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特許7566578撮像装置、撮像システム及び撮像装置の駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像システム及び撮像装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/76 20230101AFI20241007BHJP
   H04N 25/78 20230101ALI20241007BHJP
   H04N 25/589 20230101ALI20241007BHJP
【FI】
H04N25/76
H04N25/78
H04N25/589
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020178125
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069132
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳士
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝教
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-216316(JP,A)
【文献】特開2013-236362(JP,A)
【文献】特開2012-080252(JP,A)
【文献】特開2019-057873(JP,A)
【文献】特開2015-091081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/33
H04N 23/11
H04N 23/20-23/30
H04N 25/00
H04N 25/20-25/61
H04N 25/615-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、
前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、
前記出力線に接続された読み出し回路部と、
前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、
前記読み出し回路部は、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記画素信号のレベルに応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有し、
前記制御部は、
前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、
前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行するように構成されており、
前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、
前記制御部は、前記画素から、第1の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第1の画素信号と、前記第1の露光期間よりも短い第2の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第2の画素信号と、を出力するように構成されており、
前記制御部は、前記第2の画素信号を読み出す動作において、前記第1の期間及び前記第2の期間を実行するように構成されている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記読み出し回路部は、前記サンプルホールド回路が保持する前記画素信号と参照信号とを比較する比較器を更に有し、
前記ゲイン切り替え回路は、前記比較器による判定の結果に応じて前記増幅回路のゲインを切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、第1ゲインで増幅された前記画素信号のレベルが前記参照信号のレベルよりも高い場合に、前記増幅回路のゲインを前記第1ゲインよりも小さい第2ゲインに設定する
ことを特徴とする請求項記載の撮像装置。
【請求項4】
前記読み出し回路部は、前記比較器を含み、前記増幅回路により増幅された前記画素信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路を更に有し、リセット状態の前記画素から出力された基準電圧に基づく第1デジタル画素信号と、増幅された前記画素信号に基づく第2デジタル画素信号と、を出力するように構成されている
ことを特徴とする請求項記載の撮像装置。
【請求項5】
前記出力線に定電圧を供給する電圧供給回路を更に有し、
前記制御部は、前記読み出し回路部を制御して、
前記基準電圧に対して第1の振幅をなす第1電圧を前記出力線に供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第1デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第3デジタル値と、を取得し、
前記基準電圧に対して前記第1の振幅よりも小さい第2の振幅をなす第2電圧を供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第2デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第4デジタル値と、を取得するように構成されている
ことを特徴とする請求項記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1デジタル値、前記第2デジタル値、前記第3デジタル値及び前記第4デジタル値は、ブランキング期間の間に取得される
ことを特徴とする請求項記載の撮像装置。
【請求項7】
光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、
前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、
前記出力線に接続された読み出し回路部と、
前記出力線に定電圧を供給する電圧供給回路と、
前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、
前記読み出し回路部は、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記画素信号のレベルに応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有し、
前記制御部は、
前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、
前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行するように構成されており、
前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、
前記読み出し回路部は、前記サンプルホールド回路が保持する前記画素信号と参照信号とを比較する比較器を更に有し、
前記ゲイン切り替え回路は、前記比較器による判定の結果に応じて前記増幅回路のゲインを切り替え、
前記制御部は、第1ゲインで増幅された前記画素信号のレベルが前記参照信号のレベルよりも高い場合に、前記増幅回路のゲインを前記第1ゲインよりも小さい第2ゲインに設定し、
前記読み出し回路部は、前記比較器を含み、前記増幅回路により増幅された前記画素信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路を更に有し、リセット状態の前記画素から出力された基準電圧に基づく第1デジタル画素信号と、増幅された前記画素信号に基づく第2デジタル画素信号と、を出力するように構成されており、
前記制御部は、前記読み出し回路部を制御して、
前記基準電圧に対して第1の振幅をなす第1電圧を前記出力線に供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第1デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第3デジタル値と、を取得し、
前記基準電圧に対して前記第1の振幅よりも小さい第2の振幅をなす第2電圧を供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第2デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第4デジタル値と、を取得するように構成されており、
前記第1デジタル値、前記第2デジタル値、前記第3デジタル値及び前記第4デジタル値は、ブランキング期間の間に取得される
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記読み出し回路部から出力される信号を処理する信号処理部を更に有し、
前記信号処理部は、前記第1デジタル値、前記第2デジタル値、前記第3デジタル値及び前記第4デジタル値から算出される補正値に基づき、前記第1デジタル画素信号及び前記第2デジタル画素信号に対して補正処理を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項5乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1ゲインをG1、前記第2ゲインをG2、前記第1デジタル値をD1、前記第2デジタル値をD2、前記第3デジタル値をD3、前記第4デジタル値をD4、前記補正値をα,βとして、以下の関係を有する
(G2/G1)×α=(D4-D3)/(D2-D1)
β=D3-(G2/G1)×αD1
ことを特徴とする請求項8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第2デジタル画素信号が前記第2ゲインで増幅された画素信号に基づく場合に、前記補正処理の後のデジタル画素信号のデジタル値DHは、前記第1デジタル画素信号のデジタル値をN、前記第2デジタル画素信号のデジタル値をSとして、以下の式で表される
DH=(G2/G1)×α(S-N)+β
ことを特徴とする請求項8記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第2デジタル画素信号が前記第1ゲインで増幅された画素信号に基づく場合に、前記補正処理の後のデジタル画素信号のデジタル値DLは、前記第1デジタル画素信号のデジタル値をN、前記第2デジタル画素信号のデジタル値をSとして、以下の式で表される
DL=S-N
ことを特徴とする請求項8記載の撮像装置。
【請求項12】
前記参照信号のレベルに対応する前記出力線の電圧は、前記第1電圧と前記第2電圧との間の電圧である
ことを特徴とする請求項乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
複数の行及び複数の列をなすように配された複数の前記画素を有し、
前記出力線は、前記複数の列の各々に対応してそれぞれ設けられており、
前記読み出し回路部は、前記複数の列の各々に対応して、各々が前記増幅回路、前記第1スイッチ、前記サンプルホールド回路、前記第2スイッチ及び前記ゲイン切り替え回路を有しており、
前記制御部は、複数の前記画素の各々の前記画素信号に対して前記増幅回路のゲインを設定するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記画素は、電荷保持部と、前記光電変換部の電荷を前記電荷保持部に転送する第3スイッチと、前記電荷保持部に保持された電荷の量に基づく画素信号を出力する出力部と、を更に有し、
前記読み出し回路部は、前記出力線と前記増幅回路との間に設けられた第4スイッチを更に有し、
前記制御部は、前記第3スイッチをオンにして前記光電変換部の電荷を前記電荷保持部に転送し、前記電荷の量に基づく画素信号を前記出力線に出力する際に、前記第3スイッチがオンの期間、及び、前記第3スイッチがオンからオフに遷移した後、前記出力部が静定するまでの期間に、前記第4スイッチをオフにするように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記出力部が整定するまでの期間は、前記出力線の電位が、前記電荷を前記電荷保持部に転送する前の前記出力線の電位よりも低くなるまでの期間である
ことを特徴とする請求項14記載の撮像装置。
【請求項16】
