(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/08 20060101AFI20241007BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20241007BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241007BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G03G21/08
G03G21/18 114
G03G21/18 142
G03G15/00 651
G03G15/00 659
G03G21/16 104
G03G21/16 120
(21)【出願番号】P 2020170748
(22)【出願日】2020-10-08
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】野上 和晃
(72)【発明者】
【氏名】三又 昭範
(72)【発明者】
【氏名】河波 健男
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0183333(US,A1)
【文献】特開2011-227425(JP,A)
【文献】特開2011-064711(JP,A)
【文献】特開2005-114894(JP,A)
【文献】特開2009-169200(JP,A)
【文献】特開2017-058433(JP,A)
【文献】特開2002-189400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/045
15/00
15/045
21/00
21/06-21/08
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体の電位を一様に帯電する帯電手段と、
前記帯電手段により一様に帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により形成された前記静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像手段と、
前記現像手段により前記像担持体に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記像担持体の回転軸方向における一端部に設けられた光源と、前記光源から出射された光を前記像担持体の回転軸方向に導くガイドと、を有し、前記転写手段により前記トナー像を前記被転写体に転写した後に前記像担持体に光を照射する照射手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記回転軸方向において前記照射手段から照射される光を遮蔽する量が異なるような遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材によって前記照射手段から照射される光が遮蔽される量は、前記一端部の方が前記回転軸方向において中央部よりも大きく、
前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に平行な方向において、前記遮蔽部材は、前記一端部における前記平行な方向の長さが、前記中央部における前記平行な方向の長さよりも長いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体と、前記帯電手段と、前記現像手段とを有するカートリッジと、
前記カートリッジを保持し、前記カートリッジを保持した状態で前記画像形成装置に対して挿抜可能なトレイと、
を備え、
前記遮蔽部材は、前記トレイに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材によって前記照射手段から照射される光が遮蔽される量は、前記一端部の方が前記回転軸方向において前記一端部の反対側の他端部よりも大きいことを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記回転軸方向において前記光源に近いほど前記照射手段から照射される光を遮蔽する量が大きいことを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体と、前記帯電手段と、前記現像手段とを有し、前記画像形成装置に対して挿抜可能なカートリッジを備え、
前記遮蔽部材は、前記カートリッジに設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記遮蔽部材は、前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に直交す
る方向において前記仮想線に向かう方向の長さが、前記光源に近づくほど長いことを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記遮蔽部材を第1の遮蔽部材とすると、
前記仮想線に対して前記第1の遮蔽部材とは反対側に設けられた第2の前記遮蔽部材と、
を備えることを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記遮蔽部材は、前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に平行
な方向において前記
平行な方向の長さが、前記光源に近づくほど長いことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記遮蔽部材は、前記照射手段から照射された光を透過する光学フィルタであって、前記回転軸方向に配置された透過率が異なる複数の前記光学フィルタを有することを特徴とする請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記遮蔽部材は、前記回転軸方向において前記光源から離れるほど前記透過率が高いことを特徴とする請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ガイドは、前記ガイドの長手方向における前記一端部側の第1の端部と前記他端部側の第2の端部と、を有し、
前記第2の端部は、前記第1の端部から前記第2の端部に向かう方向に、前記ガイドの円周の中心軸に向かって傾斜した傾斜面を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記ガイドは、前記回転軸方向に直交する断面の形状が円形状、矩形形状又は多角形形状であることを特徴とす
る請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
像担持体と、
前記像担持体の電位を一様に帯電する帯電手段と、
前記帯電手段により一様に帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により形成された前記静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像手段と、
