(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ダイアフラムの固定構造及びダイアフラムアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16J 3/02 20060101AFI20241007BHJP
F15B 15/10 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F16J3/02 C
F15B15/10 E
(21)【出願番号】P 2021122732
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020163247
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 善久
(72)【発明者】
【氏名】福永 秀二
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-061955(JP,U)
【文献】実開平01-173562(JP,U)
【文献】実開昭64-013234(JP,U)
【文献】特開昭61-290273(JP,A)
【文献】実開昭56-158507(JP,U)
【文献】実開平01-013234(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 3/02
F15B 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材及び第2部材と、
第1部材と第2部材により挟み込まれた状態で、これら第1部材及び第2部材のうちの一方の部材に設けられた加締め部による加締めによって、第1部材と第2部材とが固定されることで、これら第1部材と第2部材に固定されるダイアフラムと、
を備えるダイアフラムの固定構造であって、
前記ダイアフラムは、
ゴム製のダイアフラム本体と、
前記ダイアフラム本体に一体的に設けられ、前記加締め部による加締めにより第1部材と第2部材との間に挟み込まれることで、これら第1部材と第2部材との距離を一定にするための第1の剛性部材とを備える
と共に、
第1の剛性部材には、前記ダイアフラム本体の内部に向かって突出し、その先端に引っ掛かり部を有する突出部が設けられていることを特徴とするダイアフラムの固定構造。
【請求項2】
第1部材及び第2部材と、
第1部材と第2部材により挟み込まれた状態で、これら第1部材及び第2部材のうちの一方の部材に設けられた加締め部による加締めによって、第1部材と第2部材とが固定されることで、これら第1部材と第2部材に固定されるダイアフラムと、
を備え、
前記ダイアフラムは、
ゴム製のダイアフラム本体と、
前記ダイアフラム本体に一体的に設けられ、前記加締め部による加締めにより第1部材と第2部材との間に挟み込まれることで、これら第1部材と第2部材との距離を一定にするための第1の剛性部材とを備えるダイアフラムの固定構造であって、
前記ダイアフラムの中央に形成された孔に差し込まれた状態で設けられる軸部材と、
中央にそれぞれ設けられた孔に前記軸部材が挿通された状態で、前記ダイアフラムを挟み込むように配されて、前記軸部材の先端が加締められることで、前記ダイアフラムと共に前記軸部材に固定される第1保持部材及び第2保持部材と、
前記ダイアフラム本体に一体的に設けられ、前記軸部材の先端の加締めにより第1保持部材及び第2保持部材との間に挟み込まれることで、これら第1保持部材と第2保持部材
との距離を一定にするための第2の剛性部材と、
を備えることを特徴とす
るダイアフラムの固定構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のダイアフラムの固定構造を備え、
前記ダイアフラムと第1部材により囲まれる空間によって圧力室が形成されると共に、
前記ダイアフラムに固定され、かつ前記圧力室内の圧力変動に伴って変形するダイアフラムによって動作する軸部材を備えることを特徴とするダイアフラムアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材と第2部材によりダイアフラムが固定されたダイアフラムの固定構造及びダイアフラムアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアフラムアクチュエータやアキュムレータにおいては、圧力室内の流体圧力に応じて変形するゴム製のダイアフラムが用いられた技術が知られている。また、このような技術においては、ダイアフラムが、2部材の間に挟み込まれた状態で、これら2部材のうちの一方の部材に設けられた加締め部による加締めによって2部材が固定されることで、これら2部材に固定される構成が採用される場合がある。この場合、2部材によって挟み込まれるダイアフラムの圧縮率が品質に影響するため、圧縮率が一定となるように管理する必要がある。そこで、従来、加締め部の辺りの一部を切断し、断面において各部の寸法を測定することで、圧縮率を検査していた。そのため、生産性を低下させる原因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-90708号公報
【文献】実開平3-88003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、検査を必要とすることなく、ダイアフラム本体の圧縮率を一定にすることを可能とするダイアフラムの固定構造及びダイアフラムアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明のダイアフラムの固定構造は、
