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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
H02M3/28 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020173268
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2022064560
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】細川 良晃
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-234892(JP,A)
【文献】特開平10-248257(JP,A)
【文献】特開2004-236485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合する2次巻線と、を備えるトランス回路と、
前記1次巻線に励磁電流を供給するスイッチング回路と、
前記2次巻線に接続された平滑用コンデンサと、
過電流保護回路と、
を具備し、
前記過電流保護回路は、
前記平滑用コンデンサと負荷との間に接続された過電流検出抵抗と、
前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第1のコンパレータと、
前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第2のコンパレータと、
直列接続された複数の抵抗を具備し、前記平滑用コンデンサの高電位側の端子と、低電位側の端子との間に接続された分圧抵抗群と、
前記第2のコンパレータの1対の入力端子のいずれかへの入力信号を遅延させる遅延用コンデンサを具備し、前記分圧抵抗群に含まれる1対の抵抗の接続点と接続された遅延回路と、
前記第1のコンパレータまたは前記第2のコンパレータから出力された信号に応じて前記スイッチング回路を停止させる動作停止回路と、
を具備する電源装置。
【請求項2】
前記第1のコンパレータは、第1の閾値以上の電流が前記過電流検出抵抗に流れた場合に、信号を前記動作停止回路に出力し、
前記第2のコンパレータ及び前記遅延回路は、前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上の電流が、前記過電流検出抵抗に流れた時間に応じて、信号を前記動作停止回路に出力する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
負荷に電力を供給する直流電源と、
前記直流電源の出力端子と前記負荷との間に設けられた過電流保護回路と、
を具備し、
前記過電流保護回路は、
前記直流電源の出力端子と前記負荷との間に接続された過電流検出抵抗と、
前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第1のコンパレータと、
前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第2のコンパレータと、
直列接続された複数の抵抗を具備し、平滑用コンデンサの高電位側の端子と、低電位側の端子との間に接続された分圧抵抗群と、
前記第2のコンパレータの1対の入力端子のいずれかへの入力信号を遅延させる遅延用コンデンサを具備し、前記分圧抵抗群に含まれる1対の抵抗の接続点と接続された遅延回路と、
前記第1のコンパレータまたは前記第2のコンパレータの出力に応じて、前記直流電源から前記負荷への電力の供給を停止させる動作停止回路と、
を具備する電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を変換する電源装置(電力変換回路)が一般的に用いられている。電源装置は、入力される電力を負荷の定格に応じた直流電力に変換する電力変換処理を行い、直流電力を負荷に供給する。
【0003】
電源装置は、負荷に過電流が流れることを防ぐために、過電流保護回路を備える。過電流保護回路は、コンパレータの1対の入力端子の電位の比較結果に基づいて、電力変換処理を停止させる。コンパレータの1対の入力端子には、過電流検出抵抗の前後の電位がそれぞれ抵抗により分圧されて入力される。過電流保護回路は、負荷に流れる電流が予め設定された閾値以上になった場合(過電流が流れた場合)に、コンパレータの入力端子に入力される電位の大小関係が入れ替わるように構成されている。これにより、過電流保護回路は、負荷に過電流が流れ続けることを防ぐことができる。
【0004】
しかしながら、閾値未満の電流(過電流には満たない電流)であっても、長時間流れ続けることにより、負荷に発煙、発火、絶縁破壊、温度増加などの悪影響を与える可能性がある。この為、過電流に対してマージンを持つように電力変換回路を設計する必要があるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-161725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、コストを抑え、且つ安全に動作する電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電源装置は、トランス回路と、スイッチング回路と、平滑用コンデンサと、過電流保護回路とを具備する。前記過電流保護回路は、前記平滑用コンデンサと負荷との間に接続された過電流検出抵抗と、前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第1のコンパレータと、前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第2のコンパレータと、直列接続された複数の抵抗を具備し、前記平滑用コンデンサの高電位側の端子と、低電位側の端子との間に接続された分圧抵抗群と、前記第2のコンパレータの1対の入力端子のいずれかへの入力信号を遅延させる遅延用コンデンサを具備し、前記分圧抵抗群に含まれる1対の抵抗の接続点と接続された遅延回路と、前記第1のコンパレータまたは前記第2のコンパレータから出力された信号に応じて前記スイッチング回路を停止させる動作停止回路と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る商品登録装置の構成例について説明する為の図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電力変換回路の構成例について説明する為の図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る電力変換回路の動作の例について説明する為の説明図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る電力変換回路の動作の例について説明する為の説明図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る電力変換回路の他の構成例について説明する為の図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る電力変換回路の構成例について説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る商品登録装置1について説明する為の説明図である。
