(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】対価算出装置、対価算出方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1053 20230101AFI20241007BHJP
【FI】
G06Q10/1053
(21)【出願番号】P 2021131912
(22)【出願日】2021-08-13
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 真也
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086798(JP,A)
【文献】特開2002-007646(JP,A)
【文献】特表2005-527914(JP,A)
【文献】特開2002-056303(JP,A)
【文献】特開2012-104079(JP,A)
【文献】特開2001-331619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人材の紹介による対価を算出する対価算出装置であって、
紹介先へ紹介された人材である対象人材を識別する対象人材識別情報を記憶する対象人材識別情報記憶部と、
前記対象人材識別情報に基づいて、前記対象人材の成果を示す成果情報を紹介先から取得する成果情報取得部と、
紹介先への紹介前における前記対象人材の所定の能力を示す第1の評価指標と紹介先への紹介後における前記対象人材の前記所定の能力を示す第2の評価指標との比較結果に基づいて、前記対象人材が成長した度合いを示す成長度を評価する評価部と、
前記成果情報
及び前記成長度に基づいて、前記対象人材の紹介に対する第1の対価を算出する対価算出部と、
を備える対価算出装置。
【請求項2】
前記成果情報は、人事評価、収益、コスト削減額、コネクション数、360度評価、所定の施策の実施回数及び所定の施策の受益者からの評価、のうち少なくとも1つに基づいた情報である、
請求項1に記載の対価算出装置。
【請求項3】
前記対象人材の勤務期間を示す勤務期間情報を前記対象人材識別情報に関連付けて記憶する勤務期間情報記憶部をさらに備え、
前記対価算出部は、さらに前記勤務期間情報にも基づいて、前記第1の対価を算出する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の対価算出装置。
【請求項4】
第1の対価に対して最低金額と最高金額とのうち少なくとも一方の制限金額が設けられ、
前記対価算出部は、前記制限金額の範囲内で第1の対価を算出する、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の対価算出装置。
【請求項5】
前記対象人材の紹介時点における第2の対価を示す当初対価情報を前記対象人材識別情報に関連付けて記憶する当初対価情報記憶部をさらに備え、
前記対価算出部は、前記第1の対価と前記第2の対価とに基づいて第3の対価を算出する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の対価算出装置。
【請求項6】
同一紹介先へ紹介された複数の対象人材から構成される対象グループを識別する対象グループ識別情報を、当該対象グループに含まれる全ての対象人材の対象人材識別情報に関連付けて記憶する対象グループ識別情報記憶部をさらに備え、
前記成果情報取得部は、前記対象グループ識別情報に基づいて、前記対象グループの成果を示すグループ成果情報を紹介先から取得し、
前記対価算出部は、前記グループ成果情報に基づいて、前記対象グループの紹介に対する第4の対価を算出する、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の対価算出装置。
【請求項7】
前記対価算出部は、前記第1の対価に基づいて、前記対象人材に与えられる第5の対価を算出する、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の対価算出装置。
【請求項8】
人材の紹介による対価を算出する対価算出装置が実行する対価算出方法であって、
紹介先へ紹介された人材である対象人材を識別する対象人材識別情報を対象人材識別情報記憶部に記憶する対象人材識別情報記憶ステップと、
前記対象人材識別情報に基づいて、前記対象人材の成果を示す成果情報を紹介先から取得する成果情報取得ステップと、
