IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディディピー スペシャリティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス インコーポレーテッドの特許一覧

特許7566788二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法
<>
  • 特許-二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法 図1
  • 特許-二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法 図2
  • 特許-二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法 図3
  • 特許-二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法 図4
  • 特許-二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法 図5
  • 特許-二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法 図6
  • 特許-二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】二成分型界面材料、界面材料を含む系、及びその方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/80 20060101AFI20241007BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20241007BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20241007BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20241007BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20241007BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20241007BHJP
   C08G 18/24 20060101ALI20241007BHJP
   C08G 18/20 20060101ALI20241007BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
C08G18/80 067
C08L75/04
C08K3/22
C08K9/00
C08G18/32 025
C08G18/00 030
C08G18/24
C08G18/20
C08G18/10
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021569020
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 US2020032072
(87)【国際公開番号】W WO2020236440
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】62/850,797
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】グルンダー、セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】アシュワンデン、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヒレスハイム、ニーナ
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505507(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1830523(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)少なくとも、
a)2つ以上のカルバメート基を含むプレポリマーを含む第1の成分と、
ii)少なくとも、
b)前記プレポリマーと反応が可能な1つ以上のポリアミン化合物を含む第2の成分と、を含む、熱界面材料用二液型組成物であって、
前記組成物は、
c)前記プレポリマーと前記ポリアミン化合物との間の反応を触媒するための1つ以上の触媒と、
d)前記二液型組成物の総重量を基準に50重量パーセント以上の1つ以上の伝導性充填材と、を含み、
前記プレポリマーは、芳香族ポリイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基のうちの1つ以上が、ブロック化化合物のフェノール基でブロック化されている、
二液型組成物。
【請求項2】
前記芳香族ポリイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基のそれぞれは、ブロック化化合物のフェノール基でブロック化されている、請求項1に記載の二液型組成物。
【請求項3】
前記ブロック化化合物は、直鎖炭化水素に結合した末端フェノール基をむ、請求項1または2に記載の二液型組成物。
【請求項4】
前記1つ以上のポリアミン、前記プレポリマー、又はその両方が、2超の平均官能性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項5】
前記1つ以上の熱伝導性充填材が、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム粉、酸化亜鉛、窒化ホウ素、及び/又はこれらのいずれかの混合物から選択される充填材を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項6】
前記1つ以上の熱伝導性充填材が、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び/又はこれらのいずれかの混合物から選択される充填材を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項7】
前記1つ以上の熱伝導性充填材は水酸化アルミニウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項8】
前記1つ以上の伝導性充填材は水酸化アルミニウムを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項9】
前記第1の成分は75重量パーセント以上の水酸化アルミニウムを含み、前記第2の成分は75重量パーセント以上の水酸化アルミニウムを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項10】
前記水酸化アルミニウムの表面が、前記表面の親水性を低減するために表面改質剤で部分的又は完全にコーティングされている、請求項1~9のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項11】
前記組成物が、3以上のD90/D50比を含む広い粒度分布を有する水酸化アルミニウムを含み、前記粒度は、分散媒としてピロリン酸4ナトリウム10水和物の2.24×10-3M溶液(1000mlの脱イオン水中に1gのNa×10HO)を用いてISO13320に従って測定される、請求項1~10のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項12】
