(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】リモートI/O装置及び監視制御盤
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
G05B19/05 L
(21)【出願番号】P 2021013471
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 啓一郎
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-073122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04-19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置を制御するPLCと、前記PLCへ操作信号を出力する操作装置との間でデータの伝送を行うリモートI/O装置であって、
前記対象装置に対する指令値を格納する操作区画が確保されたレジスタと、
前記操作装置から操作信号の入力を受け付ける入力端子と、
前記レジスタの入力区画の番地と操作区画の番地との対応関係が規定された中継プログラムを記憶するストレージと、
前記中継プログラムと前記操作信号
とに基づいて、前記操作区画のうち前記入力端子に対応する番地に前記操作信号が示す前記指令値を記録する指令値記録部と、
前記操作区画の値を前記PLCに送信する送信部と
を備えるリモートI/O装置。
【請求項2】
前記入力端子は、1つの指令値を示す前記操作信号の入力を受け付ける第1入力端子と、前記レジスタに確保された入力区画の書き換えを指示する前記操作信号の入力を受け付ける第2入力端子とを含み、
前記指令値記録部は、
前記第1入力端子に入力された前記操作信号が示す前記指令値を、前記操作区画のうち前記第1入力端子に対応する番地に記録し、
前記第2入力端子に入力された前記操作信号に従って前記入力区画の値を更新し、前記入力区画の各番地に保持された値を、前記入力区画の各番地に対応する前記操作区画の番地に記録する
請求項1に記載のリモートI/O装置。
【請求項3】
前記操作信号に係る操作内容と前記操作信号の入力時刻とを関連付けて記録する履歴記録部
を備える請求項1又は請求項2に記載のリモートI/O装置。
【請求項4】
前記中継プログラムでは、前記レジスタの状態区画の番地と出力区画の番地との対応関係がさらに規定され、
前記対象装置の状態を表示する表示装置に接続される出力端子と、
前記PLCから受信した前記対象装置の状態を表す複数の状態値を前記レジスタに確保された状態区画に記録する受信部と、
前記状態区画の各番地の値を読み取
る状態値読取部と、
前記中継プログラムに基づいて、当該番地に対応する前記出力端子から
、前記読み取った値を示す状態信号を出力する
出力部と
を備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載のリモートI/O装置。
【請求項5】
前記出力端子は、1つの状態値を示す前記状態信号を出力する第1出力端子と、複数の状態値を含む状態信号を出力する第2出力端子とを含み、
前記出力部は、前記状態区画のうち前記第1出力端子に対応する番地から読み取った状態値を示す前記状態信号を、前記第1出力端子から出力し、
前記状態値読取部は、前記状態区画のうち前記第2出力端子に対応する複数の各番地から読み取った複数の状態値を前記レジスタに確保された出力区画の対応する番地に書き込み、
前記出力部は、前記出力区画に格納された複数の値を含む前記状態信号を、前記第2出力端子から出力する
請求項4に記載のリモートI/O装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のリモートI/O装置と、
前記リモートI/O装置に接続され、同一の前記対象装置を制御する複数のPLCと
を備える監視制御盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はリモートI/O装置及び監視制御盤に関する。
【背景技術】
【0002】
電気鉄道分野における受変電設備などの対象装置の制御に用いられる監視制御盤は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)によって実現されるものがある。PLCは、HID(ヒューマンインタフェースデバイス)から操作信号を受信し、予め記録されたプログラムに従って当該操作信号に応じた制御を実行する。また、対象装置とHIDとの間には、信号を伝送するリモートI/O装置が設けられることがある。HIDとPLCとの間にリモートI/O装置を設けることで、HIDの操作信号をPLCに伝送することができる。また対象装置とPLCとの間にリモートI/O装置を設けることで、対象装置の状態信号をPLCに伝送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、HIDの設計によって、PLCとHIDの接続関係が異なることがある。例えば、HIDが備える各ボタンの役割に応じて、ボタンの押下に対してPLCが実行すべき処理が変化する。この場合、HIDの設計に応じてPLCのソフトウェアを変更する必要が生じ、作業に手間を要することがある。
