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特許7566653情報処理装置、監視処理方法、及び監視処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、監視処理方法、及び監視処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241007BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20241007BHJP
【FI】
G05B23/02 301Z
G05B23/02 301M
G05B23/02 301Q
G06F3/04817
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021016329
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119306
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】米元 亮馬
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-080354(JP,A)
【文献】特開2004-325937(JP,A)
【文献】特開2014-126922(JP,A)
【文献】特開2015-035009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象設備の稼働状況を示すデータを、サーバから定周期で受信するデータ受信部と、
前記データ受信部により受信された最新のデータに応じて、前記最新のデータを表す画面を表示させる画面表示部と、
前記画面表示部により前記画面が更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマーによって、前記定周期の間隔よりも長い時間で、初期状態から前記画面が更新されるまでの残り時間が無い状態を表すまでを、時間経過に伴って表示させるタイマー表示部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記タイマー表示部は、前記画面表示部により前記画面が更新されたタイミングで前記カウントダウンタイマーをリセットして、次に前記画面が更新されるまでの時間を表すように前記カウントダウンタイマーを表示させる、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ受信部は、複数の監視対象設備ごとに、異なる定周期でデータを受信し、
前記画面表示部は、1つの前記画面において、複数の監視対象設備ごとに前記サーバから異なる定周期で受信された最新のデータを表すように更新し、
前記タイマー表示部は、前記サーバから異なる定周期で受信されるデータ毎に、複数のカウントダウンタイマーを表示させる、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ受信部は、複数の監視対象設備ごとに、異なる定周期でデータを受信し、
前記画面表示部は、複数の監視対象設備のそれぞれに対応する前記画面ごとに、前記サーバから異なる定周期で受信された最新のデータを表すように前記画面を更新し、
前記タイマー表示部は、複数の監視対象設備のそれぞれに対応する前記画面ごとに、前記カウントダウンタイマーを表示させる、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
監視対象設備の稼働状況を示すデータを、サーバから定周期で受信し、
この受信された最新のデータに応じて、前記最新のデータを表す画面を表示させ、
前記画面が更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマーによって、前記定周期の間隔よりも長い時間で、初期状態から前記画面が更新されるまでの残り時間が無い状態を表すまでを、時間経過に伴って表示させる監視処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
監視対象設備の稼働状況を示すデータを、サーバから定周期で受信するデータ受信部と、
前記データ受信部により受信された最新のデータに応じて、前記最新のデータを表す画面を表示させる画面表示部と、
