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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】可変密度のドレッシング
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20241007BHJP
   A61F 13/00 20240101ALI20241007BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/00 300
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021542412
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020013922
(87)【国際公開番号】W WO2020154175
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】62/796,407
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ライス,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ブレット,エル.
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,クリストファー,アレン
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ジャスティン,アレクサンダー
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517371(JP,A)
【文献】特表2013-517097(JP,A)
【文献】特表2017-517312(JP,A)
【文献】特表2011-516167(JP,A)
【文献】国際公開第2018/226328(WO,A1)
【文献】特表2017-524417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61F 13/00
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングであって、前記ドレッシングが、
第1の密度を有する第1の部品、及び可変密度を有する第2の部品を含むデブリドマンマニホールドであって、前記第1の部品は、前記第2の部品を覆い、かつ、前記第2の部品に隣接しており、前記第1の部品及び前記第2の部品は、一体型の本体を形成しており、前記デブリドマンマニホールドの前記第2の部品は、複数の第1の領域、及び前記複数の第1の領域よりも高い密度を有する複数の第2の領域、を含む、デブリドマンマニホールドと、
前記デブリドマンマニホールドの上に配設されるように構成され、前記デブリドマンマニホールドを越えて延在する外周を含む、カバーと、
を備える、ドレッシング。
【請求項2】
前記第2の領域が、前記第1の領域に対して凹状になっている、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項3】
前記第1の領域が、第1の材料を含み、前記第2の領域が、第2の材料を含む、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項4】
前記複数の第1の領域及び前記複数の第2の領域が、前記デブリドマンマニホールド中にアレイ状に交互に分布している、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項5】
前記デブリドマンマニホールドが、発泡体を含む、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項6】
前記デブリドマンマニホールドが、連続気泡発泡体を含む、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項7】
前記デブリドマンマニホールドが、網状発泡体を含む、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項8】
前記デブリドマンマニホールドと前記カバーとの間に配設されるように構成された支持層を更に備え、前記支持層が、0.013ギガパスカル(「GPa」)~0.9GPaのヤング率を有する、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項9】
第1の面及び第2の面を有する緩衝層を更に備え、前記第1の面が、前記デブリドマンマニホールドに隣接して配設され、前記第2の面が、前記組織部位に面するように構成されている、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項10】
前記緩衝層が、前記デブリドマンマニホールドの第2の面に積層されている、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項11】
前記緩衝層が、前記組織部位からの内部成長に抵抗するように構成されている、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項12】
前記緩衝層が、穿孔されている、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項13】
前記緩衝層が、ポリウレタンのフィルムを含む、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項14】
前記緩衝層が、ポリエチレンのフィルムを含む、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項15】
前記緩衝層に、クエン酸が少なくとも部分的に注入されている、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項16】
前記緩衝層に、硝酸銀が少なくとも部分的に注入されている、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項17】
前記緩衝層に、鎮痛剤が少なくとも部分的に注入されている、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項18】
前記鎮痛剤が、リドカインである、請求項17に記載のドレッシング。
【請求項19】
前記鎮痛剤が、ケトプロフェンである、請求項17に記載のドレッシング。
【請求項20】
陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングであって、前記ドレッシングが、
第1の面及び第2の面を有する第1の層、及び第2のを有するデブリドマンマニホールドを備え、
前記第2のが、前記第1のに隣接して位置付けられ、
前記第1の層の前記第2の面が、前記第2の層に面するように構成されており、
前記第1の層の前記第2の面が、第1の複数の突出部を含み、
前記デブリドマンマニホールドの前記第2のが、複数の第1の領域及び複数の第2の領域を含み、前記複数の第1の領域が、前記複数の第2の領域よりも高い密度を有する、ドレッシング。
【請求項21】
前記第2の層が、第1の面及び第2の面を有し、前記第1の面が、前記第1の層の前記第2の面に面するように構成されている、請求項20に記載のドレッシング。
【請求項22】
前記複数の第1の領域及び前記複数の第2の領域が、正方形である、請求項20に記載のドレッシング。
【請求項23】
前記複数の第1の領域及び前記複数の第2の領域が、三角形である、請求項20に記載のドレッシング。
【請求項24】
前記複数の第1の領域及び前記複数の第2の領域が、波形である、請求項20に記載のドレッシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月24日に出願された米国特許仮出願第62/796,407号の出願の利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
添付の特許請求の範囲に記載される本発明は、概して、組織治療システムに関し、より具体的には、限定するものではないが、陰圧を用いる治療のためのドレッシングに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び臨床診療から、組織部位の近位における圧力を低下させることにより、その組織部位における新たな組織の成長を、増強及び加速させることができる点が示されている。この現象の用途は数多くあるが、創傷を治療するために特に有利であることが判明している。外傷であれ、手術であれ、又は別の原因であれ、創傷の病因とは関わりなく、転帰に関しては、創傷の適切なケアが重要である。創傷又は他の組織の減圧による治療は、一般に、「陰圧療法」と称され得るが、例えば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖」、及び「局所陰圧」を含む、他の名称によっても知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移行、血流の改善、及び創傷部位における組織の微小変形などを含めた、いくつもの利益をもたらすことができる。これらの利益は全体として、肉芽組織の発達を促進し、治癒時間を短縮することができる。
【0004】
陰圧療法の臨床的利益は広く知られているが、療法システム、構成要素、及びプロセスを改善することにより、ヘルスケア提供者及び患者に利益をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0005】
陰圧療法環境において組織をデブリドマンするための、新規かつ有用なシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲に記載される。特許請求された主題を当業者が製造及び使用することを可能にする、例示的な実施形態も提示されている。
【0006】
例えば、いくつかの実施形態では、陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングを説明する。ドレッシングは、第1の密度を有する複数の第1の領域、及び第1の密度よりも低い第2の密度を有する複数の第2の領域、を備える、デブリドマンマニホールドを含み得る。ドレッシングはまた、デブリドマンマニホールドの上に配設されるように構成され、デブリドマンマニホールドを越えて延在する外周を備える、カバーを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2の領域は、第1の領域に対して凹状になっている。他の実施形態では、第1の領域は、第1の材料を含み、第2の領域は、第2の材料を含む。複数の第1の領域及び複数の第2の領域は、デブリドマンマニホールドじゅうにアレイ状に交互に分布していてもよい。デブリドマンマニホールドは、発泡体、連続気泡発泡体、又は網状発泡体を含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、ドレッシングは、デブリドマンマニホールドとカバーとの間に配設されるように構成された支持層を含み得る。ドレッシングはまた、第1の面及び第2の面を有する緩衝層を含み得、第1の面は、デブリドマンマニホールドに隣接して配設され、第2の面は、組織部位に面するように構成されている。緩衝層は、デブリドマンマニホールドの第2の面に積層され得る。緩衝層は、組織部位からの内部成長に抵抗するように構成され得る。緩衝層は、穿孔されてもよく、ポリウレタン又はポリエチレンから形成され得、クエン酸、硝酸銀、又はリドカイン若しくはケトプロフェンであってもよい鎮痛剤が少なくとも部分的に注入され得る。
【0009】
より全般的には、陰圧治療のためのドレッシングを製造する方法を説明する。第1の面及び第2の面を有するマニホールドが提供され得る。第1の波パターンをマニホールドの第2の面に彫り込むことができる。マニホールドを90度回転させることができ、第2の波パターンをマニホールドの第2の面に彫り込むことができる。マニホールドは、マニホールドの少なくとも第2の面を圧縮と同時に加熱することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、マニホールドは、発泡体を含む。いくつかの実施形態では、第1の波パターン及び第2の波パターンは、方形波パターンである。他の実施形態では、第1の波パターン及び第2の波パターンは、三角波パターンである。更に他の実施形態では、第1の波パターン及び第2の波パターンは、正弦波パターンである。
【0011】
