(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】凍結乾燥ウイルス製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 35/763 20150101AFI20241007BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20241007BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241007BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241007BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241007BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20241007BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
A61K35/763
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/02
A61K9/08
A61K9/19
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021537096
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019068700
(87)【国際公開番号】W WO2020140012
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】フラッド, エンリケ アレクサンダー
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0243988(US,A1)
【文献】特許第2643982(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/76
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱毒化生
単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)ウイルス、
約17.5mg/mL~約22.5mg/mLの組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、
約5mg/mL未満のスクロース、
約26mg~約32mg/mLのソルビトール、
約13.5mg~約16mg/mLのリン酸カリウム、及び
約3mg~約7mg/mLの塩化ナトリウム
を含む液体組成物であって、
前記液体組成物は、凍結乾燥生成物を生成するためのものであり、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない、液体組成物。
【請求項2】
約20mg/mL±2mg/mLのrHSAを含む、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
約3.8mg/mL±0.38mg/mLのスクロースを含む、請求項1
又は2に記載の液体組成物。
【請求項4】
約29mg/mLのソルビトールを含む、請求項1
~3のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項5】
約14.5mg/mLのリン酸カリウムを含む、請求項1
~4のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項6】
約5.7mg/mLの塩化ナトリウムを含む、請求項1
~5のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記弱毒化生ウイルス、rHSA、スクロース、ソルビトール、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムから実質的にな
る、請求項1
~6のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記弱毒化生ウイルス、rHSA、スクロース、ソルビトール、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項9】
約7.2~約7.6のpHを有する、請求項1
~8のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項10】
約7.4のpHを有する、請求項
9に記載の液体組成物。
【請求項11】
約700mOsm/kg未満のオスモル濃度を有する、請求項1
~10のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項12】
約525mOsm/kg~約575mOsm/kgのオスモル濃度を有する、請求項
11に記載の液体組成物。
【請求項13】
約0.01mM以下の、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれかを含む、請求項1
~12のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項14】
前記HS
V-1株は、JS1株、17+株、F株及びKOS株からなる群から選択される、請求項1
~13のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項15】
前記HSV-1は、タリモジンラヘルパレプベク、Seprehvir(商標)、G207、OrienX010、NV1020、M032、ImmunoVEX及びOncoVEX
GALV/CDからなる群から選択される、請求項1
~13のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項16】
前記HSV-1は、タリモジンラヘルパレプベクである、請求項1~13のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項17】
前記HSV-1は、RP-1、RP-2及びRP-3から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項18】
約0.95mL~約1.5mLの水を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項19】
約1.0mLの水を含む、請求項18に記載の液体組成物。
【請求項20】
1×10
6PFU/mL又は1×10
8PFU/mLのタリモジンラヘルパレプベク、20mg/mLのrHSA、3.8mg/mLのスクロース、29mg/mLのソルビトール、14.5mg/mLのリン酸カリウム、及び5.7mg/mLの塩化ナトリウムを含み、前記液体組成物のpHが7.4である、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項21】
前記液体組成物が凍結乾燥され、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成される場合、前記再構成生成物中の前記弱毒化生ウイルスの効力は、前記液体組成物が凍結乾燥される前の前記弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約30%である、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項22】
弱毒化生HSV-1、
約20mg/mLの組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、
約3.8mg/mLのスクロース、
約29mg/mLのソルビトール、
約14.5mg/mLのリン酸カリウム、及び
約5.7mg/mLの塩化ナトリウム
を含む液体組成物であって、
前記液体組成物は、凍結乾燥生成物を生成するためのものであり、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない、液体組成物。
【請求項23】
前記弱毒化生HSV-1は、タリモジンラヘルパレプベクである、請求項
22に記載の液体組成物。
【請求項24】
前記弱毒化生HSV-1は、RP-1、RP-2及びRP-3から選択される、請求項22に記載の液体組成物。
【請求項25】
請求項1
~24のいずれか一項に記載の液体組成物を凍結乾燥することによって生成される生成物。
【請求項26】
請求項1
~24のいずれか一項に記載の液体組成物から水を除去することを含む方法によって生成される粉末。
【請求項27】
前記方法は、凍結乾燥である、請求項
26に記載の粉末。
【請求項28】
8℃未満又は約8℃の温度で少なくとも又は約1ヶ月、2ヶ月又は3ヶ月にわたって貯蔵安定性を有する、請求項
26又は請求項27に記載の粉末。
【請求項29】
水と、請求項
26~28のいずれか一項に記載の粉末とを含む液体組成物。
【請求項30】
約0.95mL~約1.5mLの水を含む、請求項
29に記載の液体組成物。
【請求項31】
約1.0mLの水を含む、請求項29
又は請求項30に記載の液体組成物。
【請求項32】
液体組成物1mL当た
り約1×10
6又は1×10
8PFUの弱毒化生ウイルスを含む、請求項
29~31のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項33】
約7.4のpHを有する、請求項
29~32のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項34】
(a)弱毒化生HSV-1、
(b)約24.66重量%~約30.14重量%の組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、
(c)約2.5重量%~約7.5重量%のスクロース、
(d)約25重量%~約33重量%または約35.76重量%~約43.7重量%のソルビトール、
(c)約15重量%~約25重量%のリン酸カリウム、及び
(d)約5重量%~約10重量%の塩化ナトリウム
を含む粉末であって、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない粉末。
【請求項35】
約4.68重量%~約5.72重量%のスクロースを含む、請求項
34に記載の粉末。
【請求項36】
約17.87重量%~約21.85重量%のリン酸カリウムを含む、請求項
34又は請求項35に記載の粉末。
【請求項37】
約7.0重量%~約8.6重量%の塩化ナトリウムを含む、請求項
34~36のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項38】
約1mLの水の添加時、約80mM~約85mMのリン酸カリウム、約95mM~約100mMの塩化ナトリウム、約2.8%(重量/体積)~約3.0%(重量/体積)のソルビトール、約0.36%(重量/体積)~約0.40%(重量/体積)のスクロース及び約1.98%(重量/体積)~約2.02%(重量/体積)の組換えHSAを含む液体組成物を作製する、請求項
34~37のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項39】
前記弱毒化生HSV-1は、タリモジンラヘルパレプベクである、請求項34~38のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項40】
前記弱毒化生HSV-1は、RP-1、RP-2及びRP-3から選択される、請求項34~38のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項41】
ヒト対象に投与するための腫瘍溶解性ウイルスを調製する方法であって、請求項
34~40のいずれか一項に記載の粉末に水を加えることを含む、方法。
【請求項42】
ヒト対象の黒色腫を治療するための、請求項1~24のいずれか一項に記載の液体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月27日に出願された米国仮特許出願第62/785,307号明細書に対する優先権を主張するものであり、その全内容が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
単純ヘルペスウイルスなどの生きたウイルスは、一般的に、-80℃より高い貯蔵温度では長期的に不安定である。熱安定性の欠如は、このようなウイルス、特に液体製剤中の治療用ウイルスに対する課題を提起する。このような治療用ウイルス組成物は、それらの治療上有効な感染性を維持するために、凍結保存及び凍結輸送され、解凍後、直ちに使用されなければならない。
【0003】
熱安定性の欠如は、製造、貯蔵及び輸送のコストを増加させる作業上の課題を提起する。製造作業中の例えば凍結/解凍サイクルは、最適以下のプロセス収率及びサプライチェーンに必要な柔軟性の欠如をもたらし得る。貯蔵及び輸送も困難であり、取り扱いが複雑になり、サプライチェーンが複雑になる。
【0004】
熱安定性の欠如は、商業的な課題も提起する。安定な貯蔵寿命を保証するために、-80℃の貯蔵を必要とする生ウイルス組成物は、医療提供者に複雑な貯蔵及び取り扱い手順をもたらす。このような制約は、製品の損失(例えば、取り扱いミスによる)及び製品廃棄物化(例えば、製品全体が解凍後に使用されない)のリスクを増大させる。これは、顧客に対してコストを増加させる可能性を有する。
凍結乾燥は、医薬品が凍結されて真空下に置かれた後、それから水を除去するフリーズドライプロセスである。このプロセス中、水は、液相を通過することなく、氷から蒸気に変化して昇華する。凍結乾燥は、化学API、ペプチド、オリゴヌクレオチド及びタンパク質(例えば、コラーゲン、酵素及び抗体)を含むものを含む医薬品及びバイオ医薬品の安定性を改善し、最終的に貯蔵安定性を高め、貯蔵寿命を長くする目的で広く使用されている。しかし、このプロセスに課題がないわけではない。凍結乾燥は、医薬品の遅延放出及び医薬品ロットの拒絶に繋がり得る(www.americanpharmaceuticalreview.com/Featured-Articles/126958-Troubleshooting-During-the-Manufacture-of-Lyophilized-Drug-Product-Being-Prepared-for-the-Unexpected/で入手できるRoy et al.,Troubleshooting During the Manufacture of Lyophilized Drug Product-Begin Prepared for the Unexpected,Am Pharm Rev(2012))。ウイルス製剤との関連において、凍結乾燥プロセスは、ウイルスを損傷させ、再構成時の活性ウイルス量の減少に繋がり得る(Hansen L,Daoussi R,Vervaet C,Remon J-P,De Beer T(2015)Freeze-drying of live virus vaccines:A review.Vaccine 33:5507-5519)。また、米国食品医薬品局は、凍結乾燥の欠点のいくつかに、取り扱い及び処理時間の増加、再構成のための無菌の希釈剤の必要性並びに高価且つ/又は複雑な装置の必要性が含まれることを指摘している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Hansen L,Daoussi R,Vervaet C,Remon J-P,De Beer T(2015)Freeze-drying of live virus vaccines:A review.Vaccine 33:5507-5519
