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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】人力駆動車の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20241007BHJP
   B62J 45/412 20200101ALI20241007BHJP
   B62J 45/415 20200101ALI20241007BHJP
   B62J 45/411 20200101ALI20241007BHJP
   B62M 6/50 20100101ALI20241007BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/412
B62J45/415
B62J45/411
B62M6/50
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020217350
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102548
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 充彦
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-172226(JP,A)
【文献】特開2017-13624(JP,A)
【文献】特開2020-55463(JP,A)
【文献】特開2012-40895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0090819(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62J 45/412
B62J 45/415
B62J 45/411
B62M 6/50
B62M 25/08
B62M 6/40
B62M 9/121
B62M 9/131
F16H 59/44
F16H 59/48
F16H 59/66
F16H 61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の制御装置であって、
前記人力駆動車の走行状態、および、前記人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに関する入力情報と、変速条件と、に応じて、前記人力駆動車の変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動車に推進力を付与するモータの制御状態に応じて、前記入力情報を変更するように構成される、人力駆動車の制御装置。
【請求項2】
前記入力情報は、前記人力駆動車の速度、前記人力駆動車のクランクの回転速度、前記人力駆動車のドライブトレインに作用する人力駆動力、前記人力駆動車の傾斜角度、および、前記人力駆動車が走行する走行路の斜度の少なくとも1つに対応する、請求項1に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項3】
前記人力駆動力は、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、および、前記人力駆動車の駆動輪に作用するトルクの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記人力駆動力が予め定める範囲の値の場合、前記モータの前記制御状態に応じて、前記入力情報を変更し、
前記人力駆動力が前記予め定める範囲の値ではない場合、前記入力情報を変更しない、請求項2に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記人力駆動力が予め定める範囲の値の場合、前記モータの前記制御状態に応じて、前記入力情報を変更し、
前記人力駆動力が前記予め定める範囲の値ではない場合、前記入力情報を変更しない、請求項3に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項6】
前記予め定める範囲は、前記人力駆動車のクランクに作用する前記トルクが、40Nm以上の範囲を含む、請求項5に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項7】
前記予め定める範囲は、前記人力駆動車のクランクに作用する前記トルクが、100Nm以下の範囲を含む、請求項5または6に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項8】
前記モータの前記制御状態は、
前記人力駆動車が人力駆動力によって推進している状態において、前記モータが駆動される少なくとも1つのアシスト状態と、
前記人力駆動車が人力駆動力によって推進している前記状態において、前記モータが駆動されない非アシスト状態と、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアシスト状態は、第1アシスト状態および第2アシスト状態を含み、
前記第1アシスト状態および前記第2アシスト状態は、アシストレベルおよびアシスト力の最大値の少なくとも1つが相互に異なり、
前記制御部は、前記第1アシスト状態における前記入力情報と、前記第2アシスト状態における前記入力情報とが異なるように、前記入力情報を変更する、請求項8に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記アシスト状態および前記非アシスト状態の少なくとも1つにおいて、前記入力情報を変更する、請求項8または9に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項11】
前記モータの前記制御状態は、
前記人力駆動車が人力駆動力によって推進している状態において、前記モータが駆動される複数のアシスト状態を含み、
前記複数のアシスト状態は、第1アシスト状態および第2アシスト状態を含み、
前記第1アシスト状態および前記第2アシスト状態は、アシストレベルおよびアシスト力の最大値の少なくとも1つが相互に異なり、
前記制御部は、前記第1アシスト状態における前記入力情報と、前記第2アシスト状態における前記入力情報とが異なるように、前記入力情報を変更する、請求項1~7のいずれか一項に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1アシスト状態および前記第2アシスト状態の少なくとも1つにおいて、前記入力情報を変更する、請求項9または11に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記変速条件を変更可能に構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項14】
前記入力情報は、前記人力駆動車の走行に関して変動する値であるパラメータを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記パラメータの変更量を変更可能に構成される、請求項14に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記モータの前記制御状態に応じて、前記パラメータに予め定める係数を乗算する、請求項14または15に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項17】
人力駆動車の制御装置であって、
前記人力駆動車の速度、前記人力駆動車のクランクの回転速度、および、前記人力駆動車のドライブトレインに作用する人力駆動力の少なくとも1つに対応する入力情報と、変速条件と、に応じて、前記人力駆動車の変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動車の進行方向における加速状態に応じて、前記入力情報を変更するように構成される、人力駆動車の制御装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記人力駆動車の進行方向における加速状態に応じて、前記入力情報を変更する、請求項1~16のいずれか一項に記載の人力駆動車の制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記モータの前記制御状態に応じて前記入力情報を変更する第1モードと、前記モータの前記制御状態に応じて前記入力情報を変更しない第2モードと、を切り替え可能に構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載の人力駆動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車に設けられる変速装置の変速比を自動で選択する制御装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-40895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、モータによって推進力が付与される人力駆動車の快適な走行に貢献できる人力駆動車の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用の制御装置は、前記人力駆動車の走行状態、および、前記人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに関する入力情報と、変速条件と、に応じて、前記人力駆動車の変速装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータの制御状態に応じて、前記入力情報を変更するように構成される。
【0006】
第1側面の人力駆動車の制御装置によれば、制御部は、モータの制御状態に応じて変更される入力情報に基づいて、変速装置を制御できる。入力情報が変更されると、変速装置の変速比を変更するタイミングが変更されるので、人力駆動車の制御装置は、モータによって推進力が付与される人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0007】
第1側面に従う第2側面の人力駆動車の制御装置において、前記入力情報は、前記人力駆動車の速度、前記人力駆動車のクランクの回転速度、前記人力駆動車のドライブトレインに作用する人力駆動力、前記人力駆動車の傾斜角度、および、前記人力駆動車が走行する走行路の斜度の少なくとも1つに対応する。
【0008】
第2側面の人力駆動車の制御装置によれば、制御部は、入力情報の種類にかかわらず、変速装置の変速比を変更するタイミングを、モータの制御状態に応じて変更できる。人力駆動車の速度、人力駆動車のクランクの回転速度、人力駆動車のドライブトレインに作用する人力駆動力、人力駆動車の傾斜角度、および、人力駆動車が走行する走行路の斜度の少なくとも1つを、入力情報として用いることによって、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0009】
