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特許7566631改善された固定特性を有する、ステントおよび置換心臓弁プロテーゼ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】改善された固定特性を有する、ステントおよび置換心臓弁プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020542931
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2019053633
(87)【国際公開番号】W WO2019158628
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】18000144.8
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518021632
【氏名又は名称】トライケアス
【住所又は居所原語表記】27avenue deI’Opera,75001 Paris,France
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲオアク ラーミヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート シュトラウビンガー
(72)【発明者】
【氏名】コラリー マルシャン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-512753(JP,A)
【文献】特表2017-505208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0275540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外側レーザー切断ステント(11)と、第2の内側レーザー切断ステント(2)とを備えている心臓弁プロテーゼであって、前記第2の内側レーザー切断ステント(2)は、1本以上の縫合糸により前記第2の内側レーザー切断ステント(2)に固定された弁を備える内側ステントであり、前記第1の外側レーザー切断ステント(11)と前記第2の内側レーザー切断ステント(2)とは連結支柱(12,12’)および連結手段(19)を介して連結されており、
前記第1の外側レーザー切断ステント(11)は、近位レーザー切断外側ステント部(11a)と遠位レーザー切断外側ステント部(11b)とを有し、S字支柱(8)は、前記第2の内側レーザー切断ステント(2)を前記第1の外側レーザー切断ステント(11)から隔離し、前記第2の内側レーザー切断ステント(2)を本質的に丸い幾何学的形状のままにするために、前記第2の内側レーザー切断ステント(2)と前記第1の外側レーザー切断ステント(11)とを連結する波状またはs字形状の幾何学的形状により特徴付けられ、前記連結支柱(12,12’)は、流入端において前記第2の内側レーザー切断ステント(2)と、流出端において前記第1の外側レーザー切断ステント(11)と連結しており、前記心臓弁プロテーゼは、異なる外径を示す3つの領域を備えており、前記3つの領域は、近位領域、中位領域および遠位領域であり、前記中位領域が、前記近位領域および前記遠位領域より本質的に小さい外径を示しており、
前記連結支柱(12,12’)は、前記第2の内側レーザー切断ステント(2)と前記第1の外側レーザー切断ステント(11)との間に位置していることで、前記第1の外側レーザー切断ステント(11)に二重層が形成されており、当該二重層が、前記心臓弁プロテーゼの埋込み時に、前記心臓弁プロテーゼの中位領域に存在するように配置されることで、前記連結手段(19)も、前記中位領域に位置するように構成されている、
心臓弁プロテーゼ。
【請求項2】
前記第2の内側レーザー切断ステント(2)が、レーザー切断ニチノール管であり、前記第2の内側レーザー切断ステント(2)が、8mm~40mmの内径を有し、または/かつ前記第2の内側レーザー切断ステント(2)が、15mm~41mmの外径を有し、または/かつ前記第2の内側レーザー切断ステント(2)が、前記第2の内側レーザー切断ステント(2)の拡張構成において、8mm~35mmの長手方向寸法を有する、請求項1記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項3】
前記中位領域が、溝を形成している、請求項1または2記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項4】
前記心臓弁プロテーゼの弁輪下領域において半径方向に加えられる力が、前記心臓弁プロテーゼの心室領域または流出領域と比較して、本質的に等しいかまたはより大きい、請求項1から3までのいずれか1項記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項5】
前記中位領域または/および前記遠位領域の前記半径方向に加えられる力が、0.5~20Nの範囲にある、請求項4記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項6】
前記第1の外側レーザー切断ステント(11)が、レーザー切断ニチノールステントである、請求項5記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項7】
前記第1の外側レーザー切断ステント(11)が、前記近位領域および/もしくは遠位領域において周方向に10~30個のセルにより特徴付けられ、かつ/または前記第2の内側レーザー切断ステント(2)が、周方向に4~30個、4~24個、もしくは10~30個のセルおよび/または3、4、もしくは5列により特徴付けられる、請求項6記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項8】
前記第1の外側レーザー切断ステント(11)が、前記遠位領域にループを備える、請求項6または7記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項9】
前記ループが、最も遠位のセルに配置されており、かつ前記ループが、外向きに突出しており、内向き方向に可撓性を示す、請求項8記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項10】
前記連結手段(19)が、溶接であるか、1つ以上のねじであるか、または1つ以上のクリップ手段である、請求項1記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項11】
前記クリップ手段が、連動歯と連動ヨークとカバーとにより特徴付けられている、請求項10記載の心臓弁プロテーゼ。
【請求項12】
前記心臓弁プロテーゼが、16~40フレンチ(5.33~13.33mm)または16~35フレンチ(5.33~11.67mm)または20~35フレンチ(6.67~11.67mm)、または25~35フレンチ(8.33~11.67mm)の直径に縮まることができる、請求項1から11までのいずれか1項記載の心臓弁プロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された固定特性および埋込み特性を示す、ステントおよび置換心臓弁プロテーゼに関する。
【0002】
ここ数十年、低侵襲技術が進歩し、現在、多くの医療分野で実現可能となっている。
【0003】
現在、多くの医療分野において、体調および手術に関連するリスクのため他の方法では適切にケアすることができないような患者の治療を可能にする低侵襲技術により、患者を治療することが可能である。このような低侵襲法の多くは、医療装置を所望の標的部位に埋め込むために、送達システム、例えば、カテーテルを適用する。
【0004】
特に近年、心臓弁の疾患および異常の治療が、ますます成功するようになってきている。例としては、心臓弁置換術、例えば、大動脈弁または僧帽弁の治療のための経心尖、経頸静脈、および経大腿処置がある。
【0005】
多くの場合、生来の心臓弁を置き換えるために、組織ベースの置換弁を有するステントベースのプロテーゼが使用され、埋め込まれる。置換心臓弁は、カテーテル送達システムにより、制御され、調整された様式において、患者の標的部位に配置される。
【0006】
置換心臓弁は、縮められ、カテーテルシステムに装填されなければならない。次いで、送達システムは、患者の血管系に、例えば、経大腿的に導入され、標的部位に向けられる。標的部位において、置換心臓弁プロテーゼは、正確な展開を達成するために、カテーテルからの最終的な放出の前に、非常に正確に位置決めされなければならない。正確かつ精密な位置決めは、埋め込まれた装置の成功した機能性および標的部位での長期間の正確な固定に必須である。
【0007】
最後に、正しい部位に到達しなければならないだけでなく、とりわけ、例えば、腔内の生来の組織からの特定の角度および均一な距離等の位置を含む、特定の三次元位置決めが達成されることも望ましい。
【0008】
同様に重要なことは、上記された態様に関して、特に、埋込み部位での長期間かつ安定した固定を支持するプロテーゼ内に任意の組織が成長することがある前に、置換心臓弁プロテーゼを標的部位に長期間固定することである。
【0009】
したがって、正確に位置決めすることができるだけでなく、長期間の固定を支持し、心臓機能、特に、心臓収縮中の変位を回避する特徴も示すプロテーゼが必要とされている。
【0010】
公知の置換心臓弁における1つの問題は、医療装置を良好な精度で所望の標的部位に配置することができるが、埋込み直後(例えば、数日または数週間後)に患者の心臓の鼓動のために、埋め込まれたプロテーゼが変位し、これにより、プロテーゼ自体の機能不全を生じさせることである。ましてや、変位は、患者にとって致命的となることがある。
【0011】
特に、この問題は、置換心臓弁が軟組織環境にかなり直面する置換心臓弁技術において問題を生じさせる。このような状況では、埋め込まれたプロテーゼは、例えば、軟組織の状況および置換心臓弁プロテーゼの制限された半径方向の力のために、変位する傾向がある。
【0012】
とりわけ、この変位は、例えば、三尖弁または僧帽弁置換心臓弁技術では問題である。これらの場合、弁の直径が大きく、心臓弁を囲む弁輪ならびに心房組織および心室組織が非常に軟らかい。
【0013】
したがって、公知の置換心臓弁プロテーゼでは、変位のリスクが存在するか、またはプロテーゼにより、過度に低いかまたは過度に高いかのいずれかの半径方向の力が生じ、in vivoでのプロテーゼの変位につながるか、または生来の心臓機能による置換プロテーゼの干渉につながるかのいずれかである。
【0014】
したがって、本開示の1つの目的は、置換心臓弁プロテーゼのより良好な固定を可能にする手段を提供すること、または少なくとも先行技術の欠点を低減しもしくはこれらの欠点を本質的に回避することを達成することである。
【0015】
本開示の別の目的は、正しい固定を支持し、埋込み直後の正しい位置決めを維持する固定手段を提供するか、または先行技術の欠点を少なくとも低減しもしくは本質的にこれらの欠点を回避する、置換心臓弁プロテーゼを提供することである。
【0016】
本開示の別の目的は、ステントまたは/および置換心臓弁プロテーゼの有利なまたは改善された固定のための解決手段の変形例を提供することである。特に、このようなプロテーゼは、三尖弁または/および僧帽弁の置換心臓弁療法に有用であろう。
【0017】
本開示の別の特定の目的は、標的部位での有利な固定を可能にする、2つの部分から成るステントまたは2つの部分から成る置換心臓弁プロテーゼにおける材料または/および設計の変形例である。
【0018】
特に重要な別の目的は、2つの予め作製された部分が例えば、連結手段により着脱可能に、または、例えば、溶接、リベット留めもしくは縫合により、脱着不可能に連結されて、標的部位での有利な固定を可能にする置換心臓弁プロテーゼのユニットを形成する、置換心臓弁プロテーゼを提供することである。
【0019】
本開示の別の目的は、製造に関して容易にされ、または/かつ有利な費用対効果のための特徴を示す、ステントまたは/および置換心臓弁プロテーゼを提供することである。
【0020】
本開示のさらに別の目的は、置換心臓弁プロテーゼに有用な非侵襲的固定手段を提供することである。
【0021】
開示の概要