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、凍結乾燥して、低温及び周囲温度での貯蔵を可能にする安定な凍結乾燥ウイルス生成物を生成することができる生ウイルス製剤又は組成物を提供する。凍結乾燥生成物又は粉末も本明細書で提供される。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、本開示の製剤、生成物及び粉末は、柔軟性を提供する一方、ウイルスの安定性及び/又は感染性の低下を軽減することにより、製造時、輸送時、貯蔵時及びウイルス使用時の制約を低減する。本開示の組成物は、ウイルスの不活化も防止又は最小限にする。効力(又は活性)を失うことなく、医薬品又は中間生成物を取り扱い、貯蔵し、輸送する能力は、製造プロセス設計、ラベル貼付、包装作業、最終生成物のサプライチェーン流通及び医療提供者の取り扱いにおける柔軟性を可能にするため、非常に価値がある。
【0007】
したがって、本開示は、弱毒化生ウイルス、ヒト血清アルブミン(例えば、組換えヒト血清アルブミン「rHSA」)、ラクトース以外の糖、糖アルコール、リン酸塩源及び塩化物源を含む液体組成物を提供する。例示的な態様では、液体組成物は、約5mg/mL超且つ約25mg/mL未満のrHSA、任意選択により約10mg/mL超且つ約25mg/mL未満のrHSAを含む。様々な態様において、液体組成物は、約15mg/mL超且つ約25mg/mL未満のrHSAを含み、任意選択により、液体組成物は、約17.5mg/mL~約22.5mg/mLのrHSA、任意選択により約20mg/mL±2mg/mLのrHSAを含む。様々な態様において、液体組成物の糖は、スクロースであり、任意選択により、液体組成物は、約15mg/mL未満のスクロース、約10mg/mL未満のスクロース又は約5mg/mL未満のスクロースを含む。様々な態様において、液体組成物は、約3.8mg/mL±0.38mg/mL未満のスクロースを含む。様々な例において、液体組成物の糖アルコールは、ソルビトールであり、任意選択により、液体組成物は、約10mg/mL超且つ約50mg/mL未満のソルビトール、任意選択により約20mg/mL超且つ約40mg/mL未満のソルビトールを含む。いくつかの態様では、液体組成物は、約45mg/mL未満のソルビトール、約40mg/mL未満のソルビトール、約35mg/mL未満のソルビトール又は約26mg~約32mg/mLのソルビトールを含む。いくつかの態様では、液体組成物中に存在するリン酸塩源は、リン酸カリウムである。様々な例において、液体組成物は、約5mg/mL超且つ約45mg/mL未満のリン酸カリウム、任意選択により約40mg/mL未満のリン酸カリウム(例えば、約30mg/mL未満のリン酸カリウム、約20mg/mL未満のリン酸カリウム)又は約13.5mg~約16mg/mLのリン酸カリウムを含む。いくつかの例では、液体組成物の塩化物源は、塩化ナトリウムであり、任意選択により約1mg/mL超且つ約20mg/mL未満の塩化ナトリウムの量で存在する。いくつかの態様では、液体組成物は、約15mg/mL未満の塩化ナトリウム又は約10mg/mL未満の塩化ナトリウム、例えば約3mg~約7mg/mLの塩化ナトリウムを含む。例示的な例では、組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない。様々な態様において、液体組成物は、弱毒化生ウイルス、rHSA、スクロース、ソルビトール、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムから実質的になるか又はそれらからなる。液体組成物は、いくつかの態様では、約7.2~約7.6のpH、任意選択により約7.4のpHを有する。様々な態様において、液体組成物は、約700mOsm/kg未満、任意選択により約650mOsm/kg未満のオスモル濃度(例えば、約600mOsm/kg未満、任意選択により約525mOsm/kg~約575mOsm/kgのオスモル濃度)を有する。特定の態様では、液体組成物は、約0.01mM以下の、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれか、任意選択により約0.001mM以下の、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれかを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、弱毒化生ウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)、任意選択により単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)株である。様々な例において、HSV-1株は、JS1株、17+株、F株及びKOS株からなる群から選択される。一実施形態では、HSV-1は、タリモジンラヘルパレプベクである。様々な例において、液体組成物が凍結乾燥され、且つ再構成生成物を生成するために水で再構成されるとき、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物が凍結乾燥される前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約30%、任意選択により液体組成物が凍結乾燥される前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約35%である。いくつかの態様では、液体組成物が凍結乾燥され、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成され、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物が凍結乾燥される前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約30%、任意選択により液体組成物が凍結乾燥される前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約40%である。
【0009】
また、本明細書で提供されるのは、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約18mg/mL~約22mg/mLのヒト血清アルブミン(例えば、rHSA)、約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム及び約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む液体組成物である。さらに提供されるのは、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約1.0%~約3.0%(重量/体積)のヒト血清アルブミン(例えば、rHSA)、約0.25%~約0.45%(重量/体積)のスクロース、約2.0%~約4.0%(重量/体積)のソルビトール、約60mM~約100mMのリン酸カリウム及び約80~約110mMの塩化ナトリウムを含む液体組成物である。
【0010】
本明細書では、本開示の液体組成物のいずれか1つを凍結乾燥又はフリーズドライすることによって生成される生成物がさらに提供される。
【0011】
本開示は、弱毒化生ウイルス(例えば、HSV-1、任意選択によりタリモジンラヘルパレプベク)、組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、ラクトース以外の糖、糖アルコール、リン酸塩源、塩化物源を含む組成物から水を除去すること(例えば、凍結乾燥により)を含む方法によって生成される粉末を提供し、ここで、組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない。任意選択により、水が除去される組成物(例えば、凍結乾燥により)は、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約18mg/mL~約22mg/mLのヒト血清アルブミン(例えば、rHSA)、約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム及び約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む。さらに提供されるのは、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約1.0%~約3.0%(重量/体積)のヒト血清アルブミン(例えば、rHSA)、約0.25%~約0.45%(重量/体積)のスクロース、約2.0%~約4.0%(重量/体積)のソルビトール、約60mM~約100mMのリン酸カリウム及び約80~約110mMの塩化ナトリウムを含む組成物から水を除去すること(例えば、凍結乾燥により)を含む方法によって生成される粉末である。
【0012】
さらに提供されるのは、弱毒化生HSV-1、約18mg/mL~約22mg/mLの組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム及び約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む液体組成物から水を除去することを含む方法により生成される粉末である。いくつかの態様では、組成物は、水を除去する前に、氷を含む組成物を得るために凍結され、任意選択により、この方法は、水を除去する(例えば、凍結乾燥により)ために組成物を真空下に置くことをさらに含む。特定の態様では、粉末は、8℃未満又は約8℃の温度で少なくとも又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24ヶ月にわたって貯蔵安定性を有する。
【0013】
本明細書では、水と、本開示の生成物又は本開示の乾燥粉末とを含む液体組成物が提供される。いくつかの態様では、液体組成物は、約0.95mL~約1.5mLの水、任意選択により約1.0mLの水を含む。特定の態様では、液体組成物は、液体組成物1mL当たり少なくとも又は約1×106PFUの弱毒化生ウイルス(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)を含み、且つ/又は約7.4のpHを有する。他の態様では、液体組成物は、液体組成物1mL当たり少なくとも又は約1×108PFUの弱毒化生ウイルス(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)を含み、且つ/又は約7.4のpHを有する。
【0014】
本開示により、弱毒化生ウイルスを含む粉末がさらに提供される。例示的な実施形態では、粉末は、ヒト血清アルブミン(例えば、rHSA)、ラクトース以外の糖、糖アルコール、リン酸塩源、塩化物源をさらに含み、ここで、組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない。任意選択により、粉末は、約24.66重量%~約30.14重量%のrHSAを含む。例示的な例では、糖は、スクロースであり、任意選択により約2.5重量%~約7.5重量%、任意選択により約4.68重量%~約5.72重量%の量で存在する。特定の例では、粉末中に存在する糖アルコールは、ソルビトールであり、任意選択により約25重量%~約33重量%又は約35.76重量%~約43.7重量%の量で存在する。特定の態様では、リン酸塩源は、リン酸カリウムであり、粉末は、約15重量%~約25重量%、任意選択により約17.87重量%~約21.85重量%のリン酸カリウムを含む。様々な態様において、塩化物源は、塩化ナトリウムであり、粉末は、約5重量%~約10重量%の塩化ナトリウム、任意選択により約7.0重量%~約8.6重量%の塩化ナトリウムを含む。例示的な例では、粉末は、約1mLの水の添加時、約80mM~約85mMのリン酸カリウム、約95mM~約100mMの塩化ナトリウム、約2.8%(重量/体積)~約3.0%(重量/体積)のソルビトール、約0.36%(重量/体積)~約0.40%(重量/体積)のスクロース及び約1.98%(重量/体積)~約2.02%(重量/体積)の組換えHSAを含む液体組成物を作製する。
【0015】
本開示は、ヒト対象に投与するための腫瘍溶解性ウイルスを調製する方法であって、本開示の粉末のいずれか1つに水を加えることを含み、任意選択により、約1.0mL~約1.2mLの水が粉末に加えられる、方法も提供する。
【0016】
さらに提供されるのは、ヒト対象の黒色腫を治療する方法であって、液体組成物を得るために、本開示の粉末のいずれか1つに水を加えることであって、約1.0mL~約1.2mLの水が粉末に加えられる、得ることと、ヒト対象に液体組成物を注射することとを含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】1×10
8PFU/mLを含有するように処方された、再構成物質中の10μm超の肉眼で見えない粒子の量を示す累積カウント/mLのグラフである。
【
図2】1×10
8PFU/mLを含有するように処方された、再構成物質中の25μm超の肉眼で見えない粒子の量を示す累積カウント/mLのグラフである。
【
図3】5℃(
図3の左半分)及び25℃(
図3の右半分)で6週間、液体として保存した製剤F1、F2及びF3(それぞれタリモジンラヘルパレプベクを含む)の、F4(これもタリモジンラヘルパレプベクを含む)に対する分解速度の比較である。1より大きい値は、F4と比較して分解速度の増加を示し(より悪い安定性)、1未満の値は、F4と比較して分解速度の改善(より良好な安定性)の程度を示す。
【
図4】5℃で10週間保存した凍結乾燥製剤F1、F2及びF3の、F4に対する分解速度の比較である。1より大きい値は、F4に対する分解速度の増加倍率(すなわちより悪い安定性)を示し、1未満の値(存在しない)はF4に対する分解速度の減少倍率(すなわちより良好な安定性)を示す。
【
図5】製剤F4に対するF1、F2及びF3の凍結乾燥後の活性の回復率を示す。凍結乾燥後に回復した活性の量は、凍結乾燥後の最初に存在する活性量を、液体製剤中に存在した活性量(凍結乾燥前)で除し、次いで製剤F4で回復された活性の分率に対して標準化することによって各製剤について計算した。0%を超える値(存在しない)は、製剤F4で回復された活性の量よりも多く(すなわちより良好に)回復された活性の割合を示す。0%未満の値は、製剤F4で回復された活性の量よりも少なく(すなわち悪化して)回復された活性の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で提供されるのは、凍結乾燥又はフリーズドライに適した生ウイルス組成物である。さらに、関連する粉末及びフリーズドライ又は凍結乾燥した生成物が提供される。このような粉末及び生成物は、有利には、延長された貯蔵寿命を特徴とする貯蔵安定性を有し、凍結乾燥又はフリーズドライ時における生ウイルスの効力の損失を最小限とするか又は低減することを特徴とする。また、様々な態様において、本開示の液体組成物は、凍結乾燥状態及び液体状態の両方において、弱毒化生ウイルスを適切に安定化する。
【0019】