第1部材及び第2部材と、
第1部材と第2部材により挟み込まれた状態で、これら第1部材及び第2部材のうちの一方の部材に設けられた加締め部による加締めによって、第1部材と第2部材とが固定されることで、これら第1部材と第2部材に固定されるダイアフラムと、
を備えるダイアフラムの固定構造であって、
前記ダイアフラムは、
ゴム製のダイアフラム本体と、
前記ダイアフラム本体に一体的に設けられ、前記加締め部による加締めにより第1部材と第2部材との間に挟み込まれることで、これら第1部材と第2部材との距離を一定にするための第1の剛性部材とを備えると共に、
第1の剛性部材には、前記ダイアフラム本体の内部に向かって突出し、その先端に引っ掛かり部を有する突出部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ダイアフラムに備えられる第1の剛性部材によって、第1部材と第2部材との距離が一定(公差寸法内であることを意味する。以下、同様)となる。従って、ダイアフラム本体の圧縮率を一定(所望の範囲内であることを意味する。以下、同様)にすることができる。
【0008】
本発明の他のダイアフラムの固定構造は、
第1部材及び第2部材と、
第1部材と第2部材により挟み込まれた状態で、これら第1部材及び第2部材のうちの一方の部材に設けられた加締め部による加締めによって、第1部材と第2部材とが固定されることで、これら第1部材と第2部材に固定されるダイアフラムと、
を備え、
前記ダイアフラムは、
ゴム製のダイアフラム本体と、
前記ダイアフラム本体に一体的に設けられ、前記加締め部による加締めにより第1部材と第2部材との間に挟み込まれることで、これら第1部材と第2部材との距離を一定にするための第1の剛性部材とを備えるダイアフラムの固定構造であって、
前記ダイアフラムの中央に形成された孔に差し込まれた状態で設けられる軸部材と、
中央にそれぞれ設けられた孔に前記軸部材が挿通された状態で、前記ダイアフラムを挟み込むように配されて、前記軸部材の先端が加締められることで、前記ダイアフラムと共に前記軸部材に固定される第1保持部材及び第2保持部材と、
前記ダイアフラム本体に一体的に設けられ、前記軸部材の先端の加締めにより第1保持
部材及び第2保持部材との間に挟み込まれることで、これら第1保持部材と第2保持部材との距離を一定にするための第2の剛性部材と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成を採用することで、第2の剛性部材によって、第1保持部材と第2保持部材との距離が一定(公差寸法内であることを意味する。以下、同様)となる。従って、ダイアフラム本体の圧縮率を一定(所望の範囲内であることを意味する。以下、同様)にすることができる。
【0010】
本発明のダイアフラムアクチュエータは、上記のダイアフラムの固定構造を備え、
前記ダイアフラムと第1部材により囲まれる空間によって圧力室が形成されると共に、
前記ダイアフラムに固定され、かつ前記圧力室内の圧力変動に伴って変形するダイアフラムによって動作する軸部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、検査を必要とすることなく、ダイアフラム本体の圧縮率を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の実施例1に係るダイアフラムアクチュエータの模式的断面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例2に係るダイアフラムアクチュエータの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
(実施例1)
図1及び
図2を参照して、本発明の実施例1に係るダイアフラムの固定構造及びダイアフラムアクチュエータについて説明する。
図1は本発明の実施例1に係るダイアフラムアクチュエータの模式的断面図であり、内部構造が分かるように、ダイアフラムアクチュエータの一部を切断した模式的断面図である。
図2は
図1中の一部を拡大した図であり、
図1中の丸で囲った部分を拡大した図である。
【0015】
<ダイアフラムアクチュエータの全体構成>
ダイアフラムアクチュエータ10は、ダイアフラムアクチュエータ本体100と、ダイアフラムアクチュエータ本体100を所定箇所に取り付けるためのブラケット200と、一端部310が駆動対象部材に固定される軸部材300とを備えている。
【0016】
ダイアフラムアクチュエータ本体100は、第1部材としてのアッパーカップ110と、第2部材としてのロアーカップ120と、これらアッパーカップ110とロアーカップ
120との間に挟み込まれた状態で、これらに固定されるダイアフラム130とを備えている。そして、アッパーカップ110とダイアフラム130とで囲まれた空間により圧力室R1が形成される。
【0017】
アッパーカップ110には、圧力室R1内に流体圧力を導入するためのジョイント140が取り付けられる貫通孔111が設けられている。また、アッパーカップ110における開口部側には、外向きフランジ部112が設けられている。ロアーカップ120の一端側には、ブラケット200に設けられた挿通孔210に挿入される円筒部121が設けられている。軸部材300は、この円筒部121の筒内に挿通された状態で、ダイアフラムアクチュエータ本体100に固定されている。また、ロアーカップ120の他端側には、加締め部122が設けられている。この加締め部122によって、アッパーカップ110とロアーカップ120とが固定される。また、ロアーカップ120内部には、ブラケット200側に、軸部材300の軸受190が設けられている。更に、特に図示はしないが、ロアーカップ120には、ロアーカップ120の内部を大気圧に維持するための通気口が設けられている。