前記画面表示部により前記画面が更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマーによって、前記定周期の間隔よりも長い時間で、初期状態から前記画面が更新されるまでの残り時間が無い状態を表すまでを、時間経過に伴って表示させるタイマー表示部として機能させるための監視処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理装置において実行される監視処理方法及び監視処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや上下水道局、ダム等の監視制御システムでは、監視対象であるプラント内設備のセンサーから集めた情報はコントローラ等を介してサーバに蓄積される。蓄積されたデータの監視・操作は、サーバから情報を取得した監視端末などの情報処理装置で行われるのが一般的である。
【0003】
この中でも、監視端末において、サーバ内に記録された最新値を閲覧する機能はごく一般的に実装される機能のひとつである。この機能では、監視端末がサーバに蓄積されたデータを取得するために、監視端末が定周期でサーバの最新値をリクエストする方法や、サーバ側が定周期で自発的に監視端末に最新値を伝送する方法を採用する。(「サーバ内の最新値が変化したときだけ監視端末に伝送する」方法も考えられるが、最新値の変化が矢継ぎ早に発生することでサーバが高負荷になることや、画面に表示された各値の整合性が取れなくなることを危惧し、採用されないことが多い。)
サーバが最新値を伝送する周期は、サーバの負荷や伝送による遅延等を考慮して決定することが多いが、どのようなケースでも周期を縮める限界があり、その限界値は秒単位、分単位になる。
【0004】
ここで画面には、最後にサーバから伝送されてきた値が表示されるため、サーバに蓄積された最新値が今この瞬間に変化しても、画面に反映されるのは次の周期になる。そのため、監視端末を見ているユーザが実際のセンサーにより検出されたデータの変化に気づくまでには、最大1周期分のラグ(遅延)が発生することになる。このラグが十分に小さければ、監視の実業務上特に問題になることはなく、従来はこのラグに対する特別な対策が取られることは少なかった。
【0005】
しかし近年では、(1)従来よりも情報量の多い、大容量のデータを伝送するようになったこと、(2)クラウドの利用が進み、従来の閉鎖的なネットワークとは別に公共のネットワークを利用することが増えたこと等により、ネットワークが高負荷になる可能性が高くなった。
【0006】
これによりデータの保全性を保つために従来よりも伝送の周期を長くする必要が生じ、結果として、前述のラグが増大することになった。ラグが増大することで、以下のネガティブな影響がある。
【0007】
・画面に表示された値と実際のセンサーにより検出されたサーバ内の最新値とが乖離する可能性が高くなり、ユーザが表示値を実際の最新値と誤認したときの危険性が増す。
【0008】
・ユーザが実際の最新値を知りえる場合(例えば、ユーザが画面上の値を自身で設定し、この設定した値に対してサーバから応答されるデータにより画面が反映されるのを待つ場合)、画面への反映を待っている時間が増え、ユーザのストレスが増す。
【0009】
・何らかの異常により画面の更新が止まってしまったとき、そのことにユーザが気づくまでの時間が増え、発生したトラブルへの対応が遅れることで危険性が増す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2016-173807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、データの受信に遅延が発生してサーバ内に記録されたデータと画面に表示された値とに相違が生じた場合に、ユーザに誤った判断をさせたり、監視するユーザへの負担の増大を招いたりするおそれがあった。
【0012】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、データの受信に遅延が発生してサーバ内に記録されたデータと画面に表示された値に相違が生じたとしても、ユーザに対する影響を低減することができる情報処理装置、監視処理方法、及び監視処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態によれば、情報処理装置は、データ受信部、画面表示部、タイマー表示部を有する。データ受信部は、監視対象設備の稼働状況を示すデータを、サーバから定周期で受信する。画面表示部は、前記データ受信部により受信された最新のデータに応じて、前記最新のデータを表す画面を表示させる。タイマー表示部は、前記画面表示部により前記画面が更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマーによって、前記定周期の間隔よりも長い時間で、初期状態から前記画面が更新されるまでの残り時間が無い状態を表すまでを、時間経過に伴って表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の監視制御システムの構成の概略を示すブロック図。
図2】本実施形態におけるサーバステーションの構成を示すブロック図。
図3】本実施形態における情報処理装置の構成を示すブロック図。
