(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/86 20180101AFI20241007BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20241007BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20241007BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F24F11/86
F24F11/74
F25B39/02 X
F25B1/00 361D
F25B1/00 371B
(21)【出願番号】P 2021142610
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉村 和記
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
(72)【発明者】
【氏名】松原 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】藤井 達也
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110470070(CN,A)
【文献】特開2021-081100(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113266934(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106225176(CN,A)
【文献】特開2004-138377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F25B 1/00- 7/00
F25B 31/00-31/02
F25B 39/00-41/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機が吐出する冷媒を室外熱交換器、減圧器、室内熱交換器に通して前記圧縮機に戻す冷凍サイクルと、
前記室内熱交換器に室内空気を供給する室内ファンと、
前記室内熱交換器の温度を検知する温度検知手段と、
前記圧縮機を第1運転周波数で運転してその圧縮機の吐出冷媒の熱で前記室内熱交換器を加熱しながら前記室内ファンを第1回転数で運転する第1乾燥運転を開始し、この第1乾燥運転の開始から第1設定時間の経過後、前記温度検知手段の検知温度が閾値以上の場合は前記第1乾燥運転を停止し、その閾値に満たない場合は前記圧縮機を前記第1運転周波数より低い第2運転周波数で運転してその圧縮機の吐出冷媒の熱で前記室内熱交換器を加熱しながら前記室内ファンを前記第1回転数より低い第2回転数で運転する第2乾燥運転に移行する制御手段と、
を備える空気調和機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2乾燥運転への移行した後、第2設定時間が経過した場合および前記温度検知手段の検知温度が前記閾値以上の場合に前記第2乾燥運転を終了する、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御手段は、乾燥運転開始時に前記室内空気の温度が第1設定値以上・第2設定値未満の第1温度範囲に収まりかつ室外空気の温度が第1所定値以上・第2所定値未満の第2温度範囲に収まっていることを条件に前記第1乾燥運転を開始し、その条件が満たされない場合は前記第1乾燥運転を実行することなく前記第2乾燥運転を実行する
請求項1または請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御手段は、ユーザの操作に応じて開始となる第1クリーニング運転において前記第1乾燥運転または前記第2乾燥運転を実行し、冷房運転および除湿運転の終了後に開始となる第2クリーニング運転において前記第1乾燥運転を実行することなく前記第2乾燥運転を実行する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、室内熱交換器に対する乾燥運転機能を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器、室内熱交換器などを順に配管接続して構成される冷凍サイクルを備え、冷房運転時、室外熱交換器を凝縮器として機能させ、室内熱交換器を蒸発器として機能させる。暖房運転時は、室内熱交換器を凝縮器として機能させ、室外熱交換器を蒸発器として機能させる。
