(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】固体撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/771 20230101AFI20241007BHJP
H04N 25/778 20230101ALI20241007BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241007BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
H04N25/771
H04N25/778
H04N25/70
H01L27/146 A
H01L27/146 F
(21)【出願番号】P 2021527693
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024837
(87)【国際公開番号】W WO2020262461
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2019118936
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】鳥毛 裕二
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121521(WO,A1)
【文献】特開2013-090127(JP,A)
【文献】特開2014-146894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/771
H04N 25/778
H04N 25/70
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配列する複数の光電変換部を備える第1基板と、
前記第1基板の第1面に接合され、前記光電変換部それぞれで発生した電荷に基づく画素信号を生成する画素回路を備える第2基板と、
前記第2基板における前記第1基板が接合された第2面と反対側の第3面に接合され、前記画素回路により生成された前記画素信号に対して所定の処理を実行する周辺回路を備える第3基板と、
を備え、
前記画素回路は、
前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷の電荷量に応じた電圧値の前記画素信号を生成する増幅トランジスタと、
前記電荷蓄積部の容量を切り替える切替トランジスタと、
容量性素子と、
を含
み、
前記切替トランジスタは、前記容量性素子と前記増幅トランジスタのゲートとの接続を切り替えることで、前記電荷蓄積部の前記容量を切り替え、
前記容量性素子は、
前記切替トランジスタのドレインに接続された第1容量性素子と、
前記第1基板の半導体層に接続された第2容量性素子と、
を含む、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記容量性素子は、配線である請求項
1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記容量性素子は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)キャパシタである請求項
1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記容量性素子は、平行平板コンデンサである請求項
1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記平行平板コンデンサを構成する一方の電極は、前記第2基板の一部である請求項
4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記容量性素子は、ゲート容量である請求項
1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記容量性素子は、第1導電型を備える第1半導体領域と、前記第1半導体領域と接触し、前記第1導電型とは反対の第2導電型を備える第2半導体領域とからなる拡散容量である請求項
1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第2容量性素子の一部は、前記行列状に配列する前記複数の光電変換部の境界部分にまで延在する請求項
1~7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記切替トランジスタは、前記第2基板に配置されている請求項
1~8のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記画素回路は、前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷を放出するリセットトランジスタをさらに含み、
前記リセットトランジスタと前記切替トランジスタとは、前記増幅トランジスタのゲートに対して並列に接続されている
請求項
1~9のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
行列状に配列する複数の光電変換部を備える第1基板と、
前記第1基板の第1面に接合され、前記光電変換部それぞれで発生した電荷に基づく画素信号を生成する複数の画素回路を備える第2基板と、
前記第2基板における前記第1基板が接合された第2面と反対側の第3面に接合され、前記画素回路により生成された前記画素信号に対して所定の処理を実行する周辺回路を備える第3基板と、
を備え、
前記画素回路は、
前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷の電荷量に応じた電圧値の前記画素信号を生成する増幅トランジスタと、
前記電荷蓄積部の容量を切り替える切替トランジスタと、
容量性素子と、
を含み、
前記切替トランジスタは、前記容量性素子と前記増幅トランジスタのゲートとの接続を切り替えることで、前記電荷蓄積部の前記容量を切り替え、
前記複数の光電変換部は、近接する2以上の光電変換部を1つのユニットとし、当該ユニットごとに1つの前記画素回路を共有し、
前記容量性素子は、
隣接する前記ユニットの境界部分に配置され、隣接する前記ユニット間で共有され
る、
固体撮像装置。
【請求項12】
前記容量性素子は、複数の前記ユニットのうちの第1ユニット及び第2ユニットで共有され、
前記第1ユニットに含まれる前記2以上の光電変換部が共有する第1画素回路に含まれる前記切替トランジスタと、前記第2ユニットに含まれる前記2以上の光電変換部が共有する第2画素回路に含まれる前記切替トランジスタとは、互いのソースを共有する
請求項
11に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記光電変換部それぞれに発生した電荷を放出するオーバフローゲートトランジスタと、
前記光電変換部それぞれに発生した電荷を一時蓄積するメモリと、
前記メモリに蓄積された前記電荷の前記電荷蓄積部への転送を制御する転送トランジスタと、
をさらに備える請求項
1~12のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記第1基板は、第1半導体層と前記第1半導体層に積層された第1配線層とを含み、
前記第2基板は、第2半導体層と前記第2半導体層に積層された第2配線層とを含み、
前記容量性素子は、前記第2配線層に配置される
請求項
1~13のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記第1基板は、第1半導体層と前記第1半導体層に積層された第1配線層とを含み、
前記第2基板は、第2半導体層と前記第2半導体層に積層された第2配線層とを含み、
前記容量性素子は、前記第1配線層に配置される
請求項
1~13のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記第1基板と前記第2基板との接合及び前記第2基板と前記第3基板との接合のうち少なくとも一方は、銅製のパッド同士の接合による基板接合である請求項1
~15のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項17】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力された信号を処理する信号処理回路と、
を備え、
前記固体撮像装置は、
行列状に配列する複数の光電変換部を備える第1基板と、
前記第1基板の第1面に接合され、前記光電変換部それぞれで発生した電荷に基づく画素信号を生成する画素回路を備える第2基板と、
前記第2基板における前記第1基板が接合された第2面と反対側の第3面に接合され、前記画素回路により生成された前記画素信号に対して所定の処理を実行する周辺回路を備える第3基板と、
を備え、
前記画素回路は、
前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷の電荷量に応じた電圧値の前記画素信号を生成する増幅トランジスタと、
前記電荷蓄積部の容量を切り替える切替トランジスタと、
容量性素子と、
を含
み、
前記切替トランジスタは、前記容量性素子と前記増幅トランジスタのゲートとの接続を切り替えることで、前記電荷蓄積部の前記容量を切り替え、
前記容量性素子は、
前記切替トランジスタのドレインに接続された第1容量性素子と、
前記第1基板の半導体層に接続された第2容量性素子と、
を含む、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元構造の固体撮像装置の1画素あたりの面積の微細化は、微細プロセスの導入と実装密度の向上によって実現されてきた。近年、固体撮像装置の更なる小型化および画素の高密度化を実現するため、3次元構造の固体撮像装置が開発されている。3次元構造の固体撮像装置では、例えば、複数のセンサ画素を有する半導体基板と、各センサ画素で得られた信号を処理する信号処理回路を有する半導体基板とが互いに積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、固体撮像装置においては、各画素の飽和電荷量を確保しつつ、低照度特性を改善することが望まれている。飽和電荷量の確保と低照度特性の改善とを両立させる方法としては、電荷電圧変換部としての浮遊拡散層(フローティングディフュージョン:FD)に対し、状況に応じて付加容量を接続又は切断する構成を追加することが考えられる。
【0005】
しかしながら、3次元構造の固体撮像装置に対し、上述のようなFD容量を切り替えるための構成を単純に追加するのでは、折角の小型化および高密度化が阻害され、装置の大型化や画素密度の低下などを招いてしまう可能性が存在する。
【0006】
そこで本開示では、装置の大型化や画素密度の低下を抑制しつつ、飽和電荷量の確保と低照度特性の改善とを両立させることが可能な固体撮像装置及び電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の固体撮像装置は、行列状に配列する複数の光電変換部を備える第1基板と、前記第1基板の第1面に接合され、前記光電変換部それぞれで発生した電荷に基づく画素信号を生成する画素回路を備える第2基板と、前記第2基板における前記第1基板が接合された第2面と反対側の第3面に接合され、前記画素回路により生成された前記画素信号に対して所定の処理を実行する周辺回路を備える第3基板とを備え、前記画素回路は、前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷の電荷量に応じた電圧値の前記画素信号を生成する増幅トランジスタと、前記電荷蓄積部の容量を切り替える切替トランジスタとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した撮像装置の概略構成を表す平面模式図である。
【
図3】
図2に示したIII-III’線に沿った断面構成を表す模式図である。
【
図4】
図1に示した画素共有ユニットの等価回路図である。
【
図5】複数の画素共有ユニットと複数の垂直信号線との接続態様の一例を表す図である。
【
図6】
図3に示した撮像装置の具体的な構成の一例を表す断面模式図である。
【
図7A】
図6に示した第1基板の要部の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図7B】
図7Aに示した第1基板の要部とともにパッド部の平面構成を表す模式図である。
【
図8】
図6に示した第2基板(半導体層)の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図9】
図6に示した第1配線層とともに、画素回路および第1基板の要部の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図10】
図6に示した第1配線層および第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図11】
図6に示した第2配線層および第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図12】
図6に示した第3配線層および第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図13】
図3に示した撮像装置への入力信号の経路について説明するための模式図である。
【
図14】
図3に示した撮像装置の画素信号の信号経路について説明するための模式図である。
【
図15】
図8に示した第2基板(半導体層)の平面構成の一変形例を表す模式図である。
【
図16】
図15に示した画素回路とともに、第1配線層および第1基板の要部の平面構成を表す模式図である。
【
図17】
図16に示した第1配線層とともに、第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図18】
図17に示した第2配線層とともに、第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図19】
図18に示した第3配線層とともに、第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図20】
図7Aに示した第1基板の平面構成の一変形例を表す模式図である。
【
図21】
図20に示した第1基板に積層される第2基板(半導体層)の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図22】
図21に示した画素回路とともに、第1配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図23】
図22に示した第1配線層とともに、第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図24】
図23に示した第2配線層とともに、第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図25】
図24に示した第3配線層とともに、第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図26】
図20に示した第1基板の平面構成の他の例を表す模式図である。
【
図27】
図26に示した第1基板に積層される第2基板(半導体層)の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図28】
図27に示した画素回路とともに、第1配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図29】
図28に示した第1配線層とともに、第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図30】
図29に示した第2配線層とともに、第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図31】
図30に示した第3配線層とともに、第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図32】
図3に示した撮像装置の他の例を表す断面模式図である。
【
図33】
図32に示した撮像装置への入力信号の経路について説明するための模式図である。
【
図34】
図32に示した撮像装置の画素信号の信号経路について説明するための模式図である。
【
図35】
図6に示した撮像装置の他の例を表す断面模式図である。
【
図36】
図4に示した等価回路の他の例を表す図である。
【
図37】
図7A等に示した画素分離部の他の例を表す平面模式図である。
【
図38】第2の実施形態の第1例に係る単位画素の概略構成例を示す回路図である。
【
図39】第2の実施形態の第1例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図40】第2の実施形態の第1例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図41】第2の実施形態の第1例に係る第2基板における配線層に設けられた配線の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図42】第2の実施形態の第2例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図43】第2の実施形態の第2例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図45】第2の実施形態の第3例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図46】第2の実施形態の第3例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図47】第2の実施形態の第3例に係る第2基板における配線層の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図50】第2の実施形態の第4例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図51】
図50におけるA-A面の構造例を示す断面図である。
【
図52】第2の実施形態の第5例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図53】
図52におけるC-C面の構造例を示す断面図である。
【
図54】第2の実施形態の第5の例の変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図55】
図54におけるC-C面の構造例を示す断面図である。
【
図56】第2の実施形態の第6例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図57】第2の実施形態の第6例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図59】第2の実施形態の第7例に係る画素回路の概略構成例を示す回路図である。
【
図60】第2の実施形態の第7例に係る第2基板における配線層に設けられた配線の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図61】第2の実施形態の第7例に係る
図50及び
図51におけるA-A面の構造例を示す断面図である。
【
図62】第2の実施形態の第8例の第1変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図63】第2の実施形態の第8例の第2変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図64】第2の実施形態の第8例の第3変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図65】第2の実施形態の第8例の第4変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図66】第2の実施形態の第8例の第5変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図67】第2の実施形態の第9例に係る単位画素の概略構成例を示す回路図である。
【
図68】第2の実施形態の第9例に係る第1基板の半導体層の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図69】第2の実施形態の第9例に係る第2基板の半導体層の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図70】第2の実施形態の第9例に係る第2基板の配線層の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図72】第3の実施形態の第1例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図73】
図72におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【
図74】第3の実施形態の第2例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図75】
図74におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【
図76】第3の実施形態の第3例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図77】
図76におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【
図78】第3の実施形態の第4例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図79】
図78におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【
図80】第3の実施形態の第5例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図81】
図80におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【
図82】第3の実施形態の第6例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
【
図83】
図82におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【
図84】上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置を備えた撮像システムの概略構成の一例を表す図である。
【
図85】
図84に示した撮像システムの撮像手順の一例を表す図である。
【
図86】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図87】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図88】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図89】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0010】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.実施の形態(3つの基板の積層構造を有する撮像装置)
2.変形例1(平面構成の例1)
3.変形例2(平面構成の例2)
4.変形例3(平面構成の例3)
5.変形例4(画素アレイ部の中央部に基板間のコンタクト部を有する例)
6.変形例5(プレーナー型の転送トランジスタを有する例)
7.変形例6(1つの画素回路に1つの画素が接続される例)
8.変形例7(画素分離部の構成例)
9.第2の実施形態
9.1 第1例
9.1.1 回路構成例
9.1.2 平面レイアウト例
9.1.2.1 第1基板の半導体層
9.1.2.2 第2基板の半導体層
9.1.2.3 第2基板の配線層
9.1.3 の効果
9.2 第2例
9.3 第3例
9.4 第4例
9.5 第5例
9.5.1 第5例の変形例
9.6 第6例
9.7 第7例
9.8 第8例
9.8.1 第1変形例
9.8.2 第2変形例
9.8.3 第3変形例
9.8.4 第4変形例
9.8.5 第5変形例
9.9 第9例
9.9.1 回路構成例
9.9.2 各層の平面レイアウト例
9.9.3 効果
10.第3の実施形態
10.1 第1例
10.2 第2例
10.3 第3例
10.4 第4例
10.5 第5例
10.6 第6例
11.変形例
12.適用例(撮像システム)
13.応用例
【0011】
1.実施の形態
[撮像装置1の機能構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1の撮像装置1は、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、画素アレイ部540、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを含んでいる。
【0013】
画素アレイ部540には、画素541がアレイ状に繰り返し配置されている。より具体的には、複数の画素を含んだ画素共有ユニット539が繰り返し単位となり、これが、行方向と列方向とからなるアレイ状に繰り返し配置されている。なお、本明細書では、便宜上、行方向をH方向、行方向と直交する列方向をV方向、と呼ぶ場合がある。
図1の例において、1つの画素共有ユニット539が、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)を含んでいる。画素541A,541B,541C,541Dは各々、フォトダイオードPD(後述の
図6等に図示)を有している。画素共有ユニット539は、1つの画素回路(後述の
図3の画素回路210)を共有する単位である。換言すれば、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)毎に、1つの画素回路(後述の画素回路210)を有している。この画素回路を時分割で動作させることにより、画素541A,541B,541C,541D各々の画素信号が順次読み出されるようになっている。画素541A,541B,541C,541Dは、例えば2行×2列で配置されている。画素アレイ部540には、画素541A,541B,541C,541Dとともに、複数の行駆動信号線542および複数の垂直信号線(列読出し線)543が設けられている。行駆動信号線542は、画素アレイ部540において行方向に並んで配列された、複数の画素共有ユニット539各々に含まれる画素541を駆動する。画素共有ユニット539のうち、行方向に並んで配列された各画素を駆動する。後に
図4を参照して詳しく説明するが、画素共有ユニット539には、複数のトランジスタが設けられている。これら複数のトランジスタをそれぞれ駆動するために、1つの画素共有ユニット539には複数の行駆動信号線542が接続されている。垂直信号線(列読出し線)543には、画素共有ユニット539が接続されている。画素共有ユニット539に含まれる画素541A,541B,541C,541D各々から、垂直信号線(列読出し線)543を介して画素信号が読み出される。
【0014】
行駆動部520は、例えば、画素駆動するための行の位置を決める行アドレス制御部、言い換えれば、行デコーダ部と、画素541A,541B,541C,541Dを駆動するための信号を発生させる行駆動回路部とを含んでいる。
【0015】
列信号処理部550は、例えば、垂直信号線543に接続され、画素541A,541B,541C,541D(画素共有ユニット539)とソースフォロア回路を形成する負荷回路部を備える。列信号処理部550は、垂直信号線543を介して画素共有ユニット539から読み出された信号を増幅する増幅回路部を有していてもよい。列信号処理部550は、ノイズ処理部を有していてもよい。ノイズ処理部では、例えば、光電変換の結果として画素共有ユニット539から読み出された信号から、系のノイズレベルが取り除かれる。
【0016】
列信号処理部550は、例えば、アナログデジタルコンバータ(ADC)を有している。アナログデジタルコンバータでは、画素共有ユニット539から読み出された信号もしくは上記ノイズ処理されたアナログ信号がデジタル信号に変換される。ADCは、例えば、コンパレータ部およびカウンタ部を含んでいる。コンパレータ部では、変換対象となるアナログ信号と、これと比較対象となる参照信号とが比較される。カウンタ部では、コンパレータ部での比較結果が反転するまでの時間が計測されるようになっている。列信号処理部550は、読出し列を走査する制御を行う水平走査回路部を含んでいてもよい。
【0017】
タイミング制御部530は、装置へ入力された基準クロック信号やタイミング制御信号を基にして、行駆動部520および列信号処理部550へ、タイミングを制御する信号を供給する。
【0018】
画像信号処理部560は、光電変換の結果得られたデータ、言い換えれば、撮像装置1における撮像動作の結果得られたデータに対して、各種の信号処理を施す回路である。画像信号処理部560は、例えば、画像信号処理回路部およびデータ保持部を含んでいる。画像信号処理部560は、プロセッサ部を含んでいてもよい。
【0019】
画像信号処理部560において実行される信号処理の一例は、AD変換された撮像データが、暗い被写体を撮影したデータである場合には階調を多く持たせ、明るい被写体を撮影したデータである場合には階調を少なくするトーンカーブ補正処理である。この場合、撮像データの階調をどのようなトーンカーブに基づいて補正するか、トーンカーブの特性データを予め画像信号処理部560のデータ保持部に記憶させておくことが望ましい。
【0020】
入力部510Aは、例えば、上記基準クロック信号、タイミング制御信号および特性データなどを装置外部から撮像装置1へ入力するためのものである。タイミング制御信号は、例えば、垂直同期信号および水平同期信号などである。特性データは、例えば、画像信号処理部560のデータ保持部へ記憶させるためのものである。入力部510Aは、例えば、入力端子511、入力回路部512、入力振幅変更部513、入力データ変換回路部514および電源供給部(不図示)を含んでいる。
【0021】
