(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】包装箱およびブランク
(51)【国際特許分類】
B65D 5/43 20060101AFI20241007BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20241007BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20241007BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B65D5/43
B65D5/54 311Z
B65D5/42 Z
B65D5/66 311D
B65D5/66 311G
(21)【出願番号】P 2020181421
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰弘
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-030529(JP,A)
【文献】特開2020-111373(JP,A)
【文献】特開2019-099233(JP,A)
【文献】特開2009-113815(JP,A)
【文献】特開2019-077466(JP,A)
【文献】特開2010-285179(JP,A)
【文献】特開2017-137077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/43
B65D 5/54
B65D 5/42
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収容する箱本体(1W,2W,3W)と、
前記箱本体の開口部(1U,2U,3U)を閉じる蓋体(17,53,63)と、
前記箱本体を構成する壁体(15,50,60)に前記蓋体を係止させる封緘構造(30)と、を備え、
前記封緘構造は、
前記蓋体に連設された差込片(31)と、
前記壁体の縁から離れた位置において前記壁体に切り込まれた差込穴(32)と、
前記差込穴から前記差込片の差込方向の上流側に向かって延びて前記壁体を折曲可能に形成された押込補助折線と、を有し、
前記差込片は、
前記蓋体から延設された差込本体部(34)と、
前記差込本体部の前記差込方向に直交する幅方向の両端に連設された一対の係止片(35)と、を有し、
前記差込穴は、
前記幅方向の中間部において前記差込方向の上流側に向かって膨出した膨出部(37A)と、前記膨出部の前記幅方向の両端から外側に延びる一対の直線部分と、を含み、前記差込片が前記壁体の表面に沿ってスライドしながら差込可能に形成された中央穴部(37)と、
前記中央穴部の前記幅方向の両端に連設され、湾曲しながら前記差込方向の上流側に折り返された一対の折返し穴部(38)と、を有し、
前記押込補助折線は、
前記膨出部の前記幅方向の中央部から前記差込方向の上流側に向かって延びた第1の押込補助折線(33A)と、
前記膨出部の前記幅方向の両端部から前記差込方向の上流側に向かって前記第1の押込補助折線に接近するように斜めに延びた一対の第2の押込補助折線(33B)と、を含み、
前記差込片を前記差込穴に差し込む際、前記壁体が、前記第1の押込補助折線で逆折りされ、一対の前記第2の押込補助折線で正折りされることで、前記膨出部と一対の前記第2の押込補助折線とで囲まれた範囲が凹み、前記膨出部に対応する前記壁体の前記差込方向の下流側が相対的に
前記壁体の厚さ方向の外側にずれて、前記差込片の先端を差し込める程度の隙間が形成され、
前記差込片が前記中央穴部に差し込まれた状態で、一対の前記係止片は前記中央穴部の前記直線部分の縁に引き抜き不能に係合することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記壁体には、前記差込穴の前記幅方向の両側から前記差込方向の下流側に向かって前記壁体を切断する一対の開封切断線(41)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記蓋体には、前記差込片を分断する開封切断線(42,43)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
前記差込本体部と一対の前記係止片との境界には、一対の前記係止片を折曲可能とする一対の係止折線(36)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記箱本体(1W)の厚さ方向の寸法が前記差込方向と前記幅方向との寸法よりも短く設定され、郵便箱に投函可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の包装箱を形成することを特徴とするブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱およびブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の開放部を蓋体によって封止する開封防止機構付包装箱が知られている(特許文献1)。容器本体には、平面から見てコの字状に屈曲した第1差込穴がスリット状に形成され、蓋体には、第1差込穴に差し込まれる第1差込片が形成されている。