第2側面に従う第3側面の人力駆動車の制御装置において、前記人力駆動力は、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、および、前記人力駆動車の駆動輪に作用するトルクの少なくとも1つを含む。
【0010】
第3側面の人力駆動車の制御装置によれば、ライダの負荷に関する情報に応じて変速タイミングが変更される。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0011】
第2側面に従う第4側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力が予め定める範囲の値の場合、前記モータの前記制御状態に応じて、前記入力情報を変更し、前記人力駆動力が前記予め定める範囲の値ではない場合、前記入力情報を変更しない。
【0012】
第4側面の人力駆動車の制御装置によれば、人力駆動力の大きさに応じて、入力情報を変更して制御に用いたり、入力情報を変更しないで制御に用いなかったりすることによって、ライダの負荷に応じて変速のタイミングが変更される。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0013】
第3側面に従う第5側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動力が予め定める範囲の値の場合、前記モータの前記制御状態に応じて、前記入力情報を変更し、前記人力駆動力が前記予め定める範囲の値ではない場合、前記入力情報を変更しない。
【0014】
第5側面の人力駆動車の制御装置によれば、人力駆動力の大きさに応じて、入力情報を変更して制御に用いたり、入力情報を変更しないで制御に用いなかったりすることによって、ライダの負荷に応じて変速のタイミングが変更される。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0015】
第5側面に従う第6側面の人力駆動車の制御装置において、前記予め定める範囲は、前記人力駆動車のクランクに作用する前記トルクが、40Nm以上の範囲を含む。
【0016】
第6側面の人力駆動車の制御装置によれば、人力駆動車のクランクに作用するトルクが比較的大きい場合、制御部は、入力情報を変更する。人力駆動車の制御装置は、人力駆動車のクランクに作用するトルクが比較的大きい場合、ライダの負荷が増加するので、変速のタイミングを変更することによって、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0017】
第5または第6側面に従う第7側面の人力駆動車の制御装置において、前記予め定める範囲は、前記人力駆動車のクランクに作用する前記トルクが、100Nm以下の範囲を含む。
【0018】
第7側面の人力駆動車の制御装置によれば、人力駆動車のクランクに作用するトルクが実使用の範囲において、入力情報が変更されるので、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。人力駆動車のクランクに作用するトルクがかなり大きい場合、いずれの制御状態においても、制御部は、入力情報を変更しないので、制御の負荷が低減される。
【0019】
第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の人力駆動車の制御装置において、前記モータの前記制御状態は、前記人力駆動車が人力駆動力によって推進している状態において、前記モータが駆動される少なくとも1つのアシスト状態と、前記人力駆動車が人力駆動力によって推進している前記状態において、前記モータが駆動されない非アシスト状態と、を含む。
【0020】
第8側面の人力駆動車の制御装置によれば、モータの制御状態がアシスト状態である場合と、モータの制御状態が非アシスト状態である場合とのそれぞれにおいて、変速装置の変速比を好ましいタイミングによって変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0021】
第8側面に従う第9側面の人力駆動車の制御装置において、前記少なくとも1つのアシスト状態は、第1アシスト状態および第2アシスト状態を含み、前記第1アシスト状態および前記第2アシスト状態は、アシストレベルおよびアシスト力の最大値の少なくとも1つが相互に異なり、前記制御部は、前記第1アシスト状態における前記入力情報と、前記第2アシスト状態における前記入力情報とが異なるように、前記入力情報を変更する。
【0022】
第9側面の人力駆動車の制御装置によれば、制御部は、第1アシスト状態および第2アシスト状態に応じて入力情報をそれぞれ異なる値に変更できる。制御部は、第1アシスト状態に応じた好ましいタイミング、および、第2アシスト状態に応じた好ましいタイミングによって変速装置の変速比を変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0023】
第8または第9側面に従う第10側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記アシスト状態および前記非アシスト状態の少なくとも1つにおいて、前記入力情報を変更する。
【0024】
第10側面の人力駆動車の制御装置によれば、制御部は、アシスト状態に応じた好ましいタイミング、および、非アシスト状態に応じた好ましいタイミングによって変速装置の変速比を変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0025】
第1から第7側面のいずれか1つに従う第11側面の人力駆動車の制御装置において、前記モータの前記制御状態は、前記人力駆動車が人力駆動力によって推進している状態において、前記モータが駆動される複数のアシスト状態を含み、前記複数のアシスト状態は、第1アシスト状態および第2アシスト状態を含み、前記第1アシスト状態および前記第2アシスト状態は、アシストレベルおよびアシスト力の最大値の少なくとも1つが相互に異なり、前記制御部は、前記第1アシスト状態における前記入力情報と、前記第2アシスト状態における前記入力情報と、が異なるように、前記入力情報を変更する。
【0026】
第11側面の人力駆動車の制御装置によれば、制御部は、第1アシスト状態および第2アシスト状態に応じて入力情報をそれぞれ異なる値に変更できる。制御部は、第1アシスト状態に応じた好ましいタイミング、および、第2アシスト状態に応じた好ましいタイミングによって変速装置の変速比を変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0027】
第9または第11側面に従う第12側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記第1アシスト状態および前記第2アシスト状態の少なくとも1つにおいて、前記入力情報を変更する。
【0028】
第12側面の人力駆動車の制御装置によれば、制御部は、第1アシスト状態および第2アシスト状態に応じて入力情報をそれぞれ異なる値に変更できる。制御部は、第1アシスト状態に応じた好ましいタイミング、および、第2アシスト状態に応じた好ましいタイミングによって変速装置の変速比を変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0029】
第1から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記変速条件を変更可能に構成される。
【0030】
第13側面の人力駆動車の制御装置によれば、変速条件が変更されることによって、制御部は、ライダが所望するタイミングによって変速装置の変速比を変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0031】
第1から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の人力駆動車の制御装置は、前記入力情報は、パラメータを含む。
【0032】
第14側面の人力駆動車の制御装置によれば、入力情報をパラメータによって表すことによって、制御部が入力情報を処理しやすい。
【0033】
第14側面に従う第15側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記パラメータの変更量を変更可能に構成される。
【0034】
第15側面の人力駆動車の制御装置によれば、例えばライダがパラメータの変更量を設定できる。制御部は、ライダの好みに応じて入力情報を変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0035】
第14または第15側面に従う第16側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記モータの前記制御状態に応じて、前記パラメータに予め定める係数を乗算する。
【0036】
第16側面の人力駆動車の制御装置によれば、制御部は、簡易な計算によって入力情報を変更できる。従って、人力駆動車の制御装置は、入力情報を変更する場合の処理負荷を低減できる。
【0037】
第17側面に従う人力駆動車の制御装置は、人力駆動車の制御装置であって、前記人力駆動車の走行状態、および、前記人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに関する入力情報と、変速条件と、に応じて、前記人力駆動車の変速装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車の進行方向における加速状態に応じて、前記入力情報を変更するように構成される。
【0038】
第17側面の人力駆動車の制御装置によれば、人力駆動車の進行方向における加速状態が変化すれば、入力情報が変更される。人力駆動車の進行方向における加速状態は、人力駆動車の走行路の状況によって変わるため、人力駆動車の制御装置は、例えば、人力駆動車の走行路の状況に応じて適切な変速比に変更でき、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0039】
第1から第16側面のいずれか1つに従う第18側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の進行方向における加速状態に応じて、前記入力情報を変更する。
【0040】
第18側面の人力駆動車の制御装置によれば、人力駆動車の進行方向における加速状態が変化すれば、入力情報が変更される。人力駆動車の進行方向における加速状態は、人力駆動車の走行路の状況によって変わるため、人力駆動車の制御装置は、例えば、人力駆動車の走行路の状況に応じて適切な変速比に変更でき、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0041】