入力端子511は、データを入力するための外部端子である。入力回路部512は、入力端子511へ入力された信号を撮像装置1の内部へと取り込むためのものである。入力振幅変更部513では、入力回路部512で取り込まれた信号の振幅が、撮像装置1の内部で利用しやすい振幅へと変更される。入力データ変換回路部514では、入力データのデータ列の並びが変更される。入力データ変換回路部514は、例えば、シリアルパラレル変換回路により構成されている。このシリアルパラレル変換回路では、入力データとして受け取ったシリアル信号がパラレル信号へと変換される。なお、入力部510Aでは、入力振幅変更部513および入力データ変換回路部514が、省略されていてもよい。電源供給部は、外部から撮像装置1へ供給された電源をもとにして、撮像装置1の内部で必要となる各種の電圧に設定された電源を供給する。
【0022】
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、入力部510Aには、外部のメモリデバイスからのデータを受け取るメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
【0023】
出力部510Bは、画像データを装置外部へと出力する。この画像データは、例えば、撮像装置1で撮影された画像データ、および、画像信号処理部560で信号処理された画像データ等である。出力部510Bは、例えば、出力データ変換回路部515、出力振幅変更部516、出力回路部517および出力端子518を含んでいる。
【0024】
出力データ変換回路部515は、例えば、パラレルシリアル変換回路により構成されており、出力データ変換回路部515では、撮像装置1内部で使用したパラレル信号がシリアル信号へと変換される。出力振幅変更部516は、撮像装置1の内部で用いた信号の振幅を変更する。変更された振幅の信号は、撮像装置1の外部に接続される外部デバイスで利用しやすくなる。出力回路部517は、撮像装置1の内部から装置外部へとデータを出力する回路であり、出力回路部517により、出力端子518に接続された撮像装置1外部の配線が駆動される。出力端子518では、撮像装置1から装置外部へとデータが出力される。出力部510Bでは、出力データ変換回路部515および出力振幅変更部516が、省略されていてもよい。
【0025】
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、出力部510Bには、外部のメモリデバイスへとデータを出力するメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
【0026】
[撮像装置1の概略構成]
図2および
図3は、撮像装置1の概略構成の一例を表したものである。撮像装置1は、3つの基板(第1基板100、第2基板200、第3基板300)を備えている。
図2は、第1基板100、第2基板200、第3基板300各々の平面構成を模式的に表したものであり、
図3は、互いに積層された第1基板100、第2基板200および第3基板300の断面構成を模式的に表している。
図3は、
図2に示したIII-III’線に沿った断面構成に対応する。撮像装置1は、3つの基板(第1基板100、第2基板200、第3基板300)を貼り合わせて構成された3次元構造の撮像装置である。第1基板100は、半導体層100Sおよび配線層100Tを含む。第2基板200は、半導体層200Sおよび配線層200Tを含む。第3基板300は、半導体層300Sおよび配線層300Tを含む。ここで、第1基板100、第2基板200および第3基板300の各基板に含まれる配線とその周囲の層間絶縁膜を合せたものを、便宜上、それぞれの基板(第1基板100、第2基板200および第3基板300)に設けられた配線層(100T、200T、300T)と呼ぶ。第1基板100、第2基板200および第3基板300は、この順に積層されており、積層方向に沿って、半導体層100S、配線層100T、半導体層200S、配線層200T、配線層300Tおよび半導体層300Sの順に配置されている。第1基板100、第2基板200および第3基板300の具体的な構成については後述する。
図3に示した矢印は、撮像装置1への光Lの入射方向を表す。本明細書では、便宜上、以降の断面図で、撮像装置1における光入射側を「下」「下側」「下方」、光入射側と反対側を「上」「上側」「上方」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、便宜上、半導体層と配線層を備えた基板に関して、配線層の側を表面、半導体層の側を裏面と呼ぶ場合がある。なお、明細書の記載は、上記の呼び方に限定されない。撮像装置1は、例えば、フォトダイオードを有する第1基板100の裏面側から光が入射する、裏面照射型撮像装置となっている。
【0027】
画素アレイ部540および画素アレイ部540に含まれる画素共有ユニット539は、ともに、第1基板100および第2基板200の双方を用いて構成されている。第1基板100には、画素共有ユニット539が有する複数の画素541A,541B,541C,541Dが設けられている。これらの画素541のそれぞれが、フォトダイオード(後述のフォトダイオードPD)および転送トランジスタ(後述の転送トランジスタTR)を有している。第2基板200には、画素共有ユニット539が有する画素回路(後述の画素回路210)が設けられている。画素回路は、画素541A,541B,541C,541D各々のフォトダイオードから転送トランジスタを介して転送された画素信号を読み出し、あるいは、フォトダイオードをリセットする。この第2基板200は、このような画素回路に加えて、行方向に延在する複数の行駆動信号線542および列方向に延在する複数の垂直信号線543を有している。第2基板200は、更に、行方向に延在する電源線544を有している。第3基板300は、例えば、入力部510A,行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを有している。行駆動部520は、例えば、第1基板100、第2基板200および第3基板300の積層方向(以下、単に積層方向という)において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、行駆動部520は、積層方向において、画素アレイ部540のH方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(
図2)。列信号処理部550は、例えば、積層方向において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、列信号処理部550は、積層方向において、画素アレイ部540のV方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(
図2)。図示は省略するが、入力部510Aおよび出力部510Bは、第3基板300以外の部分に配置されていてもよく、例えば、第2基板200に配置されていてもよい。あるいは、第1基板100の裏面(光入射面)側に入力部510Aおよび出力部510Bを設けるようにしてもよい。なお、上記第2基板200に設けられた画素回路は、別の呼称として、画素トランジスタ回路、画素トランジスタ群、画素トランジスタ、画素読み出し回路または読出回路と呼ばれることもある。本明細書では、画素回路との呼称を用いる。
【0028】
第1基板100と第2基板200とは、例えば、貫通電極(後述の
図6の貫通電極120E,121E)により電気的に接続されている。第2基板200と第3基板300とは、例えば、コンタクト部201,202,301,302を介して電気的に接続されている。第2基板200にコンタクト部201,202が設けられ、第3基板300にコンタクト部301,302が設けられている。第2基板200のコンタクト部201が第3基板300のコンタクト部301に接し、第2基板200のコンタクト部202が第3基板300のコンタクト部302に接している。第2基板200は、複数のコンタクト部201が設けられたコンタクト領域201Rと、複数のコンタクト部202が設けられたコンタクト領域202Rとを有している。第3基板300は、複数のコンタクト部301が設けられたコンタクト領域301Rと、複数のコンタクト部302が設けられたコンタクト領域302Rとを有している。コンタクト領域201R,301Rは、積層方向において、画素アレイ部540と行駆動部520との間に設けられている(
図3)。換言すれば、コンタクト領域201R,301Rは、例えば、行駆動部520(第3基板300)と、画素アレイ部540(第2基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域201R,301Rは、例えば、このような領域のうち、H方向の端部に配置されている(
図2)。第3基板300では、例えば、行駆動部520の一部、具体的には行駆動部520のH方向の端部に重なる位置にコンタクト領域301Rが設けられている(
図2,
図3)。コンタクト部201,301は、例えば、第3基板300に設けられた行駆動部520と、第2基板200に設けられた行駆動信号線542とを接続するものである。コンタクト部201,301は、例えば、第3基板300に設けられた入力部510Aと電源線544および基準電位線(後述の基準電位線VSS)とを接続していてもよい。コンタクト領域202R,302Rは、積層方向において、画素アレイ部540と列信号処理部550との間に設けられている(
図3)。換言すれば、コンタクト領域202R,302Rは、例えば、列信号処理部550(第3基板300)と画素アレイ部540(第2基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域202R,302Rは、例えば、このような領域のうち、V方向の端部に配置されている(
図2)。第3基板300では、例えば、列信号処理部550の一部、具体的には列信号処理部550のV方向の端部に重なる位置にコンタクト領域301Rが設けられている(
図2,
図3)。コンタクト部202,302は、例えば、画素アレイ部540が有する複数の画素共有ユニット539各々から出力された画素信号(フォトダイオードでの光電変換の結果発生した電荷の量に対応した信号)を、第3基板300に設けられた列信号処理部550へと接続するためのものである。画素信号は、第2基板200から第3基板300に送られるようになっている。
【0029】
図3は、上記のように、撮像装置1の断面図の一例である。第1基板100、第2基板200、第3基板300は、配線層100T、200T、300Tを介して電気的に接続される。例えば、撮像装置1は、第2基板200と第3基板300とを電気的に接続する電気的接続部を有する。具体的には、導電材料で形成された電極でコンタクト部201,202,301,302を形成する。導電材料は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、などの金属材料で形成される。コンタクト領域201R、202R、301R、302Rは、例えば電極として形成された配線同士を直接接合することで、第2基板と第3基板とを電気的に接続し、第2基板200と第3基板300との信号の入力及び/又は出力を可能にする。
【0030】
第2基板200と第3基板300とを電気的に接続する電気的接続部は、所望の箇所に設けることができる。例えば、
図3においてコンタクト領域201R、202R、301R、302Rとして述べたように、画素アレイ部540と積層方向に重なる領域に設けても良い。また、電気的接続部を画素アレイ部540と積層方向に重ならない領域に設けても良い。具体的には、画素アレイ部540の外側に配置された周辺部と、積層方向に重なる領域に設けても良い。
【0031】
第1基板100および第2基板200には、例えば、接続孔部H1,H2が設けられている。接続孔部H1,H2は、第1基板100および第2基板200を貫通している(
図3)。接続孔部H1,H2は、画素アレイ部540(または画素アレイ部540に重なる部分)の外側に設けられている(
図2)。例えば、接続孔部H1は、H方向において画素アレイ部540より外側に配置されており、接続孔部H2は、V方向において画素アレイ部540よりも外側に配置されている。例えば、接続孔部H1は、第3基板300に設けられた入力部510Aに達しており、接続孔部H2は、第3基板300に設けられた出力部510Bに達している。接続孔部H1,H2は、空洞でもよく、少なくとも一部に導電材料を含んでいても良い。例えば、入力部510A及び/又は出力部510Bとして形成された電極に、ボンディングワイヤを接続する構成がある。または、入力部510A及び/又は出力部510Bとして形成された電極と、接続孔部H1,H2に設けられた導電材料とを接続する構成がある。接続孔部H1,H2に設けられた導電材料は、接続孔部H1,H2の一部または全部に埋め込まれていても良く、導電材料が接続孔部H1,H2の側壁に形成されていても良い。
【0032】
なお、
図3では第3基板300に入力部510A、出力部510Bを設ける構造としたが、これに限定されない。例えば、配線層200T、300Tを介して第3基板300の信号を第2基板200へ送ることで、入力部510A及び/又は出力部510Bを第2基板200に設けることもできる。同様に、配線層100T、200Tを介して、第2基板200の信号を第1基板1000へ送ることで、入力部510A及び/又は出力部510Bを第1基板100に設けることもできる。
【0033】
図4は、画素共有ユニット539の構成の一例を表す等価回路図である。画素共有ユニット539は、複数の画素541(
図4では、画素541A,541B,541C,541Dの4つの画素541を表す)と、この複数の画素541に接続された1の画素回路210と、画素回路210に接続された垂直信号線5433とを含んでいる。画素回路210は、例えば、4つのトランジスタ、具体的には、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDを含んでいる。上述のように、画素共有ユニット539は、1の画素回路210を時分割で動作させることにより、画素共有ユニット539に含まれる4つの画素541(画素541A,541B,541C,541D)それぞれの画素信号を順次垂直信号線543へ出力するようになっている。複数の画素541に1の画素回路210が接続されており、この複数の画素541の画素信号が、1の画素回路210により時分割で出力される態様を、「複数の画素541が1の画素回路210を共有する」という。
【0034】
画素541A,541B,541C,541Dは、互いに共通の構成要素を有している。以降、画素541A,541B,541C,541Dの構成要素を互いに区別するために、画素541Aの構成要素の符号の末尾には識別番号1、画素541Bの構成要素の符号の末尾には識別番号2、画素541Cの構成要素の符号の末尾には識別番号3、画素541Dの構成要素の符号の末尾には識別番号4を付与する。画素541A,541B,541C,541Dの構成要素を互いに区別する必要のない場合には、画素541A,541B,541C,541Dの構成要素の符号の末尾の識別番号を省略する。
【0035】
画素541A,541B,541C,541Dは、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRと、転送トランジスタTRに電気的に接続されたフローティングディフュージョンFDとを有している。フォトダイオードPD(PD1,PD2,PD3,PD4)では、カソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、アノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。フォトダイオードPDは、入射した光を光電変換し、その受光量に応じた電荷を発生する。転送トランジスタTR(転送トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4)は、例えば、n型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。転送トランジスタTRでは、ドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、ゲートが駆動信号線に電気的に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542(
図1参照)のうちの一部である。転送トランジスタTRは、フォトダイオードPDで発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへと転送する。フローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、p型半導体層中に形成されたn型拡散層領域である。フローティングディフュージョンFDは、フォトダイオードPDから転送された電荷を一時的に保持する電荷保持手段であり、かつ、その電荷量に応じた電圧を発生させる、電荷―電圧変換手段である。
【0036】
1の画素共有ユニット539に含まれる4つのフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、互いに電気的に接続されるとともに、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに電気的に接続されている。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインはリセットトランジスタRSTのソースに接続され、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。リセットトランジスタRSTのドレインは電源線VDDに接続され、リセットトランジスタRSTのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。増幅トランジスタAMPのゲートはフローティングディフュージョンFDに接続され、増幅トランジスタAMPのドレインは電源線VDDに接続され、増幅トランジスタAMPのソースは選択トランジスタSELのドレインに接続されている。選択トランジスタSELのソースは垂直信号線543に接続され、選択トランジスタSELのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。
【0037】
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)は、例えば、いわゆる縦型電極を含んでおり、後述の
図6に示すように、半導体層(後述の
図6の半導体層100S)の表面からPDに達する深さまで延在して設けられている。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、画素回路210からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELを介して垂直信号線543に接続されている。この増幅トランジスタAMPは、列信号処理部550において、垂直信号線543に接続された負荷回路部(
図1参照)とともにソースフォロアを構成している。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電圧を、垂直信号線543を介して列信号処理部550に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELは、例えば、N型のCMOSトランジスタである。
【0038】
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、フローティングディフュージョンFDでの電荷―電圧変換のゲインを変更する際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョンFDの容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョンFDで、フォトダイオードPDの電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンにしたときには、FD変換ゲイン切替トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、例えば、N型のCMOSトランジスタである。
【0039】
なお、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGを設けない構成も可能である。このとき、例えば、画素回路210は、例えば増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびリセットトランジスタRSTの3つのトランジスタで構成される。画素回路210は、例えば、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGなどの画素トランジスタの少なくとも1つを有する。
【0040】
選択トランジスタSELは、電源線VDDと増幅トランジスタAMPとの間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソースが増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが行駆動信号線542(
図1参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソース(画素回路210の出力端)が垂直信号線543に電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。なお、図示は省略するが、1の画素回路210を共有する画素541の数は、4以外であってもよい。例えば、2つまたは8つの画素541が1の画素回路210を共有してもよい。
【0041】
図5は、複数の画素共有ユニット539と、垂直信号線543との接続態様の一例を表したものである。例えば、列方向に並ぶ4つの画素共有ユニット539が4つのグループに分けられており、この4つのグループ各々に垂直信号線543が接続されている。
図5には、説明を簡単にするため、4つのグループが各々、1つの画素共有ユニット539を有する例を示したが、4つのグループが各々、複数の画素共有ユニット539を含んでいてもよい。このように、撮像装置1では、列方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539が、1つまたは複数の画素共有ユニット539を含むグループに分けられていてもよい。例えば、このグループそれぞれに、垂直信号線543および列信号処理部550が接続されており、それぞれのグループから画素信号を同時に読み出すことができるようになっている。あるいは、撮像装置1では、列方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539に1つの垂直信号線543が接続されていてもよい。このとき、1つの垂直信号線543に接続された複数の画素共有ユニット539から、時分割で順次画素信号が読み出されるようになっている。
【0042】
[撮像装置1の具体的構成]
図6は、撮像装置1の第1基板100、第1基板100および第3基板300の主面に対して垂直方向の断面構成の一例を表したものである。
図6は、構成要素の位置関係を分かりやすくするため、模式的に表したものであり、実際の断面と異なっていてもよい。撮像装置1では、第1基板100、第2基板200および第3基板300がこの順に積層されている。撮像装置1は、さらに、第1基板100の裏面側(光入射面側)に受光レンズ401を有している。受光レンズ401と第1基板100との間に、カラーフィルタ層(図示せず)が設けられていてもよい。受光レンズ401は、例えば、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。撮像装置1は、例えば、裏面照射型の撮像装置である。撮像装置1は、中央部に配置された画素アレイ部540と、画素アレイ部540の外側に配置された周辺部540Bとを有している。
【0043】
第1基板100は、受光レンズ401側から順に、絶縁膜111、固定電荷膜112、半導体層100Sおよび配線層100Tを有している。半導体層100Sは、例えばシリコン基板により構成されている。半導体層100Sは、例えば、表面(配線層100T側の面)の一部およびその近傍に、pウェル層115を有しており、それ以外の領域(pウェル層115よりも深い領域)に、n型半導体領域114を有している。例えば、このn型半導体領域114およびpウェル層115によりpn接合型のフォトダイオードPDが構成されている。pウェル層115は、p型半導体領域である。
【0044】
図7Aは、第1基板100の平面構成の一例を表したものである。
図7Aは、主に、第1基板100の画素分離部117、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118および転送トランジスタTRの平面構成を表している。
図6とともに、
図7Aを用いて第1基板100の構成について説明する。
【0045】
半導体層100Sの表面近傍には、フローティングディフュージョンFDおよびVSSコンタクト領域118が設けられている。フローティングディフュージョンFDは、pウェル層115内に設けられたn型半導体領域により構成されている。画素541A,541B,541C,541D各々のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、例えば、画素共有ユニット539の中央部に互いに近接して設けられている(
図7A)。詳細は後述するが、この画素共有ユニット539に含まれる4つのフローティングディフュージョン(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、第1基板100内(より具体的には配線層100Tの内)で、電気的接続手段(後述のパッド部120)を介して互いに電気的に接続されている。更に、フローティングディフュージョンFDは、第1基板100から第2基板200へ(より具体的には、配線層100Tから配線層200Tへ)と電気的手段(後述の貫通電極120E)を介して接続されている。第2基板200(より具体的には配線層200Tの内部)では、この電気的手段により、フローティングディフュージョンFDが、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに電気的に接続されている。
【0046】
VSSコンタクト領域118は、基準電位線VSSに電気的に接続される領域であり、フローティングディフュージョンFDと離間して配置されている。例えば、画素541A,541B,541C,541Dでは、各画素のV方向の一端にフローティングディフュージョンFDが配置され、他端にVSSコンタクト領域118が配置されている(
図7A)。VSSコンタクト領域118は、例えば、p型半導体領域により構成されている。VSSコンタクト領域118は、例えば接地電位や固定電位に接続されている。これにより、半導体層100Sに基準電位が供給される。
【0047】
第1基板100には、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFDおよびVSSコンタクト領域118とともに、転送トランジスタTRが設けられている。このフォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118および転送トランジスタTRは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。転送トランジスタTRは、半導体層100Sの表面側(光入射面側とは反対側、第2基板200側)に設けられている。転送トランジスタTRは、転送ゲートTGを有している。転送ゲートTGは、例えば、半導体層100Sの表面に対向する水平部分TGbと、半導体層100S内に設けられた垂直部分TGaとを含んでいる。垂直部分TGaは、半導体層100Sの厚み方向に延在している。垂直部分TGaの一端は水平部分TGbに接し、他端はn型半導体領域114内に設けられている。転送トランジスタTRを、このような縦型トランジスタにより構成することにより、画素信号の転送不良が生じにくくなり、画素信号の読み出し効率を向上させることができる。
【0048】
転送ゲートTGの水平部分TGbは、垂直部分TGaに対向する位置から例えば、H方向において画素共有ユニット539の中央部に向かって延在している(
図7A)。これにより、転送ゲートTGに達する貫通電極(後述の貫通電極TGV)のH方向の位置を、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118に接続される貫通電極(後述の貫通電極120E,121E)のH方向の位置に近づけることができる。例えば、第1基板100に設けられた複数の画素共有ユニット539は、互いに同じ構成を有している(
図7A)。
【0049】
半導体層100Sには、画素541A,541B,541C,541Dを互いに分離する画素分離部117が設けられている。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向(半導体層100Sの表面に対して垂直な方向)に延在して形成されている。画素分離部117は、画素541A,541B,541C,541Dを互いに仕切るように設けられており、例えば格子状の平面形状を有している(
図7A,
図7B)。画素分離部117は、例えば、画素541A,541B,541C,541Dを互いに電気的および光学的に分離する。画素分離部117は、例えば、遮光膜117Aおよび絶縁膜117Bを含んでいる。遮光膜117Aには、例えば、タングステン(W)等が用いられる。絶縁膜117Bは、遮光膜117Aとpウェル層115またはn型半導体領域114との間に設けられている。絶縁膜117Bは、例えば、酸化シリコン(SiO)によって構成されている。画素分離部117は、例えば、FTI(Full Trench Isolation)構造を有しており、半導体層100Sを貫通している。図示しないが、画素分離部117は半導体層100Sを貫通するFTI構造に限定されない。例えば、半導体層100Sを貫通しないDTI(Deep Trench Isolation)構造であっても良い。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向に延在して、半導体層100Sの一部の領域に形成される。
【0050】
半導体層100Sには、例えば、第1ピニング領域113および第2ピニング領域116が設けられている。第1ピニング領域113は、半導体層100Sの裏面近傍に設けられており、n型半導体領域114と固定電荷膜112との間に配置されている。第2ピニング領域116は、画素分離部117の側面、具体的には、画素分離部117とpウェル層115またはn型半導体領域114との間に設けられている。第1ピニング領域113および第2ピニング領域116は、例えば、p型半導体領域により構成されている。
【0051】