【0003】
この空気調和機では、運転の進行に伴って室内熱交換器に塵埃や汚れが付着し、そのままでは室内熱交換器の熱交換効率が低下する。対策として、冷房運転(および除湿運転)と同じ冷媒の流れにより室内熱交換器を結露させその結露を利用して室内熱交換器の塵埃や汚れを洗い流して除去するクリーニング運転、あるいは冷房運転や除湿運転の終了後に室内熱交換器に残る結露を利用して室内熱交換器の塵埃や汚れを洗い流して除去するクリーニング運転を実行する例がある。
【0004】
これらのクリーニング運転は、通常、結露水によって塵埃や汚れをドレン水として排水して除去した後、結露が残る室内熱交換器を乾燥させる乾燥運転を含む。この乾燥運転により室内ユニットの筐体内の水分を除去し、且つユニット内部の湿度を低下させることで、室内ユニット内の黴や雑菌の繁殖を抑える。乾燥運転では、例えば、圧縮機が吐出する高温冷媒を室内熱交換器に供給し、その高温冷媒の熱で室内熱交換器を加熱することで、室内熱交換器の結露水を蒸発させながら、室内ファンの運転によって室内熱交換器に室内空気を供給して、室内ユニット内の湿度を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記乾燥運転が実行されると、加熱された室内熱交換器の熱が温風として室内空間に流れてユーザ(居住者)に不快感を与えるおそれがある。また、真夏の冷房運転期間において乾燥運転が実行されると外気温が高いことから冷凍サイクルの圧力が異常上昇して冷凍サイクル機器の寿命に悪影響を与えるおそれもある。
【0007】
実施形態の目的は、乾燥運転の実行に伴う不快感や冷凍サイクル機器への悪影響を解消できる空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の空気調和機は、圧縮機が吐出する冷媒を室外熱交換器、減圧器、室内熱交換器に通して前記圧縮機に戻す冷凍サイクルと;前記室内熱交換器に室内空気を供給する室内ファンと;前記室内熱交換器の温度を検知する温度検知手段と;制御手段とを備える。この制御手段は、前記圧縮機を第1運転周波数で運転してその圧縮機の吐出冷媒の熱で前記室内熱交換器を加熱しながら前記室内ファンを第1回転数で運転する第1乾燥運転を開始し、この第1乾燥運転の開始から第1設定時間の経過後、前記温度検知手段の検知温度が閾値以上の場合は前記第1乾燥運転を停止し、その閾値に満たない場合は前記圧縮機を前記第1運転周波数より低い第2運転周波数で運転してその圧縮機の吐出冷媒の熱で前記室内熱交換器を加熱しながら前記室内ファンを前記第1回転数より低い第2回転数で運転する第2乾燥運転に移行する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、一実施形態の制御回路の構成を示すブロック図。
【
図3】
図3は、一実施形態の制御を示すフローチャート。
【
図4】
図4は、一実施形態の制御の変形例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
空気調和機は、
図1に示す室外ユニットAおよび室内ユニットBを含む。室外ユニットAは、室外に設置され、その内部に圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、減圧器たとえば電動膨張弁4、室外ファン5、外気温度センサ6、室外制御部10などが収納される。室内ユニットBは、室内や天井裏に取り付けられる室内筐体及びその内部に収納されている室内熱交換器21、室内ファン22、熱交換器温度センサ(温度検知手段)23、室内温度センサ24、室内湿度センサ25、室内制御部20などを含む。
【0011】
圧縮機1は、冷媒を吸込んで圧縮し吐出する。この圧縮機1の吐出口に四方弁2を介して室外熱交換器3の一端が配管接続され、その室外熱交換器3の他端に電動膨張弁4を介して室内熱交換器21の一端が配管接続され、その室内熱交換器21の他端に上記四方弁2を介して圧縮機1の吸込口が配管接続されている。これらの配管接続により、冷房運転、除湿運転、暖房運転が可能なヒートポンプ式の冷凍サイクルが構成されている。
【0012】
