(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】車両センサ校正のためのロボットターゲット位置合わせ
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20241007BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G01M17/007 K
B25J9/10 A
(21)【出願番号】P 2021538045
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(86)【国際出願番号】 IB2019061464
(87)【国際公開番号】W WO2020141455
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-01
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520421444
【氏名又は名称】ビーピージー・セールス・アンド・テクノロジー・インヴェストメンツ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BPG SALES AND TECHNOLOGY INVESTMENTS, LLC
【住所又は居所原語表記】975 Spaulding Ave., Suite C, Ada, Michigan 49301, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス、ジョン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリーズ、ライアン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ニコラス・アール
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0276910(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0134191(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0092654(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0274303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/007
B25J 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装備された車両のセンサの校正のために、前記装備された車両に対してターゲットを位置合わせするためのロボットシステムであって、
車両支持スタンドであって、装備された車両が、前記装備された車両のセンサの校正のための確立された既知の位置において静止して配置される、車両支持スタンドと、
前記車両支持スタンドに向かって且つ前記車両支持スタンドから離れるように長手方向に移動可能であるロボットマニピュレータであって、多軸ロボットアームを含むロボットマニピュレータと、
ターゲットであって、前記ロボットアームが、前記ターゲットの多軸移動のために前記ターゲットを移動可能に保持するように構成される、ターゲットとを含み、
前記ロボットマニピュレータが、前記車両支持スタンドに対する前記ロボットマニピュレータの長手方向移動により、且つ前記車両支持スタンド上の前記装備された車両の前記確立された既知の位置に基づく前記ロボットアームの移動により、前記装備された車両の前記センサに対して前記ターゲットを校正位置に位置付けるように構成され、それにより、前記センサが、前記ターゲットを使用して校正されることが可能であ
り、
前記車両支持スタンドが複数のロケータアームを含み、
前記ロケータアームが拡張可能及び格納可能であり、且つ前記車両支持スタンド上の既知の位置に前記装備された車両を方向付けし、センタリングするために、前記装備された車両のタイヤ及び車輪組立体を押圧するように構成され、
前記ロボットマニピュレータがベースに取り付けられ、
前記ベースが、床支持面におけるトラックに沿って長手方向に移動可能であり、
前記トラックは、前記静止して配置される装備された車両が前記車両支持スタンド上にあるとき、前記静止して配置される装備された車両の前方に位置づけられる、ロボットシステム。
【請求項2】
複数のターゲットを含み、
前記ロボットマニピュレータが、前記ロボットアームに配置されたエンドエフェクタを含み、
前記エンドエフェクタが、
前記車両支持スタンド上に前記静止して配置される装備された車両で使用するために、前記複数のターゲットから
選択された1つの前記ターゲットを選択的に把持するように構成される、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記トラックがレールを含み、
前記レールに沿って前記ベースが移動可能であり、前記レールが前記床支持面よりも垂直に低く配置される、請求項
1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記ロケータアームが前方対向アーム及び後方対向アームのセットを含み、
前記前方対向アームが、互いから反対の方向に均等に拡張するように構成され、及び前記後方対向アームが、互いから反対の方向に均等に拡張するように構成される、請求項
1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記車両支持スタンドが移動可能前方タイヤ支持体及び移動可能後方タイヤ支持体を含み、
前記移動可能前方タイヤ支持体及び前記移動可能後方タイヤ支持体に、前記装備された車両のタイヤの対向セットが配置される、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記前方タイヤ支持体が前方ローラを含み、及び/又は前記後方タイヤ支持体が後方ローラを含む、請求項
5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記前方ローラの回転軸及び/又は前記後方ローラの回転軸が、前記装備された車両の長手方向軸と位置合わせされる、請求項
6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記車両支持スタンドが移動可能前方タイヤ支持体の対を含み、
前記移動可能前方タイヤ支持体の対に、前記装備された車両のタイヤの前方対向セットの各々が配置され、
各前記前方タイヤ支持体がローラの2つのセットを含み、各前記前方タイヤ支持体のローラの前記2つのセットが、前記装備された車両を置くためにV字形構成において一緒に角度を付けられる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記車両支持スタンドが移動可能後方タイヤ支持体の対を含み、
前記移動可能後方タイヤ支持体の対に、装備された車両のタイヤの後方対向セットの各々が配置され、各前記後方タイヤ支持体がローラの少なくとも1つのセットを含む、請求項
8に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記車両支持スタンドが前方センタリングデバイスを含み、
前記装備された車両が前記車両支持スタンドに配置されると、前記前方センタリングデバイスが、前記装備された車両の下に配置され、前記前方センタリングデバイスが、前記装備された車両の前方タイヤ及び車輪組立体の内側に係合するために、外の方に同期して拡張するように構成されたロケータアームの対を含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記車両支持スタンドが後方センタリングデバイスを含み、前記装備された車両が前記車両支持スタンドに配置されると、前記後方センタリングデバイスが、前記装備された車両の下に配置され、前記後方センタリングデバイスが、前記装備された車両の後方タイヤ及び車輪組立体の内側に係合するために、外の方に同期して拡張するように構成されたロケータアームの対を含む、請求項
10に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記車両支持スタンドが、前記車両支持スタンドに配置されたときの前記装備された車両の前方対向タイヤ及び車輪組立体に隣接して配置される前方非接触車輪位置合わせセンサの対をさらに含み、
前記前方非接触車輪位置合わせセンサが、前記ターゲットを前記校正位置に位置付ける際に使用するための前記装備された車両の前記確立された既知の位置を決定するために、車両向き情報を決定するように動作可能である、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項13】
