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特許7566646情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
G05B23/02 V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021007097
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111576
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 陸
(72)【発明者】
【氏名】牧野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-172567(JP,A)
【文献】特開2004-227298(JP,A)
【文献】特開2005-122541(JP,A)
【文献】特開2006-209594(JP,A)
【文献】特開2004-199298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設けられた少なくとも一つの監視対象装置と、
前記少なくとも一つの監視対象装置に関する動作状態を表す動作情報と、前記少なくとも一つの監視対象装置が設けられた環境に関する情報である環境情報とを取得する監視装置と、
前記監視装置から取得した前記動作情報と前記環境情報とに基づいて、前記少なくとも一つの監視対象装置に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを判定する情報管理サーバと、を備え
前記環境情報は、前記少なくとも一つの監視対象装置が設けられた施設の周辺の映像を含み、
前記情報管理サーバは、前記少なくとも一つの監視対象装置に発生した異常又は発生する可能性のある異常への対処に関する対処情報を生成し、前記少なくとも一つの監視対象装置に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを判定する判定結果に基づく異常情報と共に送信する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの監視対象装置を保守する保守拠点側が管理する第1の情報処理装置をさらに備え、
前記情報管理サーバは、前記第1の情報処理装置に前記判定結果に基づく異常情報を送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの監視対象装置を管理する管理者が管理する第2の情報処理装置をさらに備え、
前記情報管理サーバは、前記第2の情報処理装置に前記判定結果に基づく異常情報を送信する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記対処情報は、前記対処に必要な人員、他の施設と比較した場合の優先度、前記保守拠点側の人員が前記施設に到着するまでの時間のうち、少なくとも一つを含む、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
施設に設けられた少なくとも一つの監視対象装置に関する動作状態を表す動作情報と、前記少なくとも一つの監視対象装置が設けられた環境に関する情報である環境情報と、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記動作情報と前記環境情報とに基づいて、前記少なくとも一つの監視対象装置に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを判定する判定部と、を備え
前記環境情報は、前記少なくとも一つの監視対象装置が設けられた施設の周辺の映像を含み、
前記判定部は、前記少なくとも一つの監視対象装置に発生した異常又は発生する可能性のある異常への対処に関する対処情報を生成し、前記少なくとも一つの監視対象装置に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを判定する判定結果に基づく異常情報と共に送信する、
情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
施設に設けられた少なくとも一つの監視対象装置に関する動作状態を表す動作情報と、前記少なくとも一つの監視対象装置が設けられた環境に関する情報である環境情報と、を取得する取得機能と、
前記取得機能が取得した前記動作情報と前記環境情報とに基づいて、前記少なくとも一つの監視対象装置に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを判定する判定機能と、
前記環境情報は、前記少なくとも一つの監視対象装置が設けられた施設の周辺の映像を含み、