光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に接続された読み出し回路部と、前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、前記読み出し回路部が、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記画素信号のレベルに応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有する撮像装置の駆動方法であって、
前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、
前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行し、
前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、
前記画素から、第1の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第1の画素信号と、前記第1の露光期間よりも短い第2の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第2の画素信号と、を出力し、
前記第2の画素信号を読み出す動作において、前記第1の期間及び前記第2の期間を実行する
ことを特徴とする撮像装置の駆動方法。
【請求項17】
光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に接続された読み出し回路部と、前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、前記読み出し回路部が、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記サンプルホールド回路が保持する前記画素信号と参照信号とを比較する比較器を含み、前記増幅回路により増幅された前記画素信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と、前記比較器による判定の結果に応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有する撮像装置の駆動方法であって、
前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、
前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行し、
前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、
第1ゲインで増幅された前記画素信号のレベルが前記参照信号のレベルよりも高い場合に、前記増幅回路のゲインを前記第1ゲインよりも小さい第2ゲインに設定し、
前記読み出し回路部から、リセット状態の前記画素から出力された基準電圧に基づく第1デジタル画素信号と、増幅された前記画素信号に基づく第2デジタル画素信号と、を出力し、
ブランキング期間の間に、
前記基準電圧に対して第1の振幅をなす第1電圧を前記出力線に供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第1デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第3デジタル値と、を取得し、
前記基準電圧に対して前記第1の振幅よりも小さい第2の振幅をなす第2電圧を供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第2デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第4デジタル値と、を取得する
ことを特徴とする撮像装置の駆動方法。
【請求項18】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置から出力される信号を処理する信号処理装置と
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項19】
移動体であって、
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置の前記画素から出力される信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像システム及び撮像装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、広いダイナミックレンジと読み出し高速性を両立するための技術として、入射光量に応じて画素毎に増幅回路のゲインを切り替える方法が提案されている。特許文献1には、当該技術において、増幅回路のゲインが切り替わる境界付近に生じる輝度の段差を補正する方法が記載されている。また、特許文献2には、サンプルホールド回路を用いて読み出し速度を高速化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-079464号公報
【文献】特開2001-045378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、入射光量に応じて画素毎に増幅回路のゲインの切り替えを行う撮像装置にサンプルホールド回路を適用すると、画素リセットレベルの信号を読み出す際に誤差を生じることがあった。その結果、増幅回路のゲインが切り替わる境界付近に生じる輝度の段差を適切に補正できず、画質が低下することがあった。
【0005】
本発明の目的は、入射光量に応じて画素毎に増幅回路のゲインを切り替える撮像装置において、読み出し速度を低下することなく高品質の画像を取得するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に接続された読み出し回路部と、前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、前記読み出し回路部は、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記画素信号のレベルに応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有し、前記制御部は、前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行するように構成されており、前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、前記制御部は、前記画素から、第1の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第1の画素信号と、前記第1の露光期間よりも短い第2の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第2の画素信号と、を出力するように構成されており、前記制御部は、前記第2の画素信号を読み出す動作において、前記第1の期間及び前記第2の期間を実行するように構成されている撮像装置が提供される。
また、本発明の他の一観点によれば、光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に接続された読み出し回路部と、前記出力線に定電圧を供給する電圧供給回路と、前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、前記読み出し回路部は、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記画素信号のレベルに応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有し、前記制御部は、前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行するように構成されており、前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、前記読み出し回路部は、前記サンプルホールド回路が保持する前記画素信号と参照信号とを比較する比較器を更に有し、前記ゲイン切り替え回路は、前記比較器による判定の結果に応じて前記増幅回路のゲインを切り替え、前記制御部は、第1ゲインで増幅された前記画素信号のレベルが前記参照信号のレベルよりも高い場合に、前記増幅回路のゲインを前記第1ゲインよりも小さい第2ゲインに設定し、前記読み出し回路部は、前記比較器を含み、前記増幅回路により増幅された前記画素信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路を更に有し、リセット状態の前記画素から出力された基準電圧に基づく第1デジタル画素信号と、増幅された前記画素信号に基づく第2デジタル画素信号と、を出力するように構成されており、前記制御部は、前記読み出し回路部を制御して、前記基準電圧に対して第1の振幅をなす第1電圧を前記出力線に供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第1デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第3デジタル値と、を取得し、前記基準電圧に対して前記第1の振幅よりも小さい第2の振幅をなす第2電圧を供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第2デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第4デジタル値と、を取得するように構成されており、前記第1デジタル値、前記第2デジタル値、前記第3デジタル値及び前記第4デジタル値は、ブランキング期間の間に取得される撮像装置が提供される。
【0007】
また、本発明の更に他の一観点によれば、光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に接続された読み出し回路部と、前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、前記読み出し回路部が、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記画素信号のレベルに応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有する撮像装置の駆動方法であって、前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行し、前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、前記画素から、第1の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第1の画素信号と、前記第1の露光期間よりも短い第2の露光期間の間に前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく第2の画素信号と、を出力し、前記第2の画素信号を読み出す動作において、前記第1の期間及び前記第2の期間を実行する撮像装置の駆動方法が提供される。
また、本発明の更に他の一観点によれば、光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を出力する画素と、前記画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に接続された読み出し回路部と、前記画素及び前記読み出し回路部を制御する制御部と、を有し、前記読み出し回路部が、増幅回路と、前記増幅回路をリセットする第1スイッチと、サンプルホールド回路と、前記増幅回路と前記サンプルホールド回路との間に設けられた第2スイッチと、前記サンプルホールド回路が保持する前記画素信号と参照信号とを比較する比較器を含み、前記増幅回路により増幅された前記画素信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と、前記比較器による判定の結果に応じて前記増幅回路のゲインを切り替えるゲイン切り替え回路と、を有する撮像装置の駆動方法であって、前記第1スイッチをオンにして前記増幅回路をリセットする第1の期間と、前記第2スイッチをオンにして前記増幅回路と前記サンプルホールド回路とを接続する第2の期間と、を実行し、前記第1の期間と前記第2の期間とは少なくとも一部が重なっており、前記第2の期間において前記第2スイッチをオンからオフに遷移するタイミングは、前記第1の期間において前記第1スイッチをオンからオフに遷移するタイミングよりも後であり、第1ゲインで増幅された前記画素信号のレベルが前記参照信号のレベルよりも高い場合に、前記増幅回路のゲインを前記第1ゲインよりも小さい第2ゲインに設定し、前記読み出し回路部から、リセット状態の前記画素から出力された基準電圧に基づく第1デジタル画素信号と、増幅された前記画素信号に基づく第2デジタル画素信号と、を出力し、ブランキング期間の間に、前記基準電圧に対して第1の振幅をなす第1電圧を前記出力線に供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第1デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第3デジタル値と、を取得し、前記基準電圧に対して前記第1の振幅よりも小さい第2の振幅をなす第2電圧を供給し、前記第2ゲインで増幅したときの第2デジタル値と、前記第1ゲインで増幅したときの第4デジタル値と、を取得する撮像装置の駆動方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入射光量に応じて画素毎に増幅回路のゲインを切り替える撮像装置において、読み出し速度を低下することなく高品質の画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態による撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態による撮像装置における画素及び出力線制御部の構成例を示す回路図である。