前記現像手段により前記像担持体に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記像担持体の回転軸方向における一端部に設けられた光源と、前記光源から出射された光を前記回転軸方向に導くガイドと、を有し、前記転写手段により前記トナー像を前記被転写体に転写した後に前記像担持体に光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射される光を遮蔽する遮蔽部材と、
を備える画像形成装置であって、
前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に直交する第1の方向において、前記遮蔽部材の前記一端部における前記仮想線に向かう方向の長さが、前記回転軸方向において中央部における前記仮想線に向かう方向の長さよりも長く、
前記遮蔽部材によって前記照射手段から照射される光が遮蔽される量は、前記一端部の方が前記回転軸方向において中央部よりも大きく、
前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に平行な第2の方向において、前記遮蔽部材は、前記一端部における前記第2の方向の長さが、前記中央部における前記第2の方向の長さよりも長いことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、像担持体としての感光ドラムを帯電部材との放電により所定の電位に一様に帯電させた後に、画像パターンに従った露光を行うことにより、感光ドラム上に静電潜像を形成する。その後、画像形成装置は、感光ドラム上の静電潜像をトナーで現像して顕在化し、紙などの記録材に転写する。感光ドラムの表面上を帯電する際に、感光ドラムの表面上に残留電荷がある場合、感光ドラムの表面電位が不均一となることがある。すると、感光ドラム上に形成された、トナー像が形成される画像形成部とトナー像が形成されない非画像形成部との電位差に起因して、ドラムゴーストと呼ばれる画像弊害が生じることがある。そこで、感光ドラムの表面に形成された電位差を無くすために、帯電工程前の感光ドラム表面に光を照射して感光ドラムの表面電位を所定の電位まで除電する、いわゆる除電部材を設けることが有効であることが知られている。この除電部材を前露光ユニットと呼ぶ。前露光ユニットとしては、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)、又はLED基板と、ライトガイド等の導光手段とを組み合わせた構成が挙げられる。感光ドラムの長手方向の全域を除電するためのシステムとして、これらの技術は有用である。しかし、近年、コスト面を考慮して、感光ドラムの長手方向全域に亘ってLEDを設けるよりも、感光ドラムの長手方向の端部にLEDを設けたライトガイドの構成が採用されることも多い(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
しかしながら、前露光ユニットとしてライトガイドを用いる場合には、以下のような課題がある。ライトガイドを用いると、長手方向の端部から光を照射し感光ドラムの除電を行う。このため、光の入射側で感光ドラム面における光量が大きくなり、長手方向で感光ドラムの除電量が不均一になることがある。このような課題に対して、長手方向での除電ムラを無くすために、前露光後に感光ドラム上の除電量を測定し、露光装置で像の露光を行う際に長手方向が均一になるように調整する手法が知られている。また、感光ドラムの層の厚みを変化させることで長手方向の感光ドラムの感度を調整し、除電ムラを均一にする手法などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-132743号公報
【文献】特開2009-053603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、感光ドラム上の除電量を検知する手段や感光ドラムの長手方向での層の管理を行う必要があり、多くの手間やコストが発生する。また、従来技術では、感光ドラム自体の入射側に照射される光量を低減できないため、光が照射されることによる感光ドラムへの影響(以下、光劣化ともいう)による寿命の懸念を解決することは難しい。
【0006】
本発明は、このような状況の下でなされたもので、前露光ユニットにライトガイドを設ける構成において、感光ドラムの長手方向の除電ムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)像担持体と、前記像担持体の電位を一様に帯電する帯電手段と、前記帯電手段により一様に帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された前記静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像手段と、前記現像手段により前記像担持体に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記像担持体の回転軸方向における一端部に設けられた光源と、前記光源から出射された光を前記像担持体の回転軸方向に導くガイドと、を有し、前記転写手段により前記トナー像を前記被転写体に転写した後に前記像担持体に光を照射する照射手段と、を備える画像形成装置であって、前記回転軸方向において前記照射手段から照射される光を遮蔽する量が異なるような遮蔽部材を備え、前記遮蔽部材によって前記照射手段から照射される光が遮蔽される量は、前記一端部の方が前記回転軸方向において中央部よりも大きく、前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に平行な方向において、前記遮蔽部材は、前記一端部における前記平行な方向の長さが、前記中央部における前記平行な方向の長さよりも長いことを特徴とする画像形成装置。
(2)像担持体と、前記像担持体の電位を一様に帯電する帯電手段と、前記帯電手段により一様に帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された前記静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像手段と、前記現像手段により前記像担持体に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記像担持体の回転軸方向における一端部に設けられた光源と、前記光源から出射された光を前記回転軸方向に導くガイドと、を有し、前記転写手段により前記トナー像を前記被転写体に転写した後に前記像担持体に光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射される光を遮蔽する遮蔽部材と、を備える画像形成装置であって、前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に直交する第1の方向において、前記遮蔽部材の前記一端部における前記仮想線に向かう方向の長さが、前記回転軸方向において中央部における前記仮想線に向かう方向の長さよりも長く、前記遮蔽部材によって前記照射手段から照射される光が遮蔽される量は、前記一端部の方が前記回転軸方向において中央部よりも大きく、前記ガイドと前記像担持体とを結ぶ仮想線に平行な第2の方向において、前記遮蔽部材は、前記一端部における前記第2の方向の長さが、前記中央部における前記第2の方向の長さよりも長いことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前露光ユニットにライトガイドを設ける構成において、感光ドラムの長手方向の除電ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の画像形成装置の外観斜視図、断面図
