(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】半導体装置及び電圧生成方法
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
G05F1/56 310C
(21)【出願番号】P 2021059107
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 鉄男
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-86021(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0244790(US,A1)
【文献】特開2008-311863(JP,A)
【文献】特開平7-121252(JP,A)
【文献】特開2020-4214(JP,A)
【文献】特開2009-80653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々が、出力電圧を出力すると共に、前記出力電圧に対応した電圧を帰還電圧として出力する第1~第N(Nは2以上の整数)の電圧出力回路と、
前記第1~第Nの電圧出力回路が出力したN個の帰還電圧が夫々入力され、第1~第Nの電流を個別に第1のノードに流す第1~第Nの一次側トランジスタ、及び基準電圧が入力され、当該基準電圧に対応した基準電流を前記第1のノードに流す二次側トランジスタを含む差動回路と、を有し、
前記差動回路は、
前記第1~第Nの一次側トランジスタに夫々個別に縦続接続されており前記第1~第Nの電流が夫々に流れる第1~第Nの一次側負荷トランジスタ、及び前記二次側トランジスタに縦続接続されており前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタに流れる前記第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流が流れる二次側負荷トランジスタを有するカレントミラー回路を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1~第Nの電圧出力回路は、前記二次側トランジスタと前記二次側負荷トランジスタとの接続点の電圧である制御電圧を受け、前記制御電圧に対応した出力電流を自身の出力ノードに送出することで前記出力ノードに生じた電圧を前記出力電圧として出力することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1~第Nの電圧出力回路各々の前記出力ノード同士を短絡する出力短絡線と、
前記出力短絡線に接続されており、コンデンサを外付けする為の単一のパッドと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタの各々は、電源電位がソースに印加されており、ゲート及びドレインが互いに接続されているpチャネル型トランジスタからなり
前記二次側負荷トランジスタは、電源電位がソースに印加されており、ゲートが前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタ各々のゲートに接続されており、ドレインが第2のノードに接続されているpチャネル型トランジスタからなり、
前記第1~第Nの一次側トランジスタは、夫々のドレインが前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタのドレインに個別に接続されており、夫々のソースが前記第1のノードに共通に接続されており、夫々のゲートで前記帰還電圧を受けるnチャネル型トランジスタからなり、
前記二次側トランジスタは、ドレインが前記第2のノードを介して前記二次側負荷トランジスタのドレインに接続されており、ソースが前記第1のノードに接続されており、ゲートで前記基準電圧を受けるnチャネル型トランジスタからなり、
前記第2のノードの電圧を前記制御電圧として前記第1~第Nの電圧出力回路に供給することを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1~第Nの電圧出力回路の各々は、
前記制御電圧をゲートで受け、電源電圧に基づき前記制御電圧に対応した電流を生成し、これを前記出力電流として前記出力ノードに送出する出力トランジスタと、
前記出力ノードに一端が接続されている第1の抵抗、及び前記第1の抵抗の他端に接続されている第2の抵抗を含み、前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗で前記出力電圧を分圧した電圧を前記帰還電圧として生成する帰還抵抗部と、を含むことを特徴とする請求項2~4のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の抵抗値は、前記第1~第Nの電圧出力回路毎に固有の値に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1のノードに接続されており、前記第1~第Nの電流を合成した電流と前記基準電流とを合わせた総電流に対応したバイアス電流を生成するバイアス電流生成回路を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1~第Nの一次側トランジスタ及び前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタは、前記二次側トランジスタ及び前記二次側負荷トランジスタの近傍位置に配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1~第Nの一次側トランジスタ及び前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタ夫々が、前記第1~第Nの電圧出力回路各々の近傍位置に分散して配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項10】
