(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】車両用バックドア
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20241007BHJP
E05B 83/20 20140101ALI20241007BHJP
【FI】
B60J5/10 H
B60J5/10 Z
E05B83/20
(21)【出願番号】P 2021069459
(22)【出願日】2021-04-16
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2020104191
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 晃介
(72)【発明者】
【氏名】中川 茂
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299564(JP,A)
【文献】特開平10-131580(JP,A)
【文献】実開昭59-122357(JP,U)
【文献】特開2004-346706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0121500(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
E05B 83/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部開口上部に車幅方向に延設される回動軸が設けられた上側バックドアと、
前記車体の後部開口下部に車幅方向に延設される回動軸が設けられた下側バックドアと、
を備える、上下両開き構造の車両用バックドアであって、
前記下側バックドアの上部には、前記下側バックドアのロックを解除可能な開錠機構の操作レバーが設けられ、
前記上側バックドアの下部には、前記上側バックドアの開放時に前記操作レバーに当接して前記下側バックドアのロック解除操作を行う当接部が設けられ
、
前記操作レバーが車両前後方向後方に倒されることで前記下側バックドアのロックが解除され、
前記当接部は、前記上側バックドア及び前記下側バックドアが閉鎖状態であるときに前記操作レバーと車両前後方向前方に対向し、
前記下側バックドアのロックユニットにロック解除操作の動力を伝達可能な、前記開錠機構の動力伝達経路の末端に前記操作レバーが設けられ、
さらに前記動力伝達経路には、前記操作レバーが車両前後方向後方に倒される際に前記操作レバーと係合するとともに、前記操作レバーが車両前後方向前方に倒される際に非係合となる係合ピンが設けられた、
車両用バックドア。
【請求項2】
車体の後部開口上部に車幅方向に延設される回動軸が設けられた上側バックドアと、
前記車体の後部開口下部に車幅方向に延設される回動軸が設けられた下側バックドアと、
を備える、上下両開き構造の車両用バックドアであって、
前記下側バックドアの上部には、前記下側バックドアのロックを解除可能な開錠機構の操作レバーが設けられ、
前記上側バックドアの下部には、前記上側バックドアの開放時に前記操作レバーに当接して前記下側バックドアのロック解除操作を行う当接部が設けられ、
前記操作レバーが車両前後方向後方に倒されることで前記下側バックドアのロックが解除され、
前記当接部は、前記上側バックドア及び前記下側バックドアが閉鎖状態であるときに前記操作レバーと車両前後方向前方に対向し、
前記下側バックドアには、
前記車体の後方に設けられたストライカと係合可能なラッチに一端が接続されるケーブルと、
前記ケーブルの他端が接続され自身の回動により前記ケーブルを引張り可能なコネクティングリンクと、
前記コネクティングリンクと相対回動が可能であって、前記操作レバーが車両前後方向後方に倒される際に前記コネクティングリンクと係合して当該コネクティングリンクを回動させるとともに、前記操作レバーが車両前後方向前方に倒される際に前記コネクティングリンクとは非係合となり空転するアーム部材が設けられた、
車両用バックドア。
【請求項3】
請求項
2に記載の車両用バックドアであって、
前記操作レバーと前記アーム部材とに接続される連結部材が設けられ、
前記連結部材は、前記操作レバー及び前記アーム部材と、ボールジョイントにて接続される、
車両用バックドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車両後部に設けられるバックドアが開示される。
【背景技術】
【0002】
車両後部に設けられるバックドアとして、例えば特許文献1,2のように、上下両開きのバックドアが知られている。例えば福祉車両の場合、上側バックドア及び下側バックドアが開放され、そこから車椅子ごと乗員が車室後部に乗せられる。
【0003】
特許文献1では、上側バックドア及び下側バックドアにそれぞれドアハンドルが設けられ、それぞれのドアハンドル操作によりそれぞれのバックドアが開放される。特許文献2では、上側バックドア及び下側バックドアのそれぞれのロック機構を解除させるためのモータと、当該モータを駆動操作するスイッチが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-117417号公報