本開示は、弱毒化生ウイルス、ヒト血清アルブミン(例えば、rHSA)、ラクトース以外の糖、糖アルコール、リン酸塩源及び塩化物源を含む液体組成物を提供する。様々な態様において、液体組成物は、弱毒化生ウイルス、HSA(例えば、rHSA)、スクロース、ソルビトール、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムを含む。例示的な態様では、液体組成物は、約18mg/mL~約22mg/mLのHSA(例えば、rHSA)又は約1.0%~約3.0%(重量/体積)のHSA(例えば、rHSA)を含む。様々な例において、液体組成物は、約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース又は約0.25%~約0.45%(重量/体積)のスクロースを含む。いくつかの態様では、液体組成物は、約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール又は約2.0%~約4.0%(重量/体積)のソルビトールを含む。様々な態様において、液体組成物は、約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム又は約60mM~約100mMのリン酸カリウムを含む。特定の態様では、液体組成物は、約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウム又は約80~約110mMの塩化ナトリウムを含む。したがって、本明細書で提供されるのは、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約18mg/mL~約22mg/mLのHSA(例えば、rHSA)、約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム及び約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む液体組成物である。さらに提供されるのは、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約1.0%~約3.0%(重量/体積)のHSA(例えば、rHSA)、約0.25%~約0.45%(重量/体積)のスクロース、約2.0%~約4.0%(重量/体積)のソルビトール、約60mM~約100mMのリン酸カリウム及び約80~約110mMの塩化ナトリウムを含む液体組成物である。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、示された値から5%の変動を指すか、又は値の範囲の場合、そのような範囲の下限及び上限の両方から5%の変動を意味する。
【0020】
本開示の液体組成物は、例示的な実施形態では、水溶液であり、滅菌されており、例えばろ過滅菌されており、且つ/又は細菌及び内毒素を実質的に含まない。
【0021】
ヒト血清アルブミン(HSA)
様々な態様において、液体組成物は、アルブミン、任意選択によりヒト血清アルブミン(HSA)を含む。HSAは、ヒトの血液の血漿中に見出される最も豊富なタンパク質である。様々な態様において、液体組成物は、組換えHSAを含む。本明細書で使用される場合、「HSA」に関連して、「組換え」という用語は、HSAが、遺伝子操作された産物であるか、又は組換え産生方法によって作られることを意味する。組換えHSAは、天然産物(例えば、ヒト血漿)から得られるものではない(天然産物から単離又は精製されない)。むしろ、遺伝子操作された細胞を使用してHSAを産生することができる。様々な例において、液体組成物は、rHSAを含み、任意選択により、rHSAは、酵母ベースの発現を使用して産生される。様々な態様において、本開示の液体組成物は、約50mg/mL未満、約45mg/mL未満、約40mg/mL未満、約35mg/mL未満又は約30mg/mL未満のHSA(例えば、rHSA)を含む。様々な態様において、本開示の液体組成物は、約1mg/mL超、約2mg/mL超、約3mg/mL超、約4mg/mL超、約5mg/mL超、約10mg/mL超、約15mg/mL超又は約20mg/mL超のHSA(例えば、rHSA)を含む。任意選択により、液体組成物は、約5mg/mL超且つ約25mg/mL未満のHSA(例えば、rHSA)、任意選択により約10mg/mL超且つ約25mg/mL未満のHSA(例えば、rHSA)又は約15mg/mL超且つ約25mg/mL未満のHSA(例えば、rHSA)を含む。様々な例において、液体組成物は、約17.5mg/mL~約22.5mg/mLのHSA(例えば、rHSA)を含み、例えば約20mg/mL±2mg/mLのHSA(例えば、rHSA)、任意選択により約20mg/mL±1mg/mLのHSA(例えば、rHSA)を含む。一実施形態では、液体組成物は、約20mg/mLのHSA(例えば、rHSA)を含む。様々な態様において、本開示の液体組成物は、約20%(重量/体積)未満(例えば、約15%(重量/体積)未満、約10%(重量/体積)未満、約5%(重量/体積)未満)のHSA(例えば、rHSA)を含む。いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、3%(重量/体積)未満且つ0.1%(重量/体積)超、任意選択により約1.8%(重量/体積)~約2.2%(重量/体積)のHSA(例えば、rHSA)を含む。いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4又は2.5%(重量/体積)のHSA(例えば、rHSA)を含む。いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、約2.0%(重量/体積)のHSA(例えば、rHSA)を含む。いくつかの態様では、液体組成物は、約5mM未満のHSA(例えば、rHSA)及び約0.001mM超、例えば約0.001mM~約4mM、約0.001mM~約3mM、約0.001mM~約2mM、約0.001mM~約1mM又は約0.001~約0.5mMのHSA(例えば、rHSA)を含む。様々な態様において、HSA(例えば、rHSA)は、約0.01mM~約1mM又は約0.05mM~約0.5mM、任意選択により約0.3mMのHSA(例えば、rHSA)の量で液体組成物中に存在する。
【0022】
糖類
様々な態様において、液体組成物は、糖を含み、その糖は、ラクトース以外である。有利には、本開示の組成物及びその関連する生成物は、ラクトースアレルギー又はラクトース不耐性を有する者への投与に適している。いくつかの例では、糖は、デキストロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラフィノース、トレハロース又はスクロースである。様々な態様において、液体組成物の糖は、スクロースである。様々な態様において、糖(例えば、スクロース)は、約50mg/mL未満、約45mg/mL未満、約40mg/mL未満、約35mg/mL未満、約30mg/mL未満、約25mg/mL未満又は約20mg/mL未満の量で液体組成物中に存在する。いくつかの態様では、液体組成物は、約15mg/mL未満の糖(例えば、スクロース)、約10mg/mL未満の糖(例えば、スクロース)又は約5mg/mL未満の糖(例えば、スクロース)を含む。様々な態様において、本開示の液体組成物は、約1mg/mL超、約2mg/mL超、約3mg/mL超の糖(例えば、スクロース)を含み、任意選択により、液体組成物は、約2mg/mL~約5mg/mLを含む。いくつかの態様では、液体組成物は、約3.8mg/mL±0.38mg/mL未満のスクロースを含む。他の態様では、液体組成物は、約3.8mg/mLのスクロースを含む。様々な態様において、本開示の液体組成物は、約10%(重量/体積)未満(例えば、約9%(重量/体積)未満、約8%(重量/体積)未満、約7%(重量/体積)未満、約6%(重量/体積)未満、約5%(重量/体積)未満、約4%(重量/体積)未満、約3%(重量/体積)未満、約2%(重量/体積)未満、約1%(重量/体積)未満)の糖(例えば、スクロース)を含む。いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、0.5%(重量/体積)未満且つ0.1%(重量/体積)超、任意選択により約0.30%(重量/体積)~約0.42%(重量/体積)の糖(例えば、スクロース)を含む。いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、約0.38%(重量/体積)の糖(例えば、スクロース)を含む。いくつかの態様では、液体組成物は、約50mM未満の糖(例えば、スクロース)及び約1mM超、例えば約1mM~約40mM、約1mM~約30mM、約1mM~約20mM、約1mM~約15mM、約5mM~約40mM、約5mM~約30mM、約5mM~約20mM、約5mM~約15mMの糖(例えば、スクロース)を含む。様々な態様において、糖(例えば、スクロース)は、液体組成物中に約5mM~約15mM又は約10mM~約15mM、任意選択により約11mMの糖(例えば、スクロース)の量で存在する。
【0023】
糖アルコール
様々な態様において、液体組成物は、糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マルチトールシロップ、ラクチトール、エリスリトール、イソマルト及び水素化デンプン加水分解物を含む。様々な例において、液体組成物の糖アルコールは、ソルビトールである。特定の態様では、液体組成物は、約5mg/mL超の糖アルコール(例えば、ソルビトール)及び約50mg/mL未満の糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。特定の態様では、液体組成物は、約15mg/mL超、約20mg/mL超又は約25mg/mL超の糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。いくつかの態様では、液体組成物は、約45mg/mL未満の糖アルコール(例えば、ソルビトール)、約40mg/mL未満の糖アルコール(例えば、ソルビトール)又は約35mg/mL未満の糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。様々な例において、液体組成物は、約26mg/mL~約32mg/mLの糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。特定の例では、液体組成物は、約29mg/mLの糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。様々な態様において、本開示の液体組成物は、約10%(重量/体積)未満(例えば、約9%(重量/体積)未満、約8%(重量/体積)未満、約7%(重量/体積)未満、約6%(重量/体積)未満、約5%(重量/体積)未満、約4%(重量/体積)未満又は約3%(重量/体積)未満)の糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、3.5%(重量/体積)未満且つ2.5%(重量/体積)超、任意選択により約2.6%(重量/体積)~約3.2%(重量/体積)の糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、約2.9%(重量/体積)の糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。いくつかの態様では、液体組成物は、約500mM未満の糖アルコール(例えば、ソルビトール)及び約50mM超、例えば約50mM~約400mM、約50mM~約300mM、約50mM~約200mM、約75mM~約200mM、約100mM~約200mM、約125mM~約175mM、約150mM~約170mMの糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。様々な態様において、糖アルコール(例えば、ソルビトール)は、約140mM~約175mM又は約150mM~約167mM、任意選択により約159mMの糖アルコール(例えば、ソルビトール)の量で液体組成物中に存在する。
【0024】
リン酸塩源
様々な態様において、本開示の液体組成物は、リン酸塩源を含む。リン酸塩源は、以下の1つであり得る:リン酸アルミニウム、骨質リン酸塩、リン酸カルシウム、オルトリン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム無水物、リン酸カルシウム骨灰、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、二塩基性リン酸カルシウム無水物、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム、複数のリン酸二カルシウム、中性リン酸カルシウム、オルトリン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、中性リン酸カルシウム、骨リン酸塩、リン酸三カルシウム、沈殿リン酸カルシウム、沈殿リン酸カルシウム、沈殿リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ウイトロカイト、リン酸マグネシウム、ムリジェ(Merisier)、リン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、オルトリン酸水素二カリウム、一リン酸二カリウム、リン酸二カリウム、一塩基性リン酸カリウム、酸性リン酸カリウム、重リン酸カリウム、オルトリン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、一塩基リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、無水リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、オルトリン酸水素二ナトリウム、オルトリン酸水素二ナトリウム十二水和物、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸塩、リン酸塩、オルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、無水リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム及びリン。いくつかの態様では、液体組成物中に存在するリン酸塩源は、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウムである。いくつかの特定の態様では、液体組成物中に存在するリン酸塩源は、リン酸カリウムである。様々な例において、液体組成物は、約5mg/mL超且つ約45mg/mL未満のリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)、任意選択により約40mg/mL未満のリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)(例えば、約30mg/mL未満のリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)、約20mg/mL未満のリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム))又は約13.5mg~約16mg/mLのリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)を含む。特定の実施形態では、液体組成物は、約14.5mg/mLのリン酸塩(例えば、リン酸カリウム)を含む。様々な例において、液体組成物は、約25mM超且つ約500mM未満、例えば約25mM~約400mM、約25mM~約300mM、約25mM~約200mM、約25mM~約100mM、約50mM~約150mM、約50mM~約100mMのリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)を含む。任意選択により、約100mM未満のリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)(例えば、約90mM未満のリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム))、約50mM超且つ約90mM未満、約60mM~約90mM、約70mM~約90mM、約80mM~約85mMのリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)又は約75mM~約92mMのリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)である。特定の実施形態では、液体組成物は、約83mMのリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)を含む。
【0025】
塩化物源