前記判定機能は、前記少なくとも一つの監視対象装置に発生した異常又は発生する可能性のある異常への対処に関する対処情報を生成し、前記少なくとも一つの監視対象装置に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを判定する判定結果に基づく異常情報と共に送信すること、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大雨、洪水、台風、落雷等の災害により、施設の受変電システム等に異常が発生した場合、これらの異常に関する情報を保守拠点側の保守員が収集するためには、施設の管理者から異常が発生している旨の連絡を受けるか、または、保守拠点側から施設の管理者に異常発生の有無を問い合わせる必要がある。このため、異常発生時にける従来の情報収集は、効率性に欠ける場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-27519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような問題を解決するため、本発明は、例えば保守拠点側において、施設の受変電システム等の監視対象装置の異常について、従来に比して効率的に情報収集し対処可能な情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る情報処理システムは、監視対象装置の状態を表す状態情報と、前記監視対象装置が設置された環境に関する外部情報と、を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記状態情報と、前記外部情報とから、前記監視対象装置の動作に関する異常を判定する判定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成図の一例である。
図2図2は、監視対象装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、監視装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、気象情報管理テーブルの一例を示した図である。
図5図5は、災害情報管理テーブルの一例を示した図である。
図6図6は、災害詳細管理テーブルの一例を示した図である。
図7図7は、実施形態に係る情報処理装置としての情報管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、第1の対処情報管理テーブルの一例を示した図である。
図9図9は、第2の対処情報管理テーブルの一例を示した図である。
図10図10は、監視対象装置管理テーブルの一例を示した図である。
図11図11は、保守側情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12図12は、実施形態に係る情報処理システムが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態に係る情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0008】
図1は、実施形態に係る情報処理システムSの構成図である。情報処理システムSは、各施設(サイト)に設けられる複数の監視対象装置10-1~10-N及び複数の監視装置20-1~20-Nと、実施形態に係る情報処理装置としての情報管理サーバ15と、保守業者側に設けられる保守側情報処理装置25と、を備える。また、情報処理システムSは、各施設側が管理するコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ等である複数の施設側情報処理装置26-1~26-Nをさらに備えることもできる。
【0009】
なお、監視対象装置及び監視装置の枝番号は、設置されている施設の番号を示している。例えば、監視対象装置10-1及び監視装置20-1は、施設SI1に設置されている。以下の説明において、複数の監視対象装置10-1~10-Nを区別しない場合には単に監視対象装置10と記載する。複数の監視装置20-1~20-Nを区別しない場合には単に監視装置20と記載する。複数の施設SI1~SINを区別しない場合には単に施設SIと記載する。複数の施設側情報処理装置26-1~26-Nを区別しない場合には単に施設側情報処理装置26と記載する。
【0010】
情報管理サーバ15は、監視対象装置10が設けられた施設SIの外部に設置される。情報管理サーバ15は、例えば保守側の施設に設けることもできる。本実施形態においては、説明を具体的にするため、情報管理サーバ15は、監視対象装置10が設けられた施設SI及び保守側の施設の外部にある所定の遠隔地に設けられているものとする。
【0011】