【0010】
商品登録装置1は、小売店などの店舗において、利用者が購入する商品の一覧を示す商品リストを生成し、商品リストに基づいて決済を行うシステムである。商品登録装置1は、所謂POS(Point of Sale)レジである。商品登録装置1は、商品情報処理部11及び電源ユニット12を備える。
【0011】
商品情報処理部11は、システムコントローラ21、通信インタフェース22、タッチパネル23、スキャナ24、及びプリンタ25などを備える。
【0012】
システムコントローラ21は、商品登録装置1の制御を行う。システムコントローラ21は、例えば、プロセッサ31及びメモリ32を備える。
【0013】
プロセッサ31は、演算処理を実行する演算素子(たとえば、CPU)である。プロセッサ31は、システムコントローラ21の動作の主体となる。プロセッサ31は、メモリ32に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ31は、メモリ32に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0014】
メモリ32は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する記憶装置である。また、メモリ32は、プロセッサ31の処理中のデータなどを一時的に格納する。メモリ32は、不揮発性メモリとして構成される。
【0015】
通信インタフェース22は、ネットワークを介して、他の機器(例えば小売店の店舗サーバ、または小売システムにおける中央サーバなど)との通信を中継するインタフェースである。
【0016】
タッチパネル23は、画面の表示と、操作に基づく操作信号の生成とを行う装置である。タッチパネル23は、ディスプレイ33及びタッチセンサ34を備える。
【0017】
ディスプレイ33は、システムコントローラ21または図示されないグラフィックコントローラから供給される表示用のデータ(画面データ)に基づいて画面を表示する。
【0018】
タッチセンサ34は、ディスプレイ33に表示された画面上において商品登録装置1を操作するユーザがタッチした位置を示す操作信号を生成する。
【0019】
スキャナ24は、商品からコード(バーコードまたは二次元コードなど)を取得し、システムコントローラ21に供給する。
【0020】
プリンタ25は、システムコントローラ21の制御に基づいて、レシートを印刷する。
【0021】
上記の構成において、システムコントローラ21のプロセッサ31は、スキャナ24により商品から情報を取得し、商品リストを生成する。プロセッサ31は、商品リストと、利用者がタッチパネルにより入力した情報に基づいて、決済を行う。さらに、プロセッサ31は、決済の結果を出力する。例えば、プロセッサ31は、プリンタ25によって決済の結果をレシートとして出力する。
【0022】
電源ユニット12は、入力された交流電力を負荷の仕様に応じた直流電力に変換し、負荷に供給する電源装置である。電源ユニット12は、商品登録装置1のシステムコントローラ21、通信インタフェース22、タッチパネル23、スキャナ24、及びプリンタ25などの負荷に電力を供給する。
【0023】
また、商品登録装置1は、バッテリをさらに備える構成であってもよい。バッテリは、商品登録装置1の各構成に動作の為の電力を供給する直流電力源である。バッテリは、例えば、セパレータを介して正極及び負極が積層された電極群を備えるリチウムイオン二次電池として構成される。この場合、電源ユニット12は、バッテリに直流電力を供給し、バッテリを充電してもよい。
【0024】
電源ユニット12は、フィルタ回路41及び電力変換回路42を備える。
【0025】
フィルタ回路41は、交流電力源(商用電源)ACと、電力変換回路42との間に接続される。フィルタ回路41は、電力変換回路42におけるノイズが、交流電力源ACに漏洩することを防ぐノイズ除去回路である。フィルタ回路41は、例えばEMCフィルタである。フィルタ回路41は、例えばコンデンサにより構成されている。
【0026】
電力変換回路42は、負荷に対して任意の電圧値の直流電力を供給する回路である。
【0027】
図2は、電力変換回路42について詳細に説明する為の説明図である。
電力変換回路42は、1次整流平滑回路51、トランス回路52、スイッチング回路53、2次整流平滑回路54、及び過電流保護回路55を備える。電力変換回路42は、トランス回路52の絶縁トランスより入力側である1次側と、絶縁トランスより出力側である2次側とを有する。1次整流平滑回路51、トランス回路52、スイッチング回路53が、1次側の構成として設けられている。また、トランス回路52、2次整流平滑回路54、及び過電流保護回路55が、2次側の構成として設けられている。
【0028】
まず、電力変換回路42の1次側の構成について説明する。
1次整流平滑回路51は、例えば、整流ブリッジ61と、平滑用コンデンサCaとを備える。
【0029】
整流ブリッジ61は、複数のダイオードにより構成された全波整流回路である。整流ブリッジ61の1対の入力端子は、上記のフィルタ回路41を介して、交流電源ACに接続される。整流ブリッジ61は、入力される交流電圧を整流し、脈流電圧を出力する。
【0030】
平滑用コンデンサCaは、整流ブリッジ61の1対の出力端子に接続される。また、平滑用コンデンサCaの両端子は、1次整流平滑回路51の出力端子を構成する。平滑用コンデンサCaは、整流ブリッジ61から出力された脈流電圧を平滑化し、後段の回路に直流電圧を供給する。
【0031】
上記の構成により、1次整流平滑回路51は、交流電力源ACからフィルタ回路41を介して入力された交流電力を、全波整流し、脈流化された正電圧を平滑化し、後段のスイッチング回路53に供給する。即ち、1次整流平滑回路51は、入力される交流電力により、後段回路に直流電力を供給する直流電源として機能する。
【0032】
トランス回路52は、交流電流に応じて磁界を発生させる1次側の巻線(1次巻線)Laと、1次巻線Laと絶縁され、且つ1次巻線Laに生じた磁界により誘導電流が生じる2次側の巻線(2次巻線)Lbとを有する。即ち、1次巻線Laと、2次巻線Lbとは、電磁結合するように構成されている。
【0033】
スイッチング回路53は、1次整流平滑回路51とトランス回路52との間に接続されている。スイッチング回路53は、1次整流平滑回路51の平滑用コンデンサCaから1次巻線Laに流れる電流を、スイッチングによりオンオフ制御する回路である。スイッチング回路53は、半導体スイッチQa、制御IC62、及びフォトカプラPCaのフォトトランジスタPTaを備える。