一態様では、本開示は、有利な固定特性を示す、ステントまたは置換心臓弁プロテーゼに関する。
【0022】
別の態様では、本開示は、内因性心臓弁が三尖心臓弁または僧帽心臓弁である、異常な内因性心臓弁の置換に関する。
【0023】
別の態様では、本開示は、心臓弁機能異常を経験している人における、異常な内因性心臓弁の置換または置換心臓弁プロテーゼの埋込み方法に関する。
【0024】
別の態様では、本開示は、外側ステントに固定されている内側ステントにより特徴付けられるステントまたは置換心臓弁プロテーゼであって、両方のステントがレーザー切断されているか、または外側ステントがメッシュステントであり、好ましくは、両ステントがニチノール製である、ステントまたは置換心臓弁プロテーゼに関する。
【0025】
別の態様では、本開示は、心臓の標的部位への前記プロテーゼの改善された固定に有用な様々な機構を備える、置換心臓弁プロテーゼに関する。
【0026】
別の態様では、本開示は、心臓の標的部位への置換心臓弁プロテーゼの改善された固定に有用な手段を提供することに関する。
【0027】
別の態様では、本開示は、ステントのための連結手段に関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の一態様を示す図である。
図2】本開示の一態様を示す図である。
図3】本開示の一態様を示す図である。
図4】異なる種類および形状のループを示す図である。
図5】本開示の一態様を示す図である。
図6】本開示の一態様を示す図である。
図7】本開示の一態様を示す図である。
図8】本開示の一態様を示す図である。
図9】レーザー切断内側ステント(2)がレーザー切断外側ステント(11)内に示されている、本開示の一態様を示す図である。
図10】2つのレーザー切断ステントを安定して組み立てるための連結支柱(12)および連結手段(19)が示される、本開示の一態様を示す図である。
図11】連結手段(19)の位置の変形例が示されている、本開示の一態様を示す図である。
図12】ステントプロテーゼにおけるステントの異なる長手方向領域が示されている、本開示の一態様を示す図である。
図13】本開示に係る連結手段(19)の実施形態の拡大図である。
図14】クリップ手段(19)を閉じる順序が示されている、本開示の一態様を示す図である。
図15】クリップ手段(19)の変形例を示す図である。
図16】プロテーゼのレーザー切断ステントに使用される支柱の特別な設計に関する、本開示の一態様を示す図である。
図17】本開示の一態様を示す図である。
図18】本開示の一態様を示す図である。
図19】脱着後の外側ステントの折畳み(28)が示されている、本開示の一態様を示す図である。
図20】脱着後の外側ステントの折畳み(28)が示されている、本開示の一態様を示す図である。
図21】レーザー切断内側ステントおよび外側ステント、ならびに連結支柱(12)および連結手段(19)の特定の位置決めおよび配向を説明する、本開示の一態様を示す図である。
図22】固定セル(15)および固定ループが異なる実施形態および設計で示される、本開示の一態様を示す図である。
図23】固定セル(15)および固定ループが異なる実施形態および設計で示される、本開示の一態様を示す図である。
図24】固定セル(15)および固定ループが異なる実施形態および設計で示される、本開示の一態様を示す図である。
図25】本開示の一態様を示す図である。
図26】連結手段(19)の別の変形例である、本開示の一態様を示す図である。
図27】レーザー切断内側ステント(2)が外側メッシュ(5)上のワイヤー編組外側ステント(1)と連結しているZリング(27)を備える外側メッシュステントに連結している、本開示の一態様を示す図である。
図28図27のプロテーゼが切断図で示されている、本開示の一態様を示す図である。
図29】切断ステント置換心臓弁プロテーゼにおける切断ステントが示されている、本開示の一態様を示す図である。
図30】内因性三尖心臓弁の心臓標的部位への埋込み中の、本開示に係る置換心臓弁プロテーゼを示す図である。
図31】本開示に係る置換心臓弁プロテーゼの別の変形例を説明する図である。
図32】本開示に係る置換心臓弁プロテーゼの別の変形例を説明する図である。
【0029】
本開示の好ましい実施形態は、図面により例示される。
【0030】
図1aおよび図1bは、標的部位におけるプロテーゼの位置決めおよび固定のために、外側メッシュステントと組み合わされた、弁を担持することを意図したレーザー切断管内側ステント(2)と、外側メッシュステントとも呼ばれる編組外側ステント(1)とから構成された先行技術の置換心臓弁プロテーゼ(2部分ステント)の例を示す。
【0031】
図2aおよび図2bは、本開示の一態様、すなわち、標的部位における弁輪での固定を支持するように意図された、溝の遠位に位置するスタビライザー手段(3)(以下でも見ることができる)を備える、図1と同様の2部分ステントを示す。
【0032】
図3aおよび図3bは、本開示の一態様、すなわち、埋込み後のより良好な固定のためのループ(4)をさらに備える、図2と同様の2部分ステントを示す。示された(3a、3b)実施形態では、ループ(4)は、外側ステントの溝の下に配置され、これにより、移植後、遠位方向または流出方向に弁輪の下に配置される。これにより、外側ステントは、埋込み部位における置換心臓弁プロテーゼの固定に寄与する。ループは、弁輪下組織または/および心室組織と接触し、これにより、プロテーゼと埋込み部位との間の摩擦を増大させ、埋込み部位におけるプロテーゼのより良好な固定を提供する。ループが索または/および生来の心臓弁と干渉し、これにより、プロテーゼを適所に安定化させると、追加の改善された固定および摩擦は、プロテーゼのループにより示されることができる。ループは、外側ステントに対して様々な角度を示すことができ、これにより、心臓組織に向かう半径方向の力も示すことができる。図3bは、プロテーゼの切断を示し、これにより、内側ステント(2)が見える。
【0033】
図4は、本開示の一態様、すなわち、異なる種類および形状のループを示す。
【0034】
図5aおよび図5bは、本開示の一態様を示す。すなわち、ループ(4)は、編組外側ステント(メッシュステント)の遠位領域に配置されており、外側ステントは、中位領域において、内側レーザー切断ステントと連結しており、外側ステントは、遠位領域において、内側ステントと連結しておらず、外側メッシュステントの外側メッシュ(5)および内側メッシュ(6)は、中位領域または/および遠位領域において、特定の場合の要求に対して設計することができる安定性または/および軸方向力を提供する二重層を形成し、特定の実施形態では、スタビライザー機構(例えば、v溝の下の追加のワイヤーまたは/および捻じれたワイヤー)が存在せず、一方、本開示に係る他の実施形態では、ステント安定性およびステント軸方向力を設計するために追加することができる。
【0035】
図6aおよび図6bは、本開示の一態様、すなわち、外側ステント(2)が遠位において、内側ステント(1)に連結していない、二重ステントプロテーゼを示す。内側メッシュ(6)および外側メッシュ(5)は折り畳まれ、遠位領域において互いに近接して配向されている。さらに、内側メッシュ(6)および外側メッシュ(5)は、角度を形成している(説明の目的で外側ステントに引かれた2本の付属線による「角度構造」)。ここで、角度は、「アルファ」としてマークされる。「アルファ」は、内側ステント(2)および外側ステント(1)の両方が連結している内側ステント(2)の連結に対して、軸方向から中心方向に、図中の付属線でマークされた2つの矢じり間の領域である。このため、内側メッシュ(6)および外側メッシュ(5)は、安定性および寸法要求に応じて選択することができる角度を形成する。内側メッシュ(6)および外側メッシュ(5)の密接な配向は、「角度アルファ」と組み合わせて、図6bに示されたような多くの利点を暗示する。例えば、これは、内側ステント(2)と外側ステント(1)との連結が無いことを暗示する。これにより、プロテーゼが埋め込まれると、ばねまたは吸収効果および可撓性を遠位方向に生じさせることができる。さらに、この構造は、プロテーゼをカテーテル内に縮めた場合、有利な可撓性をもたらすであろう。角度「アルファ」は、例えば、5°~90°または5°~15°で変化させることができ、プロテーゼの固定特性に関連する、外側ステント(1)の安定性および半径方向の力に寄与し、または/かつそれを画定するであろう。
【0036】
図7は、本開示の一態様、すなわち、プロテーゼが3つの領域、すなわち、近位領域(または流入領域)と、中位領域(または溝領域、例えば、V溝またはU溝(これは、溝下領域とも呼ぶことができる))と、遠位領域(または流出領域)とに画定されることを示す。また、溝領域および遠位領域は、弁輪下領域とも呼ぶことができる。これらの領域は、それらの寸法に適合させられてもよく、したがって、プロテーゼの安定性/可撓性機構が設計されてもよく、プロテーゼは、標的部位の特定の幾何学的形状ならびに患者の幾何学的形状および詳細に適合させられてもよい。
【0037】
図8は、本開示の一態様、すなわち、患者の血管系を通して送達するためにカテーテルの装填部に縮められている本開示のプロテーゼを示す。図8に、ループ(4)が、外側ステント(1)の外側(5)および内側(6)メッシュと重ならないような方法で、または内側ステント(2)と重ならないような方法で配置され、これにより、縮んだプロテーゼの低プロファイルを提供することを示す。本開示の一態様では、ループ(4)は、カテーテル内での最適化された位置決めおよび低プロファイルのために、収縮/装填または再装填手順中に反転するように設計されてもよい。このように、ループは、例えば、本質的に180°または最大180°にわたって反転させることができる。
【0038】
図9は、レーザー切断内側ステント(2)がレーザー切断外側ステント(11)内に示されている、本開示の一態様を示す。V溝(16)は、患者に埋め込まれた時に、内因性弁輪領域の領域に配置されることが意図されている。外側レーザー切断ステント(11)の遠位領域には、標的部位での固定を改善するための固定セル(15)が含まれる。レーザー切断内側ステント(2)およびレーザー切断外側ステント(11)は、連結支柱(12)を介して連結しており、これにより、内側/外側ステント(13)のいずれかと直接(または連結手段により)連結する。連結支柱(12)は、当技術分野において公知の任意の有用な方法、例えば、溶接、接着、リベット留め、公知の連結手段、または特別に設計された連結手段、例えば、クリップ手段もしくは機構により連結していることがある。連結支柱(12)は、近位領域および弁輪領域に位置している。
【0039】
図10は、2つのレーザー切断ステントを安定して組み立てるための連結支柱(12)および連結手段(19)が示される、本開示の一態様を示す。連結支柱(12)は、レーザー切断内側ステント(2)とレーザー切断外側ステント(11)との間に位置しており、このようにして、レーザー切断外側ステント(11)に二重層を形成することができる。二重壁は、埋込み時に、弁輪または弁輪下領域に存在するか、または本質的に心室領域に存在する。このため、連結手段(19)は、埋込み部位の弁輪領域に(埋込み後に)位置し、同埋込み部位では、置換心臓弁プロテーゼのこの領域は、心拍動中に低減された影響を受ける。このことは、連結手段(19)が心拍動によるより少ない応力および影響を受けることを達成するという利点を意味する。
【0040】