第1から第16側面のいずれか1つに従う第19側面の人力駆動車の制御装置において、前記制御部は、前記モータの前記制御状態に応じて前記入力情報を変更する第1モードと、前記モータの前記制御状態に応じて前記入力情報を変更しない第2モードと、を切り替え可能に構成される。
【0042】
第19側面の人力駆動車の制御装置によれば、ライダは、第1モードと第2モードとを好みに応じて切り替えできる。
【発明の効果】
【0043】
本開示の人力駆動車の制御装置によれば、モータによって推進力が付与される人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、第1実施形態に係る制御装置を搭載する人力駆動車の側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る制御装置を含む人力駆動車の電気的構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態に係る制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第3実施形態に係る制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第4実施形態に係る制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第5実施形態に係る制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、第6実施形態に係る制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、変形例に係る制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(第1実施形態)
(人力駆動車の構成)
図1に示すように、人力駆動車10は、例えば、電動ドライブユニット12を備えるマウンテンバイクである。人力駆動車10は、マウンテンバイクに限定されるものではなく、少なくとも人力によって駆動することができ、電動ドライブユニット12を備えていれば、ロードバイク、クロスバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドサイクル、および、リカンベントなどの他の自転車、ならびに、1輪車および3輪以上の車輪を有する車両であってよい。
【0046】
人力駆動車10は、フレーム14を含む。フレーム14は、例えば、ヘッドチューブ14A、トップチューブ14B、ダウンチューブ14C、シートステー14D、およびチェーンステー14Eを含む。人力駆動車10は、フロントフォーク14F、ステム14G、および、ハンドルバー14Hを含む。フロントフォーク14Fおよびステム14Gは、ヘッドチューブ14Aに連結される。ハンドルバー14Hは、ステム14Gに連結される。人力駆動車10は、車輪16と、ドライブトレイン18と、電動ドライブユニット12と、変速システム20とを備える。車輪16は、前輪16Aおよび後輪16Bを含む。前輪16Aは、フロントフォーク14Fに連結される。後輪16Bは、シートステー14D、およびチェーンステー14Eの接続部に連結される。
【0047】
ドライブトレイン18は、人力駆動力を後輪16Bに伝達するように構成される。ドライブトレイン18は、一対のペダル22と、クランク24と、フロントチェーンホイール26と、チェーン28と、リアスプロケット30とを含む。一対のペダル22に付加される人力駆動力によってクランク24が回転すると、フロントチェーンホイール26が回転する。フロントチェーンホイール26の回転力は、チェーン28を介してリアスプロケット30に伝達される。リアスプロケット30が回転することによって車輪16が回転する。リアスプロケット30は、複数のスプロケットを含む。リアスプロケット30は、歯数が異なる複数のスプロケットを含む。
【0048】
ドライブトレイン18は、フロントチェーンホイール26、リアスプロケット30およびチェーン28に代えて、プーリおよびベルトを含んでいてもよく、ベベルギアおよびシャフトを含んでいてもよい。クランク24は、クランク軸と、クランク軸の軸方向の第1端部に連結される第1クランクアームと、クランク軸の軸方向の第2端部に連結される第2クランクアームと、を含む。ドライブトレイン18は、ワンウェイクラッチ、他のスプロケット、または他のチェーンなどの他の部品を含んでいてもよい。フロントチェーンホイール26は、複数のチェーンホイールを含んでいてもよい。好ましくは、フロントチェーンホイール26の回転軸は、クランク24の回転軸と同軸に配置される。リアスプロケット30の回転軸は、後輪16Bの回転軸と同軸に配置される。
【0049】
電動ドライブユニット12は、人力駆動車10の推進をアシストするように構成される。電動ドライブユニット12は、例えばペダル22に加えられる人力駆動力に応じて動作する。電動ドライブユニット12は、モータ32を含む。モータ32は、ハウジング12Aに設けられる。モータ32は、電気モータを含む。モータ32は、例えば、ブラシレスモータを含む。モータ32は、人力駆動力によって車輪16が回転している状態において駆動され、人力駆動力による人力駆動車10の推進をアシストするように構成される。モータ32は、バッテリ34から供給される電力によって動作する。バッテリ34は、例えばダウンチューブ14Cに収容される。電動ドライブユニット12が発生するアシスト力は、駆動回路を介してモータ32に供給される駆動電流および駆動電圧が調整されることによって、調整される。
【0050】
変速システム20は、制御装置40と、変速装置42とを含む。制御装置40は、例えば電動ドライブユニット12のハウジング12Aに収容される。制御装置40は、電動ドライブユニット12のハウジング12Aではなく、フレーム14に設けられてもよく、変速装置42に設けられてもよい。制御装置40は、バッテリ34から供給される電力によって動作する。
【0051】
変速装置42は、人力駆動力の伝達経路に設けられる。人力駆動力の伝達経路は、ペダル22に付加された人力駆動力が車輪16に伝達されるまでの経路である。変速装置42は、外装変速機を含む。本実施形態の変速装置42は、リアディレーラ44、チェーン28、および、リアスプロケット30を含む。リアディレーラ44によってチェーン28と噛み合うリアスプロケット30が切り替えられることによって、変速装置42の変速比が変更される。変速装置42は、フロントディレーラを含んでもよい。
【0052】
変速比は、フロントチェーンホイール26の歯数と、リアスプロケット30の歯数との関係に基づいて規定される。一例では、変速比は、リアスプロケット30の歯数に対するフロントチェーンホイール26の歯数の割合で定義される。変速比をRとし、リアスプロケット30の歯数をTRとし、フロントチェーンホイール26の歯数TFとすると、変速比Rは、R=TR/TFによって表される。リアスプロケット30の歯数は、車輪16の回転速度に置き換えられ、フロントチェーンホイール26の歯数TFはクランク24の回転速度に置き換えられてもよい。変速装置42は、外装変速機に代えて内装変速機を含んでもよい。内装変速機は、例えば後輪16Bのハブに設けられる。変速装置42は、外装変速機に代えて無段変速機を含んでもよい。無段変速機は、例えば後輪16Bのハブに設けられる。
【0053】
変速システム20は、手動変速モード、および自動変速モードによって、変速装置42の変速比を変更できるように構成される。制御装置40は、変速モードとして手動変速モードおよび自動変速モードを有する。変速モードは、ライダによって切り替えられる。
【0054】
変速モードが手動変速モードに設定される場合、変速システム20は、例えば変速操作装置46の操作に応じて、変速装置42が駆動されるように構成される。変速装置42は、電動アクチュエータ48を含む。変速装置42は、バッテリ34から供給される電力によって動作する。変速装置42は、変速装置42の専用バッテリから電力が供給されてもよい。本実施形態では、電動アクチュエータ48によって、リアディレーラ44が駆動される。電動アクチュエータ48は、リアディレーラ44に設けられてもよく、ボーデンケーブルを介してリアディレーラ44に接続されてもよい。電動アクチュエータ48は、例えば、電動モータ、および、電動モータに接続される減速機を含む。
【0055】
変速モードが自動変速モードである場合、変速システム20は、人力駆動車10の入力情報と変速条件とに応じて、変速装置42が駆動されるように構成される。
【0056】
制御装置40は、図2に示すように、記憶部50と、制御部52とを備える。記憶部50は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリなどの記憶装置を含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。記憶部50は、制御部52が制御に用いるプログラムを記憶する。記憶部50は、例えば変速条件に関する情報を記憶する。
【0057】
制御部52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、またはMPU(Micro Processing Unit)などの演算装置を含む。制御部52は、複数の演算装置を含んでいてもよい。複数の演算装置は、相互に離れた位置に設けられてもよい。制御部52は、例えば演算装置がROMに記憶されるプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することによって、変速システム20全体の動作を統括的に制御するように構成される。制御部52は、人力駆動車10の変速装置42以外に、人力駆動車10に搭載される各種のコンポーネントをさらに制御してもよい。制御部52は、例えば電動ドライブユニット12の制御装置と通信可能に接続されてもよく、電動ドライブユニット12を制御してもよい。制御部52が、電動ドライブユニット12を制御する場合、制御部52は、電動ドライブユニット12の一部を構成する。
【0058】
制御部52は、車速センサ60と、クランク回転センサ62と、トルクセンサ64と、傾斜センサ66と、GPS(global positioning system)装置68と、電動ドライブユニット12と、電動アクチュエータ48とに、電気ケーブルおよび無線通信装置の少なくとも1つを介して接続される。制御部52は、外部装置70と電気ケーブルおよび無線通信装置の少なくとも1つを介して接続される。制御部52は、電気ケーブルを介してバッテリ34と接続される。
【0059】