【0034】
半導体スイッチQaは、制御IC62の制御に基づいて、導通状態を切り替える半導体スイッチである。半導体スイッチQaは、制御IC62の制御に基づいて、平滑用コンデンサCaから1次巻線Laに流れる電流をオンオフする。例えばn型チャネルFETである。半導体スイッチQaのドレイン端子は、トランス回路52の1次巻線Laの一方の端子に接続されている。Qaのゲート端子は、制御IC62に接続されている。Qaのソース端子は、1次整流平滑回路51の平滑用コンデンサCaの低電位側の端子に接続されている。半導体スイッチQaは、ドレイン端子-ソース端子間を導通させる導通状態(オン状態)と、ドレイン端子-ソース端子間を非導通にする非導通状態(オフ状態)とを、制御IC62からゲート端子に入力される制御信号に基づいて切り替える。
【0035】
制御IC62は、半導体スイッチQaの導通状態を電気的に切り替える回路である。制御IC62は、半導体スイッチQaのゲート端子に高周波のパルス信号(制御信号)を入力する。これにより、制御IC62は、半導体スイッチQaをオン状態と、オフ状態と、で高速に切り替えるスイッチング動作を行う。
【0036】
半導体スイッチQaがオン状態である場合、平滑用コンデンサCaから1次巻線Laに電力が供給される。また、半導体スイッチQaがオフ状態である場合、平滑用コンデンサCaから1次巻線Laに電力が供給されない。制御IC62は、半導体スイッチQaをオン状態とオフ状態とで高速に切り替えることにより、平滑用コンデンサCaから1次巻線Laに高周波パルスを供給させる。この結果、1次巻線Laに磁界が発生する。
【0037】
上記の様に、スイッチング回路53は、直流電圧を高周波パルスに変換するフライバックコンバータとして機能する。なお、スイッチング回路53は、ハーフブリッジコンバータ、またはフルブリッジコンバータなどの他のコンバータ回路として構成されていてもよい。
【0038】
また、制御IC62は、過電流が生じていることを検出する為の端子(過電流検出端子)を備える。制御IC62は、過電流検出端子の電位が所定の値になった場合、半導体スイッチQaのゲート端子へのパルス信号の入力を停止させる。即ち、制御IC62は、過電流検出端子のGNDに対する電圧が予め設定された閾値以上である場合、スイッチング動作を停止させる。
【0039】
フォトカプラPCaは、発光ダイオードLEDaとフォトトランジスタPTaとを有する。
【0040】
フォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaは、後述の2次側に接続され、アノードからカソードに電流が流れた場合に発光する。
【0041】
フォトカプラPCaのフォトトランジスタPTaは、制御IC62の過電流検出端子と、平滑用コンデンサCaの低電位側の端子との間に接続されている。フォトトランジスタPTaのコレクタ端子は、制御IC62の過電流検出端子に接続されている。フォトトランジスタPTaのエミッタ端子は、平滑用コンデンサCaの低電位側の端子に接続されている。
【0042】
フォトカプラPCaは、発光ダイオードLEDaが発光した際にフォトトランジスタPTaのコレクタ-エミッタ間が導通(オン)する。フォトカプラPCaは、フォトトランジスタPTaがオンした場合に、制御IC62の過電流検出端子に予め設定された閾値以上の電圧が印加されるように構成されている。
【0043】
上記のように構成された電力変換回路42の1次側の構成によると、1次整流平滑回路51は、交流電圧を整流し直流電圧を出力する。スイッチング回路53は、1次整流平滑回路51から出力される直流電圧を用いて、スイッチング動作を行い、トランス回路52の1次巻線Laに励磁電流を流し、1次巻線Laに磁界を発生させる。これにより、2次側の2次巻線Lbに誘導電流が生じ、2次側に電力が供給される。
【0044】
次に、電力変換回路42の2次側の構成について説明する。
上記のように、2次整流平滑回路54、及び過電流保護回路55が、2次側の構成として設けられている。
【0045】
2次整流平滑回路54は、トランス回路52の2次巻線Lbに生じた電力を整流及び平滑化し、負荷に直流電力を供給する回路である。2次整流平滑回路54は、ダイオードDa、及び平滑用コンデンサCbを有する。2次整流平滑回路54の出力端子は、電源ユニット12の出力端子を構成している。例えば、2次整流平滑回路54の出力端子は、商品登録装置1の種々の構成である負荷(例えばシステムコントローラ21、通信インタフェース22、タッチパネル23、スキャナ24、及びプリンタ25など)が接続される。
【0046】
トランス回路52の2次巻線Lbは、1次巻線Laにより発生した磁界に応じて励磁され、電力を生成する。2次巻線Lbには、1次巻線Laと2次巻線Lbとの巻き数の比に応じた電圧が発生する。
【0047】
ダイオードDaは、アノードが2次巻線Lbに接続され、カソードが平滑用コンデンサCbの高電位側に接続されている。ダイオードDaは、2次巻線Lbに生じた電流を整流し、平滑用コンデンサCbに供給する。また、ダイオードDaは、MOSFETと同期整流用制御ICに置き換えられていてもよい。この場合、MOSFETにより同期整流を行うことができる。
【0048】
平滑用コンデンサCbは、ダイオードDaから供給された正電圧を平滑化する。平滑用コンデンサCbは、並列に接続された回路に直流電圧を供給する。平滑用コンデンサCbの両端子は、2次整流平滑回路54の出力端子を構成している。即ち、平滑用コンデンサCbには、負荷が接続される。平滑用コンデンサCbは、平滑化した直流電圧を負荷に供給する。即ち、2次整流平滑回路54は、直流電圧を出力する直流電源として機能する。
【0049】
次に、過電流保護回路55の構成について説明する。
図2に示されるように、過電流保護回路55は、コンパレータCPa、コンパレータCPb、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd、抵抗Re、抵抗Rf、ダイオードDb、ダイオードDc、フォトカプラPCaの発光ダイオードLEDa、及び遅延回路63を備える。
【0050】
コンパレータ(第1のコンパレータ)CPa及びコンパレータ(第2のコンパレータ)CPbは、それぞれ第1入力端子及び第2入力端子を備える。コンパレータCPa及びコンパレータCPbは、第1入力端子に入力される信号と、第2入力端子に入力される信号との大小の判定結果に基づいて、トリガ信号を出力する。具体的には、コンパレータCPa及びコンパレータCPbは、第1入力端子に入力される信号(第1入力端子の電位)が、第2入力端子に入力される信号(第2入力端子の電位)よりも大きくなった場合、トリガ信号を出力端子から出力する。
【0051】
ダイオードDbは、アノードがコンパレータCPaの出力端子に接続され、カソードがフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaのアノードに接続されている。
【0052】