半導体層100Sと絶縁膜111との間には、負の固定電荷を有する固定電荷膜112が設けられている。固定電荷膜112が誘起する電界により、半導体層100Sの受光面(裏面)側の界面に、ホール蓄積層の第1ピニング領域113が形成される。これにより、半導体層100Sの受光面側の界面準位に起因した暗電流の発生が抑えられる。固定電荷膜112は、例えば、負の固定電荷を有する絶縁膜によって形成されている。この負の固定電荷を有する絶縁膜の材料としては、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化タンタルが挙げられる。
【0052】
固定電荷膜112と絶縁膜111との間には、遮光膜117Aが設けられている。この遮光膜117Aは、画素分離部117を構成する遮光膜117Aと連続して設けられていてもよい。この固定電荷膜112と絶縁膜111との間の遮光膜117Aは、例えば、半導体層100S内の画素分離部117に対向する位置に選択的に設けられている。絶縁膜111は、この遮光膜117Aを覆うように設けられている。絶縁膜111は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
【0053】
半導体層100Sと第2基板200との間に設けられた配線層100Tは、半導体層100S側から、層間絶縁膜119、パッド部120,121、パッシベーション膜122、層間絶縁膜123および接合膜124をこの順に有している。転送ゲートTGの水平部分TGbは、例えば、この配線層100Tに設けられている。層間絶縁膜119は、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられており、半導体層100Sに接している。層間絶縁膜119は、例えば酸化シリコン膜により構成されている。なお、配線層100Tの構成は上述の限りでなく、配線と絶縁膜とを有する構成であれば良い。
【0054】
図7Bは、
図7Aに示した平面構成とともに、パッド部120,121の構成を表している。パッド部120,121は、層間絶縁膜119上の選択的な領域に設けられている。パッド部120は、画素541A,541B,541C,541D各々のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)を互いに接続するためのものである。パッド部120は、例えば、画素共有ユニット539毎に、平面視で画素共有ユニット539の中央部に配置されている(
図7B)。このパッド部120は、画素分離部117を跨ぐように設けられており、フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4各々の少なくとも一部に重畳して配置されている(
図6,
図7B)。具体的には、パッド部120は、画素回路210を共有する複数のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)各々の少なくとも一部と、その画素回路210を共有する複数のフォトダイオードPD(フォトダイオードPD1,PD2,PD3,PD4)の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sの表面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。層間絶縁膜119には、パッド部120とフローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4とを電気的に接続するための接続ビア120Cが設けられている。接続ビア120Cは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。例えば、接続ビア120Cにパッド部120の一部が埋め込まれることにより、パッド部120とフローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4とが電気的に接続されている。
【0055】
パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118を互いに接続するためのものである。例えば、V方向に隣り合う一方の画素共有ユニット539の画素541C,541Dに設けられたVSSコンタクト領域118と、他方の画素共有ユニット539の画素541A,541Bに設けられたVSSコンタクト領域118とがパッド部121により電気的に接続されている。パッド部121は、例えば、画素分離部117を跨ぐように設けられており、これら4つのVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部に重畳して配置されている。具体的には、パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部と、その複数のVSSコンタクト領域118の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sの表面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。層間絶縁膜119には、パッド部121とVSSコンタクト領域118とを電気的に接続するための接続ビア121Cが設けられている。接続ビア121Cは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。例えば、接続ビア121Cにパッド部121の一部が埋め込まれることにより、パッド部121とVSSコンタクト領域118とが電気的に接続されている。例えば、V方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539各々のパッド部120およびパッド部121は、H方向において略同じ位置に配置されている(
図7B)。
【0056】
パッド部120を設けることで、チップ全体において、各フローティングディフュージョンFDから画素回路210(例えば増幅トランジスタAMPのゲート電極)へ接続するための配線を減らすことができる。同様に、パッド部121を設けることで、チップ全体において、各VSSコンタクト領域118への電位を供給する配線を減らすことができる。これにより、チップ全体の面積の縮小、微細化された画素における配線間の電気的干渉の抑制、及び/又は部品点数の削減によるコスト削減などが可能になる。
【0057】
パッド部120、121は、第1基板100、第2基板200の所望の位置に設けることができる。具体的には、パッド部120、121を配線層100T、半導体層200Sの絶縁領域212のいずれかに設けることができる。配線層100Tに設ける場合には、パッド部120、121を半導体層100Sに直接接触させても良い。具体的には、パッド部120、121が、フローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118の各々の少なくとも一部と直接接続される構成でも良い。また、パッド部120、121に接続するフローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118の各々から接続ビア120C,121Cを設け、配線層100T、半導体層200Sの絶縁領域2112の所望の位置にパッド部120、121を設ける構成でも良い。
【0058】
特に、パッド部120、121を配線層100Tに設ける場合には、半導体層200Sの絶縁領域212におけるフローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118に接続される配線を減らすことができる。これにより、画素回路210を形成する第2基板200のうち、フローティングディフュージョンFDから画素回路210に接続するための貫通配線を形成するための絶縁領域212の面積を削減することができる。よって、画素回路210を形成する第2基板200の面積を大きく確保することができる。画素回路210の面積を確保することで、画素トランジスタを大きく形成することができ、ノイズ低減などによる画質向上に寄与することができる。
【0059】
特に、画素分離部117にFTI構造を用いた場合、フローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118は、各画素541に設けることが好ましいため、パッド部120、121の構成を用いることで、第1基板100と第2基板200とを接続する配線を大幅に削減することができる。
【0060】
また、
図7Bのように、例えば複数のフローティングディフュージョンFDが接続されるパッド部120と、複数のVSSコンタクト領域118が接続されるパッド部121とは、V方向において直線状に交互に配置される。また、パッド部120、121は、複数のフォトダイオードPDや、複数の転送ゲートTGや、複数のフローティングディフュージョンFDに囲まれる位置に形成される。これにより、複数の素子を形成する第1基板100において、フローティングディフュージョンFDとVSSコンタクト領域118以外の素子を自由に配置することができ、チップ全体のレイアウトの効率化を図ることができる。また、各画素共有ユニット539に形成される素子のレイアウトにおける対称性が確保され、各画素541の特性のばらつきを抑えることができる。
【0061】
パッド部120,121は、例えば、ポリシリコン(Poly Si)、より具体的には、不純物が添加されたドープドポリシリコンにより構成されている。パッド部120,121はポリシリコン、タングステン(W)、チタン(Ti)および窒化チタン(TiN)等の耐熱性の高い導電性材料により構成されていることが好ましい。これにより、第1基板100に第2基板200の半導体層200Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成することが可能となる。以下、この理由について説明する。なお、以下の説明において、第1基板100と第2基板200の半導体層200Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成する方法を、第1の製造方法と呼ぶ。
【0062】
ここで、第2基板200に画素回路210を形成した後に、これを第1基板100に貼り合わせることも考え得る(以下第2の製造方法という)。この第2の製造方法では、第1基板100の表面(配線層100Tの表面)および第2基板200の表面(配線層200Tの表面)それぞれに、電気的接続用の電極を予め形成しておく。第1基板100と第2基板200を貼り合わせると、これと同時に、第1基板100の表面と第2基板200の表面のそれぞれに形成された電気的接続用の電極同士が接触する。これにより、第1基板100に含まれる配線と第2基板200に含まれる配線との間で電気的接続が形成される。よって、第2の製造方法を用いた撮像装置1の構成とすることで、例えば第1基板100と第2基板200の各々の構成に応じて適切なプロセスを用いて製造することができ、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。
【0063】
このような第2の製造方法では、第1基板100と第2基板200とを貼り合わせる際に、貼り合せ用の製造装置に起因して、位置合わせの誤差が生じることがある。また、第1基板100および第2基板200は、例えば、直径数十cm程度の大きさを有するが、第1基板100と第2基板200とを貼り合わせる際に、この第1基板100、第2基板200各部の微視的領域で、基板の伸び縮みが発生するおそれがある。この基板の伸び縮みは、基板同士が接触するタイミングが多少ずれることに起因する。このような第1基板100および第2基板200の伸び縮みに起因して、第1基板100の表面および第2基板200の表面それぞれに形成された電気的接続用の電極の位置に、誤差が生じることがある。第2の製造方法では、このような誤差が生じても、第1基板100および第2基板200それぞれの電極同士が接触するように対処しておくことが好ましい。具体的には、第1基板100および第2基板200の電極の少なくとも一方、好ましくは両方を、上記誤差を考慮して大きくしておく。このため、第2の製造方法を用いると、例えば、第1基板100または第2基板200の表面に形成された電極の大きさ(基板平面方向の大きさ)が、第1基板100または第2基板200の内部から表面に厚み方向へ延在する内部電極の大きさよりも大きくなる。
【0064】
一方、パッド部120,121を耐熱性の導電材料により構成することで、上記第1の製造方法を用いることが可能となる。第1の製造方法では、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRなどを含む第1基板100を形成した後、この第1基板100と第2基板200(半導体層2000S)とを貼り合わせる。このとき、第2基板200は、画素回路210を構成する能動素子および配線層などのパターンは未形成の状態である。第2基板200はパターンを形成する前の状態であるため、仮に、第1基板100と第2基板200を貼り合わせる際、その貼り合せ位置に誤差が生じたとしても、この貼り合せ誤差によって、第1基板100のパターンと第2基板200のパターンとの間の位置合わせに誤差が生じることはない。なぜならば、第2基板200のパターンは、第1基板100と第2基板200を貼り合わせた後に、形成するからである。なお、第2基板にパターンを形成する際には、例えば、パターン形成のための露光装置において、第1基板に形成されたパターンを位置合わせの対象としながらパターン形成する。上記理由により、第1基板100と第2基板200との貼り合せ位置の誤差は、第1の製造方法においては、撮像装置1を製造する上で問題とならない。同様の理由で、第2の製造方法で生じる基板の伸び縮みに起因した誤差も、第1の製造方法においては、撮像装置1を製造する上で問題とならない。
【0065】
第1の製造方法では、このようにして第1基板100と第2基板200(半導体層200S)とを貼り合せた後、第2基板200上に能動素子を形成する。この後、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(
図6)を形成する。この貫通電極120E,121E,TGVの形成では、例えば、第2基板200の上方から、露光装置による縮小投影露光を用いて貫通電極のパターンを形成する。縮小露光投影を用いるため、仮に、第2基板200と露光装置との位置合わせに誤差が生じても、その誤差の大きさは、第2基板200においては、上記第2の製造方法の誤差の数分の一(縮小露光投影倍率の逆数)にしかならない。よって、第1の製造方法を用いた撮像装置1の構成とすることで、第1基板100と第2基板200の各々に形成される素子同士の位置合わせが容易になり、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。
【0066】
このような第1の製造方法を用いて製造された撮像装置1は、第2の製造方法で製造された撮像装置と異なる特徴を有する。具体的には、第1の製造方法により製造された撮像装置1では、例えば、貫通電極120E,121E,TGVが、第2基板200から第1基板100に至るまで、略一定の太さ(基板平面方向の大きさ)となっている。あるいは、貫通電極120E,121E,TGVがテーパー形状を有するときには、一定の傾きのテーパー形状を有している。このような貫通電極120E,121E,TGVを有する撮像装置1は、画素541を微細化しやすい。
【0067】
ここで、第1の製造方法により撮像装置1を製造すると、第1基板100と第2基板200(半導体層200S)とを貼り合わせた後に、第2基板200に能動素子を形成するので、第1基板100にも、能動素子の形成の際に必要な加熱処理の影響が及ぶことになる。このため、上記のように、第1基板100に設けられたパッド部120,121には、耐熱性の高い導電材料を用いることが好ましい。例えば、パッド部120,121には、第2基板200の配線層200Tに含まれる配線材の少なくとも一部よりも、融点の高い(すなわち耐熱性の高い)材料を用いていることが好ましい。例えば、パッド部120,121にドープトポリシリコン、タングステン、チタンあるいは窒化チタン等の耐熱性の高い導電材を用いる。これにより、上記第1の製造方法を用いて撮像装置1を製造することが可能となる。
【0068】
パッシベーション膜122は、例えば、パッド部120,121を覆うように、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられている(
図6)。パッシベーション膜122は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜により構成されている。層間絶縁膜123は、パッシベーション膜122を間にしてパッド部120,121を覆っている。この層間絶縁膜123は、例えば、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられている。層間絶縁膜123は、例えば酸化シリコン(SiO)膜により構成されている。接合膜124は、第1基板100(具体的には配線層100T)と第2基板200との接合面に設けられている。即ち、接合膜124は、第2基板200に接している。この接合膜124は、第1基板100の主面全面にわたって設けられている。接合膜124は、例えば、窒化シリコン膜により構成されている。
【0069】
受光レンズ401は、例えば、固定電荷膜112および絶縁膜111を間にして半導体層100Sに対向している(
図6)。受光レンズ401は、例えば画素541A,541B,541C,541D各々のフォトダイオードPDに対向する位置に設けられている。
【0070】
第2基板200は、第1基板100側から、半導体層200Sおよび配線層200Tをこの順に有している。半導体層200Sは、シリコン基板で構成されている。半導体層200Sでは、厚み方向にわたって、ウェル領域211が設けられている。ウェル領域211は、例えば、p型半導体領域である。第2基板200には、画素共有ユニット539毎に配置された画素回路210が設けられている。この画素回路210は、例えば、半導体層200Sの表面側(配線層200T側)に設けられている。撮像装置1では、第1基板100の表面側(配線層100T側)に第2基板200の裏面側(半導体層200S側)が向かうようにして、第2基板200が第1基板100に貼り合わされている。つまり、第2基板200は、第1基板100に、フェイストゥーバックで貼り合わされている。
【0071】
図8~
図12は、第2基板200の平面構成の一例を模式的に表している。
図8には、半導体層200Sの表面近傍に設けられた画素回路210の構成を表す。
図9は、配線層200T(具体的には後述の第1配線層W1)と、配線層200Tに接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表している。
図10~
図12は、配線層200Tの平面構成の一例を表している。以下、
図6とともに、
図8~
図12を用いて第2基板200の構成について説明する。
図8および
図9ではフォトダイオードPDの外形(画素分離部117とフォトダイオードPDとの境界)を破線で表し、画素回路210を構成する各トランジスタのゲート電極に重なる部分の半導体層200Sと素子分離領域213または絶縁領域214との境界を点線で表す。増幅トランジスタAMPのゲート電極に重なる部分では、チャネル幅方向の一方に、半導体層200Sと素子分離領域213との境界、および素子分離領域213と絶縁領域212との境界が設けられている。
【0072】
第2基板200には、半導体層200Sを分断する絶縁領域212と、半導体層200Sの厚み方向の一部に設けられた素子分離領域213とが設けられている(
図6)。例えば、H方向に隣り合う2つの画素回路210の間に設けられた絶縁領域212に、この2つの画素回路210に接続された2つの画素共有ユニット539の貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(貫通電極TGV1,TGV2,TGV3,TGV4)が配置されている(
図9)。
【0073】
絶縁領域212は、半導体層200Sの厚みと略同じ厚みを有している(
図6)。半導体層200Sは、この絶縁領域212により分断されている。この絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVが配置されている。絶縁領域212は、例えば酸化シリコンにより構成されている。
【0074】
貫通電極120E,121Eは、絶縁領域212を厚み方向に貫通して設けられている。貫通電極120E,121Eの上端は、配線層200Tの配線(後述の第1配線層W1,第2配線層W2,第3配線層W3,第4配線層W4)に接続されている。この貫通電極120E,121Eは、絶縁領域212、接合膜124、層間絶縁膜123およびパッシベーション膜122を貫通して設けられ、その下端はパッド部120,121に接続されている(
図6)。貫通電極120Eは、パッド部120と画素回路210とを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極120Eにより、第1基板100のフローティングディフュージョンFDが第2基板200の画素回路210に電気的に接続される。貫通電極121Eは、パッド部121と配線層200Tの基準電位線VSSとを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極121Eにより、第1基板100のVSSコンタクト領域118が第2基板200の基準電位線VSSに電気的に接続される。
【0075】
貫通電極TGVは、絶縁領域212を厚み方向に貫通して設けられている。貫通電極TGVの上端は、配線層200Tの配線に接続されている。この貫通電極TGVは、絶縁領域212、接合膜124、層間絶縁膜123、パッシベーション膜122および層間絶縁膜119を貫通して設けられ、その下端は転送ゲートTGに接続されている(
図6)。このような貫通電極TGVは、画素541A,541B,541C,541D各々の転送ゲートTG(転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4)と、配線層200Tの配線(行駆動信号線542の一部、具体的には、後述の
図11の配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4)とを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極TGVにより、第1基板100の転送ゲートTGが第2基板200の配線TRGに電気的に接続され、転送トランジスタTR(転送トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4)各々に駆動信号が送られるようになっている。
【0076】
絶縁領域212は、第1基板100と第2基板200とを電気的に接続するための前記貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVを、半導体層200Sと絶縁して設けるための領域である。例えば、H方向に隣り合う2つの画素回路210(画素共有ユニット539)の間に設けられた絶縁領域212に、この2つの画素回路210に接続された貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(貫通電極TGV1,TGV2,TGV3,TGV4)が配置されている。絶縁領域212は、例えば、V方向に延在して設けられている(
図8,
図9)。ここでは、転送ゲートTGの水平部分TGbの配置を工夫することにより、垂直部分TGaの位置に比べて、貫通電極TGVのH方向の位置が貫通電極120E,121EのH方向の位置に近づくように配置されている(
図7A,
図9)。例えば、貫通電極TGVは、H方向において、貫通電極120E,120Eと略同じ位置に配置されている。これにより、V方向に延在する絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVをまとめて設けることができる。別の配置例として、垂直部分TGaに重畳する領域のみに水平部分TGbを設けることも考え得る。この場合には、垂直部分TGaの略直上に貫通電極TGVが形成され、例えば、各画素541のH方向およびV方向の略中央部に貫通電極TGVが配置される。このとき、貫通電極TGVのH方向の位置と貫通電極120E,121EのH方向の位置とが大きくずれる。貫通電極TGVおよび貫通電極120E,121Eの周囲には、近接する半導体層200Sから電気的に絶縁するため、例えば、絶縁領域212を設ける。貫通電極TGVのH方向の位置と貫通電極120E,121EのH方向の位置とが大きく離れる場合には、貫通電極120E,121E,TGV各々の周囲に絶縁領域212を独立して設けることが必要となる。これにより、半導体層200Sが細かく分断されることになる。これに比べ、V方向に延在する絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVをまとめて配置するレイアウトは、半導体層200SのH方向の大きさを大きくすることができる。よって、半導体層200Sにおける半導体素子形成領域の面積を大きく確保することができる。これにより、例えば、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0077】
画素共有ユニット539は、
図4を参照して説明したように、複数の画素541のそれぞれに設けられたフローティングディフュージョンFDの間を電気的に接続し、これら複数の画素541が1つの画素回路210を共有する構造を有している。そして、前記フローティングディフュージョンFD間の電気的接続は、第1基板100に設けられたパッド部120によってなされている(
図6、
図7B)。第1基板100に設けられた電気的接続部(パッド部120)と第2基板200に設けられた画素回路210は、1つの貫通電極120Eを介して電気的に接続されている。別の構造例として、フローティングディフュージョンFD間の電気的接続部を第2基板200に設けることも考え得る。この場合、画素共有ユニット539には、フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4各々に接続される4つの貫通電極が設けられる。したがって、第2基板200において、半導体層200Sを貫通する貫通電極の数が増え、これら貫通電極の周囲を絶縁する絶縁領域212が大きくなる。これに比べ、第1基板100にパッド部120を設ける構造(
図6,
図7B)は、貫通電極の数を減らし、絶縁領域212を小さくすることができる。よって、半導体層200Sにおける半導体素子形成領域の面積を大きく確保することができる。これにより、例えば、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0078】
素子分離領域213は、半導体層200Sの表面側に設けられている。素子分離領域213は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有している。この素子分離領域213では、半導体層200Sが厚み方向(第2基板200の主面に対して垂直方向)に掘り込まれており、この掘り込みに絶縁膜が埋め込まれている。この絶縁膜は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。素子分離領域213は、画素回路210を構成する複数のトランジスタ間を、画素回路210のレイアウトに応じて素子分離するものである。素子分離領域213の下方(半導体層200Sの深部)には、半導体層200S(具体的には、ウェル領域211)が延在している。
【0079】
ここで、
図7A,
図7Bおよび
図8を参照して、第1基板100での画素共有ユニット539の外形形状(基板平面方向の外形形状)と、第2基板200での画素共有ユニット539の外形形状との違いを説明する。
【0080】
撮像装置1では、第1基板100および第2基板200の両方にわたり、画素共有ユニット539が設けられている。例えば、第1基板100に設けられた画素共有ユニット539の外形形状と、第2基板200に設けられた画素共有ユニット539の外形形状とは互いに異なっている。
【0081】
図7A,
図7Bでは、画素541A,541B,541C,541Dの外形線を一点鎖線で表し、画素共有ユニット539の外形形状を太線で表している。例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、H方向に隣接して配置された2つの画素541(画素541A,541B)と、これにV方向に隣接して配置された2つの画素541(画素541C,541D)により構成されている。即ち、第1基板100の画素共有ユニット539は、隣接する2行×2列の4つの画素541により構成されており、第1基板100の画素共有ユニット539は、略正方形の外形形状を有している。画素アレイ部540では、このような画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、で隣接して配列されている。
【0082】
図8および
図9では、画素541A,541B,541C,541Dの外形線を一点鎖線で表し、画素共有ユニット539の外形形状を太線で表している。例えば、第2基板200の画素共有ユニット539の外形形状は、H方向において第1基板100の画素共有ユニット539よりも小さく、V方向において第1基板100の画素共有ユニット539よりも大きくなっている。例えば、第2基板200の画素共有ユニット539は、H方向には画素1個分に相当する大きさ(領域)で形成され、V方向には、画素4個分に相当する大きさで形成されている。即ち、第2基板200の画素共有ユニット539は、隣接する1行×4列に配列された画素に相当する大きさで形成されており、第2基板200の画素共有ユニット539は、略長方形の外形形状を有している。
【0083】
例えば、各画素回路210では、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGがこの順にV方向に並んで配置されている(
図8)。各画素回路210の外形形状を、上記のように、略長方形状に設けることにより、一方向(
図8ではV方向)に4つのトランジスタ(選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDG)を並べて配置することができる。これにより、増幅トランジスタAMPのドレインと、リセットトランジスタRSTのドレインとを一の拡散領域(電源線VDDに接続される拡散領域)で共有することができる。例えば、各画素回路210の形成領域を略正方形状に設けることも可能である(後述の
