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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】アンテナ素子及びプリント基板
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/30 20060101AFI20241007BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20241007BHJP
   H01Q 5/371 20150101ALI20241007BHJP
【FI】
H01Q9/30
H01Q1/24 Z
H01Q5/371
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020167229
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059457
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】三好 秀明
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-535836(JP,A)
【文献】特開2001-102862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/30
H01Q 1/24
H01Q 5/371
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に逆F型アンテナがパターン形成され、2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子であって、
5GHz帯での通信を可能とするモノポールアンテナを具備し、
前記モノポールアンテナは、前記逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、前記プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されて成り、
前記第1の金属棒は、前記給電パターン内に穿設された孔に、基部が挿入されて起立配置され、
前記孔は、給電パターンに沿って形成された長孔であり、
前記第1の金属棒の取付位置は、前記長孔内で変更可能であることを特徴とするアンテナ素子。
【請求項2】
プリント基板に逆F型アンテナがパターン形成され、2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子であって、
5GHz帯での通信を可能とするモノポールアンテナを具備し、
前記モノポールアンテナは、前記逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、前記プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されて成り、
前記第1の金属棒から、前記放射素子の先端方向に、通信周波数の2分の1波長離れたグランドパターン上に、前記第1の金属棒と同一長さの第2の金属棒が起立配置されて成ることを特徴とするアンテナ素子。
【請求項3】
前記第1の金属棒から、前記放射素子の先端方向に、通信周波数の2分の1波長離れたグランドパターン上に、前記第1の金属棒と同一長さの第2の金属棒が起立配置されて成ることを特徴とする請求項記載のアンテナ素子。
【請求項4】
LCDを備えて、使用状態で縦配置されるインターホン機器に組み込まれるプリント基板であって、
少なくともLCD表示回路が組み付けられると共に、逆F型アンテナがパターン形成されて2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子が形成され、
前記アンテナ素子は、前記プリント基板の上部であって、前記プリント基板に形成されたグランドパターンの上部中央に凹状のベタ抜き領域が形成され、当該ベタ抜き領域に前記逆F型アンテナの放射素子が水平に配設されて形成されて成り、
更に前記アンテナ素子は、前記逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、前記プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されたモノポールアンテナを具備し、5GHz帯での通信を可能としたことを特徴とするプリント基板。
【請求項5】
LCDを備えて、使用状態で縦配置されるインターホン機器に組み込まれるプリント基板であって、
少なくともLCD表示回路が組み付けられると共に、逆F型アンテナがパターン形成されて2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子が形成され、
前記アンテナ素子は、前記プリント基板の上部左右端部であって、前記プリント基板に形成されたグランドパターンの上部左右両端にベタ抜き領域が形成され、当該ベタ抜き領域に前記逆F型アンテナの放射素子が縦方向に配設されて成り、
更に前記アンテナ素子は、前記逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、前記プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されたモノポールアンテナを具備し、5GHz帯での通信を可能としたことを特徴とするプリント基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯の電波を送受するデュアルバンドアンテナを構成するアンテナ素子、及びこのアンテナ素子を備えたプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN通信を可能としたインターホン機器は、通常2.4GHz帯の電波を送受信するアンテナを内蔵している。このアンテナは、インターホン回路が組み付けられたプリント基板の端部に、逆F型アンテナをパターン形成して設けていた。