図4図4は、本実施形態の情報処理装置における監視処理プログラムにより実現される機能構成を示すブロック図。
図5】本実施形態における情報処理装置による監視処理を説明するためのフローチャート。
図6】本実施形態における情報処理装置によるカウントダウンタイマー表示処理を説明するためのフローチャート。
図7】本実施形態における情報処理装置の表示装置に表示される監視画面の一例を示す図。
図8】本実施形態におけるサーバステーションに対するデータリクエストのタイミングと、監視画面を更新する表示タイミング、カウントダウンタイマーの表示タイミングの関係を示す図。
図9】本実施形態におけるカウントダウンタイマーの表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本実施形態の監視制御システム1の構成の概略を示すブロック図である。監視制御システム1は、例えば、上下水道施設等の施設の稼働状況を監視するためのシステムである。監視制御システム1は、上下水道施設等の監視対象設備2と広域ネットワーク等を介して接続され、監視対象設備2から設備の稼働状況を示すデータを収集する。例えば監視制御システム1は、稼働状況を示すデータとして、上下水道施設の水系統における、例えば水量、水位、圧力、水温、濁度、焼却処理から排出する汚泥量、水処理で使用する薬品の注入量、水系統中の各所における圧力等についての計測データ、さらにはポンプ等の設備の運転状況を示すデータなどを収集する。監視制御システム1は、サーバステーション10において監視対象設備2から監視対象とするデータを継続的に時系列データとして受信して、ファイリングデータとして記録する。
【0017】
サーバステーション10は、監視対象設備2からデータを収集するだけでなく、複数の監視対象設備2からデータを収集して記録する、例えばデータセンターを通じてデータを収集することもできる。
【0018】
なお、監視制御システム1は、監視対象として上下水道施設に限定されるものではなく、ビルやダムなど、その他の各種の設備を対象とすることができる。監視制御システム1は、各種の設備に応じた監視対象についてのデータを収集することで、設備の監視のための処理を実行する。
【0019】
図1に示すように、監視制御システム1は、サーバステーション10、複数の情報処理装置12(12-1,12-2,…,12-N)を有する。サーバステーション10と情報処理装置12は、インターネットや公衆電話網などを含む公共のネットワーク、LAN(Local Area Network)等のネットワーク14を介して接続されている。なお、監視制御システム1には、情報処理装置12の他に、施設監視のための各種の電子機器(Webサーバ、プリンタ、帳票端末、無線通信装置、マルチモニタなど)が設けられるが説明を省略する。
【0020】
情報処理装置12は、サーバステーション10に記録されたファイリングデータを監視・操作するための監視端末として使用される。情報処理装置12は、サーバステーション10に記録されたデータの最新値を閲覧する機能が実装される。情報処理装置12は、サーバステーション10に蓄積された最新のデータを受信するために、例えば、サーバステーション10に対して定周期で最新値のデータをリクエストする方法、サーバ側から定周期で自発的に送信されるデータを受信する方法を使用することができる。以下の説明では、情報処理装置12からサーバステーション10に対して、監視対象とする監視対象設備2のそれぞれに設定された定周期に応じて、最新値のデータをリクエストするものとして説明する。
【0021】
図2は、本実施形態におけるサーバステーション10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、サーバステーション10は、CPU10A、メモリ10B、通信装置10C、記憶装置10Dを有する。
【0022】
CPU10Aは、ROM、RAM等からなるメモリ10Bにアクセスし、メモリ10Bにロードされるプログラムを実行することで各種機能を実現し、サーバステーション10を制御する。
【0023】
メモリ10Bは、例えば、ROM、又はRAMなどで構成される。ROMは、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶した不揮発性メモリである。RAMは、CPU10Aの演算処理を実行する際に生ずる各種データやコンピュータの動作に必要な制御プログラムを一時記憶する揮発性メモリである。
【0024】
メモリ10Bに記憶されるプログラムには、OS(Operating System)等の基本プログラムの他、監視対象設備2(データセンター)からデータを収集して、記憶装置10Dにファイリングデータ10Eとして記録する処理のためのプログラムを含む。
【0025】