前記組成物が1つ以上の可塑剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項13】
前記組成物が脂肪酸又は脂肪酸のエステルを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項14】
前記組成物が前記第1の成分中にエポキシ樹脂を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項15】
記第1の成分のNCOの量が、前記第1の成分の総重量を基準に0.10重量パーセント以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項16】
前記第1の成分中の前記カルバメート基と前記第2の成分中の前記アミン基とのモル比が、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、若しくは0.6以上、及び/又は10以下、5.0以下、3.5以下、2.5以下、2.0以下、若しくは1.7以下である、請求項1~15のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項17】
前記第1の成分が炭酸カルシウムを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項18】
前記触媒はルイス酸又はルイス塩基である、請求項1~17のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項19】
前記触媒はスズ触媒である、請求項1~18のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項20】
前記触媒はアミン触媒である、請求項1~18のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項21】
前記触媒はDABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)である、請求項1~20のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項22】
前記第1の成分が前記触媒の一部又は全部を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項23】
前記組成物が、ASTM5470-12に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で測定して2.0W/mK以上の熱伝導性によって特性決定され、試験は厚さ1.8~1.2mmのSpaltplusモードで実施され、前記記載される熱界面材料は、ASTM5470-12に記載されるタイプI(粘稠液体)であると考えられ、上部接触部は40℃に加熱され、下部接触部は10℃に加熱されて、25℃の試料温度をもたらす、請求項1~22のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項24】
前記二液型組成物は室温で硬化する、請求項1~23のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項25】
前記第1の成分は貯蔵安定性である、請求項1~24のいずれか一項に記載の二液型組成物。
【請求項26】
熱を発生させる第1の構成要素、熱を除去するための第2の構成要素、及び前記第1の構成要素と前記第2の構成要素との間に挟入された熱界面材料の層であって、前記熱界面材料は前記第1の構成要素から前記第2の構成要素に熱を移動させるための経路を提供し、且つ請求項1~25のいずれか一項に記載の二液型組成物から形成される、層、を含む、物品。
【請求項27】
第1の構成要素と第2の構成要素との間に熱界面材料の層を配置する工程と、前記熱界面材料が前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素の両方と接触して前記2つの構成要素間の間隙を充填するように圧力を加える工程とを含み、前記熱界面材料は、請求項1~25のいずれか一項に記載の二液型組成物から形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の教示は、一般的に高い熱伝導性を有する熱界面材料、熱界面材料を含む構成要素及び物品、並びに関連する方法を対象とする。熱界面材料は、好ましくは二成分型組成物から形成され、各成分は、室温で液体であるマトリックス相と、マトリックス相中に分散した1つ以上の熱伝導性充填材とを含む。第1の成分のマトリックス相は、好ましくはカルバメート含有化合物を含み、第2の成分のマトリックス相は、好ましくはカルバメート反応性化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
自動車産業では、過去10年間に車両の重量を低減する傾向が起きた。この軽量の傾向は、主に、車両のCO排出を削減するための規制により促進された。近年、軽量構造の戦略は、電動式車両数の増加によって更に助長された。成長する自動車市場と成長する電気式車両の市場シェアとの組み合わせにより、電動式車両数の高い成長がもたらされる。エネルギー密度が高い高航続距離の電池を提供することが必要とされる。いくつかの電池戦略は、現在、細部が異なる構想に従っているが、全ての長距離耐久性電池の構想で、熱管理が必要である点は共通している。特に、電池セル又はモジュールを冷却ユニットと熱的に接続するためには、二成分型反応性組成物をベースとする熱界面材料が必要とされる。
【0003】
伝導性充填材及び二成分型反応性組成物を含む様々な組成物が、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、PCT国際公開第2001/041213A1号パンフレット、同第2014/047932A1号パンフレット、同第2015/148318A1号パンフレット、同第2016/145651A1号パンフレット、同第2017/091974A1号パンフレット、同第2018/34721号パンフレット、及び同第2006/016936A1号パンフレット、欧州特許出願第1438829A1号明細書、特開2010/0138357号公報、並びに米国特許出願公開第2009/0250655A1号明細書に記載される。これらの従来の試みでは、組成物は、組成物の熱伝導性が不十分である、組成物の製造が困難である、組成物が間隙を適切に充填しないために接触が不十分である、組成物の構成要素が室温で反応しない、構成要素のうち一方又は両方が貯蔵寿命安定性に劣る、組成物が高価な材料を必要とする、或いは組成物が、加工装置を破損させ得る摩耗性充填材を必要とするなどの、安価な熱界面材料に対する必要性のうちの1つ以上に悩まされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高熱伝導性及び低粘度の両方を有する熱界面材料(及び、特に二成分型組成物)に対する必要性が引き続き存在する。非摩耗性の充填材料を有する熱界面材料に対する必要性も引き続き存在する。また、原料コスト及び/又は製造/加工コストの点でより経済的な熱界面材料に対する必要性も引き続き存在する。室温で流動して間隙を充填することが可能な、高い充填材含有量を有する二成分型組成物に対する必要性も存在する。上記の必要性の1つ以上を満たし、以下の特徴のうちの1つ以上を更に有する材料に対する必要性も存在する:貯蔵安定性(例えば、エージング後に室温で流動する能力を維持する)、室温で反応して重合、架橋、若しくはその両方を行う能力、良好な熱伝導性、摩耗性充填材の使用を実質的若しくは完全に回避する、又は軽量(例えば、約3以下、約2.8以下、約2.6以下、約2.5以下、又は約2.4以下の比重を有する)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の必要性のうち1つ以上が、本明細書の教示に従う熱界面材料を用いて達成することができる。
