(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システム
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20241007BHJP
B62J 45/415 20200101ALI20241007BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/415
(21)【出願番号】P 2020219512
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】井上 暁
(72)【発明者】
【氏名】杉本 明信
(72)【発明者】
【氏名】江村 篤裕
(72)【発明者】
【氏名】原 宣功
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 信吾
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-029206(JP,A)
【文献】特開平08-310477(JP,A)
【文献】特開2020-138700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62J 45/415
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記人力駆動車の推進方向における負方向に、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制
御し、
前記荷重に関する情報は、ユーザのサドル上における前記負方向への体重の移動によって発生する前記負方向の力、および、ユーザがペダルを介して発生させる前記負方向に向かう力の少なくとも1つを検出する第1センサにおいて検出される、制御装置。
【請求項2】
人力駆動車用の制御装置であって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、
前記制御部は、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる引っ張り方向の荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制
御し、
前記荷重に関する情報は、ユーザのサドル上における前記人力駆動車の推進方向における負方向への体重の移動によって発生する前記負方向の力、および、ユーザがペダルを介して発生させる前記負方向に向かう力の少なくとも1つを検出する第1センサにおいて検出される、制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの駆動を制限する、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの出力を減少させる、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、前記荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1センサは、前記人力駆動車
のペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる前記荷重を検出する、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記荷重に関する情報は、ユーザから前記人力駆動車のハンドルに対して加えられる前記荷重に関する情報をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータを駆動させる、請求項
6または7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータの出力を増加させる、請求項
6または7に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる前記人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報に応じて前記モータを制御する、請求項1から
9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
人力駆動車用の制御装置であって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、前記人力駆動車の推進方向における正方向に、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報に応じて前記モータを制
御し、
ユーザから前記人力駆動車のペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる前記荷重に応じて前記モータを制御する、制御装置。
【請求項12】
人力駆動車用の制御装置であって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる押し込み方向の荷重に関する情報に応じて前記モータを制
御し、
前記押し込み方向は、少なくとも前記人力駆動車の下方を含む、制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、ユーザから前記人力駆動車
のペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる前記荷重に応じて前記モータを制御する、請求項
12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータを駆動させる、請求項
11から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータの出力を増加させる、請求項
11から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、ユーザから前記人力駆動車のハンドルに対して加えられる前記荷重に関する情報に応じて前記モータを制御する、請求項10から15のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記人力駆動車のブレーキ装置を制御する、請求項
11または
12に記載の制御装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記人力駆動車に人力駆動力が入力される状態で前記モータを駆動する、請求項1から
17のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記人力駆動車に人力駆動力が入力されない状態で前記モータを駆動する、請求項1から
18のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項20】
人力駆動車用の制御システムであって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、
前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、
前記人力駆動車のピッチ角度を検出する第2センサと、を備え、
前記制御部は、前記第1センサにおいて検出された前記人力駆動車の推進方向における負方向の荷重に関する情報と、前記第2センサにおいて検出された前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制
御し、
前記荷重に関する情報は、ユーザのサドル上における前記負方向への体重の移動によって発生する前記負方向の力、および、ユーザがペダルを介して発生させる前記負方向に向かう力の少なくとも1つを検出する前記第1センサにおいて検出される、制御システム。
【請求項21】
人力駆動車用の制御システムであって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、
前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、
前記人力駆動車のピッチ角度を検出する第2センサと、を備え、
前記制御部は、前記第1センサにおいて検出された引っ張り方向の荷重に関する情報と、前記第2センサにおいて検出された前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制
御し、
前記荷重に関する情報は、ユーザのサドル上における前記人力駆動車の推進方向における負方向への体重の移動によって発生する前記負方向の力、および、ユーザがペダルを介して発生させる前記負方向に向かう力の少なくとも1つを検出する前記第1センサにおいて検出される、制御システム。
【請求項22】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの駆動を制限する、請求項
20または
21に記載の制御システム。
【請求項23】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの出力を減少させる、請求項
20または
21に記載の制御システム。
【請求項24】
前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる前記人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する、請求項
20から
23のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項25】
前記第2センサは、傾斜センサおよび加速度センサの少なくとも1つを含む、請求項
20から
24のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項26】
人力駆動車用の制御システムであって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、
前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、
前記人力駆動車にユーザが搭乗しているかを検出する第3センサと、を備え、
前記制御部は、前記第3センサが前記人力駆動車へのユーザの搭乗を検出している状態で、前記第1センサにおいて検出された前記人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報に応じて、前記モータを制
御し、
ユーザから前記人力駆動車のペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる前記荷重に応じて前記モータを制御する、制御システム。
【請求項27】
人力駆動車用の制御システムであって、
人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、
前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、
前記人力駆動車にユーザが搭乗しているかを検出する第3センサと、を備え、
前記制御部は、前記第3センサが前記人力駆動車へのユーザの搭乗を検出している状態で、前記第1センサにおいて検出された押し込み方向の荷重に関する情報に応じて、前記モータを制
御し、
前記押し込み方向は、少なくとも前記人力駆動車の下方を含む、制御システム。
【請求項28】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータを駆動させる、請求項
26または
27に記載の制御システム。
【請求項29】
前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータの出力を増加させる、請求項
26または
28に記載の制御システム。
【請求項30】
前記第3センサは、前記人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに設けられる荷重センサを含む、請求項
26から
29のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項31】
前記第1センサは、前記人力駆動車
のペダル、および、サドルの少なくとも1つに設けられる、請求項
20から
30のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項32】
前記第1センサは、前記人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに設けられる、請求項27に記載の制御システム。
【請求項33】
前記第1センサは、加速度センサおよび荷重センサの少なくとも1つを含む、請求項
20から
32のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項34】
前記制御部は、前記人力駆動車のブレーキ装置を制御する、請求項
26または
27に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、人力駆動車用の制御装置を開示する。特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の推進方向における負方向に、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する。
上記第1側面の制御装置によれば、人力駆動車の推進方向における負方向に、ユーザから人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報と、人力駆動車のピッチ角度と、に応じてモータを制御できる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0006】
本開示の第2側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる引っ張り方向の荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する。
上記第2側面の制御装置によれば、ユーザから人力駆動車に対して加えられる引っ張り方向の荷重に関する情報と、人力駆動車のピッチ角度と、に応じてモータを制御できる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの駆動を制限する。
上記第3側面の制御装置によれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、モータの駆動を制限できる。
【0008】
前記第1または第2側面に従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの出力を減少させる。
上記第4側面の制御装置によれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、モータの出力を減少させられる。
【0009】
前記第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、前記荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する。
上記第5側面の制御装置によれば、人力駆動車にユーザが搭乗している場合、荷重に関する情報と、人力駆動車のピッチ角度と、に応じてモータを好適に制御できる。
【0010】
前記第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記制御部は、ユーザから前記人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる前記荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する。
上記第6側面の制御装置によれば、ユーザから人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる荷重に関する情報と、人力駆動車のピッチ角度と、に応じてモータを制御できる。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータを駆動させる。
上記第7側面の制御装置によれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、モータを駆動できる。
【0012】
前記第6側面に従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータの出力を増加させる。
上記第8側面の制御装置によれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、モータの出力を増加させられる。
【0013】
前記第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる前記人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報に応じて前記モータを制御する。
上記第9側面の制御装置によれば、人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報に応じてモータを制御できる。
【0014】
本開示の第10側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、前記人力駆動車の推進方向における正方向に、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報に応じて前記モータを制御する、制御装置。
上記第10側面の制御装置によれば、人力駆動車にユーザが搭乗している場合、人力駆動車の推進方向における正方向に、ユーザから人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報に応じてモータを制御できる。
【0015】
本開示の第11側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる押し込み方向の荷重に関する情報に応じて前記モータを制御する。
上記第11側面の制御装置によれば、人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから人力駆動車に対して加えられる押し込み方向の荷重に関する情報に応じてモータを制御できる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0016】
前記第10または第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータを駆動させる。
上記第12側面の制御装置によれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、モータを駆動できる。
【0017】
前記第10または第11側面に従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータの出力を増加させる。
上記第13側面の制御装置によれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、モータの出力を増加させられる。
【0018】
