(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
B65D47/20 110
(21)【出願番号】P 2020182308
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-083409(JP,A)
【文献】登録実用新案第3147042(JP,U)
【文献】特開2015-227203(JP,A)
【文献】特開2001-129851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着され、開口部が開口されたキャップ本体と、
キャップ本体と接合部を介して一体成形され、開口部を開閉するスリット弁と、からなるキャップであって、
スリット弁を形成する樹脂は、キャップ本体を形成する樹脂よりも柔軟な基材樹脂に接着性樹脂がブレンドされた樹脂であり、
スリット弁を形成する基材樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂で
あり、
接着性樹脂は、ポリオレフィンに官能基を導入した変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
キャップ本体を形成する樹脂は、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂
であることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
接着性樹脂の配合割合は、30~80重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
キャップ本体は、容器本体の口部を封鎖する隔壁と、隔壁に開口された開口部と、を備え、
スリット弁は、接合部から延設された筒状の弁側壁と、弁側壁の内周縁から開口部の内方に向けて部分球面をなす弁開閉膜と、を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のキャップ。
【請求項5】
接合部は、外周縁が隔壁の内縁に連設されることを特徴とする請求項4に記載のキャップ。
【請求項6】
接合部は、外周縁上面が隔壁の内周側下面に連設されることを特徴とする請求項4に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関し、とくに、容器本体に装着するキャップ本体と、キャップ本体の開口部にスリット弁を配置したキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キャップ本体の開口部にスリット弁を配置し、容器本体の胴部をスクイズすることにより、キャップ本体に配置したスリット弁から内容物を吐出させるキャップは、広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載のキャップでは、キャップ本体は、形状を維持するため、ある程度剛直な樹脂で形成するのに対し、スリット弁は、弁開閉幕を開閉するため、ある程度弾性変形可能な柔軟性のある樹脂で形成する必要があるので、キャップ本体とスリット弁とを異なる樹脂で形成することが一般的である。
このため、キャップ本体にスリット弁を固定するにあたって、スリット弁を押さえるための部材が必要となったり、また、スリット弁をキャップ本体に接着することにより、キャップとしての部品点数が増加し、製造工程も増えるため、製造コストが増大するという問題があった。
また、形状を維持させるキャップ本体の樹脂に対して、スリット弁の柔軟性を有する樹脂として、エラストマーやシリコンゴム等の高価な素材を使用するため、製造コストが増大するという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、キャップ本体と、キャップ本体より柔軟性のある樹脂で形成されたスリット弁と、を一度の成形で簡単に製造できるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、キャップとして、容器本体の口部に装着され、開口部が開口されたキャップ本体と、キャップ本体と接合部を介して一体成形され、開口部を開閉するスリット弁と、からなるキャップであって、スリット弁を形成する樹脂は、キャップ本体を形成する樹脂よりも柔軟な基材樹脂に接着性樹脂がブレンドされた樹脂であり、スリット弁を形成する基材樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であり、接着性樹脂は、ポリオレフィンに官能基を導入した変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
キャップの実施形態として、キャップ本体を形成する樹脂は、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂であることを特徴とする構成、また、接着性樹脂の配合割合は、30~80重量%であることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
