(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電気機器収容装置
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
H02B1/40 C
(21)【出願番号】P 2021079567
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-142454(JP,U)
【文献】特開2011-109760(JP,A)
【文献】実開昭51-057260(JP,U)
【文献】特開平09-084218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物壁に固定されて内部に電気機器を収容する電気機器収容装置であって、
前面側に取着部を介して前記電気機器が一体に取着され、裏面側が前記建物壁に沿わされた状態で、当該建物壁に固定される第1基台と、
前記建物壁に固定されている前記第1基台に取着された前記電気機器の一部を外部に臨ませる窓部を備え、当該電気機器の全体を内部に収容した状態で、当該第1基台
の被係合部と係合して組み付けられて、その全体を覆い隠す第1カバー体と、
前面側に前記電気機器を取着する取着部を備え、前記第1基台の側方に並列配置された状態で、裏面側が前記建物壁に沿って固定される拡張基台と、
前記建物壁に並列配置状態でそれぞれ固定された前記第1基台と前記拡張基台の全体をまとめて覆い隠すことのできる大きさ及び形状を有していて、前記第1基台及び前記拡張基台にそれぞれ取着された各電気機器の前面側の一部を外部に臨ませ得る各窓部を備えた拡張カバー体と、を備え、
前記拡張カバー体は、前記第1基台の少なくとも一部の被係合部、及び前記拡張基台に設けられた被係合部のそれぞれに係合して、当該第1基台と当該拡張基台に組み付けられる係合部を有し、
前記第1基台を前記第1カバー体で覆い隠す設置形態と、前記並列配置された第1基台と拡張基台を前記拡張カバー体で覆い隠す設置形態と、
の異なる設置形態を選択可能にしたことを特徴とする電気機器収容装置。
【請求項2】
前記第1基台に取着可能な前記電気機器と同数の電気機器を前面に取着可能な取着部を有する本体基台と、当該本体基台に対して分離可能に連結された拡張基台と、から成って、裏面側が前記建物壁に沿わされた状態で固定される第2基台を更に備え、
前記第2基台を構成する本体基台及び拡張基台を一体に連結したままで、当該各基台にそれぞれ増設に係る電気機器を取着して配線して、当該第2基台の全体を前記拡張カバー体で覆い隠すことで、全ての電気機器、及び各電気機器を取着する各基台を新設する第1設置形態と、
前記第2基台から拡張基台を分離させて、既設の電気機器を覆い隠している第1カバー体を取り外して、建物壁に固定されている既設の第1基台に対して前記拡張基台を並列配置させて、当該拡張基台に増設に係る電気機器を取着して、前記第1基台及び拡張基台の双方に対して1個の前記拡張カバー体を一体に組み付けることで、当該拡張基台に取着される電気機器を増設する第2設置形態と、
の異なる二種類の設置形態に対して共通の前記拡張カバー体の使用を可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の電気機器収容装置。
【請求項3】
前記拡張基台を分離させた前記第2基台の本体基台は、その前面全体が前記第1カバー体で覆い隠される大きさ及び形状であると共に、裏面側が前記建物壁に沿わされた状態で固定可能であり、
前記第1カバー体は、
前記建物壁に固定された前記第2基台の本体基台に組み付けられて、当該本体基台に取着された前記電気機器が収容された状態で、当該本体基台の全体を覆い隠すと共に、
前記窓部が、当該収容された電気機器の前面側の一部を外部に臨ませ得ることを特徴とする請求項2に記載の電気機器収容装置。
【請求項4】
前記第1基台と前記拡張基台には、前記並列配置させる際に、当該並列配置を確定させるための各位置決め部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気機器収容装置。
【請求項5】
前記各位置決め部は、互いに係止して前記建物壁の壁面に沿った方向への離間移動を規制することを特徴とする請求項4に記載の電気機器収容装置。
【請求項6】
前記第1基台と前記本体基台は、同一形状であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電気機器収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーカー(配線用遮断器)を増設する際に、増設に係るブレーカーを既設のブレーカーと一緒に収容したり、或いは当該増設に係るブレーカーを単独で収容するのに使用される電気機器収容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の増設、或いは既設建物の室内における使用電気機器の増設により、ブレーカーの増設が必要となる。ブレーカーの増設は、分電盤の内部において、既設のブレーカーに対して隣接設置させて行う。分電盤の内部におけるブレーカーの配置は、建物壁に沿って固定される(正確には、箱状の分電盤の底板部に建物壁と平行な状態で固定される)基台と、当該基台の全体を覆い隠すカバー体とから成るブレーカーボックスの内部にブレーカーが、前記基台に取着された状態で収容される。
【0003】
そして、設置の期間差を有して2回路増設する場合において、先に設置した旧ブレーカーに接続させて、新ブレーカーを設置する場合には、各ブレーカーボックスのカバー体を同色にしても、旧ブレーカーのカバー体は、経時変色しているために、新旧の各ブレーカーのカバー体が隣接設置されると、色彩の違いが目立って見栄えが悪いという問題がある。
【0004】
一方、2個のブレーカーを一緒に収容可能な2回路用のブレーカーボックスも存在しているため、旧ブレーカーを取り外した基台を撤去して、2回路用のブレーカーボックスに新旧の各ブレーカーを一緒に収容することで、上記したカバー体の色彩の相違による見栄えの悪さを解消できるが、旧ブレーカーの再配線の必要があり、この再配線には手間がかかると言う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既設のブレーカー、及びその配線類を取り外すことなく、そのままにして、新設のブレーカーを前記既設ブレーカーとの差異が外観上認識できないようにして増設可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、建物壁に固定されて内部に電気機器を収容する電気機器収容装置であって、