図11は、連結手段(19)の位置の変形例が示されている、本開示の一態様を示す。連結手段(19)は、プロテーゼの近位領域に位置してもよい。加えて、連結支柱ガイド(17)が示される。置換心臓弁プロテーゼを構成するレーザー切断ステントは、連結手段の数に関して変化させることができる。プロテーゼは、2つのレーザー切断ステントまたは3つのレーザー切断ステント部から構成することができ、ここで、レーザー切断内側ステント(2)(3つの弁尖と共に当技術分野で通常使用されるような弁を担持する)は、連結手段(19)を介して、連結支柱ガイド(17)と組み合わせて、近位レーザー切断外側ステント部(11a)(最終的に心房内に配置される)と連結している。追加のレーザー切断外側ステント遠位部(11b)(最終的に心室内に配置される)は、連結支柱ガイド(17)により他のステント部と連結している。レーザー切断内側ステント(2)から始まる連結支柱(12)は、連結支柱ガイド(17)に配置されるか、またはこれを通って(例えば、1つずつ)移動する。連結支柱ガイド(17)は、レーザー切断外側ステント遠位部(11b)から始まり、連結支柱を、連結支柱ガイド(17)を通して移動させることにより、3つのステント部(11a,11b、および2)は全て、個体に埋め込まれた時に、少なくとも本質的に弁輪領域または近位領域において連結する。このような3部分レーザー切断置換心臓弁プロテーゼの利点によれば、可撓性が改善され、前記プロテーゼの固定が改善される。本開示に係る様々な設計機構は協働して、有利に改善された固定および標的部位におけるプロテーゼおよびそのコンポーネントの低減された長手方向移動を達成する。開示されたプロテーゼの有利な可撓性および固定は、埋込み後に、外側ステント(11)の近位プロテーゼ部材が心拍動中に本質的に動かないことにより特徴付けられる。外側ステント(11)の遠位プロテーゼ部材(11b)は、心臓の心室組織との有利なコンプライアンスの機能性を支持する近位外側ステント部(11a)に対して、有利な動きの自由度を有する。これにより、外側ステント(11)の遠位部分(11b)は、心拍動および心機能の間、心室心臓と協調して動くことができる。また、この向上した可撓性を、溝またはV溝可撓性と呼ぶこともできる。これにより、埋込み部位(標的部位)におけるプロテーゼの改善された正確な長期固定に寄与する、心室外側ステント部(11b)におけるプロテーゼのより多くの変形が可能となる。
【0041】
図12は、ステントプロテーゼにおけるステントの異なる長手方向領域、すなわち、近位領域(20)と、中位領域(23)と、遠位領域(22)とが示されている、本開示の一態様を示す。遠位領域には、ループまたは固定セルが含まれる。
【0042】
図13は、本開示に係る連結手段(19)の実施形態の拡大図である。図13は、クリップ手段が示されている本開示の一態様を表す。連結支柱(12,12’)は、前記クリップ手段により連結されている。クリップ手段は、レーザー切断内側ステント(2)およびレーザー切断外側ステント(11)の連結支柱(12,12’)の着脱可能な連結のための手段または装置を表す。着脱可能な連結は、連動釘(9)、連動ヨーク(18)、およびスリーブ(10)の相互作用により達成される。
【0043】
図14a、図14b、図14cは、クリップ手段(19)を閉じる順序が示されている、本開示の一態様を示す。
【0044】
図14a)では、連動ヨーク(18)は、内側または外側レーザー切断ステントの連結支柱(12,12’)のいずれかに連結しているように示され、他方のステント(対向する連結支柱を表す外側または内側ステントのいずれか)の連結支柱(12,12’)の連動釘(9)を受け入れる準備ができた開いた構成で示されている。対向する連結支柱は、スリーブ(10)を通して導入される連動釘(9)を担持している。
【0045】
図14b)では、他方のステントの連結支柱(12,12’)(および対向連結支柱)の連動釘(9)が、連動ヨーク(18)に導入され、2つのレーザー切断ステントの安定した連結を提供する。2つの部分(9)および(18)による安定した連結は、連動部のその特定の幾何学的形状により達成される。この幾何学的形状は多様であり、本明細書で示された幾何学的形状には限定されない。
【0046】
図14c)は、2つのレーザー切断ステントの連結支柱(12,12’)の最終的な連結を示す。スリーブ(10)は、連動部(18)および(9)を覆うように押し込まれ、スリーブ(10)は、連動ヨーク(18)の遠位部との相互作用によりしっかり固定する。スリーブ(10)は、連動ヨーク(18)の2つの遠位部が一緒に押され、これにより、スリーブ(10)が1つの連結支柱(12’)を覆うように再び押された時に外れることができる。部分(18)の端部には、スリーブ(10)が連動手段(18)および(9)の上をあまり遠くまで移動するのを防止するストップ手段が設けられている。連動ヨーク端部は、連結支柱に沿って少なくとも一方向または両方向にスリーブが移動するのを防止する。
【0047】
図15a)および図15b)は、クリップ手段(19)の変形例を示す。連動ヨーク(18)は、その遠位端でその設計が変化する。連動ヨーク(18)は、異なる停止設計と、スリーブ(10)との相互作用と、その脱着機構とにより特徴付けられる。図15a)の1つの設計では、(18)の遠位部は、スリーブ(10)を脱着するために一緒に押され、一方、図15b)では、遠位先端は、脱着のために内向きに押される必要があるばねを備える。また、連動釘(9)も、図15a)および図15b)それぞれにおいて、特定の設計を有する。
【0048】
図16は、プロテーゼのレーザー切断ステントに使用される支柱の特別な設計に関する、本開示の一態様を示す。S字支柱(8)は、波状またはs字形状の幾何学的形状により特徴付けられる。レーザー切断ステントの特定の領域では、このようなS字支柱(8)が導入されて、特定の可撓性を達成するか、または一方のステントから他方のステントへの移動、例えば、外側ステントが受けとる心拍動によりもたらされる移動を隔離する。ただし、心拍動によるこれらの衝撃が、内側ステントに伝達されることは望ましくない。1つの目的は、弁を担持する内側ステントからそれらを隔離すること、または/ならびに適切な弁接合もしくは/および機能を潜在的に損なう内側ステントの変形である。このように、外側ステント内で見える変形は、弁を担持する内側ステントに伝達されてはならない。この目的は、内側ステントが本質的にその丸い幾何学的形状のままであり、これは、有利には弁機能のため、特に、弁尖の良好な接合のためである。
【0049】
図17および図18は、本開示の一態様、すなわち、in vivoでの心拍動中の外側レーザー切断ステントの変形ならびに弁を担持するレーザー切断内側ステントの元の丸い幾何学的形状の保持および維持を示す。本発明の連結手段により所定の位置で連結される2つのレーザー切断ステント、好ましくはニチノールステントの本発明の設計は、有利には、標的部位でのプロテーゼの正しい位置決め、良好な固定特性、およびレーザー切断内側ステントに固定された弁の本質的に漏れのない機能を達成する。2つのステントの所定の連結を有する2つのレーザー切断ステントを使用する本発明の設計は、置換心臓弁プロテーゼの正しい弁機能を可能にする有利な圧潰抵抗を提供する。
【0050】
図17は、本開示に係るステントプロテーゼにおける本発明のレーザー切断ステントの写真(図18)の概略図である。濃い線は、近位領域(20)を示し、薄い線は、図12の中位領域および遠位領域(22/23)を示す。図17では、たとえ応力がプロテーゼに影響を及ぼしたとしても、内側ステントは影響を受けず、弁は、適切に機能することができ、その機能性が維持されることが示され、これは、非常に有利である。図17は、本開示に係るステントプロテーゼにおけるレーザー切断ステントの挙動をシミュレートしている。たとえ中位領域および遠位領域におけるステントプロテーゼ中のレーザー切断ステントが、強い変形応力を受けたとしても、このような応力による影響は、好ましくは、より少ない程度でのみ近位領域に伝達されるであろう。また、この応力による影響は、弁を担持する内側ステントに到達せず、内側ステントに影響を及ぼさないであろう。これは、部分的にまたは本質的に、この領域における連結手段の位置決めによる。心拍動が、レーザー切断外側ステント(11)に影響を及ぼす場合、1つの目的は、置換心臓弁プロテーゼ(内側ステント(2))の弁担持部の最適な幾何学的形状を維持し、一方同時に、プロテーゼの有利な固定を提供することである。本発明者らは、弁を担持する内側ステント(2)を本質的にその元の幾何学的形状に維持することを本質的に達成することができる特別な連結手段および設計により特徴付けられる、2つのレーザー切断ステントを使用する設計を見出した。同時に、このような設計は、埋込み後の標的部位における置換心臓弁プロテーゼの有利な固定を提供する。
【0051】
図17および図18の両方に示されたように、レーザー切断外側ステント(11)は可撓性であり、これにより、心臓内のその埋込み部位において、周囲の組織との接触を維持する。これにより、レーザー切断外側ステント(11)は、内因性の周囲組織との良好なコンプライアンスを示す。さらに、このようにして、プロテーゼの外側ステントは、プロテーゼの他の態様と共に有利な固定に寄与する組織との可能な限りの摩擦を維持する。同時に、弁を担持するレーザー切断内側ステント(2)は、本質的にその丸い形状を維持し、それに応じて、最適な弁機能のための最適な幾何学的形状を維持する。特に、変形および心臓組織との接触の維持は、レーザー切断外側ステントの中位領域および遠位領域(22/23)において見ることができる。近位領域(20)は、変形を受けにくいかまたは全く受けない。連結支柱(12)および連結手段(19)は、レーザー切断内側ステントおよび外側ステントの安定した連結を提供する。同時に、これらの構造は、有利には、プロテーゼの外側レーザー切断ステントからの内側レーザー切断ステントの衝撃の隔離に寄与する。さらに、これらの要素(12)(19)の位置決めは、有利な圧潰抵抗およびレーザー切断内側ステントの変形の減少を提供する。さらに、連結手段(19)との組み合わせでのS字支柱(8)ならびに置換心臓弁プロテーゼ内でのそれらの特定の配向および位置決めは、確実な圧潰抵抗と、本質的に丸い形状および本質的に最適な弁機能の幾何学的形状でのレーザー切断内側ステントの維持とを支持する。
【0052】
図19は、脱着後の外側ステントの折畳み(28)が示されている、本開示の一態様を示す。このような折畳みは回避されるべきであり、本明細書における開示に係る設計は、置換心臓弁プロテーゼのこのような不都合な折畳みおよび機能不全の防止を支援する。
【0053】
図20および図21は、レーザー切断内側ステントおよび外側ステント、ならびに連結支柱(12)および連結手段(19)の特定の位置決めおよび配向を説明する、本開示の一態様を示す。
【0054】
図22図23図24は、固定セル(15)および固定ループが異なる実施形態および設計で示される、本開示の一態様を示す。
【0055】
図25aは、本開示の一態様、すなわち、カテーテルに再装填された本開示に係る置換心臓弁プロテーゼのメッシュステント内のレーザー切断ステントを示す。本開示に係るループ設計の利点は、ループ(4)の可撓性であり、それらの特別な設計により、回収または再装填手順の間にひっくり返すことで、カテーテルシャフト内への回収が可能となる。
【0056】
図25bは、本開示の一態様、すなわち、本開示に係る置換心臓弁プロテーゼのメッシュステントに連結しているレーザー切断ステントがカテーテル(7)に装填されて示されていることを示す。内側ステント(2)に連結された内側メッシュ(6)および外側メッシュ(5)を有するワイヤー編組外側ステント(1)が示されている。ここで、Zリング(27)は、外側メッシュ(5)に連結している。さらに、この図面から明らかなように、ワイヤー編組外側ステント(1)は、装填中に伸長し、Zリング(27)は、内側ステント(2)と重ならず、内側ステント(2)から遠位の位置に達し、有利には、カテーテル直径を小さくするのに役立つ。
【0057】
図26は、連結手段(19)の別の変形例である、本開示の一態様を示す(図14および図15も参照のこと)。連動歯(14)の別の実施形態は、連結支柱(12,12’)を連結するために、スリーブ(10)により覆われている。
【0058】
図27は、レーザー切断内側ステント(2)が外側メッシュ(5)上のワイヤー編組外側ステント(1)と連結しているZリング(27)を備える外側メッシュステントに連結している、本開示の一態様を示す。Zリング(27)は、例えば、外側メッシュ(5)の外側の遠位領域、例えば、その遠位端で縫合されている。Zリング(27)は、スタビライザー機能とループ機能とを併せ持つ。Zリング(27)は、とりわけ、心室内の索(腱索)と干渉する(1つ以上の索に引っ掛かるか、またはこれにより捕捉される)ことにより、埋込み部位または標的部位における置換心臓弁プロテーゼの改善された固定に有利に寄与する。Zリングは、当業者に公知の手段、例えば、縫合、クリップ、または他の有用な手段により、外側ステントに取り付けることができる。有利には、Zリングは、ジグザグ線として形成され、前記ジグザグの幾何学的形状により形成される先端は、本質的に近位方向および遠位方向に向けられる。Zリングは、支柱から構成され、前記支柱は、本質的にそれらの中位部において外側ステント(例えば、外側メッシュ)に連結しており、これにより、支柱の先端は、本質的に自由であり、プロテーゼを心臓の標的部位に改善して固定するために、索と干渉することができる。また、Zリングは、規則的な距離で先端が前記Zリングにより構成される限り、他の有用な幾何学的形状、例えば、波状または屈曲した幾何学的形状(それでも本明細書では、Zリングを指す)を示してもよい。また、プロテーゼは、互いにかつ/またはプロテーゼの外側ステントと連結しているかもしくは連結していない、1、2、3、またはそれ以上の個数のZリングを備えてもよい。また、溝(16)も示されている。
