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特許7566632骨の内方成長のための三次元多孔質構造体の表面テクスチャ及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】骨の内方成長のための三次元多孔質構造体の表面テクスチャ及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
A61F2/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020552694
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 IB2019052628
(87)【国際公開番号】W WO2019186503
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】62/650,775
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケイン・ロバート・ジェイ
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525801(JP,A)
【文献】特開2010-269144(JP,A)
【文献】国際公開第2009/022911(WO,A2)
【文献】特表平10-513079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28-2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用プロテーゼコンポーネントであって、
基部と、
前記基部に取り付けられた多孔質三次元構造体であって、骨の内方成長を可能にするように構成され、かつ外側表面境界を有する、多孔質三次元構造体と、
前記多孔質三次元構造体の前記外側表面境界から、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端部まで外向きに延在する係合スタッドと、を備え、
前記外側表面境界と前記外側嵌入先端部との間に距離が規定され、前記距離は、0.03ミリメートル~1ミリメートルの範囲内であり、
前記多孔質三次元構造体は、前記基部に対していくつかの方向に角度付けられて延びる棒状の複数のストラットを含み、前記複数のストラットの少なくともいくつかが平坦な突出端部を備えており、前記複数のストラットの前記平坦な突出端部が、平面である前記外側表面境界を画定している、整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項2】
前記係合スタッドが、前記多孔質三次元構造体内に位置付けられた細長い本体と、前記細長い本体から前記外側嵌入先端部まで延在する嵌入ヘッドと、を含む、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項3】
スロットが、前記細長い本体を通って延在する、請求項2に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項4】
前記細長い本体が、前記基部に取り付けられた第1の端部から前記嵌入ヘッドに取り付けられた第2の端部まで延在する、請求項2に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項5】
前記係合スタッド及び前記基部が、単一の一体型構成要素である、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項6】
前記係合スタッド及び前記多孔質三次元構造体が、単一の一体型構成要素である、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項7】
前記係合スタッドが、前記多孔質三次元構造体の前記外側表面境界から外向きに延在する複数の係合スタッドのうちの1つであり、各係合スタッドは、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端部を有し、
前記外側表面境界と各外側嵌入先端部との間に距離が規定され、該距離は、0.03ミリメートル~0.30ミリメートルの範囲内である、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項8】
各係合スタッドが、中心軸に沿って延在し、
第1の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドが、その中心軸を中心とした第1の回転位置に位置付けられ、
第2の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドが、その中心軸を中心とした第2の回転位置に位置付けられ、前記第2の回転位置は前記第1の回転位置とは異なっている、請求項7に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項9】
前記第2の回転位置が、前記第1の回転位置から90度である、請求項8に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項10】
前記多孔質三次元構造体が厚さを有し、前記厚さに対する各距離の比率は0.25未満である、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2018年3月30日出願の米国仮特許出願第62/650,775号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示される実施形態は、概して、骨の内方成長のための三次元多孔質構造体の表面特徴部、及び当該構造体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ラピッドプロトタイピング及び積層造形の分野は、長年にわたって、特にプロトタイプ部品及び金型ダイなどの物品のラピッドプロトタイピングに関して、多くの進歩が見られる。これらの進歩は、材料(例えば、金属)が材料のブロックとして出発し、したがって最終製品に機械加工されるプロセスなどの、従来の機械加工プロセスと比較して、最終製品の精度を向上させながらも、製造コスト及び時間を低減させてきた。
【0004】
しかしながら、ラピッドプロトタイピング三次元構造体の主な焦点は、ラピッドプロトタイピング構造体の密度を増加させることにある。最新のラピッドプロトタイピング/積層造形技術の例としては、シート積層、接着結合、レーザー焼結(又は選択的レーザー焼結)、レーザー溶融(又は選択的レーザー焼結)、光重合、液滴付着、ステレオリソグラフィ、3Dプリンティング、熱溶解積層法、及び3Dプロッティングが挙げられる。特に、選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、及び3Dプリンティングの分野において、高密度部品の製における改善は、これらの技術を、高密度金属部品などの物品を設計し、かつ正確に製造するうえで有用なものにした。
【0005】
組織工学の分野では、哺乳類細胞を収容し、それらの三次元成長及び再生を促進し、したがって、例えば、インプラント/プロテーゼコンポーネント又は他のプロテーゼとして使用することができる、多孔質三次元生体適合性スキャフォールドが必要とされている。更に、このスキャフォールド、又は内方成長コーティングは、迅速かつ有効な骨の内方成長に不可欠な安定したインプラント-骨界面を促進させるのに十分な表面テクスチャを必要とする。
【0006】
特定の過去の内方成長コーティングは、平均コーティング高さを超えて突出して凹凸を提供し、かつ骨との初期摩擦を増加させる、粒子/ビーズのランダムな存在に依存してきた。これは、例えば、従来の焼結多孔質コーティングによって生じ得る。3Dプリンティングなどの積層造形技術を使用する他の内方成長コーティングは、商業化が可能になり、例えば、内方成長コーティングの上面の上方に延在する円筒状スパイク又はフックのパターンを使用する。これらの積層造形ソリューションは確かに摩擦を増加させるが、嵌入(impaction)中に破損しやすい、又は適切な嵌入を達成するために必要な設計属性及び寸法に起因して、骨に嵌入させるときに顕著な破片を発生させる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、整形外科用プロテーゼコンポーネントが開示される。整形外科用プロテーゼコンポーネントは、基部と、基部に取り付けられた多孔質三次元構造体とを備える。多孔質三次元構造体は、骨の内方成長を可能にするように構成され、かつ外側表面境界を有する。整形外科用プロテーゼコンポーネントはまた、多孔質三次元構造体の外側表面境界から、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端部まで外向きに延在する係合スタッドを備える。外側表面境界と外側嵌入先端部との間に距離が規定され、当該距離は、0.05ミリメートル~0.30ミリメートルの範囲内である。
【0008】
いくつかの実施形態では、係合スタッドは、多孔質三次元構造体内に位置付けられた細長い本体と、細長い本体から外側嵌入先端部まで延在する嵌入ヘッドとを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、スロットが、細長い本体を通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、細長い本体は、基部に取り付けられた第1の端部から嵌入ヘッドに取り付けられた第2の端部まで延在してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、係合スタッド及び基部は、単一の一体型構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、係合スタッド及び多孔質三次元構造体は、単一の一体型構成要素であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、係合スタッドは、多孔質三次元構造体の外側表面境界から外向きに延在する複数の係合スタッドのうちの1つであることができる。各係合スタッドは、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端を有してもよい。外側表面境界と各外側嵌入先端部との間に、0.03ミリメートル~0.30ミリメートルの範囲内である距離が規定され得る。
【0011】
更に、いくつかの実施形態では、各係合スタッドは、中心軸に沿って延在してもよく、第1の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドは、その中心軸を中心とした第1の回転位置に位置付けられてもよく、第2の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドは、その中心軸を中心とした第2の回転位置に位置付けられてもよい。第2の回転位置は、第1の回転位置と異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の回転位置は、第1の回転位置から90度であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は厚さを有し、厚さに対する各距離の比率は0.25未満であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、基部は、脛骨インサートを受容するように構成された脛骨プラットフォームを含み得る。加えて、いくつかの実施形態では、脛骨プラットフォームから遠位先端部まで細長いステムが延在していてもよい。細長いステムは、患者の脛骨の外科的に準備された近位端に埋め込まれるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、脛骨プラットフォームの遠位表面に取り付けられてもよく、細長いステムは、三次元構造体を通って外向きに延在する。
【0014】
別の態様によれば、整形外科用プロテーゼコンポーネントは、基部と、基部に取り付けられた多孔質三次元構造体とを備える。多孔質三次元構造体は、骨の内方成長を可能にするように構成され、かつ外側表面境界を有する。整形外科用プロテーゼコンポーネントはまた、多孔質三次元構造体の外側表面境界から中心軸に沿って外向きに延在する複数の係合スタッドをソアネル。各係合スタッドは、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端を有する。いくつかの複数の係合スタッドの各係合スタッドは、その中心軸を中心として、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものからある角度で、回転される。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の外側表面境界に沿って延在する仮想線上に位置付けられてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドは、その中心軸を中心とした第1の回転位置に位置付けられてもよく、第2の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドは、その中心軸を中心とした第2の回転位置に位置付けられてもよい。第2の回転位置は、第1の回転位置と異なっていてもよい。
