入力端子部15の一の端子、プローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線、電極12b、被覆導線Lbの芯線と電極12bとの間の結合容量を経由して被覆導線Lbの芯線に至る電流経路(一次側電流経路ともいう)が形成される。また、この一次側電流経路は、このように容量成分(結合容量)が直列に接続されて構成されていることから、この一次側電流経路には、被覆導線La,Lbの各電圧Va,Vbの差分(Va-Vb)で規定されるロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形(つまり、ロジック信号Saの信号波形が変化しない期間ではゼロに維持され、ロジック信号Saの信号波形に生じる立ち上がり部に同期して一時的に正側にスパイク状に増加した後に指数関数的に減少してゼロに戻り、一方、ロジック信号Saの信号波形に生じる立ち下がり部に同期して一時的に負側にスパイク状に増加した後に指数関数的に減少してゼロに戻る信号波形)の電流信号I1が図3に示す位相状態で流れる。
【0033】
検出部4Aは、積分部5と相俟って信号復元部8を構成する。この場合、信号復元部8は、被覆導線La,Lbから検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成する。検出部4Aは、図2に示すように、トランス21、抵抗22、差動増幅部23およびコンデンサ24を備えている。トランス21は、一次巻線21aおよび二次巻線21bを備えて、一次巻線21a側の回路と二次巻線21b側の回路とを電気的に絶縁するための絶縁トランスとして構成されている。また、トランス21は、一次巻線21aに流れる上記の電流信号I1(一次側電流信号)を予め規定された変流比(固定)で二次側電流信号I2に変換して、二次巻線21bを含む電流経路(二次側電流経路ともいう)に供給する。
【0034】
また、一次巻線21aの端子TP1は、上記したように入力端子部14の一の端子を介してプローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線(ひいては電極12a)に接続され、端子TP2は、上記したように入力端子部15の一の端子を介してプローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線(ひいては電極12b)に接続される。この構成により、被覆導線La,Lbの芯線との間の結合容量を介して各電極12a,12bによって検出された各信号は一次巻線21aの各端子TP1,TP2に入力されて、一次巻線21aを含む上記の一次側電流経路に電流信号I1が流れる。二次巻線21bは、センタータップを備えて構成されている。このセンタータップは、信号生成装置2Aにおける二次側(トランス21の二次巻線21b側)の第2基準電位の部位(第2グランドG2)に接続されている。コンデンサ24は、第1グランドG1と第2グランドG2との間に接続されて、両グランドG1,G2を直流的には分離しつつ、交流的には接続する。
【0035】
抵抗22は、二次巻線21bの各端子TP3,TP4間に接続されている。この構成により、抵抗22は、トランス21の二次巻線21bに上記の二次側電流経路を形成すると共に、この二次側電流経路に流れる二次側電流信号I2を電圧信号に変換する。この場合、二次巻線21bのセンタータップが第2グランドG2に接続されているため、この電圧信号は、第2グランドG2を基準として端子TP3に発生する(端子TP3から出力される)第1電圧信号Vc1(一例として、抵抗22で変換された上記の電圧信号の1/2の振幅で、かつこの電圧信号と同位相の信号)と、第2グランドG2を基準として端子TP4に発生する(端子TP4から出力される)第2電圧信号Vc2(一例として、抵抗22で変換された上記の電圧信号の1/2の振幅で、かつこの電圧信号と逆位相の信号)とに分離されて、後段の差動増幅部23に出力される。
【0036】
差動増幅部23は、一例として、演算増幅器23aおよび4つの抵抗23b~23eを備えている。演算増幅器23aの入力抵抗としての抵抗23b,23c(同一の抵抗値)のうちの抵抗23bは、一端が演算増幅器23aの反転入力端子に接続されると共に、他端が端子TP3に接続されている。また、抵抗23cは、一端が演算増幅器23aの非反転入力端子に接続されると共に、他端が端子TP4に接続されている。また、抵抗23dは、演算増幅器23aの出力端子と反転入力端子との間に接続されている。また、抵抗23eは、抵抗23dと同一の抵抗値に規定されて、一端が非反転入力端子に接続されると共に、他端が第2グランドG2に接続されている。この構成により、差動増幅部23は、端子TP3に生じる第1電圧信号Vc1と端子TP4に生じる第2電圧信号Vc2との差分電圧(Vc1-Vc2)を、抵抗23dの抵抗値を抵抗23bの抵抗値で除算して得られるゲインで反転増幅して、検出信号Sdとして出力する。また、演算増幅器23aは、図示はしないが、一例として、積分部5を構成する後述の演算増幅器5a、および信号生成部6を構成する後述のコンパレータ6aと同じ作動電圧Vcc,Vee(±5Vなどの正電圧および負電圧)で動作する。
【0037】
上記したように、検出部4Aに入力される電流信号I1はロジック信号Saの微分信号であることから、この電流信号I1に起因して発生する二次側電流信号I2、各電圧信号Vc1,Vc2、それらの差分電圧(Vc1-Vc2)、およびこの差分電圧(Vc1-Vc2)が増幅された検出信号Sdもまた、ロジック信号Saの微分信号を示す信号(ロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形の信号)である。
【0038】
積分部5は、例えば、図2に示すような演算増幅器5a、抵抗5bおよびコンデンサ5cで構成された公知の積分回路で構成されている。この積分部5は、ロジック信号Saの微分信号を示す検出信号Sdを積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して出力する。また、積分部5を構成し得る積分回路は、この積分回路に限定されるものではなく、後述するように、抵抗とコンデンサで構成された公知のローパスフィルタ(RCフィルタ)で構成することもできる。
【0039】