図21参照)。この場合には、一方向に沿って2つのトランジスタが配置され、増幅トランジスタAMPのドレインと、リセットトランジスタRSTのドレインとを一の拡散領域で共有することが困難となる。よって、画素回路210の形成領域を略長方形状に設けることにより、4つのトランジスタを近接して配置しやすくなり、画素回路210の形成領域を小さくすることができる。即ち、画素の微細化を行うことができる。また、画素回路210の形成領域を小さくすることが不要であるときには、増幅トランジスタAMPの形成領域を大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0084】
例えば、半導体層200Sの表面近傍には、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGに加えて、基準電位線VSSに接続されるVSSコンタクト領域218が設けられている。VSSコンタクト領域218は、例えば、p型半導体領域により構成されている。VSSコンタクト領域218は、配線層200Tの配線および貫通電極121Eを介して第1基板100(半導体層100S)のVSSコンタクト領域118に電気的に接続されている。このVSSコンタクト領域218は、例えば、素子分離領域213を間にして、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースと隣り合う位置に設けられている(
図8)。
【0085】
次に、
図7Bおよび
図8を参照して、第1基板100に設けられた画素共有ユニット539と第2基板200に設けられた画素共有ユニット539との位置関係を説明する。例えば、第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば
図7Bの紙面上側)の画素共有ユニット539は、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの一方(例えば、
図8の紙面左側)の画素共有ユニット539に接続されている。例えば、第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、他方(例えば
図7Bの紙面下側)の画素共有ユニット539は、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの他方(例えば、
図8の紙面右側)の画素共有ユニット539に接続されている。
【0086】
例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539では、一方の画素共有ユニット539の内部レイアウト(トランジスタ等の配置)が、他方の画素共有ユニット539の内部レイアウトをV方向およびH方向に反転させたレイアウトに略等しくなっている。以下、このレイアウトによって得られる効果を説明する。
【0087】
第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539では、各々のパッド部120が、画素共有ユニット539の外形形状の中央部、即ち、画素共有ユニット539のV方向およびH方向の中央部に配置される(
図7B)。一方、第2基板200の画素共有ユニット539は、上記のように、V方向に長い略長方形の外形形状を有しているので、例えば、パッド部120に接続される増幅トランジスタAMPは、画素共有ユニット539のV方向の中央から紙面上方にずれた位置に配置されている。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトが同じであるとき、一方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、パッド部120(例えば、
図7の紙面上側の画素共有ユニット539のパッド部120)との距離は比較的短くなる。しかし、他方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、パッド部120(例えば、
図7の紙面下側の画素共有ユニット539のパッド部120)との距離が長くなる。このため、この増幅トランジスタAMPとパッド部120との接続に要する配線の面積が大きくなり、画素共有ユニット539の配線レイアウトが複雑になるおそれがある。このことは、撮像装置1の微細化に影響を及ぼす可能性がある。
【0088】
これに対して、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539で、互いの内部レイアウトを少なくともV方向に反転させることにより、これら2つの画素共有ユニット539の両方の増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることができる。したがって、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトを同じにした構成と比べて、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。なお、第2基板200の複数の画素共有ユニット539各々の平面レイアウトは、
図8に記載の範囲では左右対称であるが、後述する
図9に記載の第1配線層W1のレイアウトまで含めると、左右非対称のものとなる。
【0089】
また、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトは、互いに、H方向にも反転されていることが好ましい。以下、この理由について説明する。
図9に示したように、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539はそれぞれ、第1基板100のパッド部120,121に接続されている。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のH方向の中央部(H方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の間)にパッド部120,121が配置されている。したがって、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトを、互いに、H方向にも反転させることにより、第2基板200の複数の画素共有ユニット539それぞれとパッド部120,121との距離を小さくすることができる。即ち、撮像装置1の微細化を更に行いやすくなる。
【0090】
また、第2基板200の画素共有ユニット539の外形線の位置は、第1基板100の画素共有ユニット539のいずれかの外形線の位置に揃っていなくてもよい。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば
図9の紙面左側)の画素共有ユニット539では、V方向の一方(例えば
図9の紙面上側)の外形線が、対応する第1基板100の画素共有ユニット539(例えば
図7Bの紙面上側)のV方向の一方の外形線の外側に配置されている。また、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、他方(例えば
図9の紙面右側)の画素共有ユニット539では、V方向の他方(例えば
図9の紙面下側)の外形線が、対応する第1基板100の画素共有ユニット539(例えば
図7Bの紙面下側)のV方向の他方の外形線の外側に配置されている。このように、第2基板200の画素共有ユニット539と、第1基板100の画素共有ユニット539とを互いに配置することにより、増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0091】
また、第2基板200の複数の画素共有ユニット539の間で、互いの外形線の位置は揃っていなくてもよい。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539は、V方向の外形線の位置がずれて配置されている。これにより、増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0092】
図7Bおよび
図9を参照して、画素アレイ部540での画素共有ユニット539の繰り返し配置について説明する。第1基板100の画素共有ユニット539は、H方向に2つ分の画素541の大きさ、およびV方向に2つ分の画素541の大きさを有している(
図7B)。例えば、第1基板100の画素アレイ部540では、この4つの画素541に相当する大きさの画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、で隣接して繰り返し配列されている。あるいは、第1基板100の画素アレイ部540に、画素共有ユニット539がV方向に2つ隣接して配置された一対の画素共有ユニット539が設けられていてもよい。第1基板100の画素アレイ部540では、例えば、この一対の画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ4画素ピッチ(画素541の4つ分に相当するピッチ)、で隣接して繰り返し配列している。第2基板200の画素共有ユニット539は、H方向に1つ分の画素541の大きさ、およびV方向に4つ分の画素541の大きさを有している(
図9)。例えば、第2基板200の画素アレイ部540には、この4つの画素541に相当する大きさの画素共有ユニット539を2つ含む、一対の画素共有ユニット539が設けられている。この画素共有ユニット539は、H方向に隣接して配置され、かつ、V方向にはずらして配置されている。第2基板200の画素アレイ部540では、例えば、この一対の画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ4画素ピッチ(画素541の4個分に相当するピッチ)、で隙間なく隣接して繰り返し配列されている。このような画素共有ユニット539の繰り返し配置により、画素共有ユニット539を隙間なく配置することが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0093】
増幅トランジスタAMPは、例えば、Fin型等の三次元構造を有していることが好ましい(
図6)。これにより、実効のゲート幅の大きさが大きくなり、ノイズを抑えることが可能となる。選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、例えば、プレーナー構造を有している。増幅トランジスタAMPがプレーナー構造を有していてもよい。あるいは、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTまたはFD変換ゲイン切替トランジスタFDGが、三次元構造を有していてもよい。
【0094】
配線層200Tは、例えば、パッシベーション膜221、層間絶縁膜222および複数の配線(第1配線層W1,第2配線層W2,第3配線層W3,第4配線層W4)を含んでいる。パッシベーション膜221は、例えば、半導体層200Sの表面に接しており、半導体層200Sの表面全面を覆っている。このパッシベーション膜221は、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDG各々のゲート電極を覆っている。層間絶縁膜222は、パッシベーション膜221と第3基板300との間に設けられている。この層間絶縁膜222により、複数の配線(第1配線層W1,第2配線層W2,第3配線層W3,第4配線層W4)が分離されている。層間絶縁膜222は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
【0095】
配線層200Tには、例えば、半導体層200S側から、第1配線層W1、第2配線層W2、第3配線層W3、第4配線層W4およびコンタクト部201,202がこの順に設けられ、これらが互いに層間絶縁膜222により絶縁されている。層間絶縁膜222には、第1配線層W1、第2配線層W2、第3配線層W3または第4配線層W4と、これらの下層とを接続する接続部が複数設けられている。接続部は、層間絶縁膜222に設けた接続孔に、導電材料を埋設した部分である。例えば、層間絶縁膜222には、第1配線層W1と半導体層200SのVSSコンタクト領域218とを接続する接続部218Vが設けられている。例えば、このような第2基板200の素子同士を接続する接続部の孔径は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径と異なっている。具体的には、第2基板200の素子同士を接続する接続孔の孔径は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径よりも小さくなっていることが好ましい。以下、この理由について説明する。配線層200T内に設けられた接続部(接続部218V等)の深さは、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの深さよりも小さい。このため接続部は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVに比べて、容易に接続孔へ導電材を埋めることができる。この接続部の孔径を、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径よりも小さくすることにより、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0096】
例えば、第1配線層W1により、貫通電極120Eと増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソース(具体的にはFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに達する接続孔)とが接続されている。第1配線層W1は、例えば、貫通電極121Eと接続部218Vとを接続しており、これにより、半導体層200SのVSSコンタクト領域218と半導体層100SのVSSコンタクト領域118とが電気的に接続される。
【0097】
次に、
図10~
図12を用いて、配線層200Tの平面構成について説明する。
図10は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表したものである。
図11は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表したものである。
図12は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表したものである。
【0098】
例えば、第3配線層W3は、H方向(行方向)に延在する配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4,SELL,RSTL,FDGLを含んでいる(
図11)。これらの配線は、
図4を参照して説明した複数の行駆動信号線542に該当する。配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4は各々、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に駆動信号を送るためのものである。配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4は各々、第2配線層W2、第1配線層W1および貫通電極120Eを介して転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に接続されている。配線SELLは選択トランジスタSELのゲートに、配線RSTLはリセットトランジスタRSTのゲートに、配線FDGLは、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲートに各々駆動信号を送るためのものである。配線SELL,RSTL,FDGLは各々、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して、選択トランジスタSEL,リセットトランジスタRST,FD変換ゲイン切替トランジスタFDG各々のゲートに接続されている。
【0099】
例えば、第4配線層W4は、V方向(列方向)に延在する電源線VDD、基準電位線VSSおよび垂直信号線543を含んでいる(
図12)。電源線VDDは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して増幅トランジスタAMPのドレインおよびリセットトランジスタRSTのドレインに接続されている。基準電位線VSSは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部218Vを介してVSSコンタクト領域218に接続されている。また、基準電位線VSSは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1、貫通電極121Eおよびパッド部121を介して第1基板100のVSSコンタクト領域118に接続されている。垂直信号線543は、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して選択トランジスタSELのソース(Vout)に接続されている。
【0100】
コンタクト部201,202は、平面視で画素アレイ部540に重なる位置に設けられていてもよく(例えば、
図3)、あるいは、画素アレイ部540の外側の周辺部540Bに設けられていてもよい(例えば、
図6)。コンタクト部201,202は、第2基板200の表面(配線層200T側の面)に設けられている。コンタクト部201,202は、例えば、Cu(銅)およびAl(アルミニウム)などの金属により構成されている。コンタクト部201,202は、配線層200Tの表面(第3基板300側の面)に露出している。コンタクト部201,202は、第2基板200と第3基板300との電気的な接続および、第2基板200と第3基板300との貼り合わせに用いられる。
【0101】
図6には、第2基板200の周辺部540Bに周辺回路を設けた例を図示した。この周辺回路は、行駆動部520の一部または列信号処理部550の一部等を含んでいてもよい。また、
図3に記載のように、第2基板200の周辺部540Bには周辺回路を配置せず、接続孔部H1,H2を画素アレイ部540の近傍に配置するようにしてもよい。
【0102】
第3基板300は、例えば、第2基板200側から配線層300Tおよび半導体層300Sをこの順に有している。例えば、半導体層300Sの表面は、第2基板200側に設けられている。半導体層300Sは、シリコン基板で構成されている。この半導体層300Sの表面側の部分には、回路が設けられている。具体的には、半導体層300Sの表面側の部分には、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bのうちの少なくとも一部が設けられている。半導体層300Sと第2基板200との間に設けられた配線層300Tは、例えば、層間絶縁膜と、この層間絶縁膜により分離された複数の配線層と、コンタクト部301,302とを含んでいる。コンタクト部301,302は、配線層300Tの表面(第2基板200側の面)に露出されており、コンタクト部301は第2基板200のコンタクト部201に、コンタクト部302は第2基板200のコンタクト部202に各々接している。コンタクト部301,302は、半導体層300Sに形成された回路(例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bの少なくともいずれか)に電気的に接続されている。コンタクト部301,302は、例えば、Cu(銅)およびアルミニウム(Al)等の金属により構成されている。例えば、接続孔部H1を介して外部端子TAが入力部510Aに接続されており、接続孔部H2を介して外部端子TBが出力部510Bに接続されている。
【0103】
ここで、撮像装置1の特徴について説明する。
【0104】
一般に、撮像装置は、主な構成として、フォトダイオードと画素回路とからなる。ここで、フォトダイオードの面積を大きくすると光電変換の結果発生する電荷が増加し、その結果画素信号のシグナル/ノイズ比(S/N比)が改善し、撮像装置はよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。一方、画素回路に含まれるトランジスタのサイズ(特に増幅トランジスタのサイズ)を大きくすると、画素回路で発生するノイズが減少し、その結果撮像信号のS/N比が改善し、撮像装置はよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。
【0105】
しかし、フォトダイオードと画素回路とを同一の半導体基板に設けた撮像装置において、半導体基板の限られた面積の中でフォトダイオードの面積を大きくすると、画素回路に備わるトランジスタのサイズが小さくなってしまうことが考えられる。また、画素回路に備わるトランジスタのサイズを大きくすると、フォトダイオードの面積が小さくなってしまうことが考えられる。
【0106】
これらの課題を解決するために、例えば、本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する構造を用いる。これにより、半導体基板の限られた面積の中で、フォトダイオードPDの面積をできるだけ大きくすることと、画素回路210に備わるトランジスタのサイズをできるだけ大きくすることとを実現することができる。これにより、画素信号のS/N比を改善し、撮像装置1がよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。
【0107】
複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、これをフォトダイオードPDに重畳して配置する構造を実現する際、複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDから1つの画素回路210に接続される複数の配線が延在する。画素回路210を形成する第2基板200の面積を大きく確保するためには、例えばこれらの延在する複数の配線の間を相互に接続し、1つにまとめる接続配線を形成することができる。VSSコンタクト領域118から延在する複数の配線についても同様に、延在する複数の配線の間を相互に接続し、1つにまとめる接続配線を形成することができる。
【0108】
例えば、複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDから延在する複数の配線の間を相互に接続する接続配線を、画素回路210を形成する第2基板200において形成すると、画素回路210に含まれるトランジスタを形成する面積が小さくなってしまうことが考えられる。同様に、複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118から延在する複数の配線の間を相互接続して1つにまとめる接続配線を、画素回路210を形成する第2基板200に形成すると、これにより画素回路210に含まれるトランジスタを形成する面積が小さくなってしまうことが考えられる。
【0109】
これらの課題を解決するために、例えば本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する構造であって、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を第1基板100に設けた構造を備えることができる。
【0110】
ここで、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線とを、第1基板100に設けるための製造方法として、先に述べた第2の製造方法を用いると、例えば、第1基板100および第2基板200各々の構成に応じて適切なプロセスを用いて製造することができ、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。また、容易なプロセスで第1基板100および第2基板200の接続配線を形成することができる。具体的には、上記第2の製造方法を用いる場合、第1基板100と第2基板200の貼り合せ境界面となる第1基板100の表面と第2基板200の表面とに、フローティングディフュージョンFDに接続する電極とVSSコンタクト領域118に接続する電極とをそれぞれ設ける。さらに、第1基板100と第2基板200を貼り合せた際にこれら2つの基板表面に設けた電極間で位置ずれが発生してもこれら2つの基板表面に形成した電極同士が接触するように、これら2つの基板表面に形成する電極を大きくすることが好ましい。この場合、撮像装置1に備わる各画素の限られた面積の中に上記電極を配置することが難しくなってしまうことが考えられる。
【0111】
第1基板100と第2基板200の貼り合せ境界面に大きな電極が必要となる課題を解決するために、例えば本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する製造方法として、先に述べた第1の製造方法を用いることができる。これにより、第1基板100および第2基板200各々に形成される素子同士の位置合わせが容易になり、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。さらに、この製造方法を用いることによって生じる固有の構造を備えることができる。すなわち、第1基板100の半導体層100Sと配線層100Tと第2基板200の半導体層200Sと配線層200Tをこの順で積層した構造、言い換えれば、第1基板100と第2基板200をフェイストゥーバックで積層した構造を備え、かつ、第2基板200の半導体層200Sの表面側から、半導体層200Sと第1基板100の配線層100Tを貫通して、第1基板100の半導体層100Sの表面へと至る、貫通電極120E,121Eを備える。
【0112】
前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を第1基板100に設けた構造において、この構造と第2基板200とを前記第1の製造方法を用いて積層し第2基板200に画素回路210を形成すると、画素回路210に備わる能動素子を形成する際に必要となる加熱処理の影響が、第1基板100に形成した上記接続配線に及んでしまう可能性がある。
【0113】
そこで、上記接続配線に対して、上記能動素子を形成する際の加熱処理の影響が及んでしまう課題を解決するために、本実施の形態の撮像装置1は、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFD同士を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、に耐熱性の高い導電材料を用いることが望ましい。具体的には、耐熱性の高い導電材料は、第2基板200の配線層200Tに含まれる配線材の少なくとも一部よりも、融点の高い材料を用いることができる。
【0114】
このように、例えば本実施の形態の撮像装置1は、(1)第1基板100と第2基板200をフェイストゥーバックで積層した構造(具体的には、第1基板100の半導体層100Sと配線層100Tと第2基板200の半導体層200Sと配線層200Tをこの順で積層する構造)と、(2)第2基板200の半導体層200Sの表面側から、半導体層200Sと第1基板100の配線層100Tを貫通して、第1基板100の半導体層100Sの表面へと至る、貫通電極120E,121Eを設けた構造と、(3)複数の画素541のそれぞれに備わるフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を耐熱性の高い導電材料で形成した構造と、を備えることで、第1基板100と第2基板200との界面に大きな電極を備えることなく、第1基板100に、複数の画素541のそれぞれに備わるフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を設けることを可能としている。
【0115】
[撮像装置1の動作]
次に、
図13および
図14を用いて撮像装置1の動作について説明する。
図13および
図14は、
図3に各信号の経路を表す矢印を追記したものである。
図13は、外部から撮像装置1に入力される入力信号と、電源電位および基準電位の経路を矢印で表したものである。
図14は、撮像装置1から外部に出力される画素信号の信号経路を矢印で表している。例えば、入力部510Aを介して撮像装置1に入力された入力信号(例えば、画素クロックおよび同期信号)は、第3基板300の行駆動部520へ伝送され、行駆動部520で行駆動信号が作り出される。この行駆動信号は、コンタクト部301,201を介して第2基板200に送られる。更に、この行駆動信号は、配線層200T内の行駆動信号線542を介して、画素アレイ部540の画素共有ユニット539各々に到達する。第2基板200の画素共有ユニット539に到達した行駆動信号のうち、転送ゲートTG以外の駆動信号は画素回路210に入力されて、画素回路210に含まれる各トランジスタが駆動される。転送ゲートTGの駆動信号は貫通電極TGVを介して第1基板100の転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に入力され、画素541A,541B,541C,541Dが駆動される(
図13)。また、撮像装置1の外部から、第3基板300の入力部510A(入力端子511)に供給された電源電位および基準電位は、コンタクト部301,201を介して第2基板200に送られ、配線層200T内の配線を介して、画素共有ユニット539各々の画素回路210に供給される。基準電位は、さらに貫通電極121Eを介して、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dへも供給される。一方、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dで光電変換された画素信号は、貫通電極120Eを介して画素共有ユニット539毎に第2基板200の画素回路210に送られる。この画素信号に基づく画素信号は、画素回路210から垂直信号線543およびコンタクト部202,302を介して第3基板300に送られる。この画素信号は、第3基板300の列信号処理部550および画像信号処理部560で処理された後、出力部510Bを介して外部に出力される。
【0116】
[効果]
本実施の形態では、画素541A,541B,541C,541D(画素共有ユニット539)と画素回路210とが互いに異なる基板(第1基板100および第2基板200)に設けられている。これにより、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210を同一基板に形成した場合と比べて、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210の面積を拡大することができる。その結果、光電変換により得られる画素信号の量を増大させ、かつ、画素回路210のトランジスタノイズを低減することが可能となる。これらにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1は、よりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。また、撮像装置1の微細化(言い換えれば、画素サイズの縮小および撮像装置1の小型化)が可能となる。撮像装置1は、画素サイズの縮小により、単位面積当たりの画素数を増加させることができ、高画質の画像を出力することができる。