【0017】
加えて、いくつかの実施形態では、第1の数の係合スタッドのうちの係合スタッドは、第2の数の係合スタッドのうちの係合スタッドと交互になっていてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、基部は、脛骨インサートを受容するように構成された脛骨プラットフォームを含み得る。加えて、いくつかの実施形態では、脛骨プラットフォームから遠位先端部まで細長いステムが延在していてもよい。細長いステムは、患者の脛骨の外科的に準備された近位端に埋め込まれるように構成されてもよい。
【0019】
別の態様によれば、整形外科用プロテーゼコンポーネントを製造するための方法が開示される。当該方法は、金属粉末の連続層を堆積させかつ走査して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含む。
【0020】
本開示の別の態様によれば、骨組織と安定した機械的インターロックを提供し、組織内方成長を可能にする表面特徴部又はテクスチャを有する内方成長コーティング又は本体が開示される。インプラントが骨に「吊着する(hang-up)」機会を制限する、インプラントの着座を防止する、及び/又は周囲組織と直に接触するインプラントの表面積を低減する、整形外科用インプラント/プロテーゼコンポーネントの例示的な表面特徴部又はテクスチャが開示される。埋め込み中、使用中、又は摘出中に生じるコーティング又は表面特徴部の一部の緩み又は破断の量を制限する内方成長コーティングもまた開示される。
【0021】
一態様では、整形外科用インプラント/プロテーゼコンポーネントが提供される。インプラントは、基部と、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体と、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部とを備え得る。少なくとも1つの表面特徴部は、基部に固定され、かつある点で終端する先端領域を備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、その点で交差する複数のフィンから構成されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、先端領域は三角形状であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は円錐形状であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部及び基部は、単一の部品として形成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、整形外科用インプラント/プロテーゼコンポーネントは、複数の表面特徴部から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、基部及び多孔質三次元構造体の少なくとも一方よりも硬い材料から構成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、分解性材料から構成されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、少なくとも2つの異なる材料から構成されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、多孔質三次元構造体の静止摩擦を増加させるように構成され、配置されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、表面境界に対して、約30マイクロメートル~1ミリメートルの高さを有してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、開口部を更に含んでもよい。
【0033】
別の態様では、整形外科用インプラントが提供される。インプラントは、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体と、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部とを備え得る。少なくとも1つの表面特徴部は、開口部を有し、ある点で交差する複数のフィンを備える。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、少なくとも3つのフィンから構成されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は三角形状であってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は円錐形状であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、整形外科用インプラントは、複数の表面特徴部及び基部から更に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、整形外科用インプラントは、基部と、基部に固定され、かつ基部及び多孔質三次元構造体の少なくとも一方と異なる材料から構成された少なくとも1つの表面特徴部と、から更に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、基部及び多孔質三次元構造体の少なくとも一方よりも硬い材料から構成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、分解性材料から構成されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、少なくとも2つの異なる材料から構成されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、表面境界に対して約30マイクロメートル~約1ミリメートルの高さを有してもよい。
【0042】
更に別の態様では、整形外科用インプラントが提供される。インプラントは、基部と、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体と、多孔質三次元構造体の境界を越えて延在する複数の表面特徴部とを備え得る。複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸を中心として、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転される。
【0043】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で交差する複数のフィンから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、少なくとも3つのフィンから構成されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は三角形状であってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は円錐形状であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、基部に固定されてもよく、基部及び多孔質三次元構造体の少なくとも一方とは異なる材料を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、少なくとも基部又は多孔質三次元構造体よりも硬い材料から構成されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、分解性材料から構成されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、分解性材料から構成されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、少なくとも2つの異なる材料から構成されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、多孔質三次元構造体の静止摩擦を増加させるように構成され、配置されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、表面境界に対して約30マイクロメートル~約1ミリメートルの高さを有してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は開口部を有してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸を中心として、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものから約90度の角度で、基部に対して回転されてもよい。
【0055】
別の態様では、整形外科用インプラントが提供される。インプラントは、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体と、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部とを備え得る。単位セルのそれぞれは、第1の幾何学的形状を有する外側幾何学的構造、及び第2の幾何学的形状を有する内側幾何学的構造から更に構成される。外側幾何学的構造は、第1のストラットから構成される。内側幾何学的構造は、複数の第1のストラットの一部分に接続されて、他の幾何学的構造内に内側幾何学的構造を形成する、複数の第2のストラットから構成される。
【0056】
いくつかの実施形態では、整形外科用インプラントは、基部と、基部に固定され、かつ三角形状の領域から構成される少なくとも1つの表面特徴部と、から更に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、三角形状の領域である先端領域を更に含んでもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は円錐形状であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部及び基部は、単一の部品として形成されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、整形外科用インプラントは、基部及び複数の表面特徴部から更に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、第1の位置又は第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で交差する複数のフィンから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、少なくとも3つのフィンから構成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、多孔質三次元構造体の静止摩擦を増加させるように構成され、配置されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、表面境界に対して約30マイクロメートル~約1ミリメートルの高さを有してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は開口部を有してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部上の少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものから約90度の角度で、基部に対して回転されてもよい。
【0065】