本発明が解決しようとする課題は、監視制御盤の実装効率を高めることができるリモートI/O装置及び監視制御盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のリモートI/O装置は、対象装置を制御するPLCと、PLCへ操作信号を出力する操作装置との間でデータの伝送を行う。リモートI/O装置は、レジスタと、入力端子と、指令値記録部と、送信部とを持つ。レジスタには、対象装置に対する指令値を格納する操作区画が確保される。入力端子は、操作装置から操作信号の入力を受け付ける。指令値記録部は、操作信号に基づいて、操作区画のうち入力端子に対応する番地に操作信号が示す指令値を記録する。送信部は、操作区画の値をPLCに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係る監視制御システムの構成を示す概略図。
【
図2】第1の実施形態に係るリモートI/O装置構成を示す概略ブロック図。
【
図3】第1の実施形態に係るリモートI/O装置のレジスタの区画を表す図。
【
図4】第1の実施形態に係るリモートI/O装置のソフトウェア構成を示す概略ブロック図。
【
図5】第1の実施形態に係るリモートI/O装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の監視制御システムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る監視制御システムの構成を示す概略図である。
第1の実施形態に係る監視制御盤1は、対象装置2を監視し、また対象装置2を制御する装置である。監視制御盤1は、監視目的に応じて設けられる。1つの監視制御盤1は、異なる種類の複数の対象装置2と接続されていてもよい。監視目的や対象装置2の種類によって監視制御盤1の機能は異なる。
【0008】
監視制御盤1は、HID110、リモートI/O装置130、ネットワークハブ150及び複数のPLC170を備える。
【0009】
HID110は、監視制御盤1のユーザインタフェースである。HID110は、操作装置と表示装置としての機能を有する。HID110は、例えば、押しボタンと表示パネルの組み合わせであってもよいし、タッチパネル装置であってもよいし、ネットワークを介して接続される外部端末との通信インタフェースであってもよい。HID110は、対象装置2への操作指示を表す操作信号をPLC170に出力する。
【0010】
リモートI/O装置130は、HID110から入力されたデータをPLC170に伝送し、またPLC170から伝送されたデータをHID110に出力する。リモートI/O装置130は、HID110と有線で接続される。ネットワークハブ150は、リモートI/O装置130と複数のPLC170とを互いにネットワークで接続する。PLC170は、リモートI/O装置130から伝送されたデータに基づいて対象装置2を制御する制御信号を生成する。PLC170は、対象装置2から状態を示す値を取得し、リモートI/O装置130に伝送する。複数のPLC170は、デュアルシステムやデュプレックスシステムなどの冗長構成をとる。
【0011】
図2は、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130構成を示す概略ブロック図である。第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、プロセッサ131、レジスタ133、ストレージ135、DIO端子137、タッチパネル端子139、HID側伝送端子141、PLC側伝送端子143を備える。プロセッサ131の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。ストレージ135の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ135は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0012】
なお、他の実施形態においては、リモートI/O装置130は、上記構成に加えて、又は上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ131によって実現される機能の一部又は全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0013】
リモートI/O装置130は、インタフェースとしてDIO端子137、タッチパネル端子139、HID側伝送端子141、PLC側伝送端子143を備える。DIO端子137、タッチパネル端子139及びHID側伝送端子141は、HID110との入出力を行うインタフェースである。DIO端子137は、DIO(Digital Input / Output)信号による入出力を行うHID110と接続するためのインタフェースである。DIO端子137には、HighとLowの2値を示す電圧信号が入力される。タッチパネル端子139は、タッチパネルを有するHID110と接続するためのインタフェースである。タッチパネル端子139には、シリアル伝送方式の伝送信号が入力される。HID側伝送端子141は、ネットワークを介して他の端末との通信を行うHID110と接続するためのインタフェースである。HID側伝送端子141には、例えば無線LANルータが接続される。PLC側伝送端子143は、PLC170との入出力を行うためのインタフェースである。第1の実施形態においては、PLC側伝送端子143は、ネットワークハブ150に接続されたケーブルが差し込まれる。