【文献】特開2018-145635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スイッチ操作によるドア開放等、自動で上側及び下側バックドアを開放させる機構を設けると、手動でこれらのバックドアを開放させる場合と比較してコストが増加する。その一方で、手動にて上側及び下側バックドアを開放させる際に、従来はそれぞれのドアハンドルを操作しなければならず、開放操作が煩雑となる。そこで、本明細書で開示される車両用バックドアは、手動での上側バックドア及び下側バックドアの開放に当たり、従来よりも操作数を軽減可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される車両用バックドアは、上側バックドアと下側バックドアを備える、上下両開き構造となっている。上側バックドアは、車体の後部開口上部に車幅方向に延設される回動軸が設けられる。下側バックドアは、車体の後部開口下部に車幅方向に延設される回動軸が設けられる。下側バックドアの上部には、下側バックドアのロックを解除可能な開錠機構の操作レバーが設けられる。上側バックドアの下部には、上側バックドアの開放時に操作レバーに当接して下側バックドアのロック解除操作を行う当接部が設けられる。
【0007】
上記構成によれば、上側バックドアの開放動作の際に当接部が操作レバーに当接して下側バックドアのロック解除を行う。これにより、手動での下側バックドアの開放動作を省略できる。
【0008】
また上記構成において、操作レバーが車両前後方向後方に倒されることで下側バックドアのロックが解除されてよい。この場合、当接部は、上側バックドア及び下側バックドアが閉鎖状態であるときに操作レバーと車両前後方向前方に対向する。
【0009】
上記構成によれば、当接部が操作レバーの車両前後方向前方に対向するので、上側バックドアの開放動作の際に、確実に当接部を操作レバーに当接させることが出来る。
【0010】
また上記構成において、下側バックドアのロックユニットにロック解除操作の動力を伝達可能な、開錠機構の動力伝達経路の末端に操作レバーが設けられてよい。この場合、動力伝達経路には、操作レバーが車両前後方向後方に倒される際に操作レバーと係合するとともに、操作レバーが車両前後方向前方に倒される際に非係合となる係合ピンが設けられる。
【0011】
上記構成によれば、上側バックドアの閉鎖時には、操作レバーに当接部が当たって当該操作レバーが車両前後方向前方に倒されるが、このとき、操作レバーは係合ピンとは非係合状態となるので、動力伝達経路への動力伝達が回避される。
【0012】
また上記構成において、下側バックドアには、ケーブル、コネクティングリンク、及びアーム部材が設けられていてよい。ケーブルは、車体の後方に設けられたストライカと係合可能なラッチに一端が接続される。コネクティングリンクは、ケーブルの他端が接続され自身の回動によりケーブルを引張り可能となっている。アーム部材は、コネクティングリンクと相対回動が可能であって、操作レバーが車両前後方向後方に倒される際にコネクティングリンクと係合して当該コネクティングリンクを回動させるとともに、操作レバーが車両前後方向前方に倒される際にコネクティングリンクとは非係合となり空転する。
【0013】
上記構成によれば、上側バックドアの閉鎖時には、アーム部材が空転するので、アーム部材からコネクティングリンクへの動力伝達が回避される。
【0014】
また上記構成において、操作レバーとアーム部材とに接続される連結部材が設けられてよい。この場合、連結部材は、操作レバー及びアーム部材と、ボールジョイントにて接続される。
【0015】
操作レバーの回動及びアーム部材の回動に伴い、これらの部材と連結部材との連結点が、車両前後方向及び車幅方向に変位する。当該連結部材をボールジョイントとすることで、連結部材と操作レバー、及び連結部材とアーム部材とがそれぞれの連結点を回転中心として相対回転可能となり、変位に追従しつつ連結関係が維持可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に開示される車両用バックドアによれば、手動での上側バックドア及び下側バックドアの開放に当たり、従来よりも操作数を軽減でき開放操作がより簡易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る車両用バックドアを備える車両の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る車両用バックドアの開放時の斜視図である。
【
図3】下側バックドアの車室側の面を正面とする斜視図である。
【
図5】上側バックドア及び下側バックドアの開放時の動作を説明する側面一部断面図(1/5)である。
【
図6】上側バックドア及び下側バックドアの開放時の動作を説明する側面一部断面図(2/5)である。
【
図7】上側バックドア及び下側バックドアの開放時の動作を説明する側面一部断面図(3/5)である。
【
図8】上側バックドア及び下側バックドアの開放時の動作を説明する側面一部断面図(4/5)である。
【
図9】上側バックドア及び下側バックドアの開放時の動作を説明する側面一部断面図(5/5)である。
【