様々な態様において、本開示の液体組成物は、塩化物源(例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウム)を含む。いくつかの例では、塩化物源は、塩化ナトリウムである。例示的な態様では、塩化物源(例えば、NaCl)は、約1mg/mL超且つ約20mg/mL未満の塩化物源(例えば、NaCl)(例えば、約1mg/mL~約15mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約7.5mg/mL、約3mg/mL~約15mg/mL、約3mg/mL~約10mg/mL、約3mg/mL~約7.5mg/mL)の量で存在する。いくつかの態様では、液体組成物は、約15mg/mL未満の塩化物源(例えば、NaCl)又は約10mg/mL未満の塩化物源(例えば、NaCl)、例えば約3mg~約7mg/mLの塩化物源(例えば、NaCl)、任意選択により約5.7mg/mLを含む。
【0026】
様々な例において、液体組成物は、約25mM超且つ約500mM未満、例えば約25mM~約400mM、約25mM~約300mM、約25mM~約200mM、約25mM~約150mM、約50mM~約150mM、約75mM~約125mMの塩化物源(例えば、NaCl)を含む。任意選択により、約150mM未満の塩化物源(例えば、NaCl)(例えば、約125mM未満の塩化物源(例えば、NaCl))、約50mM超且つ約125mM未満、約60mM~約120mM、約70mM~約110mM、約80mM~約110mMの塩化物源(例えば、NaCl)又は約88mM~約108mMの塩化物源(例えば、NaCl)、任意選択により約98mMである。
【0027】
ラクトースフリー、ゼラチンフリー、抗生物質フリー及び遊離アミノ酸フリー
例示的な態様では、液体組成物は、添加されたラクトースを実質的に含まない。例示的な態様では、液体組成物は、添加されたゼラチンを実質的に含まない。例示的な態様では、液体組成物は、添加された抗生物質(例えば、ネオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、アンピシリン、カルベニシリン、セフォタキシム、ホスミドマイシン、アクチノマイシン、ポリミキシン、ペニシリン、ストレプトマイシン)を実質的に含まない。例示的な態様では、液体組成物は、添加された遊離アミノ酸を実質的に含まない。例えば、液体組成物は、いかなるラクトース、いかなるゼラチン、いかなる抗生物質又はいかなる遊離アミノ酸を用いても調製されない。特定の態様では、本開示の液体組成物又は粉末若しくは凍結乾燥物を作製するとき、これらの成分は、いずれも(ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれも)添加されなかった。
【0028】
本明細書で使用される場合、「遊離アミノ酸」という用語は、添加された非結合又は非連結アミノ酸、すなわち別のアミノ酸とペプチド結合していないアミノ酸を指す。様々な例において、液体組成物は、いかなる「遊離アミノ酸」も実質的に含まず、これは、遊離アミノ酸が成分として液体組成物に添加されなかったことを意味する。「遊離アミノ酸」は、例えば、HSA(例えば、rHSA)の分解により、組成物中に存在するいかなる非結合又は非連結アミノ酸も指さない。例示的な態様では、液体組成物は、Glu又はHisを実質的に含まない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」とは、0.01重量%未満若しくは0.01%(重量/体積)未満又は100ppm未満を意味する。特定の態様では、液体組成物は、約0.01mM以下の、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれか、任意選択により約0.001mM以下の、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれかを含む。
【0030】
pH及びオスモル濃度
様々な態様において、液体組成物(例えば、再構成凍結乾燥組成物)は、約7.0~約7.8、任意選択により約7.2~約7.6(例えば、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6)のpHを有する。様々な例において、液体組成物のpHは、約7.4±0.05である。
【0031】
様々な態様において、液体組成物は、約700mOsm/kg未満、任意選択により約650mOsm/kg未満のオスモル濃度(例えば、約600mOsm/kg未満、任意選択により約525mOsm/kg~約575mOsm/kgのオスモル濃度)を有する。例示的な態様では、液体組成物のオスモル濃度は、約540mOsm/kg~約560mOsm/kg又は約550mOsm/kgである。
【0032】
従来の凍結製剤は、700~900mOsm/kgの範囲のオスモル濃度を有し得る。しかし、本発明の凍結乾燥製剤は、そのような従来の凍結製剤のそれより低いオスモル濃度(例えば、再構成時)で所望の特性(例えば、凍結乾燥後の効力の改善及びサプライチェーンに適した温度での貯蔵寿命の増加)を示す。再構成された凍結乾燥製剤のより低いオスモル濃度は、投与後の凍結乾燥医薬品の局所忍容性又は局所生物学的効果を変化させることが予期されず、例えば注射後の不快感、刺激、熱感又は疼痛に関して局所忍容性を改善し得る。
【0033】
生ウイルス
ヘルペスウイルス粒子は、細胞由来の膜二重層に包まれた正二十面体の、タンパク質カプシド内に詰め込まれた二本鎖DNAゲノムからなる複雑な構造を有する。カプシドと脂質エンベロープとの間には、テグメントとして知られるウイルスタンパク質の層が挟まれている[Roizman B(1982)The Family Herpesviridae:General Description,taxonomy and classification.The Viruses,Vol A,Herpesviruses.New York:Plenum Press、Mettenleiter TC(2002)Herpesvirus assembly and egress.Journal of virology 76:1537-1547]。膜エンベロープの存在は、多くの異なるタイプの動物ウイルスの際立った特徴である。生ウイルスを安定化させるために組成物を処方する際、脂質エンベロープは、ウイルス粒子にかなりの物理的不安定性を与えるようであり、特にアデノウイルス、レオウイルス及びポリオウイルスなどのエンベロープを有さない哺乳動物ウイルスと比較した場合、このクラスのウイルスの安定化を困難にする。例えば、2~8℃の貯蔵では、アデノウイルス5型は、2年間安定であり、ポリオウイルス及びレオウイルスは、少なくとも1年間安定であることが示されている[Sokhey et al.,(1988).Vaccine 6:12-13;Berard and Coombs(2009).Current protocols in microbiology:15C-1;及びEvans RK,et al.(2004)J Pharm Sci 93:2458-2475]。ポックスウイルスは、同程度の温度で同程度の貯蔵安定性を示す唯一のエンベロープ動物ウイルスであるように思われる。しかし、ポックスウイルスは、二重のエンベロープ及び他の構造上の違いを含むため、他のエンベロープ動物ウイルスと構造的に異なる[Condit et al.,(2006).Advances in virus research 66:31-124,Moss B(1987)The molecular biology of poxviruses.The Molecular Basis of Viral Replication.Springer.pp.499-516]。実際、ポックスウイルスは、保存された組織、環境試料及び実験室保存の乾燥試料中で2~8℃において60年間にわたり観察された長期保存によって実証されているように、著しく安定である[McCollum et al.,(2014)Poxvirus viability and signatures in historical relics.Emerging infectious diseases 20:177;FDA found more than smallpox vials in storage room(n.d.).Available:https://www.washingtonpost.com/national/health-science/fda-found-more-than-smallpox-vials-in-storage-room/2014/07/16/850d4b12-0d22-11e4-8341-b8072b1e7348_story.html.Accessed 7 November 2015;CDC Media Statement on Newly Discovered Smallpox Specimens(n.d.).Available:http://www.cdc.gov/media/releases/2014/s0708-NIH.html.Accessed 7 November 2015;Rheinbaben et al.,(2007)Environmental resistance,disinfection,and sterilization of poxviruses.Poxviruses.Springer.pp.397-405;及びEssbauer et al.,(2007)Long-Lasting Stability of Vaccinia Virus(Orthopoxvirus)in Food and Environmental Samples.Zoonoses and public health 54:118-124]。
【0034】
腫瘍溶解性ウイルスは、様々な腫瘍タイプに対して抗癌活性を示す。腫瘍溶解性免疫療法とは、正常組織に害を及ぼさずに、癌組織に選択的に感染して損傷させる、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスを使用する治療法である。進行中の研究では、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニア及びレオウイルスに限定されない種々の改変ウイルスが使用されている。
【0035】
例示的な態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)若しくは単純ヘルペス2型(HSV-2)株又はそれらの誘導株、好ましくはHSV-1に由来する。誘導株としては、HSV-1及びHSV-2株からのDNAを含有する異種組換え株が挙げられる。そのような異種組換え株は、当技術分野において、例えばThompson et al.,(1998)Virus Genes 1(3);275286及びMeignier et al.,(1998)J.Infect.Dis.159;602614に記載されている。
【0036】
単純ヘルペスウイルス株は、臨床分離株に由来し得る。そのような株は、再発性単純ヘルペスを有する個体など、感染した個体から単離される。米国特許第7,063,835号明細書及び同第7,223,593号明細書に記載されているように、臨床分離株は、標準実験室株と比較して、インビトロ及び/又はインビボでの、腫瘍中及び/又は他の細胞中での複製の増強など、所望の能力又は特徴でスクリーニングすることができ、上記文献の各々は、その全体が参照により援用される。一実施形態では、単純ヘルペスウイルスは、再発性単純ヘルペス由来の臨床分離株である。さらなる単純ヘルペスウイルス1型ウイルス株としては、JS1株、17+株、F株、KOS株及びPatton株が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
改変することができるHSV遺伝子の例としては、ICP34.5(γ34.5)などのタンパク質をコードする病原性遺伝子が挙げられる。ICP34.5は、HSV感染中に病原性因子として作用し、非分裂細胞における複製を制限し、ウイルスを非病原性にする。改変することができる別のHSV遺伝子は、ICP47をコードする遺伝子である。ICP47は、感染した宿主細胞の表面での、主要組織適合複合体(MHC)クラスIの発現及びMHCクラスIの、抗原提示に関わる輸送体(TAP)への結合を下方制御する。このような作用は、小胞体中の抗原ペプチド輸送及びMHCクラスI分子の担持を遮断する。改変することができる別のHSV遺伝子は、ICP6であり、これは、非分裂細胞においてヌクレオチド代謝及びウイルスのDNA合成に関与するが、分裂細胞に関与しない、リボヌクレオチド還元酵素の大サブユニットである。チミジンキナーゼ(アシクロビルをリン酸化してアシクロビル一リン酸にするのを担う)、ビリオントランス活性化タンパク質vmw65、糖タンパク質H、vhs、ICP43並びにICP4、ICP27、ICP22及び/又はICP0をコードする最初期遺伝子も(上に挙げた遺伝子に加えて又はそれらの代わりに)修飾することができる。
【0038】
ヘルペスウイルス株及びそのような株の作製法は、米国特許第5,824,318号明細書;同第6,764,675号明細書;同第6,770,274号明細書;同第7,063,835号明細書;同第7,223,593号明細書;同第7,749,745号明細書;同第7,744,899号明細書;同第8,273,568号明細書;同第8,420,071号明細書;及び同第8,470,577号明細書;WIPO公開番号国際公開第199600007号パンフレット;同第199639841号パンフレット;同第199907394号パンフレット;同第200054795号パンフレット;同第2006002394号パンフレット;及び同第201306795号パンフレット;中国特許番号中国特許第128303号明細書、同第10230334号明細書及び同第10230335号明細書;Varghese and Rabkin,(2002)Cancer Gene Therapy 9:967-97並びにCassady and Ness Parker,(2010)The Open Virology Journal 4:103-108にも記載されており、これらは、その全体が参照により援用される。
【0039】
一実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、アクセッション番号01010209としてEuropean collection of cell cultures(ECAAC)に寄託された、臨床株(HSV-1株JS1)に由来するタリモジンラヘルパレプベク(IMLYGIC(登録商標))である。タリモジンラヘルパレプベク中では、ICP34.5及びICP47をコードするHSV-1ウイルス遺伝子は、機能的に削除されている。ICP47の機能的削除は、腫瘍選択性を減少させることなく腫瘍細胞内のウイルスの増殖を促進する遺伝子であるUS11の早期発現をもたらす。ヒトGM-CSFのコード配列は、以前のICP34.5の部位でウイルスゲノムに挿入されている(Liu et al.,Gene Ther 10: 292-303,2003を参照されたい)。
【0040】
腫瘍溶解性ウイルスの他の例としては、RP1(HSV-1/ICP34.5-/ICP47-/GM-CSF/GALV-GP R(-);RP-2(HSV-1/ICP34.5-/ICP47-/GM-CSF/GALV-GP R(-)/抗CTLA-4結合剤;及びRP3(HSV-1/ICP34.5-/ICP47-/GM-CSF/GALV-GP R(-)/抗CTLA-4結合剤/共刺激リガンド(例えば、CD40L、4-1BBL、GITRL、OX40L、ICOSL))が挙げられる。このような腫瘍溶解性ウイルスでは、GALV(テナガザル白血病ウイルス)がR-ペプチドの特異的削除により改変され、GALV-GP R(-)が得られる。このような腫瘍溶解性ウイルスは、国際公開第2017/118864号パンフレット、同第2017/118865号パンフレット、同第2017/118866号パンフレット、同第2017/118867号パンフレット及び同第2018/127713A1号パンフレットで議論されており、これらの各々は、その全体が参照により援用される。
【0041】