紹介先への紹介前における前記対象人材の所定の能力を示す第1の評価指標と紹介先への紹介後における前記対象人材の前記所定の能力を示す第2の評価指標との比較結果に基づいて、前記対象人材が成長した度合いを示す成長度を評価する評価ステップと、
前記成果情報
及び前記成長度に基づいて、前記対象人材の紹介に対する第1の対価を算出する対価算出ステップと、
を含む対価算出方法。
【請求項9】
人材の紹介による対価を算出する対価算出装置のコンピュータに、
紹介先へ紹介された人材である対象人材を識別する対象人材識別情報を対象人材識別情報記憶部に記憶する対象人材識別情報記憶ステップと、
前記対象人材識別情報に基づいて、前記対象人材の成果を示す成果情報を紹介先から取得する成果情報取得ステップと、
紹介先への紹介前における前記対象人材の所定の能力を示す第1の評価指標と紹介先への紹介後における前記対象人材の前記所定の能力を示す第2の評価指標との比較結果に基づいて、前記対象人材が成長した度合いを示す成長度を評価する評価ステップと、
前記成果情報
及び前記成長度に基づいて、前記対象人材の紹介に対する第1の対価を算出する対価算出ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対価算出装置、対価算出方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新たな官民連携の手法である成果連動型民間委託契約方式(Pay for Success:PFS)が注目されている。PFSは、民間事業者が提供するサービスの成果に応じて、地方公共団体等が報酬を支払う事業を指す。PFSでは、行政課題の解決に対応した成果指標を設定し、成果指標値の改善状況に連動して委託費等を支払う。PFS導入例として、健康促進プログラムなどが想定される。健康増進に関して、各ユーザの運用能力に基づいて設定された運動目標の達成度に基づいて、ユーザへのインセンティブを決定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したPFS等の業務形態において、例えば自治体等に人材を紹介する場合に、人材の紹介先(例えば自治体)から紹介元へ支払われる紹介料をどのようにして算出するのかが課題である。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、人材の紹介先から紹介元へ支払われる対価を適切に算出することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、人材の紹介による対価を算出する対価算出装置であって、紹介先へ紹介された人材である対象人材を識別する対象人材識別情報を記憶する対象人材識別情報記憶部と、前記対象人材識別情報に基づいて、前記対象人材の成果を示す成果情報を紹介先から取得する成果情報取得部と、紹介先への紹介前における前記対象人材の所定の能力を示す第1の評価指標と紹介先への紹介後における前記対象人材の前記所定の能力を示す第2の評価指標との比較結果に基づいて、前記対象人材が成長した度合いを示す成長度を評価する評価部と、前記成果情報及び前記成長度に基づいて、前記対象人材の紹介に対する第1の対価を算出する対価算出部と、を備える対価算出装置である。
(2)本発明の一態様は、前記成果情報は、人事評価、収益、コスト削減額、コネクション数、360度評価、所定の施策の実施回数及び所定の施策の受益者からの評価、のうち少なくとも1つに基づいた情報である、上記(1)の対価算出装置である。
(3)本発明の一態様は、前記対象人材の勤務期間を示す勤務期間情報を前記対象人材識別情報に関連付けて記憶する勤務期間情報記憶部をさらに備え、前記対価算出部は、さらに前記勤務期間情報にも基づいて、前記第1の対価を算出する、上記(1)又は(2)のいずれかの対価算出装置である。
(4)本発明の一態様は、第1の対価に対して最低金額と最高金額とのうち少なくとも一方の制限金額が設けられ、前記対価算出部は、前記制限金額の範囲内で第1の対価を算出する、上記(1)から(3)のいずれかの対価算出装置である。
(5)本発明の一態様は、前記対象人材の紹介時点における第2の対価を示す当初対価情報を前記対象人材識別情報に関連付けて記憶する当初対価情報記憶部をさらに備え、前記対価算出部は、前記第1の対価と前記第2の対価とに基づいて第3の対価を算出する、上記(1)から(4)のいずれかの対価算出装置である。