図10】上側バックドアの閉鎖時の動作を説明する側面一部断面図である。
【
図11】操作レバー及び係合ピンの別例を示す斜視図である。
【
図13】開錠機構の別例を示す斜視図であって、カバープレートを外した時の様子を例示する図である。
【
図14】別例に係る開錠機構の動作を説明する斜視図(1/2)である。
【
図15】別例に係る開錠機構の動作を説明する斜視図(2/2)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本実施形態に係る車両用のバックドアが取り付けられた車両10が例示される。なお
図1~
図11において、車両前後方向が記号FRで表される軸で示され、車幅方向が記号RWで表される軸で示され、鉛直方向が記号UPで表される軸で示される。記号FRはFrontの略であり、前後方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、幅方向軸RWは右幅方向を正方向とする。また高さ軸UPは上方向を正方向とする。
【0019】
図1に示されているように、これらFR軸、RW軸、UP軸は互いに直交する。以下適宜、これら3軸を基準に、本実施形態に係る車両用のバックドアが説明される。例えば「前端」は任意の部材のFR軸正方向側の端部を指し、「後端」は任意の部材のFR軸負方向側の端部を指す。「幅内側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向内側を指すものとし、「幅外側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向外側を指すものとする。さらに「上側」は相対的にUP軸の正方向側を指し、「下側」は相対的にUP軸の負方向側を指す。
【0020】
図1に例示されるように、本実施形態に係る車両用バックドアは、車両10の後方に設けられる。車両10は例えば車椅子使用者を車内に乗せることのできる福祉車両であってよい。
【0021】
本実施形態に係る車両用バックドアは、上側バックドア20及び下側バックドア40を含む、上下両開き構造となっている。
図2には、上側バックドア20及び下側バックドア40が開放されたときの車両10の後方斜視図が例示される。
【0022】
<上側バックドア>
上側バックドア20は、車体の後部開口12の上部に設けられた回動軸L1周りに回動可能となっている。回動軸L1は車幅方向に延設される。例えば車体の後部開口12の上端と上側バックドア20の上端に設けられた図示しないヒンジ機構によって回動軸L1が定められる。
【0023】
上側バックドア20は、外表面にドアハンドル24が設けられる。また上側バックドア20の下部、例えば下面20Aには、ロックユニット22及び当接部26が設けられる。ロックユニット22は例えば下側バックドア40に設けられたストライカ48と対の構造であって、ストライカ48を係合可能なラッチ(図示せず)を備える。
【0024】
ラッチとドアハンドル24とは図示しないケーブルで接続され、ドアハンドル24を手動にて開操作する際にラッチがケーブル、ロッド、またはソレノイド(電気式の場合)に引っ張られてストライカ48との係合が解除される。これにより閉鎖状態の上側バックドア20が開放される。
【0025】
図5には、車両10のFR-UP断面の一部断面図が例示される。この図は、上側バックドア20及び下側バックドア40が閉鎖状態のときの例が示される。当接部26は、上側バックドア20の下部に設けられる。より具体的には、当接部26の、上側バックドア20への当接面は側面視L字となっており、当接部26は、上側バックドア20の内面20B及び下面20Aの少なくとも一方に取り付けられる。例えば当接部26は、上側バックドア20の内面20B及び下面20Aの両面に取り付けられる。
【0026】
当接部26は、上側バックドア20の取付部から下方に行くにしたがって、車両前方に偏るように先細りとなる。加えて、当接部26の後面26Aは側面視で曲線形状となっており、直線形状である場合と比較して操作レバー52と当接したときのストローク(当接長)が長く採られている。
【0027】
上側バックドア20及び下側バックドア40が閉鎖状態であるときに、当接部26は、操作レバー52と車両前後方向前方に対向する。このような配置とすることで、上側バックドア20の開放動作時に、当接部26が操作レバー52に当接可能となる。後述されるように、上側バックドア20の開放時に、当接部26が操作レバー52に当接し、これにより、下側バックドア40のロック解除操作が行われる。
【0028】
<下側バックドア>
図2、
図3を参照して、下側バックドア40は、車体の後部開口12の下部に設けられた回動軸L2周りに回動可能となっている。回動軸L2は車幅方向に延設される。例えば車体の後部開口12の下端に設けられたブラケット49(
図2参照)と、下側バックドア40のドアパネル44の下端に設けられたフランジ44A(
図3参照)に図示しない回転ピンが挿入されたヒンジ機構によって回動軸L2が定められる。
【0029】
図2に例示されるように、下側バックドア40は、リアバンパの中央部(車幅方向中央部)を含む部分であり、後方に倒れるようにして開放される。したがって車両10のリアバンパは、車両後面の車幅方向両側部に設けられるリアバンパ19,19と、下側バックドア40に設けられるバックドアバンパ42とに分割される。