好ましくは、制御部52は、第1インタフェース52Aを含む。第1インタフェース52Aは、車速センサ60によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第2インタフェース52Bを含む。第2インタフェース52Bは、クランク回転センサ62によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第3インタフェース52Cを含む。第3インタフェース52Cは、トルクセンサ64によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第4インタフェース52Dを含む。第4インタフェース52Dは、傾斜センサ66によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第5インタフェース52Eを含む。第5インタフェース52Eは、GPS装置68によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第6インタフェース52Fを含む。第6インタフェース52Fは、外部装置70から送信される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第7インタフェース52Gを含む。第7インタフェース52Gは、変速操作装置46から送信される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第8インタフェース52Hを含む。第8インタフェース52Hは、入力装置72から送信される情報を入力するように構成される。
【0060】
第1インタフェース52Aから第8インタフェース52Hは、例えば、ケーブル接続ポートおよび無線通信装置の少なくとも1つを含む。無線通信装置は、例えば、近距離無線通信ユニットを含む。近距離無線通信ユニットは、例えば、Bluetooth(登録商標)およびANT+などの無線通信規格に基づいて無線通信するように構成される。第1インタフェース52Aには、車速センサ60に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第2インタフェース52Bには、クランク回転センサ62に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第3インタフェース52Cには、トルクセンサ64に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第4インタフェース52Dには、傾斜センサ66に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第5インタフェース52Eには、GPS装置68に接続される電気ケーブルが接続されてもよい。第6インタフェース52Fは、外部装置70に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第7インタフェース52Gは、変速操作装置46に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第8インタフェース52Hは、入力装置72に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。
【0061】
車速センサ60は、人力駆動車10の速度Vに関する情報を制御部52へ出力するように構成される。車速センサ60は、車輪16の回転速度に応じた信号を出力するように構成される。車速センサ60は、例えば、人力駆動車10のチェーンステー14Eに設けられる。車速センサ60は、磁気センサを含む。車速センサ60は、車輪16のスポーク、ディスクブレーキロータ、またはハブに取り付けられる1または複数の磁石の磁界を検出するように構成される。車速センサ60は、磁界を検出すると信号を出力するように構成される。制御部52は、例えば、車輪16の回転に伴って車速センサ60から出力される信号の時間間隔または信号の幅と、車輪16の周長に関する情報とに基づいて、人力駆動車10の走行速度を演算するように構成される。車速センサ60は、人力駆動車10の速度Vに関する情報を出力するように構成されれば、どのような構成であってもよく、磁気センサに限らず、光学センサ、加速度センサ、または、GPS受信機などの他のセンサを含んでいてもよい。
【0062】
クランク回転センサ62は、クランク24の回転状態に応じた情報を制御部52へ出力するように構成される。クランク回転センサ62は、例えば、クランク24の回転速度に応じた情報を検出するように構成される。クランク回転センサ62は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク24の回転軸、クランク24の回転軸に連動して回転する部材、または、クランク24の回転軸からフロントチェーンホイール26までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク24の回転軸に連動して回転する部材は、モータ32の出力軸を含む。例えば、クランク24の回転軸とフロントチェーンホイール26との間にワンウェイクラッチが設けられない場合、フロントチェーンホイール26に環状の磁石が設けられてもよい。クランク回転センサ62は、クランク24の回転状態に応じた情報を出力するように構成されれば、どのような構成であってもよく、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0063】
トルクセンサ64は、人力駆動力に応じた信号を制御部52へ出力するように構成される。トルクセンサ64は、例えばクランク24の回転軸に与えられる人力駆動力に応じた信号を出力するように構成される。トルクセンサ64は、クランク24の回転軸からフロントチェーンホイール26までの間の人力駆動力の伝達経路に設けられる。トルクセンサ64は、クランク24の回転軸またはフロントチェーンホイール26に設けられてもよい。トルクセンサ64は、クランク24またはペダル22に設けられてもよい。トルクセンサ64は、例えば歪センサ、磁歪センサ、光学センサ、および圧力センサ等を用いて実現できる。トルクセンサ64は、クランク24、またはペダル22に加えられる人力駆動力に応じた信号を出力するセンサであれば、どのような構成であってもよい。
【0064】
傾斜センサ66は、人力駆動車10の傾斜角度Dを関する情報を制御部52へ出力するように構成される。傾斜センサ66は、例えば、ジャイロセンサを含む。ジャイロセンサは、好ましくは、3軸ジャイロセンサを含む。ジャイロセンサは、好ましくは、人力駆動車10のヨー角度、人力駆動車10のロール角度、および、人力駆動車10のピッチ角度を検出可能に構成される。ジャイロセンサの3軸は、好ましくは、水平面に前輪16A、および、後輪16Bを接地させて直立させた状態における人力駆動車10の前後方向、左右方向、および、上下方向に沿うように人力駆動車10に設けられる。ジャイロセンサは、1軸ジャイロセンサ、または2軸ジャイロセンサを含んでいてもよい。傾斜センサ66は、人力駆動車10の傾斜角度Dを関する情報を出力するセンサであれば、どのような構成であってもよく、例えば加速度センサを含んでいてもよい。
【0065】
GPS装置68は、人力駆動車10の現在位置に関するGPS情報を取得し、取得したGPS情報を制御部52へ出力するように構成される。制御部52は、取得されたGPS情報と、例えば記憶部50に記録された地図情報とに応じて、地図上における人力駆動車10の位置、および、人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lを取得するように構成される。人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lは、例えば現在の人力駆動車10の位置における走行路の斜度である。
【0066】
外部装置70は、人力駆動車10の設定を外部から変更可能な装置である。外部装置70は、例えばリモートコントローラである。外部装置70は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、または、スマートフォンなどを含む。
【0067】
変速操作装置46は、ユーザの手指などによって操作される操作スイッチを含む。好ましくは、変速操作装置46は、アップシフト用の操作スイッチと、ダウンシフト用の操作スイッチを含む。変速操作装置46は、好ましくは、ハンドルバー14Hに設けられる。
【0068】
入力装置72は、ユーザの手指などによって操作される操作スイッチを含む。好ましくは、入力装置72は、モータ32の制御状態を、非アシスト状態とアシスト状態とを切り替えるための少なくとも1つの操作スイッチとを含む。好ましくは、入力装置72は、複数のアシスト状態を切り替えるための少なくとも1つの操作スイッチを含む。非アシスト状態とアシスト状態とを切り替えるための少なくとも1つの操作スイッチと、複数のアシスト状態を切り替えるための少なくとも1つの操作スイッチとは、共通の操作スイッチであってもよい。入力装置72は、好ましくは、ハンドルバー14Hに設けられる。好ましくは、入力装置72は、自動変速モードを切り替えるための操作スイッチを含む。
【0069】
(自動変速モード)
変速モードが自動変速モードである場合、制御部52は、入力情報と、変速条件と、に応じて、人力駆動車10の変速装置42を制御する。制御部52は、入力情報と、変速条件とに応じて自動的に変速装置42を制御するように構成される。入力情報は、パラメータを含む。パラメータは、人力駆動車10の走行に関して変動する値である。入力情報は、人力駆動車10の速度V、人力駆動車10のケイデンスC、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力、人力駆動車10の傾斜角度D、および、人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lの少なくとも1つに対応する。入力情報は、人力駆動車10の走行状態、および、人力駆動車10の走行環境の少なくとも1つに関する情報である。
【0070】
人力駆動車10の走行状態は、人力駆動車10の速度V、人力駆動車10のケイデンスC、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力、および、人力駆動車10の傾斜角度Dの少なくとも1つを含む。人力駆動車10の走行環境は、少なくとも人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lを含む。入力情報は、人力駆動車10の速度Vのみ、人力駆動車10のケイデンスCのみ、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力のみ、人力駆動車10の傾斜角度Dのみ、あるいは、人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lのみを含んでもよい。
【0071】
入力情報は、人力駆動車10の速度V、人力駆動車10のケイデンスC、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力、人力駆動車10の傾斜角度D、および、人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lのうち任意の組み合わせを含んでもよい。入力情報は、例えば瞬間値である。入力情報は、例えば予め設定される判定時間における最大値、または予め設定される判定時間における最小値でもよい。入力情報は、例えば予め設定される判定時間における平均値でもよい。入力情報は、入力情報の種類に応じて、瞬間値、最大値、最小値、および平均値のいずれか1つが選択されてもよい。
