(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20241007BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/20 555
(21)【出願番号】P 2021029171
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楢原 隆史
(72)【発明者】
【氏名】森原 遼
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豊
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197171(JP,A)
【文献】特開2020-160242(JP,A)
【文献】特開2019-191409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0085851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応じて形成されたトナー像を加熱して記録材に定着させる定着部と、
前記画像データに基づいて、前記定着部が前記トナー像を加熱するときの定着目標温度を決定する制御部と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御部は、前記画像データを主走査方向および副走査方向において分割した複数の領域それぞれにおける画像濃度情報に基づいて第一の目標温度を求める第一の判定と、前記画像データがテキスト画像であるか否かを判定する第二の判定を行い、前記第一の判定および前記第二の判定の結果に基づいて前記定着目標温度を決定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第二の判定において前記画像データがテキスト画像ではないと判定された場合、前記定着目標温度として前記第一の目標温度を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第二の判定において前記画像データがテキスト画像であると判定された場合、前記画像データを前記主走査方向に連続するように分割した複数の主走査エリアそれぞれにおいて、前記テキスト画像中のテキストの連続性が所定の連続性基準を超えているか否かを判定し、いずれの主走査エリアにおいても前記連続性基準を超えている場合は、前記定着目標温度として前記第一の目標温度を用いる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第二の判定の結果に基づいて、前記第一の目標温度よりも低い第二の目標温度を求める
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の主走査エリアのうち端部の主走査エリアにおける前記テキストの連続性に基づいて、前記第二の目標温度を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記端部の主走査エリアにおける前記テキストの連続性が低いほど、前記第二の目標温度を低く設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第一の判定において、前記複数の領域に含まれるピクセルから所定値以上の濃度を有するピクセルの数を取得することにより、前記画像濃度情報を取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像データを前記主走査方向に連続するように分割した複数の主走査エリアそれぞれの画像濃度に基づいて前記第一の目標温度を決定するための複数の候補値を算出し、前記複数の候補値のうち最大の値に基づいて前記第一の目標温度を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第二の判定において、前記画像データを前記副走査方向に連なる短冊状の複数のブロックに分割し、前記複数のブロックそれぞれの印字率に基づいて、前記画像データがテキスト画像か否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記複数のブロックそれぞれにおいて、隣接するブロックとの印字率の
差分を算出し、算出された前記差分の合計を前記画像データの印字率で割った値が閾値以上である場合に、前記画像データがテキスト画像であると判定する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像データに応じて形成されたトナー像を加熱して記録材に定着させる定着部と、前記画像データに基づいて、前記定着部が前記トナー像を加熱するときの定着目標温度を決定する制御部を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記制御部が、
前記画像データを主走査方向および副走査方向において分割した複数の領域それぞれにおける画像濃度情報に基づいて第一の目標温度を求める第一の判定を行うステップと、
前記画像データがテキスト画像であるか否かを判定する第二の判定を行うステップと、
前記第一の判定および前記第二の判定の結果に基づいて前記定着目標温度を決定するステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタやデジタル複写機などの、電子写真方式を用いた画像形成装置が用いられている。かかる画像形成装置において、トナー像を記録材に加熱定着させるときに、画像データから求めた画像上のトナー量に応じて加熱定着装置の目標温度を制御する技術がある。例えば、特許文献1には、画像データを分割した上で画像の特性に応じて温度制御を行う技術が開示されている。すなわち特許文献1では、画像データを搬送方向およびそれに直交する方向に分割することで複数のブロックを設定し、それぞれのブロックに対して画像濃度に基づいてパラメータを設定している。そして、パラメータから得られる画像の特徴に応じて温度を制御することにより、目標温度を不必要に高くすることを避けて、消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では画像より算出される定着温度と最適な定着温度とに乖離が発生する場合があった。一般的に未定着トナーが高濃度領域で存在する場合、定着時に定着部材から多くの熱が奪われる。さらに記録材搬送方向(以下「縦方向」とも言う)に高濃度領域が連なる縦帯のような画像は、定着部材の特定の部分から連続的に熱を奪い続ける。その結果、画像全体の印字率が低くとも定着性が低下する傾向があるため、定着温度を高くする必要がある。
【0005】
一方、テキスト画像の場合、テキストはラインで構成されているため、定着部材から熱が奪われにくい。また、一般的なテキスト画像には行間が存在する。テキストの配列方向にもよるが、一般的に行間部分では、記録材搬送方向に対して垂直方向(以下「長手方向」とも言う)の印字率が低くなる。そのため、長手方向にテキストが印字された部分と比較すると縦方向の定期的な間隔で印字率が増減する特徴を持っている。
【0006】