【0006】
本明細書の教示の第1の態様は、2つ以上のカルバメート基を含む少なくとも1つのプレポリマーを備える第1の成分と、プレポリマーと反応することが可能な少なくとも1つ以上のポリアミン化合物を備える第2の成分とを含む熱界面材料用二成分型組成物を対象とする。組成物は、好ましくは(第1の成分、第2の成分、又はその両方に)プレポリマーとポリアミン化合物との間の反応を触媒するための1つ以上の触媒、及び二成分型組成物の総重量を基準に50重量パーセント以上の1つ以上の伝導性充填材を含む。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1の構成要素と第2の構成要素との間に本発明の熱界面材料の層を配置する工程と、熱界面材料が第1の構成要素及び第2の構成要素の両方と接触して2つの構成要素間の間隙を充填するように圧力を加える工程とを含む方法である。
【0008】
第1の態様は、更に、以下の特徴の1つ又は任意の組み合わせを特徴とし得る:プレポリマーは、芳香族ポリイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基のうちの1つ以上(好ましくはイソシアネート基のほぼそれぞれ、又は完全にそれぞれ)をブロック化合物のフェノール基でブロック化することによって形成される;ブロック化化合物は、直鎖炭化水素に結合した末端フェノール基(好ましくは単一の末端フェノール基)を含む(好ましくは、直鎖炭化水素は6個以上、8個以上、10個以上、又は12個以上の炭素原子を含む)(好ましくは、直鎖炭素は60個以下、30個以下、又は20個以下の炭素原子を含む);1つ以上のポリアミン、プレポリマー、又はその両方が、2超の平均官能性を有する;1つ以上の熱伝導性充填材が、好ましくは水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム粉、酸化亜鉛、窒化ホウ素、及びこれらの混合物から選択される;第1の成分が、好ましくは水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム粉、酸化亜鉛、窒化ホウ素、及びこれらの混合物から選択される熱伝導性充填材を75重量パーセント以上含む;第2の成分が、好ましくは水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム粉、酸化亜鉛、窒化ホウ素、及びこれらの混合物から選択される熱伝導性充填材を75重量パーセント以上含む;好ましくは、熱伝導性充填材、例えば水酸化アルミニウムの表面が、表面の親水性を低減するために表面改質剤で部分的又は完全にコーティングされている;組成物が、約3以上のD90/D50比によって特性決定される広い粒度分布を有する、好ましくは水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム粉、酸化亜鉛、窒化ホウ素、及びこれらの混合物から選択される熱伝導性充填材を含む;組成物が好ましくは1つ以上の可塑剤を含む;組成物が好ましくは脂肪酸又は脂肪酸のエステルを含む;組成物が第1の成分中にエポキシ樹脂を含む;プレポリマーとエポキシ樹脂との重量比が、約0.5以上、より好ましくは約0.8以上、更により好ましくは約1.0以上である;プレポリマーとエポキシ樹脂との重量比が、約10以下、約5以下、又は約4以下である;組成物がイソシアネート含有化合物を実質的に含まない;第1の成分のNCOの量が、第1の成分の総重量を基準に約0.10重量パーセント以下、約0.05重量パーセント以下、又は約0.01重量パーセント以下である;第1の成分中のカルバメート基と第2の成分中のアミン基とのモル比が、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、又は約0.6以上である;第1の成分中のカルバメート基と第2の成分中のアミン基とのモル比が、約及び/又は約10以下、約5.0以下、約3.5以下、約2.5以下、約2.0以下、又は約1.7以下である;第1の成分が炭酸カルシウムを含む;第1の成分及び/又は組成物中の炭酸カルシウムの量が、約0.1重量パーセント以上、好ましくは約0.5重量パーセント以上、又は約1.0重量パーセント以上である;第1の成分が触媒の一部又は全部を含む;組成物が、ASTM5470-12に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で約2.0W/mK以上、好ましくは約2.5以上、より好ましくは約2.8以上、更により好ましくは約2.9以上、及び最も好ましくは約3.0以上の熱伝導性によって特性決定され、試験は厚さ1.8~1.2mmのSpaltplusモードで実施された。記載される熱界面材料は、ASTM5470-12に記載されるタイプI(粘稠液体)であると考えられる。上部接触部は約40℃に加熱され、下部接触部は約10℃に加熱されて、約25℃の試料温度をもたらす。A及びB構成要素は手動カートリッジシステムから適用されるとスタティックミキサで混合される;二成分型組成物は室温で硬化する(好ましくは、混合後24時間のエージング後に約60%以上、又は約100%以上の圧入力の増加によって特性決定して);第1の成分は貯蔵安定性である(例えば、55℃で3日間のエージング後に700N未満の第1の成分の圧入力によって特性決定して);或いは二成分型組成物は約2.5以下の比重によって特性決定される。
【0009】
本明細書の教示に従う別の態様は、以下を含む物品を対象とする:熱を発生させる第1の構成要素、熱を除去するための第2の構成要素、及び第1の構成要素と第2の構成要素との間に挟入された熱界面材料の層であって、熱界面材料は第1の構成要素から第2の構成要素に熱を移動させるための経路を提供する、層。熱界面材料は、好ましくは、本明細書の教示に従う二成分型組成物によって形成される。
【0010】
本明細書の教示に従う別の態様は、第1の構成要素と第2の構成要素との間に熱界面材料の層を配置する工程と、熱界面材料が第1の構成要素及び第2の構成要素の両方と接触して2つの構成要素間の間隙を充填するように圧力を加える工程とを含む方法を対象とする。熱界面材料は、好ましくは、本明細書の教示に従う二成分型組成物から形成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】概ね狭い粒度分布を備える充填材を有する組成物(A)、概ね広い粒度分布を備える充填材を有する組成物(B)、及び、表面改質された、概ね広い粒度分布を備える充填材を有する組成物(C)の特徴を例示する図である。
図2】表面改質剤と伝導性充填材との間の反応の特徴を例示する図である。例えば表面改質剤は表面の疎水性を変化させ得る。
図3】様々な量の充填材を有する例示的な組成物を示す図であり、ここで充填材(A)は狭い粒度分布を有し、(B)は広い粒度分布を有し、(C)は広い粒度分布及び表面改質剤を有して、マトリックス相材料と充填材との結合を低減又は最小化する。
図4】広い粒度分布を有する例示的な伝導性充填材の光学顕微鏡写真である。
図5】熱界面材料を含むデバイスの例示的な特徴を示す図である。
図6】熱界面材料を含む電池の例示的な図である。