通信装置10Cは、CPU10Aによる制御のもとで、広域ネットワーク等を介した監視対象設備2との通信、インターネットやLAN等のネットワーク14を介した情報処理装置12との通信を制御する。
【0026】
記憶装置10Dは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、可搬式記録メディア装置等であり、各種プログラムや各種機能により処理されたデータが記憶される。記憶装置10Dには、監視対象設備から収集された、複数の監視対象とする項目について計測された時系列データを含むファイリングデータ10Eが記憶される。ファイリングデータ10Eには、監視対象設備2から収集されるデータが、監視対象設備2の監視対象別に時系列的に追加記録される。
【0027】
図3は、本実施形態における情報処理装置12の構成を示すブロック図である。図3に示すように、情報処理装置12は、CPU12A、メモリ12B、通信装置12C、記憶装置12D、表示装置12K、入力装置12Lを有する。
【0028】
CPU12Aは、ROM、RAM等からなるメモリ12Bにアクセスし、メモリ12Bにロードされるプログラムを実行することで各種機能を実現し、情報処理装置12を制御する。
【0029】
メモリ12Bは、例えば、ROM、又はRAMなどで構成される。ROMは、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶した不揮発性メモリである。RAMは、CPU12Aの演算処理を実行する際に生ずる各種データやコンピュータの動作に必要な制御プログラムを一時記憶する揮発性メモリである。
【0030】
メモリ12Bに記憶されるプログラムには、OS等の基本プログラムの他、サーバステーション10に記録されたデータを受信し、最新のデータに応じて、最新のデータを表す監視画面を表示させる監視処理プログラムが含まれる。CPU12Aにより監視処理プログラムが実行されることで、監視処理機能が実現される。また、メモリ12Bに記憶されるデータには、監視処理プログラムによる処理対象となる、後述するトレンドデータなどが一時的に記憶される。
【0031】
通信装置12Cは、CPU12Aによる制御のもとで、インターネットやLAN等のネットワーク14を介したサーバステーション10及び他の情報処理装置12との通信を制御する。
【0032】
記憶装置12Dは、HDD、SSD、可搬式記録メディア装置(外部メディア)等であり、各種プログラムや各種機能により処理されたデータが記憶される。記憶装置14Dに記憶されるプログラムには、基本プログラムの他、施設監視のために監視対象設備2から収集されたデータをサーバステーション10から受信し、このデータをもとに監視画面を表示させる監視処理プログラム12Eが含まれる。また、監視処理プログラム12Eには、カウントダウンタイマー表示プログラム12Hが含まれる。カウントダウンタイマー表示プログラム12Hは、サーバステーション10から受信された最新のデータに応じて、監視画面が更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマーを、表示装置12Kの監視画面表示させるためのプログラムである。カウントダウンタイマーは、サーバステーション10に蓄積された最新のデータを受信するために設定された定周期の間隔に基づいて表示される。
【0033】
また、記憶装置12Dに記憶されるデータには、監視処理プログラム12Eにより処理対象となるトレンドデータ12Fが含まれる。トレンドデータ12Fは、サーバステーション10に記憶された複数の監視対象とする項目について計測された時系列データを含むファイリングデータ10Eから、監視処理プログラム12Eにより表示される最新値として受信されたデータである。
【0034】
表示装置12Kは、CPU12Aの制御により各種の情報を表示する。表示装置12Kには、監視処理プログラム12Eによる監視処理により、サーバステーション10から受信された、最新値を示すデータの内容を表す監視画面が表示される。本実施形態における情報処理装置12では、監視画面において、監視画面が最新値を示すデータに応じて更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマーが表示される。
【0035】
入力装置12Lは、情報処理装置12の使用者により操作されるもので、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス(マウス等)などを含む。入力装置12Lは、情報処理装置12の動作制御のための指示入力、各種設定のためのデータ入力などのために操作される。
【0036】
図4は、本実施形態の情報処理装置12における監視処理プログラム12E(カウントダウンタイマー表示プログラム12H)により実現される機能構成を示すブロック図である。
【0037】
