(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】起動及びシャットダウン中の医療デバイスの動作
(51)【国際特許分類】
G16H 40/60 20180101AFI20241007BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G16H40/60
A61M1/16 110
(21)【出願番号】P 2021512396
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2019077428
(87)【国際公開番号】W WO2020074618
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネソン, カミラ
(72)【発明者】
【氏名】リンドハルト, ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】メビウス, ニクラス
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0135389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61M 1/00- 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置を実行するように構成され、一組のプロセッ
サと、前記一組のプロセッ
サによる実行のためのソフトウェアシステムを格納する一組のメモリユニッ
トとを備える医療デバイ
スを動作させる方法であって、前記ソフトウェアシステムはプライマリサブシステ
ムと一組のセカンダリサブシステ
ムとを含む複数のサブシステ
ムを定義し、ここで各サブシステ
ムは、前記医療処置中に前記医療デバイ
スの前記動作に関わるソフトウェアアプリケーショ
ンを備え、前記方法は、前記医療デバイ
スの起動中に、
前記ソフトウェアアプリケーショ
ンのそれぞれを開始すること
と、
起動の準備ができたときに、前記各セカンダリサブシステ
ム内の前記ソフトウェアアプリケーショ
ンのそれぞれによって、アプリケーション準備完了通
知を、前記各セカンダリサブシステ
ムへと提供すること
と、
全てのそのソフトウェアアプリケーショ
ンが前記アプリケーション準備完了通
知を提供したときに、前記各セカンダリサブシステ
ムによって、サブシステム準備完了通
知を前記プライマリサブシステ
ムへと提供すること
と、
前記プライマリサブシステ
ムによって、前記サブシステム準備完了通
知を受信したことに基づいて、前記一組のセカンダリサブシステ
ムの起動を調整すること
と、を含み、
前記調整するこ
とは、前記プライマリサブシステ
ムによって、前記一組のセカンダリサブシステ
ムによる受信のためのシステム準備完了通
知を生成するこ
とを含み、
前記調整するこ
とは、前記システム準備完了通
知を取
得した前記各セカンダリサブシステ
ムによって、前記複数のサブシステ
ム間の異なるサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの少なくともサブセット間の通信を可能にするこ
と、をさらに含み、それにより、前記医療デバイ
スは、前記医療処置の少なくとも一部を実行する準備が整う、方法。
【請求項2】
前記各セカンダリサブシステ
ムにおいて、前記各セカンダリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンによって、前記サブシステム準備完了通
知を取得したことに基づいて、前記各セカンダリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの間の通信を可能にするこ
と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プライマリサブシステ
ムのソフトウェアアプリケーショ
ンによって、起動準備ができた場合に、前記アプリケーション準備完了通
知を提供するこ
とをさらに含み、前記調整するこ
とは、前記各セカンダリサブシステ
ムからの前記サブシステム準備完了通
知、及び、前記プライマリサブシステ
ムにおける前記ソフトウェアアプリケーショ
ンからの前記アプリケーション準備完了通
知を受信した前記プライマリサブシステ
ムにより実行される、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記プライマリサブシステ
ム内のマネージ
ャは、前記各セカンダリサブシステ
ムからの前記サブシステム準備完了通
知、及び、前記プライマリサブシステ
ム内の前記ソフトウェアアプリケーショ
ンから前記アプリケーション準備完了通
知を受信し、前記調整するこ
とを実行する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記各セカンダリサブシステ
ムはマネージ
ャをさらに含み、前記各セカンダリサブシステ
ムの前記マネージ
ャは、全てのそのソフトウェアアプリケーショ
ンから前記アプリケーション準備完了通
知を取得すると、前記サブシステム準備完了通
知を提供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記調整するこ
とは、前記プライマリサブシステ
ムのマネージ
ャによって、前記プライマリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンからの前記アプリケーション準備完了通
知、及び、前記各セカンダリサブシステ
ムからの前記サブシステム準備完了通
知を取得したことに基づいて、前記各セカンダリサブシステ
ムに対するシステム準備完了通
知を提供するこ
とを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記システム準備完了通
知を取得するこ
とに基づき前記各セカンダリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、及び、前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、前記複数のサブシステ
ム間の異なるサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの少なくともサブセット間の通信を可能にするこ
とをさらに含み、そこで前記医療デバイ
スは前記医療処置の少なくとも一部を実行する準備が整う、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ソフトウェアシステムは、少なくとも2つのセカンダリサブシステ
ムを定義し、異なるサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの少なくともサブセットの間の通信を、前記可能にするこ
とは、前記少なくとも2つのセカンダリサブシステ
ムにおける前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの少なくともサブセットの間の直接通信を可能にすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サブシステ
ムは、前記一組のプロセッ
サ内の別個のプロセッサ上で実行される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
2つ以上のサブシステ
ムは、前記医療デバイ
スによって実行される医療処置にクリティカルであり、各マネージ
ャを含み、前記方法はさらに、前記起動中に、
前記2つ以上のサブシステ
ムの前記マネージ
ャの各々を、外部心拍信号を送信するように動作させることと、
前記2つ以上のサブシステ
ムの前記マネージ
ャの間で相互に、動作不良の検出のため前記外部心拍信号をモニタし始めることと、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記起動中に、
前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、第1の所定の期間内に前記プライマリサブシステ
ムの前記各ソフトウェアアプリケーショ
ンから前記アプリケーション準備完了通
知を受信しなかった場合に、第1のエラーを報告することと、
前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、第2の所定の期間内に前記各セカンダリサブシステ
ムから前記サブシステム準備完了通
知を受信しなかった場合に、第2のエラーを報告することと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記医療デバイ
スのシャットダウン中に、
前記プライマリサブシステ
ムのマネージ
ャによって、前記一組のセカンダリサブシステ
ムに対するシャットダウン通
知を提供すること
と、
前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、前記プライマリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの終了を要求すること
と、
前記各セカンダリサブシステ
ムのマネージ
ャによって、前記シャットダウン通
知を取得した後に、前記各セカンダリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの終了を要求すること
と、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記各セカンダリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの終了を、前記要求するこ
とは、少なくとも1つのセカンダリサブシステ
ムに対して、
前記マネージ
ャによって、前記セカンダリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンに対するサブシステム準備未完了通
知を提供すること
と、
前記サブシステム準備未完了通
知を取
得したことに基づいて、前記セカンダリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの少なくともサブセットによって、終了の準備すること
と、
前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの前記少なくともサブセットによって、終了が準備されたときに、アプリケーションのシャットダウン準備完了通
知を提供すること
と、
前記セカンダリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの前記少なくともサブセットから前記アプリケーションのシャットダウン準備完了通
知を取得したこ
とに基づいて、前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャに対してサブシステムのシャットダウン準備完了通
知提供すること
と、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プライマリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの終了を要求するこ
とは、
前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、前記プライマリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンに対してサブシステム準備未完了通
知を提供するこ
と、
前記プライマリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの少なくとも1つのサブセットによって、前記サブシステム準備未完了通
知を取得するこ
とに基づいて、終了の準備すること
と、
前記プライマリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの前記少なくとも1つのサブセットによって、終了が準備されたときに、アプリケーションのシャットダウン準備完了通
知の提供すること
と、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、前記少なくとも1つのセカンダリサブシステ
ムからの前記サブシステムのシャットダウン準備完了通
知、及び、前記プライマリサブシステ
ムの前記ソフトウェアアプリケーショ
ンの前記少なくとも1つのサブセットからの前記アプリケーションのシャットダウン準備完了通
知、を取得したことに基づいて、前記医療デバイ
スの電源喪失を開始するこ
と、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シャットダウン中にエラーが無い場合に前記マネージャのうちの少なくとも1
つによって、通常のシャットダウンを示すシャットダウン理由パラメータを設定して前記一組のメモリユニッ
トに前記シャットダウン理由パラメータを格納することと、前記起動中に前記マネージャのうちの前記少なくとも1
つによって、シャットダウンエラーを示す前記シャットダウン理由パラメータを設定して前記一組のメモリユニッ
トに前記シャットダウン理由パラメータを格納することと、を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ソフトウェアアプリケーショ
ンは、前記医療デバイ
スによって実行される前記医療処置にクリティカルな1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーショ
ンを備え、前記方法はさらに、前記医療デバイ
スのシャットダウン中であって前記一組のセカンダリサブシステ
ムに対する前記シャットダウン通
知を提供する前に、
前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャによって、前記1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーショ
ンのシャットダウン要
求を提供すること
と、
前記1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーショ
ンによって、前記医療デバイ
スの前記動作を考慮して前記シャットダウン要
求を検証すること
と、
前記1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーショ
ンのうちの少なくとも1つによって、およびシャットダウンが受け入れ可能である場合に、アプリケーションのシャットダウン準備完了通
知を提供すること
と、を含み、
前記プライマリサブシステ
ムの前記マネージ
ャは、前記1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーショ
ンの前記少なくとも1つから前記アプリケーションのシャットダウン準備完了通
知を取得したことに基づいて、前記一組のセカンダリサブシステ
ムに対して前記シャットダウン通
知を提供す
る、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のサブシステ
ムは、前記医療処置を実行するために前記医療デバイ
スを制御するためのソフトウェアアプリケーショ
ンを有する第1のサブシステ
ムと、前記医療デバイ
スのアクチュエー
タおよび/またはセン
サと通信するためのソフトウェアアプリケーションを有する第2のサブシステ
ムとを備え、前記調整するこ
とは、前記医療デバイ
スを制御するための前記ソフトウェアアプリケーショ
ン及び通信するための前記ソフトウェアアプリケーションとの間の通信を可能にする、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のサブシステ
