(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】データ統合のためのマイクロコンポーネント及びデータ統合の方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241007BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2021523283
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(86)【国際出願番号】 US2019057465
(87)【国際公開番号】W WO2020086602
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521174130
【氏名又は名称】イーノシックス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホックハイザー、スティーブン、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、ティモシー、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】シュレクター、ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル、マシュー、ジェイムズ
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0188513(US,A1)
【文献】特表2008-533630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客関係管理(CRM)システムと企業資源計画(ERP)システムとを統合するコンピュータベースの方法であって、前記方法は、メモリに記憶された命令を備える1つ又は複数の計算デバイスによって実行され、前記命令は、前記1つ又は複数の計算デバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、前記1つ又は複数の計算デバイスに、
CRMトランザクションを開始するためのコマンドを受信することであって、前記CRMトランザクションが、CRMシステムによって実行されるべきワークフローを有する、コマンドを受信することと、
前記CRMトランザクションに基づいて、前記CRMトランザクションの前記ワークフローに関連する第1のマイクロコンポーネントを決定することであって、前記第1のマイクロコンポーネントがERPシステムへの統合リンクであり、前記ERPシステムが、前記CRMトランザクションに関連がある情報を維持する、第1のマイクロコンポーネントを決定することと、
前記第1のマイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから情報を取り出すことであって、前記情報が前記CRMトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、情報を取り出すことと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記第1のマイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記情報を前記CRMシステムにリアルタイムで与えることと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローに関連する第2のマイクロコンポーネントを決定することであって、第2のマイクロコンポーネントが前記ERPシステムへの別の統合リンクである、第2のマイクロコンポーネントを決定することと、
前記第2のマイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから追加の情報を取り出すことであって、前記追加の情報が前記CRMトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、追加の情報を取り出すことと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記第2のマイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記追加の情報を前記CRMシステムにリアルタイムで与えることと
前記CRMシステムと前記ERPシステムとの間でデータを同期させるためのバッチ・ルーチンを周期的に実行することと
連続するバッチ・ルーチンの前記実行の間に前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから情報を取り出すこと
を含む方法を実行させる、コンピュータベースの方法。
【請求項2】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つが構成可能である、請求項1に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項3】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つがアップグレード可能である、請求項2に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項4】
前記第1のマイクロコンポーネントが、前記アップグレード可能な第2のマイクロコンポーネントの動作に影響を及ぼすことなしに、構成可能であり、アップグレード可能である、請求項3に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項5】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つによって、前記CRMシステムと前記ERPシステムとの間の双方向データ交換を行うこと
をさらに含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項6】
前記双方向データ交換がリアルタイムである、請求項5に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項7】
前記バッチ・ルーチンが毎日実行される、請求項1に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項8】
前記CRMトランザクションが構成、価格、見積(CPQ)プロセスである、請求項1から7までのいずれか一項に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項9】