特許文献1は、このように基板上にパターン形成された逆F型アンテナの一例を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-226310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターホン機器以外に2.4GHz帯を使用する機器が増加しており、混雑による電波干渉を防ぐために、5GHz帯の無線LANの利用も可能とする構成が求められている。この場合、5GHz帯のアンテナを用意する必要がある。
しかしながら、インターホン機器の小型化が進む現状を踏まえると、アンテナ素子をパターン形成する面積は限られており、2.4GHz帯のアンテナを残しつつ、5GHz帯のアンテナを追加するのは難しかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、基板上に新たなアンテナ領域を設けること無く、2.4GHz帯に加えて5GHz帯の電波も送受できるアンテナ素子、及びこのアンテナ素子を備えたプリント基板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、プリント基板に逆F型アンテナがパターン形成され、2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子であって、5GHz帯での通信を可能とするモノポールアンテナを具備し、モノポールアンテナは、逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されて成り、第1の金属棒は、給電パターン内に穿設された孔に、基部が挿入されて起立配置され、
孔は、給電パターンに沿って形成された長孔であり、第1の金属棒の取付位置は、長孔内で変更可能であることを特徴とする。
この構成によれば、2.4GH帯のアンテナを形成したエリア内に5GHz帯での通信を実施するモノポールアンテナを配置することで、プリント基板を拡張すること無くデュアルバンドアンテナを形成でき、通信周波数帯の拡張ができる。
更に、第1の金属棒は、プリント基板の給電パターン内に形成された長孔に挿入して起立配置されるため、所定の位置に取り付けできる。そして、長孔内で第1の金属棒の取り付け位置を移動できるため、5GHz帯の共振周波数に合わせて容易に取り付け位置を変更でき、必要なアンテナ特性を容易に得ることができる。
【0007】
請求項2の発明は、プリント基板に逆F型アンテナがパターン形成され、2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子であって、5GHz帯での通信を可能とするモノポールアンテナを具備し、モノポールアンテナは、逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されて成り、第1の金属棒から、放射素子の先端方向に、通信周波数の2分の1波長離れたグランドパターン上に、第1の金属棒と同一長さの第2の金属棒が起立配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、2.4GH帯のアンテナを形成したエリア内に5GHz帯での通信を実施するモノポールアンテナを配置することで、プリント基板を拡張すること無くデュアルバンドアンテナを形成でき、通信周波数帯の拡張ができる。
更に、5GHz帯の共振帯域を広げることができ、送受信周波数に幅を持たせることが可能となる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項に記載の構成において、第1の金属棒から、放射素子の先端方向に、通信周波数の2分の1波長離れたグランドパターン上に、第1の金属棒と同一長さの第2の金属棒が起立配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、5GHz帯の共振帯域を広げることができ、送受信周波数に幅を持たせることが可能となる。
【0009】
請求項4の発明は、LCDを備えて、使用状態で縦配置されるインターホン機器に組み込まれるプリント基板であって、少なくともLCD表示回路が組み付けられると共に、逆F型アンテナがパターン形成されて2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子が形成され、アンテナ素子は、プリント基板の上部であって、プリント基板に形成されたグランドパターンの上部中央に凹状のベタ抜き領域が形成され、当該ベタ抜き領域に逆F型アンテナの放射素子が水平に配設されて形成されて成り、更にアンテナ素子は、逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されたモノポールアンテナを具備し、5GHz帯での通信を可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、プリント基板上部であって、グランドパターン上部中央に形成された凹状のベタ抜き領域にアンテナ素子が配置されることで、プリント基板に実装された回路から発せられる電磁波が、同一のプリント基板に形成されたアンテナ素子へ干渉する不具合を大きく解消できる。
【0010】