キャップの具体的実施形態として、キャップ本体は、容器本体の口部を封鎖する隔壁と、隔壁に開口された開口部と、を備え、スリット弁は、接合部から延設された筒状の弁側壁と、弁側壁の内周縁から開口部の内方に向けて部分球面をなす弁開閉膜と、を備えることを特徴とする構成、また、接合部は、外周縁が隔壁の内縁に連設されることを特徴とする構成、また、接合部は、外周縁上面が隔壁の内周側下面に連設されることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のキャップは、上記構成を採用することにより、キャップ本体と、柔軟性のある樹脂で形成されたスリット弁とを一体成形で形成されることで、一度の成形で簡単に一体化し、また、スリット弁を基材樹脂と接着性樹脂とをブレンドして使用することで、安価に成形できる。
【0010】
また、本発明のキャップは、キャップ本体とスリット弁との接着性が良好なため、より少ない接合面で直接接着して一体化でき、接合部の大きさを小さくできるので、スリット弁の重量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施例であるキャップを容器本体に装着したときの閉蓋した状態を示す側面断面図である。
【
図2】本発明の第1実施例であるキャップを開蓋した状態を示す図であり、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図3】本発明の第2実施例であるキャップを容器本体に装着したときの閉蓋した状態を示す側面断面図である。
【
図4】本発明の第3実施例であるキャップを容器本体に装着したときの閉蓋した状態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明のキャップについて、以下の実施例に示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1でみて、左方向を「正面側(ヒンジと反対側)」とし、右方向を「背面側(ヒンジ側)」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。
【実施例1】
【0013】
図1において、Aは容器本体Dに装着されるスリット弁付きキャップ本体(以下、「キャップA」という)、BはキャップAをヒンジCによって連結し、開閉する上蓋である。
容器本体Dは、スクイズボトルであり、容器本体Dの胴部を手指でスクイズすることにより弾性変形可能となっており、口部1の外周には、雄ねじ部2が螺設され、口部1の上端部の開口はシール部材Sによって閉塞されている。
シール部材Sは、例えば、アルミニウム蒸着フィルムからなるシートで構成され、口部1の上端部に貼り付けられている。
【0014】
図1および
図2に示すように、キャップAは、容器本体Dの口部1に装着されるキャップ本体A1と、キャップ本体A1より柔軟性のある樹脂にて二色成形により一体的に形成されるスリット弁A2とから構成されている。
【0015】
キャップ本体A1は、内周に口部1が装着される外周壁5と、外周壁5上端から内方に延びるリング状の隔壁6とから構成され、外周壁5の背面側の外周上端にヒンジCを介して上蓋Bが連設されている。
外周壁5の内周には、口部1の雄ねじ部2が螺合する雌ねじ部7が設けられている。
【0016】
隔壁6は、外縁部上面に、閉蓋時に上蓋Bと係合する蓋係合部8が設けられている。
また、隔壁6は、内方に向かって上方に傾斜し、上端内周が開口部9aとなるリング状の傾斜壁9を備えている。
【0017】
スリット弁A2は、弾性変形可能な樹脂で形成され、キャップ本体A1の隔壁6から傾斜壁9の下面に配置される接合部10と、接合部10の内周縁から上方に延び、開口部9aを閉塞する弁部11とから構成されている。
【0018】
接合部10は、キャップAの一体成形時に、キャップ本体A1の傾斜壁9下面および開口部9aに上面が接合して連設される傾斜接合部12と、傾斜接合部12の下端外周に連設され、隔壁6の下面に上面が接合して連設されるとともに、キャップAを容器本体Dに装着した際に、口部1の上面に当接してシールする環状シール部13とからなっている。
【0019】
弁部11は、傾斜接合部12の内周縁から上方に傾斜して延設された筒状の弁側壁14と、弁側壁14の上端内周縁から開口部9aの内方に向けて部分球面をなす弁開閉膜15とからなっている。
弁開閉膜15の中央には、上下方向に貫通するスリット16が設けられ、弁開閉膜15の変形によりスリット16が開放されて内外の流路となり、または、閉じて流路を封鎖している。
本実施例では、スリット16の形状は、例えば、平面視で十字状であるが、スリット16の形状は、とくに限定されず、平面視で中央から径方向に延びる放射線状であってもよいし、一直線状に延びる形状であってもよい。
【0020】
キャップ本体A1と、キャップ本体A1に連なるヒンジCおよび上蓋Bは、素材として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン樹脂等の公知の樹脂が用いられる。
スリット弁A2は、素材として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と接着性樹脂とをブレンドして、キャップ本体A1を形成する樹脂と比較して柔軟性と接着性に優れたブレンド樹脂として用いられる。
