(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、およびその硬化物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20241007BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20241007BHJP
C08F 285/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
C08F290/06
C08F2/44 C
C08F285/00
(21)【出願番号】P 2021076755
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2019187963の分割
【原出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2018198700
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019107372
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】平谷 卓之
(72)【発明者】
【氏名】和田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】小川 涼
(72)【発明者】
【氏名】西浦 千晶
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-201688(JP,A)
【文献】特開2019-156932(JP,A)
【文献】特開2004-051665(JP,A)
【文献】特開2006-002110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、
単官能ラジカル重合性化合物と、
ゴム粒子と、
ラジカル重合開始剤と、を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物であって、
前記単官能ラジカル重合性化合物が単官能アクリルアミド系化合物を含み、
前記単官能ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満であり、かつ、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートとは異なる多官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記多官能ラジカル重合性化合物の含有量が0質量部以上20質量部未満であり、
前記硬化物のシャルピー衝撃強さが8kJ/m
2以上であり、前記硬化物の荷重撓み温度が60℃以上であることを特徴とする硬化物。
【請求項2】
前記硬化物のシャルピー衝撃強さが12kJ/m
2以上であることを特徴とする請求項1に記載の硬化物。
【請求項3】
前記硬化性樹脂組成物が、前記多官能ラジカル重合性化合物を含み、前記単官能ラジカル重合性化合物と前記多官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記多官能ラジカル重合性化合物の含有量が20質量部未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化物。
【請求項4】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記単官能ラジカル重合性化合物と前記多官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が5質量部以上70質量部以下であることを特徴とする請求項3に記載の硬化物。
【請求項5】
前記硬化性樹脂組成物が、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記単官能ラジカル重合性化合物と前記多官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が10質量部以上60質量部以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の硬化物。
【請求項6】
前記硬化性樹脂組成物が、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記単官能ラジカル重合性化合物と前記多官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記ゴム粒子の含有量が2質量部以上65質量部以下であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項7】
前記硬化性樹脂組成物が、前記多官能ラジカル重合性化合物を含まないことを特徴とする請求項1または2に記載の硬化物。
【請求項8】
前記硬化性樹脂組成物が、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記単官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が5質量部以上70質量部以下であることを特徴とする請求項7に記載の硬化物。
【請求項9】
前記硬化性樹脂組成物が、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記単官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が10質量部以上60質量部以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の硬化物。
【請求項10】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記単官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記ゴム粒子の含有量が2質量部以上65質量部以下であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項11】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、1000以上60000以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項12】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が2300以上23000以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項13】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートが二官能ウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項14】
前記単官能ラジカル重合性化合物の含有量100質量部に対して、前記単官能アクリルアミド系化合物の含有量が5質量部以上100質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項15】
前記ゴム粒子の平均粒径が、20nm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項16】
前記ゴム粒子が、コアと、単官能ラジカル重合性化合物の重合体を含むシェルと、からなるコアシェル構造を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項17】
前記
ゴム粒子が、
コアと、(メタ)アクリロイル基を有する
単官能ラジカル重合性化合物の重合体を含むシェルと、からなるコアシェル構造を有することを特徴とする請求項
1乃至15のいずれか一項に記載の硬化物。
【請求項18】
前記コアが、ブタジエンゴム粒子、架橋ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴムおよびシリコーン/アクリル複合ゴムの少なくともいずれか1つからなることを特徴とする請求項16または17に記載の硬化物。
【請求項19】
前記単官能アクリルアミド系化合物がアクリロイルモルフォリンを有することを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性樹脂組成物に、三次元モデルの立体形状に基づいて選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、当該硬化樹脂層が一体的に積層されてなる造形物を作製する光学的立体造形法(以下、光造形法と記述する)が知られている。
【0003】