前面側に取着部を介して前記電気機器が一体に取着され、裏面側が前記建物壁に沿わされた状態で、当該建物壁に固定される第1基台と、
前記建物壁に固定されている前記第1基台に取着された前記電気機器の一部を外部に臨ませる窓部を備え、当該電気機器の全体を内部に収容した状態で、当該第1基台の被係合部と係合して組み付けられて、その全体を覆い隠す第1カバー体と、
前面側に前記電気機器を取着する取着部を備え、前記第1基台の側方に並列配置された状態で、裏面側が前記建物壁に沿って固定される拡張基台と、
前記建物壁に並列配置状態でそれぞれ固定された前記第1基台と前記拡張基台の全体をまとめて覆い隠すことのできる大きさ及び形状を有していて、前記第1基台及び前記拡張基台にそれぞれ取着された各電気機器の前面側の一部を外部に臨ませ得る各窓部を備えた拡張カバー体と、を備え、
前記拡張カバー体は、前記第1基台の少なくとも一部の被係合部、及び前記拡張基台に設けられた被係合部のそれぞれに係合して、当該第1基台と当該拡張基台に組み付けられる係合部を有し、
前記第1基台を前記第1カバー体で覆い隠す設置形態と、前記並列配置された第1基台と拡張基台を前記拡張カバー体で覆い隠す設置形態と、
の異なる設置形態を選択可能にしたことを特徴としている。
【0008】
建物壁には、当該建物壁に固定された第1基台に電気機器が取着されて、当該電気機器及び第1基台の全体を第1カバー体が覆い隠すことで、第1基台及び第1カバー体で形成される収容空間には、前記電気機器が収容されて、電気機器が設置される。この状態で、請求項1の発明に基づいて、別の電気機器を増設する場合には、既設のブレーカーを覆い隠している第1カバー体を取り外して、既設の電気機器が取着されている前記第1基台の側方に拡張基台を並列配置させて、建物壁に固定し、当該拡張基台に増設に係る電気機器を取着する。その後に、並列配置された前記第1基台及び前記拡張基台にそれぞれ取着されている既設の電気機器、及び増設に係る電気機器の双方を拡張カバー体で覆い隠して、前記第1基台及び前記拡張基台の複数個の基台に対して1個の拡張カバー体を一体に組み付ける。一方、同時に施工する電気機器の数が複数の場合には、並列配置された第1基台及び拡張基台に対して1個の拡張カバー体が一体に組み付けられるので、1個の電気機器を設置するのに使用される第1基台を兼用できる利点がある。
【0009】
上記において、電気機器を増設する場合には、既設及び増設に係る各電気機器が同一の拡張カバー体で覆い隠されるので、増設に係る拡張基台に取着されている電気機器のみを覆い隠す増設に係るカバー体を使用した場合には、既設の第1カバー体は、経年変色していて、当該既設の第1カバー体と、増設に係るカバー体との色違いが目立って見栄えが悪いが、請求項1の発明によれば、既設及び増設に係る各電気機器が同一の拡張カバー体で覆い隠されるので、前記色違いによる見栄えの悪さは解消されて、既設及び増設に係る各電気機器は、恰も同時期に施工されたように認識される。また、既設の電気機器に関しては、これを覆い隠している第1カバー体を取り外すのみで、配線はそのまま維持できるので、面倒な配線のし直し作業も不用となる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1基台に取着可能な前記電気機器と同数の電気機器を前面に取着可能な取着部を有する本体基台と、当該本体基台に対して分離可能に連結された拡張基台と、から成って、裏面側が前記建物壁に沿わされた状態で固定される第2基台を更に備え、
前記第2基台を構成する本体基台及び拡張基台を一体に連結したままで、当該各基台にそれぞれ増設に係る電気機器を取着して配線して、当該第2基台の全体を前記拡張カバー体で覆い隠すことで、全ての電気機器、及び各電気機器を取着する各基台を新設する第1設置形態と、
前記第2基台から拡張基台を分離させて、既設の電気機器を覆い隠している第1カバー体を取り外して、建物壁に固定されている既設の第1基台に対して前記拡張基台を並列配置させて、当該拡張基台に増設に係る電気機器を取着して、前記第1基台及び拡張基台の双方に対して1個の前記拡張カバー体を一体に組み付けることで、当該拡張基台に取着される電気機器を増設する第2設置形態と、
の異なる二種類の設置形態に対して共通の前記拡張カバー体の使用を可能にしたことを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明を構成する第2基台は、当該第2基台を構成する本体基台及び拡張基台を一体に連結したままで、当該第2基台の本体基台及び拡張基台にそれぞれ取着された複数の各電気機器を共通の拡張カバー体で覆い隠すことで、複数の電気機器を同時に新設する場合の第1設置形態と、前記第2基台から拡張基台を分離させて、既設の前記第1基台から第1カバー体を取り外して、既設の当該第1基台に対して前記拡張基台を並列配置させて、建物壁に固定して、当該拡張基台に対して増設に係る電気機器を取着すると共に、前記拡張基台及び第1基台を1個の前記拡張カバー体で覆い隠すことで、当該拡張基台に取着される電気機器のみを新設して増設する第2設置形態との異なる二種類の設置形態に対して共通の拡張カバー体の使用が可能となる。従って、第1設置形態では、1個の拡張カバー体を用いて、複数の電気機器を同時に新設でき、第2設置形態では、請求項1の発明と同一の作用効果が奏される。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記拡張基台を分離させた前記第2基台の本体基台は、その前面全体が前記第1カバー体で覆い隠される大きさ及び形状であると共に、裏面側が前記建物壁に沿わされた状態で固定可能であり、
前記第1カバー体は、
前記建物壁に固定された前記第2基台の本体基台に組み付けられて、当該本体基台に取着された前記電気機器が収容された状態で、当該本体基台の全体を覆い隠すと共に、
