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▶ ロアー ホールディング エルエルシーの特許一覧

<図1A>
  • 特許-飲料品質を改善する方法 図1A
  • 特許-飲料品質を改善する方法 図1B
  • 特許-飲料品質を改善する方法 図1C
  • 特許-飲料品質を改善する方法 図2
  • 特許-飲料品質を改善する方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】飲料品質を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   C12H 3/04 20190101AFI20241007BHJP
   C12G 3/025 20190101ALI20241007BHJP
   C12G 3/08 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
C12H3/04
C12G3/025
C12G3/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021529389
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019063439
(87)【国際公開番号】W WO2020112898
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】62/917,188
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504378331
【氏名又は名称】ロアー ホールディング エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロシア,ロバート
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529102(JP,A)
【文献】国際公開第2018/187628(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0067123(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12H 3/04
C12G 3/025
C12G 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキーラ又はメスカル又はそれらから製造されるアルコール含有量が低減した飲物である飲料の品質を改善する方法であって、それに含有されるモノアミンオキシダーゼA(MAO A)阻害剤及びモノアミンオキシダーゼB(MAO B)阻害剤の比を変化させて、MAO B阻害剤のMAO A阻害剤に対する比を増加させるステップを含み前記変化させるステップが、前記飲料を、90%~99%NaCl阻止膜を用いて逆浸透に供するステップを含む、方法。
【請求項2】
改善された品質が、前記飲料を消費する人の経験的知覚である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記飲料が、アルコールが低減した飲物であり、改善された品質が前記飲料を消費する人によって示される認知力向上である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記変化させるステップが、テキーラ、メスカル、又はそれらから製造されるアルコールが低減した飲物から単離されるMAO B阻害剤を、前記飲料に添加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変化させるステップが、前記飲料を、90%NaCl阻止膜を用いて逆浸透に供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記変化させるステップが、前記飲料を、95%NaCl阻止膜を用いて逆浸透に供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変化させるステップが、前記飲料を、99%NaCl阻止膜を用いて逆浸透に供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記飲料が、テキーラである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記飲料が、メスカルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記飲料が、テキーラ又はメスカルから製造される、アルコール含有量が低減した飲物である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月26日出願の米国特許仮出願第62/917,188号に対して優先権を主張するものであり、その内容は、参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、リュウゼツラン由来の蒸留酒で見出される、モノアミンオキシダーゼA(MAO A)阻害剤及びモノアミンオキシダーゼB(MAO B)阻害剤を含む組成物において、その比を調整することによる改善を対象とする。組成物への、改善された追加の剤も含められる。
