(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電子回路、モジュール及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20241007BHJP
H02M 7/10 20060101ALI20241007BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20241007BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
H02J50/20
H02M7/10 B
H02J50/40
H01Q1/24 Z
(21)【出願番号】P 2020201341
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020036246
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜史
(72)【発明者】
【氏名】川合 昇
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 文靖
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0327945(US,A1)
【文献】国際公開第2019/188449(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/148401(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/046224(WO,A1)
【文献】米国特許第06489883(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/20
H02M 7/10
H02J 50/40
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を出力する電源と、前記電源から供給される直流電力により駆動される負荷との間に接続され、前記電源と前記負荷との接続状態を、前記電源から前記負荷への電力の供給を遮断する非導通状態から、前記電源から前記負荷へ電力の供給をする導通状態に切り替えるスイッチと、
電波を受信可能なアンテナが受信する前記電波により得られる電力が入力される電力入力端子と、直流電力を出力する直流電力出力端子とを備え、前記電力入力端子に入力された電力を直流電力に変換し前記直流電力出力端子から出力する電力変換回路と、
前記電力変換回路の前記直流電力出力端子と接続される入力端子と、前記スイッチと接続され前記スイッチの接続状態を制御する出力端子とを備え、前記アンテナが前記電波を受信したことにより前記電力変換回路が直流電力を出力した場合に、前記スイッチの接続状態を導通状態に制御する制御回路と
を備え
、
前記制御回路は、基準入力端子と、検出入力端子と、前記検出入力端子の電位と前記基準入力端子の電位とに応じた電位を出力する電圧検出出力端子と、を備える電力検知器を含み、
前記検出入力端子は、前記電圧検出出力端子と接続される、
電子回路。
【請求項2】
前記制御回路は、電源の供給を受ける電源端子を更に備え、
前記スイッチが導通状態に切り替わった場合、前記制御回路は前記電源から前記電源端子に供給される電力により前記スイッチを導通状態に保持する
請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記出力端子から出力される制御信号を切り替えるフリップフロップ回路を含む
請求項1または請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
抵抗値が10メガオーム以上である抵抗を更に備え、
前記検出入力端子は、前記抵抗を介して前記電圧検出出力端子に接続される
請求項
1から請求項3のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項5】
前記電力変換回路の前記直流電力出力端子にアノードが接続され、前記制御回路の前記電源端子にカソードが接続される第1のダイオードと、
前記負荷と前記スイッチとの接続点にアノードが接続され、前記制御回路の前記電源端子にカソードが接続される第2のダイオードとを更に備える
請求項2又は、請求項2にそれぞれ従属する請求項3
又は請求項4に記載の電子回路。
【請求項6】
前記電源は正極端子と負極端子とを備え、
前記電力変換回路は、前記電源の前記正極端子から前記制御回路及び前記電力変換回路を介して前記電源の前記負極端子に流れる電流を抑止する逆電流低減手段を有する
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項7】
前記逆電流低減手段は、前記電力入力端子に入力された電力が変換された直流電力を前記直流電力出力端子に供給し、前記直流電力出力端子から前記電力変換回路へ流れる電流を抑止する
請求項
6に記載の電子回路。
【請求項8】
前記逆電流低減手段は、第3のダイオードを含み、
前記電力入力端子に入力された電力が変換された直流電力は、前記第3のダイオードを順方向に流れることにより前記直流電力出力端子に供給する
請求項
7に記載の電子回路。
【請求項9】
前記逆電流低減手段は、前記制御回路が前記スイッチの接続状態を導通状態に制御した場合に、前記直流電力出力端子から前記電力変換回路へ流れる電流を抑止し、前記制御回路が前記スイッチの接続状態を非導通状態に制御した場合に、前記電力入力端子に入力された電力が変換された直流電力を前記直流電力出力端子に供給するトランジスタを含む
請求項
7に記載の電子回路。
【請求項10】
前記トランジスタは、nチャネル型MOSFETである
請求項
9に記載の電子回路。
【請求項11】
前記電力変換回路は、前記電力入力端子に接続される第1電極と第2電極とを備える第1のコンデンサと、アノードが接地点に接続されカソードが前記第1のコンデンサの前記第2電極に接続される第4のダイオードと、前記直流電力出力端子に接続される第1電極と接地点に接続される第2電極とを備える第2のコンデンサと、アノードがコンデンサを介して前記入力端子に接続されカソードが前記第2のコンデンサの第1電極に接続される第5のダイオードとを少なくとも含み、
前記逆電流低減手段は、前記直流電力出力端子から前記第4のダイオードと前記第5のダイオードとを介して接地点に流れる電流を抑止する
請求項
6に記載の電子回路。
【請求項12】
前記逆電流低減手段は、前記第5のダイオードを含む
請求項
11に記載の電子回路。
【請求項13】
前記逆電流低減手段は、前記第4のダイオードを含む
請求項
11に記載の電子回路。
【請求項14】
請求項1から請求項
13のいずれか一項に記載の電子回路と、
直流電力を出力する電源と、
前記電源から供給される直流電力により駆動される負荷と、
を備えるモジュール。
【請求項15】
前記モジュールは、防水性能を有する筐体に収容された
請求項
14に記載のモジュール。
【請求項16】
請求項
14又は請求項
15に記載のモジュールと、
前記モジュールに所定の電波を発信する発信機と
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路、モジュール及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のキーシステムに用いられる電子キーにおいて、電子キーは車両からの電波により得られる電力を用いて、電子キーに内蔵される電池と、制御回路とを接続することにより、車両との通信を行っていた。電子キーが車両から離れると(つまり待機時には)、再び電池と回路との接続を切断することにより、待機状態における電池の消耗を抑制する技術が知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の技術では、車両からの電波により得られる電力を用いて電子キー内部のアナログフロントエンド回路(AFE)を起動する。このとき、車両等が備える特定の装置からの電波により得られる電力を用いて、AFEを起動させていた。
しかしながら、車両からの電波を用いてAFEを起動させようとした場合、電子キーはAFEの起動に必要な電力を溜めるのに時間がかかるという問題があった。即ち、電子キーが起動するまでの間、車両からの電波を受信可能な位置に電子キーを近づけておかなければならず、不便であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、微弱な電波により得られる電力によりスイッチの切り替えが可能な、利便性のよい電子回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電子回路は、直流電力を出力する電源と、前記電源から供給される直流電力により駆動される負荷との間に接続され、前記電源と前記負荷との接続状態を、前記電源から前記負荷への電力の供給を遮断する非導通状態から、前記電源から前記負荷へ電力の供給をする導通状態に切り替えるスイッチと、電波を受信可能なアンテナが受信する前記電波により得られる電力が入力される電力入力端子と、直流電力を出力する直流電力出力端子とを備え、前記電力入力端子に入力された電力を直流電力に変換し前記直流電力出力端子から出力する電力変換回路と、前記電力変換回路の前記直流電力出力端子と接続される入力端子と、前記スイッチと接続され前記スイッチの接続状態を制御する出力端子とを備え、前記アンテナが前記電波を受信したことにより前記電力変換回路が直流電力を出力した場合に、前記スイッチの接続状態を導通状態に制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、基準入力端子と、検出入力端子と、前記検出入力端子の電位と前記基準入力端子の電位とに応じた電位を出力する電圧検出出力端子と、を備える電力検知器を含み、前記検出入力端子は、前記電圧検出出力端子と接続される。
【0007】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記制御回路は、電源の供給を受ける電源端子を更に備え、前記スイッチが導通状態に切り替わった場合、前記制御回路は前記電源から前記電源端子に供給される電力により前記スイッチを導通状態に保持する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記制御回路は、前記出力端子から出力される制御信号を切り替えるフリップフロップ回路を含む。
【0010】
また、本発明の一態様に係る電子回路は、抵抗値が10メガオーム以上である抵抗を更に備え、前記検出入力端子は、前記抵抗を介して前記電圧検出出力端子に接続される。
【0011】
また、本発明の一態様に係る電子回路は、前記電力変換回路の前記直流電力出力端子にアノードが接続され、前記制御回路の前記電源端子にカソードが接続される第1のダイオードと、前記負荷と前記スイッチとの接続点にアノードが接続され、前記制御回路の前記電源端子にカソードが接続される第2のダイオードとを更に備える。
【0012】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記電源は正極端子と負極端子とを備え、前記電力変換回路は、前記電源の前記正極端子から前記制御回路及び前記電力変換回路を介して前記電源の前記負極端子に流れる電流を抑止する逆電流低減手段を有する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記逆電流低減手段は、前記電力入力端子に入力された電力が変換された直流電力を前記直流電力出力端子に供給し、前記直流電力出力端子から前記電力変換回路へ流れる電流を抑止する。
【0014】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記逆電流低減手段は、第3のダイオードを含み、前記電力入力端子に入力された電力が変換された直流電力は、前記第3のダイオードを順方向に流れることにより前記直流電力出力端子に供給する。
【0015】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記逆電流低減手段は、前記制御回路が前記スイッチの接続状態を導通状態に制御した場合に、前記直流電力出力端子から前記電力変換回路へ流れる電流を抑止し、前記制御回路が前記スイッチの接続状態を非導通状態に制御した場合に、前記電力入力端子に入力された電力が変換された直流電力を前記直流電力出力端子に供給するトランジスタを含む。
【0016】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記トランジスタは、nチャネル型MOSFETである。
【0017】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記電力変換回路は、前記電力入力端子に接続される第1電極と第2電極とを備える第1のコンデンサと、アノードが接地点に接続されカソードが前記第1のコンデンサの前記第2電極に接続される第4のダイオードと、前記直流電力出力端子に接続される第1電極と接地点に接続される第2電極とを備える第2のコンデンサと、アノードがコンデンサを介して前記電力入力端子に接続されカソードが前記第2のコンデンサの第1電極に接続される第5のダイオードとを少なくとも含み、前記逆電流低減手段は、前記直流電力出力端子から前記第4のダイオードと前記第5のダイオードとを介して接地点に流れる電流を抑止する。
【0018】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記逆電流低減手段は、前記第5のダイオードを含む。
【0019】
また、本発明の一態様に係る電子回路において、前記逆電流低減手段は、前記第4のダイオードを含む。
【0020】
また、本発明の一態様に係るモジュールは、上述した電子回路と、直流電力を出力する電源と、前記電源から供給される直流電力により駆動される負荷と、を備える。
【0021】
また、本発明の一態様に係るモジュールは、防水性能を有する筐体に収容される。
【0022】
