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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/10 20230101AFI20241007BHJP
   H04N 25/11 20230101ALI20241007BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20241007BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
H04N25/10
H04N25/11
H01L27/146 D
H01L27/146 A
G02B5/20 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021548850
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035144
(87)【国際公開番号】W WO2021060118
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2019175596
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰史
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/145487(WO,A1)
【文献】特開2016-25626(JP,A)
【文献】特表2016-511562(JP,A)
【文献】国際公開第2012/120705(WO,A1)
【文献】特開2016-163306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/10
H04N 25/11
H01L 27/146
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状の配列で配置される画素を含む画素アレイを備え、
前記画素アレイは、
それぞれ6個×6個の画素を含む複数の画素ブロックを有し、
前記画素ブロックは、
第1の波長領域の光を透過させる第1の光学フィルタが設けられた第1の画素と、
第2の波長領域の光を透過させる第2の光学フィルタが設けられた第2の画素と、
第3の波長領域の光を透過させる第3の光学フィルタが設けられた第3の画素と、
第4の波長領域の光を透過させる第4の光学フィルタが設けられた第4の画素と、
を含み、
前記配列の、行方向および列方向のそれぞれに対して前記第1の画素が1つおきに配置され、
前記配列の各行および各列は、それぞれ、前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素が1つずつ配置され、
前記画素ブロックは、さらに、
前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素を、前記配列の、該画素ブロックの対角と平行な方向である第1の斜め方向に少なくとも1つずつ含む並びと、該画素ブロックの対角と平行な方向であり該第1の斜め方向と異なる第2の斜め方向に少なくとも1つずつ含む並びと、を含む、
撮像装置。
【請求項2】
前記画素アレイに含まれる画素のそれぞれから読み出された画素信号に対して信号処理を実行する信号処理部をさらに備え、
前記信号処理部は、
前記画素ブロックに含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素のうち、
前記配列から1つおきに選択した行および列に含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素による第1の画素群から読み出された前記画素信号と、
該第1の画素群と異なる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素による第2の画素群から読み出された前記画素信号と、
に対してそれぞれ独立して前記信号処理を実行する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、
前記第1の画素群に含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素から読み出された前記画素信号に基づき第1の同時化処理を実行し、
前記第2の画素群に含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素から読み出された前記画素信号に基づき、第1の同時化処理とは独立に第2の同時化処理を実行する、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、
前記第1の画素群および前記第2の画素群それぞれに含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素から読み出された前記画素信号に基づき第3の同時化処理をさらに実行し、
前記第1の同時化処理の処理結果と、前記第2の同時化処理の処理結果と、前記第3の同時化処理の処理結果と、のうち何れの処理結果を後段に出力するかを決定する、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、
前記第3の同時化処理として、前記第1の同時化処理の処理結果と、前記第2の同時化処理の処理結果と、の平均値を求める処理を実行する、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、
前記第1の同時化処理の処理結果に基づく色差と、前記第2の同時化処理の処理結果に基づく色差と、前記第3の同時化処理の処理結果に基づく色差と、のうち最も小さい色差に対応する処理結果を、後段に出力する処理結果として選択する、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の波長領域は、可視光領域の全域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域である、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の波長領域は、黄色領域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域である、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の波長領域は、赤外領域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域である、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1の波長領域は、可視光領域の全域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域であり、
前記信号処理部は、
前記選択された前記処理結果と、前記第1の画素から読み出された画素信号と、に基づき、該処理結果から赤外領域に対応する成分を除去する、
請求項4に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
R(赤色)、G(緑色)およびB(青色)の各色のカラーフィルタと、可視光領域の略全域の光を透過させるフィルタ(W色(白色)のカラーフィルタと呼ぶ)と、を用いた2次元イメージセンサが知られている。
【0003】
この2次元イメージセンサにおいては、例えば、4画素×4画素の画素ブロックを単位として、W色のカラーフィルタが設けられた8個の画素が、ブロックの垂直および水平方向にそれぞれ1つおきに配置される。また、R色のカラーフィルタが設けられた2つの画素と、B色のカラーフィルタが設けられた2つの画素と、G色のカラーフィルタが設けられた4つの画素とが、同色のカラーフィルタが設けられた画素同士が斜め方向に接しないように配置される。
【0004】
このような、R、G、B各色のカラーフィルタと、W色のカラーフィルタとを用いた2次元イメージセンサは、R、G、B各色のカラーフィルタを透過した光に基づきフルカラーの画像を得ることができると共に、W色のカラーフィルタを透過した光に基づき高い感度を得ることができる。また、このような2次元イメージセンサは、信号処理による可視画像とIR(Infrared)画像との分離が可能となるなど、監視カメラや車載カメラとしての利用が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第13/145487号
【文献】特許第6530751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した、R、G、B、W各色のカラーフィルタがそれぞれ設けられ、4画素×4画素の配列で各画素が配置された、既存技術による2次元イメージセンサでは、カラーアーティフィクト(偽色)が発生し易く、高品質の画像を得ることが困難であった。
【0007】
本開示は、カラーフィルタを用いて撮像された画像の品質を向上可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る撮像装置は、行列状の配列で配置される画素を含む画素アレイを備え、画素アレイは、それぞれ6個×6個の画素を含む複数の画素ブロックを有し、画素ブロックは、第1の波長領域の光を透過させる第1の光学フィルタが設けられた第1の画素と、第2の波長領域の光を透過させる第2の光学フィルタが設けられた第2の画素と、第3の波長領域の光を透過させる第3の光学フィルタが設けられた第3の画素と、第4の波長領域の光を透過させる第4の光学フィルタが設けられた第4の画素と、を含み、配列の、行方向および列方向のそれぞれに対して第1の画素が1つおきに配置され、配列の各行および各列は、それぞれ、第2の画素、第3の画素および第4の画素が1つずつ配置され、画素ブロックは、さらに、第2の画素、第3の画素および第4の画素を、配列の、画素ブロックの対角と平行な方向である第1の斜め方向に少なくとも1つずつ含む並びと、画素ブロックの対角と平行な方向であり第1の斜め方向と異なる第2の斜め方向に少なくとも1つずつ含む並びと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に適用可能な撮像装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図2】各実施形態に適用可能な撮像部の一例の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に適用可能な撮像装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図4】既存技術による、R、G、B、W各色のカラーフィルタを用いた画素配列の例を示す模式図である。
図5】画素アレイが既存技術による画素配列を有する撮像装置を用いて、CZPを撮像した撮像画像の例を示す図である。
図6A】第1の実施形態に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。
図6B】第1の実施形態に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。
図7A】第1の実施形態に係る、同時化処理を実行するための2つの系列を説明するための模式図である。
図7B】第1の実施形態に係る、同時化処理を実行するための2つの系列を説明するための模式図である。
図8A】A系列の画素グループを抜き出して示す模式図である。
図8B】D系列の画素グループを抜き出して示す模式図である。