(6)本発明の一態様は、同一紹介先へ紹介された複数の対象人材から構成される対象グループを識別する対象グループ識別情報を、当該対象グループに含まれる全ての対象人材の対象人材識別情報に関連付けて記憶する対象グループ識別情報記憶部をさらに備え、前記成果情報取得部は、前記対象グループ識別情報に基づいて、前記対象グループの成果を示すグループ成果情報を紹介先から取得し、前記対価算出部は、前記グループ成果情報に基づいて、前記対象グループの紹介に対する第4の対価を算出する、上記(1)から(5)のいずれかの対価算出装置である。
(7)本発明の一態様は、前記対価算出部は、前記第1の対価に基づいて、前記対象人材に与えられる第5の対価を算出する、上記(1)から(6)のいずれかの対価算出装置である。
【0007】
(8)本発明の一態様は、人材の紹介による対価を算出する対価算出装置が実行する対価算出方法であって、紹介先へ紹介された人材である対象人材を識別する対象人材識別情報を対象人材識別情報記憶部に記憶する対象人材識別情報記憶ステップと、前記対象人材識別情報に基づいて、前記対象人材の成果を示す成果情報を紹介先から取得する成果情報取得ステップと、紹介先への紹介前における前記対象人材の所定の能力を示す第1の評価指標と紹介先への紹介後における前記対象人材の前記所定の能力を示す第2の評価指標との比較結果に基づいて、前記対象人材が成長した度合いを示す成長度を評価する評価ステップと、前記成果情報及び前記成長度に基づいて、前記対象人材の紹介に対する第1の対価を算出する対価算出ステップと、を含む対価算出方法である。
【0008】
(9)本発明の一態様は、人材の紹介による対価を算出する対価算出装置のコンピュータに、紹介先へ紹介された人材である対象人材を識別する対象人材識別情報を対象人材識別情報記憶部に記憶する対象人材識別情報記憶ステップと、前記対象人材識別情報に基づいて、前記対象人材の成果を示す成果情報を紹介先から取得する成果情報取得ステップと、紹介先への紹介前における前記対象人材の所定の能力を示す第1の評価指標と紹介先への紹介後における前記対象人材の前記所定の能力を示す第2の評価指標との比較結果に基づいて、前記対象人材が成長した度合いを示す成長度を評価する評価ステップと、前記成果情報及び前記成長度に基づいて、前記対象人材の紹介に対する第1の対価を算出する対価算出ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人材の紹介先から紹介元へ支払われる対価を適切に算出することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る対価算出システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図3】一実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図4】一実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図5】一実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図6】一実施形態に係る紹介先システムの構成例を示す概略の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る対価算出システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示される対価算出システム1において、対価算出装置3は、通信ネットワークNWを介して、人材登録元端末5及び紹介先システム7と通信を行う。
【0012】
人材登録元端末5は、例えば自治体や会社等の紹介先へ紹介される人材を対価算出装置3へ登録する登録元が使用する端末である。登録元は、個人であってもよく、又は会社であってもよい。人材登録元端末5は、例えば、紹介先へ紹介される人材自身が登録元として使用する端末であってもよい。人材登録元端末5は、例えば、紹介先へ紹介される人材が所属する会社が登録元として使用する端末であってもよい。人材登録元端末5は、例えば、紹介先へ紹介される人材が登録される人材派遣会社が登録元として使用する端末であってもよい。
【0013】
紹介先システム7は、人材の紹介を受ける自治体や会社等の紹介先の情報処理システムである。
【0014】
対価算出装置3は、通信部11と、成果情報取得部12と、対価算出部13と、対価通知部14と、評価部15と、記憶部30とを備える。記憶部30は、各種の情報を記憶する。