前記第1のマイクロコンポーネントが、前記ERPシステムから販売組織データをフェッチするためのリアルタイム機能である、請求項8に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項10】
前記第2のマイクロコンポーネントが、前記ERPシステムからプラント利用可能性データをフェッチするためのリアルタイム機能である、請求項9に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項11】
前記CPQプロセスに関連する製品を構成するための要求を受信することに続いて、構成マイクロコンポーネントを使用して前記
ERPシステムからルールベース構成オプションを取り出すこと
をさらに含む、請求項10に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項12】
命令を記憶した1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体を備える計算システムであって、前記命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、前記1つ又は複数のプロセッサに、
顧客関係管理(CRM)トランザクションを開始するためのコマンドを受信することであって、前記CRMトランザクションが、CRMシステムによって実行されるべきワークフローを有する、コマンドを受信することと、
前記CRMトランザクションに基づいて、前記CRMトランザクションの前記ワークフローに関連する第1のマイクロコンポーネントを決定することであって、前記第1のマイクロコンポーネントが企業資源計画(ERP)システムへの統合リンクであり、前記ERPシステムが、前記CRMトランザクションに関連がある情報を維持する、第1のマイクロコンポーネントを決定することと、
前記第1のマイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから情報を取り出すことであって、前記情報が前記CRMトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、情報を取り出すことと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記第1のマイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記情報を前記CRMシステムにリアルタイムで与えることと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローに関連する第2のマイクロコンポーネントを決定することであって、第2のマイクロコンポーネントが前記ERPシステムへの別の統合リンクである、第2のマイクロコンポーネントを決定することと、
前記第2のマイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから追加の情報を取り出すことであって、前記追加の情報が前記CRMトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、追加の情報を取り出すことと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記第2のマイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記追加の情報を前記CRMシステムにリアルタイムで与えることと
を行わせる、計算システムであって、
前記CRMトランザクションが構成、価格、見積(CPQ)プロセスである、計算システム。
【請求項13】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つが構成可能である、請求項12に記載の計算システム。
【請求項14】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つがアップグレード可能である、請求項13に記載の計算システム。
【請求項15】
前記第1のマイクロコンポーネントが、前記アップグレード可能な第2のマイクロコンポーネントの動作に影響を及ぼすことなしに、構成され、アップグレードされ得る、請求項14に記載の計算システム。
【請求項16】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つによって、前記CRMシステムと前記ERPシステムとの間の双方向データ交換を行うこと
をさらに含む、請求項12から15までのいずれか一項に記載の計算システム。
【請求項17】
前記双方向データ交換がリアルタイムである、請求項16に記載の計算システム。
【請求項18】
前記第1のマイクロコンポーネントが、前記ERPシステムから販売組織データをフェッチするためのリアルタイム機能である、請求項12に記載の計算システム。
【請求項19】
前記第2のマイクロコンポーネントが、前記ERPシステムからプラント利用可能性データをフェッチするためのリアルタイム機能である、請求項18に記載の計算システム。
【請求項20】
前記CPQプロセスに関連する製品を構成するための要求を受信することに続いて、構成マイクロコンポーネントを使用して前記
ERPシステムからルールベース構成オプションを取り出すこと
をさらに含む、請求項19に記載の計算システム。
【請求項21】
顧客関係管理(CRM)システムと企業資源計画(ERP)システムとを統合するコンピュータベースの方法であって、前記方法は、メモリに記憶された命令を備える1つ又は複数の計算デバイスによって実行され、前記命令は、前記1つ又は複数の計算デバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、前記1つ又は複数の計算デバイスに、
CRMトランザクションを開始するためのコマンドを受信することであって、前記CRMトランザクションが、CRMシステムによって実行されるべきワークフローを有する、構成、価格、見積(CPQ)プロセスである、コマンドを受信することと、
前記CRMトランザクションに基づいて、前記CRMトランザクションの前記ワークフローに関連する販売組織ピッカー・マイクロコンポーネントを決定することであって、販売組織ピッカー・マイクロコンポーネントがERPシステムへの統合リンクであり、前記ERPシステムが、前記CRMトランザクションに関連がある情報を維持する、販売組織ピッカー・マイクロコンポーネントを決定することと、
