(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】自動改札機
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20241007BHJP
G06K 13/063 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G07B15/00 H
G06K13/063 C
(21)【出願番号】P 2020212644
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星出 剛志
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-062100(JP,U)
【文献】特開2004-133851(JP,A)
【文献】実開昭55-112767(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
券を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記券の幅方向の一端の搬送位置を規制する規制部と、
前記規制部から前記券の幅の距離離れて位置すると共に、前記券の幅方向に移動可能なガイドと、
前記規制部と前記ガイドとの間を前記搬送部により搬送される前記券の券詰まりを検出する検出部と、
を備え、
前記検出部により前記券詰まりを検出した場合、前記ガイドを予め定められた規定時間まで前記券の幅方向に振動させる、
自動改札機。
【請求項2】
前記券は、第1幅の第1券と、前記第1幅より広い第2幅の第2券とを有し、
前記ガイドは、前記第1券が搬送されるときは前記規制部から前記第1幅の第1位置に位置し、前記第2券が搬送されるときは前記規制部から前記第2幅の第2位置に位置する、
請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
前記ガイドは、ソレノイドと一体的に構成されており、
前記ソレノイドに対して、電圧が印加されない場合、前記ガイドは前記第1位置に位置し、前記電圧が所定時間印加された場合、前記ガイドは前記第2位置に位置する、
請求項2に記載の自動改札機。
【請求項4】
前記ソレノイドに対して前記電圧の印加をする第1時間と、前記電圧を印加しない第2時間とを前記規定時間まで繰り返すことにより前記ガイドの振動が行われ、
請求項3に記載の自動改札機。
【請求項5】
前記ガイドの振動は、前記第1位置と、前記第2位置との間で行われる、
請求項4に記載の自動改札機。
【請求項6】
前記第1時間は、前記
第1券の前記第1幅の30分の1以下の距離だけ前記ガイドが移動する時間である、
請求項4に記載の自動改札機。
【請求項7】
前記第2時間は、前記第1時間より長い時間である、
請求項6に記載の自動改札機。
【請求項8】
前記自動改札機は、
前記第1券、又は前記第2券が投入される投入部と、
前記投入部により投入された前記第1券、又は前記第2券を前記規制部に沿って整列する整列部と、
前記整列部により整列された前記第1券、又は前記第2券の磁気処理を行う磁気処理部と、
を前記投入部から下流側に向かって前記整列部、及び前記磁気処理部の順で含み、
前記整列部は、前記搬送部、前記規制部、前記ガイド、及び前記第1券を検出する第1検出部を含み、
前記磁気処理部は、前記整列部側に前記第1券を検出する第2検出部を有し、
前記検出部は、前記第1検出部で前記第1券を検出した後、所定時間経過しても前記第2検出部で前記第1券を検出しない場合、前記券詰まりを検出する、
請求項2に記載の自動改札機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
券類処理装置において、2種類の券類を搬送する場合、ガイドを第1位置と、第2位置とに移動させることにより、それぞれの券類を整列させて搬送する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動改札機は搬送する券を整列させる整列部を有しており、当該整列部はガイドにより券を整列させる。このガイドの位置は、搬送時に券の幅の一端を規制する規制部材から規格の券の幅となるように調整されている。このガイドの位置の幅を券の幅より広くなるように調整すると、券が通過する際に券の姿勢が崩れて搬送され、下流側の処理部で券の向きが傾いて処理ができなくなり、又は券詰まりが生じるといった弊害が生じる。一方、ガイドの位置を券の幅に一致するように調整すると、券の幅が規格より若干大きい券の場合、規制部材とガイドとで挟まれてしまい、券詰まりが発生する。