第1差込片がコの字状に折り曲げられて第1差込穴に差し込まれると、第1差込片の折り曲げ部分が弾性力によって元の状態に復元するため、第1差込片が第1差込穴から引き抜けなくなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した包装箱では、第1差込穴の形状に合わせて第1差込片を折り曲げなければ第1差込穴に差し込むことができず、封緘作業(梱包作業)に手間と時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、開封防止機能を付加しつつ容易に封緘することができる包装箱およびブランクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
包装箱は、被包装物を収容する箱本体と、前記箱本体の開口部を閉じる蓋体と、前記箱本体を構成する壁体に前記蓋体を係止させる封緘構造と、を備え、前記封緘構造は、前記蓋体に連設された差込片と、前記壁体の縁から離れた位置において前記壁体に切り込まれた差込穴と、を有し、前記差込片は、前記蓋体から延設された差込本体部と、前記差込本体部の差込方向に直交する幅方向の両端に連設された一対の係止片と、を有し、前記差込穴は、幅方向の中間部において差込方向の上流側に向かって膨出した膨出部を含み、前記差込片が前記壁体の表面に沿ってスライドしながら差込可能に形成された中央穴部と、前記中央穴部の幅方向の両端に連設され、湾曲しながら差込方向の上流側に折り返された一対の折返し穴部と、を有し、前記差込片が前記中央穴部に差し込まれた状態で、一対の前記係止片は前記中央穴部の縁に引き抜き不能に係合する。
【0007】
この場合、前記封緘構造は、前記差込穴から差込方向の上流側に向かって延びて前記壁体を折曲可能に形成された少なくとも1つの押込補助折線を更に有してもよい。
【0008】
この場合、前記押込補助折線は、前記膨出部の幅方向の中央部から差込方向の上流側に向かって延びた第1の押込補助折線と、前記膨出部の幅方向の両端部から差込方向の上流側に向かって前記第1の押込補助折線に接近するように斜めに延びた一対の第2の押込補助折線と、を含んでもよい。
【0009】
この場合、前記壁体には、前記差込穴の幅方向の両側から差込方向の下流側に向かって前記壁体を切断する一対の開封切断線が形成されてもよい。
【0010】
この場合、前記蓋体には、前記差込片を分断する開封切断線が形成されてもよい。
【0011】
この場合、前記差込本体部と一対の前記係止片との境界には、一対の前記係止片を折曲可能とする一対の係止折線が形成されてもよい。
【0012】
この場合、厚さ方向の寸法が差込方向と幅方向との寸法よりも短く設定され、郵便箱に投函可能に形成されてもよい。
【0013】
ブランクは、上記したいずれかに記載の包装箱を形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、包装箱に開封防止機能を付加しつつ容易に封緘することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクの一部(差込穴等)を示す平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、概ね箱本体を形成した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、差込片を差込穴に差し込む過程を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱を開封する過程を説明する斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、差込片の引き抜き規制を強固にした状態を説明する斜視図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てた状態での方向や位置を基準にしている。
【0017】
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1は包装箱1を示す斜視図である。
図2は包装箱1のブランク1Aを示す平面図である。
【0018】
図1に示すように、包装箱1(箱本体1W)は、厚さ方向(上下方向、高さ方向)の寸法が前後方向(差込方向)と左右方向(幅方向)との寸法よりも短く設定され、薄く形成されている。包装箱1は、例えば、被包装物(図示せず)を包装した状態で郵便箱に投函可能に形成されている。つまり、包装箱1は、所謂ポストイン・ボックスである。なお、包装箱1の高さは、一般的な郵便箱に投函可能な30mm以下であることが好ましいが、本発明の技術範囲は、30mmを越える高さの包装箱1を除外するものではない。
【0019】
包装箱1は、
図2に示すブランク1Aを組み立てることで形成される。ブランク1Aは、1枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aに表ライナ9Bと裏ライナ9C(
図4参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、