夫々が、アナログ又はディジタル回路網からなり前記出力電圧を受ける第1~第Nの回路ブロックが形成されている回路領域を含み、
前記第1~第Nの電圧出力回路は、前記回路領域の外周領域において、夫々が前記回路ブロック各々の近傍位置に分散して配置されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項11】
電源電圧を受ける電源パッドが半導体チップの四角のうちの1つの角の近傍に配置されており、
前記差動回路は、前記電源パッドの近傍に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
制御電圧を受けて前記制御電圧に対応した出力電圧を生成する第1~第N(Nは2以上の整数)の電圧出力回路と、第1~第Nの一次側負荷トランジスタ及び二次側負荷トランジスタを含むカレントミラー回路、第1~第Nの一次側トランジスタ、及び前記二次側負荷トランジスタに縦続接続されている二次側トランジスタを含む差動回路と、を有する半導体装置における前記出力電圧を生成する電圧生成方法であって、
前記第1~第Nの電圧出力回路の各々が、前記制御電圧に対応した電流を生成して自身の出力ノードに送出することで前記出力ノードに生じた電圧を前記出力電圧として出力すると共に、前記出力電圧に対応した電圧値を有する帰還電圧を生成し、
前記差動回路が、前記第1~第Nの電圧出力回路で生成されたN個の前記帰還電圧を受け、第1~第Nの電流を前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタ及び前記第1~第Nの一次側トランジスタを介して第1のノードに流すと共に、前記第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流をコピーして前記二次側負荷トランジスタに流しつつ、基準電圧に対応した基準電流を前記二次側トランジスタを介して前記第1のノードに流し、前記第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流を二次側負荷トランジスタに流すことで前記二次側トランジスタと二次側負荷トランジスタとの接続点に生じた電圧を、前記制御電圧として前記第1~第Nの電圧出力回路に供給することを特徴とする電圧生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、及び定電圧を生成する電圧生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置としてのICチップには、各種の機能を担う複数の回路ブロックの他に当該回路ブロックを動作させる為の電源電圧を生成するレギュレータが設けられている。
【0003】
このようなレギュレータとして、生成した電源電圧を1つの電源出力端子を介して複数の回路ブロックに供給するトランジスタと、当該トランジスタを制御する差動増幅回路と、を含むものが提案された(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の差動増幅回路は、負荷を有する各回路ブロックが実際に受けた複数の電圧を受ける複数の非反転入力端子を備えており、当該複数の非反転入力端子で受けた複数の電圧を加算したものと、基準電圧との差に応じて、上記したトランジスタの出力電流を制御する。
【0004】
また、当該レギュレータとして、電圧値一定の基準電圧を生成する回路と、当該基準電圧に対応した出力電圧を電源電圧として2系統の回路ブロックに個別に出力する2系統のバッファアンプ及び電源出力端子と、を含むものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、複数の非反転入力端子を備えた差動増幅回路として、夫々が各非反転入力端子で受けた電圧の1つと基準電圧とを受ける複数の差動対と、1系統のカレントミラー回路とを含むものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。)当該複数の差動対の各々は、反転端子で受けた基準電圧と、非反転入力端子で受けた電圧との比に対応した電流を流す第1及び第2の電流路を有する。複数の差動対各々の第1の電流路は、カレントミラー回路の入力側の電流路に共通に接続されており、第2の電流路はカレントミラー回路の出力側の電流路に共通に接続されている。この際、当該カレントミラー回路の入力側の電流路に含まれるトランジスタに流れた電流に対応した電流が出力側の電流路に含まれるトランジスタにコピーされる。かかる構成により、特許文献3に記載の差動増幅回路では、各非反転入力端子で受けた電圧を加重平均した電圧と、反転入力端子で受けた基準電圧との差に対応した電圧がカレントミラー回路の出力側の電流路上に生成され、これが出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-86021号公報