この場合、電流信号I1の位相(つまり、ロジック信号Saの位相)に対する二次側電流信号I2の位相や、各電圧信号Vc1,Vc2(それらの差分電圧(Vc1-Vc2))の位相や、検出信号Sdの位相は、トランス21の一次巻線21aに対する二次巻線21bの極性や、差動増幅部23の構成(反転増幅であるか非反転増幅であるか)や、積分部5の構成(積分信号を、被積分信号の極性に対して同極性で出力するのか逆極性で出力するのか)に応じて変化する。したがって、ロジック信号Saの位相に対する復元信号Sreの位相も、上記したトランス21や差動増幅部23や積分部5の構成に応じて、同位相状態とすることもできるし、逆位相状態とすることもできる。本例では理解の容易のため、検出信号Sdは、ロジック信号Saの位相に対して図3に示す位相状態で出力され、図2に示す構成の積分部5は、この検出信号Sdを積分して、図3に示す位相状態(ロジック信号Saと同位相の状態)で復元信号Sreを生成して出力するものとする。
【0040】
信号生成部6は、例えば、図2に示すようにコンパレータ6aを備えて構成されて、復元信号Sreを閾値電圧Vthと比較して二値化することにより、符号特定用信号Sfを図3に示すようにロジック信号Saと同位相となる状態(ロジック信号Saの低電圧の期間では、低電圧となり、ロジック信号Saの高電圧の期間では、高電圧となる状態)で生成して出力する。また、復元信号Sreについては、図3に示すように、低電圧側の電圧レベルの方が、高電圧側の電圧レベルと比べて安定していることから、閾値電圧Vthはこの低電圧側の電圧レベルよりも若干高い電圧に規定されている。
【0041】
信号変換装置3は、信号生成装置2Aから出力される符号特定用信号Sfを、信号読取システム1Aに接続される各種のCAN通信対応機器の通信プロトコル(つまり、通信路SBのロジック信号Saと同じ通信プロトコル。本例では、CANバスSBの通信プロトコル)に準拠した送信信号Soに変換して、各種のCAN通信対応機器に出力(送信)する。例えば、信号変換装置3は、種々のCANトランシーバで構成することができる。
【0042】
次に、信号読取システム1Aの使用例、およびその際の信号読取システム1Aの動作について、図面を参照して説明する。
【0043】
まず、図1,2に示すように、CANバスSBにおける被覆導線La,Lbの被覆部に各電極12a,12bが接触(当接)するように電極部11a,11bを対応する被覆導線La,Lbにそれぞれ装着すると共に、送信信号Soを出力すべきCAN通信対応機器を信号変換装置3に接続する。
【0044】
この場合、本例の信号読取システム1Aでは、被覆導線La,Lb自体を加工する(絶縁被覆を剥がす)ことなく、電極部11a,11bを装着するだけでCANバスSBからロジック信号Saを読み取ることができるため、CANバスSBにダイアグコネクタが配設されていない場合においても使用することができる。また、ダイアグコネクタが配設されていたとしても、CANバスSBに対する接続場所(電極部11a,11bの各装着場所)がダイアグコネクタの配設場所に限定されずに、被覆導線La,Lbの長手方向における任意の場所に接続する(電極部11a,11bを装着する)ことが可能となっている。
【0045】
この状態において、信号生成装置2Aでは、検出部4Aを構成するトランス21の一次巻線21aを含む上記の一次側電流経路に、被覆導線La,Lbの各電圧Va,Vbの差分(Va-Vb)で規定されるロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形の電流信号I1が流れる。検出部4Aは、この電流信号I1を、ロジック信号Saの微分信号を示す信号(ロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形の信号)である検出信号Sdに変換して出力する。
【0046】
また、積分部5が、この検出信号Sdを積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して出力する。また、信号生成部6が、復元信号Sreを閾値電圧Vthと比較して二値化することにより、符号特定用信号Sfを生成して出力する。
【0047】
次いで、信号変換装置3が、この符号特定用信号Sfを送信信号Soに変換して、接続されているCAN通信対応機器に出力(送信)する。
【0048】
このように、この信号生成装置2Aおよびこの信号読取システム1Aでは、金属非接触型のプローブPLa,PLbを介して被覆導線La,Lbに接続される構成(容量結合で接続される構成)において、検出部4Aが、被覆導線La,Lbで構成されるCANバスSBに伝送されるロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形の電流信号I1(ロジック信号Saの微分信号である電流信号I1)を検出すると共に、この電流信号I1をロジック信号Saの微分信号である検出信号Sdに変換して出力し、積分部5が検出信号Sdを積分してロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成する。
【0049】
ところで、この信号生成装置2Aおよびこの信号読取システム1Aのように、ロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形の信号(説明のため、以下では微分信号ともいう。本例では、電流信号I1)を検出する構成では、図3に示すように、ロジック信号Saの信号波形には、符号Csの切り替わりタイミング(符号「1」から符号「0」へ、また符号「0」から符号「1」への切り替わりタイミング。以下では、区別のため、このタイミングを特定タイミングともいう)以外のタイミングで、信号同士の衝突に起因してロジック信号Saの電圧がパルス状やステップ状に上昇したり低下したりする事態が発生する。この場合、ロジック信号Saの信号波形を微分した電流信号I1、さらには電流信号I1が電圧信号に変換された信号である検出信号Sdには、図3に示すように、このタイミング(上記の特定タイミング以外のタイミング)でスパイク状の信号が発生する。このスパイク状の信号のピーク値は、ロジック信号Saの電圧の変化量が小さいときであっても、単位時間当たりの変化量が大きいときには大きくなる。
【0050】
