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  • 特許-インターホンシステム 図1
  • 特許-インターホンシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20241007BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04N7/18 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020179879
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070683
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】大野 眞裕
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149695(JP,A)
【文献】特開2019-102882(JP,A)
【文献】特開2010-200022(JP,A)
【文献】特開2008-252615(JP,A)
【文献】特開2005-135230(JP,A)
【文献】特開2019-149761(JP,A)
【文献】特開2018-137545(JP,A)
【文献】特開2010-241513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00-15/02
19/00-31/00
H04M9/00-9/10
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するためのカメラ及び居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、前記カメラの撮像映像を表示する表示部及び前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、
前記居室親機は、宅配業者を識別するバーコード情報を記憶する識別情報記憶部と、
宅配物の配達人が前記玄関子機を呼出操作した場合に、それを確認するための動作を行う宅配対応モードに設定する宅配モード設定部と、
前記カメラが撮像したバーコードを読み取る親機制御部とを有し、
前記親機制御部は、前記宅配対応モードに設定された状態で前記玄関子機が呼出操作されたら、宅配業者を示すバーコードを前記カメラに翳すことを促すアナウンスを前記玄関子機から報音させると共に、前記カメラに翳されたバーコードを読み取って、関連付けられている情報を前記識別情報記憶部から読み取って前記表示部に表示させることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記親機制御部は、翳されたバーコード情報が登録されている宅配業者の情報であったら、バーコードが正しく読み取られたことを通知するメッセージを前記玄関子機から報音させることを特徴とする請求項記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記親機制御部は、翳されたバーコード情報が登録されている宅配業者の情報であったら、居室親機から宅配物が来たことを通知するメッセージを報音させることを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記居室親機は、宅配物の配達人に置き配を促す置き配ボタンを有し、
前記親機制御部は、翳されたバーコード情報が登録されている宅配業者の情報であり、且つ置き配ボタンがオン状態にあったら、玄関子機から置き配を促すメッセージを報音させることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホンシステムに関し、特に来訪者が宅配物の配達人である場合に、居住者がそれを認識できるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
来訪者が宅配物の配達人である場合に、宅配物のバーコード情報を入手して、居住者が配達人の正当性を判断できるインターホンシステムがある。