ムはさらに、偏差を検出するための前記医療処置を監視するためのソフトウェアアプリケーショ
ンを有する第3のサブシステ
ムと、前記医療デバイ
スの補助セン
サと通信するためのソフトウェアアプリケーションを有する第4のサブシステ
ムと、を備え、前記調整するこ
とはさらに、前記医療処置を監視するための前記ソフトウェアアプリケーショ
ンと前記補助セン
サと通信するための前記ソフトウェアアプリケーションとの間、及び、前記医療デバイ
スを制御するための前記ソフトウェアアプリケーショ
ンと前記医療処置を監視するための前記ソフトウェアアプリケーショ
ンとの間の通信を可能にする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
医療処置を実行するための医療デバイスであって、
一組のプロセッ
サと、
前記一組のプロセッ
サによって実行されるソフトウェアシステムを格納する一組のメモリユニッ
トと、を備え、
前記ソフトウェアシステムは、前記一組のプロセッ
サによって実行されるときに、前記医療デバイスを動作させて前記医療処置を実行し、
前記ソフトウェアシステムは、プライマリサブシステ
ム及び一組のセカンダリサブシステ
ムを含む複数のサブシステ
ムを定義し、各サブシステ
ムは、前記医療処置中に前記医療デバイ
スの前記動作に関与するソフトウェアアプリケーショ
ンを含み、
前記ソフトウェアシステムは、前記一組のプロセッ
サによって実行されるときに、請求項1~19のいずれか1項に記載の前記方法を実行する、医療デバイス。
【請求項21】
医療処置を実行するために医療デバイ
スを動作させるためのソフトウェアシステムを含むコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、前記ソフトウェアシステムは、プライマリサブシステ
ム及び一組のセカンダリサブシステ
ムを含む複数のサブシステ
ムを定義し、各サブシステ
ムは、前記医療処置中に前記医療デバイ
スの前記動作に関与するソフトウェアアプリケーショ
ンを含み、前記ソフトウェアシステムは、前記医療デバイ
スの一組のプロセッ
サによって実行されると、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法を実行する、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスの分野、より具体的には、起動およびシャットダウン中に自動医療デバイスを動作させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動医療デバイスは、単体で使用されるにしても組み合わせて使用されるにしても、製造業者が医療目的のためにヒトまたは動物に使用することを意図した機械である。このような目的は、疾患、損傷、又はハンディキャップの診断、予防、モニタリング、処理又は緩和を含み得る。
【0003】
自動医療デバイスは、ヘルスケア分野で頻繁に使用され、安全かつ効率的であることを保証するために厳格な規制の枠組みの対象になる。
【0004】
一般に、自動医療デバイスは、健康に影響を及ぼす可能性がある誤動作のリスクを軽減すべく慎重に設計される必要がある複雑なシステムであるソフトウェアシステムによって動作される。
【0005】
2つ以上の独立したサブシステムまたはモジュールから構成されるようにソフトウェアシステムを設計することが望ましい場合がある。一連の独立したサブシステムを構築することにより、医療デバイスの製品設計者および製造者は完全な医療デバイスの機能のサブセットである特定の機能を実行するサブシステムを作成し、配備する能力を得ることができる。ソフトウェアのこのようなモジュール化は、例えば1つ以上の集積回路またはチップ上に配置された異なるプロセッサ上で実行される異なるサブシステムによって、ハードウェアのモジュール化と対にされてもよい。
【0006】
医療目的を実行しながら、医療デバイスが制御され、安全で、信頼性のある方法で動作することを保証するために、ソフトウェアシステムを設計するのに多くの努力が一般に払われるが、医療デバイスの起動及びシャットダウンは個々のプロセスのための公称起動時間を推定し、対応するタイマを使用することによって、しばしば無視され、実行される。これは、何らかの理由で、プロセスの起動を公称起動時間を超えて遅延させなければならない場合、長い起動時間及び誤動作の傾向を招くことがある。起動又はシャットダウン中に発生する誤動作は、ソフトウェアシステムに組み込まれた安全対策にかかわらず、医療デバイスによって実行されるその後の医療処置に深刻な影響を及ぼす可能性がある。起動及びシャットダウンは、2つ以上のサブシステムにモジュール化されたソフトウェアシステムにおいて、誤動作に対して特に脆弱であり得る。
【0007】
医療デバイスの確定的で、安全で、信頼性のある起動及びシャットダウンを保証する医療デバイスのためのソフトウェアシステムを提供することが一般的に必要とされている。
【0008】
従来技術は、Stanczykらによる論文「Logical Architecture of Medical Telediagnostic Robotic System」(第21回自動化およびロボット工学における方法およびモデルに関する国際会議(MMAR)、200~205頁(2016年))を含む。その論文は、リモート身体検査を可能にする多機能ロボットシステムを提示した。患者側制御システムはロボット集中制御システム(RCCS)を備え、これはロボット頭部、例えばロボットアームおよび移動ロボットベースのための下位制御装置等の下位コンポーネントにそれぞれ接続される。センサ信号、アシスタント又は医師の論理的要求、およびすべての下位のコンポーネントからの状態信号に基づいて、RCCSは、下位のコンポーネントを動作させることができるかどうかを決定する。すべての通信はRCCSを介して行われる。電源オンが有効化されると、RCCSは起動状態になり、起動手順を開始する。すべての下位コンポーネントがアクティブであると認識されると、RCCSはアクティブ状態になる。逆に、電源オフボタンが押されると、RCCSはシャットダウン状態になり、シャットダウン手順を開始する。すべての下位コンポーネントがシャットダウン手順を終了すると、RCCSはオフ状態になる。
【0009】
このような従来技術の制御システムはロボットシステムのハードウェアコンポーネントの安全かつ信頼性のある高レベルでの起動を可能にすることができるが、制御システムのすべてのプロセスの確定的な起動を保証するわけではない。
【0010】
従来技術はまた、米国特許出願公開第2014/0121509号明細書を含み、これは、マルチモダリティ医療処理システムにおける依存性ベースの起動方法を開示する。システムコントローラは、処理システムに結合されたそれぞれの医療デバイスと通信するためのモダリティ固有のコンポーネントである複数の実行可能コンポーネントの起動およびシャットダウンを調整するように構成される。実行可能コンポーネントごとに、システムコントローラは、実行可能コンポーネントが依存する他の実行可能コンポーネントのリストを含む依存関係情報を取得する。システムコントローラは依存関係情報に基づいて複数の実行可能コンポーネントの開始順序を動的に導出し、開始順序に従って実行可能コンポーネントを開始する。システムコントローラはそれぞれのコンポーネントがそのすべてのインタフェースをパブリッシュし、オプションでプロセスレディメッセージをブロードキャストするまで待機してから、開始順序で次のコンポーネントを開始する。
【0011】
この起動方法では、実行可能コンポーネントのレベルでの起動のみが考慮される。これによって、システム内のすべてのプロセス、例えば、1つまたは複数の実行可能コンポーネント内のソフトウェアアプリケーションによって実行されるプロセスの確定的起動を保証しない。さらに、提案された起動方法は、依存性情報の交換と、システムコントローラによる起動順序の集中決定とを必要とする点で複雑である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、従来技術の1つ以上の制限を少なくとも部分的に克服することである。
【0013】
さらなる目的は、医療デバイスを動作させるためのソフトウェアシステムのすべての関連するプロセスの確定的起動を可能にすることである。
【0014】
別の目的は、医療デバイスを動作させるためのソフトウェアシステムの全ての関連するプロセスの確定的シャットダウンを可能にすることである。
【0015】
これらの目的のうちの1つまたは複数、ならびに以下の説明から明らかになり得るさらなる目的は、医療デバイスを動作させる方法、医療デバイス、およびコンピュータ可読媒体少なくとも部分的に達成され、それら実施形態は従属請求項によって定義される。
【0016】
本発明の第1の態様は、医療デバイスを動作させる方法である。医療デバイスは、医療処置を実行するように構成され、一組のプロセッサと、一組のプロセッサによる実行のためのソフトウェアシステムを記憶する一組のメモリユニットとを備える。ソフトウェアシステムは、プライマリサブシステムおよび一組のセカンダリサブシステムを含む複数のサブシステムを規定する。各サブシステムは、医療処置中の医療デバイスの操作に関与するソフトウェアアプリケーションを含む。この方法は、医療デバイスの起動時に、各ソフトウェアアプリケーションを開始することと、起動の準備ができたときに、各セカンダリサブシステム内の各ソフトウェアアプリケーションによって、アプリケーション準備完了通知を提供することと、すべてのソフトウェアアプリケーションがアプリケーション準備完了通知を提供したときに、各セカンダリサブシステムによって、サブシステム準備完了通知を提供することと、サブシステム準備完了通知を受信したことに基づいて、プライマリサブシステムによって、一組のセカンダリサブシステムの起動を調整することと、を含む。
【0017】
本発明の第2の態様は、医療処置を実行するための医療デバイスである。医療デバイスは、一組のプロセッサと、一組のプロセッサによる実行のためのソフトウェアシステムを記憶する一組のメモリユニットとで構成される。ソフトウェアシステムは、一組のプロセッサによって実行されると、医療デバイスを動作させて医療処置を実行する。ソフトウェアシステムは、プライマリサブシステムおよび一組のセカンダリサブシステムを含む複数のサブシステムを規定する。各サブシステムは、医療処置中の医療デバイスの操作に関与するソフトウェアアプリケーションを含む。ソフトウェアシステムは、プロセッサの設定によって実行されると、第1の態様またはその実施形態のいずれかによる方法を実行する。
【0018】
第3の態様は、医療処置を実行するために医療デバイスを動作させるためのソフトウェアシステムを備えるコンピュータ読取可能な記憶媒体である。ソフトウェアシステムは、プライマリサブシステムおよび一組のセカンダリサブシステムを含む複数のサブシステムを規定する。各サブシステムは、医療処置中の医療デバイスの動作に関与するソフトウェアアプリケーションを含む。ソフトウェアシステムは、医療デバイスの一組のプロセッサによって実行されると、第1の態様またはその実施形態のいずれかに従って方法を実行する。
【0019】
これらの態様は、医療デバイスにおけるソフトウェアシステムのすべての関連ソフトウェアアプリケーションの確定的起動を可能にする。確定的起動は、起動プロシージャを、アプリケーション準備完了及びサブシステム準備完了通知を使用することによるサブシステムレベルでの起動の準備と、プライマリサブシステムが個々のサブシステムの起動を調整するシステムレベルでの起動の準備と、に分離することによって可能になる。さらに、前述の態様は、ソフトウェアアプリケーションがそれぞれのサブシステムに委任される起動の準備ができていることを保証する責任を可能にする。これにより、ソフトウェアシステムに対応して起動手順をモジュール化することができるので、各サブシステムは、他のサブシステムとは独立して起動に備えるように動作可能である。そのようなモジュール化は起動手順がサブシステム上で別々に実施されることを可能にし、サブシステムの起動は、開発および展開中に別々に試験され得るという点で有利である。
【0020】
さらに、通知の使用は、医療デバイスの安全かつ信頼性のある起動を可能にする。例えば、通知の提供を妨げる誤動作が発生した場合に、ソフトウェアシステムが起動されることを防止することができる。通知の使用はまた、医療デバイスの起動中のソフトウェアシステムにおける誤動作の単純かつ効率的な検出および位置特定を可能にする。さらに、上述のようなタイマの使用および公称起動時間と比較して、通知の使用はまた、医療デバイスの起動に必要とされる時間を短縮し得る。
【0021】
対応するモジュール化は確定的で、安全で、信頼できる方法で、電源喪失のために医療デバイス内のすべての関連する実行ソフトウェアアプリケーションを準備するために、通知を使用することによって、シャットダウン手順で実施されてもよい。
【0022】
第1の態様のいくつかの実施形態は、以下で定義され、医療デバイスを動作させるためのソフトウェアシステムのすべての関連するプロセスの確定的起動および/またはシャットダウンを可能にする、達成する、または改善する目的、あるいは当業者によって理解されるような別の目的を果たすことができる。
【0023】
一実施形態では、本方法がそれぞれのサブシステムにおいて、サブシステム準備完了通知を取得することに基づいて、それぞれのセカンダリサブシステムのソフトウェアアプリケーションによって、それぞれのセカンダリサブシステムのソフトウェアアプリケーション間の通信を可能にすることをさらに含む。
【0024】
一実施形態では、調整することは、プライマリサブシステムによって、一組のセカンダリサブシステムによる受信のためのシステム準備完了通知を生成することを含む。
【0025】
一実施形態では、調整することは、システム準備完了通知を取得したことに基づいて、それぞれのセカンダリサブシステムによって、複数のサブシステム間の異なるサブシステムのソフトウェアアプリケーションの少なくともサブセット間の通信を可能にすることをさらに含み、それによって、医療デバイスは医療処置の少なくとも一部を実行する準備が整う。
【0026】
一実施形態では、本方法がさらに、起動の準備ができたときに、プライマリサブシステム内のそれぞれのソフトウェアアプリケーションによって、アプリケーション準備完了通知を提供することを含み、ここで、調整することは、それぞれのセカンダリサブシステムからのサブシステム準備完了通知と、プライマリサブシステム内のそれぞれのソフトウェアアプリケーションからのアプリケーション準備完了通知とを受信したことに基づいてプライマリサブシステムによって実行される。
【0027】
一実施形態では、プライマリサブシステム内のマネージャは、それぞれのセカンダリサブシステムからのサブシステム準備完了通知と、プライマリサブシステム内のそれぞれのソフトウェアアプリケーションからのアプリケーション準備完了通知とを受信し、調整することを実行する。
【0028】
一実施形態ではそれぞれのセカンダリサブシステムがマネージャをさらに含み、それぞれのセカンダリサブシステムのマネージャは、そのソフトウェアアプリケーションのすべてからアプリケーション準備完了通知を取得したことに基づいて、サブシステム準備完了通知を提供する。
【0029】
一実施形態では、調整することは、プライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションのそれぞれからアプリケーション準備完了通知を、それぞれのセカンダリサブシステムからサブシステム準備完了通知を、取得したことに基づいて、プライマリサブシステムのマネージャによって、それぞれのセカンダリサブシステムのシステム準備完了通知を提供することを含む。
【0030】