ダイオードDcは、アノードがコンパレータCPbの出力端子に接続され、カソードがフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaのアノードに接続されている。
【0053】
フォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaは、アノードがダイオードDb及びダイオードDcのカソードに接続され、カソードがGNDに接続されている。このような構成によると、発光ダイオードLEDaは、コンパレータCPaまたはコンパレータCPbからトリガ信号が出力された場合に発光する。
【0054】
抵抗Raは、過電流検出抵抗である。抵抗Raは、例えば、平滑用コンデンサCbの低電位側の端子と、電源ユニット12の出力端子(GND側)との間に接続されている。また、抵抗Raは、例えば、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子と、電源ユニット12の出力端子(高電位側)との間に接続されていてもよい。
【0055】
抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続は、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子と、電源ユニット12の出力端子(GND側)との間に接続されている。具体的には、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子に抵抗Rbの一端が接続され、抵抗Rbの他端が抵抗Rcの一端に接続されている。また、抵抗Rcの他端が抵抗Raと電源ユニット12の出力端子(GND側)とに接続されている。また、抵抗Rbと抵抗Rcとの接続点が、コンパレータCPaの第1入力端子及びコンパレータCPbの第1入力端子に接続されている。
【0056】
抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfとの直列接続は、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子と、平滑用コンデンサCbの低電位側の端子との間に接続されている。具体的には、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子に抵抗Rdの一端が接続され、抵抗Rdの他端が抵抗Reの一端に接続され、抵抗Reの他端が抵抗Rfの一端に接続されている。また、抵抗Rfの他端が平滑用コンデンサCbの低電位側の端子と抵抗Raとに接続されている。また、抵抗Rdと抵抗Reとの接続点が、コンパレータCPaの第2入力端子に接続されている。また、抵抗Reと抵抗Rfとの接続点が、遅延回路63を介してコンパレータCPbの第2入力端子に接続されている。
【0057】
遅延回路63は、コンパレータCPbの第2入力端子に入力される信号を遅延させる。遅延回路63は、例えばRC回路として構成される。図2の例では、遅延回路63は、遅延用コンデンサCcを備える。
【0058】
遅延用コンデンサCcの一方の端子は、抵抗を介して抵抗Reと抵抗Rfとの接続点及びコンパレータCPbの第2入力端子に接続されている。また、遅延用コンデンサCcの他方の端子は、GNDに接続されている。即ち、遅延用コンデンサCcは、コンパレータCPbの第2入力端子とGNDとの間に接続されている。遅延用コンデンサCcは、コンパレータCPbの第2入力端子に入力される信号を遅延させる。即ち、遅延用コンデンサCcは、コンパレータCPbの第2入力端子に印加される電圧の変化を遅延(なだらかに)させる。
【0059】
上記のように、過電流検出抵抗である抵抗Raよりも負荷に近い位置に抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続が接続され、抵抗Raよりも平滑用コンデンサCbの低電位側の端子に近い位置に抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfとの直列接続が接続されている。
【0060】
上記のような構成によると、抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続に印加される電圧が抵抗Rb及び抵抗Rcにより分圧され、コンパレータCPaの第1入力端子及びコンパレータCPbの第1入力端子にそれぞれ印加される。抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続に印加される電圧がVaであるとした場合、コンパレータCPaの第1入力端子及びコンパレータCPbの第1入力端子に印加される電圧Vbは、Va・{Rc/(Rb+Rc)}となる。即ち、抵抗Rb及び抵抗Rcは、コンパレータCPaの第1入力端子及びコンパレータCPbの第1入力端子に印加される電圧を分圧する分圧回路(第1分圧回路)として機能する。
【0061】
また、抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfとの直列接続に印加される電圧が抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfとにより分圧され、コンパレータCPaの第2入力端子及びコンパレータCPbの第2入力端子にそれぞれ印加される。抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfとの直列接続に印加される電圧がVcであるとした場合、コンパレータCPaの第2入力端子に印加される電圧Vdは、Vc・{(Re+Rf)/(Rd+Re+Rf)}となる。また、遅延用コンデンサCcの影響を考慮しない場合、コンパレータCPbの第2入力端子に印加される電圧Veは、Vc・{Rf/(Rd+Re+Rf)}となる。遅延用コンデンサCcの影響を考慮する場合、コンパレータCPbの第2入力端子に印加される電圧Veは、Vc・{Rf/(Rd+Re+Rf)}に徐々に(時間経過とともに)近づいていく。即ち、抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfとは、コンパレータCPaの第2入力端子及びコンパレータCPbの第2入力端子に印加される電圧をそれぞれ分圧する分圧回路(第2分圧回路)として機能する。
【0062】
次に、各抵抗(抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd、抵抗Re、及び抵抗Rf)の抵抗値について説明する。
【0063】
抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd、抵抗Re、及び抵抗Rfの抵抗値は、抵抗Raに流れる電流Iaが、所定の電流以上になった場合に、コンパレータCPaまたはコンパレータCPbの入力の大小関係が入れ替わるように構成されている。
【0064】
所定の電流は、過電流保護回路55において閾値となる電流である。所定の電流は、例えば、過電流閾値(第1閾値)である。また、所定の電流は、例えば過電流近傍閾値(第2閾値)である。過電流閾値及び過電流近傍閾値は、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd、抵抗Re、抵抗Rf、コンパレータCPa、及びコンパレータCPbの構成によって定まるものである。