例えば特許文献lでは、ネットワーク上に宅配物を管理するサーバを配置して、配達人に対して玄関子機のカメラに宅配物のバーコードを翳させることでバーコードを読み取り、読み取ったバーコードに基づいた宅配物に関する情報をサーバから入手して、宅配物の配達人であることを確認できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-200022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、来訪者が宅配物の配達人であることを判別するには、呼び出しを受けた居住者が、配達人と会話して宅配物のバーコードをカメラに翳してもらよう指示をしなければならなかったため、時間がかかり面倒であった。また配達人においても、居住者の指示を受けてバーコードを提示するため、早く荷物を渡したいにもかかわらず、スムーズに渡すことができず、不愉快な思いをさせる場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、宅配物の配達人が来た際に、居住者が応答すること無く配達人であることを認識できるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像するためのカメラ及び居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、カメラの撮像映像を表示する表示部及び玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、居室親機は、宅配業者を識別するバーコード情報を記憶する識別情報記憶部と、宅配物の配達人が玄関子機を呼出操作した場合に、それを確認するための動作を行う宅配対応モードに設定する宅配モード設定部と、カメラが撮像したバーコードを読み取る親機制御部とを有し、親機制御部は、宅配対応モードに設定された状態で玄関子機が呼出操作されたら、宅配業者を示すバーコードをカメラに翳すことを促すアナウンスを玄関子機から報音させると共に、カメラに翳されたバーコードを読み取って、関連付けられている情報を識別情報記憶部から読み取って表示部に表示させることを特徴とする。
この構成によれば、宅配物の配達人は、携行しているバーコードをカメラに翳す必要があることをアナウンスで認識するため、居住者の応答を待たずに必要な行動を行うことができ、バーコードを提示することで待ち時間が長くなる問題を解消できる。そして、居住者は来訪者が宅配業者であることを応答すること無く認識できるため、スムーズな対応が可能となる。
【0008】
請求項の発明は、請求項に記載の構成において、親機制御部は、翳されたバーコード情報が登録されている宅配業者の情報であったら、バーコードが正しく読み取られたことを通知するメッセージを玄関子機から報音させることを特徴とする。
この構成によれば、バーコードが読み取られたら玄関子機からそれを通知するメッセージが報音されるため、配達人はバーコードが読まれたことを認識でき安心できる。
【0009】
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、親機制御部は、翳されたバーコード情報が登録されている宅配業者の情報であったら、居室親機から宅配物が来たことを通知するメッセージを報音させることを特徴とする。
この構成によれば、来訪者が宅配物の配達人であることが認証されたら、それを通知するメッセージが居室親機から報音されるため、居住者は居室親機の表示部を確認すること無く、宅配物が届いたことを認識でき、利便性が良い。
【0010】
請求項の発明は、請求項1乃至の何れかに記載の構成にいて、居室親機は、宅配物の配達人に置き配を促す置き配ボタンを有し、親機制御部は、翳されたバーコード情報が登録されている宅配業者の情報であり、且つ置き配ボタンがオン状態にあったら、玄関子機から置き配を促すメッセージを報音させることを特徴とする。
この構成によれば、配達人は、置き配を促すメッセージを受けることで、躊躇無く置き配でき、居住者の対応を待つことなく速やかに配達を完了できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、宅配物の配達人は、携行しているバーコードをカメラに翳す必要があることをアナウンスで認識するため、居住者の応答を待たずに必要な行動を行うことができ、バーコードを提示することで待ち時間が長くなる問題を解消できる。そして、居住者は来訪者が宅配業者であることを応答すること無く認識できるため、スムーズな対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】インターホンシステムの第1の形態を示す構成図であり、構成機器をブロック図で示している。
図2】インターホンシステムの第2の形態を示す構成図であり、構成機器をブロック図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムの第1の形態を示す構成図であり、構成機器をブロック図で示している。図1に示すように、来訪者が居住者を呼び出すために玄関に設置された玄関子機1と、居住者が呼び出しに応答するために室内に設置された居室親機2とを備え、両者は伝送線L1で接続されている。