一実施形態では、本方法は、システム準備完了通知を取得したことに基づいてそれぞれのセカンダリサブシステムのマネージャによって、および、プライマリサブシステムのマネージャによって、複数のサブシステム間の異なるサブシステムのソフトウェアアプリケーションの少なくともサブセット間の通信を可能にすることをさらに含み、それによって、医療デバイスは医療処置の少なくとも一部を実行する準備が整う。
【0031】
一実施形態では、ソフトウェアシステムが少なくとも2つのセカンダリサブシステムを定義し、異なるサブシステムのソフトウェアアプリケーションの少なくともサブセット間の通信を可能にすることは、少なくとも2つのセカンダリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの少なくともサブセット間の直接通信を可能にすることを含む。
【0032】
一実施形態では、サブシステムが一組のプロセッサ内の別々のプロセッサ上で実行される。
【0033】
一実施形態では、2つ以上のサブシステムは、医療デバイスによって実行される医療処置にとっては重要であり、それぞれのマネージャを備え、方法は上記起動中に外部心拍信号を送信するために上記2つ以上のサブシステムのマネージャのそれぞれを動作させることと、動作不良の検出のために、上記2つ以上のサブシステムのマネージャの間で相互に外部心拍信号をモニタし始めることとをさらに含む。
【0034】
一実施形態では、本方法はさらに、上記起動中に、プライマリサブシステムのマネージャによって、第1の所定の時間内にプライマリサブシステムの各ソフトウェアアプリケーションからアプリケーション準備完了通知を受信しなかったときに第1のエラーを報告することと、プライマリサブシステムのマネージャによって、第2の所定の時間内にサブシステム準備完了通知を各セカンダリサブシステムから受信しなかったときに、第2のエラーを報告することと、を含む。
【0035】
一実施形態では、本方法は、医療デバイスのシャットダウン中に、プライマリサブシステムのマネージャによって、一組のセカンダリサブシステムに対するシャットダウン通知を提供することと、プライマリサブシステムのマネージャによって、プライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの終了を要求することと、シャットダウン通知を取得した後に、それぞれのセカンダリサブシステムのマネージャによって、それぞれのセカンダリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの終了を要求することとを含む。
【0036】
一実施形態では、それぞれのセカンダリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの終了を要求することは、少なくとも1つのセカンダリサブシステムについて、マネージャによって、セカンダリサブシステムのソフトウェアアプリケーションのためのサブシステム準備未完了通知を提供することと、セカンダリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの少なくとも1つのサブセットによって、サブシステム準備未完了通知を取得したことに基づいて、終了の準備をすることと、終了のために準備されたときにソフトウェアアプリケーションの上記少なくとも1つのサブセットによって、アプリケーションのシャットダウン準備完了通知を提供することと、セカンダリサブシステムのマネージャによって、ソフトウェアアプリケーションの上記少なくとも1つのサブセットからアプリケーションのシャットダウン準備完了通知を取得したことに基づいて、プライマリサブシステムのマネージャのためのサブシステムのシャットダウン準備完了通知を提供することとを含む。
【0037】
一実施形態では、プライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの終了を要求することは、プライマリサブシステムのマネージャによって、プライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションに対するサブシステム準備未完了通知を提供することと、サブシステム準備未完了通知を取得したことに基づいて、プライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの少なくともサブセットによって、終了の準備をすることと、終了の準備をしたときに、プライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの少なくともサブセットによって、アプリケーションのシャットダウン準備完了通知を提供することとを含む。
【0038】
一実施形態では、本方法は、上記少なくとも1つのセカンダリサブシステムからのサブシステムのシャットダウン準備完了通知と、プライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションの上記少なくとも1つのサブセットからのアプリケーションのシャットダウン準備完了通知を取得したことに基づいて、プライマリサブシステムのマネージャによって、医療デバイスの電源喪失を開始することをさらに含む。
【0039】
一実施形態では、本方法は、上記シャットダウン中にエラーが無い場合にマネージャのうちの少なくとも1つによって、通常のシャットダウンを示すシャットダウン理由パラメータを設定して一組のメモリユニットにシャットダウン理由パラメータを格納することと、上記起動中にマネージャのうちの上記少なくとも1つによって、シャットダウンエラーを示すシャットダウン理由パラメータを設定して一組のメモリユニットにシャットダウン理由パラメータを格納することと、を含む。
【0040】
一実施形態ではソフトウェアアプリケーションは、医療デバイスによって実行される医療処置にクリティカルな1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーションを備え、方法はさらに、医療デバイスのシャットダウン中であって一組のセカンダリサブシステムに対するシャットダウン通知を提供する前に、プライマリサブシステムのマネージャによって、1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーションのシャットダウン要求を提供することと、1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーションによって、前記医療デバイスの前記動作を考慮して前記シャットダウン要求を検証することと、1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーションのうちの少なくとも1つによって、およびシャットダウンが受け入れ可能である場合に、アプリケーションのシャットダウン準備完了通知を提供することと、を含み、プライマリサブシステムのマネージャは、上記1つ以上のクリティカルソフトウェアアプリケーションの少なくとも1つからアプリケーションのシャットダウン準備完了通知を取得したことに基づいて、一組のセカンダリサブシステムに対してシャットダウン通知を提供すること、をさらに含む。
【0041】
一実施形態では複数のサブシステムは、医療処置を実行するために医療デバイスを制御するためのソフトウェアアプリケーションを有する第1のサブシステムと、医療デバイスのアクチュエータおよび/またはセンサと通信するためのソフトウェアアプリケーションを有する第2のサブシステムとを備え、調整することは、医療デバイスを制御するためのソフトウェアアプリケーション及び通信するためのソフトウェアアプリケーションとの間の通信を可能にする。
【0042】
一実施形態では複数のサブシステムはさらに、偏差を検出するための医療処置を監視するためのソフトウェアアプリケーションを有する第3のサブシステムと、医療デバイスの補助センサと通信するためのソフトウェアアプリケーションを有する第4のサブシステムと、を備え、調整することはさらに、医療処置を監視するためのソフトウェアアプリケーションと補助センサと通信するためのソフトウェアアプリケーションとの間、及び、医療デバイスを制御するためのソフトウェアアプリケーションと医療処置を監視するためのソフトウェアアプリケーションとの間の通信を可能にする。
【0043】
本発明のさらなる態様は、医療デバイスを操作する方法である。医療デバイスは、医療処置を実行するように構成され、プロセッサの設定と、プロセッサの設定による実行のためのソフトウェアシステムを記憶するメモリユニットの設定とを備える。ソフトウェアシステムは、プライマリサブシステムおよび一組のセカンダリサブシステムを含む複数のサブシステムを規定する。各サブシステムは、医療処置中の医療デバイスの動作に関与するソフトウェアアプリケーションを含む。この方法は医療デバイスの起動中に、各ソフトウェアアプリケーションを開始することと、起動の準備ができたときに各ソフトウェアアプリケーションによってアプリケーション準備完了通知を提供することと、すべてのソフトウェアアプリケーションがアプリケーション準備完了通知を提供したときに各サブシステムによってサブシステム準備完了通知を提供することと、サブシステム準備完了通知を受信したことに基づいて、プライマリサブシステムによってサブシステムの起動を調整することとを含む。この方法は、第2の態様に対応する医療デバイス上に展開され、第3の態様に対応するコンピュータ読取可能な記憶媒体上に実装され得る。前述の実施形態は、さらなる態様の方法に等しく適用可能である。
【0044】
本発明のさらに他の目的および態様、ならびに実施形態、特徴、技術的効果、および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、ならびに図面から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【
図1A】
図1A~1Cは、本発明の実施形態を実施することができる医療デバイスの例を示す。
【
図1B】
図1A~1Cは、本発明の実施形態を実施することができる医療デバイスの例を示す。
【
図1C】
図1A~1Cは、本発明の実施形態を実施することができる医療デバイスの例を示す。
【
図2】
図2は、信号通信構造体に接続された医療デバイスのハードウェアコンポーネントの模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、医療デバイスを操作するためのソフトウェアシステムの模式的なブロック図である。
【
図4A】
図4A~4Bは、本発明の実施形態にしたがって医療デバイスの起動のために実行される方法のフローチャートである。
【
図4B】
図4A~4Bは、本発明の実施形態にしたがって医療デバイスの起動のために実行される方法のフローチャートである。
【
図5A】
図5A~5Dは、本発明の実施形態にしたがって医療デバイスのシャットダウンのために実行される方法のフローチャートである。
【
図5B】
図5A~5Dは、本発明の実施形態にしたがって医療デバイスのシャットダウンのために実行される方法のフローチャートである。
【
図5C】
図5A~5Dは、本発明の実施形態にしたがって医療デバイスのシャットダウンのために実行される方法のフローチャートである。
【
図5D】
図5A~5Dは、本発明の実施形態にしたがって医療デバイスのシャットダウンのために実行される方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態にしたがって動作されたときの
図3のソフトウェアシステムの状態を示す。
【
図7A】
図7A~7Eは、本発明の実施形態による医療デバイスの起動のための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【
図7B】
図7A~7Eは、本発明の実施形態による医療デバイスの起動のための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【
図7C】
図7A~7Eは、本発明の実施形態による医療デバイスの起動のための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【
図7D】
図7A~7Eは、本発明の実施形態による医療デバイスの起動のための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【
図7E】
図7A~7Eは、本発明の実施形態による医療デバイスの起動のための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【
図8A】
図8A~8Cは、本発明の実施形態による医療デバイスのシャットダウンのための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【
図8B】
図8A~8Cは、本発明の実施形態による医療デバイスのシャットダウンのための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【
図8C】
図8A~8Cは、本発明の実施形態による医療デバイスのシャットダウンのための
図3のソフトウェアプログラムの動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで、本発明のいくつかの、しかし全てではない実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明の実施形態を以下により完全に説明する。実際、本発明の解決策は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすことができるように提供される。同じ参照符号は全体を通して同じ要素を指す。
【0047】
また、可能であれば、本明細書に記載および/または企図される本発明の実施形態のいずれかの利点、特徴、機能、デバイス、および/または動作態様のいずれかが、本明細書に記載および/または企図される本発明の他の実施形態のいずれかに含まれてもよく、および/またはその逆であってもよいことが理解されるのであろう。さらに、可能であれば、本明細書で単数形で表される任意の用語は特に明記しない限り、複数形も含むこと、および/またはその逆も意味する。本明細書で使用される場合、「少なくとも1つの」は「1つ以上の」を意味し、これらの語句は交換可能であることが意図される。したがって、「1つの」および/または「1つの」または「1つ以上の」という語句は本明細書で使用される場合でも、本明細書で使用される場合、コンテキストが言語または必要な含意を表すために、そわないことを必要とする場合を除いて、「備える」または「備える」などの語句は包括的な意味で使用され、すなわち、記載された特徴の存在を指定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除しない。本明細書で使用される場合、項目の「セット」は1つ以上の項目の提供を暗示することが意図される。
【0048】
さらに、第1、第2などの用語は様々な要素を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるのであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本発明の範囲を逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意の組合せおよびすべての組合せを含む。
【0049】
周知の機能または構成は、簡潔さおよび/または明確さのために詳細に説明されないことがある。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0050】
