(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コンテナ保持システムおよびコンテナ保持装置
(51)【国際特許分類】
B60P 7/13 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
B60P7/13
(21)【出願番号】P 2021019573
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2020067327
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594016768
【氏名又は名称】オールセーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】カバサル マーク デイヴィッド ファビアン
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-347510(JP,A)
【文献】実開昭63-150840(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、
前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、
前記コンテナ保持装置は、
前記梁部材
の長手方向の任意の位置に取付けられる取付部と、
前記取付部に対して車両前後方向に移動可能
であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、
前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、
前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、
を有するコンテナ保持システム。
【請求項2】
荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、
前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、
前記コンテナ保持装置は、
取付部と、
前記取付部を前記梁部材に対して前記梁部材の長手方向に移動可能に支持するスライド機構と、
前記取付部に対して車両前後方向に移動可能
であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、
前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、
前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、
を有するコンテナ保持システム。
【請求項3】
前記調整機構は、トグル固定装置を有する、請求項1又は2に記載のコンテナ保持システム。
【請求項4】
荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、
前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、
前記コンテナ保持装置は、
取付部と、
前記取付部を前記梁部材に対して前記梁部材の長手方向に移動可能に支持するスライド機構と、
前記取付部に対して車両前後方向に移動可能に取付けられた押付け部材と、
前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、
を有
し、
前記梁部材における前記取付部との接触面には、前記長手方向に延びる複数の凹凸が形成され、
前記梁部材の前記接触面と接触する前記取付部の取付部側接触面には、前記長手方向に延び、前記複数の凹凸と相補的な形状を有する複数の凹凸が形成され、
前記接触面の前記凹凸と前記取付部側接触面の前記凹凸とが係合している状態で、前記スライド機構によって前記取付部は前記梁部材に対して前記長手方向に移動可能である、コンテナ保持システム。
【請求項5】
荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、
前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、
前記コンテナ保持装置は、
前記梁部材に取付けられる取付部と、
前記取付部に対して車両前後方向に移動可能に取付けられた押付け部材と、
前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、
を有し、
前記取付部は、
前記梁部材における車両後側の面および上面の少なくとも一方に接触する第1部材と、
前記第1部材に前記車両前後方向に揺動可能に連結され、前記梁部材における車両前側の面および下面の少なくとも一方に接触する第2部材と、
前記第2部材の前記第1部材から離れる方向の揺動を所定の揺動位置でロックするロック部材と
を有し、
前記第2部材を前記第1部材に近付く方向に揺動し、前記所定の揺動位置において前記ロック部材によって前記揺動をロックすると、前記第1部材と前記第2部材とによって前記梁部材が把持され、これにより前記取付部が前記梁部材に取付けられる、
コンテナ保持システム。
【請求項6】
前記第1部材における前記梁部材との接触面にはクッション部材が固定されている、請求項5に記載のコンテナ保持システム。
【請求項7】
前記突出
部は前記取付部に所定の揺動軸線周りに上下方向に揺動できる態様で取付けられている、請求項2に記載のコンテナ保持システム。
【請求項8】
前記押付け部材の少なくとも1つの面である第1の接触面を前記突出
部における少なくとも1つの面である第2の接触面に押付け、これにより前記突出
部に対し前記押付け部材を位置決めする位置決め機構を備え、
前記突出
部の下方への揺動が下方規制位置で規制されるように構成されており、
前記下方規制位置において、前記第1の接触面が押付けられている前記第2の接触面は前記車両前方に向かって斜め下方に延びている、請求項7に記載のコンテナ保持システム。
【請求項9】
前記調整機構は、前記突出
部に対する前記押付け部材の前記車両前後方向の位置を変更する駆動軸を備え、
前記突出
部の下方への揺動が下方規制位置で規制されるように構成されており、
前記下方規制位置において、前記駆動軸は前記車両前方に向かって斜め下方に延びている、請求項7に記載のコンテナ保持システム。
【請求項10】
前記接触
面は、前記突出
部が前記下方規制位置に配置されている状態で前記第1の接触面よりも下方に向かって延びており、これにより前記コンテナの前記車両後側の面に接触した時に前記突出
部に下方に向かって揺動する力が加わる、請求項8に記載のコンテナ保持システム。
【請求項11】
前記取付部は前記梁部材上で車両幅方向に移動できるものである、請求項1に記載のコンテナ保持システム。
【請求項12】
荷室に車両幅方向に延びるように配置される梁部材に取付けられるコンテナ保持装置であって、