図7】本明細書の教示に従う、使用又は回避され得る様々な化学反応を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別段の定めがない限り、用語「から本質的になる」は、約90重量パーセント以上、約95重量パーセント以上、約98重量パーセント以上、又は約99重量パーセント以上の量を含む。
【0013】
別段の定めがない限り、用語「伝導性(conductive)」及び「伝導性(conductivity)」は、「熱伝導性(thermally conductive)」及び「熱伝導性(thermal conductivity)」を指す。
【0014】
熱界面材料は、2つ以上の相、好ましくは2つの相を含む。熱界面材料の第1の相はマトリックス相である。マトリックス相は、好ましくは連続相である。しかしながら、マトリックス相は共連続相であってもよく、且つ/又は1つ以上の副相を含んでもよい。好ましくは、マトリックス相は、1つ以上のポリマー、オリゴマー、又は重合性化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又は完全にそれからなる。マトリックス相は、好ましくは、室温で液体であるか、或いは液体化するのに最小限の加熱しか必要としない1つ以上の材料を含むか、本質的にそれからなるか、又は完全にそれからなる。第2の相は、マトリックス相中に分散している不連続相である。不連続相は、不連続相とマトリックス相との間に界面を提供する1つ以上の追加相でコーティングされてもよいことが理解されよう。典型的には、マトリックス相は、一般的に低い熱伝導性(例えば、約1W/mK以下、又は約0.2W/mK以下)を有する材料を含み、そのため、組成物の熱伝導性は主に不連続相に依存する。不連続相は、室温で固形である1つ以上の充填材料を含む。充填材相は多くの熱輸送を提供することが必要であるため、充填材粒子が一般にはマトリックス相中に分散しているという事実を克服するためには、高濃度の充填材を含むことが必要である。
【0015】
熱界面材料は、単一の組成物から形成されてもよく、或いは、それぞれが異なる組成を有する2つ以上の成分を合わせることにより形成されてもよい。例えば、熱界面材料は、二成分型組成物の第1の成分(A構成要素)と第2の成分(すなわちB構成要素)とを混合することによって形成され得る。典型的には、混合すると、各成分のマトリックス相を合わせることにより組成物のマトリックス相が形成される。合わせられたマトリックス相は反応性であり、その結果、マトリックス相中の1つ以上の化合物の分子量が増加することが好ましい。一例として、第1の成分中の化合物は、第2の成分中の化合物と反応し得る。別の例として、第1の成分中の化合物の反応は、第2の成分中の触媒によって促進され得る。反応は、マトリックス相の粘度を増加させる任意の反応であってよい。好ましくは、反応は、重合反応、架橋反応、又はその両方を含む。いくつかの用途では、熱界面材料は、感温性構成要素と接触し、構成要素を劣化するか又は性能を失う場合のある温度まで加熱することを回避するのが望ましい。好ましくは、反応は約50℃以下、約40℃以下、約30℃以下、又は約23℃以下の反応温度で進行可能である。好ましくは、反応は約-10℃以上、約0℃以上、又は約10℃以上の反応温度で進行可能である。例えば、反応は、約室温(例えば約23℃)で起こり得る。反応が発熱性である場合は、このエネルギーの解放に起因する温度上昇は、典型的には約30℃以下、約20℃以下、又は約10℃以下である。いくつかの用途では、反応は急速に(例えば約1時間以下で)起きることが望ましい。しかしながら、急激な温度上昇が回避されるように、反応がより長い期間にわたり起こることが好ましい。好ましくは、反応時間は約30分以上、より好ましくは約1時間以上、更により好ましくは約4時間以上、更により好ましくは約8時間以上、最も好ましくは約24時間以上であってもよい。反応時間は、典型的には約30日間以下、約15日間以下、又は約7日間以下である。
【0016】
熱界面材料が二成分型組成物として提供される場合、2つの成分は任意の便利な体積比で合わせられ得る。第1の成分と第2の成分との体積比は、約100:1以下、約10:1以下、約3:1以下、約2:1以下、又は約1:1以下であってよい。第1の成分と第2の成分との体積比は、約1:100以上、約1:10以上、約1:3以上、約1:2以上、又は約1:1以上であってよい。第1の成分と第2の成分とは別々にパッケージ化されてもよい。第1の成分及び第2の成分は単一の容器中にパッケージ化されてもよく、典型的には、2つの成分は使用前の接触及び/又は混合を回避するために隔離される。
【0017】
熱界面材料は、組成物中の充填材に起因して、典型的には約1.50以上、又は約1.8以上の比重を有する。輸送中などのいくつかの用途では、熱界面材料が軽量であることが望ましい場合がある。好ましくは、熱界面材料は、約4.0以下、より好ましくは約3.0以下、更により好ましくは約2.5以下、更により好ましくは約2.4以下、最も好ましくは約2.3以下の比重を有する。
【0018】
充填材
本明細書の教示に従う組成物は、組成物の熱伝導性を増加させるために1つ以上の充填材を含む。充填材としては、超高伝導性充填材(例えば、約100W/mKの熱伝導性を有する充填材)が挙げられ得るものの、こうした充填材は典型的には摩耗性及び/又は高価である。好ましくは、1つ以上の充填材は、約80W/mK以下、約50W/mK以下、約30W/mK以下、約20W/mK以下、又は約15W/mK以下の熱伝導性を有する1つ以上の伝導性充填材を含むか、本質的にそれからなるか、又は完全にそれからなる。伝導性充填材は、好ましくは、約3W/mK以上、約4W/mK以上、約5W/mK以上、又は約6W/mK以上の熱伝導性を有する。伝導性充填材は、約10+/-10%、約10+/-20%、又は約10+/-30%の熱伝導性によって特性決定され得る。好ましくは、組成物中の超高伝導性充填材の量は、1つ以上の充填材の総重量を基準に約15重量パーセント以下、より好ましくは約4重量パーセント以下、更により好ましくは約1重量パーセント以下、最も好ましくは約0.3重量パーセント以下である。組成物中の超高伝導性充填材の量は、1つ以上の充填材の総重量を基準に、約0.0パーセント以上であり得る。伝導性充填材(すなわち超高伝導性充填材)の量は、1つ以上の充填材の総重量を基準に、約80重量パーセント以上、約85重量パーセント以上、約90重量パーセント以上、約93重量パーセント以上、約96重量パーセント以上、約98重量パーセント以上、約99重量パーセント以上、又は約99.7重量パーセント以上であり得る。伝導性充填材の量は、1つ以上の充填材の総重量を基準に、約100重量パーセント以下であり得る。
【0019】
超高伝導性充填材は、存在する場合は、約100W/mKの熱伝導性を有する任意の充填材であり得る。超高伝導性充填材の例としては、窒化ホウ素及びアルミニウム粉が挙げられる。
【0020】
伝導性充填材は、本明細書に記載されるものなどの熱伝導性を有する任意の充填材であり得る。例えば、伝導性充填材は、約3W/mK~約80W/mKの熱伝導性を有し得る。伝導性充填材は、好ましくは非摩耗性である(例えば、窒化ホウ素よりも低摩耗性であるか、アルミニウム粉よりも低摩耗性であるか、又はその両方である)。非摩耗性の伝導性充填材の例は、水酸化アルミニウム(すなわちATH)粉である。水酸化アルミニウム粉は、3~80W/mK(典型的には約10W/mK)の熱伝導性を有する。
【0021】