具体的には、作製する三次元モデルの立体形状データから生成したスライスデータに従って、容器内に収容された液状の光硬化性樹脂組成物の液面に紫外線レーザー等の光を照射し、所定の厚みで所望のパターンを有する硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、一層分の光硬化性樹脂組成物を供給し、同様に光を照射することにより、先に形成された硬化樹脂層と連続した新しい硬化樹脂層を積層形成する。このように、スライスデータに基づいたパターンで硬化樹脂層を積層していくことで、所望の立体造形物を得ることができる。このような光造形法によれば、三次元モデルの立体形状データがあれば、複雑な形状の立体物でも容易に作製することが可能となる。
【0004】
光造形法は、形状確認のための試作品の造形(ラピッドプロトタイピング)や、機能性検証のためのワーキングモデルの造形や型の造形(ラピッドツーリング)への応用が進んでいる。さらに、近年は、光造形法の用途は実製品の造形(ラピッドマニュファクチャリング)にも広がり始めている。
【0005】
このような背景から、汎用のエンジニアリングプラスチックに匹敵するような高い耐衝撃性と、比較的高温でも変形しないという高い耐熱性とを有する立体造形物の造形が可能な、光硬化性樹脂組成物が求められている。
【0006】
特許文献1には、特定の構造を有するウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合性基を有するエチレン性不飽和化合物と、エラストマー粒子と、ラジカル重合開始剤と、を含有する光学的立体造形用樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、オキセタン化合物と、エポキシ基を2個以上有する化合物、光カチオン性重合開始剤と、ラジカル重合開始剤と、光ラジカル重合開始剤と、を含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-51665号公報
【文献】特開2013-23574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の光学的立体造形用樹脂組成物の硬化物は、良好な機械的強度が得られるものの、耐熱性および耐衝撃性の観点では十分ではなかった。また、特許文献2の硬化性樹脂組成物の硬化物は、高い耐熱性と良好な靱性(スナップフィット性)が得られるものの、耐衝撃性が十分ではなく、高い耐衝撃性と高い耐熱性の両立という点では不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、耐衝撃性に優れた硬化物の提供を目的とする。本開示にかかる硬化物は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、分子内に1個のラジカル重合性官能基を有する単官能ラジカル重合性化合物と、ゴム粒子と、ラジカル重合開始剤と、を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物であって、前記単官能ラジカル重合性化合物が単官能アクリルアミド系化合物を含み、前記単官能ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満であり、かつ、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートとは異なる多官能ラジカル重合性化合物との合計含有量100質量部に対して、前記多官能ラジカル重合性化合物の含有量が0質量部以上20質量部未満であり、前記硬化物のシャルピー衝撃強さが8kJ/m2以上であり、前記硬化物の荷重撓み温度が60℃以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、耐衝撃性および耐熱性に優れた硬化物を形成可能であり、立体造形に好適な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の断面図の模式図である。
【
図2】単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の合計に対する、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満である多官能ラジカル重合性化合物の比率と、該硬化性樹脂組成物の硬化物のシャルピー衝撃強さおよび荷重撓み温度の関係を示すグラフである。
【
図3】実施例1の硬化性樹脂組成物の硬化物の断面の走査型電子顕微鏡による写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」とも称する。)について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも本実施形態の一つであり、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0013】
<多官能ウレタン(メタ)アクリレート>
本実施形態の硬化性組成物に含まれる多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基と少なくとも2個のウレタン基とを有するウレタン(メタ)アクリレートである。
【0014】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物と、多価イソシアネート系化合物とを反応させてなるものや、イソシアネート基含有(メタ)アクリレート系化合物と、ポリオール系化合物とを反応させてなるものが挙げられる。他に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物と、多価イソシアネート系化合物と、およびポリオール系化合物とを反応させてなるものが挙げられる。中でも特に、高い耐衝撃性を付与する観点から、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物と、多価イソシアネート系化合物と、ポリオール系化合物とを反応させてなるものが好ましい。
【0015】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性-グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイル-オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物は単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0016】
前記多価イソシアネート系化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物または多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート等が挙げられる。これら多価イソシアネート系化合物は単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0017】
前記ポリオール系化合物としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等が挙げられる。これらのポリオール系化合物は、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0018】
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールや、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体が挙げられる。
【0019】
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物、環状エステル(ラクトン)の開環重合物、多価アルコール、多価カルボン酸および環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
【0020】
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
【0021】
前記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0022】
前記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトンなどが挙げられる。
【0023】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物、環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
【0024】
前記多価アルコールとしては、前記ポリエステル系ポリオールの説明中で例示した多価アルコール等が挙げられ、前記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0025】