図9】第1の実施形態に適用可能な画像処理部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図10】第1の実施形態に係る画素配列および信号処理の効果について説明するための模式図である。
図11A】本開示に適用可能な画素配列の別の例を示す模式図である。
図11B】本開示に適用可能な画素配列の別の例を示す模式図である。
図11C】本開示に適用可能な画素配列の別の例を示す模式図である。
図12】第2の実施形態に適用可能な撮像装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図13】第2の実施形態に適用可能なデュアルパスフィルタの透過特性の例を示す図である。
図14】第2の実施形態に適用可能な画像処理部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図15】第2の実施形態に適用可能なIR分離処理部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図16】第2の実施形態に適用可能な赤外光成分生成部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図17】第2の実施形態に適用可能な可視光成分生成部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図18A】第2の実施形態に適用可能な飽和画素検出部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図18B】第2の実施形態に適用可能な、信号レベル毎の係数αの値の設定例を示す模式図である。
図19】第2の実施形態に適用可能な、画素R、G、BおよびWそれぞれの感度特性の一例を示す模式図である。
図20】第2の実施形態に係る赤外成分分離後の感度特性の一例を示す模式図である。
図21】本開示に係る撮像装置の使用例を示す図である。
図22】本開示に係る撮像装置を搭載可能な車両のシステム構成例を示すブロック図である。
図23】車両システムのフロントセンシングカメラに係る一例の構成を示すブロック図である。
図24】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図25】撮像部の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0011】
以下、本開示の実施形態について、下記の順序に従って説明する。
1.本開示の第1の実施形態
1-1.第1の実施形態に適用可能な構成
1-2.既存技術の説明
1-3.第1の実施形態の説明
1-4.第1の実施形態の第1の変形例
1-5.第1の実施形態の第2の変形例
2.第2の実施形態
2-1.第2の実施形態に適用可能な構成
2-2.第2の実施形態に適用可能なIR分離処理
3.第3の実施形態
3-0.移動体への応用例
【0012】
[1.本開示の第1の実施形態]
以下、本開示の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、各画素に対して例えばR(赤)、G(緑)、B(青)、W(白)の各色のカラーフィルタを設ける場合において、各カラーフィルタの配列および各画素から読み出した画素信号に対する信号処理を工夫することで、偽色の発生を抑制するものである。
【0013】
ここで、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色のカラーフィルタは、それぞれ、赤色の波長領域、緑色の波長領域、青色の波長領域の光をそれぞれ選択的に透過させる光学フィルタである。また、W(白)色のカラーフィルタは、例えば可視光の略全域の波長領域の光を所定の透過率以上で透過させる光学フィルタである。
【0014】
なお、ある波長領域の光を選択的に透過させる、とは、当該波長領域の光を所定の透過率以上で透過させ、当該波長領域以外の波長領域を、当該所定の透過率未満の透過率とすることをいうものとする。
【0015】
(1-1.第1の実施形態に適用可能な構成)
先ず、本開示の第1の実施形態に適用可能な技術について説明する。図1は、第1の実施形態に適用可能な撮像装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。図1において、撮像装置1は、撮像部10と、光学部11と、画像処理部12と、出力処理部13と、制御部14と、を含む。
【0016】
撮像部10は、それぞれ1以上の受光素子を含む複数の画素が行列状に配列された画素アレイを有する。画素アレイにおいて、各画素に対して、それぞれ所定の波長領域の光を選択的に透過させる光学フィルタ(カラーフィルタ)が1対1に設けられる。また、光学部11は、レンズや絞り機構、フォーカス機構などを含み、被写体からの光を画素アレイの受光面に導く。
【0017】
撮像部10は、指定された露出時間で露出された各画素から画素信号を読み出して、読み出した画素信号に対してノイズ除去やゲイン調整といった信号処理を施すと共にデジタル方式の画素データに変換する。撮像部10は、この画素信号に基づく画素データを出力する。この、撮像部10による、露出および露出された画素から画素信号を読み出して画素データとして出力する一連の動作を、撮像と呼ぶ。
【0018】
画像処理部12は、撮像部10から出力された画素データに対して所定の信号処理を施して出力する。画像処理部12が画素データに対して施す信号処理は、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各色のカラーフィルタが1対1に設けられた各画素の画素データに対してR、G、Bの各色の情報を持たせる、同時化処理を含む。画像処理部12は、信号処理を施された各画素データを出力する。
【0019】
出力処理部13は、画像処理部12から出力された画像データを、例えばフレーム単位の画像データとして出力する。このとき、出力処理部13は、出力する画像データを、撮像装置1から出力するために適した形式に変換する。出力処理部13から出力された出力画像データは、例えば、図示されないディスプレイに供給され、画像として表示される。これに限らず、出力画像データが他の装置、例えば出力画像データに対して認識処理を行う装置や、出力画像データに基づき制御を行う制御装置に供給されてもよい。
【0020】
制御部14は、この撮像装置1の全体の動作を制御する。制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)と、撮像装置1の各部と通信を行うためのインタフェース回路とを含み、CPUが所定のプログラムに従い動作することで各種の制御信号を生成し、生成した制御信号により撮像装置1の各部を制御する。
【0021】
なお、上述した画像処理部12および出力処理部13は、例えば、所定のプログラムに従い動作するDSP(Digital Signal Processor)やISP(Image Signal Processor)により構成することができる。これに限らず、画像処理部12および出力処理部13のうち一方または両方を、制御部14と共にCPU上で動作するプログラムにより実現してもよい。これらのプログラムは、撮像装置1が有する不揮発性のメモリに予め記憶されていてもよいし、外部から撮像装置1に供給して当該メモリに書き込んでもよい。
【0022】
図2は、各実施形態に適用可能な撮像部10の一例の構成を示すブロック図である。図2において、撮像部10は、画素アレイ部110と、垂直走査部20と、水平走査部21と、制御部22と、を含む。
【0023】
画素アレイ部110は、それぞれ受光した光に応じた電圧を生成する受光素子を有する複数の画素100を含む。受光素子としては、フォトダイオードを用いることができる。画素アレイ部110において、複数の画素100は、水平方向(行方向)および垂直方向(列方向)に行列状に配列される。画素アレイ部110において、画素100の行方向の並びをラインと呼ぶ。この画素アレイ部110において所定数のラインから読み出された画素信号に基づき、1フレームの画像(画像データ)が形成される。例えば、3000画素×2000ラインで1フレームの画像が形成される場合、画素アレイ部110は、少なくとも3000個の画素100が含まれるラインを、少なくとも2000ライン、含む。
【0024】
また、画素アレイ部110には、各画素100の行および列に対し、行毎に画素信号線HCTLが接続され、列毎に垂直信号線VSLが接続される。
【0025】
画素信号線HCTLの画素アレイ部110と接続されない端部は、垂直走査部20に接続される。垂直走査部20は、例えば制御部14から供給される制御信号に従い、画素100から画素信号を読み出す際の駆動パルスなどの複数の制御信号を、画素信号線HCTLを介して画素アレイ部110へ伝送する。垂直信号線VSLの画素アレイ部110と接続されない端部は、水平走査部21に接続される。
【0026】
水平走査部21は、AD(Analog to Digital)変換部と、出力部と、信号処理部と、を含む。画素100から読み出された画素信号は、垂直信号線VSLを介して水平走査部21のAD変換部に伝送される。
【0027】
画素100からの画素信号の読み出し制御について、概略的に説明する。画素100からの画素信号の読み出しは、露出により受光素子に蓄積された電荷を浮遊拡散層(FD;Floating Diffusion)に転送し、浮遊拡散層において転送された電荷を電圧に変換することで行う。浮遊拡散層において電荷が変換された電圧は、アンプを介して垂直信号線VSLに出力される。
【0028】
より具体的には、画素100において、露出中は、受光素子と浮遊拡散層との間をオフ(開)状態として、受光素子において、光電変換により入射された光に応じて生成された電荷を蓄積させる。露出終了後、画素信号線HCTLを介して供給される選択信号に応じて浮遊拡散層と垂直信号線VSLとを接続する。さらに、画素信号線HCTLを介して供給されるリセットパルスに応じて浮遊拡散層を電源電圧VDDまたは黒レベル電圧の供給線と短期間において接続し、浮遊拡散層をリセットする。垂直信号線VSLには、浮遊拡散層のリセットレベルの電圧(電圧Pとする)が出力される。その後、画素信号線HCTLを介して供給される転送パルスにより受光素子と浮遊拡散層との間をオン(閉)状態として、受光素子に蓄積された電荷を浮遊拡散層に転送する。垂直信号線VSLに対して、浮遊拡散層の電荷量に応じた電圧(電圧Qとする)が出力される。
【0029】
水平走査部21において、AD変換部は、垂直信号線VSL毎に設けられたAD変換器を含み、垂直信号線VSLを介して画素100から供給された画素信号は、AD変換器によりAD変換処理が施され、ノイズ低減を行う相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)処理のための2つのディジタル値(電圧Pおよび電圧Qにそれぞれ対応する値)が生成される。
【0030】
AD変換器により生成された2つのディジタル値は、信号処理部によりCDS処理が施され、ディジタル信号による画素信号(画素データ)が生成される。生成された画素データは、撮像部10から出力される。
【0031】
水平走査部21は、制御部22の制御の下、垂直信号線VSL毎のAD変換器を所定の順番で選択する選択走査を行うことによって、各AD変換器が一時的に保持している各ディジタル値を信号処理部へ順次出力させる。水平走査部21は、例えばシフトレジスタやアドレスデコーダなどを含む構成により、この動作を実現する。
【0032】
制御部22は、垂直走査部20、水平走査部21などの駆動制御を行う。制御部22は、垂直走査部20および水平走査部21の動作の基準となる各種の駆動信号を生成する。制御部22は、外部(例えば制御部14)から供給される垂直同期信号または外部トリガ信号と、水平同期信号とに基づき、垂直走査部20が画素信号線HCTLを介して各画素100に供給するための制御信号を生成する。制御部22は、生成した制御信号を垂直走査部20に供給する。