【背景技術】
【0003】
参照によって本明細書に援用された米国特許第10,195,163号には、テキーラからの、及びプルケからの、有意な濃度のMAO A阻害剤及びMAO B阻害剤を含有する組成物の製造が記載されている。これらの阻害剤は揮発性であり、テキーラの発酵及び蒸留並びにプルケの発酵の間に形成され得るので、逆浸透技術及びスピニング・コーン・カラム技術は、これらの阻害剤の活性を保存しながら、アルコールを除去するための技術として記載されている。これらが単一のMAO阻害剤であるか又は1種より多いものであるかは現在知られていないため、本明細書において単数及び複数は互換的に使用される。
【0004】
2018年10月18日に公開された米国特許出願第2018/0296629号に、蒸留物からアルコールを除去するための、改善された方法が記載されている。この文書の内容は、本明細書に参照によって援用されるが、手短には、有意な濃度のこれらの阻害剤を含む保持液をもたらすための、逆浸透及び低圧蒸発を含む方法が記載されている。加えて、モノアミンオキシダーゼ活性(それ故にその阻害)の、及びエタノール含有量のアッセイ法の詳細が提供される。
【0005】
最終的にリュウゼツランに由来する、モノアミンオキシダーゼ阻害剤Bの、モノアミンオキシダーゼA阻害剤に対する比が重要であること、又はMAO B阻害剤の濃度がとりわけ重要であるという認識がないようである。両方の場合において、これらの阻害剤は、上述の‘629刊行物で実証されるように可逆的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、MAO Aの阻害と比較して、MAO Bの阻害について、リュウゼツラン由来蒸留物に含有される阻害剤の比が重要であり、同様にMAO B阻害剤の濃度それ自体も重要であるという認識に基づく。ここで、飲料として使用される発酵リュウゼツラン蒸留物それ自体、又はそれに由来する、比較的ノンアルコール形態のいずれの品質も、モノアミンオキシダーゼA阻害剤及びモノアミンオキシダーゼB阻害剤の比、及び/又はMAO B阻害剤の濃度によって、少なくとも部分的に決定されると理解される。
【0007】
したがって、本発明は、テキーラ又はメスカル又はそれらに由来する、アルコール含有量が低減した飲物である飲料の品質を改善する方法であって、それに含有されるMAO B阻害剤のMAO A阻害剤に対する比を変化させて、Bが多くなるようにこの比を増加させるステップ、及び/又はMAO B阻害剤の濃度を増加させるステップを含む、方法を対象とする。こうして得られる飲料、並びに鬱病(抑うつ;うつ状態)及びパーキンソン病を治療する方法、これらの飲料のアルコールが低減した形態を提供することによって認知力を高める方法もまた、本発明の一部である。
【0008】
別の態様において、本発明は、上記された、変化させた阻害剤の比を有するものを含む、蒸留物から得られるアルコールが低減した組成物に添加することができる、重要な追加の、相乗作用成分及び/又は防腐成分を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】ドンフリオテキーラの知覚される品質を評価するための試験の結果を示す図である。
図1B図1Aの続きである。
図1C図1Bの続きである。
図2】シリカゲルカラムでの、MAO A阻害活性とMAO B阻害活性との両方の分解能(resolution)を示す図である。
図3】MAO A阻害剤及びMAO B阻害剤のHPLC分離の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の態様に関して、テキーラ又はメスカル又はそれらに由来する、アルコール含有量が低減した飲物である飲料の品質は、それに含有されるMAO B阻害剤のMAO A阻害剤に対する比を変化させて、Bが多くなるようにこの比を増加させるステップ、及び/又は単純にMAO B阻害剤の濃度を増加させるステップによって改善される。
【0011】