前記窓部が、当該収容された電気機器の前面側の一部を外部に臨ませ得ることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、第2基台の本体基台に取着された電気機器を、既設の第1カバー体により覆い隠すことができるので、当該第1カバー体を、別の設置場所や現場に使用できる。既設の第1カバー体が経年変色されていて、前記本体基台の色と異なっていても、前記電気機器が取着された本体基台は、第1カバー体により全体が覆い隠されるので、両者の色違いは認識されない。また、取り外された既設の第1カバー体の再設置には、色違いの認識対象となる隣接する別のカバー体が存在しないので、既設の第1カバー体の経年使用による色の変化は認識されず、既設の第1カバー体を使用しているにもかかわらず、見栄えの低下は発生しない。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記第1基台と前記拡張基台には、前記並列配置させる際に、当該並列配置を確定させるための各位置決め部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、前記第1基台と前記拡張基台とは、それぞれに設けられた各位置決め部により、その並列配置を確定できて、現場における設置作業を正確に、しかも迅速に行える。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記各位置決め部は、互いに係合して前記建物壁の壁面に沿った方向への離間移動を規制することを特徴としている。
【0017】
電気機器収容装置を構成する基台の基本形状は長方形状であることが多く、その長辺部が隣接する形態で配置されると、基台の短辺方向への相対移動はないが、長辺方向には相対移動するので、請求項5の発明により、前記建物壁の壁面に沿った方向への離間移動を各位置決め部により規制することで、隣接配置される前記第1基台と前記拡張基台との配置位置が確定される。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記第1基台と前記本体基台は、同一形状であることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明によれば、第2基台の本体基台と第1基台との互換性が生じて、当該本体基台を第1基台として代替使用できて、第2基台自体の用途が拡大される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、既設及び増設に係る各電気機器が同一の拡張カバー体で覆い隠されるので、増設に係る拡張基台に取着されている電気機器のみを覆い隠す増設に係るカバー体を使用した場合には、既設の第1カバー体は、経年変色していて、当該既設の第1カバー体と、増設に係るカバー体との色違いが目立って見栄えが悪いが、既設及び増設に係る各電気機器が同一の拡張カバー体で覆い隠されるので、前記色違いによる見栄えの悪さは解消されて、既設及び増設に係る各電気機器は、同時期に施工されたように認識される。また、既設の電気機器に関しては、これを覆い隠している第1カバー体を取り外すのみで、配線はそのまま維持できるので、面倒な配線のし直し作業も不用となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1基台V
1 及び第1カバー体L
1 を用いた既設のブレーカーD
1 の設置状態の一部を破断した斜視図である。
【
図3】第1基台V
1 及び第1カバー体L
1 の分離状態の斜視図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ第1基台V
1 の表面側及び背面側から見た斜視図である。
【
図6】(a)~(d)は、それぞれ
図5のS
1 -S
1 線~S
4 -S
4 線の断面図である。
【
図7】(a),(b)は、第1基台V
1 の表面側の中央部に薄金属板Mが取着された状態の斜視図、及び弾性片15と嵌合溝板部18とを結ぶ部分の縦断面図である。
【
図8】第1カバー体L
1 を開口側から見た斜視図である。
【
図9】第1カバー体L
1 の底面図、及び中央横断面図である。
【
図10】第1基台V
1 と第1カバー体L
1 との組付け状態の中央縦断面図である。
【
図11】第1基台V
1 と第1カバー体L
1 との組付け状態の被係合部16及び係合部35の部分の断面図である。
【
図12】第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とを組み付けた状態の中央横断面図である。
【
図13】(a),(b)は、第1カバー体L
1 の窓開口33から、高さの異なる各ブレーカーD
1 ,D
1'の操作レバー82が突出している部分の拡大断面図である。
【
図14】ブレーカーD
1 のケーブル81が建物壁Wの壁面に沿って配線された例の斜視図である。
【
図15】(a),(b)は、それぞれ拡張基台Vsを正面側及び背面側から見た斜視図である。
【
図16】第1基台V
1 と拡張基台Vsの分離状態の斜視図である。
【
図18】(a)は、
図15のT-T線断面図であり、(b)は、
図17のU-U線断面図である。
【
図19】(a),(b)は、それぞれ拡張カバー体Lsを正面側及び背面側から見た斜視図である。
【
図20】(a),(b)は、それぞれ拡張カバー体Lsの背面図及び中央横断面図である。
【
図21】連結状態の第1基台V
1 と拡張基台Vsと、拡張カバー体Lsとの組付け状態の中央横断面図である。
【
図22】既設のブレーカーD
1 に対して別のブレーカーDsを増設することを示す全体斜視図である。
【
図23】(a)は、既設のブレーカーD
1 を固定している第1基台V
1 から第1カバー体L
1 を取り外した状態の斜視図であり、(b)は、既設及び増設の各ブレーカーD
1 ,Dsが固定されている第1基台V
1 及び拡張基台Vsに拡張カバー体Lsを組み付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図24】既設及び増設の各ブレーカーD
1 ,Dsが固定されている第1基台V
1 及び拡張基台Vsに拡張カバー体Lsが組み付けられた状態の一部を破断した斜視図である。
【
図26】(a),(b)は、それぞれ
図25のX
1 -X
1 線及びX
2 -X
2 線の各断面図である。
【
図27】(a),(b)は、それぞれ第2基台V
2 を正面側及び背面側から見た斜視図である。
【
図28】(a)は、第2基台V
2 の正面図であり、(b)は、(a)のY-Y線断面図である。
【
図29】第2基台V
2 を本体基台V
21と拡張基台V
2sとに分離させた状態の斜視図である。
【
図30】第2基台V
2 と拡張カバー体Lsとの組み付けからなるブレーカーボックスB
2 の分解斜視図である。
【
図31】第2基台V
2 から分離された本体基台V
21と、取り外された既設の第1カバー体L
1 との組み付けからなるブレーカーボックスB
3 の分解斜視図である。
【
図32】(a)は、位置決め板部8を備えた第2基台V