【0117】
また、撮像装置1では、第1基板100および第2基板200が、絶縁領域212に設けられた貫通電極120E,121Eによって互いに電気的に接続されている。例えば、第1基板100と第2基板200とをパッド電極同士の接合により接続する方法や、半導体層を貫通する貫通配線(例えばTSV(Thorough Si Via))により接続する方法も考え得る。このような方法に比べて、絶縁領域212に貫通電極120E,121Eを設けることにより、第1基板100および第2基板200の接続に要する面積を小さくすることができる。これにより、画素サイズを縮小し、撮像装置1をより小型化することができる。また、1画素あたりの面積の更なる微細化により、解像度をより高くすることができる。チップサイズの小型化が不要なときには、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210の形成領域を拡大することができる。その結果、光電変換により得られる画素信号の量を増大させ、かつ、画素回路210に備わるトランジスタのノイズを低減することが可能となる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0118】
また、撮像装置1では、画素回路210と列信号処理部550および画像信号処理部560とが互いに異なる基板(第2基板200および第3基板300)に設けられている。これにより、画素回路210と列信号処理部550および画像信号処理部560とを同一基板に形成した場合と比べて、画素回路210の面積と、列信号処理部550および画像信号処理部560の面積とを拡大することができる。これにより、列信号処理部550で生じるノイズを低減したり、画像信号処理部560により高度な画像処理回路を搭載することが可能となる。よって、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0119】
また、撮像装置1では、画素アレイ部540が、第1基板100および第2基板200に設けられ、かつ、列信号処理部550および画像信号処理部560が第3基板300に設けられている。また、第2基板200と第3基板300とを接続するコンタクト部201,202,301,302は、画素アレイ部540の上方に形成されている。このため、コンタクト部201,202,301,302は、画素アレイに備わる各種配線からレイアウト上の干渉を受けずに自由にレイアウトにすることが可能となる。これにより、第2基板200と第3基板300との電気的な接続に、コンタクト部201,202,301,302を用いることが可能となる。コンタクト部201,202,301,302を用いることにより、例えば、列信号処理部550および画像信号処理部560はレイアウトの自由度が高くなる。これにより、列信号処理部550で生じるノイズを低減したり、画像信号処理部560により高度な画像処理回路を搭載することが可能となる。したがって、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0120】
また、撮像装置1では、画素分離部117が半導体層100Sを貫通している。これにより、1画素あたりの面積の微細化によって隣り合う画素(画素541A,541B,541C,541D)の距離が近づいた場合であっても、画素541A,541B,541C,541Dの間での混色を抑制できる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0121】
また、撮像装置1では、画素共有ユニット539毎に画素回路210が設けられている。これにより、画素541A,541B,541C,541D各々に画素回路210を設けた場合に比べて、画素回路210を構成するトランジスタ(増幅トランジスタAMP,リセットトランジスタRST,選択トランジスタSEL,FD変換ゲイン切替トランジスタFDG)の形成領域を大きくすることが可能となる。例えば、増幅トランジスタAMPの形成領域を大きくすることにより、ノイズを抑えることが可能となる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0122】
更に、撮像装置1では、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)を電気的に接続するパッド部120が、第1基板100に設けられている。これにより、このようなパッド部120を第2基板200に設ける場合に比べて、第1基板100と第2基板200とを接続する貫通電極(貫通電極120E)の数を減らすことができる。したがって、絶縁領域212を小さくし、画素回路210を構成するトランジスタの形成領域(半導体層200S)を十分な大きさで確保することができる。これにより、画素回路210に備わるトランジスタのノイズを低減することが可能となり、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0123】
以下、上記実施の形態に係る撮像装置1の変形例について説明する。以下の変形例では、上記実施の形態と共通の構成に同一の符号を付して説明する。
【0124】
2.変形例1
図15~
図19は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。
図15は、第2基板200の半導体層200Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図8に対応する。
図16は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図9に対応する。
図17は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図10に対応する。
図18は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図11に対応する。
図19は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図12に対応する。
【0125】
本変形例では、
図16に示したように、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば紙面右側)の画素共有ユニット539の内部レイアウトが、他方(例えば紙面左側)の画素共有ユニット539の内部レイアウトをH方向にのみ反転させた構成となっている。また、一方の画素共有ユニット539の外形線と他方の画素共有ユニット539の外形線との間のV方向のずれが、上記実施の形態で説明したずれ(
図9)よりも大きくなっている。このように、V方向のずれを大きくすることにより、他方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、これに接続されたパッド部120(
図7に記載のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの他方(紙面下側)のパッド部120)との間の距離を小さくすることができる。このようなレイアウトにより、
図15~
図19に記載の撮像装置1の変形例1は、H方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の平面レイアウトを互いにV方向に反転させることなく、その面積を、上記実施の形態で説明した第2基板200の画素共有ユニット539の面積と同じにすることができる。なお、第1基板100の画素共有ユニット539の平面レイアウトは、上記実施の形態で説明した平面レイアウト(
図7A,
図7B)と同じである。したがって、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と同様の効果を得ることができる。第2基板200の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。
【0126】
3.変形例2
図20~
図25は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。
図20は、第1基板100の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図7Aに対応する。
図21は、第2基板200の半導体層200Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図8に対応する。
図22は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図9に対応する。
図23は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図10に対応する。
図24は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図11に対応する。
図25は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図12に対応する。
【0127】
本変形例では、各画素回路210の外形が、略正方形の平面形状を有している(
図21等)。この点において、本変形例の撮像装置1の平面構成は、上記実施の形態で説明した撮像装置1の平面構成と異なっている。
【0128】
例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、上記実施の形態で説明したのと同様に、2行×2列の画素領域にわたって形成されており、略正方形の平面形状を有している(
図20)。例えば、各々の画素共有ユニット539では、一方の画素列の画素541Aおよび画素541Cの転送ゲートTG1,TG3の水平部分TGbが、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向において画素共有ユニット539の中央部に向かう方向(より具体的には、画素541A,541Cの外縁に向かう方向、かつ画素共有ユニット539の中央部に向かう方向)に延在し、他方の画素列の画素541Bおよび画素541Dの転送ゲートTG2,TG4の水平部分TGbが、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向において画素共有ユニット539の外側に向かう方向(より具体的には、画素541B,541Dの外縁に向かう方向、かつ画素共有ユニット539の外側に向かう方向)に延在している。フローティングディフュージョンFDに接続されたパッド部120は、画素共有ユニット539の中央部(画素共有ユニット539のH方向およびV方向の中央部)に設けられ、VSSコンタクト領域118に接続されたパッド部121は、少なくともH方向において(
図20ではH方向およびV方向において)画素共有ユニット539の端部に設けられている。
【0129】
別の配置例として、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4の水平部分TGbを垂直部分TGaに対向する領域のみに設けることも考え得る。このときには、上記実施の形態で説明したのと同様に、半導体層200Sが細かく分断されやすい。したがって、画素回路210のトランジスタを大きく形成することが困難となる。一方、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4の水平部分TGbを、上記変形例のように、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向に延在させると、上記実施の形態で説明したのと同様に、半導体層200Sの幅を大きくすることが可能となる。具体的には、転送ゲートTG1,TG3に接続された貫通電極TGV1,TGV3のH方向の位置を、貫通電極120EのH方向の位置に近接させて配置し、転送ゲートTG2,TG4に接続された貫通電極TGV2,TGV4のH方向の位置を、貫通電極121EのH方向の位置に近接して配置することが可能となる(
図22)。これにより、上記実施の形態で説明したのと同様に、V方向に延在する半導体層200Sの幅(H方向の大きさ)を大きくすることができる。よって、画素回路210のトランジスタのサイズ、特に増幅トランジスタAMPのサイズを大きくすることが可能となる。その結果、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0130】
第2基板200の画素共有ユニット539は、例えば、第1基板100の画素共有ユニット539のH方向およびV方向の大きさと略同じであり、例えば、略2行×2列の画素領域に対応する領域にわたって設けられている。例えば、各画素回路210では、V方向に延在する1の半導体層200Sに選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPがV方向に並んで配置され、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTがV方向に延在する1の半導体層200Sに、V方向に並んで配置されている。この選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPが設けられた1の半導体層200Sと、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTが設けられた1の半導体層200Sとは、絶縁領域212を介してH方向に並んでいる。この絶縁領域212はV方向に延在している(
図21)。
【0131】
ここで、第2基板200の画素共有ユニット539の外形について、
図21および
図22を参照して説明する。例えば、
図20に示した第1基板100の画素共有ユニット539は、パッド部120のH方向の一方(
図22の紙面左側)に設けられた増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELと、パッド部120のH方向の他方(
図22の紙面右側)に設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTとに接続されている。この増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTを含む第2基板200の画素共有ユニット539の外形は、次の4つの外縁により決まる。
【0132】
第1の外縁は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層200SのV方向の一端(
図22の紙面上側の端)の外縁である。この第1の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれる増幅トランジスタAMPと、この画素共有ユニット539のV方向の一方(
図22の紙面上側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれる選択トランジスタSELとの間に設けられている。より具体的には、第1の外縁は、これら増幅トランジスタAMPと選択トランジスタSELとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第2の外縁は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層200SのV方向の他端(
図22の紙面下側の端)の外縁である。この第2の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれる選択トランジスタSELと、この画素共有ユニット539のV方向の他方(
図22の紙面下側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれる増幅トランジスタAMPとの間に設けられている。より具体的には、第2の外縁は、これら選択トランジスタSELと増幅トランジスタAMPとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第3の外縁は、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層200SのV方向の他端(
図22の紙面下側の端)の外縁である。この第3の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれるFD変換ゲイン切替トランジスタFDGと、この画素共有ユニット539のV方向の他方(
図22の紙面下側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれるリセットトランジスタRSTとの間に設けられている。より具体的には、第3の外縁は、これらFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとリセットトランジスタRSTとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第4の外縁は、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層200SのV方向の一端(
図22の紙面上側の端)の外縁である。この第4の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれるリセットトランジスタRSTと、この画素共有ユニット539のV方向の一方(
図22の紙面上側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれるFD変換ゲイン切替トランジスタFDG(不図示)との間に設けられている。より具体的には、第4の外縁は、これらリセットトランジスタRSTとFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとの間の素子分離領域213(不図示)のV方向の中央部に設けられている。
【0133】
このような第1,第2,第3,第4の外縁を含む第2基板200の画素共有ユニット539の外形では、第1,第2の外縁に対して、第3,第4の外縁がV方向の一方側にずれて配置されている(言い換えればV方向の一方側にオフセットされている)。このようなレイアウトを用いることにより、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースをともに、パッド部120にできるだけ近接して配置することが可能となる。したがって、これらを接続する配線の面積を小さくし、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。なおVSSコンタクト領域218は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層200Sと、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層200Sとの間に設けられている。例えば、複数の画素回路210は、互いに同じ配置を有している。
【0134】
このような第2基板200を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。第2基板200の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。
【0135】
4.変形例3
図26~
図31は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。
図26は、第1基板100の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図7Bに対応する。
図27は、第2基板200の半導体層200Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図8に対応する。
図28は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図9に対応する。
図29は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図10に対応する。
図30は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図11に対応する。
図31は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図12に対応する。
【0136】
本変形例では、第2基板200の半導体層200Sが、H方向に延在している(
図28)。即ち、上記
図21等に示した撮像装置1の平面構成を90度回転させた構成に略対応している。
【0137】
例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、上記実施の形態で説明したのと同様に、2行×2列の画素領域にわたって形成されており、略正方形の平面形状を有している(
図26)。例えば、各々の画素共有ユニット539では、一方の画素行の画素541Aおよび画素541Bの転送ゲートTG1,TG2が、V方向において画素共有ユニット539の中央部に向かって延在し、他方の画素行の画素541Cおよび画素541Dの転送ゲートTG3,TG4が、V方向において画素共有ユニット539の外側方向に延在している。フローティングディフュージョンFDに接続されたパッド部120は、画素共有ユニット539の中央部に設けられ、VSSコンタクト領域118に接続されたパッド部121は、少なくともV方向において(
図26ではV方向およびH方向において)画素共有ユニット539の端部に設けられている。このとき、転送ゲートTG1,TG2の貫通電極TGV1,TGV2のV方向の位置が貫通電極120EのV方向の位置に近づき、転送ゲートTG3,TG4の貫通電極TGV3,TGV4のV方向の位置が貫通電極121EのV方向の位置に近づく(
図28)。したがって、上記実施の形態で説明したのと同様の理由により、H方向に延在する半導体層200Sの幅(V方向の大きさ)を大きくすることができる。よって、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0138】
各々の画素回路210では、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPがH方向に並んで配置され、選択トランジスタSELと絶縁領域212を間にしてV方向に隣り合う位置にリセットトランジスタRSTが配置されている(
図27)。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、リセットトランジスタRSTとH方向に並んで配置されている。VSSコンタクト領域218は、絶縁領域212に島状に設けられている。例えば、第3配線層W3はH方向に延在し(
図30)、第4配線層W4はV方向に延在している(
図31)。
【0139】
このような第2基板200を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。第2基板200の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態および変形例1で説明した半導体層200Sが、H方向に延在していてもよい。
【0140】
5.変形例4
図32は、上記実施の形態に係る撮像装置1の断面構成の一変形例を模式的に表したものである。
図32は、上記実施の形態で説明した
図3に対応する。本変形例では、撮像装置1が、コンタクト部201,202,301,302に加えて、画素アレイ部540の中央部に対向する位置にコンタクト部203,204,303,304を有している。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
【0141】
コンタクト部203,204は、第2基板200に設けられており、第3基板300との接合面の露出されている。コンタクト部303,304は、第3基板300に設けられており、第2基板200との接合面に露出されている。コンタクト部203は、コンタクト部303と接しており、コンタクト部204は、コンタクト部304と接している。即ち、この撮像装置1では、第2基板200と第3基板300とが、コンタクト部201,202,301,302に加えてコンタクト部203,204,303,304により接続されている。
【0142】
次に、
図33および
図34を用いてこの撮像装置1の動作について説明する。
図33には、外部から撮像装置1に入力される入力信号と、電源電位および基準電位の経路を矢印で表す。
図34には、撮像装置1から外部に出力される画素信号の信号経路を矢印で表している。例えば、入力部510Aを介して撮像装置1に入力された入力信号は、第3基板300の行駆動部520へ伝送され、行駆動部520で行駆動信号が作り出される。この行駆動信号は、コンタクト部303,203を介して第2基板200に送られる。更に、この行駆動信号は、配線層200T内の行駆動信号線542を介して、画素アレイ部540の画素共有ユニット539各々に到達する。第2基板200の画素共有ユニット539に到達した行駆動信号のうち、転送ゲートTG以外の駆動信号は画素回路210に入力されて、画素回路210に含まれる各トランジスタが駆動される。転送ゲートTGの駆動信号は貫通電極TGVを介して第1基板100の転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に入力され、画素541A,541B,541C,541Dが駆動される。また、撮像装置1の外部から、第3基板300の入力部510A(入力端子511)に供給された電源電位および基準電位は、コンタクト部303,203を介して第2基板200に送られ、配線層200T内の配線を介して、画素共有ユニット539各々の画素回路210に供給される。基準電位は、さらに貫通電極121Eを介して、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dへも供給される。一方、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dで光電変換された画素信号は、画素共有ユニット539毎に第2基板200の画素回路210に送られる。この画素信号に基づく画素信号は、画素回路210から垂直信号線543およびコンタクト部204,304を介して第3基板300に送られる。この画素信号は、第3基板300の列信号処理部550および画像信号処理部560で処理された後、出力部510Bを介して外部に出力される。
【0143】
このようなコンタクト部203,204,303,304を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。コンタクト部303,304を介した配線の接続先である、第3基板300の回路等の設計に応じてコンタクト部の位置および数等を変えることができる。
【0144】
6.変形例5
図35は、上記実施の形態に係る撮像装置1の断面構成の一変形例を表したものである。
図35は、上記実施の形態で説明した
図6に対応する。本変形例では、第1基板100にプレーナー構造を有する転送トランジスタTRが設けられている。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
【0145】
この転送トランジスタTRは、水平部分TGbのみにより転送ゲートTGが構成されている。換言すれば、転送ゲートTGは、垂直部分TGaを有しておらず、半導体層100Sに対向して設けられている。
【0146】
このようなプレーナー構造の転送トランジスタTRを有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。更に、第1基板100にプレーナー型の転送ゲートTGを設けることにより、縦型の転送ゲートTGを第1基板100に設ける場合に比べて、より半導体層100Sの表面近くまでフォトダイオードPDを形成し、これにより、飽和信号量(Qs)を増加させることも考え得る。また、第1基板100にプレーナー型の転送ゲートTGを形成する方法は、第1基板100に縦型の転送ゲートTGを形成する方法に比べて、製造工程数が少なく、製造工程に起因したフォトダイオードPDへの悪影響が生じにくい、とも考え得る。
【0147】
7.変形例6
図36は、上記実施の形態に係る撮像装置1の画素回路の一変形例を表したものである。
図36は、上記実施の形態で説明した
図4に対応する。本変形例では、1つの画素(画素541A)毎に画素回路210が設けられている。即ち、画素回路210は、複数の画素で共有されていない。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
【0148】
本変形例の撮像装置1は、画素541Aと画素回路210とを互いに異なる基板(第1基板100および第2基板200)に設ける点では、上記実施の形態で説明した撮像装置1と同じである。このため、本変形例に係る撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0149】
8.変形例7
図37は、上記実施の形態で説明した画素分離部117の平面構成の一変形例を表したものである。画素541A,541B,541C,541D各々を囲む画素分離部117に、隙間が設けられていてもよい。即ち、画素541A,541B,541C,541Dの全周が画素分離部117に囲まれていなくてもよい。例えば、画素分離部117の隙間は、パッド部120,121近傍に設けられている(
図7B参照)。
【0150】
上記実施の形態では、画素分離部117が半導体層100Sを貫通するFTI構造を有する例(
図6参照)を説明したが、画素分離部117はFTI構造以外の構成を有していてもよい。例えば、画素分離部117は、半導体層100Sを完全に貫通するように設けられていなくてもよく、いわゆる、DTI(Deep Trench Isolation)構造を有していてもよい。
【0151】
9.第2の実施形態
上述した第1の実施形態では、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量を利用して全体のFD容量Cを切り替えることで、状況に応じて変換効率Qsを切り替えて良好な画像データを得る場合について例示した。ただし、FD容量Cの切替えに利用可能な容量は、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量に限定されるものではない。なお、本説明において、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、切替トランジスタとも称される。
【0152】