また、本発明の一態様に係るシステムは、上述したモジュールと、前記モジュールに所定の電波を発信する発信機とを備える。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、微弱な電波により得られる電力によりスイッチの切り替えが可能な、利便性のよい電子回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態におけるラッチシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態におけるラッチモジュールの構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態におけるラッチモジュールの構成の第1の変形例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態における制御回路の構成の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態におけるラッチモジュールの構成の第2の変形例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態における防水構造を有する筐体の一例を示す図である。
【
図7】第2の実施形態における電力変換回路の一例を示す図である。
【
図8】第2の実施形態における電力変換回路の第1の変形例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態における電力変換回路の第2の変形例を示す図である。
【
図10】第3の実施形態における第1アンテナ及び第2アンテナの一例を示す図である。
【
図11】第3の実施形態における第1アンテナ及び第2アンテナの一例を示す図である。
【
図12】第3の実施形態におけるラッチモジュールの構成の一例を示す図である。
【
図13】第3の実施形態におけるラッチモジュールの構成の第1の変形例を示す図である。
【
図14】第3の実施形態におけるラッチモジュールの構成の第2の変形例を示す図である。
【
図15】第3の実施形態におけるラッチモジュールの構成の第3の変形例を示す図である。
【
図16】第3の実施形態におけるラッチモジュールの構成の第4の変形例を示す図である。
【
図17】第3の実施形態におけるラッチモジュールの構成の第5の変形例を示す図である。
【
図18】第3の実施形態における防水構造を有する筐体の一例を示す図である。
【
図19】第4の実施形態におけるラッチシステムの構成の一例を示す図である。
【
図20】第4の実施形態におけるラッチシステムの構成の一例において第1アンテナが電波を受信した場合について示す図である。
【
図21】第4の実施形態におけるラッチシステムの構成の一例において第2アンテナが電波を受信した場合について示す図である。
【
図22】第4の実施形態における電力検知器の構成の一例を示す図である。
【
図23】第4の実施形態におけるゲイン切替を有する電力検知器の構成の一例を示す図である。
【
図24】第4の実施形態におけるゲイン切替を有する電力検知器の回路構成の一例を示す図である。
【
図25】第4の実施形態における防水構造を有する筐体の一例を示す図である。
【
図26】第5の実施形態において解決する課題について説明するための図である。
【
図27】第5の実施形態におけるラッチモジュールの構成の一例を示す図である。
【
図28】第5の実施形態における電力変換回路の変形例を示す図である。
【
図29】第5の実施形態における電力変換回路の第2の変形例を示す図である。
【
図30】第5の実施形態における電力変換回路の第3の変形例を示す図である。
【
図31】第5の実施形態における電力変換回路の第4の変形例を示す図である。
【
図32】第5の実施形態における電力変換回路の第5の変形例を示す図である。
【
図33】第5の実施形態における電力変換回路の第6の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[ラッチシステム100の構成]
以下、図面を参照して、ラッチシステム100の構成について説明する。
図1は、実施形態におけるラッチシステム100の構成の一例を示す図である。同図に示すように、ラッチシステム100は、発信機70及びラッチモジュール1を備える。
【0026】
発信機70は、電波を発信可能な端末である。ここで、例えば電波とは、ブルートゥース(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格により行われる無線通信の際に送信側デバイスが発信する電波である。電波とは、ブルートゥース(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に限定されず、種々の通信方式を採用可能であり、既定の通信規格に当てはまらない独自の規格による通信であってもよい。
例えば、発信機70は、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC、タブレットPC等の無線通信が可能な携帯情報処理端末である。発信機70は、携帯情報処理端末に限定されず、他の情報処理端末であってもよい。
この一例において、発信機70は電波71を発信する。
【0027】
ラッチモジュール1は、電源50と、負荷60と、ラッチ回路10とを備える。ラッチモジュール1は、発信機70から発信される電波71を受信する。
【0028】
電源50は、直流電力を出力する電源である。例えば、電源50は、リチウム電池等の電池である。ラッチモジュール1が小型デバイスである場合、電源50は、基板に実装されているような電池であってもよい。電源50は、電力を負荷60に供給する。
【0029】
負荷60は、通信機能等の機能を有する。例えば負荷60は、不図示のROM(Read Only Memory)と、不図示のRAM(Random Access Memory)と、不図示のCPU(Central Processing Unit)とを備えていてもよい。
【0030】
ラッチ回路10は、電源50と、負荷60との間に接続される。電源50は、ラッチ回路10を介して負荷60に電力を供給する。
ラッチ回路10は、発信機70から発信される電波71を受信する。ラッチ回路10は、発信機70から発信される電波71を受信することにより、電源50と負荷60との間の導通状態を制御する。以後、ラッチ回路10を電子回路とも記載する。
【0031】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図2は、第1の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の一例を示す図である。同図においてラッチモジュール1は、ラッチ回路10と、電源50と、負荷60とを備える。
ラッチ回路10は、アンテナ140と、電力変換回路110と、制御回路120と、スイッチ130とを備える。
【0032】
アンテナ140は、電力変換回路110と接続される。アンテナ140は、発信機70から発信された電波71を受信する。
【0033】
電力変換回路110は、電力入力端子111を入力端子として、直流電力出力端子112を出力端子として備える。電力入力端子111には、アンテナ140が受信する電波が入力される。アンテナ140が受信する電波により得られる電力を直流電力に変換し、出力する。直流電力出力端子112は、電力変換回路110が変換した直流電力を出力する。つまり、電力変換回路110は、電波を受信可能なアンテナ140が受信する電波により得られる電力が入力される電力入力端子111と、直流電力を出力する直流電力出力端子112とを備える。また、電力変換回路110は、電力入力端子111に入力された電力を直流電力に変換し、直流電力出力端子112から出力する。
【0034】
なお、電力変換回路110は、RF-DC変換回路113と、昇圧回路114とを備えていてもよい。
RF-DC変換回路113は電力入力端子111に入力される電波により得られる電力を直流電力に変換する。RF-DC変換回路113は、変換した直流電力を昇圧回路114に出力する。
昇圧回路114は、RF-DC変換回路113により変換された直流電力の電圧を昇圧する。昇圧回路114は、昇圧した電力を、直流電力出力端子112を介して出力する。
【0035】
制御回路120は、電力変換回路110の直流電力出力端子112と接続される入力端子121と、スイッチ130と接続されスイッチ130の接続状態を制御する出力端子122とを備える。また、制御回路120は、電源端子123を電源端子として備える。
入力端子121には、電力変換回路110が出力する直流電力が入力される。出力端子122は、入力端子121の状態に応じた出力信号が出力される。電源端子123には、電源50から電力が供給される。
【0036】
スイッチ130は、直流電力を出力する電源50と、電源50から供給される直流電力により駆動される負荷60との間に接続される。スイッチ130は、電源50と負荷60との接続状態を、非導通状態から導通状態に切り替える。
非導通状態とは、電源50から負荷60への電力の供給を遮断する状態であり、導通状態とは、電源50から負荷60へ電力の供給をする状態である。
【0037】
この一例において、制御回路120は、フリップフロップ127を含む。フリップフロップ127は、出力端子122から出力される制御信号を切り替える。
図2は、フリップフロップ127に、Dフリップフロップ(D-F/F)を使用した例を示したが、T型以外のフリップフロップで構成してもよい。
制御回路120は、スイッチ130の導通状態を制御する。具体的には、制御回路120は、アンテナ140が電波71を受信したことにより電力変換回路110が直流電力を出力した場合に、スイッチ130の接続状態を導通状態に制御する。
【0038】
より具体的には、制御回路120の入力端子121は、フリップフロップ127のCLK端子1271及びD端子1272に接続される。また、制御回路120の出力端子122は、フリップフロップ127のQ端子1273に接続される。
アンテナ140が電波71を受信していない状態(つまり発信機70がラッチ回路10から離れているか、発信機70から電波71が発信されていない状態)において、入力端子121はローレベル(接地電位と同電位)なので、Q端子1273はローレベルを保持する。この状態においてスイッチ130は、非導通状態に制御される。つまり、この状態において、電源50から負荷60への電力供給は行われない。
【0039】
アンテナ140が電波71を受信した状態(つまり発信機70から電波71が発信されており、発信機70がラッチ回路10に近づけられた状態)において、RF-DC変換回路113は昇圧回路114に直流電力を出力する。昇圧回路114は、フリップフロップ127のQ端子1273が変化するしきい値電位以上となるまで昇圧する。このとき、電力変換回路110は、フリップフロップ127のCLK端子1271及びD端子1272に、Q端子1273の状態を変化させるのに十分な電位が入力されるので、Q端子1273はハイレベルに変化する。この状態において、スイッチ130は導通状態に制御される。
【0040】
スイッチ130が導通状態に制御されると、電源50はスイッチ130を介して負荷60に電力を供給する。
フリップフロップ127は、電源50から電力が供給されているため、アンテナ140が電波71を受信していない状態(つまり発信機70がラッチ回路10から離れた位置に移動した等の理由によりラッチ回路10が電波を受信しなくなった状態)に遷移しても、Q端子1273はハイレベルを出力し続ける。
本実施形態において、スイッチ130が導通状態に切り替わった場合、制御回路120は電源50から電源端子123に供給される電力によりスイッチ130を導通状態に保持する。
【0041】
なお、この一例において、フリップフロップ127は、電源端子123を介して電源50と接続されているため、消費電力が小さいフリップフロップ127を選択して電池寿命への影響を極力抑えるよう構成してもよい。例えば、消費電力が1μA(マイクロアンペア)未満と小さいものを選択してもよい。
【0042】
図3は、第1の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の第1の変形例を示す図である。同図に示すラッチモジュール1bは、ラッチモジュール1の第1の変形例である。なお、上述したラッチモジュール1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。ラッチモジュール1bは、制御回路120に代えて制御回路120bを備える点において、上述したラッチモジュール1とは異なる。
【0043】
制御回路120bは、電力変換回路110の直流電力出力端子112と接続される入力端子121bと、スイッチ130と接続されスイッチ130の接続状態を制御する出力端子122bとを備える。また、制御回路120bは、電源端子123bを電源端子として備える。
入力端子121bには、電力変換回路110が出力する直流電力が入力される。出力端子122bは、入力端子121bの状態に応じた出力信号が出力される。電源端子123bには、電源50から電力が供給される。
【0044】
この一例において、制御回路120bは、電力検知器126を含む。電力検知器126は、検出入力端子1261と、基準入力端子1262と、電圧検出出力端子1263とを入出力端子として備える。基準入力端子1262は接地点TGに接続されている。電圧検出出力端子1263は、検出入力端子1261の電位と、基準入力端子1262の電位とに応じた電位を出力する。
アンテナ140が電波71を受信していない状態(つまり発信機70がラッチ回路10から離れているか、発信機70から電波71が発信されていない状態)において、入力端子121bはローレベルなので、検出入力端子1261にはローレベルが入力される。基準入力端子1262が接地点TGに接続されている(ローレベルに固定)ため、電圧検出出力端子1263はローレベルを出力する。この状態においてスイッチ130は、非導通状態に制御される。
【0045】