図3】本発明の第1実施形態による撮像装置における列回路の構成例を示す回路図である。
図4】本発明の第1実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図(その1)である。
図5】本発明の第1実施形態による撮像装置における画素値の補正方法を示すグラフである。
図6】参考例による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図(その1)である。
図7】本発明の第1実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図(その2)である。
図8】本発明の第2実施形態による撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態による撮像装置における列回路の構成例を示す回路図である。
図10】本発明の第3実施形態による撮像装置の駆動方法を示す模式図(その1)である。
図11】本発明の第3実施形態による撮像装置の駆動方法を示す模式図(その2)である。
図12】参考例による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図(その2)である。
図13】本発明の第3実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
図14】本発明の第4実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第5実施形態による撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、図1乃至図7を用いて説明する。図1は、本実施形態による撮像装置の構成例を示すブロック図である。図2は、本実施形態による撮像装置における画素及び出力線制御部の構成例を示す回路図である。図3は、本実施形態による撮像装置における列回路の構成例を示す回路図である。図4及び図7は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。図5は、本実施形態による撮像装置における画素値の補正方法を示すグラフである。図6は、参考例による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0011】
はじめに、本実施形態による撮像装置の全体構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態による撮像装置100は、図1に示すように、画素アレイ部10と、垂直走査回路20と、出力線制御部30と、読み出し回路部40と、参照信号生成部52と、カウンタ56と、を有する。また、撮像装置100は、水平走査回路60と、信号処理部70と、信号出力部80と、制御部90と、を更に有する。
【0012】
画素アレイ部10には、複数の行及び複数の列に渡ってマトリクス状に配された複数の画素12が設けられている。図1には便宜的に画素アレイ部10を構成する画素12のうちの一部を示している。画素アレイ部10を構成する画素12の数は、特に限定されるものではない。なお、画素12の具体的な構成例については後述する。
【0013】
画素アレイ部10の各行には、第1の方向(図1において横方向)に延在するように制御線14が配されている。制御線14の各々は、第1の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。制御線14の延在する第1の方向は、行方向或いは水平方向と呼ぶことがある。制御線14は、垂直走査回路20に接続されている。
【0014】
画素アレイ部10の各列には、第1の方向と交差する第2の方向(図1において縦方向)に延在するように出力線16が配されている。出力線16の各々は、第2の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。出力線16の延在する第2の方向は、列方向或いは垂直方向と呼ぶことがある。出力線16の各々は、出力線制御部30及び読み出し回路部40に接続されている。
【0015】
垂直走査回路20は、画素12を駆動するための制御信号を、画素アレイ部10の各行に設けられた制御線14を介して画素12に行単位で供給する制御回路部である。垂直走査回路20は、シフトレジスタやアドレスデコーダを用いて構成されうる。
【0016】
出力線制御部30は、出力線16の各々に供給されるバイアス電流や出力線16の各々の電圧を制御する制御回路部である。
【0017】
読み出し回路部40は、各列の出力線16に対応して設けられた複数の列回路42を有する。列回路42の各々は、対応する列の出力線16に接続されている。列回路42の各々は、対応する列の画素12から出力されるアナログ信号に対して増幅処理及びAD(アナログデジタル)変換処理を行い、処理後のデジタル信号を保持する機能を備える。なお、列回路42の具体的な構成例については後述する。
【0018】
参照信号生成部52は、読み出し回路部40に接続されている。参照信号生成部52は、輝度判定のための基準信号やAD変換に用いるための参照信号を生成し、読み出し回路部40に供給する機能を備える。AD変換に用いるための参照信号は、画素信号のレンジに応じた所定の振幅を有し、時間の経過とともに信号レベルが変化する信号であり得る。参照信号は、特に限定されるものではないが、例えば、時間の経過とともに信号レベルが単調増加し又は単調減少するランプ信号を適用可能である。なお、信号レベルの変化は、必ずしも連続的である必要はなく、ステップ状であってもよい。また、信号レベルの変化は、必ずしも時間に対して線型的である必要はなく、時間に対して曲線的(例えば、正弦波や余弦波)であってもよい。
【0019】
カウンタ56は、読み出し回路部40に接続されている。カウンタ56は、参照信号生成部52から供給される参照信号の信号レベルの変化が開始するタイミングに同期してカウント動作を開始し、そのカウント値が示すカウント信号を読み出し回路部40へと出力する機能を備える。
【0020】
水平走査回路60は、読み出し回路部40に接続されている。水平走査回路60は、各列の列回路42に記憶されたデジタル信号を出力するための制御信号を、各列の列回路42に列毎に順次供給する機能を備える。画素アレイ部10の各列に対応して設けられた水平走査回路60の制御線は、対応する列の列回路42に接続されている。各列の列回路42は、水平走査回路60の対応する列の制御線を介して制御信号を受信すると、保持するデジタル画素信号を信号処理部70に出力する。水平走査回路60は、列回路42に保持されている信号を列単位で順次、後段の処理部(信号処理部70)へと転送する転送部としての機能を備える。
【0021】
信号処理部(DFE:Digital Front End)70は、読み出し回路部40から出力されるデジタル信号に対して所定の信号処理を実行する回路部である。信号処理部70が実行する処理としては、例えば、増幅処理や、デジタル相関二重サンプリング(CDS)処理が挙げられる。デジタルCDS処理は、メモリ部がデジタル画素信号として記憶しているノイズ信号N及び光信号Sに対して、(S-N)の差分処理を行う信号処理である。
【0022】
信号出力部80は、信号処理部70で処理された信号を撮像装置100の外部へと出力するための回路部である。信号出力部80は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)等の外部インターフェースを含み、信号処理後のデジタル信号を撮像装置100の外部へと出力する。
【0023】
制御部90は、垂直走査回路20、出力線制御部30、読み出し回路部40、参照信号生成部52、カウンタ56及び水平走査回路60に、それらの動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給するための回路部である。なお、これら制御信号の総ては必ずしも制御部90から供給される必要はなく、これら制御信号のうちの少なくとも一部は撮像装置100の外部から供給されてもよい。
【0024】
次に、本実施形態による撮像装置100における画素12及び出力線制御部30の構成例について、図2を用いて説明する。
【0025】
画素12の各々は、画像を構成するために繰り返して配置される回路の最小単位であり得る。画素12の各々は、例えば図2に示すように、光電変換部PDと、転送トランジスタM1と、リセットトランジスタM2と、増幅トランジスタM3と、選択トランジスタM4と、により構成され得る。転送トランジスタM1、リセットトランジスタM2、増幅トランジスタM3及び選択トランジスタM4は、例えばN型MOSトランジスタであり得るが、P型MOSトランジスタや他の公知のスイッチ素子であってもよい。
【0026】
光電変換部PDは、例えばフォトダイオードであり得る。光電変換部PDを構成するフォトダイオードは、アノードが接地ノードに接続され、カソードが転送トランジスタM1のソースに接続されている。転送トランジスタM1のドレインは、リセットトランジスタM2のソース及び増幅トランジスタM3のゲートに接続されている。転送トランジスタM1のドレイン、リセットトランジスタM2のソース及び増幅トランジスタM3のゲートの接続ノードは、いわゆる浮遊拡散部FDである。浮遊拡散部FDは、容量成分(浮遊拡散容量Cfd)を含み、電荷保持部としての機能を備える。浮遊拡散容量Cfdには、PN接合容量や配線容量などが含まれる。
【0027】
リセットトランジスタM2のドレイン及び増幅トランジスタM3のドレインは、電源ノード(電圧Vdd)に接続されている。増幅トランジスタM3のソースは、選択トランジスタM4のドレインに接続されている。選択トランジスタM4のソースは、出力線16に接続されている。
【0028】
図2の画素構成の場合、画素アレイ部10に配された各行の制御線14は、垂直走査回路20からの制御信号φRES,φTX,φSELが供給される3本の信号線を含む。制御信号φRESが供給される信号線は、対応する行に属する画素12のリセットトランジスタM2のゲートにそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなす。制御信号φTXが供給される信号線は、対応する行に属する画素12の転送トランジスタM1のゲートにそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなす。制御信号φSELが供給される信号線は、対応する行に属する画素12の選択トランジスタM4のゲートにそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなす。画素12を構成する各トランジスタがN型トランジスタで構成される場合、垂直走査回路20からHighレベル(以下、「Hレベル」と表記する)の制御信号が供給されると、対応するトランジスタがオン(導通状態)になる。また、垂直走査回路20からLowレベル(以下、「Lレベル」と表記する)の制御信号が供給されると、対応するトランジスタがオフ(非導通状態)になる。
【0029】
出力線制御部30は、各列の出力線16に対応して、電流源32と、電圧供給回路34と、を有する。電流源32は、出力線16を介して画素12にバイアス電流を供給する機能を備える。電圧供給回路34は、画素信号を補正するための補正値を取得する際に出力線16に所定の定電圧を供給する機能を備える。なお、画素信号の補正及び補正値の取得方法については後述する。