【
図2】実施例1の画像形成装置のカートリッジの斜視図
【
図4】実施例1のドラムゴースト画像を示す図、ドラムゴーストが発生するメカニズムを示す図
【
図5】実施例1のカートリッジ及びカートリッジトレイの斜視図
【
図8】実施例1と比較例1の長手方向に対する光量分布を示すグラフ
【
図9】実施例1の長手方向での遮蔽部材の延伸の変化を示す図
【
図10】実施例1のカートリッジの斜視図、ライトガイドの他の形状を示す図
【
図12】実施例2の光量を減衰させる遮蔽部材の拡大図
【
図13】実施例2の光量を減衰させる遮蔽部材の他の形状を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、画像形成装置に係る本発明を実施するための形態を、実施例により図面を参照しながら詳しく説明する。ここで、画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録材(記録媒体)に画像を形成するものである。画像形成装置の例としては、例えば、複写機、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、及び、これらの複合機(マルチファンクションプリンタ)などが含まれる。
【実施例1】
【0011】
[1.画像形成装置]
図1を用いて実施例1の画像形成装置100の概略構成について説明する。
図1(a)は、画像形成装置100の外観斜視図、
図1(b)は、画像形成装置100の断面図である。画像形成装置100は前ドア31を備えている。
図1(b)に示すように、画像形成装置100は、複数のカートリッジとして第1から第4の4つのプロセスカートリッジPPY、PPM、PPC、PPKを有する電子写真プロセスを用いた4色フルカラーのプリンタ(電子写真画像形成装置)である。
【0012】
画像形成装置100は、外部ホスト装置であるコントローラ400から出力されてインターフェース部300を介して制御部200に入力する電気的な画像信号に基づいてシート状の記録材である用紙Sにフルカラー又はモノクロの画像を形成する。コントローラ400はパーソナルコンピュータ、イメージリーダ、ファクシミリ、スマートフォン等が挙げられる。制御部200は、画像形成装置100の電子写真画像形成プロセスを制御する制御手段であり、コントローラ400と各種の電気的な情報の授受をする。また制御部200は、各種のプロセス機器やセンサから入力される電気的な情報の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の電子写真画像形成プロセスのシーケンス制御等を実行する。
【0013】
以下の説明において、
図1(a)に示すように、画像形成装置100に関して、前側(正面側)とは前ドア31を配置した側である。後側(背面側)とは、前側とは反対側である。前後方向とは、画像形成装置100の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは画像形成装置100を前側から見て左又は右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。上と下とは重力方向において上と下である。上方向とは下から上に向かう方向、下方向とは上から下に向かう方向である。また、長手方向とは静電潜像が形成される像担持体である電子写真感光ドラム1(以下、感光ドラム1という)の回転軸線方向に平行な方向である。短手方向とは長手方向に直交する方向(直交方向)である。また、長手方向の一端側が駆動側、他端側が非駆動側である。
【0014】
実施例1においては、長手方向の右端側が駆動側、左端側が非駆動側である。画像形成装置100の内部に画像形成装置100の後側から前側にかけて、第1から第4の4つのプロセスカートリッジPPY、PPM、PPC、PPKがカートリッジトレイ40に保持されている。プロセスカートリッジPPY、PPM、PPC、PPKを保持したカートリッジトレイ40は所定の位置(装着位置)に装着されている(インライン構成、タンデム型)。なお、カートリッジトレイ40については後で詳細に説明する。
【0015】
図1(b)中に4色の作像ステーションが示されており、
図1(b)の左から順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を作像するステーションである。
図1(b)中の符号に付記されたYMCKの文字は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像を感光ドラム1の表面上に作像するステーションの部品であることを示す。以降、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれの画像を作像するステーションの構成は共通であるため、そのうちの1つのステーションに関して説明する。また、特定の色に関する部品について説明する場合を除き、符号の添え字YMCKを省略する。
【0016】
円筒状の感光ドラム1は、その軸(以下、回転軸という)を中心に回転する。感光ドラム1は帯電手段である接触帯電装置、例えば帯電ローラ2によりその表面を一様に帯電された後、露光手段である露光ユニット11により静電潜像を形成される。帯電ローラ2は、芯金と、芯金の周りに同心一体に形成された導電性弾性体層とを有し、帯電電圧印加部71(
図3参照)によって芯金に帯電電圧が印加される。現像手段である現像ユニットDP(
図2参照)には、一成分現像剤としてのトナーが収容されている。所定の電荷極性を帯びたトナーは、トナー担持体であり現像部材である現像ローラ3により感光ドラム1上の静電潜像に供給されてトナー像として可視化(現像)される。現像ローラ3は、芯金と、芯金の周りに同心一体に形成された導電性弾性体層とを有し、現像電圧印加部72(
図3参照)によって芯金に現像電圧が印加される。感光ドラム1上のトナー像は、1次転写電圧印加部73(
図3参照)によって転写電圧を印加された転写手段である1次転写ローラ17により、静電的に中間転写ユニット12に転写される。1次転写ローラ17は、軸上に導電性弾性層を設けたローラ状に構成され、軸に電圧が印加される。被転写体である中間転写体、例えば中間転写ベルト13上には各色のトナー像が順次転写され(1次転写)、フルカラーのトナー像が形成される。その後に、フルカラーのトナー像は2次転写手段である2次転写ローラ27により用紙Sに転写される(2次転写)。未定着のトナーを担持した用紙Sは定着手段である定着ユニット23に搬送され、未定着のトナーは定着ユニット23によって用紙S上に熱融解・混色して永久画像として定着されて画像形成物として排出される。画像形成動作に関しては後で詳細に説明する。
【0017】
(プロセスカートリッジ)
図2を用いて、プロセスカートリッジPPに関して説明する。プロセスカートリッジPPの装着位置は、画像形成動作可能な位置である。プロセスカートリッジPPは、用紙Sに画像を形成する画像形成プロセスに寄与するものであり、画像形成装置100に取り外し可能に装着されて使用される。実施例1における各プロセスカートリッジPPは、