請求項5の発明は、LCDを備えて、使用状態で縦配置されるインターホン機器に組み込まれるプリント基板であって、少なくともLCD表示回路が組み付けられると共に、逆F型アンテナがパターン形成されて2.4GHz帯での通信を可能とするアンテナ素子が形成され、アンテナ素子は、プリント基板の上部左右端部であって、プリント基板に形成されたグランドパターンの上部左右両端にベタ抜き領域が形成され、当該ベタ抜き領域に逆F型アンテナの放射素子が縦方向に配設されて成り、更にアンテナ素子は、逆F型アンテナの給電点と放射素子とを接続する給電パターンの特定部位において、プリント基板の面上に起立配置した通信周波数の4分の1波長の長さの第1の金属棒により形成されたモノポールアンテナを具備し、5GHz帯での通信を可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、プリント基板の上部左右端部であって、グランドパターンの上部左右両端に形成されたベタ抜き領域に、アンテナ素子がそれぞれ配置されることで、プリント基板に実装された回路から発せられる電磁波の干渉が小さい一方のアンテナ素子を選択して使用でき、干渉の削減に有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2.4GH帯のアンテナを形成したエリア内に5GHz帯での通信を実施するモノポールアンテナを配置することで、プリント基板を拡張すること無くデュアルバンドアンテナを形成でき、通信周波数帯の拡張ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るアンテナ素子の一例を示す斜視説明図である。
図2】モノポールアンテナ取付前の逆F型アンテナを形成した部位のプリント基板の平面図である。
図3図1のアンテナ素子のVSWR特性である。
図4】アンテナ素子の他の形状を示し、金属棒を2本配置したアンテナ素子の斜視説明図である。
図5図4のアンテナ素子のVSWR特性である。
図6】プリント基板の上部中央に形成したアンテナ素子の説明図である。
図7】インターホンシステムの説明図である。
図8図6のアンテナ素子のVSWR特性である。
図9】アンテナ素子をプリント基板の左右両側に形成したアンテナ素子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るアンテナ素子の一例を示す斜視説明図である。アンテナ素子1は、図1に示すように逆F型アンテナ2とモノポールアンテナ3とを備え、両者は一体に形成されている。
逆F型アンテナ2は、プリント基板4にパターン形成され、2.4GHz帯の電波の送受を可能としている。モノポールアンテナ3は、5GHz帯の電波の送受を可能とし、アンテナ素子1は2つの周波数帯での通信を可能とするデュアルバンドアンテナを構成している。
【0014】
逆F型アンテナ2は、給電パターン21、放射素子22、ショートエレメント23を有し、プリント基板4上に広いエリアでパターン形成されたグランドパターン5と同一面にパターン形成され、グランドパターン5に隣接して形成されている。
給電パターン21は、グランドパターン5の内部に入り込むよう形成されている。具体的に、グランドパターン5の端部から内部に向けて平行する2本のスリット51が形成され、このスリット51により分離された直線パターンにより形成されている。この直線パターンがグランドパターン5の外方へ延設され、放射素子22に接続されている。
そして、給電パターン21の最深部に給電点6が形成されている。
【0015】
放射素子22は、グランドパターン5の直線形成された端部52に平衡するようパターン形成されている。一方、ショートエレメント23は、一端が放射素子22に連結され、他端がグランドパターン5に連結されている。
【0016】
モノポールアンテナ3は、この逆F型アンテナ2の給電パターン21上に金属棒(第1の金属棒)3aを配置して形成されている。
図2は、モノポールアンテナ3を取り付ける前の逆F型アンテナ2を形成した部位のプリント基板4の平面図を示している。図2に示すように、逆F型アンテナ2の給電パターン21には、長孔21aが穿設されており、この長孔21aの特定部位に金属棒3aの基端が挿入されて起立配置される。具体的に、長孔21aの特定部位に半田付けされて固定され、立設される。この第1の金属棒3aの長さLは、送受信周波数の4分の1波長の長さを有し、例えば5.2GHzを送受する場合は、14.4mmの長さとなる。
【0017】
長孔21aは、グランドパターン5との境界部から放射素子22に近い部位にかけて形成されている。この範囲で第1の金属棒3aの取付位置を変更可能とすることで、実際の5GHz帯の送受する周波数(例えば、5.2GHz或いは5.7GHz等)に合わせて位置を選択して設置される。
【0018】
図3はこうして固定された第1の金属棒から成るモノポールアンテナと逆F型アンテナから成るアンテナ素子1のVSWR特性を示している。図3に示すように、2.44GHz、5.2GHzの帯域で良好な特性を示している。
尚、図3では5.7GHzに比べて5.2GHzのVSWR特性が良好なものとなっているが、第1の金属棒3aの位置を長孔21aの中で変更することで、5.2GHzの帯域より5.7GHzの帯域のVSWR特性を良好にすることも可能となる。
【0019】
このように、2.4GH帯のアンテナとして逆F型アンテナ2を形成したエリア内に、5GHz帯での通信を実施するモノポールアンテナ3を配置することで、プリント基板を拡張すること無くデュアルバンドアンテナを形成でき、通信周波数帯の拡張ができる。
また、第1の金属棒3aはプリント基板4の孔(長孔)21aに挿入して起立配置されるため、所定の位置に取り付けできる。そして、長孔21a内で第1の金属棒3aの取り付け位置を移動できるため、5GHz帯の共振周波数に合わせて容易に取り付け位置を変更でき、必要なアンテナ特性を容易に得ることができる。
【0020】
図4は、アンテナ素子1の他の形態を示している。上記図1の形態とは、逆F型アンテナ2,第1の金属棒3aから成るモノポールアンテナ3の構成が共通であるが、金属棒(第2の金属棒)3bを備えた点が相違している。