【0065】
過電流閾値は、電力変換回路42が電力を供給する対象である負荷の定格によって定まる閾値である。過電流閾値以上の電流を、過電流と称する。
【0066】
過電流近傍閾値は、過電流閾値よりも小さく、且つ通常の動作状態における電流(以下通常電流と称する)よりも大きな値の閾値である。過電流近傍閾値以上過電流閾値未満の電流を、過電流近傍電流と称する。過電流近傍電流は、流れる時間が短時間であれば回路のマージンによって問題が生じないものの、長時間流れた場合に、回路に発煙、発火、絶縁破壊、温度増加などの問題が生じる可能性がある程度の電流である。
【0067】
上記したように、コンパレータCPaの第1入力端子には、抵抗Raよりも負荷に近い位置における電圧Vaが、抵抗Rbと抵抗Rcとによって分圧された電圧Vbが入力される。また、コンパレータCPaの第2入力端子には、抵抗Raよりも平滑用コンデンサCbに近い位置における電圧Vcが、抵抗Rdと、抵抗Reと、抵抗Rfとによって分圧された電圧Vdが入力される。
【0068】
また、コンパレータCPbの第1入力端子には、電圧Vaが分圧された電圧Vbが入力される。また、コンパレータCPbの第2入力端子には、電圧Vcが、抵抗Rdと、抵抗Reと、抵抗Rfとによって分圧された電圧Veが入力される。
【0069】
各抵抗の抵抗値は、抵抗Raに流れる電流Iaが過電流近傍閾値未満の通常電流であり、遅延用コンデンサCcの影響を無視した場合、電圧Vd>電圧Vb、且つ電圧Ve>電圧Vbとなるように構成されている。
【0070】
また、各抵抗の抵抗値は、電流Iaが過電流近傍閾値以上過電流閾値未満の過電流近傍電流であり、遅延用コンデンサCcの影響が無視できる場合、電圧Vd>電圧Vb、且つ電圧Ve<電圧Vbとなるように構成されている。
【0071】
また、各抵抗の抵抗値は、電流Iaが過電流閾値以上の過電流である場合、電圧Vd<電圧Vb、且つ電圧Ve<電圧Vbとなるように構成されている。
【0072】
具体的には、抵抗Rbの抵抗値が「51kΩ」、抵抗Rcの抵抗値が「2kΩ」、抵抗Rdの抵抗値が「51kΩ」、抵抗Reの抵抗値が「400Ω」、抵抗Rfの抵抗値が「2.6kΩ」としてそれぞれ構成されている。
【0073】
次に、電力変換回路42及び過電流保護回路55の動作について説明する。
図3は、電力変換回路42及び過電流保護回路55の動作の例について説明する為のタイミングチャートである。図3の例では、電流Iaが過電流閾値以上になる例について説明する。
【0074】
タイミングt1までは電流Iaが通常電流であるため、電圧Vd>電圧Vb、且つ電圧Ve>電圧Vbとなっている。この場合、コンパレータCPaは、第1入力端子の電圧が第2入力端子の電圧よりも低いため、トリガ信号Tcpaを出力していない。また、コンパレータCPbは、第1入力端子の電圧が第2入力端子の電圧よりも低いため、トリガ信号Tcpbを出力していない。
【0075】
タイミングt1から徐々に電流Iaが増加し、タイミングt2において電流Iaが過電流近傍閾値以上になったとする。このように、過電流検出抵抗である抵抗Raを流れる電流Iaが増加した場合、抵抗Raの前後の電位差が増加する。抵抗Raの前後の電位差が増加すると、コンパレータCPaの第1入力端子に対する第2入力端子の電圧、コンパレータCPbの第1入力端子に対する第2入力端子の電圧がそれぞれ低下する。なお、コンパレータCPbの第2入力端子には、上記のように遅延用コンデンサCcが接続されている為、第2入力端子の電圧は、緩やかに低下する。この為、電圧Vd>電圧Vb、及び電圧Ve>電圧Vbの関係が維持されている。
【0076】
次に、タイミングt3において電流Iaが過電流閾値以上になったとする。この場合、電圧Vd<電圧Vbとなる。即ち、コンパレータCPaは、第1入力端子の電圧が第2入力端子の電圧よりも高くなる。この結果、コンパレータCPaは、トリガ信号Tcpaを出力する。
【0077】
コンパレータCPaからトリガ信号Tcpaが出力されると、ダイオードDbを介してフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaに電流が流れ、発光ダイオードLEDaが発光する。
【0078】
発光ダイオードLEDaが発光すると、1次側のスイッチング回路53において、フォトカプラPCaのフォトトランジスタPTaがオンされ、制御IC62の過電流検出端子に予め設定された閾値以上の電圧が印加される。この場合、制御IC62は、半導体スイッチQaをオンオフ制御する為のパルス信号の出力を停止する。この結果、1次巻線Laに励磁電流が流れなくなり、2次巻線Lbに誘起電流が生じない状態になる。
【0079】
2次巻線Lbに誘起電流が生じない状態になると、平滑用コンデンサCbから電荷が放電される。この為、タイミングt3からタイミングt4に亘って電流Iaが減少し、電流Iaが0[A]になる。また、タイミングt5に亘って電圧Va、電圧Vb、電圧Vc、電圧Vd、及び電圧Veが減少し、電力変換回路42の出力が0[V]になる。
【0080】
上記のように、過電流保護回路55は、過電流閾値(第1閾値)以上の電流が2次側で流れたことを検出し、1次側のスイッチング回路53の動作を停止させる。これにより、電力変換回路42は、負荷に過電流が流れ続けることを防ぐことができる。
【0081】
図4は、電力変換回路42及び過電流保護回路55の動作の例について説明する為のタイミングチャートである。図4の例では、電流Iaが過電流近傍閾値以上過電流閾値未満の状態が継続する例について説明する。
【0082】
タイミングt1までは電流Iaが通常電流であるため、電圧Vd>電圧Vb、且つ電圧Ve>電圧Vbとなっている。この場合、コンパレータCPaは、第1入力端子の電圧が第2入力端子の電圧よりも低いため、トリガ信号Tcpaを出力していない。また、コンパレータCPbは、第1入力端子の電圧が第2入力端子の電圧よりも低いため、トリガ信号Tcpbを出力していない。
【0083】
タイミングt1から徐々に電流Iaが増加し、タイミングt2において電流Iaが過電流近傍閾値以上になったとする。上記したように、電流Iaが増加すると、抵抗Raの前後の電位差が増加し、コンパレータCPaの第1入力端子に対する第2入力端子の電圧、コンパレータCPbの第1入力端子に対する第2入力端子の電圧がそれぞれ低下する。なお、コンパレータCPbの第2入力端子には、上記のように遅延用コンデンサCcが接続されている為、第2入力端子の電圧Veは、緩やかに低下する。この為、電圧Vd>電圧Vb、及び電圧Ve>電圧Vbの関係が維持されている。
【0084】
次に、タイミングt3において電流Iaの増加が終わり、過電流近傍閾値以上過電流閾値未満の電流Iaが流れる状態が継続するとする。この場合、電圧Vd>電圧Vbの関係が維持される。また、電圧Ve>電圧Vbの関係も維持されているが、遅延用コンデンサCcの作用によって、電圧Veへの電荷の蓄積によって、電圧Veが徐々に低下している。