監視装置20と監視対象装置10とは、例えばLAN(Local Area Network)等の通信網によって通信可能に接続されている。情報管理サーバ15と監視装置20及び保守側情報処理装置25とは、例えばインターネット等の通信回線網によって通信可能に接続されている。
【0012】
監視対象装置10は、施設に設置される受変電設備、電源設備、非常用発電機等である。監視対象装置10は、例えば、金属製の直方体形状の筐体や、筐体内に設置された開閉器、断路器、変圧器等の電力機器等を備える。なお、図1においては、説明の簡単のため、各施設において一つの監視対象装置10が設置されている場合を例示している。しかしながら、各施設SIにおいて、受変電設備、非常用発電機等を含む複数の監視対象装置10が設置されている場合もある。
【0013】
図2は、監視対象装置10の構成の一例を示した図である。図2に示す様に、監視対象装置10は、第1の取得部10aと、第1の記憶部10bと、第1の送信部10cとを備える。
【0014】
第1の取得部10aは、監視対象装置10の動作情報を逐次取得する。
【0015】
ここで、動作情報とは、監視対象装置10の動作状態を監視するための情報であり、例えば、監視対象装置10の電流値、電圧値、電力値、故障(例えば短絡等)の有無、運転時間、装置の温度等のうちの少なくとも一つを含む情報である。また、動作情報には、当該監視対象装置10を特定するための情報(例えば盤情報)、電流値等を取得した時間情報も含まれる。
【0016】
第1の記憶部10bは、第1の取得部10aが取得した監視対象装置10の動作情報を逐次記憶する。
【0017】
第1の送信部10cは、第1の記憶部10bに記憶された動作情報を監視装置20へ逐次送信する。なお、監視対象装置10は第1の記憶部10bを有さず、第1の送信部10cは、第1の取得部10aが取得した動作情報を監視装置20へ逐次送信してもよい。
【0018】
監視装置20は、監視対象装置10の動作状況を監視する。監視装置20は、例えば、制御回路としてのCPU(Central Processing Unit)、通信インタフェース、記憶回路としてのHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)、ディスプレイ、入力回路等を備えたコンピュータである。
【0019】
図3は、監視装置20の構成の一例を示した図である。図3に示す様に、監視装置20は、第2の取得部20aと、第2の記憶部20bと、第2の送信部20cと、情報処理部20dとを備える。なお、監視装置20の各構成は、第2の記憶部20bに記憶された専用プログラムを起動しソフトウェアとハードウェアを協働させることで実現することができる。
【0020】
第2の取得部20aは、監視対象装置10の第1の送信部10cが送信した動作情報を逐次取得する。また、第2の取得部20aは、監視対象装置10が設けられた環境に関する環境情報を逐次取得する。
【0021】
ここで、環境情報とは、監視対象装置10が設けられた環境の状況を監視するための情報であり、例えば、監視対象装置10が設けられた施設がある地域の天候、当該地域の温度、湿度、監視対象装置10が設けられた施設の周辺の風速、降水量、監視対象装置10が設けられた施設の周辺の映像(画像データ)、監視対象装置10が設けられた部屋(例えば電気室)の映像(画像データ)のうち、少なくとも一つを含む情報である。なお、環境情報には、いずれの監視対象装置10の環境に関する情報であるかを特定するための情報(例えば盤情報)、時間情報も含まれる。また、監視対象装置10に、例えば動作状態を監視するためのセンサが別途設けられている場合には、当該センサによって検出された情報を含むこともできる。さらに、監視対象装置10が設けられた部屋の浸水状況等を監視するためのセンサが別途設けられている場合には、当該センサによって検出された情報を含むこともできる。
【0022】
なお、天候等の環境情報は、例えば、インターネット上のWebサイトで公開されている地域毎の天候情報、施設SIに設けられた各種計測機器、監視カメラ等から取得することができる。
【0023】
第2の記憶部20bは、第2の取得部20aが取得した動作情報及び環境情報を逐次記憶する。また、第2の記憶部20bは、気象情報管理テーブル31、災害情報管理テーブル32、災害詳細管理テーブル33を記憶する。
【0024】
図4は、気象情報管理テーブル31の一例を示した図である。図4に示した様に、気象情報管理テーブル31は、晴、曇等の気象情報とその識別番号とを対応付けて管理するテーブルである。
【0025】
図5は、災害情報管理テーブル32の一例を示した図である。図5に示した様に、災害情報管理テーブル32は、大雨、洪水等の災害情報とその識別番号とを対応付けて管理するテーブルである。
【0026】
図6は、災害詳細管理テーブル33の一例を示した図である。図6に示した様に、災害詳細管理テーブル33は、浸水、漏電等の災害によって発生した災害の詳細とその識別番号とを対応付けて管理するテーブルである。