【0005】
券詰まりが発生した場合、作業員が整列部の筐体を開いて、手作業で券を取り除くことが想定される。その際、券がとりづらい(または視認できない位置にある)場合、一般に、筐体を開いて状態では、安全のためモータの駆動は停止されるようになっているため、作業員が券を取りやすいところまでベルトを手動で回して、券を取り除くことが行われる。また、自動改札機の初期化動作を行うことも想定される。この場合、一般に筐体を開いた状態でモータを回すと巻き込み等の危険性があるため、筐体を閉じた状態で、作業員の手動ではなく、モータを駆動し、自動的に券を排出し、券詰まり状態を解除する。初期化動作を行う場合、券が傾いている状態でモータを駆動することで、搬送路の想定外のところを券が通過して券を見失う事態、券を排出できなくなる事態、または、券詰まりとなる事態が生じる可能性もあり、このような事態が生じるとさらに券を取り除く作業時間が長くなる。
上記のように、自動改札機において、券詰まりが発生すると、券詰まりを解消する措置を取らなければならなくなり、ユーザが自動改札機を利用できない時間が長くなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、スムーズに券を搬送させることができる自動改札機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る、自動改札機は、券を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記券の幅方向の一端の搬送位置を規制する規制部と、前記規制部から前記券の幅の距離離れて位置すると共に、前記券の幅方向に移動可能なガイドと、前記規制部と前記ガイドとの間を前記搬送部により搬送される前記券の券詰まりを検出する検出部と、を備える。また、自動改札機は、前記検出部により前記券詰まりを検出した場合、前記ガイドを予め定められた規定時間まで前記券の幅方向に振動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る自動改札機の断面の構成の一例を示す図。
【
図3】同実施形態に係る第1券のサイズの一例を示す図。
【
図4】同実施形態に係る第2券のサイズの一例を示す図。
【
図5】同実施形態に係る整列部を上側から見た一例を示す模式図。
【
図6】同実施形態に係る回転ローラ及びガイドが第1位置に位置した場合の一例を示す図。
【
図7】同実施形態に係る回転ローラ及びガイドが第2位置に位置した場合の一例を示す図。
【
図8】同実施形態に係る自動改札機の制御構成の一例を示す図。
【
図10】同実施形態に係る券詰まりの解消処理の一例を示すフローチャート。
【
図11】同実施形態に係る通電制御の一例を示す図。
【
図12】同実施形態に係る券詰まりを解消する通電制御を行った場合の作用の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0010】
図1は、自動改札機の断面の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、自動改札機1は、分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40、及び放出・集札部50を有している。分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40、及び放出・集札部50は、それぞれ乗車券を搬送する搬送ベルト、及び搬送ベルトを駆動するローラ等を有している。自動改札機1は、分離部10に設けられた投入口ENに挿入された乗車券が分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40、及び放出・集札部50を搬送され、放出・集札部50に設けられた放出口EXから放出されるように構成されている。