アンテナ140が電波71を受信した状態(つまり発信機70から電波71が発信されており、発信機70がラッチ回路10に近づけられた状態)において、RF-DC変換回路113は昇圧回路114に直流電力を出力する。昇圧回路114は、電力検知器126の動作電位(ハイレベル)まで昇圧する。電力変換回路110は、ハイレベルを出力する。電力検知器126の検出入力端子1261には、ハイレベルが入力されるので、電圧検出出力端子1263はハイレベルを出力する。この状態において、スイッチ130は導通状態に制御される。
【0046】
この一例において、電力検知器126の検出入力端子1261は、電圧検出出力端子1263と接続される。
なお、制御回路120bは、抵抗124bを備えていてもよい。この場合、電力検知器126の検出入力端子1261は、抵抗124bを介して電圧検出出力端子1263と接続される。一例として、抵抗124bの抵抗値は10メガオーム以上であってもよい。制御回路120bは、抵抗124bを備えることにより、さらに消費電力を抑えることができる。
【0047】
電力検知器126がハイレベルを出力することにより、スイッチ130を導通状態に制御し、電源50と負荷60とが接続された場合、制御回路120bに流れる電流は、抵抗124bに流れる電流と、電力検知器126の消費電流のみとなり、いずれも小さい。
このように、電力検知器126の電力消費は理論的にゼロとなるため、スイッチ130が非導通状態の電源50の消費電力をほぼゼロにすることができる。したがって、電力検知器126を備える一例において、前述のフリップフロップ127を備える一例よりもさらに消費電力を低減することができる。
【0048】
図4は、第1の実施形態における電力検知器126の構成の一例を示す図である。
図4(A)は、電力検知器126の構成の一例である。同図において、電力検知器126は、トランジスタQ1と、トランジスタQ2と、トランジスタQ3と、トランジスタQ4と、インバータ1264と、抵抗1265とを備える。
トランジスタQ1、トランジスタQ2及びトランジスタQ4はエンハンスメント型の素子である。トランジスタQ3はデプレッション型の素子である。
【0049】
出力端子122bがローレベルを出力している場合、トランジスタQ2及びトランジスタQ3はON状態となる。出力端子122bがハイレベルを出力している場合、トランジスタQ1及びトランジスタQ4がON状態となる。
この一例において、電源端子123bから接地点TGへ電流が流れる経路は、2つの経路がある。1つめの経路は、電源端子123bからトランジスタQ1及びトランジスタQ3を介し接地点TGに流れる経路、2つめの経路は、電源端子123bからトランジスタQ2及びトランジスタQ4を介し接地点TGに流れる経路である。電力検知器126は、出力端子122bの状態にかかわらず、電源端子123から接地点TGへ電流が流れる経路がいずれも常に遮断されている。
したがって、電力検知器126の消費電力は、理論的にゼロとなる。
【0050】
図4(B)は、
図4(A)に示す電力検知器126の構成の一例における真理値表である。同図は、入力端子121b及び出力端子122bの電位と、トランジスタQ1、トランジスタQ2、トランジスタQ3及びトランジスタQ4のそれぞれの状態との対応関係を示す。
INは入力端子121bの電位のレベルを、OUTは出力端子122bの電位のレベルを示している。トランジスタQ1、トランジスタQ2、トランジスタQ3及びトランジスタQ4は、それぞれのトランジスタの状態を示している。
【0051】
図5は、第1の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の第2の変形例を示す図である。同図に示すラッチモジュール1cは、ラッチモジュール1の第2の変形例である。なお、上述したラッチモジュール1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。ラッチモジュール1cは、制御回路120cが備える電源端子123cへの電力供給が、ラッチモジュール1a及びラッチモジュール1bの場合と異なる。制御回路120cは、制御回路120の一例である。
【0052】
制御回路120cは、電力変換回路110の直流電力出力端子112と接続される入力端子121cと、スイッチ130と接続されスイッチ130の接続状態を制御する出力端子122cとを備える。また、制御回路120cは、電源端子123cを電源端子として備える。
入力端子121cには、電力変換回路110が出力する直流電力が入力される。出力端子122cは、入力端子121cの状態に応じた出力信号が出力される。電源端子123cには、電力変換回路110又は電源50の少なくとも一方から電力が供給される。
【0053】
本一例において、ラッチモジュール1cは、ダイオードD1と、ダイオードD2とを備える。ダイオードD1はアノードが電力変換回路110の直流電力出力端子112に接続され、カソードが制御回路120cの電源端子123cに接続される。ダイオードD2はアノードがスイッチ130と負荷60との接続点に接続され、カソードが制御回路120cの電源端子123cに接続される。以後、ダイオードD1を第1のダイオード、ダイオードD2を第2のダイオードとも記載する。
【0054】
アンテナ140が電波71を受信していない状態(つまり発信機70がラッチ回路10から離れているか、発信機70から電波71が発信されていない状態)において、制御回路120cには電力が供給されていない。この状態において、スイッチ130は非導通状態に制御されている。なお、出力端子122cは不図示の抵抗等によりローレベルに固定されていてもよい。
【0055】
アンテナ140が電波71を受信した状態(つまり発信機70から電波71が発信されており、発信機70がラッチ回路10に近づけられた状態)において、RF-DC変換回路113は昇圧回路114に直流電力を出力する。昇圧回路114は、電力検知器126の動作電位にダイオードD1の電圧降下分を加算した電位以上の電位まで昇圧する。電力変換回路110は、直流電力出力端子112からダイオードD1を介して制御回路120cの電源端子123cに電力を供給する。
【0056】
この場合、電力変換回路110の直流電力出力端子112から出力される電位は制御回路120cの入力端子121cにも入力される。制御回路120cは、入力端子121cにハイレベルが入力されると、出力端子122cにハイレベルが出力される。したがって、スイッチ130は導通状態に制御される。
スイッチ130が導通状態に制御されると、電源50は、スイッチ130及びダイオードD2を介して制御回路120cの電源端子123cに電力を供給する。
【0057】
制御回路120cは、アンテナ140が電波71を受信していない状態(つまり発信機70がラッチ回路10から離れた位置に移動した等の理由によりラッチ回路10が電波を受信しなくなった状態)に遷移しても、電源50からスイッチ130及びダイオードD2を介して電力の供給を受けることができる。
したがって、本実施形態においてスイッチ130は、アンテナ140が電波71を受信したことにより、スイッチ130が導通状態に制御されると、スイッチ130を導通状態に保持する。
【0058】
図6は、第1の実施形態における防水構造を有する筐体の一例を示す図である。同図に示すように、ラッチ防水モジュール2は、ラッチ回路10と、直流電力を出力する電源50と、電源50から供給される直流電力により駆動される負荷60と、筐体80とを備える。
筐体80は、ラッチ回路10と、電源50と、負荷60とを収容する。筐体80は、防水性能を有する。
【0059】
[第1の実施形態の効果のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、ラッチ回路10は、アンテナ140が受信する電波により、電源50と、負荷60との接続状態を導通状態に制御する。
従来、電池が基板に実装された状態で出荷されるような小型デバイスでは、電池が実装された瞬間に電源が供給され、電池の消費がはじまる。電池寿命の観点から、顧客に渡った際、もしくは顧客が意図するときにのみ電源が供給されることが望ましいが、接点式スイッチや(取り外し可能な)絶縁フィルムなどは小型デバイスの大型化につながっていた。
ラッチ回路10は、アンテナ140が受信する電波により、電源50と、負荷60との接続状態を導通状態に制御することにより、小型デバイスの大型化を抑止することができる。
【0060】
また、上述した実施形態によれば、ラッチ回路10は、アンテナ140が受信する電波により得られる電力を電力変換回路110が直流電力に変換し、制御回路120がスイッチ130の導通状態を制御する。ラッチ回路10は、制御回路120を備えることにより、微弱な電波によっても、スイッチ130の状態を導通状態に切り替えることができるので、負荷であるAFEの起動に時間がかからない。よって、電波を受信してから負荷60の起動までに時間がかからないラッチモジュール1を提供することができる。
したがって、利便性のよいラッチ回路10を提供することができる。
【0061】
また、上述した実施形態によれば、ラッチ回路10が備える制御回路120は、電源50から電力の供給を受ける。したがって、ラッチ回路10は、アンテナ140が電波を受信した後は、アンテナ140が電波を受信していない状態においてもスイッチ130の接続状態を導通状態に保持することができる。
【0062】
また、上述した実施形態によれば、制御回路120は、フリップフロップ127を含む。したがって、制御回路120は、簡易な構成により、スイッチ130の接続状態を切り替え、保持することができる。
【0063】
また、上述した実施形態によれば、制御回路120は、フィードバックを有する電力検知器126を含む。
制御回路120の出力信号が、入力にフィードバックされるため、制御回路120は、スイッチ130の接続状態を保持することができる。また、少ない消費電力により、スイッチ130の状態を保持することができる。
【0064】
また、上述した実施形態によれば、電力検知器126は10メガオーム以上である抵抗124bを更に備える。したがって、制御回路120は、抵抗124bを備えることにより、制御回路120が消費する電力を更に抑止することができる。
【0065】
また、上述した実施形態によれば、ラッチモジュール1は、ダイオードD1を備えることにより、制御回路120の電力を電力変換回路110が提供する。したがって、ラッチモジュール1は、スイッチ130を導通状態に切り替えるための電力をアンテナ140が受信する電波から得ることができる。つまり、ラッチモジュール1は、電源50の電力を消費せずに、スイッチ130を導通状態に切り替えることができる。
また、上述した実施形態によれば、ラッチモジュール1は、ダイオードD2を備えることにより、スイッチ130が導通状態に制御された後は、電源50から電力の提供を受けることができる。したがって、スイッチ130は導通状態を保持することができる。
【0066】
また、上述した実施形態によれば、ラッチモジュール1は、防水性能を有する筐体80に収容される。例えば、水中で封止された状態で使用するデバイスにおいて、非接触でのシステム起動を要する場合、本実施形態におけるラッチモジュール1を適用することにより、非接触でシステムの起動をすることができる。
水中で封止された状態で使用するデバイスとは、例えば、水質調査のデバイス、小型カメラデバイス等が含まれる。また、水中とは、水だけに限られず電解液や体液等の液体を広く含む。
【0067】
[第2の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、第2の実施形態における電力変換回路110dの一例を示す図である。電力変換回路110dは、電力変換回路110の一例である。
同図において電力変換回路110dは、第1コンデンサC11と、第1ダイオードD11と、第2ダイオードD12と、第2コンデンサC12とを備える。
【0068】
第1コンデンサC11は、第1電極C11aと、第2端子C11bとを備える。第1コンデンサC11の第1電極C11aは、電力入力端子111aに接続され、第2電極C11bは、第1ダイオードD11のカソードと第2ダイオードD12のアノードの接続点に接続される。
第1ダイオードD11は、アノードが接地点TGに接続され、カソードが第1コンデンサC11の第2電極C11bに接続される。
第2コンデンサC12は、第1電極C12aと、第2電極C12bとを備える。第2コンデンサC12の第1電極C12aは、直流電力出力端子112dに接続され、第2電極C12bは、接地点TGに接続される。
第2ダイオードD12は、アノードがコンデンサを介して電力入力端子111dに接続される。この一例の場合、第2ダイオードD12のアノードは、第1コンデンサC11を介して電力入力端子111dに接続される。また、第2ダイオードD12は、カソードが第2コンデンサC12の第1電極C12aに接続される。
【0069】
電力入力端子111dに正の電位が印加されると、電力入力端子111dから第1コンデンサC11及び第2ダイオードD12を介して電流I11が流れる。第2コンデンサC12には、電流I11により電荷が蓄えられる。
電力入力端子111dに負の電位が印加されると、接地点TGから第1ダイオードD11及び第1コンデンサC11を介して電流I12が流れる。第1コンデンサC11は、電流I12により電荷が蓄えられる。
再び、電力入力端子111dに正の電位が印加されることにより、電力入力端子111dから第1コンデンサC11及び第2ダイオードD12を介して電流I11が流れる。その結果、直流電力出力端子112dには、電力入力端子111dの2倍の電位が出力される。これは半波倍電圧整流回路の動作である。
【0070】
電力変換回路110dは、微弱電波を昇圧するための倍電圧整流回路である。微弱電波は、例えば、スマートフォンなどに搭載されているBluetooth(登録商標)LE(Low Energy)(以下、BLEという)規格の通信方式といった2.4GHz帯を使用する。第1ダイオードD11及び第2ダイオードD12(以後、電力変換回路110に備えられるダイオードを区別しない場合はダイオードDと記載する。)は高周波特性に優れ、順方向電圧が低く、端子間容量が小さい方が好ましい。この一例において、ダイオードDは、ショットキーバリアダイオードであってもよい。