【0027】
情報処理部20dは、第2の記憶部20bが記憶する環境情報を、気象情報管理テーブル31、災害情報管理テーブル32、災害詳細管理テーブル33を用いて識別番号を含む情報に変換する。例えば、情報処理部20dは、環境情報に「雨」、「大雨」、「台風」といった情報が含まれる場合には、これらの情報をそれぞれ対応する識別情報「31-3」、「32-1」、「32-3」に変換する。
【0028】
第2の送信部20cは、動作情報、及び情報処理部20dによって変換された情報を含む環境情報を情報管理サーバ15へ逐次送信する。
【0029】
情報管理サーバ15は、監視装置20及び保守側情報処理装置25と通信可能な情報処理装置である。情報管理サーバ15は、例えば、制御回路としてのCPU、通信インタフェース、記憶としてのHDD、ROM、RAM、フラッシュメモリ、SSD、ディスプレイ、入力回路等を備えたコンピュータである。
【0030】
図7は、情報管理サーバ15の構成の一例を示すブロック図である。図7に示した様に、情報管理サーバ15は、第3の取得部15a、第3の記憶部15b、第3の送信部15c、判定部15dを備える。なお、情報管理サーバ15の各構成は、第3の記憶部15bに記憶された専用プログラムを起動しソフトウェアとハードウェアを協働させることで実現することができる。
【0031】
第3の取得部15aは、監視装置20から送信された動作情報及び環境情報を、ネットワークを介して逐次取得する。
【0032】
第3の記憶部15bは、第3の取得部15aが取得した動作情報及び環境情報を逐次記憶する。また、第3の記憶部15bは、気象情報管理テーブル31、災害情報管理テーブル32、災害詳細管理テーブル33、第1の対処情報管理テーブル、第2の対処情報管理テーブルを記憶する。
【0033】
図8は、第1の対処情報管理テーブル41の一例を示した図である。図8に示した様に、第1の対処情報管理テーブル41は、動作情報又は環境情報に含まれる情報のうち監視対象装置10の異常に該当する情報と、その情報が動作情報又は環境情報に含まれている場合に、どのような対処をすべきかを示した対処情報とを関連付けたテーブルである。
【0034】
なお、第1の対処情報管理テーブル41における「電流値異常1」とは、例えば、動作情報に含まれた電流値が許容範囲より大幅に外れている状況を意味する。また、第1の対処情報管理テーブル41における「電流値異常2」とは、動作情報に含まれた電流値が、「電流値異常1」程外れてはないが、例えば、許容範囲より外れている状況を意味する。電圧値、電力値についても同様である。この第1の対処情報管理テーブル41により、動作情報又は環境情報に特定の情報が含まれている場合には、どのような対処をするべきかを判定することができる。
【0035】
図9は、第2の対処情報管理テーブル42の一例を示した図である。図9に示した様に、第2の対処情報管理テーブル42は、各施設SIの復旧(すなわち、各施設SIの監視対象装置10の異常への対処)に要する保守員の人数と、保守拠点から保守員が施設SIに到着するまでの時間を管理するテーブルである。なお、図9において、識別番号の枝番は施設SIの番号と対応している。
【0036】
この第2の対処情報管理テーブル42は、例えば、異常が発生した監視対象装置10の復旧のために実行される対処作業毎に生成され管理される。なお、復旧に要する保守員の人数は、施設SIの規模や異常の種類、過去の事例に基づいて決定することができる。
【0037】
判定部15dは、第3の記憶部15bが記憶する動作情報及び環境情報を用いて、監視対象装置10毎に監視対象装置管理テーブルを生成する。
【0038】
図10は、監視対象装置管理テーブル43の一例を示した図である。図10に示した様に、監視対象装置管理テーブル43は、時系列に動作情報、環境情報(すなわち、気象情報、災害情報、災害詳細、画像データ等)を配列して管理するテーブルである。
【0039】
判定部15dは、監視装置20から取得した動作情報と環境情報とに基づいて、少なくとも一つの監視対象装置10に異常が発生したか又は異常が発生する可能性があるかを判定する。具体的には、判定部15dは、監視対象装置管理テーブル43に基づいて、対応する監視対象装置10に異常が発生したか又は異常が発生する可能性があるかを判定する。また、判定部15dは、判定結果に基づいて監視対象装置10の異常情報を生成する。
【0040】
ここで、監視対象装置10の異常情報とは、監視対象装置10に異常が発生していること、今後異常は発生する可能性があること、異常が発生した箇所、今後異常発生が予測される箇所等を知らせるための情報である。対処情報には、ガイド情報を含むこともできる。ガイド情報とは、監視対象装置10の異常予想(故障予想)による被害を抑えるための情報であり、例えば、監視対象装置10が故障したとき他設備への波及を防ぐため上位フィーダの遮断器をトリップすることを勧める等の情報である。この様なガイド情報は、動作情報及び環境情報に基づいて判定することができる。