【0015】
対価算出装置3の各機能は、対価算出装置3がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、対価算出装置3として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、対価算出装置3は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、対価算出装置3の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、対価算出装置3は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は対価算出装置3の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、対価算出装置3として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0016】
記憶部30は、人材登録情報301と、対象人材識別情報(対象人材ID)302と、勤務期間情報303と、当初対価情報304と、対象グループ識別情報(対象グループID)305とを記憶する。
【0017】
人材登録情報301は、人材登録元端末5によって登録された人材に関する情報である。人材登録情報301には、人材の氏名、連絡先、所属先、登録識別情報(人材登録ID)等の情報が含まれる。人材登録IDは、人材が登録される時に当該人材に対して付与される。
【0018】
対象人材ID302は、紹介先へ紹介された人材である対象人材を識別する識別情報である。対象人材ID302は、人材が紹介先へ紹介される時に、当該人材の人材登録IDと当該紹介先の識別情報(紹介先ID)との組が当該人材の対象人材ID302として記録される。
【0019】
勤務期間情報303は、対象人材の勤務期間を示す勤務期間情報が当該対象人材の対象人材ID302に関連付けられた情報である。対象人材の勤務期間は、対象人材が紹介先で継続して勤務した期間である。
【0020】
当初対価情報304は、対象人材の紹介時点における当初の対価(第2の対価)を示す当初対価情報が当該対象人材の対象人材ID302に関連付けられた情報である。当初の対価は、暫定的に決定される。
【0021】
対象グループID305は、同一紹介先へ紹介された複数の対象人材から構成される対象グループを識別する対象グループIDが当該対象グループに含まれる全ての対象人材の対象人材IDに関連付けられた情報である。対象人材ID302は、対象グループを構成する複数の人材が紹介先へ紹介される際に、新規の対象グループIDが記録される。
なお、一の紹介先に対して複数の対象グループ(対象グループID)が存在してもよい。この場合、対象グループID305は、一の紹介先に対して複数の対象グループIDを有する。また、一の対象人材が複数の対象グループに所属してもよい。一の対象人材が複数の対象グループに所属する場合、当該対象人材の対象人材IDが当該複数の対象グループの対象グループIDに関連付けられる。
【0022】
通信部11は、通信ネットワークNWを介して、人材登録元端末5及び紹介先システム7と通信を行う。
【0023】
成果情報取得部12は、対象人材IDに基づいて、対象人材の成果を示す成果情報を紹介先から取得する。成果情報取得部12は、対象グループIDに基づいて、対象グループの成果を示すグループ成果情報を紹介先から取得する。
【0024】
対価算出部13は、各種の対価を算出する。対価算出方法は後述する。
【0025】
対価通知部14は、対価算出部13によって算出された対価を紹介先等へ通知する。
【0026】
評価部15は、対象人材の成長度を評価する。評価部15は、対象人材が紹介先に紹介される前の能力と紹介先に紹介された後の能力とを比較することによって、対象人材が紹介の前後で成長した度合い(成長度)を評価する。能力の評価指標として、例えば、人材アセスメントツールによる検査結果、遂行可能な業務の種類の数、資格の保持数、TOEIC等の能力試験の結果などが挙げらえる。
【0027】
次に本実施形態に係る対価算出方法を説明する。
【0028】
(対価算出方法の例1)
図2を参照して本実施形態に係る対価算出方法の例1を説明する。
図2は、本実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【0029】