【0014】
図3は、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130のレジスタ133の区画を表す図である。レジスタ133の記憶領域は、予め入力区画D1、出力区画D2、履歴区画D3、操作区画D4、状態区画D5の少なくとも5つの区画に分けられる。入力区画D1は、HID110から入力されるデータが記録される区画である。出力区画D2は、HID110へ出力されるデータが記録される区画である。履歴区画D3は、HID110からの操作の履歴が記録される区画である。操作区画D4は、PLC170に出力する操作信号が示す指令値が記録される区画である。状態区画D5は、PLC170から入力される対象装置2の状態を示す状態値が記録される区画である。
【0015】
操作区画D4及び状態区画D5の各番地に格納される項目は、PLC170の設計によって定められる。なお、PLC170の設計時に、想定される項目を予め洗い出し、実際に使用するか否かによらず、全ての項目を操作区画D4及び状態区画D5の番地に対応付けておく。入力区画D1及び出力区画D2の各番地に格納される項目は、HID110の種類及び設計によって定められる。
【0016】
プロセッサ131は、プログラムをストレージ135から読み出して、当該プログラムに従って所定の処理を実行する。ストレージ135には、プロセッサ131をリモートI/O装置130として機能させるための基本プログラムと、入出力の制御を行う中継プログラムとが記録される。
【0017】
基本プログラムは、リモートI/O装置130の出荷時に予めストレージ135に記録されている。中継プログラムは、監視制御盤1の製造時にエンジニアによって作成され、ストレージ135に記録される。中継プログラムには、HID110との入出力がDIO端子137、タッチパネル端子139、HID側伝送端子141の何れを介してなされるか、入力区画D1の番地と操作区画D4の番地との対応関係、及び状態区画D5の番地と出力区画D2の番地との対応関係が規定される。上述の通り、操作区画D4及び状態区画D5の各番地に格納される項目は、PLC170の設計によって定められ、入力区画D1及び出力区画D2の各番地に格納される項目は、HID110の種類及び設計によって定められるため、エンジニアは、PLC170の仕様書と、HID110の仕様書とに基づいて、中継プログラムを作成する。
【0018】
図4は、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。リモートI/O装置130は、ストレージ135に記録された基本プログラムを実行することで、プログラム解析部311、デジタル入力部312、タッチパネル入力部313、伝送入力部314、指令値記録部315、伝送部316、状態値読取部317、デジタル出力部318、タッチパネル出力部319、伝送出力部320、履歴記録部321を備える。
【0019】
プログラム解析部311は、ストレージ135から中継プログラムを読み出し、中継プログラムを解析する。つまり、プログラム解析部311は、HID110との入出力がDIO端子137、タッチパネル端子139、HID側伝送端子141の何れを介してなされるか、入力区画D1の番地と操作区画D4の番地との対応関係、及び状態区画D5の番地と出力区画D2の番地との対応関係を特定する。
【0020】
デジタル入力部312は、DIO端子137を介して入力されたデジタル信号を解析し、レジスタ133の入力区画D1のうち、デジタル信号が入力された端子番号に対応する番地に、デジタル信号が示す値を記録する。タッチパネル入力部313は、タッチパネル端子139を介して入力されたレジスタ133の更新指示に従って入力区画D1の値を書き換える。伝送入力部314は、レジスタ133の入力区画D1の値を、HID側伝送端子141を介して伝送されたデータで上書きする。指令値記録部315は、プログラム解析部311が特定した入力区画D1の番地と操作区画D4の番地との対応関係に基づいて、入力区画D1に記録された値を操作区画D4に記録する。
【0021】
伝送部316は、レジスタ133の操作区画D4に格納されたデータを、PLC側伝送端子143を介してネットワークハブ150に送信する。伝送部316は、ネットワークハブ150からPLC側伝送端子143を介して伝送されたデータを、レジスタ133の状態区画D5に記録する。
【0022】
状態値読取部317は、プログラム解析部311が特定した状態区画D5の番地と出力区画D2の番地との対応関係に基づいて、状態区画D5に記録された値を出力区画D2に記録する。デジタル出力部318は、レジスタ133の出力区画D2の各番地に格納された値を示すデジタル信号を、当該番地に対応する端子番号のDIO端子137から出力する。タッチパネル出力部319は、レジスタ133の出力区画D2に格納されたデータを、タッチパネル端子139を介してHID110に出力する。伝送出力部320は、レジスタ133の出力区画D2に格納されたデータを、HID側伝送端子141を介してHID110に出力する。
【0023】