前記販売組織ピッカー・マイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから情報を取り出すことであって、前記情報が前記CRMトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、情報を取り出すことと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記販売組織ピッカー・マイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記情報を前記CRMシステムにリアルタイムで与えることと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローに関連するプラント・ピッカー・マイクロコンポーネントを決定することであって、プラント・ピッカー・マイクロコンポーネントが前記ERPシステムへの別の統合リンクである、プラント・ピッカー・マイクロコンポーネントを決定することと、
前記プラント・ピッカー・マイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから追加の情報を取り出すことであって、前記追加の情報が前記CRMトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、追加の情報を取り出すことと、
前記CRMトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記プラント・ピッカー・マイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記追加の情報を前記CRMシステムにリアルタイムで与えることと
を含む方法を実行させる、コンピュータベースの方法。
【請求項22】
命令を記憶した1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体を備える計算システムであって、前記命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、前記1つ又は複数のプロセッサに、
構成、価格、見積(CPQ)トランザクションを開始するためのコマンドを受信することであって、前記CPQトランザクションが、CPQシステムによって実行されるべきワークフローを有する、コマンドを受信することと、
前記CPQトランザクションに基づいて、前記CPQトランザクションの前記ワークフローに関連する第1のマイクロコンポーネントを決定することであって、前記第1のマイクロコンポーネントが企業資源計画(ERP)システムへの統合リンクであり、前記CPQシステムが、前記CPQトランザクションに関連がある情報を維持する、第1のマイクロコンポーネントを決定することと、
前記第1のマイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから情報を取り出すことであって、前記情報が前記CPQトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、情報を取り出すことと、
前記CPQトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記第1のマイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記情報を前記CPQシステムにリアルタイムで与えることと、
前記CPQトランザクションの前記ワークフローに関連する第2のマイクロコンポーネントを決定することであって、第2のマイクロコンポーネントが前記ERPシステムへの別の統合リンクである、第2のマイクロコンポーネントを決定することと、
前記第2のマイクロコンポーネントを使用して前記ERPシステムから追加の情報を取り出すことであって、前記追加の情報が前記CPQトランザクションのための前記ワークフローに関連付けられた、追加の情報を取り出すことと、
前記CPQトランザクションの前記ワークフローにおいて使用するために、前記第2のマイクロコンポーネントによって前記ERPシステムから取り出された前記追加の情報を前記CPQシステムにリアルタイムで与えることと
を行わせる、計算システム。
【請求項23】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つが構成可能である、請求項22に記載の計算システム。
【請求項24】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つがアップグレード可能である、請求項23に記載の計算システム。
【請求項25】
前記第1のマイクロコンポーネントが、前記アップグレード可能な第2のマイクロコンポーネントの動作に影響を及ぼすことなしに、構成され、アップグレードされ得る、請求項24に記載の計算システム。
【請求項26】
前記第1のマイクロコンポーネント及び前記第2のマイクロコンポーネントのうちの少なくとも1つによって、前記CPQシステムと前記ERPシステムとの間の双方向データ交換を行うこと
をさらに含む、請求項22から25までのいずれか一項に記載の計算システム。
【請求項27】
前記双方向データ交換がリアルタイムである、請求項26に記載の計算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2018年10月23日に出願した米国仮特許出願第62/749,356号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
企業は、しばしば、いくつかの異なる方法でビジネス情報を記憶し、ビジネス情報にアクセスする。たとえば、企業は、生産、販売、人的資源などについてのかなりの量の情報を、1つ又は複数のビジネス・サービス・プロバイダによって作成された複数のデータベース構造中に記憶し得る。この点について、企業は、カリフォルニア州サンフランシスコのSALESFORCEによって提供されるものなどのクラウドベースの顧客関係管理(CRM:customer relationship management)システム、又は他の販売構成ソフトウェア・システム中にいくつかの情報を記憶し得る。企業は、ドイツのヴァルドルフ(Waldorf)のSAP SEによって提供されるものなどの企業資源計画(ERP:enterprise resource planning)システム中に他の情報を記憶し得る。システムのうちの1つのユーザは、他のシステムから情報を取り出すために数時間、又はさらには数日間待たなければならないことがあり、そのことは、生産性に悪影響を及ぼし、ワークフローを遅らせ、他の有害な影響を及ぼすことがある。複雑な追加のミドルウェア又は追加のインフラストラクチャなしに、情報へのより速く、より効率的なアクセスを可能にし、それによってワークフロー及び生産性を改善するためには、企業のCRMシステム又は販売構成ソフトウェア・システムをERPシステムと統合する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施例は、同様の参照符号が同様の要素を示す、添付の図面とともに行う以下の説明からより良く理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】非限定的な一実施例によるリアルタイム・マイクロコンポーネントを示す図である。