本発明の実施形態は、医療デバイスを動作させるための医療ソフトウェアシステムの全ての関連するプロセスの確定的起動及び/又はシャットダウンを可能にする技術を対象とする。医療デバイスは、任意選択で1つまたは複数の他の医療デバイスと組み合わせて、人間または動物の被験者に関連して医療処置を実行するように構成された自動化された装置または機械である。ここで使用される場合、医療処置は、疾患、損傷、またはハンディキャップの診断、予防、モニタリング、処理もしくは緩和、またはそれらの検出のためのモニタリングのうちの1つ以上に関係する。以下では、医療ソフトウェアシステムが医療処置を実行するように医療デバイスを制御するために1つまたは複数のプロセッサ上で実行される2つまたは複数のサブシステムを備えることを前提とする。サブシステムは、医療処置を実行するときに医療デバイスの操作に関連して特定の機能を提供するために独立して開発され、試験され得るコンピュータ実行可能な命令のソフトウェアモジュールとして見られ得る。各サブシステムは一組のソフトウェアアプリケーションを含み、各ソフトウェアアプリケーションは、それぞれのサブシステムのコンテキスト内で実行されるプロセスまたはタスクに対応する。したがって、サブシステム内のソフトウェアアプリケーションはサブシステムの特定の機能を提供するために、調整されたプロセスのグループを実行するように設計されてもよい。しかしながら、サブシステムは、医療デバイスの操作に関与しない1つ以上のソフトウェアアプリケーションを含むことが考えられる。さらに、サブシステムは、他のサブシステムとの通信を管理するための通信スタック、技術的エラーを管理するためのエラーマネージャ、通知を管理するための通知マネージャなど、ソフトウェアシステムにおける基本機能またはサービスを実行するミドルウェアおよび/または低レベルソフトウェアコンポーネントなどの、さらなるソフトウェアコンポーネントを含んでもよい。サブシステムのうちの1つまたは複数はハードウェアおよびソフトウェア資源に関連してオペレーティングシステムによって提供されるサービスを利用するために、1つまたは複数のオペレーティングシステムの上で動作させることができる。実装に応じて、オペレーティングシステムは例えば、リアルタイムオペレーティングシステム、組み込みオペレーティングシステム、シングルタスクオペレーティングシステム、またはマルチタスクオペレーティングシステム、あるいはそれらの任意の組合せを含むことができる。また、1つ以上のサブシステムがオペレーティングシステムなしで動作し、医療デバイスのハードウェア資源を直接インタフェースするように構成されていることも考えられる。
【0051】
図1A~1Cは、被写体と流体連通して直接的または間接的に接続される医療デバイスの例の模式図である。図示された例は極めて模式的であり、本発明の実施形態のための異なる実施状況を例示することのみを目的として与えられていることに留意されたい。
【0052】
図1Aは、矢印によって示されるように、制御された方法で、例えば、被写体100の循環系中に、被写体100の身体中に医療用流体を送達するように操作可能な医療デバイス10を図示する。医療用流体は医薬および/または栄養物を含むが、これらに限定されない、任意の適切な液体であってもよい。このタイプの医療デバイス10は、一般的に「注入ポンプ」として知られている。図示の簡略化された例では、医療デバイス10が被験者100に接続するための流体ライン11と、ディスプレイ12と、制御ボタン13(1つが示されている)と、インジケータランプ14と、スピーカ15と、制御システム16と、流体ライン11を介して被験者100に医療用流体を制御送達するための1つまたは複数のアクチュエータ17と、注入ポンプによって実行される注入プロセスを示すセンサデータを提供するための1つまたは複数のセンサ18とを備える。アクチュエータ17およびセンサ18は、医療デバイス10の内部コンポーネント(点線で示す)または外部コンポーネント、あるいはその両方を含むことができる。制御システム16は注入ポンプの意図された医療処置を実行するためにアクチュエータ17およびセンサ18の操作を調整し、医療処置に関連して必要に応じてディスプレイ12、インジケータランプ14、およびスピーカ15を操作させ、制御ボタン13を介してユーザ入力を取得するように構成される。例えば、ディスプレイ12は医療デバイス10のユーザに命令を提示するように操作されてもよく、インジケータランプ14はデバイス状態を示すように操作されてもよく、スピーカ15は警告信号などを発生するように操作されてもよい。
【0053】
図1Bは制御された方式で、対象者100の腹腔に透析流体を送り、続いて、両矢印によって示されるように、そこから透析流体を除去するように動作可能である医療デバイス10を図示する。この医療処置は一般的に自動化腹膜透析として知られており、医療デバイス10はしばしば「PDサイクラー」と表記される。
図1Bの医療デバイス10は
図1Aの医療デバイス10と同様のコンポーネントのセットを、図示された詳細度で有することができ、さらなる説明は行わない。
【0054】
図1Cは例えば、血液透析、血液透析濾過、血液濾過または限外濾過のような腎代替療法の一部として、体外血液処理を行う医療処置に関与し得る2つの医療デバイス10、10’を図示する。10で示される医療デバイスは血液処理装置であり、これは、例えば、血管アクセスにおいて、対象者100の循環系に接続するための血液抜き取りライン11Aおよび血液戻りライン11Bを備える。矢印で示すように、医療デバイス10は対象者100から血液を抜き取り、血液を処理し、処理された血液を制御された方法で対象者100に戻すように動作可能である。10’で示される医療デバイスは血液処理装置10によって使用される流体を準備するように動作可能であり、流体を血液処理装置10に供給するための流体ライン11を備える。一例では、医療デバイス10’は水調製装置であり、流体は精製水である。例えば、水処理装置10’は当技術分野で知られているように、逆浸透によって入ってくる水を濾過することができる。
図1Cの医療デバイス10、10’の各々は
図1Aの医療デバイス10と同様の組のコンポーネントを、図示された詳細度で有することができ、さらなる説明しは行わない。
【0055】
図2は例えば、
図1A~1Cに示されるような医療デバイスの操作中にアクティブであり得るハードウェアコンポーネントの例、およびそのようなハードウェアコンポーネントの相互接続を示す。図示の例では、ハードウェアコンポーネントが任意の形態のバス構造またはスイッチファブリック構造および/または個別配線を含み得る信号通信構造20をに渡る信号交換のために接続される。1つ以上のコンポーネントが、例えば集積回路(IC)等の共通基板上に位置され、共通基板上の信号導電トラックによって相互接続され、信号通信構造20によって順次他のコンポーネントに接続されることもまた、考えられる。
図2の例では、医療デバイスがディスプレイ12、制御ボタン13、インジケータランプ14、スピーカ15、アクチュエータ17およびセンサ18に加えて、4つの別個のプロセッサP1~P4、2つの別個のメモリユニットM1~M2を備えている。プロセッサP1~P4およびメモリユニットM1~M2はそれらが別個に動作可能なユニットであるという意味で「別個」であるが、一方でそれらは共通の基板上、例えばIC内に任意の組合せで位置してもよいし、しなくてもよい。それぞれのプロセッサP1~P4は、CPU、DSP、マイクロプロセッサー、FPGA、ASIC、または任意の他の電子プログラマブルロジックデバイス、またはそれらの組合せなど、任意の商業上利用可能な処理デバイスであってもよい。各メモリユニットM1~M2は、ROM、PROM、EEPROM、フラッシュメモリ、リムーバブルメモリ、RAM、DRAM、SRAM、キャッシュメモリ、ハードドライブ、記憶媒体などを含むがこれらに限定されない、不揮発性メモリ又は揮発性メモリ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0056】
図2の例では、上記のソフトウェアシステムが、1つ以上のプロセッサP1~P4による実行のために、1つ以上のメモリユニットM1~M2に格納されてもよい。それにより、
図1A~1Cの制御システム16は、プロセッサP1~P4のうちの1つまたは複数によって実行されるときに、ソフトウェアシステムによって実施され得る。
【0057】
ソフトウェアシステムは、任意の適切なコンピュータ可読媒体(CRM)上の医療デバイス上にインストールするために提供されてもよい。CRMは、揮発性であろうと不揮発性であろうと、電子的、磁気的または光学的媒体のような、非一時的記憶媒体またはメモリ媒体を含むことができる。代替として、または追加として、CRMは、ネットワークおよび/または無線リンクなどの通信媒体を介して搬送され得る、電力、電磁気、またはデジタルにかかわらず、伝搬信号などの一時的媒体を備えることができる。
【0058】
図2のハードウェアコンポーネントは、単に一例として与えられているに過ぎない。医療デバイス10、10’は任意の数の各タイプのコンポーネントを含むことができ、
図2のコンポーネントのいくつかは、医療デバイスの所望の機能性に応じて省略または交換することができる。例えば、ディスプレイ12がタッチセンシティブである場合、制御ボタン13は、ディスプレイ12上の仮想ボタンに置き換えられてもよい。
図2の例は非網羅的であり、医療デバイスはキーボード、コンピュータマウス、電源などのような、その動作中にアクティブである他のタイプのコンポーネントを含むことができることもまた理解される。
【0059】
一般に、医療デバイス10、10’は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのメモリユニット、ならびにアクチュエータおよびセンサのうちの少なくとも1つを備える。
図1A~1Cの医療デバイス10、10’は一般に、少なくとも1つのアクチュエータ17を含み、少なくとも1つのセンサ18もまた含むことができる。モニタリング用に設計された医療デバイスは主として少なくとも1つのセンサ18を含むことができるが、アクチュエータ17を含む必要はない。
図1A~1Cの例ではアクチュエータ17が流体ポンプ、バルブ、ヒータ、洗浄システムなどのうちの1つまたは複数を含むことができ、センサ18は温度、導電性、濃度、圧力、流量などのうちの1つまたは複数を表すセンサデータを生成するように構成することができる。
【0060】
図3は非限定的な例に従った、医療デバイス、例えば、前述の医療デバイスのいずれかにおいて実行するためのソフトウェアシステムのブロック図である。図に示すように、ソフトウェアシステムは、4つのサブシステムSS1-SS4から構成される。以下では、サブシステムSS1~SS4が1つ以上の別個のプロセッサ上で実行されるものとする。
図2の例では、サブシステムSS1~SS4がそれぞれのプロセッサP1~P4上で実行可能である。言い換えると、いくつかの実施形態ではサブシステムSS1はプロセッサP1上で実行可能であり、サブシステムSS2はプロセッサP2上で実行可能であり、サブシステムSS3はプロセッサP3上で実行可能であり、および/またはサブシステムSS4はプロセッサP4上で実行可能である。各サブシステムSS1~SS4は、医療処置を実行する間に医療デバイスの操作に関与する一組のソフトウェアアプリケーションを含む。サブシステムSS1、SS2、SS3、SS4におけるソフトウェアアプリケーションの設定はそれぞれSW1、SW2、SW3、SW4によってまとめて示される。サブシステムSS1、SS2、SS3、SS4における個々のソフトウェアアプリケーションは、それぞれソフトウェアアプリケーションSW1x、SW2x、SW3x、SW4xによって指定される。さらに、各サブシステムSS1~SS4はISC1~ISC4と表記されるそれぞれの通信モジュールを含み、これは、上記の通信スタックを含み、他の1つ以上のサブシステムとの通信の管理を担う。図示の例では、ISC1-ISC4がサブシステムSS1とSS3との間、サブシステムSS1とSS2との間、およびサブシステムSS3とSS4との間の通信を確立するように構成されている。一実施形態によれば、各サブシステムSS1~SS4は、SHM1~SHM4によって示され、以下で「マネージャ」と示されるマネージャモジュールをさらに備える。それぞれのマネージャSHM1~SHM4は、起動およびシャットダウン中にそのサブシステムSS1~SS4の操作の管理を担う。それぞれのマネージャSHM1~SHM4は、管理されるソフトウェアアプリケーションのリストへのアクセスを有する。また、マネージャSHM1~SHM4は例えば、それぞれのマネージャSHM1~SHM4が、そのソフトウェアアプリケーションSW1~SW4が期待通りに実行されていることをモニタリングすることによって、動作中のソフトウェアシステムの健全性をモニタリングすること担うこともできる。また、マネージャSHM1~SHM4のうちの1つまたは複数は、起動時に実行されて、プロセッサP1~P4のうちの1つまたは複数上でオペレーティングシステムをロードし、実行するためのシステムを準備するブートコードも含むことができる。
【0061】
図3の例ではサブシステムSS1がSW1cによって指定されたソフトウェアアプリケーションを含み、サブシステムSS3はSW3cによって指定されたソフトウェアアプリケーションを含む。ソフトウェアアプリケーションSW1cおよびSW3cは、医療処置を実行するときに医療デバイスの操作にクリティカルであることによって、他のソフトウェアアプリケーションと区別される。このコンテキストにおいて、「クリティカル」はそれぞれのソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cの正しい動作が例えば、対象者100の健康リスクを軽減することを考慮して、製造者および/または規制の権限によって設定され得る要件仕様に従って医療処置が実行されるために必要であることを意味する(少なくとも1つのクリティカルソフトウェアアプリケーションを含むサブシステムはここではまた「クリティカルサブシステム」と表記される)。一例では、クリティカルソフトウェアアプリケーションが例えば、1つまたは複数のアクチュエータ17、および任意選択で1つまたは複数のセンサ18を動作させるための順序づけされた制御シーケンスコマンドまたは信号を生成することによって、医療デバイスによって実行される医療処置を制御するように構成されてもよい。別の例では、クリティカルソフトウェアアプリケーションが例えば、1つまたは複数のセンサ18を動作させるための制御コマンドまたは信号の順序づけされたシーケンスを生成することによって、医療デバイスによって実行される医療処置の動作を監視するように構成されてもよい。
【0062】
1つの具体例ではSW1cが医療処置を制御するように構成され、SW3cは医療処置の操作を監視するように構成される。医療処置を制御するメインシステム、またはそのようなメインシステムによって使用されるハードウェアコンポーネントのいずれかにおける動作不良の場合に、対象者に健康リスクをもたらす医療処置を実行する多くの医療デバイスは、並列に動作し、メインシステムから独立している保護システムを含むことが必要とされる。保護システムが潜在的な動作不良を検出したときはいつでも、医療デバイスは安全な動作条件に切り替えられる。従って、
図3に戻ると、サブシステムSS1はメインシステムに対応し、サブシステムSS3は保護システムに対応する。サブシステムSS2およびSS4は、それぞれ、サブシステムSS1およびサブシステムSS3により生成されたコマンド/信号に基づいて、アクチュエータおよび/またはセンサの異なる設定と通信するように構成されてもよい。この目的のために、サブシステムSS2、SS4の各々はそれぞれのサブシステムSS2、SS4に接続された周辺機器(例えば、アクチュエータおよび/またはセンサ)へのアクセスを提供するためのソフトウェアアプリケーションを備えることができる。メインシステムと保護システムとの間の独立性を達成するために、SS2は一組のメインセンサに接続され、SS4は別個のセットの補助センサに接続されてもよい。サブシステムSS1~SS4はまた、独立性を達成するために、別個のプロセッサ(例えば、