図4に示すように、CPU12Aは、メモリ12Bに格納された監視処理プログラム12Eを実行することにより、データ受信部212E、画面表示部312Eの機能を実現する。また、CPU12Aは、メモリ12Bに格納されたカウントダウンタイマー表示プログラム12Hを実行することにより、カウントダウンタイマー表示部112Hを実現する。
【0038】
データ受信部212Eは、監視対象設備の稼働状況を示す最新のデータを、サーバステーション10から通信装置12Cを通じて定周期で受信し、記憶装置12Dにトレンドデータ12Fとして記憶させる。
【0039】
画面表示部312Eは、データ受信部212Eにより受信された最新のデータ(トレンドデータ12F)に応じて、最新のデータを表す監視画面を表示装置12Kに表示させる。
【0040】
カウントダウンタイマー表示部112Hは、画面表示部312Eにより監視画面が更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマーを、データ受信部212Eが最新のデータを受信する定周期の間隔に基づいて表示させる。
【0041】
次に、本実施形態における情報処理装置12の動作について説明する。
【0042】
図5は、本実施形態における情報処理装置12による監視処理を説明するためのフローチャートである。図6は、本実施形態における情報処理装置12によるカウントダウンタイマー表示処理を説明するためのフローチャートである。図7は、本実施形態における情報処理装置12の表示装置12Kに表示される監視画面20の一例を示す図である。
【0043】
情報処理装置12のCPU12Aは、監視処理プログラム12Eを実行することにより監視処理機能を実現する。
【0044】
監視処理において、CPU12A(画面表示部312E)は、例えば、入力装置12Lに対するユーザの操作により、監視対象とする監視対象設備2が指定されると(ステップA1)、指定された監視対象設備2に対応する監視画面を表示装置12Kに表示させる(ステップA2)。
【0045】
図7には、表示装置12Kに表示される監視画面20の一例を示している。図7に示す監視画面20は、監視対象設備2として「○○受水場水系統」が指定された例を示している。
【0046】
監視画面20には、例えば、監視対象として指定された「○○受水場水系統」の水系統を表す施設構成図22と共に、施設構成図22が示す水系統の各所においてセンサ等によって検出されたデータの内容、例えば系統中の各所の水量、水位、圧力、水温、濁度、pHを示す数値が表示される。ユーザは、監視画面20に表示された各数値を確認することで、監視対象設備2の状況を把握することができる。
【0047】
また、CPU12A(カウントダウンタイマー表示部112H)は、カウントダウンタイマー表示プログラム12Hを実行することで、監視画面20にカウントダウンタイマー30を表示させる。図7に示す例では、監視画面20の左下隅にカウントダウンタイマー30を配置した例を示している。
【0048】
なお、カウントダウンタイマー30の配置場所は、監視画面20の何れの場所でも構わない。ただし、例えば、監視対象とする監視対象設備2が変更され、施設構成図22が変更された場合であっても、カウントダウンタイマー30を監視画面20において容易に認識できるように、固定された場所に配置されることが望ましい。
【0049】
CPU10Aは、サーバステーション10に蓄積された、監視対象設備2において検出されたデータを受信するために、サーバステーション10に対して予め設定された定周期で最新値のデータの送信をリクエストする(ステップA3)。
【0050】
定周期の間隔は、監視画面20において表示対象となる監視対象設備2ごとに、サーバステーション10の負荷やネットワーク14のデータ伝送状況の影響による遅延等を考慮して決定される。監視対象設備2は、設備の稼働状況を示すデータのデータ量、すなわち監視画面20において計測値等が表示される監視対象の点数の数が異なる。従って、通常では、監視対象設備2における監視対象の数が多いほど、データリクエストからデータが受信するまでに要する時間が長くなるので定周期の間隔が大きくなる。さらに、データリクエストからサーバステーション10からデータが受信されるまでの時間に、予め想定される遅延分の時間を加えた時間を含むように定周期の間隔が決められる。
【0051】
図8は、本実施形態におけるサーバステーション10に対するデータリクエストのタイミングと、監視画面20を更新する表示タイミング、カウントダウンタイマーの表示タイミングの関係を示す図である。
【0052】
図8の(A)に示すように、データリクエストのタイミング(R0,R1,R2,…)が定周期で設定されている。
【0053】
サーバステーション10からのデータの受信に大きな遅延が生じていない場合、CPU10Aは、定周期でサーバステーション10に対してデータリクエストを送信する。サーバステーション10は、情報処理装置12からのデータリクエストに応じて、監視対象設備2から収集した最新値を示すデータを情報処理装置12に送信する。