そこで本実施形態では、FD容量Cの切替えに利用する容量のバリエーションについて、幾つか例を挙げて説明する。なお、以下の説明では、FD容量Cの切替えに用いる容量、すなわち、フローティングディフュージョンFDに対して接続/切断する容量を、subFD容量と称する。また、以下の説明では、簡略化のため、複数の画素(例えば、画素541A~541D)で1つの画素回路210を共有する画素共有構造を有しない場合、すなわち、1つの画素に対して1つの画素回路210が設けられた場合を例示するが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても同様に、以下で説明する各例を適用することが可能である。
【0153】
さらに、以下の説明において、上述した第1の実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。さらにまた、以下の説明では、画素541と画素回路210とを含む構成を、単位画素と称する。その場合、画素共有構造を有する構成では、画素共有ユニット539を構成する複数の単位画素が共通の画素回路210を含むこととなる。
【0154】
9.1 第1例
第1例では、subFD容量を形成する容量性素子として、配線容量を用いる場合を例示する。
図38は、第1例に係る単位画素の概略構成例を示す回路図である。また、
図39は、第1例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図40は、第1例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図41は、第1例に係る第2基板における配線層に設けられた配線の平面レイアウト例を示す模式図である。なお、
図41に示される各配線は、複数の配線(第1配線層W1~第4配線層W4)のうちの同一の配線層に設けられている必要はなく、異なる配線層に分散して設けられていてもよい。
【0155】
9.1.1 回路構成例
まず、第1例に係る単位画素545の回路構成例について説明する。
図38に示すように、第1例に係る単位画素545は、例えば、第1の実施形態において
図4を用いて説明した構成と同様の構成に加え、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインとリセットトランジスタRSTのソースとの間にsubFD容量SFDが接続された構成を備える。第1例では、このsubFD容量SFDが、例えば、第2基板200の配線層200Tに設けられた配線(これを、subFD配線という)の配線容量で構成されている。
【0156】
9.1.2 平面レイアウト例
つづいて、第1例に係る撮像装置の各層のレイアウト例について説明する。第1例では、第1基板100に単位画素545のうちの画素541が配置され、第2基板200に、単位画素545のうちの画素回路210が配置される。そして、第2基板200の配線層200Tに、subFD容量SFDを形成するためのsubFD配線が設けられる。
【0157】
9.1.2.1 第1基板の半導体層
図39に示すように、第1基板100の半導体層100Sは、格子状の画素分離部117によって、個々の単位画素545が設けられる画素領域に区画されている。なお、画素領域とは、それぞれの基板において各単位画素545を構成する回路素子等が配置される領域であってよい。
【0158】
各画素領域を区画する画素分離部117には、半導体層100Sの裏面又は表面側から半導体層の中腹にかけて形成されたトレンチ内に絶縁材料及び/又は遮光材料を埋め込むことで形成された、いわゆるDTI(Deep Trench Isolation)型や、半導体層100Sを貫通するように形成されたトレンチ内に絶縁材料及び/又は遮光材料を埋め込むことで形成された、いわゆるFTI(Full Trench Isolation)型など、種々の構造を適用することが可能である。
【0159】
各画素領域のpウェル層115には、配線層100T及び第2基板200の半導体層200Sを貫通して配線層200TのsubFD配線314(
図41参照)に接続するウェルコンタクトWCが接続される。
【0160】
また、pウェル層115の一部に形成されたフローティングディフュージョンFDには、配線層100T及び第2基板200の半導体層200Sを貫通して配線層200Tの配線316(
図41参照)に接続するFDコンタクトFDCが接続される。
【0161】
さらに、pウェル層115上の一部には、絶縁膜を介して転送トランジスタTRのゲート電極TRMが設けられている。このゲート電極TRMには、配線層100T及び第2基板200を貫通して第3基板300の行駆動信号線542に接続する転送ゲートコンタクトTRCが接続される。
【0162】
9.1.2.2 第2基板の半導体層
図40に示すように、第2基板200の半導体層200Sにおける各画素領域は、中央に素子分離領域220が設けられ、その両脇に素子形成領域230が設けられた構造を有する。素子分離領域220は、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの絶縁膜で形成された領域であってよい。また、第2基板200における各画素領域は、これと電気的に接続された第1基板100における各画素領域と基板積層方向において対応していてもよいし、第1基板100における各画素領域に対して主面と平行な方向にズレていてもよい(瞳補正)。
【0163】
素子分離領域220には、第1基板100から貫通するウェルコンタクトWC、FDコンタクトFDC及び転送ゲートコンタクトTRCが配置されている。
【0164】
素子分離領域220を挟む一方(例えば、図面中右側)の素子形成領域230には、リセットトランジスタRST及びFD変換ゲイン切替トランジスタFDGが配置される。具体的には、リセットトランジスタRSTのゲート電極RSTMと、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート電極FDGMと、これらのトランジスタのソース・ドレインとして機能する拡散領域231~233とが設けられている。
【0165】
リセットトランジスタRSTのゲート電極RSTMには、例えば、配線層200Tを貫通して第3基板300の行駆動信号線542に接続するリセットゲートコンタクトRSTCが接続される。同様に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート電極FDGMには、例えば、配線層200Tを貫通して第3基板300の行駆動信号線542に接続するFD転送ゲートコンタクトFDGCが接続される。
【0166】
リセットトランジスタRSTのドレインとして機能する拡散領域231には、配線層200Tを貫通して第3基板300の電源線VDDに接続するリセットドレインコンタクトRSTDCが接続される。
【0167】
リセットトランジスタRSTのソース及びFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインとして機能する拡散領域232には、配線層200Tに設けられたsubFD配線314(
図41参照)に接続するsubFDコンタクトFDGDCが接続される。
【0168】
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースとして機能する拡散領域233には、配線層200Tに設けられた配線316(
図41参照)に接続するFD転送ソースコンタクトFDGSCが接続される。
【0169】
素子分離領域220を挟む他方(例えば、図面中左側)の素子形成領域230には、僧服トランジスタAMPと選択トランジスタSELとが配置される。具体的には、増幅トランジスタAMPのゲート電極AMPMと、選択トランジスタSELのゲート電極SELMと、これらのトランジスタのソース・ドレインとして機能する拡散領域234~236とが設けられている。
【0170】
増幅トランジスタAMPのゲート電極AMPMには、配線層200Tに設けられた配線316(
図41参照)に接続する増幅ゲートコンタクトAMPMが接続される。また、転送トランジスタSELのゲート電極SELMには、配線層200Tを貫通して第3基板300の行駆動信号線542に接続する選択ゲートコンタクトSELCが接続される。
【0171】
増幅トランジスタAMPのソースとして機能する拡散領域234には、配線層200Tを貫通して第3基板300の電源線VDDに接続する増幅ソースコンタクトAMPSCが接続される。
【0172】
選択トランジスタSELのドレインとして機能する拡散領域236には、配線層200Tを貫通して第3基板300の垂直信号線543に接続する垂直信号線コンタクトVSLCが接続される。
【0173】
なお、増幅トランジスタAMPのゲート電極AMPMと選択トランジスタSELのゲート電極SELMとの間の拡散領域235は、増幅トランジスタAMPのドレイン及び選択トランジスタSELのソースとして兼用される。
【0174】
9.1.2.3 第2基板の配線層
図41に示すように、第2基板200の配線層200Tには、第3基板300への接続を仲介する複数のパッド311~313、315、317~319と、配線316と、subFD配線314とが設けられている。
【0175】
パッド311は、転送ゲートコンタクトTRCの第3基板300への接続を仲介する。パッド312は、リセットドレインコンタクトRSTDC転送ゲートコンタクトTRCの第3基板300への接続を仲介する。パッド313は、リセットゲートコンタクトRSTCの第3基板300への接続を仲介する。パッド315は、FD転送ゲートコンタクトFDGCの第3基板300への接続を仲介する。パッド317は、増幅ソースコンタクトAMPSCの第3基板300への接続を仲介する。パッド318は、選択ゲートコンタクトSELCの第3基板300への接続を仲介する。パッド319は、垂直信号線コンタクトVSLCの第3基板300への接続を仲介する。
【0176】
配線316は、FD転送ソースコンタクトFDGSCから増幅ゲートコンタクトAMPCまでの接続を形成する。配線316の途中には、FDコンタクトFDCが接続され、これにより、増幅トランジスタAMPのゲート電極AMPMにフローティングディフュージョンFDが接続されている。
【0177】
subFD配線314は、subFDコンタクトFDGDCとウェルコンタクトWCとを接続するとともに、周囲の配線やパッド、例えば配線316やパッド312との間で、配線容量としてのsubFD容量SFDを形成する。
【0178】
なお、subFD配線314には、例えば、タングステン(W)などの金属材料を用いることができる。ただし、これに限定されず、種々の導電性材料が用いられてよい。
【0179】
すなわち、第1例では、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンすることで、subFD配線314と配線316とがFDトランジスタFDGを介して接続されると、増幅トランジスタAMPのゲートにsubFD容量SFDが接続され、それにより、全体のFD容量CがフローティングディフュージョンFDの容量とsubFD容量SFDの容量とを足した容量に切り替えられる。
【0180】
9.1.3 の効果
以上のように、第1例では、変換効率Qsを切り替えるためのsubFD容量SFDが、第2基板200の配線層200Tに配置されたsubFD配線314の配線容量を用いて構成されている。
【0181】
このような構成とすることで、例えば、第1基板100におけるフォトダイオードPD及びフローティングディフュージョンFDや、第2基板200における画素回路210を構成する各種トランジスタ(以下、画素トランジスタという)等の専有面積に与える影響を抑制しつつ、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量よりも大きな容量のsubFD容量SFDを追加することが可能となる。
【0182】
それにより、フォトダイオードPDの受光面積や画素トランジスタの特性等に与える影響を抑制しつつ、広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能となるため、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0183】
なお、第1例では、上述したように、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0184】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0185】
9.2 第2例
第2例では、subFD容量SFDを形成する容量性素子として、MOSキャパシタを用いる場合を例示する。
図42は、第2例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図43は、第2例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図44は、
図42及び
図43におけるA-A面の構造例を示す断面図である。
【0186】
なお、第2例に係る画素回路は、例えば、第1例において
図38を用いて説明した画素回路210と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0187】
図42~
図44に示すように、第2例では、フォトダイオードPD及びフローティングディフュージョンFDに加え、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGが第1基板100の半導体層100Sに配置される。拡散領域132及び133は、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソース/ドレインである。
【0188】
また、第2例では、subFD容量SFDとしてのMOSキャパシタが、第2基板200の半導体層200Sに配置されている。このMOSキャパシタは、例えば、半導体層200Sに形成された拡散領域241と、半導体層200Sの素子形成面上にゲート絶縁膜を介して拡散領域241と対向するように設けられたゲート電極MOSMとから構成される。
【0189】
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインである拡散領域132に接続されたsubFDコンタクトFDGDCは、第2基板200の配線層200Tに形成された配線321を介して、MOSトランジスタのゲート電極MOSM、及び、リセットトランジスタRSTのソースである拡散領域232に接続されたリセットソースコンタクトRSTSCに接続される。
【0190】
このように、FD容量Cを切り替えるためのsubFD容量SFDは、例えば、MOSキャパシタのような容量性素子を用いて構成することも可能である。
【0191】
それにより、より大きな容量のsubFD容量SFDをフローティングディフュージョンFDに対して付加することが可能となるため、より広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能となる。その結果、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0192】
その際、MOSキャパシタなどの容量性素子を第2基板200に配置することで、第1基板100におけるフォトダイオードPDの受光面積等に与える影響を抑制することも可能となる。
【0193】
なお、第2例では、第1例と同様に、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0194】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例又は第1の実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0195】
9.3 第3例
第3例では、subFD容量SFDを形成する容量性素子として、平行平板コンデンサを用いる場合を例示する。
図45は、第3例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図46は、第3例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図47は、第3例に係る第2基板における配線層の平面レイアウト例を示す模式図である。なお、
図47に示される各配線は、複数の配線(第1配線層W1~第4配線層W4)のうちの同一の配線層に設けられている必要はなく、異なる配線層に分散して設けられていてもよい。
【0196】
【0197】
なお、第3例に係る画素回路は、例えば、第1例において
図38を用いて説明した画素回路210と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0198】
図45~
図49に示すように、第3例では、第2例と同様に、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD及びFD変換ゲイン切替トランジスタFDGが第1基板100の半導体層100Sに配置される。
【0199】
また、第3例では、subFD容量SFDを構成する2つの平行板電極141及び142が、第1基板100の配線層100Tに設けられている。
【0200】
この2つの平行板電極141及び142のうち、半導体層100Sに近い方の平行板電極141は、例えば、subFDコンタクトFDGDCを介してFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインに接続されている。一方、半導体層200Sに近い方の平行板電極142は、例えば、ウェルコンタクトWCを介して半導体層100Sのpウェル層115に接続されている。
【0201】
2つの平行板電極141及び142には、例えば、それぞれ所定の不純物がドープされることで導電性が付与されたポリシリコンを用いることができる。ただし、これに限定されず、平行板電極141及び142には、種々の導電性材料が用いられてよい。
【0202】
また、各単位画素545の平行平板コンデンサは、
図45及び
図48に示すように、各単位画素545に隣接する単位画素545の画素領域上に配置されてもよい。ただし、このような配置に限定されず、配線層100Tを貫通するコンタクトの配置及びこれらとの容量性カップリングの影響を考慮しつつ、種々変更されてよい。
【0203】
このように、subFD容量SFDとしての平行平板コンデンサを配線密度の比較的低い第1基板100の配線層100Tに配置することで、より大容量のsubFD容量SFDを実現することが可能となる。それにより、より広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能になるため、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0204】
また、subFD容量SFDを構成する平行平板コンデンサを第1基板100に配置することで、subFD容量SFDと電源線VDDとの容量結合が低減されるため、PSRR(Power Supply Rejection Ratio)特性を改善することも可能となる。
【0205】
なお、第3例では、第1例及び第2例と同様に、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0206】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例、第2例又は第1の実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0207】
9.4 第4例
上述した第3例では、第1基板100の配線層100Tに2つの平行板電極141及び142よりなるsubFD容量SFDを設けた場合を例示した。これに対し、第4例では、2つの平行板電極141及び142のうちの一方(例えば、平行板電極142)を第2基板200の半導体層200Sで代用する場合について例示する。
【0208】
図50は、第4例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。また、
図51は、
図50におけるA-A面の構造例を示す断面図である。
【0209】
なお、第4例に係る画素回路は、例えば、第1例において
図38を用いて説明した画素回路210と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。また、第4例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例は、例えば、第3例において
図46を用いて説明した平面レイアウト例と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0210】
図50、
図51及び
図46に示すように、第4例では、第2例と同様に、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD及びFD変換ゲイン切替トランジスタFDGが第1基板100の半導体層100Sに配置される。また、第4例では、第3例と同様に、subFD容量SFDを構成する平行板電極141が、第1基板100の配線層100Tに設けられている。
【0211】
加えて、第4例では、第2基板200の半導体層200Sにおける平行板電極141と対向する領域に、平行平板コンデンサの他方の電極として機能する拡散領域143が設けられている。
【0212】
このように、subFD容量SFDとしての平行平板コンデンサの一方の平行板電極に第2基板200の半導体層200Sに形成された拡散領域143を使用することで、例えば、第3例と同様に、より大容量のsubFD容量SFDを実現することが可能となる。それにより、より広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能になるため、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0213】
また、subFD容量SFDを第1基板100に配置することで、subFD容量SFDと電源線VDDとの容量結合が低減されるため、PSRR(Power Supply Rejection Ratio)特性を改善することも可能となる。
【0214】
さらに、第4例では、subFD容量SFDとしての平行平板コンデンサを形成する一方の平行板電極(例えば、平行板電極142)の形成工程を省略することが可能であるため、製造プロセスの簡略化や製造コストの低減を図ることも可能となる。
【0215】
なお、第4例では、第1例~第3例と同様に、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0216】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第3例又は第1の実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0217】
9.5 第5例
第5例では、第3例又は第4例で例示したsubFDコンタクトFDGDCと接続する平行平板コンデンサ(第1容量性素子)に加え、ウェルコンタクトWCに接続する平行平板コンデンサを、subFD容量SFDを形成する容量性素子(第2容量性素子)として追加する場合を例示する。
【0218】
なお、本説明では、第4例で説明した構造、すなわち、平行平板コンデンサの一方の平行板電極(例えば、平行板電極142)が第2基板200の半導体層200Sに形成した拡散領域143で代用された構造をベースとした場合を例示するが、これに限定されず、第3例で説明した構造等、他の例で説明した構造をベースとすることも可能である。
【0219】
図52は、第5例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。また、
図53は、
図52におけるC-C面の構造例を示す断面図である。
【0220】
なお、第5例に係る画素回路は、例えば、第1例において
図38を用いて説明した画素回路210と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。また、第5例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例は、第4例と同様に、例えば、第3例において
図46を用いて説明した平面レイアウト例と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0221】
図52、
図53及び
図46に示すように、第5例では、第2例と同様に、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD及びFD変換ゲイン切替トランジスタFDGが第1基板100の半導体層100Sに配置される。また、第5例では、第4例と同様に、subFD容量SFDを構成する平行板電極141が第1基板100の配線層100Tに設けられ、第2基板200の半導体層200Sにおける平行板電極141と対向する領域に、平行平板コンデンサの他方の電極として機能する拡散領域143が設けられている。
【0222】
加えて、第5例では、第1基板100の配線層100Tに、ウェルコンタクトWCに接続された平行板電極151が設けられている。さらに、第5例では、第2基板200の半導体層200Sにおける平行板電極151と対向する領域に、平行平板コンデンサの他方の電極として機能する拡散領域152が設けられている。
【0223】
平行板電極151は、例えば、平行板電極141等と同様に、例えば、所定の不純物がドープされることで導電性が付与されたポリシリコンを用いることができる。ただし、これに限定されず、平行板電極151には、種々の導電性材料が用いられてよい。
【0224】
このように、subFD容量SFDを、subFDコンタクトFDGDCに接続された平行平板コンデンサと、ウェルコンタクトWCに接続された平行平板コンデンサとの2つの容量性素子で構成することで、より大容量のsubFD容量SFDを実現することが可能となる。それにより、より広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能になるため、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0225】
また、2つの平行平板コンデンサよりなるsubFD容量SFDを第1基板100に配置することで、subFD容量SFDと電源線VDDとの容量結合が低減されるため、PSRR(Power Supply Rejection Ratio)特性を改善することも可能となる。
【0226】
さらに、第5例では、各平行平板コンデンサを形成する一方の平行板電極(例えば、平行板電極142)の形成工程を省略することが可能であるため、製造プロセスの簡略化や製造コストの低減を図ることも可能となる。
【0227】
なお、第5例では、第1例~第4例と同様に、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0228】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第4例又は第1の実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0229】
9.5.1 第5例の変形例
図54は、第5の例の変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。また、
図55は、
図54におけるC-C面の構造例を示す断面図である。
【0230】
図54及び
図55に示すように、第5例において例示したウェルコンタクトWCに接続された平行平板コンデンサは、例えば、隣接する単位画素545の境界部分にまで引き回されてもよい。すなわち、平行平板コンデンサを構成する平行板電極151及び拡散領域152は、隣接する単位画素545の境界部分にまで連続して形成されてもよい。
【0231】
このように、pウェル層115に接続された平行平板コンデンサを隣接画素間の境界部分にまで引き回すことで、隣接画素間の電気的干渉を低減するシールドとして機能させることが可能となる。それにより、垂直信号線543のセトリング時間を短縮することが可能となるため、より高速で安定した画像データの読出が可能となる。
【0232】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第5例と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0233】
9.6 第6例
第6例では、例えば、第2例~第5例において、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGを第2基板200に配置した場合について、例を挙げて説明する。
【0234】
なお、本説明では、第4例で説明した構造、すなわち、平行平板コンデンサの一方の平行板電極(例えば、平行板電極142)が第2基板200の半導体層200Sに形成した拡散領域143で代用された構造をベースとした場合を例示するが、これに限定されず、上述した又は後述する他の例で説明した構造をベースとすることも可能である。
【0235】
図56は、第6例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図57は、第6例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。また、
図58は、
図56及び
図57におけるC-C面の構造例を示す断面図である。
【0236】
なお、第6例に係る画素回路は、例えば、第1例において
図38を用いて説明した画素回路210と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0237】
図56~
図58に示すように、第6例では、第1例と同様に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGが第2基板200に配置されている。また、第6例では、第4例と同様に、subFD容量SFDを構成する平行板電極141が第1基板100の配線層100Tに設けられ、第2基板200の半導体層200Sにおける平行板電極141と対向する領域に、平行平板コンデンサの他方の電極として機能する拡散領域143が設けられている。
【0238】
加えて、第6例では、第2基板200に設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインとして機能する拡散領域232が、subFDコンタクトFDGDC、配線層200Tに形成された配線322、及び、配線層200Tから半導体層200Sを介して配線層100Tまで貫通するビア配線145を介して、配線層100Tに形成された平行板電極141に接続されている。
【0239】