(ステップS1) 人材登録元端末5は、対価算出装置3に対して、人材登録を行う。この人材登録によって、登録される人材に関する情報(氏名、連絡先、所属先、人材登録ID等)が人材登録情報301に記録される。
【0030】
(ステップS2) 対価算出装置3は、紹介先システム7に対して、人材紹介を行う。この人材紹介によって、紹介される対象人材の対象人材IDが紹介先システム7へ通知される。
【0031】
(ステップS3) 紹介先システム7は、対象人材の成果を示す成果情報及び当該対象人材の対象人材IDを対価算出装置3へ送信する。この送信のタイミングは、対象人材が所定の業務を終了したタイミングや、対象人材が所定の期間の勤務を終えたタイミングなどである。成果情報取得部12は、紹介先システム7から送信された成果情報及び対象人材IDを、通信部11を介して取得する。成果情報取得部12は、当該対象人材IDに関連付けて当該成果情報を保持する。
【0032】
ここで、成果情報について説明する。
成果情報は、対象人材の成果を示す情報であって、人事評価、収益、コスト削減額、コネクション数、360度評価、所定の施策の実施回数及び所定の施策の受益者からの評価、のうち少なくとも1つに基づいた情報である。
【0033】
人事評価は、対象人材に対して年度や半期等の所定の期間ごとに与えられるランク付けされた評価(例えば3段階評価「上位ランク」、「中位ランク」、「下位ランク」等)である。人事評価が良いほど、成果情報が示す成果は大きくなる。
【0034】
収益は、対象人材が行った業務によって紹介先にもたらされた利益である。例えば、対象人材が行った営業やプロジェクトがもたらした売上額が該当する。収益が大きいほど、成果情報が示す成果は大きくなる。
【0035】
コスト削減額は、対象人材が行った業務の改善策によって紹介先で削減されたコストの削減額である。コスト削減額が大きいほど、成果情報が示す成果は大きくなる。
【0036】
コネクション数は、対象人材が紹介先でおこなった業務上のコネクションの数である。例えば、対象人材が紹介先の内部や外部との間でやり取りする業務上のメールの送受信数や送受信頻度から、コネクション数が算出される。コネクション数が大きいほど、成果情報が示す成果は大きくなる。
【0037】
360度評価は、対象人材の業務に関連する非管理者を含む多方面の人からの対象人材に対する評価である。360度評価が良いほど、成果情報が示す成果は大きくなる。
【0038】
所定の施策の実施回数は、対象人材が所定の施策を行った回数である。所定の施策は、例えば、紹介先の人員の育成を目的としたセミナーや講習等である。所定の施策の実施回数が大きいほど、成果情報が示す成果は大きくなる。
【0039】
所定の施策の受益者からの評価は、対象人材が行った所定の施策により利益を受けた人からの対象人材に対する評価である。例えば、対象人材が行ったセミナーの受講者からの対象人材に対する評価が該当する。所定の施策の受益者からの評価が良いほど、成果情報が示す成果は大きくなる。
【0040】
以上が成果情報について説明である。
【0041】
説明を
図2に戻す。
(ステップS4) 対価算出部13は、成果情報取得部12によって取得された成果情報に基づいて、当該成果情報に関連付けられた対象人材IDに対応する対象人材の紹介に対する第1の対価を算出する。第1の対価は、紹介元が対象人材を紹介先へ紹介したことに対する対価(紹介料)であって、紹介先から紹介元へ支払われる対価である。第1の対価の算出方法は予め設定される。
【0042】
ここで、第1の対価の算出方法の例を以下に示す。
【0043】
(第1の対価の算出方法の例1)
第1の対価は、対象人材の成果情報から所定の第1算出方法で算出される。対象人材の成果情報は、成果情報取得部12によって対象人材の対象人材IDに関連付けて保持されている。第1算出方法として、例えば、成果情報が点数(成果点数)で成果を示し、第1の対価は、成果点数に所定の第1係数を乗じた積として算出される。
【0044】
(第1の対価の算出方法の例2)
第1の対価は、成果情報と勤務期間情報とから、所定の第2算出方法で算出される。対象人材の勤務期間情報は、勤務期間情報303において対象人材の対象人材IDに関連付けられている。
【0045】