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、1000以上60000以下である。好ましくは、1500以上50000以下である。より好ましくは、2000以上50000以下である。重量平均分子量が1000以上である場合には、架橋密度の低減に伴い硬化物の耐衝撃性が著しく増大する傾向にあるため好ましい。また、重量平均分子量が1000以上である場合には、単官能ラジカル重合性化合物と共存した条件下での重合過程において、両者を主成分とする重合体が微視的に相分離した相分離構造が形成され易くなる傾向がある。単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物と共存した条件下での重合過程においても同様である。すなわち、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを主成分とする重合体からなる相と、単官能ラジカル重合性化合物を主成分とする相または単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物とを主成分とする重合体からなる相とが、相分離構造を形成し易くなる。このような構造は、耐衝撃性の向上に寄与する傾向がある。前記相分離構造としては、例えば、いわゆる海島構造、および共連続構造が挙げられる。重量平均分子量が60000よりも大きい場合には、硬化性組成物の粘度が著しく上昇して取り扱いが困難になる傾向があるため好ましくない。
【0027】
なお、ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、高速GPC装置「HLC-8220GPC」)に、カラム:Shodex GPCLF-804(排除限界分子量:2×106、分離範囲:300~2×106)の2本直列を用いることにより測定される。
【0028】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物との総量100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下であることが好ましい。より好ましくは10質量部以上60質量部以下である。多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が前記の範囲内にあることで、高い耐衝撃性と耐熱性を両立することが可能となる。多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が5質量部より少ない場合、耐衝撃性が顕著に低下する傾向にあるため好ましくない。また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が70質量部より多い場合には、耐熱性が著しく低下し且つ、樹脂組成物の粘度が顕著に上昇する傾向にあるため好ましくない。
【0029】
<単官能ラジカル重合性化合物>
本実施形態の硬化性樹脂組成物に含まれる単官能ラジカル重合性化合物は、分子内に1個のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物である。ラジカル重合性官能基としては、エチレン性不飽和基が挙げられる。具体的に、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。
【0030】
(メタ)アクリロイル基を有する単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、単官能アクリルアミド系化合物や単官能(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。
【0031】
単官能アクリルアミド系化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルフォリン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドなどが挙げられる。
【0032】
また、単官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシー1-アタマンチル(メタ)アクリレート、3,5-ジヒドロキシー1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニル-メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H,オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートエピクロロヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート、アリルオキシアクリル酸メチル(製品名:AO-MA、日本触媒社製)、イミド基を有する(メタ)アクリレート類(製品名:M-140、東亞合成社製)、シロキサン構造を有する単官能(メタ)アクリレート類、などが挙げられる。
【0033】
(メタ)アクリロイル基以外のエチレン性不飽和基を有する単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩、などのスチレン誘導体、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、などのマレイミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミドなどのN-ビニル化合物などが挙げられる。
【0034】
これらの単官能ラジカル重合性化合物は、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0035】
硬化速度を速める観点から、本実施形態の硬化性樹脂組成物に用いる単官能ラジカル重合性化合物は、単官能アクリルアミド系化合物、または単官能(メタ)アクリレート系化合物を含有することが好ましい。特に、単官能アクリルアミド系化合物を含有することが好ましい。
【0036】
さらに、単官能ラジカル重合性化合物が、単官能アクリルアミド系化合物または単官能(メタ)アクリレート系化合物を含有することにより、特に優れた耐衝撃性を有する造形物を実現することが可能となる。これは、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物からなる混合樹脂組成物、または、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物からなる混合樹脂組成物が、ゴム粒子の内部に浸透し、ゴム粒子を適度に膨潤させるためと考えられる。すなわち、ゴム粒子と前記混合樹脂組成物の硬化物との接触面積が著しく大きくなり、界面での接着性が向上することにより、優れた耐衝撃性を発現する。このような硬化性樹脂組成物から形成される硬化物には、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物からなる重合体、または多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物からなる重合体が、ゴム粒子内部の複数個所に点在する構造、いわゆるサラミ構造が発現する。その結果、硬化物の耐衝撃性が格段に向上すると考えられる。
【0037】
単官能ラジカル重合性化合物100質量部に対する単官能アクリルアミド系化合物、または単官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、単官能ラジカル重合性化合物100質量部に対して5質量部以上100質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量部以上100質量部以下、さらに好ましくは15質量部以上100質量部以下である。上記範囲内であれば、本実施形態の硬化性樹脂組成物において十分な硬化速度を実現することができ、且つ、本実施形態の硬化物において高い耐衝撃性と耐熱性を両立することができる。
【0038】
<多官能ラジカル重合性化合物>
本実施形態の硬化性組成物に含まれてもよい多官能ラジカル重合性化合物は、分子内に2個以上のラジカル重合性官能基を有する。ここで、多官能ラジカル重合性化合物は、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含まない。そして、多官能ラジカル重合性化合物には、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満である多官能ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq以上である多官能ラジカル重合性化合物とが含まれる。本実施形態において、ラジカル重合性官能基当量とは、ラジカル重合性官能基1個あたりの分子量を示す値である。以下、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満であるラジカル重合性化合物とラジカル重合性官能基当量が300g/eq以上であるラジカル重合性化合物とを区別する必要のない場合には、単に多官能ラジカル重合性化合物と記述する。