このような特徴をもったテキスト画像は、縦帯のようにトナー部が縦方向に連続して連なることはなく、定着部材から連続的に熱が奪われることがないため、同じ印字率の縦帯画像に比べ、定着温度をさほど上げなくても定着性を確保できる。また、テキスト画像に太文字が使用されていない場合や、文字が縦方向に密集していない場合には、さらに低い定着温度であっても定着性を確保できるため、定着温度をさらに下げることが可能である。
【0007】
また、画像形成装置に用いられている加熱定着装置は、端部放熱の影響で長手方向端部の定着性が中央部に比べると低下する傾向にある。また、小型の定着部材を用いている場合には、熱容量が小さいため、記録材の縦方向後半部分でトナーに付与する熱量が不足して定着性が低下する傾向にある。したがって、これら定着不良が発生しやすい箇所、すなわち記録材の両端部や後半部分に画像が密集していない場合には、さらに低い定着温度であっても定着性を確保できるため、定着温度をさらに下げることが可能である。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、定着装置の定着温度が抑制された画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
画像データに応じて形成されたトナー像を加熱して記録材に定着させる定着部と、
前記画像データに基づいて、前記定着部が前記トナー像を加熱するときの定着目標温度を決定する制御部と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御部は、前記画像データを主走査方向および副走査方向において分割した複数の領域それぞれにおける画像濃度情報に基づいて第一の目標温度を求める第一の判定と、前記画像データがテキスト画像であるか否かを判定する第二の判定を行い、前記第一の判定および前記第二の判定の結果に基づいて前記定着目標温度を決定する
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
画像データに応じて形成されたトナー像を加熱して記録材に定着させる定着部と、前記画像データに基づいて、前記定着部が前記トナー像を加熱するときの定着目標温度を決定する制御部を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記制御部が、
前記画像データを主走査方向および副走査方向において分割した複数の領域それぞれにおける画像濃度情報に基づいて第一の目標温度を求める第一の判定を行うステップと、
前記画像データがテキスト画像であるか否かを判定する第二の判定を行うステップと、
前記第一の判定および前記第二の判定の結果に基づいて前記定着目標温度を決定するステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定着装置の定着温度が抑制された画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施例での画像形成装置の制御に関する機能ブロック図
【
図4】実施例での目標温度の制御シーケンスを説明する図
【
図5】実施例の第一判定での画像データの分割について説明する図
【
図6】実施例の第一判定での縦帯状印字の幅と目標温度の補正量の関係を示す図
【
図7】実施例の第一判定での縦帯状印字の長さと目標温度の補正量の関係を示す図
【
図8】実施例の第二判定での画像データの分割について説明する図
【
図9】実施例の第二判定方法での画像の種類を判定するフローチャート
【
図10】実施例での定着目標温度を決定する方法を示したフローチャート
【
図11A】実施例での評価用のテキスト画像を示す図
【
図11B】実施例での評価用のテキスト画像を示す別の図
【
図11C】実施例での評価用のテキスト画像を示す別の図
【
図11D】実施例での評価用のテキスト画像を示す別の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、図面および実施形態を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の機能、材質、
寸法、形状、その相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものであり、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
[実施例]
<画像形成装置>
図1に本実施例の画像形成装置100の概略断面図を示す。ここでは画像形成装置100の一例としてレーザプリンタを挙げる。本発明は、LEDプリンタ等のレーザプリンタ以外のプリンタや、デジタル複写機等、電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置に適用できる。
【0015】
画像形成装置100は、概略、画像形成部50とプリンタ制御装置304を備える。画像形成部50は、感光ドラム1、帯電ローラ2、レーザスキャナ3、現像装置4、転写ローラ5、定着部としての加熱定着装置6および、クリーニング装置7を備える。画像形成部50は、制御部としてのプリンタ制御装置304の制御に従い、画像データに応じたトナー像を記録材Pに形成する。画像形成装置は他に、給紙トレイ101、給紙ローラ102、搬送ローラ103、トップセンサ104、排紙センサ105、排紙ローラ106、排紙トレイ107等を備える。
【0016】
感光ドラム1は、ドラム型の電子写真感光体であり、OPC(有機光半導体)、アモルファスシリコン等の感光材料を、アルミニウム合金やニッケルなどで形成されたシリンダ状のドラム基体上に設けて構成される。感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0017】
帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を、所定の極性・電位に均一に帯電する。そしてレーザスキャナ3が、帯電後の感光ドラム1にレーザビームEを照射することで、感光ドラム表面に静電潜像が形成される。このときレーザスキャナ3は、画像データに応じてON/OFF制御された走査露光を感光ドラム1の長手方向に行い、露光部分の電荷を除去している。
【0018】
現像装置4は、形成された静電潜像を現像して可視化する。現像方法としては、本実施例のジャンピング現像法のほか、2成分現像法、接触現像法などが用いられる。あるいは、イメージ露光と反転現像の組み合わせでもよい。現像装置4の現像ローラ41が感光ドラム1上の静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成する。
【0019】
感光ドラム1上のトナー像は、記録材Pの表面に転写される。記録材Pは、給紙トレイ101に収納された状態から、給紙ローラ102によって1枚ずつ給紙され、搬送ローラ103等を介して、感光ドラム1と転写ローラ5との間の転写ニップ部Ntに供給される。
【0020】
記録材Pの先端は、トップセンサ104によって検知される。プリンタ制御装置304は、トップセンサ104の位置と転写ニップ部Ntとの位置、及び記録材Pの搬送速度から、記録材Pの先端が転写ニップ部Ntに到達するタイミングを取得する。そして、転写ローラ5が、所定タイミングで給紙、搬送されてきた記録材P上に転写バイアスを印加することで、感光ドラム1上のトナー像が転写される。
【0021】