図2のP1~P4)上に実装されてもよい。変形例では、サブシステムSS2および/またはサブシステムSS4がそれぞれ、サブシステムSS1およびサブシステムSS3内に含まれてもよい。
【0063】
したがって、1つの実施形態では、ソフトウェアシステムが少なくともメインシステム(サブシステムSS1)および保護システム(サブシステムSS3)を含むことができ、これはモニタリングおよびフェールセーフコンポーネントとすることができ、常に患者の安全を保証するのを助けるためにサブシステムSS1に完全に冗長である。サブシステムSS3は、患者に危険をもたらすサブシステムSS1の任意の単一の不良点がサブシステムSS3によって検出され、回避され得るように設計され得る。正常状態では、サブシステムSS1がHWおよび/またはSWコンポーネントの現在の状態を読み取り、選択された動作モードに従って次の状態を決定し、必要に応じてHWおよび/またはSWコンポーネントに新しい状態を書き込む。これら3つの動作フェーズの各々に固有のエラーの危険性のために、サブシステムSS3は、システムを停止してオペレータに不良状態を通知することによって、不良の場合に患者を保護するように実施される。可能性のある不良には、データの喪失または誤表示、ソフトウェアの誤計算または障害、または例えば、トランスデューサ、スイッチ、またはプロセッサのハードウェア不良が含まれ得る。サブシステムSS3は、システムで送信されるコマンドとステータス情報をモニタリングすることで、このようなリスクから保護する。サブシステムSS3はまた、冗長な測定を提供するために、1つ以上の専用センサに接続されてもよい。サブシステム間のリンクは、単一の接続である必要はなく、集積回路、デジタル論理、I/Oバス、およびソフトウェアのうちの1つまたは複数などの一連のリンクを備えることができることに留意されたい。
【0064】
以下に、サブシステムSS3に含まれ得るソフトウェアアプリケーションの例を示す。これは、理解を向上させ、追加のコンテキストを提供するために与えられた単なる例であることを理解されるべきである。したがって、サブシステムSS3は、さらなる、より少ない、または他のソフトウェアアプリケーションを含むことができる。また、以下の例示的な構造、またはその部分は、システムの他のサブシステム内、例えばサブシステムSS1内に実装されてもよいことも明らかであろう。1つの具体例では、サブシステムSS3がシリアル通信を除いて、下位SWをHWに実装することを担うI/Oアプリケーション(「I/O」)を備える。したがって、I/O は、クライアントにI/O データを提供し、I/O データのCRC もまた実行できる。アラーム処理アプリケーションはアラームを管理し、アラームがアクティブな場合にI/O を通じてリセットを要求することを担う。医療デバイスの動作中、アラーム処理アプリケーションは、モード管理アプリケーション(以下)およびI/Oと対話する。構成処理アプリケーションは、サブシステムSS3内のクライアントに治療設定を提供することを担う。医療デバイスの動作中、構成処理アプリケーションは、システム間処理(以下)を介してサブシステムSS1と対話する。データロガーアプリケーションは、サブシステムSS3内の他のソフトウェアアプリケーションからテキストベースのログデータを受信することを担い、そのログデータをクライアントに提供する。医療デバイスの動作中、データロガーアプリケーションはまた、時間処理アプリケーション(以下)と対話する。モード管理アプリケーションは、現在のシステム状態および治療状態をクライアントに提供することを担う。その状態は、サブシステムSS1 からInter System Handling(下記) およびI/O を介して受信される。時間処理アプリケーションは、クライアントに現在のシステム時間を提供する。デバイス監視アプリケーションは、I/Oから取り出された値を使用して、進行中の治療をモニタリングすることを担う。サブシステムSS1が時間内に予防措置をとらない場合、デバイス監視アプリケーションは、アラーム処理アプリケーションにアラームを報告することを担う。医療デバイスの動作中、デバイス監視アプリケーションはまた、構成処理アプリケーション、モード管理アプリケーション、時間処理アプリケーション、およびソフトウェアヘルスモニタリングソフトウェアモジュール(以下)と対話する。デバイス監視アプリケーションは、サブシステムSS1の状態と状態変化をモニタリングすることがある。例えば、
図1A~1Cを参照して例示されるような医療デバイスのコンテキストにおいて、デバイス監視アプリケーションはまた、1つ以上の血液リーク検出器、1つ以上の重量計、1つ以上のクランプ、1つ以上の気泡検出器、1つ以上のポンプ(シリンジポンプ、血液ポンプ、透析流体ポンプ、排出液ポンプ、交換ポンプなど)、1つ以上のピンチ弁、1つ以上の制御パネル、1つ以上の液体リーク検出器、1つ以上の圧力センサなどの操作(値、コマンド、ステータス、タイミングなど)をモニタしてもよい。サブシステムSS3は
図3のSHM3に対応するソフトウェア健全性モニタリングソフトウェアモジュールをさらに含み、これはサブシステムSS3内のソフトウェアの健全性を監視し、サブシステムSS1が生きていて実行中であることを監視する役割を担う。例示では、ソフトウェアの整合性のチェック、RAM のチェック、サブシステムSS3 内のすべてのソフトウェアアプリケーションが期待どおりに実行されていることのモニタリング、サブシステムSS1 をモニタして実行していることを確認すること、ハードウェア(HW) ウォッチドッグのキックを含む。サブシステムSS3はまた、サブシステムSS1を含む他のサブシステムとのシリアル通信の管理を担う
図3のISC3に対応するシステム間通信ソフトウェアモジュールを含む。システム間通信は、上位通信のためのシステム間ハンドリングと、下位通信のためのシステム間トランスポートとに細分されてもよい。1つの実施例ではアラーム処理、構成処理、データロガー、モード管理、および時間処理はクライアントのコンテキストで実行されるスレッドセーフライブラリであり、ソフトウェア健全性モニタリングはタスクとして実行され、入ってくるイベントに作用するようにイベントドリブンされる。ソフトウェア健全性モニタリングタスクはまた、タイムアウトを処理するために、所定の期間(例えば50ミリ秒)の周期的イベントを有する
ソフトウェア健全性モニタリングタスクは他のタスクがタスク監視をブロックすることを防ぐために、最高の優先順位を持つ。デバイス監視は、タスクとして実行され、例えば50msのサイクル実行と、要求されたタイミングで実行するための高優先度とを有する。I/Oは、タスクとして実行され、I/Oイベントをサービスするためにイベント駆動され、独立した信号読取りおよびバスバッファ空にするために、例えば5msの周期的な実行を有する。I/Oタスクは短時間フレームでイベントをサービスすることができる一方で、同時に、デバイス監視タスクをブロックすることを回避するために、中間の優先度を有する。システム間通信はタスクとして実行され、イベント駆動型であるが、これはシステム間通信の担当が入ってくるおよび出ていく通信イベントを処理することであるからである。システム間通信タスクはまた、システム状態メッセージの監視のために、例えば100msのサイクル実行を有する。このタスクのリアルタイム要件が最低のため、システム間通信タスクは低優先度である。タスク間の通信は非ブロッキングである。高優先度のタスクは、低優先度の低いタスクとの通信によってブロックされない場合がある。
【0065】
図4Aは、
図3のソフトウェアシステムを含む医療デバイスの起動のための方法400の実施形態のフローチャートである。方法400は、サブシステムの1つが、サブシステムの起動を調整する「プライマリサブシステム」であることを前提とするが、一方残りのサブシステムは「セカンダリサブシステム」と表記される。この方法は一般に、1つのプライマリサブシステムと少なくとも1つのセカンダリサブシステムを含む任意のソフトウェアシステムに適用可能である。以下の例では、SS1 がプライマリサブシステムで、SS2-SS4 がセカンダリサブシステムである。以下の例ではまた、マネージャSHM1~SHM4が以下に説明するように、システムの起動のためのコントローラであると仮定する。
【0066】
方法400は、すべてのサブシステムSS1~SS4内の個々のソフトウェアアプリケーションSW1x~SW4xを開始するステップ401を含む。ステップ401はサブシステムSS1~SS4のマネージャSHM1~SHM4および通信モジュールISC1~ISC4を起動することを含む、ソフトウェアシステム内のシステム機能およびシステム通信を開始させる従来のブート手順の後に、またはその一部として実行されてもよい。ステップ401は、医療デバイスの電源投入時に自動的に実行されてもよい。ステップ401の一実施形態では、それぞれのサブシステム内のソフトウェアアプリケーションSW1~SW4がそれぞれのサブシステムSS1~SS4のマネージャSHM1~SHM4またはソフトウェアシステム内の他の場所によって生成され得る起動コマンド/信号を受信すると開始する。ステップ401の開始中に、それぞれのソフトウェアアプリケーションSW1~SW4はメモリ(
図2のメモリユニットM1、M2参照)からの読出し、1つまたは複数のパラメータの開始、通信インターフェースの開始など、それぞれの所定の開始動作シーケンスを完了することができる。本開示は
図3に示されるソフトウェアアプリケーションSW1~SW4のすべてが、起動方法400によって開始されることを前提とすることに留意されたい。しかしながら、サブシステムSS1~SS4のうちの1つ以上が医療処置を実行するための医療デバイスの操作に関与するが、別の時間に、すなわち、起動方法400とは別個に起動される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを含むことが考えられる。
【0067】
ステップ402において、各ソフトウェアアプリケーションSW1x-SW4xがステップ401に従って開始されたとき、ソフトウェアアプリケーションはそのソフトウェアアプリケーションが起動準備完了であることを示す、そのそれぞれのサブシステムSS1-SS4内に「アプリケーション準備完了」通知を提供する。このコンテキストにおいて、ソフトウェアアプリケーションはその指定されたタスクまたはプロセスを実行し、他のソフトウェアアプリケーションと対話する準備ができたとき、「起動準備完了」である。一実施形態において、「アプリケーション準備完了」通知は他のソフトウェアアプリケーションから入ってくる通信信号を受信する準備ができている範囲で動作しているときはいつでも、ソフトウェアアプリケーションにより提供される。いくつかの実施形態において、ソフトウェアアプリケーションは例えば、要求-応答メッセージ交換パターンによって、他のソフトウェアアプリケーションに通信信号を送信する準備ができている。したがって、ソフトウェアアプリケーションは「アプリケーション準備完了」通知を提供するとき、完全に動作する必要はない。
【0068】
ステップ403は、各サブシステムSS1~SS4によって別々に実行される。それぞれのサブシステムSS1~SS4のマネージャSHM1~SHM4がそれぞれのサブシステムSS1~SS4内のソフトウェアアプリケーションSW1~SW4のすべてから「アプリケーション準備完了」通知を取得すると、マネージャSHM1~SHM4は、それぞれのサブシステムSS1SS4内の内部およびプライマリサブシステムSS1による受信のための外部の両方で、ソフトウェアシステム内に「準備完了」通知を提供する(以下のステップ405)。
【0069】
ステップ404はまた、各サブシステムSS1~SS4によって別々に実行される。サブシステムSS1~SS4におけるのソフトウェアアプリケーションSW1~SW4のそれぞれが、サブシステムSS1~SS4のマネージャSHM1~SHM4によって提供される「準備完了」通知を取得すると、ソフトウェアアプリケーションSW1~SW4は自身らの間で、すなわち、それぞれのサブシステムSS1~SS4内での通信を可能にする。これにより、ステップ404はそれぞれのサブシステムSS1~SS4内でのアプリケーションレベルの「内部通信」を可能にする。ステップ404が完了すると、サブシステム内のすべてのソフトウェアアプリケーションが起動され、サブシステムはこれによってソフトウェアシステム内の他のサブシステムと対話する準備ができる。
【0070】
ステップ405は、プライマリサブシステムSS1のみによって実行される。マネージャSHM1は全てのセカンダリサブシステムの「準備完了」通知を取得すると、マネージャSHM1はサブシステムSS1~SS4の起動を調整する。
【0071】
方法400は、起動をサブシステムレベルとシステムレベルに分離し、最初にすべてのソフトウェアアプリケーションがサブシステムレベルで起動の準備ができていることを確認し、次に起動に進む前にすべてのサブシステムがシステムレベルで起動の準備ができていることを確認することによって、医療デバイスのソフトウェアシステムの確定的な起動を可能にする。この原理は
図6にさらに示されており、これは、起動及びシャットダウンの間のサブシステムレベル(トップ)及びシステムレベル(ボトム)におけるソフトウェアシステムの状態を示す。
図6は、ソフトウェアシステムが必ずしもステートマシンとして実施されることを意味するものではなく、ソフトウェア・システムの起動およびシャットダウン中の全体的な制御メカニズムを説明するにすぎないことを意図していることに留意することが重要である。医療デバイスがスイッチオンされ、電源オンされると(
図6の遷移IaおよびIb)、ソフトウェアシステムは状態「システム準備未完了」にあり、サブシステムSS1~SS4の各々は状態「サブシステム準備未完了」にある。
図6の遷移IIに対応するステップ401~404の結果として、それぞれのサブシステムSS1~SS4は状態「準備完了」に入る(そのソフトウェアアプリケーションから「アプリケーション準備完了」通知を受信した後)。システムレベルでは、ソフトウェアシステムはまだ状態「システム準備未完了」にある。
図6の遷移IIIに対応するステップ405の結果として、ソフトウェアシステムは状態「システム準備完了」に入り(セカンダリサブシステムから「準備完了」通知を受信した後)、ソフトウェアシステムは、医療処置を実行するために医療デバイスを操作する準備が進められている。「アプリケーション準備完了」通知および「準備完了」通知の使用は、医療デバイスの安全で信頼性のある起動を保証することを理解されるべきである。例えば、その通知は、通知が提供されることを妨げる誤動作が発生するたびに、ソフトウェアシステムが起動されることを妨げる。通知の使用は、ソフトウェアシステムにおける誤動作の簡単かつ効率的な検出および位置特定を可能にする。さらに、背景技術のセクションで述べたタイマの使用および公称起動時間と比較して、公称起動時間は一般に実際の起動時間に対して大幅な余裕をもって設定されるので、通知の使用はまた、医療デバイスの起動に必要となる時間を短縮することもできる。
【0072】
また、一般的な「準備完了」通知は、ステップ404においてサブシステム内のすべてのソフトウェアアプリケーションによって受信され、このサブシステム内のアプリケーションレベルの内部通信を可能にするために個々のソフトウェアアプリケーションを起動させることに留意する価値がある。ステップ401~404により、起動方法400はそれぞれのサブシステムの分散型であるが確定的な起動を提供する。この手段、この方法400はそれぞれのサブシステム内の個々のソフトウェアアプリケーションの起動順序を集中的に制御する必要がなくなり、代わりに、これらのすべてのソフトウェアアプリケーションは、「準備完了」通知を受信するたびに起動することが許可される。当業者は、ソフトウェアアプリケーションのこの分散された起動が起動手順の制御およびトラブルシューティングを容易にするだけでなく、ソフトウェアアプリケーションの追加および除去を容易にすることによって、ソフトウェアシステムの保守および更新もまた容易にすることを理解する。