図2に示すように、静電潜像が形成される感光ドラム1を有するドラムユニットOPと、感光ドラム1に作用する電子写真画像形成プロセス手段としての現像ユニットDPとからなる。ドラムユニットOPは、感光ドラム1と、感光ドラム1の表面を帯電する帯電ローラ2を有する。感光ドラム1の回転軸線方向における感光ドラム1の駆動側にはドラムカップリング1cが設けられている。ドラムユニットOPは両端にドラムフランジ1aと溝部1dとを有している。現像ユニットDPは、現像装置4を有し、現像装置4は感光ドラム1に対してトナーを供給して静電潜像をトナー像として現像するトナー担持体としての現像ローラ3とトナーを収納しているトナー収納部3b等を有する。現像ローラ3の駆動側には現像カップリング3cが設けられている。
【0018】
収納されたトナーの色は各プロセスカートリッジPPで異なる。すなわち、第1のプロセスカートリッジPPYは、トナー収納部3bにイエロー(Y)色のトナーが収容されており、感光ドラム1の表面にイエローのトナー像を形成する。以降、第2のプロセスカートリッジPPMはマゼンタ(M)色のトナー、第3のプロセスカートリッジPPCはシアン(C)色のトナー、第4のプロセスカートリッジPPKはブラック(K)色のトナーが収容されており、各色のトナー像を形成する。
【0019】
図1の説明に戻る。プロセスカートリッジPPの下方には、各ドラムユニットOPの感光ドラム1に対向して、転写部材としての転写ローラ17が配置される。転写ローラ17に1次転写電圧印加部73より転写電圧が印加され、感光ドラム1の表面上に形成されたトナー像が中間転写ユニット12の中間転写ベルト13の表面上に1次転写される。
図1(b)に示すように、中間転写ユニット12は、可撓性を有する無端ベルトである中間転写ベルト13と、中間転写ベルト13を張設して循環移動させる駆動ローラ14、補助ローラ15、テンションローラ16を有する。駆動ローラ14と補助ローラ15は画像形成装置100内の後側に配置されている。テンションローラ16は画像形成装置100内の前側に配置されている。
【0020】
また、プロセスカートリッジPPはそれぞれ所定の装着位置に装着されている状態において、感光ドラム1の下面が、中間転写ベルト13に接している。中間転写ベルト13の内側には、感光ドラム1に対向するように、1次転写ローラ17が配置されている。感光ドラム1と中間転写ベルト13との接触部であるニップ部を1次転写ニップ部T1とする。駆動ローラ14には、中間転写ベルト13を介して2次転写ローラ27が当接している。2次転写ローラ27と中間転写ベルト13とのニップ部を、2次転写ニップ部T2とする。カートリッジトレイ40の下方にはライトガイド57が配置されている。クリーニングユニット26は中間転写ベルト13上に配置され、中間転写ベルト13を清掃するユニットである。
【0021】
中間転写ユニット12の下方部に、トナー像が転写される用紙Sをストックし、中間転写ユニット12に対して一枚ずつ用紙Sを搬送する給紙ユニット18が配置されている。給紙ユニット18は、用紙Sを積載して収納した給紙トレイ19、給送ローラ類20、中板21、レジストレーションローラ(以下、レジストローラという)対22を有する。給紙トレイ19は、画像形成装置100の前側から自由に出し入れ(挿抜)することが可能である(フロントローディング)。
【0022】
画像形成装置100内の後側の上部には、トナー像が転写された用紙Sに熱と圧をかけて定着させて排出させる定着ユニット23と排出ローラ対24が配置されている。定着ユニット23は、定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bとを有している。定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bとのニップ部を定着ニップ部Qという。排出ローラ対24は排出ローラ24aとコロ24bとを有している。また、画像形成装置100本体の上面には排出トレイ25が形成されている。
【0023】
画像形成装置100の前側には、回転可能に画像形成装置100に取り付けられた前ドア31が配置されている。前ドア31を開くことで、ユーザがカートリッジトレイ40にアクセスすることが可能となり、カートリッジトレイ40を手前に引き出すことで各プロセスカートリッジPPを交換することが可能になる。すなわち、各プロセスカートリッジPPは画像形成装置100に対して挿抜可能となっている。なお、本発明が適用される画像形成装置は、
図1(b)に示す画像形成装置100に限定されず、例えば、用紙Sを搬送する搬送ベルトを有する画像形成装置や、1つのプロセスカートリッジを有する画像形成装置であってもよい。
【0024】
[2.画像形成装置の制御態様]
図3は、実施例1における画像形成装置100の要部の概略制御態様を示すブロック図である。制御部200は画像形成装置100の動作を制御する手段であり、各種の電気的な情報信号の授受を行う。また、各種のプロセス機器やセンサから入力される電気的な情報信号の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理を行う。コントローラ400は、ホスト装置との間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、画像形成装置100の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って、インターフェース部300を介して制御部200で統括的に制御する。制御部200は、様々な演算処理を行う中心的素子であるCPU155、記憶素子であるRAM、ROMなどのメモリ30などを有して構成される。RAMには、センサの検知結果、カウンタのカウント結果、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め実験などにより得られたデータテーブルなどが格納されている。
【0025】
制御部200には、画像形成装置100における各制御対象、センサ、カウンタなどが接続されている。制御部200は、各種の電気的な情報信号の授受や、各部の駆動のタイミングなどを制御して、所定の画像形成シーケンスの制御などを行う。例えば、感光ドラム1の表面にトナー像を形成するために以下の高電圧電源及び装置を制御する。帯電電源としての帯電電圧印加部71、現像電源としての現像電圧印加部72、露光ユニット11などの制御を行う。さらに、用紙Sにトナー像を形成するための、1次転写電源としての1次転写電圧印加部73、2次転写電源としての2次転写電圧印加部74などの制御を行う。その他、各種ローラを回転させる駆動部70、感光ドラム1の表面を除電する除電ユニットとしての前露光ユニット55、感光ドラム1と現像ローラ3との当接離間を司る現像離間機構50、定着ユニット23の制御を行う。前露光ユニット55の具体的な態様に関しては、詳細に後述する。
【0026】
[3.画像形成動作]
次に、
図1(b)、
図3を用いて、フルカラー画像を形成するための動作について説明する。初めに制御部200は、インターフェース部300からジョブ信号を受け取ると、現像離間機構50を画像形成装置100の前後方向に移動させる。