代替的に、他の例示的な実施形態は、陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングを説明し得る。ドレッシングは、第1のセクション及び第2のセクションを有するデブリドマンマニホールドを含み得、第2のセクションは、第1のセクションに隣接して位置付けられている。デブリドマンマニホールドの第2のセクションは、複数の第1の領域及び複数の第2の領域を含み得、複数の第1の領域は、複数の第2の領域よりも高い密度を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、デブリドマンマニホールドの第1のセクションは、第1の層であり、デブリドマンマニホールドの第2のセクションは、第2の層である。第1の層は、第1の面及び第2の面を有し得、第2の面は、第2の層に面するように構成され得る。第1の層の第2の面は、第1の複数の突出部を含む。第2の層は、第1の面及び第2の面を有し得、第1の面は、第1の層の第2の面に面するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の第1の領域及び複数の第2の領域は、正方形である。他の実施形態では、複数の第1の領域及び複数の第2の領域は、三角形である。更に他の実施形態では、複数の第1の領域及び複数の第2の領域は、波形である。
【0013】
特許請求される主題を製造及び使用する目的、利点、及び好ましい態様が、例示的実施形態の以下の詳細な説明と併せて添付図面を参照することによって最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書による陰圧治療を提供し得る療法システムの例示的な実施形態の機能ブロック図である。
【0015】
図2図1の療法システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る組織境界面の更なる詳細を示す平面図である。
【0016】
図3図1の療法システムのいくつかの実施形態による、例示的なベンチテスト装置内に配設された、図2の組織境界面の更なる詳細を示す平面図である。
【0017】
図4】陰圧下の図3の組織境界面のベンチテストに関連付けられ得る更なる詳細を示す底部断面図である。
【0018】
図5】陰圧下の図3の組織境界面のベンチテストに関連付けられ得る更なる詳細を示す側面図である。
【0019】
図6図1の療法システムのいくつかの実施形態による、例示的なベンチテスト装置内に配設された、図2の組織境界面に関連付けられ得る更なる詳細を示す斜視図である。
【0020】
図7図2の組織境界面及び図6の例示的なベンチテスト装置内に配設された剛性層に関連付けられ得る更なる詳細を示す斜視図である。
【0021】
図8図2の組織境界面の使用に関連付けられ得る更なる詳細を示す斜視図である。
【0022】
図9図1の療法システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る別の組織境界面の更なる詳細を示す側面図である。
【0023】
図10図9の組織境界面の更なる詳細を示す底部平面図である。
【0024】
図11】組織部位に配設された、図9の組織境界面に関連付けられ得る更なる詳細を示す断面図である。
【0025】
図12】陰圧下の組織部位に配設された、図9の組織境界面に関連付けられ得る更なる詳細を示す断面図である。
【0026】
図13図1の療法システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る別の組織境界面の更なる詳細を示す底部平面図である。
【0027】
図14図1の療法システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る別の組織境界面の更なる詳細を示す底部平面図である。
【0028】
図15図1の療法システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る組織境界面の製造プロセスに関連付けられた更なる詳細を示す底部平面図である。
【0029】
図16図15の線16-16に沿ってとられた断面図であり、図15の組織界面の製造プロセスに関連付けられた更なる詳細を示している。
【0030】
図17図15の組織境界面の製造プロセスに関連付けられた更なる詳細を示す底部平面図である。
【0031】
図18図15の組織境界面の製造プロセスに関連付けられた更なる詳細を示す底部平面図である。
【0032】
図19図18の線19-19に沿ってとられた断面図であり、図15の組織界面の製造プロセスに関連付けられた更なる詳細を示している。
【0033】
図20図15の組織境界面の製造プロセスに関連付けられた更なる詳細を示す底部平面図である。
【0034】
図21図20の線21-21に沿ってとられた断面図であり、図15の組織界面の製造プロセスに関連付けられた更なる詳細を示している。
【0035】
図22図1の療法システムのいくつかの実施形態と共に使用され得る、組織境界面の別の実施形態に関連付けられた更なる詳細を示す斜視組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示的実施形態の以下の説明は、添付の特許請求の範囲に記載されている主題を当業者が作製及び使用することを可能にする情報を提供するものであるが、当該技術分野において既に周知の特定の詳細を省略している場合がある。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定ではなく例示として解釈されるべきである。
【0037】
例示的な実施形態はまた、添付の図面に示される様々な要素間の空間的関係又は様々な要素間の空間的方位(orientation)を参照して本明細書に記載され得る。一般に、そのような関係又は方位は、治療を受ける位置にある患者と整合する又はその患者に対する基準系を想定している。しかしながら、当業者には認識されるはずであるように、この基準系は厳密な規定というよりは、むしろ単に説明上の便宜的なものである。
【0038】
用語「組織部位」とは、この文脈では、限定するものではないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、若しくは靭帯を含めた、組織上又は組織内部に位置する、創傷、欠損、又は他の治療標的を広範に指す。創傷は、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、及び裂開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、又は静脈不全潰瘍など)、弁状創、及び移植組織を含み得る。用語「組織部位」はまた、必ずしも傷ついた又は欠損した領域ではなく、代わりに、追加的な組織の成長を追加又は促進することが望ましい場合がある任意の組織の領域を指し得る。例えば、採取して移植することが可能な追加的組織を成長させるために、組織部位に陰圧を印加することができる。
【0039】
図1は、本明細書による、組織部位に陰圧療法を提供し得る療法システム100の例示的な実施形態の簡略化された機能ブロック図である。療法システム100は、陰圧源102などの、陰圧の発生源又は供給部と、1つ以上の分配構成要素とを含み得る。分配構成要素は、好ましくは着脱可能であり、使い捨て可能、再使用可能、又はリサイクル可能とすることもできる。ドレッシング104などのドレッシング、及び、容器106などの流体容器は、療法システム100のいくつかの実施例に関連付けられ得る分配構成要素の例である。図1の実施例に示されるように、ドレッシング104は、組織境界面108、カバー110、又はいくつかの実施形態では両方を含み得るか、若しくはそれらから本質的に成り得る。
【0040】
流体導管は、分配構成要素の別の例示的な実施例である。「流体導管」とは、この文脈では、2つの端部間で流体を搬送するように適合されている、1つ以上の管腔又は開放経路を有する、チューブ、パイプ、ホース、導管、若しくは他の構造体を広範に含む。典型的には、チューブは、ある程度の可撓性を有する細長い円筒状の構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は多様であり得る。更に、いくつかの流体導管は、他の構成要素の中へ成形されてもよく、そうでなければ他の構成要素と一体的に組み合わされてもよい。分配構成要素はまた、他の構成要素の結合及び分離を促進するために、インターフェース又は流体ポートを含むか、又は備えてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ドレッシングインターフェースは、流体導管をドレッシング104に結合することを容易にしてもよい。例えば、そのようなドレッシングインターフェースは、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から入手可能な、SENSAT.R.A.C(商標)Padとすることができる。
【0041】
療法システム100はまた、コントローラ112などの、レギュレータ又はコントローラを含み得る。更に、療法システム100は、動作パラメータを測定し、動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ112に提供する、センサを含んでもよい。例えば、図1に示されるように、療法システム100は、コントローラ112に結合されている、第1のセンサ114及び第2のセンサ116を含み得る。
【0042】
療法システム100のいくつかの構成要素は、センサ、処理ユニット、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示デバイス、又は療法を更に促進するユーザインターフェース、などの他の構成要素内に収容されるか、又はそれらと併せて使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、陰圧源102を、コントローラ112及び他の構成要素と共に、療法ユニット内に組み込むことができる。
【0043】
一般に、療法システム100の構成要素は、直接又は間接的に結合させることができる。例えば、陰圧源102を、容器106に直接結合することができ、容器106を介して、ドレッシング104に間接的に結合することもできる。結合としては、流体、機械的、熱的、電気的、若しくは化学的結合(化学結合など)、又は、文脈によっては、結合のいくつかの組み合わせを挙げることができる。例えば、陰圧源102は、コントローラ112に電気的に結合させることができ、組織部位への流体経路を提供するために、1つ以上の分配構成要素に流体結合させることができる。いくつかの実施形態では、構成要素はまた、物理的近接性によって結合されてもよく、単一構造に一体化されてもよく、又は同じ材料片から形成されてもよい。
【0044】
陰圧源102などの陰圧供給部は、陰圧の空気のリザーバであり得、あるいは、例えば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くのヘルスケア施設で利用可能な壁面吸引ポート、又はマイクロポンプなどの、手動若しくは電動のデバイスであり得る。「陰圧」とは、一般に、封止治療環境の外部の局所的環境における周囲圧力などの局所的周囲圧力よりも低い圧力を指す。多くの場合、局所的周囲圧力はまた、組織部位が位置している大気圧でもあり得る。あるいは、この圧力は、組織部位における、組織に関連する静水圧よりも、低い場合もある。別途指示のない限り、本明細書で記述される圧力の値は、ゲージ圧である。陰圧の増加とは、典型的には、絶対圧力の減少を指すのに対して、陰圧の減少は、典型的には、絶対圧力の増加を指す。陰圧源102によって提供される陰圧の量及び性質は、療法要件に応じて変化し得るが、圧力は概して、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の、一般に粗い真空(rough vacuum)とも称される、低真空(low vacuum)である。一般的な治療範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0045】
容器106は、組織部位から引き出された滲出液及び他の流体を処理するために使用することができる、容器、キャニスタ、パウチ、又は他の貯留構成要素を表している。多くの環境では、流体の収集、貯留、及び廃棄のためには、剛性の容器が好ましいか若しくは必要とされる場合がある。他の環境では、流体は、剛性の容器に貯留されることなく、適切に廃棄される場合もあり、再使用可能な容器により、陰圧療法に関連する廃棄物及びコストを削減することも可能である。
【0046】