履歴記録部321は、リモートI/O装置130が信号を受信した時刻と、当該信号が示す操作内容とを関連付けてレジスタ133に記録する。
【0024】
図5は、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130の動作を示すフローチャートである。リモートI/O装置130のストレージ135にエンジニアが作成した中継プログラムが記録され、リモートI/O装置130が起動されると、リモートI/O装置130は、以下の処理を実行する。
【0025】
プログラム解析部311は、ストレージ135から中継プログラムを読み出し、HID110との入出力がDIO端子137、タッチパネル端子139、HID側伝送端子141の何れを介してなされるかを特定する(ステップS1)。プログラム解析部311は、ステップS1で特定した入出力に用いられる端子の種別に従って、デジタル入力部312、タッチパネル入力部313及び伝送入力部314の何れか1つに、HID110からの信号の入力処理を実行させる(ステップS2)。例えば、デジタル入力部312、タッチパネル入力部313及び伝送入力部314は、それぞれプログラムモジュールとして予め基本プログラムに格納されており、プログラム解析部311は、入力処理を実行するプログラムモジュールの指定を行う。これにより、HID110から入力されたデータが入力区画D1に格納される。
【0026】
次に、プログラム解析部311は、中継プログラムにおいて規定される入力区画D1の番地と操作区画D4の番地との対応関係を特定する(ステップS3)。指令値記録部315は、ステップS3で特定された対応関係に従って、入力区画D1に記録された値を操作区画D4に記録する(ステップS4)。伝送部316は、操作区画D4に格納されたデータを、PLC側伝送端子143を介してネットワークハブ150に伝送する(ステップS5)。また、履歴記録部321は、ステップS2で入力された信号の値に基づいて操作の内容を特定し、当該操作の内容と信号の受信時刻とを関連付けて履歴区画D3に記録する(ステップS6)。履歴記録部321は、履歴区画D3のデータ容量がない場合、履歴区画D3のうち最も古いデータが記録されている番地に、データを上書きする。
【0027】
伝送部316によって伝送されたデータは、ネットワークハブ150を介して複数のPLC170に入力される。PLC170は、受信したデータをPLC170のレジスタに格納し、データが格納された番地に応じて対象装置2を操作する。PLC170は、操作実行後の対象装置2から状態信号を読み取り、PLC170のレジスタに格納する。なお、監視制御盤1において、複数のPLC170がそれぞれ処理を実行してもよいし、複数のPLC170のうちの1つのみが処理を実行してもよい。
【0028】
伝送部316は、ネットワークハブ150を介してPLC170からレジスタに格納されたデータを受信し、状態区画D5に記録する(ステップS7)。プログラム解析部311は、中継プログラムにおいて規定される状態区画D5の番地と出力区画D2の番地との対応関係を特定する(ステップS8)。状態値読取部317は、ステップS8で特定された対応関係に従って、状態区画D5に記録された値を出力区画D2に記録する(ステップS9)。
【0029】
次に、プログラム解析部311は、ステップS1で特定した入出力に用いる端子の種別に従って、デジタル出力部318、タッチパネル出力部319及び伝送出力部320の何れか1つに、HID110への信号の出力処理を実行させる(ステップS10)。これにより、HID110はリモートI/O装置130からデータを取得し、対象装置2及びPLC170の状態を表示することができる。
【0030】
このように、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、HID110から入力された対象装置2の操作に係る信号に基づいて、レジスタ133の操作区画D4のうち入力端子に対応する番地の値を書き換え、操作区画D4の値をPLC170に伝送する。これにより、HID110の出力の規定と、PLC170の入力の規定とをリモートI/O装置130によって吸収させることができる。したがって、エンジニアは、PLC170の設計においてHID110の種類及び仕様を意識する必要がなく、HID110及びPLC170の決定後にリモートI/O装置130の中継プログラムにおいて操作信号の意味ごとに、当該操作信号を入力する入力端子と値を記録する操作区画との対応関係を規定することで、監視制御盤1を作成することができる。このように、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、監視制御盤の実装効率を高めることができる。
【0031】
また、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、予め入力手段別にデータを取得するためのプログラム(デジタル入力部312、タッチパネル入力部313及び伝送入力部314)を用意しておき、中継プログラムにおいていずれの入力手段を用いるかを指定する。これにより、エンジニアは、中継プログラムの作成において、入力手段に対応する具体的なデータの取得方法を中継プログラムに記述する必要がない。このように、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、監視制御盤の実装効率を高めることができる。