このため、背景技術で説明した本願出願人の提案の信号生成装置(上記の特許文献2を参照して説明した信号生成装置)のように、この検出信号Sdに相当する信号(差分信号Sd)を閾値(正側閾値Vr1および負側閾値Vr2)で直接比較して符号特定用信号Sfを生成する構成では、誤った符号特定用信号が生成されるという上記した課題が生じる。これに対して、この信号生成装置2Aおよびこの信号読取システム1Aによれば、積分部5が検出信号Sdを積分してロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する構成のため、ロジック信号Saの信号波形にパルス状やステップ状の電圧変化が生じている状態においても、この電圧変化の影響を殆ど受けることなく、信号生成部6において復元信号Sreを1つの閾値電圧Vthで正しく二値化して、正しい符号特定用信号Sfを生成することができる。
【0051】
なお、検出部4Aの構成は、上記した構成に限定されるものではなく、種々の構成を採用することができる。例えば、図示はしないが、上記の特許文献2の図4に開示されている構成のように、上記のトランス21(二次巻線21bにセンタータップを備えたトランス)に代えて、二次巻線にセンタータップを備えていない二次巻線を有するトランスを使用し、かつ差動増幅部23に代えて、非差動方式の増幅部を使用する構成を採用することもできる。
【0052】
また、上記の検出部4Aでは、トランス21の一次巻線21aの一方の端子TP1を被覆導線Laと容量結合する電極12aにプローブPLaを介して接続し、かつ一次巻線21aの他方の端子TP2を被覆導線Lbと容量結合する電極12bにプローブPLbを介して接続することで、被覆導線Laから一次巻線21aを経由して被覆導線Lbに至る一次側電流経路(容量成分(結合容量)が直列に接続されて構成された電流経路)を形成して、ロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形の電流信号I1を検出する構成を採用しているが、ロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形の信号を検出する構成は、この構成に限定されない。
【0053】
例えば、図示はしないが、上記の特許文献2の図5に開示されている構成のように、信号生成装置の一次側(トランスの一次巻線側)において、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線を一の抵抗を介して第1グランドG1に接続し、またプローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線を他の抵抗(一の抵抗と同じ抵抗値)を介して第1グランドG1に接続することで、被覆導線Laから、結合容量、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線および一の抵抗を経由して第1グランドG1に至る1つの電流経路(以下では、説明のため、第1電流経路ともいう)と、被覆導線Lbから、結合容量、プローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線および他の抵抗を経由して第1グランドG1に至る他の1つの電流経路(以下では、説明のため、第2電流経路ともいう)の2つの電流経路を形成する構成を採用することもできる。
【0054】
この構成の検出部では、第1電流経路には被覆導線Laの電圧Vaの信号波形を微分した信号波形の電流信号(以下では、説明のため、第1電流信号ともいう)が流れ、一の抵抗がこの第1電流信号を電圧信号(以下では、説明のため、第1電圧信号ともいう)に変換して出力する。また、第2電流経路には被覆導線Lbの電圧Vbの信号波形を微分した信号波形の電流信号(以下では、説明のため、第2電流信号ともいう)が流れ、他の抵抗がこの第2電流信号を電圧信号(以下では、説明のため、第2電圧信号ともいう)に変換して出力する。また、この検出部では、入力インピーダンスの極めて高い構成の差動増幅器(トランスを含む差動増幅器)が、第1電圧信号および第2電圧信号を入力してそれらの差分電圧を増幅することにより、検出信号Sdを生成する。
【0055】
したがって、被覆導線La,Lbの各電圧Va,Vbの信号波形を個別に微分した信号波形の電流信号を検出する構成の検出部4Aを採用した信号生成装置およびこの信号読取システムにおいても、上記した信号生成装置2Aおよび信号読取システム1Aと同等の効果を奏することができる。
【0056】
また、トランス(絶縁トランス)を有する構成の検出部について説明したが、図4に示す信号生成装置2Bのように、トランスを使用しない検出部4Bを採用することもできる。以下、信号生成装置2Bについて説明する。なお、信号生成装置2Aと同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0057】
この信号生成装置2Bは、一例として、図4に示すように、検出部4B、積分部5および信号生成部6を備えると共に、一対のプローブPLa,PLbを介して一対の被覆導線La,Lbに接続されて、符号特定用信号Sfを生成して出力する。
【0058】
検出部4Bは、積分部5と相俟って信号復元部8を構成する。この場合、信号復元部8は、被覆導線La,Lbから検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成する。検出部4Bは、2つの抵抗25,26、および差動増幅部23を備えている。第1抵抗素子としての抵抗25は、一端が、入力端子部14、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線を介して電極12aに接続され、他端が、第1グランドG1(この例では、第1グランドG1と第2グランドG2の区別がないため、以下では、グランドGともいう)に接続されている。第2抵抗素子としての抵抗26は、抵抗値が抵抗25と同一に規定されて、一端が、入力端子部15、プローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線を介して電極12bに接続され、他端が、グランドGに接続されている。この構成により、この検出部4Bでは、被覆導線Laから、結合容量、電極12a、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線および抵抗25を経由してグランドGに至る1つの第1電流経路と、被覆導線Lbから、結合容量、電極12b、プローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線および抵抗26を経由してグランドGに至る第2電流経路の2つの電流経路が形成される。