【0041】
例えば、図10に示した監視対象装置管理テーブル43の「2020/12/8/14:08」の行において、動作情報は「電流値異常2」、「電力値異常2」、「機器故障無」を含み、環境情報は「洪水(32-2)」、「台風(32-3)」、「浸水(33-1)」を含む。判定部15dは、動作情報及び環境情報がこれらの情報を含むことから、「2020/12/8/14:08」においては、対応する監視対象装置10は「異常が発生する可能性あり」と判定する。判定部15dは、判定結果に基づいて監視対象装置10の異常情報を生成する。
【0042】
また、例えば、図10に示した監視対象装置管理テーブル43の「2020/12/8/14:32」の行において、動作情報は「電流値異常1」、「電圧値異常1」、「電力値異常1」、「短絡発生中」を含み、環境情報は「洪水(32-2)」、「台風(32-3)」、「落雷(32-5)」、「浸水(33-1)」、「漏電(33-2)」を含む。判定部15dは、動作情報及び環境情報がこれらの情報を含むことから、「2020/12/8/14:32」においては、対応する監視対象装置10は「異常発生」と判定する。判定部15dは、判定結果に基づいて監視対象装置10の異常情報を生成する。
【0043】
また、判定部15dは、監視対象装置管理テーブル43と第1の対処情報管理テーブル41とを参照して、発生する可能性がある異常、又は発生した異常に応じた対処情報を生成する。
【0044】
ここで、異常に応じた対処情報とは、発生した異常や発生する可能性がある異常に対して、保守業側や施設側がどのような対処をすべきかを知らせるための情報である。
【0045】
例えば、図10に示した監視対象装置管理テーブル43の「2020/12/8/14:08」の行において、動作情報は「電流値異常2」、「電力値異常2」を含み、環境情報は「台風(32-3)」を含む。判定部15dは、動作情報及び環境情報がこれらの情報を含むことから、「2020/12/8/14:08」において判定した異常に対して、図8に示すように「ステイ(41-2)」との内容を含む対処情報を生成する。
【0046】
また、例えば、図10に示した監視対象装置管理テーブル43の「2020/12/8/14:32」の行において、動作情報は「電流値異常1」、「電圧値異常1」、「電力値異常1」、「短絡発生中」を含み、環境情報は「漏電(33-2)」を含む。判定部15dは、動作情報及び環境情報がこれらの情報を含むことから、「2020/12/8/14:32」において判定した異常に対して、図8に示すように「現場へ行け(41-1)」との内容を含む対処情報を生成する。
【0047】
また、判定部15dは、例えば「現場へ行け(41-1)」との対処情報を決定した場合、当該監視対象装置10が設けられた施設SIに派遣すべき保守員の人数、保守員が施設SIに到着するまでの時間を決定する。なお、保守員が施設SIに到着するまでの時間は、必ずしも第2の対処情報管理テーブル42を用いる必要はない。例えば、GPS機能等を用いて特定した各保守員の現在地と対象となる施設SIの位置とに基づいて、保守員毎に計算するようにしてもよい。
【0048】
また、判定部15dは、複数の施設SIについての対処情報が決定された場合に、複数の施設SIの間の優先度を決定する。この優先度は、第3の記憶部15bに予め記憶された各施設SIの情報を用いて各施設SIの社会的役割を判定し、その判定結果に基づいて決定される。
【0049】
例えば、複数の施設SIにうちの一つが電話会社の基地局である場合を想定する。電話会社の基地局の機能停止による社会インフラへの波及は大きく、従って、電話会社の基地局が果たす社会的役割は大きい。判定部15dは、第3の記憶部15bに予め記憶された各施設SIの情報を用いて各施設SIの社会的役割を判定し、他の施設に比して社会的役割が大きい電話会社の基地局の優先度を、例えば「1」とする。
【0050】
第3の送信部15cは、判定部15dによって生成された異常情報、対処情報を保守側情報処理装置25に送信する。また、第3の送信部15cは、判定部15dによって生成された異常情報、対処情報を施設側情報処理装置26に送信することもできる。
【0051】
保守側情報処理装置25は、保守拠点に設けられる。保守側情報処理装置25は、例えば、制御回路としてのCPU、通信インタフェース、記憶としてのHDD、ROM、RAM、フラッシュメモリ、SSD、ディスプレイ、入力回路等を備えたコンピュータである。
【0052】
図11は、保守側情報処理装置25の構成の一例を示すブロック図である。図11に示した様に、保守側情報処理装置25は、第4の取得部25a、第4の記憶部25b、第4の送信部25c、表示部25dを備える。なお、保守側情報処理装置25の各構成は、第4の記憶部25bに記憶された専用プログラムを起動しソフトウェアとハードウェアを協働させることで実現することができる。