トナー像が転写された記録材Pは、加熱定着装置6へ搬送される。加熱定着装置6は、フィルムユニット10と加圧ローラ20との間の定着ニップ部にて記録材Pを挟持搬送しつつ、加熱・加圧を行う。これにより、記録材Pの表面にトナー像が定着する。その後、記録材Pは、排紙ローラ106により画像形成装置100上面に形成されている排紙トレ
イ107上に排出される。なお、排紙センサ105が、記録材Pの先端及び後端が通過するタイミングを検知することにより、ジャム等の発生の有無がモニターされる。
【0022】
一方、クリーニング装置7は、トナー像が転写された後の感光ドラム1の表面の転写残トナー(記録材Pに転写されずに残ったトナー)を、クリーニングブレード71によって除去する。除去された転写残トナーは次回の画像形成に用いられる。
【0023】
画像形成装置100は、以上の動作を繰り返すことで、連続的に画像形成を行う。本実施例の画像形成装置100は、解像度600dpiの画像を、30枚/分(LTR縦送り:プロセススピード約200mm/s)で形成可能であり、寿命10万枚の装置である。
【0024】
<プリンタ制御装置>
図2(a)を用いて画像形成装置100が備えるプリンタ制御装置304について説明する。
図2(a)に示すように、プリンタ制御装置304とホストコンピュータ300がプリンタシステム(画像形成システム)を構成する。
【0025】
ホストコンピュータ300は、ユーザからの指示内容や形成されるべき画像の元となる画像データを有する情報処理装置である。プリンタ制御装置304は、ホストコンピュータ300と通信を行って受信した情報を用いて画像形成装置100を制御する。ホストコンピュータ300は、例えば、インターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワーク上のサーバーやパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末であってもよい。プリンタ制御装置304は、大別してコントローラ301とエンジン制御部302に分かれている。
【0026】
コントローラ301は、画像処理部303及びコントローラインターフェイス305を有する。コントローラインターフェイス305は、プリンタ制御装置304内外の通信を行う。画像処理部303は、コントローラインターフェイス305を介してホストコンピュータ300から受信した画像データを処理する。画像データ処理としては、文字コードのビットマップ化や、グレイスケール画像のハーフトーニング処理等がある。
【0027】
またコントローラ301は、コントローラインターフェイス305を介してエンジン制御部302のビデオインターフェイス310へ画像データを送信する。本実施例の画像データには、画像処理部303が算出した、加熱ヒータ11の温度を維持するための目標温度についての情報も含まれる。目標温度の算出方法については後で詳述する。
【0028】
エンジン制御部302は、ビデオインターフェイス310、CPU(Central Processing Unit)311、ROM(Read Only Memory)312、RAM(Random Access Memory
)313、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回
路)314を含む。コントローラ301は、レーザスキャナ3の点灯タイミングの情報をASIC314に送信し、プリントモード及び画像サイズ情報をCPU311に送信する。コントローラ301は、レーザスキャナ3の点灯タイミングの情報をCPU311に送信する。
【0029】
CPU311は、プログラムやユーザ指示等に従い、ROM312やRAM313を用いて、エンジン制御部302の各種制御を行う。CPU311は単一のプロセッサでもよく、マルチプロセッサ構成であってもよい。コントローラ301は、ユーザによるホストコンピュータ300を用いた指示に応じて、プリント命令、キャンセル指示などをエンジン制御部302に送信し、印字動作の開始や中止などの動作を制御する。
【0030】
図2(b)は、本実施例のエンジン制御部302を、機能ブロックの観点から図示した
ものである。エンジン制御部302は、機能ブロックとして定着制御部320、給紙搬送制御部330及び画像形成制御部340を有する。CPU311は、必要に応じて、RAM313に情報を保存する、ROM312もしくはRAM313に保存されたプログラムを使用する、ROM312もしくはRAM313に保存された情報を参照するなどの処理を行う。CPU311によるこのような処理により、エンジン制御部302が
図2(b)に示す各部として機能する。機能ブロックは、エンジン制御部302が実行するプログラムモジュールだと考えてもよい。
【0031】
定着制御部320は、加熱定着装置6の温度を制御する。給紙搬送制御部330は、給紙ローラ102の動作間隔を制御する。画像形成制御部340は、プロセススピード制御、現像制御、帯電制御及び転写制御等を行う。画像形成装置100が行う処理(例えば、エンジン制御部302や画像処理部303が行う処理)の一部または全部を、ホストコンピュータ300や、ネットワーク上のサーバー(不図示)のような処理装置が行ってもよい。また、エンジン制御部302が行う処理の一部又は全部を画像処理部303が行ってもよいし、画像処理部303が行う処理の一部又は全部をエンジン制御部302が行ってもよい。
【0032】
<加熱定着装置>
図3を用いて加熱定着装置6について説明する。本実施例の加熱定着装置6はフィルム加熱方式であり、加熱装置としてのフィルムユニット10と、加圧ローラ20で構成される。フィルムユニット10は、伝熱部材としての加熱用回転体である耐熱性の定着フィルム13と、加熱部材である加熱ヒータ11と、ヒータ保持部材であるホルダー12で構成される。定着フィルム13の内部に加熱ヒータ11が設けられている。加圧ローラ20は、フィルムユニット10に対向して設けられる。
【0033】
加熱定着装置6が、定着フィルム13と加圧ローラ20との間に形成された定着ニップ部において、トナー像tが形成された記録材Pを挟持搬送することにより、定着フィルム13と一緒に搬送されるトナー像tが、記録材Pに定着される。定着ニップ部は、記録材Pの主走査方向(搬送方向と直交する方向)に延伸して設けられ、副走査方向に搬送される記録材Pを連続的に加熱する。なお、トナー画像を記録材に定着させられるのであれば、加熱定着装置6は本実施例の構成に限定されない。
【0034】
加熱ヒータ11における定着フィルム13との摺動面の反対側の面には、温度検知部材としてのサーミスタ14が当接配置されている。エンジン制御部302は、サーミスタ14の検知温度に基づいて、加熱ヒータ11の温度が所望の温度となるように、定着制御部320が加熱ヒータ11に流す電流を制御する。
【0035】
(定着フィルム)
定着フィルム13は、SUS等の薄い金属製素管の表面に、直接又はプライマ層を介してPFA、PTFE、FEP等の離型性層をコーティング又はチューブ被覆した、複合層フィルムである。金属製素管に代えて、ポリイミド等の耐熱樹脂とグラファイトなどの熱伝導フィラーを混練したものを筒状に成型した基層を用いてもよい。本実施例では、基層ポリイミドにPFAをコーティングした定着フィルム13を用いた。本実施例の定着フィルム13は、総膜厚は80μmで、外周長は56mmである。定着フィルム13は内部の加熱ヒータ11及びホルダー12に摺擦しながら回転するため、加熱ヒータ11及びホルダー12と定着フィルム13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。本実施例では、加熱ヒータ11及びホルダー12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させることにより、定着フィルム13をスムーズに回転可能とした。