【0071】
第1コンデンサC11及び第2コンデンサC12(以後、電力変換回路110に備えられるコンデンサを区別しない場合にはコンデンサCと記載する。)は、容量により昇圧電圧の応答速度と到達電圧値が変化する。また、コンデンサCは、容量値が十分でないと出力電圧のリップル量(電圧変動量)が大きくなりDC特性が悪化する。一方、コンデンサCは、容量値が大き過ぎると充電に時間がかかり応答性が悪化する。
したがって、コンデンサCの容量値は、選定したダイオードDや、ラッチ回路10のアプリケーション毎に、バランスのよい良好な倍電圧特性が得られる値に調整される。例えば、本実施形態において、2.4GHzでは33pF又は24pF等が好ましい。
最適な容量値は基板の浮遊容量、基板パターン、実装レイアウト等で変化する。
図7に示した回路では数~数十pF台で最適値が変化する。最適な容量値は、基板の浮遊容量、基板パターン、実装レイアウト等に応じて、確認する必要がある。
【0072】
電力変換回路110は、上述した倍電圧整流回路を多段に組む構成を取ることにより、さらに微弱な電波でも、制御回路120を動作可能な電位を得ることができる。
図8は、第2の実施形態における電力変換回路110の第1の変形例である電力変換回路110eを示す図である。電力変換回路110eは、上述した電力変換回路110の一例である。なお、上述した電力変換回路110と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
同図において電力変換回路110eは、第1コンデンサC21と、第1ダイオードD21と、第2コンデンサC22と、第2ダイオードD22と、第3コンデンサC23と、第3ダイオードD23と、第4コンデンサC24と、第4ダイオードD24とを備える。
この一例において、第1コンデンサC21は第1コンデンサC11と、第1ダイオードD21は第1ダイオードD11と、第2コンデンサC22は第2コンデンサC12と、第2ダイオードD22は第2ダイオードD12と、それぞれ同一である。
【0074】
電力変換回路110eは、電力変換回路110dと比較し、更に第3コンデンサC23と、第3ダイオードD23と、第4コンデンサC24と、第4ダイオードD24とを備えることにより、2段倍電圧整流回路を構成する。
第3コンデンサC23は、第1電極C23aと、第2電極C23bとを備える。第3コンデンサC23の第1電極C23aは、第3ダイオードD23のカソードに接続され、第2電極C23bは、接地点TGに接続される。
第3ダイオードD23は、アノードが第1コンデンサC21の第2電極C21bに接続され、カソードが第3コンデンサC23の第1電極C23aに接続される。
第4コンデンサC24は、第1電極C24aと、第2電極C24bとを備える。第4コンデンサC24の第1電極C24aは、電力入力端子111eに接続され、第2電極C24bは、第4ダイオードD24のカソードに接続される。
第4ダイオードD24は、アノードが第3ダイオードD23のカソードと第3コンデンサC23の第1電極C23aとの接続点に接続され、カソードが第4コンデンサC24の第2電極C24bに接続される。
また、この一例の場合、第2ダイオードD22のアノードは、第4コンデンサC24を介して電力入力端子111eに接続される。
【0075】
図8に示す一例では、電力入力端子111eに入力される入力電圧の4倍の電圧を、直流電力出力端子112eから出力することができる。
このように多段の倍電圧整流回路を構成することにより、電力変換回路110は、制御回路120を動作可能な電位を得ることができる。
ただし、多段倍電圧整流回路を構成する場合、RF-DC変換効率の低下を招く。また、多段倍電圧整流回路を構成する部品点数が増加することによりコスト増加を招く。したがって、アプリケーションごとに適した段数とすることが望ましい。
【0076】
図9は、第2の実施形態における電力変換回路110の第2の変形例である電力変換回路110fを示す図である。電力変換回路110fは、上述した電力変換回路110の一例である。なお、上述した電力変換回路110と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
同図において電力変換回路110fは、第1コンデンサC31と、第1ダイオードD31と、第2コンデンサC32と、第2ダイオードD32と、第3コンデンサC33と、第3ダイオードD33と、第4コンデンサC34と、第4ダイオードD34と、第5コンデンサC35と、第5ダイオードD35と、第6コンデンサC36と、第6コンデンサC36とを備える。
この一例において、第1コンデンサC31は第1コンデンサC21と、第1ダイオードD31は第1ダイオードD21と、第2コンデンサC32は第2コンデンサC22と、第2ダイオードD32は第2ダイオードD22と、第3コンデンサC33は第3コンデンサC23と、第3ダイオードD33は第1ダイオードD23と、第4コンデンサC34は第4コンデンサC24と、第4ダイオードD34は第4ダイオードD24と、それぞれ同一である。
【0078】
電力変換回路110fは、電力変換回路110eと比較し、更に第5コンデンサC35と、第5ダイオードD35と、第6コンデンサC36と、第6ダイオードD36とを備えることにより、3段倍電圧整流回路を構成する。
第5コンデンサC35は、第1電極C35aと、第2電極C35bとを備える。第5コンデンサC35の第1電極C35aは、第5ダイオードD35のカソードに接続され、第2電極C35bは、接地点TGに接続される。
第5ダイオードD35は、アノードが第4コンデンサC34の第2電極C34bに接続され、カソードが第5コンデンサC35の第1電極C35aに接続される。
第6コンデンサC36は、第1電極C36aと、第2電極C36bとを備える。第6コンデンサC36の第1電極C36aは、電力入力端子111fに接続され、第2電極C36bは、第6ダイオードD36のカソードに接続される。
第6ダイオードD36は、アノードが第5ダイオードD35のカソードと第5コンデンサC35の第1電極C35aとの接続点に接続され、カソードが第6コンデンサC36の第2電極C36bに接続される。
また、この一例の場合、第2ダイオードD32のアノードは、第6コンデンサC36を介して電力入力端子111fに接続される。
【0079】
図9に示す一例では、電力入力端子111fに入力される入力電圧の6倍の電圧を、直流電力出力端子112fから出力することができる。
このように多段の倍電圧整流回路を構成することにより、電力変換回路110は、制御回路120を動作可能な電位を得ることができる。電力変換回路110fに示す一例では、電力変換回路110eに示す一例と比べ、さらに微弱な電波により、制御回路120を動作することができる。
【0080】
[第2の実施形態の効果のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、
図1に示すラッチ回路10は、倍電圧整流回路により電力変換回路110を構成する。ラッチ回路10は、倍電圧整流回路により電力変換回路110を構成することにより、微弱な電波から昇圧された直流電力を生成することができる。電力変換回路110は、昇圧された直流電力を制御回路120に供給することにより、制御回路120を駆動することができる。
また、上述した実施形態によれば、倍電圧整流回路は、コンデンサCとダイオードDから構成される。したがって、ラッチ回路10は、簡易な構成により、電力変換回路110を構成することができる。
【0081】
また、上述した実施形態によれば、ラッチ回路10は、2段倍電圧整流回路により電力変換回路110を構成する。ラッチ回路10は、2段倍電圧整流回路により電力変換回路110を構成することにより、さらに微弱な電波でも制御回路120を駆動することができるようになる。ラッチ回路10は、微弱な電波でも制御回路120を駆動することにより、電源50と負荷60を導通状態に制御することができる。
【0082】
また、上述した実施形態によれば、ラッチ回路10は、3段倍電圧整流回路により電力変換回路110を構成する。ラッチ回路10は、3段倍電圧整流回路により電力変換回路110を構成することにより、2段倍電圧整流回路に比べ、さらに微弱な電波でも制御回路120を駆動することができるようになる。ラッチ回路10は、さらに微弱な電波でも制御回路120を駆動することにより、電源50と負荷60を導通状態に制御することができる。
【0083】
[第3の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
図10は、第3の実施形態における第1アンテナ240及び第2アンテナ340の一例を示す図である。
図10(A)は、上述してきたラッチモジュール1が1つのアンテナ140を備える場合の構成の一例を示す図である。この場合、アンテナ140が受信した電波は、電力変換回路110により直流電力に変換され、制御回路120に入力される。
制御回路120は、スイッチ130を非導通状態から導通状態に制御する。この一例の場合、制御回路120は、スイッチ130を導通状態から非導通状態に制御することはできない。
【0084】
図10(B)は、ラッチモジュール1が2つのアンテナ(第1アンテナ240及び第2アンテナ340)を備える場合の構成の一例を示す図である。この場合、ラッチモジュール1は、第1アンテナ240と、第1電力変換回路210と、第2アンテナ340と、第2電力変換回路310と、制御回路220とを備える。
この一例において、第1アンテナ240と第2アンテナ340とは、互いに異なる角度に備えられていてもよい。
【0085】
第1アンテナ240は、第1の方向からの第1の電波を受信可能に備えられる。
第1電力変換回路210は、第1電力入力端子211と、第1直流電力出力端子212とを備える。第1電力入力端子211は、第1アンテナ240と接続される。第1直流電力出力端子212は、制御回路220と接続される。
第1電力入力端子211には、第1アンテナ240が受信する第1の電波により得られる電力が入力される。第1電力変換回路210は、第1電力入力端子211に電力が入力されると、第1電力入力端子211に入力された電力を直流電力に変換する。第1電力変換回路210は、第1直流電力出力端子212から、直流電力を出力する。
【0086】
第2アンテナ340は、第1の方向とは異なる第2の方向からの第2の電波を受信可能に備えられる。
第2電力変換回路310は、第2電力入力端子311と、第2直流電力出力端子312とを備える。第2電力入力端子311は、第2アンテナ340と接続される。第2直流電力出力端子312は、制御回路220と接続される。
第2電力入力端子311には、第2アンテナ340が受信する第2の電波により得られる電力が入力される。第2電力変換回路310は、第2電力入力端子311に電力が入力されると、第2電力入力端子311に入力された電力を直流電力に変換する。第2電力変換回路310は、第2直流電力出力端子312から、直流電力を出力する。
【0087】
制御回路220は、第1入力端子221と、第2入力端子225と、出力端子222とを入出力端子として備える。
第1入力端子221は、第1電力変換回路210の第1直流電力出力端子212と接続される。第2入力端子225は、第2電力変換回路310の第2直流電力出力端子312と接続される。出力端子222は、スイッチ130と接続され、スイッチ130の接続状態を制御する。
【0088】
制御回路220は、第1アンテナ240が第1の電波を受信したことにより第1電力変換回路210が直流電力を出力した場合に、スイッチ130の接続状態を導通状態に制御する。制御回路220は、第2アンテナ340が第2の電波を受信したことにより第2電力変換回路310が直流電力を出力した場合に、スイッチ130の接続状態を非導通状態に制御する。
このように、
図10(B)に示した一例では、制御回路220により、スイッチ130を非導通状態から導通状態に制御するだけでなく、スイッチ130を導通状態から非導通状態に制御することができる。
【0089】
図11は、第3の実施形態における第1アンテナ240及び第2アンテナ340の一例を示す図である。
図11(A)は、第3の実施形態における電界型アンテナ500の一例を示す図である。同図は、第1アンテナ240又は第2アンテナ340が電界型アンテナ500である場合の、アンテナの種類の一例を示す。
第1アンテナ240又は第2アンテナ340が電界型アンテナ500である場合、ダイポールアンテナ501であってもよいし、モノポールアンテナ502であってもよいし、逆Fアンテナ503であってもよいし、メアンダラインアンテナ504であってもよいし、チップアンテナ505であってもよい。
【0090】
図11(B)は、第3の実施形態における磁界型アンテナ600の一例を示す図である。同図は、第1アンテナ240又は第2アンテナ340が磁界型アンテナ600である場合の、アンテナの種類の一例を示す。
第1アンテナ240又は第2アンテナ340が磁界型アンテナ600である場合、ループアンテナ601であってもよい。
本実施形態における、第1アンテナ240及び第2アンテナ340のアンテナの種類は、
図11(A)及び
図11(B)に示したアンテナの種類に限定されるものではなく、種々のアンテナを選定することができる。
【0091】
図12は、第3の実施形態におけるラッチモジュール1gの構成の一例を示す図である。同図に示すラッチモジュール1gは、第1の実施形態におけるラッチモジュール1の変形例である。なお、上述したラッチモジュール1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
同図において、ラッチモジュール1gは、ラッチ回路10gと、電源50と、負荷60とを備える。
【0092】
ラッチ回路10gは、電界型アンテナ500aと、磁界型アンテナ600aと、第1電力変換回路210aと、第2電力変換回路310aと、制御回路220と、スイッチ130とを備える。電界型アンテナ500aは、第1アンテナ240の一例であり、磁界型アンテナ600aは第2アンテナ340の一例である。
なお、第1電力変換回路210aは、RF-DC変換回路213aと、昇圧回路214aとを、第2電力変換回路310aは、RF-DC変換回路313aと、昇圧回路314aとを、備えていてもよい。