コントローラ112などのコントローラは、陰圧源102などの、療法システム100の1つ以上の構成要素を動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ112は、療法システム100の1つ以上の動作パラメータを直接的若しくは間接的に制御するようにプログラムされたプロセッサコア及びメモリを含む集積回路を一般に備えるマイクロコントローラであり得る。動作パラメータとしては、例えば、陰圧源102に適用される電力、陰圧源102によって発生する圧力、又は組織境界面108に分配される圧力を挙げることができる。コントローラ112はまた、好ましくは、フィードバック信号などの1つ以上の入力信号を受信するように構成されており、それらの入力信号に基づいて1つ以上の動作パラメータを修正するようにプログラムされている。
【0047】
第1のセンサ114及び第2のセンサ116などのセンサは、一般に、物理的現象又は特性を検出又は測定するように動作可能な任意の装置として当該技術分野において既知であり、一般に、検出又は測定された現象又は特性を示す信号を提供する。例えば、第1のセンサ114及び第2のセンサ116は、療法システム100の1つ以上の動作パラメータを測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1のセンサ114は、空気経路内の圧力を測定し、測定された圧力を示す信号に測定値を変換するように構成された変換器であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のセンサ114は、ピエゾ抵抗型歪みゲージであり得る。第2のセンサ116は、いくつかの実施形態では、電圧又は電流などの、陰圧源102の動作パラメータを、任意選択的に測定することができる。好ましくは、第1のセンサ114及び第2のセンサ116からの信号は、コントローラ112への入力信号として好適であるが、いくつかの実施形態では、ある信号調整が適切であってもよい。例えば、信号は、コントローラ112によって処理され得る前に、フィルタ処理又は増幅される必要があり得る。典型的には、信号は電気信号であるが、光信号又は空気信号などの他の形態で表されてもよい。
【0048】
組織境界面108は、概して、組織部位に部分的又は完全に接触するように適合され得る。組織境界面108は、多くの形態を取り得、実施されている治療のタイプ、あるいは組織部位の性質及びサイズなどの、様々な要因に応じて、多くのサイズ、形状、又は厚さを有し得る。例えば、組織境界面108のサイズ及び形状は、深く不規則な形状の組織部位の、輪郭に適合され得る。組織境界面108の表面のうちのいずれか又は全ては、凹凸のプロファイル、粗いプロファイル、又はギザギザのプロファイルを有し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、組織境界面108は、マニホールドを含み得るか、又はマニホールドから本質的に成り得る。この文脈におけるマニホールドは、圧力下で組織境界面108にわたって流体を収集又は分配するための手段を含み得るか、又はそのような手段から本質的に成り得る。例えば、マニホールドは、供給源から陰圧を受け取り、複数の開口を介して組織境界面108にわたって陰圧を分配するように適合させることができ、このことは、組織部位にわたって流体を収集して、供給源に向けて流体を引き込む効果を有し得る。いくつかの実施形態では、組織部位にわたって流体を送達することを円滑にするために、流体経路が逆転されてもよく、又は2次流体経路が提供されてもよい。
【0050】
一部の例示的実施形態では、マニホールドは、流体の分配又は収集を改善するために相互接続することが可能な、複数の経路を含み得る。一部の例示的実施形態では、マニホールドは、相互接続された流体経路を有する多孔質材料を含み得るか、又はそのような多孔質材料から本質的に成るものとすることができる。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることが可能な好適な多孔質材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含めた、気泡発泡体;多孔質組織集合体;並びに、細孔、縁部、及び/又は壁部を一般に含む、ガーゼ若しくはフェルトマットなどの、他の多孔質材料を挙げることができる。液体、ゲル、及び他の発泡体もまた、開口及び流体経路を含み得るか、又は含むように硬化させることもできる。いくつかの実施形態では、マニホールドは、追加的又は代替的に、相互接続された流体経路を形成する突起を備えてもよい。例えば、マニホールドは、相互接続された流体経路を画定する表面突起を設けるように、成形することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、組織境界面108は、処方される療法の必要性に応じて変化し得る、孔径及び自由容積を有する、網状発泡体を含み得るか、又はそのような網状発泡体から本質的に成り得る。例えば、少なくとも90%の自由容積を有する網状発泡体は、多くの療法用途に関して好適であり得るものであり、400~600ミクロンの範囲の平均孔径(1インチ当たり40~50個の細孔)を有する発泡体は、一部のタイプの療法に関して特に好適であり得る。組織境界面108の引張強度も、処方される療法の必要に応じて変化し得る。組織境界面108の25%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.35ポンド毎平方インチであり得、65%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.43ポンド毎平方インチであり得る。いくつかの実施形態では、組織境界面108の引張強度は、少なくとも10ポンド毎平方インチであり得る。組織境界面108は、少なくとも2.5ポンド毎平方インチの引裂強度を有し得る。いくつかの実施形態では、組織境界面108は、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオールと、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネートと、アミン及びスズ化合物などの重合調整剤とから構成されている、発泡体であり得る。いくつかの実施例では、組織界面108は、両方ともKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシングに見られるような、網状ポリウレタン発泡体であってもよい。
【0052】
組織境界面108の厚さも、処方される療法の必要に応じて変化し得る。例えば、組織境界面108の厚さは、周辺組織に対する張力を低減するために減少され得る。組織境界面108の厚さはまた、組織境界面108の適合性に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、約5ミリメートル~10ミリメートルの範囲の厚さが好適であり得る。
【0053】
組織境界面108は、疎水性又は親水性のいずれかであり得る。組織境界面108が親水性であり得る実施例では、組織境界面108はまた、組織部位に陰圧を分配し続けている間に、組織部位から流体を吸い上げて逃がすこともできる。組織境界面108の吸い上げ特性は、毛細管流動機序又は他の吸い上げ機序によって、組織部位から流体を引き寄せて逃がし得る。好適であり得る親水性材料の一例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM(商標)ドレッシングなどのポリビニルアルコール連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体としては、ポリエーテルから作製されたものを挙げることができる。親水性特性を呈し得る他の発泡体としては、親水性を付与するように処理又はコーティングされている、疎水性発泡体が挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、組織境界面108は、生体再吸収性材料から構築することができる。好適な生体再吸収性材料としては、限定するものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを挙げることができる。ポリマーブレンドはまた、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプロラクトンも含み得る。組織境界面108は更に、新たな細胞増殖のためのスキャフォールドとして機能し得、又は、組織境界面108とスキャフォールド材料を併用して、細胞増殖を促進することができる。スキャフォールドとは一般に、細胞増殖のためのテンプレートを提供する3次元多孔質構造体などの、細胞の増殖又は組織の形成を強化若しくは促進するために使用される、物質又は構造体である。スキャフォールド材料の実例としては、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラル(coral)ヒドロキシアパタイト、炭酸塩、又は、加工処理された同種移植片材料が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、カバー110は、細菌に対する障壁、及び物理的外傷からの保護を提供し得る。カバー110はまた、蒸発損失を低減させ、2つの構成要素間、又は、治療環境と局所的外部環境との間などの2つの環境間に流体密閉を提供することができる材料から、構築することもできる。カバー110は、例えば、所与の陰圧源に関して、組織部位における陰圧を維持するために適切な密閉を提供することができる、エラストマーのフィルム若しくは膜を含み得るか、又はそのようなフィルム若しくは膜から成り得る。カバー110は、いくつかの用途において、高い水蒸気透過率(moisture-vapor transmission rate、MVTR)を有してもよい。例えば、MVTRは、一部の実施形態では、38℃及び相対湿度(RH)10%において、ASTM E96/E96MのUpright Cup Methodによる直立カップ技術を使用して測定された、24時間当たり少なくとも250グラム毎平方メートルであり得る。一部の実施形態では、24時間当たり最大5,000グラム毎平方メートルのMVTRが、有効な通気性及び機械的特性をもたらし得る。
【0056】
いくつかの例示的な実施形態では、カバー110は、水蒸気に対して透過性であるが液体に対しては不透過性である、ポリウレタンフィルムなどのポリマードレープであり得る。かかるドレープは、典型的には、25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料に関しては、透過性は一般に、所望の陰圧を維持することが可能であるように、十分に低くするべきである。カバー110は、例えば、以下の材料のうちの1つ以上を含み得る:親水性ポリウレタンなどのポリウレタン(polyurethane、PU)、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマーなどのシリコーン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、コポリエステル、及びポリエーテルブロックポリイミドコポリマー。そのような材料は、例えば、3M Company(Minneapolis Minnesota)から市販のTegaderm(登録商標)ドレープ;Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から市販のポリウレタン(PU)ドレープ;例えばArkema S.A.(Colombes、France)製の、ポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(polyether block polyamide copolyme、PEBAX);並びに、Coveris Advanced Coatings(Wrexham、United Kingdom)から市販のInspire2301及びInspire2327ポリウレタンフィルムとして、市販されている。いくつかの実施形態では、カバー110は、2600g/m/24時間のMVTR(直立カップ技術)及び約30ミクロンの厚さを有する、INSPIRE2301を含み得る。
【0057】
取付デバイスを使用して、カバー110を、無傷の表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの取付表面に取り付けることができる。取付デバイスは、多くの形態を取り得る。例えば、取付デバイスは、組織部位の周囲の表皮にカバー110を接合するように構成されている、医学的に許容可能な感圧接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、カバー110の一部又は全てを、約25~65グラム毎平方メートル(g.s.m.)のコーティング重量を有し得る、アクリル接着剤などの接着剤でコーティングすることができる。一部の実施形態では、封止を改善して漏れを低減するために、より厚い接着剤、又は接着剤の組み合わせを適用することができる。取付デバイスの他の例示的な実施形態としては、両面テープ、糊、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、又はオルガノゲルを挙げることができる。