【0011】
分離部10は、投入口ENに複数枚の券が同時に投入された場合に、各券に分離し、券を一枚ずつ整列部20に搬送する。整列部20は、分離部10から搬送される券の搬送方向、及び位置を整列させ、磁気処理部30に券を搬送する。また、整列部20は、券を搬送する、搬送部である搬送ベルトB1,B2を有しており、搬送ベルトB1の下側には、後述する回転ローラ22及びガイド23を動作させるソレノイド21が設けられている。磁気処理部30は、整列部20から搬送される券に対して、磁気処理を行う。例えば、磁気情報部は、駅構内に入場するユーザが自動改札機1を利用する際には、入場駅、入場時刻等の情報を券に記録する。磁気処理部30は、磁気処理した乗車券をパンチ・印刷部40に搬送する。パンチ・印刷部40は、磁気処理部30から搬送される券に自動改札機1を通過した印を示す穴をパンチによりあけると共に、券面に必要な情報を印刷する。パンチ・印刷部40は、パンチ処理、及び印刷処理をした券を放出・集札部50に搬送する。放出・集札部50は、パンチ・印刷部40から搬送される券を放出口EXから放出する。この際、券が複数枚、例えば、2枚同時に投入口ENに投入され、分離部10で分離され順次、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40を搬送される場合は、放出・集札部50で集札した後、2枚の乗車券を放出口EXから2枚同時に放出する。
【0012】
本実施形態は、自動改札機1の整列部20が券を整列させる技術に係るものであるため、以下では、整列部20の構成、及び処理について詳細に説明する。また、本実施形態の自動改札機1は、第1券TK1、及び第2券TK2の2種類の券を利用可能に構成される。
【0013】
ここで、第1券TK1は、一般的に、エドモンソン券と称される乗車券であり、主に小額の乗車券に利用される乗車券である。第2券TK2は、高額の乗車券、特急券等である。第1券TK1と、第2券TK2とは、図示省略の券売機において、同一のロール紙からカットされ、所定の情報が印刷されると共に磁気により所定の情報が記録されて発券される。
図2は、ロール紙の一例を示す図である。
図2に示すように、ロール紙の幅は第2幅W2である。このロール紙を第1幅W1で裁断すると、
図3に示すように、第1券TK1になり、第3幅W3で裁断すると、
図4に示すように、第2券TK2になる。自動改札機1は、このように券売機で発券される第1券TK1、及び第2券TK2を処理することが可能に構成される。なお、投入口ENの幅の広さは、券を投入しやすいように第2幅W2より若干広くなっている。
【0014】
図5は、整列部20を上側から見た一例を示す模式図である。
図5に示すように、整列部20の上流側は分離部10と機械的に接続され、下流側は磁気処理部30と機械的に接続されている。整列部20は、規制部である規制部材R、搬送ベルトB1、センサS1,S2,S3、回転ローラ22、及びガイド23を有している。また、磁気処理部30は、整列部20側にセンサS4を有している。
【0015】
規制部材Rは、整列部20の一端部(本実施形態では、図示の上側)には、券の搬送位置を規制するように搬送方向に直線状、かつ、券の搬送面に対して上側に起立して設けられる。搬送ベルトB1,B2で搬送される券は、その長手方向の一端が規制部材Rに沿うように搬送されることにより、搬送位置が規制される。なお、本実施形態では、規制部材Rは、整列部20だけでなく分離部10、及び磁気処理部30にわたって設けられているが、少なくとも整列部20に設けられていればよい。
【0016】
搬送ベルトB1は、整列部20内で券を搬送する搬送ベルトであり、規制部材Rに対してθ℃(所定角度)傾けて設けられる。回転ローラ22及びガイド23は、一体的に構成されており、ソレノイド21により整列部20の幅方向に移動可能に構成される。
図5においては、2種類の券のうち第1券TK1が搬送される場合の回転ローラ22及びガイド23の位置を示している。通常、回転ローラ22及びガイド23はこの状態に位置しており、第2券TK2が搬送される場合に、回転ローラ22及びガイド23は、搬送路の幅方向(図示の下側)に移動するようになっている。
【0017】