【0093】
電界型アンテナ500aは、第1の方向からの第1の電波を受信する。第1電力変換回路210aの第1電力入力端子211aには、電界型アンテナ500aが第1の電波を受信したことによる電力が入力される。第1電力変換回路210aは、入力された電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を第1直流電力出力端子212aに出力する。
この場合、磁界型アンテナ600aは、第1の方向とは異なる第2の方向からの第2の電波を受信可能に設置されているため、第1の電波を受信しない。したがって、制御回路220には、第1入力端子221にのみ、直流電力が入力される。
【0094】
磁界型アンテナ600aは、第2の方向からの第2の電波を受信する。第2電力変換回路310aの第2電力入力端子311aには、磁界型アンテナ600aが第2の電波を受信したことによる電力が入力される。第2電力変換回路310aは、入力された電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を第2直流電力出力端子312aに出力する。
この場合、電界型アンテナ500aは、第2の方向とは異なる第1の方向からの第1の電波を受信可能に設置されているため、第2の電波を受信しない。したがって、制御回路220には、第2入力端子225にのみ、直流電力が入力される。
【0095】
この一例において、制御回路220は、フリップフロップ227を含む。フリップフロップ227は、第1入力端子221の電位及び第2入力端子225の電位に基づいて、出力端子222から出力される制御信号を切り替える。
なお、具体的には、フリップフロップ227は、SRフリップフロップ(SR-F/F)である。より具体的には、第1入力端子221はフリップフロップ227のS端子に接続され、第2入力端子225はフリップフロップ227のR端子に接続され、出力端子222はQ端子に接続される。
【0096】
電界型アンテナ500aが第1の電波を受信した状態において、第1電力変換回路210aは直流電力を出力する。出力された直流電力は、直流電力に応じた電位がフリップフロップ227の第1入力端子221であるS端子に入力される。入力された電位がフリップフロップ227の状態変化を発生させるしきい値電圧を超えたとき、つまり、フリップフロップ227のS端子にハイレベルが入力されると、フリップフロップ227のQ端子はハイレベルを出力する。この状態において、スイッチ130は導通状態に制御される。スイッチ130が導通状態に制御されると、電源50が負荷60に電力を供給する。
【0097】
磁界型アンテナ600aが第2の電波を受信した状態において、第2電力変換回路310aは直流電力を出力する。出力された直流電力は、直流電力に応じた電位がフリップフロップ227の第2入力端子225であるR端子に入力される。入力された電位がフリップフロップ227の状態変化を発生させるしきい値電圧を超えたとき、つまり、フリップフロップ227のR端子にハイレベルが入力されると、フリップフロップ227のQ端子はローレベルを出力する。この状態において、スイッチ130は非導通状態に制御される。
【0098】
フリップフロップ227を含む制御回路220には、電源50から電力を供給される。したがって、電界型アンテナ500a及び磁界型アンテナ600aがいずれも電波を受信していない状態において、フリップフロップ227はQ端子の出力状態を保持し続ける。つまり、スイッチ130の接続状態は、最後に電波を受信したのが電界型アンテナ500aであるか、磁界型アンテナ600aであるかによって、導通状態に制御されているか、非導通状態に制御されているかが異なる。スイッチ130が非導通状態に制御されると、電源50は負荷60への電力の供給を停止する。
【0099】
なお、この一例において、フリップフロップ227は、電源端子223を介して電源50と接続されているため、消費電力が小さいフリップフロップ227を選択して電池寿命への影響を極力抑えるよう構成してもよい。例えば、消費電力が1μA(マイクロアンペア)未満と小さいものを選択してもよい。
また、制御回路220はフリップフロップと同等の機能を持つ低消費電力なラッチ回路で構成されてもよい。
【0100】
図13は、第3の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の第1の変形例を示す図である。同図に示すラッチモジュール1hは、上述したラッチモジュール1gの変形例である。なお、ラッチモジュール1gと同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。ラッチモジュール1hは、制御回路220に電力検知器226を含み、フリップフロップ227を含まない点で、ラッチモジュール1gの構成とは異なる。
【0101】
ラッチモジュール1hに含まれる制御回路220の構成は、
図3に示した制御回路120bと同様である。つまり、制御回路220に含まれる電力検知器226の構成は、
図4に示した電力検知器126と同様の構成である。
ラッチモジュール1hに示す一例では、第1電力変換回路210aの第1直流電力出力端子212aが、制御回路220の第1入力端子221に接続される。つまり、電界型アンテナ500aが第1の電波を受信した場合、受信した電波による電力に比例した電流が電力検知器226の検出入力端子2261に入力される。この場合、入力端子2261に入力された電流に比例した電位が、電力検知器226内の基準入力電位VDETより高い場合、電圧検出出力端子2263にはハイレベルが出力され、スイッチ130は導通状態に制御される。
【0102】
また、第2電力変換回路310aの第2直流電力出力端子312aは、制御回路220の第2入力端子225に接続される。つまり、磁界型アンテナ600aが第2の電波を受信した場合、受信した電波により得られる電力に比例した電流が電力検知器226の基準入力端子2262に入力される。電力検知器226内において、入力端子2262の次段には電流増幅器がある。基準入力端子2262に入力された電流は電流増幅器により2倍に増幅される。さらに次段の電流加算器により、検出入力端子2261に入力された電流から基準入力端子2262に入力された電流が差し引かれる。電流加算器を通った後の電流に比例した電位は、電力検知器226内の基準入力電位VDETより低いとき、電圧検出出力端子2263にはローレベルが出力され、スイッチ130は非導通状態に制御される。
【0103】
このように、電力検知器226を含む制御回路220を備えるラッチモジュール1hは、フリップフロップ227を含む制御回路220aを備えるラッチモジュール1gと同様の動きをする。
ラッチモジュール1hは、制御回路220に電力検知器226を含むことにより、ラッチモジュール1gよりも、さらに低消費電力とすることができる。
【0104】
図14は、第3の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の第2の変形例を示す図である。同図に示すラッチモジュール1iは、上述したラッチモジュール1gの変形例である。なお、ラッチモジュール1gと同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。ラッチモジュール1iは、第1アンテナ240及び第2アンテナ340のいずれにも電界型アンテナ500を用いる点において、ラッチモジュール1gの構成とは異なる。
【0105】
同図に示す一例では、電界型アンテナ500b(第1アンテナ240)と、電界型アンテナ500c(第2アンテナ340)とは、互いに異なる位置に備えられる。つまり、ラッチモジュール1iでは、それぞれのアンテナの搭載位置が互いに異なっている。搭載位置とは、ラッチモジュール1iの中での、アンテナが設置される位置のことである。
電界型アンテナ500bは、第1の方向からの第1の電波を受信可能に設置される。電界型アンテナ500cは、第1の方向とは異なる第2の方向からの第2の電波を受信可能に設置される。
【0106】
図15は、第3の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の第3の変形例を示す図である。同図に示すラッチモジュール1jは、上述したラッチモジュール1iの変形例である。なお、ラッチモジュール1iと同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。ラッチモジュール1jは、第1アンテナ240及び第2アンテナ340の設置角度が互いに異なる点において、ラッチモジュール1iの構成とは異なる。
【0107】
同図に示す一例において、ラッチモジュール1jは、電界型アンテナ500dと、電界型アンテナ500eとを備える。電界型アンテナ500dは第1アンテナ240の一例であり、電界型アンテナ500eは、第2アンテナ340の一例である。
同図に示す一例では、電界型アンテナ500b(第1アンテナ240)と、電界型アンテナ500c(第2アンテナ340)とは、互いに異なる角度に備えられる。つまり、第1の電波と第2の電波とは、互いに異なる角度に備えられるため、互いに干渉することがない。
一例として、電界型アンテナ500b(第1アンテナ240)と、電界型アンテナ500c(第2アンテナ340)とを、互いに垂直に備えていてもよい。
【0108】
図16は、第3の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の第4の変形例を示す図である。
図16(A)は、アンテナ701及びアンテナ702の配置をx軸及びy軸の二次元直交座標系によって示した図である。同図に示すアンテナ701は、上述した第1アンテナ240の一例であり、アンテナ702は、上述した第2アンテナ340の一例である。以後、アンテナ701と、アンテナ702とを区別しない場合には、アンテナ700と記載する。アンテナ700は、電界型アンテナ500の一例である。
アンテナ701は、x軸に沿って配置されている。アンテナ702は、y軸に沿って配置されている。この一例において、アンテナ701と、アンテナ702とは、互いに異なる角度で配置される。
【0109】
図16(B)は、アンテナ701及びアンテナ702の配置をx軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって示した図である。同図では、
図16(A)においてx軸及びy軸の二次元直交座標系によって示したアンテナ701及びアンテナ702の配置を、三次元空間に示している。
アンテナ701及びアンテナ702は、筐体703の中に収容されている。また、アンテナ701及びアンテナ702は、同一平面に配置されている。同図に示すようにアンテナ701と、アンテナ702とを互いに異なる角度で配置することにより、アンテナ701と、アンテナ702とが同一平面上に配置される場合であっても、第1の電波と第2の電波とが互いに干渉することがない。
【0110】
図17は、第3の実施形態におけるラッチモジュール1の構成の第5の変形例を示す図である。同図に示すラッチモジュール1kは、上述したラッチモジュール1jの変形例である。なお、ラッチモジュール1jと同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。ラッチモジュール1kは、第1アンテナ240及び第2アンテナ340の設置角度が同一であるが、互いに異なる長さのダイポールアンテナ501を備える点において、ラッチモジュール1jの構成とは異なる。
【0111】
同図に示す一例において、ラッチモジュール1kは、電界型アンテナ500fと、電界型アンテナ500gとを備える。電界型アンテナ500fは第1アンテナ240の一例であり、電界型アンテナ500gは、第2アンテナ340の一例である。
この一例において、電界型アンテナ500fと、電界型アンテナ500gとは、それぞれ互いに異なる長さのアンテナを備える。電界型アンテナ500fの長さと電界型アンテナ500gの長さは、第1の電波と第2の電波との干渉を抑止するために、電波の周波数に基づいて選択される。例えば、電界型アンテナ500fの長さと電界型アンテナ500gの長さは、それぞれのアンテナが受信する電波の波長λの1/2、もしくは1/4にすることが好ましい。この場合、電界型アンテナ500f及び電界型アンテナ500gは、反射波を発生することなく、効率よく電波を受信することができる。
具体的には、第1の電波の周波数が2.4GHz、第2の電波の周波数が5GHzである場合、第1の電波の波長は約12.5cm、第2の電波の波長は約6cmとなる。また、λ/2波長のダイポールアンテナを使用した場合には、各アンテナ長は、第1の電波を受信するアンテナ長は6.25cm、第2の電波を受信するアンテナ長は3cmとなる。
上記のように、異なる波長の第1の電波と第2の電波の波長λの1/2のアンテナ長を有するダイポールアンテナ501を用いたラッチモジュール1kを構成することにより、第1の電波と第2の電波との干渉を抑止することができる。この場合、一方の電波を用いてスイッチ130をオンし、他方の電波を用いてスイッチ130をオフすることもできる。
【0112】
なお、ダイポールアンテナ501の一例を用いて、第1アンテナ240の長さと第2アンテナ340の長さとが、それぞれ異なる場合について説明したが、ダイポールアンテナ501の一例に限られず、モノポールアンテナ502、逆Fアンテナ503、メアンダラインアンテナ504、チップアンテナ505においても同様である。これらのアンテナも同様に、第1アンテナ240が備えるアンテナの長さと第2アンテナ340が備えるアンテナの長さとを異なる長さとなるよう構成してもよい。
【0113】
図18は、第3の実施形態における防水構造を有する筐体の一例を示す図である。同図に示すように、ラッチ防水モジュール2bは、ラッチ回路10lと、直流電力を出力する電源50と、電源50から供給される直流電力により駆動される負荷60と、筐体80とを備える。
筐体80は、ラッチ回路10lと、電源50と、負荷60とを収容する。筐体80は、防水性能を有する。
【0114】
