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特許7566784撮像装置の操作設定を提供するためのコントローラおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】撮像装置の操作設定を提供するためのコントローラおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/36 20060101AFI20241007BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241007BHJP
【FI】
G02B21/36
H04N23/60
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021568191
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020063133
(87)【国際公開番号】W WO2020229448
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】19174697.3
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ペルツァー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ビンゲル
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0173852(US,A1)
【文献】米国特許第06154289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00 - 21/36
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
A61B 6/00 - 6/58
A61B 5/055 - 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置(102)の操作設定を提供するためのコントローラ(104)であって、前記コントローラ(104)は、
画像を取得するための好ましい操作設定をユーザに提供し、
ユーザ入力を受信して、前記ユーザ入力に基づき、前記撮像装置(102)によって生成された前記画像が前記ユーザによって受諾されたか否かについて示す応答情報を生成し、
前記応答情報に基づき機械学習アルゴリズムを用いて前記好ましい操作設定を更新する、
ように構成されており、
前記コントローラ(104)は、前記画像を取得した後に、前記操作設定のパラメータの第1のグループの設定パラメータが、前記ユーザによって、前記画像を取得するのに用いられた事前の操作設定と比べて変更された場合、前記画像が棄却されたことを示す前記応答情報を、取得された前記画像が良好であるか否かについての前記ユーザによる手動入力なしで生成するように構成されている、
コントローラ(104)。
【請求項2】
前記コントローラ(104)は、
前記画像が前記ユーザによって棄却されなかったことを前記応答情報が示す場合には、前記画像が良好な画像であると結論し、
前記画像が前記ユーザによって棄却されたことを前記応答情報が示す場合には、前記画像が良好な画像ではないと結論し、
前記機械学習アルゴリズムに、前記画像が良好な画像であると結論されたか否かについて示す情報を対応して供給する、
ようにさらに構成されている、
請求項1記載のコントローラ(104)。
【請求項3】
前記コントローラ(104)は、前記画像を取得するために使用された前記操作設定にさらに基づき前記好ましい操作設定を更新するように構成されている、
請求項1または2記載のコントローラ(104)。
【請求項4】
前記コントローラ(104)は、
前記画像が良好な画像であると結論された場合には、前記画像を取得するために使用された前記操作設定を強化するように前記好ましい操作設定を更新し、かつ/または
前記画像が良好な画像ではないと結論された場合には、前記画像を取得するために使用された前記操作設定を減衰させるように前記好ましい操作設定を更新する、
ように構成されている、
請求項3記載のコントローラ(104)。
【請求項5】
パラメータの前記第1のグループは、ヒストグラム設定、露光時間設定、ゲイン設定、コントラスト設定、照明光設定、対物レンズ設定、位置設定、時間設定、反復設定、ビニング設定、HDR設定、デジタル融合設定、カラー/白黒設定、自動露光オン/オフ設定および共焦点顕微鏡検査設定のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載のコントローラ(104)。
【請求項6】