【0030】
なお、
図2には、ストライカ18等の位置を明確にするため、車室14内にはスロープ等の補助器具の図示を省略しているが、車椅子利用者の乗車を容易にするために、これらの補助器具が車室14に設けられてもよい。
【0031】
図3には、車室側の面(内面)を正面とする下側バックドア40の斜視図が例示される。下側バックドア40は、バックドアバンパ42、ドアパネル44、ロックユニット46、ストライカ48及び開錠機構50を含んで構成される。
【0032】
ドアパネル44は車幅方向かつ上下方向に延設される板材であり、その下端の車幅方向両端には、ヒンジ機構の一部であるフランジ44Aが形成される。またドアパネル44の上端にはウェザストリップ45が車幅方向全長に亘って設けられる。
【0033】
ドアパネル44の前面には開錠機構50及びロックユニット46が設けられる。ロックユニット46はロックアーム47に支持され、ドアパネル44の前面から車両前方かつ上方に配置される。ロックユニット46は下側バックドア40の車幅方向両端に一対設けられる。ロックユニット46は、例えば車幅方向外側に、車両前後方向に切り込まれるスリットが設けられており、またロックユニット46の内部には図示しないラッチが設けられる。
【0034】
さらに
図2を参照して、車室14後方の側壁、特にタイヤハウスの内側壁である、デッキトリムサイドパネル16には、下側バックドア40用のストライカ18が設けられる。なお、
図2には車両右側のストライカ18のみが図示されているが、車両構造の対称性より、車両左側のデッキトリムサイドパネル16にもストライカ18が設けられる。
【0035】
下側バックドア40が閉鎖状態にあるときに、ロックユニット46のラッチがストライカ18に係止される。後述するように、開錠機構50の操作レバー52が車両前後方向後方に倒されたときに、ラッチがケーブル64に引っ張られてストライカ18との係合が解除される。これにより閉鎖状態の下側バックドア40が開放される。
【0036】
開錠機構50は、下側バックドア40のロックを解除可能な機構であって、操作レバー52、係合ピン54、アーム56、コネクティングリンク58、及び一対のケーブル64,64を含んで構成される。このうちアーム56の一部、コネクティングリンク58、及びケーブル64,64はカバー70に覆われる。
図3ではカバー70の一部が除去され、内部構造が例示される。
【0037】
下側バックドア40の上部に、操作レバー52及び係合ピン54が設けられる。具体的には、下側バックドア40の上面40Aの車幅方向中央部分にストライカ48が設けられるとともに、その側方に、操作レバー52及び係合ピン54が設けられる。
【0038】
図3を参照して、開錠機構50には、ロックユニット46にロック解除操作の動力を伝達可能な動力伝達経路が形成される。この動力伝達経路は、操作レバー52を末端(起点)として、操作レバー52→係合ピン54→アーム56→コネクティングリンク58→ケーブル64とのように構成され、ロックユニット46に接続される。
【0039】
ケーブル64は、ロックユニット46とコネクティングリンク58とを繋ぐ線材である。ケーブル64の一端はコネクティングリンク58のジョイント58Bに接続され、他端はロックユニット46のラッチ(図示せず)に接続される。
【0040】
コネクティングリンク58は板状の部材であり、回転ピン60を回転中心とし、車両前後方向軸(FR軸)を回動軸として回動可能となっている。コネクティングリンク58は、アーム56と接続されるジョイント58Aと、一対のケーブル64と接続される一対のジョイント58Bを備える。またコネクティングリンク58は、リターンスプリング62に接続される。
図3では、リターンスプリング62によりリセット位置(初期位置)に位置決めされたコネクティングリンク58が例示される。
【0041】
後述されるように、アーム56によりジョイント58Aが引き上げられると、コネクティングリンク58が正面視で反時計回りに回動される。このとき、ジョイント58Bの反時計回りの回動によってケーブル64が引かれ、その結果ロックユニット46のラッチのストライカ18(
図2参照)との係合が解かれる。その後リターンスプリング62によりコネクティングリンク58が時計回りに回動させられ、リセット位置まで戻される。
【0042】
図3、
図5を参照して、アーム56は側面視でC字形状であって、例えば丸棒部材をC字形状に成形することで得られる。アーム56は、車両前後方向に延設される上部56C及び下部56Dと、両者と接続され上下方向に延設される中間部56Eを備える。上部56Cは係合ピン54の支持溝54Cに挿入される。
【0043】
図3を参照して、アームの下部56Dはコネクティングリンク58のジョイント58Aの開口58A1に挿入される。開口58A1には車幅方向に挿入溝58A2が切られている。これに対応するようにして、アーム下部56Dの末端部は平板部56D1となっている。開錠機構50の組立時には、アーム下部56Dが
図3の向きとは90°倒された状態で、平板部56D1が挿入溝58A2に挿入される。平板部56D1が挿入溝58A2を通過した後にアーム下部56Dが