[第3の実施形態の効果のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、ラッチモジュール1は、第1アンテナ240が受信する第1の電波と、第2アンテナ340が受信する第2の電波をそれぞれ検出することにより、スイッチ130の接続状態を切り替える。ラッチモジュール1は、このように構成されることにより、スイッチ130を非導通状態から導通状態に切り替えることができる。また、ラッチモジュール1は、スイッチ130を導通状態から非導通状態に切り替えることができる。
【0115】
また、上述した実施形態によれば、第1アンテナ240と、第2アンテナ340とは、互いに異なる位置に備えられる。したがって、ラッチモジュール1は、第1の方向からの第1の電波と、第1の方向とは異なる方向からの第2の電波とが互いに干渉することを防ぐことができる。つまり、誤動作を防止することができる。
【0116】
また、上述した実施形態によれば、第1アンテナ240と、第2アンテナ340とは、互いに異なる角度に備えられる。したがって、ラッチモジュール1は、第1の方向からの第1の電波と、第1の方向とは異なる方向からの第2の電波とが互いに干渉することを防ぐことができる。つまり、誤動作を防止することができる。
【0117】
また、上述した実施形態によれば、第1アンテナ240と、第2アンテナ340とは、互いに垂直に備えられる。したがって、上述した実施形態によれば、第1の電波と第2の電波は互いに干渉することを防ぐことができる。つまり、誤動作を防止することができる。
【0118】
また、上述した実施形態によれば、第1アンテナ240は電界型アンテナ500であり、第2アンテナ340は磁界型アンテナ600である。したがって、第1の電波と第2の電波とは互いに干渉することを防ぐことができる。つまり、誤動作を防止することができる。
【0119】
[第4の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
図19は、第4の実施形態におけるラッチシステム100の構成の一例を示す図である。同図において、ラッチモジュール1mは、第1アンテナ740aと、第2アンテナ740bと、第1電力変換回路710aと、第2電力変換回路710bと、制御回路720と、スイッチ130と、電源50と、負荷60とを備える。
なお、第1電力変換回路710aは、RF-DC変換回路713aと、昇圧回路714aとを、第2電力変換回路710bは、RF-DC変換回路713bと、昇圧回路714bとを、備えていてもよい。
【0120】
第1アンテナ740aは、電波を受信可能に備えられる。第2アンテナ740bは、電波を受信可能に備えられ、第1アンテナ740aと略同一の特性及び利得を有する。第1アンテナ740aと第2アンテナ740bとは所定の距離を離して配置される。
この一例において、送信点T1は、第1アンテナ740aが備えられる地点及び第2アンテナ740bが備えられる地点から遠く離れた地点を示している。具体的には、送信点T1から発信される電波が、遠方界となる場所に設置される。
【0121】
電波には送信点からの距離に応じて遠方界と近傍界という分け方がある。例えば、遠方界と近傍界の境界位置は電波の波長λを使用してλ/2πで表される。一例として、2.4GHzでは送信点から約2cmが遠方界と近傍界の境界となる。
遠方界では電波は平面波と捉えることができるため、送信点からの距離が同一であれば電界強度や磁界強度は理論的には同一である。強度は距離の1乗に反比例する。
一方、近傍界では電界アンテナでは電界強度は距離の3乗、磁界強度は距離の2乗に反比例し、磁界アンテナでは電界強度は距離の2乗、磁界強度は距離の3乗に反比例する。つまり、近傍界における電界強度や磁界強度は、遠方界と比較して距離による強度の変化が非常に大きい。
【0122】
遠方界からの電波を受信した場合に、第1アンテナ740a及び第2アンテナ740bからみた電波は平面波であり各々のアンテナが受信する電力P1及びP2の大きさは、ほぼ等しい。
本実施形態において、第1アンテナ740a及び第2アンテナ740bは略同一の特性および利得を有するので、第1アンテナ740a及び第2アンテナ740bがそれぞれ送信点T1からの電波を受信した場合に、第1電力変換回路710aが出力する直流電力及び第2電力変換回路710bが出力する直流電力は、ほぼ等しい。
【0123】
この一例において、遠方界からの電波はノイズとして捉える。遠方界からの電波とは環境に漂っている電波である。例えば、ラッチモジュール1mが遠方界からの電波を受信したことにより、スイッチ130の接続状態を切り替えてしまうような誤動作を引き起こす可能性がある。
【0124】
第1電力変換回路710aは、第1アンテナ740aが電波を受信することにより得られる電力が入力される第1電力入力端子711aと、直流電力を出力する第1直流電力出力端子712aとを備え、第1電力入力端子711aに入力された電力を直流電力に変換し第1直流電力出力端子712aから出力する。
第2電力変換回路710bは、第2アンテナ740bが電波を受信することにより得られる電力が入力される第2電力入力端子711bと、直流電力を出力する第2直流電力出力端子712bとを備え、第2電力入力端子711bに入力された電力を直流電力に変換し第2直流電力出力端子712bから出力する。
【0125】
制御回路720は、第1電力変換回路710aの第1直流電力出力端子712aと接続される第1入力端子721と、第2電力変換回路710bの第2直流電力出力端子712bと接続される第2入力端子725と、スイッチ130と接続されスイッチ130の接続状態を制御する出力端子722と、電源端子723と、を備える。
制御回路720の電源端子723は電源50と接続される。負荷60はスイッチ130を介して電源50と接続される。
制御回路720は、第1入力端子721に入力される電力と第2入力端子725に入力される電力を比較した結果に応じてスイッチ130の接続状態を切り替える。
【0126】
図20は、第4の実施形態におけるラッチシステム100の構成の一例において第1アンテナ740aが第2アンテナ740bよりも強度が高い電波を受信した場合について示す図である。なお、上述したラッチモジュール1mと同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
この一例において、送信点T2は、第1アンテナ740aの近傍界に位置する。近傍界では距離による電界強度や磁界強度の変化が大きいので、第1アンテナ740aが受信する電波による電力と、第2アンテナ740bが受信する電波による電力とは大きく異なる。
例えば、第1アンテナ740aの近傍で電波を送信すると、第1アンテナ740a周辺の電界強度や磁界強度に対して、第2アンテナ740b周辺の電界強度や磁界強度は大きく減衰する。
【0127】
送信点T2が第1アンテナ740aの近傍界に位置する場合、第1アンテナ740aが受信する電波による電力と、第2アンテナ740bが受信する電波による電力とは、大きく異なることから、第1電力変換回路710aが出力する直流電力と、第2電力変換回路710bが出力する直流電力とは大きく異なる。つまり、制御回路720の第1入力端子721に入力される電力と第2入力端子725に入力される電力の値は、大きく異なる。
制御回路720は、第1入力端子721と第2入力端子725に入力される電力を比較した結果に応じてスイッチ130の接続状態を切り替えるため、送信点T2が第1アンテナ740aの近傍界に位置する場合、スイッチ130の接続状態を切り替える。
例えば、制御回路720は、第1入力端子721に入力される電力が第2入力端子725に入力される電力の2倍以上となった場合に、スイッチ130を導通状態に制御する。
【0128】
図21は、第4の実施形態におけるラッチシステム100の構成の一例において第2アンテナ740bが第1アンテナ740aよりも強度が高い電波を受信した場合について示す図である。なお、上述したラッチモジュール1mと同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
この一例において、送信点T3は、第2アンテナ740bの近傍界に位置する。第2アンテナ740bの近傍である送信点T3から電波を送信すると、第2アンテナ740b周辺の電界強度や磁界強度に対して、第1アンテナ740a周辺の電界強度や磁界強度は大きく減衰する。
【0129】
例えば、制御回路720は、第2入力端子725に入力される電力が第1入力端子721に入力される電力に対して所定量以上大きい場合に、スイッチ130を非導通状態に制御する。
図20及び
図21に示したように、ラッチ回路10は、近傍界の電波を第1アンテナ740aもしくは第2アンテナ740bのいずれかの近傍で送信することにより、発信機の位置を検知することができ、誤動作することなくスイッチ130の接続状態を切り替えることができる。
【0130】
図22は、第4の実施形態における制御回路720の構成の一例を示す図である。
図22(A)は、制御回路720の回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、制御回路720は、電力検知器726とフィードバック抵抗724とで構成される。電力検知器726は、第1入力端子7212と、第2入力端子7252と、出力端子7222とを入出力端子として備える。電力検知器726は、出力端子7222がフィードバック抵抗724を介して第1入力端子7212に接続される。フィードバック抵抗724は、電力検知器726の出力端子7222の電力を、入力端子7212にフィードバックする。このため、電力検知器726は、出力端子7222がハイレベルとなると、第2入力端子7252にスイッチ130を非導通状態にするほどの大きな電力が入力されない限り、出力端子7212のハイレベルが維持される。電力検知器726は、電流増幅器7261と、電流加算器7262と、電流コンパレータ7263とを構成要素として備える。電力検知器726は、第1入力端子7212と第2入力端子7252とに入力される電力に比例した値で入力される電流を比較することで、第1入力端子7212と第2入力端子7252に入力される電力を比較する。
【0131】
電流増幅器7261は、第2入力端子7252に入力される電流IINMを増幅する。この一例において、電流増幅器7261は、第2入力端子7252に入力される電流をG倍に増幅する。
電流加算器7262は、第2入力端子7252に入力される電流を電流増幅器7261によりG倍に増幅した電流(G×IINM)と、第1入力端子7212に入力される電流IINPとを加算する。電流加算器7262は、加算した電流を出力する。
電流コンパレータ7263は、電流加算器7262が加算した結果出力される電流(IINP-G×IINM)と、検出電流IDETを比較する。電流コンパレータ7263は、比較した結果に応じた電圧を出力端子7222に出力する。
具体的には、電流コンパレータ7263は、電流加算器7262が加算した結果出力される電流が、検出電流IDET以上である場合にハイレベルを出力し、小さい場合にローレベルを出力する。以後、電流コンパレータ7263を、比較器とも記載する。
【0132】
つまり、電流コンパレータ7263は、第1入力端子7212に流れる電流と、第2入力端子7252に流れる電流を電流増幅器7261でG倍に増幅した電流との差が、検出電流IDET以上である場合にハイレベルを出力する。また、電流コンパレータ7263は、第1入力端子7212に流れる電流と、第2入力端子7252に流れる電流を電流増幅器7261でG倍に増幅した電流との差が、検出電流IDETより小さい場合にローレベルを出力する。
例えば、電流増幅器7261のゲイン(増幅率)が2倍に設定されている場合、第1入力端子7212に流れる電流は、第2入力端子7252に流れる電流を2倍した電流に検出電流IDETを足した値以上でないと電流コンパレータ7263はハイレベルを出力しない。
以後、電流コンパレータ7263が出力端子7222にローレベルを出力している状態をオフ状態、電流コンパレータ7263が出力端子7222にハイレベルを出力している状態をオン状態とも記載する。
【0133】
図22(B)は、電力検知器726に入力される電流と出力電位の対応関係を示す表である。
第1入力端子7212に流れる電流から、第2入力端子7252に流れる電流をG倍に増幅した電流を引いた電流値が、検出電流I
DET以上である場合に、出力端子7222はハイレベルを出力する。出力端子7222はスイッチ130に接続されているため、この場合、制御回路720はスイッチ130を導通状態に制御する。
第1入力端子7212に流れる電流から、第2入力端子7252に流れる電流をG倍に増幅した電流を引いた電流値が、検出電流I
DETより小さい場合に、出力端子7222はローレベルを出力する。出力端子7222はスイッチ130に接続されているため、この場合、制御回路720はスイッチ130を非導通状態に制御する。
【0134】
図23は、第4の実施形態におけるゲイン(増幅率)切替を有する電力検知器726aの構成の一例を示す図である。電力検知器726aは、電力検知器726の一例である。電力検知器726と同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する。
同図を参照しながら、電力検知器726aがゲインの切替をする場合の一例について説明する。一例として、電力検知器726aがオフ状態の場合には誤動作防止のために2倍のゲインであるのに対し、電力検知器726aがオン状態の場合にはオフ状態に移行しづらくなるように1/2倍のゲインとする場合について説明する。
この一例において、電力検知器726aは、ゲイン切替器7264を備える。
【0135】
電力検知器726aの第2入力端子7252には、電流増幅器7261が接続されることにより、第2入力端子7252に流れる電流は、2倍のゲインを得ることができる。
電力検知器726aがオフ状態で、遠方界から送信された電波を受信したときは、第1入力端子7212、第2入力端子7252の各端子に入力される電流は、ほぼ同じであるため、2倍のゲインを持つ第2入力端子7252の電流の方が大きくなり、出力端子7222の電位はオフ状態を維持する。つまり、ラッチモジュール1mは、電力検知器726aを備えることにより、誤動作を防止することができる。