【
図2】非限定的な一実施例による、統合リンク(integration link)によって円滑化される、CRMシステムとERPシステムとの間の例示的なリアルタイム通信を概略的に示すメッセージ・シーケンス・チャートである。
【
図3】本開示による例示的なプロセスを示す図である。
【
図4】本開示による例示的なプロセスを示す図である。
【
図5】本開示による例示的なプロセスを示す図である。
【
図6】本開示による例示的なプロセスを示す図である。
【
図7】本開示による例示的なプロセスを示す図である。
【
図8】本開示による例示的なプロセスを示す図である。
【
図9A】CRMシステムとERPシステムとの間のリアルタイムの双方向データ・フローを可能にするスマート・ビジネス・オブジェクト(SBO:smart business object)を示す図である。
【
図9B】CRMシステムとERPシステムとの間のリアルタイムの双方向データ・フローを可能にするスマート・ビジネス・オブジェクト(SBO)を示す図である。
【
図9C】CRMシステムとERPシステムとの間のリアルタイムの双方向データ・フローを可能にするスマート・ビジネス・オブジェクト(SBO)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
次に、本明細書で開示するシステム及び方法の構造、機能、及び使用の原理の全体的な理解を与えるために、様々な非限定的な本開示の実施例について説明する。これらの非限定的な実施例の1つ又は複数の実例は、添付の図面中の図を参照しながら、詳細に開示され、説明される選択された実例に示されている。当業者は、特に、本明細書で説明され、添付の図面に示されるシステム及び方法が非限定的な実施例であることを理解するであろう。非限定的な一実施例に関して図示又は説明される特徴は、他の非限定的な実施例の特徴と組み合わせられ得る。そのような変更及び変形は本開示の範囲内に含まれるものである。
【0006】
例として、図を参照しながら、本明細書で開示するシステム、装置、デバイス、及び方法について詳細に説明する。本明細書で説明した実例は、例にすぎず、本明細書で説明する装置、デバイス、システム及び方法の説明を支援するために与えられる。図面に示されるか、又は以下で説明される特徴又は構成要素のいずれも、必須のものとして特に指定されない限り、これらの装置、デバイス、システム又は方法のいずれかの任意の特定の実装のために必須のものとして取られるべきでない。さらに、説明の簡単及び明快のために、図に示された要素は必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない。読みやすさ及び明快さのために、いくつかの構成要素、モジュール、又は方法はもっぱら特定の図とともに説明され得る。本開示では、特定の技法、配置などの識別情報は、提示される具体例に関係するか、又は単に、そのような技法、配置などの一般的な説明であるかのいずれかである。具体的な詳細又は実例の識別情報は、特にそのようなものとして指定されない限り、必須の又は限定的なものとして解釈されることが意図されておらず、解釈されるべきでない。構成要素の組合せ又はサブコンビネーションについて特に説明していないことは、任意の組合せ又はサブコンビネーションが不可能であることの指示として理解されるべきでない。開示され、説明される実例、配置、構成、構成要素、要素、装置、デバイス、システム、方法などの改変は、特定の適用例のために行われ得、望まれ得ることが諒解されよう。また、説明される任意の方法について、その方法が流れ図に関して説明されるかどうかにかかわらず、別段に規定されているか、又は文脈によって必要とされない限り、方法の実行において行われるステップの明示的又は暗黙的な順序付けは、それらのステップが、提示された順序で行われなければならないことを暗示しないが、代わりに、異なる順序で、又は並行して行われ得ることを理解されたい。
【0007】
本明細書全体にわたる「様々な実施例」、「いくつかの実施例」、「一実施例」、「いくつかの例示的な実施例」、「例示的な一実施例」、又は「実施例」への言及は、任意の実施例に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施例中に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる複数の場所における「様々な実施例では」、「いくつかの実施例では」、「一実施例では」、「いくつかの例示的な実施例」、「例示的な一実施例」、又は「実施例では」というフレーズの出現は、必ずしもすべてが同じ実施例を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は1つ又は複数の実施例において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0008】
本開示全体にわたって、構成要素又はモジュールへの言及は、一般に、1つの機能又は関係する機能のグループを実行するために論理的にグループ化され得るアイテムを指す。同様の参照番号は、一般に、同じ又は同様の構成要素を指すものである。構成要素及びモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組合せにおいて実装され得る。
【0009】
「ソフトウェア」という用語は、実行可能コード、たとえば、機械実行可能命令又は機械解釈可能命令だけでなく、データ構造、データ・ストア、並びにファームウェア及び組込みソフトウェアを含む、任意の好適な電子形式で記憶された計算命令をも含むように広く使用される。「情報」及び「データ」という用語は、広く使用され、実行可能コード、とりわけ、テキスト、ビデオ・データ、及びオーディオ・データなどのコンテンツ、並びに様々なコード又はフラグを含む、多種多様な電子情報を含む。「情報」、「データ」、及び「コンテンツ」という用語は、文脈によって許されるときに互換的に使用されることがある。
【0010】
明快さのために、及び理解を助けるために、本明細書で説明するいくつかの実例は、特定の構成要素若しくはモジュールの一部として、又は計算デバイスの特定のレイヤ(たとえば、ハードウェア・レイヤ、オペレーティング・システム・レイヤ、若しくはアプリケーション・レイヤ)において行われるものとして、特定の特徴又は機能について説明し得るが、それらの特徴又は機能は、異なる構成要素若しくはモジュールの一部として実装されるか、又は通信プロトコル・スタックの異なるレイヤにおいて動作させられ得ることに留意されたい。本明細書で説明するシステム、装置、デバイス、及び方法は、他のタイプの機器に適用されるか又は他のタイプの機器とともに使用するために容易に修正され得、クライアントサーバ分散システムなど、計算システムの他の構成を使用することができ、説明されるもの以外の通信プロトコル・スタック中の他のプロトコルを使用するか又は他のレイヤにおいて動作することができることを、当業者は認識するであろう。