図2に示すように、プロセスカートリッジPPにおいて、現像ローラ3の駆動側には現像カップリング3cがあり、現像ユニットDPは、現像カップリング3cを中心に回動可能に支持されている。現像離間機構50により現像ユニットDPが回転移動することで、現像ローラ3と感光ドラム1とが当接する。また、モノクロの画像形成動作とフルカラーの画像形成動作とでは動作が異なり、モノクロの画像形成動作では、第4の現像ローラ3Kと第4の感光ドラム1Kのみが当接するように現像離間機構50が動作する。
【0027】
第1~第4の各カートリッジPY、PM、PC、PKの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kが、
図1(b)において反時計周り方向に所定の速度で回転駆動される。中間転写ベルト13は感光ドラム1の速度に対応した速度で時計回り方向に回転駆動される。この駆動に同期して、各プロセスカートリッジPPにおいてそれぞれ所定のタイミングで帯電ローラ2が感光ドラム1の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する。実施例1において、所定の極性(正規極性)を負極性とする。したがって、トナーの正規極性を負極性としている。
【0028】
次に、露光ユニット11が感光ドラム1の表面に各色の画像信号に応じて光源から光を照射することにより感光ドラム1の表面を露光する。これにより、感光ドラム1の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像ローラ3によりトナー像として現像される。このような画像形成動作により、第1ステーションの感光ドラム1Yにはフルカラー画像のY色成分に対応するイエローのトナー像が形成される。そのトナー像が1次転写ニップ部T1において中間転写ベルト13上に1次転写される。以降、第1ステーションと同様に、第2、第3、第4ステーションでマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が1次転写ニップ部T1において順次中間転写ベルト13上に1次転写される。このように、中間転写ベルト13の表面上に、4色のトナー像が重畳して転写され未定着のフルカラーのトナー像が形成される。
【0029】
1次転写ニップ部T1において中間転写ベルト13上に1次転写されずに、感光ドラム1の表面上に残ったトナーは、感光ドラム1に当接したクリーニング手段であるクリーニング装置(不図示)によって回収される。一方、所定のタイミングで給送ローラ類20が駆動される。これにより、給送ローラ類20と中板21とが協働して給紙トレイ19に積載されている用紙Sを1枚分離して給送し、用紙Sはレジストローラ対22により所定のタイミングで2次転写ニップ部T2に導入される。このとき、用紙Sが2次転写ニップ部T2を挟持搬送されていく過程で中間転写ベルト13上の4色重畳のトナー像が用紙Sの面に一括で転写される。用紙Sは、中間転写ベルト13の表面から分離されて搬送路を搬送されて定着ユニット23へ導入される。用紙S上に転写された未定着のトナー像は、定着ニップ部Qにおいて定着ユニット23により加熱、加圧され、用紙Sに定着される。
【0030】
そして、用紙Sは、定着ユニット23を通過し、フルカラー画像形成物として排出ローラ対24によって排出トレイ25上に排出される。用紙Sを分離した後の中間転写ベルト13の表面に残留したトナー(2次転写残トナー)は、中間転写ベルト13上に配置されたクリーニングユニット26によって除去される。このような画像形成動作(ジョブ)が終わると現像離間機構50が動作し、ドラムユニットOPの感光ドラム1と現像ユニットDPの現像ローラ3とが離間して、各種電圧印加部と駆動を停止することによって画像形成が終了する。
【0031】
[4.ドラムゴースト]
感光ドラム1の表面に形成された表面電位は、画像形成プロセスを経ることによって変化する。特に、潜像プロセスや帯電プロセス、転写プロセスによって感光ドラム1の表面電位は変化する。感光ドラム1に形成される表面電位は、上述したような帯電プロセスや転写プロセスといった放電を伴うプロセスにおける放電の大きさによる影響と、放電を受ける前に形成されている表面電位による影響とをそれぞれ受ける。より具体的には、用紙Sに画像を形成するために、感光ドラム1の表面にトナー像が形成される画像形成部(明部電位:Vl領域)と、トナー像が形成されない非画像形成部(暗部電位:Vd領域)と、が形成された場合に、転写後の両者の表面状態に差が生じる。その状態で帯電ローラ2によって放電が発生すると、帯電後の表面電位に差が生じることがある。画像形成中に転写ローラ17に印加される転写電圧は、感光ドラム1に形成される表面電位とは逆極性である正極性を有するために、感光ドラム1の表面に正極性の残留電荷が生じる。その正極性の残留電荷の量は感光ドラム1の表面電位によって異なる。そのため、帯電での放電によって画像形成部であった領域と非画像形成部であった領域とが同じ表面電位を形成することができたとしても、時間経過した後の潜像プロセスや現像プロセスを行う際には、残留電荷の影響から表面電位の絶対値が減少することがある。
【0032】
感光ドラム1の外周表面上には、トナー像が一旦形成されると、トナー像が転写された後に、そのトナー像が形成された電位が残る。そのため、次に感光ドラム1の外周表面上に形成される画像に、前回形成されたトナー画像の残像が履歴として発生する場合がある。この現象をドラムゴーストという。具体的には、感光ドラム1の外周表面上に回転1周目の画像形成後に残った履歴画像の画像形成部と非画像形成部との電位差が、回転2周目の画像形成時にも残り、用紙S上に出力される2周目の画像上にその履歴画像による濃淡が出てしまう現象である。
【0033】
ドラムゴーストが発生するプロセスは以下であると考えられる。感光ドラム1が1周する際の、帯電、潜像、現像、転写の各プロセスを1サイクルの画像形成プロセスと定義する。この場合、1サイクル目の画像形成プロセスが終了した後の感光ドラム1の表面には電位差が残っている。この1サイクル目の電位差は、2サイクル目に感光ドラム1の表面を帯電ローラ2により一様に帯電する際にも完全には消えずに残る。このため、結果的に感光ドラム1の表面は一様に帯電されておらず、この帯電後に残った電位差は、露光後も消えずに残ることがある。そのため、2サイクル目の感光ドラム1の露光後の静電潜像は、1サイクル目の電位差の影響が残っていることから電位が一様にはならない。この2サイクル目の感光ドラム1の外周表面上の静電潜像を現像する場合には、非画像形成部に付着するトナーの量が、残っていた1サイクル目の電位差により異なってくる。つまり、一様であるはずの2サイクル目のトナー像には、1サイクル目の静電潜像の電位差の影響により、トナー量の多い部分と少ない部分とが生じる。よって、中間転写ベルト13に転写されたトナー像にもトナー量が異なることによる濃淡が生じて、最終的な用紙S上の画像にも色の濃い部分と淡い部分の濃淡が発生する。ドラムゴーストのメカニズムに関して、具体的には後述する。
【0034】
(前露光ユニット)
そこで、実施例1では、感光ドラム1に生じる電位差をキャンセルして、ドラムゴーストの発生を抑制するために、後述する照射手段である前露光ユニット55を配置する。前露光ユニット55は、感光ドラム1が1次転写ニップ部T1を通過して、帯電ローラ2との接触部に到達する前の感光ドラム1の表面を露光する役割を担う。感光ドラム1の画像形成部と非画像形成部における表面の電荷の状態が異なったとしても、前露光ユニット55によって電荷がリセットされ、感光ドラム1の表面が均一に除電されることとなる。感光ドラム1の表面が均一に除電されることによって帯電ローラ2による感光ドラム1の電位形成も均一に行われる。これにより、感光ドラム1で生じるドラムゴーストの発生を抑制することができる。