センサS1,S2,S3は、例えば、透過型のセンサであり、券の通過の有無を検出する。センサS1,S2は搬送ベルトB1と、規制部材Rとの間に、上流側からこの順に所定間隔をあけて設けられる。センサS3は、搬送ベルトB1の図示下側、かつ、分離部10側に設けられる。投入口ENから投入される券は、本実施形態では、第1券TK1、及び第2券TK2の2種類あるが、センサS1~S3の検出状態に基づいて、第1券TK1か、第2券TK2かを判定することが可能になる。
【0018】
回転ローラ22及びガイド23は、既述のように、第1券TK1を整列させる第1位置P1と、第2券TK2を整列させる第2位置P2とに移動可能に構成される。回転ローラ22は、図示左回りで回転するローラである。ガイド23は、券が規制部材Rに規制される搬送位置で進行するようにガイドするガイド部材である。
図6は、回転ローラ22及びガイド23が第1位置P1に位置した場合の一例を示す図である。
図7は、回転ローラ22及びガイド23が第2位置P2に位置した場合の一例を示す図である。
【0019】
図6に示すように、回転ローラ22及びガイド23は、第1券TK1の第1幅W1と略一致する第1位置P1に位置している。一方、
図7に示すように、回転ローラ22及びガイド23は、第2券TK2の第2幅W2とほぼ一致する第2位置P2に位置している。このように、回転ローラ22及びガイド23は、後述するソレノイド21の動作により、第1位置P1と、第2位置P2との間を移動可能に構成される。
【0020】
以上のように構成された自動改札機1において、投入口ENから規制部材Rに沿うように第1券TK1が投入された場合、規制部材Rに沿うように、分離部10を介して、整列部20に搬送される。このときソレノイド21が動作せず、回転ローラ22及びガイド23は第1位置P1に位置する。このため、第1券TK1は規制部材Rとガイド23との間に搬送され、そのまま規制部材Rとガイド23とに挟まれることにより整列された後、磁気処理部30に搬送される。
【0021】
また、投入口ENから規制部材Rの反対側に第1券TK1が投入された場合、搬送ベルトB1,B2の搬送方向が規制部材Rに対してθ度傾けられているため、第1券TK1は、搬送方向が規制部材R側へ徐々に変更される。そして、第1位置P1に位置している回転ローラ22の左回りの回転により、第1券TK1の搬送方向は、規制部材R側へ、かつ、搬送ベルトB1の搬送方向に沿うように、さらに変更される。そして、第1券TK1が第1位置P1に位置するガイド23と規制部材Rとの間に搬送される。第1券TK1は、規制部材Rとガイド23とに挟まれることにより整列された後、磁気処理部30に搬送される。
【0022】
また、自動改札機1において、投入口ENから規制部材R側に沿って第2券TK2が搬送される場合、規制部材Rに沿うように、分離部10を介して、整列部20に搬送される。このときソレノイド21が動作することにより回転ローラ22及びガイド23は第2位置P2に位置する。このため、第2券TK2は、規制部材Rとガイド23との間に搬送され、そのまま規制部材Rとガイド23とに挟まれることにより整列された後、磁気処理部30に搬送される。
【0023】
また、投入口ENから規制部材Rの反対側に第2券TK2が投入された場合、搬送ベルトB1,B2の搬送方向が規制部材Rに対してθ度傾けられているため、第2券TK2は、搬送方向が規制部材R側へ徐々に変更される。そして、第2位置P2に位置している回転ローラ22の左回りの回転により、第2券TK2の搬送方向は、規制部材R側へ、かつ、搬送ベルトB1の搬送方向に沿うように、さらに変更される。そして、第2券TK2が第2位置P2に位置するガイド23と規制部材Rとの間に搬送される。第2券TK2は、規制部材Rとガイド23とに挟まれることにより整列された後、磁気処理部30に搬送される。
【0024】
以上のように第1券TK1、及び第2券TK2いずれの券がどのように分離部10の投入口ENから搬送された場合でも、搬送ベルトB1,B2、回転ローラ22、及びガイド23により、規制部材Rに沿って第1券TK1、又は第2券TK2が整列され、第1券TK1、又は第2券TK2は整列されて磁気処理部30に搬送される。
【0025】
次に、自動改札機1の制御構成について説明する。