前記第9から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記制御部は、ユーザから前記人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる前記荷重に関する情報に応じて前記モータを制御する。
上記第14側面の制御装置によれば、ユーザから人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに対して加えられる荷重に関する情報に応じてモータを制御できる。
【0019】
前記第10または第11側面に従う第15側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車のブレーキ装置を制御する。
上記第15側面の制御装置によれば、ブレーキ装置を制御できる。
【0020】
前記第1から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車に人力駆動力が入力される状態で前記モータを駆動する。
上記第16側面の制御装置によれば、人力駆動車に人力駆動力が入力される状態でモータを駆動できる。
【0021】
前記第1から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車に人力駆動力が入力されない状態で前記モータを駆動する。
上記第17側面の制御装置によれば、人力駆動車に人力駆動力が入力されない状態でモータを駆動できる。
【0022】
本開示の第18側面に従う制御システムは、人力駆動車用の制御システムであって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、前記人力駆動車のピッチ角度を検出する第2センサと、を備え、前記制御部は、前記第1センサにおいて検出された前記人力駆動車の推進方向における負方向の荷重に関する情報と、前記第2センサにおいて検出された前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する。
上記第18側面の制御システムによれば、第1センサにおいて検出された人力駆動車の推進方向における負方向の荷重に関する情報と、第2センサにおいて検出された人力駆動車のピッチ角度と、に応じてモータを制御できる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0023】
本開示の第19側面に従う制御システムは、人力駆動車用の制御システムであって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、前記人力駆動車のピッチ角度を検出する第2センサと、を備え、前記制御部は、前記第1センサにおいて検出された引っ張り方向の荷重に関する情報と、前記第2センサにおいて検出された前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する。
上記第19側面の制御システムによれば、第1センサにおいて検出された引っ張り方向の荷重に関する情報と、第2センサにおいて検出された人力駆動車のピッチ角度と、に応じてモータを制御できる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0024】
前記第18または第19側面に従う第20側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの駆動を制限する。
上記第20側面の制御システムによれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、モータの駆動を制限できる。
【0025】
前記第18または第19側面に従う第21側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、前記モータの出力を減少させる。
上記第21側面の制御システムによれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第1角度以下の場合、モータの出力を減少させられる。
【0026】
前記第18から第21側面のいずれか1つに従う第22側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから前記人力駆動車に対して加えられる前記人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報と、前記人力駆動車のピッチ角度と、に応じて前記モータを制御する。
上記第22側面の制御システムによれば、人力駆動車にユーザが搭乗している場合、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報と、人力駆動車のピッチ角度と、に応じてモータを制御できる。
【0027】
前記第18から第22側面のいずれか1つに従う第23側面の制御システムにおいて、前記第2センサは、傾斜センサおよび加速度センサの少なくとも1つを含む。
上記第23側面の制御システムによれば、傾斜センサおよび加速度センサの少なくとも1つを含む第2センサによって人力駆動車のピッチ角度を検出できる。
【0028】
本開示の第24側面に従う制御システムは、人力駆動車用の制御システムであって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、前記人力駆動車にユーザが搭乗しているかを検出する第3センサと、を備え、前記制御部は、前記第3センサが前記人力駆動車へのユーザの搭乗を検出している状態で、前記第1センサにおいて検出された前記人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報に応じて、前記モータを制御する。
上記第24側面の制御システムによれば、第3センサが人力駆動車へのユーザの搭乗を検出している状態で、第1センサにおいて検出された人力駆動車の推進方向における正方向の荷重に関する情報に応じて、モータを制御できる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0029】
本開示の第25側面に従う制御システムは、人力駆動車用の制御システムであって、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部と、前記人力駆動車のユーザから前記人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出する第1センサと、前記人力駆動車にユーザが搭乗しているかを検出する第3センサと、を備え、前記制御部は、前記第3センサが前記人力駆動車へのユーザの搭乗を検出している状態で、前記第1センサにおいて検出された押し込み方向の荷重に関する情報に応じて、前記モータを制御する。
上記第25側面の制御システムによれば、第3センサが人力駆動車へのユーザの搭乗を検出している状態で、第1センサにおいて検出された押し込み方向の荷重に関する情報に応じて、モータを制御できる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0030】
前記第24または第25側面に従う第26側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータを駆動させる。
上記第26側面の制御システムによれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、モータを駆動させられる。
【0031】
前記第24または第25側面に従う第27側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、前記人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、前記モータの出力を増加させる。
上記第27側面の制御システムによれば、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間内において、人力駆動車のピッチ角度が第2角度以上の場合、モータの出力を増加させられる。このため、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【0032】
前記第24から第27側面のいずれか1つに従う第28側面の制御システムにおいて、前記第3センサは、前記人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに設けられる荷重センサを含む。
上記第28側面の制御システムによれば、人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに設けられる荷重センサを含む第3センサによって、人力駆動車へのユーザの搭乗を検出できる。
【0033】
前記第18から第28側面のいずれか1つに従う第29側面の制御システムにおいて、前記第1センサは、加速度センサおよび荷重センサの少なくとも1つを含む。
上記第29側面の制御システムによれば、加速度センサおよび荷重センサの少なくとも1つを含む第1センサによって、人力駆動車に対して加えられる荷重に関する情報を検出できる。
【0034】
前記第18から第29側面のいずれか1つに従う第30側面の制御システムにおいて、前記第1センサは、前記人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに設けられる。
上記第30側面の制御システムによれば、第1センサが人力駆動車のハンドル、ペダル、および、サドルの少なくとも1つに設けられるため、人力駆動車に対して加えられる荷重を好適に検出できる。
【0035】
前記第24または第25側面に従う第31側面の制御システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車のブレーキ装置を制御する。