【0033】
垂直走査部20は、制御部22から供給される制御信号に基づき、画素アレイ部110の選択された画素行の画素信号線HCTLに駆動パルスを含む各種信号を、ライン毎に各画素100に供給し、各画素100から、画素信号を垂直信号線VSLに出力させる。垂直走査部20は、例えばシフトレジスタやアドレスデコーダなどを用いて構成される。
【0034】
このように構成された撮像部10は、AD変換器が列毎に配置されたカラムAD方式のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0035】
図3は、第1の実施形態に適用可能な撮像装置1のハードウェア構成の例を示すブロック図である。図3において、撮像装置1は、それぞれバス2020により接続される、CPU2000と、ROM(Read Only Memory)2001と、RAM(Random Access Memory)2002と、撮像部2003と、ストレージ2004と、データI/F2005と、操作部2006と、表示制御部2007と、を含む。また、撮像装置1は、それぞれバス2020により接続される、画像処理部2010と、出力I/F2012と、を含む。
【0036】
CPU2000は、ROM2001に予め記憶されたプログラムに従い、RAM2002をワークメモリとして用いて、この撮像装置1の全体の動作を制御する。
【0037】
撮像部2003は、図1の撮像部10に対応し、撮像を行い画素データを出力する。撮像部2003から出力された画素データは、画像処理部2010に供給される。画像処理部2010は、図1の画像処理部12に対応すると共に、出力処理部13の機能の一部を含む。画像処理部2010は、撮像部10から供給された画素データに対して所定の信号処理を施し、フレームメモリ2011に順次に書き込む。フレームメモリ2011に書き込まれた1フレーム分の画素データは、フレーム単位の画像データとして、画像処理部2010から出力される。
【0038】
出力I/F2012は、画像処理部2010から出力された画像データを外部に出力するためのインタフェースである。出力I/F2012は、例えば図1の出力処理部13の一部の機能を含み、画像処理部2010から供給された画像データを、所定の形式の画像データに変換して出力することができる。
【0039】
ストレージ2004は、例えばフラッシュメモリであって、画像処理部2010から出力された画像データを記憶、蓄積することができる。また、ストレージ2004は、CPU2000を動作させるためのプログラムを記憶させることもできる。さらには、ストレージ2004は、撮像装置1に内蔵される構成に限らず、撮像装置1に対して着脱可能な構成としてもよい。
【0040】
データI/F2005は、撮像装置1が外部機器とデータの送受信を行うためのインタフェースである。データI/F2005としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)を適用することができる。また、データI/F2005として、Bluetooth(登録商標)といった近距離無線通信を行うインタフェースを適用することもできる。
【0041】
操作部2006は、撮像装置1に対するユーザ操作を受け付ける。操作部2006は、ユーザ入力を受け付ける入力デバイスとして、ダイヤルやボタンなどの操作子を含む。操作部2006は、入力デバイスとして、接触した位置に応じた信号を出力するタッチパネルを含んでもよい。
【0042】
表示制御部2007は、CPU2000により渡された表示制御信号に基づき、ディスプレイ2008が表示可能な表示信号を生成する。ディスプレイ2008は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を表示デバイスとして用い、表示制御部2007により生成された表示信号に従った画面を表示させる。なお、撮像装置1の用途によっては、表示制御部2007およびディスプレイ2008を省略することができる。
【0043】
(1-2.既存技術の説明)
ここで、第1の実施形態の詳細な説明に先立って、理解を容易とするために、本開示に関連する既存技術について説明する。図4は、既存技術による、R、G、B、W各色のカラーフィルタを用いた画素配列の例を示す模式図である。図4の例では、4画素×4画素の画素ブロック120を単位として、W色のカラーフィルタが設けられた8個の画素が、モザイク状、すなわち、画素ブロック120の垂直および水平方向にそれぞれ1つおきに配置される。また、R色のカラーフィルタが設けられた2つの画素と、B色のカラーフィルタが設けられた2つの画素と、G色のカラーフィルタが設けられた4つの画素とが、同色のカラーフィルタが設けられた画素同士が斜め方向に接しないように配置される。
【0044】
なお、以下では、R色のカラーフィルタが設けられた画素を画素Rと呼ぶ。G、BおよびW各色のカラーフィルタが設けられた画素についても、同様である。
【0045】
より具体的には、図4の例では、画素が4画素×4画素の行列上の配列で配置された画素ブロック120に対して、上端の行である第1行に、左端側から画素R、画素W、画素B、画素Wの順で各画素が配置され、第2行に、左端側から画素W、画素G、画素W、画素W、画素Gの順で各画素が配置される。第3行目および第4行目は、第1行目および第2行目の繰り返しである。
【0046】
このような画素配列において、画素R、画素Gおよび画素Bに対して同時化処理を施し、当該画素R、画素Gおよび画素Bそれぞれの位置の画素に、R、GおよびB各色の成分を持たせる。同時化処理は、例えば、注目画素(画素Rとする)において、R色の成分は、当該注目画素の画素値を用いる。また、画素R以外の色(例えばG色)の成分は、注目画素の近傍の画素Gの画素値から推測する。B色の成分についても同様に、注目画素の近傍の画素Bの画素値から推測する。各色の成分の推測は、例えばローパスフィルタを用いて行うことができる。
【0047】
以上の処理を、画素アレイに含まれる全ての画素R、画素Gおよび画素Bに適用することで、画素R、画素Gおよび画素Bそれぞれに対して、R色、G色およびB色の成分を持たせることが可能となる。画素Wについても、同様の手法が適用可能である。また、図4の画素配列では、画素Wをモザイク状に配置することで、高い感度を得ることが可能である。
【0048】
図5は、図4に示した、画素アレイが既存技術による画素配列を有する撮像装置を用いて、CZP(Circular Zone Plate)を撮像した撮像画像の例を示す図である。図5では、CZPを撮像した撮像画像のうち、垂直方向の中心線Hcntと、水平方向の中心線Vcntとを含む、全体の略1/4の領域が示されている。なお、図5において、値fsは、サンプリング周波数を示し、画素アレイにおける画素ピッチに対応する。以下、値fsを、周波数fsとして説明を行う。
【0049】
図5によれば、垂直方向の中心線Hcntにおける周波数fs/2に対応する位置121と、水平方向の中心線Vcntにおける周波数fs/2に対応する位置122と、に偽色が発生していることが分かる。また、中心位置と垂直および水平方向の周波数fs/4に対応する、斜め方向の位置123にも、偽色が発生していることが分かる。すなわち、垂直および水平方向に対しては、周波数fs/2に対応する周波数帯域に強い偽色が発生する。また、斜め方向に対しては、周波数fs/4に対応する周波数帯域に強い偽色が発生する。
【0050】
ここで、図4の画素配列を参照すると、例えば画素R、GおよびBのうち画素Gのみを含む行および列が1行および1列おきに出現する。その他の行および列では、画素R、GおよびBのうち画素RおよびBを含み、画素Gを含まない。また、斜め方向の並びについては、画素R、GおよびBのうち画素RおよびGを含み、画素Bを含まない並びと、画素R、GおよびBのうち画素GおよびBを含み、画素Rを含まない並びとなる。
【0051】
このように、既存の画素配列では、行方向、列方向および斜め方向に特定の色の画素を含まない並びが存在する。そのため、同時化処理において偏りが生じ、例えば垂直および水平方向において周波数fs/2に対応する周波数帯域と、斜め方向において周波数fs/4に対応する周波数帯域と、に対して強い偽色が発生する。また、既存技術の画素配列により発生する偽色を信号処理により対応することを考えた場合、複雑な回路が必要になり、さらに、有彩色の被写体が無彩色化するなどの副作用が発生するおそれがある。
【0052】
(1-3.第1の実施形態の説明)
次に、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、画素R、G、Bと画素Wとを用いた画素配列において、行方向、列方向および斜め方向のそれぞれについて、画素R、GおよびBが全て含まれる画素配列を提案する。さらに、画素R、GおよびBから読み出された画素信号に対する簡易な信号処理により、偽色の発生を抑制する。
【0053】
図6Aおよび図6Bは、第1の実施形態に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。第1の実施形態では、図6Aに示すように、6画素×6画素の画素ブロック130を単位とする。図6Aにおいて、画素ブロック130は、第1の波長領域の光を透過させる第1の光学フィルタと、第2の波長領域の光を選択的に透過させる第2の光学フィルタと、第3の波長領域の光を選択的に透過させる第3の光学フィルタと、第4の波長領域の光を選択的に透過させる第4の光学フィルタと、を含む。
【0054】
第1の光学フィルタは、例えば可視光領域の略全域の光を透過させるカラーフィルタであって、上述したW色のカラーフィルタを適用できる。第2の光学フィルタは、例えば赤色の波長領域の光を選択的に透過させるR色のカラーフィルタである。第3の光学フィルタは、例えば緑色の波長領域の光を選択的に透過させるG色のカラーフィルタである。同様に、第4の光学フィルタは、例えば青色の波長領域の光を選択的に透過させるB色のカラーフィルタである。
【0055】
図6Aの例では、W色のカラーフィルタが設けられた画素Wが画素ブロック130に対してモザイク状、すなわち行方向および列方向にそれぞれ1つおきに配置される。R色のカラーフィルタが設けられた画素R、G色のカラーフィルタが設けられた画素G、および、B色のカラーフィルタが設けられた画素Bは、画素ブロック130において、各行および各列に対して、画素R、GおよびBがそれぞれ1つずつ含まれるように、配置される。
【0056】
ここで、図6Aの例では、画素ブロック130の各行は、画素R、G、およびBによる順列を全て含む。すなわち、画素R、GおよびBを1つずつ選択して並べる場合の順列の数は3!=6であり、画素ブロック130に含まれる6行は、画素R、GおよびBの順序が互いに異ならされる。具体的には、画素ブロック130の上端を第1行とし、画素R、GおよびBをそれぞれR、G、Bと表すと、図6Aの例では、左端側から、第1行目は(R,G,B)の順、第2行目は(G,R,B)の順、第3行目は(B,R,G)の順、第4行目は(R,B,G)の順、第5行目は(G,B,R)の順、第6行目は(B,G,R)の順、となっている。
【0057】
また、斜め方向については、画素ブロック130は、画素ブロック130の対角と平行な方向である第1の斜め方向に画素R、GおよびBを少なくとも1つずつ含む並びと、画素ブロック130の対角と平行な方向であって当該第1の斜め方向と異なる第2の斜め方向に画素R、GおよびBを少なくとも1つずつ含む並びと、を含む。
【0058】