更に別の態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属粉末の連続層を堆積させかつ走査して、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することを含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、金属粉末は、多孔質三次元構造体を形成するために焼結されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、金属粉末は、多孔質三次元構造体を形成するために溶融されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、整形外科用インプラントを製造するための方法は、基部を提供することと、基部上に表面特徴部のうちの少なくとも1つを形成することと、から更に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部が基部上に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、多孔質三次元構造体よりも硬い金属から構成されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、分解性材料から構成されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、少なくとも2つの異なる材料から構成されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、多孔質三次元構造体の静止摩擦を増加させるように構成され、配置されてもよい。
【0073】
別の態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、所定の速度で金属粒子流を基部上に適用して、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することを含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、所定の速度は、金属粒子が基部に衝突した際に結合するのに必要な臨界速度であり得る。いくつかの実施形態では、臨界速度は、約340m/秒超であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、整形外科用インプラントを製造するための方法は、所定の電力設定でレーザーを、金属粒子流が衝突している基部の領域上に適用することを更に含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部が形成されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、多孔質三次元構造体よりも硬い金属から構成されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、分解性材料から構成されてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、分解性材料から構成されてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、少なくとも2つの異なる材料から構成されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面特徴部は、多孔質三次元構造体の静止摩擦を増加させるように構成され、配置されてもよい。
【0085】
整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属ワイヤの連続的な供給を基部表面上に導入することと、所定の電力設定でビームを、金属ワイヤが基部表面に接触している領域に適用して、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することと、を含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、ビームは電子ビームであってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、ビームはレーザービームであってもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、当該方法は、複数の表面特徴部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0089】
更に別の態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属要素が埋め込まれたポリマー材料の連続的な供給を基部表面上に導入することと、ポリマー材料が基部表面に接触している領域に熱を加えて、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することと、を含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、当該方法は、多孔質三次元構造体をビームで走査してポリマー材料を燃焼除去することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、熱は、加熱要素を使用して領域に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、加熱炉システムの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、当該方法は、複数の表面特徴部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0091】
更なる態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、ノズルを通して金属スラリーを基部表面上に導入して、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することを含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、当該方法は、複数の表面特徴部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0093】
なおも更なる態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、溶融金属の連続相を基部表面上に導入して、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することを含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、溶融金属は、基部表面上に連続流として導入されてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、溶融金属は、分離した溶融金属液滴の流れとして基部表面上に導入されてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、当該方法は、複数の表面特徴部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0097】
別の態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属要素が埋め込まれた感光性ポリマーの連続相を基部表面上に適用し、光活性化して、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することを含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、当該方法は、複数の表面特徴部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部の他のもののうちの少なくとも1つとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0099】
更なる態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属粉末の連続層を堆積させかつバインダー材料で結合して、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することを含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、当該方法は、結合した金属粉末をビームで焼結又は溶融させることを更に含み得る。いくつかの実施形態では、ビームは電子ビームであってもよい。いくつかの実施形態では、ビームはレーザービームであってもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、当該方法は、結合した金属粉末を加熱要素で焼結又は溶融させることを更に含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、当該方法は、複数の表面特徴部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【0103】
更に別の態様では、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属材料の液滴を基部表面上に堆積させることと、金属材料が基部表面に接触している領域に熱を加えて、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部を形成することと、を含み得る。少なくとも1つの表面特徴部は、ある点で終端する先端領域を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、金属材料は、金属要素が埋め込まれた金属スラリーであってもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、金属材料は、金属粉末であってもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、方法は、複数の表面特徴部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の表面特徴部のうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の表面特徴部は、多孔質三次元構造体の表面にわたって少なくとも1つの列内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの列内の表面特徴部は、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1】整形外科用プロテーゼコンポーネントの斜視図である。
図2】整形外科用プロテーゼコンポーネントの三次元内方成長体及びいくつかの係合スタッドを示す、図1の整形外科用プロテーゼコンポーネントの詳細斜視図である。
図3】様々な実施形態による表面特徴部を示す。
図4】様々な向きで配置された複数の係合スタッドを含む、図1の整形外科用プロテーゼコンポーネントに含めるための三次元の内方成長体の別の実施形態の詳細斜視図である。
図5図4の表面特徴部のうちの1つを示す。
図6】三次元内方成長体によって囲まれた図4の係合スタッドのうちの1つの斜視図である。
図7】様々な実施形態による、多数の表面特徴部タイプに関する、様々な嵌入力に伴う破片の形成に注目した試験データのグラフである。
図8】様々な実施形態による、多孔質構造体の表面境界から外向きに突出する多数の係合スタッドの別の斜視図である。
図9】様々な実施形態による、表面特徴部及び対応する静止摩擦係数の値のグラフである。
図10】様々な実施形態による、整形外科用プロテーゼコンポーネントを製造するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0108】
本明細書は、本開示の例示的な実施形態及び用途について説明する。しかしながら、本開示は、これらの例示的な実施形態及び用途又は例示的実施形態及び用途が動作するか又は本明細書に説明される方法に限定されない。更に、図は略示図又は部分図を示してもよく、図中の要素の寸法は誇張されているか、あるいは別の方法で比例しない場合がある。更に、「上に(on)」、「取り付けられた(attached to)」、「接続された(connected to)」、「連結された(coupled to)」とういう用語、又は類似の単語が本明細書で使用されるとき、1つの要素(例えば、材料、層、基底など)が他の要素の直接上にある、他の要素に直接取り付けられている、直接接続されている、又は直接連結されているのか、この1つの要素と他の要素との間に1つ以上の介在要素が存在しているのか、又は2つの要素が単一の部品として一体化されているのかに関わらず、この1つの要素は、別の要素の上にある、別の要素に取り付けられる、接続される、又は連結されることができる。また、文脈による別段の指示がない限り、方向(例えば、上方、下方、頂部、底部、側部、上方へ、下方へ、下、上、上側、下側、水平、垂直、「x」、「y」、「z」など)は、提供される場合、相対的なものであり、例示としてのみ提供され、例示及び説明を容易にするためのものであり、限定を目的とするものではない。更に、要素(例えば、要素a、b、c)のリストを参照する場合、そのような参照は、列挙された要素のうちのいずれか1つ自体、列挙された要素の全て未満の任意の組み合わせ、及び/又は列挙された要素の全ての組み合わせを含むことが意図される。本明細書におけるセクション分割は、単にレビューを容易にするためのものであり、説明される要素の任意の組み合わせを限定するものではない。