伝導性充填材は、典型的には、1つ以上の金属又は半金属原子及び1つ以上の非金属原子を含む。半金属原子としては、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、及びテルリウムが挙げられる。好ましい金属原子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、及びポスト遷移金属が挙げられる。伝導性充填材中の非金属原子の量は、伝導性充填材が硬く摩耗性とならないように十分高くあるべきである。硬く摩耗性の金属又は半金属含有充填材の例としては、SiC、TiC、及びBNが挙げられる。これらの硬く摩耗性の摩耗性充填材は、50原子百分率の金属又は半金属を含む。好ましくは、伝導性充填材中の非金属原子の濃度は、伝導性充填材中の総原子数を基準に、約50原子百分率超の非金属原子、より好ましくは約65百分率以上、更により好ましくは約75百分率以上、最も好ましくは約80百分率以上である。非金属原子の濃度は、約95原子百分率以下、約93原子百分率以下、約90原子百分率以下、又は約88原子百分率以下であり得る。伝導性充填材は、好ましくは、熱伝導性が約3W/mKとなるように十分な濃度の金属原子を有する。伝導性充填材中の任意の金属及び半金属の組み合わせた濃度は、好ましくは約5原子百分率以上である。伝導性充填材中の任意の金属及び半金属の組み合わせた濃度は、50原子百分率未満、約35原子百分率以下、約25原子百分率以下、又は約20原子百分率以下であり得る。
【0022】
好ましい組成物は、組成物の熱伝導性が、約1.5W/mK以上、好ましくは約2.0W/mK以上、より好ましくは約2.5W/mK以上、最も好ましくは約3.0W/mK以上となるように十分な量の伝導性充填材を含む。組成物の熱伝導性は、ASTM5470-12に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で測定して典型的には約10W/mK以下、約7W/mK以下、又は約5W/mK以下であり、試験は厚さ1.8~1.2mmのSpaltplusモードで実施され、記載される熱界面材料は、ASTM5470-12に記載されるタイプI(粘稠液体)であると考えられ、上部接触部は約40℃に加熱され、下部接触部は約10℃に加熱されて、約25℃の試料温度をもたらす。
【0023】
A及びB構成要素は手動カートリッジシステムから適用されるとスタティックミキサで混合される。伝導性充填材の量が少なすぎる場合、組成物はデバイスの温度を管理するために十分な熱を伝導することができなくなる。組成物のかかる高い熱伝導性を達成するために、組成物は、典型的には高い濃度の伝導性充填材を有する。好ましくは、組成物中の伝導性充填材の量は、組成物の総重量を基準に約60重量パーセント以上、より好ましくは約70重量パーセント以上、更により好ましくは約75重量パーセント以上、更により好ましくは約80重量パーセント以上、更により好ましくは約85重量パーセント以上、最も好ましくは約88重量パーセント以上である。組成物中の伝導性充填材の量は、伝導性充填材がマトリックス中で分散され得るように十分低くあるべきである。典型的には、伝導性充填材の量は、組成物の総重量を基準に、約95重量パーセント以下、より好ましくは約92重量パーセント以下である。
【0024】
伝導性充填材は、好ましくは、伝導性充填材が概ね非摩耗性となるように十分低いモース硬度を有する。好ましくは、伝導性充填材は、約7.0以下、好ましくは約5.0以下、最も好ましくは約4.0以下のモース硬度を有する。伝導性充填材は、約0.5以上、約1.5以上、又は約2.0以上のモース硬度を有し得る。
【0025】
伝導性充填材は、典型的にはM-X結合を含み、式中Mは金属であり、Xは非金属である。好ましくは、充填材中のM-X結合とM-M結合(金属-金属結合)との比は、約2.0以上、約3.0以上、又は約4.0以上であり得る。伝導性充填材がM-M結合を含まなくてもよいことは理解されよう。概ねM-M結合を含まない伝導性充填材の例は、水酸化アルミニウムである。
【0026】
組成物中の1つ以上の充填材は、好ましくは約3.5以下、より好ましくは約3.0以下、更により好ましくは約2.8以下、更により好ましくは約2.6以下、最も好ましくは約2.5以下の平均比重を有する。1つ以上の充填材の平均比重は、約1.8以上、約2.2以上、又は約2.4以上であり得る。比重vaを有する充填材Aの質量分率ma及び比重vbを有する充填材Bの質量分率mb(ma+mb=1である)を含む充填材の平均比重は、以下のように定義される:
1/[(ma/va)+(mb/vb)]。
【0027】
熱伝導性充填材に加えて、その他の充填材としては、炭酸カルシウム及び/又は酸化カルシウムが挙げられ得る。使用される場合、炭酸カルシウムと酸化カルシウムとの総量は、1つ以上の充填材の総重量を基準に、好ましくは約20重量パーセント以下、より好ましくは約10重量パーセント以下、最も好ましくは約5重量パーセントである。炭酸カルシウム及び酸化カルシウムの総量は、組成物中の(例えば、二成分型組成物中の)1つ以上の充填材の総重量を基準に、約0重量パーセント以上、約0.4重量パーセント以上、又は約0.8重量パーセント以上であり得る。
【0028】
好ましい充填材は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム粉、酸化亜鉛、窒化ホウ素、及びこれらの混合物から選択される。特に好ましい充填材は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、及びこれらの混合物から選択される。最も特に好ましいのは水酸化アルミニウムである。
【0029】
粒度分布
組成物の高い熱伝導性と組成物を混合及び加工する能力との組み合わせを達成するために、伝導性充填材は、好ましくは広い粒度分布を有する。
【0030】
広い粒度分布によって、粒子がより効率的に密集することが可能となり得る。粒度分布は、粒度の第10パーセンタイル、第50パーセンタイル(中央値)、及び第90パーセンタイルに対応するD10、D50、及びD90によって特性決定され得る。粒度は、分散媒としてピロリン酸4ナトリウム10水和物の2.24×10-3M溶液(1000mlの脱イオン水中に1gのNa×10HO)を用いてISO13320に従って測定される。
【0031】
広い粒度分布を有する充填材は、以下の1つ以上によって特性決定され得る:一般に高いD90/D50の比、一般に高いD90/D10の比、若しくは一般に高いD50/D10の比、又はこれらの任意の組み合わせ。好ましくは、D90/D50の比は、約3以上、約4以上、約5以上、約6以上、又は約8以上である。D90/D50の比は、約100以下又は約40以下であり得る。好ましくは、D90/D10の比は、約20以上、約40以上、約60以上、又は約80以上である。D90/D10の比は、約1000以下又は約400以下であり得る。D90/D50の比は、約100以下又は約40以下であり得る。好ましくは、D50/D10の比は、約8以上、約10以上、又は約12以上である。D50/D10の比は、約100以下又は約40以下であり得る。伝導性充填材中の大粒子(D90値によって特性決定される)は、1つ以上の小粒子を充填するためのサイトが生成されるように十分に高くあるべきである。好ましくは、D90は、約10μm以上、より好ましくは約20μm以上、更により好ましくは約40μm以上、最も好ましくは約60μm以上である。D90が大きすぎる場合、組成物を加工することが困難となる場合がある。好ましくは、D90は、約2000μm以下、より好ましくは約1000μm以下、最も好ましくは約500μm以下である。伝導性充填材中の小粒子(D10値によって特性決定される)は、これらが大粒子間のサイトに組み込むことができるように十分に小さくあるべきである。好ましくは、D10は、約4μm以下、約2μm以下、又は約1μm以下である。典型的には、非常に小さい粒子を作製することは困難且つ高価である。そのため、D10が約0.1μm以上、又は約0.25μm以上であることが好ましいが、より小さな粒子が使用されてもよい。伝導性充填材は、約10μm以下の平均粒度を有する第1の部分と、約50μm以上の平均粒度を有する第2の部分とを有し得る(好ましくは、第1の部分及び第2の部分はそれぞれ、伝導性充填材の約25重量パーセント以上、約30重量パーセント以上、又は約35重量パーセント以上の量で存在する)。