【0035】
(ドラムゴーストとドラムゴースト発生のメカニズム)
実際にドラムゴーストが生じた場合に形成される画像について説明する。ここで、感光ドラム1の外周の長さをLとする。
図4(a)は用紙S上に形成したい(ドラムゴーストがなければ出力されるはずの)画像を示し、(b)はドラムゴーストが発生した場合に用紙Sに形成される画像を示す。感光ドラム1を画像形成装置100にセットし、感光ドラム1の表面電位を調整した状態で
図4(a)に示すような画像を出力すると、
図4(b)に示したような画像弊害が発生することがある。
図4(a)には先端側にベタ黒パッチ500が含まれている。この場合、
図4(b)のベタ黒パッチ500の先端側の端部から長さLである感光ドラム1の1周回転後にドラムゴースト500gによる画像弊害が現れる。ドラムゴースト500gのような画像弊害は、特に、高温多湿の環境において顕著となる。具体的には、画像形成部においてベタ黒パッチ500を印字した部分が、再度、画像形成に寄与する場合に所定の感光ドラム1上の表面電位を形成することができずに濃度が変化する現象である。
【0036】
画像中にドラムゴーストが発生するメカニズムについて、以下に詳細に説明する。前述したように、感光ドラム1上に露光を受けた部分と受けていない部分とが、次の帯電工程で帯電を受けたときの電位差からドラムゴーストが発生することがある。前の工程で露光を受けている部分は、残留電荷などの影響で、次の帯電工程で電位差が生じる。その様子を
図4(c)に示す。
図4(c)は、感光ドラム1の表面電位と長手方向の位置との関係を示している。また、感光ドラム1の回転軸方向において、露光した部分(前回露光部(前回画像部))と露光しなかった部分(前回非露光部(前回非画像部))を再帯電、再露光させたときの感光ドラム1の表面電位を示している。
図4(c)は横軸に、感光ドラム1の長手方向(回転軸方向)の位置を示し、縦軸に感光ドラム1の表面電位(-V)を示す。破線は帯電後の電位を示し、実線は露光後の電位を示す。
【0037】
図4(c)のように、再度、露光工程で露光を受けると、前の工程で露光を受けている部分(前回画像部y)と露光を受けていない部分(前回非画像部x)とで露光後の電位に差(図中z部)が生じる。すなわち、感光ドラム1の1周回転前に露光された前回画像部yと、感光ドラム1の1周回転前に露光されなかった前回非画像部xとの電位差が、次の画像形成時にも感光ドラム1に残ってしまう。この電位差(z部)が大きくなると、最終的に形成した画像に濃度差であるドラムゴーストが生じることとなる。
【0038】
[5.プロセスカートリッジとカートリッジトレイの関係]
次に
図2、
図5を用いて、カートリッジトレイ40と、プロセスカートリッジPPがカートリッジトレイ40に装着されている状態とについて説明する。なお、
図5において添え字Rは右側(駆動側)の部材であることを示し、添え字Lは左側(非駆動側)の部材であることを示している。カートリッジトレイ40は、プロセスカートリッジPPを保持した状態で画像形成装置100の内部位置と外部位置とを移動する移動部材であって、プロセスカートリッジPPの交換を容易に行うためのものである。カートリッジトレイ40は、プロセスカートリッジPPを着脱可能に構成されている。
【0039】
図5(a)はプロセスカートリッジPPが装着されたカートリッジトレイ40の上方右側からの斜視図、
図5(b)はプロセスカートリッジPPが装着されたカートリッジトレイ40の下方左側からの斜視図である。ここで、プロセスカートリッジPPは各色で装着状態は同じであるため、1つのプロセスカートリッジPPについて説明する。プロセスカートリッジPPは、カートリッジトレイ40に装着された状態において、ドラムフランジ1aがカートリッジトレイ40の係合部41Raと接している。そして、自重又は下方向への押圧によって重力方向に力が加わることで、プロセスカートリッジPPはカートリッジトレイ40に対して位置決めされている。カートリッジトレイ40のカートリッジ係合部41Raは例えばV字型をしており、画像形成時においてプロセスカートリッジPPが動かないように最適な角度に設計されている。具体的には、カートリッジトレイ40の引出し方向に対して、前側の斜面が65°、後側の斜面が45°となっている。また、プロセスカートリッジPPの溝部1dが、カートリッジトレイ40の係合ボス42a(43a、44a、45a)に嵌合しており、プロセスカートリッジPPの回転止めの役割を担っている。具体的には、プロセスカートリッジPPKの溝部1dが、カートリッジトレイ40の係合ボス42aに嵌合している。プロセスカートリッジPPCの溝部1dが、カートリッジトレイ40の係合ボス43aに嵌合している。プロセスカートリッジPPMの溝部1dが、カートリッジトレイ40の係合ボス44aに嵌合している。プロセスカートリッジPPYの溝部1dが、カートリッジトレイ40の係合ボス45aに嵌合している。これらはカートリッジトレイ40の駆動側の説明であるが、非駆動側も同様にプロセスカートリッジPPがカートリッジトレイ40に接することで姿勢を保持している。そして、カートリッジトレイ40はプロセスカートリッジPPを保持した状態で画像形成装置100内に位置決めされている。
【0040】
カートリッジトレイ40は、各プロセスカートリッジPPに対応するカートリッジ係合部41Ra、41La(不図示)をそれぞれ有する一対の金属からなるトレイ側板41L、41Rを有している。またカートリッジトレイ40は、一対のトレイ側板41L、41Rの間に構成された5つの樹脂製の連結部材とからなる。連結部材は、第4ステーションのプロセスカートリッジPPKと係合する係合ボス42aを備える第1連結部材42を備える。以降、前側から順に第3ステーションの係合ボス43aを備える第2連結部材43、第2ステーションの係合ボス44aを備える第3連結部材44、第1ステーションの係合ボス45aを備える第4連結部材45と、第5連結部材46である。なお、第2連結部材43、第3連結部材44、第4連結部材45は同じ形状をした部材である。トレイ側板41(41L、41R)は、下部に比べて上部が外側に絞られた形状をしており、トレイ側板41L、41Rの間においては上方が広く、中間に斜面、下方が狭くなっている。下部はカートリッジトレイ40のカートリッジ係合部41Raと連結部材との位置決めを備え、上部は係合ボス42a~45aの近傍の第1連結部材42~第4連結部材45の回転止めを担っている。このような形状にすることにより、プロセスカートリッジPPの挿抜性を損なうことなく、カートリッジトレイ40の左右幅を小さくすることができるため、画像形成装置100の小型化に貢献している。また、トレイ側板41L、41Rは下側がL字に曲がっており、強度の確保をしている。トレイ側板41L、41Rと各連結部材はビスで締結しているが、これに限ったことではなく、熱カシメ等を用いても良い。また、第1連結部材42及び第5連結部材46とトレイ側板41L、41Rは締結し、間にある第2連結部材43、第3連結部材44、第4連結部材45は締結しないといった構成でも良い。