前記車両支持スタンドが、前記車両支持スタンドに配置されたときの前記装備された車両の後方対向タイヤ及び車輪組立体に隣接して配置される後方非接触車輪位置合わせセンサの対をさらに含み、
前記後方非接触車輪位置合わせセンサが、前記ターゲットを前記校正位置に位置付ける際に使用するための前記装備された車両の前記確立された既知の位置を決定するために、車両向き情報を決定するよう動作可能である、請求項
12に記載のロボットシステム。
【請求項14】
前記車両支持スタンドが、前記装備された車両の下から前記装備された車両にオペレータが作業することを可能にするように構成されたピットの上方に配置される、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項15】
前記車両支持スタンドが、前記車両支持スタンドに位置付けられたときの前記装備された車両を昇降させるように構成されたリフトを含み、
前記リフトが降ろされたとき、前記装備された車両が、前記リフト上に且つ前記リフトから出るように動くことが可能である、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項16】
複数の非接触車輪位置合わせセンサが前記リフトに取り付けられ、
前記非接触車輪位置合わせセンサが、前記車両支持スタンドに配置されたときの前記装備された車両の対向タイヤ及び車輪組立体に隣接して配置され、
前記非接触車輪位置合わせセンサが、前記ターゲットを前記校正位置に位置付ける際に使用するための前記装備された車両の前記確立された既知の位置を決定するために、車両向き情報を決定するように動作可能である、請求項
15に記載のロボットシステム。
【請求項17】
前記リフトがランウェイを含み、前記ランウェイが移動可能タイヤ支持体を含む、請求項
16に記載のロボットシステム。
【請求項18】
装備された車両のセンサの校正のために、前記装備された車両に対してターゲットをロボットで位置合わせするための方法であって、
装備された車両を
静止した車両支持スタンド上に誘導することであって、前記装備された車両がセンサを含み、且つ前記車両支持スタンド上に静止して配置される、誘導することと、
前記車両支持スタンド上の前記装備された車両の確立された既知の位置に基づき、ロボットマニピュレータによって保持されたターゲットを前記センサの校正のための校正位置に移動させることと、
校正ルーチンを実施することであって、それにより、前記センサが前記ターゲットを使用して校正される、実施することと
を含み、
前記ロボットマニピュレータが、前記車両支持スタンド上の前記装備された車両の長手方向軸に対して長手方向に移動可能であり、前記ロボットマニピュレータが多軸ロボットアームを含み、前記ロボットアームが前記ターゲットを保持するように構成され
、
前記ロボットマニピュレータがベースに取り付けられ、
前記ベースが、床支持面におけるトラックに沿って長手方向に移動可能であり、
前記車両支持スタンドが複数のロケータアームを含み、
前記ロケータアームが拡張可能及び格納可能であり、且つ前記車両支持スタンド上の既知の位置に前記装備された車両を方向付けし、センタリングするために、前記装備された車両のタイヤ及び車輪組立体を押圧するように構成される、方法。
【請求項19】
前記ロボットマニピュレータが、前記ロボットアームに配置されたエンドエフェクタを含み、
前記エンドエフェクタが、
前記車両支持スタンド上に前記静止して配置される装備された車両で使用するために、複数のターゲットから前記ターゲットを選択的に把持するように構成される、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記車両支持スタンドが移動可能前方タイヤ支持体及び移動可能後方タイヤ支持体を含み、
前記移動可能前方タイヤ支持体及び前記移動可能後方タイヤ支持体に、前記装備された車両のタイヤの対向セットが配置される、請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
前記車両支持スタンドが、前記車両支持スタンドに配置されたときの前記装備された車両の前方対向タイヤ及び車輪組立体に隣接して配置される前方非接触車輪位置合わせセンサの対をさらに含み、
前記前方非接触車輪位置合わせセンサが、前記ターゲットを前記校正位置に位置付ける際に使用するための前記装備された車両の前記確立された既知の位置を決定するために、車両向き情報を決定するように動作可能である、請求項
18に記載の方法。
【請求項22】
前記車両支持スタンドが、前記車両支持スタンドに配置されたときの前記装備された車両の後方対向タイヤ及び車輪組立体に隣接して配置される後方非接触車輪位置合わせセンサの対をさらに含み、
前記後方非接触車輪位置合わせセンサが、前記ターゲットを前記校正位置に位置付ける際に使用するための前記装備された車両の前記確立された既知の位置を決定するために、車両向き情報を決定するように動作可能である、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記装備された車両を前記車両支持スタンド上に前記誘導することが、前記装備された車両を前記支持スタンド上に動かすことを含む、請求項
18~
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
校正ルーチンを前記実施した後、前記装備された車両を前記車両支持スタンドから出るように動かすことをさらに含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記装備された車両を前記車両支持スタンドから出るように前記動かすことが、前記装備された車両が前記車両支持スタンド上に動かされたのと同じ方向において、前記装備された車両を動かすことを含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記装備された車両を前記車両支持スタンドから出るように前記動かすことが、前記装備された車両を前記ロボットマニピュレータに向かって動かすことを含む、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
前記装備された車両を前記車両支持スタンドから出るように前記動かす前に、前記ロボットマニピュレータを前記車両支持スタンドから離れるように長手方向に移動させることをさらに含む、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記装備された車両を前記車両支持スタンドから出るように前記動かすことが、前記装備された車両を車両支持面にわたって動かすことを含み、
前記車両支持面において、前記ロボットマニピュレータが、長手方向移動のために、及び/又は前記ロボットマニピュレータのためのトラックにわたって取り付けられる、請求項
24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両位置合わせ/校正方法及びシステム、特に車両及び車両のセンサを1つ又は複数の自律的に位置付けられた位置合わせ/校正ターゲットに位置合わせするための方法及びシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
ある環境における物体の範囲、速度及び角度(仰角又は方位角)を決定するためのレーダ、撮像システム及び他のセンサ、例えばLIDAR、超音波及び赤外線(IR)センサの使用は、多くの自動車安全システム、例えば車両のための先進運転者支援システム(ADAS)において重要である。従来のADASシステムは、1つ又は複数のセンサを用いる。これらのセンサは、組立ラインで(又は別のときに別の施設で)製造者により位置合わせ及び/又は校正されるが、これらのセンサは、例えば、摩滅の効果若しくは運転条件又は事故などの災難を通じた位置のずれを原因として定期的に再位置合わせ又は再校正される必要があり得る。さらに、そのようなADASシステムは、車間距離制御装置(ACC)、車線逸脱警報(LDW)、駐車支援及び/又はリアビューカメラなど、1つ又は複数のサブシステムを含み得る。サブシステムの各々は、個別の再位置合わせ又は再校正を定期的に必要とし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、車両及び従って車両に装備されたセンサを1つ又は複数のロボットで位置付けられた校正ターゲットと位置合わせすることにより、車両に装備されたセンサを位置合わせ及び/又は校正するための方法及びシステムを提供する。1つ又は複数の校正ターゲットを位置付ける際、ロボットが、車両のADASシステムの1つ又は複数のセンサの位置合わせ/校正のための適切なターゲットを選択し且つ位置付ける。このロボットは、適切なターゲットを既知の基準位置に従い位置付ける。車両もこの既知の基準位置に対して位置付けられ、且つセンタリングされる。車両及び校正ターゲットが既知の基準位置に対して位置付けられ且つセンタリングされた状態で、車両センサは、例えば相手先ブランド名製造者(「OEM」)の校正プロセスを介して校正される。なお別の実施形態において、車両のためのリアスラスト角が決定され得る。このリアスラスト角は、ロボットで位置付けられたターゲットの位置を調整するために使用され得る。