【0039】
硬化性組成物が多官能ラジカル重合性化合物を含む場合、従来技術より耐衝撃性と耐熱性の両方に優れる硬化物を得るためには、多官能ラジカル重合性化合物の含有量を制限する必要がある。具体的には、単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物との総量100質量部に対して、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満である多官能ラジカル重合性化合物の含有量を20質量部未満とする。実施形態において、ラジカル重合性官能基当量とは、ラジカル重合性官能基1個あたりの分子量を示す値である。ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満である多官能ラジカル重合性化合物を含有すると、耐衝撃性が低下する傾向にあるが、含有量が20質量部未満の硬化性組成物であれば、従来技術では得られていない高い耐衝撃性を実現することができる。しかし、多官能ラジカル重合性化合物の含有量が20質量部以上になると、硬化物の架橋密度が高くなるのと同時に、架橋密度の不均一化が顕著になる傾向がある。このことが外部から衝撃を加えた際の応力集中の原因となり、ゴム粒子の添加による耐衝撃性の向上効果が得られず、シャルピー衝撃強さが急激に低下し、従来技術並みの値にまで低下してしまう。
【0040】
また、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq以上であるラジカル重合性化合物の含有量は、単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の総量100質量部に対して、0質量部より多く50質量部未満であることが好ましい。
【0041】
ラジカル重合性官能基としては、エチレン性不飽和基が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、などが挙げられる。多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物、多官能(メタ)アクリルアミド系化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル系化合物、多官能芳香族ビニル系化合物などが挙げられる。
【0042】
多官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬社製、KAYARAD HX-220、HX-620など)、ビスフェノールAのEO付加物のジ(メタ)アクリレート、フッ素原子を有する多官能(メタ)アクリレート、シロキサン構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、などを挙げることができる。
【0043】
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-ビニロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ビニロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ビニロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-(ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0044】
多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物としては、例えば、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0045】
多官能(メタ)アクリルアミド系化合物としては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミド、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’-メチレンビスメタクリルアミド、N,N’,N’’-トリアクリロイルジエチレントリアミンなどが挙げられる。
【0046】
多官能マレイミド系化合物としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサンなどが挙げられる。
【0047】
多官能ビニルエーテル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどが挙げられる。
【0048】
多官能芳香族ビニル系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0049】
なお、これらの多官能ラジカル重合性化合物は、単独でも2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0050】
<ゴム粒子>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、ゴム粒子を含有させることにより、硬化物の耐衝撃性を著しく向上させることができる。
【0051】
本実施形態において、ゴム粒子の種類は特に限定されるものではない。ゴム粒子を構成する好ましい組成物としては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、これらのジエンゴムを水素添加または部分水素添加した飽和ゴム、架橋ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、シリコンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー三元共重合ゴム、アクリルゴム、アクリル/シリコーン複合ゴムなどが挙げられる。ゴム粒子は、これらの組成物を、単独で、または2種以上を組み合せた組成物から構成されることが好ましい。中でも、柔軟性の観点から、ブタジエンゴム、架橋ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴムおよびシリコーン/アクリル複合ゴムのいずれかからなるゴム粒子が特に好ましい。
【0052】
前記ゴム粒子の組成物のガラス転移温度は、25℃以下であることが好ましい。より好ましくは、20℃以下である。ガラス転移温度が25℃より高い場合には、耐衝撃性の向上効果が得られ難くなる傾向がある。ゴム粒子の組成物のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)や動的粘弾性測定(DMA)により求めることができる。
【0053】
ゴム粒子は、コアシェル構造を有するゴム粒子であることがより好ましい。具体的には、前述したゴム粒子としての組成物をコア部として有し、その外側がラジカル重合性化合物の重合体からなるシェルで被覆されたゴム粒子であることが好ましい。このようなコアシェル構造を有するゴム粒子を用いることによって、混合樹脂組成物中におけるゴム粒子の分散性を向上させることが可能になる。その結果、ゴム粒子が分散した硬化物が得られ、硬化物中においてゴム粒子が効果的に機能して耐衝撃性を顕著に向上させることができる。
【0054】
シェルを形成するラジカル重合性化合物の重合体は、コアの表面に化学結合を介してグラフト重合しており、コアの一部または全体を覆っている形態を有することが好ましい。シェルがコアにグラフト重合されてなるコアシェル構造を有するゴム粒子は、コアとなる粒子の存在下において、公知の方法でラジカル重合性化合物をグラフト重合させることで形成することができる。例えば、乳化重合やミニエマルション重合、懸濁重合、等で調製され得る、水中に分散されたラテックス粒子に対して、シェルの構成成分であるラジカル重合性化合物を加えて重合させることで製造することができる。
【0055】
なお、コアの表面に、シェルがグラフト重合され得るエチレン性不飽和基等の反応性部位が存在しない、または極めて少ない場合には、反応性部位を含有する中間層をコアとなる粒子の表面に設けてから、シェルをグラフト重合させてもよい。すなわち、コアシェル構造を有するゴム粒子の形態としては、中間層を介してコアにシェルが設けられた形態も含まれる。
【0056】
コアシェル構造を有するゴム粒子のコアを構成する好ましい組成物としては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、これらのジエンゴムを水素添加または部分水素添加した飽和ゴム、架橋ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、シリコンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー三元共重合ゴム、アクリルゴム、アクリル/シリコーン複合ゴムなどが挙げられる。コアは、これらの組成物を、単独で、または2種以上を組み合せた組成物から構成されることが好ましい。中でも、柔軟性の観点から、ブタジエンゴム、架橋ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴムおよびシリコーン/アクリル複合ゴムの少なくともいずれか1つからなるコアが特に好ましい。