【0036】
(加圧ローラ)
加圧ローラ20は、芯金21、弾性層22及び離型層23を有する。鉄等からなる芯金21の上に絶縁性のシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムを発泡することにより、弾性層22が形成される。弾性層22の上に、接着層としてプライマ処理されて接着性をもつRTVシリコーンゴムが塗布されている(不図示)。そして、離型層23を、接着層を介して弾性層22に形成している。離型層23としては例えば、PFA、PTFE、FEP等に、カーボン等の導電剤を分散させたチューブを被覆又はコーティング塗工したものを用いる。
【0037】
本実施例では、加圧ローラ20の外径は20mmであり、硬度は48°(Asker-C 600g荷重)である。加圧ローラ20は、不図示の加圧手段により、長手方向両端部から147N(15kgf)で加圧されている。これにより、加熱定着に必要な定着ニップ部が形成される。また、加圧ローラ20は、長手方向端部から芯金21を介して不図示の回転駆動手段により、
図3の矢印R2の方向(紙面で反時計回り)に回転駆動される。これにより、定着フィルム13はホルダー12の外側を
図3の矢印R3の方向(紙面で時計回り)に従動回転する。
【0038】
(加熱ヒータ)
加熱ヒータ11は、定着フィルム13の内部に設けられている。加熱ヒータ11は、セラミックであるアルミナ又は窒化アルミから成る基板(絶縁基板)113と、基板113上に形成された抵抗発熱層(発熱体)112を有する。抵抗発熱層112は、絶縁と耐摩耗性向上のために、薄肉のオーバーコートガラス111で覆われており、オーバーコートガラス111が定着フィルム13の内周面に接触している。オーバーコートガラス111は耐電圧と耐摩耗性に優れており、定着フィルム13に摺動するように構成および配置されている。
【0039】
実施例では、オーバーコートガラス111の熱伝導率が1.0W/m・Kであり、耐圧特性が2.5kV以上であり、膜厚が70μmである。実施例ではまた、基板113の材質はアルミナであり、その寸法は、幅6.0mm、長さ260.0mm、厚み1.00mmである。また、基板113の熱膨張率は7.6×10-6/℃である。実施例の抵抗発熱層112は、銀パラジウム合金で形成されている。抵抗発熱層112の総抵抗値は20Ω、抵抗率の温度依存性は700ppm/℃である。
【0040】
(ホルダー)
ホルダー12は、加熱ヒータ11を保持する部材であるとともに、定着ニップ部の裏側への放熱を防ぐ断熱ステイホルダーである。ホルダー12は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。定着フィルム13は、ある程度の余裕をもってホルダー12に外嵌されて、回転自在に配置されている。本実施例のホルダー12は、材質が液晶ポリマーであり、260℃の耐熱性を有し、熱膨張率が6.4×10-5/℃である。
【0041】
<エンジン制御部>
エンジン制御部302は制御プログラムに従い、サーミスタ14の検知温度を基に加熱ヒータ11を所定の目標温度に制御する。そのためにエンジン制御部302は、加熱ヒータ11が目標温度を維持するように、加熱ヒータ11に供給する電力を制御する。エンジン制御部302は、制御部の一例である。制御方法としては、比例項、積分項、微分項からなるPID制御が好ましい。下式(1)はこの制御式を示す。
f(t)=α1×e(t)+α2×Σe(t)+α3×(e(t)-e(t-1))
…(1)
ここで、各項目は以下の通りである。
t:制御タイミング
f(t):制御タイミング(t)での制御周期内のヒータ通電時間割合(1以上がフル点灯)
e(t):現在の制御タイミング(t)の目標温度と実温度との温度差
e(t-1):前回の制御タイミング(t-1)での目標温度と実温度の温度差
α1~α3:ゲイン定数
α1:P(比例)項ゲイン
α2:I(積分)項ゲイン
α3:D(微分)項ゲイン
【0042】
式(1)の右辺の第1項~第3項の順に、比例制御、積分制御、微分制御に対応している。α1~α3は、制御周期内の加熱ヒータ11の通電時間割合の増減量に重み付けを行うための比例係数である。加熱定着装置6の特性に応じてα1~α3を設定することで、適切な温度制御を可能にする。エンジン制御部302は、f(t)の値に応じて制御周期内での加熱ヒータ11の通電時間を決定し、不図示のヒータ通電時間制御回路を駆動させて、加熱ヒータ11の出力電力を決定する。なお、D項が必要でなければ、D項ゲインを0に設定することでP項とI項のみが機能するPI制御で制御しても良い。実施例では、制御タイミングは制御周期100msec間隔で更新され、P項ゲイン(α1)を0.05℃-1、I項ゲインを0.01℃-1(α2)、D項ゲインを0.001℃-1(α3)とする。本実施例では、f(t)値が1のとき制御周期内の通電時間が最大となり、計算結果が1より大きい場合は制御周期内の最大通電時間を通電する設定とする。
【0043】
ここで、
図4は、エンジン制御部302による加熱ヒータ11の目標温度の制御シーケンスを示す。前回転中(印字動作の開始から記録材Pの先端が定着ニップ部に突入するまでの間)は、エンジン制御部302は、目標温度Toを維持するように加熱ヒータ11への電力供給を制御する。ここでの目標温度Toは170℃とする。
【0044】
続いて、通紙中(記録材Pの先端が定着ニップ部に突入してから記録材Pの後端が定着ニップ部を抜けるまでの間)は、エンジン制御部302は目標温度Tを維持するように加熱ヒータ11への電力供給を制御する。通紙中の目標温度Tは170℃以上204℃以下の範囲であり、後述する算出方法によって決定される。
【0045】
また、紙間(記録材Pの後端が定着ニップ部を抜けてから後続の記録材Pが定着ニップ部に突入までの間)については、エンジン制御部302は目標温度(例えば、180℃)を維持するように、加熱ヒータ11への電力供給を制御する。
【0046】
<画像処理部>
(画像データから目標温度を算出)
画像処理部303は、CPU等のプロセッサ及びROM、RAM等のメモリを有する。なお、エンジン制御部302として機能する情報処理装置を画像処理部303として機能させてもよい。画像処理部303は、グレイスケール画像のハーフトーニング処理の他に画像データから目標温度を算出する処理も行う。以下の例では、1枚の記録材Pの表面に画像データに応じたトナー像が形成される場合の、画像処理部303の処理を述べる。
【0047】
~第一判定方法(分割領域の画像濃度情報に基づく仮目標温度決定)~
第一の判定方法では、画像処理部303は、画像データをエリアとリージョンに分割したうえで、各リージョンを7つの代表値に分類する。次に、分類した代表値を各リージョンでの温度の加算量に変換してから、副走査方向に加算する。そして、複数の主走査エリアでの加算値の中から最大値を選択し、その値をベースの温調に加算して、仮目標温度T1(第一の目標温度)を算出する。以下、工程ごとに順次説明する。
【0048】
<画像データの分割>