【0109】
本明細書で使用するとき、「に結合された(bonded to)」又は「結合する(bonding)」は、金属結合、静電引力、及び/又は接着力を含むがこれらに限定されない、様々な物理化学的機構による金属への金属の取り付けを意味する。
【0110】
別途定義されない限り、本明細書に記載される本教示に関連して用いられる科学用語及び技術用語は、当業者により一般的に理解される意味を有するものとする。
【0111】
本開示は、多孔質三次元金属構造体及びそれらを医療用途用に製造するための方法に関する。以下により詳細に記載されるように、多孔質金属構造体は、患者の身体に埋め込まれたプロテーゼコンポーネントと、患者の周囲硬組織又は軟組織との間の硬組織又は軟組織のインターロック(interlock)を促進する。例えば、患者の身体に埋め込まれるように構成された整形外科用プロテーゼコンポーネントに含まれる場合、多孔質三次元金属構造体は、骨内方成長構造を形成するために、整形外科用プロテーゼコンポーネントの多孔質外側層を提供することができる。あるいは、多孔質三次元金属構造体は、インプラントの意図された機能を実現するためのみならず、周囲組織との組織のインターロック(例えば、骨の内方成長)のための相互接続された多孔性を提供するためにも必要な構造的一体性を有するインプラントとして使用されることができる。
【0112】
様々な実施形態によれば、整形外科用プロテーゼコンポーネントが提供され、このプロテーゼコンポーネントは、基部と、多孔質三次元構造体と、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの表面特徴部(以下、係合スタッドと称する)と、を含む。多孔質構造体は、複数の単位セルを含み得る。
【0113】
整形外科用インプラント/プロテーゼコンポーネントは、設計によって、患者の骨に埋め込むように構成された外科用インプラントとすることができる。例えば、図1に示されるように、整形外科用プロテーゼコンポーネント10は、全膝関節形成術用のプロテーゼの脛骨トレイである。コンポーネント10は、その下面16から離れる方向に延在するステム14を有するプラットフォーム12を含む。脛骨ステム14は、遠位先端部18まで延在し、患者の脛骨(図示せず)の外科的に準備された近位端に埋め込まれるように構成されている。プラットフォーム12はまた、下面16の反対側に位置付けられた上面20と、下面16と上面20の間に延在する湾曲した外壁22とを有する。図示の実施形態では、湾曲した外壁22は、患者の脛骨の近位端の外科的に準備された表面の他の縁部に対応する形状となっている。プラットフォーム12はまた、全膝関節形成術用プロテーゼのインサート又は軸受と係合するように構成された、上面20に取り付けられた様々な係合機構(図示せず)を有する。例示的な係合機構、並びに膝関節形成術用のプロテーゼの例示的な他のコンポーネントが、参照により本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第8,470,047号に図示され、記載されている。
【0114】
コンポーネント10のプラットフォーム12は、コバルトクロム又はチタン合金などの生体適合性金属で構築されるが、他の材料が使用されてもよい。図1に示されるように、コンポーネント10は三次元内方成長体100を含み、内方成長体100は、プラットフォーム12が内方成長体100のための基部を提供するように、プラットフォーム12の下面16に取り付けられる。内方成長体100は、以下により詳細に記載されるように、骨の内方成長を促進して永久固定させるように構成されている。
【0115】
図示の実施形態では、内方成長体100は、プラットフォーム12の下面16に取り付けられたプレート102と、プレート102から外向きに延在するいくつかのペグ104とを含む。内方成長体100はまた、プレート102を通ってその遠位先端部18まで外向きに延在するステム14に取り付けられる。脛骨プロテーゼコンポーネントが示されているが、本明細書に記載される様々な多孔質構造体(本明細書に記載の係合スタッド構造体を含む)は、本明細書で論じられる係合スタッドの様々な実施形態のいずれかを使用する能力にインプラントの設計が影響を与えないように、様々な整形外科用インプラント設計に組み込まれることができることを理解されたい。例えば、本明細書に記載される多孔質構造体は、米国特許第8,470,047号に示される大腿骨コンポーネントと同様の大腿骨プロテーゼコンポーネント、又は大腿骨プロテーゼコンポーネントと係合するように成形された膝蓋骨コンポーネントに含められてもよい。多孔質構造体はまた、股関節又は肩関節形成術で使用するためのプロテーゼコンポーネントを含む、他の整形外科用インプラント設計に含められてもよい。
【0116】
前述のために及び今後のために、基部は、例えば、本明細書の様々な実施形態の構成要素に接触、支持、接続する若しくはそれらと接触、支持、接続する、又は当該構成要素に固定する若しくはそれらと固定することができる、任意の種類の構造体であり得ることに留意されたい。基部としては、例えば、金属又は非金属プラットフォーム、金属又は非金属トレイ、金属又は非金属ベースプレート、トレイ上に着座する金属又は非金属構造体などを挙げることができる。
【0117】
ここで図2を参照すると、内方成長体100は、それぞれが複数のストラット125からなる複数の単位セル120を含む多孔質三次元構造体110を含む。複数の単位セル120は、表面境界130(図8に表面境界520としても示される)を有する構造体110を形成するために、反復パターンで設けられる。単位セル120は、整形外科用プロテーゼコンポーネント10が患者の骨に埋め込まれた後に骨の内方成長を可能にする細孔又は空隙を画定し、それによってコンポーネント10と周囲骨組織との間の固定を促進する。
【0118】
図示の実施形態では、表面境界130(図2に仮想平面によって示される)は、ストラット125の最も遠い突出端部135によって確立され、突出するストラット125は実質的に同じ高さを有するため、表面境界130は比較的平坦である。他の実施形態では、突出するストラットが様々な高さを有する場合、表面境界の輪郭は比較的不均一であり得る。不均一な輪郭の場合、表面境界は、例えば、単位セルの突出するストラットの高さの平均となるように簡略化されることができる。
【0119】
ストラットの高さは、例えば、表面境界を形成するストラットの実際の高さ、表面境界と平行でかつその下にある所与の平面に対する距離、又は表面境界130と反対側の、多孔質構造体110に取り付けられた基部若しくはベース(例えば、下面16)からの距離、を含む様々な方法で測定されることができる。平均高さのこのような考慮事項は、以下に記載される係合スタッドに関して論じる場合に明らかになり得る。図1に戻ると、ストラット高さSは、整形外科用プロテーゼコンポーネント10のプラットフォーム12の下面16からストラット125の端部135まで、下位-上位方向に測定される。ストラットの高さSは、多孔質構造体110が約1.20ミリメートルの厚さを有するように、約1.20ミリメートルに等しい。用途に応じて、ストラットの高さ(したがって、多孔質構造体の厚さ)は、図示の実施形態で与えられるストラットの高さSよりも大きくてもよく、又はそれ未満であってもよいことを理解されたい。例えば、ストラットの高さ(及びそれによって多孔質構造体の厚さ)は、0.90ミリメートル~1.60ミリメートルの範囲内であってもよい。
【0120】
ストラット125の端部135は、本体100のプレート102の表面境界130に表面テクスチャを付与する。図2の内方成長体100は、多孔質構造体110の表面境界130を越えて更なる表面テクスチャを付与する、多数の係合スタッド140を更に含む。内方成長体100は、図2に示されるように複数の係合スタッド140を有してもよく、又はそのような係合スタッドを1つだけ有してもよいことを理解されたい。内方成長体100は、他の実施形態ではペグ104から延在する係合スタッド140を含んでもよい。係合スタッド140は、例えば、尖った嵌入先端部又は表面145を有する図2に示される円錐形状を含む、様々な形状を有することができる。各係合スタッド140は、例示的な実施形態では中実である。他の実施形態では、各係合スタッド140は、中空であってもよく、間隙若しくは開口部を有してもよく、多孔質(多孔質形状)、又は中実であってもよい。例えば、図1の円錐形状の係合スタッド140は、中空、中実、又は多孔質であり得る。
【0121】
表面境界130からある距離(以下で論じられる突出部の範囲又は高さ)突出していながら、円錐形状は、とりわけ、狭い嵌入面145と幅広の基部領域とを有する一方で、表面境界を越えて延在する部分の輪郭を比較的狭く保つことによって、この特徴部に強度を付加する。円錐形状は、嵌入面145を有することにより、骨組織上への容易な着座を可能にする。円錐形状の頑丈な基部領域はまた、嵌入中に係合スタッドが破損する可能性を低減する。
【0122】
図2に示されるように、複数の係合スタッド140は、表面境界130上に仮想線150に沿って多数の規則的な列で配置される。複数の係合スタッドはまた、1つの列内に位置付けられ得ることが理解されるべきである。特徴部はランダムに分布させることができる。(例えば、列に沿った、又はランダムな分布において隣接する)個々の係合スタッド140間の距離は、実質的に同じであってもよく、又は異なっていてもよい。係合スタッド140の寸法(例えば、高さ、幅、長さ、円周、体積など)は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。表面境界に沿って分布した係合スタッド140の距離及び寸法のパターンは、繰り返されてもよく、又はランダムであってもよい。個々の係合スタッド140及び一組の分布した係合スタッド140のこれらの特性は、必要に応じて変化し得る。例えば、他の含まれる係合スタッド140に対する個々の係合スタッド140の向き、及び形状は、脛骨プロテーゼコンポーネント10の表面にわたって異なり得る、特定の方向の力に抵抗するように設計及び配置され得る。
【0123】
様々な実施形態によれば、表面境界130に対する各係合スタッド140の高さは、0.03~0.30ミリメートルの範囲内であり、各係合スタッド140は、多孔質三次元構造体の厚さよりも小さくされる。比率は、各係合スタッド140の高さ及び多孔質構造体の厚さによって規定され、その比率は0.25未満であり、これは、各係合スタッド140が多孔質構造体の厚さの4分の1未満であることを意味する。他の実施形態では、この比率は0.025~0.25の範囲内であってもよい。更に他の実施形態では、この比率は0.025~0.050の範囲内であってもよい。
【0124】
他の実施形態では、各係合スタッド140の高さは、0.03ミリメートル~1.00ミリメートルであり得る。更に他の実施形態では、表面境界130に対する各係合スタッド140の高さは、0.10~0.25ミリメートルであり得る。各係合スタッド140の高さは、表面境界130から12.80ミリメートルの距離/高さだけ延出する各ペグ104の長さよりも実質的に小さいことを理解されたい。比率はまた、各係合スタッド140の高さ及び各ペグの距離/高さによって規定され、その比率は0.02未満である。他の実施形態では、この比率は0.02~0.08の範囲内であってもよい。
【0125】
複数の係合スタッド140は、実質的に同様の高さを備えてもよく、又は個々の特徴部又は特徴部の群の間で異なる高さを備えることができる。最終製品(例えば、整形外科用インプラント)全体にわたる係合スタッド140の高さの類似性及び相違は、インプラント全体にわたって所定の粗さを提供するために、又はインプラントの特定の領域に固有の設計された粗さを提供するために、必要に応じて変更されてもよい。
【0126】
各係合スタッド140は、様々な実施形態によれば、製造中にプラットフォーム12に固定又は固着されてもよい。これは、例えば、係合スタッド140及びプラットフォーム12を、単一の一体型構成要素として製造することによって行うことができ、その場合、係合スタッドは、プラットフォーム12に物理的に固定された別個の構成要素ではなく、むしろプラットフォーム12の表面からの突起部として機械加工される。更に、各係合スタッドは、多孔質構造体を全く含まない製品(例えば、整形外科用インプラント)を製造するために、プラットフォーム12又は他の基部などの純粋に固体の材料に適用されてもよい。
【0127】