【0032】
図1は、狭い粒度分布4(A)を有する充填材と比較した、大粒子8の間に小粒子7を充填する能力に対する広い粒度分布6(B)を有することの効果を例示する。広い粒度分布を用いて粒子濃度が増加すると、粒子2はより密接になり、マトリックス相材料3によって2つの粒子間に架橋が存在し得る。粒子表面に対するマトリックス相の付着、及び/又は架橋は、組成物を流動させる、又は加工する能力を低減させ得る。加工性を改善するために、粒子は、好ましくは表面改質剤を有する。例えば、(C)は広い粒度分布6及びコーティング5(例えば、表面改質剤の)を有して、マトリックス相材料と充填材との結合を低減又は最小化する。
【0033】
図2は、広い粒度分布を有する伝導性充填材である水酸化アルミニウム(すなわちAl(OH))の実施例の光学顕微鏡写真である。
【0034】
充填材表面改質剤
多くの充填ポリマー系においては、マトリックス相と充填材相との間に良好な相溶性及び/又は結合を有することが望ましいものの、本出願人は、これらの高度充填組成物に関して、こうした相溶性及び/又は結合が、隣接する充填材粒子の間に組成物の流動を妨げる架橋を生成し得ることを明らかにした。マトリックス相材料は、充填材の表面と結合しないことが好ましい。例えば、共有結合、イオン結合、及び水素結合は、低減されるか、最小化されるか、又は更には完全に回避されてもよい。これは、マトリックス相材料及び伝導性充填材料の選択によって達成することができる。或いは、マトリックス相材料との結合を低減、最小化、又は排除するために、充填材料を1つ以上の表面改質剤で処理してもよい。
【0035】
表面改質剤は、伝導性充填材粒子の表面を部分的又は完全に被覆することができる。表面改質剤は、伝導性充填材粒子と反応する1つ以上の官能基を有し得る。かくして、表面改質剤は伝導性充填材と共有結合することができる。一例として、伝導性充填材はM-OH基(式中Mは金属原子である)を含んでもよく、表面改質剤は、表面改質剤とMとの間に直接又は間接的結合を形成するためにM-OH基と反応する官能基を含んでもよい。
【0036】
伝導性充填材の表面は、表面改質剤で疎水化されてもよい。例えば、表面改質剤は、アルキル構成要素と、アルキル構成要素の一端に、又はその付近に1つ以上の官能基と、を含んでもよい。アルキル構成要素は、好ましくは、約6個以上の炭素原子、より好ましくは約8個以上の炭素原子、更により好ましくは約10個以上の炭素原子、最も好ましくは約12個以上の炭素原子を含む。1つ以上の官能基は、伝導性充填材の表面と反応するように選択されてもよい。例えば、1つ以上の官能基は、1つ以上のアルコキシシランを含んでもよい。こうした官能基は、特に、水酸化アルミニウムなどにおいて、表面改質剤をM-OH基を含む伝導性充填材に結合するのに有用であり得る。伝導性充填材と表面改質剤との間の反応の例を図3に示す。
【0037】
表面改質剤は、伝導性充填材をマトリックス相材料と混合する前又は後に充填材に添加されてもよいことが理解されよう。例えば、伝導性充填材とマトリックス相材料とを混合する前に、伝導性充填材を表面改質剤でコーティングし、且つ/又は表面改質剤と反応させてもよい。別の例として、表面改質剤をマトリックス相材料と混合してプレミックスを形成し、これを続いて伝導性充填材と合わせてもよい。別の例として、伝導性充填材とマトリックス相材料とを混合してもよく、続いて表面改質剤を混合物に添加してもよい。
【0038】
マトリックス相
熱界面材料のマトリックス相は、典型的には、1つ以上の液状材料を含むか、本質的にそれからなるか、又は完全にそれからなる。例えば、第1の成分、第2の成分、又はその両方のマトリックス相は、室温で液体である1つ以上の材料を含んでもよい。第1の成分、第2の成分、又はその両方中の液状化合物の量は、成分のマトリックス相の総重量を基準に、好ましくは約50重量パーセント以上、より好ましくは約70重量パーセント以上、更により好ましくは約85重量パーセント以上、更により好ましくは約95重量パーセント以上、最も好ましくは約98重量パーセント以上である。第1の成分、第2の成分、又はその両方中の液状化合物の量は、成分のマトリックス相の総重量を基準に約100重量パーセント以下であってよい。マトリックス相は、好ましくは副相(すなわち、組成物の約50容積パーセント以下の量で存在する)であるため、第1の成分、第2の成分、又はその両方中の液状化合物の量は、成分の総重量を基準に好ましくは約50容積パーセント以下である。各成分が崩壊することなく混合され得るように、1つ以上の液体が十分な量で存在するべきである。好ましくは、第1の成分、第2の成分、又はその両方中の1つ以上の液状化合物の重量パーセントは、成分の総重量を基準に、約3重量パーセント以上、約5重量パーセント以上、又は約7重量パーセント以上である。1つ以上の液体は、充填材粒子間の分離が低減され、成分又は組成物全体の熱伝導性が、ASTM5470-12に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で測定し、試験を厚さ1.8~1.2mmのSpaltplusモードで実施し、約2.0W/mK以上、約2.5W/mK以上、約2.8W/mK以上、約2.9W/mK以上、又は約3.0W/mK以上であるように十分に少ない量で存在するべきであり、記載される熱界面材料は、ASTM5470-12に記載されるタイプI(粘稠液体)であると考えられ、上部接触部は約40℃に加熱され、下部接触部は約10℃に加熱されて、約25℃の試料温度をもたらす。好ましくは、第1の成分、第2の成分、又はその両方中の1つ以上の液状化合物は、成分の総重量を基準に、約30重量パーセント以下、より好ましくは約25重量パーセント以下、更により好ましくは約20重量パーセント以下、更により好ましくは約15重量パーセント以下、最も好ましくは約13重量パーセント以下である。
【0039】
熱界面材料中のマトリックス相の総量(例えば、第1及び第2の成分を混合した後、且つ任意選択的に2つの成分を反応させた後の)は、組成物の総重量を基準に、好ましくは約30重量パーセント以下、より好ましくは約25重量パーセント以下、更により好ましくは約20重量パーセント以下、更により好ましくは約15重量パーセント以下、最も好ましくは約13重量パーセント以下である。熱界面材料中のマトリックス相の総量(例えば、第1及び第2の成分を混合した後、且つ任意選択的に2つの成分を反応させた後の)は、組成物の総重量を基準に、好ましくは約3重量パーセント以上、より好ましくは約5重量パーセント以上、更により好ましくは約7重量パーセント以上、最も好ましくは約8重量パーセント以上である。
【0040】
第1の成分(すなわち、カルバメート含有成分)は、1つ以上のカルバメート含有化合物を含む。カルバメート含有化合物は、カルバメート基を含み、好ましくは2つ以上の離間したカルバメート基を含む任意の化合物であってよい。離間したカルバメート基は、典型的には、化合物の主鎖上で6以上、10以上、又は15以上の原子によって離間される。カルバメート含有化合物は、モノマー、オリゴマー化合物であってよい。オリゴマー化合物はプレポリマーであってもよい。カルバメート含有化合物は、イソシアネート含有化合物とフェノール含有化合物とを反応させてカルバメート基を形成することによって調製され得る。カルバメート含有化合物。