【0059】
また、第1電流経路には、被覆導線Laの電圧Vaの信号波形を微分した信号波形の第1電流信号I1aが流れ、抵抗25がこの第1電流信号I1aを第1電圧信号Vc1に変換して出力する。また、第2電流経路には、被覆導線Lbの電圧Vbの信号波形を微分した信号波形の第2電流信号I1bが流れ、抵抗26がこの第2電流信号I1bを第2電圧信号Vc2に変換して出力する。被覆導線Laの電圧Vaと被覆導線Lbの電圧Vbは、互いの位相が反転した電圧信号であることから、第1電圧信号Vc1および第2電圧信号Vc2も互いの位相が反転した電圧信号となっている。
【0060】
差動増幅部23は、信号生成装置2Aの検出部4Aでの構成(図2の構成)に加えて、2つの演算増幅器23f,23gおよび3つの抵抗23h,23i,23jを備えている。この場合、演算増幅器23fでは、その非反転入力端子が抵抗25の一端に接続され、その出力端子と反転入力端子との間に抵抗23hが接続され、その出力端子は抵抗23bに接続されている。また、演算増幅器23gでは、その非反転入力端子が抵抗26の一端に接続され、その出力端子と反転入力端子との間に抵抗23i(抵抗23hと同じ抵抗値)が接続され、その出力端子は抵抗23cに接続されている。また、演算増幅器23f,23gの反転入力端子同士は、1つの抵抗23jを介して接続されている。本例の差動増幅部23は、以上の構成により、計装アンプとして構成されて、第1電圧信号Vc1および第2電圧信号Vc2を高入力インピーダンスで入力すると共に、その差分(Vc1-Vc2)を増幅して検出信号Sd(ロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形の信号)として出力する。
【0061】
したがって、このようにトランスを有しない構成の検出部4Bを備えた信号生成装置2B、およびこの信号生成装置2Bを備えた構成の信号読取システム1Aにおいても、上記した信号生成装置2A、およびこの信号生成装置2Aを備えた信号読取システム1Aと同様にして、積分部5が検出信号Sdを積分してロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する構成となるため、上記した信号生成装置2A、およびこの信号生成装置2Aを備えた信号読取システム1Aと同等の効果を奏することができる。
【0062】
なお、上記の検出部4Bでは、差動増幅部23を計装アンプとする構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、演算増幅器23f,23gの反転入力端子同士を1つの抵抗23jを介して直接接続する構成(図4の構成)に代えて、図5に示すように、演算増幅器23f,23gの各反転入力端子を個別の抵抗23k,23mを介してグランドGに接続する構成を採用することもできる。さらに、図示はしないが、各抵抗23k,23mに個別にコンデンサを直列に接続して、演算増幅器23f,23gの各反転入力端子をRC直列回路でグランドGに接続する構成を採用することもできる。これらの構成を採用した場合においても、図4に示す構成の検出部4Bを備えた信号生成装置2B、およびこの信号生成装置2Bを備えた構成の信号読取システム1Aと同様の効果を奏することができる。
【0063】
また、2つの被覆導線La,Lbで構成されるCANバスSBに伝送される2線差動電圧方式のロジック信号Saを読み取る各信号生成装置2A,2B、およびこれらのうちのいずれかを備えた信号読取システム1Aについて説明したが、1本の被覆導線で構成される通信路を介して伝送されるロジック信号を読み取って符号特定用信号Sfを生成する信号生成装置、およびこの信号生成装置を備えた信号読取システムにおいても、金属非接触型のプローブを介して1つの被覆導線に接続される構成(容量結合で接続される構成)を採用しつつ、検出部が、この被覆導線に伝送されるロジック信号の信号波形を微分した信号波形の信号を検出し、積分部が、この信号(またはこの信号の増幅信号)を積分して、ロジック信号の信号波形と同等の信号波形の復元信号を生成する構成を採用することができる。以下、この信号生成装置および信号読取システムについて、図6,7,8を参照して説明する。なお、上記した信号生成装置2Aおよび信号生成装置2Bのうちのいずれか1つの装置、並びにこの装置を備えた信号読取システム1Aと同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0064】
図6に示すように、「信号読取システム」の一例である信号読取システム1Bは、「信号生成装置」の一例である信号生成装置2Cおよび信号生成装置2Dのうちのいずれか1つの信号生成装置を有して、1本の被覆導線Lwで構成される通信路SBを介して伝送される単線電圧駆動方式(単線方式)のロジック信号(被覆導線Lwに伝送されている電圧Vwで規定されるロジック信号Sa)を検出して、ロジック信号Saに対応する符号Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成し(読み取り)、この符号特定用信号Sfを通信路SBのロジック信号Saと同じ通信プロトコルに準拠した送信信号Soに変換して、各種のCAN通信対応機器に出力(送信)することができるように構成されている。この信号生成装置2C,2Dは、「CANプロトコル」、「CAN FD」、「FlexRay(登録商標)」などの各種通信プロトコルに準拠した各種の「単線電圧駆動方式のロジック信号」や、「LVDS」による小振幅低消費電力通信が可能な各種通信プロトコルに準拠した各種の「単線電圧駆動方式のロジック信号」を対象とすることができる。
【0065】
まず、図6に示すように、信号生成装置2Cおよび信号変換装置3を備えて構成された信号読取システム1Bについて説明する。なお、信号読取システム1Aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0066】
信号生成装置2Cは、一例として、図7に示すように、検出部4C、積分部5および信号生成部6を備えると共に、1本のプローブPLを介して被覆導線Lwに接続されて、符号特定用信号Sfを生成して出力する。なお、プローブPLは、上記したプローブPLa,PLbと同じ構成であるため、一例としてプローブPLaと同一であるものとして、プローブPLaの構成と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0067】