【0057】
コアシェル構造を有するゴム粒子のシェルを形成するためのラジカル重合性化合物としては、分子内に1個のラジカル重合性官能基を有する単官能ラジカル重合性化合物を好適に用いることができる。シェルが単官能ラジカル重合性化合物の重合体を含むゴム粒子は、混合樹脂組成物中における分散性に優れるため好ましい。シェルを形成するために用いる単官能ラジカル重合性化合物は、コアとの相性や、混合樹脂組成物中での分散性の観点から適宜選択することができる。硬化性樹脂組成物の材料として単官能ラジカル重合性化合物として例示した材料の中から、1種、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シェルが(メタ)アクリロイル基を有する単官能ラジカル重合性化合物の重合体を含むゴム粒子を用いると、ゴム粒子を硬化性樹脂組成物中で良好に分散させることができ、硬化性樹脂組成物の粘度上昇を抑制することができるため、特に好ましい。より好ましくは、(メタ)アクリロイル基を有する疎水性単官能ラジカル重合性化合物の重合体を含むゴム粒子を用いることである。
【0058】
また、シェルを形成するためのラジカル重合性化合物として、単官能ラジカル重合性化合物と、多官能ラジカル重合性化合物または多官能ウレタン(メタ)アクリレートを併用してもよい。多官能ラジカル重合性化合物を用いてシェルを形成すると、硬化性樹脂組成物の粘度が低くなり、取り扱いが容易になる傾向がある。その一方で、多官能ラジカル重合性化合物の含有量が過剰になると、コアシェル構造を有するゴム粒子の添加による、耐衝撃性の向上効果が得られ難くなる傾向がある。そのため、シェル形成に用いられる多官能ラジカル重合性化合物は、シェル形成のために用いるラジカル重合性化合物100質量部に対して、0質量部以上40質量部以下であることが好ましい。さらに、0質量部以上30質量部以下がより好ましく、0質量部以上25質量部以下が特に好ましい。なお、シェル形成に用いるウレタン(メタ)アクリレートおよび多官能ラジカル重合性化合物は、コアとの相性や、混合樹脂組成物中での分散性の観点から適宜選択するとよい。硬化性樹脂組成物の材料としてウレタン(メタ)アクリレートおよび多官能ラジカル重合性化合物として例示した材料の中から、1種、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
コアシェル構造を有するゴム粒子におけるコアとシェルの質量比率としては、コア100質量部に対して、シェルが1質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上180質量部以下である。コアとシェルの質量比率が上記範囲内であれば、ゴム粒子を含有させることによる耐衝撃性の向上効果が大きい傾向にある。シェルが1質量部未満である場合、硬化性樹脂組成物中における分散性が十分でなく、耐衝撃性の向上効果を得にくい傾向がある。また、シェルが200質量部よりも多い場合は、耐衝撃性の向上効果を得るために多量のゴム粒子を添加する必要があり、硬化性樹脂組成物の粘度が顕著に増大して取り扱いが困難になる傾向がある。
【0060】
ゴム粒子は、その平均粒径が20nm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは、50nm以上5μm以下である。平均粒径が20nm未満の場合、添加に伴って硬化性樹脂組成物中の粘度上昇や、ゴム粒子の比表面積の増加に伴って生じるゴム粒子間の相互作用が、硬化物の耐熱性の低下や耐衝撃性の低下を引き起こす傾向がある。また、平均粒径が5μmより大きい場合には、硬化性樹脂組成物中におけるゴム粒子(ゴム成分)の分散性が十分に得られず、ゴム粒子の添加による耐衝撃性の向上効果が減少する傾向がある。
【0061】
ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を分散させ、粒度分布計を用いて測定することができる。
【0062】
また、ゴム粒子のゲル分率は、5%以上であることが好ましい。ゲル分率が5%未満である場合には、耐衝撃性ともに耐熱性が低下する傾向があるため好ましくない。なお、ゲル分率は、所定量の乾燥ゴム粒子(W1(g))を十分な量のTHF中に浸漬させて、これを室温で7日間放置した後、遠心分離等により固形分を取り出して100℃で2時間乾燥させて(乾燥後の固形分:(W2(g)))次式により求めることができる。
ゲル分率(%)=W2/W1×100
【0063】
本実施例の硬化性樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物との合計100質量部に対して、2質量部以上65質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量部以上60質量部以下である。ゴム粒子の含有量が上記の範囲内であれば、高い耐衝撃性と耐熱性とを両立した硬化物を得ることができる。ゴム粒子の含有量が2質量部より少ない場合、ゴム粒子の添加による耐衝撃性の向上効果を得にくい傾向がある。また、ゴム粒子の含有量が65質量部より多い場合には、得られる硬化物の耐熱性が著しく低下する。加えて、硬化性樹脂組成物の粘度が上昇してしまい、取り扱いが困難になる傾向があるため好ましくない。
【0064】
<ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。
【0065】
光ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型の光ラジカル重合開始剤では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断され、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始剤となり(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和化合物の重合が始まる。一方、水素引き抜き型の場合は、特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こし、ラジカルが発生し、それが重合開始剤となりラジカル重合性化合物の重合が始まる。
【0066】
分子内開裂型光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤が知られている。これらはカルボニル基に隣接した結合がα開裂して、ラジカル種を生成するタイプのものである。アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤等がある。具体的な化合物としては、例えば、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(イルガキュア(登録商標)651、BASF社製)等があり、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(ダロキュア1173、BASF社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、BASF社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(イルガキュア2959、BASF社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(イルガキュア127、BASF社製)等があり、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(イルガキュア907、BASF社製)あるいは2-ベンジルメチル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン(イルガキュア369、BASF社製)等があるが、これに限定されることはない。アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(ルシリンTPO、BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(イルガキュア819、BASF社製)等があるが、これに限定されることはない。オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤としては、(2E)-2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1-オン(イルガキュアOXE-01、BASF社製)等が挙げられるが、これに限定されることはない。括弧内に商品名の一例を併記しておく。
【0067】