図3のように90°起こされる。その結果、ジョイント58Aからのアーム下部56Dの抜けが抑制される。
【0044】
また、アーム56の上部56Cの末端(後端)には、支持溝54Cからの抜け防止の拡径部56Bが設けられる。さらに上部56Cには、係合ピン54の周り留めのためのキー(図示せず)が設けられていてもよい。
【0045】
図4には、開錠機構50の一部である、操作レバー52、係合ピン54、及びアーム56の一部が例示される。操作レバー52及び係合ピン54は、下側バックドア40の上面40Aから上方に突設されるコラム51に回動可能に支持される。操作レバー52は略直方体形状の部材であって、コラム51と車幅方向に並べられ、回転ピン53により軸支される。
【0046】
操作レバー52は、回転ピン53を回転中心として、車幅方向軸(RW軸)周りに回動可能となっている。また操作レバー52は、図示しないリターンスプリングが接続されており、後述するような当接部26の付勢が無い場合には、
図4に例示されるようなリセット位置(初期位置)に位置決めされる。
【0047】
リセット位置における操作レバー52の下端には係合爪52Aが形成される。例えば係合爪52Aは回動軸からの半径の異なる二つの円弧の段差によって形成される。
図4のリセット位置において、係合爪52Aは係合ピン54の基部54Aの後端54A1と車両前後方向で対向する。
【0048】
係合ピン54は、操作レバー52と同様に、回転ピン53に軸支される。係合ピン54は基部54A、接続部54B、及び軸支部54Dを備える。軸支部54Dは、基部54Aの後方部分に接続され、基部54Aに対して垂直に延設される。軸支部54Dは、コラム51と操作レバー52とに挟まれるようにして、回転ピン53に軸支される。
【0049】
基部54Aは、車両前後方向に延設される部材であって、その車幅方向の寸法は、軸支部54Dから、コラム51とは反対方向に張り出すように形成される。この張り出し部分が、係合爪52Aと当接する後端54A1となる。
【0050】
なお、軸支部54D及び基部54Aの後端54A1を含めて、係合ピン54は操作レバー52と機械的に非結合となっている。例えば後述されるように、操作レバー52が車両前方に倒されると、係合ピン54の基部54Aの後端54A1と操作レバー52の係合爪52Aとは離間され、物理的な接触は無い。
【0051】
つまり、係合ピン54は、操作レバー52が車両前後方向後方に倒される(後方に回動される)際には操作レバー52と係合する一方で、操作レバー52が車両前後方向前方に倒される(前方に回動される)際には操作レバー52と非係合となる。
【0052】
基部54Aの前端に接続部54Bの下端が接続される。接続部54Bは例えば基部54Aに対して側面視で傾斜されており、接続部54Bの上端はその下端よりも前方に張り出すように形成される。
【0053】
接続部54Bには、支持溝54Cが形成される。支持溝54Cは正面視(FR軸視)で略U字形状であって、上端は開放され、また接続部54Bの厚さ方向に貫通される。支持溝54Cには、アーム56の上部56Cが挿入される。アームの上部56Cの長さは、接続部54Bの厚さを十分に超過するように設計され、アーム上部56Cと接続部54Bとはアーム上部56Cの長手方向に沿って相対移動可能となっている。
【0054】
<バックドアの開放時動作>
図6-
図9には、本実施形態に係る上側バックドア20及び下側バックドア40の、開放時の様子が例示される。なお便宜上、
図5-
図9では、アーム56の中間部56Eが、
図3、
図4で示されたものよりも短く図示される。
【0055】
上側バックドア20のドアハンドル24(
図2参照)を手動にて開放操作すると、ロックユニット22からストライカ48が開錠されて上側バックドア20が回動軸L1を回動中心として上方に持ち上げられる。
【0056】
図6を参照して、このとき、上側バックドア20の下端では、当接部26が一点鎖線の矢印の軌跡に沿って回動する。この軌跡上にリセット位置の操作レバー52の上部が重なり、当接部26は回動の途中で操作レバー52の前面52Bに当接する。
【0057】
さらに当接部26が車両前後方向後方かつ上方に移動(回動)すると、操作レバー52が回転ピン53を回動中心として後方に倒される(回動される)。このとき、操作レバー52の下端の係合爪52Aが、係合ピン54の基部54Aの後端54A1に当接及び付勢する。これにより係合ピン54は、
図7及び
図8に例示されるように、回転ピン53を回転中心として上方に(
図7において時計回りに)回動させられる。
【0058】
係合ピン54の回動により、接続部54Bの支持溝54Cに引っ掛けられたアーム56が持ち上げられる。
図9を参照して、当接部26が操作レバー52を通り越すまで、係合ピン54によるアーム56の持ち上げが継続される。また係合ピン54の接続部54Bと、アーム56の上部56Cとはアーム上部56Cの長手方向に沿って相対移動する。この過程で、アーム56の下部56Dに係合された、コネクティングリンク58のジョイント58Aが上方に持ち上げられる。これにより
図3を参照して、コネクティングリンク58が正面視反時計回りに回動され、ケーブル64が引かれることにより、ロックユニット46が開錠される。つまり下側バックドア40のロックが解除される。
【0059】