腫瘍溶解性ウイルスのさらなる例としては、NSC-733972、HF-10、BV-2711、JX-594、Myb34.5、AE-618、Brainwel(商標)及びHeapwel(商標)、Cavatak(登録商標)(コクサッキーウイルス、CVA21)、HF-10、Seprehvir(登録商標)、Reolysin(登録商標)、エナデノチュシレブ(enadenotucirev)、ONCR-177並びに米国特許第10,105,404号明細書、国際公開第2018/006005号パンフレット、同第2018/026872A1号パンフレット及び同第2017/181420号パンフレットに記載されているものが挙げられ、これらの各々は、その全体が参照により援用される。
【0042】
腫瘍溶解性ウイルスのさらなる例としては、以下が挙げられる。
【0043】
[A]G207は、野生型HSV-1のF株に由来する腫瘍溶解性HSV-1であり、HSV神経毒性の主要決定因子であるICP34.5遺伝子の両方のコピー中の欠失及び感染細胞のタンパク質6(ICP6)をコードするUL39へのE.coliのlacZ遺伝子の不活化挿入を有する(Mineta et al.(1995)Nat Med.1:938-943を参照されたい)。
【0044】
[B]OrienX010は、γ34.5及びICP47遺伝子の両方のコピーの欠失並びにICP6遺伝子の割込み及びヒトGM-CSF遺伝子の挿入を有する単純ヘルペスウイルスである(Liu et al.,(2013)World Journal of Gastroenterology 19(31):5138-5143を参照されたい)。
【0045】
[C]NV1020は、ICP34.5、UL24及びUL56.34,35の1つのコピーを含む、ロング(L)及びショート(S)領域の接合領域が欠失されている単純ヘルペスウイルスである。欠失した領域は、HSV-2 US DNA(US2、US3(PK)、gJ及びgG)の断片で置き換えられた(Todo,et al.(2001)Proc Natl Acad Sci USA.98:6396-6401を参照されたい)。
【0046】
[D]M032は、ICP34.5遺伝子の両方のコピーの欠失及びインターロイキン12の挿入を有する単純ヘルペスウイルスである(Cassady and Ness Parker,(2010)The Open Virology Journal 4:103-108を参照されたい)。
【0047】
[E]ImmunoVEX HSV2は、vhs、ICP47、ICP34.5、UL43及びUS5をコードする遺伝子が機能的に欠失した単純ヘルペスウイルス(HSV-2)である。
【0048】
[F]OncoVEXGALV/CDもHSV-1のJS1株に由来し、ICP34.5及びICP47をコードする遺伝子が機能的に欠失しており、シトシンデアミナーゼ及びテナガザル白血病融合糖タンパク質をコードする遺伝子がICP34.5遺伝子の代わりにウイルスゲノムに挿入されている。
【0049】
本発明の単純ヘルペスウイルスは、1つ又は複数の異種遺伝子を含むこともできる。異種遺伝子は、ウイルスのゲノムに導入される遺伝子であって、そのウイルスのゲノム中に通常見つからないか、又は異なる種由来のウイルスで発現する遺伝子の相同体であり、異なる核酸配列を有し、異なる生化学機構を介して作用するものを指す。異種遺伝子は、1種又は複数のタンパク質、例えば細胞毒、免疫調節タンパク質(すなわち抗原に対する宿主免疫応答を増強又は抑制するタンパク質)、腫瘍抗原、プロドラッグ活性化因子、腫瘍抑制因子、プロドラッグ変換酵素、細胞同士の融合を引き起こすことができるタンパク質、TAP阻害因子、アンチセンスRNA分子又はリボザイムをコードするものであり得る。免疫調節タンパク質の例としては、例えば、サイトカインが挙げられる。サイトカインとしては、インターロイキン、例えばIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20;インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンγ、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、CD40L、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)及び顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ケモカイン(好中球活性化タンパク質(NAP)、マクロファージ走化性活性化因子(MCAF)、RANTES並びにマクロファージ炎症性ペプチドMIP-1a及びMIP-1bなど)、補体成分及びその受容体、免疫系アクセサリー分子(例えば、B7.1及びB7.2)、接着分子(例えば、ICAM-1、2及び3)並びに接着受容体分子が挙げられる。腫瘍抗原としては、ヒトパピローマウイルスのE6抗原及びE7抗原、EBV由来タンパク質、MUC1などのムチン、黒色腫チロシナーゼ及びMZ2-Eが挙げられる。プロドラッグ活性化因子としては、ニトロレダクターゼ及びシトクロムp450が挙げられ、腫瘍抑制因子としては、p53が挙げられ、プロドラッグ変換酵素としては、シトシンデアミナーゼが挙げられる。細胞同士の融合を引き起こすことができるタンパク質としては、テナガザル白血病融合糖タンパク質が挙げられる。TAP阻害剤としては、ウシヘルペスウイルス(BHV)UL49.5ポリペプチドが挙げられる。細胞の又は病原体のmRNAの発現を阻止するために使用することができるアンチセンスRNA分子である。欠損した細胞のRNAを修復するか、又は望ましくない細胞のRNA又は病原体にコードされたRNAを破壊するように設計されたリボザイム(例えば、ハンマーヘッド型又はヘアピン型リボザイム)であり得るRNA分子である。
【0050】
複数のウイルス遺伝子の単純ヘルペスゲノムへの挿入、例えばウイルスのタンパク質Us11をコードする遺伝子の1つ又は複数のコピーの挿入なども含まれる。
【0051】
本明細書に記載の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)は、黒色腫、頭頸部癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、結腸直腸癌、肝細胞癌、胃食道癌(例えば、腺癌又は扁平上皮癌)、非小細胞肺癌及び明細胞腎細胞癌(これらに限定されない)を含む様々な腫瘍タイプの治療に使用することができる。特定の実施形態では、腫瘍タイプは、黒色腫である。
【0052】
様々な態様において、液体(例えば、再構成された)組成物は、少なくとも約1×105プラーク形成単位/mL(PFU/mL)を含む。例示的な態様では、液体(例えば、再構成された)組成物は、少なくとも約2.0×105PFU/mL、少なくとも約3.0×105PFU/mL、少なくとも約4.0×105PFU/mL、少なくとも約5.0×105PFU/mL、少なくとも約6.0×105PFU/mL、少なくとも約7.0×105PFU/mL、少なくとも約8.0×105PFU/mL又は少なくとも約9.0×105PFU/mLを含む。特定の態様では、液体組成物(例えば、再構成された)は、少なくとも約1.0×106PFU/mL~約1.0×108PFU/mL又は1.0×106プラーク形成単位/mL(PFU/mL)~約1.0×108PFU/mL、任意選択により約1.1×106PFU/mL、少なくとも約1.2×106PFU/mL、少なくとも約1.3×106PFU/mL、少なくとも約1.4×106PFU/mL、少なくとも約1.5×106PFU/mL、少なくとも約1.6×106PFU/mL、少なくとも約1.7×106PFU/mL、少なくとも約1.8×106PFU/mL、少なくとも約1.9×106PFU/mLを含む。特定の実施形態では、液体(例えば、再構成された)組成物は、約1×106PFU/mL又は1×108PFU/mLを含む。
【0053】
効力及び安定性
凍結乾燥は、試料から水を除去するプロセスである。凍結乾燥は、一般的には、液体状態での貯蔵と比較して改善された貯蔵安定性をもたらす。しかしながら、凍結乾燥は、凍結及び脱水(昇華による)を含むため、特にエンベロープウイルスなどの生物学的薬剤にとってストレスの多いプロセスでもある。凍結乾燥は、長期安定性を改善することができるが、プロセスストレスは、目的の薬剤のかなりの部分も不活性化し、効力の著しい損失を引き起こし得る。満足できる製剤は、十分な液体安定性及び乾燥状態での安定性を提供するだけでなく、凍結乾燥プロセスによる損失も最小限に抑える。
【0054】
液体及び凍結乾燥の両方の状態で同時に不安定剤(エンベロープウイルスなど)を安定化する製剤を開発することは、知られた課題であるが、これは、各状態に対する最適な組成が相互に排他的であり、したがって、通常、他方に対して理想的でないからである。それにもかかわらず、凍結乾燥生成物については、液体及び凍結乾燥の両方の状態で製剤が活性剤の安定性を十分に維持することが重要である。これは、凍結乾燥に先立つ製造プロセスのほとんど全ての段階が液体状態で行われ、したがって活性成分の活性が凍結乾燥の時点まで保存されなければならないからである。同様に、凍結乾燥後、生成物が再構成される場合(例えば、液体生成物としての使用のため)、その後の取り扱い及び貯蔵を支援するために、適切な期間、効力が維持されることを確実にするために液体の安定性が重要である。さらに、凍結乾燥プロセス自体は、凍結乾燥の凍結段階中に起こり得る浸透圧ストレス及び凍結濃縮効果並びに凍結乾燥の乾燥段階中に起こる脱水効果に敏感な生物学的薬剤、特にエンベロープウイルスに対して破壊的であり得る。本開示の前に、液体及び凍結乾燥の両方の状態でエンベロープウイルスなどの不安定剤を適切に安定化する製剤を開発することは、重要な課題として残されている。いかなる特定の理論にも束縛されることなく言えば、本開示の液体組成物は、これらの課題を克服する。様々な態様における液体組成物は、液体及び凍結乾燥の両方の状態で弱毒化生ウイルスを適切に安定化する。
【0055】
様々な例において、液体組成物を凍結乾燥又はフリーズドライし、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成する場合、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物を凍結乾燥する前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は90%である。いくつかの実施形態では、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物を凍結乾燥する前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%又は50%である。他の実施形態では、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、少なくとも又は約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%又は40%である。さらに他の実施形態では、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物が凍結乾燥される前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約35%である。様々な例において、液体組成物を凍結乾燥又はフリーズドライし、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成する場合、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において1対数未満の損失を示す。いくつかの実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約1対数、0.9対数、0.8対数、0.7対数、0.6対数、0.5対数、0.4対数、0.3対数、0.2対数又は0.1対数未満の損失を示す。特定の実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約0.6対数、0.5対数又は0.4対数未満の損失を示す。特定の実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約0.6対数、0.5対数又は0.4対数未満の損失を示す。別の実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約0.5対数未満の損失を示す。
【0056】
いくつかの態様では、液体組成物を凍結乾燥又はフリーズドライし、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成する場合、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物を凍結乾燥する前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は90%である。いくつかの実施形態では、液体組成物は、凍結乾燥又はフリーズドライされ、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成され、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物が凍結乾燥される前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%又は50%である。他の実施形態では、液体組成物は、凍結乾燥又はフリーズドライされ、その後、再構成生成物が生成するために水で再構成され、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、少なくとも又は約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%又は40%である。さらに他の実施形態では、液体組成物は、凍結乾燥又はフリーズドライされ、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成され、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、液体組成物が凍結乾燥される前の弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約35%である。様々な例において、液体組成物を凍結乾燥又はフリーズドライし、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成する場合、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において1対数未満の損失を示す。いくつかの実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約1対数、0.9対数、0.8対数、0.7対数、0.6対数、0.5対数、0.4対数、0.3対数、0.2対数又は0.1対数未満の損失を示す。特定の実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約0.6対数、0.5対数又は0.4対数未満の損失を示す。特定の実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約0.6対数、0.5対数又は0.4対数未満の損失を示す。別の実施形態では、再構成生成物は、再構成生成物中の弱毒化生ウイルスの効力において約0.5対数未満の損失を示す。
【0057】