【0072】
人力駆動車10のケイデンスCは、人力駆動車10のクランク24の回転速度と同義である。人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力は、人力駆動車10のクランク24に作用するトルクT、および、人力駆動車10の駆動輪に作用するトルクの少なくとも1つを含む。人力駆動車10のクランク24に作用するトルクTは、例えばトルクセンサ64によって検出されるトルクである。人力駆動車10の駆動輪に作用するトルクは、例えば後輪16Bに作用するトルクである。人力駆動車10の駆動輪に作用するトルクは、例えばトルクセンサ64によって検出されたトルク、および変速装置42の変速比に基づいて算出される。
【0073】
制御部52は、入力情報に基づいて変速条件が成立する場合、変速装置42を制御し、変速装置42の変速比を変更する。制御部52は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ32の制御状態に応じて、入力情報を変更するように構成される。
【0074】
モータ32の制御状態は、モータ32の制御モードを含む。好ましくは、モータ32の制御状態は、少なくとも1つのアシスト状態と、非アシスト状態とを含む。アシスト状態は、人力駆動車10が人力駆動力によって推進する状態において、モータ32が駆動される状態である。非アシスト状態は、人力駆動車10が人力駆動力によって推進する状態において、モータ32が駆動されない状態である。少なくとも1つのアシスト状態が、複数のアシスト状態を含む場合、複数のアシスト状態では、モータ32によるアシストレベルおよびアシスト力の最大値の少なくとも1つが相互に異なる。
【0075】
制御部52は、モータ32の制御状態に応じて、人力駆動車10の変速タイミングを変更する。モータ32の制御状態が非アシスト状態である場合、制御部52は、取得された入力情報を変更せずに、入力情報と変速条件とを比較する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、入力情報に基づいて変速条件が成立する場合、制御部52は、変速装置42の変速比を変更する。モータ32の制御状態がアシスト状態である場合、制御部52は、取得された入力情報を変更し、変更された入力情報と変速条件とを比較する。変更された入力情報に基づいて変速条件が成立する場合、制御部52は、変速装置42の変速比を変更する。
【0076】
制御部52は、入力情報を変更する場合、入力情報に対して四則演算を行うことによって、入力情報を変更する。制御部52は、例えば、モータ32の制御状態に応じて、パラメータに予め定める係数aを乗算する。予め定める係数aは、パラメータの種類に応じて設定される。制御部52は、例えば、モータ32の制御状態に応じて、パラメータに予め定める定数bを加算してもよい。制御部52は、例えば、モータ32の制御状態に応じて、パラメータを予め定める係数cによって除算してもよい。制御部52は、例えば、モータ32の制御状態に応じて、パラメータから予め定める定数dを減算してもよい。制御部52は、パラメータの変更量を変更可能に構成されてもよい。例えば、予め定める係数a、予め定める定数b、予め定める係数c、および、予め定める定数bは、外部装置70を介して、ユーザによって設定されてもよい。予め定める係数a、予め定める定数b、予め定める係数c、および、予め定める定数bに関する情報は、記憶部50に記憶される。
【0077】
モータ32の制御状態が非アシスト状態である場合、変速条件が満たされるか否かは、入力情報と、第1閾値および第2閾値との関係に応じて判定される。制御部52は、入力情報と、第1閾値および第2閾値との関係に応じて、人力駆動車10の変速比が増加するアップシフト、および、人力駆動車10の変速比が減少するダウンシフトの少なくとも1つを実行する。
【0078】
モータ32の制御状態がアシスト状態である場合、変速条件が満たされるか否かは、変更された入力情報と、少なくとも1つ以上の第1閾値または少なくとも1つ以上の第2閾値との関係に応じて判定される。制御部52は、変更された入力情報と、第1閾値および第2閾値と、の関係に応じて、アップシフト、および、ダウンシフトの少なくとも1つを変速装置42に実行させる。
【0079】
第1閾値および第2閾値は、異なる値である。第1閾値および第2閾値は、例えば基準値を中心に設定される。第1閾値は、基準値よりも大きい値である。第2閾値は、基準値よりも小さい値である。基準値は、予め設定される値である。基準値は、ユーザによって設定されてもよい。基準値がユーザによって設定される場合には、設定後の基準値を中心に第1閾値および第2閾値が設定されてもよい。制御部52は、変速条件を変更可能に構成されてもよい。例えば第1閾値および第2閾値は、外部装置70を介して、ユーザによって設定される。第1閾値および第2閾値に関する情報、および、基準値に関する情報は、記憶部50に記憶される。
【0080】
自動変速モードは、第1モードと第2モードとを切り替え可能に構成される。第1モードは、モータ32の制御状態に応じて入力情報を変更するモードである。第2モードは、モータ32の制御状態に応じて入力情報を変更しないモードである。第1モード、および第2モードは、ユーザによって選択される。自動変速モードが、第2モードである場合、モータ32の制御状態がアシスト状態の場合であっても、入力情報は変更されない。制御部52は、第1モードおよび第2モードを、外部装置70、変速操作装置46、または、入力装置72が操作されることによって、選択するように構成されてもよい。制御部52は、例えば、変速操作装置46のアップシフト用の操作スイッチと、ダウンシフト用の操作スイッチが同時に操作されると第1モードおよび第2モードを切り替えるようにしてもよい。
【0081】
自動変速モードは、第1変速モード、第2変速モード、第3変速モード、第4変速モード、および、第5変速モードの少なくとも1つを含む。各自動変速モードにおいて、入力情報、および変速条件が相互に異なる。自動変速モードは、ユーザによって選択される。制御部52は、外部装置70、変速操作装置46、または、入力装置72が操作されることによって、自動変速モードを選択するように構成されてもよい。制御部52は、例えば、変速操作装置46のアップシフト用の操作スイッチと、ダウンシフト用の操作スイッチが同時に操作されると自動変速モードを切り替えるようにしてもよい。制御部52は、例えば、自動変速モードを切り替えるための操作スイッチが操作されることによって、自動変速モードを選択するように構成されてもよい。制御部52は、ユーザによって選択された自動変速モードを設定する。自動変速モードは、第1変速モードのみ、第2変速モードのみ、第3変速モードのみ、第4変速モードのみ、あるいは、第5変速モードのみを含んでもよい。自動変速モードは、第1変速モード、第2変速モード、第3変速モード、第4変速モード、および、第5変速モードのうち任意の組み合わせを含んでもよい。
【0082】
(第1変速モード)
第1変速モードは、人力駆動車10の速度Vに応じて自動変速が実行されるモードである。第1変速モードにおける入力情報は、人力駆動車10の速度Vである。第1変速モードにおける第1閾値は、第1速度V1である。第1変速モードにおける第2閾値は、第2速度V2である。第1速度V1および第2速度V2は、変速比毎に設定される。第1速度V1および第2速度V2は、変速ステージ毎に設定されてもよい。
【0083】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の速度Vが第1速度V1以上の場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の速度Vが第1速度V1以上の場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0084】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の速度Vが第2速度V2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の速度Vが第2速度V2よりも小さい場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0085】
モータ32の制御状態がアシスト状態である場合、制御部52は、例えば人力駆動車10の速度Vに予め定める係数a1を乗算し、変更後の速度Vaを算出する。制御部52は、変更後の速度Vaが速度Vよりも大きくなるように、変更後の速度Vaを算出する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ速度Vaが第1速度V1以上の場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ速度Vaが第1速度V1以上の場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0086】
モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ速度Vaが第2速度V2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ速度Vaが第2速度V2よりも小さい場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0087】
(第2変速モード)
第2変速モードは、人力駆動車10のケイデンスCに基づいて自動変速が実行されるモードである。第2変速モードにおける入力情報は、人力駆動車10のケイデンスCである。第2変速モードにおける第1閾値は、第1ケイデンスC1である。第2変速モードにおける第2閾値は、第2ケイデンスC2である。
【0088】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10のケイデンスCが第1ケイデンスC1以上の場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10のケイデンスCが第1ケイデンスC1以上の場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0089】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10のケイデンスCが第2ケイデンスC2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10のケイデンスCが第2ケイデンスC2よりも小さい場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0090】