【0073】
通知は当技術分野で周知のように、プッシュメカニズムまたはプルメカニズムによってソフトウェアシステム内で配布することができる。プッシュメカニズム、通知、または通知が利用可能であることを示すメッセージが、受信者による受信または傍受のために発信者から送信される。ポーリングメカニズムを用いて、受信者は、発信者からの通知を要求する。
【0074】
図4Aに戻ると、「アプリケーション準備完了」通知は、それぞれのサブシステムSS1~SS4内で、それぞれのソフトウェアアプリケーションからマネージャSHM1~SHM4に直接提供される必要はないことに留意されたい。代わりに、サブシステム内のソフトウェアアプリケーションは、1つのソフトウェアアプリケーションから次のものに所定のシーケンスで「アプリケーション準備完了」通知を提供することができる。シーケンスにおけるの最終ソフトウェアアプリケーションが「アプリケーション準備完了」通知をマネージャに提供すると、マネージャはすべての「アプリケーション準備完了」通知がサブシステムに提供されたと結論付ける。
【0075】
図3の分散マネージャSHM1~SHM4を、上述のように「アプリケーション準備完了」通知および「サブシステム準備完了通知」を取得する中央マネージャに置き換えることもまた考えられる。しかし、分散型マネージャSHM1~SHM4は、サブシステムSS1~SS4の厳密なモジュール化という利点を提供し、次に、サブシステムSS1~SS4を独立して開発され、および/または試験され、および/または配備されることが可能になる。
【0076】
さらなる変形例では、マネージャSHM1~SHM4の機能が代わりに、それぞれのサブシステムSS1~SS4内のソフトウェアアプリケーションのうちの1つによって実行される。
【0077】
また、
図4Aのステップ404は、サブシステムが「準備完了」状態に入ったときに、サブシステム内のソフトウェアアプリケーションが互いに通信可能になり、サブシステムが真に起動準備完了となることを確実にするという利点を提供する一方で、サブシステムのこの内部通信が後の段階、例えば、ソフトウェアシステムが「システム準備完了」状態に入ったとき(例えば、以下のステップ408で)に可能になると考えられることも留意されたい。
【0078】
さらなる変形例では、セカンダリサブシステムSS2~SS4内のソフトウェアアプリケーションのみが、「アプリケーション準備完了」通知を提供し、それらのそれぞれのマネージャSHM2~SHM4から「準備完了」通知を受信するように構成されているが、一方でプライマリサブシステムSS1内のソフトウェアアプリケーションはそうではない。
【0079】
図4BはサブシステムSS1~SS4の起動を調整するための方法405’の一実施形態のフローチャートであり、
図4Aのステップ405の一部として実行されてもよい。ステップ406で、プライマリサブシステムSS1はそれぞれのセカンダリサブシステムSS2~SS4に「システム準備完了」通知を提供する。
図4Aに戻ると、プライマリサブシステムSS1がそのソフトウェアアプリケーションSW1のすべてから「アプリケーション準備完了」通知を取得したとき(ステップ403)、およびセカンダリサブシステムSS2~SS4のすべてから「準備完了」通知を取得したとき(ステップ405)、「システム準備完了」通知が生成されることを理解されたい。ステップ407で、それぞれのセカンダリサブシステムSS2~SS4は「システム準備完了」通知を取得する。「システム準備完了」通知を取得することによって、マネージャSHM2~SHM4はすべてのサブシステムSS1~SS4が起動の準備ができていることを認識する。同様に、マネージャSHM1は、すべてのサブシステムが起動の準備ができていることを認識する。上記から理解されるように、サブシステムは、そのソフトウェアアプリケーションが起動され、互いに通信することが許可されると、起動の準備が完了する。
【0080】
後続のステップ408において、すべてのサブシステムSS1~SS4のマネージャSHM1~SHM4はサブシステム間のアプリケーションレベルの通信を可能にし、したがって、1つのサブシステム内のソフトウェアアプリケーションは、別のサブシステム内のソフトウェアアプリケーションと通信可能である。これにより、ステップ408は、サブシステムSS1~SS4間の「相互通信」を可能にする。
図3の例では、SS1とSS2、SS1とSS3、およびSS3とSS4の間で通信が可能である。したがって、ステップ408は、集中型通信、すなわち、プライマリサブシステムと1つ以上のセカンダリサブシステムとの間だけでなく、セカンダリサブシステム間の直接通信もまた可能にすることができる。ステップ408が完了すると、ソフトウェアシステムが開始され、医療デバイスは例えば、オペレータに命令を提供すること、オペレータが医療処置のための制御パラメータ値を入力することを可能にすることなどによって、医療処置の少なくとも一部を実行する準備ができる。
【0081】
方法405’ は、すべてのサブシステムSS1 ~SS4の確定的な起動を保証する。「システム準備完了」通知を提供する利点は上述したとおりの「アプリケーション準備完了」および「準備完了」通知を提供する利点と同様である。例えば、ステップ407において、共通の「システム準備完了」通知がソフトウェアシステム内の全てのセカンダリサブシステムによって受信され、そして個々のセカンダリサブシステムを起動させて、ソフトウェアシステム内のサブシステム間通信を可能にすることに留意されたい。ステップ406~408により、起動方法400はソフトウェアシステムの分散型であるが確定的な起動を提供する。これは、次に、この方法400がソフトウェアシステム内の個々のサブシステムの起動順序の集中制御のいかなる必要性をなしで済まし、そして代わりに、「システム準備完了」通知を受信すると、全てのサブシステムがスタートすることを許されることを意味する。当業者は、サブシステムのこの分散型起動が起動手順の制御およびトラブルシューティングを容易にするだけでなく、サブシステムの追加および除去を容易にすることによって、ソフトウェアシステムの保守および更新を容易にすることもまた理解する。
【0082】
図5Aは、
図3のソフトウェアシステムによって操作される医療デバイスのシャットダウンのための方法500の実施形態のフローチャートである。シャットダウンは例えば、制御ボタン(
図1A~1Cの13参照)を押すときに、オペレータによって生成されるシャットダウンコマンドによって、または医療デバイス内の処理によってトリガされてもよい。
【0083】
ステップ501において、プライマリサブシステムSS1のマネージャSHM1は、シャットダウンコマンドについて通知され、すべてのセカンダリサブシステムSS2~SS4に「シャットダウン」通知を提供することによってシャットダウンを開始するように進む。ステップ502において、マネージャSHM1は、プライマリサブシステムSS1内のソフトウェアアプリケーションSW1の終了を要求する。このコンテキストにおいて、「終了」は各ソフトウェアアプリケーションが電源喪失の準備ができている範囲でそのアクティビティを停止することを意味する。ステップ503が各セカンダリサブシステムSS2~SS4によって別々に実行される。マネージャSHM2~SHM4が「シャットダウン」通知を取得し、その後、セカンダリサブシステムSS2~SS4のソフトウェアアプリケーションSW2~SW4の終了を要求する。次に、ステップ504において、プライマリサブシステムSS1のマネージャSHM1は例えば、医療デバイス内の電力マネージャに電力を切断するように通知することによって、医療デバイスの電源喪失を開始させる。
【0084】
ステップ501~503の組合せは、シャットダウンをシステムレベルとサブシステムレベルとに分離することによって、医療デバイスの確定的シャットダウンを保証する。この原理を
図6にさらに示す。医療デバイスがシャットダウンされるべきとき、ソフトウェアシステムは状態「システム準備完了」にあり、サブシステムSS1~SS4の各々は状態「準備完了」にある。
図6の遷移IVに対応するステップ501の結果として、システムは状態「システム準備未完了」に入ることが分かる。サブシステムレベルではサブシステムSS1~SS4がステップ501の後、依然として状態「準備完了」にある。ステップ502~503の結果として、それぞれのサブシステムSS1~SS4は
図6の遷移Vに対応する状態「サブシステム準備未完了」に入ることが分かる。これにより、ソフトウェアシステムは電源喪失のためにシステムレベルとサブシステムレベルの両方で準備され、この電源喪失はステップ504によって開始され、
図6の遷移VIに対応する。
【0085】
図5BはプライマリサブシステムSS1のソフトウェアアプリケーションSW1の終了を要求するための方法502’の一実施形態のフローチャートであり、
図5Aのステップ502の一部として実行されてもよい。ステップ505において、マネージャSHM1はプライマリサブシステムSS1のソフトウェアアプリケーションSW1に「サブシステム準備未完了」通知を提供する。ステップ506において、ソフトウェアアプリケーションは「サブシステム準備未完了」通知を取得する。ステップ507において、「サブシステム準備未完了」通知を取得した後に、それぞれのソフトウェアアプリケーションSW1xは、例えば、即座に停止した場合に、シャットダウン後に再起動されたときに医療デバイスの性能に影響を及ぼす結果となる、すなわち、破損データを生成する、または対象者の健康を危うくするすべての進行中の必然的な活動を完了することによって、終了を準備する。このような結果的な活動は、データをメモリに書き込むこと、演算を完了すること、アクチュエータ(
図1A~1Cの17)のための制御信号を生成することなどを含むことができる。結果的な活動は例えば、スピーカ(
図1A~1Cの15)によるオーディオ信号の再生を完了すること、ディスプレイ(
図1A~1Cの12)上にシャットダウンメッセージを提示することなど、ユーザ体験にもまた関係し得る。したがって、ステップ507において、それぞれのソフトウェアアプリケーションは、非結果的なものとみなされる他の活動が後の終了のために進むことを可能にすることができる。ステップ508において、それぞれのソフトウェアアプリケーションSW1xは終了の準備ができたときに、「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を提供する。ステップ509において、マネージャSHM1はソフトウェアアプリケーションSW1から「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を取得する。マネージャSHM1がすべてのソフトウェアアプリケーションSW1から「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を取得したときに、プライマリサブシステムSS1は状態「サブシステム準備未完了」(
図6)にあると見ることができる。
【0086】
図5Cは、
図5Aのステップ503の一部として実行されてもよい、セカンダリサブシステムSS2~SS4のソフトウェアアプリケーションSW2~SW4の終了を要求するための方法503’の一実施形態のフローチャートである。方法503’ は、各セカンダリサブシステムSS2-SS4 によって個別に実行される。ステップ505~509は
図5Bの方法502’のステップ505~509に対応し、さらなる説明をしない。ステップ505および509はマネージャSHM2~SHM4によって実行され、ステップ506~508はセカンダリサブシステムSS2~SS4のそれぞれのソフトウェアアプリケーションによって実行されることを理解されたい。ステップ509の後、それぞれのセカンダリサブシステムSS2~SS4は状態「サブシステム準備未完了」(
図6)にあると見ることができ、ステップ510において、マネージャSHM2~SHM4がステップ509においてそれぞれのセカンダリサブシステムSS2~SS4のすべてのソフトウェアアプリケーションから「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を取得した場合、それぞれのマネージャSHM2~SHM4は、プライマリサブシステムSS1に「サブシステムのシャットダウン準備完了」通知をする。
【0087】
図5Aに戻ると、ステップ504において、マネージャSHM1は(方法503’によって生成された)すべてのセカンダリサブシステムSS2~SS4から「サブシステムのシャットダウン準備完了」通知を取得した後、および(方法502’によって生成された)プライマリサブシステムSS1内のすべてのソフトウェアアプリケーションSW1から「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を取得した後にのみ、電源喪失を開始することができる。
【0088】
ステップ504の変形例では、マネージャSHM1がステップ501から所定の時間が経過した場合に、セカンダリサブシステムSS2~SS4のうちの1つ以上からの「サブシステムのシャットダウン準備完了」通知が無い場合にも、電源喪失を開始することに進むことが考えられる。したがって、マネージャSHM1は電源喪失が開始されるまでの最大時間遅れを定義するタイマを設定することができる。これはソフトウェアアプリケーションまたはハードウェアコンポーネントがシャットダウン中に誤動作した場合に、ソフトウェアフリーズのリスクを軽減する。同様に、マネージャSHM1~SHM4は「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を取得するために、ステップ509において、対応するタイマを設定することが考えられる。
【0089】
また、ステップ509において、マネージャSHM1~SHM4のうちの1つ以上は1つ以上のソフトウェアアプリケーション、例えば、すべてのアクティビティが即座に停止された場合に本質的に非必然的なソフトウェアアプリケーションからの「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を完全に無視すること、またはそのようなソフトウェアアプリケーションが「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を提供しないことも考えられる。同じ理由から、マネージャSHM1はステップ504において、サブシステムからの「サブシステムのシャットダウン準備完了」通知を完全に無視すること、またはそのようなサブシステムが「サブシステムのシャットダウン準備完了」通知を提供しないことも考えられる。
【0090】
方法502’および503’のそれぞれは、それぞれのサブシステムSS1~SS4の確定的シャットダウンを確実にし、電力が切断されたときに進行中の必然的なアクティビティを有するリスクを軽減する。
【0091】
さらなる変形例ではセカンダリサブシステムSS2~SS4内のソフトウェアアプリケーションのみが、それぞれのマネージャSHM2~SHM4から「サブシステム準備未完了」通知を受信し、「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を提供するように構成されるのに対し、プライマリサブシステムSS1内のソフトウェアアプリケーションはそうではない。
【0092】
方法502’および/または503’は対象者の健康リスクを低減する役割を果たすことができる一方、医療デバイスのシャットダウン中に患者の安全性をさらに改善する必要がある場合がある。