【0054】
CPU12A(データ受信部212E)は、通信装置12Cを通じてサーバステーション10から最新値を示すデータを受信する。CPU12A(画面表示部312E)は、最新値を示すデータが受信されると(ステップA4、YES)、最新値のデータを表すように監視画面20を表示させる(ステップA5)。すなわち、施設構成図22が示す系統中の各所の水量、水位、圧力、水温、濁度、pHなどを示す数値を更新する。
【0055】
その後、監視対象設備2に応じて予め決められた定周期に到達すると(ステップA6、YES)、CPU10Aは、前述と同様にして、サーバステーション10に対して、最新値のデータの送信をリクエストする(ステップA3)。そして、データリクエストに対して、サーバステーション10から最新値のデータが受信されると、CPU10A(画面表示部312A)は、この受信された最新値のデータに応じて監視画面20を更新する(ステップA5)。
【0056】
ここで、図8のタイミング(R0)のデータリクエストによって、監視画面20の表示が更新されたタイミングをT11とする。
【0057】
図8(B1)は、サーバステーション10からのデータの受信に大きな遅延が生じていない場合(正常時)の監視画面20を更新する表示タイミングを示している。図8(B1)に示すように、正常時には、定周期のタイミングR0,R1,R2,…のデータリクエストによって、それぞれ最新値のデータを受信し、タイミングT11,T12,T13,…において監視画面20が更新される。
【0058】
一方、CPU12A(カウントダウンタイマー表示部112H)は、監視処理による最新のデータに応じた監視画面20の更新に合わせて、カウントダウンタイマー表示処理によってカウントダウンタイマー30の表示を制御する。
【0059】
すなわち、CPU12Aは、サーバステーション10からの最新値を示すデータの受信に応じて監視画面20を更新すると(ステップS1、YES)、監視画面20に表示するカウントダウンタイマー30をリセットし、初期状態を表す表示形態に更新する(ステップS2)。
【0060】
CPU12Aは、監視処理を実行している間、カウントダウンタイマー30の表示形態を変更するタイミングを判断する規定時間が経過したことが判別されると(ステップS3。YES)、残り時間「0」を表すカウントダウンタイマー30の最終状態に表示形態が変更されていなければ(ステップS4。NO)、経過した規定時間に応じた表示形態にカウントダウンタイマー30を更新する(ステップS5)。
【0061】
図9(A)は、本実施形態におけるカウントダウンタイマー30の表示例を示している。図9(A)に示すカウントダウンタイマー30は、円形状に形成された表示形態の一例を示している。図9(A)において、左側は初期状態の表示形態を示し、中央は時間経過に応じて扇状の範囲が拡大するように変更された表示形態を示し、右側は最終状態の表示形態を示している。
【0062】
CPU12Aは、カウントダウンタイマー表示処理において、正常時に監視画面20が更新される周期に合わせて、時間経過に伴って表示形態を変更させる。すなわち、図8(B2)に示すように、監視画面20が更新されるタイミングT11~T12,T12~T13,T13~T14,…の間で、それぞれ初期状態から最終状態の表示形態に変更するように、カウントダウンタイマー30の表示形態を時間経過に伴って変更する。
【0063】
従って、例えば、監視画面20の表示が更新されたタイミングT11において、カウントダウンタイマー30を初期状態にリセットした後、次の監視画面20の表示更新されるタイミングT12において、カウントダウンタイマー30が最終状態となるように、規定時間が経過する毎にカウントダウンタイマー30の表示形態を変更していく。
【0064】
従って、ユーザは、監視画面20に表示されたカウントダウンタイマー30を確認することで、次に監視画面20が更新されるタイミングを把握することができる。実際には、データリクエスト毎にサーバステーション10からのデータの受信に要する時間が変動しうるが、大きな遅延などの変動がなければ、カウントダウンタイマー30が最終状態になるタイミングの前後で監視画面20が更新されることになる。
【0065】
なお、規定時間の経過に伴うカウントダウンタイマー30の表示形態の変更は、例えば4段階に変更するなど変更回数を少なくても良いし、連続的に変更するなどしても良い。4段階に変更する場合、例えば図9(A)に示すカウントダウンタイマー30の例では、円形状の90°の範囲毎に変更させる。また、連続的に変更する場合には、例えば図9(A)に示すカウントダウンタイマー30の例では、円形状を360分割した範囲毎に変更させる。
【0066】