図5を参照しつつ、画像処理部303による画像データの分割について述べる。以下の説明において「副走査方向」は記録材Pの搬送方向であり、「主走査方向」は副走査方向に直交する方向である。また図示するように、「副走査エリア」は画像データを副走査方向に連続するように分割した各エリアであり、「主走査エリア」とは画像データを主走査方向に連続するように分割した各エリアである。
【0049】
(主走査エリア分割工程)
画像処理部303は、画像データ全域を主走査方向に分割して主走査エリアを設ける。本実施例では分割数は4とした。ここで、LTRサイズ(短辺216mm)の紙が加熱定着装置に供給されるときの紙の中心を、加熱定着装置上の原点と設定し、座標を0mmと置く。そして、搬送方向に対して左側を負、右側を正と定義する。本実施例では、表1と
図5に示すように、各主走査エリアを設定した。すなわち、主走査エリアMS
1は-108mm~-54mm、主走査エリアMS
2は-54mm~0mm、主走査エリアMS
3は0mm~+54mm、主走査エリアMS
4は+54mm~+108mmの範囲である。
【表1】
【0050】
(副走査エリア分割工程)
画像処理部303は、画像データ全域を副走査方向に分割して副主走査エリアを設ける。本実施例では分割数は5とした。画像開始位置を加熱定着装置上の原点と設定し、座標を0mmと置く。本実施例では、表2と
図5に示すように、各副走査エリアを設定した。すなわち、副走査エリアSS
1は0mm~56mm、副走査エリアSS
2は56mm~112mm、副走査エリアSS
3は112mm~168mm、副走査エリアSS
4は168mm~224mm、副走査エリアSS
5は224mm~280mmの範囲である。なお、副走査エリア範囲を56mmとしたのは、副走査方向における副走査エリアの長さを、本実施例での定着フィルム13の周長に略一致させるためである。この長さとする理由は、目標温度Tの決定処理の部分で後述する。ここで略一致するとは、完全に同じ長さでなくとも良いが、温度低下抑制に効果がある程度に一致させることが好ましい。
【表2】
【0051】
(リージョン設定工程)
画像処理部303は、主走査エリアおよび副走査エリアで区画される一つの領域をリージョンとして設定する。以下、主走査エリアMSn、かつ副走査エリアSSkより区画される範囲を、「リージョンR(k,n)」と呼ぶ。
【0052】
<リージョンのランク分け>
画像処理部303は、リージョンR(k,n)内での印字量を算出する。
【0053】
(高濃度ピクセルのカウント)
まず画像処理部303は、所定値以上の濃度を有するピクセルの数を取得する。ここでは、各リージョンにおいて、4%以上のグレイ濃度を有する高濃度ピクセルを抽出する。そして、リージョンR(k,n)における高濃度ピクセルの総数をカウントし、N(k,n)(個)とする。
【0054】
そして画像処理部303は、リージョンR
(k,n)内における高濃度ピクセルの総数N
(k,n)を、表3に基づいて、ランク0~ランク6まで7段階のランクに分類する。
【表3】
【0055】
このようにして算出されたリージョンR(k,n)内の印字量のランクを、Rank(k,n)とする。以上の処理手順により、画像データ全域の印字量情報を、20個のリージョン毎の7段階のランク情報に集約できる。
【0056】
<仮目標温度T1への換算>
続いて画像処理部303は、各リージョンの印字量のランクに基づいて仮目標温度T1を決める。以下、想定する印字形状および関連する現象と共に説明する。
【0057】
(想定画像と温度低下の影響)
まず、具体的な処理内容について述べる前に、温度低下の影響が大きい想定画像として、各ランクについて、縦帯状に印字がなされるような画像データについて検討する。すなわち画像処理部303は、各リージョンの印字量のランクが決定されると、そのランクに基づいたピクセル数の幅で、当該リージョン内で副走査方向一杯に広がる長方形の印字(以下、縦帯状の印字と呼ぶ)を行うことを想定する。そして、縦帯状印字が十分に定着可能な目標温度を想定する。
【0058】
例えば、副走査方向の長さが56.5mmであれば、主走査方向における縦帯状印字の幅は次のように想定される。ランク0のとき0.042mm、ランク1のとき1mm、ランク2のとき2mm、ランク3のとき4mm、ランク4のとき8mm、ランク5のとき16mm、ランク6のときリージョンの主走査方向全幅である。このように想定する理由は、かかる縦帯状印字が、ある印字量のランクにおいて最も高い目標温度Tを必要とするからである。すなわち、縦帯状にトナーが配置されていると、加熱定着装置6の加熱を担う部材(定着フィルム13や加熱ヒータ11など)の主走査方向の特定の位置から熱が奪われ続ける。すると、その部分の温度が低下して定着性能が低下してしまう。よって、低下する熱を補うために、目標温度Tを高くする必要がある。
【0059】
このような温度低下現象は、縦帯の主走査方向の太さが細ければ、周囲の部材から流入
する熱により補償されるのでほぼ無視できる。しかし、縦帯が太くなればなるほど、縦帯の中央部までは熱が流入しづらくなるため、温度低下の程度が大きくなって無視できなくなり、より高い目標温度Tが必要になる。
【0060】
図6は、縦帯の主走査方向の幅と、目標温度Tの補正量の関係を示す。ここで、幅0.042mm、搬送方向の長さ56.5mmの縦線を定着させるのに必要な目標温度Tを基準とおく。このとき、幅1mmの縦線の定着に必要な目標温度Tは2℃高い。また、幅16mmの縦帯の定着に必要な目標温度Tは4℃高い。なお、主走査方向の幅が広くなればなるほど目標温度Tの上昇率は緩やかになり、幅が58mmを超えると、縦帯の外部からの熱の流入の影響がほとんど無くなるため、さらなる温度補正は不要となる。
【0061】
なお、本実施例の記載では、目標温度の基本の値を設定し、画像データに基づいてその基本の値への補正量(加算量)を算出するという構成としている。しかし、最終的に画像データに基づいて目標温度が算出できるのであれば、この方法には限定されない。例えば、基本の値や補正量を設定せず、画像データに基づいて直接目標温度を算出する方式でもよい。
【0062】
なお、この温度低下現象は、縦帯の副走査方向の長さが長いほど大きくなり、特に、副走査方向の長さが定着フィルム13の周長の定数倍を超えるときに顕著になる。
図7は、搬送方向(副走査方向)における縦帯の長さと、温度低下の補償に必要となる目標温度Tの補正量の関係を示すグラフである。
【0063】
主走査方向の幅0.042mmの縦帯の場合、副走査方向の長さが56.5mmであっても、A4内の画像長さに当たる287mmであっても、必要な目標温度Tの補正量は変わらない。これは、幅0.042mm程度であれば、周囲からの熱の流入が十分であるため、局所的な部材の温度低下を無視できるためである。
【0064】
一方、主走査方向の幅1mmの縦帯の場合、部材の温度低下の程度が大きくなるため、必要な目標温度Tの補正量が、搬送方向の長さに比例して高くなっていく。このとき、
図7に示すように、定着フィルム13の周長の定数倍の長さを超えた時に、必要な目標温度Tの補正量が顕著に上昇する。これは、回転する定着フィルム13が、1周前の縦帯で熱を奪われた状態でトナーと接触し定着を行うためである。
【0065】
そこで上述したように、副走査エリア分けにおける副走査方向の長さを、定着フィルム13の周長と略一致させると、この現象を反映した演算ができるため、より高い消費電力低減効果が得られる。ここで副走査方向の長さと定着フィルム13の周長が略一致するとは、両者が厳密に同じ長さで無くとも、温度低下の影響が無視できる程度に一致していれば良いことを示す。