図2は、表ライナ9B側(包装箱1の外面)を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0020】
[ブランク]
図2に示すように、包装箱1を形成するブランク1Aは、底壁10と、一対の下側壁11と、一対の上側壁12と、一対の側方フラップ13と、前壁14と、前方フラップ15と、後壁16と、蓋体17と、を備えている。なお、
図2において、一対の下側壁11、一対の上側壁12および一対の側方フラップ13は、それぞれ左右対称となる形状であるため、本明細書では、主に1つの部位に着目して説明する。
【0021】
<底壁、下側壁、上側壁>
底壁10は、流れ方向に長い略長方形状に形成されている。一対の下側壁11は、第1折曲線L1を介して底壁10の流れ方向(幅方向)の両端に連設されている。一対の上側壁12は、第2折曲線L2を介して一対の下側壁11の流れ方向の先端に連設されている。下側壁11は、底壁10から離れるに従って徐々に段方向に幅広くなる略台形状に形成されている。上側壁12は、下側壁11から離れるに従って徐々に段方向に幅狭くなる略台形状に形成されている。
【0022】
<側方フラップ>
一対の側方フラップ13は、第3折曲線L3を介して一対の上側壁12の流れ方向の先端に連設されている。側方フラップ13は、先端角部を丸めた概ね長方形状に形成されている。側方フラップ13の段方向の一側(前側)には、切欠き部13Bが流れ方向の先端から基端に向かって切り欠かれている。切欠き部13Bよりも前側となる側方フラップ13の先端部には、係合片13Aが形成されている。
【0023】
<前壁、前方フラップ>
前壁14は、第4折曲線L4を介して底壁10の段方向の一端(前端)に連設されている。前壁14は略長方形状に形成され、その段方向の寸法(高さ)は郵便箱に投函できるように30mm以下に設定されている。前方フラップ15は、第5折曲線L5を介して前壁14の段方向の一端(先端)に連設されている。前方フラップ15は略長方形状に形成され、その段方向の寸法は前壁14の高さよりも十分に長く設定されている。前方フラップ15の流れ方向の両側には、一対の係合穴15Aが穿設されている。一対の係合穴15Aの流れ方向の中央側の縁は、流れ方向に互いに離れるように膨出している(湾曲している)。なお、詳細は後述するが、前方フラップ15の中央領域には、封緘構造30の差込穴32等が形成されている。
【0024】
(前角壁、前方補助フラップ)
下側壁11と前壁14とは、略三角形状の前角壁20によって接続されている。前角壁20は、第1折曲線L1を介して前壁14の流れ方向の端部に連設され、第6折曲線L6を介して下側壁11の前端に連設されている。また、前方フラップ15と前角壁20とは、略長方形状の前方補助フラップ21によって接続されている。前方補助フラップ21は、第1折曲線L1を介して前方フラップ15の流れ方向の端部に連設され、第7折曲線L7を介して前角壁20の前端に連設されている。
【0025】
<後壁、蓋体>
後壁16は、第8折曲線L8を介して底壁10の段方向の他端(後端)に連設されている。後壁16は略長方形状に形成され、その段方向の寸法(高さ)は前壁14の高さと略同一である。蓋体17は、第9折曲線L9を介して後壁16の段方向の他端(先端)に連設されている。蓋体17は、底壁10と略同じ大きさとなる略長方形状に形成されている。蓋体17の基端側(後壁16の側)には、差込補助折線25が第9折曲線L9と平行に形成されている。なお、詳細は後述するが、蓋体17の段方向の先端部には、封緘構造30の差込片31等が形成されている。
【0026】
(後角壁、後方補助フラップ)
下側壁11と後壁16とは、略三角形状の後角壁22によって接続されている。後角壁22は、第1折曲線L1を介して後壁16の流れ方向の端部に連設され、第10折曲線L10を介して下側壁11の後端に連設されている。また、蓋体17と後角壁22とは、略扇形状の後方補助フラップ23によって接続されている。後方補助フラップ23は、第1折曲線L1を介して差込補助折線25よりも基端側で蓋体17の流れ方向の端部に連設され、第11折曲線L11を介して後角壁22の後端に連設されている。
【0027】
なお、第1~第3折曲線L1~L3は、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に潰した汎用罫線上にミシン目を形成したリード罫である。第4~第11折曲線L4~L11および差込補助折線25は汎用罫線である。リード罫および汎用罫線は、主に、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。また、リード罫は、表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(逆折りする)機能も有している。第1~第11折曲線L1~L6および差込補助折線25は、リード罫や汎用罫線に限らず、ミシン目等、段ボールシートを折り曲げるための構造であれば如何なるものでもよい。
【0028】
[封緘構造]
以上説明した底壁10、下側壁11、上側壁12、側方フラップ13、前壁14、前方フラップ15および後壁16は、ブランク1Aから包装箱1を形成した際に、被包装物を収容する箱本体1Wを形成する。箱本体1Wの上面には開口部1U(