【0058】
操作時に、組織部位内に、組織部位の上に、組織部位上に、又は他の方式で組織部位の近位に、組織境界面108を配置することができる。例えば、組織部位が創傷である場合には、組織境界面108は、部分的若しくは完全に創傷を塞ぐことができ、又は、創傷の上に配置することができる。カバー110を組織境界面108の上に配置して、組織部位の近傍の取付表面に密閉することができる。例えば、カバー110は、組織部位の周辺の無傷の表皮に密閉することができる。それゆえ、ドレッシング104は、実質的に外部環境から隔離された、組織部位に近位の密閉治療環境を提供することができ、陰圧源102は、密閉治療環境における圧力を低下させることができる。
【0059】
密閉治療環境内などの、別の構成要素又は場所における圧力を低下させるために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑となる恐れがある。しかしながら、陰圧療法に適用可能な流体力学の基本原理は、当業者には一般に周知であり、圧力を低下させるプロセスは、例えば、本明細書では例示的に、陰圧を「送達する」、「分配する」、又は「発生させる」として説明することができる。
【0060】
一般に、滲出液及び他の流体は、流体経路に沿って低圧に向かって流れる。したがって、「下流」という用語は、典型的には、陰圧源に比較的より近い、又は陽圧源からより遠く離れている流体経路内の位置を意味する。逆に、「上流」という用語は、陰圧源から比較的より遠く離れているか、又は陽圧源により近い位置を意味する。同様に、かかる基準系における流体の「入口」又は「出口」の観点から特定の特徴を説明することが便利であり得る。この向きは、一般に、本明細書における様々な特徴及び構成要素を説明する目的のために想定される。しかしながら、流体経路はまた、一部の用途では、陰圧源を陽圧源に置き換えることなどによって逆転させることもでき、この説明上の規定は、限定的な規定として解釈されるべきではない。
【0061】
密閉治療環境において、組織境界面108を介して組織部位にわたって印加される陰圧は、組織部位における巨大歪み及び微小歪みを誘発することができる。陰圧はまた、組織部位から滲出液及び他の流体を除去することもでき、それらを容器106内に収集することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、コントローラ112は、第1のセンサ114などの1つ以上のセンサから、データを受信及び処理することができる。コントローラ112はまた、組織境界面108に送達される圧力を管理するために、療法システム100の1つ以上の構成要素の動作を制御することもできる。いくつかの実施形態では、コントローラ112は、所望の標的圧力を受信するための入力を含み得るものであり、組織境界面108に印加されることになる標的圧力の設定及び入力に関するデータを処理するように、プログラムすることができる。いくつかの例示的な実施形態では、標的圧力は、組織部位における療法に関して所望される標的陰圧として操作者によって設定され、次いで、コントローラ112に入力として提供される、固定圧力値であり得る。標的圧力は、組織部位を形成している組織のタイプ、(存在する場合には)負傷又は創傷のタイプ、患者の病状、及び主治医の選好に基づいて、組織部位ごとに変化し得る。所望の標的圧力を選択した後、コントローラ112は、その標的圧力に基づいて、陰圧源102を1つ以上の制御モードで動作させることができ、組織境界面108における標的圧力を維持するために、1つ以上のセンサからフィードバックを受信することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、コントローラ112は、陰圧源102が、治療の持続時間にわたって、又は手動で作動停止されるまで、一定の標的陰圧を提供するように動作される、連続圧力モードを有し得る。更には、又は代替的に、コントローラは、間欠圧力モードを有し得る。例えば、コントローラ112は、標的圧力と大気圧との間で循環するように、陰圧源102を動作させることができる。例えば、標的圧力は、指定の期間(例えば、5分)にわたって、135mmHgの値に設定することができ、その後、指定の期間(例えば、2分)の作動停止が続く。この循環過程は、陰圧源102を作動させることによって繰り返すことができ、このことにより、標的圧力と大気圧との間での方形波のパターンを形成することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ112は、動的圧力モードにおいて、可変標的圧力を制御又は決定することができ、この可変標的圧力は、所望の陰圧の範囲として、操作者によって規定された入力として設定することができる、最大圧力値と最小圧力値との間で変化し得る。可変標的圧力はまた、コントローラ112によって処理及び制御することもでき、コントローラは、三角波形、正弦波形、又は鋸歯状波形などの所定の波形に従って、標的圧力を変化させることができる。一部の実施形態では、波形は、療法に関して所望される所定の陰圧又は時変陰圧として、操作者によって設定することができる。
【0064】
一部の組織部位は、通常の医療プロトコルに従って治癒しない場合があり、壊死組織の面積を広げる場合がある。壊死組織は、感染、毒、又は外傷の結果もたらされる死組織である場合があり、これは、死組織の除去を調節する通常の身体プロセスによって組織が除去され得るよりも速く組織を死滅させる。時には、壊死組織は、組織の粘稠液体の塊を含み得るスラフの形態であり得る。一般に、スラフは、組織における炎症反応を刺激する細菌感染及び真菌感染によって生じる。スラフは、クリーム色がかった黄色である場合があり、膿と称される場合もある。痂皮は、乾燥して硬化した壊死組織の一部分であり得る。痂皮は、火傷、壊疽、潰瘍、真菌感染、クモの咬傷、又は炭疸の結果であり得る。外科用切除器具を使用することなく、痂皮を移動させることは困難であり得る。壊死組織はまた、粘度のある滲出液及びフィブリン性のスラフを含み得る。
【0065】
組織部位が壊死組織を発達させた場合、組織部位は、デブリドマンと呼ばれるプロセスで治療され得る。デブリドマンは、組織部位からの、粘度のある滲出液、フィブリン性のスラフ、又は痂皮などの、死んだ材料、損傷した材料、又は感染した材料の除去を含み得る。いくつかのデブリドマン治療では、機械的プロセスを使用して壊死組織を除去する。機械的プロセスは、組織部位から壊死組織を切除するための鋭い刃を有するメス又は他の切除ツールの使用を含み得る。典型的に、組織部位を創傷清拭する機械的プロセスは、疼痛を伴う場合があり、局所麻酔剤の適用を必要とし得る。いくつかの機械的プロセスは、ドーム又は隆起した小結節を作り出す場合があり、これらの一部は、組織部位に面皰の外観を有することがある。例えば、ドームは隆起しており、頂部表面上に残渣の黄色がかった白っぽい色のスラフ状の材料(sloughy material)を有する場合がある。これらのドームは見苦しく、患者に潜在的な苦痛を引き起こす可能性がある。ドームはまた、スラフ及び痂皮を除去した後の皮膚移植組織の統合に干渉し得る。
【0066】
デブリドマンはまた、自己分解プロセスによって実施され得る。自己分解プロセスは、壊死組織を軟化して液化するために、組織部位によって生成される酵素及び水分の使用を伴い得る。典型的に、組織部位によって生成された流体が定位置に留まり、壊死組織に水分を与え得るように、壊死組織を有する組織部位の上にドレッシングを配置することができる。自己分解プロセスは、疼痛をなくすことができるが、緩慢であり、多くの日数を要する可能性がある。自己分解プロセスは、緩慢であるため、ドレッシングの何回もの交換を伴う場合もある。いくつかの自己分解プロセスは、壊死組織に水分が与えられるときに組織部位に供給される陰圧が、除去された壊死組織を引き抜き得るように、陰圧療法と対にされ得る。場合によっては、組織部位に位置付けられて、組織部位にわたって陰圧を分配するマニホールドが、自己分解プロセスによって分解された壊死組織によってブロックされ又は詰まってしまうことがある。マニホールドが詰まった場合、陰圧が、壊死組織を引き抜くことができなくなることがあり、自己分解プロセスが減速又は停止する可能性がある。
【0067】
デブリドマンはまた、酵素又は他の薬剤を組織部位に添加することによって実施され得る。酵素は、組織を消化することができる。多くの場合、酵素の配置、及び酵素が組織部位と接触している時間の長さを厳密に制御し続けなければならない。酵素が必要以上に長く組織部位に残された場合、酵素は、組織を過度に除去し、組織部位を汚染し、又は患者の他の領域に運ばれることがある。患者の他の領域に運ばれると、酵素は、無傷の組織を分解し、他の合併症を引き起こす場合がある。
【0068】
これらの制限及びその他は、陰圧療法、滴下療法、及びデブリドマンを提供し得る療法システム100によって対処され得る。例えば、療法システム100のいくつかの実施形態では、陰圧源は、組織部位に流体的に結合されて、陰圧療法のための陰圧を組織部位に提供し得る。いくつかの実施形態では、流体源が、組織部位に流体的に結合されて、滴下療法のための治療流体を組織部位に提供し得る。いくつかの実施形態では、療法システム100は、組織部位に隣接して位置付けられるデブリドマンツールを含み得る。療法システム100のいくつかの実施形態では、組織境界面108は、デブリドマンツールであり得る。デブリドマンツールを陰圧療法及び滴下療法と共に使用して、壊死組織を有する組織部位の面積をデブリドマンすることができる。デブリドマンツールは、スラフの除去を改善し、組織部位の創傷床変形を増加させ、見苦しいドームを排除し、並びに皮膚移植組織の統合及び保持のためのより滑らかな表面を提供することができ、これにより、より滑らかな治癒された組織表面を提供することができる。いくつかの実施形態では、デブリドマンツールを、単一の層に適用し、組織部位を覆うために必要な材料の総量を低減し、カバーとの接触から組織部位を保護することもできる。
【0069】
図2は、図1の療法システム100と共に使用され得るデブリドマンツール120の例示的な実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す平面図である。デブリドマンツール120又はデブリドマンマニホールドは、組織境界面108の一例であってもよい。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール120は、可変密度を有し得る。例えば、デブリドマンツール120は、複数の第1の部分122及び複数の第2の部分124を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の部分122は、第1の密度を有し得、第2の部分124は、第2の密度を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の密度は、第1の密度よりも高い。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール120は、V.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングと同様の発泡体から形成され得る。第1の部分122は、第1の密度を有するV.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングであってもよく、第2の部分124は、第2の密度を有するV.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の密度は、第1の密度より約3倍~約5倍高い場合がある。例えば、第1の部分122は、非圧縮発泡体であってもよく、第2の部分124は、約5の硬度係数を有する圧縮発泡体であってもよい。
【0070】