【文献】特開2004-110750号公報
【文献】特開2018-180378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のレギュレータでは、当該レギュレータが生成した電源電圧の配線を介して複数の回路ブロックに夫々供給する。この際、配線長が長くなるほど配線抵抗が高くなり、その分だけ、負荷を有する回路ブロックで消費される電流の増加に伴う電源電圧の低下量が大きくなる。
【0008】
尚、特許文献2に記載のレギュレータでは、複数の回路ブロック毎に個別に出力するバッファアンプ及び電源出力端子を設けているので、配線抵抗に伴う電源電圧の低下量の増大を抑えることが可能となる。
【0009】
そこで、特許文献2の技術を特許文献1に適用すると共に、この特許文献1に記載されている複数の非反転入力端子を備えた差動増幅回路として、特許文献3に記載の構成を採用することが考えられる。この際、各回路ブロックからの帰還電圧は、差動増幅回路の複数の非反転入力端子に夫々供給されることになる。これにより、特許文献3に記載の構成を採用した差動増幅回路のカレントミラー回路では、各帰還電圧に対応した電流を合成した電流が入力側の電流路(一次側電流路とも称する)に含まれる1つのトランジスタに流れる。
【0010】
ところで、複数の回路ブロック各々からの帰還電圧の変動タイミング及び大きさは回路ブロック毎に異なる。この際、カレントミラー回路の一次側電流路に含まれる1つのトランジスタでは、複数の回路ブロック各々で個別に生じる電流変動に対応できず、複数の回路ブロック夫々に電源電圧を安定して生成することが困難になるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、複数の回路ブロック夫々に電源電圧を安定して供給することが可能な半導体装置及び電圧生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る半導体装置は、夫々が、出力電圧を出力すると共に、前記出力電圧に対応した電圧を帰還電圧として出力する第1~第N(Nは2以上の整数)の電圧出力回路と、前記第1~第Nの電圧出力回路が出力したN個の帰還電圧が夫々入力され、第1~第Nの電流を個別に第1のノードに流す第1~第Nの一次側トランジスタ、及び基準電圧が入力され、当該基準電圧に対応した基準電流を前記第1のノードに流す二次側トランジスタを含む差動回路と、を有し、前記差動回路は、前記第1~第Nの一次側トランジスタに夫々個別に縦続接続されており前記第1~第Nの電流が夫々に流れる第1~第Nの一次側負荷トランジスタ、及び前記二次側トランジスタに縦続接続されており前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタに流れる前記第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流が流れる二次側負荷トランジスタを有するカレントミラー回路を含む。
【0013】
本発明に係る電圧生成方法は、制御電圧を受けて前記制御電圧に対応した出力電圧を生成する第1~第N(Nは2以上の整数)の電圧出力回路と、第1~第Nの一次側負荷トランジスタ及び二次側負荷トランジスタを含むカレントミラー回路、第1~第Nの一次側トランジスタ、及び前記二次側負荷トランジスタに縦続接続されている二次側トランジスタを含む差動回路と、を有する半導体装置における前記出力電圧を生成する電圧生成方法であって、前記第1~第Nの電圧出力回路の各々が、前記制御電圧に対応した電流を生成して自身の出力ノードに送出することで前記出力ノードに生じた電圧を前記出力電圧として出力すると共に、前記出力電圧に対応した電圧値を有する帰還電圧を生成し、前記差動回路が、前記第1~第Nの電圧出力回路で生成されたN個の前記帰還電圧を受け、第1~第Nの電流を前記第1~第Nの一次側負荷トランジスタ及び前記第1~第Nの一次側トランジスタを介して第1のノードに流すと共に、前記第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流をコピーして前記二次側負荷トランジスタに流しつつ、基準電圧に対応した基準電流を前記二次側トランジスタを介して前記第1のノードに流し、前記第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流を二次側負荷トランジスタに流すことで前記二次側トランジスタと二次側負荷トランジスタとの接続点に生じた電圧を、前記制御電圧として前記第1~第Nの電圧出力回路に供給する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、差動回路の負荷となるカレントミラー回路の一次側として、N個の帰還電圧を受け、第1~第Nの電流を夫々個別に流す第1~第Nの負荷トランジスタを設けている。
【0015】
これにより、当該カレントミラー回路の一次側としてN個の帰還電圧を受け、第1~第Nの電流の合成電流を単一の負荷トランジスタに流すものを採用した場合に比べて、複数の回路ブロック夫々で個別に生じる電流変動に対応でき、複数の回路ブロック夫々に電源電圧を安定して供給することができる。