さらに当接部26が操作レバー52を通り越すと、操作レバー52が無負荷状態となるので、図示しないリターンスプリングによって操作レバー52は
図5に例示されるようなリセット位置に戻る。
【0060】
またコネクティングリンク58(
図3参照)がリターンスプリング62によってリセット位置(
図3の位置)に戻されるのに伴って、アーム56及び係合ピン54は
図5に例示されるリセット位置に戻される。
【0061】
このように本実施形態に係る車両用バックドアでは、上側バックドア20の開放動作に伴って下側バックドア40も開放されるので、下側バックドア40を手動で開錠及び開放させる動作を省略可能となる。
【0062】
<バックドアの閉鎖時動作>
図10には、本実施形態に係る車両用バックドアの閉鎖時の動作が例示される。バックドアの閉鎖に当たり、上側バックドア20用のストライカ48(
図2参照)が下側バックドア40に設けられていることから、上側バックドア20に先駆けて、下側バックドア40が先に閉鎖される。
【0063】
下側バックドア40の閉鎖に続いて上側バックドア20が閉鎖される。上述したように、当接部26の移動軌跡上にリセット位置の操作レバー52の上方部分が交差しているため、操作レバー52の後面52Cと当接部26の前面26Bが当接する。
【0064】
さらに当接部26が前方に移動(回動)するのに伴って、操作レバー52は前方に倒される(前方に回動される)。ここで上述されたように、係合ピン54は、操作レバー52が車両前後方向後方に倒される際には操作レバー52と係合する一方で、操作レバー52が車両前後方向前方に倒される際には操作レバー52と非係合となる。
【0065】
具体的には
図10に例示されるように、操作レバー52が前方に倒されると、係合爪52Aと基部54Aの後端54A1とが周方向に離間されるので、係合ピン54は操作レバー52と非係合となる。したがって操作レバー52が前倒れしても係合ピン54はリセット位置に留まり、開錠機構50の動力伝達経路(係合ピン54→アーム56→コネクティングリンク58→ケーブル64)への動力伝達が抑制される。
【0066】
<操作レバー及び係合ピンの別例>
図11には、本実施形態に係る操作レバー52及び係合ピン54の別例が示される。この例では、コラム51、操作レバー52、及び係合ピン54が車幅方向に並べられ、回転ピン53を介して操作レバー52及び係合ピン54がコラム51に回動可能に支持される。また係合ピン54の接続部54Bには厚さ方向に貫通する貫通孔54Eが形成され、この貫通孔54Eにアーム56の上部56Cが挿入される。貫通孔54Eの内径は、例えばアーム上部56Cの直径よりも大きく形成される。
【0067】
さらに操作レバー52の、回動中心(回転ピン53)周辺の下端部には、回動軸方向に突設された係合爪52Aが形成される。例えば係合爪52Aは側面視円弧状に形成され、係合ピン54の後端部分の円弧形状と同心となる。
【0068】
一方、係合ピン54の回動中心(回転ピン53)周辺の後端部には係合爪54Fが形成される。この係合爪54Fは、例えば、回動中心からの半径の異なる円弧間の段差によって形成される。例えば、係合ピン54の、係合爪54Fより後方はその前方よりも小径の円弧となる。
【0069】
このような構成において、操作レバー52が車両前後方向後方に倒される際には、係合爪52A,54Fの当接により、係合ピン54は操作レバー52と係合する。一方、操作レバー52が車両前後方向前方に倒される際には係合爪52A,54Fが周方向に離間されるので、係合ピン54は操作レバー52と非係合となる。
【0070】
<開錠機構の別例>
図12-
図15には、本実施形態に係る開錠機構50の別例が示される。開錠機構50は、操作レバー52、レバーフレーム110、ボールジョイント90、アーム56、コネクティングリンク58、及び一対のケーブル64A,64Bを含んで構成される。
【0071】
図12を参照して、開錠機構50はカバー70内に収容される。カバー70は、前板部材であるカバープレート71と、箱型形状のカバートレイ72が設けられる。
図13を参照して、カバートレイ72は車両前方部分が開放され、この開放部分がカバープレート71で覆われる。カバートレイ72の車両前方部分には、カバープレート71と締結するためのフランジ74が枠状に形成される。
【0072】
また
図12を参照して、カバートレイ72の上面72Aにはその厚さ方向に貫通する開口73が形成される。この開口73から操作レバー52の上端が突出する。この操作レバー52の突出部分は、上側バックドア20及び下側バックドア40が閉鎖状態であるときに、当接部26(
図5参照)と車両前後方向前方に対向する。このような配置とすることで、上側バックドア20の開放動作時に、当接部26が操作レバー52に当接可能となる。後述されるように、上側バックドア20の開放時に、当接部26が操作レバー52に当接し、これにより、下側バックドア40のロック解除操作が行われる。
【0073】
図13を参照して、操作レバー52は、例えば正面視でΠ字型の部材であって、レバーフレーム110に溶接等により接合される。レバーフレーム110は、車幅方向に離隔して設けられる一対の側壁110Aと、側壁110Aを繋ぐ前壁110Bを備える。側壁110Aは、ベースプレート80の側壁80A,80Aに、車幅方向に延設された回転ピン100を介して軸支される。ベースプレート80はカバートレイ72に固定される。このような構造から、レバーフレーム110及び操作レバー52は、ベースプレート80及びカバートレイ72に対して車両前後方向に回動可能となっている。