検出部4Cは、積分部5と相俟って信号復元部8を構成する。この場合、信号復元部8は、被覆導線Lwから検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成する。検出部4Cは、トランス31、1つの抵抗素子としての抵抗32、増幅部としての非差動増幅部33およびコンデンサ34を備えている。
【0068】
トランス31は、一次巻線31aおよび二次巻線31bを備えて、一次巻線31a側の回路と二次巻線31b側の回路とを電気的に絶縁するための絶縁トランスとして構成されている。具体的には、一次巻線31aの一方の端子TP1は、入力端子部14の一の端子を介してプローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線(ひいては電極12a)に接続され、一次巻線31aの他方の端子TP2は、信号生成装置2Cにおける一次側(トランス31の一次巻線31a側)の第1基準電位の部位(第1グランドG1)に接続されている。また、第1グランドG1には、入力端子部14の他の端子も接続されている。この構成により、被覆導線Lwの芯線から、この芯線と電極12aとの間の結合容量、電極12a、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線、入力端子部14の一の端子、一次巻線31aを経由して第1グランドG1に至る1つの電流経路(一次側電流経路)が形成される。
【0069】
また、二次巻線31bの一方の端子TP3は、抵抗32の一端に接続され、二次巻線31bの他方の端子TP4は、信号生成装置2Cにおける二次側(トランス31の二次巻線31b側)の第2基準電位の部位(第2グランドG2)に接続されている。また、第2グランドG2には、抵抗32の他端が接続されている。この構成により、二次巻線31bから、二次巻線31bの一方の端子TP3および抵抗32を経由して、二次巻線31bの他方の端子TP4(第2グランドG2)に至る他の1つの電流経路(二次側電流経路)が形成される。コンデンサ34は、第1グランドG1と第2グランドG2との間に接続されて、両グランドG1,G2を直流的には分離しつつ、交流的には接続する。
【0070】
また、一次巻線31aを含む一次側電流経路には、被覆導線Lwの電圧Vwの信号波形を微分した信号波形の電流信号I1が図3に示す位相状態で流れる。トランス31は、一次巻線31aに流れるこの電流信号I1(一次側電流信号)を予め規定された変流比(固定)で二次側電流信号I2に変換して、二次巻線31bおよび抵抗32で構成される二次側電流経路に供給する。抵抗32は、この二次側電流信号I2を電圧信号Vc1に変換して出力する。また、トランス31は、一例として、この電圧信号Vc1が図3に示す電流信号I1の位相状態と同じ位相状態で出力されるように、一次巻線31aに対する二次巻線31bの極性が規定されているものとする。
【0071】
非差動増幅部33は、一例として、1つの演算増幅器33aおよび2つの抵抗33b,33cで構成された非反転増幅回路と、この非反転増幅回路の出力信号を反転して検出信号Sdとして出力する反転増幅回路33dとを備えている。この場合、非反転増幅回路では、演算増幅器33aの非反転入力端子が抵抗32の一端に接続され、演算増幅器33aの出力端子と反転入力端子との間に抵抗33bが接続され、演算増幅器33aの反転入力端子は抵抗33cを介して第2グランドG2に接続されている。本例の非差動増幅部33は、以上の構成により、全体として反転増幅アンプとして構成されて、電圧信号Vc1を高インピーダンスで入力すると共に、位相を反転させて増幅して、図3に示す位相状態で検出信号Sd(電圧Vwの微分波形(ロジック信号Saの微分波形)に相当する信号波形の信号)として出力する。なお、非差動増幅部33は、例えば反転増幅回路33dを省いて、反転増幅アンプとして構成することもできる。
【0072】
したがって、この信号生成装置2C、およびこの信号生成装置2Cを備えた信号読取システム1Bにおいても、積分部5が検出信号Sdを積分して電圧Vwの信号波形(ロジック信号Saの信号波形)と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する構成となるため、上記した信号生成装置2B、およびこの信号生成装置2Bを備えた信号読取システム1Aと同等の効果を奏することができる。
【0073】
次に、図6に示すように、信号生成装置2Dおよび信号変換装置3を備えて構成された信号読取システム1Bについて説明する。なお、信号生成装置2C、および信号生成装置2Cを備えた信号読取システム1Bと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0074】
信号生成装置2Dは、一例として、図8に示すように、検出部4D、積分部5および信号生成部6を備えると共に、1本のプローブPLを介して被覆導線Lwに接続されて、符号特定用信号Sfを生成して出力する。なお、プローブPLは、上記したプローブPLa,PLbと同じ構成であるため、一例としてプローブPLaと同一であるものとして、プローブPLaの構成と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、検出部4Dの構成についても、検出部4Cの構成と同一となる構成があるため、同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0075】
検出部4Dは、積分部5と相俟って信号復元部8を構成する。この場合、信号復元部8は、被覆導線Lwから検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成する。検出部4Dは、抵抗32、および増幅部としての非差動増幅部33を備えている。この検出部4Dでは、抵抗32は、その一端が入力端子部14の一の端子を介してプローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線に接続され、その他端がグランドGに接続されている。また、抵抗32は、その一端は非差動増幅部33を構成する演算増幅器33aの非反転入力端子に接続されている。また、入力端子部14の他の端子もグランドGに接続されている。
【0076】