【0041】
[6.前露光ユニット]
続いて、実施例1における除電ユニットとしての前露光ユニット55について説明する。
図5(b)に示すように、カートリッジトレイ40の下方にはライトガイド57(ガイド)が4本あり、それぞれトレイガイド部材47Lを貫通する形で、第1連結部材42、第2連結部材43、第3連結部材44、第4連結部材45にそれぞれ設けられている。駆動側にはトレイガイド部材47Rが設けられている。実施例1では、直径4mmの円柱状のライトガイドを用いている。
【0042】
図6は前露光ユニット55の構成を示す図である。前露光ユニット55は、光源である発光部58と、発光部58が一端(非駆動側)に設けられ、発光部58から出射された光を感光ドラム1の回転軸方向に導くライトガイド57と、を有している。前露光ユニット55は、転写ローラ17によりトナー像を中間転写ベルト13に転写した後に感光ドラム1に光を照射する。ライトガイド57には、成形時にエジェクターピンを打つための複数のタブ57aがあり、カートリッジトレイ40に対して位置決めし、逆に付けられないようにするための役割も担っている。また、ライトガイド57には、斜面部を含むリブ57bがあり、カートリッジトレイ40に対して取り付ける際に回転方向の位相を決められるようになっている。画像形成装置100の非駆動側に設けられた、LED等の発光手段である発光部58によって発せられた光が、本体側に設けられたサブライトガイド56を介してライトガイド57に入光する。そして、ライトガイド57の内部に形成されたフレネル形状を有するフレネル部57cによって均一に光を分散する。フレネル部57cによって分散した光を感光ドラム1の表面上に照射することにより、帯電ローラ2によって帯電される前に感光ドラム1の表面上に形成された表面電位を所定の表面電位まで除電し、表面電位を安定させる。
【0043】
フレネル部57cは、頂角が略114度の浅い山型の形状が感光ドラム1の回転軸線方向に対して80度傾きながら略0.7mmピッチで続いた形状が、感光ドラム1に対向する位置とは反対側の面に並んでいる。なお、プロセスカートリッジPPがカートリッジトレイ40に位置決めされた状態において、ライトガイド57の表面と感光ドラム1の表面とのクリアランスはおよそ5.6mmとなっている。また、ライトガイド57は、例えば、アクリル等の透明な材質で成形されているが、透明であれば材質は問わない。なお、実施例1においては、入光側を非駆動側としているが、駆動側としてもよい。また、光量が足りない場合は両端に発光部58を設けてもよい。発光部58はLEDに限らず、レーザダイオードなどの素子を用いてもよい。
【0044】
ライトガイド57内の光量は入光側が一番強く、入光側と反対側の非入光側の他端部に向かうにつれフレネル部57cにて分散され感光ドラム1上に照射されるため、弱くなってしまう。そこで、長手方向で均一に光の照射を行うために、ライトガイド57の入光側と反対側とではフレネル部57cの幅が異なっている。実施例1では、フレネル部57cの幅は、入光側では0.8mm程度、反対側にかけて1.7mm程度に変化する形状となっている。
【0045】
しかしながら、厚肉であるライトガイド57は成形の際に発生する気泡を完全に防ぐことが難しく、この気泡にライトガイド57内の光が当たると乱反射が生じてしまう。特に光量が強い入光側では気泡による乱反射の影響を受けやすく、部分的に照射光量が高くなり除電ムラが発生する。実施例1ではこの課題の解決のために、次のような構成としている。すなわち、ライトガイド57を保持する第1連結部材42、第2連結部材43、第3連結部材44、第4連結部材45のそれぞれに、ライトガイド57から照射される光を低下させる遮蔽部材48(
図7参照)を設けている。そして、遮蔽部材48によって部分的に除電量が高くなった箇所の照射光量を低下させている。遮蔽部材48はカートリッジトレイ40に設けられている。実施例1では遮蔽部材48はそれぞれ第1連結部材42、第2連結部材43、第3連結部材44、第4連結部材45と一体となっているが、これは別体としてもよい。
【0046】
(遮蔽部材)
図7に第4ステーションの第1連結部材42に遮蔽部材48を設けている図を示す。以後の図では、代表的に第4ステーションでの構成を示すが、他の第1~3ステーションも同等の構成である。遮蔽部材48は光を透過しない材料で形成され、遮蔽部材48を設けていない部分から感光ドラム1へ光が照射されるように構成している。すなわち、遮蔽部材48の形状を変化させることで感光ドラム1への照射光を遮る量を調整することができる。言い換えれば、遮蔽部材48の形状によって、感光ドラム1の回転軸方向において前露光ユニット55から照射される光を遮蔽する量を変化させることが出来る。実施例1では、フレネル部57cの中心と感光ドラム1の中心とを結ぶ仮想線Lfd(以下、線Lfdとする)に対し、第1の方向である垂直方向(直交する方向:
図7(a)中両矢印方向)に遮蔽部材48を延伸することで、照射光の光量を調整する。すなわち、遮蔽部材48は、ライトガイド57と感光ドラム1とを結ぶ線Lfdに直交する垂直方向において線Lfdに向かう方向の長さが、発光部58に近づくほど長い。また、
図7(b)のように、遮蔽部材48は、線Lfdに対して第2の方向である水平方向(
図7(b)中両矢印方向)に長さ(厚み)を変化させることで照射光を遮る量を調整してもよい。すなわち、遮蔽部材48は、線Lfdに平行な水平方向において水平方向の長さが、発光部58に近づくほど長くしてもよい。また、線Lfdに対し垂直方向及び水平方向に長さを変化させて照射光の光量を調整してもよい。このように、遮蔽部材48は、感光ドラム1の回転軸線方向の中央部に対し、入光側と反対側の他端側とで光量の低減量が異なるように設けられている。具体的には、遮蔽部材48は、感光ドラム1の回転軸方向において発光部58に近いほど前露光ユニット55から照射される光を遮蔽する量が大きい。
【0047】
(実施例1と比較例)
図8に光量測定治具を用いて測定した感光ドラム1上に照射される光量を示す。
図8は横軸にライトガイド57の長手方向における位置を示し、0を非駆動側(光源側、一端部)とし右に行くほど駆動側(非光源側、他端部)に近づくものとする。縦軸は感光ドラム1に照射される光量[V]を示す。発光部58からライトガイド57を通して感光ドラム1上に照射される光量を、光量測定治具を用いて測定し、長手方向での光量変化の比較を行った。光量測定治具は受光部にSi型フォトダイオードS6775(浜松ホトニクス製)を用いて光を電圧へ変換して評価を行っている。比較例1は、実施例1を用いない場合(遮蔽部材48を設けない場合)の照射光量を示し、実施例1は遮蔽部材48を設けた場合の照射光量を示している。比較例1(破線)では、光源側の約1/3の範囲での照射光量が高く、反対の他端部(非光源側)と比較すると、光量が2倍程度に高くなっている箇所もある。一方、実施例1(実線)では、ライトガイド57の長手方向において略一定の光量となっている。
【0048】
ここで、実施例1の遮蔽部材48について具体的な構成を説明する。
図9は、いずれも感光ドラム1側からライトガイド57及び遮蔽部材48を見た図を示している。
図9(a)は
図8の実施例1のライトガイド57の構成を示す図である。実施例1では、