【0066】
(仮目標温度T1の算出)
以上の前提を踏まえ、具体的な仮目標温度T1の算出方法について述べる。仮目標温度T1は、リージョンの印字量ランクが0であった場合の温度をベースとして、リージョンの印字量が0以外であった場合に必要な補正量を、加算量ΔTとして求めることにより算出する。
【0067】
まず、本実施例において、ランク0に相当する幅0.042mmの縦帯を定着させるのに必要な温度は170℃である。そして、各リージョンがランク0以外であった場合に必要な加算量は
図6をもとに定義され、表4のようになる。これに基づいて、リージョンR
(k,n)の印字量ランクを加算量ΔT
(k,n)に変換する。
【表4】
【0068】
次に、加算量ΔT(k,n)を、副走査方向に連続する5つのリージョン(リージョン列)について加算し、目標温度の補正量の候補値としてΔTMSnを算出する。すなわち、n=1~4の5つの主走査エリアについて、それぞれΔT(1,n)、ΔT(2,n)、ΔT(3,n)、ΔT(4,n)、ΔT(5,n)を加算したものを、ΔTMSnとして算出する。これは、副走査方向に連なる5つのリージョンそれぞれに印字量ランクに相当する縦帯が配置されたときに、必要な目標温度Tが比例して上昇していくことに対応している。つまり加算量ΔT(k,n)は、リージョンR(k,n)が含まれる主走査エリアMSnにおける候補値ΔTMSnを算出するための、リージョン内の画像濃度からの変換値である。
【0069】
したがって、算出した4つの候補値ΔTMS1、ΔTMS2、ΔTMS3、ΔTMS4の中で最大のものを基本の温度(ここでは170℃)に加算したものが、仮目標温度T1である。以上説明してきた手順に従って、第一判定ではΔTMS1、ΔTMS2、ΔTMS3、ΔTMS4および仮目標温度T1を決定する。
【0070】
~第二判定方法(テキスト画像検知)~
第二の判定方法では、テキスト画像であるか否かの判定を行う。画像処理部303は、画像データ全域を、副走査方向に短く主走査方向に長い、短冊状のブロックに分割する。本実施例では、ブロックの副走査方向の長さを2mm、主走査方向の長さを画像データ全幅とする。
図8に示したように、搬送方向の先頭のブロックをブロックB1として順次番号を振っていき、先頭からi番目のブロックをブロックB
iと定義する。この例では、画像データがブロックB
1~ブロックB
140に分割されている。なお、本実施例では、テキスト画像中のテキスト及び行間が、記録材Pの搬送方向と直交する主走査方向に配列されている場合に好適な方法を例示する。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0071】
本実施例においては、ブロックごとの印字率を加算した数値Xについて、ブロック間の数値Xの差分を求めることにより、テキスト画像であるか否かの画像の種類を判別する方法について説明する。画像処理部303は、副走査方向2mm×主走査方向全域、すなわちブロックごとに印字率の算出を行う。副走査方向に隣接する2つのブロックの印字率の差分を繰り返し演算し、算出した印字率の差分の合計を差分値Sとする。そして、画像全域の印字率を印字率Dとする。差分値Sを印字率Dで割った値を印字率差Gとし、印字率差Gが閾値Yより大きいか否かで画像の種類を判別する。
【0072】
図9は、第二判定方法の手順を示したフローチャートである。ステップS901において、変換手段としての画像処理部303は副走査方向に連続した2つのブロックについて、それぞれのブロック内の印字率を加算し、数値Xを求める。ステップS902において、解析手段としての画像処理部303は副走査方向に連続した2つのブロックの数値Xの差分を求める。ステップS903において、画像処理部303はステップS902で求め
た差分を差分値Sに加算し、差分値Sの値を更新する。ステップS904において、画像処理部303は印字率を算出するブロックが最後(ここでは140番目のブロック)であるか否かを判断する。最後でなければ、ステップS901に戻り処理を繰り返し、最後であればステップS905に進む。
【0073】
ステップS905において、画像処理部303は画像全域における印字率Dを算出する。ステップS906において、画像全域における印字率Dが1%未満であるか否かを判定する。印字率Dが1%未満である場合は(S906=YES)、ステップS907において画像はパターンA(テキスト画像)であると判断する。一方、印字率Dが1%以上である場合(S906=NO)、ステップS908において画像全域における印字率Dが25%以上か否かを判定する。印字率Dが25%以上である場合(S908=YES)、ステップS909において画像はパターンB(テキスト以外の画像)であると判断する。つまり、画像データを変換して求めた数値Xに基づく各数値を解析することにより、画像の種類を判別することができる。
【0074】
さらに、画像処理部303は印字率Dが1%以上且つ25%未満(S908=NO)である場合、複数のブロックの数値Xの値を比較することで画像を判断する。具体的には、ステップS910で、連続した10のブロックにおいて、それぞれのブロックにおける数値Xが下限閾値Wより小さくなるブロックがあるか否かを判断する。ステップS910において連続10のブロックにおいて数値Xが下限閾値Wより小さくなるブロックがない場合は、印字率の高い画像を副走査方向に連続して形成していると判断できるため、ステップS909において画像はパターンBであると判断する。
【0075】
下限閾値Wは、1枚の記録材Pに形成する画像において、副走査方向における画像間隔の有無を検知するための閾値である。言い換えれば、テキスト画像における行間の認識をするための値ということもできる。1つのブロックにおける印字率の加算値である数値Xが下限閾値Wを下回る場合、そのブロックにはほとんど画像が形成されないと判断することができる。つまり、テキスト画像における行間があると認識することができる。
【0076】
なお、下限閾値Wの値を0に設定すると、1つのブロック内に1dotの画像(細い縦帯)が形成され、行間であると判断したい場合であっても、行間であると認識ができなくなってしまう。逆に、下限閾値Wの値を大きく設定してしまうと、1つのブロックの中に例えばある程度濃い画像(太い縦帯)が形成され、行間であると判断したくない場合であっても、行間であると認識してしまう。
【0077】
そこで本実施例においては、下限閾値Wの値を0.04(4%)と設定した。下限閾値Wより小さい数値Xが連続した10のブロックにおいて存在しない場合は、約20mm以上の縦帯画像が形成されると判断できる。本実施形態における加熱定着装置6を鑑みると、所定の印字率以上の画像が20mm以上続くと、定着性を確保することが困難となる可能性があるため、画像はパターンBであると判断する。また、ここでは一例として10のブロックを判断基準としたが、これに限られるものではなく、加熱定着装置6の定着性能などによって、適宜ブロック数を設定することが可能である。
【0078】