図8(C1)は、サーバステーション10からのデータ受信に遅延が生じている場合の監視画面20の更新の表示タイミングを示している。
【0067】
図8(C1)に示す例では、定周期のタイミングR0,R1,R2,…のデータリクエストによって、それぞれ最新値のデータを受信する際に、データを受信して監視画面20を更新するタイミングT21,T22,T23,…に遅延が増大している状態を示している。
【0068】
前述したように、CPU12Aは、サーバステーション10からの最新値を示すデータの受信に応じて監視画面20を更新し(ステップS1、YES)、このタイミングで監視画面20に表示するカウントダウンタイマー30をリセットする(ステップS2)。
【0069】
カウントダウンタイマー30を初期状態から最終状態の表示形態に変更する時間が、図8(B2)に示す表示タイミングと同じ場合には、図8(C2)に示すように、データの受信の遅延が前回より増大した分、カウントダウンタイマー30を最終状態の表示形態に変更してから監視画面20の表示が更新される。
【0070】
しかし、前回の監視画面20の更新のタイミングでカウントダウンタイマー30がリセットされていることから、カウントダウンタイマー30を最終状態の表示形態に変更するタイミングと、最新値のデータに応じて監視画面20が更新されるタイミングに大きなズレが生じない。従って、ユーザは、カウントダウンタイマー30によって、監視画面20が更新されるまでのおおよその時間を認識できる。
【0071】
また、遅延が定常状態となった場合には、図8(B1)(B2)に示す場合と同様にして、監視画面20が更新されるタイミングとほぼ同じタイミングで、カウントダウンタイマー30が最終状態の表示形態に変更される。従って、ユーザは、監視画面20に表示されたカウントダウンタイマー30を確認することで、次に監視画面20が更新されるタイミングを把握することができる。
【0072】
また、前述し説明では、図8(B2)に示すように、正常時に監視画面20が更新されるタイミングに合わせて、カウントダウンタイマー30が最終状態の表示形態に変更されるようにしているが、図8(C1)に示すように、遅延が増大している間においても、監視画面20が更新される前にカウントダウンタイマー30が最終状態の表示形態に変更されないようにしても良い。
【0073】
すなわち、CPU12Aは、カウントダウンタイマー表示処理において、正常時に監視画面20が更新される周期の時間に、想定される遅延時間を加えた時間に合わせて、時間経過に伴ってカウントダウンタイマー30の表示形態を変更させる。この場合、遅延時間を加えた時間が経過したタイミングで、カウントダウンタイマー30が最終状態の表示形態に変更される。従って、正常時よりも遅延が生じたとしても、監視画面20が更新される前にカウントダウンタイマー30が最終状態にならない。従って、カウントダウンタイマー30が最終状態になっても監視画面20が更新されないことによるストレスをユーザに与えることがない。また、カウントダウンタイマー30が最終状態になる前に監視画面20に更新されたとしても、ユーザが想定しているタイミングよりも早く監視画面20が更新されたことになるので、ユーザが不快に感じることもない。
【0074】
図9(B)(C)には、カウントダウンタイマー30の別の表示形態の一例を示している。
【0075】
図9(B)は、カウントダウンタイマー30を、砂時計を表すデザインにより示す例である。図9(B)において、左側は初期状態の表示形態を示し、中央は時間経過に応じて上部の砂が下部に落ちていることを表すように変更された表示形態を示し、右側は最終状態の表示形態を示している。
【0076】
図9(C)は、カウントダウンタイマー30を棒グラフで表すと共に、数字によって最終状態までの残り時間(初期状態から最終状態までの時間割合)を示す例である。図9(C)において、上は初期状態から最終状態までの全体の時間のうち30%が経過し、残りが70%であることを示す表示形態であり、下は全体の時間のうち70%が経過し、残りが30%であることを示す表示形態を示している。図9(C)に示す例では、カウントダウンタイマー30を表す図形と共に数値によって経過を示すので、ユーザに経過時間(残り時間)を明確に認識させることができる。
【0077】
なお、カウントダウンタイマー30は、前述した図9(A)(B)(C)に示す表示形態以外であっても良い。
【0078】
また、カウントダウンタイマー30は、表示形態が時間経過に伴って変更されるだけでなく、例えば、カウントダウンタイマー30を点滅させたり、表示色を変更させたりするなど、別の表示形態の変更によって最終状態までの時間をユーザに認識させるようにしても良い。
【0079】
さらに、前述した説明では、監視画面20において1つのカウントダウンタイマー30を表示しているが、複数のカウントダウンタイマー30を表示するようにしても良い。
【0080】