圧縮発泡体は、周囲圧力での発泡体の密度を増加させるように機械的又は化学的に圧縮された発泡体である。圧縮発泡体は、圧縮状態での発泡体の密度と、非圧縮状態での同じ発泡体の密度との比として定義される硬度係数(FF;firmness factor)によって特徴付けられ得る。例えば、5の硬度係数(FF)は、非圧縮状態での同じ発泡体の密度よりも5倍大きい密度を有する圧縮発泡体を指し得る。発泡体を機械的又は化学的に圧縮することにより、圧縮されていない同じ発泡体と比べて、周囲圧力での発泡体の厚さを減少させ得る。機械的又は化学的な圧縮によって発泡体の厚さを減少させることにより、発泡体の密度を高め得、これにより、発泡体の硬度係数(FF)を増加させ得る。発泡体の硬度係数(FF)を増加させることにより、発泡体の厚さと平行な方向での発泡体の剛性を高め得る。例えば、デブリドマンツール120の硬度係数(FF)を増加させることにより、デブリドマンツール120の厚さと平行な方向においてデブリドマンツール120の硬さを増加させることができる。いくつかの実施形態では、圧縮発泡体は、圧縮されたV.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングであってもよい。V.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングは、その非圧縮状態において約0.03グラム/センチメートル(g/cm)の密度を有し得る。V.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングが、5の硬度係数(FF)を有するように圧縮される場合、V.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングは、V.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングの密度が約0.15g/cmになるまで圧縮され得る。V.A.C.VERAFLO(商標)発泡体を圧縮して、最大5の硬度係数(FF)を有する圧縮発泡体を形成することもできる。圧縮発泡体を形成するために使用される発泡材料は、疎水性又は親水性のいずれかであり得る。発泡体材料の孔径は、デブリドマンツール120の必要性、並びに第1の部分122及び第2の部分124の圧縮量に従って変化し得る。例えば、非圧縮発泡体から形成された第1の部分122は、約400ミクロン~約600ミクロンの範囲の孔径を有し得る。第2の部分124が圧縮発泡体から形成されている場合、圧縮後の孔径は、400ミクロンより小さくてもよい。
【0071】
圧縮発泡体は、フェルト発泡体と称される場合もある。圧縮発泡体と同様に、フェルト発泡体は、発泡体を恒久的に圧縮して発泡体の密度を高める熱成形プロセスを受ける。フェルト発泡体はまた、フェルト発泡体の硬度係数を他の圧縮発泡体又は非圧縮発泡体の硬度係数と比較することにより、他のフェルト発泡体又は圧縮発泡体と比較され得る。一般に、圧縮発泡体又はフェルト発泡体は、1を超える硬度係数を有し得る。
【0072】
一般に、圧縮発泡体が陰圧を受けた場合、圧縮発泡体は、同様の非圧縮発泡体よりも小さな変形を呈する。第2の部分124が圧縮発泡体で形成されている場合、第2の部分124の厚さは、同等の非圧縮発泡体で形成された第1の部分122よりも小さく変形し得る。変形の減少は、硬度係数(FF)によって反映される剛性の増加によって引き起こされ得る。陰圧の応力を受けた場合、圧縮発泡体で形成された第2の部分124は、非圧縮発泡体から形成された第1の部分122よりも少なく平坦化され得る。第1の部分122及び第2の部分124の圧縮の程度は、フェルト化の程度に反比例する場合がある。例えば、2の硬度係数を有する10mmの厚さの発泡体片は、1の硬度係数を有する10mmの厚さの発泡体片の半分に圧縮される。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール120は、約8mmの厚さを有し得、デブリドマンツール120が密閉治療空間内に位置付けられ、約-125mmHgの陰圧に供された場合、デブリドマンツール120を圧縮することができる。第2の部分124は、第1の部分122よりも小さく圧縮することができる。陰圧下では、第2の部分124は、約6mmの厚さを有し得、第1の部分122は、約3mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の部分122は、第2の部分124よりも圧縮可能であってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、デブリドマンツール120は、発泡体のブロックから形成され得る。6つの面を有する発泡体の非圧縮ブロックを提供することができる。複数のチャネルが、ブロックの第1の表面に形成され得る。例えば、第1の表面を彫り込んでチャネルを形成することができる。彫り込みは、レーザ彫り込み、コンピュータ数値制御(computer numerical control、「CNC」)ホットワイヤ彫り込みを用いて彫り込むことと、材料を切り取るように構成されたプレートの穴を通して発泡体ブロックを押すことと、次いで、発泡体を切り取ることと、を含み得る。彫り込みはまた、エッグクレート状にする、例えば、様々な深さで発泡体を同時に彫り込むように動作可能な特別に設計されたバンド鋸を用いて発泡体を彫り込むこと、を含み得る。いくつかの実施形態では、チャネルを、ブロックの第2の表面内に形成することもできる。例えば、第2の表面は、第1の表面からブロックの反対側の面上にあってもよい。第2の表面のチャネルは、第1の表面のチャネルと整列され得る。チャネルは、平行であってもよく、各チャネルは、ブロックの長さ又は幅に延びていてもよく、第1の部分122の幅と実質的に等しい幅又は長さを有し得る。いくつかの実施形態では、チャネルは、正方形又は矩形の形状を有する。チャネルの形成により、発泡体のブロックの第1の表面から延在する一連の平行な壁を作り出す。第1の表面と直角を成す面から見て、第1の表面は、方形波形状と同様の起伏のあるトポグラフィを有し得る。他の実施形態では、チャネルは、円形、三角形、又はアモルファス形状を有するように形成され、正弦波、鋸歯(三角形)波、又はアモルファス波のプロファイルをそれぞれ作り出すことができる。
【0074】
チャネルの形成に続いて、ブロックを圧縮又はフェルト化することができる。例えば、第1の表面及び第2の表面は、ブロックを加熱するように設計された2つのプレートの間に位置付けられ得る。特定の発泡体に対して最適な温度まで加熱した後、プレートは発泡体を圧縮することができる。プレートは、発泡体が周囲温度に冷却されるまで圧縮状態で発泡体を保持し、圧縮状態の厚さを保つ。いくつかの実施形態では、ブロックを、ブロックが実質的に均一な厚さを有するまでフェルト化又は圧縮し、実質的に均一な厚さを有するデブリドマンツール120を形成することができる。発泡体のブロックをフェルト化して実質的に均一な厚さを有することは、壁が隣接するチャネルよりも高い密度を有するように、壁を圧縮する。フェルト化後、チャネルは第1の部分122を含み、圧縮された壁は第2の部分124を含む。フェルト化プロセスは、より多くの材料が、第1の部分122と比較して、第2の部分124でフェルト化プロセスによって作り出された新しい体積に圧縮されるにつれて、異なる密度を有する第1の部分122及び第2の部分124を作り出す。他の実施形態では、デブリドマンツール120は、第1の部分122と第2の部分124との間にわずかな厚さの変動を有し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、2つ以上のデブリドマンツール120を、単一のデバイスとして使用するために組み立てることができる。例えば、第1のデブリドマンツール120は、第1のデブリドマンツール120の第1の部分122及び第2の部分124が第2のデブリドマンツール120の第1の部分122及び第2の部分124と直角を成すように、第2のデブリドマンツール120の上に位置付けられ得る。第1のデブリドマンツール120は、第2のデブリドマンツール120に結合され得る。例えば、第1のデブリドマンツール120及び第2のデブリドマンツール120は、一緒に炎積層、接着、ホットメルト、又は更にフェルト化され得る。
【0076】
図3は、ベンチテストプロセス中の、例示的な組織部位126に配設されたデブリドマンツール120の動作の更なる詳細を示す平面図である。組織部位126は、Dermasolの高弾性熱可塑性エラストマーから成形されたテスト組織部位であってもよい。デブリドマンツール120は、組織部位126内に位置付け、カバー110で覆うことができる。カバー110を、組織部位126を取り囲む組織である創傷周囲組織に密閉して、デブリドマンツール120を含む密閉治療環境を形成することができる。デブリドマンツール120の上のカバー110に穴を形成することができ、ドレッシングインターフェース128を、カバー110の穴の上に位置付け、その周りに密閉することができる。管130は、ドレッシングインターフェース128を陰圧源102(図示せず)に結合することができる。陰圧源102は、デブリドマンツール120を通して組織部位126から流体を引き込むように動作して、密閉治療環境内に陰圧を発生させることができる。
【0077】
図4は、ベンチテストプロセスの陰圧療法中の、例示的な組織部位126に配設されたデブリドマンツール120の更なる詳細を示す底部斜視図である。図4は、密閉治療環境内の圧力が約125mmHgの陰圧となり得る時間を示し得る。いくつかの実施形態では、第1の部分122は、非圧縮発泡体であってもよく、第2の部分124は、5の硬度係数を有するフェルト化された発泡体であってもよい。例えば、第2の部分124は、合計10mmの厚さに圧縮された発泡体の50mmの層と同等であってもよい。陰圧の印加に応答して、第1の部分122は、第2の部分124よりも多く圧縮され得る。陰圧下では、第1の部分122と第2の部分124との間の密度の差により、デブリドマンツール120の反対側の表面を交流波形形状、例えば、正弦波形状に形成することができる。表面は、第2の部分124の中心付近のクレストと、第1の部分122の中心付近のトラフと、を有し得る。表面は、表面がより密度が高い第2の部分124から密度が低い第1の部分122へと遷移する際に、クレストとトラフとの間で遷移する。いくつかの実施形態では、陰圧療法中の第1の部分122の厚さは、密閉治療環境内の圧力がほぼ周囲圧力である場合の第1の部分122の厚さよりも小さくなり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2の部分124は、第1の部分122よりも2mm~10mm厚くてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、密閉治療環境内の陰圧は、組織部位126内に集中した応力を発生させ得る。例えば、デブリドマンツール120の表面に発達した正弦波パターンにより、デブリドマンツール120の表面に隣接する組織を同様の正弦波パターンに変形させることができる。第1の部分122に隣接する組織の面積は、第2の部分124に隣接する組織の面積よりも大きく変形し、各波のクレストとトラフとの間で遷移する、組織内に集中した応力を形成し得る。集中した応力は、組織部位126を変形させる組織部位126のマクロ変形を引き起こし得る。
【0079】
図5は、デブリドマンツール120の側面図であり、例示的な組織部位126の一部分が断面で示される。例示の実施形態では、デブリドマンツール120は、およそ125mmHgの陰圧下にある。組織部位126の表面は、デブリドマンツール120の変形の形状に対応する形状を有し得る。例えば、デブリドマンツール120は、組織部位126の表面に変形部123を作り出す場合がある。変形部123は、組織部位126の表面からの高さ125を有し得る。組織部位126の表面からの変形部123の高さ125は、部分的には、第1の部分122と第2の部分124との間の密度の差、密閉治療環境内の陰圧のレベル、並びに第1の部分122及び第2の部分124の相対面積に依存し得る。
【0080】
周囲組織の上の変形部123の高さ125は、組織部位126の破壊を最大化するように選択され得る。概して、密閉治療環境内の圧力は、上に圧力が印加される面積に比例する力を及ぼし得る。第1の部分122では、圧力の印加に対する抵抗が第2の部分124内のものよりも小さいので、力が集中し得る。第1の部分122での圧力によって発生した力に応答して、組織部位126は、圧力によって印加された力が組織部位126及びデブリドマンツール120の反力によって均等化されるまで、第1の部分122に引き込まれ、変形部123を作り出し得る。密閉治療環境内の陰圧が引裂を引き起こし得るいくつかの実施形態では、第1の部分122及び第2の部分124の相対硬度係数は、周囲組織の上の変形部123の高さを制限するように選択され得る。第1の部分122及び第2の部分124の硬度係数を制御することにより、組織部位126の周囲材料の上の変形部123の高さ125を制御することができる。いくつかの実施形態では、変形部123の高さ125は、第1の部分122の硬度係数が第2の部分124の硬度係数に対して減少するにつれて、ゼロから数ミリメートルまで変化し得る。例示的な実施形態では、第2の部分124は、約8mmの厚さを有し得る。第2の部分124の厚さは、陰圧下で約7mmであってもよい。陰圧の印加中、第1の部分122の厚さを、約4mm~約5mmとして、変形部123の高さ125を約2mm~約3mmに制限することができる。別の例示的な実施形態では、密閉治療環境内での約-50mmHg~約-350mmHg、約-100mmHg~約-250mmHg、より具体的には、約-125mmHgの陰圧の印加により、3の硬度係数を有する第2の部分124の厚さを約8mm~約3mmに低減することができる。第1の部分122が第2の部分124に隣接している場合、変形部123の高さ125は、陰圧療法中の第2の部分124の厚さ以下、陰圧療法下での第1の部分122の厚さより小さく制限され得る。第2の部分124の硬度係数、第1の部分122の硬度係数、又はこれらの両方を制御することにより、変形部123の高さ125を制御することによって、組織部位126に対する破壊及び引裂の攻撃性を制御することができる。