図4参照)が開口しており、蓋体17は箱本体1Wの開口部1Uを閉じる機能を有している。包装箱1(ブランク1A)は、箱本体1Wを構成する前方フラップ15(壁体)に蓋体17を係止させる封緘構造30を備えている。
【0029】
以下、
図2および
図3を参照して、封緘構造30について説明する。
図3はブランク1Aの一部(差込穴32等)を示す平面図である。
【0030】
図2に示すように、封緘構造30は、差込片31と、差込穴32と、3つの押込補助折線33A,33Bと、を有している。差込片31は、蓋体17に連設されている。差込穴32は、前方フラップ15の縁(先端、基端、側端)から離れた位置において前方フラップ15に切り込まれている。3つの押込補助折線33A,33Bは、差込穴32から前方フラップ15の先端側(差込方向の上流側)に向かって延びて前方フラップ15を折曲可能に形成されている。
【0031】
<差込片>
差込片31は、蓋体17の流れ方向の中央部において段方向の先端から基端側に向かって略台形状に凹設された凹部17Aの内側に設けられている。差込片31は、差込本体部34と、一対の係止片35と、を有している。差込本体部34は、凹部17Aの底辺(蓋体17)から段方向の外側に向かって延設されている。一対の係止片35は、差込本体部34の流れ方向(幅方向)の両端に連設されている。差込片31の先端側は根本部分よりも幅方向に広く形成され、差込片31は概ね矢尻状に形成されている。差込片31の根本部分を除いた部分は、全体的に楕円形を半分にしたような形状を成している。差込片31の先端の輪郭は、全体として緩やかに湾曲している。差込片31の最先端部は、凹部17Aを除く蓋体17の最先端部と同一直線上に配置されている。差込本体部34と一対の係止片35との境界には、一対の係止片35を折曲可能とする一対の係止折線36が形成されている。一対の係止折線36は、段方向(中しん9A)と平行に延びた汎用罫線である。
【0032】
<差込穴>
図2に示すように、差込穴32は、前方フラップ15の中央領域において流れ方向に延びたスリットである。
図3に示すように、差込穴32は、中央穴部37と、一対の折返し穴部38と、を有している。
【0033】
(中央穴部)
中央穴部37は、流れ方向(幅方向)の中間部において前方フラップ15の先端側(差込方向の上流側(箱本体1Wを形成した状態で後方))に向かって膨出した膨出部37Aを含んでいる。膨出部37Aは、緩やかに湾曲した円弧状に切り込まれている。また、中央穴部37の流れ方向の両側は、膨出部37Aの流れ方向の両端から延び、流れ方向と平行な直線状に切り込まれている。中央穴部37は、差込片31が前方フラップ15の表面に沿ってスライドしながら差込可能に形成されている。つまり、中央穴部37の流れ方向の寸法は、差込片31の流れ方向の寸法と同一または僅かに長く設定されている。
【0034】
(折返し穴部)
一対の折返し穴部38は、中央穴部37の流れ方向(幅方向)の両端に連設されている。一対の折返し穴部38は、湾曲しながら前方フラップ15の先端側(差込方向の上流側)に折り返されている。各折返し穴部38は、略半円形状に切り込まれている。例えば、各折返し穴部38の半径は、段ボールシートの厚みと略同等である。
【0035】
<押込補助折線>
3つの押込補助折線33A,33Bは、差込穴32から前方フラップ15の先端との間の中間付近まで延設されている。なお、本明細書では、3つの押込補助折線33A,33Bのうち流れ方向(左右方向)の中央のものを「第1の押込補助折線33A」と呼び、左右両側のものを「第2の押込補助折線33B」と呼び、第1の押込補助折線33Aと第2の押込補助折線33Bとをまとめて表現する場合には、単に「押込補助折線33A,33B」と呼ぶこととする。
【0036】
第1の押込補助折線33Aは、膨出部37Aの流れ方向(幅方向)の中央部から段方向の外側(差込方向の上流側)に向かって段方向と平行に延びている。一対の第2の押込補助折線33Bは、膨出部37Aの流れ方向の両端部から段方向の外側に向かって第1の押込補助折線33Aに接近するように斜めに延びている。第1の押込補助折線33Aはリード罫であり、第2の押込補助折線33Bは汎用罫線である。押込補助折線33A,33Bは、前方フラップ15を折り曲げて凹ませる機能を有している。
【0037】
[開封切断線]
また、
図3に示すように、前方フラップ15には、一対の折返し穴部38の近傍(差込穴32の幅方向の両側)から前方フラップ15の基端側(差込方向の下流側(箱本体1Wを形成した状態で前方))に向かって前方フラップ15を切断する一対の開封切断線41が形成されている。一対の開封切断線41は、差込穴32から離れるに従って互いに流れ方向に離れるように傾斜している。各開封切断線41の傾斜角度は、第5折曲線L5に対して略45度である。各開封切断線41は、略L字状に曲がった切目を、間隔をあけて並設した所謂ジッパーであり、前方フラップ15の先端側から基端側に向かって前方フラップ15を切断する機能を有している。
【0038】
[包装箱の組立]
次に、
図1、
図2、
図4および
図5を参照して、包装箱1の組立工程(方法)について説明する。
図4は概ね箱本体1Wを形成した状態を示す斜視図である。
図5は差込片31を差込穴32に差し込む過程を示す斜視図である。
【0039】