2'の斜視図であり、(b)は、(a)のZ-Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
最初に、建物壁に固定されて、安全ブレーカー、漏電ブレーカー、充電用ブレーカー、コンセント、スイッチ等の種々の電気機器を内部に収容するブレーカーボックスB1 について説明し、その後に、既設の電気機器の側方に、別の電気機器を増設する場合について説明する。以下の実施例では、電気機器の一例として、上記した種々のブレーカーを挙げ、その総称として「ブレーカーD1(Ds) 」の用語を使用する。
【0024】
ブレーカーボックスB
1 は、
図1~
図3に示されるように、1個のみのブレーカーD
1 を収容可能な1個用であって、建物壁Wに固定される第1基台V
1 と、当該第1基台V
1 に一体に組み付けられて、内部の収容空間K
1 に1個のみのブレーカーD
1 が収容される第1カバー体L
1 とから成る。第1基台V
1 は、
図4~
図6に示されるように、樹脂の射出成形により形成されて、正面視で概略長方形状をなし、しかも所定の高さを有している。第1基台V
1 の基台本体1は、短手方向に所定間隔をおいて配置された一対の側板部2と、背面視でクランク軸状に屈曲されて、長手方向の両端部に短手方向に沿って配置される一対の屈曲板部3とが枠状となって一体形成されて、当該一対の側板部2と当該一対の屈曲板部3の表面側が表板部4で一体に覆われることで、背面側の全面が開口された浅い箱状を成している。前記一対の側板部2は、長手方向に沿って所定間隔をおいた計4枚の横リブ板部5で連結されていると共に、前記一対の屈曲板部3は、短手方向の中央部に配置された1枚の縦リブ板部6で連結されている。当該1枚の縦リブ板部6は、前記した計4枚の横リブ板部5と交差している。このように、第1基台V
1 の基台本体1は、一対の側板部2、一対の屈曲板部3、及び表板部4で形成されて、背面側が開口された浅い箱状の部材が、背面側において複数枚の横リブ板部5及び1枚の縦リブ板部6で互いに連結されたリブ補強構造により、全体積に対する使用樹脂量(樹脂で成形される部分の占める体積)の割合を小さくすることで、軽量化を図ったうえで、全体としての必要強度が確保される構造になっている。
【0025】
第1基台V1 の表板部4と各側板部2とが交差する長手方向に沿った角部における当該長手方向に沿った中央部は、所定長だけ欠落されて横断面が方形状の角溝部7が設けられ、当該角溝部7及び基台本体1の全体との双方の長手方向の中央部には、当該第1基台V1 に対して後述の拡張基台Vs(V2s) を増設させて連結する際に、後述の拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に挿入して嵌合される位置決め板部8が、第1基台V1 の表面側から背面側に後退して露出した側板部2の端面2aに対して起立していて、当該位置決め板部8の上端面8aは、前記表板部4の表面と同一面となっている。当該位置決め板部8の内外の両側面は、拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に対する嵌合が容易なように、基端から先端に向けて肉厚が小さくなるようなテーパー面に形成されている。前記角溝部7を形成することで内部が露出される計4つの開口部のうち、表板部4に接続する開口部は、前記側板部2と平行な第1覆い板部11で覆われていると共に、当該角溝部7の長手方向の両端の相対向する各開口部は、それぞれ第2覆い板部12で覆われている。
【0026】
第1基台V
1 の長手方向の両端部は、背面視でクランク軸状をした前記屈曲板部3が配置されることで、短手方向の中央部に、ブレーカーD
1 から引き出されたケーブル81を配設するケーブル配設用凹部13が形成されることで、基台本体1における当該ケーブル配設用凹部13の両側には、相対的に一対の突出部14が形成され、長方形状の基台本体1としては、計4つの各コーナー部に、それぞれ突出部14が長手方向に突出して形成されている。各突出部14の突出方向の端面14aの上端部(表板部4の側の端部)には、当該端面14aと所定間隔をおいて当該突出部14と同幅を維持して弾性片15が背面側に向けて当該端面14aと平行にそれぞれ形成されて、当該弾性片15の下端部には、第1カバー体L
1 の後述の係合部35に係合される被係合部16が外側に向けて形成されている。前記弾性片15における前記突出部14の表板部4の側の連結部は、わん曲して形成されて、当該弾性片15のわん曲部15aの上面は、基台本体1の表面と同一面となっていて〔
図6(b)参照〕、基台本体1における弾性片15との連結部は、前記わん曲部15aと前記突出部14との協働により、V字状凹部17を形成することで、前記弾性片15のわん曲部15aの形成を可能にしている。
【0027】
基台本体1の表面側の中央部には、表板部4を開口させることで、背面側の空間部と連通する方形状の開口部4aが形成され、基台本体1の表板部4には、当該開口部4aの全体を覆うようにして、方形状の薄金属板Mが配置され、当該薄金属板Mは、基台本体1の表板部4の前記開口部4aの長手方向に沿った両側に設けられた一対の嵌合溝板部18及び一対の弾性係合爪21によって、基台本体1の長手方向及び短手方向を含む全方向に移動せず、しかも浮上しないようにして支持される。嵌合溝板部18は、表板部4の表面との間に所定間隔をおいて連結板部18aを介して表板部4と平行に配置される溝形成板部18bと、当該表板部4との間に嵌合溝部18cが形成され、当該嵌合溝部18cの外側の端部が、ストッパ板部18dで閉塞された構造である。溝形成板部18bの内面は、薄金属板Mの挿入を容易にすべく、前記嵌合溝部18cの溝幅が開口側から奥底側に向けて狭くなるような傾斜面に形成されている。断面U字状にわん曲された弾性係合爪21は、
図6(a)に示されるように、その基端部が表板部4の背面側に一体に連結されて、その大部分が当該表板部4の背面側の空間部に配置され、表板部4に形成された方形状の開口部22を通して、先端部の係合爪部21aのみが、当該表板部4の表面に対して所定長だけ突出された構成である。そして、
図7に示されるように、長方形状の薄金属板Mの一方の短辺部を、外側に僅かに弾性変形された前記一対の弾性係合爪21の係合爪部21aに係合させた状態で、当該薄金属板Mの他方の短辺部を一対の嵌合溝板部18の嵌合溝部18cに挿入嵌合させた状態で開放させると、外側に弾性変形されていた前記一対の弾性係合爪21の弾性変形量が少なくなる(原形状に復元する直前の弾性変形状態)ことで、表板部4の中央部に配置された前記薄金属板Mは、当該一対の弾性係合爪21と前記一対の嵌合溝板部18とで、全方向に移動不能であって、しかも浮上が防止された状態で固定支持される。