【0030】
光電変換部PDは、入射光をその光量に応じた量の電荷に変換(光電変換)するとともに、生じた電荷を蓄積する。転送トランジスタM1は、オンになることにより光電変換部PDが保持する電荷を浮遊拡散部FDに転送する転送部としての機能を備える。なお、本明細書では転送トランジスタM1をスイッチと呼ぶこともある。浮遊拡散部FDは、光電変換部PDから転送された電荷を保持する電荷保持部としての機能を備えるとともに、浮遊拡散容量Cfdによる電荷電圧変換によって、光電変換部PDから転送された電荷の量に応じた電圧Vfdとなる。増幅トランジスタM3は、ドレインに電源電圧が供給され、ソースに出力線16及び選択トランジスタM4を介して電流源32からバイアス電流が供給される構成となっており、ゲートを入力ノードとする増幅部(ソースフォロワ回路)を構成する。選択トランジスタM4は、画素12を選択するスイッチであり、オンになることにより増幅トランジスタM3を出力線16に接続する。これにより増幅トランジスタM3は、浮遊拡散部FDの電圧Vfdに応じた信号を、選択トランジスタM4を介して出力線16に出力する。増幅トランジスタM3及び選択トランジスタM4は、浮遊拡散部FDに保持された電荷の量に応じた画素信号を出力する出力部としての機能を備える。リセットトランジスタM2は、オンになることにより浮遊拡散部FDを電源電圧に応じた電圧にリセットする。
【0031】
画素12の転送トランジスタM1、リセットトランジスタM2及び選択トランジスタM4は、前述のように、垂直走査回路20から供給される制御信号φTX,φRES,φSELにより、行単位で制御される。制御信号φSELにより選択された行に属する画素12の画素信号は、それぞれの画素12の対応する出力線16に同時に出力される。画素12から出力される画素信号は、アナログ信号(アナログ画素信号)である。
【0032】
次に、本実施形態による撮像装置100における列回路42の構成例について、図3を用いて説明する。
【0033】
列回路42の各々は、例えば図3に示すように、増幅回路44と、ゲイン切り替え回路48と、サンプルホールド回路58と、比較器50と、列メモリ54と、論理ゲート72,74,76と、により構成され得る。
【0034】
増幅回路44は、アンプ46と、容量C0,Cf1,Cf2と、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4と、により構成され得る。アンプ46は、少なくとも1つの入力ノードと、少なくとも1つの出力ノードと、を有する。アンプ46は、ソース接地型増幅回路でもよいし、差動入力型増幅回路でもよい。本実施形態では、増幅回路44が反転増幅回路を構成しているものとする。容量C0は、アンプ46の入力容量である。容量Cf1,Cf2は、アンプ46の帰還容量である。本明細書では、これら容量の容量値を表すときにも同様の符号を用いることがある。
【0035】
増幅回路44の入力ノードでもあるスイッチSW4の一方のノードは、対応する列の出力線16に接続されている。スイッチSW4の他方のノードは、容量C0の一方の電極に接続されている。アンプ46の入力ノードには、容量C0の他方の電極と、容量Cf1の一方の電極と、容量Cf2の一方の電極と、スイッチSW3の一方のノードと、が接続されている。容量Cf1の他方の電極には、スイッチSW1の一方のノードが接続されている。容量Cf2の他方の電極には、スイッチSW2の一方のノードが接続されている。スイッチSW1の他方のノード、スイッチSW2の他方のノード及びスイッチSW3の他方のノードは、増幅回路44の出力ノードでもあるアンプ46の出力ノードに接続されている。
【0036】
サンプルホールド回路58は、容量Cshと、スイッチSW5と、により構成され得る。容量Cshは、増幅回路44により増幅された画素信号を一時的に保持するサンプルホールド容量である。サンプルホールド回路58の入力ノードでもあるスイッチSW5の一方のノードは、増幅回路44の出力ノード(アンプ46の出力ノード)に接続されている。スイッチSW5の他方のノードは、容量Cshの一方の電極に接続されている。容量Cshの他方の電極は、接地ノードに接続されている。スイッチSW5の他方のノードと容量Cshの一方の電極との接続ノードは、サンプルホールド回路58の出力ノードでもある。
【0037】
スイッチSW1は、ゲイン切り替え回路48から供給される制御信号φPFB1により接続状態が制御されるスイッチである。スイッチSW2は、ゲイン切り替え回路48から供給される制御信号φPFB2により接続状態が制御されるスイッチである。スイッチSW3は、制御部90から供給される制御信号φPC0Rにより接続状態が制御されるスイッチである。スイッチSW4は、制御部90から供給される制御信号φPVLSELにより接続状態が制御されるスイッチである。スイッチSW5は、制御部90から供給される制御信号φPSHにより接続状態が制御されるスイッチである。本実施形態において、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5は、対応する制御信号がHレベルのときにオン(導通状態)になり、対応する制御信号がLレベルのときにオフ(非導通状態)になるものとする。ただし、制御信号のレベルとスイッチの状態との関係は逆であってもよい。
【0038】
比較器50は、2つの入力ノードと、1つの出力ノードと、を有する。比較器50の一方の入力ノードは、サンプルホールド回路58の出力ノード(スイッチSW5の他方のノードと容量Cshの一方の電極との接続ノード)に接続されている。比較器50の他方の入力ノードには、参照信号生成部52から参照信号VRAMPが供給される。比較器50は、容量Cshが保持する画素信号の輝度判定のための判定回路の一部として機能し得る。また、比較器50は、容量Cshが保持する画素信号をアナログデジタル変換するためのアナログデジタル変換回路の一部として機能し得る。
【0039】
論理ゲート72,74,76は、2つの入力ノードと1つの出力ノードとを有する論理回路である。論理ゲート72は、例えば2入力ANDゲートであり得る。また、論理ゲート74,76は、例えば2入力NANDゲートであり得る。
【0040】
論理ゲート74の一方の入力ノードは、比較器50の出力ノードに接続されている。論理ゲート72の他方の入力ノードには、制御部90から制御信号φOUT_ENが供給される。論理ゲート76の一方の入力ノードは、論理ゲート74の出力ノードに接続されている。論理ゲート76の他方の入力ノードには、制御部90から制御信号φJUDGE_ENが供給される。論理ゲート72の一方の入力ノードは、論理ゲート76の出力ノードに接続されている。論理ゲート72の他方の入力ノードには、制御部90から制御信号φATT_ENが供給される。
【0041】
列メモリ54は、Nメモリ54Nと、Sメモリ54Sと、Jメモリ54Jと、により構成され得る。Nメモリ54N及びSメモリ54Sの各々は、3つの入力ノードと、1つの出力ノードと、を有する。Jメモリ54Jは、2つの入力ノードと、1つの出力ノードと、を有する。
【0042】
Nメモリ54Nの第1入力ノード及びSメモリ54Sの第1入力ノードは、論理ゲート74の出力ノードに接続されている。Jメモリ54Jの第1入力ノードは、論理ゲート76の出力ノードに接続されている。Nメモリ54Nの第2入力ノード、Sメモリ54Sの第2入力ノード及びJメモリ54Jの第2入力ノードは、水平走査回路60に接続されている。Nメモリ54Nの第3入力ノード及びSメモリ54Sの第3入力ノードには、カウンタ56からカウント信号CNTが供給される。Nメモリ54Nの出力ノード、Sメモリ54Sの出力ノード及びJメモリ54Jの出力ノードは、信号処理部70に接続されている。カウント信号CNT、並びに、Nメモリ54N及びSメモリ54Sの各々から出力される画素信号はデジタル信号であり、これら信号を伝送するための信号線はビット数に応じた複数の信号線により構成される。
【0043】
ゲイン切り替え回路48は、1つの入力ノードと2つの出力ノードとを有する。ゲイン切り替え回路48の入力ノードは、論理ゲート72の出力ノードに接続されている。ゲイン切り替え回路48の一方の出力ノードは、スイッチSW1に供給される制御信号φPFB1を出力する。ゲイン切り替え回路48の他方の出力ノードは、スイッチSW2に供給される制御信号φPFB2を出力する。
【0044】
増幅回路44は、出力線16から供給されるアナログ画素信号を増幅して出力する機能を備える。増幅回路44の入力部にはスイッチSW4が設けられており、制御信号φPVLSELに応じて出力線16と増幅回路44との間の接続と非接続とを制御できるようになっている。
【0045】
スイッチSW1は、オンになることにより、アンプ46の入力ノードと出力ノードとの間を、容量Cf1を介して接続する。また、スイッチSW2は、オンになることにより、アンプ46の入力ノードと出力ノードとの間を、容量Cf2を介して接続する。すなわち、容量Cf1,Cf2はアンプ46の帰還容量である。スイッチSW1,SW2は、前述のように、ゲイン切り替え回路48から供給される制御信号φPFB1,φPFB2により制御される。スイッチSW3は、オンになることにより、アンプ46の入力ノードと出力ノードとを短絡し、アンプ46、容量C0,Cf1,Cf2をリセットする。スイッチSW3は、前述のように、制御部90から供給される制御信号φPC0Rにより制御される。
【0046】
増幅回路44のゲインは、入力容量CINと帰還容量CFとの比(CIN/CF)にって表される。ここで、帰還容量CFは、スイッチSW1,SW2がともにオンのときは(Cf1+Cf2)となり、スイッチSW1がオンでスイッチSW2がオフのときはCf1となり、スイッチSW1がオフでスイッチSW2がオンのときはCf2となる。つまり、制御信号φPFB1,φPFB2によりスイッチSW1,SW2を制御することで、アクティブな帰還容量(容量Cf1,Cf2)を選択することができる。入力容量CINは、容量C0に対応する。
【0047】
容量C0,Cf1,Cf2の容量値は、増幅回路44に求められるゲインに応じて適宜設定することができる。本実施形態では、容量C0の容量値が4C、容量Cf1の容量値がC、容量Cf2の容量値が3Cであるものとする(Cは任意の定数)。この場合、増幅回路44のゲインは、スイッチSW1,SW2がともにオンのときに1倍(C0/(Cf1+Cf2)=4C/(C+3C)=1)となる。また、増幅回路44のゲインは、スイッチSW1がオン、スイッチSW2がオフのときに4倍(C0/(Cf1+Cf2)=4C/(C+0)=4)となる。
【0048】
サンプルホールド回路58は、増幅回路44から出力される信号Vcamp-outを保持する機能を備える。サンプルホールド回路58の入力部にはスイッチSW5が設けられており、制御信号φPSHに応じて増幅回路44とサンプルホールド回路58との間の接続と非接続とを制御できるようになっている。スイッチSW5がオンになることにより、容量Cshは増幅回路44から出力される信号Vcamp-outによって充電され、容量Cshには信号Vcamp-outに応じた電圧Vshが保持される。その後、スイッチSW5をオフにすると増幅回路44とサンプルホールド回路58とは切り離されるが、容量Cshが保持する電圧Vshはそのまま維持される。これにより、サンプルホールド回路58以降の回路を動作させながら、画素12及び増幅回路44は次の行の読み出し動作を並列して開始することができ、撮像装置の読み出し動作を高速化することができる。
【0049】
比較器50は、容量Cshが保持する電圧Vshのレベルと参照信号VRAMPのレベルとを比較し、比較の結果に応じた信号COMP_OUTを出力する。例えば、比較器50は、参照信号VRAMPのレベルが電圧Vshのレベルよりも低いときにはHレベルの信号COMP_OUTを出力する。また、比較器50は、参照信号VRAMPのレベルが電圧Vshのレベルよりも高いときにはLレベルの信号COMP_OUTを出力する。なお、入力信号の大小関係と出力信号のレベルとの関係は逆であってもよい。
【0050】
論理ゲート74は、信号COMP_OUTと、制御部90から供給される制御信号φOUT_ENと、を受け、信号COMP_LATを出力する。制御信号φOUT_ENは、比較器50からの信号COMP_OUTの出力を許可するための許可信号である。論理ゲート74は、信号COMP_OUT及び制御信号φOUT_ENがHレベルの場合にLレベルの信号COMP_LATを出力し、それ以外の場合にHレベルの信号COMP_LATを出力する。
【0051】