このように、subFD容量SFDを第2基板200に配置することで、第1基板100におけるフォトダイオードPDの受光面積を大きくすることが可能となる。それにより、変換効率Qsを向上させることが可能となる。
【0240】
なお、第6例では、第1例~第5例と同様に、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0241】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第5例又は第1の実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0242】
9.7 第7例
上述した第1例~第6例では、例えば、第1例において
図38を用いて説明したように、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGとリセットトランジスタRSTとが増幅トランジスタAMPのゲートに対して直列に接続され、その接続部分であるFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインとリセットトランジスタRSTのソースとの接続ノードに、subFD容量SFDが接続された場合を例示した。これに対し、第7例では、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGとリセットトランジスタRSTとが増幅トランジスタAMPのゲートに対して並列に接続された場合を例示する。
【0243】
なお、本説明では、第4例で説明した構造、すなわち、平行平板コンデンサの一方の平行板電極(例えば、平行板電極142)が第2基板200の半導体層200Sに形成した拡散領域143で代用された構造をベースとした場合を例示するが、これに限定されず、上述した又は後述する他の例で説明した構造をベースとすることも可能である。
【0244】
図59は、第7例に係る画素回路の概略構成例を示す回路図であり、
図60は、第7例に係る第2基板における配線層に設けられた配線の平面レイアウト例を示す模式図である。なお、第1基板100における半導体層100Sの主面の平面レイアウトと、第2基板200における半導体層200Sの主面の平面レイアウトとは、例えば、第4例において
図50及び
図51を用いて説明した平面レイアウト例と同様であってよいため、本説明ではそれらを引用する。また、
図59に示される各配線は、複数の配線(第1配線層W1~第4配線層W4)のうちの同一の配線層に設けられている必要はなく、異なる配線層に分散して設けられていてもよい。さらに、
図61は、第7例に係る
図50及び
図51におけるA-A面の構造例を示す断面図である。
【0245】
図59に示すように、第7例に係る画素回路210は、第1例において
図38を用いて説明した画素回路210と同様の構成において、増幅トランジスタAMPのゲートに対して、リセットトランジスタRSTとFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとが並列に接続されている。より具体的には、フローティングディフュージョンFDから増幅トランジスタAMPのゲートを結ぶ配線に対して、リセットトランジスタRSTのソースとFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースとが接続されている。そして、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインには、subFD容量SFDが接続されている。
【0246】
図60に示すように、第7例では、リセットトランジスタRSTのソースは、配線層200Tの配線316及びFDコンタクトFDCを介して、フローティングディフュージョンFDに接続されるとともに、配線316及び増幅ゲートコンタクトAMPCを介して増幅トランジスタAMPのゲートに接続されている。
【0247】
また、
図61に示すように、第7例では、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインに接続されたsubFDコンタクトFDGDCは、配線層100Tを貫通しておらず、配線層100T内に設けられた平行板電極141に接続されている。
【0248】
このように、リセットトランジスタRSTとFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとを増幅トランジスタAMPのゲート(及びフローティングディフュージョンFD)に対して並列に接続し、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインにsubFD容量SFDを接続することで、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷の放出(リセット)と、subFD容量SFDに蓄積された電荷の放出(リセット)とを個別に制御することが可能となる。その場合、subFD容量SFDを、以前の受光によりフォトダイオードPDに発生した電荷を保持するメモリとして使用することも可能となる。
【0249】
なお、第7例では、第1例~第6例と同様に、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0250】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第6例又は第1の実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0251】
9.8 第8例
ここで、上述した第1例~第7例に対して画素共有構造を適用した場合を、変形例として、幾つか例を挙げて説明する。
【0252】
なお、本説明では、第4例で説明した構造、すなわち、平行平板コンデンサの一方の平行板電極(例えば、平行板電極142)が第2基板200の半導体層200Sに形成した拡散領域143で代用された構造をベースとした場合を例示するが、これに限定されず、上述した又は後述する他の例で説明した構造をベースとすることも可能である。
【0253】
また、以下の説明において、第1~第3変形例では、2行×2列の計4つの画素541A~541Dが構成する画素共有ユニット539で1つの画素回路210を共有する場合について例示し、第4及び第5変形例では、1行×2列の計2つの画素541A及び541Bが構成する画素共有ユニット539で1つの画素回路210を共有する場合について例示する。
【0254】
9.8.1 第1変形例
図62は、第1変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図62に示すように、第1変形例では、画素共有ユニット539ごとに2行×2列に配列する画素541A~541Dが形成する矩形領域の中央に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGが配置された構造を有する。各画素541A~541D間は、例えば、画素分離部117で分離されている。
【0255】
2行×2列に配列する画素541A~541DそれぞれのフローティングディフュージョンFDは、第2基板200の配線層200Tに形成された配線を介して相互に接続されている(
図4参照)。
【0256】
subFD容量SFDを形成する平行板電極141は、画素回路210と同様、1つの画素共有ユニット539を構成する4つの画素541A~541Dで共有される。この平行板電極141は、第1基板100の配線層100Tにおける各画素541A~541Dの各種コンタクトが配置されていない領域、例えば、隣接する画素共有ユニット539の境界部分に配置される。
【0257】
9.8.2 第2変形例
図63は、第2変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図63に示すように、第2変形例では、画素共有ユニット539ごとに2行×2列に配列する画素541A~541Dが形成する矩形領域の外側に隣接する領域(例えば、図面中下側の隣接領域)に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGが配置された構造を有する。各画素541A~541D間は、例えば、画素分離部117で分離されている。
【0258】
2行×2列に配列する画素541A~541DそれぞれのフローティングディフュージョンFDは、第1変形例と同様に、第2基板200の配線層200Tに形成された配線を介して相互に接続されている(
図4参照)。
【0259】
subFD容量SFDを形成する平行板電極141は、第1変形例と同様に、1つの画素共有ユニット539を構成する4つの画素541A~541Dで共有される。この平行板電極141は、第1変形例と同様に、第1基板100の配線層100Tにおける各画素541A~541Dの各種コンタクトが配置されていない領域、例えば、隣接する画素共有ユニット539の境界部分に配置される。
【0260】
9.8.3 第3変形例
図64は、第3変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図64に示すように、第3変形例では、画素共有ユニット539ごとに2行×2列に配列する画素541A~541Dが形成する矩形領域の中央付近(中央であってもよい)に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGが配置された構造を有する。各画素541A~541D間は、例えば、画素分離部117で分離されている。
【0261】
2行×2列に配列する画素541A~541DそれぞれのフローティングディフュージョンFDは、第1変形例と同様に、第2基板200の配線層200Tに形成された配線を介して相互に接続されている(
図4参照)。
【0262】
subFD容量SFDを形成する平行板電極141は、例えば、第1変形例と同様に、1つの画素共有ユニット539を構成する4つの画素541A~541Dで共有される。
【0263】
この平行板電極141は、例えば、画素541A~541Dが形成する矩形領域の中央から外れた領域(例えば、隣接する画素共有ユニット539の境界に近接する領域(境界上を含んでもよい))に配置される。
【0264】
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインと平行板電極141とは、このドレインに接続されたsubFDコンタクトFDGDC及び第1基板100の配線層100Tに形成された配線323を介して接続される。
【0265】
配線323は、例えば、subFDコンタクトFDGDCから、各画素541A~541Dの上方を迂回するように引き回されて、平行板電極141に接続している。
【0266】
9.8.4 第4変形例
図65は、第4変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図65に示すように、第4変形例では、画素共有ユニット539ごとに1行×2列に配列する画素541A及び541Bが形成する矩形領域の外側に隣接する領域(例えば、図面中下側の隣接領域)に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGが配置された構造を有する。各画素541A及び541B間は、例えば、画素分離部117で分離されている。
【0267】
1行×2列に配列する画素541A及び541BそれぞれのフローティングディフュージョンFDは、上述した変形例と同様に、第2基板200の配線層200Tに形成された配線を介して相互に接続されている。
【0268】
subFD容量SFDを形成する平行板電極141は、画素回路210と同様、1つの画素共有ユニット539を構成する2つの画素541A及び541Bで共有される。この平行板電極141は、第1基板100の配線層100Tにおける各画素541A及び541Bの各種コンタクトが配置されていない領域、例えば、隣接する画素共有ユニット539の境界部分に配置される。
【0269】
9.8.5 第5変形例
図66は、第5変形例に係る第1基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図66に示すように、第5変形例では、画素共有ユニット539ごとに1行×2列に配列する画素541A及び541Bが形成する矩形領域の中央、すなわち、画素541Aと画素541Bとで挟まれた領域に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGが配置された構造を有する。各画素541A及び541B間は、例えば、画素分離部117で分離されている。
【0270】
1行×2列に配列する画素541A~541DそれぞれのフローティングディフュージョンFDは、上述した変形例と同様に、第2基板200の配線層200Tに形成された配線を介して相互に接続されている。
【0271】
subFD容量SFDを形成する平行板電極141は、画素回路210と同様、1つの画素共有ユニット539を構成する2つの画素541A及び541Bで共有される。この平行板電極141は、第1基板100の配線層100Tにおける各画素541A及び541Bの各種コンタクトが配置されていない領域、例えば、隣接する画素共有ユニット539の境界部分に配置される。
【0272】
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインと平行板電極141とは、第3変形例と同様に、このドレインに接続されたsubFDコンタクトFDGDC及び第1基板100の配線層100Tに形成された配線323を介して接続される。
【0273】
配線323は、例えば、subFDコンタクトFDGDCから、各画素541A及び541Bの上方を迂回するように引き回されて、平行板電極141に接続している。
【0274】
以上のように、1つの画素回路210を複数の画素541で共有する場合にも、第1例~第7例で説明したように、FD容量Cを切り替えるための容量性素子を適宜配置することが可能である。
【0275】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第7例又は第1の実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0276】
9.9 第9例
上述した第1例~第8例では、画素アレイ部540に行列状に配列する複数の単位画素545から行ごとに画素信号を読み出す、いわゆるローリングシャッタ方式に対して好適な各単位画素545の回路構成、レイアウト構造及び断面構造について例を挙げて説明した。これに対し、第9例では、画素アレイ部540の全単位画素から一斉に画素信号を読み出す、いわゆるグローバルシャッタ方式に対して好適な各単位画素の回路構成、レイアウト構造及び断面構造について、例を挙げて説明する。
【0277】
9.9.1 回路構成例
図67は、第9例に係る単位画素の概略構成例を示す回路図である。
図67に示すように、第9例に係る単位画素645は、例えば、第1例において
図38を用いて説明した構成と同様の構成において、画素541が画素641に置き換えられた構成を有する。
【0278】
画素641は、画素541と同様の構成において、フォトダイオードPDのカソードと転送トランジスタTRとの間に、ゲートトランジスタTRXのソース・ドレインが接続された構成を有する。ゲートトランジスタTRXのドレインと転送トランジスタTRのソースとを接続する配線には、容量素子としてのメモリMEMが接続されている。したがって、フォトダイオードPDで発生した光電変換による電荷は、一旦、ゲートトランジスタTRXを介してメモリMEMに保持された後、転送トランジスタTRを介してフローティングディフュージョンFDへ転送される。
【0279】
また、フォトダイオードPDのカソードは、オーバフローゲートトランジスタOFGを介して電源線VDDにも接続されている。非蓄積期間中にフォトダイオードPDに発生した余分な電荷は、このオーバフローゲートトランジスタOFGを介してオーバフローディフュージョンOFDに転送された後、電源線VDDへ排出される。
【0280】
9.9.2 各層の平面レイアウト例
図68は、第9例に係る第1基板の半導体層の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図69は、第9例に係る第2基板の半導体層の平面レイアウト例を示す模式図であり、
図70は、第9例に係る第2基板の配線層の平面レイアウト例を示す模式図である。また、
図71は、
図68及び
図69におけるD-D面の構造例を示す断面図である。
【0281】
図68に示すように、半導体層100Sでは、第1例~第8例と同様に、各単位画素645が設けられる画素領域が画素分離部117で区画されている。
【0282】
半導体層100Sの各画素領域には、単位画素645のうちの画素641が配置されている。また、半導体層100Sには、画素回路210におけるFD変換ゲイン切替トランジスタFDGも配置されている。
【0283】
具体的には、フォトダイオードPDが形成されるpウェル層115と隣接するように、オーバフローゲートトランジスタOFGのゲート電極OFGMと、ゲートトランジスタTRXのゲート電極TRXMと、転送トランジスタTRのゲート電極TRMと、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート電極FDGMとが配置されている。
【0284】
なお、
図68において、拡散領域501~505は、各画素トランジスタのソース/ドレインとして機能する領域である。また、
図68では、転送トランジスタTRのドレイン及びFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースとして機能する拡散領域504が、フローティングディフュージョンFDとしての機能も果たしている。したがって、
図68に示す構成では、拡散領域504に接続されたFDコンタクトFDCが、FD転送ソースコンタクトFDGSCと兼用されている。
【0285】
オーバフローゲートOFGを構成するゲート電極OFGMのドレイン側には窪みが設けられており、この窪みの部分がオーバフローディフュージョンOFDを構成する。そして、オーバフローゲートOFGのドレインとして機能する拡散領域501には、第3基板300まで貫通して行駆動信号線542に接続するOFGコンタクトOFGDCが接続されている。
【0286】
図69に示すように、半導体層200Sの各画素領域では、リセットトランジスタRSTと増幅トランジスタAMPと選択トランジスタSELとが一列に配置されている。なお、
図69において、拡散領域611~614は、各画素トランジスタのソース/ドレインとして機能する領域である。拡散領域612は、リセットトランジスタRSTのソースと増幅トランジスタAMPのドレインとを兼用している。
【0287】
図70に示すように、配線層200Tには、第1基板100からの各種コンタクトを第3基板300へ接続するためのパッド620~629が設けられている。
【0288】
また、配線層200Tには、subFDコンタクトFDGDCとしても機能するFDコンタクトFDCを増幅トランジスタAMPのゲート電極AMPMに接続された増幅ゲートコンタクトAMPCに接続するための配線630も配置されている。
【0289】
このような構成において、ゲートトランジスタTRXのゲート電極TRXMの下方に位置する半導体層100Sに形成された拡散領域531は、メモリMEMとして機能する。フォトダイオードPDに発生した電荷は、この拡散領域531に一時保持された後、転送トランジスタTRを介してフローティングディフュージョンFDへ転送される。
【0290】
9.9.3 効果
以上のように、第1例~第8例で例示したsubFD容量SFDの構造は、グローバルシャッタ方式の構造に対しても適用することが可能である。
【0291】
それにより、例えば、第1基板100におけるフォトダイオードPD及びフローティングディフュージョンFDや、第2基板200における画素回路210を構成する各種トランジスタ(以下、画素トランジスタという)等の専有面積に与える影響を抑制しつつ、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量よりも大きな容量のsubFD容量SFDを追加することが可能となるため、フォトダイオードPDの受光面積や画素トランジスタの特性等に与える影響を抑制しつつ、広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能となる。その結果、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0292】
なお、第9例では、上述したように、画素共有構造を有しない場合を例示したが、これに限定されず、画素共有構造を有する場合に対しても上記構成を適用することが可能である。
【0293】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0294】
10.第3の実施形態
次に、第3の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、上述した第2の実施形態とは異なる構成にて、FD容量Cを切り替えるためのsubFD容量SFDを付加する場合について、幾つか例を挙げて説明する。
【0295】
なお、以下の各例では、1つの画素共有ユニット539が2行×2列の画素ユニットを2つ備える場合、すなわち、各画素共有ユニット539が合計8つの画素541を備える場合を例示する。
【0296】
また、以下の各例では、画素回路210が、第2の実施形態の第7例において
図59を用いて説明した、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGとリセットトランジスタRSTとが増幅トランジスタAMPのゲートに対して並列に接続された構造を有する場合をベースとするが、これに限定されず、第1の実施形態又は第2の実施形態の他の例で説明したような、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGとリセットトランジスタRSTとが増幅トランジスタAMPのゲートに対して直列に接続された構造の画素回路210に対しても、同様に適用することが可能である。
【0297】
さらに、以下の各例に係る単位画素の回路構成は、例えば、
図59及び
図4を用いて説明した構成から容易に相当することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。その他、以下の説明において、上述した第1又は第2の実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0298】
10.1 第1例
第1例では、subFD容量SFDを形成する容量性素子として、配線容量を用いる場合を例示する。
図72は、第1例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図73は、
図72におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。なお、
図73において、拡散領域801は、リセットトランジスタRSTのドレインであり、拡散領域802は、リセットトランジスタRST及びFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースであり、拡散領域803は、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインである。
【0299】
図72及び
図73に示すように、第1例では、第2基板200の配線層200Tに、subFD容量SFDを形成するsubFD配線810が設けられている。subFD配線810は、第2基板200の半導体層200Sに設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインである拡散領域803に接続されている。
【0300】
subFD配線810は、例えば、第2基板200の基板厚方向と列方向とに広がりを持つ平板状の部材であってもよい。また、subFD配線810には、例えば、タングステン(W)などの金属材料を用いることができる。ただし、これに限定されず、種々の導電性材料が用いられてよい。
【0301】
このような構成とすることで、例えば、第1基板100におけるフォトダイオードPD及びフローティングディフュージョンFDや、第2基板200における画素トランジスタ等の専有面積に与える影響を抑制しつつ、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量よりも大きな容量のsubFD容量SFDを追加することが可能となる。
【0302】
それにより、フォトダイオードPDの受光面積や画素トランジスタの特性等に与える影響を抑制しつつ、広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能となるため、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0303】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0304】
10.2 第2例
第2例では、subFD容量SFDを形成する容量性素子として、ゲート容量を用いる場合を例示する。
図74は、第2例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図75は、
図74におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【0305】
図74及び
図75に示すように、第2例では、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインである拡散領域803が、配線層200Tに形成されたビア配線821及び配線822、並びに、配線層200Tから第1基板の配線層100Tまで貫通するビア配線823を介して、半導体層100S上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極820に接続されている。
【0306】
ゲート電極820は、例えば、半導体層100Sを他方の電極とした容量性素子として機能する。
【0307】
このように、第2基板200の半導体層200Sに設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインを、第1基板100の半導体層100Sまで引回し、その先にゲート容量を設けた構成とすることで、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量よりも大きな容量のsubFD容量SFDを追加することが可能となる。
【0308】
それにより、フォトダイオードPDの受光面積や画素トランジスタの特性等に与える影響を抑制しつつ、広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能となるため、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0309】
なお、ゲート電極820は必須の構成ではなく、省略されてもよい。その場合でも、ビア配線823が半導体層100Sを他方の電極とした容量性素子として機能し得る。その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例又は実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0310】
10.3 第3例
第3例では、subFD容量SFDを形成する容量性素子として、第1例とは異なる構成の配線容量を用いる場合を例示する。
図76は、第3例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図77は、
図76におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【0311】
図76及び
図77に示すように、第3例では、第2例と同様に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインである拡散領域803が、配線層200Tに形成されたビア配線833及び配線834、並びに、配線層200Tから第1基板の配線層100Tまで貫通するビア配線835を介して、半導体層100S上に絶縁膜を介して配置されたsubFD配線831に接続されている。
【0312】
このように、第2基板200の半導体層200Sに設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインを第1基板100の半導体層100Sまで引回したその先に接続する容量性素子を、配線容量とすることも可能である。それにより、第2例と同様に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量よりも大きな容量のsubFD容量SFDを追加することが可能となるため、フォトダイオードPDの受光面積や画素トランジスタの特性等に与える影響を抑制しつつ、広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能となる。その結果、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0313】
また、第3例では、接地線GNDが、配線層200Tから第1基板の配線層100Tまで貫通するビア配線836を介して、半導体層100S上に絶縁膜を介して配置されたsubFD配線832に接続されている。このように、subFD配線831に対して、接地されたsubFD配線832を近接させることで、subFD容量SFDをより大きくすることが可能である。
【0314】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例、第2例又は実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0315】
10.4 第4例
第4例では、subFD容量SFDを形成する容量性素子として、拡散容量を用いる場合を例示する。
図78は、第4例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図79は、
図78におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【0316】
図78及び
図79に示すように、第4例では、第2例において
図74及び
図75を用いて説明した構成と同様の構成において、ゲート電極820が、拡散容量を形成するN+型半導体領域841及びP+型半導体領域842に置き換えられている。すなわち、第4例では、subFD容量SFDとしての容量性素子として、第1導電型を備える第1半導体領域(例えば、N+型半導体領域841に相当)と、第1半導体領域と接触し、第1導電型とは反対の第2導電型を備える第2半導体領域(例えば、P+型半導体領域842に相当)とから構成された拡散容量が用いられている。