電動膨張弁4は、入力される駆動パルスの数に応じて開度がほぼ連続的に変化するパルスモータバルブ(PMV)である。室外ファン5は、室外空気を吸込んで室外熱交換器3に供給する。外気温度センサ6は、室外ファン5によって吸込まれる室外空気の温度Tоを検知する。室内ファン22は、室内空気を吸込んで室内熱交換器21に供給する。室内熱交換器21を経た空気はそのまま室内空間(被空調空間)に吹出される。熱交換器温度センサ23は、室内熱交換器21の温度Tcを検知する。室内温度センサ24は、室内ファン22によって吸込まれる室内空気の温度Tiを検知する。室内湿度センサ25は、室内ファン22によって吸込まれる室内空気の湿度Thを検知する。
【0013】
冷房運転時および除湿運転時、
図1に実線矢印で示すように、圧縮機1から吐出される高温のガス状の冷媒(ガス冷媒)が四方弁2を通って室外熱交換器3に流入する。室外熱交換器3に流入したガス冷媒は、室外ファン5から供給される室外空気に熱を放出して凝縮する。この室外熱交換器3から流出する液状の冷媒(液冷媒)は電動膨張弁4を通って減圧されて低温となって室内熱交換器21に流入する。室内熱交換器21に流入した液冷媒は、室内ファン22から供給される室内空気から熱を奪って蒸発する。この室内熱交換器21から流出するガス冷媒は四方弁2を通って圧縮機1に吸込まれる。この冷媒の流れにより、室外熱交換器3が凝縮器として機能し、室内熱交換器21が蒸発器として機能する。
【0014】
暖房運転時は、四方弁2の流路が切換わることにより、圧縮機1から吐出される高温のガス冷媒が四方弁2を通って室内熱交換器21に流れ、室内熱交換器21から流出する液冷媒が電動膨張弁4を通って室外熱交換器3に流れる。室外熱交換器3から流出するガス冷媒は四方弁2を通って圧縮機1に吸込まれる。この冷媒の流れにより、室内熱交換器21が凝縮器として機能し、室外熱交換器3が蒸発器として機能する。
【0015】
室外制御部10および室内制御部20は、それぞれマイクロコンピュータおよびその周辺回路からなり、互いに信号線接続されている。室内制御部20には、当該空気調和機の運転に係る種々の条件を設定する操作手段として、かつ当該空気調和機の運転状態をユーザに知らせる報知手段として、リモートコントロール式の操作器(リモコンと略称する)30が信号線接続されている。これら室外制御部10および室内制御部20の周辺部の構成を
図2に示す。
【0016】
室外制御部10に、インバータ11、駆動回路12,13,14、送受信ユニット15が接続されている。インバータ11は、交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を室外制御部10からの指令に応じた周波数(運転周波数という)Fの交流電圧に変換し、その交流電圧を圧縮機1のモータ(圧縮機モータ)1Mへの駆動電力として出力する。駆動回路12,13は、四方弁2および電動膨張弁4を室外制御部10からの指令に応じて駆動する。駆動回路14は、室外制御部10からの指令に応じて室外ファン5のモータ(ファンモータ)5Mを可変速駆動する。送受信ユニット15は、室内制御部20とのデータの送受信を行う。室外ファン5のモータ(ファンモータ)5Mを可変速駆動する駆動回路14としてはインバータが一般的であるが、タップ切り替えによる巻線切り替えを用いた可変速駆動でも良い。
【0017】
室内制御部20に、熱交換器温度センサ(温度検知手段)23、室内温度センサ24、室内湿度センサ25、駆動回路26,送受信ユニット27,28が接続されている。駆動回路26は、室内ファン22のモータ(ファンモータ)22Mを室内制御部20の指令に応じた回転数Nで駆動する。送受信ユニット27は、リモコン30とのデータの送受信を行う。リモコン30は、各種情報を表示する表示部31、およびユーザ(居住者)による操作が可能な操作部32を有する。送受信ユニット28は、室外制御部10とのデータの送受信を行う。
【0018】
とくに、室内制御部20は、室内熱交換器21に対するクリーニング運転を室外制御部10との連係により実行する。例えば、運転が停止しているときの定期的な所定のタイミングで圧縮機1を起動し、これにより冷房運転(および除湿運転)と同じ冷媒の流れ(冷房サイクル)を形成して室内熱交換器21を結露させ、その結露を利用した適宜の処置によって室内熱交換器21の塵埃や汚れを除去するクリーニング運転を実行する。あるいは、冷房運転や除湿運転が終了した直後の室内熱交換器21に残っている結露を利用した、室内熱交換器21の塵埃や汚れを除去するクリーニング運転を実行する。室内熱交換器21は、アルミフィンと冷媒が流れるパイプの組み合わせで形成されている。この室内熱交換器21では、その表面に付着した塵埃や汚れを結露水によって洗い流しやすくするために、そのフィンやパイプの表面に塵埃や汚れが固着しにくい表面処理(塗装)が施されていることが好ましい。