上記第31側面の制御システムによれば、ブレーキ装置を制御できる。
【発明の効果】
【0036】
本開示の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムは、ユーザから人力駆動車に対して加えられる人力駆動車の推進方向における荷重に関する情報を用いてモータを好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムを含む人力駆動車の側面図。
【
図2】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムを含む人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
【
図5】
図2の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図6】
図2の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【
図7】第2実施形態の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムを含む人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
【
図8】第2実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<第1実施形態>
図1から
図6を参照して、第1実施形態の人力駆動車用の制御装置60を説明する。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力Hによって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力Hだけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車、かつ、マウンテンバイクとして説明する。
【0039】
人力駆動車10は、人力駆動力Hが入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪14と、車体16と、をさらに備える。少なくとも1つの車輪14は、後輪14Rと、前輪14Fと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能な入力回転軸12Aと、入力回転軸12Aの軸方向の第1端部に設けられる第1クランクアーム12Bと、入力回転軸12Aの軸方向の第2端部に設けられる第2クランクアーム12Cと、を含む。本実施形態において、入力回転軸12Aは、クランク軸である。第1クランクアーム12Bには、第1ペダル20Aが連結される。第2クランクアーム12Cには、第2ペダル20Bが連結される。
【0040】
人力駆動車10は、駆動機構22を備える。駆動機構22は、入力回転軸12Aに連結される第1回転体24を含む。入力回転軸12Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0041】
第2回転体26は、後輪14Rに連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と後輪14Rとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転する場合に、後輪14Rを前転させ、第2回転体26が後転する場合に、第2回転体26と後輪14Rとの相対回転を許容するように構成される。人力駆動車10は、変速機を含んでいてもよい。変速機は、外装変速機および内装変速機の少なくとも1つを含む。外装変速機は、例えば、ディレーラ、第1回転体24、および、第2回転体26を含む。ディレーラは、フロントディレーラおよびリアディレーラの少なくとも1つを含む。第1回転体24は、複数のスプロケットを含んでいてもよい。第2回転体26は、複数のスプロケットを含んでいてもよい。内装変速機は、例えば、後輪14Rのハブに設けられてもよく、入力回転軸12Aから第1回転体24までの動力伝達経路に設けられてもよい。
【0042】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Fが取り付けられる。フロントフォーク30には、ハンドル34がステム32を介して連結される。本実施形態では、後輪14Rが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Rおよび前輪14Fの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。フレーム18には、シートポストを介してサドル36が取り付けられる。
【0043】
人力駆動車10は、バッテリ38をさらに含む。バッテリ38は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ38は、制御装置60に電力を供給するように構成される。バッテリ38は、好ましくは、制御装置60の制御部62と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリ38は、例えば電力線通信(PLC;power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御部62と通信可能である。
【0044】
人力駆動車10は、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ40を含む。モータ40は、1または複数の電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ40は、ペダル20A,20Bから後輪14Rまでの人力駆動力Hの動力伝達経路、および、前輪14Fの少なくとも1つに回転力を伝達するように構成される。ペダル20A,20Bから後輪14Rまでの人力駆動力Hの動力伝達経路には、後輪14Rも含まれる。本実施形態では、モータ40は、人力駆動車10のフレーム18に設けられ、第1回転体24に回転力を伝達するように構成される。
【0045】
モータ40は、ハウジング42Aに設けられる。ハウジング42Aは、フレーム18に設けられる。ハウジング42Aは、例えばフレーム18に着脱可能に取り付けられる。モータ40およびモータ40が設けられるハウジング42Aを含んで、ドライブユニット42が構成される。ドライブユニット42には、モータ40の出力軸に接続される減速機が設けられてもよい。本実施形態では、ハウジング42Aは、入力回転軸12Aを回転可能に支持する。本実施形態では、モータ40と入力回転軸12Aとの間の動力伝達経路において、好ましくは、第3ワンウェイクラッチが設けられる。第3ワンウェイクラッチは、人力駆動車10が前進する方向に入力回転軸12Aを回転させた場合における、クランク12の回転力のモータ40への伝達を抑制するように構成される。後輪14Rおよび前輪14Fの少なくとも1つにモータ40が設けられる場合、モータ40は、ハブに設けられて、ハブと共にハブモータを構成し得る。
【0046】
図2に示すように、人力駆動車用の制御システム50は、制御装置60の制御部62と、第1センサ52と、第2センサ54と、を含む。
【0047】
第1センサ52は、人力駆動車10のユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重に関する情報を検出する。第2センサ54は、人力駆動車10のピッチ角度DAを検出する。
【0048】
好ましくは、第1センサ52は、加速度センサおよび荷重センサの少なくとも1つを含む。好ましくは、第1センサ52は、人力駆動車10のハンドル34、ペダル20A,20B、および、サドル36の少なくとも1つに設けられる。
【0049】
好ましくは、第1センサ52は、人力駆動車10の推進方向X1における負方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重を検出可能に構成される。第1センサ52は、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる引っ張り方向X2の荷重を検出可能に構成されてもよい。
【0050】
図3に示されるように、推進方向X1は、ペダル20A,20Bを第1回転方向に回転させることによって、人力駆動車10が進む方向と対応する。引っ張り方向X2は、推進方向X1における負方向を含む。引っ張り方向X2は、例えば、推進方向X1における負方向から、人力駆動車10の上方までの範囲を含む。人力駆動車10の上方は、例えば、前輪14Fおよび後輪14Rが水平な地面に接触した状態における垂直方向と対応する。引っ張り方向X2は、例えば、人力駆動車10に搭乗するユーザがハンドル34を自分または人力駆動車10の推進方向X1の負方向に向かって引っ張る場合の力の方向と対応する。人力駆動車10に搭乗するユーザは、例えば、平地から上り坂(コブなどを含む)に進入した局面または下り坂から上り坂に進入した局面において、ハンドル34を自分または人力駆動車10の推進方向X1の負方向に向かって引っ張ることによって、人力駆動車10に上り坂を越えるための推進力を付与する。人力駆動車10に搭乗するユーザは、例えば、サドル36上において推進方向X1の負方向に体重を移動させることによって、自分または人力駆動車10の推進方向X1の負方向に向かって引っ張る力を発生させ、人力駆動車10に上り坂を越えるための推進力を付与する。人力駆動車10に搭乗するユーザは、例えば、ペダル20A,20Bを介して自分または人力駆動車10の推進方向X1の負方向に向かって引っ張る力を発生させ、人力駆動車10に上り坂を越えるための推進力を付与する。