前記梁部材は、少なくとも1つの面が、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を臨むように前記荷室に取付けられるものであり、
前記梁部材
の長手方向の任意の位置に取付けられる取付部と、
前記取付部に対して車両前後方向に移動可能
であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、
前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、
前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、を備えるコンテナ保持装置。
【請求項13】
前記突出部は前記取付部に上下方向に揺動可能に取付けられている、請求項12に記載のコンテナ保持装置。
【請求項14】
荷室に車両幅方向に延びるように配置される梁部材に取付けられるコンテナ保持装置であって、
前記梁部材は、少なくとも1つの面が、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を臨むように前記荷室に取付けられるものであり、
前記梁部材にその長手方向に移動可能に支持される取付部と、
前記取付部に対して車両前後方向に移動可能であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、
前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、
前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、を備えるコンテナ保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテナ保持システムおよびコンテナ保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪によって移動可能であるコンテナが知られている。例えば特許文献1および2を参照されたい。車両の荷室に載置されて運搬される時のコンテナの倒れ等を防止するために、このようなコンテナが、ロック機構によって互いに連結され、又は、フックによって荷室の一部に連結されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-35646号公報
【文献】実開平7-9646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンテナ内には、一例では、給食用の食材が収容物として収容される。このような収容物は、容器に液体が収容されたものを含む。上記構造では、コンテナを互いに連結しても、コンテナを荷室に対して動き易ければ、コンテナ内の収容物の破損、液漏れ等が発生し得る。また、コンテナをフックによって荷室の一部に連結する場合は、コンテナの寸法誤差、フックの寸法誤差、荷室におけるフック連結部の寸法誤差、これらの変形等によって、コンテナが荷室に対して動き易くなる場合がある。
【0005】
前述の事情に鑑み、荷室内にコンテナを安定して保持することができるコンテナ保持システムおよびコンテナ保持装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のコンテナ保持システムは、荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、前記コンテナ保持装置は、前記梁部材の長手方向の任意の位置に取付けられる取付部と、前記取付部に対して車両前後方向に移動可能であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様のコンテナ保持システムは、荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、前記コンテナ保持装置は、取付部と、前記取付部を前記梁部材に対して前記梁部材の長手方向に移動可能に支持するスライド機構と、前記取付部に対して車両前後方向に移動可能であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、を有する。
【0008】
本発明の第3の態様は、荷室に車両幅方向に延びるように配置される梁部材に取付けられるコンテナ保持装置であって、前記梁部材は、少なくとも1つの面が、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を臨むように前記荷室に取付けられるものであり、前記梁部材の長手方向の任意の位置に取付けられる取付部と、前記取付部に対して車両前後方向に移動可能であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、を備える。
本発明の第3の態様は、荷室に車両幅方向に延びるように配置される梁部材に取付けられるコンテナ保持装置であって、前記梁部材は、少なくとも1つの面が、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を臨むように前記荷室に取付けられるものであり、前記梁部材にその長手方向に移動可能に支持される取付部と、前記取付部に対して車両前後方向に移動可能であり、前記コンテナの前記車両後側の面に押付けられる押付け部材と、前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、前記押付け部材における前記コンテナとの接触面が前記車両後側の面に押付けられた状態で、前記接触面よりも車両前方に突出し、前記コンテナに車両幅方向に接触する突出部と、を備える。
本発明の第6の態様のコンテナ保持システムは、 荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、前記コンテナ保持装置は、前記梁部材に取付けられる取付部と、前記取付部に対して車両前後方向に移動可能に取付けられた押付け部材と、前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、を有し、前記取付部は、前記梁部材における車両後側の面および上面の少なくとも一方に接触する第1部材と、前記第1部材に前記車両前後方向に揺動可能に連結され、前記梁部材における車両前側の面および下面の少なくとも一方に接触する第2部材と、前記第2部材の前記第1部材から離れる方向の揺動を所定の揺動位置でロックするロック部材とを有し、前記第2部材を前記第1部材に近付く方向に揺動し、前記所定の揺動位置において前記ロック部材によって前記揺動をロックすると、前記第1部材と前記第2部材とによって前記梁部材が把持され、これにより前記取付部が前記梁部材に取付けられる。