【0074】
また図示は省略されているが、回転ピン100にリターンスプリングが取り付けられている。例えば
図15のように操作レバー52が後方に起こされたときに、リターンスプリングの作用で操作レバー52は
図13のような初期位置(リセット位置)に戻ることが出来る。
【0075】
また、レバーフレーム110の側壁110A,110Aの一方には、操作レバー52に対して非平行となる方向に延伸する、連結アーム110Cが設けられる。操作レバー52と連結アーム110Cのなす角は、例えば70°以上120°以下であってよい。
【0076】
連結アーム110Cが側壁110Aに接続されている端部とは対向する先端部分には、ボールジョイント90(玉継手)が接続される。ボールジョイント90は、ソケット91A,91B、スタッド92A,92B、球頭部93A,93B、及び連結ロッド94を備える。
【0077】
スタッド92Aは、レバーフレーム110の連結アーム110Cの前端に、ボルト及びナット(図示せず)等の係合部材を介して、またはカシメにより係合される。スタッド92Aは例えば連結アーム110Cの係合面から垂直に延伸し、その先端には球頭部93Aが設けられる。球頭部93Aはソケット91A内に収容される。ソケット91Aの内部は球状の空洞となっており、この空洞に球頭部93Aが収容される。ソケット91A内にはグリス等の潤滑剤が注入されており、球頭部93A及びスタッド92Aと、ソケット91Aとの相対回転が可能となっている。
【0078】
連結ロッド94は、その上端がソケット91Aに連結され、その下端がソケット91Bに連結される。ソケット91Bにはスタッド92Bの球頭部93Bが収容される。スタッド92Bは、係合ピン56Hを介して、またはこれに代えてボルト及びナット締結にて、アーム56のフランジ56Gに係合される。
【0079】
このように、本実施形態に係る開錠機構50では、アーム56と操作レバー52とが、ボールジョイント90を介して連結される。後述されるように、操作レバー52の回動及びアーム56の回動に伴い、これらの部材との連結部材の連結点が、車両前後方向及び車幅方向に変位する。当該連結部材をボールジョイント90とすることで、ボールジョイント90と操作レバー52、及びボールジョイント90とアーム56とがそれぞれの連結点を回転中心として相対回転可能となり、変位に追従しつつ連結関係が維持可能となる。
【0080】
アーム56は、アーム本体56Fとフランジ56Gを備える。フランジ56Gは、例えば回転ピン60の軸方向と平行に延設し、その主面はソケット91Bと対向する。上述のように、このフランジ56Gにスタッド92Bが係合される。
【0081】
アーム本体56Fは車両上下方向に延設され、その主面が車両前後方向を向いている。アーム本体56Fの上端部は回転ピン60を介してベースプレート81に軸支される。ベースプレート81はカバートレイ72に固定される。加えて、アーム本体56Fはコネクティングリンク58と同軸となるように、回転ピン60に軸支される。アーム56とコネクティングリンク58とが相対回転可能となるように、例えば両者の間には摩擦係数の低い樹脂等のワッシャが挿入される。
【0082】
また、アーム本体56Fには、回転ピン60から車幅方向外側に張り出す突出部56F1が形成される。後述されるように、アーム56が回転ピン60を回転中心として反時計回りに回動させられると、突出部56F1がコネクティングリンク58の外アーム58Cの下端に当接してそこからコネクティングリンク58を反時計回りに回動させる。
【0083】
コネクティングリンク58は正面視略十字状の部材であって、その中心部分が回転ピン60に軸支される。コネクティングリンク58は、上方に延伸するジョイント58B1、下方に延伸するジョイント58B2、車幅方向外側に延伸する外アーム58C、及び車幅方向内側に延伸する内アーム58Dを含んで構成される。
【0084】
上方のジョイント58B1には車幅方向左側のロックユニット46(
図3参照)に接続されるケーブル64Aの末端が固定される。また下方のジョイント58B2には、車幅方向右側のロックユニット46に接続されるケーブル64Bが固定される。
【0085】
外アーム58Cは、平面視でクランク状に形成されている。例えば外アーム58Cは、回転ピン60側の始端部から車幅方向前方に屈折して、アーム56の厚さよりも車両前方に延伸した後、車幅方向外側に屈折する。このようなクランク形状とすることで、外アーム58Cの下方に配置された、アーム56の突出部56F1との当接が可能となる。
【0086】
コネクティングリンク58の内アーム58Dの先端には、リターンスプリング62の一端が固定される。リターンスプリング62の他端は、カバートレイ72に固定される。アーム56による付勢が解かれると、リターンスプリング62の弾性力によりコネクティングリンク58は
図13に例示される初期位置に戻される。
【0087】