【0019】
これらのクリーニング運転は、室内熱交換器21の汚れを洗い流して除去する処置が終了した後、結露で濡れた状態にある室内熱交換器21を乾燥させる乾燥運転を含む。この乾燥運転として、能力高めの第1乾燥運転と、この第1乾燥運転より能力が低い第2乾燥運転を用意している。
【0020】
以下、室内制御部20が室外制御部10との連係によって実行する乾燥運転の制御を
図3のフローチャートを参照しながら説明する。フローチャート中のステップS1,S2…については単にS1,S2…と略称する。
図3では、乾燥運転前の冷房運転や除湿運転は、省略し、乾燥運転部分の動作のみを示す。
【0021】
室内制御部20は、室内熱交換器21に対するクリーニング運転において、室内熱交換器21の汚れを除去する処置が終了した後、結露で濡れた状態にある室内熱交換器21を乾燥させる乾燥運転が必要なタイミングになると(S1のYES)、室内温度センサ24の検知温度Tiが設定値(第1設定値)Ti1以上・設定値(第2設定値)Ti2未満という第1温度範囲に収まっているか否かを判定する(S2)。この第1温度範囲は、能力高めの第1乾燥運転を実行してもそれが室内空間の快適性に悪影響を与えないという運転許容条件である。
【0022】
この第1温度範囲に室内温度センサ23の検知温度Tiが収まっている場合(S2のYES)、室内制御部20は、外気温度センサ6の検知温度Tоが所定値(第1所定値)Tо1以上・所定値(第2所定値)Tо2未満という第2温度範囲に収まっているか否かを判定する(S3)。この第2温度範囲は、能力高めの第1乾燥運転を実行してもそれが高圧側圧力の異常上昇を招かずひいては冷凍サイクル機器の寿命に悪影響を与えないという運転許容条件である。
【0023】
この第2温度範囲に外気温度センサ6の検知温度Tоが収まっている場合(S3のYES)、室内制御部20は、第1乾燥運転を開始する(S4)。すなわち、室内制御部20は、圧縮機1を高めの運転周波数(第1運転周波数)F1で運転し、かつ圧縮機1から吐出される高温冷媒(ガス冷媒)が四方弁2を通って室内熱交換器21に直接的に流れる暖房サイクルを形成し、その高温冷媒の熱で室内熱交換器21を加熱しながら室内ファン22を高めの回転数(第1回転数)N1で運転する。例えば、運転周波数F1は60Hz、回転数N1は1000rpmである。
【0024】
この第1乾燥運転において、室内熱交換器21に供給される高温冷媒は、クリーニング運転のこれまでの処置で濡れた状態にある室内熱交換器21を加熱する。室内ファン21の運転によって室内熱交換器21に供給される室内空気は、室内熱交換器21における高温冷媒の凝縮を促進するとともに、室内熱交換器21に付着して残る水の蒸発を促進する。
【0025】
この第1乾燥運転の開始に伴い、室内制御部20は、タイムカウントt1を開始し(S5)、そのタイムカウントt1と第1乾燥運転の定格時間である設定時間(第1設定時間)t1sとを比較する(S6)。設定時間t1sは例えば10分間である。タイムカウントt1が設定時間t1s未満の場合(S6のNO)、室内制御部20は、S4の第1乾燥運転およびS5のタイムカウントt1を継続する。
【0026】
タイムカウントt1が設定時間t1sに達した場合(S6のYES)、室内制御部20は、熱交換器温度センサ23の検知温度Tcと乾燥運転の定格温度である閾値Tcsとを比較する(S7)。閾値Tcsは例えば45℃である。熱交換器温度センサ23の検知温度Tcが閾値Tcsに達している場合(S7のYES)、室内制御部20は、室内熱交換器21の乾燥がほぼなされている状態となっており、かつ、この状態での第1乾燥運転の継続は冷凍サイクル機器の寿命に悪影響を与えるとの判断の下に、乾燥運転を停止(終了)し(S8)、上記S1の処理に戻る。
【0027】
一方、熱交換器温度センサ23の検知温度Tcが閾値Tcsに満たない場合(S7のNO)、室内制御部20は、室内熱交換器21の乾燥が足りないとの判断の下に、第1乾燥運転より能力が低い第2乾燥運転を開始する(S9)。すなわち、室内制御部20は、圧縮機1を第1乾燥運転の運転周波数F1より低い運転周波数(第2運転周波数)F2で運転し、かつ圧縮機1から吐出される高温冷媒が四方弁2を通って室内熱交換器21に直接的に流れる暖房サイクルの形成を維持し、その高温冷媒の熱で室内熱交換器21を加熱しながら室内ファン22を第1乾燥運転の回転数N1より低い回転数(第2回転数)N2で運転する。例えば、運転周波数F2は30Hz、回転数N2は700rpmである。
【0028】