図8は、自動改札機1の制御構成の一例を示す図である。本実施形態では、整列部20で券を整列させる制御構成について詳細に説明する。
【0026】
自動改札機1は、主制御部100、搬送制御部101、第1搬送部110、第2搬送部120、第3搬送部130、第4搬送部140、及び第5搬送部150を有する。主制御部100は、自動改札機1全体を制御する。例えば、券の分離処理、磁気処理、パンチ・印刷処理、集札処理等を実行する。搬送制御部101は、主制御部100の制御の下で投入口ENに投入された券が放出口EXから放出されるまでの券の搬送処理を制御する。第1搬送部110、第4搬送部140、及び第5搬送部150は、分離部10、パンチ・印刷部40、及び放出・集札部50でそれぞれ券を搬送する搬送装置であり、第1搬送部110、第4搬送部140、及び第5搬送部150はローラ、及びベルト等を有し、搬送制御部101の下で券を搬送する。
【0027】
第2搬送部120は、整列部20内で券を搬送する搬送部である。第2搬送部120は、ローラ制御部121、ローラ部122、ソレノイド制御部123、ローラ制御部124、ソレノイド21、及びセンサ部125を有する。ローラ制御部121は、ローラ部122の駆動を制御する。ローラ部122は、既述の搬送ベルトB1,B2をそれぞれ巻き付けた複数のローラを有しており、当該ローラを回転駆動することにより、搬送ベルトB1,B2を動作させ、券を搬送させる。ソレノイド制御部123は、ソレノイド21に対して通電制御を実行することにより、ソレノイド21の動作を制御する。ソレノイド21には、回転ローラ22及びガイド23が一体的に設けられている。ソレノイド制御部123がソレノイドに21通電しない場合、ソレノイド21は動作せず、回転ローラ22及びガイド23を第1位置P1に位置する。また、ソレノイド制御部123がソレノイド21に所定電圧を所定時間通電する場合、ソレノイド21が動作することにより、回転ローラ22及びガイド23を第2位置P2に位置する。この通電制御についての詳細は後述する。ローラ制御部124は、回転ローラ22の回転を制御する。センサ部125は、センサS1~S3を含み、各センサS1~S3が設置された位置での券の通過の有無を検出する。
【0028】
第3搬送部130は、磁気処理部30内で券を搬送する搬送部である。第3搬送部130は、ローラ制御部131、ローラ部132、及びセンサS4を備えている。ローラ制御部は、回転ローラ22の駆動を制御する。回転ローラ22は、搬送ベルトをそれぞれ巻き付けたローラを有しており、当該ローラを駆動することにより、搬送ベルトを動作させ、券を搬送させる。センサS4は、既述したように、整列部20側に設けられ、券の通過の有無を検出する。これにより、整列部20から磁気処理部30に搬送されたか否か
が、例えば、ON/OFF信号に基づいて検出される。
【0029】
次に、ソレノイド21の通電制御について説明する。
図9は、ソレノイド21、言い換えれば、回転ローラ22、及びガイド23を第1位置P1から第2位置P2に移動させる場合の通電制御の一例を示す図である。
図9に示すように、時間T1になるまで電圧が印加されていない。この場合、ソレノイド21は、第1位置P1に位置する。一方、時間T1から所定電圧である電圧V1が印加される。これにより、ソレノイド21が規制部材Rの逆方向に移動し、回転ローラ22、及びガイド23の第1位置P1からの移動が開始される。この電圧V1の印加が所定時間継続すると、ソレノイド21の移動は完了し、回転ローラ22、及びガイド23は、第2位置P2に位置される。所定時間は、ソレノイド21の構成や電圧V1の大きさにより異なる。
【0030】