図6Bは、図6Aに示した画素ブロック130を繰り返し配置した例を示す模式図である。ここで、図6Bに示される、複数の画素ブロック130が配置された例において、全体の中から任意に6画素×6画素の画素ブロックを指定した場合であっても、指定された画素ブロックにおいて、上述した、「各行および各列に対して、画素R、GおよびBがそれぞれ1つずつ含まれる」条件が満たされることが分かる。また、任意に指定された画素ブロックの各行は、画素R、G、およびBによる順列を全て含む。
【0059】
この図6Aおよび図6Bに示す画素配列において、2つの系列を抽出し、同時化処理は、この2つの系列についてそれぞれ独立して実行する。図7Aおよび図7Bは、第1の実施形態に係る、同時化処理を実行するための2つの系列を説明するための模式図である。図7Aは、同時化処理を実行するための2つの系列のうち第1の系列を説明するための図、図7Bは、当該2つの系列のうち第2の系列を説明するための図である。
【0060】
図7Aにおいて、第1の系列として抽出される画素は、画素R、GおよびBを示す「R」、「G」および「B」に「(A)」を付して示している。図7Aに「R(A)」、「G(A)」および「B(A)」としてそれぞれ示されるように、画素ブロック130の2行目、4行目および6行目に含まれる画素R、GおよびBが、第1の系列に含まれる画素として抽出されている。以下、第1の系列として抽出される画素R、GおよびBによる画素グループを、A系列の画素グループと呼ぶ。
【0061】
一方、図7Bにおいて、第2の系列として抽出される画素は、画素R、GおよびBを示す「R」、「G」および「B」に「(D)」を付して示している。図7Bに「R(D)」、「G(D)」および「B(D)」としてそれぞれ示されるように、図7Aにおいて第1の系列として抽出されない、画素ブロック130の第1行目、第3行目および第5行目に含まれる画素R、GおよびBが、第2の系列として抽出されている。以下、第2の系列として抽出される画素R、GおよびBによる画素グループを、D系列の画素グループと呼ぶ。
【0062】
ここで、図7Aに示すA系列の画素グループでは、矢印aで示す、画素ブロック130の左上から右下に向けた斜め方向に、画素R、GおよびBが所定の順序で繰り返し配置される。同様に、図7Bに示すD系列の画素グループでは、矢印dで示す、画素ブロック130の右上から左下に向けた斜め方向に、画素R、GおよびBが所定の順序で繰り返し配置される。
【0063】
図8Aおよび図8Bは、図7Aおよび図7Bから、A系列の画素グループおよびD系列の画素グループをそれぞれ抜き出して示す模式図である。図8Aに示されるように、A系列の画素グループでは、矢印aで示される斜め方向のそれぞれの並びについて、画素R、GおよびBが、同じ色の画素が続かない所定の順序で繰り返し配置される。同様に、D系列の画素グループでは、図8Bに示されるように、矢印dで示される斜め方向のそれぞれの並びについて、画素R、GおよびBが、同じ色の画素が続かない所定の順序で繰り返し配置される。
【0064】
なお、例えば図8Aにおいて、矢印aの方向と直行する方向の矢印a’で示される斜め方向のそれぞれの並びでは、同じ色の画素が続けて配置されている。同様に、図8Bにおいて、矢印dの方向と直行する方向の矢印d’で示される斜め方向のそれぞれの並びでは、同じ色の画素が続けて配置されている。
【0065】
このように、A系列の画素グループおよびD系列の画素グループは、それぞれ各行および各列において画素R、GおよびBを略均等に含む。また、斜め方向については、それぞれ特定の方向について画素R、GおよびBを略均等に含む。そのため、A系列の画素グループおよびD系列の画素グループのそれぞれに対して独立して同時化処理を実行し、その結果に基づき各画素のR、GおよびB各色の値を決めることで、偽色を抑制した画像を得ることが可能となる。
【0066】
図9は、第1の実施形態に適用可能な画像処理部12の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。図9において、画像処理部12は、ホワイトバランスゲイン(WBG)部1200と、低周波成分同時化部1201と、高周波成分抽出部1202と、偽色抑制処理部1203と、高周波成分復元部1204と、を含む。
【0067】
撮像部10から出力されたR、G、BおよびW各色の画素データは、WBG部1200に入力される。WBG部1200は、必要に応じて、R、GおよびB各色の画素データに対してホワイトバランス処理を行う。例えば、WBG部1200は、設定された色温度に応じたゲインにより、画素R、画素Gおよび画素Bの各画素データのゲインのバランスを調整する。WBG部1200でホワイトバランスゲインを調整された各画素R、G、BおよびWの画素データは、低周波成分同時化部1201と、高周波成分抽出部1202にそれぞれ入力される。
【0068】
高周波成分抽出部1202は、例えばハイパスフィルタを用いて、入力された画素Wの画素データの高周波成分を抽出する。高周波成分抽出部1202は、抽出した高周波成分の値を高周波成分復元部1204に供給する。
【0069】
低周波成分同時化部1201は、入力された画素R、GおよびBそれぞれの画素データに対して、例えばローパスフィルタを用いて同時化処理を実行する。このとき、低周波成分同時化部1201は、入力された画素R、GおよびBそれぞれの画素データを、図7Aおよび図7B、ならびに、図8Aおよび図8Bを用いて説明した、A系列の画素グループに含まれる画素データ(以下、A系列の画素データと呼ぶ)と、D系列の画素グループに含まれる画素データ(以下、D系列の画素データと呼ぶ)と、に分ける。低周波成分同時化部1201は、A系列の画素データに基づく同時化処理と、D系列の画素データに基づく同時化処理と、をそれぞれ独立して実行する。
【0070】
より具体的には、低周波成分同時化部1201は、A系列の画素データに基づく同時化処理により対象画素について生成したR、GおよびB各色の成分の値を示すデータRa、GaおよびBaを出力する。同様に、低周波成分同時化部1201は、D系列の画素データに基づく同時化処理により対象画素について生成したR、GおよびB各色の成分の値を示すデータRd、GdおよびBdを出力する。
【0071】
さらに、低周波成分同時化部1201は、対象画素に対して、A系列の画素データとD系列の画素データとを用いた同時化処理も実行する。例えば、低周波成分同時化部1201は、上述のデータa、GaおよびBaと、データRd、GdおよびBdと、について、各色毎に成分の値の平均値を算出する。R、GおよびB各色の成分の平均のデータRave、GaveおよびBaveは、例えば、それぞれRave=(Ra-Rd)/2、Gave=(Ga-Gd)/2、Bave=(Ba-Bd)/2により算出される。
【0072】
低周波成分同時化部1201から出力された、対象画素に対するデータRa、GaおよびBaと、データRd、GdおよびBdと、データRave、GaveおよびBaveと、が偽色抑制処理部1203に入力される。
【0073】
偽色抑制処理部1203は、色差最小アルゴリズムを用いて、データRa、GaおよびBaの組(A系列の組と呼ぶ)と、データRd、GdおよびBdの組(D系列の組と呼ぶ)と、データRave、GaveおよびBaveの組(平均値の組と呼ぶ)と、のうち、何れの組を低周波成分同時化部1201の出力として採用するかを決定する。
【0074】
より具体的には、偽色抑制処理部1203は、A系列の組、D系列の組および平均値の組それぞれにおいて、次式(1)、(2)および(3)に示すように、色差の自乗和を算出する。
Cda=(Ra-Ga)2+(Ba-Ga)2 …(1)
Cdd=(Rd-Gd)2+(Bd-Gd)2 …(2)
Cdave=(Rave-Gave)2+(Bave-Gave)2 …(3)
【0075】
偽色抑制処理部1203は、式(1)~(3)により算出された値Cda、CddおよびCdaveのうち、最も値が小さいものを選択し、選択された値を算出した組のR、GおよびB各色の値を、対象画素のR、GおよびB各色の成分の値を示すデータRout、GoutおよびBoutとして決定する。偽色抑制処理部1203は、このデータRout、GoutおよびBoutを出力する。
【0076】
偽色抑制処理部1203から出力されたデータRout、GoutおよびBoutは、高周波成分復元部1204に入力される。高周波成分復元部1204は、高周波成分抽出部1202から入力された高周波成分の値を用いて、既知の手法により、偽色抑制処理部1203から入力されたデータRout、GoutおよびBoutの高周波成分を復元する。高周波成分復元部1204は、データRout、GoutおよびBoutの高周波成分を復元したデータR、GおよびBを、対象画素の画素データにおけるR、GおよびB各色の成分の値を示すデータとして出力する。
【0077】
図10は、第1の実施形態に係る画素配列および信号処理の効果について説明するための模式図である。図10のセクション(a)は、上述した図5に対応する図であって、既存技術による、画素アレイが4画素×4画素の画素ブロック120(図4参照)による画素配列を有する撮像装置を用いてCZPを撮像した撮像画像の例を示す図である。また、図10のセクション(b)およびセクション(c)は、それぞれ、第1の実施形態に係る、画素アレイが図6Aに示す6画素×6画素の画素ブロック130による画素配列を有する撮像装置1を用いてCZPを撮像した撮像画像の例を示す図である。
【0078】
図10のセクション(b)は、偽色抑制処理部1203において、上述した式(3)による、平均値の組のR、GおよびB各色の成分のデータを、対象画素のR色成分、G色成分およびB色成分の値をそれぞれ示すデータRout、GoutおよびBoutとして選択した場合の例を示す図である。このセクション(b)の図の例では、位置121aおよび122aに示されるように、セクション(a)の例において発生していた、垂直および水平方向それぞれの周波数fs/2に対応する偽色が略消滅していることが分かる。また、セクション(b)の例では、位置123aに示すように、垂直および水平方向の周波数fs/4に対応して、4つに分岐した偽色が発生している。
【0079】
図10のセクション(c)は、偽色抑制処理部1203において、上述した色差最小アルゴリズムを用いて対象画素のR色成分、G色成分およびB色成分のデータRout、GoutおよびBoutを求めた場合の例を示す図である。このセクション(c)の例では、位置121bおよび122bに示されるように、セクション(a)の例において発生していた、垂直および水平方向それぞれの周波数fs/2に対応する偽色が、セクション(a)の例と比較して抑制されていることが分かる。また、セクション(c)の例では、位置123aに示すように、垂直および水平方向の周波数fs/4に対応する偽色が、セクション(a)および(b)の例と比較して抑制されていることが分かる。
【0080】
このように、第1の実施形態に係る画素配列を適用することで、簡易な信号処理により、画素アレイに対してR、G、B各色のカラーフィルタに加え、W色のカラーフィルタを用いた場合の撮像画像における偽色の発生を抑制することができる。
【0081】
(1-4.第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。第1の実施形態の変形例では、本開示に適用可能な画素配列の別の例について説明する。図11A図11Bおよび図11Cは、本開示に適用可能な画素配列の別の例を示す模式図である。
【0082】
図11Aに示す画素ブロック131は、図6Aを用いて説明した第1の実施形態に係る画素ブロック130における画素Wを、黄色領域の光を選択的に透過させる、Ye(黄)色のカラーフィルタに置き換えた例である。画素Wの代わりに画素Yeを用いた画素ブロック131の画素配列は、レンズ収差の影響を受け難い特性を有する。この図11Aに示す画素配列の画素ブロック131が適用された撮像部10に対して、図9を用いて説明した信号処理を適用することができる。