作業者は、底壁10上(裏ライナ9Cの上)に被包装物を載せる。続いて、作業者は、前壁14を第4折曲線L4に沿って折り曲げて立設させ、前方フラップ15を第5折曲線L5に沿って後方に折り曲げ、前方フラップ15を被包装物の上に重ねる。この状態で、各前角壁20は、第1折曲線L1に沿って僅かに前方に逆折りされ、且つ第6折曲線L6に沿って折り曲げられて立設されている(
図4参照)。また、前方補助フラップ21は、第1折曲線L1に沿って僅かに下方に正折りされ、且つ第7折曲線L7に沿って後方に折り曲げられている。
【0040】
次に、作業者は、各下側壁11を第1折曲線L1に沿って僅かに上方に正折りし、各上側壁12を第2折曲線L2に沿って内側に折り返し、各側方フラップ13を第3折曲線L3に沿って被包装物に重ねるように正折りする。この際、
図4に示すように、作業者は、各側方フラップ13の係合片13Aを前方フラップ15に開口した係合穴15Aに差し込む。一対の係合片13Aを係合穴15Aに差し込むことで、一対の側方フラップ13は前方フラップ15に重なった状態に仮固定される。この状態で、一対の下側壁11は、底壁10から左右方向の両側に向かって上方に傾斜した姿勢になる。一対の上側壁12は、一対の下側壁11(第2折曲線L2)から互いに接近する方向に向かって上方に傾斜した姿勢になる。つまり、上側壁12と下側壁11とは、正面から見て、略三角形状(略「く」の字状)に屈曲している。
【0041】
次に、作業者が後壁16を第8折曲線L8に沿って折り曲げて立設させると、上面に開口部1Uを有する箱本体1W(
図4参照)が構成される。この状態で、各後角壁22は、第1折曲線L1に沿って僅かに後方に逆折りされ、且つ第10折曲線L10に沿って折り曲げられて立設されている。
【0042】
次に、
図5に示すように、作業者は、蓋体17を第9折曲線L9に沿って前方に折り曲げ、箱本体1Wの開口部1Uを閉塞する。また、作業者は、封緘構造30を用いて蓋体17を前方フラップ15に固定する。
【0043】
具体的には、
図5に示すように、作業者は、蓋体17を差込補助折線25に沿って正折りし、差込片31の先端を差込穴32よりも後方となる前方フラップ15の表面上に配置する。作業者は、差込補助折線25で折れ曲がった蓋体17を平面に戻すようにして、差込片31の先端を前方フラップ15の表面(表ライナ9B)に接触させながら前方にスライドさせる。作業者は、差込片31の先端を差込穴32までスライドさせた後、差込片31を軽く押し下げ、前方フラップ15を3つの押込補助折線33A,33Bに沿って折り曲げる。前方フラップ15は、第1の押込補助折線33Aで逆折りされ、一対の第2の押込補助折線33Bで正折りされるため、膨出部37Aと一対の第2の押込補助折線33Bとで囲まれた範囲が僅かに凹むことになる。すると、膨出部37Aに対応する前方フラップ15の前側(基端側)が相対的に持ち上がり、差込片31の先端を差し込める程度の僅かな隙間が形成される。作業者は、差込補助折線25で折れ曲がった蓋体17を平面に戻すようにして、差込片31を膨出部37Aの輪郭に沿わせながら中央穴部37に差し込む(
図5参照)。
【0044】
差込片31を中央穴部37に差し込む過程において、差込穴32を中心に、前方フラップ15の差込方向の上流側は押し下げられ、前方フラップ15の差込方向の下流側は押し上げられる。この際、差込穴32の左右両側には剪断力(負荷)が作用するが、湾曲した各折返し穴部38によって負荷が分散されるため、差込穴32が左右方向の両外側に向かって裂けることがない。
【0045】
差込片31が中央穴部37に差し込まれた状態で(
図1参照)、一対の係止片35は、箱本体1Wの内部に脱落し、中央穴部37(一対の折返し穴部38の近傍)の縁に引き抜き不能に係合する(
図6も参照)。詳細には、差込片31を差込穴32から引き抜こうとすると、一対の係止片35の後端面が、中央穴部37の左右両側の直線部分に相当する前方フラップ15の端面に当接する(
図6も参照)。このため、一度、差込片31を差込穴32に差し込んだ後には、包装箱1を切断したり破壊したりすることなく、差込片31を引き抜くことが極めて困難な状態となる。
【0046】
以上によって、蓋体17が、箱本体1Wの開口部1Uを閉塞し、前方フラップ15に固定される。つまり、包装箱1が開封規制された状態で封緘される(
図1参照)。なお、この状態で、後方補助フラップ23は、第1折曲線L1に沿って僅かに下方に正折りされ、且つ第11折曲線L11に沿って前方に折り曲げられ、上側壁12に重なっている。また、包装箱1は開封規制されているが、粘着テープによって蓋体17の左右両側を箱本体1Wに固定してもよい。
【0047】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1(ブランク1A)によれば、差込片31を前方フラップ15(壁体)の表面に沿ってスライドさせながら中央穴部37に差し込むことができる。これにより、例えば、複雑な穴形状に合わせて折り曲げた片を差し込む場合に比べて、包装箱1に開封防止機能を付加しつつ容易に封緘することができる。その結果、包装箱1に簡単に開封防止機能を付加することができる。なお、「差込片31が前方フラップ15の表面に沿ってスライド」とは、差込片31の先端が前方フラップ15の表面に接触しながら差込穴32までスライドすることのみを意味するものではなく、差込片31の先端が前方フラップ15の表面に接触せず、前方フラップ15の表面に沿うように差込穴32まで移動することも含む意味である。