ところで、第1券TK1が整列部20に搬送される場合、第1券TK1の幅が第1幅W1より若干大きい場合も生じ得る。例えば、券売機がロール紙ROから第1券TK1をカットするときに、若干幅を大きくカットしてしまう場合である。既述したように、第1券TK1が搬送される場合、回転ローラ22、及びガイド23は、第1位置P1に位置しており、規制部材Rと、ガイド23との間に第1券TK1が搬送され、第1券TK1が整列される。しかしながら、第1券TK1の幅が第1幅W1より大きい場合、規制部材Rと、ガイド23との間に第1券TK1が挟まり、第1券TK1の券詰まりが発生してしまう場合がある。ここで、このような事態を回避するためにガイド23の位置を若干広げるように予め調整すると、第1券TK1の券詰まりは解消できるものの幅が広くなるため幅方向に第1券TK1の姿勢が崩れる場合がある。このような事態が生じると、磁気処理部30に正しい姿勢で第1券TK1を搬送することができなくなる。このため、第1券TK1の券詰まりを検出した場合、本実施形態では、以下の処理を実行する。なお、第2券TK2の場合、ロール紙ROからカットする際に搬送方向の長さが若干長くなることがあっても、第2券TK2の第2幅W2は、ロール紙ROの第2幅W2であるため、第2券TK2が規制部材Rと、ガイド23との間に挟まれることにより、券詰まりを生じる可能性は少ない。
【0031】
図10は、第1券TK1の券詰まりを検出した場合に、搬送制御部101が実行する券詰まりの解消処理の一例を示すフローチャートである。当該処理は、搬送制御部101により実行される。また、
図11は、搬送制御部101による第1券TK1の券詰まりを解消する通電制御の一例を示す図である。
図11に示すように、搬送制御部101がソレノイド制御部123に対して、時間t3が経過するまで、時間t1の電圧V1の印加、及び時間t2の電圧V1の印加停止を繰り返すように通電制御を行う一例が示されている。以下、
図10、及び
図11を参照しながら搬送制御部101が実行する処理について詳細に説明する。
【0032】
まず、搬送制御部101は、第1券TK1の券詰まりを検出したか否かを判定する(ST101)。例えば、搬送制御部101は、整列部20内のセンサS1~S1の検出結果に基づいて第1券TK1が整列部20に搬送されたことを検出した後、所定時間経過後に、磁気処理部30内のセンサS4が第1券TK1を検出しない場合、第1券TK1が券詰まりしたと判定する。本実施形態では、センサS1~S4により検出部が構成される。なお、他の技術によって、第1券TKの券詰まりを検出するようにしてもよい。第1券TK1の券詰まりを判定しない場合(ST101:NO)、搬送制御部101は、この処理を終了する。
【0033】
一方、第1券TK1の券詰まりを判定した場合(ST101:YES)、搬送制御部101は、ソレノイド制御部123に指示を送信し、ソレノイド21に時間t1の間、所定電圧である電圧V1を印加させる(ST102)。これにより、ソレノイド21が動作し、ソレノイド21が動作することにより、回転ローラ22、及びガイド23が幅方向(第1位置P1から第2位置P2側)に若干移動し、規制部材Rとガイド23との距離が第1幅W1より若干広がる。ここで、時間t1は、第1券TK1の第1幅W1の30分の1程度の距離だけ規制部材Rとガイド23との距離が広がる時間であることが望ましい。例えば、第1券TK1の第1幅W1が30mmであれば、時間t1は、1mm程度移動する距離に相当する時間であり、本実施形態では、10msである。また、このようにソレノイド21が移動する間も、搬送ベルトB1,B2の第1券TK1を搬送する動作は継続しているため、規制部材Rとガイド23とに若干の広がりができることにより、第1券TK1が少し搬送される。
【0034】
そして、時間t1が経過すると、搬送制御部101は、ソレノイド制御部123に指示を送信し、ソレノイド21に時間t2の間、電圧V1の印加を停止させる(ST103)。これにより、ソレノイド21は、規制部材R方向へ戻る(より具体的には、元の位置に戻る)ため、回転ローラ22、及びガイド23は、第2位置P2から第1位置P1に移動する。ここで、時間t2は、例えば、時間t1の2倍の時間であり、時間t1が10msの場合は、時間t2は20msである、回転ローラ22、及びガイド23が第1位置P1に戻るため、規制部材Rとガイド23との距離も元に戻る。これにより、時間t2のうち時間t1を超える時間の間は、第1券TK1が規制部材Rとガイド23との間に挟まれるため、第1券TK1の姿勢が正される。
【0035】