【0083】
図11Bに示す画素ブロック132は、図6Aを用いて説明した第1の実施形態に係る画素ブロック130における画素Wを、赤外領域の光を選択的に透過させるIRフィルタに置き換えて、赤外光を検出可能とした例である。この図11Bに示す画素配列の画素ブロック132を撮像部10に適用した場合、例えば図9における高周波成分抽出部1202および高周波成分復元部1204による処理を省略することができる。
【0084】
図11Cは、同一色のカラーフィルタが設けられた2画素×2画素が格子状に配列された小画素ブロックを単位とした画素配列の例である。この図11Cによる画素ブロック133は、小画素ブロックを1つの画素と見做し、各色の小画素ブロックR、G、BおよびWが、それぞれ画素R、G、BおよびWとして、図6の画素ブロック130と同様の配列で配置されている。この画素ブロック133によれば、小画素ブロックに含まれる4つの画素の画素データを加算して1つの画素の画素データとして用いることで、より高い感度を実現できる。この図11Cに示す画素配列の画素ブロック133が適用された撮像部10に対して、図9を用いて説明した信号処理を、小画素ブロックを1つの画素と見做して適用することができる。
【0085】
本開示は、上述の図11A図11Cの例に限定されず、4色のカラーフィルタを用い、6画素×6画素を画素ブロックを単位とする画素配列であれば、他の画素配列にも適用可能である。
【0086】
(1-5.第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。上述した第1の実施形態では、偽色抑制処理部1203において簡易な偽色抑制処理を用いているために、図10のセクション(c)の位置121bおよび122bに示したように、垂直および水平方向の周波数fs/2に対応する偽色が発生している。一方、図10のセクション(b)に示す例は、図10のセクション(c)に示す例に対して、垂直および水平方向の周波数fs/2に対応する偽色が効果的に抑制されていることが分かる。
【0087】
このように、垂直および水平方向それぞれの周波数fs/2に対応する偽色は、平均値の組のR、GおよびB各色の値を用いることで、効果的に抑制することができる。そこで、第1の実施形態の第2の変形例では、入力された画素データに応じて、偽色抑制に用いる処理を決定する。
【0088】
例えば、偽色抑制処理部1203は、高周波成分抽出部1202において、入力された画素データから所定以上のレベルの周波数fs/2の成分が抽出された場合、当該画素データに対して、上述した式(3)による平均値を用いた偽色抑制処理を実行する。
【0089】
これに限らず、偽色抑制処理部1203は、上述した式(1)~(3)の計算において、式(3)の算出結果に対してオフセットを設け、平均値を用いた偽色抑制処理を実行する割合を増やすようにしてもよい。
【0090】
この第1の実施形態の第2の変形例では、式(3)の平均値を用いた偽色抑制処理を優先して実行するようにしているため、垂直および水平方向それぞれの周波数fs/2に対応する偽色を、より効果的に抑制することができる。
【0091】
[2.第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、画素配列として図9Aに示した6画素×6画素の画素ブロック130による画素配列を適用し、偽色抑制処理を施したR、GおよびB各色の画素データからIR成分を除去するようにした例である。
【0092】
(2-1.第2の実施形態に適用可能な構成)
先ず、第2の実施形態に適用可能な構成について説明する。図12は、第2の実施形態に適用可能な撮像装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。図12において、撮像装置1’は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る撮像装置1に対して、撮像部10と光学部11との間にデュアルパスフィルタ(DPF)30が追加されると共に、画像処理部12’の機能が撮像装置1の画像処理部12とは異なっている。
【0093】
図13は、第2の実施形態に適用可能なデュアルパスフィルタ30の透過特性の例を示す図である。図13において、縦軸は、デュアルパスフィルタ30の分光透過率を示し、横軸は、光の波長を示す。図13に例示するように、デュアルパスフィルタ30は、例えば、380~650[nm]の波長域の可視光と、それより波長の長い赤外光とを透過する。撮像部10には、このデュアルパスフィルタ30を透過した光が入射される。
【0094】
図14は、第2の実施形態に適用可能な画像処理部12’の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。図14において、画像処理部12’は、ホワイトバランスゲイン(WBG)部1200と、低周波成分同時化部1201’と、高周波成分抽出部1202と、偽色抑制処理部1203’と、IR分離処理部300と、高周波成分復元部1204と、を含む。
【0095】
撮像部10から出力されたR、G、BおよびW各色の画素データは、WBG部1200により必要に応じてホワイトバランス処理を施され、低周波成分同時化部1201’と、高周波成分抽出部1202にそれぞれ入力される。高周波成分抽出部1202は、入力された画素Wの画素データの高周波成分を抽出し、抽出した高周波成分の値を高周波成分復元部1204に供給する。
【0096】
低周波成分同時化部1201’は、図9に示した低周波成分同時化部1201と同様にして、入力された画素R、GおよびBそれぞれの画素データに対して同時化処理を実行する。上述と同様に、低周波成分同時化部1201は、入力された画素R、GおよびBそれぞれの画素データを、A系列の画素データと、D系列の画素データと、に分け、A系列の画素データに基づく同時化処理と、D系列の画素データに基づく同時化処理と、をそれぞれ独立して実行する。
【0097】
すなわち、低周波成分同時化部1201’は、図9に示した低周波成分同時化部1201と同様にして、A系列の画素データに基づく同時化処理により対象画素について生成したR、GおよびB各色の成分の値を示すデータRa、GaおよびBaを出力する。同様に、低周波成分同時化部1201は、D系列の画素データに基づく同時化処理により対象画素について生成したR、GおよびB各色の成分の値を示すデータRd、GdおよびBdを出力する。また、低周波成分同時化部1201’は、上述のデータRa、GaおよびBaと、データRd、GdおよびBdと、について、各色毎に平均のデータRave、GaveおよびBaveを算出し、出力する。
【0098】
さらに、低周波成分同時化部1201’は、W色の画素データに対して例えばローパスフィルタ処理を施し、W色の画素データの平均値によるデータWaveを生成する。このデータWaveは、例えば対象画素の周辺の画素Wの画素値(対象画素が画素Wである場合には、当該対象画素の画素値も含む)の平均を算出して出力する。
【0099】
低周波成分同時化部1201’から出力された、対象画素に対するデータRa、GaおよびBaと、データRd、GdおよびBdと、データRave、GaveおよびBaveと、データWaveと、が偽色抑制処理部1203’に入力される。偽色抑制処理部1203’は、第1の実施形態と同様にして、例えば色差最小アルゴリズムを用いて、データRa、GaおよびBaの組(A系列の組)と、データRd、GdおよびBdの組(D系列の組)と、データRave、GaveおよびBaveの組(平均値の組)と、のうち、何れの組を低周波成分同時化部1201の出力として採用するかを決定する。偽色抑制処理部1203’は、採用が決定された組のR、GおよびB各色の成分を示す値を、対象画素のデータRout、GoutおよびBoutとして出力する。
【0100】
一方、偽色抑制処理部1203’は、入力されたデータWaveに対しては、例えば何も処理を適用せずに、データWoutとして出力する。
【0101】
偽色抑制処理部1203’から出力されたデータRout、Gout、BoutおよびWoutがIR分離処理部300に入力される。IR分離処理部300は、入力されたデータRout、Gout、BoutおよびWoutと、に基づき、データRout、GoutおよびBoutから赤外領域の成分を分離する。赤外領域の成分が分離された(除去された)データRout’、Gout’およびBout’は、偽色抑制処理部1203’から出力される。
【0102】
また、IR分離処理部300は、データRout、GoutおよびBoutから分離した赤外領域成分の値を示すデータIRを、例えば画像処理部12’の外部に出力することができる。
【0103】
IR分離処理部300から出力されたデータRout’、Gout’およびBout’は、高周波成分復元部1204に入力される。高周波成分復元部1204は、高周波成分抽出部1202から入力された高周波成分の値を用いて、既知の手法により、偽色抑制処理部1203’から入力されたデータRout’、Gout’およびBout’の高周波成分を復元する。高周波成分復元部1204は、データRout’、Gout’およびBout’の高周波成分を復元したデータR、GおよびBを、対象画素の画素データにおけるR、GおよびB各色のデータとして出力する。
【0104】
(2-2.第2の実施形態に適用可能なIR分離処理)
第2の実施形態に適用可能なIR分離処理部300の処理について、より詳細に説明する。第2の実施形態では、IR分離処理部300における処理に、特許文献2に記載の技術を適用することができる。
【0105】
図15は、第2の実施形態に適用可能なIR分離処理部300の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。図15において、IR分離処理部300は、赤外光成分生成部310、可視光成分生成部320および飽和画素検出部350を備える。なお、以下において、IR分離処理部300に入力されるデータRout、Gout、BoutおよびWoutは、それぞれ赤外領域の成分を含むものとして、データR+IR、G+IR、B+IRおよびW+IRのように記述する。
【0106】
赤外光成分生成部310は、赤外領域の成分を示す値であるデータIRを生成するものである。この赤外光成分生成部310は、各データR+IR、G+IR、B+IRおよびW+IRを互いに異なる係数K11、K12、K13およびK14により重み付け加算した値をデータIRとして生成する。例えば、次式(4)により重み付け加算が行われる。
IR=K41×R+IR+K42×G+IR+K43×B+IR+K44×W+IR …(4)
【0107】
ここで、K41、K42、K43およびK44には、画素R、G、BおよびWのそれぞれの可視光に対する感度をそれらの係数で重み付け加算した加算値が許容値以下になる値が設定される。ただし、K41、K42およびK43の符号は同一であり、K44の符号は、K41、K42およびK43と異なるものとする。この許容値には、K41、K42、K43およびK44をそれぞれ0.5、0.5、0.5および-0.5とした場合の加算値未満の値が設定される。
【0108】
なお、これらの係数には、画素R、G、BおよびWのそれぞれの感度を重み付け加算した値と、画素の赤外光に対する所定の目標感度との間の誤差が、所定の設定値以下になる値が設定されることがより望ましい。この設定値には、K41、K42、K43およびK44をそれぞれ0.5、0.5、0.5および-0.5とした場合の誤差未満の値が設定される。また、K41、K42、K43およびK44には、前述の誤差が最小となる値が設定されることがさらに望ましい。
【0109】