また、この検出部4Dでは、被覆導線Lwから、結合容量、電極12a、プローブPLを構成するシールドケーブルの芯線および抵抗32を経由してグランドGに至る1つの電流経路が形成される。この電流経路には、被覆導線Lwの電圧Vwの信号波形を微分した信号波形の電流信号I1が図3に示す位相状態で流れ、抵抗32がこの電流信号I1を電圧信号Vc1に変換して出力する。
【0077】
非差動増幅部33は、一例として、1つの演算増幅器33aおよび2つの抵抗33b,33cで構成された非反転増幅回路と、反転増幅回路33dとを備えて、上記した検出部4Cの非差動増幅部33と同一に構成されて、第1電圧信号Vc1を高インピーダンスで入力すると共に、位相を反転させて増幅して、図3に示す位相状態で検出信号Sd(ロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形の信号)として出力する。なお、非差動増幅部33は、例えば反転増幅回路33dを省いて、反転増幅アンプとして構成することもできる。
【0078】
したがって、この信号生成装置2D、およびこの信号生成装置2Dを備えた信号読取システム1Bにおいても、積分部5が検出信号Sdを積分して電圧Vwの信号波形(ロジック信号Saの信号波形)と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する構成となるため、上記した信号生成装置2B、およびこの信号生成装置2Bを備えた信号読取システム1Aと同等の効果を奏することができる。
【0079】
また、上記の各信号読取システム1A,1Bでは、被覆導線La,Lbの金属部(芯線)と容量結合する電極部11a,11bを備えて電圧検出プローブとして機能する上記のプローブPLa,PLbを信号生成装置2A,2B,2C,2Dに接続する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。
【0080】
例えば、プローブPLa,PLbに代えて、図9に示すように、第1電流検出プローブPLcおよび第2電流検出プローブPLd(以下、電流検出プローブPLc,PLdともいう。被覆導線La,Lbを切断することなく、被覆導線La,Lbに装着し得るクランプ式の電流検出プローブが好ましい)を信号生成装置2A(2B)に接続したり、図10に示すように、電流検出プローブPLc,PLdのうちのいずれか1つ(図10では一例として、電流検出プローブPLc)を信号生成装置2C(2D)に接続したりして、符号特定用信号Sfを生成する構成を採用することもできる。なお、信号生成装置2A(2B,2C,2D)については、既に説明したため、説明を省略する。
【0081】
この電流検出プローブPLc,PLdは、一例として、分割可能に構成されて被覆導線La,Lbのうちの対応する被覆導線を内部に挿通可能な(被覆導線をクランプ可能な)磁気コア61と、磁気コア61に巻線を巻き付けて構成されたコイル62とを有して構成された電流センサ部を備えて、同一に構成されている。この電流検出プローブPLc,PLdは、各電流センサ部で対応する被覆導線(電流検出プローブPLcでは被覆導線La、電流検出プローブPLdでは被覆導線Lb)をクランプした状態において、対応する被覆導線を流れている電流(被覆導線Laや被覆導線Lwを流れている電流Iaと、被覆導線Lbを流れている電流Ib)を検出することにより、対応する被覆導線に伝送されている信号の微分波形に相当する信号波形の電流信号Ii(電圧Va,Vwについての電流信号Iia、電圧Vbについての電流信号Iib)を、シールドケーブル(一例として、同軸ケーブル)を介して信号生成装置2A(2B,2C,2D)に出力する。
【0082】
この電流検出プローブPLc,PLdでは、各磁気コア61は、CANバスSBを構成する被覆導線La,Lb(通常状態において、互いに撚り合わされている被覆導線La,Lb)を部分的に解いて、この解いた被覆導線La,Lbにクランプするように取り付けられる。ただし、解くことができる範囲は狭いことから、断面(周方向と直交する平面での断面)が小さく、これに伴い外径も小さいコア材を磁気コア61として使用せざるを得ない。また、これにより、コイル62のターン数も少なくせざるを得ない。
【0083】
したがって、この構成の電流検出プローブPLc,PLdを使用した信号生成装置2Aでは、図示はしないが、電流検出プローブPLc,PLdからの電流信号Iia,Iibが一次巻線21aの各端子TP1,TP2に入力されることから、一次巻線21aを含む上記の一次側電流経路には、上記した電流信号I1と同等の信号波形(ロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形)の電流信号が流れる。また、電流検出プローブPLcを使用した信号生成装置2Cでは、図示はしないが、電流検出プローブPLcからの電流信号Iiaが一次巻線21aの端子TP1に入力されることから、一次巻線21aを含む上記の一次側電流経路には、上記した電流信号I1と同等の信号波形(ロジック信号Saの信号波形を微分した信号波形)の電流信号が流れる。
【0084】
また、電流検出プローブPLc,PLdを使用した信号生成装置2Bでは、図示はしないが、電流検出プローブPLcからの電流信号Iia(上記した第1電流信号I1aと同等の信号波形)が抵抗25を含む第1電流経路(つまり、電流検出プローブPLc側の電流経路)に流れると共に、電流検出プローブPLdからの電流信号Iib(上記した第2電流信号I1bと同等の信号波形)が抵抗26を含む第2電流経路(つまり、電流検出プローブPLd側の電流経路)に流れる。また、電流検出プローブPLcを使用した信号生成装置2Dでは、図示はしないが、電流検出プローブPLcからの電流信号Iia(上記した電流信号I1と同等の信号波形)が抵抗32を含む電流経路に流れる。
【0085】
これにより、信号生成装置2A(2B,2C,2D)では、電流検出プローブPLc,PLdが接続されている構成においても、プローブPLa,PLbが接続されている構成と同様にして、検出部4A(4B,4C,4D)が上記の検出信号Sdを出力し、積分部5がこの検出信号Sdを積分して、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して出力し、信号生成部6がこの復元信号Sreを閾値電圧Vthと比較して二値化することにより、符号特定用信号Sfを生成して出力することができる(図3参照)。
【0086】