【0041】
2つ以上のカルバメート基を含むカルバメート含有化合物は、i)イソシアネート含有化合物中のイソシアネート基を単一のフェノール基を有するフェノール含有化合物と反応させることであって、イソシアネート含有化合物は2つ以上の離間したイソシアネート基を含む、こと、又はii)フェノール含有化合物中の各フェノール基を単一のイソシアネート基を有するイソシアネート含有化合物と反応させることであって、フェノール含有化合物は2つ以上の離間したフェノール基を含む、ことによって形成され得ることが理解されよう。典型的には、離間したイソシアネート基又は離間したフェノール基は、化合物の主鎖上で6以上、10以上、又は15以上の原子によって離間される。
【0042】
第1の成分、及び/又は二成分型組成物全体は、成分及び組成物が良好な貯蔵寿命安定性を有するように、イソシアネート含有化合物を実質的に含まないことが好ましい。理論に束縛されるものではないが、充填材の濃度、及び/又は充填材中の水の量が大きいと、イソシアネート含有化合物の重合及び/又は架橋がもたらされて、第1の成分の粘度の増加、又は更には硬化がもたらされ得るものと考えられる。好ましくは、第1の成分中のイソシアネート基の量は、第1の成分の総重量を基準に、又は第1の成分のマトリックス相の総重量を基準に、約0.10重量パーセント以下、より好ましくは約0.05重量パーセント以下、更により好ましくは約0.01重量パーセント以下、最も好ましくは約0.005重量パーセント以下である。第1の成分は、更にはイソシアネート基を全く含まなくてもよい。第1の成分中のイソシアネート基とカルバメート基とのモル比は、好ましくは、約0.35以下、より好ましくは約0.20以下、更により好ましくは約0.10以下、更により好ましくは約0.03以下、最も好ましくは約0.01以下である。第1の成分中のイソシアネート基とカルバメート基とのモル比は、約0.00以上であってもよい。
【0043】
カルバメート含有化合物は、好ましくは、約10,000g/当量以下、より好ましくは約7,000以下、更により好ましくは約4,000以下、更により好ましくは約3,000以下、最も好ましくは約2,000以下の当量(すなわち、カルバメート基の数で割った分子量)を有する。カルバメート含有化合物は、約300g/当量以上、約500g/eq以上、又は約700g/eq以上の当量を有してもよい。カルバメート含有化合物は、好ましくは、約20,000g/モル以下、より好ましくは約10,000以下、更により好ましくは約7,000以下、更により好ましくは約6,000以下、最も好ましくは約5,000以下の数平均分子量を有する。カルバメート含有化合物は、好ましくは、500g/モル以上、約1000g/モル以上、又は約1,500g/モル以上の数平均分子量を有する。分子量は、例えばMalvern Viscotek GPC max装置を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。テトラヒドロフラン(THF)は、好ましくは溶出剤として用いられ、屈折率及び/又は光散乱検出器と共にPL GEL MIXED D(Ailent、300×7.5mm、5μm)をカラムとして用いてよい。例えば、MALVERN Viscotek TDAを検出器として用いてもよい。
【0044】
カルバメート含有化合物は、1つ以上のイソシアネート基を含むイソシアネート含有化合物を1つ以上のフェノール基を含むフェノール含有化合物と反応させることによって調製されてもよく、ここで得られる化合物は2つ以上のカルバメート基を含む。イソシアネート含有化合物はプレポリマーであってもよい。イソシアネート含有プレポリマーは、ジイソシアネート化合物をポリオールと反応させることによって形成されてもよく、ここで過剰なイソシアネートは、ポリオールの本質的に全部が反応するように用いられる。ジイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、又はその両方を含み得る。好ましくは、ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートを含むか、又はそれから本質的になる。ジイソシアネートが2個超のイソシアネート基を含む化合物によって置換されてもよいことは理解されよう。ポリオールは、好ましくはポリエーテルポリオールである。ポリオールは2つ以上のOH基を有してもよい。プレポリマーを用いる代わりに、フェノール含有化合物をジイソシアネートと直接反応させてもよいことは理解されよう。フェノール含有化合物は、典型的には、フェノール基に結合した直鎖炭化水素を有して、化合物に何らかの脂肪族的特性を提供する。直鎖炭化水素は、好ましくは、約3個以上の炭素原子、より好ましくは約5個以上の炭素原子、更により好ましくは約8個以上の炭素原子、最も好ましくは約10個以上の炭素原子を含む。直鎖炭化水素は、好ましくは、約50個以下の炭素原子、約30個以下の炭素原子、約24個以下の炭素原子、又は約18個以下の炭素原子を含む。フェノール含有化合物は、好ましくは脂質である。
【0045】
カルバメート含有化合物の例は、芳香族ポリイソシアネートプレポリマー(約4~5%のNCO含量及び約500~1500g/eqの当量を有するポリエーテルポリオールと反応したトルエンジイソシアネートをベースとする)とフェノール含有脂質(カルダノールなどの)との反応生成物である。化合物は、好ましくは触媒、熱、及び不活性雰囲気の存在下で反応させる。反応温度は、好ましくは約30℃以上、より好ましくは約40℃以上である。反応温度は、好ましくは約130℃以下、より好ましくは約100℃以下である。触媒は、ルイス酸又はルイス塩基触媒であってもよい。特に好ましい触媒はスズ触媒であり、特に好ましいのはジオクチルスズジネオデカノエート又はアミン触媒であり、特に3級アミン触媒、例えばDABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)である。
【0046】
カルバメート含有化合物は、イソシアネート基がフェノール基によってブロック化されてカルバメート基を形成するブロック化イソシアネート化合物であってもよい。かかるブロック化イソシアネート基(すなわち、カルバメート基に変換されたイソシアネート基)は、加熱によって非ブロック化することができるが、成分が混合されてデバイス(例えば発熱デバイス)に接触した後は、二成分型組成物を加熱することを避けるのが望ましい場合がある。かくして、化合物を非ブロック化することなしに(すなわち、イソシアネート基を形成することなしに)、カルバメート基を第2の成分の化合物と反応させることが望ましい場合がある。したがって、第2の成分は、好ましくは、少なくともカルバメート含有化合物を重合又は架橋するためにカルバメート基と反応することが可能な1つ以上のカルバメート反応性化合物を含む。カルバメート反応性化合物は、カルバメート基と反応して組成物の粘度を増加させ得る。
【0047】