【0028】
第1基台V1 の基台本体1に固定支持された前記薄金属板Mは、その上面に固定配置される発熱されたブレーカーD1 の放熱を助けたり、火災時における延焼防止の作用を果す。リブ補強構造を主体としている基台本体1における表板部4の背面側は、縦横の各リブ板部6,5を除いて肉部が殆ど存在しない背面全開口構造になっており、この構造も、発熱されたブレーカーD1 の放熱に大きく寄与している。なお、計4個の横リブ板部5のうち隣接する中央の2本の横リブ板部5と、1本の縦リブ板部6における表板部4の開口部4aに対応する部分は、当該開口部4aから背面側に向けて後退して、当該部分のみ高さが低くなることで、縦横の各リブ板部6,5における表板部4の側の所定長の部分が欠落されて、部分的な一体空間が形成されており、この一体空間形成構造も、発熱されたブレーカーD1 の放熱に寄与している。
【0029】
また、
図3~
図5及び
図9に示されるように、基台本体1における複数の横リブ板部5のうち最も外側の2枚の横リブ板部5と縦リブ板部6とが交差する部分には、当該基台本体1を建物壁Wに固定する第1ビスJ
1 を貫通させる上下一対のビス貫通孔23が形成され、基台本体1における前記一対のビス貫通孔23の内側には、当該基台本体1に対してブレーカーD
1 を固定するための第2ビスJ
2 をねじ込ませるビス下孔24が貫通して形成されている。
図4(b)及び
図10に示されるように、前記一対のビス貫通孔23を形成している各段差状筒部25は、縦横の各リブ板部6,5の交差部に一体に形成されていると共に、前記一対のビス下孔24を形成する各楕円筒部26は、前記一対の段差状筒部25の内側において縦リブ板部6と交差して一体に形成されており、この構造も、基台本体1の強度の増大に寄与している。なお、前記薄金属板Mにおける第1基台V
1 に形成された一対のビス下孔24に対応する部分には、前記第2ビスJ
2 を挿通させる一対のビス挿通孔27が形成されている。
【0030】
次に、
図8~
図13を参照して、前記第1基台V
1 に対して一体に組み付けられる第1カバー体L
1 について説明する。第1カバー体L
1 は、前記第1基台V
1 の平面形状である長方形状に対応して、平板状の一対の縦側板部31aと、同じく平板状の一対の横側板部31bとが一体化された短角筒状の側板部31の一方の開口側が、平板の長手方向の両端部が同一方向に緩やかにわん曲された天板部32で閉塞されて一体化された形状であって、当該天板部32と対向する部分は、長方形状の開口33となっている。側板部31を構成する一対の縦側板部31aの開口の側の前記第1基台V
1 が配置される所定高さの部分〔第1基台V
1 の高さ(厚さ)に対応する部分〕は、互いに平行な平行部31a
1になっているが、残りの部分は、前記平行部31a
1よりも肉厚が大きくて、僅かに内側に傾斜した傾斜部31a
2となっていて、前記平行部31a
1と傾斜部31a
2の接続部の内面側には、各部31a
1,31a
2の肉厚差による段差部34〔
図9(b)及び
図12参照〕が形成されている。一対の横側板部31bに関しても、前記一対の縦側板部31aと同様に、平行部31b
1と傾斜部31b
2で構成され、一対の縦側板部31a及び一対の横側板部31bの各平行部31a
1, 31b
1は、各コーナー部で接続されていると共に、各傾斜部31a
2,31b
2も、同様に、各コーナー部で接続されている。
【0031】
第1カバー体L
1 における相対向して配置されている一対の横側板部31bの各平行部31b
1の内面の短手方向(幅方向)の両端部には、前記第1基台V
1 の計4個の各弾性片15の先端の被係合部16に係合される計4個の係合部35がそれぞれ内方に突出して形成されている。また、
図8~
図10に示されるように、第1カバー体L
1 の一対の横側板部31bの各平行部31b
1の内面における短手方向の中央部には、ブレーカーD
1 から引き出されるケーブル81を建物壁Wに沿って配設させるために、当該ケーブル81を引き出すためのケーブル引出し孔36(
図14参照)をノックアウト(打ち抜き)により形成するための肉厚の相違によりサイズの異なる2種類の方形状の薄肉のノックアウト部37a,37bが形成されている。
【0032】
また、第1カバー体L
1 の天板部32の長手方向の中央部には、第1基台V
1 と第1カバー体L
1 の収容空間K
1 に収容されたブレーカーD
1 の操作レバー82を外部に露出させるための正方形状のレバー用窓部38が形成され、当該レバー用窓部38は、
図9及び
図13に示されるように、前記天板部32の肉厚のうち外側の半分の部分に形成され、内側の半分の部分には、前記レバー用窓部38よりも僅かにサイズの大きな外形が正方形状の凹部39が形成されている。ブレーカーボックスB
1 に収容可能なブレーカーには、
図13(a)に示されるような相対的に高さの低いブレーカーD
1 と、当該ブレーカーD
1 よりも僅かに高さの高いブレーカーD
1'とがあり、高さの僅かに低いブレーカーD
1 の操作レバー82の基端の部分は、
図13(a)に示されるように、第1カバー体L
1 の天板部32に接触することなく、当該天板部32に近接する部分まで配置されるが、高さの僅かに高いブレーカーD
1'の操作レバー82の基端の部分は、第1カバー体L
1 の天板部32との干渉を回避して、方形状の前記凹部39に収容された状態で配置される。これにより、高さの僅かに低いブレーカーD
1 を収容した場合において、天板部32の内面(裏面)とブレーカーD
1 の上面との間に形成される隙間88を小さくできる利点がある。即ち、高さの僅かに高いブレーカーD
1'を基準にして、第1カバー体L
1 の高さを定めて、その天板部32の全肉厚の部分に方形状のレバー用窓部38を形成した場合には、高さの僅かに低いブレーカーD
1 を当該第1カバー体L
1 に収容すると、天板部32の内面とブレーカーD
1 の上面との間に形成される前記隙間88が大きくなり過ぎて、見栄えが悪くなり、この不具合を解消するために、上記構造が採用されている。
【0033】
そして、上記した第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とから成るブレーカーボックスB
1 を用いて、建物壁WにブレーカーD
1 を設置するには、以下のようにして行う。まず、
図7に示されるようにして、第1基台V