また、信号生成部6では、上記したように、復元信号Sreにおける低電圧側の電圧レベルおよび高電圧側の電圧レベルのうちのより安定している電圧レベル(上記の例では、低電圧側の電圧レベル)を基準として規定された閾値電圧Vthで、復元信号Sreを二値化して符号特定用信号Sfを生成する構成を採用しているが、ロジック信号Saの周波数よりも低い周波数のノイズ(例えば、商用周波数と同等の周波数のノイズ)が復元信号Sreに重畳することがある。この場合には、安定しているとした上記の電圧レベルもこのノイズの影響を受けて変動するため、信号生成部6では、一定の閾値電圧Vthに基づく復元信号Sreの二値化を正確に行えない事態が生じることがある。
【0087】
このような場合においても、信号生成部6が一定の閾値電圧Vthに基づいて、復元信号Sreの二値化を正確に実行し得るように、上記の特許文献2において出願人が開示している種々の波形整形部(以下では、波形整形部7という)を、図11に示すように、積分部5と信号生成部6との間に配置(介装)する構成を採用することもできる。この構成は、上記した信号生成装置2A,2B,2C,2Dのいずれにおいても採用することができる。
【0088】
以下では、上記の特許文献2において開示された波形整形部のうちの最も簡易な構成の波形整形部(コンデンサと抵抗とダイオードとで構成された波形整形部)を使用した例を挙げて、具体的に説明する。
【0089】
まず、復元信号Sreにおける低電圧側の電圧レベルを基準として信号生成部6での閾値電圧Vthを規定する構成では、復元信号Sreにおける低電圧側の電圧レベルを一定にする(予め規定された定電圧(以下、ターゲット定電圧Vtgともいう)で安定化させる)必要がある。この場合、波形整形部7は、図12に示すように、復元信号Sreが入力される入力端子7aと安定化させた新たな復元信号Sre1を出力する出力端子7bとの間に接続されたコンデンサ7cと、一端が出力端子7bに接続されると共に他端にターゲット定電圧Vtgが印加された抵抗7dと、カソード端子が出力端子7bに接続されると共にアノード端子にターゲット定電圧Vtgが印加されたダイオード7eとを備えて構成される。この構成の波形整形部7は、ダイオード7eの順方向降下電圧を無視し得るものとした場合には、入力される復元信号Sreの振幅(ピークピーク電圧)を維持しつつ、低電圧側の電圧レベル(低電圧期間の電圧)をターゲット定電圧Vtgに揃えて(つまり、シングルエンド信号に整形して)、復元信号Sre1として出力する。
【0090】
したがって、波形整形部7の後段の信号生成部6では、ターゲット定電圧Vtgよりも若干高い電圧を閾値電圧Vthとして規定することで、復元信号Sreにおける低電圧側の電圧レベルが変動しているときでも、復元信号Sreを閾値電圧Vthで確実に二値化して符号特定用信号Sfを生成することが可能となる。
【0091】
次に、例えば、信号生成装置2A,2B,2C,2Dにおいて復元信号Sreが、図3に示す位相状態に対して反転した位相で出力されている場合について説明する。この場合には、復元信号Sreにおける高電圧側の電圧レベルを基準として信号生成部6での閾値電圧Vthを規定する。この構成では、復元信号Sreにおける高電圧側の電圧レベルを一定にする(ターゲット定電圧Vtgで安定化させる)必要がある。この場合、波形整形部7は、図13に示すように、コンデンサ7cおよび抵抗7dについては図12に示す構成と同一とする。一方、ダイオード7eについては、図12に示す構成とは異なり、アノード端子が出力端子7bに接続され、カソード端子にターゲット定電圧Vtgが印加される構成とする。この構成の波形整形部7は、入力される復元信号Sreの振幅を維持しつつ、高電圧側の電圧レベルをターゲット定電圧Vtgに揃えて、復元信号Sre1として出力する。
【0092】
したがって、波形整形部7の後段の信号生成部6では、ターゲット定電圧Vtgよりも若干低い電圧を閾値電圧Vthとして規定することで、復元信号Sreにおける高電圧側の電圧レベルが変動しているときでも、復元信号Sreを閾値電圧Vthで確実に二値化して符号特定用信号Sfを生成することが可能となる。
【0093】
以上のようにして、波形整形部7は、復元信号Sreにおける低電圧側および高電圧側のうちの所望の電圧側の電圧レベル(信号生成部6において閾値電圧Vthと比較される電圧側の電位)を一定のターゲット定電圧Vtgに揃える機能、言い換えればターゲット定電圧Vtgに固定する機能を有しているため、「基準電位固定回路」とも称呼することもできる。また、この波形整形部7を備えた信号生成装置2A,2B,2C,2D、および信号読取システム1A,1B,1C,1Dによれば、上記のようにして、信号生成部6において復元信号Sreを閾値電圧Vthで確実に二値化して符号特定用信号Sfを生成することができる。
【0094】
なお、信号復元部8の構成は、上記の構成に限定されず、各種構成を採用することができる。例えば、上記の信号生成装置2A~2Dでは、検出部4A~4Dの後段に積分部5を配置した例について説明したが、積分部5の配置位置は、これに限らない。例えば、信号生成装置2A,2Bでは、電極部11a(または電流検出プローブPLc(コイル62))から信号生成部6の間の任意の位置、および電極部11b(または電流検出プローブPLd(コイル62))から信号生成部6の間の任意の位置に配置することができる。また、信号生成装置2C,2Dでは、電極部11a(または電流検出プローブPLc(コイル62))から信号生成部6の間の任意の位置に配置することができる。また、積分部5の構成に関しても、上記したように、抵抗とコンデンサで構成された公知のローパスフィルタ(RCフィルタ)で構成することができる。なお、以下の説明において、信号生成装置2A,2Bと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、信号生成装置2C,2Dと同一の動作については重複する説明を省略する。
【0095】