【0016】
したがって、本発明によれば、複数の回路ブロック夫々に電源電圧を安定して供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施例に係る半導体装置としての半導体チップのチップレイアウトの一例を示す図である。
【
図2】第1の実施例に係る半導体装置に含まれるレギュレータを示す回路図である。
【
図3】第2の実施例に係る半導体装置としての半導体チップのチップレイアウトの一例を示す図である。
【
図4】第2の実施例に係る半導体装置に含まれるレギュレータの一部である電圧制御部に形成される回路の一例を示す回路図である。
【
図5】第2の実施例に係る半導体装置に含まれるレギュレータの一部である第1~第5の出力部のうちから第1及び第2の出力部を抜粋して夫々に形成される回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
図1は、第1の実施例に係る半導体装置としての半導体チップ100のチップレイアウトの一例を示す図である。
【0020】
半導体チップ100には、夫々がアナログ又はディジタル回路網からなる回路ブロックA~Eが形成されている。回路ブロックA~Eは、夫々負荷を有している。
【0021】
また、半導体チップ100には、チップ外部から供給された電源電圧VDDに基づき、これら回路ブロックA~Eを動作させる電源電圧を生成して各回路ブロックに出力するレギュレータ200として電圧制御部10及び出力部11A~11Eが配置されている。
【0022】
また、半導体チップ100には、チップ外部から電源電圧VDDを受けるための電源パッドPDgと、出力安定化用のコンデンサCuを外付けするためのパッドPDcと、が配置されている。尚、電源パッドPDgは、矩形状の表面を有する半導体チップ100の4角のうちの1つの角の近傍に配置されている。
【0023】
更に、半導体チップ100には、以下のように電源線VL、帰還線a~e、電圧制御線VCL、出力短絡線SLが配線されている。
【0024】
電源線VLは、電源パッドPDgに接続されており、電圧制御部10、回路ブロックA~E、出力部11A~11Eを囲むように半導体チップ100の外周に沿って配線されている。
【0025】
帰還線aは、電圧制御部10及び出力部11A間に配線されている。帰還線bは、電圧制御部10及び出力部11B間に配線されている。帰還線cは、電圧制御部10及び出力部11C間に配線されている。帰還線dは、電圧制御部10及び出力部11D間に配線されている。帰還線eは、電圧制御部10及び出力部11E間に配線されている。
【0026】
電圧制御線VCLは、電圧制御部10、出力部11A~11Eに沿って配線されている。
【0027】
出力短絡線SLは、上記した出力安定化用のコンデンサCuを外付けするためのパッドPDcに接続されている。更に、出力短絡線SLは、出力部11A~11Eに沿って配線されており、出力部11A~11Eの各々の出力ノードを短絡する。これにより、単一のコンデンサCuを出力部11A~11Eの各々で共有化できるので、当該コンデンサCuを外付けするためのパッドPDcも1つだけ設けておけばよい。よって、出力部11A~11E毎に、出力安定化用のコンデンサCuを外付けするためのパッドPDcを設ける場合に比べて、半導体チップ100内でのレギュレータの専有面積を抑えることが可能となる。
【0028】
電圧制御部10は、電源パッドPDgの近傍に配置されている。電圧制御部10は、電源パッドPDgを介して電源電圧VDDを受け、各回路ブロックに供給する電圧を所定の電圧値に維持させるように制御する制御電圧Vpgを生成し、電圧制御線VCLを介して出力部11A~11Eの各々に供給する。
【0029】
尚、電圧制御部10は、半導体チップ100における出力部11Aの近傍の領域MVBにおいて当該出力部11Aと共に形成されている。
【0030】
出力部11Aは、回路ブロックAの近傍における当該回路ブロックAよりも半導体チップ100の外周側に配置されている。出力部11Aは、電源線VLを介して電源電圧VDDを受け、回路ブロックAを動作させる電源電圧を出力電圧Vaとして生成する。更に、出力部11Aは、当該出力電圧Vaの電圧値に対応する電圧を帰還電圧faとして、帰還線aを介して電圧制御部10に供給する。
【0031】
出力部11Bは、回路ブロックBの近傍における当該回路ブロックBよりも半導体チップ100の外周側に配置されている。出力部11Bは、電源線VLを介して電源電圧VDDを受け、回路ブロックBを動作させる電源電圧を出力電圧Vbとして生成する。更に、出力部11Bは、当該出力電圧Vbの電圧値に対応する電圧を帰還電圧fbとして、帰還線bを介して電圧制御部10に供給する。
【0032】
出力部11C~11Eについても同様に、夫々が回路ブロックC~Eの近傍における当該回路ブロックC~Eよりも半導体チップ100の外周側に配置されている。出力部11C~11Eは、電源線VLを介して電源電圧VDDを受け、回路ブロックC~Eを夫々動作させる電源電圧を出力電圧Vc~Veとして生成する。更に、出力部11C~11Eは、出力電圧Vc~Ve各々の電圧値に対応する電圧を夫々帰還電圧fc~feとして、帰還線c~eを介して電圧制御部10に供給する。
【0033】
出力部11A~11Eを夫々の回路ブロックA~Eの近傍に設けることで、出力部11A~11Eと回路ブロックA~Eとの間に設ける配線の配線長を短くすることができる。