画像処理部303は印字率Dが1%以上、且つ25%未満であり、連続した10のブロックにおいて数値Xが下限閾値Wより小さくなるブロックがある場合(S910=NO)、ステップS911に進み、印字率差Gを求める。印字率差Gは、差分値S/印字率Dにより求める。ステップS911において印字率差Gが閾値以上である場合は、ステップS907において画像はパターンAであると判断する。一方、印字率差Gが閾値Yより小さい場合は、ステップS909において画像はパターンBであると判断する。
【0079】
なお、印字率差Gは値が大きくなるほど、ブロック間における印字率の差分が大きいこと示している。つまり、テキスト画像で例えるならば、テキスト画像の間に行間があるような状況を判断することができる。一方、印字率差Gは値が小さくなるほど、ブロック間における印字率の差分が小さいことを示している。つまり、部分的に印字率の高い固まりのような画像を形成する場合や、副走査方向に画像が連なる縦帯のような画像を形成する場合である可能性が高くなる。よって、閾値Yはこのようなテキスト画像であるか否かを判断できるように設定することが望ましい。本実施形態においては、一般的なテキスト画像の特徴を鑑み、閾値Yを35と設定した。
【0080】
以上説明してきたフローチャートに従って、第二判定では、画像の種類をパターンA(テキスト画像)もしくはパターンB(テキスト以外の画像)に分類する。
【0081】
~定着目標温度Tの決定方法~
第一判定方法で算出したΔTMS1、ΔTMS2、ΔTMS3、ΔTMS4と仮目標温度T1、および、第二判定方法で分類したパターンAもしくはパターンBの判定結果を用いて、定着目標温度Tを決定する方法について説明する。
【0082】
図10は本実施例における定着目標温度の決定手順を示したフローチャートである。ステップS1001において第一判定方法を実施し、仮目標温度T1を決定する。次に、ステップS1002において第二判定方法を実施し、画像をパターンAとパターンBに分類する。ここで、画像がパターンB(テキスト画像以外)と判定された場合(S1002=NO)、ステップS1003において第一判定により決定した仮目標温度T1を定着目標温度Tとして終了する。
【0083】
一方、画像がパターンA(テキスト画像)と判定された場合(S1002=YES)、ステップS1004以降で、第一判定方法で算出したΔTMS1、ΔTMS2、ΔTMS3、ΔTMS4について判断を行っていく。ステップS1004において、全てのΔTMSnが17.5℃以下であるか否かを判定する。全てのΔTMSnが17.5℃以下である場合(S1004=YES)、ステップS1005に進む。一方、ΔTMSnのいずれか一つでも17.5℃を超える場合(S1004=NO)、テキスト画像であっても縦方向に文字が連なっているため、ステップS1003において第一判定により決定した仮目標温度T1を定着目標温度Tとして終了する。このようにステップS1004では、それぞれの主走査エリアにおいてテキスト画像中のテキストの連続性を判定し、いずれの主走査エリアにおいても連続性が所定の連続性基準を超えていれば仮目標温度T1を定着目標温度Tとして用いる。本実施例では連続性基準として、基本の温度に加算するための候補値を用いている。しかし、連続性基準はこれに限られず、例えば基本の温度に候補値を加算した値を用いてもよいし、画像濃度に基づいて算出した値を用いてもよい。
【0084】
ステップS1005において、両端部であるΔTMS1およびΔTMS4が5℃以下であるか否かを判定する。両端部で5℃以下の場合(S1005=YES)、定着性が厳しい両端部には印字量が少ないため、ステップS1006に進み、テキスト画像の最小目標温度であるT3(ここでは170℃)を定着目標温度Tとして終了する。この場合、T3が第二の目標温度となる。このようにステップS1005では、端部の主走査エリアにおいてテキスト画像中のテキストの連続性を判定し、いずれの主走査エリアにおいても所定の端部連続性基準以下であれば、定着目標温度Tとして、仮目標温度T1よりも低い値を用いる。本実施例では端部連続性基準として、基本の温度に加算するための候補値を用いている。しかし、テキスト連続性基準はこれに限られず、例えば基本の温度に候補値を加算した値を用いてもよいし、画像濃度に基づいて算出した値を用いてもよい。
【0085】
一方、ΔTMS1、ΔTMS4のいずれか一方でも5℃を超える場合(S1005=N
O)、ステップS1007に進み、ΔTMS1およびΔTMS4が12.5℃以下であるかを判断する。ΔTMS1およびΔTMS4が12.5℃以下である場合(S1007=YES)、ステップS1008に進み、テキスト画像の最大目標温度であるT2(ここでは175℃)を定着目標温度Tとする。この場合、T2が第二の目標温度となる。一方、ΔTMS1、ΔTMS4のいずれか一方でも12.5℃を超える場合(S1007=NO)、テキスト画像であっても端部の印字量が多いため、ステップS1003において第一判定により決定した仮目標温度T1を定着目標温度Tとして終了する。
【0086】
このように、本実施例においては、第一判定のエリアごとの印字情報と第二判定のテキスト文書であるか否かの情報を組み合せて判定を行うことにより、テキスト文書の縦方向の印字量を検知して、最適な定着目標温度Tに設定している。なお、第一判定と第二判定を組み合わせて決定したテキスト目標温度T2、T3が第一判定時に決定した仮目標温度T1を上回ることはないため、本実施例の判定方法により、第一判定のみの場合と比べても温調温度を抑制可能である。
【0087】
(評価例)
本実施例の判定方法が、所望の消費電力低減効果を得られることを確認するための評価例について説明する。
図11A~
図11Dに、4種類のテキスト画像(それぞれ画像A~
画像Dとも呼ぶ)を示す。
図11Aは端部の印字量が少ないテキスト画像、
図11Bは端部の印字量がやや多いテキスト画像、
図11Cは端部の印字量が多いテキスト画像、
図11Dは端部の印字量が多く、かつ太字のテキスト画像の例を示す。ここでは、本実施例の判定方法に基づいて、これらの画像の定着目標温度を決定して消費電力を評価する。
【0088】
まず、
図11Aの画像について、ステップS1001の第一判定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表5のようになる。
【表5】
【0089】
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表6のようになる。結果、この評価画像の第一判定で決定される仮目標温度T1は170℃に補正値17.5℃を加算し、187.5℃になる。
【表6】
【0090】
同様に、
図11Bの画像について、第一判定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表7のようになる。
【表7】
【0091】
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表8のようになる。結果、この評価画像の第一判定で決定される仮目標温度T1は170℃に補正値17.5℃を加算し、187.5℃になる。
【表8】
【0092】
同様に、
図11Cの画像について、第一判定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表9のようになる。
【表9】
【0093】
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表10のようになる。結果、この評価画像の第一判定で決定される仮目標温度T1は170℃に補正値17.5℃を加算し、187.5℃になる。