【0051】
好ましくは、第1センサ52は、人力駆動車10の推進方向X1における正方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重を検出可能に構成される。第1センサ52は、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる押し込み方向X3の荷重を検出可能に構成されてもよい。
【0052】
図4に示されるように、押し込み方向X3は、推進方向X1における正方向を含む。押し込み方向X3は、例えば、推進方向X1における正方向から、人力駆動車10の
下方までの範囲を含む。押し込み方向X3は、例えば、人力駆動車10に搭乗するユーザがハンドル34を自分の前方または人力駆動車10の推進方向X1の正方向に向かって押し込む場合の力の方向と対応する。人力駆動車10に搭乗するユーザは、例えば、平地から下り坂(溝などを含む)に進入する局面または上り坂から下り坂に進入する局面において、ハンドル34を自分の前方または人力駆動車10の推進方向X1の正方向に向かって押し込むことによって、人力駆動車10に推進方向X1の正方向への推進力を付与する。人力駆動車10に搭乗するユーザは、例えば、サドル36上において推進方向X1の正方向に体重を移動させることによって、自分の前方または人力駆動車10の推進方向X1の正方向に向かって押し込む力を発生させる。人力駆動車10に搭乗するユーザは、例えば、ペダル20A,20Bを介して自分の前方または人力駆動車10の推進方向X1の正方向に向かって押し込む力を発生させる。
【0053】
第1センサ52が加速度センサを含む場合、好ましくは、第1センサ52は、人力駆動車10の推進方向X1における加速度を検出する。第1センサ52が荷重センサを含む場合、好ましくは、第1センサ52は、ハンドル34、ペダル20A,20B、および、サドル36の少なくとも1つに加えられるユーザの荷重を検出する。荷重センサは、歪みセンサ、または、圧力センサを含んでいてもよい。制御部62は、ハンドル34、ペダル20A,20B、および、サドル36の少なくとも1つに加えられる人力駆動車10の推進方向X1における負方向への荷重を検出する。第1センサ52が加速度センサを含む場合、好ましくは、第1センサ52は、引っ張り方向X2および押し込み方向X3の加速度を検出する。第1センサ52が荷重センサを含む場合、好ましくは、第1センサ52は、引っ張り方向X2および押し込み方向X3の荷重を検出する。
【0054】
第2センサ54は、傾斜センサおよび加速度センサの少なくとも1つを含む。傾斜センサは、例えば、ジャイロセンサを含む。第2センサ54は、GPS(Global Positioning System)受信機を含んでいてもよい。第2センサ54がGPS受信機を含む場合、制御装置60の記憶部64に道路勾配に関する情報を含む地図情報が予め記憶され、制御部62は、人力駆動車10の現在地の道路勾配をピッチ角度DAとして取得する。
【0055】
好ましくは、制御システム50は、人力駆動車10にユーザが搭乗しているかを検出する第3センサ56を備える。第3センサ56は、人力駆動車10のハンドル34、ペダル20A,20B、および、サドル36の少なくとも1つに設けられる荷重センサを含む。第3センサ56は、第2センサ54の荷重センサと一体に構成されてもよい。
【0056】
制御装置60は、制御部62を含む。制御部62は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部62に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部62に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。例えば、演算処理装置の一部は、人力駆動車10に設けられ、演算処理装置の他の一部は、インターネットに接続されるサーバに設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0057】
好ましくは、制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0058】
制御装置60は、好ましくは、モータ40の駆動回路66をさらに備える。駆動回路66と、制御部62とは、好ましくは、ドライブユニット42のハウジング42Aに設けられる。駆動回路66と、制御部62とは、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路66は、インバータ回路を含む。駆動回路66は、バッテリ38からモータ40に供給される電力を制御する。駆動回路66は、制御部62と、導電線、電気ケーブルまたは無線通信装置などを介して接続される。駆動回路66は、制御部62からの制御信号に応じてモータ40を駆動させる。
【0059】
制御部62は、人力駆動車10の推進をアシストするモータ40を制御する。好ましくは、制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ40を制御するように構成される。好ましくは、制御部62は、人力駆動車10に人力駆動力Hが入力される状態でモータ40を駆動する。人力駆動力Hは、トルクによって表されてもよく、仕事率によって表されてもよい。
【0060】
好ましくは、人力駆動車10は、車速センサ44、クランク回転センサ46、および、人力駆動力検出部48の少なくとも1つをさらに含む。
【0061】
車速センサ44は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を検出するように構成される。本実施形態では、車速センサ44は、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14の回転速度Wに関する情報を検出するように構成される。車速センサ44は、例えば、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ44は、例えば、少なくとも1つの車輪14のうちの1つの車輪14が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速センサ44は、車輪14の回転速度Wに応じた信号を出力する。制御部62は、車輪14の回転速度Wに応じた信号と、車輪14の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速Vを算出できる。記憶部64には車輪14の周長に関する情報が記憶される。
【0062】
車速センサ44は、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子などの磁気センサを含む。車速センサ44は、人力駆動車10のフレーム18のチェーンステイに取り付けられ、前輪14Fに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク30に設けられ、後輪14Rに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。本実施形態において、車速センサ44は、車輪14が1回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ44は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、車輪14に設けられる磁石を検出する構成に限らず、例えば、ディスクブレーキに設けられるスリットを検出するように構成されてもよく、光学センサなどを含んで構成されてもよく、GPS(Global Positioning System)受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ44がGPS受信器を含む場合、制御部62は、時間と移動距離とに応じて車速Vを算出できる。車速センサ44は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0063】
クランク回転センサ46は、入力回転軸12Aの回転速度Cに関する情報を検出するように構成される。クランク回転センサ46は、例えば、人力駆動車10のフレーム18またはドライブユニット42に設けられる。クランク回転センサ46は、ドライブユニット42のハウジング42Aに設けられてもよい。クランク回転センサ46は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、入力回転軸12A、入力回転軸12Aに連動して回転する部材、または、入力回転軸12Aから第1回転体24までの間の動力伝達経路に設けられる。入力回転軸12Aに連動して回転する部材は、モータ40の出力軸を含んでもよい。
【0064】
クランク回転センサ46は、入力回転軸12Aの回転速度Cに応じた信号を出力する。例えば、入力回転軸12Aと第1回転体24との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、磁石は、第1回転体24に設けられてもよい。クランク回転センサ46は、入力回転軸12Aの回転速度Cに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。クランク回転センサ46は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0065】