アルコールが低減した飲物は、栄養補助食品として、或いは鬱病若しくはパーキンソン病の治療のために、又は認知力を高めるために使用することができる医薬として有用な、十分に低いアルコール度数(ABV)値を有することになる。ABVの典型的な値は、2%以下、又は1.5%以下、又は1%以下、又は0.5%以下である。
【0012】
低いABVと、阻害剤の比の変化との両方を成し遂げる、1つの方法は、MAO A阻害剤及びMAO B阻害剤をテキーラから単離し、その一方で保持液中のNaClを実質的に保持する膜を用いた逆浸透を使用して、アルコール濃度を低減して、気分高揚特性を有する低アルコール飲料を製造することを含む。テキーラは、高レベルのMAO阻害剤を有し、蒸留物として、膜性能に影響を及ぼし得る粒子を含まないので、この膜ベース法に好ましい出発材料である。90%~99%NaCl阻止膜を使用した膜ベース法により、保持液中のMAO B阻害剤の濃度は、維持されるか、又は増加し、その一方で、濾過生成物におけるより多くのMAO A阻害剤は、エタノール及び水でRO膜を通過する。こうした膜は、分子量カットオフ値300ダルトン以上を有するので、これは、NaClを透過させるナノ濾過膜の使用と比較される(ナノ濾過膜は、典型的には軟水化装置で使用される)。濾過生成物は、回収されるか、又はエタノールからMAO A阻害剤を分離するためのナノ濾過膜を取り付けた、別のROシステムへ向かうことができ、ここで、少なくとも一部のMAO A阻害剤は、濃縮物に保持され、その一方で水及びエタノールは濾過生成物中にある。
【0013】
別の方法は、当然のことながら、テキーラ、メスカル、又はアルコールが低減した形態の追加の試料から濃縮又は精製されたMAO Bに対する阻害剤を単純に添加することである。試料は、同じ飲料又は飲料の類の異なるメンバーのものであってもよい。様々なクロマトグラフ法、例えばHPLC等の、複雑な混合物から個々の化合物を分離又は濃縮する方法は、当技術分野で公知である。
【0014】
MAO阻害剤は、鬱病を治療するのに使用され、MAO B阻害剤もまた、パーキンソン病を治療するのに使用されることが理解される。増加したMAO B活性は、人の老化及び認知力低下と関係する。MAO Bは、セロトニン及びドーパミンといった神経伝達物質の再取り込みを阻害することによって、シナプス間隙におけるその濃度を増加させると考えられている、アンフェタミンと同様の作用を持つ微量アミンとして分類される神経伝達物質であるフェニルエチルアミン(2-フェニルエチルアミン、PEA)の代謝に触媒作用を及ぼす。微量アミンは、他の官能性アミン神経伝達物質よりも、有意により低い濃度で存在するが、PEAは、アンフェタミンによっても活性化される種類のGタンパク質共役受容体に結合することを含む、その作用メカニズムによる強力な効果を有する。したがって、PEAの代謝分解には鎮静効果があり、アミンのMAO B代謝は、副生成物として過酸化水素を生じ、それによって認知力が影響を受ける。
【0015】
MAO B阻害は、フェニルエチルアミンのレベルを増加させ、それにより、好ましい経験的効果についてセロトニン及びドーパミンのレベルを増加させると理解される。したがって、上昇したMAO B阻害剤のレベルにより、認知力を改善する能力がもたらされる。
【0016】
別の態様において、本発明は、リュウゼツラン蒸留物由来のノンアルコール飲料、若しくはそれ自体に有用な相乗作用剤及び/又は防腐剤を提供すること、又は本発明の、MAO A阻害剤に対してMAO B阻害剤を高めた、改善された飲料に関連する。例えば、相乗作用剤としてPEAを添加することは有益である。消化管及び血漿コンパートメントのMAOの高い活性のために、PEAの経口投与は無効であることが既知であり、それは、PEAを急速に代謝させるが、MAO B阻害剤含有飲料は、吸収経路に沿って通常入ってくるMAOを阻害することによって、PEA及び他の生体アミンの吸収レベルを増加させる。加えて、カフェインはPEAと組み合わせて使用される。
【0017】
追加の防腐成分には、飲物を安定させ、付随して、追加の栄養面の利点をもたらす成分が含まれる。これらには、タンパク質が挙げられ、いずれのタンパク質も、MAO阻害剤含有飲物に安定性をもたらす。阻害剤は、タンパク質に吸着し、エタノール濃度が減少する場合、溶液からの析出を防ぐ。防腐剤、例えばプロピレングリコールを添加することもできる。米国において、食品医薬品局は、アルコール飲料に、5%までのプロピレングリコールを含有することを許可し、欧州の規則は、香料中にkgあたり3グラム及び飲料中に0.1%を許可する。
【0018】
他の防腐剤には、任意の細菌増殖を阻害するための、安息香酸ナトリウム、二酸化硫黄、ソルビン酸及びその塩、又は安息香酸が挙げられる。清涼飲料における安息香酸の最大許容レベルは、150mg/lであり、ソルビン酸の最大許容レベルは、単独で使用される場合300mg/lであり、安息香酸塩と組み合わせて使用される場合250mg/lである。