論理ゲート76は、信号COMP_LATと、制御部90から供給される制御信号φJUDGE_ENと、を受け、信号JUDGE_OUTを出力する。制御信号φJUDGE_ENは、アナログ画素信号が低輝度か高輝度かを判定するための判定処理を許可するための判定許可信号である。論理ゲート76は、信号COMP_LAT及び制御信号φJUDGE_ENがHレベルの場合にLレベルの信号JUDGE_OUTを出力し、それ以外の場合にHレベルの信号JUDGE_OUTを出力する。
【0052】
論理ゲート72は、信号JUDGE_OUTと、制御部90から供給される制御信号φATT_ENと、を受け、制御信号ATTを出力する。制御信号ATT_ENは、ゲイン切り替え回路48によるゲインの切替を許可するための許可信号である。論理ゲート72は、信号JUDGE_OUT及び制御信号φATT_ENがHレベルの場合にHレベルの制御信号ATTを出力し、それ以外の場合にLレベルの制御信号ATTを出力する。
【0053】
ゲイン切り替え回路48は、制御部90からの制御信号に応じた制御信号φPFB1,φPFB2を出力する。また、ゲイン切り替え回路48は、制御信号ATTのレベルに応じた制御信号φPFB1,φPFB2を出力することも可能である。本実施形態では、制御信号ATTがHレベルの場合にHレベルの制御信号φPFB1,φPFB2を出力し、制御信号ATTがLレベルの場合にHレベルの制御信号φPFB1及びLレベルのφPFB2を出力するものとする。
【0054】
列メモリ54は、増幅回路44のリセット状態の信号レベルを記憶するNメモリ54Nと、入射光に応じた信号レベルを記憶するSメモリ54Sと、後述するゲイン切り替え判定情報を記憶するJメモリ54Jと、を含む。Nメモリ54N及びSメモリ54Sには、信号COMP_OUTのレベルが反転したタイミングにおいてカウンタ56から出力されているカウント信号CNTで示されるカウント値が、アナログ画素信号のデジタルデータ(デジタル画素信号)として保持される。Jメモリ54Jには、信号COMP_OUTのレベルに応じた信号が、ゲイン切り替え判定情報として保持される。Nメモリ54N、Sメモリ54S及びJメモリ54Jに記憶されたデジタルデータは、水平走査回路60から供給される制御信号に応じて、列毎に順次、信号処理部70へと転送される。
【0055】
画素アレイ部10から画素信号を読み出す際には、まず、制御信号φPC0RをHレベルに制御してスイッチSW3をオンにし、増幅回路44の初期リセットを行う。次いで、制御信号φPFB1をHレベル、制御信号φPFB2,φPC0RをLレベルに制御してスイッチSW1をオン、スイッチSW2,SW3をオフに設定する。この状態で、画素信号基準電圧に応じた画素信号(Nレベル信号)を出力線16に出力する。これにより、Nレベル信号が4倍のゲインで増幅されて増幅回路44から出力される。
【0056】
次に、入射光量に応じた信号(Sレベル信号)が画素12から出力されると、比較器50は、増幅回路44で増幅された画素信号と参照信号VRAMPとを比較し、低輝度と高輝度との判別ラッチ信号としての信号COMP_OUTを出力する。論理ゲート74,76,72は、信号COMP_OUTのレベルに応じた制御信号ATTをゲイン切り替え回路48に供給する。
【0057】
比較器50による比較の結果、画素信号が高輝度と判定された場合には、ゲイン切り替え回路48により制御信号φPFB2がHレベルに制御され、スイッチSW2がオンになることで、増幅回路44のゲインが4倍から1倍に切り替わる。一方、比較器50による比較の結果、画素信号が低輝度と判定された場合には、制御信号φPFB2がLレベル、スイッチSW2はオフのままであり、増幅回路44のゲインは4倍のまま維持される。
【0058】
列回路42をこのように駆動することで、Sレベル信号を読み出すときの増幅回路44のゲインを、低輝度時は4倍、高輝度時は1倍に設定することができ、SN特性を悪化させることなく読み出しの高速性とダイナミックレンジとを両立することが可能となる。
【0059】
次に、本実施形態による撮像装置の駆動方法について、図4乃至図7を用いてより具体的に説明する。
【0060】
図4は、画素アレイ部10の任意の行における画素信号の読み出し動作を示すタイミング図である。ここでは、増幅回路44のゲインを4倍に設定しておき、画素信号が高輝度と判定された場合にゲインを1倍に切り替える駆動例を説明する。
【0061】
図4には、制御信号φRES,φSEL,φTX,φPVLSEL,φPFB1,φPFB2,φPC0R,φPSH,ATTのレベルを示している。また、図4には、出力線16の電圧Vvl、容量Cshの電圧Vsh、信号Vcamp-out,COMP_OUT,COMP_LAT、参照信号VRAMPのレベルを示している。また、図4には、各種イネーブル信号である制御信号φOUT_EN,φJUDGE_EN,φJUDGE_OUT,φATT_ENのレベルを示している。
【0062】
時刻t0は、画素アレイ部10の任意の行において読み出し動作を開始するタイミングである。時刻t0よりも前の期間において、対応する行の制御信号φRES及び制御信号φPVLSEL,φPFB1,φPFB2はHレベルであり、その他の制御信号はLレベルであるものとする。なお、時刻t0から時刻t22までの期間が1つの行から画素信号を読み出す期間(1水平期間(1H))に対応している。
【0063】
時刻t0において、垂直走査回路20は、読み出し対象の行の制御信号φSELをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、当該行に属する画素12の選択トランジスタM4がオンになり、これら画素12の各々が対応する列の出力線16に画素信号を出力できる状態となる。
【0064】
続く時刻t1において、制御部90は制御信号φPC0RをLレベルからHレベルへと制御し、スイッチSW3をオンにする。このとき、制御信号φPFB1,φPFB2はHレベルであり、スイッチSW1,SW2もオンになっている。これにより、増幅回路44の容量C0,Cf1,Cf2がリセットされる。
【0065】
続く時刻t2において、垂直走査回路20は、読み出し対象の行の制御信号φRESをHレベルからLレベルへと制御する。これにより、当該行に属する画素12のリセットトランジスタM2がオフになり、これら画素12の浮遊拡散部FDのリセット状態が解除される。これにより、浮遊拡散部FD(浮遊拡散容量Cfd)には、画素12のリセット動作に起因したノイズ成分を含む画素信号基準電圧が保持される。出力線16には、浮遊拡散部FDの画素信号基準電圧に応じた画素信号(Nレベル信号)が出力される。
【0066】
続く時刻t3において、ゲイン切り替え回路48は、制御信号φPFB2をHレベルからLレベルへと制御する。これにより、増幅回路44のスイッチSW2がオフになり、容量Cf2のリセット状態が解除される。スイッチSW2をオフにすると容量Cf2のスイッチSW2側の電位が不安定になるため、読み出し動作中に電位が低下してスイッチSW2が誤ってオンになりゲインが変化しないように、読み出し行毎に時刻t3までの期間に容量Cf2をリセットしておく。
【0067】
続く時刻t4において、制御部90は、制御信号φPC0RをHレベルからLレベルへと制御する。これにより、増幅回路44のスイッチSW3がオフになり、増幅回路44のリセット状態が解除される。同時に、容量C0には、リセット時の画素信号基準電圧に応じた電荷が保持される。
【0068】
続く時刻t5から時刻t7の期間は、出力線16に出力されたNレベル信号のサンプリング期間である。時刻t5から時刻t7の期間において、制御部90は、制御信号φPSHをLレベルからHレベルに制御する。これにより、スイッチSW5がオンになり、増幅回路44において4倍のゲインで増幅されたNレベル信号が容量Cshに保持される。
【0069】
時刻t5と時刻t7との間の時刻t6から時刻t10の期間は、比較器50のリセット期間である。時刻t6から時刻t10の間、参照信号生成部52は、参照信号VRAMPを比較器50のオフセット電圧のレベルまで上昇させ、比較器50をリセットする。これにより、比較器50のリセットレベルからオフセット電圧分下げた電圧レベルを、参照信号VRAMPの入力ノードの初期状態として設定することができる。参照信号VRAMPは立ち上がり時の直線性が悪いため、オフセットを設定することにより参照信号VRAMPの直線性が悪いところでAD変換処理が行われるのを避けることができ、AD変換精度を向上することができる。
【0070】
続く時刻t12から時刻t14の期間は、画素信号基準電圧に応じたNレベルの画素信号に対してAD変換を行う期間である。参照信号生成部52は、時刻t12から参照信号VRAMPの信号レベルの増加を開始する。比較器50は、容量Cshの電圧Vshのレベルと参照信号VRAMPのレベルとを比較し、参照信号VRAMPのレベルが電圧Vshのレベルを超えたときに信号COMP_OUTをHレベルからLレベルに反転する。AD変換期間において制御信号φOUT_ENはHレベルになっており、信号COMP_OUTをHレベルからLレベルに反転するタイミングで、論理ゲート76の出力ノードから出力される信号COMP_LATはLレベルからHレベルに反転する。列メモリ54には、カウンタ56から、時刻t12における参照信号VRAMPの増加の開始と同期して計数が開始されるカウント信号CNTが入力されている。Nメモリ54Nは、信号COMP_LATが反転したタイミングにおいてカウント信号CNTが示すカウント値を、Nレベルの画素信号をAD変換したデジタル値として記憶する。
【0071】
時刻t8から時刻t13までの期間において、制御部90は、制御信号φPVLSELをHレベルからLレベルへと制御し、増幅回路44のスイッチSW4をオフにする。これにより、増幅回路44が出力線16から切り離され、画素信号を読み出す際の画素回路の駆動によって発生するノイズが増幅回路44に入力されて増幅回路44の出力が変動するのを軽減することができる。
【0072】
時刻t9から時刻t11までの期間において、垂直走査回路20は、読み出し対象の行の画素12の制御信号φTXをLレベルからHレベルに制御する。これにより、当該行に属する画素12の転送トランジスタM1がオンになり、所定の露光期間の間に光電変換部PDに蓄積された電荷が、浮遊拡散部FDに転送される。浮遊拡散部FDは光電変換部PDから転送された電荷の量に応じた電圧となり、出力線16には浮遊拡散部FDの電圧に応じた画素信号(Sレベル信号)が出力される。
【0073】
このとき、浮遊拡散部FDは制御信号φTXを供給するための転送信号配線との間の容量結合によるフィードスルーの影響を受け、リセット時の画素信号基準電圧から一時的に上昇する。これに伴い、出力線16の電圧Vvlも画素信号基準電圧に対応する電圧レベルよりも高くなっている。そのため、仮に時刻t11の直後に制御信号φPVLSELをHレベルに戻すと、出力線16と増幅回路44とが接続されることにより、反転増幅回路である増幅回路44から出力される信号Vcamp-outのレベルは一時的に降下する。その結果、Sレベルの画素信号を読み出すときに後述する輝度判定期間までの出力静定が不十分となり、輝度判定境界レベルが想定よりもずれる。そして、後述する手法で取得した補正値では補正誤差が大きくなり、ゲインが切り替わる境界付近に生じる輝度の段差を低減することができなくなる。
【0074】
このような観点から、制御信号φPVLSELをLレベルからHレベルに戻すタイミング(時刻t13)は、画素12の出力部が静定した後のタイミングに設定することが望ましい。出力部が静定するまでの期間は、制御信号φTXから浮遊拡散部FDへのフィードスルーの影響が緩和されるまでの期間である。或いは、出力部が静定するまでの期間は、出力線16の電位が、電荷を浮遊拡散部FDに転送する前の出力線16の電位よりも低くなるまでの期間ということもできる。時刻t13をこのようなタイミングに設定することで、信号Vcamp-outのレベルが降下するのを抑制し、ゲインが切り替わる境界付近に生じる輝度の段差を低減することが可能となる。
【0075】
時刻t13において制御信号φPVLSELがHレベルとなりスイッチSW4がオンになることで、増幅回路44が出力線16に接続され、増幅回路44における画素信号(Sレベル信号)の増幅動作が開始される。
【0076】
続く時刻t15から時刻t21の期間は、出力線16に出力されたSレベル信号のサンプリング期間である。時刻t15から時刻t21の期間において、制御部90は、制御信号φPSHをLレベルからHレベルに制御する。これにより、スイッチSW5がオンになり、増幅回路44において増幅されたSレベル信号が容量Cshに保持される。
【0077】
時刻t16から時刻t20の期間は、比較器50における画素信号のレベルの判定期間、具体的には、画素信号が低輝度の信号であるのか高輝度の信号であるのかを判定する輝度判定期間である。参照信号生成部52は、時刻t16において参照信号VRAMPの信号レベルの増加を開始し、信号レベルが所定の基準電圧VREFに達した後、そのまま時刻t20まで保持する。基準電圧VREFは、画素信号が低輝度の信号であるのか高輝度の信号であるのかを判定するための基準となる閾値電圧である。