人力駆動力検出部48は、人力駆動力Hに関する情報を検出するように構成される。人力駆動力検出部48は、例えば、人力駆動車10のフレーム18、ドライブユニット42、クランク12、または、ペダル20A,20Bに設けられる。人力駆動力検出部48は、ドライブユニット42のハウジング42Aに設けられてもよい。人力駆動力検出部48は、例えば、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力Hによってクランク12に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。トルクセンサは、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、好ましくは、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。
【0066】
トルクセンサは、動力伝達経路、または、動力伝達経路に含まれる部材の近傍に設けられる。動力伝達経路に含まれる部材は、例えば、入力回転軸12A、入力回転軸12Aと第1回転体24との間において人力駆動力Hを伝達する部材、クランクアーム12B,12C、または、ペダル20A,20Bである。人力駆動力検出部48は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。人力駆動力検出部48は、人力駆動力Hに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、例えば、ペダル20A,20Bに与えられる圧力を検出するセンサ、または、チェーンの張力を検出するセンサなどを含んでいてもよい。
【0067】
制御部62は、例えば、モータ40によるアシストレベルAが、予め定めるアシストレベルAになるようにモータ40を制御するように構成される。アシストレベルAは、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに対するモータ40の出力の比率、モータ40の出力の最大値、および、モータ40の出力が低下する場合におけるモータ40の出力変動の抑制レベルRの少なくとも1つを含む。人力駆動力Hに対するモータ40によるアシスト力の比率を、アシスト比率と記載する場合がある。アシスト比率は、人力駆動車10の人力トルクに対するアシストトルクのトルク比率であってもよく、人力仕事率に対するモータ40によるアシスト仕事率の比率であってもよい。
【0068】
制御部62は、例えば、人力駆動力Hに対して、モータ40によるアシスト力が予め定める比率になるように、モータ40を制御するように構成される。人力駆動力Hは、ユーザがクランク12を回転させることによって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。アシスト力は、モータ40が回転によって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。予め定める比率は、一定ではなく、例えば、人力駆動力Hに応じて変化してもよく、入力回転軸12Aの回転速度Cに応じて変化してもよく、車速Vに応じて変化してもよく、人力駆動力H、入力回転軸12Aの回転速度C、および、車速Vのうちのいずれか2つ、または、全てに応じて変化してもよい。
【0069】
本実施形態のドライブユニット42では、クランク12が変速機を介さずに第1回転体24に接続され、かつ、モータ40の出力が第1回転体24に入力される。クランク12が変速機を介さずに第1回転体24に接続され、かつ、モータ40の出力が第1回転体24に入力される場合、人力駆動力Hは、ユーザがクランク12を回転させることによって第1回転体24に入力される駆動力に対応する。クランク12が変速機を介さずに第1回転体24に接続され、かつ、モータ40の出力が第1回転体24に入力される場合、アシスト力は、モータ40が回転することによって第1回転体24に入力される駆動力に対応する。モータ40の出力が減速機を介して第1回転体24に入力される場合は、アシスト力は、減速機の出力に対応する。
【0070】
前輪14Fにモータ40が設けられる場合、人力駆動力Hは、ユーザのみによって駆動される前輪14Fの出力に対応する。前輪14Fにモータ40が設けられる場合、アシスト力は、モータ40のみによって駆動される前輪14Fの出力に対応する。後輪14Rにモータ40が設けられる場合、人力駆動力Hは、ユーザのみによって駆動される前輪14Fの出力に対応する。後輪14Rにモータ40が設けられる場合、アシスト力は、モータ40のみによって駆動される後輪14Rの出力に対応する。
【0071】
制御部62は、アシスト力が上限値MX以下になるようにモータ40を制御するように構成される。モータ40の出力が第1回転体24に入力され、かつ、アシスト力がトルクによって表される場合、制御部62は、アシストトルクが上限値MTX以下になるようにモータ40を制御するように構成される。好ましくは、上限値MTXは、20Nm以上200Nm以下の範囲の値である。上限値MTXは、例えば、モータ40の出力特性によって決定される。モータ40の出力が第1回転体24に入力され、かつ、アシスト力が仕事率によって表される場合、制御部62は、アシスト仕事率が上限値MWX以下になるようにモータ40を制御するように構成される。
【0072】
好ましくは、制御部62は、モータ40の出力変動の抑制レベルRを変更可能に構成される。モータ40の出力変動の抑制レベルRが大きくなるほど、モータ40の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ40の出力の単位時間当たりの変化量が減少する。モータ40の出力変動の抑制レベルRが小さくなるほど、モータ40の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ40の出力の単位時間当たりの変化量が増加する。モータ40の制御パラメータは、人力駆動力Hまたは入力回転軸12Aの回転速度Cである。モータ40の出力変動の抑制レベルRは、モータ40の応答速度に反比例する。モータ40の応答速度は、モータ40の制御パラメータの単位時間当たりの変化量に対するモータ40の出力の単位時間当たりの変化量によって表される。モータ40の出力変動の抑制レベルRが増加すると、モータ40の応答速度は減少する。
【0073】
制御部62は、例えば、フィルタによって抑制レベルを変更する。フィルタは、例えば、時定数を有するローパスフィルタを含む。制御部62は、フィルタの時定数を変更することによって抑制レベルRを変更する。制御部62は、人力駆動力Hから制御部62の出力を算出するためのゲインを変更することによって抑制レベルRを変更するようにしてもよい。フィルタは、例えば、演算処理装置において予め定めるソフトウェアを実行することによって構成される。
【0074】
制御部62は、人力駆動車10の推進方向X1における負方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重に関する情報と、人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御する。好ましくは、制御部62は、ユーザから人力駆動車10のハンドル34、ペダル20A,20B、および、サドル36の少なくとも1つに対して加えられる荷重に関する情報と、人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御する。好ましくは、制御部62は、第1センサ52において検出された人力駆動車10の推進方向X1における負方向の荷重に関する情報と、第2センサ54において検出された人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御する。
【0075】
制御部62は、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる引っ張り方向X2の荷重に関する情報と、人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御してもよい。
【0076】
好ましくは、制御部62は、人力駆動車10の推進方向X1における負方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第1荷重以上の場合、ピッチ角度DAに応じてモータ40を制御する。第1荷重は、ユーザが人力駆動車10の車速Vを減速させるために人力駆動車10に荷重を加える場合と対応する値が設定される。
【0077】
好ましくは、制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下の場合、モータ40の駆動を制限する。例えば、制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下の場合、モータ40の出力を減少させる。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下の場合、アシストレベルAを低下させてもよい。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下の場合、モータ40の駆動を停止してもよい。ピッチ角度DAおよび第1角度DA1は、絶対角度でもよく、ピッチ角度DAの所定時間あたりの変化量によって表されてもよい。なお、例えば、ピッチ角度DAおよび第1角度DA1が絶対角度である場合、ピッチ角度DAが正の値である場合は走行路が上り坂、ゼロである場合は走行路が平地、負の値である場合は走行路が下り坂、であることを意味する。
【0078】
例えば、第1時間T1および第1角度DA1は、第1車速V1において平地または下り坂を走行している状態において、人力駆動車10が上り坂に進入する局面を想定して設定される。好ましくは、ピッチ角度DAおよび第1角度DA1が絶対角度によって表される場合、好ましくは、第1角度DA1は、正の値である。ピッチ角度DAおよび第1角度DA1がピッチ角度DAの所定時間あたりの変化量によって表される場合、好ましくは、第1角度DA1は、正の値である。