【0019】
したがって、例示的な一実施形態において、エタノールは、MAO A阻害剤を同時に除去しながら、所望のレベルまで除去され、MAO B阻害剤の保持により、MAO A阻害剤/MAO B阻害剤の有効な濃度及び所望の比がもたらされて、所望の経験的効果を生じる。テキーラ又はアルコールが低減したその派生物から事前に得られたMAO B阻害剤は、例えば直接添加することができる。阻害剤の比は、個人的嗜好に応じて調整することができる。
【0020】
一部の実施形態において、アルコールが低減した飲料(MAO B阻害剤調整あり又はMAO B阻害剤調整なし)12オンス用量は、クエン酸フェニルエチルアミン100~300mg、塩酸フェニルエチルアミン100~300mg、及びカフェイン15~200mgを含有する。乳からのタンパク質、例えばβ-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン、乳清、及びカゼインを、体積12オンス当たり10~30グラムの濃度で飲物に添加する。MAO阻害剤は、タンパク質に吸着し、それ故にタンパク質は、飲料に安定性の向上をもたらし、エタノールのない状態で析出を防ぐ。アルコールの溶媒効果は、一部の配合物において、プロピレングリコールの添加で置き換えることもできる。加えて、電解質又はビタミンB複合体が場合により含まれる。
【0021】
要するに、テキーラ又はメスカルの経験的品質は、本発明に従って、Bが多くなるようにMAO B阻害剤及びMAO A阻害剤の比を調整することによって、又はB阻害剤の濃度を単純に増加させることによって改善することができる。それに由来するアルコールが低減した飲物の、医薬としての品質は、これらの方法によって改善することもできる。テキーラ又はメスカルに由来するアルコールが低減した飲物は、阻害剤を調整することによって変わるかどうかに関わりなく、相乗作用剤及び/又は防腐剤によって、医薬として改善することもできる。
【0022】
以下の実施例は、説明するものであり、本発明を限定するものではない。
【0023】
[実施例1]
阻害剤比の変化
一部の公知のMAO阻害剤は、MAO AとMAO Bとの両方と交差反応するが、テキーラに存在する阻害剤は、モノアミンオキシダーゼのいずれかの形態に対して特異的な阻害剤である。これは、ドンフリオアネホ(DJA)銘柄及びカサドラゴネス(CD)銘柄を比較した活性アッセイ結果において認められる。CDは、B阻害剤/A阻害剤の比6を示し、その一方でDJAにおける比は3.4である。
【0024】
表1は、DJA及びCDのテキーラにおける阻害活性を示す。これらのパーセンテージは、テキーラそれ自体において考えられ、アルコールを除去するためのナノ濾過膜を用いて以下で得られたレベルを反映しない。
【0025】
【表1】
【0026】
ドンフリオアネホテキーラ(DJA)5Lを40Lに希釈し、逆浸透(RO)Alfa Laval M20 RO処理装置において5Lまで再び濃縮し(バッチモード)、引き続いて、エタノール濃度が、約1.3%ABVまで低くなるまで、5Lで維持された体積で更に再循環させた(透析濾過モード)。RO処理装置に、90%NaCl阻止膜(RO90)を備え付けた。
【0027】
比較のために、DJAを95%NaCl阻止膜、99%NaCl阻止膜、及びナノ濾過(NF)膜以外は同じ条件で処理した。
【0028】
表2は、4種の膜から得られるRO濃縮物におけるMAO阻害活性を示す。90~99%NaCl阻止膜は、有効に、MAO B阻害剤濃度の大部分を維持するが、MAO A阻害剤濃度を幾分減らし、MAO B阻害剤の保持によって改善された最終製品をもたらす。ナノ濾過膜(NF)は、NaClを透過させるので、アルコール除去それ自体との比較の標準を反映する。
【0029】
【表2】
【0030】
[実施例2]
MAO B阻害剤濃度の効果
メキシコに、1000を超える、様々な自家商標を製造する約139のテキーラ蒸留酒製造所があり、それぞれの製造者は、メキシコ公式規格(NOM)データベースにおいて、製造されたそれぞれの瓶に表記される登録番号によって識別される。蒸留酒製造所のNOMデータベース全体で、様々なMAO A阻害剤及びMAO B阻害剤の活性があるが、それぞれの蒸留器からのテキーラ試料で実施されたMAO活性アッセイにおいて一貫した阻害剤濃度が認められる。図1は、ウェブサイト:tastetequila.com/2015/100-favorite-tequila-brands-according-to-hardcore-fans/から得られるテキーラ銘柄の品質ランキングを示す。表3は、MAO阻害活性を有するドンフリオ銘柄及び格付けされる「嗜好(like)」を示す。