モータ32の制御状態がアシスト状態である場合、制御部52は、例えば人力駆動車10のケイデンスCに予め定める係数a2を乗算し、変更後のケイデンスCaを算出する。制御部52は、変更後のケイデンスCaがケイデンスCよりも小さくなるように、変更後のケイデンスCaを算出する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつケイデンスCaが、第1ケイデンスC1以上の場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつケイデンスCaが、第1ケイデンスC1以上の場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0091】
モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつケイデンスCaが第2ケイデンスC2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつケイデンスCaが第2ケイデンスC2よりも小さい場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0092】
(第3変速モード)
第3変速モードは、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力に基づいて自動変速が実行されるモードである。第3変速モードにおける入力情報は、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力である。例えば、第3変速モードにおける入力情報は、人力駆動車10のクランク24に作用するトルクTである。第3変速モードにおける第1閾値は、第1トルクT1である。第3変速モードにおける第2閾値は、第2トルクT2である。
【0093】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10のトルクTが第1トルクT1以上の場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつトルクTが第1トルクT1以上の場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0094】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10のトルクTが第2トルクT2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつトルクTが第2トルクT2よりも小さい場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0095】
モータ32の制御状態がアシスト状態である場合、制御部52は、例えば人力駆動車10のトルクTに予め定める係数a3を乗算し、変更後のトルクTaを算出する。制御部52は、変更後のトルクTaがトルクTよりも小さくなるように、変更後のトルクTaを算出する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつトルクTaが第1トルクT1以上の場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつトルクTaが第1トルクT1以上の場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0096】
モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつトルクTaが第2トルクT2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつトルクTaが第2トルクT2よりも小さい場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0097】
第3変速モードは、複数の負荷モードを含んでもよい。複数の負荷モードは、例えば、中負荷モード、高負荷モード、および超負荷モードを含む。中負荷モードにおける第1閾値は、第3トルクT3である。高負荷モードにおける第1閾値は、第4トルクT4である。第4トルクT4は、第3トルクT3よりも大きい。超高負荷モードにおける第1閾値は、第5トルクT5である。第5トルクT5は、第3トルクT3および第4トルクT4よりも大きい。中負荷モードにおける第2閾値は、第6トルクT6である。高負荷モードにおける第2閾値は、第7トルクT7である。第7トルクT7は、第6トルクT6よりも大きい。超高負荷モードにおける第2閾値は、第8トルクT8である。第8トルクT8は、第6トルクT6および第7トルクT7よりも大きい。複数の負荷モードは、例えば、自動変速モードを切り替えるための操作スイッチが操作されることによって、選択される。
【0098】
(第4変速モード)
第4変速モードは、人力駆動車10の傾斜角度Dに基づいて自動変速が実行されるモードである。すなわち、第4変速モードにおける入力情報は、人力駆動車10の傾斜角度Dである。第4変速モードにおける第1閾値は、少なくとも1つの第1傾斜角度D1である。少なくとも1つの第1傾斜角度D1は、予め設定される登り傾斜の路面走行に対応する角度である。第4変速モードにおける第2閾値は、少なくとも1つの第2傾斜角度D2である。少なくとも1つの第2傾斜角度D2は、予め設定される下り傾斜の路面走行に対応する角度である。
【0099】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の傾斜角度Dが少なくとも1つの第1傾斜角度D1以上である場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の傾斜角度Dが第1傾斜角度D1以上である場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0100】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の傾斜角度Dが少なくとも1つの第2傾斜角度D2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10の傾斜角度Dが第2傾斜角度D2よりも小さい場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0101】
モータ32の制御状態がアシスト状態である場合、制御部52は、例えば傾斜角度Dに予め定める係数a4を乗算し、変更後の傾斜角度Daを算出する。制御部52は、変更後の傾斜角度Daが傾斜角度Dよりも小さくなるように、変更後の傾斜角度Daを算出する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ傾斜角度Daが少なくとも1つの第1傾斜角度D1以上である場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0102】
モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ傾斜角度Daが第2傾斜角度D2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ傾斜角度Daが少なくとも1つの第2傾斜角度D2よりも小さい場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。第4変速モードでは、人力駆動車10の傾斜角度Dが増加すればするほど、変速比が減少するように、少なくとも1つの第1傾斜角度D1は、複数の第1傾斜角度D1を含んでいてもよい。複数の第1傾斜角度D1は、各変速比または各変速ステージに対応する。第4変速モードでは、人力駆動車10の傾斜角度Dが増加すればするほど、変速比が減少するように、少なくとも1つの第2傾斜角度D2は複数の第2傾斜角度D2を含んでいてもよい。複数の第2傾斜角度D2は、各変速比または各変速ステージに対応する。
【0103】
(第5変速モード)
第5変速モードは、人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lに基づいて自動変速が実行されるモードである。第5変速モードにおける入力情報は、人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lである。第5変速モードにおける第1閾値は、少なくとも1つの第1斜度L1である。第1斜度L1は、予め設定される登り傾斜の路面走行に対応する角度である。第5変速モードにおける第2閾値は、少なくとも1つの第2斜度L2である。第2斜度L2は、予め設定される下り傾斜の路面走行に対応する角度である。
【0104】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lが少なくとも1つの第1斜度L1以上である場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lが少なくとも1つの第1斜度L1以上である場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。制御部52は、人力駆動車10の走行方向の前方の走行路の斜度Lが第1斜度L1以上である場合には、登り坂に到達する前に、ダウンシフトを実行する。
【0105】
モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lが少なくとも1つの第2斜度L2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態が非アシスト状態であり、かつ人力駆動車10が走行する走行路の少なくとも1つの斜度Lが第2斜度L2よりも小さい場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0106】
モータ32の制御状態がアシスト状態である場合、制御部52は、例えば人力駆動車10が走行する走行路の斜度Lに予め定める係数a5を乗算し、変更後の斜度Laを算出する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ斜度Laが少なくとも1つの第1傾斜角度D1以上である場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ斜度Laが少なくとも1つの第1傾斜角度D1以上である場合、制御部52は、ダウンシフトを実行するように、変速装置42を制御する。
【0107】
モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ斜度Laが少なくとも1つの第2傾斜角度D2よりも小さい場合、制御部52は、変速条件が成立すると判定する。モータ32の制御状態がアシスト状態であり、かつ斜度Laが少なくとも1つの第2傾斜角度D2よりも小さい場合、制御部52は、アップシフトを実行するように、変速装置42を制御する。第5変速モードでは、人力駆動車10の斜度Lが増加すればするほど、変速比が減少するように、少なくとも1つの第1傾斜角度D1は、複数の第1傾斜角度D1を含んでいてもよい。複数の第1傾斜角度D1は、各変速比または各変速ステージに対応する。第5変速モードでは、斜度Lが増加すればするほど、変速比が減少するように、少なくとも1つの第2傾斜角度D2は複数の第2傾斜角度D2を含んでいてもよい。複数の第2傾斜角度D2は、各変速比または各変速ステージに対応する。
【0108】
制御部52は、変速モードが自動変速モードの場合、図3に示す制御フローを実行する。制御部52は、図3に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、図3に示す制御フローを繰り返し実行する。制御部52は、ステップS10において入力情報を取得して、ステップS11に移行する。制御部52は、ステップS11において、自動変速モードが第1モードであるか否かを判定する。制御部52は、自動変速モードが第1モードであると判定する場合、ステップS12に移行する。制御部52は、ステップS11において、自動変速モードが第1モードではないと判定する場合、ステップS14に移行する。制御部52は、自動変速モードが第2モードである場合、ステップS14に移行する。
【0109】
制御部52は、ステップS12においてモータ32の制御状態がアシスト状態であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS12において、モータ32の制御状態がアシスト状態であると判定する場合、ステップS13において入力情報を変更し、ステップS14に移行する。制御部52は、ステップS12において、モータ32の制御状態がアシスト状態ではないと判定する場合、ステップS14に移行する。制御部52は、モータ32の制御状態が非アシスト状態であると判定する場合、入力情報を変更しない。
【0110】
制御部52は、ステップS14において変速条件が成立するか否かを判定する。制御部52は、変速条件が成立する場合、ステップS15において変速装置42に変速比を変更させる。制御部52は、ステップS15の処理を終了すると、制御フローを終了する。制御部52は、ステップS14において変速条件が成立しない場合、制御フローを終了する。制御部52は、各変速モードにおける変速条件が成立したとしても、変速装置42の現在の変速比が最大変速比である場合、アップシフトの変速条件が成立しないと判定する。変速装置42の現在の変速比が最大変速比である場合、制御部52は、変速装置42にアップシフトを実行させない。制御部52は、各変速モードにおける変速条件が成立したとしても、変速装置42の現在の変速比が最小変速比である場合、ダウンシフトの変速条件が成立しないと判定する。変速装置42の現在の変速比が最小変速比である場合、制御部52は、変速装置42にダウンシフトを実行させない。本実施形態に係る制御装置40は、モータ32の制御状態に応じて入力情報を変更し、変速条件が成立するか否かを判定する。従って、制御装置40は、モータ32の制御状態に応じて、複数の第1閾値、および複数の第2閾値を記憶部50に記憶させる場合よりも、記憶部50の容量を少なくできる。
【0111】
(第2実施形態)
第2実施形態の変速システム20は、第1実施形態の変速システム20とは、制御部52における処理が異なる。第2実施形態の制御部52について、第1実施形態の制御部52とは異なる部分についてのみ説明され、重複する説明は省略される。第2実施形態の制御部52は、人力駆動車10の進行方向における加速状態に応じて、入力情報を変更するように構成される。制御部52は、車速センサ60から出力される信号に基づいて加速情報を取得し、加速状態を判定する。加速状態は、人力駆動車10の速度Vが増加する第1状態と、人力駆動車10の速度Vが減少する第2状態を含む。
【0112】
加速状態が第1状態である場合、制御部52は、アップシフトが実行されにくくなるように、入力情報を変更する。例えば、自動変速モードが第3変速モードであり、かつ入力情報が、人力駆動車10のクランク24に作用するトルクTである場合、制御部52は、変更後のトルクTaがトルクTよりも小さくなるように、変更後のトルクTaを算出する。
【0113】
加速状態が第2状態である場合、制御部52は、アップシフトが実行されやすくなるように、入力情報を変更する。例えば、自動変速モードが第3変速モードであり、かつ入力情報が、人力駆動車10のクランク24に作用するトルクTである場合、制御部52は、変更後のトルクTaがトルクTよりも大きくなるように、変更後のトルクTaを算出する。
【0114】
制御部52は、モータ32の制御状態、および、人力駆動車10の進行方向における加速状態に応じて、入力情報を変更するように構成されてもよい。制御部52は、例えば、モータ32の制御状態に応じた係数、および、加速状態に応じた係数を、入力情報に乗算することによって、入力情報を変更する。
【0115】
制御部52は、変速モードが自動変速モードの場合、図4に示す制御フローを実行する。制御部52は、図4に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、図4に示す制御フローを繰り返し実行する。制御部52は、ステップS20において入力情報を取得して、ステップS21に移行する。制御部52は、ステップS21において、自動変速モードが第1モードであるか否かを判定する。制御部52は、自動変速モードが第1モードであると判定する場合、ステップS22に移行する。制御部52は、ステップS21において、自動変速モードが第1モードではないと判定する場合、ステップS24に移行する。制御部52は、自動変速モードが第2モードである場合、ステップS24に移行する。
【0116】
制御部52は、ステップS22において加速情報を取得し、ステップS23に移行する。制御部52は、ステップS23において加速状態に応じて入力情報を変更し、ステップS24に移行する。制御部52は、ステップS24において変速条件が成立するか否かを判定する。
【0117】
制御部52は、ステップS24において変速条件が成立する場合、ステップS25において変速装置42に変速比を変更させる。制御部52は、ステップS25の処理を終了すると、制御フローを終了する。制御部52は、ステップS24において、変速条件が成立しない場合、制御フローを終了する。
【0118】
(第3実施形態)
第3実施形態の変速システム20は、第1および第2実施形態の変速システム20とは、制御部52における処理が異なる。第3実施形態の制御部52について、第1実施形態の制御部52および第2実施形態の制御部52とは異なる部分についてのみ説明され、重複する説明は省略される。第3実施形態の制御部52は、モータ32の制御状態および人力駆動車10の進行方向における加速状態に応じて入力情報を変更する。
【0119】
制御部52は、変速モードが自動変速モードの場合、図5に示す制御フローを実行する。制御部52は、図5に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、図5に示す制御フローを繰り返し実行する。制御部52は、ステップS30において入力情報を取得して、ステップS31に移行する。制御部52は、ステップS31において、自動変速モードが第1モードであるか否かを判定する。制御部52は、自動変速モードが第1モードである場合、ステップS32に移行する。制御部52は、ステップS31において、自動変速モードが第1モードではないと判定する場合、ステップS35に移行する。制御部52は、自動変速モードが第2モードであると判定する場合、ステップS35に移行する。
【0120】
制御部52は、ステップS32においてモータ32の制御状態がアシスト状態であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS32において、モータ32の制御状態がアシスト状態であると判定する場合、ステップS33に移行する。制御部52は、ステップS33において加速情報を取得し、ステップS34に移行する。制御部52は、ステップS34においてモータ32の制御情報および加速情報に応じて入力情報を変更し、ステップS35に移行する。制御部52は、ステップS32において、モータ32の制御状態がアシスト状態ではないと判定する場合、ステップS35に移行する。
【0121】
制御部52は、ステップS35において変速条件が成立するか否かを判定する。制御部52は、変速条件が成立する場合、ステップS36に移行する。制御部52は、ステップS36において変速装置42に変速比を変更させる。制御部52は、ステップS36の処理を終了すると、制御フローを終了する。制御部52は、ステップS35において、変速条件が成立しない場合、制御フローを終了する。
【0122】
(第4実施形態)
第4実施形態の変速システム20は、第1~第3実施形態の変速システム20とは、制御部52における処理が異なる。第4実施形態の制御部52について、第1~3実施形態の制御部52とは異なる部分についてのみ説明され、重複する説明は省略される。第4実施形態の変速システム20において、モータ32の制御状態は、人力駆動車10が人力駆動力によって推進している状態において、モータ32が駆動される複数のアシスト状態を含む。具体的には、少なくとも1つのアシスト状態は、第1アシスト状態および第2アシスト状態を含む。第1アシスト状態および第2アシスト状態は、アシストレベルおよびアシスト力の最大値の少なくとも1つが相互に異なる。
【0123】
アシストレベルは、人力駆動力に対するモータ32によるアシスト力の比率である。例えば、アシストレベルが増加すると、人力駆動力に対し、モータ32によって出力されるアシスト力が増加する。アシストレベルは、ケイデンスCに対するアシスト力の比率であってもよい。第1アシスト状態および第2アシスト状態においては、人力駆動力の変化に対するモータ32の応答速度が相互に異なってもよい。第1アシスト状態および第2アシスト状態においては、アシスト力が増加する場合におけるモータ32の応答速度が相互に異なってもよく、アシスト力が低下する場合におけるモータ32の応答速度が相互に異なっていてもよい。
【0124】
制御部52は、第1アシスト状態における入力情報と、第2アシスト状態における入力情報とが異なるように、入力情報を変更する。制御部52は、例えば入力情報に予め設定される係数aを乗算する場合、同一の入力情報に対して、各アシスト状態に応じて異なる係数を乗算してもよい。
【0125】
制御部52は、第1アシスト状態および第2アシスト状態の少なくとも1つにおいて、入力情報を変更してもよい。制御部52は、例えば第1アシスト状態において入力情報を変更し、第2アシスト状態において入力情報を変更しない。制御部52は、例えば第1アシスト状態において入力情報を変更しないで、第2アシスト状態において入力情報を変更してもよい。
【0126】