次に、時間t2が経過すると、搬送制御部101は、規定時間である時間t3経過したか否かを判定する(ST104)。ここで、時間t3は、予め定め規定しておくことができ、例えば、時間t1が10ms、時間t2が20msの場合、500msである。時間t3が経過したと判定した場合(ST104:YES)、搬送制御部101は、第1券TK1の搬送処理を停止する(ST105)。券詰まりの解消処理を長い時間継続しても券詰まりが解消しない場合もあるため、本実施形態では、時間t3が経過したときは、従来と同様に、例えば、アラートを出力する等の処理を行い、作業員により券詰まりを解消させることとする。このように、券詰まりを解消する処理を実行する時間を制限することにより、当該処理がループすることによって、自動改札機1の停止状態が継続することを防止し、作業員により第1券TK1の券詰まりを解消する作業にスムーズに切り替えることができる。
【0036】
時間t3が経過していないと判定した場合(ST104:NO)、搬送制御部101は、第1券TK1の券詰まりが解消されたか否かを判定する(ST105)。本実施形態では、搬送制御部101は、センサS4が第1券TK1の通過を検出したか否かに基づいて、当該判定を行う。券詰まりが解消したと判定した場合(ST105:YES)、搬送制御部101は、この処理を終了する。
【0037】
搬送制御部101により券詰まりが解消したと判定されない場合(ST105:NO)、処理は、既述のステップST102に戻り、当該ステップST102以降の処理を繰り返す。これにより、搬送制御部101は、時間t1だけ電圧V1を印加した後、時間t2だけ電圧V1の印加を停止する処理を、時間t3が経過するまで、又は、第1券TK1の券詰まりが解消されるまで繰り返す。言い換えると、搬送制御部101は、時間t3が経過するまで、又は、券詰まりが解消されるまで、ガイド23を第1券TK1の幅方向に振動させながら搬送する処理を繰り返す。
【0038】
また、
図12は、券詰まりを解消する通電制御を行った場合の作用の一例を示す図である。
図12の両矢印が示すように、ソレノイド21が第1券TK1の幅方向に往復移動することに連動して、回転ローラ22及びガイド23が第1券TK1の幅方向に振動する。これにより時間t1のときに回転ローラ22及びガイド23が第1位置P1から第2位置P2側に位置するため、第1券TK1の幅方向で規制部材Rとガイド23とにより第1券TK1を挟む力がなくなり、そのタイミングで搬送ベルトB1,B2の動作により第1券TK1がわずかに磁気処理部30側に搬送される。また、時間t2のときに回転ローラ22及びガイド23が第1位置P1に位置することにより、第1券TK1の幅方向で規制部材Rとガイド23とにより第1券TK1を挟む力が強くなり、そのタイミングで第1券TK1の姿勢が正しくされる。このように、第1券TK1の姿勢を維持しつつ少しずつ搬送される動作が時間t3を経過するまで繰り返される。これにより、第1幅W1より若干大きい幅の第1券TK1であっても、正しい姿勢で整列部20から磁気処理部30に搬送される。
【0039】
以上のように構成された自動改札機1は、券を搬送する搬送ベルトB1,B2と、整列部20の端部に設けられ、券の搬送位置を規制する規制部材Rと、規制部材Rから第1券TK1の第1幅W1の距離離れて位置すると共に、前記第1券TK1の幅方向に移動可能なガイド23と、第1券TK1の券詰まりを検出するセンサS1からS4と、を備える。そして、自動改札機1は、第1券TK1の券詰まりを検出した場合、ガイド23を時間t3(予め定められた規定時間)まで、前記搬送路の幅方向に振動させることができる。つまり、第1券TK1の幅方向で挟む力が弱くなり、そのタイミングで搬送ベルトB1,B2の動作により第1券TK1が少し搬送され、この動作が時間t3を経過するまで繰り返される。これにより、第1券TK1の券詰まりを解消することができ、スムーズな第1券TK1の搬送を行うことが可能になる。
【0040】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…自動改札機、10…分離部、20…整列部、21…ソレノイド、22…回転ローラ、23…ガイド、30…磁気処理部、40…パンチ・印刷部、50…放出・集札部、100…主制御部、101…搬送制御部、121…ローラ制御部、122…ローラ部、123…ソレノイド制御部、B1,B2…搬送ベルト、EN…投入口、EX…放出口、P1…第1位置、P2…第2位置、S1~S4…センサ、TK1…第1券、TK2…第2券、W1…第1幅、W2…第2幅