【0059】
図28は、図27のプロテーゼが切断図で示されている、本開示の一態様を示す。内側ステント(2)および編組メッシュ外側ステント(1)が、標的部位におけるプロテーゼの固定にも寄与するVまたはU溝(16)と共に示されている。Zリング(27)は、外側メッシュ(5)の外側に配置され、例えば、縫合糸により外側メッシュ(5)に固定されている。縫合糸は、支柱あたりに2~数本の縫合糸で、Zリングの各支柱に固有であってもよく、または縫合糸は、1つの位置で開始し、再度開始点に到達するように、ステントの周りを断続してもよい。内側メッシュ(6)は、レーザー切断内側ステント(2)と整合しており、例えば、縫合によりレーザー切断内側ステント(2)と連結している。図の左側には、Zリング(27)の一方の先端が見える。この先端は、外側方向に向けられていることにより特徴付けられており、外側メッシュ(5)と連結していない。Zリングの他の先端も、同じ特徴を示す。
【0060】
図29a~図29fは、切断ステント置換心臓弁プロテーゼにおける切断ステントが示されている、本開示の一態様を示す。図29fは、異なるステント部の連結領域および連結手段の拡大詳細図を示す。
【0061】
図29a~図29cは、本開示に係るプロテーゼの3つの部分、すなわち、近位レーザー切断ステント(11a)と、固定セル(15)および連結支柱ガイド(17)を備える遠位レーザー切断ステント(11b)と、連結支柱(12)を有する内側ステント(2)とを示す。
【0062】
図29dでは、ステント部(2)および(11b)が組み立てられており、連結支柱(12)は、連結支柱ガイド(17)に通されている。
【0063】
図29eは、レーザー切断外側ステント部(11a,11b)、V溝(16)、固定セル(15)、連結手段(19)、連結支柱(12)、および連結支柱ガイド(17)が示されている、本開示に係る置換心臓弁プロテーゼを示す。レーザー切断外側ステント部(11a,11b)、すなわち、埋め込み中に、患者の心房内に配置されるであろう近位部(11a)と、患者の弁輪/心室内に配置されるであろう遠位部(11b)とが示されている。したがって、このプロテーゼは、3部分ステントに関する。3つのステント部(2,11a,11b)はそれぞれ、連結手段(19)および連結支柱ガイド(17)により連結している。
【0064】
この図面において特に興味深いのは、参照符号(19)の周りの異なるステントまたは/および異なるステント部の相互連結を示す領域である。この領域は、図29fに示され、さらに説明される。
【0065】
図29eの)拡大詳細図29fに、連結支柱(12)、連結手段(19)の端部(連結手段(19)の残り部分は示されていない)、および連結支柱ガイド(17)を示す。連結支柱(12)は、連結支柱ガイド(17)を通して押され、その端部(図示せず)は、最終的に、その対応する連結支柱(12’)に連結し、上記のように(例えば、図14、15、26)、連結手段(19)により連結している。連結支柱(12,19)の遠位部は、連結支柱ガイド(17)の開口部またはアイレットを通して容易に押すことができるように設計されている。連結支柱(12)は、レーザー切断内側ステント(2)(図示せず)から延在し、連結支柱ガイド(17)は、レーザー切断外側ステント(11b)の遠位部から延在する。対応する連結支柱(12’-図示せず)は、連結手段(19-ここでは全ての部分が示されているわけではない)により連結されるレーザー切断外側ステント(11a)の近位部から延在して、連結手段(19)および連結支柱ガイド(17)により、レーザー切断内側ステント(2-弁を担持-図示せず)、レーザー切断近位外側ステント、およびレーザー切断遠位外側ステント(11)を安定して連結させる。本明細書に記載された本開示に係る特別な連結設計は、置換心臓弁プロテーゼの有利な可撓性機構を提供し、弁機能、これにより、プロテーゼの改善された固定および機能性を支援する。有利には、プロテーゼの遠位領域、特に、外側ステント(11b)の遠位領域は、心臓の心室組織と非常に良好に相互作用することができるため、プロテーゼの改善された固定が達成される。置換心臓弁プロテーゼの有利なコンプライアンスが達成される。他方では、弁(図示せず)を担持するレーザー切断内側ステント(2)も、外側ステントから有利に隔離される。外側ステント部(11a,11b)に影響を及ぼす心拍動による移動または変形は、内側ステント(2)に伝達されないため、内側ステント(2)は、その好ましい幾何学的形状のままであり、正確な弁機能が保証される。さらに、埋め込まれた状態で異なるステント部(17,19)を連結する役割を担うステント部の位置は、本質的に標的部位の弁輪領域にあり、それゆえに、より大きな力がプロテーゼの連結部に影響を及ぼすであろう心臓の心房領域または心室領域と比較して、心拍動による影響または応力がより少なく達成される。また、図29a~図29fに示された本発明の設計も、標的部位におけるようなプロテーゼの望ましくない長手方向の動きを減少させるか、または本質的に防止する。プロテーゼは、内因性心臓弁機能を置き換え、その置換弁は、心拍動中に開閉する。弁が閉じると、長手方向応力は、置換心臓弁プロテーゼに近位方向(心房の方向)に影響を及ぼし、内側ステント(2)は、上方(近位)方向に移動する傾向がある。より重要なことは、この文脈において、本発明の連結設計が置換心臓弁プロテーゼ内に置換弁を担持する内側ステントの長手方向移動を防止するように同様に設計されることである。3つのステント部(2,11a,11b)の連結は、有利には、内側ステント(2)の近位に配置される。加えて、連結支柱ガイド(17)は、V字形状を有し、または本明細書に示されたように、弁が閉じられ、圧力が近位方向に生じる時、内側ステントの長手方向の移動を防止する、内側ステント2から始まる連結支柱(12)を担持するのに使用されるリングまたはアイレットを有する。同時に、規定された数の連結手段(19)および連結支柱(12)により特徴付けられる本発明の設計は、心拍動により引き起こされ、プロテーゼを内向きに圧迫している圧力が本質的に内側ステント(2)に到達しないことを保証する。したがって、内側ステント(2)は、内側ステント(2)に取り付けられた置換弁の弁機能のために、その本質的な丸い形状および有利な幾何学的形状のままである。連結支柱ガイド(17)および他の連結支柱(12)とのその特別な相互連結は、内側ステント(2)を適所に固定し、保持し、外側ステント(11/11a,11b)内でのその長手方向移動を防止するための追加の手段を表す。このようにして、心房内への内側ステント(2)の動きは、本質的に防止される。
【0066】
図30は、内因性三尖心臓弁の心臓標的部位への埋込み中の、本開示に係る置換心臓弁プロテーゼを示す。プロテーゼは、カテーテル(7)から標的部位に一部放出され、ここで、内因性三尖弁(30)、弁輪(31)、索(32)、および右心室(29)、一部放出されたプロテーゼ(1)、放出されるべきV溝(16)、およびZリング(27)が展開中で示される。
【0067】
図31および図32は、本開示に係る置換心臓弁プロテーゼの別の変形例を説明する。
【0068】
図31は、ループが滴(33)として特別な設計を有する、図9、10、および11に記載された実施形態の変形例である。中位領域に対する滴(33)の角度は、5°~70°とすることができる。滴(33)の数は、周方向に4~48個で変化させることができ、または10~18個、または特に12個まで減らすことができる。また、滴(33)は、クラスターとしてグループ化することができ、または/かつ外側ステントにおいて異なる水平レベルに配置することができる。
【0069】
図32は、滴(33)が丸い端部形状を有し、非侵襲的設計の特殊な形態である丸い平坦な端部形状を有することができる滴の詳細である。滴(33)は、開放セル(34)または閉鎖窓(35)内に配置することができる。丸い端部形状は、0.5mm~3mmの直径を有することができる。丸い端部形状は、支柱(滴支柱)を介してステントに連結しており、滴支柱は、その直径を変化させることができ、また、その長さにわたって、材料を変化させ、これにより、可撓性、したがって、それぞれが半径方向の力を及ぼす力を適合させるために、直径を変化させることができる。また、それは、送達システムにおけるステントの装填を容易にするために適合させられるであろう。滴支柱の寸法は、幅0.1mm~0.5mm(36-滴支柱幅)、長さ0.25mm~15mm(37-滴支柱長さ)とすることができる。滴の最終部分または端部は、滴とも呼ばれ、直径0.5mm~3mm(38-滴直径)の寸法を有してもよい。任意の寸法変化が可能であり、特定の設計要求および目標心臓寸法に応じて選択されるであろう。このようにして、滴の可撓性および固定の特性を調整し、影響を及ぼすことができる。
【0070】
詳細な説明
以下に、本開示の特定の用語を定義するものとする。定義されない場合には、本開示の文脈における技術用語は、該当する当業者に理解されるものとする。
【0071】
本開示の意味において、「プロテーゼ」または「医療装置」または「インプラント」という用語は、最少侵襲様式で送達することができる、任意の医療装置と理解されるべきである。これらの用語は、互換的に使用することができる。それは、例えば、ステントまたはステントベースのプロテーゼもしくはステントベースの置換心臓弁、例えば、大動脈心臓弁、僧帽心臓弁、または三尖心臓弁であり得る。
【0072】
本開示の意味において、「カテーテル」または「送達装置」という用語は、例えば、心臓弁、例えば、大動脈心臓弁、僧帽心臓弁、または三尖心臓弁を置き換えるために、患者の所定の部位にプロテーゼを展開するのに使用される装置と理解されるべきである。
【0073】
本開示の意味において、「メッシュステント」または「編組メッシュステント」または「編組ステント」は、例えば、レーザー切断ニチノール管とは対照的に、ワイヤーから構成されるステントである。
【0074】
本開示の意味において、「切断ステント」または「レーザー切断ステント」は、ニチノール管からレーザー切断されたステントである。
【0075】
本開示の意味において、「ステント領域(stent area)」または「ステント領域(stent areas)」は、外側ステント、メッシュステント、または置換心臓弁プロテーゼの画定された領域であり、特に、近位領域、中位領域、または遠位領域として画定された長手方向セクションまたは外側セクションである。
【0076】
本開示の意味において、「近位領域」、「中位領域」、「遠位領域」は、カテーテルの使用により埋込みを行うオペレータに関連するステントまたはプロテーゼの領域を指す。ここで、近位は、オペレータに近く、遠位は、オペレータから離れている。本開示の意味において、「中位領域」は、ステントまたはプロテーゼにおける遠位領域と近位領域との間の領域を意味する。「近位領域」は、流入端または流入領域を指すこともできる。「遠位領域」は、個体(人または患者)におけるin situ、すなわち、in vivoでの生来の血流に関する流出端または流出領域も意味することができる。
【0077】
本開示の意味において、「弁輪領域」は、内因性心臓弁の各領域であるか、または埋込み部位に配置されるべき置換心臓弁またはステントにおける各領域を規定し、内因性弁輪と整合することを意味する。
【0078】
本開示の意味において、「弁輪下領域」は、内因性心臓弁の弁輪の遠位方向(または流出方向)にあるプロテーゼの領域である。プロテーゼは、「弁輪下領域」を溝領域および遠位領域で覆っていることがある。
【0079】
本開示の意味において、「溝」は、他の領域よりも小さい直径を示すステントまたはプロテーゼの領域を説明する。前記溝の遠位および近位に、より大きい直径を有するステントまたはプロテーゼの他の領域が、前記溝の近傍にあり、前記溝は、V字形もしくはU字形、またはそれらの組み合わせ、あるいは他の有用な幾何学的形状を有することができる。
【0080】