【0004】
本発明の態様によると、装備された車両のセンサの校正のためにターゲットを装備された車両に対して位置合わせするためのロボットシステムは、静止車両支持スタンドと、車両支持スタンドに向かって及び車両支持スタンドから離れるように長手方向に移動可能であるロボットマニピュレータとを含む。この静止車両支持スタンドには装備された車両が、装備された車両のセンサの校正のための確立された既知の位置において静止して配置される。ロボットマニピュレータはターゲットを保持する多軸ロボットアームを含む。ロボットマニピュレータは、車両支持スタンドに対するロボットマニピュレータの長手方向移動により、且つ車両支持スタンド上の装備された車両の確立された既知の位置に基づくロボットアームの移動によりターゲットを装備された車両のセンサに対して校正位置に位置付けるように構成され、それによりターゲットを使用してセンサが校正可能となる。
【0005】
特定の実施形態によると、ロボットアームは、複数のターゲットからターゲットを選択的に把持するように構成されたエンドエフェクタを含み、ロボットマニピュレータは、床支持面におけるトラックに沿って長手方向に移動可能なベースに取り付けられる。このトラックは、床支持面より垂直に低く配置されたレールを含む。このレールに沿って、ベースは移動可能である。代替的に、ターゲットは、校正されている車両の製造及びモデル及びセンサに依存してスクリーンに異なるパターン、グリッドなどを表示するか又は示すことができるように構成された電子デジタル表示デバイスであり得る。システムのコントローラは、ターゲットパターンを、試験されている車両に基づき表示されるようにする。
【0006】
なおさらなる実施形態において、車両支持スタンドは複数のロケータアームを含む。この複数のロケータアームは、拡張可能及び格納可能であり、且つ車両支持スタンド上の装備された車両を方向付ける、例えば、装備された車両を確立された既知の位置に方向付けるために、装備された車両のタイヤ及び車輪組立体を押圧するように構成される。ロケータアームは、前方対向アーム及び後方対向アームのセットを含む。この前方対向アーム及び後方対向アームのセットは、例えば車両支持スタンド上の装備された車両をセンタリングするために、互いから反対の方向に均等に拡張するように構成される。
【0007】
さらなる態様によると、車両支持スタンドは移動可能前方タイヤ支持体と移動可能後方タイヤ支持体とを含む。移動可能前方タイヤ支持体及び移動可能後方タイヤ支持体に装備された車両のタイヤの対向セットが配置される。前方タイヤ支持体及び/又は後方タイヤ支持体はローラとして構成され得る。ローラの回転軸は装備された車両の長手方向軸と位置合わせされ得る。特定の実施形態において、前方タイヤ支持体は各々ローラの2つのセットを含む。このローラの2つのセットは、装備された車両を置くためにV字形構成に角度を付けられる。後方タイヤ支持体は各々、略水平に方向付けられたローラの少なくとも1つのセットを含み得る。
【0008】
本発明のなお別の態様によると、車両支持スタンドは、前方センタリングデバイス及び/又は後方センタリングデバイスを含み得る。この前方センタリングデバイス及び/又は後方センタリングデバイスは、装備された車両が車両支持スタンドに配置されると装備された車両の下に配置される。前方及び後方センタリングデバイスはロケータアームの対を含む。このロケータアームの対は、装備された車両のタイヤ及び車輪組立体の内側に係合するために外の方に同期して拡張するように構成される。
【0009】
別の態様において、車両支持スタンドは、前方非接触車輪位置合わせセンサの対及び/又は後方非接触車輪位置合わせセンサを含む。この前方非接触車輪位置合わせセンサの対及び/又は後方非接触車輪位置合わせセンサは、車両支持スタンドに配置されたときのそれぞれの装備された車両の対向タイヤ及び車輪組立体に隣接して配置される。非接触車輪位置合わせセンサは、ターゲットを校正位置に位置付ける際に使用するための装備された車両の確立された既知の位置を決定するために、車両向き情報を決定するように動作可能である。
【0010】
本発明のさらなる態様によると、装備された車両のセンサの校正のためにターゲットを装備された車両に対してロボットで位置合わせするための方法は、装備された車両を静止車両支持スタンド上に誘導することであって、装備された車両がセンサを含み、且つ車両支持スタンド上に静止して配置される、誘導することと、車両支持スタンド上の装備された車両の確立された既知の位置に基づき、ロボットマニピュレータにより保持されたターゲットをセンサの校正のための校正位置に移動させることとを含む。ロボットマニピュレータは、車両支持スタンド上の装備された車両の長手方向軸に対して長手方向に移動可能であり、且つターゲットを保持するように構成された多軸ロボットアームを含む。この方法は、車両支持スタンドから車両を誘導することであって、車両が、その車両を車両支持スタンド上に動かす及び車両スタンドから出るように動かすことにより誘導され得る、誘導することをさらに含み得る。特定の実施形態において、この方法は、車両を支持スタンド上に動かし、且つ車両センサの校正後に車両を支持スタンドから出るように動かすオペレータを要する。車両は、ロボットマニピュレータのトラックにわたって動かされる。
【0011】
特定の実施形態によると、ロボットマニピュレータは、複数のターゲットからターゲットを選択的に把持するように構成されたロボットアームに配置されたエンドエフェクタを含み、ロボットマニピュレータは床支持面におけるトラックに沿って長手方向に移動可能であるベースに取り付けられる。車両支持スタンドは複数の拡張可能及び格納可能ロケータアームを含み得る。複数の拡張可能及び格納可能ロケータアームは、装備された車両を確立された既知の位置に方向付けるためなど、車両支持スタンド上の装備された車両を方向付けるために、装備された車両のタイヤ及び車輪組立体を押圧するように構成される。スタンドは、移動可能前方及び後方タイヤ支持体も含む。移動可能前方及び後方タイヤ支持体には、装備された車両のタイヤの対向セットが配置される。装備された車両は、第一方向において支持スタンド上に動かされ得、且つセンサの校正後、床支持面にわたって同じ第一方向において動かされることにより、支持スタンドから出るように動かされ得る。この方法は、装備された車両が第一方向において支持スタンドから動かされることを可能にするために、ロボットマニピュレータを支持スタンド上の車両から離れるように長手方向に移動させることを含み得る。代替的に、第一方向に、センサの校正後には反対の方向に、支持スタンドから出るように動かされる装備された車両である。
【0012】
本方法は、前方及び/又は後方非接触車輪位置合わせセンサの対をさらに含み得る。前方及び/又は後方非接触車輪位置合わせセンサの対は、車両支持スタンドに配置されたときのそれぞれの装備された車両の対向タイヤ及び車輪組立体に隣接して配置される。非接触車輪位置合わせセンサは、ターゲットを校正位置に位置付ける際に使用するための装備された車両の確立された既知の位置を決定するために、車両向き情報を決定するように動作可能である。
【0013】
本発明は、校正ターゲットを車両のセンサに対して正確に位置付け、且つ例えばOEM規格に従い、センサを校正するためのシステム及び方法を提供する。センサの正確な位置付け及び校正は、そのため、センサの性能の最適化を支援し、従ってセンサがそのADAS機能を実施することを可能にする。本発明のこれらの及び他の対象、利点、目的及び特徴は、図面と併せて以下の本明細書を検討すると明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による車両のセンサの校正のためのロボットターゲット位置合わせシステムの斜視図である。
【
図2】
図1の移動可能ロボットターゲットホルダの端面斜視図である。
【
図2A】
図1に示されているものなど、例示的ターゲットの正面図である。
【
図3】
図1のターゲット位置合わせシステムの車両センタリングシステムの上面図である。
【
図4】