【0078】
Sレベルの画素信号が低輝度の場合、参照信号VRAMPのレベルは時刻t17において電圧Vshのレベルを超え、信号COMP_OUTはHレベルからLレベルに遷移する(この場合の波形を一点鎖線で示す)。輝度判定期間において制御信号φOUT_ENはHレベルになっており、信号COMP_OUTがHレベルからLレベルに遷移するのに伴い、信号COMP_LATはLレベルからHレベルに遷移する。
【0079】
時刻t18から時刻t20の期間において制御信号φJUDGE_ENがLレベルからHレベルに制御されることにより、信号JUDGE_OUTはHレベルからLレベルに遷移する。信号JUDGE_OUTはJメモリ54Jに入力され、低輝度を表す情報として“0”が記憶される(J=0)。
【0080】
また、時刻t19から時刻t20の期間において制御信号φATT_ENがLレベルからHレベルに制御される。このとき、信号JUDGE_OUTはLレベルであり、論理ゲート72の出力である制御信号ATTはLレベルのまま維持される。これにより、ゲイン切り替え回路48から出力される制御信号φPFB1はHレベル、制御信号φPFB2はLレベルのままであり、増幅回路44のゲインは4倍のまま維持される。
【0081】
Sレベルの画素信号が高輝度の場合、参照信号VRAMPは基準電圧VREFのレベルに達しても電圧Vshのレベルを超えることはなく、信号COMP_OUTはHレベルのままである(この場合の波形を実線で示す)。また、輝度判定期間において制御信号φOUT_ENはHレベルになっており、信号COMP_LATはLレベルのままである。
【0082】
時刻t18から時刻t20の期間において制御信号φJUDGE_ENがLレベルからHレベルに制御されるが、信号JUDGE_OUTはLレベルの信号COMP_LATに応じてHレベルのままである。信号JUDGE_OUTはJメモリ54Jに入力され、高輝度を表す情報として“1”が記憶される(J=1)。
【0083】
また、時刻t19から時刻t20の期間において制御信号φATT_ENがLレベルからHレベルに制御される。このとき、信号JUDGE_OUTはHレベルであり、論理ゲート72の出力である制御信号ATTはLレベルからHレベルに遷移する。これにより、ゲイン切り替え回路48から出力される制御信号φPFB1はHレベル、制御信号φPFB2はHレベルとなり、増幅回路44のゲインは1倍に切り替わる。これにより、信号Vcamp-outのレベルは1/4に低下する。
【0084】
続く時刻t23から時刻t25の期間は、Sレベルの画素信号に対してAD変換を行う期間である。参照信号生成部52は、時刻t23から参照信号VRAMPの信号レベルの増加を開始する。比較器50は、容量Cshの電圧Vshのレベルと参照信号VRAMPのレベルとを比較し、参照信号VRAMPのレベルが電圧Vshのレベルを超えたときに信号COMP_OUTをHレベルからLレベルに反転する。AD変換期間において制御信号φOUT_ENはHレベルになっており、信号COMP_OUTがHレベルからLレベルに反転するタイミングで、論理ゲート76の出力ノードから出力される信号COMP_LATはLレベルからHレベルに反転する。列メモリ54には、カウンタ56から、時刻t23における参照信号VRAMPの増加の開始と同期して計数が開始されるカウント信号CNTが入力されている。Sメモリ54Sは、信号COMP_LATが反転したタイミングにおいてカウント信号CNTが示すカウント値を、Sレベルの画素信号をAD変換したデジタル値として記憶する。
【0085】
本実施形態の撮像装置100はサンプルホールド回路58を備えているため、前述のように、時刻t23から時刻t25の期間は、次の行の読み出し動作と並列に行うことができる。これにより、撮像装置の読み出し動作を高速化することができる。
【0086】
時刻t25以降の期間において、列メモリ54に記憶されているデジタルデータは、水平走査回路60による制御のもと、列単位で信号処理部70へと転送される。信号処理部70では、列メモリ54から送られるSデータとNデータとの差分を演算し、ノイズ成分を除去した光信号を算出する。Sデータが高輝度出力(J=1)に基づく場合は、SデータとNデータとの差分値を4倍することで、増幅回路44のゲインに応じた4倍の信号に戻してから出力する。
【0087】
しかしながら、実際には増幅回路44のゲインのずれや帰還容量のスイッチングノイズに起因するオフセット成分などにより、高輝度出力時のデータを4倍しただけでは低輝度出力との境界部に段差が生じて良好な直線性が得られない。そこで、本実施形態においては、以下のようにして取得した補正値を用い、高輝度出力の画素12と低輝度出力の画素12との境界部における輝度の段差を低減する。
【0088】
次に、本実施形態による撮像装置における画素値の補正方法について、図5を用いて説明する。
【0089】
画素値を補正するための補正値の取得は、画像フレーム内で読み出し動作を行わないブランキング期間を使用して実施する。まず、垂直走査回路20により、制御信号φSELをLレベルに制御して選択トランジスタM4をオフにすることにより、画素12を出力線16から切り離す。次いで、出力線制御部30の電圧供給回路34により、画素信号基準電圧に応じた出力線16の電圧Vnよりも電圧ΔVvlaだけ低い電圧(電圧Vnに対する振幅:ΔVvla)を生成し、出力線16に入力する。この状態で、上述した画素信号の読み出し方法と同様にして、増幅回路44のゲインが1倍のときのデジタル値D1と、増幅回路44のゲインが4倍のときのデジタル値D3と、を取得する。また、出力線制御部30の電圧供給回路34により、電圧Vnよりも電圧ΔVvlb(<ΔVvla)だけ低い電圧(電圧Vnに対する振幅:ΔVvlb)を生成し、出力線16に入力する。この状態で、上述した画素信号の読み出し方法と同様にして、増幅回路44のゲインが1倍のときのデジタル値D2と、増幅回路44のゲインが4倍のときのデジタル値D4と、を取得する。出力線16の電圧とデジタル値D1,D2,D3,D4との関係を表すと図5に示すようになる。
【0090】
このように取得したデジタル値D1,D2,D3,D4は、Sデータ及びNデータと同様に信号処理部70へと転送され、信号処理部70における補正値の算出に用いられる。具体的には、デジタル値D1,D2,D3,D4を用い、以下の式(1)及び式(2)から、補正値α,βを算出する。
4α=(D4-D3)/(D2-D1) …(1)
β=D3-4α×D1 …(2)
【0091】
Sレベルの画素信号が高輝度出力(J=1)の場合、CDS処理後の画素信号のデジタル値Dは、補正値α,βを用い、以下の式(3)を用いて算出することができる。
=4α(S-N)+β …(3)
【0092】
式(1)~式(3)は、デジタル値D1,D3を取得するときのゲインをG1、デジタル値D2,D4を取得するときのゲインをG2とすると、以下の式(1)′~式(3)′のように書き換えることができる。
(G2/G1)×α=(D4-D3)/(D2-D1) …(1)′
β=D3-(G2/G1)×α×D1 …(2)′
=(G2/G1)×α(S-N)+β …(3)′
【0093】
一方、Sレベルの画素信号が低輝度出力(J=0)の場合、CDS処理後の画素信号のデジタル値Dは、補正値α,βを用いず、以下の式(4)を用いて算出することができる。
=S-N …(4)
【0094】
式(3)及び式(4)において、SはSメモリ54Sから読み出されたデジタル値であり、NはNメモリ54Nから読み出されたデジタル値である。
【0095】
このような補正処理を行うことにより、高輝度出力の画素12と低輝度出力の画素12との境界に生じる輝度の段差を抑制し、高品質の画像を取得することが可能となる。
【0096】
しかしながら、読み出し動作の高速化のためにサンプルホールド回路58を用いると、Nレベル信号の読み出しにおいて直前の読み出し行のSレベル信号の影響を受け、Nレベル信号が変動することがある。その結果、後段の補正処理において誤差が生じ、高輝度出力の画素12と低輝度出力の画素12との境界における輝度の段差を効果的に低減できないことがある。
【0097】
図6及び図7は、輝度判定期間における比較器50の判定結果が低輝度から高輝度に切り替わる境界の信号レベルにおける動作を想定したタイミング図である。図6図7とでは制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに制御するタイミングが異なっている。
【0098】
まず、図6のタイミング図で示される参考例による駆動方法について説明する。
時刻t1において、制御部90は制御信号φPC0RをLレベルからHレベルへと制御し、スイッチSW3をオンにする。これにより、増幅回路44がリセットされる。増幅回路44から出力される信号Vcamp-outのレベルは、直前の読み出し行のSレベルからリセットレベルまで降下する。
【0099】
続く時刻t4において、制御部90は制御信号φPC0RをHレベルからLレベルへと制御し、スイッチSW3をオフにする。これにより、増幅回路44のリセット状態が解除される。
【0100】
続く時刻t5から時刻t7の期間は、出力線16に出力されたNレベル信号のサンプリング期間である。時刻t5から時刻t7の期間において、制御部90は、制御信号φPSHをLレベルからHレベルに制御し、スイッチSW5をオンにする。これにより、増幅回路44において4倍のゲインで増幅されたNレベル信号の容量Cshへの蓄積が開始され、容量Cshの電圧Vshは直前の読み出し行のSレベルからリセットレベル(Nレベル)に向かって徐々に降下する。
【0101】
しかしながら、容量Cshの電荷は排出される経路がないため、容量Cshの電圧Vshは下がりにくく静定に時間がかかる。そのため、サンプリング終了時点の時刻t7において十分に静定しきれず、容量Cshには本来のNレベルよりもΔVnだけ大きい電圧が保持される。
【0102】
続く時刻t12から時刻t14の期間は、画素信号基準電圧に応じたNレベルの画素信号に対してAD変換を行う期間である。容量Cshに保持されたNレベル信号のレベルが本来よりもΔVn大きいことにより、変換されるNレベル信号のデジタル値は(N1+Δn)となる。ここで、N1は本来のNレベル信号に対応するデジタル値であり、比較器50のリセット期間に設定した参照信号VRAMPのオフセットを含んだ値である。また、ΔnはΔVnに対応するデジタル値誤差である。Nレベル信号のデジタル値Nは、Nメモリ54Nに保持される。
【0103】
時刻t16から時刻t20の期間は、画素信号の輝度判定期間である。図6では入射光量が低輝度と高輝度の境界となるレベルの光を想定しているため、仮に低輝度(J=0)と判定された場合は、列アンプゲインは4倍(×4)のままである。また、高輝度(J=1)と判定された場合は1倍(×1)に切り替わり、信号Vcamp-outの振幅は1/4倍に低下する。このとき、1/4倍に低下するのは画素12の光出力に対応した信号Vcamp-outの振幅のみである。Nレベルはリセットレベルであるため増幅回路44のゲインによらず低下はしない。
【0104】
続く時刻t23から時刻t25の期間は、Sレベルの画素信号に対してAD変換を行う期間である。低輝度と判定されたときの増幅回路44の出力振幅に対応するデジタル変換値をS1とすると、低輝度判定時(J=0)におけるSレベルのデジタル値は(S1+N1)となる。また、高輝度判定時(J=1)におけるSレベルのデジタル値は、(S1/4+N1)となる。Sレベル信号のデジタル値Sは、Sメモリ54Sに保持される。
【0105】
Sメモリ54S及びNメモリ54Nに保持されたデジタル画素信号に対しては、信号処理部70において補正処理が施される。
【0106】
低輝度判定時(J=0)におけるCDS処理後の画素信号のデジタル値Dは、上述の式(4)を用いて以下のように算出することができる。
=S-N …(4)
=S1+N1-(N1+Δn)
=S1-Δn
【0107】
また、輝度判定時(J=1)におけるCDS処理後の画素信号のデジタル値Dは、上述の式(3)を用いて以下のように算出することができる。
=4α(S-N)+β …(3)
=4α(S1/4+N1-(N1+Δn))+β
=α×S1-4α×Δn+β
【0108】
したがって、仮に補正値α,βによる補正処理を行わない(α=1、β=0)とすると、低輝度と高輝度との境界では-3Δnに相当する輝度の段差が生じることになる。これにより、低輝度と高輝度との境界における直線性が悪化し、画質の劣化を引き起こす。
【0109】