【0018】
ダイアフラム130は、ゴム製のダイアフラム本体131と、ダイアフラム本体131に一体的に設けられる第1の剛性部材132とから構成される。ダイアフラム本体131は、圧力室R1内の圧力変動(流体圧力)に応じて弾性的に変形可能な膜状の部材により構成されている。第1の剛性部材132は、ダイアフラム本体131の材料(ゴム材料)よりも、剛性の高い材料により構成され、例えば、鉄鋼やアルミニウムなどの金属材料を好適に採用することができる。第1の剛性部材132をインサート部品として、インサート成形によりダイアフラム本体131を成形することで、ダイアフラム130を得ることができる。なお、第1の剛性部材132の材料は、インサート成形時に変形しないように、加硫時の成形温度(例えば、約180℃)に対する耐熱性を有する材料を採用するとよい。また、本実施例に係る第1の剛性部材132においては、ダイアフラム本体131の内部に向かって突出し、その先端に引っ掛かり部を有する突出部132aが設けられている。これにより、一体成形後に、ダイアフラム本体131から第1の剛性部材132が脱落してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0019】
このように構成されるダイアフラム130の中央に、軸部材300が固定される。具体的には、圧力室R1内に備えられる第1保持部材としての第1リテーナー150と、ロアーカップ120内に備えられる第2保持部材としての第2リテーナー160によって、ダイアフラム130が挟み込まれた状態となっている。そして、この状態で、ダイアフラム130の中央に設けられた孔に、軸部材300の先端の小径部が差し込まれた状態で加締められ、軸部材300の先端が、第1リテーナー150及び第2リテーナー160と共にダイアフラム130に固定されている。図中、符号170は、軸部材300の先端の小径部が加締められた部分を示している。なお、このような固定方法に限らず、別途、ネジなどの固定具を用いて、軸部材300の先端を、第1リテーナー150及び第2リテーナー160と共にダイアフラム130に固定させる構成を採用することもできる。また、ロアーカップ120内には、スプリング180が設けられている。このスプリング180は、その両端が、それぞれ、第2リテーナー160と軸受190とにより保持されている。
【0020】
以上のように構成されるダイアフラムアクチュエータ10によれば、圧力室R1内の流体圧力が高くなると、ダイアフラム本体131が変形し、スプリング180の押圧力に抗して、第1リテーナー150及び第2リテーナー160と共に、軸部材300が、
図1中下方に移動する。また、圧力室R1内の流体圧力が低くなると、ダイアフラム本体131が変形し、スプリング180の押圧力によって、第1リテーナー150及び第2リテーナー160と共に、軸部材300が、
図1中上方に移動する。従って、ジョイント140から圧力室R1内に供給する流体圧力を制御することによって、軸部材300を動作(往復
移動)させることができ、軸部材300の一端部310に接続された駆動対象部材を駆動させることが可能となる。
【0021】
<ダイアフラムの固定構造>
特に、
図2を参照して、ダイアフラム130の固定構造について説明する。ダイアフラム130は、アッパーカップ110とロアーカップ120により挟み込まれた状態で、加締め部122による加締めによって、アッパーカップ110とロアーカップ120とが固定されることで、これらに固定される。なお、アッパーカップ110における外向きフランジ部112の外周端部が、ロアーカップ120の加締め部122により加締められることで、アッパーカップ110とロアーカップ120とが固定される。そして、ダイアフラム130に備えられる第1の剛性部材132が、加締め部122による加締めにより、アッパーカップ110とロアーカップ120との間に挟み込まれることで、これらアッパーカップ110とロアーカップ120との距離を一定にすることができる。つまり、加締め部分において、アッパーカップ110とロアーカップ120との距離が、第1の剛性部材132の厚みAと等しくなり、アッパーカップ110とロアーカップ120との距離を一定にすることができる。
【0022】
<本実施例に係るダイアフラムの固定構造及びダイアフラムアクチュエータの優れた点>
本実施例に係るダイアフラムの固定構造によれば、ダイアフラム130に第1の剛性部材132が備えられることで、アッパーカップ110とロアーカップ120との距離を一定にすることができる。従って、検査を必要とすることなく、ダイアフラム本体131の圧縮率を一定にすることができる。これに伴い、ダイアフラムアクチュエータ10の生産性も高めることができる。
【0023】
(その他)
第1の剛性部材132は、環状の部材として、回転対象形状にするとよい。これにより、加締め部において、アッパーカップ110とロアーカップ120との距離を、全周に亘って、より確実に一定にすることができる。ただし、第1の剛性部材132は、円周方向に間隔を空けて複数設ける構成を採用することもできる。
【0024】
本実施例においては、ロアーカップ120に加締め部122が設けられる場合の構成について示したが、本発明においては、アッパーカップに加締め部が設けられる場合の構成も含まれる。また、本実施例では、ダイアフラムの固定構造が、ダイアフラムアクチュエータに適用された場合を例にして説明した。しかしながら、本発明のダイアフラムの固定構造は、ダイアフラムアクチュエータ以外の装置、例えば、アキュムレータにも適用可能である。