【0011】
本明細書で開示するシステム、装置、デバイス、及び方法は、一般に、顧客関係管理(CRM)システム及び企業資源計画(ERP)システムなどの様々なシステム間のリアルタイム・プロセス統合に関し、それにより、両方のシステムから提示されたデータの高速統合と、ビジネス・プロセス・フローに沿った双方向データ移動とが可能になる。追加又は代替として、本明細書で開示するシステム、装置、デバイス、及び方法は、(構成、価格、見積(CPQ:Configure, Price, Quote)システムと呼ばれることもある)販売構成システム及びERPシステムなど、様々な他のタイプのソフトウェア・システムを統合するために使用され得る。例示の目的で、CRMシステムをERPシステムと統合する文脈において、多くの例示的な実施例について本明細書で説明する。しかしながら、そのような統合技法は様々なCPQシステム及びERPシステムに適用可能であることが容易に諒解されよう。例示的なCPQシステムは、ドイツのヴァルドルフのSAP SEによって提供されるSAP CPQ、及びカリフォルニアのレッドウッド・ショアズ(Redwood Shores)のオラクル社(Oracle Corp.)によって提供されるORACLE CPQ Cloudを含む。
【0012】
本明細書で開示するシステム、装置、デバイス、及び方法は、サード・パーティ・ツールを介したデータ同期又は複雑なアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API:application programing interface)統合の必要なしに、システムを横断するデータの対話型表示及び操作を有利に可能にすることができる。本明細書で説明するサービス指向型フレームワークは、同時性の低レイテンシ・データ消費をサポートし、新しいビジネス要件への迅速な適応性を与えるために、疎結合(loosely-coupled)統合点に基づき得る。さらに、スマート・ビジネス・オブジェクト(SBO)と呼ばれることがある、本明細書で説明する再利用可能な統合リンクは、特定のタスク又はプロセスに重点が置かれ得、ローコード構成を利用することができる。
【0013】
本開示による同時性のリアルタイムCRMとERPとの統合は、会社が、データ検索及び管理のための従来の手法の不備を克服しながら、より大きいインサイトとインテリジェンスとを獲得することを可能にすることができる。したがって、本明細書で説明するSBOを使用して、ERPシステム中に記憶された顧客注文履歴、価格決定、割引及び前に購入されたバンドルのCRMへのリアルタイム統合を提供することにより、決定のタイプの中でも、どの顧客がアップセル(upsell)、クロスセル(cross-sell)及び新製品を買う可能性が最も高いかに関するより良い決定を推進することができる。したがって、CRMシステムによって与えられる所与の顧客に関する情報だけに依拠しなければならない代わりに、本明細書で説明するシステム及び方法を利用すると、販売チームは、たとえば、潜在的な購入傾向、及び進行中の取引を締結することができるのは誰かの指示を見出すために、販売履歴を分析することができる。
【0014】
さらに、そのようなリアルタイム統合は、冗長でエラーを起こしやすいプロセスである、異なるシステム間の広範なフィールド・マッピングの必要なしに、本明細書で説明するシステム及び方法によって可能にされる。本明細書で与えられる統合技術は、したがって、クラウド・システムとオンプレミス(on-premise)システムとを統合する課題に対処し、レガシーのERPシステムとCRMシステムとを橋渡しすることによって、収益創出ビジネス・プロセスを有利に合理化し、改善することができる。
【0015】
様々な実施例によれば、本開示は、
図1に概略的に示されたリアルタイム・マイクロコンポーネントを利用する。そのようなマイクロコンポーネント100A~100Fは、顧客関係管理システム102から特定のデータ及びトランザクションを作成し、処理し、取り出す、極めて特殊なタスクに重点を置くことができる。本開示によるリアルタイム・マイクロコンポーネントは、関連付けられたCRMシステム102に関連するワークフロー104を利用して単独で又一緒に動作し、それによってフレキシビリティを与えることができる。限定はしないが、例示的なリアルタイム・マイクロコンポーネント100A~100Fは、機会、見積、販売注文、インボイス、ケースなどに関係するものなど、任意のCRMトランザクション又はプロセスに制限され得る。その上、いくつかの実施例では、CPQ機能がCRMシステム102によって与えられる。他の実施例では、CPQ機能がCPQシステムなどの専用ソフトウェア・プラットフォームによって与えられる。有利には、いくつかの実施例によれば、そのようなリアルタイム・マイクロコンポーネントはCRMシステムのアドミニストレータによって構成可能であり、それにより複雑なコーディングが最小になり得る。その上、リアルタイム・マイクロコンポーネント100A~100Fは互いに独立であり得るので、1つの構成要素が、必ずしも他の構成要素に影響を及ぼすことなしに、アップグレード又はパッチされ得ることから、機能的及び技術的なアップグレードの回避は最小限になり得る。
【0016】
図2は、本開示の統合リンク206によって円滑化される、CRMシステム202とERPシステム204との間の例示的なリアルタイム通信を概略的に示すメッセージ・シーケンス・チャート200である。CRMシステム202が図示されているが、いくつかの実施例では、統合リンク206は、ERPシステム204と、CPQシステムなどの他のタイプのシステムとの間の統合を円滑化することができる。いずれにしても、本明細書で説明するシステム及び方法によれば、データがERPシステム204からCRMシステム202中にリアルタイムで読み込まれ得るように、リアルタイム・マイクロコンポーネントが統合リンク206を与える。さらに、