【0048】
また、第1実施形態に係る包装箱1(ブランク1A)によれば、差込片31を中央穴部37に差し込む際、差込片31の先端は膨出部37Aの先端から徐々に差し込まれて行く。これにより、中央穴部37と差込片31との接触抵抗を徐々に増加させることができると共に膨出部37Aに案内させながら差込片31を円滑に差し込むことができる。さらに、差込片31の差し込み時に差込穴32の幅方向の両端に加わる負荷を、湾曲した折返し穴部38に分散することができる。これにより、当該負荷が一点に集中することがないため、中央穴部37の延長線上に沿って進行する破断を抑制することができる。
【0049】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、差込片31を差込穴32に差し込む際に前方フラップ15を押込補助折線33A,33Bに沿って折り曲げることで、前方フラップ15の先端側(差込方向の上流側)を凹ませることができる。これにより、差込穴32を境として前方フラップ15の上流側と下流側との間に差込片31を差し込むための隙間を開けることができる。その結果、円滑に差込片31を差込穴32に差し込むことができる。
【0050】
ところで、一般的な箱の封緘構造として、例えば、前壁14と前方フラップ15との境界付近にスリットを設け、差込片31を上方からスリットに差し込むことがある。しかしながら、ポストイン・ボックスのような薄い箱では、差込片31を差し込むための高さを確保することができない。これに対し、第1実施形態に係る包装箱1によれば、差込片31を前方フラップ15の表面に沿ってスライドさせながら差込穴32に差し込めるため、高さの低い包装箱1であっても適正に封緘することができる。
【0051】
次に、
図6を参照して、包装箱1の開封について説明する。
図6は包装箱を開封する過程を説明する斜視図である。
【0052】
ユーザは、前方フラップ15の前側(差込方向の下流側)であって膨出部37Aの縁に指を掛ける。この際、前方フラップ15は3つの押込補助折線33A,33Bで折れて僅かに凹むため、ユーザが膨出部37Aの縁に指を掛けやすくなっている。ユーザが前方フラップ15の前側の一部を引き上げると、前方フラップ15の前側は一対の開封切断線41に沿って切断され、差込片31が露出して箱本体1Wから離脱可能な状態となる。ユーザは、差込片31を箱本体1Wから離脱させながら蓋体17を上方に開き、箱本体1Wの開口部1Uを開放する。これにより、ユーザは、包装箱1に収容された被包装物を取り出すことができる。
【0053】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1によれば、前方フラップ15を一対の開封切断線41に沿って切断することで、封緘された包装箱1を容易に開封することできる。また、開封切断線41を用いた開封時には、膨出部37Aをユーザが摘まむ部分として利用することができる。
【0054】
ここで、差込片31の引き抜き規制を更に強固にしたい場合について説明する。作業者は、差込片31を差込穴32に差し込む前に、差込片31の一対の係止片35を係止折線36に沿って正折りした後、再び平坦に戻し、上記と同様の手順で差込片31を差込穴32に差し込む。すると、差込片31が中央穴部37に差し込まれた状態で、一対の係止片35は、箱本体1Wの内部において係止折線36での折り癖によって僅かに下方に折れ曲がる(
図7参照)。これにより、各係止片35が中央穴部37の縁に確りと係合するため、差込片31の引き抜き規制をより強固にすることができる。
【0055】
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、上側壁12と下側壁11とが、正面から見て略「く」の字状に屈曲していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、箱本体1Wの左右両側の側壁は、前壁14等のように、底壁10に対して略垂直に立設されてもよい(図示せず)。
【0056】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、一対の開封切断線41が差込穴32から離れるに従って互いに離れるように傾斜していたが、本発明はこれに限定されない。一対の開封切断線41は、例えば、段方向(差込方向)と平行に延びていてもよい。また、1つの開封切断線41が前方フラップ15に形成されてもよい(図示せず)。また、1つまたは複数の開封切断線41が、蓋体17を左右方向に横断するように形成され、蓋体17を二分割してもよい(図示せず)。さらに、開封切断線41は省略されてもよい。
【0057】
[第2実施形態]
次に、
図8および
図9を参照して、第2実施形態に係る包装箱2について説明する。
図8は包装箱2のブランク2Aを示す平面図である。
図9は包装箱2を示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る包装箱1と同様または対応する構成については同一の符号を付し、同様または対応する説明は省略する。