可視光成分生成部320は、R、GおよびB各色の可視光成分によるデータR、GおよびBを生成する。この可視光成分生成部320は、各データR+IR、G+IR、B+IRおよびW+IRを互いに異なる係数K11、K12、K13およびK14により重み付け加算した値をR色の成分の値を示すデータRとして生成する。また、可視光成分生成部320は、それらの各データを互いに異なる係数K21、K22、K23およびK24により重み付け加算した値をG色の成分の値を示すデータGとして生する。また、可視光成分生成部320は、各画素データを互いに異なる係数K31、K32、K33およびK34により重み付け加算した値をB色の成分の値を示すデータBとして生成する。例えば、次の式(5)~(7)により重み付け加算が行われる。
【0110】
R=K11×R+IR+K12×G+IR+K13×B+IR+K14×W+IR …(5)
G=K21×R+IR+K22×G+IR+K23×B+IR+K24×W+IR …(6)
B=K31×R+IR+K32×G+IR+K33×B+IR+K34×W+IR …(7)
【0111】
ここで、K11~K14には、画素R、画素G、画素Bおよび画素Wのそれぞれの感度を、それらの係数により重み付け加算した値と画素Rの可視光に対する目標感度との間の誤差が、所定の設定値以下になる値が設定される。この設定値には、K11、K12、K13およびK14をそれぞれ0.5、-0.5、-0.5および0.5とした場合の誤差未満の値が設定される。なお、誤差が最小となる値がK11~K14に設定されることがより望ましい。
【0112】
また、K21~K24には、画素R、画素G、画素Bおよび画素Wのそれぞれの感度を、それらの係数により重み付け加算した値とG画素の可視光に対する目標感度との間の誤差が、所定の設定値以下になる値が設定される。この設定値には、K21、K22、K23およびK24をそれぞれ-0.5、0.5、-0.5および0.5とした場合の誤差未満の値が設定される。なお、誤差が最小となる値がK21~K24に設定されることがより望ましい。
【0113】
また、K31~K34には、画素R、画素G、画素Bおよび画素Wのそれぞれの感度を、それらの係数により重み付け加算した値とB画素の可視光に対する目標感度との間の誤差が、所定の設定値以下になる値が設定される。この設定値には、K31、K32、K33およびK34をそれぞれ-0.5、-0.5、0.5および0.5とした場合の誤差未満の値が設定される。なお、誤差が最小となる値がK31~K34に設定されることがより望ましい。
【0114】
可視光成分生成部320は、生成したR、GおよびB各色の成分の値を示す各データR、GおよびBを飽和画素検出部350に供給する。
【0115】
飽和画素検出部350は、R、GおよびB各色の成分の値を示す成分の信号レベルが所定の閾値Th2より高いか否かを検出する。この飽和画素検出部350は、信号レベルが所定の閾値Th2より高い場合に、そのレベルが高いほど小さな「0」~「1」の値を係数αに設定し、信号レベルが閾値Th2以下の場合に「1」を係数αに設定する。そして、飽和画素検出部350は、次式(8)~(11)を使用して赤外光成分によるデータIRと、可視光成分によるデータR、GおよびBと、データR+IR、G+IRおよびB+IRとを処理する。
R=α×R+(1-α)×R+IR …(8)
G=α×G+(1-α)×G+IR …(9)
B=α×B+(1-α)×B+IR …(10)
IR=α×IR …(11)
【0116】
この処理により、信号レベルが閾値Th2を超える飽和画素が検出された場合であっても、正確な可視光成分および赤外光成分が求められる。飽和画素検出部350は、処理後の可視光成分による各データR、GおよびBをIR分離処理部300から出力する。また、飽和画素検出部350は、処理後の赤外光成分によるデータIRを画像処理部12’の外部に出力する。
【0117】
図16は、第2の実施形態に適用可能な赤外光成分生成部310の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。赤外光成分生成部310は、乗算器311、315、316および317と加算器312、313および314とを備える。
【0118】
乗算器311は、データR+IRに係数K41を乗算して乗算結果を加算器312に供給するものである。乗算器315は、データG+IRに係数K42を乗算して乗算結果を加算器312に供給する。乗算器316は、データB+IRに係数K43を乗算して乗算結果を加算器313に供給するものである。乗算器317は、データW+IRに係数K44を乗算して乗算結果を加算器314に供給する。
【0119】
加算器312は、乗算器311および315のそれぞれからの乗算結果を加算して加算結果を加算器313に供給する。加算器313は、乗算器316からの乗算結果と加算器312からの加算結果とを加算して加算結果を加算器314に供給する。加算器314は、乗算器317からの乗算結果と加算器313からの加算結果とを加算して加算結果を赤外光成分IRとして飽和画素検出部350に供給する。
【0120】
図17は、第2の実施形態に適用可能な可視光成分生成部320の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。可視光成分生成部320は、乗算器321、325、326、327、331、335、336、337、341、345、346および347と、加算器322、323、324、332、333、334、342、343および344とを備える。
【0121】
乗算器321、325、326および327は、それぞれ、R+IR、G+IR、B+IRおよびW+IRと係数K11、K12、K13およびK14とを乗算するものである。加算器322、323および324は、乗算器321、325、326および327のそれぞれの乗算結果を加算して、加算値をR色の成分の値を示すデータRとして飽和画素検出部350に供給するものである。
【0122】
乗算器331、335、336および337は、それぞれ、R+IR、G+IR、B+IRおよびW+IRと係数K21、K22、K23およびK24とを乗算するものである。加算器332、333および334は、乗算器331、335、336および337のそれぞれの乗算結果を加算して、加算値をG色の成分の値を示すデータGとして飽和画素検出部350に供給するものである。
【0123】
乗算器341、345、346および347は、それぞれ、R+IR、G+IR、B+IRおよびW+IRと係数K31、K32、K33およびK34とを乗算するものである。加算器342、343および344は、乗算器341、345、346および347のそれぞれの乗算結果を加算して、加算値をB色の成分の値を示すデータBとして飽和画素検出部350に供給するものである。
【0124】
第2の実施形態におけるIR分離処理部300で用いられる計算式の一例を、次式(12)および(13)に示す。
【0125】
【数1】
【0126】
【数2】
【0127】
式(12)は、上述した式(4)~(7)を行列を用いて表した式である。データR+IR、G+IR、B+IRおよびW+IRからなるベクトルと、4行×4列の行列との積により、R、GおよびB各色の成分の値を示す各データR、GおよびBと、赤外領域の成分の値を示すデータIRとからなるベクトルが算出される。なお、式(13)は、式(12)おけるK11~K44のそれぞれに設定される係数の一例を示している。
【0128】
図18Aは、第2の実施形態に適用可能な飽和画素検出部350の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。飽和画素検出部350は、乗算器351、353、354、356、357、359および360と、加算器352、355および358と、α値制御部361とを備える。
【0129】
α値制御部361は、係数αの値を制御するものである。このα値制御部361は、画素データの信号レベルが所定の閾値Th2より高いか否かを画素ごとに検出する。そして、α値制御部361は、信号レベルが閾値Th2より高い場合に、そのレベルが高いほど小さな「0」以上「1」未満の値を係数αに設定し、そうでない場合に「1」を係数αに設定する。そして、α値制御部361は、設定した係数αを乗算器351、354、357および360に供給し、係数(1-α)を乗算器353、356および359に供給する。
【0130】
乗算器351は、R色の成分の値を示すデータRに係数αを乗算して加算器352に供給するものである。乗算器353は、画素データR+IRに係数(1-α)を乗算して加算器352に供給する。加算器352は、乗算器351および353のそれぞれの乗算結果を加算して、データRとしてIR分離処理部300から出力する。
【0131】
乗算器354は、G色の成分の値を示すデータGに係数αを乗算して加算器355に供給するものである。乗算器356は、画素データG+IRに係数(1-α)を乗算して加算器355に供給する。加算器355は、乗算器354および356のそれぞれの乗算結果を加算して、データGとしてIR分離処理部300から出力する。
【0132】
乗算器357は、B色の成分の値を示すデータBに係数αを乗算して加算器358に供給するものである。乗算器359は、データB+IRに係数(1-α)を乗算して加算器358に供給する。加算器358は、乗算器357および359のそれぞれの乗算結果を加算して、データBとしてIR分離処理部300から出力する。
【0133】
乗算器360は、赤外領域の成分の値を示すデータIRに係数αを乗算してIR分離処理部300から出力する。
【0134】
図18Bは、第2の実施形態に適用可能な、信号レベル毎の係数αの値の設定例を示す模式図である。同図における横軸は、偽色抑制処理部1203’から供給される画素データの信号レベルを示す。縦軸は、係数αを示す。信号レベルが閾値Th2以下である場合には、例えば、係数αに「1」の値が設定され、信号レベルが閾値Th2を超える場合には、信号レベルが大きいほど小さな値が係数αに設定される。
【0135】
図19は、第2の実施形態に適用可能な、画素R、G、BおよびWそれぞれの感度特性の一例を示す模式図である。図19において、横軸は光の波長を示し、縦軸はその波長の光に対する画素の感度を示す。また、実線は、画素Wの感度特性を示し、細かい点線は、画素Rの感度特性を示す。また、一点鎖線は、画素Gの感度特性を示し、粗い点線は、画素Bの感度特性を示す。
【0136】
画素Wの感度は、白(W)の可視光に対してピークを示す。また、画素R、GおよびBのそれぞれの感度は、赤(R)、緑(G)および青(B)のそれぞれの可視光に対してピークを示す。画素R、G、BおよびWの赤外光に対する感度は同程度である。
【0137】
赤、緑および青を加法混色すると白となる。このため、画素R、GおよびBの感度の合計は、画素Wの感度に近い値となる。ただし、図19に例示するように、それらの合計は、画素Wの感度と一致するとは限らない。また、赤外光に対する各画素の感度も同程度ではあるものの、厳密には一致していない。
【0138】
このため、仮にデータR+IR、G+IRおよびB+IRのそれぞれを同一の係数「0.5」で重み付け加算した値と、画素データW+IRを係数「0.5」で重み付けした値と、の差を求める演算を行うと、赤外領域の成分が正確に分離されなくなってしまう。
【0139】
図20は、第2の実施形態に係る赤外成分分離後の感度特性の一例を示す模式図である。図20に示すように、重み付け加算により生成された赤外領域の成分(IR)は、可視光領域において「0」に近づき、図19に例示した比較例に対して誤差が少なくなる。
【0140】
このように、第2の実施形態によれば、可視光に対する画素R、GおよびBの感度を重み付け加算した値と、画素Wの感度を重み付けした値と、の差が小さくなる係数で各色の成分の値を示すデータを重み付け加算するため、赤外光成分を正確に分離することができる。これにより、第2の実施形態に係る撮像装置1’は、可視光の色の再現性を向上させ、画像の画質を向上させることができる。また、これにより、IR挿抜機構を必要としないデイナイト(Day-Night)カメラが実現可能となる。