図9(a)に示すように、遮蔽部材48は、発光部58が設けられている入光側では、線Lfdに対して垂直方向の距離α1を1mmまで延伸し照射光量を低下させる。一方、遮蔽部材48は、その他の範囲に関しては距離α2を遮蔽の影響が低くなる1.3mmとしている。例えば遮蔽部材48は、感光ドラム1の回転軸線方向を3つの領域に分割(3分割)した際に、少なくとも(最低でも)1つの領域における光量の低減量が、他の領域における低減量とは異なるように設けられている。このように、遮蔽部材48の延伸の度合いを長手方向で変化させて第1連結部材42に設けることで、長手方向の照射光量の均一化を行うことができた。しかしながら、本発明はこれに限定されない。光源側ではなく非光源側の照射光量が高くなっている場合、非光源側における線Lfdと遮蔽部材48との距離を小さくしてもよい。
【0049】
また、比較例1において、入光側の約1/3の範囲の照射光量が高く他の部分が均一である。このため、遮蔽部材48は
図9(a)の形状で変化をさせていたが、本発明はこれに限定されない。遮蔽部材48がないときの照射光量の長手方向における分布に基づき、遮蔽部材48は例えば
図9(b)、(c)に示すような形状で変化させて光量の均一化を行ってもよい。ここで、
図9(b)、(c)には遮蔽部材48の他の実施例を示す。具体的には、
図9(b)、(c)に示すように、遮蔽部材48は、入光側(光源側)から所定の位置までは、線Lfdと遮蔽部材48との距離が徐々に大きくなるようにし、所定の位置から非光源側までは一定の距離を保つようにしてもよい。また、
図9(b)に示すように、線Lfdと遮蔽部材48との距離が線形的に大きくなるようにしてもよいし、
図9(c)に示すように曲線的に大きくなるようにしてもよい。
【0050】
また、実施例1におけるライトガイド57は、カートリッジトレイ40に備えられている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。ここで
図10(a)にライトガイド57を設ける場所の他の実施例を示す。例えば、
図10(a)のように、ライトガイド57は、プロセスカートリッジPPに備えられていてもよい。これに応じて遮蔽部材48もプロセスカートリッジPPに備えられていてもよい。
また、実施例1においてライトガイド57の形状は円柱形状としている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。ここで
図10(b)(c)にライトガイド57の形状の他の実施例を示す。例えば、ライトガイド57の形状は、
図10(b)に示すように感光ドラム1の回転軸方向に直交する断面の形状を矩形形状とし、四角柱としてもよい。また、ライトガイド57の形状は、
図10(c)に示すように感光ドラム1の回転軸方向に直交する断面の形状を多角形形状とし、多角柱としてもよい。このように、ライトガイド57は、感光ドラム1の回転軸方向に直交する断面の形状が、例えば円形状、矩形形状又は多角形形状であってもよい。
また、実施例1においてライトガイド57の端部形状については、両端部共にフラットな面が形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。入光側はフラットな面が好ましいが、非入光側に関しては、光が反射しやすいように、三角錐や円錐などとすることで入光した光の反射率を上げる構成としてもよい。また、非入光側のライトガイド57の端部に光を遮蔽するキャップ形状の遮蔽材を設けてもよい。
【0051】
[変形例]
実施例1の遮蔽部材の変形例を説明する。
図11は遮蔽部材48の変形例を示す図である。実施例1では、遮蔽部材48はライトガイド57の上部にのみ配置されている構成であった。しかしながら本発明は、これに限定されない。例えば、
図11(a)のように、ライトガイド57の下部に遮蔽部材48aを配置してもよい。また、
図11(b)のように、ライトガイド57の上下両側に第1の遮蔽部材48b、第2の遮蔽部材48cを配置してもよい。すなわち、第2の遮蔽部材48cは、線Lfdに対して第1の遮蔽部材48bとは反対側に設けられていてもよい。いずれの場合においても、遮蔽部材48a又は遮蔽部材48b、48c、線Lfdに直交する方向の長さ又は水平方向の長さを変更することで発光部58から感光ドラム1に入射する光量を調整する。
更に、実施例1では、ライトガイド57を第1のライトガイドとすると、第1のライトガイドに光を導入させるための第2のライトガイドであるサブライトガイド56を、光源との軸線方向の間に設けた。しかし、サブライトガイド56を設けずに発光部58からの光を直接ライトガイド57に入射させてもよい。
【0052】
以上、実施例1によれば、前露光ユニットにライトガイドを設ける構成において、感光ドラムの長手方向の除電ムラを抑制することができる。
【実施例2】
【0053】
[遮蔽部材]
実施例2で適用する画像形成装置100の構成において、実施例1と同一部材には同一符号とし、説明を省略する。実施例1において遮蔽部材48は光を透過しない部材を用いる構成であり、遮蔽部材48の形状を変化させることで感光ドラム1上の除電量を長手方向で均一化を行っていた。
【0054】
図12は実施例2の遮蔽部材を説明する図である。実施例2では
図12のように遮蔽部材として光を透過しつつ減衰させる光学フィルタ49を用いており、ライトガイド57からの照射光が光学フィルタ49を通過して感光ドラム1へ到達するように配置されている。発光部58からの照射光量が高い部分へ光学フィルタ49を設けることで、遮蔽部材の位置精度によらず、照射光量を低下することができる。
【0055】
図13は実施例2の光学フィルタ49の構成例を示す図である。
図13に示すように、ライトガイド57の長手方向において、発光部58から感光ドラム1への照射光量に応じて、透過率が異なる光学フィルタ49(49a,49b,49c)を分割して設けてもよい。具体的には、
図13(a)に示すように、光源側から順に、透過率τ1の光学フィルタ49a、透過率τ2の光学フィルタ49b、透過率τ3の光学フィルタ49cを設ける(τ3>τ2>τ1)。ここで、光源側から離れるほど透過率が高くなるように光学フィルタ49を配置する。このように、
図13(a)の遮蔽部材は、前露光ユニット55から照射された光を透過する光学フィルタ49であって、感光ドラム1の回転軸方向に配置された透過率が異なる複数の光学フィルタ49a、49b、49cを有する。
【0056】
また、
図13(b)に示すように、発光部58から感光ドラム1への照射光量に応じて、透過率分布の異なる特性を有する光学フィルタ49dを用いてもよい。具体的には、光学フィルタ49dは、ライトガイド57の長手方向に沿って設けられる。光学フィルタ49dは、光源側から離れるほど透過率が高くなるような特性を有している。このように、
図13(b)の遮蔽部材は、感光ドラム1の回転軸方向に透過率が異なる特性を有し、前露光ユニット55から照射された光を透過する光学フィルタ49dを有する。なお、
図13(a)、(b)の光学フィルタ49は、ライトガイド57が設けられている位置(カートリッジトレイ40又はカートリッジPP)に応じて設ければよい。
【0057】
以上、実施例2によれば、前露光ユニットにライトガイドを設ける構成において、感光ドラムの長手方向の除電ムラを抑制することができる。
【符号の説明】
【0058】
48 遮蔽部材
55 前露光ユニット
57 ライトガイド
58 発光部