【0053】
第4の取得部25aは、情報管理サーバ15の第3の送信部15cによって送信された異常情報及び対処情報を取得する。
【0054】
第4の記憶部25bは、第4の取得部25aによって取得された異常情報及び対処情報を記憶する。
【0055】
第4の送信部25cは、施設SIの監視装置20、施設側情報処理装置26に対し、各種情報を送信する。
【0056】
表示部25dは、第4の取得部25aによって取得された異常情報及び対処情報を表示する。
【0057】
次に、情報処理システムの動作について説明する。なお、以下においては、説明を具体的にするため、台風による浸水などの水害によって監視対象装置10に故障が発生した場合を想定する。
【0058】
図12は、実施形態に係る情報処理システムが実行する処理の流れを示すフローチャートである。なお、図12において、ステップS1~ステップS3は監視対象装置10による処理、ステップS4~ステップS7は監視装置20による処理、ステップS8~ステップS12は情報管理サーバ15による処理、ステップS13~ステップS15は保守側情報処理装置25による処理、ステップS16~ステップS18は施設側情報処理装置26による処理である。
【0059】
監視対象装置10の第1の取得部10aは、当該監視対象装置10の動作情報を取得する(ステップS1)。監視対象装置10の第1の記憶部10bは、第1の取得部10aが取得した動作情報を記憶する(ステップS2)。監視対象装置10の第1の送信部10cは、監視装置20に動作情報を送信する(ステップS3)。なお、監視対象装置10が故障情報を発報した場合には、第1の送信部10cは、動作情報に故障を知らせる故障情報を含めることもできる。
【0060】
監視装置20の第2の取得部20aは、監視対象装置10から送信された動作情報を取得する(ステップS4)。また、監視装置20の第2の取得部20aは、施設SIの監視カメラ、インターネット上のWebサイト等から環境情報を取得する(ステップS5)。監視装置20の第2の記憶部20bは、第2の取得部20aが取得した動作情報及び環境情報を記憶する(ステップS6)。第2の送信部20cは、動作情報、情報処理部20dによって変換された情報を含む環境情報を情報管理サーバ15に送信する(ステップS7)。
【0061】
情報管理サーバ15の第3の取得部15aは、監視装置20から送信された動作情報及び環境情報を取得する(ステップS8)。情報管理サーバ15の第3の記憶部15bは、第3の取得部15aが取得した動作情報及び環境情報を記憶する(ステップS9)。
【0062】
情報管理サーバ15の判定部15dは、動作情報及び環境情報に基づいて監視対象装置10に異常が発生したか、又は異常が発生する可能性があるかを判定する(ステップS10)。情報管理サーバ15の判定部15dが「異常は発生していない」、又は「異常は発生する可能性なし」と判定した場合には(ステップS10のNo)、ステップS1~ステップS9の処理が繰り返し実行される。一方、情報管理サーバ15の判定部15dが「異常が発生した」、又は「異常が発生する可能性あり」と判定した場合には(ステップS10のYes)、処理はステップS11へ進む。
【0063】
情報管理サーバ15の判定部15dは、動作情報及び環境情報に基づいて、異常情報及び対処情報を生成する(ステップS11)。情報管理サーバ15の第3の送信部15cは、判定部15dが生成した異常情報及び対処情報を、保守側情報処理装置25、施設側情報処理装置26へ送信する(ステップS12)。
【0064】
保守側情報処理装置25の第4の取得部25aは、情報管理サーバ15が送信した異常情報及び対処情報を取得する(ステップS13)。保守側情報処理装置25の第4の記憶部25bは、第4の取得部25aが取得した異常情報及び対処情報を記憶する(ステップS14)。保守側情報処理装置25の表示部25dは、異常情報及び対処情報を所定の形態で表示する(ステップS15)。
【0065】
保守業者においては、保守側情報処理装置25の表示部25dに表示された異常情報及び対処情報を観察することで、異常が発生した施設SIや監視対象装置10、今後予測される異常、復旧に要する保守人員の人数、復旧を優先すべき施設、施設までの時間等を迅速且つ効率的に把握することができる。
【0066】
施設側情報処理装置26は、情報管理サーバ15が送信した異常情報及び対処情報を取得する(ステップS16)。施設側情報処理装置26は、取得した異常情報及び対処情報を記憶する(ステップS17)。施設側情報処理装置26は、取得した異常情報及び対処情報を所定の形態で表示する(ステップS18)。
【0067】