【0081】
組織部位126の破壊は、第2の部分124に対する第1の部分122の異なる変形により、組織部位126に加えられる集中した力によって、少なくとも部分的に引き起こされ得る。組織部位126に加えられる力は、密閉治療環境に供給される陰圧、並びに各第1の部分122及び各第2の部分124の面積の関数であり得る。例えば、密閉治療環境に供給される陰圧が約125mmHgであり、各第1の部分122の面積が約25mmである場合、加えられる力は約0.07lbsである。各第1の部分122の面積が約64mmまで増加した場合、各第1の部分122において加えられる力は、最大6倍まで増加し得る。概して、各第1の部分122の面積と、各第1の部分122において加えられる力との関係は、線形ではなく、面積の増加に伴って指数関数的に増加し得る。いくつかの実施形態では、陰圧源102によって印加される陰圧は、急速に循環され得る。例えば、陰圧は、数秒間にわたって供給された後に数秒間にわたって排気され、密閉治療環境における陰圧の脈動を引き起こし得る。陰圧の脈動は、変形部123を脈動させ、組織部位126の更なる破壊を引き起こし得る。
【0082】
図6は、別の例示的なベンチテスト装置内に配設されたデブリドマンツール120の更なる詳細を示す斜視図である。更に、デブリドマンツール120は、例示的な組織部位126に配設され得る。組織部位126は、Dermasolの高弾性熱可塑性エラストマーから成形されたテスト組織部位であってもよい。概して、組織部位126は、デブリドマンツール120によって実質的に充填され得る。いくつかの実施形態では、第1の部分122及び第2の部分124は、組織部位に対して垂直に向き付けることができ、他の実施形態では、第1の部分122及び第2の部分124は、組織部位に対して水平に向き付けることができる。更に他の実施形態では、第1の部分122及び第2の部分124は、組織部位に対してある角度で向き付けることができる。
【0083】
図7は、図6のデブリドマンツール120のいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す斜視図である。デブリドマンツール120は、組織部位126内に位置付け、剛性層132などの支持層で覆うことができる。剛性層132は、約1mm~約5mmの厚さを有する層ポリマー材料であってもよい。剛性層132は、約0.013ギガパスカル(「gigapascal、GPa」)~約0.9GPaのヤング率を有する材料から形成され得る。剛性層132のサイズ及び形状は、ユーザによってカスタマイズ可能であり得る。いくつかの実施形態では、剛性層132は、組織部位126よりも約30%大きい場合がある。いくつかの実施形態では、剛性層132は、創傷充填剤として使用され得る。剛性層132を、創傷材料による真空ラインの詰まりを制限するためのフィルタ層として使用することもできる。デブリドマンツール120及び剛性層132は、カバー110によって覆うことができる。カバー110を、組織部位126を取り囲む組織に密閉して、デブリドマンツール120を含む密閉治療環境を形成することができる。デブリドマンツール120の上のカバー110に穴を形成することができ、ドレッシングインターフェース128を、カバー110の穴の上に位置付け、その周りに密閉することができる。管130は、ドレッシングインターフェース128を陰圧源102(図示せず)に結合することができる。陰圧源102は、デブリドマンツール120を通して組織部位126から流体を引き込むように動作することができる。
【0084】
図8は、剛性層132を追加した療法システム100の動作から生成された組織変形の詳細を示す、組織部位126の斜視図である。例示的な実施形態では、デブリドマンツール120を通して、およそ-125mmHgの陰圧を印加した後、組織部位126を凍結させ、カバー110、剛性層132、及びデブリドマンツール120を除去し、結果として生じる組織部位126の変形を調べた。剛性層132の追加により、剛性層132なしで使用されたデブリドマンツール120と比較して、組織部位126の変形部123の高さ125を増加させた。
【0085】
図9は、図1の療法システム100のいくつかの実施形態と共に使用され得るデブリドマンツール220のいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す側面図である。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール220は、組織境界面108の別の例であってもよい。デブリドマンツール220は、第1の部品234及び第2の部品236を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の部品234は、上部部品であってもよく、第2の部品236は、下部部品であってもよい。例えば、デブリドマンツール220は、第2の部品236が組織部位の近位にあり、第1の部品234が第2の部品236の上にあるように、位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、第1の部品234は、発泡体から形成され得る。例えば、第1の部品234は、V.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングと同様の圧縮発泡体又はフェルト化された発泡体から形成され得る。第1の部品234は、最大10の硬度係数を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の部品236は、可変密度を有し得る。例えば、第2の部品236は、第1の密度を有する領域と、第2の密度を有する領域と、を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の部品234及び第2の部品236は、一体型の本体を形成するように一緒に融合される2つの層であり得る。例えば、第1の部品234は、第1の密度又は硬度係数を有するように形成され得、第2の部品236は、可変密度を有するように形成され得る。第1の部品234は、第2の部品236の上に、それらのそれぞれの縁部が近接するように位置付けられ得、第1の部品234は、第2の部品236に結合され得る。例えば、第1の部品234は、第2の部品236に融合され得るか、接着され得るか、溶接され得るか、又は別様に接合され得る。他の実施形態では、第1の部品234及び第2の部品236は、組織部位に別々に位置付けられるように構成された別個の層であり得る。例えば、第1の部品234は、第2の部品236の上に位置付けられるように構成されたマニホールド又は他の組織境界面であってもよい。
【0086】
図10は、デブリドマンツール220の第2の部品236のいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す底面図である。デブリドマンツール220は、複数の第1の部分222及び複数の第2の部分224を有し得る。複数の第1の部分222は、第1の密度を有し得、複数の第2の部分224は、第2の密度を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の密度は、第2の密度よりも高い場合がある。他の実施形態では、第1の密度は、第2の密度よりも低い場合がある。第2の部分224は、約1.5~約10、例えば、1.5、2、3、5、7.5、又は10の硬度係数を有する、フェルト化された発泡体又は圧縮発泡体であってもよい。第1の部分222は、フェルト化されていない発泡体、非圧縮発泡体、又は第2の部分224の硬度係数よりも低い硬度係数を有する発泡体であってもよい。例えば、第2の部品236は、第1の密度を有する第1の部分222、及び第2の密度を有する第2の部分224によって形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の部品234は、第2の部分224の密度と同様の密度を有し得る。
【0087】
複数の第1の部分222及び複数の第2の部分224を、デブリドマンツール220の表面にわたって配列して、クロスハッチ又はグリッドパターンを形成することができる。例えば、デブリドマンツール220の表面は、一連の繰り返しの列と行とで配列され得る。例示の実施形態では、デブリドマンツール220の表面は、9つの列(第1の列261、第2の列262、第3の列263、第4の列264、第5の列265、第6の列266、第7の列267、8つの列(eight column)268、及び第9の列269)、並びに3つの行(第1の行271、第2の行272、及び第3の行273)で並べられている。列及び行は、互いに垂直を成し、交差することができる。いくつかの実施形態では、各第1の部分222は、第2の部分224が、隣接する第1の部分222の間に配設されるように、位置付けられ得る。同様に、各第2の部分224は、第1の部分222が、隣接する第2の部分224の間に配設されるように、位置付けられ得る。結果として、第1の部分222は、第1の列261が第1の行271と交差する位置に配設され得、第2の部分224は、第2の列262が第1の行271と交差する位置、及び第1の列261が第2の行272と交差する位置に配設され得る。
【0088】
各第1の部分222は、第1の部分222の隣接する中心間に、長さに平行な第1の方向、及び幅に平行な第2の方向のピッチを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の部分222のピッチは、第1の部分222の長さの2倍に等しくてもよい。同様に、各第2の部分224は、第2の部分224の隣接する中心間に、第2の部分224の長さの2倍に等しいピッチを有し得る。他の実施形態では、繰り返し部分のピッチは、デブリドマンツール220の長さ及び幅の両方よりも大きくても、小さくてもよく、それらに対してある角度で向き付けることができる。
【0089】
図11は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す、組織部位126に配設されたデブリドマンツール220の断面図である。デブリドマンツール220は、組織部位126に隣接して、又はその近位に位置付けられ得る。デブリドマンツール220は、第1の部分222及び第2の部分224を有する第2の部品236が組織部位126の表面に隣接して配設されるように、位置付けられ得る。デブリドマンツール220を、カバー110で覆うことができる。カバー110を、組織部位126を取り囲む組織に密閉して、デブリドマンツール220を含む密閉治療環境を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の部品234は、組織部位126の縁部を越えて垂直に延在し、組織部位126の縁部から離間配置されたカバー110を保持し得る。デブリドマンツール120の上のカバー110に穴を形成することができ、ドレッシングインターフェース128を、カバー110の穴の上に位置付け、その周りに密閉することができる。管130は、ドレッシングインターフェース128を陰圧源102(図示せず)に結合することができる。陰圧源102は、デブリドマンツール120を通して組織部位126から流体を引き込むように動作することができる。
【0090】