図3の車両センタリングシステムの斜視図である。
【
図5】
図3の車両センタリングシステムの前方車輪組立体支持体の側面斜視図である。
【
図6】
図3の車両センタリングシステムの前方車輪組立体支持体の底面図である。
【
図7】
図3の車両センタリングシステムの後方車輪組立体支持体の底面図である。
【
図8】本発明による車両のセンサの校正のための別のロボットターゲット位置合わせシステムの斜視図である。
【
図9】
図8のロボットターゲット位置合わせシステムの上面図である。
【
図10】車両の左前車輪組立体の周りに配置された
図8のロボットターゲット位置合わせシステムの非接触車輪位置合わせセンサの側面斜視図である。
【
図11】
図8のロボットターゲット位置合わせシステムの一部の部分斜視図であり、非接触車輪位置合わせセンサと、車両の車輪組立体を受けるためのローラに隣接したロケータアームとを示す。
【
図12】校正マスターに対して2つの校正位置にあるロボットの上面立面図である。
【
図13】本発明によるロボットターゲット位置合わせシステムの遠隔プロセスオペレーションの概略図である。
【
図14】本発明の態様に従って、校正ターゲットを位置合わせし、車両センサの校正を実施するための方法に対するステップを図示する。
【
図15】浮動板として構築された本発明に関連した使用のための代替的タイヤ支持体の上面図である。
【
図16】本発明に関連した使用のための代替的車両支持スタンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ここで、添付の図面を参照して説明される。以下の文書による説明において番号が振られた要素は、図面における同様の番号が振られた要素に対応する。
【0016】
図1は、車両34の1つ又は複数のセンサ32を校正する際に使用するための例示的ロボットターゲット位置合わせ及びADASセンサ校正システム30を示す。ターゲット又はターゲットパネル36は、車両34の前に位置付けられた移動可能ロボット又はロボットマニピュレータ38により保持される。以下で詳細に検討されるとおり、ターゲット36は、車両34の1つ又は複数のセンサ32を校正する/位置合わせするために車両34に対して位置付けられる。ターゲットは、ロボットマニピュレータ38を介して、車両のセンサ32に対してなど、車両34に対して既知の向き又は校正位置に調整可能に移動される。例えば、車両34の向きの決定を含み得る、車両34を既知の位置に方向付けることを行うと、ロボット38は、ターゲット36を車両34の1つ又は複数のセンサ32に位置合わせするために、ターゲット36を移動させ得る。本明細書において検討される際、校正されることになるセンサは、車両の例示的先進運転者支援システム(ADAS)の1つ又は複数のサブシステムの1つである。センサ32は、従って、車間距離制御装置(「ACC」)のためのレーダセンサ、撮像システム、例えば車線逸脱警報(「LDW」)のためのカメラセンサ及び車両の周りに配置された他のADASカメラセンサ並びに他のセンサ、例えば前向きカメラなど車両内部に取り付けられたセンサ又は外部に取り付けられたセンサを含む、ADASシステムのLIDAR、超音波及び赤外線(「IR」)センサであり得る。ターゲット36は、グリッド、パターン、三面体など、そのようなセンサの校正のために構築されたロボット38により支持される。ターゲット36を車両34のセンサ32と位置合わせすると、校正ルーチンが実施される。これにより、ターゲット36を使用して、センサが校正又は位置合わせされる。本明細書で使用される際、センサの校正に対する言及は、校正ターゲットとのセンサの位置合わせを包含する。
【0017】
図1をさらに参照すると、システム30は、コンピュータシステム又はコントローラ40、車両支持スタンド42を含む。車両支持スタンド42には、車両34が静止保持される。それにより、車両34がロボットターゲット位置付けシステム44と長手方向に方向付けられる。
図2から理解されるとおり、ターゲット位置付けシステム44は、移動可能ベース46に取り付けられた複数の接合部を有する多軸ロボット38を含む。ベース46は、車両34に対してトラック48に沿って長手方向に移動するように構成される。特に、ベース46は、長手方向に拡張するレール50に取り付けられる。それにより、コントローラ40を介して制御信号を供給される電動機52を介して、ベース46が車両34に向かって及び車両34から離れるように移動可能である。図示の実施形態において、トラック48は、ベース46、従ってロボット38が、車両34がスタンド42に配置されると車両34からおよそ1メートル~20メートル移動されるように構成されるが、好ましくはおよそ1メートルからおよそ7~10メートルまで移動可能である。示されているとおり、トラック48は、車両34の前又は前方に位置付けられる。図示の実施形態において、トラック48は、支持スタンド42と中心で位置合わせされる。それにより、支持スタンド42上の車両34の長手方向軸がトラック48の長手方向軸と位置合わせされる。代替的に、トラック48は、
図1に示された構造に対して両側に横方向に置かれ得る。ロボットマニピュレータ38のベース46は、従来、ロボットマニピュレータ38が、ターゲット36を誘導している間又はトラック48に沿って移動しているときに何らかのものと接触したかどうか決定するために衝撃力を検出及び/又は測定するように構成された1つ又は複数のロードセルを含み得る。例えば、ロボットマニピュレータ38は、ロボットマニピュレータ38が万一物体又は人と接触した場合に動きを止めるように構成され得る。
図1から理解されるとおり、様々な板54が、トラック48に沿った又はトラック48に隣接する間隙を覆うか又は部分的に覆うために使用され得る。従って、車両34は、例えば、車両34を動かすことにより、ターゲット位置付けシステム44のトラック48の上を含み、支持スタンド42上に又は支持スタンド42から出るように誘導され得る。例えば、車両34は、支持スタンド42上に動かされ得る。所与のセンサ32の校正が完了すると、車両34は、支持スタンド42から出るように同じ方向に動かされ得る。車両34は、トラック48にわたって動かされる。代替的に、センサ32を校正すると、車両34は、支持スタンド42から出るように反対の方向に動かされ得る。例えば、
図1における車両34の向きに関して理解されるとおり、車両は、支持スタンド42上に前方に動かされ得、且つ次いでセンサ32が校正されると、支持スタンド42から出るように逆向きに動かされ得る。
【0018】
ロボット38は、多くのセグメントと接合部とを備えた多軸アーム38aを含み、且つ求められるターゲット36を把持する際の使用のために、アーム38aの端部にエンドエフェクタ若しくは工具交換装置又はターゲット把持部39を含む。複数のターゲットは、ロボット38の届く範囲内のトラック48に隣接するホルダ49に配置され得る。例えば、ホルダ49は、異なるタイプのセンサのための、及び異なるタイプの車両製造及びモデルのための異なるタイプのターゲットを含み得る。それにより、特定の被試験車両のための所望のターゲットを選択すると、ロボット38は、校正されることになる特定のADASセンサの校正のためにターゲットを適切な位置に位置付ける。述べたとおり、グリッド、パターン、三面体を備えたパネルを含む様々なターゲット又はセンサを校正する際の使用のための他の既知のターゲットが工具39により保持され得る。このターゲットは、例えば、ACC(車間距離制御装置)センサ、LDW(車線逸脱警報)センサ及び暗視車両のセンサを位置合わせするか又は校正するための視覚カメラ、暗視システム、レーザスキャナターゲット、超音波センサのためのターゲットなどを含む。本発明のある態様において、複数の異なるターゲットフレームは、異なるセンサ、例えばACC、LDW及び暗視センサのために個別に構成され得る。例示的なパターン又はグリッドが
図2Aに関連してターゲット36上に開示されている。しかしながら、本明細書において検討される際、ターゲットの代替的パターン、グリッド及び構造を含む、別の方法で構成されたターゲットが本発明の範囲内で用いられ得ることが認められるべきである。代替的に、ターゲット36は、校正されている車両の製造及びモデル並びにセンサに依存してスクリーン上に異なるパターン、グリッドなどを表示するか又は示すことができるように構成された電子デジタル表示デバイスであり得る。コントローラ40は、校正されている車両34及びセンサ32に基づき、正しいターゲットパターンが表示されるようにするように動作可能である。
【0019】
車両支持スタンド42は、前方車輪支持体及びセンタリング組立体56と後方車輪支持体及びセンタリング組立体58とを含む。前方車輪支持体及びセンタリング組立体56並びに後方車輪支持体及びセンタリング組立体58には、車両34を位置付けるか又は方向付けるために車両34が配置される。