例えば、キャップ本体A1を形成する樹脂がポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂であり、スリット弁A2の基材樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンである場合には、ポリオレフィンに官能基を導入して接着性を付与した変性ポリオレフィンが接着性樹脂として好ましい。
変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂としては、三菱ケミカル株式会社のモディック(登録商標)や、三井化学株式会社のアドマー(登録商標)などが挙げられる。なお、変性ポリオレフィン樹脂は、マレイン酸変性ポリプロピレンやマレイン酸変性ポリエチレン等を使用でき、キャップ本体A1やスリット弁A2の組み合わせにより、接着性樹脂を適宜選択することができる。
【0021】
スリット弁A2を形成する樹脂における接着性樹脂の配合割合は、成形試験をしたところ、30~80重量%が好ましい。さらに、接着性樹脂の配合量は、基材樹脂の配合量以上であることが好ましいので、配合割合は、50~80重量%がより好ましい。
ちなみに、接着性樹脂の配合割合が20重量%以下であると、ほとんど直鎖状低密度ポリエチレンの物性と変わらず、弁としての柔軟性が足りず、キャップ本体A1との接着性が悪くなる。これに対して、接着性樹脂の配合割合が90重量%以上であると、柔らかくなりすぎて成形性が悪くなり、弁として機能しなくなる。
【0022】
上蓋Bは、平坦な頂壁20と、頂壁20の周縁から垂下された側周壁21と、頂壁20の内面から垂設され、閉蓋時に内周下部がスリット弁A2の弁側壁14の外周上部に当接して内方を密封する密封筒22とから構成され、頂壁20の中央には、下方に湾曲するように凹設され、閉蓋時に下面がスリット弁A2の弁開閉膜15の上面の中央部に当接する凹部23が設けられている。
側周壁21の外周には、背面側の下端にヒンジCが連設され、正面側に摘み24が設けられ、側周壁21の内周面の下端近傍には、キャップ本体A1の蓋係合部8が嵌合して閉蓋状態を維持する係止部25が設けられている。
【0023】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
まず、本実施例のヒンジキャップは、
図2に示すように、開蓋した状態でキャップ本体A1、上蓋BおよびヒンジCをポリプロピレン樹脂で射出成型した後、金型を部分的に稼働することによって、形成エリアを切替え、スリット弁A2を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と接着性樹脂とのブレンド樹脂にて二色成形によりキャップ本体A1と一体に形成する。
その際、スリット弁A2のブレンド樹脂がキャップ本体A1の樹脂に対して接着性が強いので、スリット弁A2の接合部10の上面は、キャップ本体A1の傾斜壁9および隔壁6の下面と溶着されて一体化される。
次に、ヒンジキャップの成形後、上蓋BをキャップAに閉蓋し、
図1に示すように、容器本体Dの口部1に螺合して製品とする。
なお、本実施例のキャップは、
図1および
図2に示すように、キャップAと上蓋BとをヒンジCによって連結してなるヒンジキャップとして具体化しているが、上蓋Bは、ヒンジを無くしてアンダーカット等で嵌合させた上蓋であっても構わない。
【0024】
容器本体D内の内容物を使用する際には、まず、容器本体Dの口部1からヒンジキャップを外し、口部1からシール部材Sをはがして開口した後に、再び、ヒンジキャップを口部1に螺合装着する。
次に、キャップAから上蓋Bを開蓋した後、容器を倒立させた状態で容器本体Dの胴部をスクイズして弾性変形させることにより、容器本体D内の内容物に圧力を加え、内容物を口部1の開口からスリット弁A2内に流動させる。
【0025】
スリット弁A2内に流動した内容物は、弁部11の弁開閉膜15を内側から外側へ押圧することで、弁開閉膜15のスリット16が開口され、流路となり、内容物が外部に吐出されて使用される。
内容物使用後は、容器本体Dの胴部のスクイズを止めると、弁部11の弁開閉膜15への押圧が止まり、弁開閉膜15が元の形状に戻り、スリット16が閉じて吐出が止められる。
容器を正立状態に戻し、上蓋BをキャップAに閉蓋することで容器内を密封できる。
【0026】
本実施例のキャップAは、スリット弁A2がブレンド樹脂によりスリット弁A2の素材となる直鎖状低密度ポリエチレンだけのものより柔軟性があるので、スリット弁A2として良好な機能を有し、また、接着性に優れるので、二色成形時の一体化が良好となる。
従来であれば、スリット弁A2は、柔軟性のあるものとするために、エラストマーやシリコンゴムで形成してキャップ本体A1と別に装着したり、または、接着剤で接着したりするので、簡単に一体化できないが、本実施例では、スリット弁A2は、キャップ本体A1との接着性が高く、二色成形による一度の成形で両者を一体化でき、キャップAの部品点数を低減できるため、製造工数および製造コストを低減することができる。
【0027】
また、本実施例のスリット弁A2は、エラストマーやシリコンゴムに比べ、安価な直鎖状低密度ポリエチレンと接着性樹脂とのブレンド樹脂で成形でき、さらに、接着性樹脂の配合割合を調整することにより柔軟性を変えることができる。