【0034】
図2は、チップレイアウト上において
図1に示す電圧制御部10及び出力部11A~11Eで形成されているレギュレータ200を示す回路図である。
【0035】
図2に示すように、レギュレータ200は、バイアス電流生成回路BAG、差動回路DFP、及び電圧出力回路VO1~VO5を含む。尚、
図1に示す第1の実施例では、電圧制御部10に差動回路DFP及びバイアス電流生成回路BAGが形成されている。また、
図1に示す出力部11Aに電圧出力回路VO1が形成されており、出力部11Bに電圧出力回路VO2が形成されており、出力部11Cに電圧出力回路VO3が形成されており、出力部11Dに電圧出力回路VO4が形成されており、出力部11Eに電圧出力回路VO5が形成されている。
【0036】
バイアス電流生成回路BAGは、電流源G1、及びnチャネルMOS(metal oxide semiconductor)型のトランジスタN0及びN3を含む。
【0037】
バイアス電流生成回路BAGの電流源G1は、電源電圧VDDに基づき定電流Ictを生成し、これをトランジスタN3と、トランジスタN0に供給する。トランジスタN3のドレインに電流源G1が接続され、トランジスタN3のドレイン及びゲートと、トランジスタN0のゲートが接続されている。トランジスタN3及びN0のソースには接地電位が印加されている。トランジスタN0のドレインは差動回路DFPのノードnd1に接続されている。
【0038】
かかる構成により、バイアス電流生成回路BAGは、定電流Ictに対応した電流を、差動回路DFPに流れる総電流としてのバイアス電流Ixとして、定電流源としてのトランジスタN0を介してノードnd1に流す。
【0039】
差動回路DFPは、一次側トランジスタとしてのnチャネルMOS型のトランジスタN1及びN11~N14と、二次側トランジスタとしてのnチャネルMOS型のトランジスタN2と、カレントミラー回路CMRを含む。カレントミラー回路CMRは、一次側負荷トランジスタとしてのpチャネルMOS型のトランジスタP1及びP11~P14と、二次側負荷トランジスタとしてのpチャネルMOS型のトランジスタP2を含む。
【0040】
差動回路DFPにおいて、上記したノードnd1はトランジスタN1、N2、N11~N14各々のソースに接続されている。トランジスタN1のゲートには帰還線aが接続されており、そのドレインにはカレントミラー回路CMRのトランジスタP1のドレインが接続されている。トランジスタN11のゲートには帰還線bが接続されており、そのドレインにはカレントミラー回路CMRのトランジスタP11のドレインが接続されている。トランジスタN12のゲートには帰還線cが接続されており、そのドレインにはカレントミラー回路CMRのトランジスタP12のドレインが接続されている。トランジスタN13のゲートには帰還線dが接続されており、そのドレインにはカレントミラー回路CMRのトランジスタP13のドレインが接続されている。トランジスタN14のゲートには帰還線eが接続されており、そのドレインにはカレントミラー回路CMRのトランジスタP14のドレインが接続されている。トランジスタN2のゲートには、所定の固定電圧値を有する基準電圧Vrefが印加されている。トランジスタN2のドレインは、ノードnd2を介してカレントミラー回路CMRのトランジスタP2のドレイン及び電圧制御線VCLに接続されている。
【0041】
カレントミラー回路CMRにおいて、トランジスタP1、P11~P14及びP2各々のソースには電源線VLを介して電源電圧VDDが印加されている。尚、トランジスタP1、P11~P14各々のドレイン及びゲートは、トランジスタP2のゲートに共通に接続されている。
【0042】
かかる構成により、差動回路DFPでは、トランジスタN1、N11~N14の各々が、帰還線a~eを介して夫々が受けた上記帰還電圧fa~feと基準電圧Vrefとの差に夫々対応した電流Ia~Ieを、ノードnd1に流す。更に、当該電流Ia~Ieを合成した電流に対応した電流Ipがカレントミラー回路CMRの二次側のトランジスタP2にコピーされノードnd2に送出されると共に、二次側のトランジスタN2が基準電圧Vrefに対応した基準電流Irをノードnd1に流す。この時、カレントミラー回路CMRの二次側のトランジスタP2と二次側のトランジスタN2とは縦続接続であるため、Ip=Irとなる。
【0043】
よって、基準電流Ir、及び電流Ia~Ie各々の電流値は、
Ir:Ia:Ib:Ic:Id:Ie=Vref:fa:fb:fc:fd:fe
Ix=Ir+Ia+Ib+Ic+Id+Ie
なる関係を満たす値となる。
【0044】
すなわち、差動回路DFPでは、基準電圧Vref及び帰還電圧fa~fe各々の電圧値の比で、バイアス電流Ixを、基準電流Irと、電流Ia~Ieと、に分割する。つまり、トランジスタP1及びN1からなる第1の一次側電流路で電流Iaを流し、トランジスタP11及びN11からなる第2の一次側電流路で電流Ibを流し、トランジスタP12及びN12からなる第3の一次側電流路で電流Icを流す。更に、トランジスタP13及びN13からなる第4の一次側電流路で電流Idを流し、トランジスタP14及びN14からなる第5の一次側電流路で電流Ieを流す。トランジスタP2及びN2からなる二次側電流路で基準電流Irを流す。
【0045】