【0085】
次に、タイミングt4において、電圧Ve>電圧Vbの関係から電圧Ve<電圧Vbの関係に切り替わったとする。即ち、コンパレータCPbは、第1入力端子の電圧が第2入力端子の電圧よりも高くなる。この結果、コンパレータCPbは、トリガ信号Tcpbを出力する。
【0086】
コンパレータCPbからトリガ信号Tcpbが出力されると、ダイオードDcを介してフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaに電流が流れ、発光ダイオードLEDaが発光する。
【0087】
発光ダイオードLEDaが発光すると、1次側のスイッチング回路53において、フォトカプラPCaのフォトトランジスタPTaがオンされ、制御IC62の過電流検出端子に予め設定された閾値以上の電圧が印加される。この場合、制御IC62は、半導体スイッチQaをオンオフ制御する為のパルス信号の出力を停止する。この結果、1次巻線Laに励磁電流が流れなくなり、2次巻線Lbに誘起電流が生じない状態になる。
【0088】
2次巻線Lbに誘起電流が生じない状態になると、平滑用コンデンサCbから電荷が放電される。この為、タイミングt4からタイミングt5に亘って電流Iaが減少し、電流Iaが0[A]になる。また、電圧Va、電圧Vb、電圧Vc、電圧Vd、及び電圧Veが減少し、電力変換回路42の出力が0[V]になる。
【0089】
上記の例において、遅延用コンデンサCcが設けられていない場合、電流Iaが過電流近傍閾値以上になったタイミングt2で、コンパレータCPbの第1入力端子の電圧が第2入力端子の電圧よりも高くなる。即ち、遅延用コンデンサCcは、コンパレータCPbからトリガ信号Tcpbが出力されるタイミングを、タイミングt2からタイミングt4まで遅らせることができる。タイミングt2とタイミングt4との間隔は、遅延用コンデンサCcの時定数によって決定される。
【0090】
これにより、過電流保護回路55は、過電流近傍閾値以上の電流Iaが流れる状態が、遅延用コンデンサCcの時定数によって決定される時間だけ継続したことを検出し、1次側のスイッチング回路53の動作を停止させる。即ち、過電流保護回路55は、過電流近傍閾値以上の電流Iaが瞬間的に流れた場合には動作を継続し、過電流近傍閾値以上の電流Iaが継続して流れた場合に電力変換回路42の出力を停止させることができる。これにより、電力変換回路42は、電流近傍閾値以上過電流閾値未満の過電流近傍電流が負荷に流れ続けることを防ぐことができる。
【0091】
次に、第1の実施形態に係る電力変換回路の他の構成例について説明する。なお、同様の構成には同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0092】
図5は、電力変換回路42の変形例である電力変換回路142について説明する為の説明図である。
【0093】
電力変換回路142は、1次整流平滑回路51、トランス回路52、スイッチング回路53、2次整流平滑回路54、及び過電流保護回路155を備える。電力変換回路142は、トランス回路52の絶縁トランスより入力側である1次側と、絶縁トランスより出力側である2次側とを有する。1次整流平滑回路51、トランス回路52、スイッチング回路53が、1次側の構成として設けられている。また、トランス回路52、2次整流平滑回路54、及び過電流保護回路155が、2次側の構成として設けられている。
【0094】
図5に示されるように、過電流保護回路155は、コンパレータCPa、コンパレータCPb、コンパレータCPc、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd、抵抗Re、抵抗Rf、抵抗Rg、ダイオードDb、ダイオードDc、ダイオードDd、フォトカプラPCaの発光ダイオードLEDa、及び遅延回路163を備える。
【0095】
コンパレータCPcは、第1入力端子及び第2入力端子を備える。コンパレータCPcは、第1入力端子に入力される信号と、第2入力端子に入力される信号との大小の判定結果に基づいて、トリガ信号を出力する。具体的には、コンパレータCPcは、第1入力端子に入力される信号(第1入力端子の電位)が、第2入力端子に入力される信号(第2入力端子の電位)よりも大きくなった場合、トリガ信号を出力端子から出力する。
【0096】
ダイオードDdは、アノードがコンパレータCPcの出力端子に接続され、カソードがフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaのアノードに接続されている。
【0097】
抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続は、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子と、電源ユニット12の出力端子(GND側)との間に接続されている。具体的には、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子に抵抗Rbの一端が接続され、抵抗Rbの他端が抵抗Rcの一端に接続されている。また、抵抗Rcの他端が抵抗Raと電源ユニット12の出力端子(GND側)とに接続されている。また、抵抗Rbと抵抗Rcとの接続点が、コンパレータCPaの第1入力端子、コンパレータCPbの第1入力端子、及びコンパレータCPcの第1入力端子にそれぞれ接続されている。
【0098】
抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfと抵抗Rgとの直列接続は、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子と、平滑用コンデンサCbの低電位側の端子との間に接続されている。具体的には、平滑用コンデンサCbの高電位側の端子に抵抗Rdの一端が接続され、抵抗Rdの他端が抵抗Reの一端に接続され、抵抗Reの他端が抵抗Rfの一端に接続され、抵抗Rfの他端が抵抗Rgの一端に接続されている。また、抵抗Rgの他端が平滑用コンデンサCbの低電位側の端子と抵抗Raとに接続されている。また、抵抗Rdと抵抗Reとの接続点が、コンパレータCPaの第2入力端子に接続されている。また、抵抗Reと抵抗Rfとの接続点が、遅延回路63を介してコンパレータCPbの第2入力端子に接続されている。また、抵抗Rfと抵抗Rgとの接続点が、コンパレータCPcの第2入力端子に接続されている。
【0099】
遅延回路163は、各コンパレータに入力される信号を遅延させる。即ち、遅延回路163は、コンパレータCPaの第2入力端子に入力される信号、コンパレータCPbの第2入力端子に入力される信号、及びコンパレータCPcの第2入力端子に入力される信号をそれぞれ遅延させる。遅延回路163は、例えば、複数のRC回路として構成される。図5の例では、遅延回路163は、遅延用コンデンサCc、遅延用コンデンサCd、及び遅延用コンデンサCeを備える。
【0100】