水素引き抜き型ラジカル重合開始剤としては、2-エチル-9,10-アントラキノン、2-t-ブチル-9,10-アントラキノン等のアントラキノン誘導体、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体が挙げられるが、これに限定されることはない。これらの光ラジカル重合開始剤は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、後述する熱ラジカル重合開始剤と併用していてもよい。
【0068】
光ラジカル重合開始剤の添加量としては、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の合計100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。光ラジカル重合開始剤量が少ないと、重合が不十分となる傾向がある。重合開始剤を過剰に添加すると、分子量が増大せず、耐熱性あるいは耐衝撃性が低下してしまう恐れがある。
【0069】
また、熱ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生するものであれば特に制限されず従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、アゾ系化合物、過酸化物および過硫酸塩等を好ましいものとして例示することができる。アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等が挙げられる。過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレートおよびジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
【0070】
熱ラジカル重合開始剤の添加量としては、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、単官能ラジカル重合性化合物、および多官能ラジカル重合性化合物の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。重合開始剤を過剰に添加すると、分子量が増大せず、耐熱性あるいは耐衝撃性が低下してしまう恐れがある。
【0071】
<その他の成分(添加剤)>
本実施形態の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。添加剤の添加量としては、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の合計100質量部に対して、0.05質量部以上25質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量部以上20質量部以下である。例えば、硬化物に所望の物性を付与するための物性改質剤として、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリクロロプレン、ポリエステル、ポリシロキサン、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂などの樹脂、あるいはポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、ポリトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのエンジニアリングプラスチック、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー、金、銀、鉛などの軟質金属、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、窒化ケイ素、セレン化モリブデンなどの層状結晶構造物質を添加しても良い。
【0072】
また、光増感剤として、フェノチアジン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等の重合禁止剤、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを添加しても良い。
【0073】
他の添加剤としては、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、無機充填剤、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤、増粘剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0074】
<硬化性樹脂組成物>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、単官能ラジカル重合性化合物、ゴム粒子、およびラジカル重合開始剤、並びに、必要に応じて多官能ラジカル重合性化合物、その他の任意成分の適量を攪拌容器に仕込んで攪拌する。攪拌温度は、通常20℃以上120℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下である。そして、必要に応じて揮発性の溶剤等を除去することにより製造することができる。
【0075】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、光造形法に用いる造形材料として好適に用いることができる。すなわち、本実施形態の硬化性樹脂組成物に対して、紫外・可視光線、電子線、X線、放射線などの活性エネルギー線を選択的に照射して硬化に必要なエネルギーを供給することにより、所望の形状の造形物を製造することができる。本実施形態の硬化性樹脂組成物を光造形法の造形材料として用いる場合、25℃における粘度が50mPa・s以上10,000mPa・s以下であるのが好ましく、より好ましくは50mPa・s以上5,000mPa・s以下である。
【0076】
<硬化物>
本実施形態の樹脂硬化物は、前述の硬化性樹脂組成物を、活性エネルギー線照射や熱照射といった公知の方法を用いて硬化せしめることで得ることができる。活性エネルギー線としては、紫外・可視光線、電子線、X線、放射線などを挙げることができる。なかでも、入手が容易な点と、光ラジカル重合開始剤との相性の点で、300nm以上450nm以下の波長を有する紫外・可視光線を好ましく用いることができる。紫外・可視光線の光源としては、紫外・可視光線レーザー(例えばArレーザー、He-Cdレーザーなど)、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯などを使用することができる。なかでも、レーザー光源が、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮でき、しかも集光性に優れていて高い造形精度を得ることができる点から、好ましく採用される。硬化方法は、硬化性樹脂組成物が含有するラジカル重合開始剤の種類に合わせて適宜選択することができる。また、硬化方法は単独でも、複数組み合わせて用いてもよい。
【0077】
本実施形態の硬化物は、
図1に示すように、海相10の中に島相または連続相(以下、島相/連続相と記述する)11が分散されてなる相分離構造、いわゆる海島構造を有することが好ましい。海相10は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物の重合体、または多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の重合体を主成分とする領域である。島相/連続相11はゴム粒子を主成分とする領域である。
【0078】
さらに、島相/連続相11の内部において、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物の重合体、および多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の重合体の少なくとも一方と、ゴム粒子とが分離した相分離構造を有することが好ましい。より好ましくは、
図1に示すように、ゴム粒子からなる島相/連続相11の内部に、島相/連続相12が複数個所に点在する海島構造である。島相/連続相12は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物の重合体、および多官能ウレタン(メタ)アクリレートと単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の重合体の少なくとも一方からなる。
【0079】
硬化物の断面において、前記島相/連続相12が島相の場合は直径、連続相の場合は管径の平均値が、0.5nm以上200nm以下であることが好ましい。より好ましくは、1nm以上150nm以下である。前記の範囲内にあることで、高い耐衝撃性と耐熱性を両立することが可能となる。なお、硬化物の断面観察により観られる島相/連続相12が真円でない場合には、最も短い直径である短径を指標として、観察領域に含まれる複数の島相の直径の平均値、連続相12の管径の平均値を求めることができる。