図2に示されているように、CRMシステム202からのデータがERPシステム204中に読み込まれ得る。したがって、CRMシステム202のユーザによって開始されたビジネス・プロセス・フロー中に、双方向データ移動が可能にされる。諒解されるように、本明細書で説明する技法は、マイクロソフト及びオラクルによって提供されるCRMシステムなど、様々なフロントエンドCRMシステムとともに使用され得る。さらに、本明細書で説明する技法は、CRMとERPシステムとの間のリアルタイム・データ交換を行うために、そのCRMシステムに関連する様々な異なるワークフローとともに使用され得る。いくつかの実施例では、それらの技法は、CRM環境内にインストールされるか又はさもなければ実行される、プラグイン、アプリケーション、又は他のタイプのアドオンによって可能にされる。インストールされると、フレームワークは、CRMシステム202とERPシステム204との間のリアルタイム通信ブリッジを与えるために使用され得るスマート・ビジネス・オブジェクトを生成することができる。
【0017】
例示の目的で、セールスフォースなどのCRMシステムによって実装されるか、又はクラウドベースCPQソフトウェア提供製品など、他のタイプのソフトウェア・プラットフォームによって実装され得る、「構成、価格、見積」(CPQ)ビジネス・ワークフローの文脈において、例示的な一実施例について以下で説明する。諒解されるように、しかしながら、以下で説明する手法は、CRMシステムによって利用可能な他のワークフローのために容易に使用可能であり得る。たとえば、以下で説明するマイクロコンポーネントは、CPQワークフローに関連するタスクを実行することに重点が置かれているが、他のCRMワークフローは、必要に応じて、他のマイクロコンポーネントを利用することができる。さらに、説明の目的でセールスフォース及びSAP用語を使用して例示的な実施例について説明するが、他のCRMシステム及びERPシステムは異なる用語を利用し得ることを諒解されたい。本明細書で説明するシステム及び方法をそれらのCRMシステム及びERPシステムに適用することは本開示の範囲内である。
【0018】
図3を参照すると、クライアント・システムのためのマッピングにおいて定義されている1次製品データを用いてセールスフォース・プロダクト・オブジェクト(Salesforce Product Object)を作成又は更新するために、「SAPマテリアル(SAP Material)」として示されている同期データに対して、バッチ・ルーチン302が、毎日など、周期的に実行され得る。同様に、クライアント・システムによって与えられるマッピングにおいて定義されている1次アカウント・データを用いてセールスフォース・アカウント・オブジェクト(Salesforce Account Object)を作成又は更新するために、「SAP顧客/販売組織(SAP Customer/Sales Org)」として示されている同期データに対して、バッチ・ルーチン304が、毎日など、周期的に実行され得る。
【0019】
CPQ見積を作成するとき、セールスフォース・プライマリ・アカウント・データ(Salesforce Primary Account Data)がデフォルトとして使用され得る。ユーザは、
図4中のプロセス400によって示されているように、CPQ見積ヘッダ(CPQ Quotation Header)を更新するためにSAPシステムから販売組織データをフェッチするために、リアルタイム・ファンクション「販売組織ピッカー(Sales Org Picker)」コールを使用して、CPQテンプレートにおいて定義されているCPQヘッダ・データ(CPQ Header Data)を随意に変更することができる。この手法は、データ同期によって与えられる潜在的に期限切れのデータに依拠することとは対照的に、リアルタイム・データを与えるためにERPシステムへのリアルタイムAPIコールを利用する。
【0020】
同様に、CPQ見積ラインを作成するとき、セールスフォース・プライマリ・プロダクト・データ(Salesforce Primary Product Data)がデフォルトとして使用され得る。ユーザは、
図5中のプロセス500によって示されているように、CPQクォーテーション・ライン・アイテム(CPQ Quotation Line Item)を更新するためにSAPシステムから利用可能なプラントをフェッチするために、リアルタイム・ファンクション「SAPプラント・ピッカー(SAP Plant Picker)」コールを使用して、CPQテンプレートにおいて定義されているCPQライン・アイテム・データ(CPQ Line Item Data)を変更することができる。したがって、リアルタイム・プラント利用可能性がERPシステムからCRMシステム中にもたらされ得る。
【0021】
次に
図6を参照すると、構成可能であるとしてフラグを付けられたセールスフォース製品を選択した後に、構成アイコンがCPQアイテム上に図式的に表示され得る。構成アイコンをアクティブ化することにより、ユーザは、SAPバリアント構成(variant configuration)プロセスを開始することが可能になり得る。バリアント構成プロセスは、たとえば、複雑化仕様をもつ複合製品を見積るときに使用され得る。テンプレート・ワークシート上で文書化されるデータは、APIを通してSAPバリアント構成に渡され得る。ユーザは、構成中に、又は価格決定がCPQクォーテーション・ライン(CPQ Quotation Line)上に記憶されるときに、価格決定を閲覧するようにシステムを構成することができる。構成プロセスの後に、モデル(Model)、マテリアル特性(Material Characteristics)、及びプラント(Plant)などの情報がCPQ見積ライン(CPQ Quote Line)上に記憶され得る。したがって、
図6に示されているプロセス600を使用すると、製品が見積のために構成されているので、様々なルールベース・オプションがリアルタイムでERPシステムから取り出され、CRMソフトウェア・インターフェースを通してユーザに提示され得る。
【0022】
バリアント構成からのCPQライン・アイテムを更新すると、CPQヘッダからの販売組織データ及びCPQライン・アイテム上に記憶されたマテリアル・データが、テンプレート・ワークシートにおいて定義されている本開示による見積シミュレーションを介して渡され得る。
図7中のプロセス700によって示されているように、価格決定データ及び利用可能性データなどの様々なデータが戻され得、CPQクォーテーション・ライン・アイテムが更新され得る。非構成アイテムもシミュレートされ得ることに留意されたい。
【0023】
次に
図8を参照すると、本開示による例示的なCPQプロセスが示されている。図示のように、そのプロセスは、セールスフォースとして示されているCRMシステムを使用して見積を作成するために、SAPとして示されているERPシステムからのデータを使用することを示す。上記で説明したように、しかしながら、本開示は、CRMシステムによって与えられるCPQプロセスに限定されない。代わりに、本開示は、専用CPQプラットフォーム、CPQシステムなどによって与えられるプロセスを含む、様々な異なるCPQプロセスに適用可能である。
【0024】