【0079】
好ましくは、制御部62は、人力駆動車10にユーザが搭乗している場合、荷重に関する情報と、人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御する。制御部62は、例えば、第3センサ56の出力に応じて人力駆動車10にユーザが搭乗している場合、荷重に関する情報と、人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御する。人力駆動車10にユーザが搭乗している場合は、例えば、ユーザが座り漕ぎをしている場合および立ち漕ぎをしている場合を含む。好ましくは、人力駆動車10にユーザが搭乗している場合は、ユーザが人力駆動車10を押し歩きする場合を含まない。
【0080】
図5を参照して、負方向の荷重に関し、制御部62がモータ40を制御する処理について説明する。なお、本処理は、引っ張り方向の荷重に関しても援用できる。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図5に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部62は、
図5のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0081】
制御部62は、ステップS11において、ユーザが搭乗しているか否かを判定する。制御部62は、ユーザが搭乗していない場合、処理を終了する。制御部62は、ユーザが搭乗している場合、ステップS12に移行する。
【0082】
制御部62は、ステップS12において、推進方向X1における負方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第1荷重以上か否かを判定する。制御部62は、推進方向X1における負方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第1荷重以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、推進方向X1における負方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第1荷重以上の場合、ステップS13に移行する。
【0083】
制御部62は、ステップS13において、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下か否かを判定する。例えば、制御部62は、ステップS12においてYESと判定した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下か否かを判定する。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下ではない場合、処理を終了する。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第1時間T1内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第1角度DA1以下の場合、ステップS14に移行する。
【0084】
制御部62は、ステップS14において、モータ40の駆動を制限し、処理を終了する。制御部62は、ステップS14において、例えば、アシストレベルAを低下させる。制御部62は、ステップS14において、例えば、モータ40の駆動を停止する。上述の通り、本実施形態では、例えば、人力駆動車10が平地または下り坂から第1車速V1において上り坂に進入する局面が想定される。そのような局面において、推進方向X1における負方向または引っ張り方向X2において人力駆動車10に対して荷重が加えられる場合、モータ40の駆動を促進させると人力駆動車10のバランスに影響を及ぼす可能性がある。このため、本実施形態におけるモータ40の制御が有効となる。
【0085】
制御部62は、ステップS14の処理の後、解除条件が成立した場合、モータ40の駆動の制限を解除してもよい。解除条件は、例えば、モータ40の駆動を制限してから所定時間が経過した場合、または、ピッチ角度DAが第1角度DA1よりも大きくなった場合等に成立する。
【0086】
制御部62は、人力駆動車10にユーザが搭乗している場合、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる人力駆動車10の推進方向X1における正方向の荷重に関する情報に応じてモータ40を制御する。制御部62は、人力駆動車10にユーザが搭乗している場合、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる押し込み方向X3の荷重に関する情報に応じてモータ40を制御してもよい。
【0087】
好ましくは、制御部62は、ユーザから人力駆動車10のハンドル34、ペダル20A,20B、および、サドル36の少なくとも1つに対して加えられる荷重に関する情報に応じてモータ40を制御する。好ましくは、制御部62は、ユーザから人力駆動車10のハンドル34、ペダル20A,20B、および、サドル36の少なくとも1つに対して加えられる人力駆動車10の推進方向X1における正方向の荷重に関する情報に応じてモータ40を制御する。
【0088】
好ましくは、制御部62は、人力駆動車10にユーザが搭乗している場合、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる人力駆動車10の推進方向X1における正方向の荷重に関する情報と、人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御する。
【0089】
好ましくは、制御部62は、人力駆動車10の推進方向X1における正方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第2荷重以上の場合、ピッチ角度DAに応じてモータ40を制御する。
【0090】
制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以上の場合、モータ40を駆動させる。例えば、制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以上の場合、モータ40の出力を増加させる。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以上の場合、アシストレベルAを上昇させてもよい。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以下の場合、かつ、モータ40の駆動が停止している場合、モータ40を駆動させてもよい。
【0091】
例えば、第2時間T2および第2角度DA2は、例えば、人力駆動車10が第2車速V2によって平地または上り坂を走行している状態から下り坂に進入する局面を想定して設定される。ピッチ角度DAおよび第2角度DA2は、絶対角度でもよく、ピッチ角度DAの所定時間あたりの変化量によって表されてもよい。
【0092】
好ましくは、ピッチ角度DAおよび第2角度DA2が絶対角度によって表される場合、好ましくは、第2角度DA2は、負の値である。ピッチ角度DAおよび第2角度DA2がピッチ角度DAの所定時間あたりの変化量によって表される場合、好ましくは、第2角度DA2は、負の値である。
【0093】
図6を参照して、正方向の荷重に関し、制御部62がモータ40を制御する処理について説明する。なお、本処理は、押し込み方向の荷重に関しても援用できる。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図6に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部62は、
図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0094】
制御部62は、ステップS21において、ユーザが搭乗しているか否かを判定する。制御部62は、ユーザが搭乗していない場合、処理を終了する。制御部62は、ユーザが搭乗している場合、ステップS22に移行する。
【0095】
制御部62は、ステップS22において、推進方向X1における正方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第2荷重以上か否かを判定する。制御部62は、推進方向X1における正方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第2荷重以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、推進方向X1における正方向に、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる荷重が第2荷重以上の場合、ステップS23に移行する。
【0096】
制御部62は、ステップS23において、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以上か否かを判定する。例えば、制御部62は、ステップS22においてYESと判定した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以上か否かを判定する。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、荷重に関する情報を検出した時点から遡った第2時間T2内において、人力駆動車10のピッチ角度DAが第2角度DA2以上の場合、ステップS24に移行する。