これにより、帰還電圧fa~feと基準電圧Vrefの差に夫々対応した電流Ia~Ieを合成した電流に対応する電流IpがトランジスタP2にコピーされ、トランジスタN2と、カレントミラー回路CMRのトランジスタP2との接続点であるノードnd2に電流Ipを送出することでノードnd2に電圧が生成される。言い換えると、帰還電圧fa~feを合成した電圧(以降、合成帰還電圧とも称する)と、基準電圧Vrefとの差に対応した電圧が生成される。そして、このノードnd2に生成された電圧が、上記した制御電圧Vpgとして電圧制御線VCLを介して電圧出力回路VO1~VO5に供給される。
【0046】
この際、例えば、帰還電圧fa~feが基準電圧Vrefより低い場合には、両者の差が大きいほど制御電圧Vpgの電圧値が小さくなる。尚、帰還電圧fa~feが基準電圧Vref以上となる場合には、制御電圧Vpgの電圧値は大きくなる。
【0047】
電圧出力回路VO1~VO5の各々は、出力トランジスタとしてのトランジスタP0及び帰還抵抗R0、R01~R04、R1、R11~R14を含む。
【0048】
電圧出力回路VO1~VO5各々の出力トランジスタとしてのトランジスタP0のソースには、電源線VLを介して電源電圧VDDが印加されており、ゲートには電圧制御線VCLを介して制御電圧Vpgが共通に印加されている。また、各トランジスタP0のドレインには出力ノードndを介して帰還抵抗の一端が接続されている。
【0049】
電圧出力回路VO1~VO5各々の帰還抵抗は出力ノードndの電圧を分圧した分圧電圧を帰還電圧として出力する一対の抵抗からなる。また、電圧出力回路VO1の帰還抵抗は、自身の出力ノードndに直列に接続された抵抗R0及びR1からなり、電圧出力回路VO2の帰還抵抗は、自身の出力ノードndに直列に接続された抵抗R01及びR11からなり、電圧出力回路VO3の帰還抵抗は、自身の出力ノードndに直列に接続された抵抗R02及びR12からなる。また、電圧出力回路VO3の帰還抵抗は、自身の出力ノードndに直列に接続された抵抗R03及びR13からなり、電圧出力回路VO4の帰還抵抗は、自身の出力ノードndに直列に接続された抵抗R04及びR14からなる。
【0050】
尚、電圧出力回路VO1~VO5各々の帰還抵抗の抵抗値は、当該電圧出力回路VO1~VO5が接続される回路ブロックA~E各々での電流変動の大きさに基づき、夫々個別に設定される。
【0051】
ここで、電圧出力回路VO1~VO5の各々では、トランジスタP0が、電圧制御線VCLを介して受けた制御電圧Vpgに応じた出力電流をこの自身の出力ノードndに送出する。これにより、出力ノードndに生じた電圧が出力電圧として出力される。更に、電圧出力回路VO1~VO5の各々では、当該出力電圧を夫々の帰還抵抗で分圧した電圧を帰還電圧として、帰還線を介して電圧制御部10に供給する。
【0052】
すなわち、電圧出力回路VO1は、制御電圧Vpgに応じて生成された出力電圧Vaを自身の出力ノードndから出力すると共に、当該出力電圧Vaを抵抗R0及びR1で分圧して得た帰還電圧faを、帰還線aを介してトランジスタN1のゲートに供給する。電圧出力回路VO2は、制御電圧Vpgに応じて生成された出力電圧Vbを自身の出力ノードndから出力すると共に、当該出力電圧Vbを抵抗R01及びR11で分圧して得た帰還電圧fbを、帰還線bを介してトランジスタN11のゲートに供給する。電圧出力回路VO3は、制御電圧Vpgに応じて生成された出力電圧Vcを自身の出力ノードndから出力すると共に、当該出力電圧Vcを抵抗R02及びR12で分圧して得た帰還電圧fcを、帰還線cを介してトランジスタN12のゲートに供給する。電圧出力回路VO4は、制御電圧Vpgに応じて生成された出力電圧Vdを自身の出力ノードndから出力すると共に、当該出力電圧Vdを抵抗R03及びR13で分圧して得た帰還電圧fdを、帰還線dを介してトランジスタN13のゲートに供給する。電圧出力回路VO5は、制御電圧Vpgに応じて生成された出力電圧Veを自身の出力ノードndから出力すると共に、当該出力電圧Veを抵抗R04及びR14で分圧して得た帰還電圧feを、帰還線eを介してトランジスタN14のゲートに供給する。
【0053】
尚、電圧出力回路VO1~VO5各々のトランジスタP0のドレインは出力短絡線SLによって互いに短絡されている。
【0054】
以下に、
図2に示すレギュレータ200の動作について、出力電圧Va~Veとして要求される目標電圧値がRVである場合を例にとって説明する。尚、出力電圧Va~Ve各々の電圧値が目標電圧値RVと等しい場合に、基準電圧Vrefと、帰還電圧fa~feを合成した合成帰還電圧とが一致するように、少なくとも当該基準電圧Vrefの電圧値、並びに電圧出力回路VO1~VO5各々の帰還抵抗の抵抗比が設定されているものとする。
【0055】
ここで、出力電圧Va~Veが全て目標電圧値RVに維持されている間は、上記したように、基準電圧Vrefと、帰還電圧fa~feを合成した合成帰還電圧とが一致している。よって、この間、差動回路DFPは、トランジスタP0をオフ状態に設定する高電圧値を有する制御電圧Vpgを、電圧制御線VCLを介して電圧出力回路VO1~VO5各々のトランジスタP0のゲートに供給する。
【0056】