様々な例において、液体組成物を凍結乾燥又はフリーズドライするとき、得られる凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、貯蔵安定性又は保存安定性を有する。例示的な態様では、凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、約-25℃~約10℃、約-20℃~約8℃、約-15℃~約8℃、約-10℃~約8℃、約-10℃~約5℃又は約2℃~約8℃の温度で長期間保存され得る。他の実施形態では、凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、約-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、-14℃、-13℃、-12℃、-11℃、-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃又は10℃の温度で長期間保存され得る。凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、このような温度で少なくとも又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24ヶ月にわたって保存され得る。他の実施形態では、凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、そのような温度で少なくとも又は約9~24ヶ月間、約12~24ヶ月間、約12~18ヶ月間、約12~15ヶ月間又は約10~15ヶ月にわたって保存され得る。任意選択により、凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、約2℃~約8℃の温度で少なくとも12、15、18、21又は24ヶ月間長期保存され得る。
【0058】
凍結乾燥及びフリーズドライ生成物及び粉末
本開示の液体組成物は、脱水、凍結乾燥又はフリーズドライに適している。液体組成物を脱水し、フリーズドライ又は凍結乾燥すると、得られる脱水、フリーズドライ又は凍結乾燥生成物は、優れた貯蔵安定性及び延長された貯蔵寿命を示す。再構成されると、その生成物は、生ウイルスの効力の最小限の又は減少した損失によって特徴付けられる。したがって、本開示は、本開示の液体組成物のいずれか1つを脱水、フリーズドライ又は凍結乾燥することによって生成される生成物を提供する。いくつかの態様における生成物は、粉末である。代わりの態様では、固体生成物は、ケーキとして記載され得る。
【0059】
また、関連して、本開示は、弱毒化生ウイルス、HSA(例えば、rHSA)、ラクトース以外の糖、糖アルコール、リン酸塩源、塩化物源を含む組成物から水を除去する(例えば、凍結乾燥によって脱水する)ことを含む方法によって生成される粉末又はケーキを提供する。任意選択により、組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない。いくつかの態様では、組成物は、凍結され、凍結された組成物からの水の除去は、真空下で行われる。したがって、例示的な態様では、本方法は、本開示の液体組成物を凍結し、真空下で凍結組成物から水を除去して、凍結組成物の氷を昇華させて、液相を通過せずに蒸気に変化させることを含む。この方法は、例えば、0.22ミクロンの細菌保持フィルターに通すことによって液体組成物を滅菌すること及び/又は滅菌した液体組成物をバイアルに充填することを含むさらなる工程を含み得る。様々な態様において、粉末又はケーキは、凍結乾燥物、すなわち凍結乾燥粉末又は凍結乾燥ケーキである。いくつかの態様では、液体組成物は、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約18mg/mL~約22mg/mLのHSA(例えば、rHSA)、約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム及び約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む。したがって、本明細書でさらに提供されるのは、弱毒化生HSV-1(例えば、タリモジンラヘルパレプベク)、約18mg/mL~約22mg/mLのHSA(例えば、rHSA)、約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム及び約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む組成物から水を除去する(例えば、凍結乾燥によって例えば脱水する)ことを含む方法によって生成される粉末又はケーキ(例えば、凍結乾燥粉末又は凍結乾燥ケーキ)である。任意選択により、組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない。いくつかの態様では、水を除去する前に、組成物を凍結して氷を含む組成物を得、任意選択により、この方法は、水の除去後、組成物を真空下に置くことをさらに含む。特定の態様では、粉末は、8℃未満又は約8℃の温度で少なくとも又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24ヶ月にわたって貯蔵安定性を有する。特定の態様では、粉末は、8℃未満又は約8℃の温度で少なくとも又は約12、15、18、21又は24ヶ月にわたって保存安定性を有する。
【0060】
弱毒化生ウイルスを含む、粉末又はケーキの形態であり得る脱水生成物(例えば、凍結乾燥生成物、フリーズドライ生成物)が本開示によってさらに提供される。例示的な実施形態では、生成物は、任意選択により、HSA(例えば、rHSA)、ラクトース以外の糖、糖アルコール、リン酸塩源、塩化物源をさらに含み、ここで、組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない。様々な態様において、生成物(例えば、粉末又はケーキ)は、約10重量%~約50重量%、例えば約15重量%~約45重量%、20重量%~約40重量%、25重量%~約35重量%、25重量%~約30重量%のHSA(例えば、rHSA)を含む。様々な態様において、生成物は、約24.66重量%~約30.14重量%のHSA(例えば、rHSA)又は30重量%未満のHSA(例えば、rHSA)、例えば約25%、約26%、約27%、約28%、約29%のHSA(例えば、rHSA)を含む。例示的な例では、生成物(例えば、粉末又はケーキ)は、約10%未満の糖、任意選択により約2.5重量%~約7.5重量%、任意選択により約4.68重量%~約5.72重量%の糖(例えば、スクロース)を含む。例示的な例では、糖は、スクロースであり、任意選択により約2.5重量%~約7.5重量%、任意選択により約4.68重量%~約5.72重量%(例えば、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%)の量で存在する。例示的な例では、生成物(例えば、粉末又はケーキ)は、約50重量%未満の糖アルコール(例えば、ソルビトール)を含む。いくつかの態様では、生成物は、約45重量%未満で、任意選択により約5重量%超、約10重量%超、約15重量%超、約20重量%超、約25重量%超又は約30重量%超を含む。特定の例では、糖アルコール(例えば、ソルビトール)は、約35重量%~約45重量%、例えば約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%の量で生成物中に存在する。例示的な例では、生成物(例えば、粉末又はケーキ)は、約50重量%未満、任意選択により約40重量%未満、約30重量%未満又は約25重量%未満の量でリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)を含む。いくつかの態様では、生成物は、約15重量%~約25重量%、任意選択により約17.87重量%~約21.85重量%のリン酸塩源(例えば、リン酸カリウム)を含む。様々な態様において、生成物は、約20重量%未満又は約15重量%未満の量で塩化物源(例えば、塩化ナトリウム)を含む。いくつかの例では、生成物は、約5重量%~約10重量%の塩化物源(例えば、塩化ナトリウム)、任意選択により約7.0重量%~約8.6重量%の塩化ナトリウムを含む。本開示の粉末に関して、列挙された重量%は、生ウイルスを除く粉末の全ての成分のグラムの合計に対する、示された成分のグラム数を指し、パーセンテージとして表される。例えば、rHSAの重量%=[(rHSAのグラム)÷(rHSAのグラム+糖のグラム+糖アルコールのグラム+リン酸塩源のグラム+塩化物源のグラム)]*100である。
【0061】
例示的な例では、約1mL(例えば、約0.9mL、約1.0mL、約1.1mL又は約1.2mL)の水の添加時、粉末は、約80mM~約85mM(例えば、約80mM、約81mM、約82mM、約83mM、約84mM、約85mM)のリン酸カリウム、約95mM~約100mM(例えば、約95mM、約96mM、約97mM、約98mM、約99mM、約100mM)の塩化ナトリウム、約2.5%(重量/体積)~約3.0%(重量/体積)(例えば、約2.5%(重量/体積)、約2.6%(重量/体積)、約2.7%(重量/体積)、約2.8%(重量/体積)、約2.9%(重量/体積)、約3.0%(重量/体積)のソルビトール、約0.35%(重量/体積)~約0.40%(重量/体積)(例えば、約0.35%(重量/体積)、約0.36%(重量/体積)、約0.37%(重量/体積)、約0.38%(重量/体積)、約0.39%(重量/体積)、約0.40%(重量/体積)のスクロース及び約1.95%(重量/体積)~約2.05(重量/体積)(例えば、約1.95%(重量/体積)、約1.96%(重量/体積)、約1.97%(重量/体積)、約1.98%(重量/体積)、約1.99%(重量/体積)、約2.00%(重量/体積)、約2.01%(重量/体積)、約2.02%(重量/体積)、約2.03%(重量/体積)、約2.04%(重量/体積)、約2.05%(重量/体積)の組換えHSAを含む液体組成物を作製する。他の例示的な例では、約1mLの体積にするのに十分な水を加えて、粉末を再構成する。
【0062】
本明細書では、水と、本開示の脱水生成物又は本開示の粉末若しくはケーキとを含む液体組成物が提供される。いくつかの態様では、液体組成物は、約0.95mL~約1.5mLの水、任意選択により約1.0mLの水を含む。特定の態様では、液体組成物は、液体組成物1mL当たり少なくとも又は約106PFUの弱毒化生ウイルスを含み、約7.4のpHを有し、約80mM~約85mMのリン酸カリウム、約95mM~約100mMの塩化ナトリウム、約2.8%(重量/体積)~約3.0%(重量/体積)のソルビトール、約0.36%(重量/体積)~約0.40%(重量/体積)のスクロース及び約1.98%(重量/体積)~約2.02%(重量/体積)の組換えHSAを含む。他の態様では、液体組成物は、液体組成物1mL当たり少なくとも又は約108PFUの弱毒化生ウイルスを含み、約7.4のpHを有し、約80mM~約85mMのリン酸カリウム、約95mM~約100mMの塩化ナトリウム、約2.8%(重量/体積)~約3.0%(重量/体積)のソルビトール、約0.36%(重量/体積)~約0.40%(重量/体積)のスクロース及び約1.98%(重量/体積)~約2.02%(重量/体積)の組換えHSAを含む。
【0063】
調製方法
本開示は、ヒト対象に投与するための腫瘍溶解性ウイルスを調製する方法であって、本開示の粉末のいずれか1つに水を加えることを含み、任意選択により、約1.0mL~約1.2mLの水が粉末に加えられる、方法も提供する。任意選択により、調製された医薬品は、ヒト対象への投与の約24、36又は48時間前に再構成される。
【0064】
治療方法
さらに、提供されるのは、腫瘍又は癌を有する対象を治療する方法である。例示的な実施形態では、本方法は、本開示の液体組成物を対象に投与することを含む。様々な例において、この方法は、液体組成物を得るために、粉末又はケーキの形態であり得る本開示の脱水生成物(例えば、凍結乾燥生成物、フリーズドライ生成物)のいずれか1つに水を加えることと、液体組成物を対象に投与することとを含む。例示的な例では、約0.9mL~約1.2mLの水を粉末に加えて液体組成物を得、この方法は、ヒト対象に液体組成物を注射することを含む。
【0065】
本開示の組成物は、種々の腫瘍及び癌を治療するために使用することができる。例えば、対象は、本開示の方法によって固形腫瘍について治療される。例えば、対象は、前立腺、乳房、肺、肝臓、膀胱、腎臓、子宮頸部又は結腸の癌又は腫瘍について治療される。様々な態様において、癌又は腫瘍は、腎細胞癌若しくは腫瘍、子宮内膜癌若しくは腫瘍であるか、又は子宮頸癌;腺癌;黒色腫;リンパ腫;若しくは神経膠腫である。様々な態様において、対象は、軟部組織などの肉腫及び骨肉腫を有する。対象は、特定の態様では、頭頸部癌を有する。様々な態様において、対象は、癌、新生物又は悪性腫瘍、例えば白血病、癌腫、肉腫を有する。癌は、いくつかの態様では、乳癌、脳癌、子宮頚癌、結腸癌、頭頸部癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、中皮腫、卵巣癌、肉腫、胃癌、子宮癌及び髄芽腫である。また、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、悪性膵島細胞腺腫、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖器管癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵内外分泌腺の新生物及び前立腺癌である。このような癌及び腫瘍は、本開示の方法によって治療される。
【0066】
本明細書で使用される場合、「患者」又は「対象」という用語は、互換的に使用され、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ又はネコなどのヒト又は非ヒト哺乳動物(これらに限定されない)を含む哺乳動物を意味する。好ましくは、患者は、ヒトである。
【0067】
腫瘍細胞を殺滅する方法が本明細書でさらに提供される。いくつかの態様では、腫瘍細胞は、星状細胞腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経線維腫、神経膠芽細胞腫、上衣腫、シュワン腫、神経線維肉腫、髄芽腫、黒色腫細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、肝癌細胞、中皮腫又は類表皮癌細胞の細胞である。
【0068】
組み合わせ
組成物、粉末及び凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、放射線、化学療法、温熱療法、治療タンパク質及び手術(これらに限定されない)を含む他の治療法と組み合わせて使用され得る。組成物、粉末及び凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、他の治療法前、それと同時又はそれに続いて投与され得る。
【0069】