この第2乾燥運転において、室内熱交換器21に供給される高温冷媒は、第1乾燥運転の高温冷媒より低い温度となるが、室内熱交換器21を乾燥させることが可能である。室内ファン21の運転によって室内熱交換器21に供給される室内空気は、室内熱交換器21における高温冷媒の凝縮を促進するとともに、室内熱交換器21に付着して残る結露水の蒸発を促進する。
【0029】
この第2乾燥運転の開始に伴い、室内制御部20は、タイムカウントt2を開始し(S10)、そのタイムカウントt2と第2乾燥運転の定格時間である設定時間(第2設定時間)t2sとを比較する(S11)。設定時間t2は例えば5分間である。タイムカウントt2が設定時間t2s未満の場合(S11のNO)、室内制御部20は、上記S9の第2乾燥運転および上記S10のタイムカウントt2を継続する。
【0030】
タイムカウントt2が設定時間t2sに達した場合(S11のYES)、および熱交換器温度センサ23の検知温度Tcが閾値Tcsに達している場合(S12のYES)、室内制御部20は、第2乾燥運転を停止し(S8)、上記S1の処理に戻る。この第2乾燥運転の停止により、一連のクリーニング運転の終了となる。
【0031】
上記S2の判定において室内温度センサ23の検知温度Tiが第1乾燥運転の運転許容条件である第1温度範囲に収まっていない場合(S2のNO)、室内制御部20は、能力高めの第1乾燥運転では室内空間の快適性に悪影響を与える可能性があるとの判断の下に、上記S9に移行して第1乾燥運転よりも室内熱交換器21に対する加熱能力が低めの第2乾燥運転を選択し、これを実行する(S9)。また、上記S3の判定において外気温度センサ6の検知温度Tоが第1乾燥運転のもう1つの運転許容条件である第2温度範囲に収まっていない場合(S3のNO)、室内制御部20は、加熱能力が高めの第1乾燥運転では高圧側圧力の異常上昇を招きひいては冷凍サイクル機器の寿命に悪影響を与える可能性があるとの判断の下に、S2のNOの場合と同様に上記S9に移行して能力低めの第2乾燥運転を開始する(S9)。
【0032】
以上のように、能力高めの第1乾燥運転およびその第1乾燥運転より能力が低い第2乾燥運転を、室内空気温度Ti、室外空気温度To、室内熱交換器21の熱交換器温度Tcに応じて選択的に実行することにより、室内空間のユーザに不快感を与えることなく、しかも冷凍サイクル機器の寿命に悪影響を与えることなく、室内熱交換器21を乾燥させることができる。これにより、室内熱交換器21に対する一連のクリーニング運転を最後まで適切に完了することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、室内熱交換器21に対するクリーニング運転として、運転停止中の定期的な所定のタイミングで実行するクリーニング運転、あるいは冷房運転や除湿運転が終了した直後に実行するクリーニング運転を例に説明したが、ユーザによるリモコン30の操作に応じて開始となる第1クリーニング運転(手動開始のクリーニング運転)および冷房運転および除湿運転の終了後に自動的に開始となる第2クリーニング運転(自動開始のクリーニング運転)において第1乾燥運転および第2乾燥運転を実行する構成としてもよい。
【0034】
この構成においては、第1クリーニング運転では第1乾燥運転または第2乾燥運転を実行し、第2クリーニング運転では第1乾燥運転を実行することなく第2乾燥運転を実行する構成としてもよい。この場合の室内制御部20の制御を
図4のフローチャートに示す。
すなわち、室内制御部20は、手動開始の第1クリーニング運転の実行中であれば(SaのYES)、上記S1~S12の処理により、第1乾燥運転および第2乾燥運転を選択的に実行する。自動開始の第2クリーニング運転の実行中であれば(SaのNO)、室内制御部20は、リモコン30のユーザ操作によって乾燥運転の必要性が予め指定されていることを条件に(SbのYES)、上記S9に移行し、第1乾燥運転を実行することなく第2乾燥運転を実行する。乾燥運転の必要性が予め指定されていない場合(SbのNO)、室内制御部20は、第1乾燥運転および第2乾燥運転のいずれも実行しない。
【0035】
その他、上記各実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
A…室外ユニット、B…室内ユニット、1…圧縮機、2…四方弁、3…室外熱交換器、4…電動膨張弁(減圧器)、6…外気温度センサ、10…室外制御部、20…室内制御部、21…室内熱交換器、22…室内ファン、23…熱交換器温度センサ(温度検知手段)、30…リモコン(操作手段)