前記コントローラ(104)は、前記画像を取得した後に、前記操作設定のパラメータの第2のグループの設定パラメータが、前記ユーザによって、前記画像を取得するのに用いられた事前の操作設定と比べて変更された場合、前記画像が棄却されなかったことを示す前記応答情報を生成するように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のコントローラ(104)。
【請求項7】
パラメータの前記第2のグループは、ズーム設定およびステージ設定のうちの少なくとも1つを含む、
請求項6記載のコントローラ(104)。
【請求項8】
前記コントローラ(104)は、前記画像が格納またはさらに処理された場合、前記画像が棄却されなかったことを示す前記応答情報を生成するように構成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載のコントローラ(104)。
【請求項9】
撮像装置(102)と、
前記撮像装置(102)の操作設定を提供するための請求項1から8までのいずれか1項記載のコントローラ(104)と、
を備える撮像システム(100)。
【請求項10】
前記コントローラ(104)は、更新された前記操作設定に基づき前記撮像装置(102)を自動的に制御するように構成されている、
請求項9記載の撮像システム(100)。
【請求項11】
前記撮像システムは、顕微鏡システムである、
請求項10記載の撮像システム(100)。
【請求項12】
撮像装置(102)の操作設定を提供する方法であって、前記方法は、
画像を取得するための好ましい操作設定をユーザに提供するステップと、
ユーザ入力を受信して、前記ユーザ入力に基づき、前記撮像装置によって生成された前記画像が前記ユーザによって棄却されたか否かについて示す応答情報を生成するステップと、
前記応答情報に基づき機械学習アルゴリズムを用いて前記好ましい操作設定を更新するステップと、
を含み、
前記画像が棄却されたことを示す前記応答情報は、前記画像を取得した後に、前記操作設定のパラメータの第1のグループの設定パラメータが、前記ユーザによって、前記画像を取得するのに用いられた事前の操作設定と比べて変更された場合、取得された前記画像が良好であるか否かについての前記ユーザによる手動入力なしで生成される、
方法。
【請求項13】
プロセッサ上で実行される場合に請求項12記載の前記方法を実施するためのプログラムコードを備えた、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の操作設定を提供するためのコントローラおよび方法に関する。本発明はさらに、撮像装置とその操作設定を提供するためのコントローラとを備えた撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡検査の分野では、最適な画質を達成するための顕微鏡の操作設定を見出すことが極めて求められている。通常、操作設定は、画像取得が開始され得る前に同時に最適化されるべき複数の設定パラメータを備える。設定パラメータの最適化は、ユーザにとって煩雑で時間のかかるタスクであり、画像取得ごとに繰り返されなければならない。したがって、最適な画質を簡単かつ再現可能な方法で達成するために、最適な操作設定を選択するのがユーザにとってより容易になるツールをユーザに提供することが極めて望ましい。
【0003】
最近では、顕微鏡が使用されるたびに多数の設定パラメータを調整する必要なしに、ユーザが適切な操作設定を見出すことを支援する機械学習アルゴリズムが開発されてきた。機械学習アルゴリズムを用いて操作設定を提供するための顕微鏡システムの一例は、独国特許出願公開第102014102080号明細書において開示されている。同明細書に開示されている機械学習アルゴリズムにより、顕微鏡システムは、どの設定パラメータが調整されるかに従って規則を学習することが可能となる。このシステムの学習は、顕微鏡の製造サイクルまたは開発サイクルの間に生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ユーザが撮像装置の適切な操作設定を素早くかつ最小限の手間で見出すことを可能にするコントローラおよび方法を提供することである。本発明の目的はさらに、上記の種類のコントローラを備える撮像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、撮像装置の操作設定を提供するためのコントローラが提案される。コントローラは、画像を取得するための好ましい操作設定をユーザに提供するように構成されている。コントローラはさらに、ユーザ入力を受信して、このユーザ入力に基づき、撮像装置によって生成された画像がユーザによって受諾されたか否かについて示す応答情報を生成するように構成されている。コントローラはさらに、応答情報に基づき機械学習アルゴリズムを用いて好ましい操作設定を更新するように構成されている。
【0006】
撮像装置の操作設定は、所望に応じて撮像装置を作動させるのに適切な、複数の設定パラメータを備えていてよい。特に、操作設定は、撮像装置によって生成された対象物画像の品質を判定するパラメータを備えていてよい。