図1の向きにおいて、車両34の前方車輪組立体60は、前方車輪支持体及びセンタリング組立体56上に置かれ、車両34の後方車輪組立体62は、後方車輪支持体及びセンタリング組立体58上に置かれる。以下でより詳細に検討されるとおり、組立体56、58は、車両34を位置付けることを目的として車両34の横方向移動を可能にする。加えて、前方車輪支持体及びセンタリング組立体56は、車両34を長手方向に動かないようにもする。例えば、1つ又は複数の後ろ向きに方向付けられた車両センサの校正のために、所望の車両がターゲット位置付けシステム44に向かって後ろ向きに方向付けられ得る場合、車両34の後方車輪組立体62は、前方車輪支持体組立体56に配置されることが理解されるべきである。
【0020】
図3~6を参照すると、前方車輪支持体及びセンタリング組立体56は、前方車両センタリングデバイス66の反対側に位置付けられた、反対側に配置されたタイヤ支持体64a、64bを含む。タイヤ支持体64a、64bは、
図1に示されている前方車輪組立体60など、対向するタイヤ及び車両34の車輪組立体の対のタイヤを受けるように構成される。タイヤ支持体64a、64bは、実質的に同一であるが、互いの鏡版(mirror versions)である。そのため、本明細書における検討は、タイヤ支持体64aに焦点を合わせるが、この検討は、タイヤ支持体64bに当てはまることが理解されるべきである。
【0021】
タイヤ支持体64aは、ローラ72の2つのセット68、70を含む。ローラ72は、それらの回転軸が、支持スタンド42に配置されたときの車両34の長手方向軸と平行な状態で配列される。そのため、前方タイヤの対がローラ72に配置されている車両は、その長手方向軸に対してローラ72を介して横方向に移動可能である。
図4及び5において最も良く示されているとおり、ローラ72のセット68、70は、互いに対して内の方に曲げられる。すなわち、各セット68、70のローラ72の隣接して置かれた端部は、V字形構成において、外の方に置かれた端部よりも垂直に低く配置される。そのため、車両34の車輪組立体60は、ローラ72の隣接する取付端部により画定された軸74a、74bに沿ってタイヤ支持体64a、64bに置かれると、固定された長手方向位置にあるように自然に方向付けられる。軸74a、74bは、互いに対して位置合わせされるように、且つトラック48及びスタンド42に位置付けられたときの車両の長手方向軸に垂直になるように配列されることが理解されるべきである。車両34は、支持スタンド42上に動かされ、且つ支持スタンド42から出るように動かされるため、タイヤ支持体64aは、車両タイヤを支持するための斜面76、78を追加的に含む。
【0022】
車両34は、部分的に車両センタリングデバイス66を介して支持スタンド上にセンタリングされるか又は位置付けられる。車両センタリングデバイス66は、車両34の前方部分をセンタリングするか又は位置付けるように動作可能である。車両センタリングデバイス66は、タイヤ支持体64a、64bに配置されたタイヤの内側壁に接触するために、ハウジング82から外の方に拡張するように構成された対向する同期アーム又はバンパー80a、80bの対を含む。アーム80a、80bは、特に、コントローラ40により一緒に結合され且つ作動されるアクチュエータ84a、84b(
図6)の対を介して、ハウジング82から対向する方向において均等に及び同時に外の方に移動するように同期される。
図5及び6から理解されるとおり、アーム84aは、板86aに固定されるか又は板86aの一部であり、アーム84bは、板86bに固定されるか又は板86bの一部である。板86a、86bは、レール又はスライド88、90に摺動可能に取り付けられている。アクチュエータ84aの拡張可能端部92aが板86aに取り付けられている。これにより、端部92aの拡張がアーム84aを外の方に拡張させる。同様に、アクチュエータ84bの拡張可能端部92bが板86bに取り付けられる。これにより、端部92bの拡張がアーム84bを外の方に拡張させる。アーム80a、80bは、アクチュエータ84a、84bの端部92a、92bの格納を介して同様に格納可能である。従って、車両センタリングデバイス66は、アーム80a、80bの均等で反対側の拡張を介して横方向に移動させることが可能であるローラ72により、車両支持スタンド42上の車両34の前方部分をセンタリングするように動作可能である。これにより、アーム80a、80bは、タイヤの内側壁に接触し、且つタイヤの内側壁を押すことが認められるべきである。
【0023】
図3、4及び7を参照すると、後方車輪支持体及びセンタリング組立体58は、後方車両センタリングデバイス96の反対側に位置付けられた、反対側に配置されたタイヤ支持体94a、94bを含む。タイヤ支持体94a、94bは、
図1に示された後方車輪組立体62など、対向するタイヤ及び車両34の車輪組立体の対のタイヤを受けるように構成される。タイヤ支持体94a、94bは、実質的に同一であるが、互いの鏡版である。そのため、本明細書における検討は、タイヤ支持体94aに焦点を当てるが、この検討は、タイヤ支持体94bに当てはまることが理解されるべきである。
【0024】
タイヤ支持体94aは、図示の実施形態においてローラ100の6つのセット98a~98fを含む。ローラ100は、それらの回転軸が支持スタンド42に配置されたときの車両34の長手方向軸と平行な状態で配列される。そのため、後方タイヤの対がローラ100に配置された車両は、その長手方向軸に対してローラ100を介して横方向に移動可能である。前方車輪支持体及びセンタリング組立体56と対比して、後方車輪支持体及びセンタリング組立体58のローラ100は、全て同じ平面にある。ローラ100の複数のセット98a~98fは、車輪ベースの異なる車両が支持スタンド42で使用されることを可能にする。すなわち、例えば対向する前方車両の車輪組立体がタイヤ支持体64a、64bにより保持される場合、対向する後方車両の車輪組立体は、車両の車輪ベース長さが異なる状態でもタイヤ支持体94a、94bに依然として位置付けられ得る。斜面は、車両をタイヤ支持体94a、94b上に及びタイヤ支持体94a、94bから出るように動かすことを支援するために、タイヤ支持体94a、94bの出入り口にも供給され得る。
【0025】
車両34は、部分的に後方車両センタリングデバイス96を介して支持スタンド42上でもセンタリングされるか又は位置付けられる。後方車両センタリングデバイス96は、車両34の後方部分をセンタリングするか又は位置付けるために、車両センタリングデバイス66と略同様の方法で動作する。後方車両センタリングデバイス96は、タイヤ支持体94a、94bに配置されたタイヤの内側壁に接触するために、ハウジング108から外の方に拡張するように構成された対向する同期ロケータアーム又はバンパー102a、102b、104a、104b及び106a、106bの複数の対を含む。特に、センタリングデバイス96の対向するアームの各セットは、コントローラ40により一緒に結合され且つ作動されるアクチュエータ110、112、114、116(
図7)を介して、ハウジング108から対向する方向において均等に及び同時に外の方に移動するように同期される。アーム102a、102b、104a、104b、106a及び106bは、レール又はスライド118、120、122及び124での移動のために摺動可能に取り付けられる。これにより、アクチュエータ110、112、114、116の移動可能端部110a、112a、114a、116aは、例えば、滑車リンク機構126、128を介して、ハウジング108に対してアーム102a、102b、104a、104b、106a及び106bを拡張及び格納することが可能である。従って、車両センタリングデバイス96は、アーム102a、102b、104a、104b、106a及び106bの均等で反対の拡張を介して車両が横方向に移動することを可能にするローラ100により、車両支持スタンド42上の車両34の後方部分をセンタリングするように動作可能であり、これにより、アームは、タイヤの内側壁に接触し、且つタイヤの内側壁を押すことが認められるべきである。
【0026】
車両支持スタンド42は、図示の実施形態では、タイヤの内側壁を押すアームにより車両34を位置付ける、センタリングする及び/又は方向付けるように示されているが、別の方法で構築されたセンタリングシステムが構築され得ることが直ちに認められるべきである。この別の方法で構築されたセンタリングシステムでは、