【0025】
(実施例2)
図3及び
図4には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、上記実施例1の構成に加えて、第2の剛性部材を設ける場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0026】
図3及び
図4を参照して、本発明の実施例2に係るダイアフラムの固定構造及びダイアフラムアクチュエータについて説明する。
図3は本発明の実施例2に係るダイアフラムアクチュエータの模式的断面図であり、内部構造が分かるように、ダイアフラムアクチュエータの一部を切断した模式的断面図である。
図4は
図3中の一部を拡大した図であり、
図3中の楕円で囲った部分を拡大した図である。
【0027】
<ダイアフラムアクチュエータの全体構成>
本実施例に係るダイアフラムアクチュエータ10は、実施例1と同様に、ダイアフラムアクチュエータ本体100と、ブラケット200と、軸部材300とを備えている。ダイアフラムアクチュエータ本体100は、実施例1と同様に、第1部材としてのアッパーカップ110と、第2部材としてのロアーカップ120と、ダイアフラム130とを備えている。そして、アッパーカップ110とダイアフラム130とで囲まれた空間により圧力室R1が形成される。ダイアフラム130以外の構成については、実施例1と同様の構成であるので、その説明は省略する。
【0028】
ダイアフラム130は、ゴム製のダイアフラム本体131と、ダイアフラム本体131に一体的に設けられる第1の剛性部材132と、ダイアフラム本体131に一体的に設けられる第2の剛性部材133とから構成される。ダイアフラム本体131及び第1の剛性部材132については、上記実施例1で説明した通りである。第2の剛性部材133は、ダイアフラム本体131の材料(ゴム材料)よりも、剛性の高い材料により構成され、例えば、鉄鋼やアルミニウムなどの金属材料を好適に採用することができる。この第2の剛性部材133は、円筒状の部材により構成される。
【0029】
第1の剛性部材132と第2の剛性部材133とをインサート部品として、インサート成形によりダイアフラム本体131を成形することで、ダイアフラム130を得ることができる。なお、第2の剛性部材133の材料は、第1の剛性部材132と同様に、インサート成形時に変形しないように、加硫時の成形温度(例えば、約180℃)に対する耐熱性を有する材料を採用するとよい。また、第2の剛性部材133についても、第1の剛性部材132と同様に、ダイアフラム本体131の内部に向かって突出し、その先端に引っ掛かり部を有する突出部を設ける構成を採用してもよい。これにより、一体成形後に、ダイアフラム本体131から第2の剛性部材133が脱落してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0030】
このように構成されるダイアフラム130の中央に、軸部材300が固定される。具体的には、圧力室R1内に備えられる第1保持部材としての第1リテーナー150と、ロアーカップ120内に備えられる第2保持部材としての第2リテーナー160によって、ダイアフラム130が挟み込まれた状態となっている。これら第1リテーナー150と第2リテーナー160には、いずれも中央に軸部材300の先端が挿通される孔が設けられている。そして、これらの孔と、ダイアフラム130の中央に形成された孔に、軸部材300の先端の小径部が差し込まれた状態で加締められ、軸部材300の先端が、第1リテーナー150及び第2リテーナー160と共にダイアフラム130に固定されている。図中、符号170は、軸部材300の先端の小径部が加締められた部分を示している。
【0031】
本実施例においては、ダイアフラム本体131に一体的に設けられた第2の剛性部材133が、軸部材300の先端の加締めにより第1リテーナー150と第2リテーナー160との間に挟み込まれる。これにより、これら第1リテーナー150と第2リテーナー160との距離が一定になる。
【0032】
なお、圧力室R1内の流体圧力の変動によるダイアフラムアクチュエータ10の動作については、上記実施例1で説明した通りである。また、ダイアフラム130の固定構造(ロアーカップ120の加締め部122による固定構造)についても、上記実施例1で説明した通りである。
【0033】
以上のように構成される本実施例に係るダイアフラムの固定構造においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例においては、第2の剛性部材133を設けたことで、第1リテーナー150と第2リテーナー160との距離も一定にする
ことができる。従って、軸部材300の付近においても、検査を必要とすることなく、ダイアフラム本体131の圧縮率を一定にすることができる。
【0034】
なお、本実施例に係るダイアフラムの固定構造においても、ダイアフラムアクチュエータ以外の装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0035】
10 ダイアフラムアクチュエータ
100 ダイアフラムアクチュエータ本体
110 アッパーカップ
111 貫通孔
112 外向きフランジ部
120 ロアーカップ
121 円筒部
122 加締め部
130 ダイアフラム
131 ダイアフラム本体
132 第1の剛性部材
132a 突出部
133 第2の剛性部材
140 ジョイント
170 加締められた部分
180 スプリング
190 軸受
200 ブラケット
210 挿通孔
300 軸部材
310 一端部
R1 圧力室