具体的に、例えば、信号生成装置2Aに関しては、図14に示すように、抵抗RI1とコンデンサCI1とで構成したローパスフィルタ型の積分部5A1を、トランス21の二次巻線21bの端子TP3と抵抗23bの他端との間に配置し、かつ抵抗RI2とコンデンサCI2とで構成して積分部5A1と同じ構成のローパスフィルタ型の積分部5A2(以下、積分部5A1,5A2を区別しないときには、「積分部5A」ともいう)を、トランス21の二次巻線21bの端子TP4と抵抗23cの他端との間に配置する。この構成においても、信号復元部8は、被覆導線La,Lbから検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する。具体的には、この信号復元部8では、積分部5A1が第2グランドG2を基準として端子TP3に発生する第1電圧信号Vc1を積分して積分信号を出力すると共に積分部5A2が第2グランドG2を基準として端子TP4に発生する第2電圧信号Vc2を積分して積分信号を出力し、差動増幅部23が、積分部5A1から出力された積分信号と積分部5A2から出力された積分信号との差分電圧を、抵抗23dの抵抗値を抵抗23bの抵抗値で除算して得られるゲインで反転増幅して、図3に示す復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する。
【0096】
また、信号生成装置2Aに関しては、積分部5A1,5A2を配置することなく、つまりトランス21の二次巻線21bの端子TP3と抵抗23bの他端とを接続すると共に二次巻線21bの端子TP4と抵抗23cの他端とを接続した構成において、互いに同じ容量値のコンデンサCI3,CI4を同図に破線で示すように抵抗23d,23eにそれぞれ並列接続した構成を採用することもできる。この構成の信号復元部8では、差動増幅部23は、第1電圧信号Vc1と第2電圧信号Vc2との差分電圧を、抵抗23dの抵抗値を抵抗23bの抵抗値で除算して得られるゲインで反転増幅すると共に積分して、図3に示す復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する。また、図示はしないが、積分部5(または積分部5A)を、電極部11a(または電流検出プローブPLc(コイル62))と、トランス21における一次巻線21aの端子TP1との間、および電極部11b(または電流検出プローブPLd(コイル62))と、一次巻線21aの端子TP2との間にそれぞれ配置した構成を採用することができる。
【0097】
また、信号生成装置2Bに関しても、図15に示すように、抵抗25の一端と演算増幅器23fの非反転入力端子との間、および抵抗26の一端と演算増幅器23gの非反転入力端子との間に積分部5(または積分部5A)をそれぞれ配置する構成を採用することができる。また、図示はしないが、この位置に積分部5(または積分部5A)を配置することなく、演算増幅器23fの出力端子と抵抗23bの他端との間、および演算増幅器23gの出力端子と抵抗23cの他端との間に積分部5(または積分部5A)をそれぞれ配置する構成を採用することもできる。さらに、図示はしないが、この位置に積分部5(または積分部5A)を配置することなく、抵抗23d,23eに並列にコンデンサCI3,CI4を配置する構成を採用することもできる。また、図示はしないが、電極部11a(または電流検出プローブPLc(コイル62))と抵抗25の一端との間、および電極部11b(または電流検出プローブPLd(コイル62))と抵抗26の一端との間に積分部5(または積分部5A)をそれぞれ配置する構成を採用することができる。これらの構成の信号復元部8でも、上記した信号生成装置2Aの信号復元部8と同様にして、信号復元部8が図3に示す復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する。
【0098】
同様にして、信号生成装置2Cに関しても、トランス21の二次巻線21bの端子TP3と演算増幅器33aの非反転入力端子との間に積分部5(または積分部5A)を配置する構成、抵抗33bにコンデンサCI3を並列接続する構成、および電極部11a(または電流検出プローブPLc(コイル62))とトランス21における一次巻線21aの端子TP1との間に積分部5(または積分部5A)を配置する構成を採用することができる。これらの構成においても、信号復元部8は、被覆導線Lwから検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する。
【0099】
また、信号生成装置2Dに関しても、抵抗32の一端と演算増幅器33aの非反転入力端子との間に積分部5(または積分部5A)を配置する構成、抵抗33bにコンデンサCI3を並列接続する構成、および電極部11a(または電流検出プローブPLc(コイル62))と抵抗32の一端との間に積分部5(または積分部5A)を配置する構成を採用することができる。これらの構成においても、信号復元部8は、被覆導線Lwから検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成して信号生成部6に出力する。
【0100】
上記の各積分部5,5Aを備えた構成の信号生成装置2A,2B,2C,2D、およびこれらの信号生成装置2A,2B,2C,2Dを備えた信号読取システム1A,1Bによれば、信号復元部8が、被覆導線La,Lb(または被覆導線Lw)から検出されたロジック信号Saの微分波形に相当する信号波形を積分することにより、ロジック信号Saの信号波形と同等の信号波形の復元信号Sreを生成する構成のため、ロジック信号Saの信号波形にパルス状やステップ状の電圧変化が生じている状態においても、この電圧変化の影響を殆ど受けることなく、信号生成部6において復元信号Sreを1つの閾値電圧Vthで正しく二値化して、正しい符号特定用信号Sfを生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本願発明によれば、シングルエンド信号に整形された新たな復元信号を閾値電圧で確実に二値化して符号特定用信号を生成することができる。これにより、本願発明は、このような符号特定用信号を生成する信号生成装置、およびこの信号生成装置を備えた信号読取システムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1A,1B,1C,1D 信号読取システム
2A,2B,2C,2D 信号生成装置
3 信号変換装置
4A,4B,4C,4D 検出部
5,5A 積分部
6 信号生成部
7 波形整形部
8 信号復元部
12a,12b 電極
21 トランス
21a 一次巻線
21b 二次巻線
22 抵抗
La,Lb 被覆導線
Sa ロジック信号
SB CANバス(通信路)
Sd 検出信号
Sf 符号特定用信号
Sre 復元信号
TP3,TP4 二次巻線の各端子
Vth 閾値電圧
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