本発明の第6の態様のコンテナ保持システムは、荷室に車両幅方向に延びるように取付けられ、前記荷室内に収容されるコンテナにおける車両後側の面を、少なくとも1つの面が臨むように配置される梁部材と、前記梁部材に取付けられたコンテナ保持装置と、を備え、前記コンテナ保持装置は、取付部と、前記取付部を前記梁部材に対して前記梁部材の長手方向に移動可能に支持するスライド機構と、前記取付部に対して車両前後方向に移動可能に取付けられた押付け部材と、前記押付け部材の前記取付部に対する前記車両前後方向の位置を調整可能な調整機構と、を有し、前記梁部材における前記取付部との接触面には、前記長手方向に延びる複数の凹凸が形成され、前記梁部材の前記接触面と接触する前記取付部の取付部側接触面には、前記長手方向に延び、前記複数の凹凸と相補的な形状を有する複数の凹凸が形成され、前記接触面の前記凹凸と前記取付部側接触面の前記凹凸とが係合している状態で、前記スライド機構によって前記取付部は前記梁部材に対して前記長手方向に移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態のコンテナ保持システムの要部斜視図である。
【
図2】本実施形態のコンテナ保持システムの要部断面図である。
【
図3】本実施形態のコンテナ保持装置の分解斜視図である。
【
図4】本実施形態のコンテナ保持装置の側面図である。
【
図5】本実施形態のコンテナ保持装置が取付けられた荷室の平面図である。
【
図6】本実施形態のコンテナ保持装置が取付けられた荷室の平面図である。
【
図7】本実施形態の第1変形例のコンテナ保持システムのコンテナ保持装置の側面図である。
【
図8】本実施形態の第2変形例のコンテナ保持システムのコンテナ保持装置の分解斜視図である。
【
図9】本実施形態のコンテナ保持システムが取付けられた荷室の斜視図である。
【
図10】本実施形態のコンテナ保持システムの正面図である。
【
図11】本実施形態のコンテナ保持装置が取付けられた荷室の平面図である。
【
図12】本実施形態のコンテナ保持装置が取付けられた荷室の平面図である。
【
図13】本実施形態の第3変形例のコンテナ保持システムの平面図である。
【
図14】本実施形態の第4変形例のコンテナ保持システムのコンテナ保持装置の側面図である。
【
図15】本実施形態の第4変形例のコンテナ保持システムのコンテナ保持装置の側面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態のコンテナ保持システムの要部斜視図である。
【
図17】第2実施形態のコンテナ保持システムの側面図である。
【
図18】第2実施形態のコンテナ保持システムの側面図である。
【
図19】第2実施形態のコンテナ保持装置が取付けられた荷室の平面図である。
【
図20】第2実施形態のコンテナ保持装置の動作説明図である。
【
図21】第2実施形態のコンテナ保持装置の動作説明図である。
【
図22】第2実施形態のコンテナ保持装置の動作説明図である。
【
図23】第2実施形態の変形例のコンテナ保持装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1実施形態に係るコンテナ保持システムが、図面を用いながら以下説明されている。
本実施形態のコンテナ保持システムは
図6、
図9等に示すようにトラック等の車両の荷室1内に設けられる。
図9に示すように、荷室1の車両幅方向の両側壁2にはそれぞれ車両前後方向に延びるレール10が固定されている。各レール10は側壁2における荷室1の内側面に固定されている。
【0011】
コンテナ保持システムは、両端がそれぞれレール10に支持される梁部材20と、梁部材20に取外し可能に取付けられるコンテナ保持装置30と、を備える。
本実施形態の梁部材20は、
図1、
図9、
図10等に示すように、角柱形状を有する。例えば、梁部材20はアルミニウムの押出成形によって形成される。また、
図10に示すように梁部材20はその両端にそれぞれ着脱部22を有する。各着脱部22は、梁部材20の長手方向に延びる角柱形状の着脱部本体22aと、着脱部本体22aに固定されているフィッティング部材22bとを有する。着脱部本体22aの外形は梁部材20の内形よりも僅かに小さく、着脱部本体22aは梁部材20内に挿入されている。
【0012】
梁部材20の両端の着脱部本体22aのうち一方は、梁部材20に対してその長手方向に移動可能に梁部材20に取付けられており、他方は梁部材20に固定されている。一対の側壁2の間隔がわずかに異なる場合があるが、上記構成によって、梁部材20を荷室1内に容易且つ確実に取付けることが可能である。
【0013】
各レール10には、互いに車両前後方向に間隔をおいて複数の取付孔11が形成されている(
図9)。フィッティング部材22bとして、取付孔11に取外し可能に取付けられる周知の係合具を用いることができる。例えば、特開2020-039541号公報に示される係合具、オールセーフ株式会社がT-ワンピースという名称で販売している係合具等を用いることが可能である。本実施形態のフィッティング部材22bは、レバー22cを操作することによって取付孔11から取外すことができる。当然であるが、レール10として他の形状のレールを用いることも可能であり、フィッティング部材22bはレールに応じたものとなる。
コンテナ保持装置30は、
図1および
図2に示すように、梁部材20の長さ方向(長手方向)の任意の位置に取付けられる取付部40と、取付部40に固定された幅方向ストッパ(突出部材)50と、幅方向ストッパ50に取付けられた押付け部材60と、を備える。本実施形態では、梁部材20は車両幅方向に延びるようにレール10に取付けられ、梁部材20の長さ方向は車両幅方向と一致している。
【0014】
本実施形態では、取付部40は、
図3に示すように、幅方向ストッパ50が固定された第1部材41と、第1部材41に車両前後方向に揺動可能に取付けられた第2部材42と、を有する。
第1部材41は、上下方向延設部41aと、上下方向延設部41aの下端から車両前後方向に突出する前後方向突出部41bと、を有する。第2部材42は、上下方向延設部42aと、上下方向延設部42aの上端から車両前後方向に突出する前後方向突出部42bと、を有する。なお、幅方向ストッパ50が第2部材42に固定される場合もあり、この場合でも後述の本実施形態の効果が達成され得る。
【0015】
図2に示すように、上下方向延設部41aと上下方向延設部42aとが車両前後方向に対向する態様で、取付部40は梁部材20に取付けられる。第2部材42の前後方向突出部42bの先端は第1部材41の上下方向延設部41aの上端部に車両前後方向に揺動可能に連結されている。また、第2部材42の上下方向延設部42aの下端部には車両幅方向に延びる係合部(第1の係合部)42c(
図3)が設けられている。本実施形態では、係合部42cは車両幅方向に延びるシャフト等であり、シャフトの両端が上下方向延設部42aの下端部に固定されている。
【0016】
図2、
図3等に示すように、第1部材41にはトグルクランプ80が固定されている。トグルクランプ80は、前後方向突出部41bの下面に固定されたベース81と、一端部がベース81に車両前後方向に揺動可能に連結されたハンドル82と、ロック部材83と、を有する。ハンドル82における他端は操作者が手で操作する操作部82aであり、ハンドル82における揺動軸線82b(