第2算出方法の一例として、対象人材の勤務期間情報が示す勤務期間が長いほど、第1の対価が大きい値に算出されるようにする。これは、勤務期間が長いほど、紹介先への貢献度が大きいと考えられるからである。当該第2算出方法として、例えば、上記の第1の対価の算出方法の例1で算出された第1の対価に対して、勤務期間の長さに応じて大きくなる第2係数を乗じた積を、最終的な第1の対価に決定する。
【0046】
他の第2算出方法の例として、例えば、対象人材の勤務期間情報が示す勤務期間が短いほど、第1の対価が大きい値に算出されるようにする。これは、対象人材が新しい職場(紹介先)ですぐに活躍することが難しいことを考慮するためである。一般的に、勤務期間が長いほど、対象人材がより職場や業務になれることができ、対象人材が持つ本来の能力を発揮することができると考えられる。このことから、紹介初年度の成果が紹介次年度の成果と同等であっても、紹介初年度の方が紹介次年度よりも第1の対価が大きい値に算出されるようにする。これにより、対象人材の職場(紹介先)への適応にあわせた適切な第1の対価の算出を図る。当該第2算出方法として、例えば、上記の第1の対価の算出方法の例1で算出された第1の対価に対して、勤務期間の長さに応じて小さく第2係数を乗じた積を、最終的な第1の対価に決定する。
【0047】
(第1の対価の算出方法の例3)
第1の対価は、成果情報と成長度とから、所定の第3算出方法で算出される。対象人材の成長度は、評価部15によって評価される。第3算出方法の例として、対価算出部13は、対象人材の成長度に応じて第1の対価を削減する。当該第3算出方法として、例えば、上記の第1の対価の算出方法の例1又は例2で算出された第1の対価から、対象人材の成長度に応じた所定の削減額を減算した差を、最終的な第1の対価に決定する。
【0048】
対象人材が新しい職場(紹介先)に紹介される時に保有していた技術や知識や経験以上の能力を紹介先で得た場合、対象人材が紹介先の職場で育成されたと考えることができる。このため、第1の対価の算出方法の例3では、対象人材の成長度に応じた育成コストを紹介先へ還元することを図る。これにより、紹介先は、対象人材の能力を引き上げることによって、紹介元へ支払う対価を削減することができる。また、紹介元は、人材を紹介することによって人材の能力向上を図ることができ、より高い能力の人材を紹介することができるようになる。
【0049】
(第1の対価の算出方法の例4)
第1の対価の算出方法の例4では、第1の対価に対して、最低金額と最高金額とのうち少なくとも一方の制限金額が設けられる。対価算出部13は、当該制限金額の範囲内で第1の対価を算出する。対価算出部13は、上記の第1の対価の算出方法の例1から例3までのいずれかで算出された第1の対価が最低金額未満である場合に、当該最低金額を最終的な第1の対価に決定する。対価算出部13は、上記の第1の対価の算出方法の例1から例3までのいずれかで算出された第1の対価が最高金額超過である場合に、当該最高金額を最終的な第1の対価に決定する。制限金額として、最低金額と最高金額とのうちいずれか一方のみが設けられてもよく、又は最低金額と最高金額との両方が設けられてもよい。
【0050】
第1の対価の算出方法の例4によれば、第1の対価の最低金額を保証したり、第1の対価の想定外の高騰を抑制したりすることができる。これにより、紹介先が紹介元へ支払う対価の適正化を図ることができる。
【0051】
説明を
図2に戻す。
(ステップS5) 対価通知部14は、対価算出部13によって算出された第1の対価及び当該第1の対価に該当する対象人材IDを紹介先システム7へ通知する。
【0052】
(ステップS6) 紹介先システム7は、対価算出装置3から通知された対象人材ID及び第1の対価に基づいて、紹介元への第1の対価の支払処理を実行する。
【0053】
(対価算出方法の例2)
図3を参照して本実施形態に係る対価算出方法の例2を説明する。
図3は、本実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
図3において、
図2の各ステップに対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。対価算出方法の例2では、暫定的に決定された当初の対価が対象人材の紹介時点で紹介先から紹介元へ支払われるようにし、後に、最終的な対価(第1の対価)との差額を精算する。
【0054】
ステップS1では人材登録が行われる。
(ステップS2a-1) 対価算出装置3は、紹介先システム7に対して、人材紹介を行う。この人材紹介によって、紹介される対象人材の対象人材ID及び当初対価情報が紹介先システム7へ通知される。対象人材の当初対価情報は、当初対価情報304において対象人材の対象人材IDに関連付けられている。