【表10】
【0094】
同様に、
図11Dの画像について、第一判定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表11のようになる。
【表11】
【0095】
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表12のようになる。結果、この評価画像の第一判定で決定される仮目標温度T1は170℃に補正値20℃を加算し、190℃になる。
【表12】
【0096】
以上、
図11A~
図11Dにそれぞれ対応する画像A~Dの第一判定結果を表13にまとめる。
【表13】
【0097】
次に、これらの画像に対して、ステップS1002の第二判定を行う。第二判定の結果は、表14のようになり、いずれの画像もパターンA、すなわち、テキスト画像であると判断され、ステップS1004に進む。
【表14】
【0098】
次に、ステップS1004で全てのΔTMSnが17.5℃以下かどうかの判定を行う。ここで、画像Dは、ΔTMS2が20℃、ΔTMS3が19.5℃であり、17.5℃を超えている。よって、画像Dの定着目標温度Tは、ステップS1003において第一判定により決定した仮目標温度T1、すなわち190℃に決定される。
【0099】
画像A~画像Cは、ステップS1005においてΔTMS1およびΔTMS4が5℃以下かどうかの判定を行う。ここで、画像AはΔTMS1、ΔTMS4がいずれも5℃であるため、5℃以下の条件を満足し、定着目標温度Tは、ステップS1006においてテキスト最小目標温度T3、すなわち170℃に決定される。画像B、画像Cは、ステップS1007においてΔTMS1およびΔTMS4が12.5℃以下かどうかの判定を行う。画像Bは、ΔTMS1、ΔTMS4がいずれも12.5℃であるため、12.5℃以下の条件を満足し、定着目標温度Tは、ステップS1008においてテキスト最大目標温度T2、すなわち175℃に決定される。また、画像Cは、ΔTMS1が15℃、ΔTMS4が14.5℃であり、12.5℃を超えているため、定着目標温度Tは、ステップS1003において第一判定により決定した仮目標温度T1、すなわち187.5℃に決定される。
【0100】
<結果および効果>
以上の結果をまとめると表15のようになる。表15ではそれぞれの画像の温調ダウン量を示し、第一判定のみで温調温度を決定した場合と比較できるようにした。ここで、最も高印字なベタ黒画像の場合、全てのリージョンの印字量ランクが6となり、必要な加算量ΔTは4.5℃、ΔT
MSnは22.5℃であるため、目標温度の最大値は192.5℃となる。この目標温度の最大値から、本実施例の判定方法で決定した定着目標温度Tを引いたものが画像データに応じて温調を下げた量、すなわち温調ダウン量である。また、両方式で決定した温調温度でプリントを行ったときの消費電力も併せて示している。消費電力は、冷却状態から、それぞれの画像を50枚通紙するときの加熱ヒータ11への投入電力を電力計で測定することによって計測できる。
【表15】
【0101】
本実施例によれば、画像Aと画像Bの場合、第一判定のみで定着目標温度Tを算出する方式よりも、温調ダウン量が大きく消費電力が低いことが分かる。画像Aと画像Bは、第一判定で端部の印字量が少ないことがわかり、さらに第二判定でテキスト画像であることがわかったため、大幅に温調ダウンを行うことができる。画像Cにおいては、第二判定で
はテキスト画像であるものの、第一判定の結果で端部の印字量が大きいため、温調を大幅に下げることはしない。画像Dにおいては、第二判定ではテキスト画像であるものの、第一判定の結果で印字量が大きいため、太字であると判断して、温調を大幅に下げることはしない。画像Cと画像Dともに、第一判定で決定した仮目標温度T1を定着目標温度として採用している。
【0102】
以上説明したように本発明によれば、エリアごとの印字情報とテキスト文書であるか否かの情報を組み合わせて判定を行うことにより、テキスト文書の文字の太さ、文字配列、印字の偏りを予測して最適な定着目標温度に設定する。これにより、第一判定のみ、すなわちエリアごとの印字情報に基づいて定着目標温度を決定する従来の判定方法と比較して、さらなる消費電力低減効果を得ることができる。
【0103】
<変形例>
本実施例においては、搬送方向に直交する方向の主走査エリアの幅が略均等になるようにした。しかし、画像形成装置の構成や状態によっては、主走査エリアの幅を不均等としてもよい。例えば、加熱定着装置6の暖気状態によってフィルムユニット10や加圧ローラ20の両端部の温度低下が懸念される場合には、両端部のエリアの主走査方向の幅を狭くして、管理を厳しくすることもできる。
【0104】
本実施例においては、各エリアの印字量ランクを加算量ΔTに換算するときに、どのエリアについても同じ値を使用していた。しかし、エリアによって重みづけを行ってもよい。例えば、加熱ヒータ11に局所的に発熱量が弱いエリアがある場合には、その部分の加算量を別テーブルとし、他のエリアと比較して大きな値を設定してもよい。
【0105】
本実施例においては、A4/LTR縦送りのプリンタを想定し、画像の全幅を最大216mmとして定義した。しかし、A4横送りや、もっと幅の広いプリンタについて、画像の全幅を297mmや、もっと広い幅とし、分割数を増やしたりして対応したりしてもよい。また、逆にB5やA5などの小サイズのプリンタについて、幅狭い設定を適用してもよい。
【0106】
本実施例では、第二判定であるテキスト画像であるか否かの判定方法において、搬送方向に連なるブロックの印字率を用いて計算を行った。しかし、ホストコンピュータで文書を作成するために用いられたアプリケーションから文字のフォント、サイズ、文字数、行間などの情報を取得して判定を行ってもよい。
【0107】
本実施例ではモノクロタイプのレーザビームプリンタで説明を行ってきたが、カラーレーザビームプリンタでも同様の処理が可能である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のカラーレーザビームプリンタを例とすると、各色の最大濃度を100%とし、各色の合計濃度が100%以上のピクセルの総数をカウントしてもよい。
【0108】
以上述べたように、本発明の実施例によれば、定着装置を用いてトナーを加熱定着する画像形成装置において、定着温度が可及的に抑制できる。したがって、必要最小限の定着温度で定着を行うことができ、消費電力を抑制できるようになる。
【0109】
本発明は、実施例の処理を実行する画像形成装置として捉えてもよく、かかる画像形成装置を用いた画像形成方法や、画像形成装置の制御方法として捉えてもよい。
【0110】
また本発明は、実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0111】
また、コンピュータが当該プログラムを実行する方法により、各実施例における各処理を実現してもよい。上記プログラムは、例えば、ネットワークを通じて、又は、非一時的にデータを保持するコンピュータ読取可能な記録媒体等から上記コンピュータに提供されてもよい。上記プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体等に記録してもよい。
【符号の説明】
【0112】
6:加熱定着装置、50:画像形成部、100:画像形成装置、304:プリンタ制御装置