図2)と操作部82aとの間にロック部材83の基端が車両前後方向に揺動可能に連結されている。なお、ハンドル82およびロック部材83が車両前後方向に揺動すると、ロック部材83の先端であるフック部83aが車両前後方向および上下方向に移動する。ロック部材83のフック部(第2の係合部)83aは係合部(第1の係合部)42cに車両前後方向に係合可能である。
【0017】
なお、第2部材42の上下方向延設部42aの下端部が第1部材41の前後方向突出部41bに車両前後方向に揺動可能に連結されている場合もある。この場合、第1部材41の上下方向延設部41aの上端部に係合部(第1の係合部)42cが設けられ、第2部材42にトグルクランプ80のベース81が固定され、ロック部材83のフック部(第2の係合部)83aが係合部42cに係合する。
【0018】
コンテナ保持装置30を梁部材20に取付ける方法の例を説明する。先ず、
図4に示すようにフック部83aを係合部42cに係合させていない状態で、取付部40を梁部材20における車両幅方向の任意の位置に配置する。そして、
図2に示すようにフック部83aを係合部42cに係合させ、ハンドル82を締付け方向に揺動させる。これにより、トグルクランプ80によって第2部材42の上下方向延設部42aの下端部が第1部材41の前後方向突出部41bの先端部に近付き、上下方向延設部41aと上下方向延設部42aとの間に梁部材20が挟持される。そして、ハンドル82が例えば締付け方向の所定位置まで揺動した時に、ハンドル82が締付け方向と反対方向に人の操作が無ければ動かない状態となる。この時に、ロック部材83によって第2部材42の第1部材41に対する揺動が所定の揺動位置でロックされる。上記操作によって、コンテナ保持装置30が梁部材20における車両幅方向の任意の位置に取外し可能に取付けられる。
【0019】
なお、本実施形態では、上下方向延設部41aと上下方向延設部42aにおける互いに対向する面にそれぞれクッション部材44,45が固定されている。一例では、クッション部材44,45は、ゴム状弾性を有する部材、多孔質プラスチック等のスポンジ状部材等である。本実施形態では、第1部材41の前後方向突出部41bの上面にもクッション部材46が固定されている。
【0020】
クッション部材44,45によって、梁部材20に多少の変形が生じた場合であっても、取付部40が梁部材20にがたつき無く取付けられる。本実施形態では第2部材42の前後方向突出部42bの下面にはクッション部材が設けられていない。当該構成によって、トグルクランプ80のハンドル82を締付け方向と反対方向に揺動させ、取付部40を梁部材20上で車両幅方向に移動させる時に、取付部40が移動し易くなる。
【0021】
押付け部材60は幅方向ストッパ50に取付けられ、押付け部材60の幅方向ストッパ50に対する車両前後方向の位置は調整機構70によって調整可能である。本実施形態では、
図3に示すように、幅方向ストッパ50に車両前後方向に長い長孔51が設けられ、押付け部材60は長孔51を挿通するボルト61およびナット61aを用いて幅方向ストッパ50に取付けられている。つまり、調整機構70は長孔51、ボルト61、およびナット61aを有する。
【0022】
また、
図3に示すように、幅方向ストッパ50における押付け部材60に接触する第2の接触面52には、それぞれ車両幅方向に延びると共に車両前後方向に並んだ複数の突起(凸部)又は溝(凹部)52aが設けられている。一方、押付け部材60における第2の接触面52に接触する第1の接触面62には、それぞれ車両幅方向に延びると共に車両前後方向に並んだ溝(凹部)又は突起(凸部)62aが設けられている。このように、第1の接触面62は第2の接触面52と相補的な形状を有する。または、第2の接触面52がその他の凹凸面であり、第1の接触面62が第2の接触面52と車両前後方向に係合する形状を有する場合もある。または、第2の接触面52および第1の接触面62が共に粗面であってもよい。これらは、押付け部材60の幅方向ストッパ50に対する車両前後方向の移動を妨げるための構造である。なお、幅方向ストッパ50の溝52aおよび押付け部材60の突起62aも調整機構70の一部である。ボルト61およびナット61aは、幅方向ストッパ50の第2の接触面52を押付け部材60の第1の接触面62に押付け、これにより幅方向ストッパ50に対し押付け部材60を位置決めする位置決め機構である。
【0023】
なお、調整機構70が、幅方向ストッパ50に固定されたレールであって、車両前後方向に延びるレールと、レールに移動可能に支持された押付け部材60に螺合するボルト(駆動軸)と、ボルトを回転させるモータとを有していてもよい。この場合も幅方向ストッパ50に対する押付け部材60の位置が車両前後方向に調整される。調整機構70として、幅方向ストッパ50に対する押付け部材60の位置を調整するその他の機構が採用されてもよい。
【0024】
押付け部材60は、幅方向ストッパ50の車両幅方向の両端部50aよりもそれぞれ車両幅方向に突出している一対の接触部63を有する。または、押付け部材60は、幅方向ストッパ50の車両幅方向の一端部50aよりも車両幅方向に突出している単一の接触部63を有する。一対の接触部63を有する押付け部材60を用いるか単一の接触部63を有する押付け部材60を用いるかは、コンテナ保持装置30の配置によって任意に決定可能である。
【0025】
上記構成のコンテナ保持システムを用いてコンテナを固定する方法の一例について以下説明する。なお、コンテナCは、一例では給食用の調理後の食材を運ぶためのものである。コンテナCは、
図9に示すように車輪Wを有する。コンテナC内にはスープ、煮物等の液体を含む調理後の食材が収容された容器が置かれている。
【0026】
先ず、
図5に示すように、荷室1における車両前後方向の前側には第1の梁部材20が取付けられている。また、第1の梁部材20における車両幅方向の中央には、押付け部材60が取り外されたコンテナ保持装置30が取付けられている。また、第1の梁部材20における車両幅方向の両端側にも、それぞれ押付け部材60が取り外されたコンテナ保持装置30が取付けられている。
【0027】
この状態で、
図5に示すように、ユーザは2つのコンテナCをその車両前側の面が第1の梁部材20に接触する態様で配置する。この時に、一方のコンテナCの車両幅方向の一方の面には、車両幅方向の中央のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触し、一方のコンテナCの車両幅方向の他方の面には、車両幅方向の端側のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触する。他方のコンテナCについても2つのコンテナ保持装置30が同様に接触する。つまり、各コンテナ保持装置30はコンテナCに幅方向に接触する位置で第1の梁部材20に取付けられている。なお、本実施形態では、第1の梁部材20にはクッション部材21が取付けられ、クッション部材21がコンテナCの車両前側の面と第1の梁部材20との間に挟まれる。クッション部材21はゴム状弾性を有する部材、多孔質プラスチック等のスポンジ状部材等である。
【0028】