1 の基台本体1の表板部4に薄金属板Mを固定配置させ、この状態で、
図1及び
図2に示されるように、第1基台V
1 の基台本体1に固定配置された薄金属板Mの上にブレーカーD
1 を配置して、一対の第2ビスJ
2 を用いて当該ブレーカーD
1 を基台本体1に固定する。この状態で、一対の第1ビスJ
1 を用いて、建物壁Wの壁表面に第1基台V
1 を固定し、この状態で、基台本体1に固定されたブレーカーD
1 に対して、建物壁W内から引き出された各ケーブル81を接続させる。
【0034】
最後に、建物壁Wに固定されている第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 を押し付けると、当該第1カバー体L
1 の一対の横側板部31bの内面における開口33に近い部分に内方に突出して設けられた計4個の各係合部35が、第1基台V
1 の長方形状の基台本体1の各コーナー部に設けられた各弾性片15の先端の被係合部16に当接することで、当該各弾性片15は、基台本体1の各突出部14の端面14aの側に僅かに弾性変形された後の前記各被係合部16の通過により、原形状に復元して、第1基台V
1 の計4個の各被係合部16は、第1カバー体L
1 の計4個の各係合部35に係合されることで、第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 が一体に組み付けられ(
図11及び
図12参照)、
図1に示されるように、内部の収容空間K
1 に、第1基台V
1 に固定されたブレーカーD
1 が収容された状態となる。第1基台V
1 に対して第1カバー体L
1 が組み付けられた状態では、当該第1カバー体L
1 の側板部31の前記開口33を形成していて、全体として方形状となっている連続する端面は、建物壁Wの壁表面の微少の隙間を有して近接状態で配置される。第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とが一体に組み付けられた状態では、
図12に示されるように、第1カバー体L
1 の一対の縦側板部31aの開口33の側の各平行部31a
1は、第1基台V
1 の一対の側板部2の外側に配置されると共に、当該第1カバー体L
1 の内面の各段差部34に、第1基台V
1 の各側板部2及び位置決め板部8の上端部の外側のコーナー部が嵌着されるため、第1基台V
1 と第1カバー体L
1 とが一体化状態となって、その組付けが確実となる。
【0035】
また、ブレーカーD
1 から引き出されたケーブル81を建物壁Wの壁表面に沿って配設するには、
図14に示されるように、第1カバー体L
1 のノックアウト部37aをノックアウトしてケーブル引出し孔36を形成しておき、この状態で壁表面に固定されている第1基台V
1 に対してケーブル引出し孔36が形成された第1カバー体L
1 を一体に組み付けて、当該ケーブル引出し孔36からケーブル81を引き出す。壁表面に引き出されたケーブル81は、基台83とカバー体84から成るケーブル保護カバー85に収容される。
【0036】
次に、建物壁Wの壁表面に固定されたブレーカーボックスB1 の収容空間K1 に収容された既設のブレーカーD1 の側方に別のブレーカーDsを増設する場合について説明する。ブレーカーDsの増設には、壁表面における前記第1基台V1 の側方に並列配置されて、当該第1基台V1 と同様に一個のブレーカーDsを固定可能な拡張基台Vsと、互いに並列配置されていて、既設のブレーカーD1 及び増設のブレーカーDsがそれぞれ固定されている第1基台V1 及び拡張基台Vsの2個の基台に対して一体に組み付けられる2個用の拡張カバー体Lsとを必要とする。
【0037】
前記拡張基台Vsの基本構成は、
図15~
図18に示されるように、前記第1基台V
1 を部分的に改変したものであるので、当該第1基台V
1 と同一部分には同一符号を付すると共に、僅かに相違する対応部分には、同一符号に「’」を付し、当該改変に係る部分のみについて説明する。即ち、拡張基台Vsは、第1基台V
1 の長手方向の中央部における短手方向の両端部に設けられた左右一対の位置決め板部8をいずれも欠落させて、その一方の部分のみに、当該第1基台V
1 の位置決め板部8を挿入嵌合させることで、当該第1基台V
1 と、その側方に並列配置される前記拡張基台Vsとを、建物壁Wに既に固定されている第1基台V
1 の一方の位置決め板部8を挿入嵌合させて、当該第1基台V
1 に対して位置決めして連結させるための位置決め嵌合孔41が、表板部4を側方に延設させた長方形状の表板延設部42に形成されている。位置決め嵌合孔41は、基台本体1の長手方向に沿って長辺が配置される細長比が大きな長方形状をなしている。表板延設部42は、基台本体1に対して片持支持構造となるため、強度確保のため表板部4よりも厚肉となっている。既設の第1基台V
1 の一方の位置決め板部8を、当該第1基台V
1 の一方の側方に並列配置される拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に嵌合させることで、既設の当該第1基台V
1 に対して拡張基台Vsの位置決めが行われるので、その位置決めの方向は、既設の第1基台V
1 の長手方向及び短手方向の両方向となる。
【0038】
即ち、拡張基台Vsには、第1基台V1 と同様に、表板部4と各側板部2とが交差する各角部における長手方向に沿って中央部が大きく欠落されて角溝部7,7’が形成されているが、前記表板延設部42が延設される側の角溝部7’における拡張基台Vsの高さ方向に沿った寸法は、他方の角溝部7と同一であるが、当該角溝部7’における当該拡張基台Vsの短手方向に沿った溝部の寸法は、他方の角溝部7よりも僅かに短く形成されて、当該角溝部7’における拡張基台Vsの長手方向の中央部に相当する部分に、長方形状の前記表板延設部42が側板部2を超えて側方に延設されている。拡張基台Vsにおける前記表板延設部42が設けられた側の側板部2の外側面は、傾斜面に形成されている。前記表板延設部42に形成された位置決め嵌合孔41は、その孔長を長く確保すべく、当該表板延設部42の裏面に長方形枠状の孔延設体部43が一体に形成されている。角溝部7’が形成された側の側板部2における表板延設部42の配置部に対応する部分は、前記孔延設体部43と近接するため欠落されている。
【0039】
また、前記拡張基台Vsは、ブレーカーDsの増設のために、建物壁Wに既に固定されている第1基台V
1 の側方に並列配置され、並列配置された2台の各基台V