図示の実施例では、ユーザは、最初に、800、802において、CRMシステムにおける機会を作成し、CPQプロセスを開始する。804において、リアルタイム販売組織ピッカー・マイクロコンポーネントを使用して、ユーザは、上記の
図4と同様に、SAPから適切な販売エリア・データを選択する。806において、ユーザはCPQ見積ライン・アイテムを構築する。808において選択された製品に基づいて、上記の
図5と同様に、SAPから製造又は出荷プラントを選択するためにリアルタイム・プラント・ピッカー・マイクロコンポーネントが使用される。812において、製品が構成可能であるかどうかが決定される。製品が構成可能でない場合、プロセスは828における価格シミュレーションに進む。製品が構成可能である場合、ユーザは、上記の
図6と同様に、814~818においてバリアント構成プロセスによって製品を修正することが可能である。構成オプションが有効であることを保証するために、820~824において一貫性検査が実行される。826~830において、上記の
図7と同様に、見積情報を与えるために価格シミュレーションが実行される。
【0025】
次に
図9A~
図9Cを参照すると、CRMシステムとERPシステムとの間のリアルタイムの双方向データ・フローを可能にするスマート・ビジネス・オブジェクト(SBO)が示されている。この場合も、説明の目的で、セールスフォース及びSAPを利用するCPQプロセスの文脈において、
図9A~
図9C中のプロセスが示されているが、本開示はそのように限定されず、したがって、SBOは、様々な異なるシステム間のリアルタイムの双方向データ・フローを可能にすることができる。図示の実施例では、CPQプロセスが最初にセールスフォースにおいて開始される。開始されたプロセスの一部として、ユーザは、それに関連付けられたSAP顧客IDを有するセールスフォース・アカウントをピックすることができる。毎日のセールスフォース・バッチ・ジョブは、
図3に関して上記で説明したように、SAP顧客IDをセールスフォース・アカウントにリンクするためにSAP顧客同期(SAP customer sync)を実行することができる。902において、ユーザはCPQ見積のヘッダを編集する。904において、ユーザは、SAPヘッダを更新するためにカスタム・アクションを開始することができる。906~918に示されているように、販売エリア・ピッカーが呼び出され得る。販売エリア・ピッカーは、アカウントに関連付けられたSAP顧客IDを決定するために、CPQ見積に添付されたSAP顧客番号を使用する。SAP顧客IDが決定されると、SAPにおいてその顧客について利用可能な販売エリア・データ(Sales Areas Data)のリスト(販売組織(Sales Org)、流通経路(Distribution Channel)、部門(Division))が、APIベース通信を使用してSAPから引き出され得る。本明細書で説明するCPQカスタム・アクションは、ライン・アイテム・レベルとは対照的に、見積レベルであることに留意されたい。さらに、906に示されているように、セールスフォースは、XML形式構造を使用してSBOへのウェブ・サービス・コールを行うことができる。SBOは、次いで、SAPに適切なデータ要求し、SAPから適切なデータを受信し、そのデータをセールスフォースに戻すために、XMLデータをAPIコールに変換することができる。
【0026】
910~912において、顧客スマート・ビジネス・オブジェクトは、SAP顧客IDを使用して顧客をルック・アップするために、SAP顧客IDを標準SAP BAPI(Standard SAP BAPI)に渡す。その顧客に関連する販売エリア情報を含むことができる、顧客詳細が戻される。SAPは、任意の価格シミュレーションを処理するか又は任意のドキュメントを作成するために販売エリア・データを必要とするが、他のCRMシステムはそのような要件を有しないことがあることに留意されたい。916において、ユーザは、次いで、セールスフォース・インターフェースを介してSAP販売エリア(SAP Sales Area)を選択する。次いで、販売エリア・ピッカー・プロセスの一部として、918において販売エリア選択がCPQ見積ヘッダに保存される。様々な実施例によれば、将来見積は、必要に応じて、その見積を変更する能力をユーザに与えながら、前に選択された販売エリアを自動的に表示することができる。CPQ見積構成オプションは、選択された販売エリアに基づくことに留意されたい。セールスフォースはまた、特定のプロセス・フローを含むアプリケーションを含んでいる、ビジュアル・フォース・ページ(visual force page)など、カスタマイズされたページを呼び出すことができる。次いで、フローが完了すると、セールスフォースCPQ見積ヘッダSObjectレコードへの情報を永続化する(persist)、ビジュアル・フォース・ページ・アクションが呼び出され得る。
【0027】
920において、ユーザは、見積られるべき製品を入力する。構成可能な製品が選択された場合、カスタム・アクションは、SAP販売エリアが前に選択されていることを保証するために検査を行うことができる。前に選択された販売エリアがなかった場合、ユーザは、1つの販売エリアを選択するためにカスタム・アクション「販売組織ピッカー」を使用することができる。前に選択されたSAP販売エリアがあった場合、必要な場合、ユーザにそれを変更する能力を与えながら、その販売エリアが表示され得る。製品選択が行われた後に、922~936に示されているように、SAP販売エリアに基づいてユーザにSAPプラントのリストを表示するために、カスタマイズされたプラント・ピッカー・プロセスが実行され得る。プラント・ピッカー・プロセスは、SAPにおけるスマート・ビジネス・オブジェクト・マテリアル詳細表(Material Detail Table)へのウェブ・サービス・コールを実行するために、セールスフォース製品SObject上に記憶されたSAPマテリアル番号を使用することができる。924において、セールスフォースは、スマート・ビジネス・オブジェクト「マテリアル詳細」アドオンによるXML形式構造を使用してウェブ・サービス・コールを行うことができる。データは、SAPによって効率的に扱われるべき方法で構造化されるXML形式であり得る。926~932において、マテリアル詳細スマート・ビジネス・オブジェクトは、SAPマテリアルIDを標準SAP BAPIに渡し、プラントを含むマテリアル詳細を戻す。SAPは、任意の価格シミュレーションを処理するか又は任意のドキュメントを作成するために「マテリアルID」及び「プラント」を必要とすることに留意されたい。さらに、毎日のセールスフォース・バッチ・ジョブは、
図3に関して上記で説明したように、SAPマテリアルIDをセールスフォース・プロダクト(Salesforce Product)にリンクするためにSAPマテリアル同期を実行することができる。936において、SAPプラントは、構成がファイナライズされるまでメモリに記憶され得る。