ここで、
図5に示すように、第1の梁部材20における車両後側の面20bがコンテナCの車両前側の面を臨み、面20bとコンテナCの車両前側の面とが近接している。面20bとコンテナCの車両前側の面との距離が20cm以下、より好ましくは10cm以下の時に、面20bとコンテナCの車両前側の面とが近接していると言える。なお、面20bとコンテナCの車両前側の面とが接触する場合もある。
【0029】
続いて、
図5に示すように、ユーザは第1の梁部材20よりも車両後方に第2の梁部材20を取付ける。この時、
図5に示すように、第2の梁部材20における車両前側の面20aがコンテナCの車両後側の面を臨み、面20aとコンテナCの車両後側の面とが近接する。面20aとコンテナCの車両後側の面との距離が20cm以下、より好ましくは10cm以下の時に、面20aとコンテナCの車両後側の面とが近接していると言える。なお、面20aとコンテナCの車両後側の面とが接触する場合もある。
【0030】
また、ユーザは、第2の梁部材20における車両幅方向の中央にコンテナ保持装置30を取付け、第2の梁部材20における車両幅方向の両端側にもそれぞれコンテナ保持装置30を取付ける。
なお、第2の梁部材20の両端は一対のレール10における前後方向の任意の位置の取付孔11に取付けられ、当該任意の位置はコンテナCの保持に適した位置である。
【0031】
この時、一方のコンテナCの車両幅方向の一方の面には、車両幅方向の中央のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触し、一方のコンテナCの車両幅方向の他方の面には、車両幅方向の端側のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触する。他方のコンテナCについても2つのコンテナ保持装置30が同様に接触する。つまり、各コンテナ保持装置30はコンテナCに幅方向に接触する位置で第2の梁部材20に取付けられる。また、各コンテナ保持装置30において、幅方向ストッパ50は取付部40よりも車両前方に突出しており、押付け部材60の接触部63も取付部40よりも車両前方に配置可能である。
【0032】
この状態で、ユーザは、調整機構70を用いて押付け部材60の車両前後方向の位置を調整し、これにより押付け部材60をコンテナCにおける車両後側の面に押付ける。当該押付けによって、コンテナCが第1の梁部材20に押付けられ、コンテナCが押付け部材60と第1の梁部材20との間で車両前後方向に保持される。
【0033】
なお、本実施形態では、第2の梁部材20の中央部に取付けられたコンテナ保持装置30は、
図7に示すように、第2部材42にも幅方向ストッパ50が固定されており、幅方向ストッパ50は取付部40よりも車両後方に突出している。
【0034】
続いて、
図6に示すように、ユーザは2つのコンテナCをその車両前側の面が第2の梁部材20に接触する態様で配置する。この時に、一方のコンテナCの車両幅方向の一方の面には、車両幅方向の中央のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触し、一方のコンテナCの車両幅方向の他方の面には、車両幅方向の端側のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触する。他方のコンテナCについても2つのコンテナ保持装置30が同様に接触する。つまり、各コンテナ保持装置30はコンテナCに幅方向に接触する位置で第1の梁部材20に取付けられている。なお、本実施形態では、第2の梁部材20にはクッション部材21が取付けられ、クッション部材21がコンテナCの車両前側の面と第1の梁部材20との間に挟まれる。
【0035】
続いて、
図6に示すように、ユーザは第2の梁部材20よりも車両後方に第3の梁部材20を取付ける。この時、
図6に示すように、第3の梁部材20における車両前側の面20aがコンテナCの車両後側の面を臨み、面20aとコンテナCの車両後側の面とが近接する。面20aとコンテナCの車両後側の面との距離が20cm以下、より好ましくは10cm以下の時に、面20aとコンテナCの車両後側の面とが近接していると言える。なお、面20aとコンテナCの車両後側の面とが接触する場合もある。
【0036】
また、ユーザは、第3の梁部材20における車両幅方向の中央にコンテナ保持装置30を取付け、第3の梁部材20における車両幅方向の両端側にもそれぞれコンテナ保持装置30を取付ける。
なお、第3の梁部材20の両端は一対のレール10における前後方向の任意の位置の取付孔11に取付けられ、当該任意の位置はコンテナCの保持に適した位置である。
【0037】
この時、一方のコンテナCの車両幅方向の一方の面には、車両幅方向の中央のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触し、一方のコンテナCの車両幅方向の他方の面には、車両幅方向の端側のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触する。他方のコンテナCについても2つのコンテナ保持装置30が同様に接触する。つまり、各コンテナ保持装置30はコンテナCに幅方向に接触する位置で第3の梁部材20に取付けられる。
【0038】
この状態で、ユーザは、調整機構70を用いて押付け部材60の車両前後方向の位置を調整し、これにより押付け部材60をコンテナCにおける車両後側の面に押付ける。当該押付けによって、コンテナCが第2の梁部材20に押付けられ、コンテナCが押付け部材60と第2の梁部材20との間で車両前後方向に保持される。
【0039】
本実施形態によれば、コンテナ保持装置30の取付部40が梁部材20に取付けられ、調整機構70によって押付け部材60の車両前後方向の位置が調整され、これにより押付け部材60がコンテナCの車両後側の面に押付けられる。当該構成は、車両の走行時に荷室1が上下方向等に振動した場合に、コンテナCの上下方向の揺れを有効に抑制しつつ、コンテナCの車両前後方向および車両幅方向の揺れも有効に抑制する。これにより、コンテナCの収容物の破損、液漏れ等が防止又は抑制される。調整機構70によって押付け部材60がコンテナCの車両後側の面に接触又は数cm以下の間隔をおいて配置されるだけでも、車両の移動等によって押付け部材60はコンテナCの車両後側の面に押付けられ、コンテナCの位置および姿勢がある定まった範囲に保持される効果が得られる。
【0040】
なお、押付け部材60の接触部63におけるコンテナCとの接触面がクッション部材44,45と同様のクッション部材によって形成されていてもよい。この場合、車両の走行時に荷室1が上下方向に振動した場合に、コンテナCの上下方向の揺れがより有効に抑制され、コンテナCの車両前後方向および車両幅方向の揺れもより有効に抑制される。
【0041】