【0317】
N+型半導体領域841及びP+型半導体領域842は、半導体層100Sに形成された拡散領域であってよく、ビア配線823、配線822及びビア配線821を介して、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインである拡散領域803に接続されている。
【0318】
このように、第2基板200の半導体層200Sに設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインを第1基板100の半導体層100Sまで引回したその先に接続する容量性素子を、拡散容量とすることも可能である。それにより、第2例及び第3例と同様に、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲート容量よりも大きな容量のsubFD容量SFDを追加することが可能となるため、フォトダイオードPDの受光面積や画素トランジスタの特性等に与える影響を抑制しつつ、広いダイナミックレンジと高いS/N比とを実現することが可能となる。その結果、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0319】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第3例又は実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0320】
10.5 第5例
例えば、行方向に隣接する画素541同士を同時に読み出さないという読出し動作上の制約がある場合、上述した第1例~第4例で例示したsubFD容量SFDの構成は、行方向に隣接する画素共有ユニット539間で供給することが可能である。そこで、第5例では、第2例で例示した構造をベースとし、行方向に隣接する画素共有ユニット539間でsubFD容量SFDを共有する場合について説明する。
【0321】
図80は、第5例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図81は、
図80におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【0322】
図80及び
図81に示すように、第5例では、第2例において
図74及び
図75を用いて説明した構成と同様の構成において、隣接する画素共有ユニット539間で、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレイン同士が連続する1つの拡散領域853で構成されている。そして、この拡散領域853が、ビア配線821、配線822及びビア配線823を介して、半導体層100S上のゲート電極820(ゲート容量)に接続されている。
【0323】
このように、隣接する画素共有ユニット539間でsubFD容量SFDを共有する構成とすることで、1つのsubFD容量SFDの専有面積を拡大することが可能となる。それにより、より大容量のsubFD容量SFDを追加することが可能となるため、フォトダイオードPDの受光面積や画素トランジスタの特性等に与える影響を抑制しつつ、より広いダイナミックレンジとより高いS/N比とを実現することが可能となる。その結果、状況に応じてより良好な画質の画像データを生成することが可能となる。
【0324】
なお、
図80に示すように、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインを構成する拡散領域853に加え、増幅トランジスタAMPのドレインを構成する拡散領域854が、隣接する画素共有ユニット539間で連続する構成とすることも可能である。
【0325】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第4例又は実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0326】
10.6 第6例
第5例では、隣接する画素共有ユニット539間でsubFD容量SFDを共有するための他の構造について、例を挙げて説明する。なお、第6例では、第5例と同様に、第2例で例示した構造をベースとし、行方向に隣接する画素共有ユニット539間でsubFD容量SFDを共有する場合について説明する。
【0327】
図82は、第6例に係る第2基板における半導体層の主面の平面レイアウト例を示す模式図である。
図83は、
図82におけるE-E面の撮像装置の構造例を示す断面図である。
【0328】
図82及び
図83に示すように、第6例では、subFD容量SFDを共有する隣接画素共有ユニット539間の一部に、半導体層200Sを貫通する貫通孔864が設けられている。この貫通孔864は、例えば、行方向に隣接するFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレイン間に配置されてよい。すなわち、第6例では、subFD容量SFDを共有する画素共有ユニット539において、互いに隣接する切替トランジスタFDGのソース間が、貫通孔864により分断されている。
【0329】
各画素共有ユニット539におけるFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインは、ビア配線821及び配線822と、貫通孔864内を通るビア配線823とを介して、第1基板100の半導体層100S上まで引き回されている。
【0330】
このように、半導体層200Sに貫通孔864を設け、ビア配線823を貫通孔864内に通すことで、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインを半導体層100S上まで引き回さす配線の長さを短くすることが可能となる。
【0331】
その他の構成、動作及び効果は、上述した第1例~第5例又は実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0332】
11.変形例
なお、上述した実施形態のうちのいくつかでは、第2基板200に関し、画素回路210を構成することのできる増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST及び選択トランジスタSELが同じ半導体層200Sに形成される例が示されているが、このような構成に限定されない。例えば、上記トランジスタのうち、少なくとも1つのトランジスタが第2基板200の半導体層200Sに形成され、残りのトランジスタが第1基板100の半導体層100S及び第2基板200の半導体層200Sとは異なる新たな基板(以下、第4基板とする)の半導体層に形成されてもよい。以下、説明の明確化のため、第4基板の符号を400とし、その半導体層の符号を400Sとする。
【0333】
第4基板400は、例えば、第2基板200と同様の層構造を備えてもよい。すなわち、第4基板400は、半導体層400Sに配線層(以下、この配線層の符号を400Tとする)が積層された構造を備えてもよい。
【0334】
第4基板400は、例えば、第2基板200における第1基板100とは反対側の面に接合される。第2基板200がフェイスダウン状態(半導体層200Sの素子形成面を第1基板100に向けた状態)で第1基板100に接合されている場合、第2基板200が備える各種回路と第4基板400が備える各種回路との電気的な接続には、例えば、第2基板200の半導体層200Sを貫通する貫通配線が用いられてよい。一方、第2基板200がフェイスアップ状態(半導体層200Sの素子形成面とは反対側の面を第1基板100に向けた状態)で第1基板100に接合されている場合、第2基板200が備える各種回路と第4基板400が備える各種回路との電気的な接続には、例えば、第2基板200の配線層200Tの上面に形成された例えば銅製のパッドと、第4基板400の配線層400Tの上面に形成された例えば銅製のパッドとを接合する、いわゆるCu-Cu接合などが用いられてもよい。ただし、両者間の電気的な接続は、上記構成に限定されず、種々の構成により実現されてよい。
【0335】
このように第1基板100と第2基板200と第4基板400と(場合によっては、第3基板300が最上層に追加されてもよい)が接合された積層構造では、一例として、第2基板200の半導体層200Sに増幅トランジスタAMPが形成され、第4基板400の半導体層400SにリセットトランジスタRST及び/又は選択トランジスタSELが形成された構成とすることも可能である。
【0336】
なお、画素回路210を構成することのできるトランジスタの配置を目的の1つとして追加される基板(上記例では第4基板400)は、1つ限定されない。例えば、さらにもう1つの基板を追加して、この新たな基板に画素回路210を構成することのできるトランジスタのうちの少なくとも1つを配置してもよい。又は、画素回路210を構成することのできるトランジスタの種類数と同数の基板を第2基板200の代わりに設け、各基板に同種類のトランジスタを配置する構成とすることも可能である。
【0337】
このように、画素回路210を構成することのできるトランジスタが配置される基板を複数とすることで、基板の積層方向から見て、1つの画素回路210が占める面積を縮小したり、画素回路210を構成することのできるトランジスタやフォトダイオードPDのサイズを大きくしたりことが可能となる。それにより、チップサイズの小型化や高解像度化などの効果を得ることが可能となる。また、例えば増幅トランジスタAMPの占有面積を拡大することで、ノイズ低減効果を期待することもできる。
【0338】
12.適用例
図84は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1を備えた撮像システム7の概略構成の一例を表したものである。
【0339】
撮像システム7は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。撮像システム7は、例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248を備えている。撮像システム7において、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248は、バスライン249を介して相互に接続されている。
【0340】
上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1は、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路243は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ244は、DSP回路243により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部245は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部246は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部247は、ユーザによる操作に従い、撮像システム7が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部248は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246および操作部247の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0341】
次に、撮像システム7における撮像手順について説明する。
【0342】
図85は、撮像システム7における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部247を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部247は、撮像指令を撮像装置1に送信する(ステップS102)。撮像装置1(具体的にはその制御部)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
【0343】
撮像装置1は、撮像により得られた画像データをDSP回路243に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディフュージョンFDに一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路243は、撮像装置1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理など)を行う(ステップS104)。DSP回路243は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ244に保持させ、フレームメモリ244は、画像データを記憶部246に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システム7における撮像が行われる。
【0344】
本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1が撮像システム7に適用される。これにより、撮像装置1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム7を提供することができる。
【0345】
13.応用例
[応用例1]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0346】
図86は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0347】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図86に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0348】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0349】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0350】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0351】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0352】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0353】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0354】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0355】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0356】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図57の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0357】
図87は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0358】
図87では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0359】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0360】
なお、
図87には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0361】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0362】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0363】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0364】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0365】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0366】
[応用例2]
図88は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0367】
図88では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0368】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0369】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0370】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0371】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0372】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0373】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0374】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0375】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0376】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0377】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0378】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0379】
図89は、
図88に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0380】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0381】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0382】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0383】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0384】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0385】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0386】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0387】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0388】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0389】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0390】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0391】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0392】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0393】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0394】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0395】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0396】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0397】
以上、実施の形態およびその変形例、適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0398】
また、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。さらに、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。さらにまた、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0399】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
行列状に配列する複数の光電変換部を備える第1基板と、
前記第1基板の第1面に接合され、前記光電変換部それぞれで発生した電荷に基づく画素信号を生成する画素回路を備える第2基板と、
前記第2基板における前記第1基板が接合された第2面と反対側の第3面に接合され、前記画素回路により生成された前記画素信号に対して所定の処理を実行する周辺回路を備える第3基板と、
を備え、
前記画素回路は、
前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷の電荷量に応じた電圧値の前記画素信号を生成する増幅トランジスタと、
前記電荷蓄積部の容量を切り替える切替トランジスタと、
を含む
固体撮像装置。
(2)
前記画素回路は、容量性素子をさらに含み、
前記切替トランジスタは、前記容量性素子と前記増幅トランジスタのゲートとの接続を切り替えることで、前記電荷蓄積部の前記容量を切り替える
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記容量性素子は、配線である前記(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記容量性素子は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)キャパシタである前記(2)に記載の固体撮像装置。
(5)
前記容量性素子は、平行平板コンデンサである前記(2)に記載の固体撮像装置。
(6)
前記平行平板コンデンサを構成する一方の電極は、前記第2基板の一部である前記(5)に記載の固体撮像装置。
(7) 前記容量性素子は、ゲート容量である前記(2)に記載の固体撮像装置。
(8)
前記容量性素子は、第1導電型を備える第1半導体領域と、前記第1半導体領域と接触し、前記第1導電型とは反対の第2導電型を備える第2半導体領域とからなる拡散容量である前記(2)に記載の固体撮像装置。
(9)
前記容量性素子は、
前記切替トランジスタのドレインに接続された第1容量性素子と、
前記第1基板の半導体層に接続された第2容量性素子と、
を含む前記(2)~(8)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(10)
前記第2容量性素子の一部は、前記行列状に配列する前記複数の光電変換部の境界部分にまで延在する前記(9)に記載の固体撮像装置。
(11)
前記切替トランジスタは、前記第2基板に配置されている前記(2)~(10)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(12)
前記切替トランジスタは、前記第1基板に配置されている前記(2)~(10)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(13)
前記画素回路は、前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷を放出するリセットトランジスタをさらに含み、
前記リセットトランジスタと前記切替トランジスタとは、前記増幅トランジスタのゲートに対して並列に接続されている
前記(2)~(12)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(14)
前記画素回路は、前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷を放出するリセットトランジスタをさらに含み、
前記リセットトランジスタと前記切替トランジスタとは、前記増幅トランジスタのゲートに対して直接に接続されている
前記(2)~(12)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(15)
前記画素回路を複数備え、
前記複数の光電変換部は、近接する2以上の光電変換部を1つのユニットとし、当該ユニットごとに1つの前記画素回路を共有し、
前記容量性素子は、隣接する前記ユニットの境界部分に配置される
前記(2)~(14)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(16)
前記容量性素子は、隣接する前記ユニット間で共有される前記(15)に記載の固体撮像装置。
(17)
前記容量性素子は、複数の前記ユニットのうちの第1ユニット及び第2ユニットで共有され、
前記第1ユニットに含まれる前記2以上の光電変換部が共有する第1画素回路に含まれる前記切替トランジスタと、前記第2ユニットに含まれる前記2以上の光電変換部が共有する第2画素回路に含まれる前記切替トランジスタとは、互いのソースを共有する
前記(16)に記載の固体撮像装置。
(18)
前記容量性素子は、複数の前記ユニットのうちの第1ユニット及び第2ユニットで共有され、
前記第1ユニットに含まれる前記2以上の光電変換部が共有する第1画素回路に含まれる第1切替トランジスタと、前記第2ユニットに含まれる前記2以上の光電変換部が共有する第2画素回路に含まれる第2切替トランジスタとは、前記第2基板の半導体層において隣接して配置され、
前記半導体層は、前記第1切替トランジスタと前記第2切替トランジスタとの間で分断されている
前記(16)に記載の固体撮像装置。
(19)
前記光電変換部それぞれに発生した電荷を放出するオーバフローゲートトランジスタと、
前記光電変換部それぞれに発生した電荷を一時蓄積するメモリと、
前記メモリに蓄積された前記電荷の前記電荷蓄積部への転送を制御する転送トランジスタと、
をさらに備える前記(2)~(18)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(20)
前記第1基板は、第1半導体層と前記第1半導体層に積層された第1配線層とを含み、
前記第2基板は、第2半導体層と前記第2半導体層に積層された第2配線層とを含み、
前記容量性素子は、前記第2配線層に配置される
前記(2)~(19)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(21)
前記第1基板は、第1半導体層と前記第1半導体層に積層された第1配線層とを含み、
前記第2基板は、第2半導体層と前記第2半導体層に積層された第2配線層とを含み、
前記容量性素子は、前記第1配線層に配置される
前記(2)~(19)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(22)
前記第1基板と前記第2基板との接合及び前記第2基板と前記第3基板との接合のうち少なくとも一方は、銅製のパッド同士の接合による基板接合である前記(1)~(21)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(23)
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力された信号を処理する信号処理回路と、
を備え、
前記固体撮像装置は、
行列状に配列する複数の光電変換部を備える第1基板と、
前記第1基板の第1面に接合され、前記光電変換部それぞれで発生した電荷に基づく画素信号を生成する画素回路を備える第2基板と、
前記第2基板における前記第1基板が接合された第2面と反対側の第3面に接合され、前記画素回路により生成された前記画素信号に対して所定の処理を実行する周辺回路を備える第3基板と、
を備え、
前記画素回路は、
前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷の電荷量に応じた電圧値の前記画素信号を生成する増幅トランジスタと、
前記電荷蓄積部の容量を切り替える切替トランジスタと、
を含む
電子機器。
【符号の説明】
【0400】
1 撮像装置
7 撮像システム
100 第1基板
100S、200S 半導体層
100T、200T 配線層
111 絶縁膜
112 固定電荷膜
113 第1ピニング領域
114 n型半導体領域
115 pウェル層
116 第2ピニング領域
117 画素分離部
117A 遮光膜
117B 絶縁膜
118、218 VSSコンタクト領域
119、123、222 層間絶縁膜
120、121 パッド部
120E、121E、TGV 貫通電極
122、221 パッシベーション膜
124 接合膜
141、142、151 平行板電極
132、133、143、152、231~236、241、501~505、531、611~614、801~803、853 拡散領域
200 第2基板
201、202、203、204、301、302、303、304 コンタクト部
210 画素回路
212 絶縁領域
213 素子分離領域
218V 接続部
220 素子分離領域
230 素子形成領域
300 第3基板
311~313、315、317~319、620~629 パッド
314、810、831、832 subFD配線
316、321、322、630、822、834 配線
401 受光レンズ
539 画素共有ユニット
541、541A~541D、641 画素
543 垂直信号線
545、645 単位画素
820 ゲート電極
821、823、833、835、836 ビア配線
841 N+型半導体領域
842 P+型半導体領域
864 貫通孔
AMP 増幅トランジスタ
FD フローティングディフュージョン
FDG FD変換ゲイン切替トランジスタ
MEM メモリ
MOSM ゲート電極
OFG オーバフローゲートトランジスタ
PD フォトダイオード
RST リセットトランジスタ
SEL 選択トランジスタ
SFD subFD容量
TG 転送ゲート
TR 転送トランジスタ
TRX ゲートトランジスタ