【0136】
一方、近傍界の電波を受信して電力検知器726aがオン状態のとき、第1入力端子7212に流れる電流IINPが、第2入力端子7252に流れる電流IINMより大きくなるように設定することにより、電力検知器726aは、オン状態を保持することができる。
例えば、第2入力端子7252に接続されているゲイン(増幅率)を2倍から1/2に変えれば、第1入力端子7212に入力される電流と第2入力端子7252に入力される電流がほぼ同じであっても、第1入力端子7212に流れる電流の方が大きくなるため、電力検知器726aはオフ状態に移行しづらくなる。つまり、ラッチモジュール1mは、オン状態を維持しやすくなる。
【0137】
図24は、第4の実施形態におけるゲイン切替を有する電力検知器726aの回路構成の一例を示す図である。第1の実施形態において説明した電力検知器126と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。同図において、電力検知器726aは、電流増幅器7261と、電流加算器7262と、ゲイン切替器7264とを更に備える。
【0138】
電流増幅器7261は、トランジスタQ5と、トランジスタQ6とを備える。トランジスタQ5と、トランジスタQ6とは、いずれもnチャネル型のトランジスタである。トランジスタQ5は、ソースが接地点TGに接続され、ゲートが自身のドレイン及びトランジスタQ6のゲートに接続され、ドレインが第2入力端子7252に接続されている。トランジスタQ6は、ソースが接地点TGに接続され、ゲートがトランジスタQ5のゲートに接続され、ドレインが電流加算器7262に接続されている。トランジスタQ5とトランジスタQ6とは、カレントミラー回路を構成する。第2入力端子7252に入力される電流IINMは、電流I1としてトランジスタQ5のドレイン―ソース間に流れる。この一例において、トランジスタQ6のドレイン―ソース間には、電流I2として、1/2×I1が流れる。
【0139】
ゲイン切替器7264は、トランジスタQ7と、トランジスタQ8とを備える。トランジスタQ7は、nチャネル型のトランジスタであり、トランジスタQ8は、pチャネル型のトランジスタである。
トランジスタQ7は、ソースが接地点TGに接続され、ゲートがトランジスタQ6のゲートに接続され、ドレインがトランジスタQ8のドレインに接続される。
トランジスタQ8は、ソースがトランジスタQ6のドレインと電流加算器7262との接続点に接続され、ゲートが出力端子7222に接続され、ドレインがトランジスタQ7のドレインに接続される。この一例において、トランジスタQ7のドレイン―ソース間には、電流I3として、3/2×I1が流れる。
【0140】
ゲイン切替器7264は、出力端子7222の状態に応じて、電流I3を制御することによって、電流加算器7262に流れる電流の電流値を切り替える。
出力端子7222がローレベルの場合、トランジスタQ8のソース―ドレイン間には電流I3が流れる。この場合、電流加算器7262には、I2+I3(つまり、1/2×I1+3/2×I1=2×I1)が流れるため、ゲインは2倍となる。
出力端子7222がハイレベルの場合、トランジスタQ8のソース―ドレイン間には電流が流れない。この場合、電流加算器7262には、I2(つまり、1/2×I1)が流れるため、ゲインは1/2倍となる。
【0141】
ここで、MOSトランジスタのドレイン-ソース間に流れる電流は、ゲート幅Wに比例し、ゲート長Lに反比例する。
電力検知器726aのゲインの値は、トランジスタQ6及びトランジスタQ7を構成するMOSトランジスタのゲート幅W及びゲート長Lにより、任意に調整する。
【0142】
図25は、第4の実施形態における防水構造を有する筐体80の一例を示す図である。同図に示すように、ラッチ防水モジュール2cは、ラッチ回路10pと、直流電力を出力する電源50と、電源50から供給される直流電力により駆動される負荷60と、筐体80とを備える。
筐体80は、ラッチ回路10pと、電源50と、負荷60とを収容する。筐体80は、防水性能を有する。
【0143】
[第4の実施形態の効果のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、ラッチモジュール1mは、第1アンテナ740aと、第1アンテナ740aと略同一の特性及び利得を有する第2アンテナ740bとを備える。制御回路720は、第1アンテナ740aが受信する電波による電力と、第2アンテナ740bが受信する電波による電力とを比較する。
制御回路720は、第1アンテナ740aが受信する電波による電力と、第2アンテナ740bが受信する電波による電力との差が所定の値より小さい場合、電波の送信点が遠方界にあると考えられるため、スイッチ130の接続状態を切り替えない。制御回路720は、第1アンテナ740aが受信する電波による電力と、第2アンテナ740bが受信する電波による電力との差が所定の値以上である場合、電波の送信点が近傍界にあると考えられるため、スイッチ130の接続状態を切り替える。
したがって、ラッチモジュール1mは、遠方界からのノイズ電波は電波の強弱に関わらず発信機が近くにいないと検知し、遠方界からの電波による誤動作を防止することができる。
さらに、これらの制御は、送信電波の電界特性を利用しているので、検出に関して回路の電池消費は発生しない。
【0144】
また、上述した実施形態によれば、制御回路720は、第1入力端子721から入力される電力が第2入力端子725から入力される電力より大きい場合には、スイッチ130の接続状態を導通状態に切り替え、第1入力端子721から入力される電力が第2入力端子725から入力される電力より小さい場合にはスイッチ130の接続状態を非導通状態に切り替える。
したがって、ラッチモジュール1mは、制御回路720を備えることにより、電源50と、負荷60とを導通状態と、非導通状態とに切り替えることができる。
【0145】
また、上述した実施形態によれば、制御回路720は電力検知器726を含む。したがって、電力検知器726を備える制御回路720は、少ない消費電力により、スイッチ130の状態を保持することができる。
【0146】
また、上述した実施形態によれば、電力検知器726は、電流増幅器7261を備えることにより、第1入力端子7212に入力される電力と、第2入力端子7252に入力される電力とに差がある場合に、スイッチ130の接続状態を切り替える。
電力検知器726は、電流増幅器7261のゲインにより設定された所定の値以上の差を検出した場合にのみ、スイッチ130の接続状態を切り替えるため、誤動作を防止することができる。
【0147】
また、上述した実施形態によれば、電力検知器726aは、ゲイン切替器7264を備えることによって、ゲインを切り替えることができる。電力検知器726aがオンである場合と、電力検知器726aがオフである場合とのゲインを切り替えることができる。
電力検知器726aがオフ状態である場合に、電力検知器726aは、ゲインの重みを大きくすることにより、電力検知器726aはオフ状態を維持しやすくなり、誤動作を防止することができる。
電力検知器726aがオン状態である場合に、電力検知器726aは、ゲインの重みを小さくすることにより、オン状態を維持しやすくすることができる。
【0148】
また、上述した実施形態によれば、第1アンテナ740aと第2アンテナ740bとは所定の距離を離して配置される。ラッチモジュール1mは、第1アンテナ740a又は第2アンテナ740bに、発信機70が近づけられることにより、スイッチ130の接続状態を切り替える。
したがって、スイッチ130の接続状態を導通状態にするために発信機70を近づける位置と、スイッチ130の接続状態を非導通状態にするために発信機70を近づける位置とが異なるため、誤動作を防止することができる。
【0149】
[第5の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第5の実施形態について説明する。
まず、第5の実施形態において解決しようとする課題について説明する。
図26は、第5の実施形態において解決しようとする課題について説明するための図である。同図では、
図3において説明したラッチモジュール1bの構成を参照しながら、第5の実施形態において解決しようとする課題について説明する。
制御回路120bは、入力端子121bと、出力端子122bと、電源端子123bとを入出力端子として備える。電源端子123bには電源50から電力が供給され、制御回路120bは、入力端子121bの状態に応じて、出力端子122bを制御する。この場合、電源50の正極端子から制御回路120bに電流I51が流れる。
【0150】
制御回路120bは、検出入力端子1261と、基準入力端子1262と、電圧検出出力端子1263とを入出力端子として備える電力検知器126を含む。電力検知器126は、電源端子123bに供給された電力により制御される。電力検知器126は、検出入力端子1261の電位と、基準入力端子1262の電位とに応じた電位を、電圧検出出力端子1263に出力する。この場合、電圧検出出力端子1263から電流I52が流れる。電流I52は、検出入力端子1261に流れる電流I53と、電力変換回路110に流れる電流I54とに分岐する。ここで、電力変換回路110に流れる電流I54は、不要な電流であるため、本実施形態では、電流I54を低減することを目的とする。なお、以後の説明において、電流I54を逆電流と記載する場合がある。
【0151】
図27は、第5の実施形態におけるラッチモジュール1pの構成の一例を示す図である。ラッチモジュール1pは、
図3において説明したラッチモジュール1bの変形例である。ラッチモジュール1pは、電力変換回路110に代えて電力変換回路860を備える点においてラッチモジュール1bとは異なる。ラッチモジュール1pの説明においてラッチモジュール1bと同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0152】
電力変換回路860は、電力入力端子861を入力端子として、直流電力出力端子862を出力端子として備える。電力入力端子861には、アンテナ140が受信する電波が入力される。電力変換回路860は、アンテナ140が受信する電波により得られる電力を直流電力に変換し、出力する。直流電力出力端子862は、電力変換回路860が変換した直流電力を出力する。
【0153】
電力変換回路860は、コンデンサ(第1のコンデンサ)C41と、ダイオード(第4のダイオード)D41と、コンデンサ(第2のコンデンサ)C42と、ダイオード(第5のダイオード)D42と、逆電流低減手段863とを備える。
コンデンサC41は、第1電極C41aと、第2端子C41bとを備える。コンデンサC41の第1電極C41aは、電力入力端子861に接続され、第2電極C41bは、ダイオードD41のカソードとダイオードD42のアノードの接続点に接続される。ダイオードD41は、アノードが接地点TGに接続され、カソードがコンデンサC41の第2電極C41bに接続される。コンデンサC42は、第1電極C42aと、第2電極C42bとを備える。コンデンサC42の第1電極C42aは、逆電流低減手段863の第1端子8631に接続され、第2電極C42bは、接地点TGに接続される。ダイオードD42のアノードは、コンデンサC41を介して電力入力端子861に接続される。また、ダイオードD42のカソードは、コンデンサC42の第1電極C42aに接続される。
【0154】
逆電流低減手段863は、入力端子8631と出力端子8632とを備える。逆電流低減手段863は、入力端子8631から出力端子8632へは電流を流すが、出力端子8632から入力端子8631へは電流を流さない。すなわち、逆電流低減手段863は、電力入力端子861に入力された電力が変換された直流電力を直流電力出力端子862に供給し、直流電力出力端子862から電力変換回路860へ流れる電流を抑止する。したがって、逆電流低減手段863は、電源50の正極端子から制御回路120b及び電力変換回路860を介して電源50の負極端子に流れる電流を抑止することができる。
【0155】
一例として、逆電流低減手段863は、ダイオード(第3のダイオード)D43を含む。電力入力端子861に入力された電力が変換された直流電力は、ダイオードD43を順方向に流れることにより直流電力出力端子862に供給される。ダイオードD43は、例えば、逆電流が小さい周波用ショットキーバリアダイオードであってもよい。
【0156】
図28は、第5の実施形態における電力変換回路の第1の変形例を示す図である。同図を参照しながら電力変換回路870について説明する。電力変換回路870は、電力変換回路860の変形例である。ラッチモジュール1qの説明において、ラッチモジュール1pと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。ラッチモジュール1qは、電力変換回路860に代えて、電力変換回路870を備える点において、ラッチモジュール1pとは異なる。
【0157】
電力変換回路870は、電力変換回路860におけるコンデンサC41に代えてコンデンサC51を、ダイオードD41に代えてダイオードD51を、コンデンサC42に代えてコンデンサC52を、ダイオードD42に代えてダイオードD52を備える。
本実施形態においては、ダイオードD52が逆電流低減手段873としての機能を有する。ダイオードD52は、例えば、逆電流が小さい高周波用ショットキーバリアダイオードであってもよい。
【0158】
図29は、第5の実施形態における電力変換回路の第2の変形例を示す図である。同図を参照しながら電力変換回路880について説明する。電力変換回路880は、電力変換回路860の変形例である。ラッチモジュール1rの説明において、ラッチモジュール1pと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。ラッチモジュール1rは、電力変換回路860に代えて、電力変換回路880を備える点において、ラッチモジュール1pとは異なる。
【0159】