【0014】
玄関子機1は、呼出ボタン11、来訪者を撮像するためのカメラ12、マイク13a及びスピーカ13bを備えた子機通話部13、玄関子機1を制御する子機CPU14、居室親機2と通信するための子機通信IF15等を備えている。
【0015】
居室親機2は、玄関子機1からの呼び出しに応答するための通話ボタン21、前記カメラ12の撮像映像に加えて各種情報を表示する表示部22、各種操作をする操作部23、マイク24a及びスピーカ24bを備えた親機通話部24、宅配業者を識別するQRコード(登録商標)情報を記憶する識別情報記憶部25、玄関子機1或いは居室親機2から報音させる所定のメッセージを記憶するメッセージ記憶部26、居室親機2を制御する親機CPU27、玄関子機1と通信するための親機通信IF28等を備えている。
【0016】
識別情報記憶部25は、宅配業者の情報が2次元のバーコードであるQRコード(登録商標)に関連付けられて登録されている。個々の宅配業者は、業者毎に異なるQRコード(登録商標)が設定されており、それらの情報が記憶されている。
また操作部23は、宅配モードボタン23a、置き配ボタン23bを備えている。操作部23は、表示部22に一体に設けられたタッチパネルから成り、宅配モードボタン23a、置き配ボタン23bは、所定の操作で表示され、タッチ操作でオン/オフ操作される。
【0017】
このように構成されたインターホンシステムの動作は、以下のようである。但し、宅配モードボタン23aが操作されていないオフ状態での動作は、従来と同様であるため、詳細な説明は省略する。例えば、呼出ボタン11が操作されると、居室親機2で呼出音が鳴動してカメラ12が起動し、来訪者映像が居室親機2の表示部22で表示される。そして、通話ボタン21が押下されると、通話が可能となる。
【0018】
一方、宅配モードボタン23aがオン操作されて、宅配モード状態での動作は以下のようである。宅配モードボタン23aが押下されると、宅配対応モードに移行し、親機CPU27の制御により次のように動作する。尚、宅配モードボタン23aは、宅配物の配達が予想される日、或いは指定した配達時間が近づいたら、居住者によりオン操作される。
宅配対応モード状態で、呼出ボタン11が押下されると、居室親機2に呼出信号が送信されて呼出音が鳴動する。また、カメラ12の撮像映像が表示部22に表示される。ここまでの動作は従来と同様であるが、宅配対応モード状態では親機CPU27の制御により、次のように動作する。
【0019】
来訪者が宅配物の配達人であるか判別するために、配達人が所持している宅配業者であることを示すためのQRコード(登録商標)、或いは宅配物に添付されている宅配物のQRコード(登録商標)をカメラ12に翳すよう指示を出す。
例えば、「身分を示すQRコード(登録商標)、或いは荷物のQRコード(登録商標)をカメラに翳してください」のメッセージが玄関子機1のスピーカ13bから報音される。
【0020】
このメッセージを受けて、配達人が例えば荷物の送り状に印刷されているQRコード(登録商標)をカメラ12に翳すと、カメラ12の撮像画像から親機CPU27がQRコード(登録商標)を読み取りる。こうして読み取ったQRコード(登録商標)情報を基に、識別情報記憶部25に登録されている宅配業者情報の中から関連付けられている情報があったら読み取り、表示部22に表示する。こうして、表示部22には配達された宅配物を扱っている宅配業者名が表示される。
また、QRコード(登録商標)から宅配業者が判別できたら、居室親機2から「宅配便が来ました」等のアナウンスが成される。更に、玄関子機1から「QRコード(登録商標)を読み取りました、しばらくお待ちください」等のメッセージが報音される。
【0021】
尚、荷物(宅配物)のQRコード(登録商標)からでも宅配業者を判別できるため、識別情報記憶部25から関連付けられている情報を読みとることができる。また、読み取れなかった場合は、再度QRコード(登録商標)を翳して頂く旨のメッセージが報音されるし、読み取ったQRコード(登録商標)に関連する情報が無い場合は配達人ではないと判断し、宅配対応モードを解除して、通常の呼出モードに移行する。
【0022】
そして、宅配モードボタン23aに加えて、置き配ボタン23bもオンされている場合は、親機CPU27の制御により次のように動作する。
QRコード(登録商標)情報から宅配物の配達人であると判断したら、玄関子機1から、置き配を促すアナウンスが成される。例えば「荷物をドア横に置いてください」がアナウンスされる。