図11に関連して以下で検討されるロケータアームを内部に拡張するなど、アーム又はバンパーが車両の外側から均等で反対の量で押すことにより、タイヤの外側壁を押圧する。さらに、システム30のタイヤ支持体64a、64b及び94a、94bは、支持スタンド42での車両34の横方向調整のためにローラ72、100を用いるとして開示されているが、代替的タイヤ支持体が本発明の範囲内で用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、タイヤ支持体は、浮動治具として、例えば従来の浮動板又は浮板として構築され得る。そのような浮動板組立体1000がタイヤ及び車輪組立体1200のタイヤと共に
図15に示されている。そこで示されているとおり、浮動板組立体1000は、車両支持スタンドに凹入し、且つ板1010上で車両車輪組立体1200を、複数の自由度において、例えば車両の長手方向軸に対して横方向に自由に浮かせるように構成される。
【0027】
車両34が車両センタリングデバイス66、96を介してスタンド42上でセンタリングされるか又は方向付けられた状態で、所望のターゲット36が工具39により保持され、且つ多軸ロボットマニピュレータ38により誘導されて、車両34の1つ又は複数のセンサ32を位置合わせするか又は校正する際に使用するためのターゲット36を位置付ける。すなわち、ターゲット36は、車両36に対して方向付けられる。本発明の別の態様において、特定の車両がスタンド42上で方向付けられると、ロボットマニピュレータ38は、その車両の特定のセンサの所望の位置合わせ又は校正のための特定のターゲットを選択するように、且つその特定の車両のための選択されたターゲットを、適切なターゲットがその特定の車両110の任意の所望の位置合わせ又はセンサの校正を実施するための適所に位置付けるように構成される。
【0028】
ターゲット36がロボット38により位置付けられる場所は、例えば、車両の製造及びモデル及び位置合わせされる/校正されることになる特定のセンサに基づき、コントローラ40にプログラムされている。例えば、車両34がスタンド42上でセンタリングされた状態で、ロボット38は、車両34の位置に基づき、ターゲット36のための求められる場所に対応する基準点に基づいてターゲット36を特定の位置に置くために使用され得る。基準点は、従って、ターゲット36とスタンド42のセンタリングシステム66、96との間の関係として定義され得る。そのような基準点又は空間的な関係は、ロボットマニピュレータ38により位置付けられた校正/位置合わせターゲットの正確な設置を可能にする。特定の実施形態において、以下でより詳細に検討されるとおり、スタンド42に位置付けられたマスターは、車両、例えば所与の車両の製造及びモデルの特定のセンサのための基準点の決定に使用され得る。
【0029】
図1から理解されるとおり、車両支持スタンド42及びターゲット位置付けシステム44は、同じ垂直高さに配置される。それにより、車両は、システム30上に動かされ得、且つシステム30から出るように動かされ得る。例えば、スタンド42及びシステム44は、ピット内に又は入口及び出口斜面と共に配列され得る。それにより、車両34は、位置合わせ及び校正ルーチンの遂行のためにスタンド42上に動かされ得る。車両34は、このとき、システム30から出るために同じ方向に動かされる。ロボット38は、長手方向に後方に移動され得る。車両34は、このとき、左又は右に出るように動かされる。支持スタンド42及びターゲット位置付けシステムは、従って、静止支持面129を画定するか又は含む。静止支持面129上に又は静止支持面129にわたって、車両34は、移動されることも動かされることも可能である。車輪組立体支持体56、58及びロボットトラック48は、支持面129内又は支持面129に配置される。
図1及び2から理解されるとおり、ロボットトラック48は、上トラック面53を含む。上トラック面53は、上トラック面53より下に配置されているレール50に基づき、車両34がその上トラック面53の上を動かされることを可能にするように追加的に構成される。
【0030】
ここで、
図8及び9を参照すると、代替的ロボットターゲット位置合わせ及びADASセンサ校正システム130が開示されている。システム130は、上で検討されたシステム30と概ね同様である。システム130は、従って、ターゲット36などターゲットを車両34、特にセンサの校正/位置合わせのための車両のセンサ32に対して位置合わせするために使用される。システム130は、システム30と同様の方法でターゲット位置付けシステム44及び車両支持スタンド142を含む。
図8及び9の図示されたターゲット位置付けシステム44において、ロボット38は、ターゲットを保持していない。それにより、アーム部分38aは、工具39及び多くのターゲットの任意のもの、例えばターゲット36を保持できることが理解される。述べたとおり、ベース46は、コンピュータシステム又はコントローラ140からの信号を介して、トラック48に沿って長手方向に横断することができる。
図8及び9から理解されるとおり、システム130が構築されることにより、オペレータは、車両支持スタンド142の下で作業することができる。システム130は、例えば、修理施設において使用され得る。これにより、オペレータは、NCAセンサ145からの位置合わせ情報に基づく車両34の位置合わせの調整など、車両34での追加的なオペレーションを便利に実施することができ得る。
【0031】
車両支持スタンド142は、車両の向きを決定するために非接触車輪位置合わせセンサシステムを用いる。図示の実施形態において、非接触車輪位置合わせセンサ145、146は、それぞれ対向する前方車輪組立体60及び対向する後方車輪組立体62の周りに配置される。非接触車輪位置合わせセンサ145、146は、コントローラ140に提供されるスタンド42での車両34の位置情報を取得するために用いられる。コントローラ140は、今度は、ターゲット36を車両34のセンサ32に対して位置付けるようにロボット38を作動させる。
【0032】
車輪位置合わせセンサ145、146は、車両34の垂直中心面の決定並びに車輪の中心、対称軸及びリアスラスト角だけでなくトー、キャンバー、キャスター、ステアリングアクシスインクリネーション(SAI)などの車輪位置合わせ特徴の決定又はその一部のために使用され得る。システム130の図示の実施形態において、4つの非接触車輪位置合わせセンサ145、146が車両34の周りに配置された状態で示されている。代替的配置が用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、代替的配置は、対向する車輪組立体など、ちょうど2つの車両34の車輪組立体で非接触車輪位置合わせセンサを用い得る。リアスラスト角は、例えば、後方タイヤ及び車輪組立体62を2つ以上の位置に回転させることにより、例えば電動ローラ支持組立体62を使用して組立体62を回転させることにより、センサ146を使用して決定され得る。代替的に、車両は、用いられている非接触車輪位置合わせセンサの構成に依存して位置間を移動され得る。
【0033】
図8及び9に示されている非接触車輪位置合わせセンサ145、146は、外部カバー又はハウジングを含む。
図10から理解されるとおり、図示の実施形態における各非接触車輪位置合わせセンサ145、146は、所与の車両の車輪組立体の左及び右側に配置されるように配列された、協働して作動する個別の非接触車輪位置合わせセンサ145a、145bの対を含む。
図10の図示の実施形態において、非接触車輪位置合わせセンサ145は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,864,309号明細書、同8,107,062号明細書及び同8,400,624号明細書に従って構築される。示されているとおり、非接触車輪位置合わせ(「NCA」)センサ145a、145bの対がタイヤ及び車両34の車輪組立体60の両側に配置される。NCAセンサ145a、145bは、照明ライン164をタイヤの両側に投射し、左側166aが示されている。NCAセンサ145a、145bが照明ライン164の反射を受けることにより、非接触車輪位置合わせシステムは、タイヤ及び車輪組立体60の向きを決定することができる。タイヤ及び車輪組立体60上に投射された複数の照明ライン164及び得られた像におけるこれらのライン164の位置により、タイヤ及び車輪組立体60の三次元の空間的向き又は形状は、センサの視野及び視界の深さに基づき、センサ145a、145bの動作範囲を通じて計算されることが可能になる。対応するNCAセンサ145a、145bは、車両34の4つのタイヤ及び車輪組立体60、62の全ての周りに位置付けられる。車両位置情報は、非接触車輪位置合わせシステムにより決定され得る。この決定は、スタンド142上の車両34の周りに配置されたNCAセンサ145a、145bの既知の向きに基づき得る。後方非接触車輪位置合わせセンサ146は、車輪ベース長さが異なる車両を収容するために長手方向に調整可能であり得る。述べたとおり、車輪位置合わせ及び車両位置情報は、コントローラ、例えばコントローラ140又は遠隔計算機に例えばインターネットを介して提供される。車輪組立体位置合わせ及び車両位置情報に応じて、コントローラ140又は遠隔計算機は、次いで、ターゲット36を車両34のセンサ32に対して位置付けるために、ロボット38を作動させるための信号を作動的に送り得る。代替的配置において、単一の非接触車輪位置合わせセンサは、タイヤ及び車輪組立体のタイヤの左及び右側の両方にラインを投射し、且つ車輪の形状及び関連する車両の位置を決定することを目的として対応する反射の像を取得するように構成され得る。