その後、例えば回路ブロックA~Eのうちの少なくとも1の回路ブロックでの負荷増大に伴う電流変動により、出力電圧Va~Veの電圧値が目標電圧値RVを下回ると、その分だけ帰還電圧fa~feの電圧値も低下する。よって、合成帰還電圧が基準電圧Vrefより低くなるので、制御電圧Vpgも低下し、電圧出力回路VO1~VO5各々のトランジスタP0がオン状態となる。これにより、トランジスタP0は当該制御電圧Vpgに応じた出力電流を送出するので、出力電圧Va~Veの電圧値が増加して行く。ここで、出力電圧Va~Veの電圧値が目標電圧値RVに到達すると、帰還電圧fa~feを合成した合成帰還電圧と基準電圧Vrefとが等しくなり、前述したように、トランジスタP0がオフ状態となる。
【0057】
このように、
図2に示すレギュレータ200では、上記した動作を繰り返すことで、回路ブロックA~Eによる電流変動に拘わらず、出力電圧Va~Veの電圧値を目標電圧値RVに維持させることができる。
【0058】
ところで、各回路ブロック間の電流変動量が大きく且つ過渡的な電流変動の速度が異なるものが用いられている場合には、変動した電圧を目標電圧値RVに至らせる過渡応答速度が低下する場合がある。
【0059】
そこで、このような場合には、回路ブロックA~Eのうちで上記したような変動が発生する回路ブロックに対応した電圧出力回路の帰還抵抗について、抵抗比は変更することなく抵抗値を小さくする。
【0060】
例えば回路ブロックAよりも回路ブロックBの電流変動量が大きい場合には、電圧出力回路VO2に含まれる帰還抵抗R01、R11の抵抗値を、電圧出力回路VO1に含まれる帰還抵抗R0、R1の抵抗値よりも小さくする。また、例えば回路ブロックAよりも回路ブロックCの電流変動量が小さい場合には、電圧出力回路VO3に含まれる帰還抵抗R02、R12の抵抗値を、電圧出力回路VO1に含まれる帰還抵抗R0、R1の抵抗値よりも大きくする。
【0061】
これにより、回路ブロックA~E各々の電流変動量が異なっていても、電圧出力回路VO1~VO5各々の過渡応答特性を均一化することが可能となるので、出力電圧のバラツキや、過大なオーバーシュート又はアンダーシュートの発生が抑制される。
【0062】
以上説明したように、本実施の半導体装置は、差動回路の負荷となるカレントミラー回路CMRの一次側として、第1~第5の負荷トランジスタP1、P11~P14を設けている。これにより、複数の回路ブロック夫々で個別に生じる電流変動に対応でき、複数の回路ブロック夫々に電源電圧を安定して供給することが可能となる。
【0063】
また、複数の回路ブロック夫々の電流変動に応じて、電圧出力回路の帰還抵抗の比は変えずに抵抗値を変更する。これにより、出力電圧のバラツキや、過度なオーバーオーバーシュート又はアンダーシュートの発生が抑制される。
【0064】
尚、上記した第1の実施例では、第1~第5の一次側電流路を二次側電流路と共に電圧制御部10で構成しているが、第1~第5の一次側電流路は夫々の電圧出力回路VO1~VO5に対応した出力部11A~11Eに含ませるようにしても良い。
【0065】
図3は、かかる点に鑑みて為された第2の実施例に係る半導体装置としての半導体チップのチップレイアウトの一例を示す図である。
【0066】
図3に示すチップレイアウトでは、出力部11A~11Eを出力部11Ax~11Exに置き換え、電圧制御部10を電圧制御部10xに置き換えると共に、帰還線a~eに代えて配線L1及びL2を配置した点を除く他の構成は、
図1に示す第1の実施例のものと同様である。
【0067】
また、
図4及び
図5で示すレギュレータの構成は、配線L1、L2が追加されている点と、レイアウトが変更されている点を除く他の構成は、
図2に示す第1の実施例のレギュレータ200と同様である。そして、
図4及び
図5では第2の実施例で特徴となる部分を抜粋している。具体的には、
図4は、
図2に示すレギュレータ200のうちで、電圧制御部10xに形成されている回路を表す回路図であり、
図5は、出力部11Ax~11Exのうちから11Ax及び11Bxを抜粋して夫々に形成されている回路を表す回路図である。
【0068】
すなわち、
図4に示すように電圧制御部10xには、
図2に示すバイアス電流生成回路BAG、カレントミラー回路CMRの二次側のトランジスタP2、及び差動回路DFPの二次側のトランジスタN2が形成されている。尚、トランジスタP2のゲートには配線L1が接続されおり、トランジスタN2のソースには配線L2が接続されている。
【0069】
また、
図5に示すように出力部11Axには、
図2に示す電圧出力回路VO1と共に、差動回路DFPの一次側トランジスタN1及びカレントミラー回路CMRの一次側負荷トランジスタP1からなる第1の一次側電流路が形成されている。尚、トランジスタP1のゲートには配線L1が接続されおり、トランジスタN1のソースには配線L2が接続されている。出力部11Bxには、
図2に示す電圧出力回路VO2と共に、差動回路DFPの一次側トランジスタN11及びカレントミラー回路CMRの一次側負荷トランジスタP11からなる第2の一次側電流路が形成されている。尚、トランジスタP11のゲートには配線L1が接続されおり、トランジスタN11のソースには配線L2が接続されている。出力部11Cxには、
図2に示す電圧出力回路VO3と共に、差動回路DFPの一次側のトランジスタN12及びカレントミラー回路CMRの一次側負荷トランジスタP12からなる第3の一次側電流路が形成されている。尚、トランジスタP12のゲートには配線L1が接続されおり、トランジスタN12のソースには配線L2が接続されている。出力部11Dxには、