また、時刻t5における電圧Vshのレベルは、直前の読み出し行のSレベルから整定したレベルで決まるため、直前の読み出し行におけるSレベルの大きさやゲイン切り替え動作の有無によってΔVnは変化し低輝度と高輝度との境界の段差量も変わる。図5を用いて説明した補正値α,βによる補正処理は全行に対して一律に実施するため、この補正処理によって改善することもできない。
【0110】
次に、図7のタイミング図で示される本実施形態による駆動方法について説明する。
図7のタイミング図では、制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに制御するタイミングを変更している。すなわち、図6の動作例では、時刻t4において制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに遷移した後、時刻5において制御信号φPSHをLレベルからHレベルに遷移している。これに対し、図7の動作例では、制御信号φPSHをHレベルに遷移する時刻t5よりも後の時刻t4′において、制御信号φPC0RをHレベルからLレベルへと制御している。
【0111】
制御信号φPC0RをLレベルに遷移するタイミングを、制御信号φPSHをHレベルに遷移するタイミングよりも後方にずらすことにより、時刻t5から時刻t4′の期間において、制御信号φPC0R,φPSHがともにHレベルとなる。
【0112】
時刻t5から時刻4′の期間は制御信号φPC0R,φPSHがHレベルのため、スイッチSW3,SW5がオンになり、アンプ46の入力ノードと容量Cshとが接続される。これにより、アンプ46の入力ノードの電位が上昇することで反転増幅された出力ノードの電位は降下し、容量Cshの電荷はアンプ46を通り短期間で排出される。その結果、容量Cshの電圧Vshを迅速にNレベルに静定させることができる。
【0113】
時刻t7のサンプリング終了時点において、電圧VshはNレベルに整定できているため、ΔVnはほぼ0になり、ΔVnに起因したNレベルのデジタル値誤差Δnもほとんど発生しない。したがって、低輝度と高輝度との境界における輝度の段差を低減し、良好な画像を取得することが可能となる。
【0114】
このように、本実施形態によれば、入射光量に応じて画素毎に増幅回路のゲインを切り替える撮像装置において、読み出し速度を低下することなく高品質の画像を取得することができる。
【0115】
[第2実施形態]
本実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、図8及び図9を用いて説明する。第1実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図8は、本実施形態による撮像装置の構成例を示すブロック図である。図9は、本実施形態による撮像装置における列回路の構成例を示す回路図である。
【0116】
本実施形態による撮像装置100は、AD変換機能を備えていないほかは、第1実施形態による撮像装置と同様である。画素12により取得されたアナログ画素信号は、AD変換されることなく、信号出力部80を介して撮像装置100の外部へと出力される。撮像装置100から出力されるアナログ画素信号は、外部の装置(例えば、後述する第4実施形態における信号処理部208)においてデジタル画素信号に変換される。
【0117】
本実施形態による撮像装置100はAD変換機能を備えていないため、図8に示すように、参照信号生成部52及びカウンタ56は不要である。また、図9に示すように、列回路42に比較器50及び列メモリ54は不要である。ゲイン切り替え回路48の制御信号ATTは、信号JUDGE_OUT及び制御信号φATT_ENに基づいて生成され得る。
【0118】
画素信号を画素12から列回路42のサンプルホールド回路58まで読み出す動作は、第1実施形態と同じである。水平走査回路60は、サンプルホールド回路58の容量Cshに保持されている画素信号を列毎に順次、信号出力部80に転送する。転送された画素信号は、信号出力部80によって撮像装置100の外部へと出力される。
【0119】
外部の装置が備える比較器(不図示)により、撮像装置100から出力された画素信号と参照信号とを比較する。その輝度判定結果を示す信号JUDGE_OUTを撮像装置100に入力し、論理ゲート72を介してゲイン切り替え回路48を制御する。外部の装置における輝度判定処理及びAD変換処理は、第1実施形態の撮像装置における輝度判定処理及びAD変換処理と同様に実施することができる。
【0120】
このように、本実施形態によれば、入射光量に応じて画素毎に増幅回路のゲインを切り替える撮像装置において、読み出し速度を低下することなく高品質の画像を取得することができる。
【0121】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による撮像装置の駆動方法について、図10乃至図13を用いて説明する。第1及び第2実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図10及び図11は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示す模式図である。図12は参考例による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。図13は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0122】
本実施形態では、第1実施形態による撮像装置の他の駆動方法を説明する。すなわち、本実施形態では、第1実施形態による撮像装置において、1フレームの間に長秒信号の読み出し動作と短秒信号の読み出し動作とを行単位で交互に行うラインインターリーブ駆動を実施する場合の動作例を説明する。本実施形態において、長秒信号とは相対的に長い露光時間(長秒露光期間)の間に生成された電荷に基づく信号であり、短秒信号とは相対的に短い露光時間(短秒露光期間)の間に生成された電荷に基づく信号である。長秒信号に基づく画像と短秒信号に基づく画像とを合成することにより、広いダイナミックレンジを有する画像を得ることができる。
【0123】
図10には、第(N-1)フレームと第Nフレームとの2フレーム分の動作の概略を示している。縦軸は行番号を表し、横軸は時間(水平期間HD)を表している。矩形のブロックの各々は、1行分の画素信号の読み出し動作を表している。粗いドットパターンを付したブロックが長秒信号の読み出し動作を行う期間であり、細かいドットパターンを付したブロックが短秒信号の読み出し動作を行う期間である。読み出し動作の後は、直ぐに次の露光期間が開始する。いわゆるスリットローリング動作であり、露光期間のタイミングは行毎に異なっている。
【0124】
図10に矢印で示す長秒露光期間の間に生成された電荷に基づく1行目の画素12の長秒信号は、第Nフレームの先頭の1HD目に読み出される。1行目の画素12では、長秒信号の読み出し動作が終了した直後から短秒露光期間が開始される。また、1行目の画素12における短秒露光期間と並行して、2行目以降の画素12の長秒信号の読み出しが順次行われる。しかしながら、短秒露光期間は短いため、長秒信号の読み出し動作が最終行まで終了する前に1行目の画素12の短秒信号の読み出しタイミングが到来する。そのため、長秒信号の読み出し動作は1HDおきに行い、その隙間に短秒信号の読み出し動作を行う。図10の例では、3HD目で2行目の画素12の長秒信号の読み出しを行い、5HD目で3行目の画素12の長秒信号の読み出しを行い、6HD目で1行目の画素12の短秒信号の読み出しを行う。6HD目以降は、長秒信号と短秒信号とを行毎に交互に読み出していく。
【0125】
その結果得られる画像(取得画像)は、図11の左側に示すように、長秒信号と短秒信号とが1HD毎に現れるモザイク状の画像となる。このように得られた取得画像は、後段の信号処理部70において、図11の右側に示すように、長秒信号に基づく長秒画像と短秒信号に基づく短秒画像とに分けられる。
【0126】
以上の動作により、総ての行を読み出す期間よりも短い期間を短秒露光期間に設定することができる。このようにして得られた長秒画像と短秒画像とを合成することで、広いダイナミックレンジの画像を取得することができる。
【0127】
しかしながら、撮像装置100の高速化のためにサンプルホールド回路58を用いて図10の駆動を行うと、画素12の輝度レベルによっては短秒露光のNレベル信号の読み出しが正しく行えないことがある。その結果、低輝度と高輝度との境界において輝度の段差が生じ、画質が低下することがある。短秒露光のNレベル信号の読み出しが正しく行えなくなる原因は、1HD前の長秒露光のSレベル信号の読み出しの際のAD変換動作に伴う電源変動にある。
【0128】
図12及び図13は、輝度判定期間における比較器50の判定結果が低輝度から高輝度に切り替わる境界の信号レベルにおける動作を想定したタイミング図である。図12及び図13では、短秒露光期間の露光量で低輝度と高輝度との境界のレベルに達する入射光のレベルを想定している。そのため、長秒信号のSレベルは完全に飽和している。図12図13とでは制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに制御するタイミングが異なっている。
【0129】
まず、図12のタイミング図で示される参考例による駆動方法について説明する。
時刻t31から時刻t33の期間は、長秒露光のSレベル信号に対する輝度判定期間(長秒JUDGE)である。長秒露光のSレベル信号に対して増幅回路44の出力は飽和しているため、長秒露光のSレベル信号は高輝度と判定され、時刻t32において増幅回路44のゲインは4倍から1倍に低下する。しかしながら、長秒露光期間の露光量は十分に大きいため、ゲインが1倍になっても増幅回路44の出力も飽和しており、時刻t34において容量Cshに保持される電圧Vshも飽和レベルとなる。
【0130】
続く時刻t35から時刻38の期間は、長秒露光のSレベル信号に対してAD変換を行う期間(長秒S変換)である。電圧Vshは飽和レベルにあるため、この期間において電圧Vshと参照信号VRAMPとは(Vsh>VRAMP)の関係にあり、信号COMP_OUTはHレベルのままである。そのため、時刻t38において制御信号φOUT_ENがHレベルからLレベルに遷移することで、信号COMP_LATがLレベルからHレベルに遷移する。列メモリ54には信号COMP_LATが入力され、Sメモリ54Sにカウント信号CNTで示されるカウント値が書き込まれる。この動作は総ての列において同じタイミングで生じるため、比較器50及び列メモリ54に供給される電源電圧が大きく変動する。
【0131】
時刻t36から時刻t37の期間には制御信号φPC0RがLレベルからHレベルに制御されており、増幅回路44から出力される信号Vcamp-outはNレベルに静定している。しかしながら、増幅回路44は比較器50及び列メモリ54と電源を共有しているため、時刻t38における信号COMP_LATの一斉動作による電圧変動の影響を受け、増幅回路44から出力される信号Vcamp-outも大きく変動する。
【0132】
続く時刻t39から時刻t40の期間は、短秒露光のNレベル信号のサンプリング期間である。増幅回路44は、電源変動の影響を受けた後、信号Vcamp-outを本来のNレベルに整定しようとするが、電荷を排出する経路がないため静定には時間がかかる。そのため、時刻t40において信号Vcamp-outを十分に整定しきれず、容量Cshに保持される電圧Vshは本来のNレベルよりもΔVn2だけ大きい電圧となる。
【0133】
続く時刻t41から時刻t42の期間は、短秒露光のNレベル信号に対してAD変換を行う期間(短秒N変換)である。容量Cshに保持されたNレベル信号のレベルが本来よりもΔVn2大きいことにより、変換されるNレベル信号のデジタル値は(N2+Δn2)となる。ここで、N2は本来のNレベル信号に対応するデジタル値であり、比較器50のリセット期間に設定した参照信号VRAMPのオフセットを含んだ値である。また、Δn2はΔVn2に対応するデジタル値誤差である。Nレベル信号のデジタル値Nは、Nメモリ54Nに保持される。
【0134】
続く時刻t43から時刻t44の期間は、短秒露光のSレベル信号に対する輝度判定期間(短秒JUDGE)である。図11では短秒露光の露光量が低輝度と高輝度の境界となるレベルの光を想定しているため、仮に低輝度(J=0)と判定された場合は、列アンプゲインは4倍(×4)のままである。また、高輝度(J=1)と判定された場合は1倍(×1)に切り替わり、信号Vcamp-outの振幅は1/4倍に低下する。このとき、1/4倍に低下するのは画素12の光出力に対応した信号Vcamp-outの振幅のみである。Nレベルはリセットレベルであるため増幅回路44のゲインによらず低下はしない。
【0135】