【0097】
制御部62は、ステップS24において、モータ40の駆動を促進し、処理を終了する。制御部62は、ステップS24において、例えば、アシストレベルAを上昇させる。制御部62は、ステップS24において、例えば、モータ40の駆動を開始する。上述の通り、本実施形態では、例えば、人力駆動車10が平地または上り坂から第2車速V2において下り坂に進入する局面が想定される。そのような局面において、推進方向X1における正方向において人力駆動車10に対して荷重を加えることにより人力駆動車10を加速させ、モータ40の駆動を促進することにより人力駆動車10をさらに加速させることができる。このため、本実施形態におけるモータ40の制御が有効となる。
【0098】
制御部62は、ステップS24の処理の後、解除条件が成立した場合、モータ40の駆動の制限を解除してもよい。解除条件は、例えば、モータ40の駆動を制限してから所定時間が経過した場合、または、ピッチ角度DAが第2角度DA2未満になった場合等に成立する。
【0099】
<第2実施形態>
図7および
図8を参照して、第2実施形態の制御システム50および制御装置60について説明する。第2実施形態の制御システム50および制御装置60は、制御部62がブレーキ装置70を制御する点以外は第1実施形態の制御システム50および制御装置60と同様である。第2実施形態の制御システム50および制御装置60のうちの、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0100】
人力駆動車10は、ブレーキ装置70を備える。ブレーキ装置70は、車輪14に制動力を付与する。ブレーキ装置70は、リムブレーキであってもよく、ローラブレーキであってもよく、ディスクブレーキであってもよい。ブレーキ装置70は、電動アクチュエータを備える。ブレーキ装置70は、前輪14Fに制動力を付与する第1ブレーキ装置70Aと、後輪14Rに制動力を付与する第2ブレーキ装置70Bと、を備えていてもよい。
【0101】
制御部62は、人力駆動車10のブレーキ装置70を制御する。制御部62は、人力駆動車10のブレーキ装置70の作動に応じて、モータ40を制御する。
【0102】
制御部62は、例えば、人力駆動車10がコーナを走行する場合に、前輪14Fの接地圧を上昇させ、かつ、後輪14Rの接地圧を低下させるようにモータ40およびブレーキ装置70の少なくとも1つを制御する。好ましくは、制御部62は、人力駆動車10のロール角度DBおよび人力駆動車10のヨー角度DCの少なくとも1つに応じて、人力駆動車10がコーナを走行しているか否かを判定する。制御部62は、例えば、人力駆動車10のロール角度DBおよび人力駆動車10のヨー角度DCの少なくとも1つが所定角度以上の場合、人力駆動車10がコーナを走行していると判定する。
【0103】
好ましくは、制御部62は、人力駆動車10がコーナを走行する場合、かつ、ユーザがブレーキ装置70を作動させるようにブレーキ操作装置を操作する場合に、前輪14Fの接地圧を上昇させ、かつ、後輪14Rの接地圧を低下させるようにモータ40を制御する。制御部62は、人力駆動車10がコーナを走行する場合、かつ、ユーザがブレーキ装置70を作動させるようにブレーキ操作装置を操作する場合に、前輪14Fの接地圧を上昇させ、かつ、後輪14Rの接地圧を低下させるようにブレーキ装置70を制御してもよい。
【0104】
図8を参照して、制御部62がモータ40を制御する処理について説明する。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図8に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部62は、
図8のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0105】
制御部62は、ステップS31において、ユーザが搭乗しているか否かを判定する。制御部62は、ユーザが搭乗していない場合、処理を終了する。制御部62は、ユーザが搭乗している場合、ステップS32に移行する。
【0106】
制御部62は、ステップS32において、人力駆動車10がコーナを走行しているか否かを判定する。なお、ステップS32は必ずしも必須ではない。制御部62は、人力駆動車10がコーナを走行していない場合、処理を終了する。制御部62は、人力駆動車10がコーナを走行している場合、ステップS33に移行する。
【0107】
制御部62は、ステップS33において、ブレーキ操作装置が操作されたか否かを判定する。制御部62は、ブレーキ操作装置が操作されていない場合、処理を終了する。制御部62は、ブレーキ操作装置が操作された場合、ステップS34に移行する。
【0108】
制御部62は、ステップS34において、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる人力駆動車10の推進方向X1における正方向の荷重を検出し、ステップS35に移行する。
【0109】
制御部62は、ステップS35において、モータ40の駆動を促進して、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS34において検出したユーザから人力駆動車10に対して加えられる人力駆動車10の推進方向X1における正方向の荷重に応じてモータ40の駆動を促進する。制御部62は、例えば、ステップS34において検出したユーザから人力駆動車10に対して加えられる人力駆動車10の推進方向X1における正方向の荷重が第3荷重以上の場合、モータ40の駆動を促進する。制御部62は、ステップS35の処理の後、終了条件が成立した場合、モータ40をステップS35において制御する前の状態に戻してもよい。終了条件は、例えば、ステップS35の処理を実行してから所定時間が経過した場合、または、人力駆動車10がコーナを走行していない状態になった場合に成立する。第3荷重は、第2荷重と等しくてもよい。
【0110】
本実施形態では、ブレーキ装置70が作動することにより、人力駆動車10の推進方向X1における正方向に沿って慣性力が働き、結果として、ユーザから人力駆動車10に対して人力駆動車10の推進方向X1における正方向または押し込み方向の荷重が加えられている状態となる。例えば、人力駆動車10がコーナを走行する場合にブレーキ装置70を作動させて減速し、コーナを抜ける際に人力駆動車10を加速させたい場合、本実施形態におけるモータ40の制御が有効となる。
【0111】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムは、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0112】
・制御部62は、人力駆動車10に人力駆動力Hが入力されない状態でモータ40を駆動してもよい。この場合、例えば、
図6のステップS24において、人力駆動車10に人力駆動力Hが入力されていない状態であっても、モータ40を駆動させるようにしてもよい。ただし、実際に車輪14に駆動力を伝える場合、地域によってはこのような制御が禁止されることがある。
【0113】
・制御部62は、人力駆動車10にユーザが搭乗していない場合、ユーザから人力駆動車10に対して加えられる人力駆動車10の推進方向X1における負方向の荷重に関する情報、または、引っ張り方向X2の荷重に関する情報に応じてモータ40を制御してもよい。この場合、
図5のフローチャートの処理において、ステップS11を省略してもよい。人力駆動車10にユーザが搭乗していない場合は、例えば、ユーザが人力駆動車10を押し歩きしている状態を含む。
【0114】
・制御部62は、人工知能処理部を備えていてもよい。例えば、人工知能処理部は、
図5のフローチャート、および、
図6のフローチャートの処理の少なくとも一部の判定処理を実行する。
【0115】
・制御部62は、
図5のフローチャートの処理、および
図6のフローチャートの処理を、組み合わせて実行してもよい。制御部62は、
図5の処理を実行し、
図6の処理を実行しなくてもよい。制御部62は、
図5の処理を実行せず、
図6の処理を実行してもよい。
【0116】
・制御システム50は、制御部62と、第1センサ52と、第2センサ54と、を備え、制御部62は、第1センサ52において検出された引っ張り方向X2の荷重に関する情報と、第2センサ54において検出された人力駆動車10のピッチ角度DAと、に応じてモータ40を制御するように構成されていれば、他の構成は省略してもよい。
【0117】
・制御システム50は、制御部62と、第1センサ52と、人力駆動車10にユーザが搭乗しているかを検出する第3センサ56と、を備え、制御部62は、第3センサが人力駆動車10へのユーザの搭乗を検出している状態で、第1センサ52において検出された人力駆動車10の推進方向X1における正方向の荷重に関する情報に応じて、モータ40を制御するように構成されていれば、他の構成は省略してもよい。
【0118】
・制御システム50は、制御部62と、第1センサ52と、人力駆動車10にユーザが搭乗しているかを検出する第3センサ56と、を備え、制御部62は、第3センサが人力駆動車10へのユーザの搭乗を検出している状態で、第1センサ52において検出された押し込み方向X3の荷重に関する情報に応じて、モータ40を制御するように構成されていれば、他の構成は省略してもよい。
【0119】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0120】
10…人力駆動車、20A,20B…ペダル、34…ハンドル、36…サドル、40…モータ、50…制御システム、52…第1センサ、54…第2センサ、56…第3センサ、60…制御装置、62…制御部、70…ブレーキ装置。