図2に示されるように、係合スタッド140は、コーティングの製造中に多孔質構造体110に図のように組み込まれ、それにより、いくつかのストラット125は係合スタッド140の中まで延在している(及び他のストラット125は係合スタッド140から延出している)。例えば、係合スタッドは、係合スタッドが多孔質構造体の輪郭を変更するか又は変更しないように、所与の多孔質構造体の輪郭に加えて添加されてもよい。本明細書の様々な実施形態に従って提供される既存の位置合わせ特性に加えて、係合スタッド140を多孔質構造体の一部として(例えば、単一の設計ファイルとして)組み込むことにより、係合スタッドと多孔質単位セル構造体とを更に位置合わせして係合スタッド/多孔質構造体の接触を最大化し、係合スタッドの強度を更に増大させることができる。係合スタッド140を多孔質単位セル構造体と位置合わせすることにより、多孔質構造体の全体的多孔性に与える係合スタッド140の影響を更に最小化することができ、また、固体基部と多孔質構造体との間の結合強度を最大化することもできる。係合スタッドと多孔質単位セル構造体との位置合わせは、特徴部の先端部に接触する任意の組織が、係合スタッドに沿って多孔質構造体内に成長するための案内通路を有するように指定され得る。
【0128】
各係合スタッド140は、プラットフォーム12及び多孔質三次元構造体110の少なくとも一方とは異なる材料を含み得る。例えば、各係合スタッド140は、基部/ベース(base/base)、多孔質構造体110、又はその両方よりも硬い材料を含み得る。多孔質構造体及び/又は基部/ベースは、例えば、タンタル、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、又は剛性レベルの低い他の何らかの金属若しくは金属合金で作製されることができる一方、係合スタッドは、例えば、ステンレス鋼、コバルトクロム、セラミック金属複合体、中に埋め込まれた窒化チタン若しくは炭化ケイ素粒子を有する金属、又は剛性レベルがより高い他の何らかの金属若しくは金属合金で作製されることができる。
【0129】
多孔質構造体110の組成に関しては、その優れた生体適合性及び臨床履歴、インプラント-骨界面を強化するためのエッチング及び他のプロセスによって処理されるその能力、並びに、例えば、ステンレス鋼又はコバルトクロムのような材料よりも幾分低い剛性を有することにより、例えば、タンタル、ポリエーテルエーテルケトン、チタン、及びチタン合金が使用される。より低い剛性は、骨の機械的特性と良好に一致し、一般的により良好なインプラントと骨との統合をもたらす。
【0130】
代替的に及び/又は追加的に、各係合スタッド140は、例えば、分解性マグネシウム合金などの分解性材料を含み得る。これは、係合スタッド140が、骨との最初の機械的インターロックを提供するが、その後、骨が多孔質構造体と完全に一体化される際に経時的に浸食するのを可能にする。
【0131】
同様に、多孔質構造体110は、その金属基材に加えて分解性材料を含み得る。例えば、多孔質構造体110の一部分は、例えば、生体適合性マグネシウム合金などの分解性のものを含むことができ、それにより、骨が成長して多孔質構造体内に入るにつれて、ストラットの一部が経時的に消失し、したがって、骨組織が成長するためのより多くの空間を与える。
【0132】
多孔質構造体110、係合スタッド140、及び基部の組成にかかわらず、組成物は、1つの材料(例えば、金属の種類)又は少なくとも2つの異なる材料を含み得る。例えば、上記のような所望の目的を達成するために、異なる金属のブレンドを構成要素のいずれかに使用することができる。上記のように、分解性材料も使用することができる。別の実施例では、異なる材料を、構成要素(例えば、多孔質構造体110)の異なる部分に使用することができる。これにより、生物学的に好ましい孔寸法及び相互接続性を変更することなく、多孔質構造体110の剛性及び強度を変化させることが可能になる。例えば、より硬い合金は、インプラントの疲労寿命を改善するために、高い応力の領域で使用されることができる。
【0133】
様々な実施形態によれば、図3は、整形外科用プロテーゼコンポーネント10に含まれ得る係合スタッド200を示す。係合スタッド200は、嵌入面210と、外向きに放射状に広がって係合スタッド200の基部を形成することができる複数のフィン220とを含む。このピラミッド形の形状は、各方向に面する広い表面を有する基部を提供することによって、係合スタッド200が、これらの方向への動き、例えば、内方成長体に対する横方向の動きに抵抗することができるという点で、図2の円錐形状と類似している。係合スタッド200の幅広の基部はまた、特徴部に強度及び剛性を与え、例えば、骨に嵌入する際に破片が生じる可能性を低減する。図2の嵌入面145と同様に、嵌入面210の輪郭は、例えば、骨への効果的な埋め込みを確実にする。
【0134】
フィン220の形状は様々であり得る。例えば、フィン220は、ある点(この場合は嵌入面210)で交差する複数のストラットであってもよい。フィン220、又はストラットの数も同様に様々であり得る。様々な実施形態において、係合スタッド200は、少なくとも3つのフィン220を含み得る。様々な実施形態において、係合スタッド200は、3~6つのフィン220を含み得る。様々な実施形態において、係合スタッド200は、少なくとも6つのフィン220を含み得る。係合スタッド200の別の利点は、基部を提供するためにフィン220を使用することによって、係合スタッド200が、多孔質構造体とほぼ同じように骨の成長を促進するのに役立つ多孔度を必然的に有することである。
【0135】
ここで図4図6を参照すると、複数の係合スタッド(以下、係合スタッド300)が、三次元内方成長体(以下、内方成長体302)の別の実施形態と共に示されている。内方成長体302の特徴のいくつかは、内方成長体100に関して上述した特徴と類似している。図1図2で使用した参照番号と同じ又は類似の参照番号が、図4図6において類似の特徴を示すために使用される。内方成長体100のような三次元内方成長体302は、プラットフォーム12が内方成長体302の基部を提供するように、整形外科用プロテーゼコンポーネント10のプラットフォーム12の下面16に取り付けられる。内方成長体302は、骨が内方成長して永久固定するのを促進するように構成されており、内方成長体100と同様に、プレート102及びペグ104(図示せず)を含む。
【0136】
内方成長体302は、それぞれが複数のストラット125からなる複数の単位セル120を含む多孔質三次元構造体304を含む。複数の単位セル120は、表面境界130(表面境界520として図8にも示される)を有する三次元多孔質構造体を形成するために、反復パターンで提供される。図示の実施形態では、表面境界130(図6に仮想平面によって示される)は、ストラット125の最も遠い突出端部135によって確立され、突出するストラット125は実質的に同じ高さを有するため、表面境界130は比較的平坦である。
【0137】
図示の実施形態では、各係合スタッド300は、多孔質構造体304と一体に形成され、これにより、係合スタッドと多孔質構造体とが単一の一体型構成要素を形成し、ストラット125は、図4及び図6に示されるように、各係合スタッド300の中まで延在しかつ各係合スタッド300から延出する。他の実施形態では、係合スタッド(複数可)とプラットフォームとが単一の一体型構成要素を形成するように、係合スタッド300のうちの1つ以上は、プラットフォーム12と共に、多孔質構造体とは別体に形成されてもよいことを理解されたい。多孔質構造体304及び係合スタッド300は、例えば、チタン合金などの生体適合性金属から形成される。他の実施形態では、異なる金属のブレンド又は他の材料を、任意の構成要素に使用することができる。
【0138】
図4に示すように、各係合スタッド300の構成は、図示の実施形態において同一である。ここで図5を参照すると、各係合スタッド300は、整形外科用プロテーゼコンポーネント10の下面(図5では基部370として特定される)に取り付けられた基部領域310を含む。基部領域310は、係合スタッド300の中心軸314に沿って基部370から遠位端316まで外向きに延在する細長い本体312を含む。本体312の遠位端316は、外側嵌入先端部330まで遠位に延在する嵌入ヘッド318に接続されている。嵌入ヘッド318及び外側先端部330は、表面境界130から外向きに延在し、各係合スタッド300の嵌入領域320を画定するように寸法決めされる。例示的な実施形態では、嵌入ヘッド318は、三角柱である。
【0139】
嵌入ヘッド318は、近位-遠位方向に延在する一対の平坦面340を含む。図示の実施形態では、平坦面340は、互いに平行に延在する。嵌入ヘッド318はまた、図示の実施形態では細長い本体312の遠位端316から外側先端部330まで延在する一対の傾斜面350を含む。各傾斜面350は、対向する平坦面340を接続する。外側先端部330は、傾斜面350を接合する直線状縁部を有するものとして示されているが、外側先端部330は、面340、350を接合する凸曲面を含んでもよいことを理解されたい。
【0140】
図5に示されるように、細長い本体312が一対の平行に延在する梁362、364を含むように、スロット又は間隙360が細長い本体312内に画定される。他の実施形態では、基部領域310の細長い本体312は、中実であってもよく、又は多数のサイズ及び形状のいずれかの1つ以上の間隙又はスロットを含んでもよい。例えば、間隙(複数可)は、例えば、1つ以上の正方形、矩形、楕円形、円形、ランダム形状のデザイン、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、任意の三次元形状を有し得る。
【0141】
係合スタッド300は、基部370に固定される。基部370において、係合スタッド300は、長さL及び幅Wを有する。図6に示されるように、係合スタッド300は、多孔質三次元構造体304の表面境界130の上方に高さHだけ突出する。上述したように、及び図6に示すように、表面境界130は、多孔質構造体304の最も外側のストラット端部135によって画定され得る。図示の実施形態では、係合スタッド300の嵌入ヘッド318及び外側先端部330は、高さHを画定する。
【0142】
図4に戻ると、複数の係合スタッド300は、格子パターンで行及び列に配置されている。図示の実施形態では、例えば、係合スタッド400、402、404、406などの隣接する係合スタッド300は、互いに対して角度をなし、正方形のパターンで2.0ミリメートル離間している。このようにして、表面積の平方ミリメートル当たり0.25個の係合スタッドが存在する。係合スタッド402は、係合スタッド400に対して、その中心軸314を中心にして90度回転されている一方、係合スタッド404は係合スタッド400に平行に延びている。係合スタッド406は、係合スタッド400に対して、その中心軸314を中心にして90度回転されているが、係合スタッド402に平行に延びている。このようにして、ラグは位置が交互になっている。他の実施形態では、係合スタッド300は、他の幾何学的パターンで、又は表面境界130上でランダムに、配置されてもよいことを理解されたい。他の実施形態では、隣接する係合スタッド300は、互いに対して他の角度で位置付けられてもよい。
【0143】
いくつかの既知の表面特徴部は、幅狭であるか又は円筒状であり、骨又は他の組織に対してある角度で延在するスパイクを有している。そのような角度付きスパイクは、骨又は他の組織に埋め込まれることにより、インプラントが、骨の内方成長を促進している骨又は組織に対して保持されるのを補助する(例えば、機械的インターロック)。これらの既知の表面特徴部は、骨又は他の高密度組織との嵌入においてより破損しやすいという点で、問題を有している。更に、いくつかの既知の表面特徴部は、嵌入中に顕著な破片を発生させる。更に、十分なインターロックを達成するために、いくつかの既知の特徴部は隆起している(インプラント表面から大きく突出している)ので、当該特徴部は嵌入中に骨に吊着し得る。効果的に、これらの隆起した特徴部は強い力を必要とし、かつ、実際には表面特徴部によってのみ支持され、骨-インプラント間隙が残っている場合であっても、インプラントが完全に着座されたという錯覚を与え得る。このことによって、当該表面特徴部は、完全に埋め込まれることができず、それによって十分なインプラントの着座を妨げ、骨の内方成長をより容易に促進するために必要なインプラントと骨/組織との間の表面領域の接触量を低減させる。
【0144】
様々な実施形態による、開示される係合スタッドの向き及び寸法(高さ、長さ、幅)は、いくつかの利点を有する係合スタッドを製造するために、必要に応じて変化してもよい。例えば、本明細書で提供される様々な実施形態は、それらの設計及び寸法によって、骨組織との安定な機械的インターロックを提供し、隆起(例えば、肉眼で明らかな表面境界から突出する特徴部の量)は少ないものの、組織の内方成長を可能にし、インプラントが骨に「吊着する」機会を最小化し、インプラントの着座を防止する、及び/又は周囲組織と直に接触するインプラントの表面積を低減する。更に、例えば、本明細書で提供される様々な実施形態は、それらの設計及び寸法によって、埋め込み(例えば、嵌入)中、使用中、又は更には摘出中に生じるコーティング又は係合スタッドの一部の緩み又は破断を最小限に抑えるか又は排除する。