【0032】
また、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、PLC170から伝送された状態値をレジスタ133の状態区画D5に書き込み、状態区画D5の各番地に対応するようにHID110に状態信号を出力する。これにより、HID110の入力の規定と、PLC170の出力の規定とをリモートI/O装置130によって吸収させることができる。したがって、エンジニアは、PLC170の設計においてHID110の種類及び仕様を意識する必要がなく、HID110及びPLC170の決定後にリモートI/O装置130の中継プログラムにおいて状態信号と状態区画との対応関係を規定することで、監視制御盤1を作成することができる。このように、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、監視制御盤の実装効率を高めることができる。
【0033】
また、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、予め出力手段別にデータを出力するためのプログラム(デジタル出力部318、タッチパネル出力部319及び伝送出力部320)を用意しておき、中継プログラムにおいていずれの出力手段を用いるかを指定する。これにより、エンジニアは、中継プログラムの作成において、出力手段に対応する具体的なデータの出力方法を中継プログラムに記述する必要がない。このように、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、監視制御盤の実装効率を高めることができる。
【0034】
また、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、入力された操作内容を、当該操作に係る信号の受信時刻に関連付けてレジスタ133に記録する。これにより、冗長の構成のために複数のPLC170を備える場合にも、リモートI/O装置130において一括して操作内容の履歴を管理することができる。当該履歴は、監視制御盤1の異常発生時に解析データとして活用することができる。
【0035】
また、第1の実施形態に係る監視制御盤1のように、複数のPLC170を備える場合に、監視制御盤1にリモートI/O装置130を設けることで、複数のPLC170それぞれにデータの入出力の規定をプログラムする必要がなくなる。すなわち、第1の実施形態によれば、1つのリモートI/O装置130についてデータの入出力の規定を示す中継プログラムを記録させることで、複数のPLC170のソフトウェアを変更することなく監視制御盤1を実装することができる。
【0036】
なお、第1の実施形態に係るリモートI/O装置130は、DIO端子137から入力された信号が示す値を入力区画D1に記録した後に、操作区画D4へ記録するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るリモートI/O装置130のデジタル入力部312は、DIO端子137から入力された信号が示す値を、入力された端子番号に対応する操作区画D4の番地に直接書き込んでもよい。つまり、デジタル入力部312は、入力された信号の意味に対応する操作区画D4の番地に信号の値を直接書き込んでもよい。同様に、他の実施形態に係るリモートI/O装置130のデジタル出力部318は、状態区画D5に格納された値を、出力区画D2への記録を伴わずに、状態区画D5の番地に対応する端子番号のDIO端子137から直接出力してもよい。つまり、デジタル出力部318は、状態区画D5の番地に格納された値を、当該番地が示す意味を持つ信号を出力すべき出力端子から直接出力してもよい。
【0037】
また、第1の実施形態に係る監視制御盤1は、複数のPLC170を備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る監視制御盤1は、1つのPLC170を備えるものであってもよい。この場合、監視制御盤1は必ずしもネットワークハブ150を備えなくてもよい。
【0038】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、操作信号が示す指令値をレジスタに確保された操作区画のうち操作信号が入力された端子に対応する番地に記録する指令値記録部と、操作区画の値をPLCに送信する送信部とを持つことにより、監視制御盤の実装効率を高めることができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
1…監視制御盤 110…HID 130…リモートI/O装置 131…プロセッサ 133…レジスタ 135…ストレージ 137…DIO端子 139…タッチパネル端子 141…HID側伝送端子 143…PLC側伝送端子 150…ネットワークハブ 170…PLC 2…対象装置 311…プログラム解析部 312…デジタル入力部 313…タッチパネル入力部 314…伝送入力部 315…指令値記録部 316…伝送部 317…状態値読取部 318…デジタル出力部 319…タッチパネル出力部 320…伝送出力部 321…履歴記録部 D1…入力区画 D2…出力区画 D3…履歴区画 D4…操作区画 D5…状態区画