【実施例2】
【0028】
次に、第1実施例のキャップAを変更した第2実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、異なる構成部分のみ異なる符号を付して相違点を中心に説明する。
【0029】
図3において、Aaは容器本体Dに装着されるキャップ、BはキャップAaをヒンジCによって連結し、開閉する上蓋である。
キャップAaは、容器本体Dの口部1に装着されるキャップ本体Aa1(ポリプロピレン樹脂)と、キャップ本体Aa1より柔軟性のある樹脂で二色成形で一体的に形成されるスリット弁Aa2(直鎖状低密度ポリエチレンと接着性樹脂とのブレンド樹脂)と、から構成されている。
【0030】
キャップ本体Aa1は、内周に口部1が装着される外周壁5と、外周壁5上端から内方に延びるリング状の隔壁30とから構成されている。
隔壁30は、外縁部上面に、閉蓋時に上蓋Bと係合する蓋係合部8が設けられている。 また、隔壁30は、内方に向かって上方に傾斜し、上端内周が開口部31aとなるリング状の傾斜壁31を備えている。
【0031】
スリット弁Aa2は、隔壁30の傾斜壁31の開口部31aに外周が接合される環状の接合部32と、接合部32の内周縁から上方に延び、開口部31aを閉塞する弁部11とから構成されている。
【0032】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、第1実施例と同様に、キャップ本体Aa1の樹脂と、スリット弁Aa2のブレンド樹脂とを用い、二色成形にて一体成形され、キャップAaは、キャップ本体Aa1とスリット弁Aa2とが一体化される。
従来であれば、スリット弁Aa2は、柔軟性のあるものとするために、エラストマーやシリコンゴムで形成してキャップ本体Aa1と別に装着したり、または、接着剤で接着したりするので、スリット弁Aa2は、装着または接着するための大きな取付部を用意しなくてはならないが、本実施例では、スリット弁Aa2とキャップ本体Aa1との接着性が高いので、キャップ本体Aa1の傾斜壁31の開口部31aと、スリット弁Aa2の接合部32外周と、が小さい接着面で直接熱接着して一体化できるので、スリット弁Aa2の大きさや重量をより少なくできる。
【実施例3】
【0033】
次に、第1実施例のキャップAを変更した第3実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、異なる構成部分のみ異なる符号を付して相違点を中心に説明する。
【0034】
図4において、Abは容器本体Dに装着されるキャップ、BはキャップAbをヒンジCによって連結し、開閉する上蓋である。
キャップAbは、容器本体Dの口部1に装着されるキャップ本体Ab1(ポリプロピレン樹脂)と、キャップ本体Ab1より柔軟性のある樹脂で二色成形で一体的に形成されるスリット弁Ab2(直鎖状低密度ポリエチレンと接着性樹脂とのブレンド樹脂)と、から構成されている。
【0035】
キャップ本体Ab1は、内周に口部1が装着される外周壁5と、外周壁5上端から内方に延びるリング状の隔壁40とから構成されている。
隔壁40は、外縁部上面に上蓋Bと係合して閉蓋する蓋係合部8が設けられ、また、隔壁40の内周縁には、開口部40aが開口されている。
【0036】
スリット弁Ab2は、上面外縁部にキャップ本体Ab1の隔壁40の下面内縁部が連結されるリング状の接合部41と、接合部41の内周縁から上方に延び、開口部40aを閉塞する弁部11とから構成されている。
【0037】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、第1実施例と同様に、キャップ本体Ab1の樹脂と、スリット弁Ab2のブレンド樹脂とを用い、二色成形にて一体成形され、キャップAbは、キャップ本体Ab1とスリット弁Ab2とが一体化される。
とくに、本実施例では、第1および第2実施例のように、キャップ本体Ab1に傾斜壁を設けなくてよいので隔壁40の上面から突出するスリット弁Ab2の高さが低くなり、これに合わせて上蓋Bの側周壁21の高さを低くすることができる。
その他の作用効果については、第1実施例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のキャップは、キャップ本体と、柔軟性のある樹脂で形成されたスリット弁とを一体成形で形成されることで、一度の成形で簡単に一体化し、また、スリット弁を基材樹脂と接着性樹脂とをブレンドして使用することで、安価に成形することができるので、内容物をスクイズして吐出する容器用キャップとして好適である。
【符号の説明】
【0039】
A、Aa、Ab スリット弁付きキャップ本体(キャップ)
A1、Aa1、Ab1 キャップ本体
A2、Aa2、Ab2 スリット弁
B 上蓋
C ヒンジ
D 容器本体
S シール部材
1 口部
2 雄ねじ部
5 外周壁
6、30、40 隔壁
7 雌ねじ部
8 蓋係合部
9、31 傾斜壁
9a、31a、40a 開口部
10、32、41 接合部
11 弁部
12 傾斜接合部
13 環状シール部
14 弁側壁
15 弁開閉膜
16 スリット
20 頂壁
21 側周壁
22 密封筒
23 凹部
24 摘み
25 係止部