【0141】
[3.第3の実施形態]
次に、本開示に係る技術を適用した撮像装置の使用例について説明する。図21は、上述した本開示に係る撮像装置1または撮像装置1’の使用例を示す図である。以下、説明のため、撮像装置1および撮像装置1’を、撮像装置1で代表させて説明を行う。
【0142】
上述した撮像装置1は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0143】
・デジタルカメラや、撮影機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置。
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置。
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置。
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置。
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置。
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置。
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置。
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置。
【0144】
(3-0.移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、上述のように様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0145】
(本開示の撮像装置を車両に搭載する場合のより具体的な例)
本開示に係る撮像装置1の応用例として、当該撮像装置1を車両に搭載して使用する場合のより具体的な例について説明する。
【0146】
(第1の搭載例)
先ず、本開示に係る撮像装置1の第1の搭載例について説明する。図22は、本開示に係る撮像装置1を搭載可能な車両のシステム構成例を示すブロック図である。図22において、車両システム13200は、車両13000に対して設けられるCAN(Controller Area Network)に対して接続される各ユニットを含む。
【0147】
フロントセンシングカメラ(Front Sensing camera)13001は、車両進行方向の前方を撮像するカメラである。一般的には、画像表示用には用いられず、センシングに特化したカメラである。フロントセンシングカメラ13001は、例えばウィンドシールドの内側のルームミラー近傍に配置される。
【0148】
フロントカメラECU(Front camera ECU)13002は、フロントセンシングカメラ13001で撮像された画像データを受信し、画質の向上や、物体検知などの画像認識処理を含む画像信号処理を実行する。フロントカメラECUによる画像認識結果は、CAN通信に送られる。
【0149】
なお、ECUは、「Electronic Control Unit」の略である。
【0150】
セルフドライビングECU(Self-driving ECU)13003は、自動運転を司るECUであり、例えばCPU、ISP、GPU(Graphics Processing Unit)などで構成される。GPUで画像認識した結果をサーバへ送り、サーバは、ディープニューラルネットなどのディープラーニングを実行して学習した結果を当該セルフドライビングECU13003に戻す。
【0151】
GPS(Global Positioning System)13004は、GPSによる電波を受信して現在位置を求める位置情報取得部である。GPS13004で取得された位置情報は、CAN通信に送られる。
【0152】
ディスプレイ(Display)13005は、車両13000内に配置される表示装置である。ディスプレイ13005は、車両13000におけるインストルメントパネルの中央部や、ルームミラー内部などに配置される。ディスプレイ13005は、車両13000が搭載するカーナビゲーション装置と一体的に構成されていてもよい。
【0153】
コミュニケーションユニット(Communication Unit)13006は、車車間通信、歩車間通信、路車間通信において、データの送受信を担う。コミュニケーションユニット13006は、サーバとの送受信も行う。コミュニケーションユニット13006は、種々の無線通信を適用可能である。
【0154】
インテグレーテッドECU(Integrated ECU)13007は、種々のECUが集められた統合ECUである。この例では、インテグレーテッドECU13007は、ADAS ECU13008と、セルフドライビングECU13003と、バッテリECU(Battery ECU)13010を含んでいる。バッテリECU13010は、バッテリ(200Vバッテリ13023、12Vバッテリ13024など)を制御する。インテグレーテッドECU13007は、例えば車両13000の中央部に配置される。
【0155】
ターンシグナル(Turn Signal)13009は、方向指示器であって、インテグレーテッドECU13007により点灯を制御される。
【0156】
ADAS(Advanced Driver Assistance System)13008は、ドライバ操作や画像認識結果などに応じて、車両システム13200のコンポーネントを制御するための制御信号を生成する。ADAS ECU13008は、CAN通信を通じて各部と信号の送受信を行う。
【0157】
車両システム13200において、駆動源(エンジン、モータ)の制御は、図示しないパワートレインECU(Power Train ECU)により行われる。パワートレインECUはmクルーズコントロールの際は、画像認識結果に応じて駆動源を制御する。
【0158】
ステアリング(Steering)13011は、画像認識により白線から逸脱しそうになったら、ADAS ECU13008により生成された制御信号に応じて電子パワーステアリングモータを駆動する。
【0159】
スピードセンサ(Speed sensor)13012は、車両13000の走行速度を検出する。スピードセンサ13012は、走行速度から、加速度や加速度の微分(ジャーク)を算出する。加速度情報は、物体との衝突までの推定時間の算出に用いられる。ジャークは乗員の乗り心地に影響を与える指数である。
【0160】
レーダ(Radar)13013は、ミリ波などの長めの波長の電磁波を用いて測距を行うセンサである。ライダー(Lidar)13014は、光を用いて測距を行うセンサである。
【0161】
ヘッドランプ(Head lamp)13015は、ランプとランプの駆動回路とを含み、画像認識により検知した対向車のヘッドライトの有無に応じて、ハイビームとロービームの切り替えを行う。または、ヘッドランプ13015は、対向車を避けるようなハイビームを照射する。
【0162】
サイドビューカメラ(Side View camera)13016は、サイドミラーの筐体内またはサイドミラー近傍に配置されるカメラである。サイドビューカメラ13016から出力される画像データはm画像表示用に用いられる。サイドビューカメラ13016は、例えば運転者の死角領域を撮像する。また、サイドビューカメラ13016は、アラウンドビューモニタの左右領域に用いられる画像を撮像する。
【0163】
サイドビューカメラECU(Side View camera ECU)13017は、サイドビューカメラ13016で撮像された画像の信号処理を行う。サイドビューカメラECU13017は、ホワイトバランスなどの画質を向上させる。サイドビューカメラECU13017で信号処理された画像データは、CANとは異なるケーブルで送られる。
【0164】
フロントビューカメラ(Front View camera)13018は、フロントグリル近傍に配置されるカメラである。フロントビューカメラ13018で撮像された画像データは、画像表示用に用いられる。フロントビューカメラ13018は、車両前方の死角領域を撮像する。また、フロントビューカメラ13018は、アラウンドビューモニタの上方領域に用いられる画像を撮像する。フロントビューカメラ13018は、上述したフロントセンシングカメラ13001とは枠割が異なる。
【0165】
フロントビューカメラECU(Front View camera ECU)13019は、フロントビューカメラ13018で撮像された画像の信号処理を行う。フロントビューカメラECU13019は、ホワイトバランスなどの画質を向上させる。フロントビューカメラECU13019で信号処理された画像データは、CANとは異なるケーブルで送られる。
【0166】
車両システム13200は、エンジン(ENG)13020、発電機(GEN)13021および駆動用モータ(MOT)13022を含む。エンジン13020、発電機13021および駆動用モータ13022は、図示されないパワートレインECUにより制御される。
【0167】
200Vバッテリ(200V Battery)13023は、駆動用およびエアコン用の電源である。12Vバッテリ(12V Battery)13024は、駆動用とエアコン用以外の電源である。12Vバッテリ13024は、車両13000に搭載される各カメラや各ECUの電源を供給する。
【0168】
リアビューカメラ(Rear View camera)13025は、例えばテールゲートのナンバープレート近傍に配置されるカメラである。リアビューカメラ13025で撮像された画像データは、画像表示用に用いられる。リアビューカメラ13025は、後方の死角領域を撮像する。また、リアビューカメラ13025は、アラウンドビューモニタの下方領域に用いられる画像を撮像する。リアビューカメラ13025は、例えばシフトレバーを「R(後退)」に入れることで起動する。
【0169】
リアビューカメラECU(Rear View camera ECU)13026は、リアビューカメラ13025で撮像された画像の信号処理を行う。リアビューカメラECU13026は、ホワイトバランスなどの画質を向上させる。リアビューカメラECU13026で信号処理された画像データは、CANとは異なるケーブルで送られる。
【0170】
図23は、車両システム13200のフロントセンシングカメラ13001に係る一例の構成を示すブロック図である。
【0171】
フロントカメラモジュール(Front Camera Module)13100は、レンズ(Lens)13101と、イメージャ(Imager)13102と、フロントカメラECU13002と、MCU(Micro Controller Unit)13103と、を含む。レンズ13101およびイメージャ13102により、上述したフロントセンシングカメラ13001が構成される。フロントカメラモジュール13100は、例えばウィンドシールドの内側のルームミラー近傍に配置される。
【0172】
イメージャ13102は、本開示による撮像部10を適用することができ、画素に含まれる受光素子により前方画像を撮像し、画素データを出力する。画素のカラーフィルタ配列は、例えば図6Aを用いて説明した、6画素×6画素の画素ブロックを単位とした配列が用いられる。フロントカメラECU13002は、例えば本開示による画像処理部12、出力処理部13および制御部14を含む。すなわち、イメージャ13102とフロントカメラECU13002とを含んで、本開示に係る撮像装置1が構成される。
【0173】