【0080】
海相や島相/連続相が有する相分離構造、例えば海島構造やサラミ構造、共連続構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等を用いて、組成分布や形状や粘弾性を観察することによって確認することができる。あるいは、Nano-IR測定装置を用いて、組成分布を測定することによって確認することもできる。
【0081】
<立体造形物の製造方法>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、光造形法の造形材料として好適に用いることができる。本実施形態の硬化性樹脂組成物を硬化せしめてなる立体造形物は、公知の光造形法および装置を用いて作製することができる。好ましい光造形法の代表例としては、三次元モデルの三次元形状データから生成したスライスデータに基づいて、硬化性樹脂組成物を層毎に光硬化させて造形物を造形する工程を有する方法である。具体的には、液状の硬化性樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように、スライスデータに基づいて前記活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成する。次いで、この硬化層に接して、液状の硬化性樹脂組成物からなる未硬化層を供給し、同様にスライスデータに基づいて前記活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する。この積層工程を繰り返すことによって最終的に三次元モデルに対応した目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
【0082】
硬化性樹脂組成物よりなる未硬化層に活性エネルギー線を照射して、所望の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光のように点状に絞られた活性エネルギー線を、点描方式または線描方式で照射してもよい。また、液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターなどのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して未硬化層に活性エネルギー線を面状に照射する方式を採用してもよい。
【0083】
光造形法の代表的な例を説明すると、次のとおりである。まず、液状の硬化性樹脂組成物を収容した容器内において、昇降自在に設けられた支持ステージを、樹脂組成物の液面からスライスデータに基づく所定量だけ降下(沈降)させることにより、支持ステージ上に硬化性樹脂組成物の薄層(1)を形成する。次いで、この薄層(1)に対して選択的に光を照射することにより、固体状に硬化した硬化層(1)を形成する。次いで、この硬化層(1)上に硬化性樹脂組成物を供給して新たに薄層(2)を形成し、この薄層(2)に対して選択的に光を照射することにより、硬化層(1)上にこれと連続して一体的に積層されるように新しい硬化層(2)を形成する。そして、スライスデータに基づいて光照射されるパターンを変化させ、或いは変化させずに、この工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化層(1,2,・・・n)が一体的に積層されてなる造形物が造形される。
【0084】
このようにして得られる造形物を容器から取り出し、必要に応じて洗浄するなどして、その表面に残存する未反応の硬化性樹脂組成物を除去する。洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類に代表されるアルコール系有機溶剤;アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等に代表されるケトン系有機溶剤;テルペン類に代表される脂肪族系有機溶剤を用いることができる。なお、未反応の硬化性樹脂組成物を除去した後には必要に応じて、活性エネルギー線または熱によるポストキュアーを行っても良い。ポストキュアーを施すことによって、造形物の表面および内部に残存する未反応の硬化性樹脂組成物を硬化させることができ、造形物の表面のべたつきを抑えることができる他、造形物の初期強度を向上させることができる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
【0086】
<材料>
以下、実施例および比較例にて使用した材料を列記する。
【0087】
[多官能ウレタン(メタ)アクリレート]
A-1:二官能ウレタンアクリレート;「KAYARAD UX-6101」(日本化薬社製、重量平均分子量(実測値):6.7×103)
A-2:二官能ウレタンアクリレート;「KAYARAD UX-8101」(日本化薬社製、重量平均分子量(実測値):3.3×103)
A-3:二官能ウレタンアクリレート;「UA-122P」(新中村化学社製、重量平均分子量(実測値):2.3×103)
A-4:二官能ウレタンアクリレート;「KUA-PC2I」(ケーエスエム社製、重量平均分子量(実測値):2.3×104)
A-5:以下に記載の方法で製造したウレタン(メタ)アクリレート(重量平均分子量(実測値):7.1×103)
((A-5)の製造)
ガラス容器に、ポリカーボネートジオール(T6002:旭化成社製、水酸基価:57.6mgKOH/g)100質量部および2-イソシアナトエチルアクリラート(AOI-VM:昭和電工社製)15質量部を仕込み、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.020質量部を加えて60℃で撹拌して2時間反応させた。その後、常温まで冷却することにより、反応生成物として白色固体を得た。
【0088】
[単官能ラジカル重合性化合物]
B-1:アクリロイルモルフォリン;「ACMO」(KJケミカルズ社製)
B-2:N-イソプロピルアクリルアミド;「NIPAM」(KJケミカルズ社製)
B-3:イソボルニルメタクリレート
B-4:アクリロイルピペリジン
B-5:N-フェニルメタクリルアミド
B-6:N-フェニルアクリルアミド
B-7:N-tert-ブチルメタクリルアミド
B-8:N-tert-ブチルアクリルアミド
B-9:N,N-ジエチルアクリルアミド;「DEAA」(KJケミカルズ社製)
B-10:N-フェミルマレイミド;「imilex-P」(株式会社日本触媒製)
B-11:N-シクロヘキシルマレイミド;「imilex-C」(株式会社日本触媒製)
B-12:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
B-13:メタクリル酸メチル
B-14:ジシクロペンテニルアクリレート
B-15:メタクリル酸 1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル
B-16:スチレン
B-17:グリシジルメタクリレート
B-18:(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート
B-19:α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル
B-20:3-ヒドロキシ-1-アダマンチルメタアクリレート
【0089】
[ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満である多官能ラジカル重合性化合物]
C-1:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのカプロラクトン2モル付加物のジアクリル酸エステル;「KAYARAD HX-220」(分子量:540.65,ラジカル重合性官能基当量:270g/eq,日本化薬社製)
C-2:ウレタンジメタクリレート(分子量:470.56,ラジカル重合性官能基当量:235g/eq,シグマ-アルドリッチ社製)
C-3:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート;「A―9300」(分子量:423,ラジカル重合性官能基当量:141g/eq,新中村化学工業社製)
【0090】
[ラジカル重合性官能基当量が300g/eq以上である多官能ラジカル重合性化合物]
C-4:ポリカーボネートジオールジアクリレート「UM-90(1/3)DM」(分子量:約900,ラジカル重合性官能基当量:約450g/eq,宇部興産社製)
【0091】
[ラジカル重合開始剤]
E-1:光ラジカル発生剤;「Irgacure819」(BASF社製)
【0092】
[ゴム粒子]
ゴム粒子は以下に示す製造例で製造した。
【0093】
(ゴム粒子の製造例1)