図5Dに例示される一実施形態では、ゲートキーピング方法520は、プライマリサブシステムSS1がステップ501でシャットダウンを開始することを許可される前に、ソフトウェアシステムによって実行される。ゲートキーピング方法520において、各クリティカルソフトウェアアプリケーションはそのようなシャットダウンが患者の安全性を損なうとみなされる場合、ソフトウェアシステムのシャットダウンをブロックする「拒否電力」を与えられる。ステップ521において、プライマリサブシステムSS1のマネージャSHM1はシャットダウンコマンドについて通知された後、クリティカルソフトウェアアプリケーション、例えば、
図3の例におけるSW1cおよびSW3cに「シャットダウン要求」を提供することに進む。ステップ522において、各クリティカルソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cは「シャットダウン要求」を検証する。この検証ではそれぞれのクリティカルソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cはシャットダウンが受け入れ可能であるかどうかを、所定のシャットダウン基準以上に基づいて評価することができる。そのようなシャットダウン基準の1つは、患者の安全性であり得る。一例では、シャットダウンが医療処置またはそれらのサブ処置が完了するまで、受け入れられないとみなされてもよい。別の例では、較正手順が完了するまで、シャットダウンは受け入れられないとみなされてもよい。別の例では、重要なソフトウェアアプリケーションが安全な動作状態、例えば、サービスモード、アイドルモードなどにない限り、シャットダウンは受け入れられないとみなされてもよい。ステップ523において、それぞれのソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cはステップ522においてシャットダウンが受け入れ可能であるとみなされる場合にのみ、「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を提供する。任意選択で、ステップ524において、それぞれのクリティカルソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cは次に、制御された状態に入ることができる。このコンテキストにおいて、「制御された状態」はクリティカルソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cが例えば、ポンプ速度を低下させること、ポンプを停止させること、弁を開閉すること、ヒータをオフにすることなどによって、患者の安全性を考慮して設定された制御パラメータ値に従って動作することを意味する。ゲートキーピング方法520は次に、ステップ501に進み、マネージャSHM1はクリティカルソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cのすべてから「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を取得した場合にのみ、「シャットダウン」通知を提供することに進む。
【0093】
ゲートキーピング方法520は例えば、オペレータがオン/オフボタンを押すことによって、進行中の医療処置中に医療デバイスが意図せずにシャットダウンされることを防止する。上述のタイマはゲートキーピング方法520には実装されず、この手段、各々のクリティカルソフトウェアアプリケーションはシャットダウンプロセスに対して真の拒否権を有し、これは、クリティカルソフトウェアアプリケーションが「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知を提供しない限り、ステップ501で停止されることに留意されたい。このような状況では、ステップ501が、オーバーライドシャットダウン手順が開始されるべきであることの確認をオペレータに問うことをさらに伴うことが考えられる。確認されると、クリティカルソフトウェアアプリケーションは、制御された状態に設定され、そこで、
図5Aの方法500に従ってシャットダウンが進行する。
【0094】
以下では、上述の実施形態およびさらなる実施形態を、
図7A~7Eおよび
図8A~8Cのシーケンス図を参照して例示する。
図7A~7Eは、
図6の遷移Ia、Ib、II、およびIIIのそれぞれについての方法に分割された、医療デバイスの起動中に実行されるステップのシーケンスを示す。
図8A~8Cは、
図6の遷移IV、V、およびVIのそれぞれについての方法に分割された、医療デバイスのシャットダウン中に実行されるステップのシーケンスを示す。以下の説明ではエラー処理について簡単に説明するが、図示された一連のステップは起動およびシャットダウンがエラーなしに行われることを前提としている。
【0095】
図7Aはサブシステム開始中に実行される方法を示し、
図6の遷移Iaに対応する。
図7Aのサブシステム開始は、セキュアブートがSS1で実行され、SHM1がSS1についてプログラムバイナリをチェックしたと仮定する。ステップ701ではブート中に、SHM2、SHM3、およびSHM4はそれぞれSS2、SS3、およびSS4のためのそれぞれのプログラムバイナリを確認する。ステップ701におけるチェックがSS2~SS4のいずれかについて失敗した場合、これは、後続のステップ712(
図7B参照)においてSS1によって検出される。ステップ702において、SHM1~SHM4の各々はそれぞれのハードウェアウォッチドッグのキックを開始し、これは、当業者に周知のように、それぞれのウォッチドッグタイマが再開されることを手段する。ステップ703において、SHM1~SHM4は、SS1~SS4のソフトウェア及びハードウェアバージョンをそれぞれ識別する。ステップ704ではSHM1及びSHM3のそれぞれがシャットダウン理由パラメータを「エラー」に設定し、不揮発性メモリ(
図2のM1~M2参照)に格納する。その後のシャットダウンがエラーなく行われた場合、シャットダウン理由パラメータは代わりに「正常」に設定され、格納される(
図8Cのステップ826参照)。「エラー」をデフォルトとして格納する理由は、起動中に検出された誤ったシャットダウンを保証するためである。これにより、例えば電源喪失により引き起こされる意図しない急激なシャットダウンの事象であっても、シャットダウン理由パラメータは「エラー」として格納される。ステップ704は、SHM1及びSHM3がシャットダウン理由パラメータの格納値の初期チェックを行うことを伴うことがある。SHM1(又はSHM3)によるチェックが値「エラー」という結果になった場合、SHM1(又はSHM3、又はその両方)は、SHM1(又はSHM3、又はその両方)がシャットダウン前に残された場所から復旧することを可能にする復旧モードに入ってもよい。図示の例では、ステップ704がクリティカル・サブシステムSS1およびSS3によってのみ実行される。しかしながら、ステップ704は、SS2及び/又はSS4の回復が必要とされるか又は望ましい程度まで、クリティカルソフトウェアアプリケーションを含まないSS2及び/又はSS4に対しても実行されることが考えられる。
【0096】
ステップ704の後、SS1~SS4は遷移Ibに進む。
図7Aに示すように、SS1の遷移IIは、遷移Ibと並行して実行されてもよい
【0097】
図7Bはシステム開始中に実行される方法を示し、
図6の遷移Ibに対応する。ステップ710において、SHM1~SHM4はそれぞれの通信モジュールISC1~ISC4(
図3参照)を開始し、SHM1は、ステップ711~712を繰り返し実行して、接続要求を提供し(ステップ711)、確立された接続の確認を受信する(ステップ712)ことによって、SS2、SS3およびSS4の各々への接続を確立する。接続が確立できない場合、ISC1は、システムにエラーを報告することができる。接続が確立されると、SHM1は、ステップ713~714を繰り返し実行して、バージョン要求を提供し(ステップ713)、バージョンデータを受信することによって、SHM2、SHM3、およびSHM 4からソフトウェアおよびハードウェアバージョンを取得する。バージョンデータは、それぞれのソフトウェアおよびハードウェアバージョンの識別情報を含むことができる。バージョンデータが受信されない場合、SHM1は、システムにおけるエラーを報告し得る。バージョンデータを受信すると、SHM1はソフトウェアバージョンの互換性を互いにチェックし(ステップ715)、ソフトウェアバージョンとハードウェアバージョンとの互換性をチェックする(ステップ716)。たとえば、SHM1 は、SS1 のソフトウェアバージョンとの互換性のために、SS2、SS3、SS4 のソフトウェアバージョンをチェックする。ステップ715またはステップ716が失敗した場合、またはその両方が失敗した場合、SHM1は、システム内のエラーを報告することができる。
【0098】
ステップ716の後、SS1~SS4の各々は遷移IIに続く。上述のように、SS1は、遷移Ibと並行して遷移IIを実行することができる。
【0099】
図7A~7Bの方法は例えば、異なるサブシステム内のソフトウェアバージョンが互換性がない、および/またはハードウェアとソフトウェアが一致しない、および/またはプログラムバイナリがSS2~SS4のいずれか1つで破損し、そのすべてが医療デバイスの未定義の挙動をもたらす可能性があるというリスクを軽減するのに役立つ。
【0100】
図7A~7Bのシーケンス図は、医療デバイスの起動のための方法がサブシステムのそれぞれにおいてマネージャを起動するステップと、マネージャによって、サブシステム(SS1~SS4)のそれぞれにおける通信モジュールを起動するステップと、プライマリサブシステムの通信モジュールによって、それぞれのセカンダリサブシステムにおける通信モジュールとの接続を確立するステップとを含む実施形態を例示することが分かる。
【0101】
図7A~7Bのシーケンス図はまた、医療デバイスの起動のための方法が、プライマリサブシステムのマネージャによって、サブシステムに含まれるソフトウェアのソフトウェア識別情報を取得することと、プライマリサブシステムのマネージャによって、ソフトウェア識別情報に基づいてソフトウェアの互換性を検証することとを含む実施形態を例示することが分かる。
【0102】
図7Aから
図7Bのシーケンス図はまた、医療デバイスの起動方法が、プライマリサブシステムのマネージャによって、サブシステムによって使用されるハードウェアのハードウェア識別情報を取得することと、プライマリサブシステムのマネージャによって、ハードウェア識別情報とソフトウェア識別情報に基づいて、ハードウェアとソフトウェアとの間の互換性を検証することとを含む実施形態を例示するために見られることができる。
【0103】
図7Cはサブシステム起動中にSS1によって実行される方法を示し、
図6の遷移IIに対応する。
図7Cでは、SS1の個々のソフトウェアアプリケーションが一般にSW1xとして表される。説明の目的のためだけに、
図7Cはまた、GUIを明示的に示しており、これはディスプレイ上のグラフィカルな視覚化を担い、ユーザ入力を管理するソフトウェアアプリケーションである。GUIはユーザインタラクションの迅速な開始を保証するために、SS1内に配置されることが好ましい。ステップ720において、SHM1は、GUIおよび各SW1xに起動要求を与える(ステップ401参照)。ステップ721では、起動要求を取得した後、GUIと各SW1xが内部起動を行う。いくつかの実施形態では、内部起動が同じサブシステムの他の部分、すなわち、同じサブシステム内のソフトウェアアプリケーションまたはプロセス間の通信のために、通信のためのソフトウェアアプリケーションを準備することを含む。ステップ722において、GUI及び各SW1xは起動の準備ができたとき、それぞれの「アプリケーション準備完了」通知、N1(ステップ402参照)を提供する。この通知はソフトウェアアプリケーションが同じサブシステムの他の部分と通信する準備ができていることを示すことができる。ステップ723において、SHM1はGUIからのN1及び各SW1xを待つ。SHM1がタイムアウト期間内にN1を受信しない場合、SHM1はシステム内のエラーを報告することができる。ステップ724において、SHM1はGUI及び各SW1xが起動の準備ができていることを決定する。すなわち、それらが「アプリケーション準備完了」通知を提供したときステップ725において、SHM1は「準備完了」通知、N2を、GUI及び各SW1xに提供する(ステップ403参照)。ステップ726において、N2を受信した後、GUIおよび各SW1xは、SS1内で互いに通信を可能にする(ステップ404参照)。これは、SS1 内の別のソフトウェアアプリケーションとデータをやり取りするように構成されている任意のソフトウェアアプリケーションがN2 を待ってからデータ交換を開始することを意味する。しかしながら、それぞれのソフトウェアアプリケーションの他の機能は、ステップ726の前におよび/または後に起動されてもよい。例えば、GUIは、ステップ726で可能な限り早くユーザインタラクションを可能にするように構成されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーションの1つ以上(またはすべて)がN1を提供した後、それらの内部起動を一時停止し、N2を待ってから、それらの内部起動を継続するように構成される。さらに、GUIおよび各SW1xは、ステップ726の前後どちらか一方で、ステップ727の前の任意のイベントで、SS1内で内部心拍を送信するために起動される。ステップ727において、SHM1はGUIおよび各SW1xが動作可能であることを保証するために、SS1内の内部心拍のモニタリングを開始する。ステップ727の後、SS1は状態「準備完了」にあり、遷移IIIに進む。
【0104】
図7Dはサブシステム起動中にSS2~SS4によって実行される方法を示し、
図6の遷移IIに対応する。
図7Dでは、SS2~SS4の個々のソフトウェアアプリケーションが一般に、それぞれSW2x~SW4xとして表される。
図7Dのステップ720~727は、SS1に代えてSS2~SS4内で実行されるという違いはあるが、
図7Cのステップ720~727に対応する。さらに、いくつかの実施形態では
図7Cの方法とは対照的に、SHM2~SHM4はN1がタイムアウト期間内に受信されない場合、システム内でエラーを報告することを控えることができる。その代わりに、N1の非存在はN2が生成されないことを意味するので、このエラーはシステム起動中にSHM1によって検出することができ、具体的にはステップ730(
図7E参照)である。
図7Cの説明を考慮すると、
図7Dによるサブシステム起動は自明であるべきであり、本明細書ではこれ以上説明しない。ステップ727の後、SS2~SS4は状態「準備完了」にあり、遷移IIIに進む。
【0105】
図7C~7Dの方法は例えば、他のソフトウェアアプリケーションが通信の準備ができていないときに、ソフトウェアアプリケーションがサブシステム内の別のソフトウェアアプリケーションと通信を開始するリスクを軽減するのに役立つ。この状況では他のソフトウェアアプリケーションは受信要求を受信または処理できないが、要求を通信するソフトウェアアプリケーションはこの不能を認識できない。
【0106】
図7C~7Dのシーケンス図は、起動中および各サブシステムについて、医療デバイスの起動のための方法がソフトウェアアプリケーションを動作させて内部心拍信号を送信するステップと、マネージャによって、ソフトウェアアプリケーションのうちの1つまたは複数の動作不良を検出するために内部心拍信号をモニタし始めるステップとを含む実施形態を例示するものと見ることができる。
【0107】
図7Eはシステム起動中に実行される方法を示し、
図6の遷移IIIに対応する。