【0145】
例えば、図2及び図3に示すように、様々な実施形態は、円錐形状又は角錐状形状を用いてもよい。その結果、各係合スタッドの基部領域の長さ及び幅はほぼ同じであってもよい。このような設計を用いるいくつかの実施形態は、実際には、基部において円形であり、それによって、長さ及び幅よりもむしろ円周を有してもよい。これらの設計は、嵌入を可能にするのに十分な鋭い嵌入面を提供すると同時に、埋め込まれたときの破損又は横移動を最小限に抑える又は排除する頑丈な基部を有する。例えば、図3の係合スタッド200では、フィン220は、(多孔質表面の表面境界面に対して)垂直から30~60度の角度で設けられてもよい。フィン220は嵌入面で交差するので、この角度は、必要な鋭い嵌入面を作り出すのに役立つが、横移動に対する抵抗も提供する。使用される材料に応じて、並びに使用されるフィン220の数に応じて、フィン角度は上記と異なってもよい。例えば、より硬い材料、又は図3に示される6つを超えるフィンを有する係合スタッドの場合、角度はより鋭角(30度未満)となり、依然として、必要な嵌入面及び全体構造における十分な強度の両方を達成することができる。
【0146】
図4図6に示されるような係合スタッド設計を用いる様々な他の実施形態は、必要な鋭い嵌入面及び構造的一体性を維持しながら、隆起を最小限に抑えるように設計されることができる。図6に示すように、係合スタッド300は、例えば、嵌入領域320の高さであり得る高さHだけ、境界面から突出していてよい。基部領域を表面境界130の下に維持することにより、最小限の隆起が提供される。表面境界135に対する係合スタッド300の高さHは、0.03ミリメートル~1.00ミリメートルの範囲内である。あるいは、高さは、0.05~0.30ミリメートルであってもよく、又は0.10~0.25ミリメートルであってもよい。
【0147】
係合スタッド300の設計の利点を最大化するために、長さ(L)対幅(W)の比を利用することができる。図5に示すように、係合スタッド300の長さLは、基部370と嵌入先端部330との間で同じであり、幅Wよりも大きい。その長さ(L)よりも小さい幅(W)を有することにより、係合スタッド300は、嵌入領域320(拡大解釈すれば、嵌入先端部330)の鋭さの質を最大化する幅狭のフィン設計を有することができる。幅に関連しては、より長い長さを提供することによって、各係合スタッド300は、剪断力に抵抗し、横移動を最小化又は排除し、かつ破損又は破片の形成を排除又は防止するのに必要な強度を、基部領域310及び嵌入領域320に提供することができる。したがって、図示の実施形態では、各係合スタッド300は、1.5~3.5の長さ対幅の比を有する。他の実施形態では、各係合スタッド300は、少なくとも1.5の長さ対幅の比を有してもよい。
【0148】
用途及び骨又は組織の予想される硬度に応じて、摩擦を最大にしながら、効果的なインプラント着座をもたらすために、係合スタッドの比及び高さを必要に応じて変化させることができる。これは、剪断に対する抵抗、及び係合スタッドと嵌入された骨又は組織との間の横移動に対する抵抗をもたらす。例えば、本明細書の様々な実施形態による係合スタッドは、脛骨ベースプレート又は臼蓋シェルなどの骨上にインプラントが直接嵌入される用途に利用することができる。股関節ステム上などの剪断運動も存在する環境では、剪断運動又はそこからの影響を最小限に抑えるために、寸法を変更することができる。
【0149】
破片の形成及び回避に関し、本明細書に記載される様々な実施形態による係合スタッド(円錐形、ピラミッド形のフィン、三角柱)を、既知の内方成長体(例えば、Titanium Gription(登録商標))に対して試験して、様々な嵌入力に伴う破片の形成を検出した。この試験の結果を図7の表700に提供する。各係合スタッドのクーポン(例えば、多孔質体上に設けられた各係合スタッドの試験ディスク)を、低嵌入力(例えば、1.25lbの外科用ハンマーで軽く叩く)、現実的嵌入力(例えば、死体実験室及び実際の外科的処置で観察される手術中の典型的な嵌入)、及び高嵌入力(例えば、試験されたクーポンの裏側の骨及びくぼみに円形のくぼみを残すためのハンマーを介した十分な力)で試験した。クーポンは、この場合、直径約0.75インチであった。観察され、図7に提供されるように、各力レベルにおいて、本明細書で実施される様々な実施形態の例を表す係合スタッドは、Titanium Gription(登録商標)の3つの試験クーポンと同様に機能した。したがって、本明細書の様々な実施形態の例を表す係合スタッドは、破片形成に対する所望の抵抗を提供する。
【0150】
上述したように、係合スタッドは、多孔質構造体又はインプラントの他の表面の表面境界に対して多数の異なるパターンで配置されてもよい。図8は、様々な実施形態による、インプラント500の複数の係合スタッド510の配置を示す。各係合スタッド510は、インプラント500の多孔質三次元構造体530の表面境界520の上方に突出する。前述したように、多孔質構造体は、脛骨プラットフォーム又は他の基部540上に提供され得る。あるいは、多孔質構造体530(又は本明細書の様々な実施形態のいずれか)は、自立式であり得る。係合スタッド510は、基部540に固定され、多孔質構造体530と一体化される。あるいは、係合スタッドは、基部が提供されているかどうかに関わらず多孔質構造体530と一体化されてもよく、又は多孔質構造体530が提供されているかどうかに関わらず基部540と一体化されてもよい。
【0151】
図8に示される係合スタッドは、図4図6に示されるものと実質的に同じ設計を有する。しかしながら、本明細書の様々な実施形態の係合スタッドのいずれかを使用することができる。複数の係合スタッドは、表面境界520に沿って少なくとも1つの列内に位置付けられることができる。図8では、係合スタッド510は複数の列内にあるものとして示されており、各列は、表面境界520に沿って他の仮想線に平行に延在する仮想線542上に位置付けられている。
【0152】
各係合スタッド510は、同じ位置において方向決めされ得る。しかしながら、図8に示すように、係合スタッド510は、第1の位置550と第2の位置560とを交互に繰り返してもよい。これらの交互の位置は、パターンに従うことができ、又はランダムであってもよい。更に、係合スタッド510は、2つを超える異なる位置を交互に繰り返してもよい。例えば、図8に示されるように、係合スタッド510は、列にわたって反復パターンで第1の位置550と第2の位置560とを交互に繰り返す。更に、係合スタッド510は、各列にわたって同じ又は異なる反復パターンで、第1の位置550と第2の位置560とを交互に繰り返すことができる。更に、係合スタッド510は、列にわたって又は各列にわたって非反復パターンで、第1の位置550と第2の位置560とを交互に繰り返すことができる。したがって、係合スタッドの位置は、任意の想到される位置パターン、又は位置のランダム分布に従うことができ、任意の数の異なる位置が望ましい。
【0153】
様々な実施形態によれば、複数の係合スタッド510のうちの少なくとも1つは、複数の係合スタッド510のうちの少なくとも1つの他のものに対して、ある角度で位置付けられてもよい。図8は、第1の位置550及び第2の位置560となる、異なる角度の一例を示す。図8では、第1の位置及び第2の位置は、各係合スタッド510の中心軸562を中心とした90度の回転によって変化し、各列にわたって前後に繰り返される。また、これは、2つの交互位置を提供する、係合スタッドの分布の反復パターンの一例である。別の実施例は、係合スタッドをz軸を中心に所定の角度回転させることによって変化する第1及び第2の位置を含み得る。この場合は回転についての、係合スタッドの向きの設計柔軟性は、非平坦な骨/組織表面に対して埋め込むときに有益であり得る。異なる位置を可能にすることによって、係合スタッドの設計及び向きを、嵌入される骨/組織界面の表面形状に具体的に適合させることができる。
【0154】
上述のように、改善された係合スタッドの目的の1つは、係合スタッドが骨/組織に嵌入された後の横移動を最小限に抑えることである。換言すれば、各係合スタッドは、嵌入後の係合スタッドと骨又は組織材料との間の静止摩擦、又は摩擦を増加させるように設計され得る。静止摩擦の増加により、係合スタッド及び骨/組織の互いに対する動きを最小限に抑えることができる。静止摩擦は、固体表面における複数の長さスケールにわたる表面粗さの特徴の結果として生じ得る。凹凸として知られるこれらの特徴は、ナノスケールの寸法に至るまで存在し、見掛け面積又は公称面積の一部のみを占める限定された数の点でのみ存在する、真の固体と固体の接触をもたらすことができる。凹凸変形によって生じる、加えられた負荷と真の接触面積との間の線形性は、静止摩擦力と垂直力との間の線形性を生じさせる。
【0155】
静止摩擦力は、物体が移動し得る前に、印加された力によって克服されなければならない。摺動が始まる前の2つの表面間の最大可能摩擦力は、静止摩擦係数及び垂直力の積である。印加された力がその値を上回ると、印加された力は、静止摩擦の力を克服し、摺動を生じさせる。したがって、静止摩擦係数が高いほど、係合スタッドは、摺動又は横移動を可能にすることに対する抵抗性が高くなる。
【0156】
図9を参照すると、本明細書の様々な実施形態による係合スタッド(円錐形、ピラミッド形のフィン、三角柱)を、既知の多孔質構造体(Titanium Porocoat(登録商標)、Titanium Gription(登録商標))及び多孔質構造体を有しない(テクスチャ3DPなし)1つの変数に対して、静止摩擦係数(静的CoF)値に関して試験した。図9の表800に示されるように、新しい係合スタッド設計の実施例、すなわち、円錐形(例えば、図2参照)、ピラミッド形のフィン(例えば、図3参照)及び三角柱(例えば、図4図6参照)は、他の試験した変数と同様に機能した。これは、新しい係合スタッド設計が、既知の装置の機能と一致する、摺動に対する望ましい抵抗性を与えることを意味する。更に、新しい係合スタッドのそれぞれは、1.0を超える静的CoF値を有し、これは、特徴部がその関連する垂直力よりも大きな摩擦力を有することを意味する。
【0157】
上記で詳細に論じたように、様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を含む整形外科用インプラントを提供することができ、この構造体は、複数の単位セルと、多孔質三次元構造体の境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドとを含む。少なくとも1つの係合スタッドは、間隙又は開口部を有することができ、ある点で交差する複数のフィンを備えることができる。
【0158】
上記で詳細に論じたように、様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を含む整形外科用インプラントを提供することができ、この構造体は、複数の単位セルと、多孔質三次元構造体の境界を越えて延在する複数の係合スタッドとを含む。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つは、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものに対して、ある角度で位置付けられてもよい。
【0159】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属粉末の連続層を堆積及び溶融させて、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の境界を越えて延在する複数の係合スタッドを形成することを含み得る。複数の係合スタッドは、間隙又は開口部を有することができ、多孔質三次元構造体の金属とは異なる金属を含み得る。あるいは、係合スタッドは、多孔質構造体と同じ材料を含み得る。当該方法は、基部を提供することを更に含み得、係合スタッドは基部に固定される。当該方法は、提供された基部上に金属粉末の連続層を堆積及び溶融させることを更に含むことができ、それによって、インプラントは、基部、多孔質構造体、及び複数の係合スタッドを含む。
【0160】
上述のように、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つは、ある点(例えば、嵌入面)で交差する複数のフィン(例えば、少なくとも3つのフィン)を含み得る。係合スタッドは、例えば、三角形状又は円錐形状であり得る。係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界(例えば、表面境界)に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。係合スタッドは、表面又は境界に沿って複数の列内に位置付けられ得る。
【0161】