ガラス容器に、ポリブタジエンラテックス(Nipol LX111A2:日本ゼオン社製)185質量部(ポリブタジエンゴム粒子100質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.005質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2質量部を加えた後、シェル層を形成するラジカル重合性化合物35質量部(メチルメタクリレート;MMA 17.5質量部、3-メチル-3-オキセタニル-メチルメタクリレート;OXMA:宇部興産社製17.5質量部)、およびクメンヒドロパーオキサイド0.1質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加することにより、ポリブタジエンゴムの粒子の表面にラジカル重合性化合物をグラフト重合した。添加終了後、さらに2時間撹拌して反応を終了させ、ポリブタジエンゴムをコア、ラジカル重合性化合物の重合体をシェルとして有するコアシェル構造を有するゴム粒子の水分散液を得た。
【0094】
上記のようにして得られたコアシェル構造を有するゴム粒子の水分散液をアセトン450質量部中に投入し、均一に混合した。遠心分離機を用い、回転数12000rpm、温度10℃にて30分間遠心した後、上澄み液を除去した。沈降したコアシェル構造を有するゴム粒子にアセトンを加えて再分散し、上記と同条件で遠心分離、上澄み液の除去を2回繰り返し行うことにより、ゴム粒子(D-1)のアセトン分散液を得た。ゴム粒子(D-1)の平均粒径は0.32μmであった。
【0095】
(ゴム粒子の製造例2)
シェル層を形成するラジカル重合性化合物の組成をMMA35質量部に変えた以外は、製造例1同様にしてコアシェル構造を有するゴム粒子(D-2)のアセトン分散液を得た。ゴム粒子(D-2)の平均粒径は0.30μmであった。
【0096】
<硬化性樹脂組成物の製造>
表1に示す配合比にて各化合物とラジカル重合開始剤を配合し、均一に混合した。この配合物中に、ゴム粒子のアセトン分散液を混合し、回転式の蒸発装置を用いて揮発分であるアセトンを除去することによって硬化性樹脂組成物を得た。
【0097】
<試験片の作成>
調製した硬化性樹脂組成物から、下記の方法で硬化物を作成した。まず、二枚の石英ガラスの間に長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの金型を挟み、ここに硬化性樹脂組成物を流し込んだ。流し込んだ硬化性樹脂組成物に対して紫外線照射機(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、商品名「LIGHT SOURCE EXECURE3000」)で5mW/cm2の紫外線を金型の両面から交互に180秒間ずつ4回照射した。得られた硬化物を50℃の加熱オーブン内に入れて1時間、100℃の加熱オーブン内に入れて2時間熱処理を行うことで、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を得た。
【0098】
<評価>
[多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量の測定]
ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)装置(東ソー社製、HLC-8220GPC)に、Shodex GPC LF-804カラム(昭和電工社製、排除限界分子量:2×106、分離範囲:300~2×106)を2本直列に配置した。40℃、展開溶媒としてTHFを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により、多官能ウレタン(メタ)アクリレートA-1~A-5の重量平均分子量を測定した。得られた重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値である。
【0099】
[ゴム粒子の平均粒径]
粒度分布計(マルバーン社製、ゼータサイザーナノZS)を用いて、ガラス製セルにゴム粒子(D-1)の希薄アセトン分散液を約1ml入れて25℃で測定した。結果として得られるZ-averageサイズを平均粒径とした。ゴム粒子(D-2)の平均粒径についても同様に求めた。
【0100】
[荷重たわみ温度]
試験片について、JIS K 7191-2に準じて、荷重たわみ温度試験機(東洋精機製作所製、商品名「No.533 HDT 試験装置 3M-2」)を用い、曲げ応力1.80MPaで、室温から2℃毎分で昇温した。試験片のたわみ量が0.34mmに達した温度を荷重たわみ温度とし、耐熱性の指標とした。得られた結果を表1に示す。耐熱性の評価は、荷重撓み温度が80℃以上のものをA(非常に良好)、60℃以上80℃未満のものをB(良好)、60℃未満のものをC(不良)とした。
【0101】
[シャルピー衝撃強さ]
JIS K 7111に準じて、切欠き形成機(東洋精機製作所製、商品名「ノッチングツール A-4」)にて試験片の中央部に深さ2mm、45°の切欠き(ノッチ)を入れた。衝撃試験機(東洋精機製作所製、商品名「IMPACT TESTER IT」)を用い、試験片の切欠きの背面から2Jのエネルギーで破壊する。150°まで振り上げたハンマーが試験片破壊後に振りあがる角度から破壊に要したエネルギーを算出し、それをシャルピー衝撃強さとし、耐衝撃性の指標とした。得られた結果を表1に示す。耐衝撃性の評価は、シャルピー衝撃強さが12kJ/m2以上のものをA(非常に良好)、8kJ/m2以上12kJ/m2未満のものをB(良好)、8kJ/m2未満のものをC(不良)とした。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
表1~3中、空欄は組成物中にその材料を含まないことを意味する。また、表1~3中の「ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満である多官能ラジカル重合性化合物の含有量」は、単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物の合計100質量部に対する含有量を意味する。
【0106】
表1に示す結果に基づいて、(B-1)と(C-1)との合計100質量部に対する(C-1)の含有量と、シャルピー衝撃強さ(▲のプロット)および荷重撓み温度(〇のプロット)との関係を
図2に示す(実施例4から6、比較例1から3)。
図2からわかるように、本実施形態の硬化性樹脂組成物から得た硬化物は、ラジカル重合性官能基当量が300g/eq未満である多官能ラジカル重合性化合物を本発明の範囲を超えて含有する組成物から得た硬化物に比べ、耐衝撃性、耐熱性ともに優れている。詳細にみると、荷重撓み温度は、(B-1)と(C-1)との合計100質量部に対する(C-1)の含有量((C-1)/((B-1)+(C-1)))が増加するのに従い、直線的になだらかに減少する傾向が観られた。一方、シャルピー衝撃強さは、(C-1)の含有量が0質量部で最も高く、(C-1)の含有量の増加に伴ってなだらかに減少し、20質量部付近を境として急激に減少する傾向が観られた。(C-1)/((B-1)+(C-1))が20質量部以上である硬化性樹脂組成物から得られた硬化物が示すシャルピー衝撃強さは、従来技術並みの値である。
【0107】
すなわち、本実施形態の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、従来の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物よりも、各段に優れたシャルピー衝撃強さをもつことがわかる。結果として、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、高い耐衝撃性と耐熱性を両立させ得ることが明らかとなった。
【0108】
また、実施例1の硬化物の超薄切片をリンタングステン酸で染色した後に、走査型電子顕微鏡(SEM)を介して撮像した反射電子像を
図3に示す。
図3において、リンタングステン酸により染色されないポリブタジエンゴム(ゴム成分)が黒っぽい色の島相として確認できた。また、その内部に分散している灰色の部分、および、外部に広がる海相は、少なくとも二官能ウレタンアクリレートとアクリロイルモルフォリンとの重合体を含有することがNano-IR測定によって確認できた。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、海相は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを主成分とする重合体からなる相と、単官能ラジカル重合性化合物を主成分とする重合体からなる相とが微視的に分離した相分離構造であることが確認できた。
【0109】
以上の結果から、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、耐衝撃性と耐熱性を両立する優れた効果を有し、光学的立体造形に好適に使用できることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0110】
10 海相
11 島相/連続相
12 島相/連続相