治療用タンパク質には、免疫チェックポイント阻害剤が含まれる。本明細書で使用される場合、「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、1つ以上のチェックポイントタンパク質を完全に又は部分的に低減させるか、抑制するか、干渉するか又は調節する分子を指す。チェックポイントタンパク質は、T細胞活性化又は機能を制御する。CTLA-4及びそのリガンドCD80及びCD86;並びにリガンドPDL1及びPDL2を有するPD1などの多数のチェックポイントタンパク質が知られている。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激又は阻害性相互作用を担っている。免疫チェックポイントタンパク質は、自己免疫寛容及び生理学的免疫応答の持続時間並びに振れ幅を制御及び維持する。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか又は抗体に由来する。チェックポイント阻害剤には、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤が含まれる。CTLA-4の阻害剤には、トレメリムマブ、イピリムマブ(10D1、MDX-D010としても知られており、Yervoy(商標)の名称で市販されている)並びに米国特許第5,811,097号明細書;同第5,855,887号明細書;同第6,051,227号明細書;同第6,207,157号明細書;同第6,682,736号明細書;同第6,984,720号明細書;及び同第7,605,238号明細書に記載されている抗CTLA-4抗体が含まれる。他の免疫チェックポイントタンパク質には、プログラム細胞死1(PD-1)並びにプログラム細胞死リガンド1及び2(PDL1)(PDL2)が含まれる。PD1並びにPDL1及びPDL2を阻害する分子の例としては、ニボルマブ(MDX 1106、BMS 936558、ONO 4538)、PD-1に結合し、そのリガンドであるPD-L1及びPD-L2によるPD-1の活性化を遮断する完全ヒトIgG4抗体;キートルーダ(商標)として市販されているペムブロリズマブ(ラムブロリズマブ、MK-3475又はSCH 900475);MPDL3280A、改変抗PDL1抗体(アテゾリズマブ);CT-011;AMP-224;BMS-936559(MDX-1105-01及び米国特許第7,488,802号明細書;同第7,943,743号明細書;同第8,008,449号明細書;同第8,168,757号明細書;同第8,217,149号明細書に記載されているもの並びにPCT公開特許出願番号国際公開第03/042402号パンフレット、同第2008/156712号パンフレット、同第2010/089411号パンフレット、同第2010/036959号パンフレット、同第2011/066342号パンフレット、同第2011/159877号パンフレット、同第2011/082400号パンフレット及び同第2011/161699号パンフレットに記載されているものが挙げられる。他の免疫チェックポイント阻害剤として、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)阻害剤、例えば可溶性Ig融合タンパク質であるIMP321;抗B7-H3抗体MGA271などのB7阻害剤が挙げられる。さらに含まれるのは、TIM3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)阻害剤である。
【0070】
医師は、所望の効果を達成する用量に達するまで本開示の組成物、粉末及び凍結乾燥又はフリーズドライ生成物を投与し得る。したがって、組成物、粉末及び凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、直接注射又は他の適切な投与方法により、経時的に、単回用量として又は2回以上の用量(これは、同じ量の所望の分子を含んでも含まなくてもよい)として投与され得る。本開示の組成物、粉末及び凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、例えば、1回又は2回以上、例えば一定期間にわたって一定間隔で投与され得る。一般に、本開示の組成物、粉末及び凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、選択された1つ又は複数の指標について、ベースラインを超えて医学的に妥当な程度の改善を患者が示すまで投与され得る。
【0071】
一実施形態では、組成物、粉末及び凍結乾燥又はフリーズドライ生成物は、タリモジンラヘルパレプベクを含み、注射可能な皮膚腫瘍、皮下腫瘍及びリンパ節腫瘍に対して、1週目の1日目に106プラーク形成単位/mL(PFU/mL)で最大4.0mLの用量で、続いて4週目の1日目に108PFU/mLで最大4.0mLの用量で、その後、2週間(±3日)毎に腫瘍内注射によって投与される。腫瘍に注射されるタリモジンラヘルパレプベクの推奨される体積は、腫瘍の大きさに依存する。合理的に注射可能な全ての病変(超音波ガイドの有無にかかわらず注射可能な皮膚、皮下及びリンパ節の疾患)は、個々の投与時に利用可能な最大投与体積で注射すべきである。各処置日において、注射の優先順位は、以下の通り推奨される:最後の注射以降に出現した新しい注射可能な腫瘍;腫瘍の大きさ、最も大きい腫瘍から始める;以前に注射できなかったが、現在では注射可能な腫瘍。
【0072】
以下の実施例は、本発明を単に例示するために与えるものであり、その範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0073】
実施例1
この実施例では、本開示の例示的な組成物及び生成物を記載する。
【0074】
表1に列挙した成分を、示した量で含む液体組成物を作製した。生ウイルス(1×106PFU又は1×108PFUのいずれか)を混合物に加えた。
【0075】
【0076】
混合物をガラス製バイアルに満たし、凍結乾燥機中の予備冷却した棚に置き、効力損失を最小限に抑え、且つ許容される残留水分含有量及び許容される視覚的外観を有する固体ケーキを得るために開発された以下のパラメータにより乾燥させた。
【0077】
フリーズドライした後、得られたフリーズドライ又は凍結乾燥生成物は、プラークアッセイにより分析され、回復及び安定性能の主要な指標としてウイルス効力が決定される。さらに、ケーキ外観、タンパク質含有量、粒子含有量、残留水含有量についても評価される。
【0078】
実施例2
この実施例は、実施例1に記載のフリーズドライ又は凍結乾燥生成物の貯蔵方法を記載する。
【0079】
実施例1に記載のフリーズドライ又は凍結乾燥生成物(1×106又は1×108PFU/mLウイルスのいずれかを含む)を8℃以下の様々な温度(例えば、5℃、-20℃)で様々な貯蔵時間(例えば、60週間まで)貯蔵した。生ウイルスの量が1×107PFU/mLであったことを除いて、実質的に実施例1に記載のようにして、別のフリーズドライ又は凍結乾燥生成物を作製した。この生成物のアリコートも8℃以下の様々な温度(例えば、5℃及び-20℃)において様々な貯蔵時間(例えば、60週間まで)貯蔵した。
【0080】
貯蔵後、各凍結乾燥物のアリコートを約1.0~1.2mLの水で再構成した。再構成された材料中に存在するウイルスの効力は、プラークアッセイによって試験され、これは、ウイルスの全体的な感染性及び複製性能を定量するために、培養物中の許容細胞を使用するウイルス学における標準的な細胞培養方法である。
【0081】
活性な生物学的化合物の凍結乾燥は、多くの場合、活性の著しい損失をもたらすため、凍結乾燥製剤を開発する際の目標の1つは、凍結乾燥によって引き起こされる効力損失の程度を最小限にすることである。表2に示すように、製剤は、1×106PFU/mL及び1×108PFU/mLウイルス濃度の両方について、約60%の効力損失(又は0.4log10PFU/mL)をもたらし、損失の程度が活性成分の濃度に依存しないことを示す。効力の損失は、従来の凍結製剤を凍結乾燥した場合に観察される損失(1log10PFU/mL以上の損失(90%以上の損失に相当する)を示し得る)と比較して著しい改善を示す。
【0082】
【0083】
表3は、凍結乾燥ウイルスの効力データであって、1×106PFU/mLを含むことを目標として-20℃及び5℃で60週間まで保存したデータを含む。全体として、示された貯蔵温度で60週間にわたって凍結乾燥ウイルスの効力に著しい変化はなく、この物質が問題なく安定化されたことを示している。効力の偏差は、この方法のばらつきの範囲内である。
【0084】
【0085】
表4は、凍結乾燥ウイルスの効力データであって、1×108PFU/mLを含むことを目標として5℃で13週間まで保存したデータを含む。全体として、示された貯蔵温度で13週間にわたって凍結乾燥ウイルスの効力に著しい変化はなく、この物質が問題なく安定化されたことを示している。効力の偏差は、この方法のばらつきの範囲内である。
【0086】
【0087】
再構成された材料もpH及びオスモル濃度について試験し、得られた値は、pHが7.4であり、オスモル濃度が550mOsm/kgであった。
【0088】
生成物の外観は、重要な製品属性であり、指定された外観基準を満たさない製品は、関連するウイルスロットの拒絶又は回収をもたらし得る。製造中又は後の時点(例えば、貯蔵中)のいずれかにおける微粒子の形成は、全ての生物製剤にとって重大な関心事である。製剤により、再構成された物質(1×10
6PFU/mLのウイルスを含む)は、視覚的に検出可能な粒子を実質的に含まず、
図1及び2に示すように、肉眼で見えない粒子も極めて低いレベルを示す。1×10
6PFU/mLを含有するように処方した物質でも同様の結果が得られた。
【0089】
実施例3
この実施例は、他の知られている類似の組成物と比較して、糖及びタンパク質安定剤の異なる組み合わせを使用して、活性(ウイルス感染性)の改善された回復並びに液体及び凍結乾燥生ウイルス製剤の両方のその後の貯蔵安定性を実証する。
【0090】
凍結乾燥は、試料から水を除去するプロセスである。凍結乾燥は、一般的には、液体状態での貯蔵と比較して改善された貯蔵安定性をもたらす。しかしながら、凍結乾燥は、凍結及び脱水(昇華による)を含むため、特にエンベロープウイルスなどの生物学的薬剤にとってストレスの多いプロセスでもある。凍結乾燥は、長期安定性を改善することができるが、プロセスストレスは、目的の薬剤のかなりの部分も不活性化し、効力の著しい損失を引き起こし得る。満足できる製剤は、十分な液体安定性及び乾燥状態での安定性を提供するだけでなく、凍結乾燥プロセスによる損失も最小限に抑える。
【0091】
液体及び凍結乾燥の両方の状態で同時に不安定剤(エンベロープウイルスなど)を安定化する製剤を開発することは、知られた課題であるが、これは、各状態に対する最適な組成が相互に排他的であり、したがって、通常、他方に対して理想的でないからである。それにもかかわらず、凍結乾燥生成物については、凍結乾燥に先立つ製造プロセスのほとんど全ての段階が液体状態で起こり、したがって活性成分の活性が凍結乾燥の時点まで保存されなければならないため、製剤が液体及び凍結乾燥の両方の状態で活性剤の安定性を十分に維持することが重要である。同様に、凍結乾燥後、生成物が再構成される場合(例えば、液体生成物としての使用のため)、その後の取り扱い及び貯蔵を支援するために、適切な期間、効力が維持されることを確実にするために液体の安定性が重要である。さらに、凍結乾燥プロセス自体は、凍結乾燥の凍結段階中に起こり得る浸透圧ストレス及び凍結濃縮効果並びに凍結乾燥の乾燥段階中に起こる脱水効果に敏感な生物学的薬剤、特にエンベロープウイルスに対して破壊的であり得る。今日まで、液体及び凍結乾燥の両方の状態において、エンベロープウイルスなどの不安定剤を適切に安定化する製剤を開発することは、重要な課題として残されている。
【0092】
スクロースリン酸グルタミン酸アルブミン(SPGA)及びSPGAベースの製剤は、ウイルスなどの生きた薬剤を安定化させる分野においてよく知られた製剤である。例えば、White et al.,Vacccine 34(32):3676-3683(2016)及びYannarell et al.,J Virol Methods 102(1-2):15-25(2002)を参照されたい。
【0093】
製剤
この研究は、本発明の製剤(F4)と、2つのSPGAベースの製剤(F1及びF2)並びに第3の製剤(F3)とを比較した。F4製剤は、例えば、F4ではグルタミン酸塩を欠き、限られた量のスクロースを有し、リン酸塩の量が増加し、糖アルコールを含有した点でSPGAベースの製剤(F1及びF2)と異なった。ヒトアルブミンは、4つ全ての製剤中に存在し、観察された効果がこの単一成分によるものではなく、むしろ製剤中に存在する全ての成分の集団的効果によるものであることを示した。血清由来ヒトアルブミンと組換え由来ヒトアルブミンとの間に差があるかどうかを決定するために、製剤F1は、血清由来ヒトアルブミン(HSA)で調製し、F2は、組換えヒトアルブミン(rHA)で調製した。製剤F3及びF4も、F2との相対比較を可能にするために、組換えヒトアルブミンを用いて調製した。各製剤は、同量の出発ウイルス(タリモジンラヘルパレプベク)を含んだ。表5は、試験した製剤(F1、F2及びF3)の組成対本発明(F4、これは、表1にも記載されている)の組成を記載する。
【0094】
【0095】
表5に記載された製剤の性能は、液体及び凍結乾燥の両方の状態において、異なる温度におけるウイルス感染性の相対レベルを経時的に比較することによって評価した。
【0096】
製剤の液体状態安定性
4つの製剤(F1、F2、F3、F4)の各々を等量のタリモジンラヘルパレプベクで調製し、各々のアリコートを5℃及び25℃で保存し、保存されたウイルス活性の量を評価するために、プラークアッセイによって経時的に(9週間)試験した(
図3)。
図3は、製剤F4に対する分解速度を示す。これらは、各製剤について分解速度を決定し、次いで製剤F4について観察された速度に対して速度を正規化することによって得られた。
【0097】
図3に見られるように、5℃で製剤F1及びF2は、F4よりもそれぞれ1.2倍及び1.3倍速く(悪く)分解したが、製剤F3は、F4よりもわずかに良好に機能し、F4の0.9倍の速度で分解した。室温条件を意味する制御された温度25℃において、製剤F4は、他の3つの製剤よりも良好に機能した。
【0098】
全体として、製剤F4は、他の製剤よりも比較的良好に機能した。これは、製造の観点から特に適切な温度である25℃の条件で特に明らかである。
【0099】
製剤の凍結乾燥状態安定性
F1、F2、F3及びF4をバイアルに充填して凍結乾燥し、製剤の液体状態安定性について上のセクションで述べたように、保存されたウイルス活性の量を評価するためにプラークアッセイによって経時的に試験した。凍結乾燥後、サンプルは、凍結乾燥後に残存する活性の量を決定するために再構成後直ちに試験するか、又はそれらの貯蔵安定性能を決定するために5℃に10週間置いた。製剤の最低ガラス転移温度及び全ての4つの製剤が凍結乾燥中に同様の温度依存性プロファイルを示すという観察に基づいて、全ての4つの製剤を、保存的凍結乾燥サイクルを用いて一緒に凍結乾燥した。各製剤は、同等且つ最適な方法で乾燥させたため、凍結乾燥による安定性及び活性損失(又は活性回復)の直接比較を行うことができる。
【0100】
製剤F4に対する、各製剤中の凍結乾燥タリモジンラヘルパレプベクの安定性の比較を
図4に示す。
図4から分かるように、F4よりもそれぞれ12.1倍及び8.2倍速い速度で分解したF1及びF2よりも、F4は、著しく安定である。興味深いことに、液体状態でF4よりわずかに良好に機能したF3は、凍結乾燥状態では3.5倍速く分解した。
【0101】
活性の回復
保存中の安定性に加えて、凍結乾燥生成物の別の重要なパラメータは、凍結乾燥後に回復される活性の量である(その逆の条件により、凍結乾燥による活性損失とも呼ばれる)。
【0102】
図5は、製剤F4に対する活性の回復量を示す。活性の回復は、凍結乾燥前後の各製剤のウイルス力価を決定することによって計算される。凍結乾燥前の力価は、100%の活性を表し、凍結乾燥後に決定した力価を使用して、回復されたパーセンテージを計算した。次いで、製剤F4に対して回復率を正規化し、各製剤がF4に対してどのように機能したかを示した(F4は、0%に設定されているために示していない)。製剤F1及びF2は、重大なことに、F4よりもそれぞれ31%及び38%多くの活性(ウイルス力価)を失ったことが分かる。さらに、F3は、F4よりも12%多くの活性を失った。全体として、これらのデータは、F4がF1、F2及びF3よりも多くの活性を保存したことを示す。
【0103】
結論
全体として、液体状態安定性、凍結乾燥状態安定性及び活性回復データは、製剤F1、F2、F3及びF4間で性能に著しい変化があることを明らかにしている。これらのデータは、F4が凍結乾燥後により多くの活性を保存し、製剤F1~F3と比較して、特に25℃の条件でより顕著に安定であり、比較的良好に機能したことを支持する。
【0104】
本明細書中に引用される刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、あたかも各参考文献が参照により援用されるように個別且つ明確に示されているかのように、またあたかもその全体が本明細書に記載されているかのようであるのと同程度まで参照により本明細書に援用される。
【0105】