加えて、係合スタッドは、係合スタッドが嵌入することになる骨/組織界面を考慮したうえで、互いに対して任意の向き又は位置を有することができる。例えば、係合スタッド(列に分布しているか、ランダムに分布しているか、又は他の何らかの系統的な分布)は、反復パターン又は非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に繰り返すことができる。この位置パターンは、係合スタッドが実際に列に分布している場合、少なくとも1つの列又は複数の列にわたって生じ得る。
【0162】
この場合もやはり、係合スタッドは、多孔質構造体、基部(提供される場合)、又はその両方と同じ材料を含み得る。係合スタッドは、多孔質構造体、基部(提供される場合)、又はその両方とは異なる材料を含み得る。その場合、係合スタッドは、多孔質三次元構造体よりも硬い金属を含み得る。あるいは、又は硬質材料に加えて、係合スタッドは、分解性材料を含み得る。同様に、多孔質三次元構造体は、分解性材料を含み得る。多孔質三次元構造体はまた、少なくとも2つの異なる材料を含み得る。
【0163】
上述のように、係合スタッドは、嵌入された後の剪断運動又は横移動を回避又は最小化するのに役立ち、係合スタッドは、高い静止摩擦係数を有するように設計され得る。したがって、様々な実施形態によれば、係合スタッドのうちの少なくとも1つは、1.0以上の静止摩擦係数を有することができる。係合スタッドの高さに関しては、係合スタッドのうちの少なくとも1つは、表面境界に対して0.03~1.00ミリメートルの高さを有する。
【0164】
製造プロセス
上で開示された多孔質三次元金属構造体は、様々な異なる金属部材製造技術を用いて製造されることができ、当該技術としては、限定するものではないが、鋳造プロセス(鋳造プロセスは、溶融金属を金型キャビティに注ぎ込むことを含み、いったん固化すると、金属はキャビティの形状を呈する)。例としては、消耗型鋳造、永久金型鋳造、及び粉末圧縮冶金が挙げられる)、変形プロセス(変形プロセスとしては、金属の降伏応力を超える機械的応力を金属に加える工具の使用を伴う金属形成及び板金加工プロセスが挙げられる)、材料除去プロセス(これらのプロセスは、所望の形状を得るために、被加工物から余分な材料を除去する。材料除去プロセスの例としては、工具機械加工及び研磨加工が挙げられる)、並びに積層造形プロセス(これらのプロセスは、連続する材料層を堆積させることによって金属成分を複数の層に作り上げるためのデジタル3D設計データの使用を伴う)が挙げられる。積層造形プロセスとしては、例のみとして、粉末床溶融プリント(例えば、溶融と焼結)、コールドスプレー式の3Dプリンティング、ワイヤーフィード方式の3Dプリンティング、熱溶解積層方式の3Dプリンティング、押出3Dプリンティング、液体金属3Dプリンティング、ステレオリソグラフィ3Dプリンティング、バインダージェッティング方式の3Dプリンティング、材料噴射方式の3Dプリンティングなどを挙げることができる。しかしながら、多孔質三次元金属構造体を構成する単位セルの幾何学的要素及び構造要素が複雑であることから、積層造形プロセスは、多孔質三次元金属構造体(上記に開示された)の製造に関して、他の金属部材製造技術に勝るいくつかの独自の利点を提供することを理解されたい。
【0165】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントの製造方法は、例えば、図10に示される方法900によって提供される。当該方法は、金属粉末の連続層を堆積させかつ走査して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含み得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。
【0166】
金属粉末は、多孔質三次元構造体を形成するために焼結されてもよい。金属粉末は、多孔質三次元構造体を形成するために溶融されてもよい。
【0167】
当該方法は、基部を提供することと、基部上に少なくとも1つの係合スタッドを形成することとを更に含み得る。
【0168】
当該方法は、基部上に複数の係合スタッドを形成することを更に含み得る。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つを、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。あるいは、少なくとも1つの列内の複数の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。あるいは、少なくとも1つの列内の複数の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。
【0169】
少なくとも1つの係合スタッドは、多孔質三次元構造体よりも硬い金属を含み得る。少なくとも1つの係合スタッドは、分解性材料を含み得る。あるいは、多孔質三次元構造体は、分解性材料を含み得る。多孔質三次元構造体は、少なくとも2つの異なる材料を含み得る。係合スタッドのうちの少なくとも1つは、多孔質三次元構造体の静止摩擦を増加させるように構成され、配置されてもよい。
【0170】
図10に提供されるように、工程910は、金属粉末の層を堆積させることを含む。工程920は、金属粉末の層を走査することを含む。工程930に提供されるように、工程910及び920は、多孔質三次元構造体が形成され、かつ多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドが形成されるまで繰り返される。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域から構成され得る。
【0171】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、所定の速度で金属粒子流を基部上に適用して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。所定の速度は、金属粒子が基部に衝突した際に結合するのに必要な臨界速度であり得る。臨界速度は、約340m/秒超であり得る。様々な実施形態において、使用可能な金属粒子の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
当該方法は、所定の電力設定でレーザーを、金属粒子流が衝突している基部の領域上に適用することを更に含み得る。
【0173】
当該方法は、複数の係合スタッドを形成することを更に含み得る。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つを、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。少なくとも1つの列内の複数の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。あるいは、少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。所定の電力設定は、経時的に異なる、又は変化し得る。電力設定は、例えば、約50ワット~約1000ワットの範囲であってよい。
【0174】
少なくとも1つの係合スタッドは、多孔質三次元構造体よりも硬い金属を含み得る。少なくとも1つの係合スタッドは、分解性材料を含み得る。あるいは、多孔質三次元構造体は、分解性材料を含み得る。多孔質三次元構造体は、少なくとも2つの異なる材料を含み得る。係合スタッドのうちの少なくとも1つは、多孔質三次元構造体の静止摩擦を増加させるように構成され、配置されてもよい。
【0175】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属ワイヤの連続的な供給を基部表面上に導入することと、所定の電力設定でビームを、金属ワイヤが基部表面に接触している領域に適用して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することと、を含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。
【0176】
ビームは、電子ビームであり得る。ビームは、レーザービームであり得る。
【0177】
当該方法は、複数の係合スタッドを形成することができる。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させる。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。所定の電力設定は、経時的に異なる、又は変化し得る。電力設定は、例えば、約50ワット~約1000ワットの範囲であってよい。様々な実施形態において、使用可能な金属ワイヤの種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブワイヤが挙げられるが、これらに限定されない。
【0178】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属要素が埋め込まれたポリマー材料の連続的な供給を基部表面上に導入することと、ポリマー材料が基部表面に接触している領域に熱を加えて、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することと、を含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。
【0179】
当該方法は、多孔質三次元構造体をビームで走査してポリマー材料を燃焼除去することを更に含み得る。ビーム(又は走査ビーム)は、電子ビームであり得る。ビーム(又は走査ビーム)は、レーザービームであり得る。あるいは、当該方法は、多孔質三次元構造体及び少なくとも1つの係合スタッドを、加熱炉などの加熱システム内に配置して、ポリマー材料を燃焼除去することを更に含み得る。あるいは、ポリマー材料は、加熱され、ノズルを通って基部表面上に押し出されてもよい。様々な実施形態において、ポリマー材料の連続的な供給は、加熱ノズルを通して供給されてもよく、したがって、多孔質三次元構造体を形成するために、ポリマー材料が基部表面に接触する領域に熱を加える必要がなくなる。様々な実施形態において、ポリマー材料を埋め込むために使用することができる金属要素の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、及びニオブを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0180】
当該方法は、複数の係合スタッドを更に形成することができる。複数の係合スタッドを、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。
【0181】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、ノズルを通して金属スラリーを基部表面上に導入して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。ノズルは加熱されてもよく、又は加熱されなくてもよい。あるいは、加熱ノズルは、金属スラリー供給物を流動性にするために必要な温度に設定される。あるいは、蒸発を適用して、金属スラリーの金属要素を基部表面に結合させる。更に、金属スラリーの組成は、追加のプロセス工程を必要とせずに必須の結合を提供することができる。様々な実施形態において、ノズルは、金属スラリーの金属要素を基部表面に結合するのに必要な温度で加熱される。
【0182】
様々な実施形態において、金属スラリーは、製造プロセス又は多孔質三次元構造体の性能を改善するために、1つ以上の添加剤(液体又は固体)と共に金属粒子を含有する水性懸濁液である。様々な実施形態において、金属スラリーは、製造プロセス又は多孔質三次元構造体の性能を改善するために、1つ以上の添加剤(液体又は固体)と共に金属粒子を含有する有機溶媒懸濁液である。様々な実施形態において、金属スラリーにおいて使用可能な金属粒子の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
当該方法は、複数の係合スタッドを更に形成することができる。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つを、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。
【0184】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、溶融金属の連続相を基部表面上に導入して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。溶融金属は、基部表面上に連続流として導入され得る。溶融金属は、分離した溶融金属液滴の流れとして基部表面上に導入され得る。様々な実施形態において、使用可能な溶融金属の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