【0055】
(ステップS2a-2) 紹介先システム7は、対価算出装置3から通知された対象人材ID及び当初対価情報に基づいて、紹介元への当初の対価(第2の対価)の支払処理を実行する。これにより、暫定的に決定された当初の対価が、対象人材の紹介時点で、紹介先から紹介元へ支払われる。
【0056】
ステップS3では、紹介先システム7から対価算出装置3へ、対象人材の成果を示す成果情報及び当該対象人材の対象人材IDが通知される。
【0057】
(ステップS4a) 対価算出部13は、第1の対価と当初の対価(第2の対価)とに基づいて第3の対価を算出する。第3の対価は、紹介先から紹介元へ既に支払われた暫定的な当初の対価と、紹介先から紹介元へ支払われるべき最終的な対価(第1の対価)との過不足を精算するための差額である。第1の対価は、上記した第1の対価の算出方法の例1から例4までのいずれかで算出される。当初の対価は、ステップS2a-1で紹介先システム7へ通知されたものである。対価算出部13は、第1の対価から当初の対価を減算した差を第3の対価に決定する。第1の対価が当初の対価よりも大きい場合、第3の対価(差額)は、紹介先が紹介元へ追加で支払うべき額である。一方、第1の対価が当初の対価よりも小さい場合、第3の対価(差額)は、紹介元が紹介先へ返すべき額である。
【0058】
(ステップS5a) 対価通知部14は、対価算出部13によって算出された第3の対価及び当該第3の対価に該当する対象人材IDを、対価差額通知として紹介先システム7へ通知する。
【0059】
(ステップS6a) 紹介先システム7は、対価算出装置3から通知された対象人材ID及び第3の対価に基づいて、紹介元との間で、第3の対価の精算処理を実行する。
【0060】
対価算出方法の例2によれば、対象人材の紹介時点で、暫定的に決定された当初の対価が紹介先から紹介元へ支払われる。これにより、紹介元は人材の紹介にかかるコストをいち早く回収することができるので、紹介元のキャッシュフローが改善する効果が得られる。これは、紹介元が人材の紹介を継続的に行うことに寄与する。
【0061】
(対価算出方法の例3)
図4を参照して本実施形態に係る対価算出方法の例3を説明する。
図4は、本実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
図4において、
図2の各ステップに対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。対価算出方法の例3では、同一紹介先へ紹介された複数の対象人材から構成される対象グループの単位で対価を算出する。
【0062】
ステップS1では人材登録が行われる。
(ステップS2b-1) 対価算出装置3は、紹介先システム7に対して、同じ対象グループを構成する複数の人材紹介を行う。この人材紹介によって、紹介される各対象人材の対象人材ID及び対象グループIDが紹介先システム7へ通知される。対象人材の対象グループIDは、対象グループID305において対象人材の対象人材IDに関連付けられる。
【0063】
(ステップS3b) 紹介先システム7は、対象グループの成果を示すグループ成果情報及び当該対象グループの対象グループIDを対価算出装置3へ送信する。この送信のタイミングは、対象グループの所定の業務が終了したタイミングや、対象グループが所定の期間の勤務を終えたタイミングなどである。成果情報取得部12は、紹介先システム7から送信されたグループ成果情報及び対象グループIDを、通信部11を介して取得する。成果情報取得部12は、当該対象グループIDに関連付けて当該グループ成果情報を保持する。グループ成果情報は、対象グループ単位での成果情報であって、上記した対象人材の成果情報と同様の基準で求められる。
【0064】
(ステップS4b) 対価算出部13は、成果情報取得部12によって取得されたグループ成果情報に基づいて、当該グループ成果情報に関連付けられた対象グループIDに対応する対象グループの紹介に対する第4の対価を算出する。第4の対価は、紹介元が対象グループを紹介先へ紹介したことに対する対価であって、紹介先から紹介元へ支払われる対価である。第4の対価の算出方法は予め設定される。第4の対価の算出方法として、例えば、グループ成果情報が点数(グループ成果点数)で成果を示し、第4の対価は、グループ成果点数に所定の第4係数を乗じた積として算出される。また、第4の対価に対して、最低金額と最高金額とのうち少なくとも一方の制限金額が設けられてもよい。対価算出部13は、当該制限金額の範囲内で第4の対価を算出する。