【0058】
第2実施形態に係る包装箱2は、所謂B式と呼ばれる段ボール箱である(
図9参照)。
図8および
図9に示すように、包装箱2(ブランク2A)は、角筒状の箱本体2Wを形成する4つの側壁50と、4つの側壁50の下端に連設された4つの下フラップ51と、左右両側の一対の側壁50の上端に連設された一対の内フラップ52と、後方の側壁50の上端に連設された蓋体53と、を備えている。流れ方向の両側の側壁50は継代片56を介して連結され、角筒状の箱本体2Wを形成する。4つの下フラップ51は、適所を接着されて所謂ワンタッチ底を構成する。蓋体53は、箱本体2Wの開口部2Uを閉塞する蓋本体部54と、蓋本体部54の先端に連設された外フラップ55と、を有している。
【0059】
封緘構造30の差込片31は、外フラップ55の先端に連設されている。封緘構造30の差込穴32は、前方の側壁50(壁体)の上寄りに形成されている。蓋体53の外フラップ55には、差込片31を(外フラップ55から)分断する開封切断線42(例えば、ジッパー)が略U字状に形成されている。
【0060】
包装箱2を封緘する場合、作業者は、蓋本体部54によって箱本体2Wの開口部2Uを閉塞し、外フラップ55を下方に折り曲げ、差込片31を差込穴32に差し込みながら、外フラップ55を前方の側壁50の外側に重ねる。
【0061】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2によれば、開封防止機能を付加しつつ容易に封緘することができる等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の効果を得ることができる。また、外フラップ55を開封切断線42に沿って切断することで、封緘された包装箱2を容易に開封することできる。なお、差込片31を外フラップ55から分離すると、差込片31は差込穴32に差し込まれた状態で残される。
【0062】
[第3実施形態]
次に、
図10および
図11を参照して、第3実施形態に係る包装箱3について説明する。
図10は包装箱3のブランク3Aを示す平面図である。
図11は包装箱3を示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る包装箱1と同様または対応する構成については同一の符号を付し、同様または対応する説明は省略する。
【0063】
第3実施形態に係る包装箱3では、上面に開口部3Uを有する箱本体3Wと、開口部3Uを閉塞する蓋体63とが、別体で構成されている(
図11参照)。
【0064】
<箱本体>
箱本体3Wは、上面を開放した所謂半A式と呼ばれる箱である(
図11参照)。
図10および
図11に示すように、箱本体3W(ブランク3A)は、角筒状の箱本体3Wを形成する4つの側壁60と、4つの側壁60の下端に連設された4つの下フラップ61と、を備えている。流れ方向の両側の側壁60は継代片62を介して連結され、角筒状の箱本体3Wを形成する。各下フラップ61は、側壁60に対して折り曲げられて箱本体3Wの底面を構成する。
【0065】
<蓋体>
図10および
図11に示すように、蓋体63(ブランク3B)は、開口部3Uを閉塞可能に形成された蓋本体部64と、蓋本体部64の段方向の両端(前後両端)に連設された一対の外フラップ65と、蓋本体部64の流れ方向の両端(左右両端)に連設された一対の内フラップ66と、を有している。蓋本体部64と各内フラップ66との境界には、左右方向の外側に向かって突出するように複数の切目67が形成されている。
【0066】
封緘構造30の一対の差込片31は、外フラップ65の先端に連設されている。封緘構造30の一対の差込穴32は、前後両側の側壁60(壁体)の上寄りに形成されている。蓋体53の外フラップ65には、差込片31を(外フラップ65から)分断する開封切断線43(例えば、ジッパー)が略U字状に形成されている。
【0067】
包装箱3を封緘する場合、作業者は、蓋体63を箱本体3Wの上方に配置し、各内フラップ66を下方に折り曲げて箱本体3Wの内側に差し込みながら、蓋本体部64によって開口部3Uを閉塞する。なお、各内フラップ66を下方に折り曲げると、箱本体3Wの切目67に相当する部分が左右両側に突設され、左右両側の側壁60の上端面に当接する(蓋体63の落ち込み防止)。次に、作業者は、各外フラップ65を下方に折り曲げながら、各差込片31を差込穴32に差し込み、一対の外フラップ65を前後両側の側壁60の外側に重ねる。
【0068】
以上説明した第3実施形態に係る包装箱3によれば、開封防止機能を付加しつつ容易に封緘することができる等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の効果を得ることができる。また、外フラップ65を開封切断線43に沿って切断することで、封緘された包装箱3を容易に開封することできる。なお、差込片31を外フラップ65から分離すると、差込片31は差込穴32に差し込まれた状態で残される。
【0069】
なお、第3実施形態に係る包装箱3では、蓋体63の前後両側に一対の差込片31が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、蓋体63の前後両側および左右両側に4つの差込片31が設けられてもよい(図示せず)。この場合、差込穴32も4つの側壁60に設けることになる。