本開示の意味において、「2部分ステント」は、内側ステントと外側ステントとから構成され、内側ステントは、内側ステントに取り付けられた心臓弁を担持し、内側ステントと外側ステントとは、1本以上の縫合糸、クリック機構等の特定の機構または置換心臓弁プロテーゼを形成する任意の他の適切な連結手段により連結される。本開示の意味において、このようなプロテーゼは、心臓弁が僧帽弁または三尖弁である、障害のある内因性心臓弁を治療する、すなわち、置き換えるのに適切であり得るか、または埋め込むことができる。
【0081】
本開示の意味における「3部分ステント」では、外側ステントは、例えば、レーザー切断管で製造された2つの部分から構成され、この2つの部分は、連結手段および連結支柱ガイドにより弁を担持するレーザー切断内側ステントと連結しており、「3部分ステント」プロテーゼは、少なくとも3つまたは複数、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24個の連結手段および連結支柱ガイドを含むことができる。連結支柱ガイドは、有利には、内側ステントから本質的に近位に配置され、内側ステントの長手方向移動を防止しまたは制限することができる。
【0082】
本開示の意味において、「標的部位」は、置換心臓弁プロテーゼが埋め込まれるべきであり、機能障害または機能不全が治療されるべき場所または位置である。
【0083】
本開示の意味において、ステントの「連結」は、縫合により、クリップ手段もしくはクリック機構により、またはステント同士を取り付けるための任意の他の有用な様式もしくは手段により、2つのステントを互いに固定する様式である。
【0084】
本開示の意味において、「連結手段(connection means)」または「連結手段(connecting means)」は、2つのステントが連結されて安定したユニットを形成する、ステントまたはレーザー切断ステントにおける2つの支柱の機械的または物理的連結である。連結手段は,例えば、溶接、接着、または任意の他の公知の手順もしくはプロセスもしくは手段によることができる。また、連結手段は、着脱可能な連結または着脱不可能な連結のための特別な設計および幾何学的形状を示す取付け手段またはクリップ手段とすることもできる。
【0085】
本開示の意味において、「連結支柱(connection struts)」または「連結支柱(connecting struts)」は、2つのステント同士を連結するのに使用される、2つの異なるステントまたは2つの異なるレーザー切断ステントの支柱である。この支柱は、レーザー切断内側ステントと外側ステントとを連結する機能を有するレーザー切断ステントまたはステントの構造に関する。連結は、着脱不可能な連結手段または連結手段により、着脱可能または着脱不可能とすることができる。
【0086】
本開示の意味において、「固定セル」は、ループとレーザー切断ステントのステントセルとの組み合わせである。ここで、ループは、半径方向に移動可能であり、非侵襲的な幾何学的形状で形成されている。「固定セル」は単一ユニットとして形成することができ、レーザー切断ステントのステントセルまたはその一部が半径方向に移動可能であり、非侵襲的な幾何学的形状で形成されるループを形成する。
【0087】
本開示の意味において、「連結支柱ガイド」は、3部分ステントの連結を支持しまたは補助するのに使用されるのに関する。連結支柱ガイドは、連結支柱と相互作用する。好ましくは、連結支柱および連結支柱ガイドは、溝(V溝またはU溝)内に、例えば、遠位領域の中位領域および近位領域の周りに配置される。連結支柱ガイド端部は、アイレットとしてまたは連結支柱を通過させ、その連結支柱の片割れと連結することができるような別の形式で形成することができる。このようにして、ステント(プロテーゼ)の近位部と、ステント(プロテーゼ)の遠位部と、内側ステントとが連結するであろう。これにより、プロテーゼの中位ステント部および遠位ステント部は自由に動くことができ、心室組織およびその幾何学的形状と容易に整合させることができる。このようにして、弁を担持する内側ステントは、プロテーゼの外側ステント部から切り離され、プロテーゼの外側ステント部への心拍動による影響による変形は、内側ステントには到達しないであろう。このため、適切な弁接合および機能、すなわち、弁尖の正確な開閉に有利である内側ステントの丸い幾何学的形状が有利に保証される。
【0088】
本開示の意味において、「S字支柱」または「U字支柱またはV字支柱」は、レーザー切断ステント、例えば、ニチノールステントのステント支柱であり、この支柱は、繰り返される数のS、UまたはV単位を含むか、またはそれらから構成され、これにより、真っ直ぐな支柱と比較して、他の特性を示す特定の幾何学的形状を形成する。例示的なS字支柱が、図16に示されている。S字支柱は、本開示に係るレーザー切断ステントの連結支柱または/および連結手段と共に使用されてもよい。
【0089】
本開示の意味において、「ループ」は、ステントまたはプロテーゼの改善された固定に有用な手段である。ここで、ループは、外部ステントに固定されるか、またはそれと連結するか、またはその一部を形成するか、またはその一体部分である。本開示の意味において、「ループ(loop)」または「ループ(loops)」は、異なる形状、例えば、円形、正方形等を有することができ、規定されたパターンで規定された領域に位置することができる。本開示の意味において、「ループ」は、外側ステント表面に対して規定された角度を示し、ステントまたはプロテーゼが最初の、場合によっては部分的な展開の後にカテーテル内に回収されるときにひっくり返ることができるように設計されてもよい。本開示の意味において、ループは、固定セルに含ませることができ、ループは、滴として形成することができる。
【0090】
本開示の意味において、「スタビライザー」は、標的部位、すなわち、置き換えられるべき内因性心臓弁でのステントまたは置換心臓弁プロテーゼの改善された固定を支持するのを補助する構造である。また、「スタビライザー」は、補強手段としても理解することができる。「スタビライザー」は、本開示の意味において、ステントまたはプロテーゼの特定の特性、例えば、可撓性または軸方向の力等を全体または規定された領域で支持することができる。スタビライザーは、例えば、追加のワイヤーまたはステント層とすることができる。「スタビライザー」は、例えば、好ましくはメッシュステントの内側もしくは外側に取り付けられるか、またはメッシュステントのメッシュと組み合わされるか、もしくはメッシュ内に導入される少なくとも1つのニチノールリングであり、好ましくは、少なくとも1つのニチノールリングは、波状またはV字もしくはU字の幾何学的形状、またはジグザグの幾何学的形状を有し、または「スタビライザー」は、Zリングとして設計することができる。
【0091】
本開示の意味において、「Zリング」は、固定機能を提供するか、またはスタビライザー機能およびループ機能を併せ持つ。さらに、固定機能またはループ機能は、有利には、心臓構造、例えば、標的部位の索との干渉を提供し、これにより、標的部位におけるプロテーゼの改善された固定が達成される。本開示に係るプロテーゼは、1、2、3、4、5、6もしくはそれ以上の個数のZリングを備えてもよい。このようなZリングは、互いに相互連結してもよく、または外側ステント、好ましくは、外側メッシュステントと独立して連結してもよい。Zリングは、6~50個のセルもしくは10~30個のセルもしくは15~25個のセルから構成することができ、かつ/または各セルの支柱長さは、5~15mm、好ましくは8~10mmの範囲でもよい。Zリングは、任意の中位領域もしくは遠位領域、またはその一部に配置されてもよい。例えば、Zリングは、遠位領域、好ましくは、外側メッシュステントの遠位端に配置されてもよい。Zリングは、外側メッシュステントと組み合わせることができる任意の材料で製造することができ、例えば、レーザー切断ニチノール、ワイヤー、ニチノールワイヤーで製造することができる。Zリングは、任意の有用な幾何学的形状、例えば、Z字、V字、U字、またはジグザグの幾何学的形状を有することもできる。Zリングは、好ましくは、ニチノール製のレーザー切断部分である。Zリングは、外側メッシュステントの外側に位置し、公知の手段、例えば、縫合、溶接、織り、クリップ、またはメッシュステントへの編み込みにより、外側メッシュステントと連結させてもよい。Zリングは、外側ステントの周りに周方向に配置されてもよい。外側ステントの周りに周方向に単一のリングを表さないが、外側ステントの周りに配置される単一のユニットまたは部品から構成されるZリングを設計することも可能である。また、相互作用および改善された固定機能の傾向があり、内因性構造に対して好ましい領域に配置されるために、単一のZリングユニットまたは部分が、外側ステントの規定された領域に配置されることも実現可能である。Zリングの重要な態様は、その固定機能を発揮するために、本質的に遠位または近位に向けられた端部が自由であり、外側ステントと連結していないことである。
【0092】
本開示の意味において、「角度構造」または「角度」は、他のステント構造、例えば、内側ステントに関して、前記ステント層の特定の幾何学的形状を画定するために、特定の領域またはステント層において引かれた2本の付属線の間の角度である。
【0093】
本開示の意味において、「角度アルファ」または「角度α」は、外側メッシュステントの2本の付属線で囲まれた角度であり、各線は、メッシュステントの1つの外側層または内側層に整合している。
【0094】
本開示の意味において、「ばね」もしくは「ばね機能」、または「吸収」は、2つの層として折り畳まれ、例えば、拍動する心臓からの運動および衝撃を吸収することを可能にし、軟組織環境、例えば、三尖弁または僧帽弁における改善された固定を支持する、特定の半径方向の力および可撓性を示す場合の外側メッシュステントの機能に関する。レーザー切断外側ステントが使用される場合、同様の有利な効果を達成することができる。
【0095】
本開示の意味において、「半径方向の力」は、半径方向外向き方向にステントまたはプロテーゼにより示される力であり、とりわけ、メッシュまたはレーザー切断ステント、例えば、ニチノールステントでもよいプロテーゼの外側ステントにより示される力である。半径方向の力は、特定のメッシュまたは切断ステントの設計により決まり、材料密度、例えば、メッシュステントにおける平方面積あたりのワイヤー密度または特定のレーザー切断ステントのレベルもしくは領域、例えば、近位領域、中位領域もしくは遠位領域における周方向にあるセルの数、および前記セルのサイズに関する。本開示に係る置換心臓弁プロテーゼにおける半径方向の力は、周囲組織との良好な接触を提供し、かつ互いの良好な接触を提供する大きさで、各領域について選択されるであろう。他方、それは、埋込み部位および内因性組織との干渉を回避し、機能するような大きさで選択されるであろう。半径方向の力は、他の手段、例えば、固定用ループにより、その固定機能のために支持されてもよい。
【0096】
本開示の意味において、「固定改善」は、各設計機構を示さないステントまたは置換心臓弁と比較して、in situもしくはin vivoでのより良好な固定を説明するか、または一般的には、ステントもしくは置換心臓弁が所望の埋込み部位での安定かつ長期の埋込みを支持することを意味する。
【0097】
本開示の意味において、「装填」という用語は、カテーテルが患者への送達および展開手順を開始する準備ができるように、カテーテルにプロテーゼを配置することと理解されたい。
【0098】
本開示の意味において、「標的領域」は、例えば、三尖心臓弁とすることができる生来の心臓弁等の生来の臓器を取り囲むか、またはその中にある三次元空間である。
【0099】
本開示の意味において、ループの「非侵襲的設計」は、ステントまたはプロテーゼのループまたは他の手段もしくは部分が前記部分または少なくとも部分と接触する周囲の組織または組織の一切の損傷または本質的に一切の損傷を回避するように設計され、接触する組織の損傷または/および傷害を最小限に抑えるように製造されるものである。
【0100】
本開示の意味において、ステントまたは置換心臓弁プロテーゼ(例えば、外側メッシュステント内の内側レーザー切断ステントまたはレーザー切断外側ステント内のレーザー切断内側ステントを備える)の「コンプライアンス」は、標的組織との確実な干渉に関する。「コンプライアンス」は、ステントまたはプロテーゼの埋込み部位への良好な幾何学的形状の適合を示し、ステントまたはプロテーゼが、有利な固定特性、弁機能に関する良好な機能、ならびに内因性心臓構造および心臓機能との最小限の干渉を示す設計に関する。
【0101】