【0007】
応答情報には、撮像装置によって生成された画像がユーザによって棄却されたか否か、または設定パラメータがユーザによって変更されたか否かについて示す情報が含まれていてよい。
【0008】
画像が取得される前に、コントローラは、ユーザに好ましい操作設定を提供する。この好ましい操作設定は、後続の画像取得のために直接に使用されてよい、すなわち画像取得の前にユーザによって変更されることなしに使用されてよい。これとは択一的に、好ましい操作設定は、画像が取得される前にユーザによって変更されてよい。このような場合、好ましい操作設定は、変更された操作設定でもって上書きされ、この変更された操作設定は、続いて画像取得のために使用される。
【0009】
最初にコントローラによって提供された上記の好ましい設定、またはユーザによって変更されて好ましい設定を上書きする設定であってよい操作設定に基づき画像が取得された後、コントローラは、選択された操作設定に従って撮像装置によって生成された画像がユーザによって棄却されたか否かについてコントローラが判定できることに基づき、ユーザ入力を受信する。続いて、ユーザ入力から導出されたこの応答情報に基づき、コントローラは、機械学習アルゴリズムを適用する好ましい操作設定を更新する。
【0010】
応答情報は、撮像装置の好ましい操作設定を効率的に更新するための機械学習アルゴリズムによって使用され得る単純な判定基準を表す。特に、応答情報は、撮像装置によって実施される撮像操作の間にユーザ入力に基づき生成されるので、機械学習アルゴリズムを用いて操作設定を更新するプロセスは、ユーザが撮像装置でもって実際に作業している間に実施され得る。したがって、ユーザが撮像装置でもって作業している間に、実際の画像取得に先行する別個の学習プロセスを実装する必要はない。換言すれば、例えば上記の独国特許出願公開第102014102080号明細書によって教示されているように、ユーザは、取得された画像が良好であるか否かについて手動で投票する必要はない。対照的に、本発明の実施形態に係るコントローラは、ユーザの挙動に基づき、取得された画像が良好であるか否かについて結論する。この結論に基づき、コントローラは、機械学習アルゴリズムを供給することができる。
【0011】
提案されたコントローラにより、好ましい操作設定の信頼性のある予測および予測された設定の即時の適用が可能となる。したがって、ワークフローを改善することが可能であり、ユーザは、画像取得が開始され得る前であっても、複数の設定パラメータを調整する必要性から解放される。予測は、進行中の撮像プロセスにおいて取得された現在の画像がユーザによって受諾されたかまたは棄却されたかについて示す、先行するユーザ入力に基づいている。
【0012】
好ましくは、コントローラはさらに、画像がユーザによって棄却されなかったことを応答情報が示す場合には、画像が良好な画像であると結論し、画像がユーザによって棄却されたことを応答情報が示す場合には、画像が良好な画像ではないと結論し、機械学習アルゴリズムに、画像が良好な画像であると結論されたか否かについて示す情報を対応して供給するように構成されている。下記において、良好な画像とは、特に画質に関してユーザの期待に適った画像として理解することができ、したがって、画像取得に続いて生じるユーザ入力は、画像が受諾された、つまりユーザによって棄却されなかったことを示している。したがって、良好な画像は、ユーザが撮像プロセスの間に何らかの方法で作業を継続するのに用いられる画像であってよい。上記に定義したようにユーザによって良好な画像であると受諾されなかった画像は、以下において不良な画像という。
【0013】
好ましい実施形態によれば、コントローラは、画像を取得するために使用された操作設定に基づき好ましい操作設定をさらに更新するように構成されている。画像取得のために使用された設定は、最初にコントローラによって提供された上記の好ましい操作設定、または画像取得のために使用されるべき、ユーザによって意図的に調整された設定であってよい。この意図的に調整された設定は、好ましい操作設定から導出されてよい。
【0014】
本実施形態において、好ましい操作設定の更新、つまり画像取得のために使用されるべき次の設定の予測は、事前の設定に基づき行われる。したがって、コントローラは、機械学習アルゴリズムに現在の操作設定を供給することができ、これにより後の段階でユーザによって必要とされる可能性がある操作設定について判定することができる。
【0015】