1 ,Vsに対して2個用の前記拡張カバー体Lsが一体に組み付けられるので、新設に係る前記拡張基台Vsに設けられる被係合部16は、当該拡張カバー体Lsに設けられた計4個の係合部35に対応する部分のみに配置されていれば足りる。当該拡張カバー体Lsには、
図19及び
図20に示されるように、横側板部31b'の内面の開口33に臨む部分における縦側板部31aに近接する部分に計4個の係合部35が形成されている。よって、前記拡張基台Vsには、第1基台V
1 のように、計4個の係合部35を設ける必要はなく、位置決め嵌合孔41が形成されている側には、係合部35は不用であるので、当該位置決め嵌合孔41が形成された側と反対の側のみに、計2個の係合部35が形成されている。
【0040】
既設の第1基台V
1 に対する拡張基台Vsの連結は、当該第1基台V
1 のいずれの側に対しても可能であり、
図16及び
図17に示される連結例は、第1基台V
1 の左側に拡張基台Vsを連結させて、第1基台V
1 を左側方に拡張させる例であり、既設の第1基台V
1 の右側に拡張基台Vsを連結させる場合には、当該拡張基台Vsを上下反転させて、自身の左側に位置決め嵌合孔41を配置させればよい。
図16~
図18に示される例では、既設の第1基台V
1 の左側方に拡張基台Vsを隣接配置させて、当該第1基台V
1 を左側に拡張させる例であり、建物壁Wに固定されている既設の第1基台V
1 に対して拡張基台Vsを近接させて、当該拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に対して第1基台V
1 の位置決め板部8を嵌合させると、両基台V
1 ,Vsが一体に連結されて、既設の第1基台V
1 に対して当該拡張基台Vsは、当該第1基台V
1 の長手方向及び短手方向の両方向に沿って位置決めされる。なお、両基台V
1 ,Vsが一体に連結された状態では、両基台V
1 ,Vsにおける対向配置される各側板部2の間に、所定の隙間91が形成される(
図25参照)。この結果、第1基台V
1 における未嵌合の位置決め板部8の側の上下一対の被係合部16と、拡張基台Vsの上下一対の被係合部16とで構成される計4個の被係合部16の配置位置は、前記拡張カバー体Lsの内側面に形成された計4個の係合部35の配置位置と合致して、一体に連結された第1基台V
1 及び拡張基台Vsの2台の基台V
1 ,Vsに対して1個の拡張カバー体Lsが組み付け可能となる。
【0041】
拡張カバー体Lsは、
図19~
図21に示されるように、一体に連結された第1基台V
1 及び拡張基台Vsの2台の基台V
1 ,Vsに対して組み付け可能な形状であり、2個の前記第1カバー体L
1 を並列配置させて、1個のカバー体となるように一体化した形状であるので、当該第1カバー体L
1 と同一部分には、同一符号を付し、僅かに相違する対応部分には、同一符号に「’」を付して、図示のみ行う。従って、対向配置される一対の横側板部31b'の内面における開口33に臨む部分における拡張カバー体Lsの全体としての短手方向の両端部にそれぞれ係合部35が設けられ、拡張カバー体Lsとしては、計4個の係合部35が設けられている。また、天板部32’には、短手方向に沿って2個のレバー用窓部38が並列して配置されている。
【0042】
そして、ブレーカーボックスB
1 に収容された既設のブレーカーD
1 の左隣に別のブレーカーDsを増設させるには、以下のようにして行う。即ち、
図22に示されるように、既設のブレーカーD
1 を収容しているブレーカーボックスB
1 の第1カバー体L
1 を取り外した状態で、当該既設のブレーカーD
1 が固定されている第1基台V
1 の位置決め板部8を、拡張基台Vsの位置決め嵌合孔41に対して相対的に挿入嵌合させることで、
図23(a)に示されるように、第1基台V
1 の左側方に拡張基台Vsを配置し、当該拡張基台Vsを複数の第1ビスJ
1 を介して建物壁Wに固定する。これにより、既設の第1基台V
1 に対して増設の拡張基台Vsが一体化されて、2個のブレーカーD
1 ,Dsを並列配置可能な1台の基台のように機能する。
【0043】
次に、
図23(b)に示されるように、増設に係る拡張基台Vsに対して増設に係るブレーカーDsを複数本の第2ビスJ
2 を介して固定して、当該ブレーカーDsに対してケーブル81の配線を行う。最後に、一体化されることで、1台の基台のように機能する第1基台V
1 及び拡張基台Vsに対して拡張カバー体Lsを組み付けると、
図24~
図26に示されるように、その収容空間Ksに既設及び増設に係る2個のブレーカーD
1 ,Dsが収容されて、既設及び増設の各ブレーカーD
1 ,Dsの各操作レバー82の部分が、拡張カバー体Lsの各レバー用窓部38に臨んでそれぞれ配置されて、各操作レバー82は、別々のレバー用窓部38から突出して配置される。
【0044】
既設のブレーカーD1 を収容しているブレーカーボックスB1 を構成する第1基台V1 及び第1カバー体L1 は、増設に係るブレーカーDsの施工時よりも以前に施工されたものであるため、第1基台V1 及び第1カバー体L1 の双方が経時変色されているが、当該第1カバー体L1 は、第1基台V1 から取り外されていて、既設及び増設に係る各ブレーカーD1 ,Ds並びに第1基台V1 及び拡張基台Vsは、いずれも施工時期に相違があるが、共通の1個の拡張カバー体Lsで覆われるために、前記施工時期の相違を認識させずに、恰も、同時期に施工されたように認識されて、違和感を与えない。また、既設のブレーカーD1 は、配線し直すことなく、既設の配線をそのまま残して(利用して)、増設に係るブレーカーDsの配線のみを行えばよいので、ブレーカーの増設時における配線作業量を最少にできて、ブレーカーの増設に係る各種作業を効率的に行える。
【実施例2】
【0045】
引き続いて、
図27~
図32を参照して、実施例1の前記第1基台V
1 と同等の機能を果す本体基台V
21と、単体の前記拡張基台Vsと同一の機能を果す拡張基台V
2sとが隣接配置された形態で一体化されることで、2個のブレーカーを配置可能であるのに加えて、本体基台V
21及び前記拡張基台Vsとを分離させることで、個々の基台としての機能を果す第2基台V
2 及びその使用例について説明する。なお、第2基台V
2 の説明に際して、前記第1基台V
1 及び拡張基台Vsと同一部分には同一符号を付すと共に、同等又は形状等が僅かに改変されているが同一の機能を果す部分には、同一符号に「’」を付して図示のみ行い、異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