施設SIの管理者は、表示された異常情報及び対処情報を観察することで、自身の施設で異常が発生した監視対象装置10、今後予測される異常、復旧で派遣される保守人員の人数、管理者として優先してすべき対処、保守人員が到着するまでの時間等を迅速且つ効率的に把握することができる。
【0068】
以上述べた実施形態に係る情報処理システムSは、施設に設けられた少なくとも一つの監視対象装置10と、監視装置20と、情報管理サーバ15とを備える。監視装置20は、少なくとも一つの監視対象装置10に関する動作状態を表す動作情報と、少なくとも一つの監視対象装置が設けられた環境に関する情報である環境情報とを取得する。情報管理サーバ15は、監視装置20から取得した動作情報と環境情報とに基づいて、少なくとも一つの監視対象装置10に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを判定する。
【0069】
従って、少なくとも一つの監視対象装置10の動作情報及び環境情報を自動的に収集し記憶することができる。また、自動的に収集された動作情報と環境情報とに基づいて、監視対象装置10に異常が発生したか又は異常が発生する可能性はあるかを自動的に且つ迅速に判定することができる。その結果、監視対象装置10の異常について、従来の人為的な情報収集に比して、効率的な情報収集を実現することができる。特に、大規模災害の様な大きな災害が発生した場合において、監視対象装置10の現状や将来起こり得る異常を迅速に混乱なく把握することができる。
【0070】
一方、監視対象装置10や電気室にセンサを取り付けることで浸水などの被害を検知する技術の場合、盤単位や電気室単位にセンサを膨大な数取り付け、センサの状態を収集するシステムを新規に構築する必要がある。このため、比較的コストが膨らむ傾向にある。これに対し、実施形態に係る情報処理システムSにおいては、情報管理サーバ15で利用する情報は、監視装置20によって収集された情報(中央監視設備信号)を用いる。従って、実施形態に係る情報処理システムSにおいては、情報管理サーバ15の新設と監視装置20のソフト改修のみで実現可能である。その結果、センサを用いる技術等と比較して、低コストでの実装が可能である。
【0071】
また、実施形態に係る情報処理システムSは、少なくとも一つの監視対象装置10を保守する保守拠点側が管理する第1の情報処理装置としての保守側情報処理装置25をさらに備える。情報管理サーバ15は、保守側情報処理装置25へ判定結果に基づく異常情報を送信する。また、実施形態に係る情報処理システムは、少なくとも一つの監視対象装置10を管理する管理者が管理する施設側情報処理装置26をさらに備える。情報管理サーバ15は、施設側情報処理装置26へ判定結果に基づく異常情報を送信する。
【0072】
従って、保守業者が施設SIの管理者に直接連絡をせずとも、情報管理サーバ15によって、台風などの災害(盤への浸水など)に被災し異常が発生していること、或いは異常が発生する可能性があることを知らせる異常情報を、保守業者側及び施設SIの管理者側に迅速に連絡することができる。
【0073】
また、実施形態に係る情報処理システムSにおいては、情報管理サーバ15は、少なくとも一つの監視対象装置10に発生した異常又は発生する可能性のある異常への対処に関する対処情報を生成し、異常情報と共に送信する。
【0074】
従って、保守業者側及び施設SIの管理者側は、連絡を受けた異常情報及び対処情報に基づいて、監視対象装置10の故障を起因とする二次災害や、浸水による地絡の発生など二次災害、さらにその先で起こりうる故障についての対処を迅速に行うことができる。例えば、停電時の非常用発電機動作後も燃料が底をつく、過負荷になり故障するなどの危険性を回避することができる。また、災害発生時には問題がなくとも、復電後に受変電設備が正常に復旧できないなど、対応困難な異常に対しても、迅速且つ効率的に対処することができる。
【0075】
また、実施形態に係る情報処理システムSおいて、対処情報は、対処に必要な人員、他の施設と比較した場合の優先度、保守拠点側の人員が施設SIに到着するまでの時間のうち、少なくとも一つを含むことができる。
【0076】
従って、保守業者は、対処情報に基づいて復旧へのリソースを適切に割くことができ、保守員を効率的に施設SIに派遣することができる。その結果、迅速な故障の復旧を実現することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
10 監視対象装置、10a 第1の取得部、10b 第1の記憶部、10c 第1の送信部、15 情報管理サーバ、15a 第3の取得部、15b 第3の記憶部、15c 第3の送信部、15d 判定部、20 監視装置、20a 第2の取得部、20b 第2の記憶部、20c 第2の送信部、20d 情報処理部、25 保守側情報処理装置、26 施設側情報処理装置、SI 施設
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