【0065】
(ステップS5b) 対価通知部14は、対価算出部13によって算出された第4の対価及び当該第4の対価に該当する対象グループIDを紹介先システム7へ通知する。
【0066】
(ステップS6b) 紹介先システム7は、対価算出装置3から通知された対象グループID及び第4の対価に基づいて、紹介元への第4の対価の支払処理を実行する。
【0067】
なお、対象グループの第4の対価とは別に、各対象人材の第1の対価が紹介先から紹介元へ支払われる場合には、各対象人材の第1の対価が算出されてもよい。
【0068】
(対価算出方法の例4)
図5を参照して本実施形態に係る対価算出方法の例4を説明する。
図5は、本実施形態に係る対価算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
図5において、
図2の各ステップに対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。対価算出方法の例4では、紹介先から紹介元へ支払われる対象人材の第1の対価の算出に加えてさらに、対象人材に支払われるインセンティブが算出される。
【0069】
上記の
図2と同様に、ステップS1からステップS6までが実行される。これにより、紹介先から紹介元へ、対象人材の第1の対価が支払われる。
(ステップS10) 対価算出部13は、当該対象人材の第1の対価に基づいて、当該対象人材に与えられるインセンティブ(第5の対価)を算出する。第5の対価の算出方法は予め設定される。第5の対価の算出方法として、例えば、第1の対価に応じた額が第5の対価として算出される。第5の対価は、例えば、第1の対価に対する一定の割合(例えば、数%)の額であってもよい。第5の対価は、例えば、第1の対価に応じた複数の額が予め定められ、それら複数の額の中から実際の第1の対価に応じた額が選択されてもよい。
【0070】
(ステップS11) 対価通知部14は、対価算出部13によって算出された第5の対価及び当該第5の対価に該当する対象人材IDを、インセンティブ通知として、当該対象人材IDに対応する人材の登録元の人材登録元端末5へ通知する。当該インセンティブ(第5の対価)は、予め決められた支払者(例えば、紹介先、紹介元、登録元など)から、当該対象人材へ支払われる。
【0071】
対価算出方法の例4によれば、インセンティブ(第5の対価)によって、対象人材が紹介先でより大きな成果を上げるためのモチベーションが向上する効果が得られる。
【0072】
以上が本実施形態に係る対価算出方法の説明である。
【0073】
図6は、本実施形態に係る紹介先システムの構成例を示す概略の構成図である。紹介先システム7において、アプリケーションやソリューションによって、各種の機能を備えた価値提供支援プラットフォーム(価値提供支援PF)が実現される。価値提供支援PFは、各種の利用データを使用して、紹介元から詳細された人材(対象人材)が労働によって創出した歳出の減小額(歳出減)および歳入の増加額(歳入増)を算出する。紹介先システム7は、価値提供支援PFが算出した歳出減および歳入増に基づいた対象人材の成果情報を生成する。
【0074】
上述した実施形態によれば、人材の紹介先から紹介元へ支払われる対価を適切に算出することができるという効果が得られる。
【0075】
なお、これにより、例えば人材派遣サービスにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標8「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」に貢献することが可能となる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0077】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0078】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…対価算出システム、3…対価算出装置、5…人材登録元端末、7…紹介先システム、11…通信部、12…成果情報取得部、13…対価算出部、14…対価通知部、15…評価部、30…記憶部、NW…通信ネットワーク