遅延用コンデンサCdの一方の端子は、抵抗を介して抵抗Rdと抵抗Reとの接続点及びコンパレータCPaの第2入力端子に接続されている。また、遅延用コンデンサCdの他方の端子は、GNDに接続されている。即ち、遅延用コンデンサCdは、コンパレータCPaの第2入力端子とGNDとの間に接続されている。即ち、遅延用コンデンサCdは、コンパレータCPaの第2入力端子に入力される信号を遅延させる。
【0101】
遅延用コンデンサCeの一方の端子は、抵抗を介して抵抗Rfと抵抗Rgとの接続点及びコンパレータCPcの第2入力端子に接続されている。また、遅延用コンデンサCeの他方の端子は、GNDに接続されている。即ち、遅延用コンデンサCeは、コンパレータCPcの第2入力端子とGNDとの間に接続されている。即ち、遅延用コンデンサCeは、コンパレータCPcの第2入力端子に入力される信号を遅延させる。
【0102】
なお、遅延用コンデンサCc、遅延用コンデンサCd、及び遅延用コンデンサCdは、それぞれ異なる遅延時間量が設定される。例えば、遅延用コンデンサCdの遅延時間<遅延用コンデンサCcの遅延時間<遅延用コンデンサCdの遅延時間となるように遅延回路163が構成されている。
【0103】
上記のように、過電流検出抵抗である抵抗Raよりも負荷に近い位置に抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続が接続され、抵抗Raよりも平滑用コンデンサCbの低電位側の端子に近い位置に抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfと抵抗Rgとの直列接続が接続されている。
【0104】
上記のような構成によると、抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続に印加される電圧が抵抗Rb及び抵抗Rcにより分圧され、コンパレータCPaの第1入力端子及びコンパレータCPbの第1入力端子にそれぞれ印加される。抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続に印加される電圧がVaであるとした場合、コンパレータCPaの第1入力端子及びコンパレータCPbの第1入力端子に印加される電圧Vbは、Va・{Rc/(Rb+Rc)}となる。
【0105】
また、抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfと抵抗Rgとの直列接続に印加される電圧が抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfと抵抗Rgとにより分圧され、コンパレータCPa、コンパレータCPb、及びコンパレータCPcの第2入力端子にそれぞれ印加される。
【0106】
抵抗Rdと抵抗Reと抵抗Rfと抵抗Rgとの直列接続に印加される電圧がVcであり、遅延用コンデンサCdの影響を考慮しないとする。この場合、コンパレータCPaの第2入力端子に印加される電圧Vdは、Vc・{(Re+Rf+Rg)/(Rd+Re+Rf+Rg)}となる。遅延用コンデンサCdの影響を考慮する場合、コンパレータCPaの第2入力端子に印加される電圧Vdは、Vc・{(Re+Rf+Rg)/(Rd+Re+Rf+Rg)}に徐々に(時間経過とともに)近づいていく。
【0107】
また、遅延用コンデンサCcの影響を考慮しない場合、コンパレータCPbの第2入力端子に印加される電圧Veは、Vc・{(Rf+Rg)/(Rd+Re+Rf+Rg)}となる。遅延用コンデンサCcの影響を考慮する場合、コンパレータCPbの第2入力端子に印加される電圧Veは、Vc・{(Rf+Rg)/(Rd+Re+Rf+Rg)}に徐々に(時間経過とともに)近づいていく。
【0108】
また、遅延用コンデンサCeの影響を考慮しない場合、コンパレータCPcの第2入力端子に印加される電圧Vfは、Vc・{(Rg)/(Rd+Re+Rf+Rg)}となる。遅延用コンデンサCeの影響を考慮する場合、コンパレータCPcの第2入力端子に印加される電圧Vfは、Vc・{(Rg)/(Rd+Re+Rf+Rg)}に徐々に(時間経過とともに)近づいていく。
【0109】
次に、各抵抗(抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd、抵抗Re、抵抗Rf、抵抗Rg)の抵抗値について説明する。
【0110】
各抵抗の抵抗値は、過電流閾値(第1閾値)以上の電流Iaが流れ続けた場合に、コンパレータCPaの第1入力端子の電圧Vbが第2入力端子の電圧Vdよりも高くなるように構成される。
【0111】
また、各抵抗の抵抗値は、過電流近傍閾値(第2閾値)以上の電流Iaが流れ続けた場合に、コンパレータCPbの第1入力端子の電圧Vbが第2入力端子の電圧Veよりも高くなるように構成される。
【0112】
また、各抵抗の抵抗値は、過電流近傍閾値よりも低い閾値(第3閾値)以上の電流Iaが流れ続けた場合に、コンパレータCPcの第1入力端子の電圧Vbが第2入力端子の電圧Vfよりも高くなるように構成される。
【0113】
上記の構成によると、第1閾値以上の電流Iaが遅延用コンデンサCdに応じた時間だけ流れ続けた場合に、コンパレータCPaの第1入力端子の電圧Vbが第2入力端子の電圧Vdよりも高くなり、スイッチング動作が停止される。
【0114】
また、第2閾値以上の電流Iaが遅延用コンデンサCcに応じた時間だけ流れ続けた場合に、コンパレータCPbの第1入力端子の電圧Vbが第2入力端子の電圧Veよりも高くなり、スイッチング動作が停止される。
【0115】
また、第3閾値以上の電流Iaが遅延用コンデンサCeに応じた時間だけ流れ続けた場合に、コンパレータCPcの第1入力端子の電圧Vbが第2入力端子の電圧Vfよりも高くなり、スイッチング動作が停止される。
【0116】
上記のように、スイッチング動作を停止させる電流値と、電流が流れ続けている時間とを、各抵抗の抵抗値及び各遅延用コンデンサにより調整することができる。これにより、柔軟に回路設計を行うことができる。
【0117】
(第2実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る電力変換回路242の構成について説明する為の説明図である。なお、第1の実施形態と同様の構成には、同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0118】
電力変換回路242は、1次整流平滑回路51、トランス回路52、スイッチング回路53、2次整流平滑回路54、及び過電流保護回路255を備える。電力変換回路242は、トランス回路52の絶縁トランスより入力側である1次側と、絶縁トランスより出力側である2次側とを有する。1次整流平滑回路51、トランス回路52、スイッチング回路53が、1次側の構成として設けられている。また、トランス回路52、2次整流平滑回路54、及び過電流保護回路255が、2次側の構成として設けられている。
【0119】