なお、イメージャ13102と、フロントカメラECU13002との間のデータ伝送は、シリアル伝送およびパラレル伝送の何れを適用してもよい。また、イメージャ13102は、イメージャ13102自身の故障を検知する機能を有すると、好ましい。
【0174】
MCU13103は、CANバス(CAN Bus)13104とのインタフェースの機能を有する。CANバス13104に対して、図22示した各部(セルフドライビングECU13003、コミュニケーションユニット13006、ADAS ECU13008、ステアリング13011、ヘッドランプ13015、エンジン13020、駆動用モータ13022、…)が接続される。また、CANバス13040に対して、ブレーキシステム(Brake)13030も接続される。
【0175】
フロントカメラモジュール13100は、図6Aを用いて説明した、6画素×6画素の画素ブロックを単位とした画素配列の撮像部10が用いられる。そして、フロントカメラモジュール13100は、画像処理部12において、当該画素配列におけるA系列およびD系列それぞれに対して独立して同時化処理を実行する。さらに、フロントカメラモジュール13100は、画像処理部12において、A系列に対する同時化処理の結果と、D系列に対する同時化処理の結果と、A系列およびD系列を共に用いた同時化処理の結果と、に基づき偽色抑制処理を実行している。
【0176】
そのため、フロントカメラモジュール13100は、垂直および水平方向それぞれの周波数fs/2、ならびに、垂直および水平方向の周波数fs/4における偽色が抑制された、より高画質の撮像画像を出力することができる。
【0177】
なお、上述では、本開示に係る撮像装置1がフロントセンシングカメラ13001に適用されるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、本開示に係る撮像装置1を、フロントビューカメラ13018やサイドビューカメラ13016、リアビューカメラ13025に適用してもよい。
【0178】
(第2の搭載例)
次に、本開示に係る撮像装置1の第2の搭載例について説明する。図24は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0179】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図24に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0180】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0181】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0182】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0183】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0184】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0185】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0186】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0187】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0188】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図24の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0189】
図25は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0190】
図25では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0191】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0192】
なお、図25には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0193】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0194】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0195】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0196】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0197】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、本開示の第1および第2の実施形態、ならびに、それらの各変形例の何れかに係る撮像装置1を、撮像部12031に適用できる。すなわち、撮像部12031は、例えば図6Aを用いて説明した、6画素×6画素の画素ブロックを単位とした画素配列の画素アレイと、例えば本開示による画像処理部12、出力処理部13および制御部14と、を含む。
【0198】
撮像部12031は、画像処理部12において、当該画素配列におけるA系列およびD系列それぞれに対して独立して同時化処理を実行する。さらに、撮像部12031は、画像処理部12において、A系列に対する同時化処理の結果と、D系列に対する同時化処理の結果と、A系列およびD系列を共に用いた同時化処理の結果と、に基づき偽色抑制処理を実行している。
【0199】
そのため、撮像部12031は、垂直および水平方向それぞれの周波数fs/2、ならびに、垂直および水平方向の周波数fs/4における偽色が抑制された、より高画質の撮像画像を出力することができる。
【0200】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0201】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
行列状の配列で配置される画素を含む画素アレイを備え、
前記画素アレイは、
それぞれ6個×6個の画素を含む複数の画素ブロックを有し、
前記画素ブロックは、
第1の波長領域の光を透過させる第1の光学フィルタが設けられた第1の画素と、
第2の波長領域の光を透過させる第2の光学フィルタが設けられた第2の画素と、
第3の波長領域の光を透過させる第3の光学フィルタが設けられた第3の画素と、
第4の波長領域の光を透過させる第4の光学フィルタが設けられた第4の画素と、
を含み、
前記配列の、行方向および列方向のそれぞれに対して前記第1の画素が1つおきに配置され、
前記配列の各行および各列は、それぞれ、前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素が1つずつ配置され、
前記画素ブロックは、さらに、
前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素を、前記配列の、該画素ブロックの対角と平行な方向である第1の斜め方向に少なくとも1つずつ含む並びと、該画素ブロックの対角と平行な方向であり該第1の斜め方向と異なる第2の斜め方向に少なくとも1つずつ含む並びと、を含む、
撮像装置。
(2)
前記画素アレイに含まれる画素のそれぞれから読み出された画素信号に対して信号処理を実行する信号処理部をさらに備え、
前記信号処理部は、
前記画素ブロックに含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素のうち、
前記配列から1つおきに選択した行および列に含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素による第1の画素群から読み出された前記画素信号と、
該第1の画素群と異なる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素による第2の画素群から読み出された前記画素信号と、
に対してそれぞれ独立して前記信号処理を実行する、
前記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記信号処理部は、
前記第1の画素群に含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素から読み出された前記画素信号に基づき第1の同時化処理を実行し、
前記第2の画素群に含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素から読み出された前記画素信号に基づき、第1の同時化処理とは独立に第2の同時化処理を実行する、
前記(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記信号処理部は、
前記第1の画素群および前記第2の画素群それぞれに含まれる前記第2の画素、前記第3の画素および前記第4の画素から読み出された前記画素信号に基づき第3の同時化処理をさらに実行し、
前記第1の同時化処理の処理結果と、前記第2の同時化処理の処理結果と、前記第3の同時化処理の処理結果と、のうち何れの処理結果を後段に出力するかを決定する、
前記(3)に記載の撮像装置。
(5)
前記信号処理部は、
前記第3の同時化処理として、前記第1の同時化処理の処理結果と、前記第2の同時化処理の処理結果と、の平均値を求める処理を実行する、
前記(4)に記載の撮像装置。
(6)
前記信号処理部は、
前記第1の同時化処理の処理結果に基づく色差と、前記第2の同時化処理の処理結果に基づく色差と、前記第3の同時化処理の処理結果に基づく色差と、のうち最も小さい色差に対応する処理結果を、後段に出力する処理結果として選択する、
前記(4)または(5)に記載の撮像装置。
(7)
前記第1の波長帯域は、可視光領域の全域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域である、
前記(1)乃至(6)の何れかに記載の撮像装置。
(8)
前記第1の波長領域は、黄色領域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域である、
前記(1)乃至(6)の何れかに記載の撮像装置。
(9)
前記第1の波長領域は、赤外領域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域である、
前記(1)乃至(6)の何れかに記載の撮像装置。
(10)
前記第1の波長帯域は、可視光領域の全域に対応する波長領域であり、
前記第2の波長領域、前記第3の波長領域および前記第4の波長領域は、それぞれ赤色光領域、緑色光領域および青色光領域に対応する波長領域であり、
前記信号処理部は、
前記選択された前記処理結果と、前記第1の画素から読み出された画素信号と、に基づき、該処理結果から赤外領域に対応する成分を除去する、
前記(4)乃至(6)の何れかに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0202】
1,1’ 撮像装置
10 撮像部
12,12’ 画像処理部
13 出力処理部
30 デュアルパスフィルタ
120,130,131,132,133 画素ブロック
300 IR分離処理部
310 赤外光成分生成部
320 可視光成分生成部
350 飽和画素検出部
1201 低周波成分同時化部
1202 高周波成分抽出部
1203,1203’ 偽色抑制処理部
1204 高周波成分復元部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25