図12は、陰圧の印加後の組織部位126に配設されたデブリドマンツール220の断面図である。動作中、陰圧が密閉治療環境に供給されてもよく、デブリドマンツール220は、図11に示される弛緩位置から、図12に示される収縮位置まで収縮することができる。図12に示されるように、第1の部分222は、第2の部分224よりも収縮し、組織を組織部位126の表面から引き離して、変形部123を形成する。例示の実施形態では、変形部123は、組織部位126の表面から高さ125まで引き離され得る。いくつかの実施形態では、高さ125は、第1の部品234によって部分的に制限され得る。第1の部品234は、第2の部分224の密度と同様の密度を有し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、デブリドマンツール220は、発泡体のブロックから形成され得る。6つの面を有する発泡体の非圧縮ブロックを提供することができる。発泡体の非圧縮ブロックは、発泡体のブロックに不均一な圧縮を提供するように構成されたフェルト化ツールを使用してフェルト化され得る。フェルト化ツールは、第1の動作において、より高い相対密度の面積を導入することができる。例えば、フェルト化ツールは、第1の密度よりも高い第2の密度を有する第2の部分224の平行なストリップに隣接する、第1の密度を有する第1の部分222の平行なストリップを形成し得る。発泡体のブロックは、フェルト化ツールに対して90度回転させることができ、発泡体のブロックに対して第2の不均一な圧縮を実施することができる。例えば、フェルト化ツールは、第1の密度よりも高い第2の密度を有する第2の部分224の平行なストリップに隣接する、第1の密度を有する第1の部分222の平行なストリップを形成し得る。第2のフェルト化プロセスの平行なストリップは、第1のフェルト化プロセスの平行なストリップと直角を成し、結果として、図10に示されるような、第1の部分222及び第2の部分224のグリッドパターンがもたらされ得る。次いで、発泡体のブロックを平坦化して、デブリドマンツール220の均一な厚さを作り出すことができる。代替的な実施形態では、様々なパターンの不均一な圧縮を提供するように動作可能な複数のフェルト化ツールを使用することができる。
【0092】
図13は、図1の療法システム100と共に使用され得るデブリドマンツール320のいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す底面図である。デブリドマンツール320又はデブリドマンマニホールドは、組織境界面108の別の例であってもよい。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール320は、3つ以上の異なる密度を有し得る。例えば、デブリドマンツール320は、複数の第1の部分322と、複数の第2の部分324と、複数の第3の部分340と、複数の第4の部分342と、を含み得る。第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342は、各々が異なる密度又は硬度係数を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の密度は第2の密度よりも低くてもよく、第2の密度は第3の密度よりも低くてもよく、第3の密度は第4の密度よりも低くてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分322は、1の硬度係数を有するフェルト化されていない発泡体であってもよい。第2の部分324は、2の硬度係数を有するフェルト化された発泡体であってもよい。第3の部分340は、5の硬度係数を有するフェルト化された発泡体であってもよく、第4の部分342は、10の硬度係数を有するフェルト化された発泡体であってもよい。他の実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342は、異なる硬度係数を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342を形成するために使用される硬度係数は、約1~約10の範囲であり得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342を、デブリドマンツール320の表面にわたって配列して、クロスハッチ又はグリッドパターンを形成することができる。例えば、デブリドマンツール320の表面は、一連の繰り返しの列と行とで配列され得る。例示の実施形態では、デブリドマンツール320の表面は、9つの列(第1の列361、第2の列362、第3の列363、第4の列364、第5の列365、第6の列366、第7の列367、第8の列368、及び第9の列369)、並びに5つの行(第1の行371、第2の行372、第3の行373、第4の行374、及び第5の行375)で並べられている。列及び行は、互いに垂直を成し、交差することができる。いくつかの実施形態では、各第1の部分322は、第2の部分324、第3の部分340、又は第4の部分342のうちの1つが、隣接する第1の部分322の間に配設されるように、位置付けられ得る。同様に、各第2の部分324、各第3の部分340、及び各第4の部分342は、第1の部分322が、隣接する第2の部分324、隣接する第3の部分340、及び隣接する第4の部分342の間に配設されるように、位置付けられ得る。結果として、第1の部分322は、第1の列361が第1の行371と交差する位置に配設され得、第4の部分342は、第2の列362が第1の行371と交差する位置、及び第1の列361が第2の行372と交差する位置に配設され得る。いくつかの実施形態では、第1の部分322は、第5の列365が第1の行371と交差する位置に配設され得、第3の部分340は、第6の列366が第1の行371と交差する位置、及び第5の列365が第2の行372と交差する位置に配設され得る。第1の部分322は、第7の列367が第1の行371と交差する位置に配設され得、第2の部分324は、第8の列368が第1の行371と交差する位置、及び第7の列367が第2の行372と交差する位置に配設され得る。
【0094】
各第1の部分322は、第1の部分322の隣接する中心間に、長さに平行な第1の方向、及び幅に平行な第2の方向のピッチを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の部分322のピッチは、第1の部分322の長さの2倍に等しくてもよい。同様に、各第2の部分324は、第2の部分324の隣接する中心間に、第2の部分324の長さの2倍に等しいピッチを有し得、各第3の部分340は、第3の部分340の隣接する中心間に、第3の部分340の長さの2倍に等しいピッチを有し得、各第4の部分342は、第4の部分342の隣接する中心間に、第4の部分342の長さの2倍に等しいピッチを有し得る。他の実施形態では、繰り返し部分のピッチは、デブリドマンツール320の長さ及び幅の両方よりも大きくても、小さくてもよく、それらに対してある角度で向き付けることができる。いくつかの実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342の各部分は、約5mm~約10mmの長さを有する正方形であってもよい。他の実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342の各部分は、三角形、円形、矩形、卵形、又はアモルファスであってもよく、約5mm~約10mmの主要寸法を有し得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342は、組織部位における組織変形の別個の勾配を作り出すことができる。例えば、第4の部分342と、第4の部分342に隣接する第1の部分322との間の密度の差は、第3の部分340と第1の部分322、並びに第2の部分324と第1の部分322との間の密度の差よりも大きい。第4の部分342は、陰圧下で、第1の部分、322、第2の部分324、及び第3の部分340よりも小さく圧縮される。第1の部分322は、陰圧下で、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342よりも大きく圧縮される。陰圧が印加された場合、デブリドマンツール320は、第1の部分322と第4の部分342との間で厚さの差が最も大きくなり、第2の部分324は、第1の部分322との厚さの差が最も小さくなってもよい。陰圧下での厚さの差により、隣接する組織を同様の方法で変形させることができる。第1の部分322及び第4の部分342を有するデブリドマンツール320の面積に隣接する組織は、第1の部分322及び第2の部分324を有するデブリドマンツール320の面積に隣接する組織よりも大きな変形を呈し得る。硬度係数、並びに第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342の場所を選択することによって、組織部位の別個の面積を、より高い又はより低い高さに変形させることができる。いくつかの実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342の形状は、特定の組織部位に対処するように選択され得る。例えば、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342は、放射状パターン、線形パターン、チェッカーボードパターン、対角線パターンで配列され得る。
【0096】
他の実施形態では、第1の部分322、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342は、他のパターンで配設され得る。例えば、第2の部分324、第3の部分340、及び第4の部分342は、第1の部分322の介在なしに、互いに隣接し得る。他の実施形態では、部分は、密度を増加又は減少させる面積を作り出すように配列され得る。例えば、10の硬度係数を有する第4の部分342は、5の硬度係数を有する第3の部分340によって取り囲まれ得る。第3の部分340は、2の硬度係数を有する第2の部分324によって取り囲まれ得、第2の部分324は、1の硬度係数を有する第1の部分322によって取り囲まれ得る。他の実施形態では、部分は、特定のタイプの組織部位及び療法に対処するために必要に応じて配列され得る。
【0097】
図14は、図1の療法システム100と共に使用され得るデブリドマンツール420のいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す底面図である。デブリドマンツール420又はデブリドマンマニホールドは、組織境界面108の別の例であってもよい。デブリドマンツール420は、複数の第1の部分422と、複数の第2の部分424と、複数の第3の部分440と、を有し得る。第1の部分422、第2の部分424、及び第3の部分440を、同心パターンで並べることができる。例えば、第1の部分422は、デブリドマンツール420の中心に配設され得る。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール420の中心に位置する第1の部分422は、円の形状であってもよい。第1の部分422を、第2の部分424によって取り囲み、第1の部分422の周りにリングを形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の部分422のリングが、第2の部分424のリングを取り囲むことができ、これは同様に、第2の部分424のリングによって取り囲まれ得る。第1の部分422及び第2の部分424の交互のリングは、デブリドマンツール420内に標的様パターンを形成し得る。いくつかの実施形態では、第3の部分440のリングは、デブリドマンツール420内に配設され得る。例えば、第3の部分440のリングは、第2の部分424の2つのリングの間に配設され得る。他の実施形態では、第1の部分422が中心にない場合があり、リングの順序が異なる場合がある(図示せず)。いくつかの実施形態では、第1の部分422、第2の部分424、及び第3の部分440は、異なる密度を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の部分422は、1の硬度係数を有し得、第2の部分424は、5の硬度係数を有し得、第3の部分440は、10の硬度係数を有し得る。他の実施形態では、第1の部分422、第2の部分424、及び第3の部分440の各々は、異なる硬度係数を有し得る。
【0098】
図15は、デブリドマンツール520の製造プロセスのいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す底面図である。いくつかの実施形態では、1の硬度係数を有する発泡体ブロック500、フェルト化されていない発泡体が提供され得る。複数の第1の彫り込み部502を、ブロック500の表面にすることができる。第1の彫り込み部502は、レーザ彫り込み、CNCホットワイヤ彫り込み、及び材料を切り取るように構成されたプレート内の穴を通して発泡体ブロックを押すことによって作製され得る。彫り込みはまた、エッグクレート状にする、例えば、様々な深さで発泡体を同時に彫り込むように動作可能な特別に設計されたバンド鋸を用いて発泡体を彫り込むこと、を含み得る。第1の彫り込み部502の各々は、ブロック500の縁部及び互いに対して平行に向き付けることができる。例えば、第1の彫り込み部502の各々は、ブロック500の幅に対して平行に向き付けることができる。他の実施形態では、第1の彫り込み部502は、ブロック500の幅又は互いに対して平行でなくてもよい。
【0099】