続く時刻t45から時刻t46の期間は、短秒露光のSレベル信号に対してAD変換を行う期間(短秒S変換)である。短秒露光信号が低輝度と判定されたときの増幅回路44の出力振幅に対応するデジタル変換値をS2とすると、低輝度判定時(J=0)におけるSレベルのデジタル値は(S2+N2)となる。また、高輝度判定時(J=1)におけるSレベルのデジタル値は、(S2/4+N2)となる。Sレベル信号のデジタル値Sは、Sメモリ54Sに保持される。
【0136】
Sメモリ54S及びNメモリ54Nに保持されたデジタル画素信号に対しては、信号処理部70において補正処理が施される。
【0137】
低輝度判定時(J=0)におけるCDS処理後の画素信号のデジタル値Dは、上述の式(4)を用いて以下のように算出することができる。
=S-N …(4)
=S2+N2-(N2+Δn2)
=S2-Δn2
【0138】
また、輝度判定時(J=1)におけるCDS処理後の画素信号のデジタル値Dは、上述の式(3)を用いて以下のように算出することができる。
=4α(S-N)+β …(3)
=4α(S2/4+N2-(N2+Δn2))+β
=α×S2-4α×Δn2+β
【0139】
したがって、仮に補正値α,βによる補正処理を行わない(α=1、β=0)とすると、低輝度と高輝度との境界では-3×Δn2に相当する輝度の段差が生じることになる。これにより、短秒画像の低輝度と高輝度との境界における直線性が悪化し、画質の劣化を引き起こす。
【0140】
また、短秒読み出しの直前の水平期間で読み出す長秒露光の行は、短秒読み出しの行とは異なるため、図12のΔVn2は発生する行と発生しない行とが存在する。更に、短秒露光の露光時間を変えても直前の長秒露み出し行は変わるため、ΔVn2の発生する行が切り替わる。図5を用いて説明した補正値α,βによる補正処理は全行に対して一律に実施するため、この補正処理によって改善することもできない。
【0141】
次に、図13のタイミング図で示される本実施形態による駆動方法について説明する。
図13のタイミング図では、制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに制御するタイミングを変更している。すなわち、図12の動作例では、時刻t37において制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに遷移した後、時刻39において制御信号φPSHをLレベルからHレベルに遷移している。これに対し、図13の動作例では、制御信号φPSHをHレベルに遷移する時刻t39よりも後の時刻t37′において、制御信号φPC0RをHレベルからLレベルへと制御している。
【0142】
制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに遷移するタイミングを時刻t38よりも後方にシフトすると、時刻t38において発生する信号COMP_LATの一斉動作による電源電圧の変動が生じたとき、増幅回路44はリセット状態にある。これにより、増幅回路44の出力を急速にリセットレベルにすることができる。
【0143】
更に図13の動作例では、制御信号φPSHをHレベルに遷移する時刻t39よりも後の時刻t37′において制御信号φPC0RをHレベルからLレベルに遷移している。これにより、第1実施形態で説明したように、容量Cshの電圧Vshを、直前の読み出し行のSレベルからNレベルに迅速に静定させることができる。
【0144】
時刻t40のサンプリング終了時点において、電圧VshはNレベルに整定できているため、ΔVnはほぼ0になり、ΔVnに起因したNレベルのデジタル値誤差Δnもほとんど発生しない。したがって、低輝度と高輝度との境界における輝度の段差を低減し、良好な画像を取得することが可能となる。
【0145】
このように、本実施形態によれば、本実施形態によれば、入射光量に応じて画素毎に増幅回路のゲインを切り替える撮像装置において、読み出し速度を低下することなく高品質の画像を取得することができる。
【0146】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による撮像システムについて、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【0147】
上記第1乃至第3実施形態で述べた撮像装置100は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。図14には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0148】
図14に例示した撮像システム200は、撮像装置201、被写体の光学像を撮像装置201に結像させるレンズ202、レンズ202を通過する光量を可変にするための絞り204、レンズ202の保護のためのバリア206を有する。レンズ202及び絞り204は、撮像装置201に光を集光する光学系である。撮像装置201は、第1乃至第3実施形態のいずれかで説明した撮像装置100であって、レンズ202により結像された光学像を画像データに変換する。
【0149】
撮像システム200は、また、撮像装置201より出力される出力信号の処理を行う信号処理部208を有する。信号処理部208は、撮像装置201が出力するデジタル信号から画像データの生成を行う。また、信号処理部208は必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。撮像装置201は、信号処理部208で処理されるデジタル信号を生成するAD変換部を備えうる。AD変換部は、撮像装置201の光電変換部が形成された半導体層(半導体基板)に形成されていてもよいし、撮像装置201の光電変換部が形成された半導体層とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、信号処理部208が撮像装置201と同一の半導体基板に形成されていてもよい。
【0150】
撮像システム200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部210、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)212を有する。更に撮像システム200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体214、記録媒体214に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)216を有する。なお、記録媒体214は、撮像システム200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0151】
更に撮像システム200は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部218、撮像装置201と信号処理部208に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部220を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム200は少なくとも撮像装置201と、撮像装置201から出力された出力信号を処理する信号処理部208とを有すればよい。
【0152】
撮像装置201は、撮像信号を信号処理部208に出力する。信号処理部208は、撮像装置201から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部208は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0153】
このように、本実施形態によれば、第1乃至第3実施形態による撮像装置100を適用した撮像システムを実現することができる。
【0154】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による撮像システム及び移動体について、図15を用いて説明する。図15は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
【0155】
図15(a)は、車載カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記第1乃至第3実施形態のいずれかに記載の撮像装置100である。撮像システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、撮像システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、撮像システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0156】
撮像システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU330が接続されている。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0157】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム300で撮像する。図15(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置320が、撮像システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0158】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0159】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0160】
また、図2に示した画素12の回路構成は一例であり、適宜変更が可能である。例えば、浮遊拡散部FDとは別に電荷保持部を更に設け、グローバル電子シャッタ動作が可能な画素構成としてもよい。
【0161】
また、上記第1乃至第3実施形態では、画素信号を増幅する増幅回路44のゲインを1倍又は4倍としたが、増幅回路44のゲインはこれらに限定されるものではない。また、増幅回路44のゲインは必ずしも2種類である必要はなく、例えば、画素信号を低輝度、中輝度、高輝度のように3種類以上で判別し、それぞれに応じたゲインで増幅するように構成してもよい。
【0162】
また、上記第1乃至第3実施形態では、列メモリ54から信号処理部70へと転送されるデジタル値に対し、補正値α,βを用いて補正処理を行うことにより、高輝度出力の画素12と低輝度出力の画素12との境界に生じる輝度の段差を効果的に抑制している。しかしながら、スイッチSW3とスイッチSW5の動作タイミングを上述のように設定することにも、高輝度出力の画素12と低輝度出力の画素12との境界に生じる輝度の段差を低減する効果は少なからずある。したがって、補正値α,βを用いた補正処理は、必ずしも行う必要はない。
【0163】
また、信号処理部70の機能は、必ずしも撮像装置100が備えている必要はなく、撮像装置100の外部において実施するように構成してもよい。例えば、第4実施形態の撮像システム200においては、信号処理部70が有する機能の少なくとも一部を信号処理部208が備えていてもよい。また、増幅回路44が輝度判定回路を備えていてもよい。何れの形態にも、上述した実施形態において説明した効果と同様の効果を実現することができる。
【0164】
また、上記第1乃至第3実施形態では、画像の取得を目的とした装置、すなわち撮像装置を例示したが、本発明の適用例は必ずしも撮像装置に限定されるものではない。例えば、上記第5実施形態で説明したような測距を主たる目的とする装置に適用する場合にあっては、必ずしも画像を出力する必要はない。このような場合、当該装置は、光情報を所定の電気信号に変換する光電変換装置と言うことができる。撮像装置は、光電変換装置の1つである。
【0165】
また、上記第4及び第5実施形態に示した撮像システムは、本発明の光電変換装置を適用しうる撮像システム例を示したものであり、本発明の光電変換装置を適用可能な撮像システムは図14及び図15に示した構成に限定されるものではない。
【0166】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0167】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0168】
10…画素アレイ部
12…画素
20…垂直走査回路
30…出力線制御部
34…電圧供給回路
40…読み出し回路部
42…列回路
44…増幅回路
48…ゲイン切り替え回路
50…比較器
70…信号処理部
100…撮像装置
200,300…撮像システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15