また、本実施形態では、トグルクランプ80のハンドル82を締付け方向に揺動させると、第2部材42が第1部材41に近付く方向に揺動する。また、ハンドル82をさらに締付け方向に揺動させることによって第2部材42を第1部材41に対して所定の揺動位置まで揺動させると、ロック部材83によって第1部材41に対する第2部材42の揺動がロックされる。当該構成は、梁部材20における車両幅方向の任意の位置にコンテナ保持装置30を容易且つ確実に取付けるために有用である。
【0042】
また、本実施形態では、第1部材41における梁部材20との接触面にクッション部材44が固定されている。当該構成によって、梁部材20に多少の変形がある場合であっても、梁部材20における車両幅方向の任意の位置にコンテナ保持装置30を容易且つ確実に取付けることができる。なお、本実施形態では、第2部材42における梁部材20との接触面にもクッション部材45が固定されている。
【0043】
また、取付部40は梁部材20における車両幅方向の任意の位置に取付け可能である。当該構成によって、大きさが異なるコンテナCを荷室1内に積み込む必要が生じた際でも、コンテナ保持装置30によるコンテナCの確実な保持が可能となる。また、同じ仕様のコンテナCであっても、コンテナCの扉等の取付状態等に応じてコンテナCの全体のサイズに少し変化がある場合がある。このような場合であっても、取付部40は梁部材20における車両幅方向の任意の位置に取付け可能であり、コンテナ保持装置30によるコンテナCの確実な保持が可能である。さらに、押付け部材60の車両前後方向の位置は調整機構70によって調整可能であるから、コンテナCのサイズに少し変化がある場合でも、コンテナCの確実な保持が可能である。
【0044】
また、本実施形態では、幅方向ストッパ50の第2の接触面52に凸部又は凹部52aが形成され、押付け部材60の第1の接触面62が前記凸部又は凹部52aに係合する形状を有する。このため、例えば1つのコンテナCが押付け部材60側に動くことによって、押付け部材60に上下方向に延びる軸線周りの力が加わる場合でも、押付け部材60によって安定してコンテナCを車両前後方向に押すことができる。
【0045】
上記実施形態において、コンテナ保持装置30に幅方向ストッパ50を設けない場合もあり得る。例えば、
図8に示すように、取付部40における第2部材42の前後方向突出部42bの上面に押付け部材60を取付けることが可能である。この場合、押付け部材60には車両前後方向に長い長孔60aが形成され、長孔60aを挿通するボルト61が前後方向突出部42bに螺合する。ボルト61を緩めることおよびボルト61の締め込みによって、取付部40に対する押付け部材60の車両前後方向の位置が調整される。この場合、調整機構70は長孔60aおよびボルト61を有する。
【0046】
当該構成を用いる場合であっても、押付け部材60がコンテナCの車両後側の面に押付けられる。調整機構70によって押付け部材60がコンテナCの車両後側の面に接触するように配置されるだけでも、車両の移動等によって押付け部材60はコンテナCの車両後側の面に押付けられる。当該構成は、車両の走行時に荷室1が上下方向に振動した場合に、コンテナCの上下方向の揺れを有効に抑制しつつ、コンテナCの車両前後方向および車両幅方向の揺れも有効に抑制する。これにより、コンテナCの収容物の破損、液漏れ等が防止又は抑制される。
【0047】
なお、
図8に示す構造においてに、押付け部材60における取付部40に接触する第1の接触面62に凸部又は凹部が形成され、取付部40側の接触面である取付部40の上面が前記凸部又は凹部に係合する形状を有する場合もある。
【0048】
上記各実施形態のコンテナ保持システムを用いて、
図11、
図12等のように、様々なサイズのコンテナCを様々なレイアウトで保持することが可能である。
図11、
図12等に示すように、本実施形態のコンテナ保持装置30は様々なサイズのコンテナCを様々なレイアウトで保持することが可能である。
【0049】
なお、
図13に示すように、梁部材20の両端がそれぞれ荷室1に設けられた凹部2aに嵌められるように構成されていてもよい。この場合でも、梁部材20はその面20a又は面20bがコンテナCの車両後側の面又は車両前側の面に臨むように配置される。各凹部2aは、梁部材20の端に、車両前方および後方から接触すると共に、車両幅方向の外側から接触する。各凹部2aはコンテナCのサイズに応じた位置に配置されていればよい。
【0050】
コンテナ保持装置30は、前述のように梁部材20の長さ方向の任意の位置に取付け可能である。
図13の場合は、梁部材20の長さ方向の中央部に突出部が設けられているので、コンテナ保持装置30は突出部を除く任意の位置に取付け可能である。この場合でも、押付け部材60をコンテナCに車両前後方向に押付けることによって、前述と同様の作用効果が達成される。
【0051】
なお、上記各実施形態において、
図14および
図15に示すように、ボルト61およびナット61aの代わりにトグル固定装置TGが用いられてもよい。トグル固定装置TGは、幅方向ストッパ50の長孔51および押付け部材60に形成された図示しない孔を上下方向に挿通しているピン部材64を有する。ピン部材64の下端部は幅方向ストッパ50に下方から接触している。トグル固定装置TGは、ピン部材64における押付け部材60の上方に一端側が揺動可能に連結されたレバー65と、レバー65の一端部と押付け部材60との間に介在しているバネ部材66とを有する。バネ部材66は例えば皿バネである。
【0052】
本実施形態では、レバー65は略水平方向に延びる軸線周りに揺動可能である。レバー65を所定方向に向かって揺動させると、
図15に示すようにレバー65の一端部と押付け部材60との距離が小さくなり、押付け部材60の第1の接触面62が幅方向ストッパ50の第2の接触面52に押付けられる。当該構成では、調整機構70はトグル固定装置TGを有する。当該構成を採用すると、調整機構70による押付け部材60の車両前後方向の位置調整が容易になる。
【0053】
本発明の第2実施形態に係るコンテナ保持システムが、図面を用いながら以下説明されている。
第2実施形態では、第1実施形態に対して、取付部40が梁部材20にその長手方向に移動可能に支持されている点が異なる。また、第2実施形態では、第1実施形態に対してコンテナ保持装置30の細かな仕様が異なる。
【0054】
第2実施形態のコンテナ保持装置30は梁部材20の例えば上面にスライド機構を介して支持されている。
図16に示すように、梁部材20の上面にはスライド機構の一部である溝23が形成され、溝23は梁部材20の長手方向に延びている。溝23の開口部23aは、梁部材20の幅方向の両側から内側に向かって突出する凸部23bによって溝23の他の部分より狭くなっている。梁部材20の前面、下面、背面等に溝23が形成される場合もあり得る。溝23、開口部23a、および凸部23bは梁部材20の押出成形の際に成形でき、この場合は溝23、開口部23a、および凸部23bの成形のために別工程を要しない。
【0055】
コンテナ保持装置30は、
図16~
図19に示すように、取付部40と、取付部40から車両前方に向かって突出する幅方向ストッパ(突出部材)50と、幅方向ストッパ50に取付けられた押付け部材60と、を備える。第2実施形態では、第1実施形態の