制御部52は、変速モードが自動変速モードの場合、図6に示す制御フローを実行する。制御部52は、図6に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、図6に示す制御フローを繰り返し実行する。制御部52は、ステップS40において入力情報を取得して、ステップS41に移行する。制御部52は、ステップS41において、自動変速モードが第1モードであるか否かを判定する。制御部52は、自動変速モードが第1モードであると判定する場合、ステップS42に移行する。制御部52は、ステップS41において、自動変速モードが第1モードではないと判定する場合、ステップS46に移行する。制御部52は、自動変速モードが第2モードである場合、ステップS46に移行する。
【0127】
制御部52は、ステップS41において、自動変速モードが第1モードであると判定する場合、ステップS42においてモータ32の制御状態が第1アシスト状態であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS42において、モータ32の制御状態が第1アシスト状態であると判定する場合、ステップS43に移行する。制御部52は、ステップS43において第1アシスト状態に応じて入力情報を変更し、ステップS46に移行する。
【0128】
制御部52は、ステップS42において、モータ32の制御状態が第1アシスト状態でないと判定する場合、ステップS44に移行する。制御部52は、ステップS44において、モータ32の制御状態が第2アシスト状態であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS44において、モータ32の制御状態が第2アシスト状態であると判定する場合、ステップS45に移行する。制御部52は、ステップS45において第2アシスト状態に応じて入力情報を変更し、ステップS46に移行する。制御部52は、ステップS44において、モータ32の制御状態が第2アシスト状態ではないと判定する場合、ステップS46に移行する。制御部52は、モータ32の制御状態が非アシスト状態である場合、入力情報を変更せずにステップS46に移行する。
【0129】
制御部52は、ステップS46において変速条件が成立するか否かを判定する。制御部52は、変速条件が成立する場合、ステップS47に移行する。制御部52は、ステップS47において変速装置42に変速比を変更させる。制御部52は、ステップS47の処理を終了すると、制御フローを終了する。制御部52は、ステップS46において、変速条件が成立しない場合、制御フローを終了する。
【0130】
(第5実施形態)
第5実施形態の変速システム20は、第1~第4実施形態の変速システム20とは、制御部52における処理が異なる。第5実施形態の制御部52について、第1~4実施形態の制御部52とは異なる部分についてのみ説明され、重複する説明は省略される。
【0131】
制御部52は、変速モードが自動変速モードの場合、図7に示す制御フローを実行する。制御部52は、図7に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、図7に示す制御フローを繰り返し実行する。制御部52は、ステップS50において入力情報を取得して、ステップS51に移行する。制御部52は、ステップS51において、自動変速モードが第1モードであるか否かを判定する。制御部52は、自動変速モードが第1モードである場合、ステップS52に移行する。制御部52は、ステップS51において、自動変速モードが第1モードではないと判定する場合、ステップS58に移行する。制御部52は、自動変速モードが第2モードである場合、ステップS58に移行する。
【0132】
制御部52は、ステップS52においてモータ32の制御状態が第1アシスト状態であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS52において、モータ32の制御状態が第1状態であると判定する場合、ステップS53に移行する。制御部52は、ステップS53において加速情報を取得し、ステップS54に移行する。制御部52は、ステップS54において、第1アシスト情報および加速状態に応じて入力情報を変更し、ステップS58に移行する。
【0133】
制御部52は、ステップS52において、モータ32の制御状態が第1アシスト状態でないと判定する場合、ステップS55に移行する。制御部52は、ステップS55においてモータ32の制御状態が第2アシスト状態であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS55において、モータ32の制御状態が第2アシスト状態であると判定する場合、ステップS56に移行する。制御部52は、ステップS56において加速情報を取得し、ステップS57に移行する。制御部52は、ステップS57において第2アシスト状態および加速状態に応じて入力情報を変更し、ステップS58に移行する。制御部52は、モータ32の制御状態が非アシスト状態である場合、入力情報を変更せずにステップS58に移行する。
【0134】
制御部52は、ステップS58において変速条件が成立するか否かを判定する。制御部52は、変速条件が成立する場合、ステップS59に移行する。制御部52は、ステップS59において変速装置42に変速比を変更させる。制御部52は、ステップS59の処理を終了すると、制御フローを終了する。制御部52は、変速条件が成立しない場合、制御フローを終了する。
【0135】
(第6実施形態)
第6実施形態の変速システム20は、第1~第5実施形態の変速システム20とは、制御部52における処理が異なる。第6実施形態の制御部52について、第1~5実施形態の制御部52とは異なる部分についてのみ説明され、重複する説明は省略される。
【0136】
制御部52は、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力が予め定める範囲の値の場合、モータ32の制御状態に応じて入力情報を変更する。制御部52は、人力駆動車10のドライブトレイン18に作用する人力駆動力が予め定める範囲の値ではない場合、入力情報を変更しない。制御部52は、自動変速モードの種類にかかわらず、人力駆動力が予め定める範囲の値ではない場合、入力情報を変更しない。
【0137】
予め定める範囲は、例えば人力駆動車10のクランク24に作用するトルクTが40Nm以上の範囲を含む。予め定める範囲は、例えば人力駆動車10のクランク24に作用するトルクTが100Nm以下の範囲を含む。
【0138】
制御部52は、変速モードが自動変速モードの場合、図8に示す制御フローを実行する。制御部52は、図8に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、図8に示す制御フローを繰り返し実行する。制御部52は、ステップS60において入力情報を取得して、ステップS61に移行する。制御部52は、ステップS61において、自動変速モードが第1モードであるか否かを判定する。制御部52は、自動変速モードが第1モードである場合、ステップS62に移行する。制御部52は、ステップS61において、自動変速モードが第1モードではないと判定する場合、ステップS66に移行する。制御部52は、自動変速モードが第2モードであると判定する場合、ステップS66に移行する。
【0139】
制御部52は、ステップS62においてモータ32の制御状態がアシスト状態であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS62において、モータ32の制御状態がアシスト状態であると判定する場合、ステップS63に移行する。制御部52は、ステップS63において人力駆動力を取得して、ステップS64に移行する。制御部52は、入力情報が人力駆動力である場合、ステップS63を省略する。制御部52は、ステップS62において、モータ32の制御状態がアシスト状態ではないと判定する場合、ステップS66に移行する。
【0140】
制御部52は、ステップS64において、人力駆動力が予め定める範囲の値であるか否かを判定する。制御部52は、ステップS64において、人力駆動力が予め定める範囲の値であると判定する場合、ステップS65に移行する。制御部52は、ステップS65において入力情報を変更し、ステップS66に移行する。制御部52は、ステップS65において、人力駆動力が予め定める範囲の値ではないと判定する場合、ステップS66に移行する。
【0141】
制御部52は、ステップS66において変速条件が成立するか否かを判定する。制御部52は、変速条件が成立する場合、ステップS67に移行する。制御部52は、ステップS67において変速装置42に変速比を変更させる。制御部52は、ステップS67の処理を終了すると、制御フローを終了する。制御部52は、ステップS66において、変速条件が成立しない場合、制御フローを終了する。
【0142】
(変形例)
第1~第6実施形態の変速システム20は、組み合わせて適用できる。例えば、第6実施形態の変速システム20は、第4実施形態の変速システム20に組み合わせて適用できる。例えば図9に示すように、制御部52は、人力駆動力が予め定める範囲の値である場合、ステップS22において加速情報を取得し、ステップS65においてモータ32の制御状態と加速状態に応じて入力情報を変更する。
【0143】
変形例の人力駆動車10の制御装置40において、入力情報は、例えばパワーを含んでもよい。パワーは、クランク24に作用するトルクTとケイデンスCとの積である。変形例の人力駆動車10の制御装置40において、制御部52は、モータ32の制御状態が非アシスト状態である場合に入力情報を変更し、かつモータ32の制御状態がアシスト状態である場合に入力情報を変更しなくもよい。制御部52は、モータ32の制御状態が非アシスト状態である場合、およびモータ32の制御状態がアシスト状態である場合に入力情報を変更してもよい。制御部52は、アシスト状態、および非アシスト状態において変更後の入力情報が異なる値となるように、入力情報を変更する。制御部52は、アシスト状態および非アシスト状態の少なくとも1つにおいて入力情報を変更する。
【0144】
各実施形態の制御装置40において、手動変速モードが省略されてもよい。各実施形態の制御装置40において、第1インタフェース52Aから第8インタフェース52Hのうち、制御に不要なインタフェースは省略されてもよい。
【0145】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0146】
10…人力駆動車、12…電動ドライブユニット、16…車輪、16A…前輪、16B…後輪、18…ドライブトレイン、20…変速システム、22…ペダル、26…フロントチェーンホイール、28…チェーン、30…リアスプロケット、32…モータ、34…バッテリ、40…制御装置、42…変速装置、44…リアディレーラ、60…車速センサ、62…クランク回転センサ、64…トルクセンサ、66…傾斜センサ、68…GPS装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9