電力変換回路880は、電力変換回路870におけるコンデンサC41に代えてコンデンサC61を、ダイオードD41に代えてダイオードD61を、コンデンサC42に代えてコンデンサC62を、ダイオードD42に代えてダイオードD62を備える。
本実施形態においては、ダイオードD61が逆電流低減手段873としての機能を有する。ダイオードD61は、例えば、逆電流が小さい高周波用ショットキーバリアダイオードであってもよい。
【0160】
図30は、第5の実施形態における電力変換回路の第3の変形例を示す図である。同図を参照しながら電力変換回路890について説明する。電力変換回路890は、電力変換回路860の変形例である。ラッチモジュール1sの説明において、ラッチモジュール1pと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。ラッチモジュール1sは、電力変換回路860に代えて、電力変換回路890を備える点において、ラッチモジュール1pとは異なる。
【0161】
電力変換回路890は、電力変換回路870におけるコンデンサC41に代えてコンデンサC71を、ダイオードD41に代えてダイオードD71を、コンデンサC42に代えてコンデンサC72を、ダイオードD42に代えてダイオードD72を備える。
本実施形態においては、逆電流低減手段893は、トランジスタQ11を含む。トランジスタQ11は、例えば、nチャネル型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)であってもよい。トランジスタQ11がnチャネル型MOSFETである場合、ゲート-ソース間を短絡することにより、トランジスタQ11はダイオードとして機能する。トランジスタQ11のソースは逆電流低減手段893の入力端子8931に接続され、トランジスタQ11のドレインは逆電流低減手段893の出力端子8932に接続される。
【0162】
図31は、第5の実施形態における電力変換回路の第4の変形例を示す図である。同図を参照しながら電力変換回路890Aについて説明する。電力変換回路890Aは、電力変換回路890の変形例である。ラッチモジュール1tの説明において、ラッチモジュール1sと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。ラッチモジュール1tは、電力変換回路890に代えて、電力変換回路890Aを備える点において、ラッチモジュール1sとは異なる。
【0163】
電力変換回路890Aは、逆電流低減手段893に代えて逆電流低減手段893Aを備える点において、電力変換回路890とは異なる。電力変換回路890Aの説明において、電力変換回路890と同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
逆電流低減手段893Aは、トランジスタQ12を含む。トランジスタQ12は、例えば、pチャネル型MOSFETであってもよい。トランジスタQ12がpチャネル型MOSFETである場合、ゲート-ソース間を短絡することにより、トランジスタQ12はダイオードとして機能する。トランジスタQ12のソースは逆電流低減手段893Aの出力端子8932Aに接続され、トランジスタQ12のドレインは逆電流低減手段893Aの入力端子8931Aに接続される。
【0164】
図32は、第5の実施形態における電力変換回路の第
5の変形例を示す図である。同図を参照しながら電力変換回路890Bについて説明する。電力変換回路890Bは、電力変換回路890の変形例である。ラッチモジュール1uの説明において、ラッチモジュール1sと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。ラッチモジュール1uは、電力変換回路890に代えて、電力変換回路890Bを備える点において、ラッチモジュール1sとは異なる。
【0165】
電力変換回路890Bは、逆電流低減手段893に代えて逆電流低減手段893Bを備える点において、電力変換回路890とは異なる。電力変換回路890Bの説明において、電力変換回路890と同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
逆電流低減手段893Bは、トランジスタQ13と、インバータINVとを含む。トランジスタQ13は、例えば、nチャネル型MOSFETであってもよい。本実施形態においては、電力検知器126が備える電圧検出出力端子1263の状態に応じてトランジスタQ13のゲートを制御することにより、トランジスタQ13の導通状態を制御する。トランジスタQ13がnチャネル型MOSFETである場合、トランジスタQ13のゲートを、インバータINVを介して電圧検出出力端子1263に接続する。
制御回路120bがスイッチ130を導通状態に制御した場合(電圧検出出力端子1263がハイレベルを出力した場合)、インバータINVはローレベルを出力し、トランジスタQ13は非導通状態に制御され、電流を流さない。トランジスタQ13は電流を流さないため、抵抗124b、ダイオードD72及びダイオードD71を介して接地点TGに流れる逆電流が抑止される。このとき、制御回路120bの入力端子1261に入力される電圧は抵抗124bにより、ハイレベルに維持されるため、直流電力出力端子892Aからの電力の供給に依存せず、スイッチ130の導通状態は維持される。
制御回路120bがスイッチ130を非導通状態に制御した場合(電圧検出出力端子1263がローレベルを出力した場合)、インバータINVはハイレベルを出力し、トランジスタQ13は導通状態に制御され、電流を流す。電圧検出出力端子1263はローレベルのため、抵抗124b、ダイオードD72及びダイオードD71を介して接地点TGには電流は流れない。このとき、トランジスタQ13は導通状態に制御されているため、電力変換回路890Bと制御回路120bとの間の電流の流れを妨げず、次のオン状態に備えることができる。
すなわち、逆電流低減手段893Bは、制御回路120bがスイッチ130の接続状態を導通状態に制御した場合に、直流電力出力端子892Bから電力変換回路890Bへ流れる電流を抑止し、制御回路120bがスイッチ130の接続状態を非導通状態に制御した場合に、電力入力端子891Bに入力された電力が変換された直流電力を直流電力出力端子892Bに供給する。
【0166】
図33は、第5の実施形態における電力変換回路の第
6の変形例を示す図である。同図を参照しながら電力変換回路890Cについて説明する。電力変換回路890Cは、電力変換回路890Bの変形例である。ラッチモジュール1vの説明において、ラッチモジュール1uと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。ラッチモジュール1vは、電力変換回路890Bに代えて、電力変換回路890Cを備える点において、ラッチモジュール1uとは異なる。
【0167】
電力変換回路890Cは、逆電流低減手段893Bに代えて逆電流低減手段893Cを備える点において、電力変換回路890Bとは異なる。電力変換回路890Cの説明において、電力変換回路890Bと同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
逆電流低減手段893Cは、トランジスタQ14を含む。トランジスタQ14は、例えば、pチャネル型MOSFETであってもよい。本実施形態においては、電力検知器126が備える電圧検出出力端子1263の状態に応じてトランジスタQ14のゲートを制御することにより、トランジスタQ14の導通状態を制御する。トランジスタQ14がpチャネル型MOSFETである場合、トランジスタQ14のゲートを、電圧検出出力端子1263に接続する。
制御回路120bがスイッチ130を導通状態に制御した場合(電圧検出出力端子1263がハイレベルを出力した場合)、トランジスタQ14は非導通状態に制御され、電流を流さない。トランジスタQ14は電流を流さないため、抵抗124b、ダイオードD72及びダイオードD71を介して接地点TGに流れる逆電流が抑止される。このとき、制御回路120bの入力端子1261に入力される電圧は抵抗124bにより、ハイレベルに維持されるため、直流電力出力端子892Cからの電力の供給に依存せず、スイッチ130の導通状態は維持される。
制御回路120bがスイッチ130を非導通状態に制御した場合(電圧検出出力端子1263がローレベルを出力した場合)、トランジスタQ14は導通状態に制御され、電流を流す。電圧検出出力端子1263はローレベルのため、抵抗124b、ダイオードD72及びダイオードD71を介して接地点TGには電流は流れない。このとき、トランジスタQ14は導通状態に制御されているため、電力変換回路890Cと制御回路120bとの間の電流の流れを妨げず、次のオン状態に備えることができる。
すなわち、逆電流低減手段893Cは、制御回路120bがスイッチ130の接続状態を導通状態に制御した場合に、直流電力出力端子892Cから電力変換回路890Cへ流れる電流を抑止し、制御回路120bがスイッチ130の接続状態を非導通状態に制御した場合に、電力入力端子891Cに入力された電力が変換された直流電力を直流電力出力端子892Cに供給する。
電力変換回路890Cの構成を用いることにより、電力変換回路890Bの構成に比べ、インバータINVを省略することができるため、少ない素子により回路を構成することができる。
【0168】
[第5の実施形態の効果のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、ラッチモジュール1pにおいて、電力変換回路860は、逆電流低減手段863を備える。逆電流低減手段863は、電源50の正極端子から制御回路120b及び電力変換回路860を介して電源50の負極端子に流れる電流を抑止する。したがって、本実施形態によれば、消費電力を低減することができる。たとえば、逆電流低減手段863を備えない場合において、電源50の正極端子から制御回路120b及び電力変換回路860を介して電源50の負極端子に流れる電流は100nA(ナノアンペア)程度であるのに対し、逆電流低減手段863を備えることにより8nA程度に低減することができる。
また、本実施形態によれば、電源50の消費電力を抑止することができるため、電源50の電池寿命を延ばすことができる。
【0169】
また、上述した実施形態によれば、逆電流低減手段863は、電力入力端子861に入力された電力が変換された直流電力を、直流電力出力端子862に供給する。また、逆電流低減手段863は、直流電力出力端子862から電力変換回路860へ流れる電流を抑止する。したがって、逆電流低減手段863は、整流回路に影響を与えることなく、逆電流を抑止することができる。
ここで、整流回路に用いられるダイオードは、小さな電力であっても検知できるように、電圧降下が低く、リカバリーが早いショットキーバリアダイオードが用いられることが好ましい。本実施形態によれば、整流回路に影響を与えることがないので、アンテナ140が受信した電力が小さい場合であっても、検知することができる。
【0170】
また、上述した実施形態によれば、逆電流低減手段863とは、高周波用ショットキーバリアダイオードであってもよい。高周波用ショットキーバリアダイオードは、逆電流が小さいものがのぞましい。したがって、高周波用ショットキーバリアダイオードを逆電流低減手段863として採用することにより、逆電流を抑止することができる。
【0171】
また、上述した実施形態によれば、ラッチモジュール1qにおいて、電力変換回路870は、逆電流低減手段873を有する。逆電流低減手段873は、直流電力出力端子872からダイオード(第4のダイオード)D51を介して接地点に流れる電流を抑止する。したがって、本実施形態によれば、逆電流を抑止し、消費電力を低減することができる。
また、上述した実施形態によれば、ラッチモジュール1qにおいて、電力変換回路870は、逆電流低減手段873として新たな素子を追加することを要せず、逆電流を抑止することができる。したがって、本実施形態によれば、回路を小さくすることができ、コストを削減することができる。
【0172】
また、上述した実施形態によれば、ラッチモジュール1qにおいて、逆電流低減手段873は、ダイオード(第5のダイオード)D52を含む。したがって、本実施形態によれば、逆電流低減手段873として新たな素子を追加することを要せず、逆電流を抑止することができる。したがって、本実施形態によれば、回路を小さくすることができ、コストを削減することができる。
【0173】
また、上述した実施形態によれば、ラッチモジュール1rにおいて、逆電流低減手段883は、ダイオード(第4のダイオード)D61を含む。したがって、本実施形態によれば、逆電流低減手段883として新たな素子を追加することを要せず、逆電流を抑止することができる。したがって、本実施形態によれば、回路を小さくすることができ、コストを削減することができる。
【0174】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。また、この発明の実施形態では、アンテナが受信した電波による電力に応じた電流から動作を説明したが、アンテナが受信した電波による電力に応じた電圧からでも動作を説明してもよい。
【符号の説明】
【0175】
100…ラッチシステム
1…ラッチモジュール
70…発信機
71…電波
10…ラッチ回路
50…電源
60…負荷
80…筐体
110…電力変換回路
111…電力入力端子
112…直流電力出力端子
113…RF-DC変換回路
114…昇圧回路
120…制御回路
121…入力端子
122…出力端子
123…電源端子
126…電力検知器
127…フリップフロップ
Q1、Q2、Q3、Q4…トランジスタ
D1、D2…ダイオード
130…スイッチ
140…アンテナ
TG…接地点
240…第1アンテナ
340…第2アンテナ
210…第1電力変換回路
310…第2電力変換回路
211…第1電力入力端子
212…第1直流電力出力端子
311…第2電力入力端子
312…第2直流電力出力端子
220…制御回路
221…第1入力端子
222…出力端子
225…第2入力端子
224…抵抗
226…電力検知器
227…フリップフロップ
500…電界型アンテナ
600…磁界型アンテナ
T1、T2、T3…送信点