【0070】
なお、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3では、差込穴32がスリット(切れ込み)で構成されていたが、これに限らず、例えば、隙間のある溝または孔として構成されてもよい(図示せず)。
【0071】
また、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3では、差込穴32の膨出部37Aが円弧状に形成されていたが、これに限らず、膨出部37Aは、例えば、三角形状や四角形状等の多角形状の輪郭を有していてもよい(図示せず)。
【0072】
また、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3では、各折返し穴部38が略半円形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。各折返し穴部38は、例えば、楕円形状を半分にした形状であってもよいし、多数の直線を角度を変えながら繋げて疑似的に半円形状に形成されてもよい(図示せず)。
【0073】
また、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3では、3つの押込補助折線33A,33Bが前方フラップ15や側壁50,60に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。少なくとも1つの押込補助折線33A(33B)が、前方フラップ15や側壁50,60において差込穴32から差込方向の上流側に向かって延びていればよい。好ましくは、少なくとも、差込穴32の幅方向の中央から第1の押込補助折線33Aが延びていればよい。
【0074】
また、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3では、開封切断線41~43が所謂ジッパーであったが、これに限らず、例えば、ミシン目線や半切線等、段ボールシートを切断可能な構造であれば如何なるものでもよい。
【0075】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封切断線41が前方フラップ15に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2および第3実施形態に係る包装箱2,3と同様に、差込片31を分断する開封切断線43,43が蓋体17に形成されてもよい(図示せず)。また、第2および第3実施形態に係る包装箱2,3では、開封切断線43,43が蓋体53,63に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1実施形態に係る包装箱1と同様に、一対の開封切断線41が、差込穴32の幅方向の両側から差込方向の下流側に向かって延びるように側壁50,60に形成されてもよい(図示せず)。
【0076】
また、第2および第3実施形態に係る包装箱2,3では、開封切断線43,43が外フラップ55,65に略U字状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封切断線43,43は、差込片31と外フラップ55,65との境界、または蓋本体部54,64と外フラップ55,65との境界に直線状に形成されてもよい(図示せず)。また、1つまたは複数の開封切断線43,43が、蓋本体部54,64を左右方向に横断するように形成され、蓋本体部54,64を二分割してもよい(図示せず)。さらに、開封切断線43,43は省略されてもよい。
【0077】
また、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3では、差込片31に一対の係止折線36が形成されていたが、一対の係止折線36は省略されてもよい。
【0078】
また、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3(ブランク1A,2A,3A,3B)は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシートや複両面段ボールシート、または厚紙、若しくは樹脂製の板(シート)等で形成されていてもよい。また、包装箱1~3の各部の寸法(幅、奥行き、高さ)や形状、段ボールシートの厚みや中しん9Aが延びる方向等は自由に変更してもよい。
【0079】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱およびブランクにおける一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0080】
1,2,3 包装箱
1A,2A,3A,3B ブランク
1U,2U,3U 開口部
1W,2W,3W 箱本体
15 前方フラップ(壁体)
17,53,63 蓋体
30 封緘構造
31 差込片
32 差込穴
33A 第1の押込補助折線
33B 第2の押込補助折線
34 差込本体部
35 係止片
36 係止折線
37 中央穴部
37A 膨出部
38 折返し穴部
41,42,43 開封切断線
50,60 側壁(壁体)