【0034】
図示の実施形態において、車両支持スタンド142は、車両34の車輪組立体60、62の各々に配置されたローラ168の対を含むタイヤ支持体を含む。それにより、車両34は、スタンド142上で静止しているままである一方、車輪組立体60、62は、位置合わせ及び位置分析の間に回転され得る。ローラ168の後方対は、車輪ベースが異なる車両を収容するために長手方向に移動可能であり得る。さらに、
図11から理解されるとおり、拡張可能及び格納可能ロケータアーム170は、各非接触車輪位置合わせセンサ145に位置付けられ得る。ロケータアーム170は、車両34をローラ68上にある間に固定した場所に保持することを支援するために、ローラ168に配置されたタイヤ及び車輪組立体のタイヤの外側壁に接触するために拡張され得る。ローラ168は、その上にあるタイヤ及び車輪組立体を回転させるように動かすことができる。それにより、車両は、例えば、ロケータアーム170からの力を介して横方向に移動され得ることがさらに認められるべきである。
【0035】
スタンドを用いるシステムと、車両位置が決定されるドライブスルー非接触位置合わせシステムとを含む、センサ145a、145bに対する代替的NCAセンサが使用され得ることが理解されるべきである。スタンドを用いるシステムでは、車両が静止したままであり、車輪位置合わせ及び車両位置情報は、2つの別々の場所で測定される。例えば、車両センサの校正のための車両の前のターゲットのロボット位置合わせは、車両車輪位置合わせセンサを通過する車両の移動に基づき、車輪位置合わせ及び車両位置を決定するためのシステムを使用して実施され得る。このシステムは、当技術分野において既知である。そのようなセンサからの車両向き及び位置合わせ情報に基づき、コントローラは、上で開示されたとおり、ターゲット調整フレームの設置又は位置付けのための場所を決定し得る。例えば、車両は、車両の両側に位置するそのようなセンサに沿って又はそのようなセンサにより動かされ得、且つセンサフィールド内で停止する。それにより、コントローラ140は、ターゲット36を車両34に対して、特に位置合わせ及び校正されることになる車両のセンサに対して適切な場所に位置付けることが可能となる。そのようなドライブスルーシステムは、当技術分野で既知である。
【0036】
本発明の別の態様によると、車両の位置に対してロボットマニピュレータを介してターゲットを方向付けることをさらに支援するために、車両34のシャーシ高さが決定され得る。例えば、シャーシ高さは、車両に取り付けられたセンサ(例えばLDW又はACCセンサ)の絶対的高さ、ピッチ及び偏揺れが決定され得るように、車両の周りの複数の場所で決定され得る。シャーシ高さの測定は、フェンダ高さの測定を含み得る。車両のシャーシ高さを決定するための任意の従来の方法が使用され得る。例えば、1つ又は複数の水平にされたレーザは、車両に取り付けられた追加的な高さターゲット、例えば車両のフェンダ又は他の場所に取り付けられた、例えば車両に磁気的に取り付けられた高さターゲットに向けられ得る。別の例において、本明細書において説明された非接触車輪位置合わせセンサ145は、フェンダ高さを取得するために使用され得る。例えば、投射された光は、車両の一部、例えば車輪格納部の又は車輪格納部に隣接したフェンダに投射され得る。
【0037】
支持スタンド42又は支持スタンド142上の車両に対してターゲットを置くための基準点の決定は、校正プロセスを介してもなされ得る。校正プロセスの一例において、
図12を参照すると、校正マスター34aは、非接触車輪位置合わせセンサ145を有する支持スタンド142などの支持スタンドに位置付けられ得る。マスター34aは、既知の寸法を有する特別に構成された物体であるか、又は正確に測定され、且つ非接触車輪位置合わせセンサ145を介してスタンド142上の既知の位置に配置された車両であり得る。マスター34aは、校正マスター34aの中心線に対して正確に方向付けられた投光器も備えることができる。校正マスター34aは、投光器が34aの中心線をロボット38と位置合わせするように光を向けるように構成される。例えば、ロボット38により保持されたターゲットは、マスター34aから投射された光がターゲットの所望の場所に当たるまでロボット38を揺らすことにより適所に方向付けられ得る。それにより、コントローラ140は、特定の場所を「教えられ」、且つ相応してターゲットを位置付けるように動作可能となる。代替的に、校正中、ロボット38は、任意選択的に、ターゲット36を校正マスター34aと位置合わせするために、
図12において「位置1」及び「位置2」として示されている2つの距離間で移動され得る。
【0038】
例えば、位置1では、ロボット38は、ターゲット36を位置付けるためにロボットの位置を揺らすことにより、投射された光が所望の場所に当たることによって投光器に対して所望の向きになるようにターゲット36を位置合わせするように調整され得る。ロボット38は、次いで、位置2に移動される。ロボット38は、この場合にも、ターゲット36を位置付けるためにロボット38の位置を揺らすことにより、投射された光がこの場合も所望の場所に当たることによって投光器に対して所望の向きになるようにターゲット36を位置合わせするように調整される。この方法において、ターゲット36に対する校正マスター34aの軸は、確立されており、既知である。本明細書において検討される際、車両の各タイプ(例えば、自動車、ピックアップトラック、バン)のための校正マスター34aがあり得るか、又は代替形態において、位置合わせ/校正を受けるための各車両の製造及びモデルのための校正マスター34aがあり得る。校正マスター34aがセンタリングデバイス66、96を介して位置付けられる同様の校正プロセスがスタンド42と共に用いられ得る。システム130の場合、所与の車両34について非接触車輪位置合わせセンサ145を介して取得された実際の車両の向きの決定は、マスター34aに基づいて予め決定された位置に対するターゲット36の位置を調整するためにオフセットとして使用され得ることが理解されるべきである。
【0039】
上で検討されたロボット位置合わせ及び校正システム30、130は、外部データ、情報又は信号から独立して動作するように構成され得る。この場合、挙げられたコントローラ40、140を含む実施形態のコンピュータシステムは、様々な製造、モデル及び装備されたセンサでのオペレーションのためにプログラムされ得、且つオペレータコンピュータデバイスの使用を含み得る。そのような独立型構成において、
図13においてシステム30に関して示されるとおり、オペレータコンピュータデバイス176は、例えば、車両34のオンボードダイアグノーシス(OBD)ポートを介して連動され得る車両34の1つ又は複数のECU178を介して車両34と、且つオペレータに指示を与えてセンサ32の位置合わせ/校正のためにシステムを運用するためにコントローラ40と連動し得る。代替的に、オペレータコンピュータデバイス176は、車両34に関するオペレータにより、例えば手動入力又はスキャニングにより入力された情報、例えば製造、モデル、車両識別番号(VIN)及び/又は装備されたセンサに関する情報を受信し得る。デバイス176は、そのような情報をコントローラ40に通信する。
【0040】
そのような独立型構成の代替として、