本開示の意味において、ステントまたは置換心臓弁プロテーゼもしくはプロテーゼの「圧潰抵抗」は、内側ステントの幾何学的形状の維持または/および外側ステント、例えば、メッシュステントもしくはレーザー切断ニチノールステントの設計による置換弁機能の機能性の維持に関する。これらの維持は、プロテーゼの外側ステントに対する内因性心拍動の影響に対する、内側ステントと外側ステントとの隔離を提供する。本開示に係るプロテーゼの確実な「圧潰抵抗」は、有利には、内側ステントの幾何学的形状の維持および本質的に正確な置換心臓弁機能を達成する。標的部位への固定力を提供し、同時に内因性組織と干渉せず、機能するようにするための外側ステントの半径方向の力が特に有利である。本開示に係るプロテーゼ(例えば、外側メッシュステントを備える)は、点状変形性を示し、一方で、その全体が依然として半径方向外向きの力を示す。同時に、それは、心室心臓組織との有利なコンプライアンスを提供するように変形可能である。これにより、本開示に係るプロテーゼ(例えば、外側メッシュステントを備える)は、有利なコンプライアンスを提供するために、周方向外向きの半径方向の力および点状変形性を示す。これにより、圧潰抵抗は小さく、半径方向外向きの力は、支持および固定機能を提供する大きさになる(例えば、図17、18を参照のこと)。外側ステントの有利な圧潰抵抗は、標的領域における点状応力影響の分散および低減を有利に達成する。
【0102】
本開示の一態様では、本願の根底にある課題は、ステントが1つ以上の補強領域を備える、メッシュステントにより解決される。
【0103】
本開示の一態様では、本願の根底にある課題は、1つ以上の固定ループを備える、メッシュステントにより解決される。
【0104】
本開示の一態様では、本願の根底にある課題は、1つ以上の補強領域を備えるステントと、1つ以上の固定ループとの組み合わせにより解決される。おそらく、埋込み部位の生来の組織との整合能力を有利に示す特定の外側ステント設計は、改善された固定をさらに支持することがある。
【0105】
それゆえに、本開示によれば、有利な固定特性を示すステントまたは/および置換心臓弁プロテーゼを提供することが可能になるであろう。
【0106】
一態様では、本開示は、1つ以上の固定ループがステントから外向きに、好ましくは近位方向(流入方向)に10°~90°または30°~90°、好ましくは50°~60°の角度で延在し、好ましくは、ステントの弁輪下領域(心室領域)に位置するループを形成する、ステントから延在し、ステントに戻るワイヤーにより特徴付けられ、好ましくは、多数のループが、互いに同じかまたは異なる距離でステントの周方向に位置し、または/かつ幾つかの列もしくは高さに位置し、または/かつ異なる列もしくは/および交互の位置に位置している、上記されたメッシュステントに関する。
【0107】
本開示に係るループは、任意の有用な様式および幾何学的形状で形成することができ、好ましくは、ループは、楕円形、丸形、開放形、閉鎖形、または/およびテーパ形状として形成される。有利には、ループは、長さ2mm~15mmの範囲にある寸法を有し、または/かつループは、直径2mm~10mmの範囲にある。滴の寸法は、参照される図面の説明および符号の説明に示されている。
【0108】
好ましくは、本開示に係るメッシュステントにおいて、ループは、非侵襲的設計で形成されている。したがって、ループは、周囲組織の一切の損傷または本質的に一切の損傷を回避するように設計されるか、または少なくとも、ループが接触する組織の損傷もしくは/および傷害を最小限に抑えるように製造される。
【0109】
ループは、プロテーゼの固定特性を向上させるのに最も有用であるように配置することができる。したがって、ループは、近位方向または遠位方向のいずれかにおいて、メッシュステントに対して角度を形成することができる。一態様では、本開示に係るメッシュステントは、in situにおいて、ステントをカテーテルに再装填する間に、遠位方向(流出方向)にひっくり返るように設計されているループを示す。
【0110】
好ましい態様では、本開示に係るメッシュステントは、本開示の本発明の特徴の組み合わせにより特徴付けられる。ここで、補強領域は、スタビライザーおよび/または1つ、2つ、もしくはそれ以上の追加のメッシュ層により支持されている。スタビライザーは、メッシュステントに取り付けられた、またはメッシュステントと組み合わされた1、2、3、またはそれ以上の個数のスタビライザーであることができる。好ましくは、スタビライザーは、好ましくは、メッシュステントの内側もしくは外側に取り付けられた、またはメッシュステントのメッシュと組み合わされた、またはメッシュステントのメッシュ内に導入された少なくとも1つまたは2つのニチノールリングまたはワイヤーである。スタビライザーは、メッシュステントの異なる領域または周方向に幾何学的形状を示すことができ、好ましくは、少なくとも1つのニチノールリングは、波状またはV字形状もしくはU字形状、またはジグザグ形状を有する。
【0111】
一態様では、本開示は、外側ステントが外側ステント(例えば、メッシュステント)の遠位領域の外側に、好ましくは、外側ステントの遠位端に配置されるZリングを備える実施形態に関する。Zリングは、有利には、補強機能またはスタビライザー機能と、本質的に近位方向および遠位方向に突出するその先端とを併せ持つ。また、ループ機能または心臓構造、例えば、索と干渉するように機能し、これにより、本明細書で開示された置換心臓弁プロテーゼの改善された固定特性に寄与する機能によっても特徴付けられる。
【0112】
一態様では、本開示は、前記ステントを備える置換心臓弁プロテーゼのステント、2部分ステント、3部分ステントの標的部位、好ましくは、心臓への安定した固定を支援し、または改善するのに有用なZリングまたは多数のZリング部材に関する。ZリングまたはZリング部材は、一方向の少なくとも2つのバーおよび少なくとも1つのピークまたは先端、ならびに本質的に対向方向にある少なくとも2つのピークまたは先端により特徴付けられる。バー、先端/ピークの数は、プロテーゼの全体的なサイズおよび必要とされる固定機構に関する機能的要求に応じて変化するであろう。
【0113】
このようなZリングまたはZリング部材は、先端またはピークが外側ステントと本質的に連結していない状態を保ち、プロテーゼの改善された固定を支援するであろう内因性構造または組織とのそれらの相互作用を可能にするような様式で、例えば、置換心臓弁プロテーゼの外側ステントに連結している。外側ステントは、ZリングまたはZリング部材が連結し、または織り合わされたメッシュステントであってもよい。
【0114】
ZリングまたはZリング部材は、有利には、外側ステントの中位領域もしくは遠位領域、またはその領域下に配置することができる。外側ステントの全ての屈曲領域が好ましい。
【0115】
一態様では、ZリングまたはZリング部材が、置換心臓弁プロテーゼの外側ステントの遠位領域に配置される場合も有利である。このような配置は、置換プロテーゼ部材、例えば、内側ステント、ZリングまたはZリング部材、およびカテーテル内の装填および縮んだプロテーゼ直径に重要な残りのプロテーゼ部材の有利な配置のために、カテーテル直径に対する利点も意味するためである(図25b)も参照のこと。このようにして、Zリングおよび内側ステントは、互いに隣接して配置され、重ね合わされず、直径が大きくなるであろう。プロテーゼ部材のこのような有利に装填された位置決めは、ZリングまたはZリング部材、および内側ステントの圧縮および位置決め中に外側メッシュステントの長手方向の伸長を有利に使用して達成され、その結果、これらのプロテーゼ部材は、カテーテル内で並んだ位置を達成する。
【0116】
一態様では、ZリングまたはZリング部材の使用は、比較的小さい半径方向の力を示し、標的部位との非常に良好なコンプライアンスを提供し、Zリング部材を備えるプロテーゼの改善された、または有利な固定特性を提供する外側ステントと組み合わされた比較的大きな半径方向の力を示す内側ステントの概念を支持するであろう。これにより、ZリングまたはZリング部材は、有利な固定特性を提供しながら、外側ステント内の比較的小さい半径方向の力を維持するのを可能にする。
【0117】
有利な方法では、本開示に係るメッシュステントは、補強領域を示し、補強領域は、外側ステントに取り付けられるか、または外側ステントの一体部分であるループの組み合わせであり、メッシュステントは、二重層、三重層、もしくは四重層により補強され、または/かつ内側ステントと連結していない。
【0118】
上記機構は、外側メッシュステント設計と組み合わせられてもよい。ここで、ステント領域は、標的部位に展開されたときに、標的部位の弁輪もしくは弁輪下領域または心室領域に本質的に沿うであろう。したがって、メッシュステントが、内因性心臓組織と良好に整合するだけでなく、メッシュステントと内因性組織との接触面積が大きくなるであろう。このようにして、本開示に係るメッシュステントおよびプロテーゼは、改善された摩擦により、改善された固定を達成する。これは、ステントまたは置換心臓弁のより広い表面が、内因性弁を取り囲む組織の内因性表面と接触するためである。本開示に係るメッシュステントは、有利には、楕円形の幾何学的形状の内因性心臓弁への先験的な丸いメッシュステントの適合を達成することができる。これにより、ステントまたは置換心臓弁プロテーゼは、in situにおいて改善された固定特性を示すであろう。また、改善された固定特性は、ステントまたは置換心臓弁プロテーゼが内因性組織または内因性心室組織との部分的な整合のみを達成する場合でも達成することができる。さらに、索とのループの干渉は、プロテーゼの改善された固定特性に寄与することがある。
【0119】
一態様では、本開示に係るメッシュステントは、1つ以上の補強領域を示し、好ましくは、補強領域は、標的部位に展開されたときに、好ましくは、三尖心臓弁または僧帽心臓弁の置換心臓弁の文脈において、標的部位の心室領域と本質的に整合するであろうメッシュステント領域上に位置し、または補強領域は、標的部位に展開されたときに、好ましくは、大動脈心臓弁または肺動脈心臓弁の置換心臓弁の文脈において、標的部位の大動脈領域または肺領域と本質的に整合するであろうメッシュステント領域上に位置する。
【0120】
本開示に係るメッシュステントの一態様では、補強領域は、メッシュステントの流出領域内のメッシュステント領域に位置する。
【0121】
本開示に係るメッシュステントは、1つ以上の補強領域を示すことができる。ここで、一態様では、補強領域は、メッシュ二重層または三重層により特徴付けられ、好ましくは、1部分メッシュから製造され、好ましくは、バックループにより特徴付けられる。バックループが特に形成される。再装填手順では、ループはひっくり返され、これにより、カテーテル内に引き戻すことができるであろう。そして、ループは、メッシュステントの一体部分を形成する。好ましくは、外側ステントの層が、同じ三次元形状を有し、重ね合わせられた層構造を形成する、1部分メッシュを使用することができる。このような重ね合わせられたステント構造において、種々の層は、特定のステント領域における半径方向の力の規定および設計に寄与することができ、これにより、確実かつ有利なばねまたは吸収効果に寄与することができる。メッシュステントの層は、縫合糸等の有用な手段により互いに連結することができる。
【0122】
一態様では、補強領域は、メッシュ層間の空間または/および2メッシュ層もしくは3メッシュ層の円錐形状によりさらに特徴付けられるメッシュ二重層または三重層により特徴付けられる。好ましくは、円錐形状および/またはその距離は、近位(流入)方向のメッシュ層間で大きくなる。
【0123】
本開示に係るメッシュステントの可撓性は、補強領域が非補強メッシュステント領域と比較して小さくなった可撓性により特徴付けられ、または/かつ非補強メッシュステント領域と比較して大きくなった半径方向の力により特徴付けられる、補強機構によりまたはこれらの組み合わせにより設計し、適合させることができる。
【0124】
本開示に係るメッシュステントは、近位領域または心房領域または流入領域、中位領域または弁輪領域(または溝下領域)、および遠位領域または心室領域または流出領域として画定された3つの領域により特徴付けることができる。
【0125】
本発明は、有利には、本開示の設計機構を単一の機構または機構の組み合わせとして規定し、選択することにより、プロテーゼの特定の挙動を達成することができる。これにより、特定の半径方向の力の分布を達成することができ、これにより、埋込み部位におけるプロテーゼの改善された固定を達成することができる。