本体基台V21は、前記第1基台V1 の左右一対の位置決め板部8を欠落させた形状である。第2基台V2 は、拡張基台V2sが右側に配置されて、当該拡張基台V2sに設けられた表板延設部42’を介して当該拡張基台V2sと本体基台V21とが一体に連結されている。即ち、拡張基台V2sの表板延設部42’は、本体基台V21の一方の角溝部7に入り込んで、本体基台V21の表板部4に対して一体に連結されることで、並列配置された本体基台V21と拡張基台V2sとが一体化されている。表板延設部42’には、位置決め嵌合孔41が、第2基台V2 の長手方向に沿って形成されており、当該表板延設部42’における前記位置決め嵌合孔41に対して本体基台V21の側には、当該位置決め嵌合孔41に対して平行に破断溝部44が、当該表板延設部42’の全長に亘って表面に開口して形成されている。このように、拡張基台V2sの表板延設部42’には、当該拡張基台V2sを分離させて、別体の前記第1基台V1 に連結可能なように、位置決め嵌合孔41が形成されている。このため、位置決め嵌合孔41が形成された当該表板延設部42’により、拡張基台V2sに対して本体基台V21とを一体化させて、2 個用の第2基台V2 としての使用と、分離された拡張基台V2sを別体の第1基台V1 に対して連結させることで2個用の基台としての使用とが可能となるため、当該表板延設部42’は、「連結部」としての機能と、分離された本体基台V21に対して別体の第1基台V1 を位置決めして一体に組み付ける「位置決め一体化部」としての機能との双方を有している。
【0047】
よって、
図29に示されるように、第2基台V
2 の拡張基台V
2sの表板部4に側方に向けて延設された表板延設部42’における本体基台V
21の近接した部分に長手方向に設けられた破断溝部44の部分を破断すると、当該第2基台V
2 は、本体基台V
21と拡張基台V
2sとに2分されることで、2個のブレーカーを並列配置可能な2個用の本体基台V
21は、前記第1基台V
1 と同様に単に1個のブレーカーを配置可能な基台としての機能を果すと共に、拡張基台V
2sは、別の基台の側方に並列配置されて、ブレーカーの配置総数を1個増加させる前記拡張基台Vsと同一の機能を果す。なお、
図29において、45は、第2基台V
2 を破断溝部44で2個の基台V
21,V
2sに分断させることで、本体基台V
21の側に残存した破断残部を示す。
【0048】
このように、2個用の第2基台V
2 は、
図30に示されるように、分断することなく、2個用の前記拡張カバー体Lsと組み合わせることで、内部の収容空間に2個のブレーカーを並列配置できるブレーカーボックスB
2 となる。また、実施例1におけるブレーカーの増設において、時期的に以前に施工されて、経時変色している第1カバー体L
1 は、拡張カバー体Lsの使用により、不用となるが、
図31に示されるように、別の設置場所において、当該第1カバー体L
1 と、第2基台V
2 を分離させた一方の本体基台V
21とを組み付けて、ブレーカーボックスB
3 として単独使用し、その内部の収容空間にブレーカーを配置収容することで、不用となった前記第1カバー体L
1 の再利用、及び拡張基台V
2sの使用のために第2基台V
2 から分離された本体基台V
21の使用が可能となる。しかも、ブレーカーボックスB
3 の場合には、経年使用された第1カバー体L
1 が経年変色されていて、前記本体基台V
21の色と異なっていても、ブレーカーが取着された本体基台V
21は、第1カバー体L
1 により全体が覆い隠されて、当該第1カバー体L
1 の色彩のみが認識されるので、両者の色違いに認識されない。また、取り外された経年使用に係る第1カバー体L
1 の再設置には、隣接する別のカバー体が存在せず、カバー体どうしの色違いを認識させる対象が存在しないので、既設の第1カバー体L
1 の経年使用による色の変化は認識されず、既設の第1カバー体L
1 を使用しているにもかかわらず、見栄えの低下は発生しない。
【0049】
次に、
図32を参照して、横方向に沿って連設される基台の数と、カバー体のサイズ(収容可能なブレーカーの数)との関係について説明する。
図32は、本体基台V
21に対して側方に前記第1基台V
1 を連設可能な位置決め板部8が設けられた第2基台V
2'である。上記実施例1では、並列配置状態で連設された2個の基台と、2個のブレーカーに対応した1個の拡張カバー体Lsとを組み付ける構成であり、上記実施例2では、2個の基台が一体に連設された第2基台V
2 と、1個の拡張カバー体Lsとを組み付ける構成であり、いずれも2個のブレーカーが内部の収容空間Ksに収容される構成である。しかし、本発明においては、並列配置状態で連設された3及びこれ以上の基台に対して、1個の拡張カバー体を組み付け可能であることで、内部の収容空間に複数のブレーカーが収容される構成であれば、並列配置状態で連設される基台の数、及び当該基台の数に対応する拡張カバー体のサイズは問われない。即ち、
図32において、第2基台V
2'の本体基台V
21' の左側方に、位置決め板部8を利用して前記第1基台V
1 を連設させることで、連設された計3個の基台と、これに対応して計3個のブレーカーが収容可能なサイズの3個用の拡張カバー体とを組み付けることで、内部の収容空間に、計3個のブレーカーを収容配置できる。なお、第2基台V
2'の本体基台V
21' は、位置決め板部8を備えることで、第1基台V
1 に近い形状となる。
【0050】
なお、実施例1における第1基台V1 及び拡張基台Vs並びに実施例2における第2基台V2 の各基台の建物壁Wに対するビス固定に関しては、ビス固定された第1基台V1 に対して拡張基台Vsは、位置決め板部8及び位置決め嵌合孔41を介して連結状態となるので、当該拡張基台Vsは、連結状態のままで、更にビス固定までの必要はない場合があると共に、第2基台V2 に関しては、本体基台V21のみをビス固定し、拡張基台V2sは、連結状態のままで、ビス固定までの必要はない場合もある。
【符号の説明】
【0051】
B1 ~B3 :ブレーカーボックス
D1 :ブレーカー(既設)
Ds :ブレーカー(増設)
K1 :収容空間(既設)
Ks:収容空間(増設)
L1 :第1カバー体
Ls:拡張カバー体
V1 :第1基台
V2 :第2基台
V21:第2基台の本体基台
V2s:第2基台の拡張基台
Vs:拡張基台
8:位置決め板部(位置決め部)
16:基台の被係合部
35:カバー体の係合部
38:カバー体のレバー用窓部
41:位置決め嵌合孔(位置決め部)
42:表板延設部