また、ベースプレート81には、ストッパ81A,81Bが設けられる。ストッパ81A,81Bはそれぞれ車両前方に延伸される。ストッパ81Aはジョイント58B1の車幅方向外側端部と対向する。ストッパ81Bはジョイント58B2の車幅方向内側端部と対向する。
【0088】
コネクティングリンク58に対してストッパ81A,81Bをこのような配置とすることで、コネクティングリンク58が仮に時計回りに回動しても、ストッパ81A,81Bによりその回動が止められる。
【0089】
<バックドアの開放時動作>
上側バックドア20(
図2参照)のドアハンドル24を手動にて開放操作すると、ロックユニット22からストライカ48が開錠されて上側バックドア20が回動軸L1を回動中心として上方に持ち上げられる。
【0090】
図6を参照して、このとき、上側バックドア20の下端では、当接部26が一点鎖線の矢印の軌跡に沿って回動する。
図14、
図15を参照して、当接部26の軌跡上にリセット位置の操作レバー52の上部が重なり、当接部26は回動の途中で操作レバー52に当接する。
【0091】
さらに当接部26が車両前後方向後方かつ上方に移動(回動)すると、
図14の矢印(1)のように、操作レバー52が及びこれに固定されたレバーフレーム110が、回転ピン100を回動中心として後方に倒される(回動される)。
【0092】
矢印(1)の回動に伴い、レバーフレーム110の連結アーム110Cが上方に回動される。これに伴って、連結アーム110Cに上端部が連結されたボールジョイント90が、矢印(2)のように、連結アーム110Cの前端部の軌跡に従って、車幅方向前方かつ上方に引き上げられる。
【0093】
ボールジョイント90の引き上げに伴って、ボールジョイント90の下端に接続されたアーム56のフランジ56Gが矢印(3)のように上方向に付勢される。これにより、回転ピン60を回転中心として、アーム56が矢印(4)のように反時計回りに回動させられる。
【0094】
このとき、アーム56の回動に伴って、スタッド92Bが、矢印(5)のように、アーム56の軌跡に沿って、車幅方向外側に押し込まれる。このように、連結アーム110Cの回動とアーム56の回動とによって、両者を連結するボールジョイント90には、その上方部分は上方かつ車両前方に移動させられ、その下方部分は車幅方向外側かつ上方に移動させられる。
【0095】
このような、車両前方及び車幅方向外側への付勢に追従するように、スタッド92A,92Bとソケット91A,91Bとが相対回転する。その結果、車両前方及び車幅方向外側の変位に追従しつつ、ボールジョイント90は、連結アーム110C(及びその先の操作レバー52)及びアーム56との連結関係を維持可能となる。
【0096】
図14を参照して、アーム56が反時計回りに回動することで、突出部56F1がコネクティングリンク58の外アーム58Cの下端に当接する。さらにアーム56の反時計回りの回動が進行すると、これに伴ってコネクティングリンク58も反時計回りに回動させられる。その結果、ケーブル64A及びケーブル64Bが引かれ、ロックユニット46(
図3参照)が開錠される。つまり下側バックドア40のロックが解除される。
【0097】
<バックドアの閉鎖時動作>
上述のように、バックドアの閉鎖に当たり、上側バックドア20(
図2参照)用のストライカ48が下側バックドア40に設けられていることから、上側バックドア20に先駆けて、下側バックドア40が先に閉鎖される。
【0098】
下側バックドア40の閉鎖に続いて上側バックドア20が閉鎖される。上述したように、当接部26の移動軌跡上にリセット位置の操作レバー52の上方部分が交差しているため、操作レバー52と当接部26が当接する。
【0099】
さらに当接部26が前方に移動(回動)するのに伴って、操作レバー52は前方(
図14の矢印(1)とは逆方向)に倒される(前方に回動される)。操作レバー52の前方回動に伴って、連結アーム110Cに連結されたボールジョイント90は下方に押し込まれる。
【0100】
これに伴いアーム56は下方向に付勢され、その結果回転ピン60を中心にしてアーム56が時計回りに回動させられる。アーム56が時計回りに回動すると、アーム本体56Fの突出部56F1は、外アーム58Cから離隔される。したがってアーム56はコネクティングリンク58とは非係合となり空転する。
【符号の説明】
【0101】
10 車両、12 後部開口、14 車室、18,48 ストライカ、19 リアバンパ、20 上側バックドア、20A 上側バックドアの下面、22,46 ロックユニット、24 ドアハンドル、26 当接部、40 下側バックドア、40A 下側バックドアの上面、42 バックドアバンパ、44 ドアパネル、44A フランジ、45 ウェザストリップ、47 ロックアーム、49 ブラケット、50 開錠機構、51 コラム、51A ガイドプレート、52 操作レバー、52A 係合爪、53,60 回転ピン、54 係合ピン、54A 係合ピンの基部、54B 係合ピンの接続部、54C 支持溝、54D 軸支部、54E 貫通孔、54F 係合爪、56 アーム、56B 拡径部、56C アームの上部、56D アームの下部、56E アームの中間部、58 コネクティングリンク、58 ジョイント、62 リターンスプリング、64 ケーブル、70 カバー、71 カバープレート、72 カバートレイ、90 ボールジョイント、110 レバーフレーム。