【0028】
938~956において、本開示に従って製品構成が実行され得る。カスタマイズされたビジュアル・フォース・ページは、SAPバリアント構成(VC:Variant Configuration)のためのカスタマイズされた組込みフローを格納することができる。SAP VCの特性及びオプション依存性は、SAP構成ごとに選択されるSAPマテリアル及びプラントに基づいて表示され得る。ユーザは、VCスマート・ビジネス・オブジェクトを呼び出す、本開示によるライトィング構成要素を利用してセールスフォース中のアイテムを構成することができる。セールスフォースは、スマート・ビジネス・オブジェクトSAPアドオンによるXML形式構造を使用してウェブ・サービス・コールを行うことができる。データは、SAPによって効率的に扱われるべき方法で構造化されたXML形式であり得る。
【0029】
どの特性が利用可能であるかを決定するために、特性ピッカー・アクションが利用され得る。隠し特性としてリストされているSAP中の特性がある場合、それらはセールスフォースにおいて表示されない。各特性についての利用可能な値は、ユーザ選択に応じて、リアルタイムで動的に表示され得る。さらに、リアルタイムでのユーザ選択に基づいて、必要とされる特性が動的に決定され得る。各特性について存在する値の種類に応じて、表示は変動し得る。たとえば、単一値選択肢の場合、その特性に関連する値のドロップダウンが表示され得るが、ユーザは1つしか選択することができない。一方、複数値選択肢の場合、ユーザがその特性について複数の選択肢を選択することができるようにチェックされ得るボックスとともに、値のドロップダウンが表示され得る。他のタイプの特性の場合、ユーザが注記を入力することを許可するために、テキスト・ボックスなど、他の入力機構が使用され得る。
【0030】
VC SBOは、何が有効であるかのSAP定義に基づいて、ユーザが選択を行う際に、リアルタイムでSAP VC一貫性検査を実行することができる。選択された構成オプションの組合せが無効であることが決定された場合、ユーザがそれらの構成をファイナライズし、保存することは不可能である。したがって、選択された構成オプションの組合せが有効であると考えられる場合のみ、ユーザは、それらの構成をファイナライズし、保存することが可能である。ユーザはまた、ユーザ選択の前に、構成を選択的にリセットしてデフォルト値に戻すことができる。ユーザがそれらの構成をファイナライズすると、その構成は保存され、永続化されてセールスフォースCPQライン・アイテムに戻され得る。SAPモデル/マテリアル番号、プラント、及び販売エリアがセールスフォースCPQ見積のアイテム・レベルにおいて記憶され得る。ユーザは、カスタム構成ページを再訪する選択肢を有することができ、選択されたすべての前のオプションが表示される。さらに、ユーザが変更を行った場合、ユーザが新しい値を用いて再ファイナライズすることができるようになる前に、構成が有効であることを保証するために、妥当性検査が再開され得る。
【0031】
958~972において、価格シミュレーション・プロセスが実行され得る。
図9A~
図9Cにおいて機会価格決定(opportunity pricing)スマート・ビジネス・オブジェクトと呼ばれる、本開示によるカスタマイズされたセールスフォースCPQ見積計算器プラグインが、SAP構成(SAP Configuration)ごとの価格決定を計算するために利用され得る。SAP顧客ID、販売エリア・データ(販売組織、流通経路、部門)、マテリアルID、及びプラントが機会価格決定SBOにサブミットされ得、機会価格決定SBOは、SAPドキュメントの作成をシミュレートするために標準SAP BAPIを呼び出す。価格決定データが、次いで、本明細書で説明するフレームワークを介してSAPから戻され、セールスフォースCPQ見積ライン・アイテム上に記憶され得る。
【0032】
本発明の図及び説明は、明快さの目的で、他の要素を除外しながら、本発明の明快な理解に関連がある要素を示すために簡略化されていることを理解されたい。しかしながら、これらの種類の重点を置いた説明は本発明のより良い理解を促進しないであろうし、したがって、そのような要素のより詳細な説明が本明細書で与えられていないことを、当業者は認識するであろう。
【0033】
指定された機能を実行するための手段として本明細書で表現された要素は、たとえば、その機能を実行する要素の組合せを含む、その機能を実行するいかなる方法をも包含するものである。さらに、そのようなミーンズプラスファンクション・クレームによって定義され得る本発明は、様々な具陳されている手段によって与えられる機能が、添付の特許請求の範囲によって定義されている様式で組み合わせられ、まとめられることの中に存在する。したがって、そのような機能を与えることができるいかなる手段も、本明細書で示されている手段の等価物であると考えられ得る。その上、本実施例に関連するプロセスは、コンピュータなど、プログラム可能な機器によって実行され得る。プログラム可能な機器にプロセスを実行させるために採用され得るソフトウェア又は命令の他のセットは、たとえば、コンピュータ・システム(不揮発性)メモリ、光ディスク、磁気テープ、又は磁気ディスクなど、任意のストレージ・デバイス中に記憶され得る。さらに、プロセスのうちのいくつかは、コンピュータ・システムが製造されるときに、又はコンピュータ可読メモリ媒体を介してプログラムされ得る。
【0034】
また、本明細書で説明したいくつかのプロセス態様は、プロセス・ステップを実行するようにコンピュータ又はコンピュータ・システムに指令する、1つ又は複数のコンピュータ可読メモリ媒体上に記憶された命令を使用して実行され得ることが諒解され得る。コンピュータ可読媒体は、たとえば、ディスケット、読取り専用変体と読取り/書込み変体の両方のコンパクト・ディスク、光ディスク・ドライブ、及びハード・ディスク・ドライブなどのメモリ・デバイスを含み得る。非一時的コンピュータ可読媒体は、物理的、仮想的、永久的、一時的、半永久的及び/又は半一時的であり得る、メモリ・ストレージをも含み得る。
【0035】
本システム及び方法のこれらの及び他の実施例は、当業者によって認識されるであろうように使用され得る。様々なシステム及び方法の上記説明は、具体例を示し、本明細書で開示され、説明されたシステムを製作し、使用するいくつかの方法について説明するものである。これらの説明は、これらのシステムが製作され、使用され得る、可能な方法の網羅的なリストでもなく、そのようなものとして取られるべきでもない。実例間のシステムの代用を含むいくつかの改変、及び組合せ間のバリエーションが行われ得る。それらの改変及びバリエーションは、本開示を読んだ後に、この分野における当業者に明らかになるはずである。