図7EではSHM1~SHM4およびクリティカルソフトウェアアプリケーションSW1cおよびSW3cのみが示されている一方、SS1~SS4の任意の他のソフトウェアアプリケーションは省略されている。ステップ730において、SS2~SS4がレディであるとき、SHM1~SHM3は、「準備完了」通知N2を提供することによって、それをSHM1に報告する。実際には、ステップ730は
図7Dのステップ725に置き換えることができ、したがって、それぞれのサブシステムSS1~SS4の内部および外部の両方にN2を提供する。ステップ731において、SHM1は、SHM2~SHM4の全てからのN2を待つ。SHM1がタイムアウト期間内にN2を受信しない場合、SHM1は、システム内にエラーを報告することができる。ステップ732において、SHM1は、全てのSS1~SS4が起動の準備ができていると決定する(
図4Aのステップ405参照)。SHM1は、この段階で、SS1が
図7Cの遷移IIを完了しているので、起動の準備ができていることをデフォルトで分かっていることに留意されたい。ステップ733において、SHM1は、システムが起動の準備ができていることをSS1内の全てのソフトウェアアプリケーションに通知する。ステップ734において、SHM1は、システム内で外部心拍の送信を開始する。ステップ735において、SHM1はSHM2~SHM4による受信のために「システム準備完了」通知N3を提供する(
図4Bのステップ406参照)ステップ736において、N3を取得した後(
図4Bのステップ407参照)、SHM2~SHM4の各々はそのソフトウェアアプリケーションの全てに状態「システム準備完了」を通知する。ステップ737において、SHM2~SHM4の各々は、システム内で外部心拍の送信を開始する。ステップ738において、SHM2~SHM4の各々は、SHM1による受信のための確認通知を提供する。SHM1がタイムアウト期間内に確認通知を受信しない場合、SHM1は、システム内にエラーを報告することができる。ステップ739において、SHM2~SHM4の全てから確認通知を受信した後、SHM1は、システム内の外部心拍のモニタリングを開始する。ステップ737の後、いつでも、SS1~SS4の各々におけるソフトウェアアプリケーションは、SS1~SS4間の確立された通信経路上で、一つ以上の他のサブシステム(
図4Bのステップ408を参照)におけるソフトウェアアプリケーションとのアプリケーションレベル通信を開始することが許容されている(
図3を参照)。
【0108】
図7Eの例は、クリティカルソフトウェアアプリケーションSW1cおよびSW3cに関連してのみ実行され、SW1cおよびSW3cのそれぞれが他のサブシステム内のソフトウェアアプリケーションと通信することを許可される前に完了される必要があるステップ740~741をさらに含む。ステップ740において、SW1c/SW3cは、SHM1/SHM3に「システム準備完了」状態の確認を要求する。ステップ741において、SHM1/SHM3は、状態をSWc1/SW3cに確認する。これは、患者の安全性を損なう可能性がある誤動作に対するさらなるレベルのロバスト性を提供する。
【0109】
さらなるレベルのロバスト性を提供するために、クリティカルサブシステムSS3のステップ737は、他のクリティカルサブシステムSHM1によって生成された外部心拍をモニタし始めるSHM3もまた伴うことが考えられる。これにより、クリティカルサブシステムSS1、SS3間で心拍の相互モニタリングが確立され、サブシステムが他のクリティカルサブシステムの動作不良を迅速に検出し、適切な処置を取ることが可能になる。
【0110】
図7Eの方法は例えば、1つのサブシステム内の第1のソフトウェアアプリケーションが、別のサブシステム内の第2のソフトウェアアプリケーションが通信の準備ができていないときにそれと通信し始めるリスクを軽減する役割を果たす。この状況では、第2のソフトウェアアプリケーションは入ってくる要求を受信または対処できず、第1のソフトウェアアプリケーションは受信側で問題を認識できない。
【0111】
図7Eのシーケンス図は、医療デバイスの起動のための方法が外部心拍信号を送信するためにそれぞれのセカンダリサブシステムのマネージャを動作させることと、プライマリサブシステムのマネージャによって、1つまたは複数のセカンダリシステムの動作不良を検出するための外部心拍信号をモニタすることを開始することとを含む実施形態を例示するように見ることができる。
【0112】
図7Eのシーケンス図はまた、医療デバイスの起動のための方法が外部心拍信号を送信するために2つ以上のクリティカルサブシステムのマネージャのそれぞれを動作させることと、動作不良の検出のために、クリティカルサブシステムのマネージャ間で外部心拍信号を相互にモニタし始めることとを含む実施形態を例示することが分かる。
【0113】
さらに、
図7C~7Eのシーケンス図は医療デバイスの起動のための方法が起動中に、「アプリケーション準備完了」通知N1が第1の所定の期間内にプライマリサブシステムのソフトウェアアプリケーションから受信されないときに、プライマリサブシステム内のマネージャによって第1のエラーを報告することと、「サブシステム準備完了」通知N2が第2の所定の期間内にセカンダリサブシステムから受信されないときに、プライマリサブシステム内のマネージャによって第2のエラーを報告することとを含む実施形態を例示するように見ることができる。
【0114】
図8Aはシステムシャットダウン中に実行される方法を示し、
図6の遷移IVに対応する。この方法の開始時に、ソフトウェアシステムが立ち上がり、実行中であり、したがって
図6のステータス「システム準備完了」にあると仮定するが、図示の例はSW3cがSHM1に「シャットダウンゲートキーパ」として登録されており、これにより「シャットダウン」要求の加入者であるとも仮定する。ステップ801において、オペレータは、例えば制御ボタンを押すことによって、医療装置をシャットダウンするコマンドを入力する。コマンドは、SHM1 による受信のシャットダウン要求を提供するGUI によって検出される。ステップ802において、SHM1は、SW1cによる受信のためにシャットダウン要求R1を転送する。ステップ803において、SW1cはR1を検証する。ステップ804において、検証が成功した後、SW1cはR1をSW3cに提供する。ステップ805において、SW3cはR1を検証する。検証が成功した後、SW3cは、制御状態に入り(ステップ806)、SW1cによる受信のために、「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知N7を提供する(ステップ807)。N7を受信した後、SW1cは、制御状態に入り(ステップ808)、N7をSHM1に転送する(ステップ809)。N7を受信した後、SHM1は、システムシャットダウンを進める。ステップ803で検証が失敗した場合、および/またはステップ809でSHM1がタイムアウト期間内にN7を受信しない場合、SHM1は、「シャットダウン未承認」通知をGUIに返し、GUIはそれに応じてオペレータに報知することができる。
【0115】
ステップ802~809の組合せは、
図5Dのゲートキーピング方法520に対応し、R1もN7も、SHM1とそれぞれのクリティカルソフトウェアアプリケーションSW1c、SW3cとの間の直接通信で提供される必要はなく、送信のチェーンで中継され得ることを示す。したがって、
図5Dと
図8Aを比較すると、ステップ521はステップ802および804に対応し、ステップ522はステップ803および805に対応し、ステップ523はステップ807および809に対応し、ステップ524はステップ806および808に対応する。変形例では、N7が送信チェーンで中継されず、SW3cからSHM1に直接提供される。
【0116】
ステップ810において、SHM1は、SS2~SS4とのアプリケーションレベル通信を停止することによって、そのステータスを「システム準備未完了」に更新する。ステップ811において、SHM1は外部心拍、すなわちSS2~SS4により生成された心拍のモニタリングを停止する。ステップ812において、SHM1は、SHM2~SHM4による受信のために、「シャットダウン」通知N4を提供する(
図5Aのステップ501参照)。ステップ813において、N4を受信した後、SHM2~SHM4の各々は、他のサブシステムとのアプリケーションレベル通信を停止することによって、そのステータスを「システム準備未完了」に更新する。ステップ814において、SHM2~SHM4の各々は、外部心拍の送信を停止する。ソフトウェアシステムがクリティカルサブシステム間で上記の相互心拍モニタリングを実施する場合、SS3におけるステップ814はまた、SHM3にSHM1によって生成される外部心拍のモニタリングを停止させることもできる。ステップ815において、ステップ813~814の完了後、SHM2~SHM4の各々はSHM1による受信のための「確認」通知N5を提供する。N5は、それぞれのサブシステムSS2~SS4がN4を受信したことをSHM1に知らせる。ステップ816において、N5を受信した後、SHM1は外部心拍の送信を停止する。SHM1がタイムアウト期間内にすべてのSS2~SS4からN5を受信しない場合、SHM1は、システム内にエラーを報告することができる。
【0117】
図8Aの方法は、例えば、医療デバイスが医療処置を実行している間に、特に医療処置の中断が患者の安全性を損なう可能性がある場合に、医療デバイスがオペレータ主導でシャットダウンされるリスク、並びに1つのクリティカルサブシステムまたはソフトウェアアプリケーションが終了の準備をし、別のクリティカルサブシステムまたはソフトウェアアプリケーションが行わないリスクを軽減する役割を果たす。例えば、患者の安全性は、医療処置が継続されている間に上述の保護システムが停止する場合に危うくされる。
【0118】
図8Aのシーケンス図は医療デバイスのシャットダウンのための方法が「シャットダウン」通知N4をセカンダリサブシステムに提供する前に、プライマリサブシステムのマネージャによって、クリティカルソフトウェアアプリケーションのチェーン内の第1のクリティカルソフトウェアアプリケーションのためのシャットダウン要求R1を提供し、それによって、チェーン内のクリティカルソフトウェアアプリケーションのそれぞれに、医療デバイスの操作を考慮してシャットダウン要求R1を検証させ、シャットダウンが受け入れ可能である場合にはチェーン内の最終クリティカルソフトウェアアプリケーションによってシャットダウン要求R1が受信されるまで、チェーン内の後続のクリティカルソフトウェアアプリケーションのためのシャットダウン要求R1を提供させ、チェーン内の最終クリティカルソフトウェアアプリケーションは医療デバイスの操作を考慮してシャットダウン要求R1を検証し、シャットダウンが受け入れ可能である場合には「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知N7をプライマリサブシステムのマネージャに提供させる、実施形態を例示することが分かる。シャットダウン要求R1のそのような条件付きおよび順次検証は、ゲートキーピング方法のロバスト性を改善する役割を果たすことができる。
【0119】
図8Aのシーケンス図はまた、医療デバイスのシャットダウンのための方法であって、「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知N7が、クリティカルソフトウェアアプリケーションのチェーンに沿ってプライマリサブシステムのマネージャに中継される実施形態を例示することが分かる。
【0120】
また、
図8Aのシーケンス図は、チェーン内のクリティカルソフトウェアアプリケーションの各々が「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知N7を受信すると、医療デバイスが所定のパラメータ値のセットに従って動作する制御状態に入る実施形態を例示することが分かる。
【0121】
図8Bはサブシステムシャットダウン中に実行される方法を示し、
図6の遷移Vに対応する。
図8Bの方法は、「シャットダウン」通知N4を受信した後に(
図8Aのステップ812)いつでもSS1~SS4の各々によって実行されてもよい。ステップ820において、SHM1~SHM4の各々は内部心拍のモニタリングを停止する。ステップ821において、SHM1~SHM4の各々はそのソフトウェアアプリケーションのために「サブシステム準備未完了」通知N6を提供する(
図5B~5Cのステップ505参照)。ステップ822において、N6を受信した後に、ソフトウェアアプリケーションはそれぞれのサブシステム内で、終了の準備をし、通信を停止する(
図5B~5Cのステップ506~507参照)。ステップ824において、それぞれのソフトウェアアプリケーションSW1x~SW4xは終了のために準備されると、そのマネージャSHM1~SHM4のために「アプリケーションのシャットダウン準備完了」通知N7を提供する(
図5B~5Cのステップ508参照)。選択的に
図8Bのステップ823によって示されるように、N7はマネージャSHM1~SHM4からの確認要求に応答して送信することができる。ステップ825において、SHM1~SHM4の各々は、そのソフトウェアアプリケーションの全てからのN7を待つ。SHM1~SHM4のいずれか1つが、タイムアウト期間内にそのソフトウェアアプリケーションのすべてからN7を受信しない場合、システム内にエラーを報告することができる。ステップ826において、ステップ825の完了後、クリティカルサブシステムSS1、SS3内のSHM1およびSHM3はシャットダウン理由パラメータを「通常」に設定し、それを不揮発性メモリに格納し、ステップ827において、SHM2~SHM4の各々は、SHM1に対して「サブシステムのシャットダウン準備完了」N8を提供する(
図5Cのステップ510参照)。ソフトウェアシステムは、システム・レベルおよびサブシステム・レベルの両方で、電源喪失のために準備される。
【0122】
図8Bの方法は例えば、
図5B~5Cを参照して上で例示したように、ソフトウェアアプリケーションが結果的なアクティビティを実行するときに電力が切断されるリスクを軽減する役割を果たす。
【0123】
図7Aおよび
図8Bのシーケンス図は、医療デバイスを動作させる方法がシャットダウン中にエラーがない場合に、マネージャのうちの少なくとも1つによって、通常のシャットダウンを示すシャットダウン理由パラメータを設定し、シャットダウン理由パラメータをメモリユニットのセットに記憶することを含む実施形態を例示することが分かる。さらに、本方法は起動中に、マネージャのうちの少なくとも1つによって、シャットダウン理由パラメータをシャットダウンエラーを示すように設定するステップと、シャットダウン理由パラメータをメモリユニットのセットに記憶するステップとを含むことができる。
【0124】
図8Cはソフトウェアシステムの実行終了時に実行される方法を示し、
図6の遷移VIに対応する。
図8Cの方法は、ステップ827の完了後にSS1~SS4の各々によって実行される。ステップ830において、SHM1~SHM4の各々はそれぞれのハードウェアウォッチドッグをキックし続けながら、電源喪失を待つ。SS1~SS4のいずれも、電源喪失なしにこの状態を離れることは不可能である。この段階で、システムを安全にシャットダウンすることができる。例えば、SHM1はステップ830において、例えば、医療デバイスの電力マネージャのための「電力切断」通知を生成することによって、医療デバイスに電力を切断させることができる。
【0125】
本発明は現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるべきではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の変形および同等の構成を包含することが意図されることを理解されたい。