当該方法は、複数の係合スタッドを形成することができる。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つを、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内にあってもよい。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。
【0186】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属要素が埋め込まれた感光性ポリマーの連続相を基部表面上に適用し、光活性化して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。様々な実施形態において、ポリマー材料を埋め込むために使用可能な金属要素の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0187】
当該方法は、複数の係合スタッドを更に含み得る。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つを、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。
【0188】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属粉末の連続層を堆積させかつバインダー材料で結合して、多孔質三次元構造を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。当該方法は、結合した金属粉末をビームで焼結又は溶融させることを更に含み得る。ビームは、電子ビームであり得る。ビームは、レーザービームであり得る。結合剤材料は、例えば、ポリマーバインダーであり得る。あるいは、当該方法は、多孔質三次元構造体及び少なくとも1つの係合スタッドを、加熱炉などの加熱システム内で焼結することを更に含み得る。様々な実施形態において、使用可能な金属粉末の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブ粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
当該方法は、結合した金属粉末をビームで焼結又は溶融させることを更に含み得る。ビームは、電子ビームであり得る。ビームは、レーザービームであり得る。
【0190】
当該方法は、複数の係合スタッドを更に形成することができる。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。
【0191】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントを製造するための方法が提供される。当該方法は、金属材料の液滴を基部表面上に堆積させることと、金属材料が基部表面に接触している領域に熱を加えて、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することと、を含み得る。多孔質三次元構造体は、複数の単位セルから構成され得る。少なくとも1つの係合スタッドは、ある点で終端する先端領域を含み得る。ビームは、電子ビームであり得る。ビームは、レーザービームであり得る。金属材料は、金属要素が埋め込まれた金属スラリーであり得る。金属材料は金属粉末であり得る。様々な実施形態において、使用可能な金属材料の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
当該方法は、複数の係合スタッドを更に形成することができる。複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つは、中心軸において、複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものとは異なる角度で、基部に対して回転させることができる。複数の係合スタッドは、多孔質三次元構造体の表面にわたって、又は多孔質三次元構造体の境界に沿って、少なくとも1つの列内に位置付けられ得る。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。少なくとも1つの列内の係合スタッドのそれぞれを、中心軸において、列にわたって非反復パターンで、少なくとも第1の位置と第2の位置とで交互に、基部に対して回転させることができる。
【0193】
本明細書では、特定の実施形態及びその用途について説明してきたが、これらの実施形態及び用途は例示的なものに過ぎず、多くの変形が可能である。
【0194】
本教示は、様々な実施形態と共に説明されているが、本教示はそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。それとは対照的に、本教示は、当業者に理解されるように、様々な代替物、修正、及び等価物を包含する。
【0195】
更に、様々な実施形態を説明する際に、本明細書は、特定の一連の工程として方法及び/又はプロセスを提示したかもしれない。しかしながら、方法又はプロセスが本明細書に記載される工程の特定の順序に依存しない限り、方法又はプロセスは、記載される特定の一連の工程に限定されるべきではない。当業者には理解されるように、他の一連の工程が可能であり得る。したがって、本明細書中に記載される工程の特定の順序は、特許請求の範囲の制限として解釈されるべきではない。加えて、方法及び/又はプロセスは、書かれた順序でのそれらの工程の実施に限定されるべきでなく、また、順序は変更されてもよく、それでも依然として様々な実施形態の趣旨及び範囲内にとどまることが、当業者に容易に理解されよう。
【0196】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用プロテーゼコンポーネントであって、
基部と、
前記基部に取り付けられた多孔質三次元構造体であって、骨の内方成長を可能にするように構成され、かつ外側表面境界を有する、多孔質三次元構造体と、
前記多孔質三次元構造体の前記外側表面境界から、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端部まで外向きに延在する係合スタッドと、を備え、
前記外側表面境界と前記外側嵌入先端部との間に距離が規定され、前記距離は、0.03ミリメートル~0.30ミリメートルの範囲内である、整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(2) 前記係合スタッドが、前記多孔質三次元構造体内に位置付けられた細長い本体と、前記細長い本体から前記外側嵌入先端部まで延在する嵌入ヘッドと、を含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(3) スロットが、前記細長い本体を通って延在する、実施態様2に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(4) 前記細長い本体が、前記基部に取り付けられた第1の端部から前記嵌入ヘッドに取り付けられた第2の端部まで延在する、実施態様2に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(5) 前記係合スタッド及び前記基部が、単一の一体型構成要素である、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【0197】
(6) 前記係合スタッド及び前記多孔質三次元構造体が、単一の一体型構成要素である、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(7) 前記係合スタッドが、前記多孔質三次元構造体の前記外側表面境界から外向きに延在する複数の係合スタッドのうちの1つであり、各係合スタッドは、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端部を有し、
前記外側表面境界と各外側嵌入先端部との間に距離が規定され、該距離は、0.03ミリメートル~0.30ミリメートルの範囲内である、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(8) 各係合スタッドが、中心軸に沿って延在し、
第1の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドが、その中心軸を中心とした第1の回転位置に位置付けられ、
第2の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドが、その中心軸を中心とした第2の回転位置に位置付けられ、前記第2の回転位置は前記第1の回転位置とは異なっている、実施態様7に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(9) 前記第2の回転位置が、前記第1の回転位置から90度である、実施態様8に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(10) 前記多孔質三次元構造体が厚さを有し、前記厚さに対する各距離の比率は0.25未満である、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【0198】
(11) 前記基部が、脛骨インサートを受容するように構成された脛骨プラットフォームを含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(12) 前記脛骨プラットフォームから遠位先端部まで細長いステムが延在しており、前記細長いステムは、患者の脛骨の外科的に準備された近位端に埋め込まれるように構成されている、実施態様11に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(13) 前記多孔質三次元構造体が、前記脛骨プラットフォームの遠位表面に取り付けられ、前記細長いステムが、前記三次元構造体を通って外向きに延在する、実施態様12に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(14) 整形外科用プロテーゼコンポーネントであって、
基部と、
前記基部に取り付けられた多孔質三次元構造体であって、骨の内方成長を可能にするように構成され、かつ外側表面境界を有する、多孔質三次元構造体と、
前記多孔質三次元構造体の前記外側表面境界から中心軸に沿って外向きに延在する複数の係合スタッドであって、各係合スタッドは、患者の骨と係合するように構成された外側嵌入先端部を有する、複数の係合スタッドと、を備え、
いくつかの前記複数の係合スタッドのうちの各係合スタッドが、その中心軸を中心として、前記複数の係合スタッドのうちの少なくとも1つの他のものからある角度で、回転される、整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(15) 前記複数の係合スタッドが、前記多孔質三次元構造体の前記外側表面境界に沿って延在する仮想線上に位置付けられている、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【0199】
(16) 第1の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドが、その中心軸を中心とした第1の回転位置に位置付けられ、
第2の数の係合スタッドのうちの各係合スタッドが、その中心軸を中心とした第2の回転位置に位置付けられ、前記第2の回転位置は前記第1の回転位置とは異なっている、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(17) 前記第1の数の係合スタッドのうちの係合スタッドが、前記第2の数の係合スタッドのうちの係合スタッドと交互になっている、実施態様16に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(18) 前記基部が、脛骨インサートを受容するように構成された脛骨プラットフォームを含む、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(19) 前記脛骨プラットフォームから遠位先端部まで細長いステムが延在しており、前記細長いステムは、患者の脛骨の外科的に準備された近位端に埋め込まれるように構成されている、実施態様18に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(20) 整形外科用プロテーゼコンポーネントを製造するための方法であって、
金属粉末の連続層を堆積させかつ走査して、多孔質三次元構造体を形成し、かつ、前記多孔質三次元構造体の表面境界を越えて延在する少なくとも1つの係合スタッドを形成することを含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10