好ましくは、コントローラは、画像が良好な画像であると結論された場合には、画像を取得するために使用された操作設定を強化するように好ましい操作設定を更新し、かつ/または画像が良好な画像ではないと結論された場合には、画像を取得するために使用された操作設定を減衰させるように好ましい操作設定を更新するように、構成されている。このような実施形態では、強化機械学習は、良好な画像により選択された操作設定が強化され、いわば、好ましい操作設定の更新により画像を取得するために使用された設定を完全にするように実施されてよい。対照的に、不良な画像は、現在の操作設定を減衰させる、すなわち好ましい操作設定の更新により画像を取得するために使用された設定から逸脱する。例えば、好ましい設定パラメータが値Aを有すると仮定する。次いで、ユーザは、変更されたパラメータ値BでもってAを上書きし、値Bに基づき画像が取得される。取得された画像が良好な画像である場合には、後続の好ましいパラメータはBであってよい。一方、取得された画像が不良な画像である場合には、次の好ましい設定パラメータは再びAであってよい。
【0016】
好ましい実施形態によれば、コントローラは、画像を取得した後に、操作設定のパラメータの第1のグループの設定パラメータが、ユーザによって、画像を取得するのに用いられた事前の操作設定と比べて変更された場合、画像が棄却されたことを示す応答情報を生成するように構成されている。
【0017】
好ましくは、パラメータの第1のグループには、ヒストグラム設定、露光時間設定、ゲイン設定、コントラスト設定、照明光設定、対物レンズ設定、位置設定、時間設定、反復設定、ビニング設定、HDR設定、デジタル融合設定、カラー/白黒設定、自動露光オン/オフ設定および共焦点顕微鏡検査設定のうちの少なくとも1つが含まれている。
【0018】
照明光設定には、光セグメントと組み合わせたリングライト用のオン/オフ設定、同軸光用のオン/オフ設定、透過光用のオン/オフ設定を含む、各種類の光のための設定が含まれていてよい。対物レンズ設定には、概観画像用の対物レンズ、ZスタックおよびZスタック高さ用の対物レンズを選択するための設定が含まれていてよい。位置設定には、行用の設定、列用の設定およびこれらの組合せが含まれていてよい。時間設定には、時間周期用の設定、時間間隔用の設定等が含まれていてよい。共焦点顕微鏡検査設定には、平均回数設定、速度設定、フォーマット設定、双方向スキャンオン/オフ設定、ピンホールサイズ設定、モータ駆動式コレクションリング設定、自動ゲインオン/オフ設定、放射設定、励起光設定、染色剤設定が含まれていてよい。
【0019】
好ましくは、コントローラは、画像を取得した後に、操作設定のパラメータの第2のグループの設定パラメータが、ユーザによって、事前の操作設定と比べて変更された場合、画像が棄却されなかったことを示す応答情報を生成するように構成されている。
【0020】
好ましくは、パラメータの第2のグループには、ズーム設定およびステージ設定のうちの少なくとも1つが含まれている。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、コントローラは、画像が格納またはさらに処理された、つまりさらなる操作が使用された場合、画像が棄却されなかったことを示す応答情報を生成するように構成されている。さらなる処理には、アノテーション、測定、クロッピング等が含まれていてよい。
【0022】
別の態様によれば、撮像装置と、上記に説明したような撮像装置の操作設定を提供するためのコントローラと、を備えた撮像システムが提供される。
【0023】
コントローラは、更新された操作設定に基づき撮像装置を自動的に制御するように構成されていてよい。
【0024】
好ましい実施形態では、撮像装置は、顕微鏡システム、例えば共焦点顕微鏡システムである。
【0025】
別の態様によれば、撮像装置の操作設定を提供する方法であって、次のステップ、すなわち、画像を取得するための好ましい操作設定をユーザに提供するステップと、ユーザ入力を受信して、このユーザ入力に基づき、撮像装置によって生成された画像がユーザによって棄却されたか否かについて示す応答情報を生成するステップと、応答情報に基づき機械学習アルゴリズムを用いて好ましい操作設定を更新するステップと、を含む方法が提供される。
【0026】
別の態様によれば、プロセッサ上で実行される場合に方法を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラムが提供される。
【0027】
以下に、図面を参照しながら好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係るコントローラを含む撮像システムを示すブロック図である。
図2】撮像装置の操作設定を提供するためのワークフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、一実施形態に係る撮像システム100がブロック図で示されている。本実施形態では、撮像システム100は、顕微鏡システムによって形成されている。
【0030】