図6に示されるように、過電流保護回路255は、コンパレータCPa、コンパレータCPb、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd、抵抗Re、抵抗Rf、ダイオードDb、ダイオードDe、フォトカプラPCaの発光ダイオードLEDa、及び遅延回路263を備える。
【0120】
ダイオードDeは、アノードが遅延回路263の出力端子に接続され、カソードがフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaのアノードに接続されている。
【0121】
遅延回路263は、コンパレータCPbとダイオードDeとの間に接続されている。遅延回路263は、コンパレータCPbから出力される信号を遅延させ、ダイオードDeを介してフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaに出力する。
【0122】
遅延回路263は、例えばリセットタイマーICとして構成されている。遅延回路263は、例えば遅延時間を設定する為の遅延用コンデンサを有する。遅延回路263は、コンパレータCPbから信号が、遅延用コンデンサに応じて設定される所定時間継続して出力されている場合に、信号(リセット信号)を出力する。即ち、遅延回路263は、コンパレータCPbからトリガ信号Tcpbが出力されている状態が、所定時間継続した場合に、ダイオードDeを介してフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaにリセット信号を出力する。
【0123】
遅延回路263から信号(リセット信号)が出力されると、ダイオードDeを介してフォトカプラPCaの発光ダイオードLEDaに電流が流れ、発光ダイオードLEDaが発光する。
【0124】
発光ダイオードLEDaが発光すると、1次側のスイッチング回路53において、フォトカプラPCaのフォトトランジスタPTaがオンされ、制御IC62の過電流検出端子に予め設定された閾値以上の電圧が印加される。この場合、制御IC62は、半導体スイッチQaをオンオフ制御する為のパルス信号の出力を停止する。
【0125】
上記のように、過電流保護回路255は、過電流近傍閾値(第2閾値)以上過電流閾値(第1閾値)未満の電流が所定時間流れ続けた場合、1次側のスイッチング回路53の動作を停止させる。これにより、電力変換回路242は、負荷に過電流が流れ続けることを防ぐことができる。
【0126】
なお、上記の実施形態では、過電流保護回路55は、絶縁トランスを介して1次側から2次側に電力を供給する電力変換回路42において、2次側の電流Iaに応じて、スイッチング動作を停止させる構成として説明したが、この構成に限定されない。過電流保護回路55は、直流電圧を任意の負荷の定格に応じた直流電圧に変換するDCDCコンバータにおいて、負荷に流れる電流の検出結果に応じて、スイッチング動作を停止させる構成であってもよい。
【0127】
また、上記の実施形態では、負荷への電流Iaに応じて1次側のスイッチング回路53におけるスイッチング動作を停止させる構成(動作停止回路)としてフォトカプラPCaを備える例について説明したが、この構成に限定されない。動作停止回路は、ある電流路を流れる電流の有無に応じて、他の電流路の導通状態をオンオフさせる構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0128】
また、上記の実施形態では、電源ユニット12が商品登録装置1に組み込まれているものと仮定して説明したが、この構成に限定されない。電源ユニット12は、画像形成装置など如何なる装置に組み込まれてもよい。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、以下に本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[C1]
1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合する2次巻線と、を備えるトランス回路と、
前記1次巻線に励磁電流を供給するスイッチング回路と、
前記2次巻線に接続された平滑用コンデンサと、
過電流保護回路と、
を具備し、
前記過電流保護回路は、
前記平滑用コンデンサと負荷との間に接続された過電流検出抵抗と、
前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第1のコンパレータと、 前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第2のコンパレータと、 前記第2のコンパレータにおける信号を遅延させる遅延回路と、
前記第1のコンパレータまたは前記第2のコンパレータから出力された信号に応じて前記スイッチング回路を停止させる動作停止回路と、
を具備する電源装置。
[C2]
前記第1のコンパレータは、第1の閾値以上の電流が前記過電流検出抵抗に流れた場合に、信号を前記動作停止回路に出力し、
前記第2のコンパレータ及び前記遅延回路は、前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上の電流が、前記過電流検出抵抗に流れた時間に応じて、信号を前記動作停止回路に出力する請求項1に記載の電源装置。
[C3]
前記遅延回路は、前記第2のコンパレータの1対の入力端子のいずれかへの入力信号を遅延させる遅延用コンデンサを具備する請求項2に記載の電源装置。
[C4]
前記遅延回路は、前記第2のコンパレータから出力される信号を遅延させる請求項2に記載の電源装置。
[C5]
負荷に電力を供給する直流電源と、
前記直流電源の出力端子と前記負荷との間に設けられた過電流保護回路と、
を具備し、
前記過電流保護回路は、
前記直流電源の出力端子と前記負荷との間に接続された過電流検出抵抗と、
前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第1のコンパレータと、 前記過電流検出抵抗の前後にそれぞれ抵抗を介して接続された第2のコンパレータと、 前記第2のコンパレータの入力または出力を遅延させる遅延回路と、
前記第1のコンパレータまたは前記第2のコンパレータの出力に応じて、前記直流電源から前記負荷への電力の供給を停止させる動作停止回路と、
を具備する電源装置。
【符号の説明】
【0130】
1…商品登録装置、11…商品情報処理部、12…電源ユニット、21…システムコントローラ、22…通信インタフェース、23…タッチパネル、24…スキャナ、25…プリンタ、31…プロセッサ、32…メモリ、33…ディスプレイ、34…タッチセンサ、41…フィルタ回路、42…電力変換回路、51…1次整流平滑回路、52…トランス回路、53…スイッチング回路、54…2次整流平滑回路、55…過電流保護回路、61…整流ブリッジ、62…制御IC、63…遅延回路、142…電力変換回路、155…過電流保護回路、163…遅延回路、242…電力変換回路、255…過電流保護回路、263…遅延回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6