【0031】
【表3】
【0032】
興味深いことに、追加の蒸留(及び濾過)後のドンフリオアネホであるドンフリオ70thの場合、26%から6%までのMAO B阻害活性の有意な低下、及び141から70までの嗜好数の減少がある。追加の処理は、MAO B阻害剤を減少させることによって、アネホテキーラの「好ましさ」を損なう。DJ1942は、これらの格付けの上位20の1番として出てきた。価格との特別な相関がないことに留意されたい。
【0033】
[実施例3]
MAO A阻害剤及びMAO B阻害剤の分離
2種のテキーラの溶媒抽出物は、以下のように製造された:テキーラ(300ml)を脱イオン水で600mlまで希釈し、ジクロロメタン(3×125ml)で抽出した。抽出物を合わせ、無水硫酸ナトリウムのカラムを通過させた。溶媒は、70℃の水槽で温めたクデルナーダニッシュ装置における蒸発によって除去された。ドンフリオアネホ(DJA)及びカサドラゴネスブランコ(CD)は、ジクロロメタン95%/メタノール5%で実施されたシリカゲルクロマトグラフィーによって部分的に精製された。分画(300μL)を回収し、それぞれを、MAO A阻害活性及びMAO B阻害活性についてアッセイした。阻害活性を有する分画を、HPLCによって更に分別し、質量分析法によって分析した。図2は、分子量:194、281、283、315、386、472、473、498、506、512、527、566、586を含有するDJAシリカゲルカラム分画のMAO A阻害活性及びMAO B阻害活性を示す。
【0034】
図3に示すように、HPLCを使用して阻害剤のさらなる分離を成し遂げた。B分画の分子量は292g/モル及び932g/モルであり、A分画の分子量は436g/モル及び399g/モルである。
本発明は、以下の態様を含む。
[項1]
テキーラ又はメスカル又はそれらから製造されるアルコール含有量が低減した飲物である飲料の品質を改善する方法であって、それに含有されるモノアミンオキシダーゼA(MAO A)阻害剤及びモノアミンオキシダーゼB(MAO B)阻害剤の比を変化させて、MAO B阻害剤のMAO A阻害剤に対する比を増加させるステップを含むか、又はMAO B阻害剤の濃度を高めるステップを含む、方法。
[項2]
改善された品質が、前記飲料を消費する人の経験的知覚である、項1に記載の方法。
[項3]
前記飲料が、アルコールが低減した飲物であり、改善された品質が前記飲料を消費する人によって示される認知力向上である、項1に記載の方法。
[項4]
前記変化させるステップが、前記飲料を、90%~99%NaCl阻止膜を用いて逆浸透に供するステップを含む、項1に記載の方法。
[項5]
前記変化させるステップが、テキーラ、メスカル、又はそれらから製造されるアルコールが低減した飲物から単離されるMAO B阻害剤を、前記飲料に添加するステップを含む、項1に記載の方法。
[項6]
項1に記載の方法によって調製される飲料。
[項7]
テキーラである、項6に記載の飲料。
[項8]
アルコール含有量が低減した前記飲物である、項6に記載の飲料。
[項9]
少なくとも1種の相乗作用剤又は防腐剤を補充した、テキーラ又はメスカルから調製される、アルコール含有量が低減した飲物である飲料。
[項10]
前記相乗作用剤が、2-フェニルエチルアミン(PEA)、又はPEAとカフェインとの両方である、項9に記載の飲料。
[項11]
前記防腐剤が、タンパク質又は抗生物質である、項9に記載の飲料。
[項12]
少なくとも1種の相乗作用剤又は防腐剤を補充した、項8に記載の飲料。
[項13]
前記相乗作用剤が、2-フェニルエチルアミン(PEA)、又はPEAとカフェインとの両方である、項12に記載の飲料。
[項14]
前記防腐剤が、タンパク質又は抗生物質である、項12に記載の飲料。
[項15]
対象の鬱病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に有効量の項8に記載の飲料を投与するステップを含む、方法。
[項16]
対象の鬱病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に有効量の項9に記載の飲料を投与するステップを含む、方法。
[項17]
対象のパーキンソン病又は認知障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に有効量の項8に記載の飲料を投与するステップを含む、方法。
[項18]
対象のパーキンソン病又は認知障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に有効量の項9に記載の飲料を投与するステップを含む、方法。
図1A
図1B
図1C
図2
図3