図13は、システム30のための遠隔インタフェース構成の例示的実施形態も開示している。システム30は、サーバなどの遠隔計算機又はシステム180及び例えばインターネット184を介してアクセスされ得る1つ又は複数の遠隔データベース182と連動するように構成される。それにより、コンピュータシステムは、従って、遠隔計算機180をさらに含む。例えば、インターネットを介してアクセスされるデータベース182を包含する遠隔計算機180が、予め確立されたプログラム及び方法論に従い、例えば元の工場で採用された校正シーケンスに基づくか又は代替的校正シーケンスに基づき、1つ又は複数のADASセンサを校正するために、車両34の1つ又は複数のエンジンコントロールユニット(「ECU」)を通じて校正シーケンスを実行するために使用され得る。そのような構造において、コントローラ40は、特定の製造、モデル及び装備されたセンサのためのターゲット位置付けパラメータに関連するプログラムを含む必要はない。むしろ、オペレータは、オペレータコンピュータデバイス176を車両34のECU178に接続することができる。コンピュータデバイス176は、次いで、得られた車両固有情報を計算システム180に送る。又は代替的に、オペレータは、計算システム180に送るために車両34に接続することなしに、オペレータコンピュータデバイス176に情報を直接入力することができる。そのような情報は、例えば、製造、モデル、車両識別番号(VIN)及び/又は装備されたセンサに関する情報であり得る。計算システム180は、次いで、データベース182において規定されたセンサを校正するために求められる特定の手順及び計算システム180により実施される特定の処理に基づき、必要な指示をオペレータに提供し得る。制御信号は、次いで、コントローラ40に送られる。例えば、計算システム180は、ロボット38を介したターゲット36の位置付けのために、且つ例えばECU178を介してセンサ32のOEM校正シーケンスを実行するためにコントローラ40に指示を提供し得る。
【0041】
データベース182は、従って、校正プロセスを実施するための情報、例えば所与の車両及びセンサのために使用されることになる特定のターゲット、そのようなセンサ及び車両に対してロボット38によりターゲットが位置付けられることになる場所に関する情報並びにセンサ校正ルーチンを実施するか又は始動させるための情報を含み得る。そのような情報は、OEMプロセス及び手順又は代替的プロセス及び手順に従い得る。いずれの実施形態においても、システム30による様々なレベルの自律運転が用いられ得る。
【0042】
本発明の実施形態による例示的校正サイクルが
図14に示されている。ステップ200では、校正マスター34aは、試験システム30、130の車両支持スタンド42、142上に位置付けられ、且つ特定の向きになるように設置される。システム30の場合、校正マスター34aを位置付けるためにセンタリングデバイス66、96が使用される。システム130の場合、各非接触車輪位置合わせセンサ145のロケータアーム170が、校正マスター34aを特定の向きになるように設置するために校正マスター34aの側部に接触することにより、校正マスター34aを位置付けるために使用される。校正マスター34aが方向付けられた状態で、
図14のステップ202において、1つ又は複数の基準位置又は点がターゲット36又はロボット38と校正マスター34aとの間で決定され得る。この決定には、長手方向に、横方向に、且つ垂直に及び所与の軸の回転について決定することが含まれる。校正マスター34aは、次いで、車両支持スタンド42、142から取り除かれ得る。
【0043】
図14のステップ204において、車両34は、試験のためにセットアップされる。例えば、車両34がスタンド42、142上に入れられることにより、車両の車輪が試験スタンドのローラ上に位置付けられる。その結果、車両34は、ターゲット36と大まかに位置合わせされる。車のモデル及びバージョンも例えばオペレータ計算機176を介して校正システム30、130に入力される。同時にOBD2コネクタが車両34のOBD2ポートに接続され、車両34とコントローラ40、140との間に通信接続が達成される。
【0044】
図14のステップ206において、車両34は、校正マスター34aと同じ向きになるように設置される。システム30の場合、センタリングデバイス66、96が車両を方向付けるために使用される。システム130の場合、ロケータアーム170がタイヤ側壁に係合し、非接触車輪位置合わせセンサ145が車両34の向きを取得するために使用される。オペレータがコントローラ40、140を介して又はオペレータ計算機176を介して自動化された位置付け/方向付けオペレーションを開始し得る。
【0045】
図14において示されるとおり、ステップ208でスラスト角が決定され得るように、車両34のスラスト角が特定のセンサの校正のために所望又は要求され得る。システム130の場合、例えば、スラスト角は、非接触車輪位置合わせセンサ145により行われた計算及び測定に基づいて決定され得る。決定されたスラスト角は、次いで、コントローラ140を介したロボット38によるターゲット36の位置付けにおいて使用され得る。
【0046】
図14のステップ210において、個別のADASシステム校正のために所与のターゲット36が選択され且つ位置付けられる。本明細書において検討される際、オペレータは、コントローラ40、140又はオペレータ計算機176を介して所与のADASセンサ32のための自動化されたターゲット選択及び位置付けオペレーションを開始し得る。ターゲット選択及び位置付けオペレーションは、車両の製造及びモデル並びにオペレータにより選択され得る特定のADASセンサ32のための校正/位置合わせ手順を考慮に入れ得る。ターゲット36を位置付ける際、ターゲット36は、選択されたターゲット36が、車両34に対して、特に校正されることになる特定のセンサ32に対して適切にセンタリングされ且つ位置付けられるように、予め決定された基準点又は位置に対して位置付けられる。
【0047】
図14のステップ212において、車両110におけるADASシステム(例えばACC、LDW及びNIVI)の校正は、例えば、OEM校正ルーチンに従って実施され得る。固定された既知の車両34の向きに基づき、例えば、LDW、ACC等のための個別のセンサ校正オペレーションは、必要なオペレータ相互作用が最小限で行われ得る。
【0048】
図14のオペレーションに関して上で挙げられたステップは、特に順序、プロセス又はオペレーションなど、別の方法で実施され得ることが理解されるべきであり、別の方法で実施されても依然として本発明によるものであり得る。
【0049】
なお別の代替的車両支持スタンド242が
図16に示されている。ここでは、車両支持スタンド242は、
図1及び8のターゲット位置システム44と共に使用可能であるリフト221として構成される。支持スタンド242は、例えば、修理施設において使用され得る。それにより、オペレータ247は、車両34のADASセンサの校正に加えて、車両34での追加的なオペレーション、例えば車両34の位置合わせの調整などを好都合に行うことができ得る。特に、例えば、車両34の位置合わせは、リフト221に取り付けられたNCAセンサ245からの位置合わせ情報に基づいて実施され得る。センサ245は、上で検討されたNCAセンサ145、146と同様の方法で構築され得る。
図16は、オペレータ247による使用のために組み合わされたコントローラ及びオペレータ計算機240を含むことを追加的に示す。代替的に、リフト221は、NCAセンサ245を使用せずに、車両34上のADASセンサ32の校正のためにスタンド242上の車両34をセンタリングするために、上で開示されたセンタリングデバイス66、96と同様の方法でセンタリングデバイスと共に用いられ得る。
【0050】
使用時、リフト221が下がった方向にあるとき、車両34は、リフト221のランウェイ249上に動かされる。車両34は、次いで、初期位置に位置付けられ、NCAセンサ245が車両34の車輪位置合わせ及びスタンド242での車両34の位置を決定するために使用される。車両34は、次いで、例えば車両34を進めることによって車輪が180度回転することにより、第2位置又は校正向きにあるように位置付けられ得る。NCAセンサ245は、次いで、この場合にも車両34の車輪位置合わせ及びスタンド242での車両34の位置を決定するために使用される。2つのセットの決定により、車両34の振れ補正スラスト角の決定が可能になる。それにより、ターゲット位置システム44のロボットマニピュレータ38により保持されたターゲット36は、ADAS車両34のセンサの校正のために所望の向きになるように位置付けられ得る。リフト221は、
図16において高くされた向きで示されている。しかし、リフト221は、車両34のセンサの校正のためのターゲット位置システム44と略同一平面になるまで下げられ得ることが理解されるべきである。代替的に、ロボットアーム38により保持されたターゲット36を介したセンサの校正は、リフト321が高くされた位置にある間に実施され得る。
【0051】
具体的に説明された実施形態の他の変更及び修正は、本発明の趣旨から逸脱することなしに行われ得る。本発明の趣旨は、均等論を含む特許法の原理に従い解釈されるとおり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。