図14および
図15の場合と同様に、調整機構70であるトグル固定装置TGによって押付け部材60の第1の接触面62を幅方向ストッパ50の第2の接触面52に押付け、これにより幅方向ストッパ50に対して押付け部材60を車両前後方向の任意の位置に位置決めする。
【0056】
本実施形態では、調整機構70のレバー65をその先端が上方に向かう位置(所定位置)に揺動させると、押付け部材60の第1の接触面62が幅方向ストッパ50の第2の接触面52に押付けられる。
【0057】
図16~
図19に示すように、取付部40は、取付部本体47と、溝23内に配置された駒48と、
図14および
図15と同じトグル固定装置TGとを有する。第2実施形態では、溝23、駒48、およびトグル固定装置TGによって前記スライド機構が構成されていてもよい。レバー65は水平方向に延びる軸線65a周りに揺動可能である。一例では、当該構成において、トグル固定装置TGのピン部材64が駒48に螺合しており、レバー65を回すことによって溝23の凸部23bが取付部本体47と駒48とによって挟持される。この場合、トグル固定装置TGはレバー65を回すことにより取付部40を梁部材20の長手方向の任意の位置に固定する装置として機能する。
【0058】
一方、トグル固定装置TGが
図14および
図15の場合と同様に用いられる場合、トグル固定装置TGのピン部材64の下端は駒48に取付けられる。この形態では、レバー65をその先端(他端)が水平方向に向かう位置に揺動させると、レバー65の一端部と駒48との距離が広がる。一方、レバー65をその先端(他端)が上方に向かう位置(所定位置)に揺動させると、レバー65の一端部と駒48との距離が近くなり、溝23の凸部23bが取付部本体47と駒48とによって挟持される。つまり、レバー65を水平方向に向かう位置に揺動させると、取付部40は梁部材20の長手方向に移動可能となる。一方、レバー65を上方に向かう位置(所定位置)に揺動させると、取付部40は梁部材20の長手方向の任意の位置に固定される。なお、ピン部材64が駒48に螺合している場合もある。この場合、ピン部材64をその軸線周りに回転させることによって、トグル固定装置TGによる固定力を調節することができる。
【0059】
代わりに、梁部材20の長手方向に延びる溝23又はレールと、溝23又はレールに支持され溝23又はレールに沿って移動可能な取付部40と、ボールねじとから前記スライド機構を構成することもできる。当該構成では、ボールねじは、梁部材20の長手方向に延びるように配置され、取付部40に螺合している。また、ボールねじを回すためのハンドル、モータ等が梁部材20等に設けられる。梁部材20に沿って取付部40を移動可能な公知の他のスライド機構が用いられてもよい。
【0060】
幅方向ストッパ50の基端部はボルトB等によって取付部40の取付部本体47に取付けられ、幅方向ストッパ50は例えば水平方向に延びる揺動軸線50b周りに上下方向に揺動可能である。
第1実施形態と同様に、幅方向ストッパ50における押付け部材60に接触する第2の接触面52には、それぞれ車両幅方向に延びると共に車両前後方向に並んだ複数の突起(凸部)又は溝(凹部)52aが設けられている。一方、押付け部材60における第2の接触面52に接触する第1の接触面62には、それぞれ車両幅方向に延びると共に車両前後方向に並んだ溝(凹部)又は突起(凸部)62aが設けられている。このように、第1の接触面62は第2の接触面52と相補的な形状を有する。または、第2の接触面52および第1の接触面62が共に粗面であってもよい。これらは、押付け部材60の幅方向ストッパ50に対する車両前後方向の移動を妨げるための構造である。
【0061】
第2実施形態の押付け部材60は、基部67と、基部67における車両前側から下方に向かって延びる接触部68とを有する。基部67の下面には第1の接触面62が設けられ、基部67は幅方向ストッパ50から車両幅方向の一方および他方に突出する。なお、基部67が幅方向ストッパ50から車両幅方向の一方のみに突出する場合もある。
接触部68は、基部67における幅方向ストッパ50から車両幅方向に突出した部分から下方に向かって延びている。
図19の中央のコンテナ保持装置30では、基部67における車両幅方向の両端側からそれぞれ下方に向かって接触部68が延びている。
【0062】
幅方向ストッパ50の基端側は幅方向ストッパ50が下方に揺動した時に梁部材20に接触又は係合し、これにより幅方向ストッパ50の下方への揺動が
図17等に示す下方規制位置で規制される。なお、幅方向ストッパ50の基端側が取付部40等に接触又は係合することによって、幅方向ストッパ50の下方への揺動が下方規制位置で規制されてもよい。
【0063】
第2実施形態では、幅方向ストッパ50が下方規制位置に配置された状態で、第1の接触面62が押付けられている第2の接触面52は車両前方に向かって斜め下方に延びる。このため、コンテナCから押付け部材60に加わる車両後方に向かう力の一部が、第1の接触面62を第2の接触面52に押付ける力として働く。当該構成によって、車両の動き等によってコンテナCから押付け部材60に大きな力が加わっても、幅方向ストッパ50に押付け部材60を確実に固定することができる。また、コンテナCから接触部68に加わる力の一部が、幅方向ストッパ50を揺動軸線50b周りに下方に向かって揺動させる力となる。コンテナCは車両の動き等によって様々に移動し、荷室1内でコンテナが押付け部材60に繰り返し衝突する場合もある。このような場合に、上記構成は、幅方向ストッパ50を下方規制位置に安定して配置するために有用である。
【0064】
また、第2実施形態では、接触部68は基部67における車両前側から下方に向かって延びている。また、幅方向ストッパ50が下方規制位置に配置された状態で、
図17に示すように、接触部68における基部67よりも下側の少なくとも一部が、接触部68におけるその他の部分よりも車両前方に配置されている。より具体的には、第2実施形態では、接触部68は基部67から下方に向かって車両前方に向かって少しだけ斜めに延びている。接触部68の延設方向と鉛直方向との成す角度α(
図17)は例えば1.5~10°から選択された角度、10~20°から選択された角度等である。
【0065】
第2実施形態では、接触部68における基部67よりも下側の少なくとも一部が、接触部68におけるその他の部分よりも車両前方に配置されている。このため、コンテナCが接触部68に接触する時に、コンテナCが接触部68における基部67よりも下側に先に当たり易い。このようにコンテナCが接触部68当たると、コンテナCから接触部68に加わる力の一部が、幅方向ストッパ50を揺動軸線50b周りに下方に向かって揺動させる力となる。コンテナCは車両の動き等によって様々に移動し、荷室1内でコンテナが押付け部材60に繰り返し衝突する場合もある。このような場合に、上記構成は、幅方向ストッパ50を下方規制位置に安定して配置するために有用である。
【0066】
第2実施形態のコンテナ保持システムを用いてコンテナを固定する方法の一例について以下説明する。先ず、