【0126】
先行技術では、置換心臓弁プロテーゼの設計は、特に、僧帽弁または三尖弁置換術の文脈において、最適化されたプロテーゼ固定にとって好ましくない、異なる領域における(プロテーゼの長さにわたる)半径方向の力の分布を示すことがある。先行技術に係るプロテーゼは、遠位方向に、高すぎる半径方向の力を示すことがある。したがって、これにより、埋込み後のin situにおいてかつ心臓が拍動しているときに、プロテーゼを近位方向(すなわち、流入方向)に徐々に押し、プロテーゼをずらしてしまうことがある。
【0127】
ここで、本開示に係るプロテーゼは、その補強機構、例えば、メッシュの遠位部が内側ステントと連結していない補強領域または設計により、異なる改善された半径方向の力の分布および所望の埋込み部位での置換心臓弁プロテーゼの改善された固定を達成することができる。
【0128】
ループ等の追加の設計機構または/および心室領域内の内因性心臓組織との外側メッシュステントの改善された整合は、このような改善された固定に寄与することがある。
【0129】
本開示に係るメッシュステントは、特定の患者または患者群に適した寸法に設計され、3つのプロテーゼ領域の寸法は、最も適切であるように選択されるものとする。一態様では、本開示に係るプロテーゼは、近位領域が1~25mm、好ましくは1~5mmの長手方向寸法を有し、中位領域が1~25mm、好ましくは4~10mmの長手方向寸法を有し、遠位領域が1~25mm、好ましくは4~10mmの長手方向寸法を有する、プロテーゼ寸法を有するであろう。
【0130】
別の態様では、本開示は、上記されたメッシュステント(第1のステントである)と、第2のステントとを備える、心臓弁プロテーゼに関し、ここで、第1のステントは、メッシュステント(外側ステント)であり、第2のステントは、好ましくは1本以上の縫合糸により第2のステントに固定された弁を備える内側ステントである。
【0131】
本開示に係る心臓弁プロテーゼでは、内側ステントは、レーザー切断ニチノール管であり、内側ステントは、好ましくは8mm~40mmの内径を有し、または/かつ内側ステントは、9mm~41mmもしくは15~41mmの外径を有し、または/かつ内側ステントは、その拡張構成において、8~35mmの長手方向寸法を有する。内側ステントは、2、3、4、5、または6列のセルから構成されてもよい。
【0132】
本開示に係る心臓弁プロテーゼでは、2つのステントが、適切かつ当業者に一般公知の手段により連結していてもよい。内側ステントは、好ましくは1本以上の縫合糸または1つ以上の連結構造により、外側ステントと連結していてもよい。このような連結構造は、クリップまたは一旦互いに連結すると安定したままであろう何らかの2つの部分から成る手段でもよい。
【0133】
本開示に係る心臓弁プロテーゼでは、内側ステントおよび外側ステントは、プロテーゼの機能に適切かつ有用であり、さらに収縮手順に有用であり得るように、互いに連結し、固定することができる。特定の実施形態では、内側ステントは、好ましくは、その遠位領域(流出領域)および近位領域(流入領域)において、または本質的にその近位領域において、または/および外側ステントの遠位領域が内側ステントと連結していない状態で、外側ステントに連結している。
【0134】
一態様では、本開示に係る心臓弁プロテーゼは、外側メッシュステントの遠位領域(流出領域)が内側ステントと連結しておらず、内側ステントに対する外側メッシュステントの角度が特に選択されるのが有利である。さらに、角度アルファは、特定の次元で選択することができる。3つの設計機構は全て、埋込み部位におけるメッシュステントおよび心臓弁プロテーゼの改善された固定に寄与するであろう。本開示に係る特定の実施形態では、外側ステントは、好ましくは5~90°または25°~50°、より好ましくは35~45°の内側ステントとの角度を形成する。
【0135】
本開示に係る心臓弁プロテーゼは、カテーテルシステムにより展開されてもよい。通常、カテーテルに装填された薄型の心臓弁プロテーゼを達成するのが望ましい。したがって、本開示に係る縮んだ構成にある心臓弁プロテーゼにおいて、一実施形態では、ループは、心室領域においてメッシュステントに配置され、その結果、メッシュステントがそれ自体と重ならない領域または/およびプロテーゼがその縮んだ構成におけるより1つ少ないステント層を示す領域においてメッシュステントに位置している。例えば、図8を参照されたい。
【0136】
本開示に係るメッシュステントまたは本開示に係る心臓弁プロテーゼにおいて、寸法は、使用ならびに有利な埋込みおよび固定に最も適したものとして選択することができることが上記された。また、メッシュ領域は、それらの長手方向寸法に適合させることができることも記載された。改善された固定特性のために、メッシュステントまたは心臓弁プロテーゼの直径を適合させることも可能である。したがって、メッシュステントまたは心臓弁プロテーゼの3つの領域は、異なる外径を示してもよく、好ましくは、3つの外径は、ステントの拡張状態において、40~90mmまたは20~90mmの範囲にある。外径は、等しくてもまたは異なってもよい。
【0137】
一態様では、本開示に係るメッシュステントまたは本開示に係る心臓弁プロテーゼは、中位領域が他の2つの領域よりも本質的に小さい外径を示し、好ましくは、溝を形成するように設計される。このような溝は、内因性心臓組織および幾何学的形状との改善された整合を達成するために、本質的にV溝もしくはU溝、またはこのような幾何学的形状の任意の組み合わせとして成形することができる。
【0138】
本開示に係る全体的なメッシュステントおよび心臓弁プロテーゼ設計は、長手方向寸法における特定の半径方向の力の分布をもたらすであろう。特定の実施形態では、弁輪下領域における半径方向の力は、メッシュステントまたはプロテーゼの心室領域または流出領域と比較して、本質的に等しいかまたはより大きい。本明細書で開示されたプロテーゼ上の半径方向の力は、好ましくは、下記のとおりである:近位領域(流入領域)-中位領域-遠位領域(流出領域)が、1~2-0.5~1-2~3に等しい。
【0139】
一態様では、本開示に係るメッシュステントまたは心臓弁プロテーゼは、0.5~20Nまたは2~20Nの範囲にある弁輪領域における半径方向の力を示す。Zリングの領域では、半径方向の力は、1~40Nまたは15~40Nであることができる。
【0140】
別の態様では、本開示は、外側ステントがレーザー切断ステント、好ましくは、ニチノールステントである、上記された心臓弁プロテーゼに関する。
【0141】
一態様では、本開示は、好ましくは、1つ以上の連結手段によりまたは物理的方法、例えば、溶接により連結され、好ましくは、内側ステントに弁が取り付けられている、2つのレーザー切断ニチノールステント-内側ステントおよび外側ステント-を備えるかまたはそれらからなる、ステントまたは置換心臓弁プロテーゼに関する。
【0142】
本開示に係るレーザー切断外側ステントに連結しているレーザー切断内側ステントは、有利には、標的部位における良好な長時間の固定を達成し、同時に、良好な置換心臓弁機能を提供する。有利には、外側ステントに対する内側ステントの長手方向運動が回避される。また、置換心臓弁プロテーゼの長手方向運動も本質的に回避され、これは、置換心臓弁プロテーゼの正しい機能性に寄与する。
【0143】
本開示に係る2つのレーザー切断ステントの組み合わせは、有利には、プロテーゼの有利な圧潰抵抗を提供し、これにより、置換心臓弁の優れた機能を提供する。
【0144】
置換心臓弁プロテーゼの問題は、標的部位での展開中のステント部材の折り畳みである。本開示に係る置換心臓弁プロテーゼの特定の設計は、前記問題を本質的に回避することを達成する。
【0145】
置換心臓弁プロテーゼは、長手方向に3つの領域、すなわち、第1に、近位領域または流入領域または心房領域、第2に、中位領域または好ましくは溝領域または弁輪領域、第3に、遠位領域または流出領域または弁輪下領域に分割することができる。異なる領域は、特定の内因性心臓弁の幾何学的形状およびその寸法に最も良好に適合するように設計されるであろう。3つの領域は、下記寸法を有することができる。
・近位領域:1mm~25mm、直径20~90mm、周方向のステントセル数6~48個、好ましくは10~18個;
・中位領域:1mm~25mm、直径10~80、周方向のステントセル数6~48個、好ましくは10~18個;
・遠位領域:1mm~35mm、直径20~90、周方向のステントセル数6~48個、好ましくは10~18個。
【0146】
一態様では、本開示は、レーザー切断外側ステントが少なくとも4つのループおよび/または固定セル、好ましくは6~18個、8~12個、もしくは10個のループおよび/または固定セルにより特徴付けられる、上記された心臓弁プロテーゼに関する。レーザー切断外側ステントは、異なるステント領域内の規定された数のセルにより周方向に特徴付けられてもよい。本開示に係るレーザー切断外側ステントは、近位領域における14~22個または16~18個のセル(支持セルとも呼ばれる)と、遠位領域における14~22個または16~18個のセルとにより特徴付けられてもよい。遠位領域は、1、2、3、4、または5列のセルを備えてもよくまたはそれらから構成されてもよい。遠位領域が2列以上のセルから構成される実施形態では、周方向セルの数は、セルあたり16~34個または18~28個である。
【0147】
レーザー切断内側ステントは、2、3、4、5、または6列のセルにより特徴付けられてもよい。周方向に、内側ステントは、各列に4~24個または10~30個または14~20個または16~18個のセルを備えてもよくまたはそれらから構成されてもよい。
【0148】
レーザー切断外側ステントは、1つ以上または全てのセルの近位端に、展開のためにカテーテル内により容易に装填するのに役立つことがあるアイレットを備えてもよい。
【0149】
また、内側ステントと遠位に連結していない本開示に係るレーザー切断外側ステントは、本開示に係るプロテーゼの有利なコンプライアンス機能に寄与する。
【0150】
本開示に係る置換心臓弁プロテーゼは、埋込み部位における有利な固定をもたらす、in situにおいて有利な半径方向の力の分布により特徴付けられるであろう。本開示に係るプロテーゼは、心房領域における運動が本質的にないかまたはほとんどないことにより特徴付けられる。心室領域において、本開示に係るプロテーゼは、改善された固定および長期間の機能に寄与する有利な可撓性および/またはコンプライアンスにより特徴付けられるであろう。
【0151】
また、上記開示に係る設計は、潜在的なステントの破損および損傷を受けやすいステント領域が回避されるという利点も暗示する。例えば、遠位外側部または/および端部は、開放形状を示す。これにより、外側遠位ステントが内側ステントの内側遠位部に連結している、本開示に係るプロテーゼでは、閉鎖形の設計と比較して、ステントの破損が生じないことがある。
【0152】
外側ステントが流出領域において、好ましくは、その流出端(遠位端)上のセルにループを備える、上記された置換心臓弁プロテーゼは、有利な固定特性を示す。実施形態では、プロテーゼは、好ましくは、少なくとも2つの固定セル、例えば、4~48個または4~20個の固定セルにより特徴付けられる。また、プロテーゼは、さらに、レーザー切断ステントの一体部分としてループを備えるかまたは任意の有用な様式でループに固定されることもできる。
【0153】
上記された置換心臓弁プロテーゼにおいて、ループは、最も遠位のセル内に配置されてもよく、ループは、外向きに突出してもよく、内向き方向に可撓性を示してもよい。
【0154】
固定を備える、本開示に係る実施形態が、図22図24に示される。このような固定セルは、有利には、標的部位における置換心臓弁プロテーゼの改善された固定に、非侵襲的様式で寄与する。外側ステントの支持セル内に配置されたループは、組織との摩擦および干渉を提供し、埋込み後の標的部位におけるプロテーゼの適切な固定を増加させるという利点を示す。
【0155】
備えられた固定セルおよびループの一体性の利点は、追加の製造工程において、材料または手段を加える必要がないことおよびプロテーゼの耐久性の観点からも、寿命を延ばすことができ、潜在的なステント破損を起こす傾向がないことである。
【0156】
上記開示に係るループは、さらに、ループが外側を向くように形成され、これにより、その固定目的を支援することができる。
【0157】