本開示の説明に関する(とりわけ以下の特許請求の範囲に関する)「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その」という用語並びに類似の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がない限り又は文脈と明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」という用語は、特記しない限り、オープンエンドの用語(すなわち「含むが、限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。
【0106】
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、単にその範囲及び各端点にある別個の値の各々を個々に指す簡略法の役割を果たすものに過ぎず、別個の値及び端点の各々は、それが個々に本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0107】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り又は文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されるあらゆる実施例又は例示的な語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をより明らかにするすることを意図したものであり、別段の主張がない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる語も、任意の特許請求されていない要素を本開示の実施に必須として示していると解釈されるべきではない。
【0108】
本明細書には、本開示の好ましい実施形態が記載されており、それは、本開示を実行するために本発明者らに知られている最良の形態を含む。それらの好ましい実施形態の変形形態は、先の記載を読むことで当業者に明らかになるであろう。本発明者らは、当業者が必要に応じてこのような変形形態を採用することを期待し、また、本発明者らは、本明細書で具体的に記載されている形態以外で本開示が実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用される法により認められる通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての変更形態及び均等物を含む。さらに、上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り又は文脈と明確に矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態において本開示に包含される。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
弱毒化生ウイルス、
組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、
ラクトース以外の糖、
糖アルコール、
リン酸塩源、及び
塩化物源
を含む液体組成物であって、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない液体組成物。
(項目2)
約5mg/mL超且つ約25mg/mL未満のrHSAを含む、項目1に記載の液体組成物。
(項目3)
約1mg/mL超且つ約25mg/mL未満のrHSAを含む、項目1又は2に記載の液体組成物。
(項目4)
約15mg/mL超且つ約25mg/mL未満のrHSAを含む、項目1~3のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目5)
約17.5mg/mL~約22.5mg/mLのrHSA、任意選択により約20mg/mL±2mg/mLのrHSAを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目6)
前記糖は、スクロースである、項目1~5のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目7)
約15mg/mL未満のスクロースを含む、項目6に記載の液体組成物。
(項目8)
約10mg/mL未満のスクロースを含む、項目7に記載の液体組成物。
(項目9)
約5mg/mL未満のスクロースを含む、項目8に記載の液体組成物。
(項目10)
約3.8mg/mL±0.38mg/mL未満のスクロースを含む、項目9に記載の液体組成物。
(項目11)
前記糖アルコールは、ソルビトールである、項目1~10のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目12)
約10mg/mL超且つ約50mg/mL未満のソルビトールを含む、項目11に記載の液体組成物。
(項目13)
約45mg/mL未満のソルビトールを含む、項目12に記載の液体組成物。
(項目14)
約40mg/mL未満のソルビトールを含む、項目13に記載の液体組成物。
(項目15)
約35mg/mL未満のソルビトールを含む、項目14に記載の液体組成物。
(項目16)
約26mg~約32mg/mLのソルビトールを含む、項目15に記載の液体組成物。
(項目17)
前記リン酸塩源は、リン酸カリウムである、項目1~16のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目18)
約5mg/mL超且つ約45mg/mL未満のリン酸カリウムを含む、項目17に記載の液体組成物。
(項目19)
約40mg/mL未満のリン酸カリウムを含む、項目18に記載の液体組成物。
(項目20)
約30mg/mL未満のリン酸カリウムを含む、項目19に記載の液体組成物。
(項目21)
約20mg/mL未満のリン酸カリウムを含む、項目20に記載の液体組成物。
(項目22)
約13.5mg~約16mg/mLのリン酸カリウムを含む、項目21に記載の液体組成物。
(項目23)
前記塩化物源は、塩化ナトリウムである、項目1~22のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目24)
約1mg/mL超且つ約20mg/mL未満の塩化ナトリウムを含む、項目23に記載の液体組成物。
(項目25)
約15mg/mL未満の塩化ナトリウムを含む、項目24に記載の液体組成物。
(項目26)
約10mg/mL未満の塩化ナトリウムを含む、項目25に記載の液体組成物。
(項目27)
約3mg~約7mg/mLの塩化ナトリウムを含む、項目26に記載の液体組成物。
(項目28)
前記弱毒化生ウイルス、rHSA、スクロース、ソルビトール、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムから実質的になるか又はそれらからなる、項目1~27のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目29)
約7.2~約7.6のpHを有する、項目1~28のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目30)
約7.4のpHを有する、項目29に記載の液体組成物。
(項目31)
約700mOsm/kg未満、任意選択により約650mOsm/kg未満のオスモル濃度を有する、項目1~30のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目32)
約600mOsm/kg未満、任意選択により約525mOsm/kg~約575mOsm/kgのオスモル濃度を有する、項目31に記載の液体組成物。
(項目33)
約0.01mM以下の、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれか、任意選択により約0.001mM以下の、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸のいずれかを含む、項目1~32のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目34)
前記弱毒化生ウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)、任意選択により単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)株である、項目1~33のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目35)
前記HSVI-1株は、JS1株、17+株、F株及びKOS株からなる群から選択される、項目34に記載の液体組成物。
(項目36)
前記単純ヘルペスウイルスは、タリモジンラヘルパレプベク、Seprehvir(商標)、G207、OrienX010、NV1020、M032、ImmunoVEX及びOncoVEX
GALV/CD
からなる群から選択される、項目34に記載の液体組成物。
(項目37)
前記HSVは、タリモジンラヘルパレプベクである、項目36に記載の液体組成物。
(項目38)
前記液体組成物が凍結乾燥され、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成される場合、前記再構成生成物中の前記弱毒化生ウイルスの効力は、前記液体組成物が凍結乾燥される前の前記弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約30%、任意選択により前記液体組成物が凍結乾燥される前の前記弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約35%である、項目1~37のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目39)
前記液体組成物が凍結乾燥され、その後、再構成生成物を生成するために水で再構成される場合、前記再構成生成物中の前記弱毒化生ウイルスの効力は、前記液体組成物が凍結乾燥される前の前記弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約30%、任意選択により前記液体組成物が凍結乾燥される前の前記弱毒化生ウイルスの効力の少なくとも又は約40%である、項目38に記載の液体組成物。
(項目40)
弱毒化生HSV-1、
約18mg/mL~約22mg/mLの組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、
約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、
約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、
約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム、及び
約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウム
を含む液体組成物であって、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない液体組成物。
(項目41)
項目1~40のいずれか一項に記載の液体組成物を凍結乾燥することによって生成される生成物。
(項目42)
組成物から水を除去することを含む方法によって生成される粉末であって、前記組成物は、
弱毒化生ウイルス、
組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、
ラクトース以外の糖、
糖アルコール、
リン酸塩源、及び
塩化物源
を含み、前記組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない、粉末。
(項目43)
組成物から水を除去することを含む方法によって生成される粉末であって、前記組成物は、
弱毒化生HSV-1、
約18mg/mL~約22mg/mLの組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、
約3.4mg/mL~約4.2mg/mLのスクロース、
約26mg/mL~約31.9mg/mLのソルビトール、
約13mg/mL~約16mg/mLのリン酸カリウム、及び
約5.1mg/mL~約6.3mg/mLの塩化ナトリウム
を含み、前記組成物は、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない、粉末。
(項目44)
前記組成物は、水を除去する前に、氷を含む組成物を得るために凍結される、項目42又は43に記載の粉末。
(項目45)
前記方法は、前記水を除去するために、制御された温度及び圧力下で前記組成物を真空中に置くことをさらに含む、項目44に記載の粉末。
(項目46)
前記方法は、凍結乾燥である、項目42~45のいずれか一項に記載の粉末。
(項目47)
約3重量/重量%未満の水を含む、項目42~46のいずれか一項に記載の粉末。
(項目48)
8℃未満又は約8℃の温度で少なくとも又は約1ヶ月、2ヶ月又は3ヶ月にわたって貯蔵安定性を有する、項目42~47のいずれか一項に記載の粉末。
(項目49)
水と、項目41に記載の生成物又は項目42~48のいずれか一項に記載の乾燥粉末とを含む液体組成物。
(項目50)
約0.95mL~約1.5mLの水を含む、項目49に記載の液体組成物。
(項目51)
約1.0mLの水を含む、項目50に記載の液体組成物。
(項目52)
液体組成物1mL当たり少なくとも又は約1×10
6
又は1×10
8
PFUの弱毒化生ウイルスを含む、項目49~51のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目53)
約7.4のpHを有する、項目49~52のいずれか一項に記載の液体組成物。
(項目54)
弱毒化生ウイルス、組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、ラクトース以外の糖、糖アルコール、リン酸塩源、塩化物源を含む粉末であって、ラクトース、ゼラチン、抗生物質及び遊離アミノ酸を実質的に含まない粉末。
(項目55)
24.66重量%~約30.14重量%のrHSAを含む、項目54に記載の粉末。
(項目56)
前記糖は、スクロースである、項目54又は55に記載の粉末。
(項目57)
約2.5重量%~約7.5重量%のスクロース、任意選択により約4.68重量%~約5.72重量%のスクロースを含む、項目56に記載の粉末。
(項目58)
前記糖アルコールは、ソルビトールである、項目54~57のいずれか一項に記載の粉末。
(項目59)
約25重量%~約33重量%、任意選択により約35.76重量%~約43.7重量%のソルビトールを含む、項目58に記載の粉末。
(項目60)
リン酸塩源は、リン酸カリウムである、項目54~59のいずれか一項に記載の粉末。
(項目61)
約15重量%~約25重量%、任意選択により約17.87重量%~約21.85重量%のリン酸カリウムを含む、項目60に記載の粉末。
(項目62)
前記塩化物源は、塩化ナトリウムである、項目54~61のいずれか一項に記載の粉末。
(項目63)
約5重量%~約10重量%の塩化ナトリウム、任意選択により約7.0重量%~約8.6重量%の塩化ナトリウムを含む、項目61に記載の粉末。
(項目64)
約1mLの水の添加時、約80mM~約85mMのリン酸カリウム、約95mM~約100mMの塩化ナトリウム、約2.8%(重量/体積)~約3.0%(重量/体積)のソルビトール、約0.36%(重量/体積)~約0.40%(重量/体積)のスクロース及び約1.98%(重量/体積)~約2.02%(重量/体積)の組換えHSAを含む液体組成物を作製する、項目54~63のいずれか一項に記載の粉末。
(項目65)
ヒト対象に投与するための腫瘍溶解性ウイルスを調製する方法であって、項目54~64のいずれか一項に記載の粉末に水を加えることを含み、任意選択により、約1.0mL~約1.2mLの水が前記粉末に加えられる、方法。
(項目66)
ヒト対象の黒色腫を治療する方法であって、液体組成物を得るために、項目54~64のいずれか一項に記載の粉末に水を加えることであって、任意選択により、約1.0mL~約1.2mLの水が前記粉末に加えられる、加えることと、前記ヒト対象に前記液体組成物を注射することとを含む方法。