図16は、線16-16に沿ってとられた図15のブロック500の断面図であり、デブリドマンツール520の製造プロセスのいくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示している。ブロック500は、厚さ504を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の第1の彫り込み部502の各々は、ブロック500の厚さ504よりも小さい深さ506を有し得る。
【0100】
図17は、デブリドマンツール520の製造プロセスのいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す底面図である。いくつかの実施形態では、ブロック500は、複数の第2の彫り込み部512を有し得る。第2の彫り込み部512は、レーザ彫り込み、CNCホットワイヤ彫り込み、及び材料を切り取るように構成されたプレート内の穴を通して発泡体ブロックを押すことによって作製され得る。彫り込みはまた、エッグクレート状にする、例えば、様々な深さで発泡体を同時に彫り込むように動作可能な特別に設計されたバンド鋸を用いて発泡体を彫り込むこと、を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の第2の彫り込み部512は、ブロック500の縁部及び互いに対して平行であってもよい。例えば、複数の第2の彫り込み部512は、ブロック500の長さ及び互いに対して平行であってもよい。各第2の彫り込み部512の端部は、第1の彫り込み部502の隣接する端部と交差し得る。例えば、複数の第1の彫り込み部502の形成に続いてブロック500を90度回転させて、複数の第2の彫り込み部512を作製することができる。第2の彫り込み部512の深さは、第1の彫り込み部502の深さ506と実質的に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の彫り込み部502及び第2の彫り込み部512は、突出部又は島状構造516を形成する。島状構造516の各々は、各島状構造516の長さ及び幅に沿って、ブロック500の隣接する材料550から分離され得る。いくつかの実施形態では、第1の彫り込み部502及び第2の彫り込み部512は、単一の操作で、又は同時に実施され得る。
【0101】
図18は、デブリドマンツール520の製造プロセスのいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す底面図である。いくつかの実施形態では、隣接する材料550を、切り裂き、レーザで彫込み、CNCホットワイヤで彫り込み、発泡体ブロック500から材料を切り取るように構成されたプレート内の穴を通して押すことができる。彫り込みはまた、発泡体ブロック500をエッグクレート状にすることを含み得る。例えば、ブロック500を彫り込んで、隣接する材料550を除去し、島状構造516及びブロック500の表面552のみを残すことができる。ブロック500の表面552は、島状構造516の平行な表面から分離され得る。他の実施形態では、島状構造516を、ブロック500から切り裂いて、ブロック500内に穴を残すことができる。図19は、線19-19に沿ってとられた図18のブロック500の断面図であり、デブリドマンツール520の製造プロセスのいくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示している。示されるように、表面552を、深さ506分だけ島状構造516の平行な表面から分離して、島状構造516を残すことができる。いくつかの実施形態では、島状構造516は、正方形又は矩形の形状を有する。島状構造516の形成により、ブロック500の表面552から延在する一連の平行な壁を作り出す。表面552と直角を成す面から見て、ブロック500は、方形波形状と同様の起伏のあるトポグラフィを有し得る。他の実施形態では、島状構造516は、円形、三角形、又はアモルファス形状を有するように形成され得、正弦波、鋸歯(三角形)波、又はアモルファス波のプロファイルを作り出すことができる。
【0102】
図20は、デブリドマンツール520の製造プロセスのいくつかの実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示す底面図である。隣接する材料550を除去した後、ブロック500をフェルト化して、第1の部分522及び第2の部分524を有するデブリドマンツール520を形成することができる。島状構造516は、表面552内に圧縮され、第1の部分522の周囲部分よりも高い密度を有する第2の部分524を形成し得る。好ましくは、ブロック500は、表面552及び島状構造516の平行な表面が実質的に同じ平面を占めるように、均一な厚さに圧縮され、実質的に均一であるデブリドマンツール520の表面を形成し得る。デブリドマンツール520は、デブリドマンツール220と同様であってもよく、より高い密度及びより低い密度の対向する面積を有する。
【0103】
図21は、図20の線21-21に沿ってとられたブロック500の断面図であり、デブリドマンツール520の製造プロセスのいくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得る更なる詳細を示している。いくつかの実施形態では、ブロック500は、デブリドマンツール520がブロック500の厚さ504よりも薄い厚さ554を有するように圧縮される。図21に示されるように、島状構造516は、第2の部分524のより高い密度の面積を形成し得る。島状構造516に隣接する、除去される隣接する材料550の面積は、第1の部分522のより低い密度の面積を形成し得る。深さ506は、第1の部分522及び第2の部分524の相対密度を決定し得る。深さ506が大きいほど、第1の部分522及び第2の部分524の密度の差が大きくなる。深さ506は、隣接する材料550がブロック500からどれだけ除去されるか、及びデブリドマンツール520の厚さに圧縮されなければならない島状構造516内にどれだけの材料が残っているかを決定する。
【0104】
いくつかの実施形態では、隣接する材料550を除去した後、島状構造516の一部を切り取ることができる。島状構造516を切り取ることにより、表面552からの高さによって区別される2つ以上の異なるタイプの島状構造516を作り出すことができる。例えば、一部の島状構造516は、深さ506に等しい高さを有し得、一部の島状構造516は、深さ506より小さい、表面552からの第2の高さを有し得る。フェルト化後、深さ506に等しい高さを有する島状構造516は、第2の高さを有する島状構造516よりも高い密度になる。島状構造516の両方のセットは、表面552に除去されたブロック500の周囲部分よりも高い密度を有する。
【0105】
図22は、本明細書に記載のデブリドマンツールのいくつかの実施形態と共に使用され得る緩衝層560の更なる詳細を示す斜視組立図である。例えば、緩衝層560は、図1の療法システム100内のデブリドマンツール520と共に使用され得る。いくつかの実施形態では、緩衝層560は、第1の面562及び第2の面564を有し得る。第1の面562は、デブリドマンツール520に隣接して配設され得、第2の面564は、組織部位に隣接して位置付けられるように構成され得る。緩衝層560は、ポリウレタン又はポリエチレンから形成されたフィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、緩衝層560は、約2mm~約10mmの厚さ565を有し得る。緩衝層560は、複数の穿孔566を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の穿孔566の各穿孔566は、隣接する穿孔566から等距離に離間配置され得る。他の実施形態では、複数の穿孔566の各穿孔566は、隣接する穿孔566から等距離に離間配置されていなくてもよい。穿孔566は、約2mm~約20mmの、隣接する穿孔からのピッチを有し得る。いくつかの実施形態では、穿孔566は、円形であってもよい。他の実施形態では、各穿孔566は、正方形、矩形、三角形、卵形、又はアモルファス形状を有し得る。各穿孔566は、約5mm~約10mmの平均有効直径を有し得る。有効直径は、非円形面積と同じ表面積を有する円形面積の直径であってもよい。いくつかの実施形態では、緩衝層560は、デブリドマンツール520の組織に面する面に結合され得る。例えば、緩衝層560は、デブリドマンツール520の表面に積層、炎積層、ホットメルト、接着、溶接、又は別様に固設され得る。緩衝層560は、ドーム形成及び組織内部成長に対するデブリドマンツール520の抵抗を更に強化し得る。緩衝層560は、クエン酸又は硝酸銀などのコーティング又は添加剤と更に組み合わされ得る。クエン酸又は硝酸銀の添加により、バイオフィルムのコロニー形成に抵抗する緩衝層560の能力を増加させることができる。他の実施形態では、緩衝層560は、薬剤送達用のコーティング又は添加剤を含み得る。例えば、緩衝層560を使用して、リドカイン又はケトプロフェンなどといった局所作用型鎮痛剤を送達することができる。
【0106】
デブリドマンツール120、220、320、420、及び520の各々は、約1:1~最大1:10の、フェルト化された発泡体対フェルト化されていない発泡体の比を有し得る。デブリドマンツール120、220、320、420、及び520の各々は、約100ミクロン~約600ミクロンの範囲の平均孔径を有し得る。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール120、220、320、420、及び520の各々のフェルト化された部分は、約20個の孔/インチを有し得る。いくつかの実施形態では、デブリドマンツール120、220、320、420、及び520の各々は、約1の最小硬度係数、及び約10の最大硬度係数を有し得る。いくつかの実施形態では、最大硬度係数は、約1.5又は5であってもよい。
【0107】
本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法は、著しい利点をもたらし得る。例えば、本明細書に記載のデブリドマンツールは、見苦しいドームの形成を伴わずに、創傷床の形成、創傷表面の伸長、及びスラフの除去を行うための改善された方法を提供し得る。デブリドマンツールは、皮膚移植組織が統合して保持するためのより滑らかな表面を提供し得、結果として生じる組織は、治癒の終了時により滑らかな外観を有し得る。本明細書に記載のデブリドマンツールはまた、組織部位に別個の変形面積を作り出することができる。デブリドマンツールのいくつかの実施形態はまた、デブリドマンツールと接触する組織部位の表面積を増加させ、創傷床内及び創縁における結果として生じる伸長を増加させ得る。いくつかの実施形態では、デブリドマンツールはまた、複数の層の必要性を排除することにより、ユーザが、創傷床を接着剤ドレープとの接触から保護しながら、組織部位に1つの層を適用することを可能にすることができる。
【0108】
いくつかの例示的な実施形態において示されているが、当業者であれば、本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法は、添付の特許請求の範囲内に入る様々な変更及び修正が容易に可能であることを認識するであろう。更には、「又は(or)」などの用語を使用する様々な代替形態の説明は、文脈によって明らかに必要とされない限り、相互排他性を必要とするものではなく、また、定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、文脈によって明らかに必要とされない限り、対象を単一の例に限定するものではない。構成要素はまた、販売、製造、組み立て、又は使用の目的のために、様々な構成で組み合わされるか、又は排除されることもできる。例えば、一部の構成では、製造又は販売のために、ドレッシング104、容器106、又は両方を排除するか、又は他の構成要素から分離することができる。他の例示的な構成では、コントローラ112はまた、他の構成要素とは独立して製造され、構成され、組み立てられ、又は販売されてもよい。
【0109】
添付の特許請求の範囲は、上述の主題の新規かつ発明的な態様を記載するものであるが、特許請求の範囲はまた、具体的には詳細に列挙されていない追加的主題も包含し得る。例えば、新規かつ発明的な特徴を、当業者には既知であるものから区別するために、必要とされない場合には、特定の特徴、要素、又は態様を、特許請求の範囲から省略することができる。いくつかの実施形態の文脈において説明される特徴、要素、及び態様はまた、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲から逸脱することなく、省略するか、組み合わせるか、又は、同じ目的、均等の目的、若しくは同様の目的を果たす代替的特徴によって置き換えることもできる。
図1
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