外側ステントは、例えば、4~48個または4~20個、8~16個または10~12個の固定セルを備えることができる。ここで、固定セルは、プロテーゼの遠位領域または流出端において、周方向に1列に配置される。また、固定セルは、例えば、外側ステント内の交互の位置で2列に配置することができる。
【0158】
上記開示に係る1つの固定セルは、3~25mmまたは3~20mmまたは3~10mm、または3~5mmの直径を有することができる。
【0159】
上記された置換心臓弁プロテーゼは、連結手段により連結しているか、または例えば、物理的方法、例えば、溶接を使用して、もしくは1本以上の縫合糸、1つ以上のねじもしくは1つ以上のクリップ手段により直接連結している、内側ステントおよび外側ステントを有してもよい。
【0160】
また、外側ステントは、規定された領域または位置に、S字支柱を備えることもできる。S字支柱は、連結手段と組み合わせられてもよく、1つまたは2つのS字支柱が、連結手段の両側に配置されてもよい。S字支柱および連結手段は、置換心臓弁の交連が同じ高さではなく、角度βだけ変位するように配置される。2つの連結手段または/および2つもしくは4つのS字支柱が、置換心臓弁の交連間に位置している。これにより、それらは、有利な圧潰抵抗に寄与する。また、これにより、ステントの好ましくない折り畳みが防止されてもよい。最後に、これにより、置換心臓弁の弁尖の接合機能も改善されまたは維持される。
【0161】
S字支柱要素は、種々の利点を暗示する。S字支柱要素は、製造中のより容易な形状形成を提供してもよく、また、送達のためにカテーテルにプロテーゼを装填する場合、圧縮手順の間の利点も暗示する。さらに、プロテーゼ内の材料の張力が低下し、点応力が低下し、疲労挙動が改善される。
【0162】
クリップ手段が、相互連結手段および固定手段、例えば、スリーブにより特徴付けられる、上記された心臓弁プロテーゼ。
【0163】
1つ以上のクリップ手段の使用による内側ステントと外側ステントとの連結も、心房領域における前記クリップ手段の利点および特定の配置も明らかではなかった。本発明者らが前記クリップ手段をこの領域に配置することを見出したことは、心拍動中および埋め込まれたプロテーゼが応力に曝されたときに、クリップ手段が配置される環境が、例えば、心臓の心室環境と比較して、曝される応力がより少ないという利点を有する。これにより、クリップ手段がより少ない応力しか受けず、これにより、埋め込まれたプロテーゼの寿命および疲労が確実に影響を受けないことを達成することができる。さらに、クリップ手段は、弁輪領域に配置されることが意図されるプロテーゼの領域を視覚化することを容易にする、比較的多くの密度の高い材料を表す。これにより、不透明マーカー、例えば、金、タンタル、白金-イリジウムを必要とすることなく、プロテーゼを正確に方向付け、位置決めすることが可能である。
【0164】
有利な実施形態では、内側ステント内に位置する置換心臓弁プロテーゼの弁交連(または弁を担持するかまたは弁に連結しているポスト)は、連結支柱または/および連結手段、例えば、クリップ手段間に配置される。
【0165】
これらのプロテーゼ構造は、有利には、特定の距離または角度で配置されてもよい。これにより、プロテーゼの弁尖の最適化された接合を有し、非効率的な置換心臓弁プロテーゼ機能を回避するのを有利に達成することができる。さらに、このようにして、心拍動および組織運動による弁を担持する内側ステントの変形が低減され、可能な限り最小限に保たれる。また、これは、埋込み後の正しい置換心臓弁プロテーゼ機能にも寄与する。
【0166】
このため、この構造設計機構により、内側ステントの安定性および形状変化の減少に関する協働的または相乗的効果を、内側ステントに連結している弁尖の正しい開閉を支持して達成することができる。
【0167】
圧潰抵抗は、埋め込まれたプロテーゼの内因性心臓構造および機能関連挙動に関して最適化されるべきである。本明細書で開示されたプロテーゼにより達成される1つの目的は、埋め込まれたプロテーゼが協働し、かつ/または内因性組織および心拍動要求に対する有利なコンプライアンスを示し、これにより、本明細書で開示されたプロテーゼが、長期にわたって正しく機能するために安全に位置決めされ、固定され、同時に、内因性心臓構造との干渉が可能な限り少ないことである。
【0168】
好ましくは、連結手段により互いに連結している2つのレーザー切断ステントを備える置換心臓弁プロテーゼは、有利には、良好な弁機能を伴った高い圧潰抵抗を有する内側ステントの組み合わせを提供することを達成し、ここで、外側ステントは、特に流出領域において、低い圧潰抵抗を示し、これにより、有利には、心室心臓領域とほとんど干渉しない。このため、本明細書で開示されたプロテーゼは、内側ステントにおいて高い圧潰抵抗を示し、外側ステントにおいて低い圧潰抵抗を示す。実際、本開示のプロテーゼの本発明の設計により、外側ステントは、心室形状に過度の影響を与えることなく、生来の内因性心室形状に適合する。
【0169】
内因性心臓組織および構造とのこの確実な相互作用は、連結支柱およびクリップ手段と組み合わせることができる上記された要素、例えば、S字支柱によっても改善される。これらの要素は、交連の特定の配置および配向と共に、有利な機能を提供する。プロテーゼの遠位領域に固定セルを含めることおよびプロテーゼの非侵襲的設計は、組織損傷を低減しまたは回避し、同時に、埋込み後のプロテーゼの改善された固定および長期間の固定を可能にする。連結手段の組み合わせおよび位置決めは、本明細書に記載された内側ステントの長手方向移動を有利に回避しまたは制限するであろう。
【0170】
さらに、本明細書で開示されたプロテーゼは、有利な固定機構および特徴を示すであろうし、3部分ステントにおいて、連結支柱と連結支柱ガイドとの特定の組み合わせは、心臓の収縮期収縮の間の長手方向の動きの制限を提供するであろう。連結支柱と連結支柱ガイドと連結手段との三方向連結および内側ステントから近位へのその位置決めは、弁が閉鎖されたときに、内側ステントの長手方向移動を本質的に防止しまたは制限するであろう。連結支柱ガイドは、アイレット、V字形状、またはU字形状を有することができる。ここで、アイレット形状が好ましい。アイレット形状は、有利には、全ての部分を所定の位置に保ち、わずかな移動のみを可能にし、置換心臓弁機能の間、所定の幾何学的形状を維持するであろう。
【0171】
本開示の一態様は、内側ステントおよび外側ステントが4~20個、好ましくは6~14個または8~18個または8~12個の連結手段により連結している、上記された置換心臓弁プロテーゼでもある。
【0172】
上記された置換心臓弁プロテーゼにおいて、プロテーゼは、16~40フレンチ(5.33~13.33mm)または18~30または16~35フレンチ(5.33~11.67mm)または20~35フレンチ(6.67~11.67mm)、または25~35フレンチ(8.33~11.67mm)の直径に縮めることができる。
【0173】
置換弁は、内側ステントに連結しており、通常、最新技術に従って1つまたは3つの部品で製造され、内側ステント内に縫合された3つの尖から構成される。この材料は、例えば、任意の公知かつ有用な材料、例えば、ウシまたはブタの心膜、ポリマー材料等から選択することができる。これらの材料およびそれらの調製は、当技術分野において周知であるため、本明細書においてより詳細に記載する必要はない。プロテーゼは、その機能に適するように、カバーおよびシールを備えてもよい。
【0174】
外側ステントのサイズが変化することがある、任意のプロテーゼのサイズにおいて、置換弁を担持する内側ステントは、常に、同じ直径および寸法を有してもよく、これにより、製造が容易になり、製造コストが下がるという利点がある。
【0175】
本明細書で開示された全ての変形例および実施形態に共通する1つの有利な概念は、改善された固定特性を有する外側ステントであり、外側ステントは、同時に、内側ステントまたは/および弁の幾何学的形状に関する変形または影響から内側ステントを本質的に切り離すか、または隔離するか、または保護し、これにより、改善された固定特性と改善された置換弁機能とを組み合わせる。
【0176】
本開示に係る置換心臓弁プロテーゼのレーザー切断ステントにおけるレーザー切断ステントの1つの利点は、製造に関して非常に進歩したノウハウが存在し、これにより、このようなプロテーゼを非常に費用効率の高い方法で製造することができることである。
【0177】
また、製造プロセスは、レーザー切断ステントを製造するときに、容易に制御可能であり、これにより、コストおよび品質管理の観点からの利点を暗示する。
【0178】
本開示は、ステントが外側メッシュステントに連結しているレーザー切断内側ステントまたはレーザー切断外側ステント(2部分または3部分ステント)に連結しているレーザー切断内側ステントにより特徴付けられる2部分ステントであることができ、外側ステントが追加の機構を備えてもよい、種々のステント実施形態に関する。本明細書に記載された全ての実施形態および変形例において、標的部位における改善された固定の目的は、可変数の機構または機構の組み合わせにより達成される。これにより、本開示は、好ましくは、三尖心臓弁または僧帽心臓弁の文脈において、置換心臓弁の改善された固定という同じ課題を解決する、各種の異なる有利な解決手段を提供する。さらに、本開示は、その標的部位における置換心臓弁プロテーゼの改善された固定に有用な多数の手段を提供することに関する。
【0179】
別の態様では、本開示は、置換心臓弁療法またはその埋込み方法に使用するための、記載された置換心臓弁の使用に関する。本明細書に記載された置換心臓弁プロテーゼは、患者における所望の標的部位に、例えば、三尖心臓弁を置き換えるために、公知のカテーテル技術により送達され、埋め込まれ得る。送達および展開の経路は、例えば、経大腿(経皮)カテーテル埋込みである。
【0180】
別の態様では、本開示は、カテーテルにプロテーゼを装填する工程と、個体にカテーテルを導入する工程と、カテーテルの先端を標的部位に移動させる工程と、プロテーゼを展開する工程とを含む、プロテーゼが例えば、カテーテルを使用して経大腿に送達される上記された心臓弁プロテーゼの埋込みのための方法に関する。
【0181】
別の態様では、本開示は、連動ヨーク、連動釘または歯、およびスリーブにより特徴付けられ、連動ヨーク、釘または/および歯、好ましくは連結支柱ガイドが、好ましくは、着脱可能な様式で、2つまたは3つの連結支柱を連結する、ステントのための連結手段に関する。
【0182】
本明細書に記載された単一の特徴はそれぞれ、任意の可能性のある様式または組み合わせで組み合わせ可能であることを意味し、特定の特徴の組み合わせで図面または上記の説明に記載された特定の実施形態は、前記組み合わせのみに限定されるものとして解釈されるべきではなく、本明細書に記載された特定の実施形態は、本開示の範囲を限定することを意味しないと理解されたい。
【符号の説明】
【0183】
1 ワイヤー編組外側ステント(メッシュステント)
2 レーザー切断内側ステント
3 スタビライザー(例えば、v溝の下の追加のワイヤーおよび/または捻じれたワイヤー)
4 ループ
5 外側メッシュ
6 内側メッシュ
7 カテーテル
8 S字支柱
9 連動釘
10 スリーブ
11 レーザー切断外側ステント
11a 近位レーザー切断外側ステント(ステント部)
11b 遠位レーザー切断外側ステント(ステント部)
12、12’ 連結支柱
13 内側/外側ステントの連結
14 連動歯
15 固定セル
16 v溝
17 連結支柱ガイド
18 連動ヨーク
19 連結手段
20 近位領域
21 交連
22 遠位領域
23 中位領域
24 弁尖
25 ループ支柱
26 RF支柱
27 Zリング
28 折り畳み
29 右心室
30 三尖心臓弁
31 弁輪
32 索
33 滴
34 開放セル
35 閉鎖窓
36 滴支柱幅(例えば、0.05mm~0.9mm)
37 滴支柱長(例えば、0.15mm~25mm)
38 滴直径(例えば、0.25mm~5mm)
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a)】
図14b)】
図14c)】
図15a)】
図15b)】
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25a)】
図25b)】
図26
図27
図28
図29a)】
図29b)】
図29c)】
図29d)】
図29e)】
図29f)】
図30
図31
図32