このアナウンスにより、配達人は居住者が応対に出てくるのを待つこと無く、躊躇無く置き配でき、配達が完了となる。
【0023】
このように、宅配物の配達人は、携行しているQRコード(登録商標)をカメラ12に翳す必要があることをアナウンスで認識するため、居住者の応答を待たずに必要な行動を行うことができ、QRコード(登録商標)を提示することで待ち時間が長くなる問題を解消できる。そして、居住者は来訪者が宅配業者であったら、居室親機の表示により応答すること無くそれを認識できるため、スムーズな対応が可能となる。
また、QRコード(登録商標)が読み取られたら、玄関子機1からそれを通知するメッセージが報音されるため、配達人はGRコードが読まれたことを認識でき安心できる。
更に、来訪者が宅配物の配達人であることが認証されたら、それを通知するメッセージが居室親機2から報音されるため、居住者は居室親機2の表示部22を確認すること無く、宅配物が届いたことを認識でき、利便性が良い。
加えて、居住者が置き配ボタン23bをオンすれば、配達人は置き配を促すメッセージを受けるため躊躇無く置き配でき、居住者の対応を待つことなく速やかに配達を完了できる。
【0024】
図2はインターホンシステムの第2の形態を示す構成図である。以下、図2を参照して第2の形態を説明する。上記図1の形態とは、通信ネットワークN上に宅配物を管理する宅配管理サーバ3が配置され、居室親機2がこの宅配管理サーバ3と通信する点が異なっている。この相違点を中心に説明する。尚、図1と共通する構成要素には同一の符号を付与して説明を省略する。
【0025】
宅配管理サーバ3は、宅配業者が管理するサーバであり、宅配業者情報に加えて宅配物の情報が蓄積されている宅配情報記憶部31を備えている。これらの情報は、宅配物の送り状等に印刷されているQRコード(登録商標)に関連付けられて登録されている。
また居室親機2は、通信ネットワークNに接続する外部通信IF29を有し、宅配管理サーバ3と例えばIPプロトコルで通信を実施する。
【0026】
このように構成されたインターホンシステムは、宅配モードボタン23aが押下された宅配対応モード状態で、呼出ボタン11が押下されると、親機CPU27の制御により、上記形態と同様にQRコード(登録商標)を読み取る動作を実施する。
但し、宅配物に添付されているQRコード(登録商標)を読み取るためのアナウンス、例えば「荷物の送り状のQRコード(登録商標)をカメラに翳してください」のメッセージが玄関子機1のスピーカ13bから報音される。このアナウンスを受けて翳された荷物のQRコード(登録商標)を読み取ったら、宅配管理サーバ3の宅配情報記憶部31からQRコード(登録商標)に関連付けられている情報を入手し、入手した情報を表示部22に表示する。
【0027】
宅配管理サーバ3には、宅配業者情報に加えて個々の宅配物の情報も宅配業者から順次アップロードされて蓄積されており、これらの関連情報が読み取られて表示部22に表示される。例えば、宅配業者名に加えて宅配物の差出人情報、受取人情報等が入手されて表示される。
また、更に置き配ボタン23bがオンされていたら、これらの情報を入手後、「荷物をドア横に置いてください」等の置き配を許可するアナウンスが玄関子機1から成される。
【0028】
尚、こうして置き配を促した場合、居室親機2から宅配管理サーバ3に受け取りを通知する信号を送信し、この情報を受けた宅配管理サーバ3から宅配業者に対して受取履歴を送信させても良い。
【0029】
このように、宅配物の配達人は、荷物のQRコード(登録商標)をカメラ12に翳す必要があることをアナウンスで認識するため、居住者の応答を待たずに必要な行動を行うことができる。そして、居住者は来訪者が宅配業者であることを応答すること無く認識できるため、スムーズな対応が可能となる。
加えて居室親機2は、読み取ったQRコード(登録商標)の情報を宅配業者が管理する宅配管理サーバ3から入手するため、宅配業者情報に加えて荷物に関する情報も入手でき、詳細な情報を入手でき安心できる。加えて、その都度外部から宅配情報を入手するため、登録/更新する必要がない。
【0030】
尚、上記実施形態では、2次元バーコードであるQRコード(登録商標)を例に説明したが、単純なバーコードであっても良い。
【符号の説明】
【0031】
1・・玄関子機、2・・居室親機、3・・宅配管理サーバ、12・・カメラ、14・・子機CPU、22・・表示部、23・・操作部、23a・・宅配モードボタン(宅配モード設定部)、23b・・置き配ボタン、25・・識別情報記憶部、26・・メッセージ記憶部、27・・親機CPU(親機制御部)、29・・外部通信IF(外部通信部)、31・・宅配情報記憶部、N・・通信ネットワーク。
図1
図2