撮像システム100は、撮像装置102、例えば顕微鏡と、コントローラ104と、を備える。本発明では、コントローラ104は、入力モジュール106と学習モジュール108とを含み得る。両モジュール106,108は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装され得る。さらに本実施形態では、コントローラ104は、撮像システム100の操作全体を制御するように構成されている。
【0031】
特に、撮像装置102が始動すると、コントローラ104は、ユーザに好ましい操作設定を提供する。この好ましい操作設定は、複数の設定パラメータを備えていてよく、これらの設定パラメータは、撮像装置102を制御するのに役立ち、これにより画像を取得することができる。好ましい操作設定は、コントローラ104に含まれるメモリ手段にあらかじめ格納されていてよい。好ましい操作設定についてユーザに知らせるために、撮像システム100は、例えばモニタ(図1には図示せず)を備えていてよく、このモニタ上に好ましい操作設定が表示される。
【0032】
任意選択的に、好ましい操作情報は、撮像されるべきサンプルについての情報に応じて調整または選択され得る。ユーザインタフェースは、ユーザによって入力されるサンプル情報を受信するように構成されていてよい。これとは択一的に、サンプルについての情報は、測定によって収集され、この測定の結果がサンプル情報の形態でユーザインタフェースに転送される。このような測定により、ユーザがこのような情報をユーザインタフェースに入力する必要なしに、具体的なサンプル特性についての情報を提供することができる。したがって、このような情報を受信する両方法、つまりユーザ入力およびサンプル測定による方法が可能である。ユーザインタフェースを介して受信されたサンプル特性についての情報に応じて、コントローラ104は、顕微鏡の1つまたは複数の顕微鏡コンポーネントを自動的に調整することができる。
【0033】
好ましい操作設定が選択されかつ/または調整された後、撮像装置102は、画像を生成するために作動させられる。このために、撮像装置102は、好ましい操作設定に基づき、または画像が取得される前にユーザによって変更された操作設定に基づき制御される。後者の場合、好ましい操作設定は、対応するユーザ入力に応じてコントローラ104のメモリ手段において上書きされてよい。
【0034】
撮像装置によって画像が捕捉された後、コントローラ104の入力モジュール106は、撮像システム100に含まれる適切な入力装置を用いてユーザによって作成されたユーザ入力を受信する。このような入力装置は、ユーザ入力を入力モジュール106に送信するように構成されたコントロールパネル、キーボード等であってよい。コントローラ104は、ユーザ入力に基づき応答情報を生成する、つまり撮像装置102によって生成された画像がユーザによって受諾もしくは棄却されたか否か、または設定パラメータがユーザによって変更されたか否かについて示す前記応答情報をユーザ入力から導出するように構成されている。
【0035】
続いてユーザ入力から導出された応答情報に基づき、コントローラ104は、学習モジュール108を用いて好ましい操作設定を更新する。このために、学習モジュール108は、応答情報を含む入力データに機械学習アルゴリズムを適用するように構成されている。このアルゴリズムにより、次の画像取得のために撮像装置を作動させる際に、ユーザによって好ましいと見なされる操作設定の予測が可能となる。この点において、コントローラ104は、ユーザが撮像装置102を用いて実際に作業している間に、学習モジュール108を用いて操作設定を更新するように構成されているということに注目すべきである。換言すれば、画像取得と操作設定を更新するプロセスとは、同時に実施される。したがって、コントローラ104は、更新された操作設定に基づき撮像装置102を自動的に制御可能である。
【0036】
撮像装置102によって生成された画像がユーザによって棄却されたか否かについて応答情報が示していることに加えて、コントローラ104の学習モジュール108には、画像を取得するために現在使用されている操作設定がさらに供給され、これにより設定の次の更新を予測することができる。好ましい操作情報がサンプルについての情報に応じて調整または選択される場合、コントローラ104の学習モジュール108には、操作設定が供給されてもよい。
【0037】
図2は、図1の撮像システム100に含まれる撮像装置102の操作設定を更新するための例示的なワークフローを示すフローチャートである。簡便性のために、図2は、ブロック図および流れ図の要素を組み合わせた一種のハイブリッド図となっている。特に、図2には、学習モジュール108と撮像システム100の残りの部品との間のインタラクションが示されている。
【0038】
図2に示されたワークフローのステップS1では、コントローラ104は、撮像装置102によって生成された画像がユーザによって棄却されたか否かについて判定する。このために、コントローラ104は、例えばモニタ上に表示されることによってユーザに提示された画像に応じてユーザが入力したユーザ入力によって導出された応答情報を分析する。コントローラ104がS1において、画像が棄却されなかったと判定した場合、コントローラ104はステップS2において、画像が良好な画像であると結論する。一方、コントローラがS1において、画像がユーザによって棄却されたと判定した場合、コントローラはステップS3において、画像が不良な画像であると結論する。