第2の金属棒3bは、グランドパターン5上に配置されている。図4に示すように、逆F型アンテナ2の放射素子22の先端方向となるグランドパターン5の端部に配置され、第1の金属棒3aからの距離W1が2分の1波長離れた位置に配置されている。この位置に立設配置され、第1の金属棒3aと平行に配置されている。
例えば、5,2GHzの電波を送受するとすると、第1の金属棒3aと第2の金属棒3bとの間の距離W1は約28.8mmとなる。
【0021】
図5は、このように第2の金属棒3bを設けたアンテナ素子1のVSWR特性を示している。図5に示すように、5GHz帯の帯域特性が改善され、5.2GHzに加えて5.77GHzにおいてもVSWR値が2.0以下となり帯域特性が改善される。
このように、第2の金属棒3bを配置することで、5GHz帯の共振帯域を広げることができ、送受信周波数に幅を持たせることが可能となる。
【0022】
図6は、多くの回路が組み付けられて、インターホンの居室親機(インターホン機器)に組み付けられるインターホン機器用のプリント基板4a(4)に、アンテナ素子1を形成した状態を示し、プリント基板4aの上端中央に配置した構成を示している。
インターホン機器用のプリント基板4aは、アンテナ素子1を使用して信号を送受する通信回路(図示せず)に加えて、他の回路、例えばLCD表示回路等(図示せず)が組み付けられた基板であり、インターホンシステムを構成する居室親機に組み付けられる。
【0023】
図7は、この居室親機を備えたインターホンシステム10の一例を示す説明図である。インターホンシステム10は、玄関子機11と居室親機12とで構成され、何れも壁面等に設置されて縦配置して使用される。但し、居室親機12はLAN通信が可能で、無線LANルータ13を介してインターネットに接続でき、スマートフォン等の携帯型機器14、クラウドN上に配置されたサーバ15と通信が可能となっている。
尚、玄関子機11はカメラ11aを備えており、居室親機12はこのカメラの撮像映像を表示する液晶表示部(LCD)12aが設けられている。
【0024】
このような機能を備えた居室親機12は、本体のハウジング内に組み付けられるプリント基板(図示せず)に、図6に示すようなアンテナ素子1を備え、このアンテナ素子1を使用して無線LANルータ13と通信する無線通信回路、LCD表示回路、通話回路等が組み付けられている。
そのため、アンテナ素子1を形成する領域が限られており、図6に示すようにプリント基板4の上部に、グランドパターン5が広く形成され、この広いグランドパターン5の上端中央にコ字状(凹状)のベタ抜き領域G1を設けて、このベタ抜き領域G1の内部にアンテナ素子1を配置している。
【0025】
具体的に、このベタ抜き領域は、深さDが通信周波数の12分の1波長の深さ、幅W2は通信周波数の2分の1波長(給電パターン21を中心として左右にそれぞれ通信周波数の波長の4分の1(W3))の距離で形成されている。
アンテナ素子1は、壁面に取り付けられた状態の居室親機12の上部中央に配置され、逆F型アンテナ2の放射素子22が水平に配置されて形成されている。
図8は、このように形成されたアンテナ素子1のVSWR特性を示している。図8に示すように、2.4GHz帯、5GHz帯の双方の帯域で良好な特性を示している。
【0026】
このように、プリント基板4上部であって、グランドパターン5上部中央に形成されたコ字状のベタ抜き領域G1にアンテナ素子1が配置されることで、プリント基板4に実装された回路から発せられる電磁波が、同一のプリント基板4に形成されたアンテナ素子1へ干渉する不具合を大きく解消できる。
【0027】
図9は、インターホン機器用のプリント基板4aに形成したアンテナ素子1の他の配置形態を示している。図9に示すように、プリント基板4aの上部に、グランドパターン5が広く形成され、この広いグランドパターンの左右双方の上端部に、L字状に切り欠いたベタ抜き領域G2を設け、このベタ抜き領域G2にアンテナ素子1を配置している。
ここでは、逆F型アンテナ2の放射素子22は縦に配設されるよう形成されている。ただし、使用するアンテナ素子1は何れか一方であり、居室親機12を設置した状態で、良好な特性を示す一方が選択される。
ベタ抜き領域G2の寸法は、図6に示すベタ抜き領域G1と同様であり、幅W4は通信周波数の2分の1(給電パターン21を中心として左右にそれぞれ通信周波数の4分の1(W5))波長の距離で形成されている。
【0028】
このように、プリント基板4の上部左右端部であって、グランドパターン5の上部左右両端に形成されたベタ抜き領域G2のそれぞれに、アンテナ素子1が配置されるため、形成された2つのアンテナ素子1の一方を選択することができる。よって、プリント基板4に実装された回路から発せられる電磁波が、同一のプリント基板4に形成されたアンテナ素子1へ干渉が小さい方を選択することで、干渉を抑えることができる。
【0029】
尚、上記実施形態では、プリント基板4が縦配置される場合を前提にしてアンテナ素子1を配置しているが、縦配置されない状態でも、縦配置と同様な特性を示すものである。
また、インターホンシステム10の居室親機12のプリント基板4に搭載した図7,9の構成では、アンテナ素子1に第2の金属棒3bを配置していないが、配置しても良く、良好な周波数特性を得ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1・・アンテナ素子、2・・逆F型アンテナ、3・・モノポールアンテナ、3a・・第1の金属棒、3b・・第2の金属棒、4・・プリント基板、5・・グランドパターン、6・・給電点、10・・インターホンシステム、12・・居室親機(インターホン機器)、21・・給電パターン、22・・放射素子、G1,G2・・ベタ抜き領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9