例えば、1つの監視画面20において、2つの監視対象設備2の系統を同時に表示させる場合に、それぞれの系統に対応する2つのカウントダウンタイマー30を表示させる。この場合、2つの監視対象設備2の系統から収集されたデータは、サーバステーション10からそれぞれ異なる定周期で受信されるものとする。CPU12Aは、2つの系統のそれぞれに対応する異なる定周期で受信されるデータ毎に、監視画面20に表示された各系統の数値を更新すると共に、前述と同様にして、2つのカウントダウンタイマーを表示させる。
【0081】
また、2つの監視対象設備2の系統を、それぞれ異なる監視画面20において表示させて、監視画面20ごとに異なる定周期に基づいて更新されるカウントダウンタイマー30を表示させるようにしても良い。例えば、第1の監視対象設備2の系統には監視対象が200点あり、第2の監視対象設備2の系統には監視対象が1000点ある場合に、第1の監視対象設備2については10秒周期でデータを受信し、第2の監視対象設備2の系統については、第1の監視対象設備2よりも点数が多いために1分周期でデータを受信するものとする。この場合、CPU12Aは、第1の監視対象設備2の系統を監視画面20において表示させる場合には、10秒周期に基づいて更新されるカウントダウンタイマー30を表示させる。また、CPU12Aは、第2の監視対象設備2の系統を監視画面20において表示させる場合には、1分周期に基づいて更新されるカウントダウンタイマーを表示させる。
【0082】
これにより、2つの系統の監視対象設備2について、それぞれ最新値のデータに応じて監視画面20が更新されるタイミングを、カウントダウンタイマー30の表示によって認識することができる。
【0083】
本実施形態における情報処理装置12では、データの保全性を保つため、あるいは受信するデータが大きいために、サーバステーション10からデータを受信する定周期が長くなり、監視画面20に表示された値とサーバステーション10に記録された最新値のデータとが乖離する可能性が高くなったとしても、監視画面20にカウントダウンタイマー30を表示させることで、ユーザが監視画面20の表示値を実際の最新値と誤認しにくくすることができる。
【0084】
また、ユーザが監視画面20の値を自身で設定し、この設定した値に対してサーバステーション10から応答されるデータにより監視画面20が反映されるのを待つ場合に、カウントダウンタイマー30によって更新されるまでの時間をユーザに認識させることができるので、ユーザにストレスを与えなくて済む。従って、監視画面20に値を設定した後、ユーザが最新値を直ぐに表示させようと躍起になって、監視画面(例えばブラウザ)の更新ボタンを連続して押すことで、サーバステーション10に過度の負荷を与えるといった状況も防止することができる。
【0085】
また、何らかの異常により監視画面20の更新が止まってしまった場合に、カウントダウンタイマー30が最終状態になった後、十分な時間が経過しても監視画面20が更新されないことを確認することで、容易に異常が発生したことを判断できるので、ユーザが異常の発生に気づくまでの時間を短縮し、発生した異常への対応を速やかに実施することができる。
【0086】
このようにして、監視画面20が更新されるまでの時間を表すカウントダウンタイマー30を表示させることで、情報処理装置12が最新値のデータをサーバステーション10から取得するまでに遅延が発生する状況であっても、ユーザに誤った判断をさせたり、監視するユーザへの負担の増大を招いたりすることがない。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0088】
また、前述した実施の形態において記載した処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に提供することができる。また、通信媒体により伝送して各種装置に提供することも可能である。コンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、または通信媒体を介してプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【符号の説明】
【0089】
1…監視制御システム、2…監視対象設備、10…サーバステーション、10A…CPU、10B…メモリ、10C…通信装置、10D…記憶装置、12(12-1,12-2,12-N)…情報処理装置、12A…CPU、12B…メモリ、12C…通信装置、12D…記憶装置、12E…監視処理プログラム、12F…トレンドデータ、12H…カウントダウンタイマー表示プログラム、12K…表示装置、12L…入力装置、14…ネットワーク、30…カウントダウンタイマー。
図1
図2
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図9