図19に示すように、荷室1における車両前側には第1の梁部材20が取付けられている。
この状態で、
図19に示すように、ユーザは2つのコンテナCをその車両前側の面が第1の梁部材20に接触する態様で配置する。第2実施形態では、第1実施形態と異なり第1の梁部材20にはコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50は取付けられていないが、第1実施形態と同様に幅方向ストッパ50が取付けられてもよい。
【0067】
続いて、
図19に示すように、ユーザは第1の梁部材20よりも車両後方に第2の梁部材20を取付ける。この時、
図19に示すように、第2の梁部材20における車両前側の面20aがコンテナCの車両後側の面を臨み、面20aとコンテナCの車両後側の面とが近接する。当該近接は、押付け部材60によってコンテナCの動きを抑制できる距離であればよい。なお、面20aとコンテナCの車両後側の面とが接触する場合もある。
【0068】
第2の梁部材20における車両幅方向の中央にはコンテナ保持装置30が取付けられ、第2の梁部材20における車両幅方向の両端側にもそれぞれコンテナ保持装置30が取付けられている。
【0069】
この時、一方のコンテナCの車両幅方向の一方の面には、車両幅方向の中央のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触する。このような接触が実現されるように、トグル固定装置TGを操作しながら取付部40を梁部材20沿って移動させる。また、一方のコンテナCの車両幅方向の他方の面には、車両幅方向の端側のコンテナ保持装置30の幅方向ストッパ50が車両幅方向に接触する。このような接触が実現されるように、例えば
図20に矢印で示すように、トグル固定装置TGを操作しながら取付部40を梁部材20沿って移動させる。他方のコンテナCについても2つのコンテナ保持装置30が同様に接触する。なお、トグル固定装置(固定手段)TGのように、コンテナ保持装置30の梁部材20に沿った移動を許容すると共にコンテナ保持装置30を梁部材20に固定可能な公知の固定手段を用いることが可能である。例えば、駒48に螺合するボルトを固定手段として用いることも可能である。この場合、ボルトは取付部本体47を挿通し、ボルトの頭部が取付部本体47に上方から当接する。
【0070】
各コンテナ保持装置30は幅方向ストッパ50がコンテナCに幅方向に接触する位置で第2の梁部材20に固定される。接触する位置とは、幅方向ストッパ50とコンテナCとの距離が数cmであり、車両が動く時等にコンテナCと幅方向ストッパ50とが幅方向に接触する場合も含む。また、各コンテナ保持装置30において、幅方向ストッパ50は取付部40よりも車両前方に突出しており、押付け部材60の接触部68も取付部40よりも車両前方に配置可能である。
【0071】
この状態で、ユーザは、
図21に矢印で示されるように、調整機構70を用いて押付け部材60の車両前後方向の位置を調整し、これにより押付け部材60をコンテナCにおける車両後側の面に押付ける。コンテナCに押付けられる位置でトグル固定装置TGによって押付け部材60が固定される。当該押付けによって、コンテナCが第1の梁部材20に押付けられ、コンテナCが押付け部材60と第1の梁部材20との間で車両前後方向に保持される。当該押付けの意味、機能、および効果は第1実施形態と同様である。また、幅方向ストッパ50の機能および効果も第1実施形態と同様である。
なお、
図20および
図21では、基部67は幅方向ストッパ50から車両幅方向の一方のみに突出しており、接触部68も幅方向ストッパ50の車両幅方向の一方のみに設けられている。
また、コンテナ保持装置30が、取付部40に対し車両後方に延びる幅方向ストッパ50と、それに取付けられた押付け部材60とを更に有する場合もある。
【0072】
第2実施形態では、前述のように各コンテナ保持装置30をコンテナCに幅方向に接触する位置で梁部材20に固定する際に、前記スライド機構を用いてコンテナ保持装置30を梁部材20に沿って移動する。ここで、
図22に示すように、幅方向ストッパ50は水平方向に延びる揺動軸線50b周りに上下方向に揺動可能である。つまり、コンテナ保持装置30を梁部材20に沿って移動する際に、幅方向ストッパ50を上方に回動できる。このため、コンテナC等が存在する状態において、梁部材20上の各コンテナ保持装置30の位置を容易に変更できる。
また、第2実施形態では、取付部40を梁部材20から取り外さずに梁部材20の長手方向に移動できるので、狭い荷室1内における作業者の労力を軽減するために有用である。
【0073】
また、第2実施形態では、
図17および
図18に示すように、梁部材20における取付部40の取付部本体47との接触面には、梁部材20に対する取付部本体47の車両前後方向の移動を規制するための凹凸部24が形成されている。凹凸部24は
図16に示すように梁部材20の長手方向に延びるように形成されている。このため、凹凸部24は梁部材20の押出成形の際に成形でき、この場合は凹凸部24の成形のために別工程を要しない。
【0074】
梁部材20における取付部本体47との接触面に凹凸部24が形成されているので、コンテナCから押付け部材60に大きな力が加わっても、コンテナ保持装置30が梁部材20に対して位置ずれし難い。第2実施形態では、取付部本体47における梁部材20の接触面も凹凸部24と相補的な形状を有するので、前記効果がより確実に得られる。
また、凹凸部24は梁部材20の長手方向に延びているので、コンテナ保持装置30を梁部材20に沿ってスムーズに移動できる。
【0075】
図23に示すように、調整機構70が、押付け部材60に螺合するボルト(駆動軸)69aと、ボルト69aを回転させるモータ、ハンドル等の駆動装置69bとを有していてもよい。この場合、ボルト69aの回転によって押付け部材60が車両前後方向に移動し、ボルト69aを停止させると押付け部材60が車両前後方向に位置決めされる。また、この場合、接触面52,62の溝(凹部)、突起(凸部)等は無くてもよい。
当該構成でも、ボルト69aが車両前方に向かって斜め下方に延びているので、コンテナCから押付け部材60に加わる車両後方に向かう力の一部が、第1の接触面62を第2の接触面52に押付ける力として働く。また、コンテナCから接触部68に加わる力の一部が、幅方向ストッパ50を揺動軸線50b周りに下方に向かって揺動させる力となる。
【符号の説明】
【0076】
1 荷室
2 側壁
10 レール
11 取付孔
20 梁部材
21,44,45,46 クッション部材
22 着脱部
22b フィッティング部材
30 コンテナ保持装置
40 取付部
41 第1部材
42 第2部材
47 取付部本体
48 駒
50 幅方向ストッパ(突出部材)
51 長孔
52 第2の接触面
52a 溝(凹部)
60 押付け部材
61 ボルト
61a ナット
62 第1の接触面
62a 突起(凸部)
67 基部
68 接触部
70 調整機構
80 トグルクランプ
82 ハンドル
83 ロック部材
83a フック部