【0039】
画像が棄却されたか否か、すなわち画像が良好な画像または不良な画像のどちらであるかについての結論は、画像が取得された後に、操作設定の1つまたは複数の具体的な設定パラメータがユーザによって変更されたか否かに応じて導き出され得る。例えば、画像を取得した後に、操作設定のパラメータの第1のグループの設定パラメータが、ユーザによって、画像を取得するのに用いられた事前の操作設定と比べて変更された場合、画像は、不良な画像である、つまり棄却されたと結論され得る(ステップS3)。上記のパラメータの第1のグループには、ヒストグラム設定、露光時間設定、ゲイン設定、コントラスト設定、照明光設定、対物レンズ設定、位置設定、時間設定、反復設定、ビニング設定、HDR設定、デジタル融合設定、カラー/白黒設定、自動露光オン/オフ設定および共焦点顕微鏡設定のうちの少なくとも1つが含まれていてよい。
【0040】
一方、画像を取得した後に、操作設定のパラメータの第2のグループの設定パラメータが、ユーザによって、画像を取得するのに用いられた事前の操作設定と比べて変更された場合、画像は、良好な画像である、つまりユーザによって受諾されたまたは棄却されなかったと結論され得る(ステップS2)。例えば、上記のパラメータの第2のグループには、ズーム設定およびステージ設定のうちの少なくとも1つが含まれていてよい。換言すれば、画像は、ズーム設定および/またはステージ設定のみが変更された場合には棄却されない。さらに、画像が別の方法で格納またはさらに処理された場合、画像は、良好な画像である、つまり棄却されなかったと結論され得る。したがって、このような画像のさらなる処理は、ユーザが進んで画像の使用を継続し、ひいては画像を受諾したことについて示している。
【0041】
図2に示されたワークフローのステップS4では、コントローラ104の学習モジュール108には、現在の画像が良好な画像または不良な画像であると結論されたことを示す応答情報が供給される。さらに本実施形態では、学習モジュール108には、現在の画像を取得するために使用された操作設定がさらに供給される。上記の情報を考慮して学習アルゴリズムを適用すると、学習モジュール108は、次の画像取得に使用されるべき好ましい操作設定のうちのどれが更新されるかに基づき、予測を行う。結果として、学習モジュール108は、撮像システム100に、次に使用されるべき更新された好ましい操作設定を提供する。
【0042】
現在の画像を取得するために使用された操作設定を使用すると、学習モジュールは、好ましい操作設定を、操作設定の肯定または否定のいずれかとして更新することができる。したがって、学習モジュール108は、良好な画像により選択された操作設定が強化される一方で不良な画像により現在の操作設定が減衰されるように、強化機械学習を適用するように構成されていてよい。
【0043】
画像は、取得された単一画像、取得された画像シーケンスもしくは取得された画像セットであってよく、または「ライブ」画像、つまり顕微鏡によって連続的に取得、表示および更新された鮮明な画像シーケンスもしくはフレームシーケンスであってよい。
【0044】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0045】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0047】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0048】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0049】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0050】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0051】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0052】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0053】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0054】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0056】
100 撮像システム
102 撮像装置
104 コントローラ
106 入力モジュール
108 学習モジュール
S1~S4 ステップ
図1
図2