図2に示す電圧出力回路VO4と共に、差動回路DFPの一次側トランジスタN13及びカレントミラー回路CMRの一次側負荷トランジスタP13からなる第4の一次側電流路が形成されている。尚、トランジスタP13のゲートには配線L1が接続されおり、トランジスタN13のソースには配線L2が接続されている。出力部11Exには、
図2に示す電圧出力回路VO5と共に、差動回路DFPの一次側トランジスタN14及びカレントミラー回路CMRの一次側負荷トランジスタP14からなる第5の一次側電流路が形成されている。尚、トランジスタP14のゲートには配線L1が接続されおり、トランジスタN14のソースには配線L2が接続されている。
【0070】
上記した第2実施例のように、第1~第5の一次側電流路を夫々対応する電圧出力回路VO1~VO5の近傍に配置することで、第1実施例と比較して帰還ノードa~eの配線長を短くすることができるため、配線間容量の影響を削減することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施の半導体装置は、第1の実施例における効果に加えて、一次側電流路を夫々対応する電圧出力回路の近傍に配置することで、配線間容量の影響を削減することが可能となる。
【0072】
尚、上記した実施例では、半導体チップ100に形成されている回路ブロックA~Eの数に合わせて、電圧出力回路VO1~VO5の数も5つとしている。しかしながら、当該電圧出力回路の数は5つに限定されず、電源電圧を必要とする回路ブロックの数に合わせて2つ以上の複数の電圧出力回路を設ければよい。
【0073】
また、上記した実施例では、
図2に示す差動回路DFP、バイアス電流生成回路BAG、及び電圧出力回路VO1~VO5によりレギュレータ200を構成している。しかしながら、これら差動回路DFP、バイアス電流生成回路BAG、及び電圧出力回路VO1~VO5により、例えば電圧値一定の基準電圧を生成する基準電圧生成回路を構成しても良い。
【0074】
要するに、このような電圧生成回路が構築される半導体装置としては、以下の差動回路、及び第1~第N(Nは2以上の整数)の電圧出力回路を含むものであれば良い。
【0075】
すなわち、第1~第Nの電圧出力回路(例えばVO1~VO5)は、夫々が、制御電圧(Vpg)を受け当該制御電圧に対応した出力電流を生成し、この出力電流を自身の出力ノード(nd)に送出することで当該出力ノードに生じた電圧を出力電圧(例えばVa~Ve)として出力する。更に、第1~第Nの電圧出力回路は、各出力電圧に対応した電圧値を有するN(Nは2の整数)個の帰還電圧(例えばfa~fe)を生成する。
【0076】
差動回路(DFP)は、以下の第1~第Nの一次側トランジスタ、二次側トランジスタ及び負荷としてのカレントミラー回路を有する。第1~第Nの一次側トランジスタ(例えばN1、N11~N14)は、第1~第Nの電圧出力回路から出力されたN個の帰還電圧(例えばfa~fe)と基準電圧(Vref)の差に夫々対応した第1~第Nの電流(例えばIa~Ie)を個別に第1のノード(nd1)に流す。二次側トランジスタ(N2)は、基準電圧(Vref)に対応した基準電流(Ir)を第1のノードに流す。カレントミラー回路(CMR)は、第1~第Nの一次側トランジスタに夫々個別に縦続接続されており第1~第Nの電流が個別に流れる第1~第Nの一次側負荷トランジスタ(例えばP1、P11~P14)と、二次側トランジスタ(N2)に縦続接続されており第1~第Nの一次側負荷トランジスタに流れる第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流(Ip)が流れる二次側負荷トランジスタ(P2)とを有する。第1~第Nの電流を合成した電流に対応した電流(Ip)を二次側トランジスタ(N2)と二次側負荷トランジスタ(P2)との接続点(nd2)に流すと共に、基準電圧(Vref)に対応した基準電流(Ir)を第1のノード(nd1)に流す。差動回路(DFP)は、二次側トランジスタ(N2)と二次側負荷トランジスタ(P2)との接続点(nd2)の電圧を、制御電圧(Vpg)として第1~第Nの電圧出力回路に供給する。
【0077】
本発明においては、差動回路の負荷となるカレントミラー回路(CMR)の一次側として、第1~第Nの電圧出力回路から出力されたN個の帰還電圧を受け、第1~第Nの電流を夫々個別に流す第1~第Nの負荷トランジスタ(例えば、P1、P11~P14)を設けている。
【0078】
これにより、当該カレントミラー回路の一次側として、N個の帰還電圧を受け、第1~第Nの電流の合成電流を単一の負荷トランジスタに流すものを採用した場合に比べて、各回路ブロックで個別に生じる電流変動に対応でき、電源電圧を安定して生成することができる。
【0079】
したがって、本発明によれば、複数の回路ブロック夫々に電源電圧を安定して供給することが可能となる。
【0080】
尚、上記した差動回路、バイアス電流生成回路、及び第1~第Nの電圧出力回路を、半導体チップではなく、ディスクリートで構築しても良い。
【符号の説明】
【0081】
10 電圧制御部
11A~11E 出力部
100 半導体チップ
200 レギュレータ
BAG バイアス電流生成回路
CMR カレントミラー回路
DFP 差動回路
SL 出力短絡線
VCL 電圧制御線
VO1~VO5 電圧出力回路