カルバメート反応性化合物は、カルバメート基と反応することが可能な任意のカルバメート反応性基を含んでよい。好ましくは、カルバメート反応性化合物は、1つ以上のアミン基を含む。アミン基は任意のアミン基(1級、2級、又は3級)であってよく、好ましいアミン基は1級及び2級アミンであり、最も好ましいアミン基は1級アミンである。カルバメート反応性化合物は、2つ以上のアミン基を含むポリアミンであることが好ましい。例えば、カルバメート反応性化合物は、2つのアミン基を有する第1のポリアミンと、2つ超のアミン基を有する第2のポリアミンとを含んでよい。ポリアミンのアミン基は、典型的には、2つ以上の主鎖原子(すなわち、2つの基の間を接続する最短の共有結合を画定する原子)によって離間される。好ましくは、各アミン基は、5個以上の主鎖原子、より好ましくは約6個以上の主鎖原子、更により好ましくは約8個以上の主鎖原子、最も好ましくは約10個以上の主鎖原子によってその他のアミン基から離間される。
【0048】
カルバメート反応性構成要素(例えば第2の成分)は、1つ以上のポリオールを含んでもよい。しかしながら、特に、組成物(例えば、混合後)を約60℃以上(又は約100℃以上)の温度に加熱することが回避される用途の場合は、ポリオールと第1の構成要素との間のいかなる反応も最小限となり得る。ポリオールが第2の成分中に存在する場合、(例えばポリオールの)ヒドロキシル基と(例えばポリアミンの)アミン基とのモル比は、好ましくは、約1.5以下、より好ましくは約0.9以下、更により好ましくは約0.6以下、最も好ましくは約0.3以下である。第2の成分中のヒドロキシル基とアミン基とのモル比は、約0.0以上、又は約0.01以上であってもよい。
【0049】
表面改質剤(充填材用)
多くの充填ポリマー系においては、マトリックス相と充填材相との間に良好な相溶性及び/又は結合を有することが望ましいものの、驚くべきことに、これらの高度充填組成物に関して、こうした相溶性及び/又は結合が、隣接する充填材粒子の間に組成物の流動を妨げる架橋を生成し得ることが明らかになった。マトリックス相材料は、充填材の表面と結合しないことが好ましい。例えば、共有結合、イオン結合、及び水素結合は、低減されるか、最小化されるか、又は更には完全に回避されてもよい。これは、マトリックス相材料及び伝導性充填材料の選択によって達成することができる。或いは、マトリックス相材料との結合を低減、最小化、又は排除するために、充填材料を1つ以上の表面改質剤で処理してもよい。
【0050】
表面改質剤は、伝導性充填材粒子の表面を部分的又は完全に被覆することができる。表面改質剤は、伝導性充填材粒子と反応する1つ以上の官能基を有し得る。かくして、表面改質剤は伝導性充填材と共有結合することができる。一例として、伝導性充填材はM-OH基(式中Mは金属原子である)を含んでもよく、表面改質剤は、表面改質剤とMとの間に直接又は間接的結合を形成するためにM-OH基と反応する官能基を含んでもよい。
【0051】
伝導性充填材の表面は、表面改質剤で疎水化されてもよい。例えば、表面改質剤は、アルキル構成要素と、アルキル構成要素の一端に、又はその付近に1つ以上の官能基と、を含んでもよい。アルキル構成要素は、好ましくは、約6個以上の炭素原子、より好ましくは約8個以上の炭素原子、更により好ましくは約10個以上の炭素原子、最も好ましくは約12個以上の炭素原子を含む。1つ以上の官能基は、伝導性充填材の表面と反応するように選択されてもよい。例えば、1つ以上の官能基は、1つ以上のアルコキシシランを含んでもよい。こうした官能基は、特に、水酸化アルミニウムなどにおいて、表面改質剤をM-OH基を含む伝導性充填材に結合するのに有用であり得る。伝導性充填材と表面改質剤との間の反応の例を図3に示す。
【0052】
表面改質剤は、伝導性充填材をマトリックス相材料と混合する前又は後に充填材に添加されてもよいことが理解されよう。例えば、伝導性充填材とマトリックス相材料とを混合する前に、伝導性充填材を表面改質剤でコーティングし、且つ/又は表面改質剤と反応させてもよい。別の例として、表面改質剤をマトリックス相材料と混合してプレミックスを形成し、これを続いて伝導性充填材と合わせてもよい。別の例として、伝導性充填材とマトリックス相材料とを混合してもよく、続いて表面改質剤を混合物に添加してもよい。
【0053】
図4(A)に示すように、狭い粒度分布を有する伝導性充填材が使用される場合、充填材充填量が少ない場合であっても(例えば約60重量パーセントのみ)、得られる組成物は荒い表面を有し得る。図4(B)に示すように、充填材充填量を増加させる能力は、広い粒度分布を有する充填材を用いることによって改善される。図4(C)に示すように、充填材充填量を増加させる能力は、広い粒度分布を有する充填材を用いること、及び更に、マトリックス相材料と充填材粒子との間の結合を低減、最小化、又は排除する表面改質剤を添加することによって更に改善される。
【0054】
触媒
組成物は、好ましくは、カルバメート含有化合物とカルバメート反応性化合物(ポリアミン含有化合物など)との間の反応を促進するための1つ以上の触媒を含む。触媒は、ルイス酸又はルイス塩基触媒を含んでもよい。ルイス酸触媒は、好ましくは1つ以上の脂肪族基を含む有機金属化合物であってよい。各脂肪族基は、好ましくは、4個以上、6個以上、又は8個以上の炭素原子を含む。有機金属化合物は、好ましくはスズ化合物である。スズ含有ルイス酸触媒の例は、ジオクチルスズジネオデカノエートである。1つ以上の触媒は、アミン触媒を含んでもよい。含んでいるアミン触媒は、好ましくは、脂肪族基、芳香族基、又はその両方を含み得る。アミン触媒の例は、トリス-2,4,6-ジメチルアミノメチルフェノール、又はDABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)である。触媒は、カルバメート含有化合物とポリアミンとの間の反応を促進するのに十分な量で使用されるべきである。好ましくは、触媒の量は、総組成物中のマトリックス相の総重量を基準に(又は組成物中の液状材料の総重量を基準に)、約0.05重量パーセント以上、より好ましくは約0.10重量パーセント以上、更により好ましくは約0.20重量パーセント以上、更により好ましくは約0.4重量パーセント以上、最も好ましくは約0.75重量パーセント以上である。好ましくは、触媒の量は、総組成物中のマトリックス相の総重量を基準に(又は組成物中の液状材料の総重量を基準に)、約10重量パーセント以下、より好ましくは約8重量パーセント以下、更により好ましくは約5重量パーセント以下、最も好ましくは約4重量パーセント以下である。
【0055】
触媒は、第1の成分、第2の成分、又はその両方中に提供されてよい。一例として、第1の成分及び第2の成分は、それぞれアミン触媒及び有機金属触媒(例えばスズ含有ルイス酸触媒)の両方を含有してよい。別の例として、一方の成分(例えば第1の成分又は第2の成分)は、有機金属触媒(例えばスズ含有ルイス酸触媒)を含んでもよく、もう一方の成分はアミン触媒を含んでもよい。別の例として、第1の成分及び第2の成分の両方が、同じであっても異なっていてもよい有機金属触媒(例えばスズ含有ルイス酸触媒)を含んでもよい。
【0056】
好ましい触媒は室温で液体である。
【0057】
可塑剤
第1の成分、第2の成分、又はその両方の成分は、1つ以上の可塑剤を含んでもよい。可塑剤は、好ましくは、第1の成分のカルバメート基と反応しない化合物である。可塑剤は、好ましくは、第2の成分のアミン基と反応しない化合物である。可塑剤は室温で液体であり、マトリックス相の一部分を形成する。可塑剤は、第1の成分、第2の成分、又はその両方中に、成分のマトリックス相の総重量を基準に約0重量パーセント以上、好ましくは約10重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、最も好ましくは約25重量パーセント以上の量で存在してもよい。可塑剤は、第1の成分、第2の成分、又はその両方中に、成分のマトリックス相の総重量を基準に約75重量パーセント以下、好ましくは約65重量パーセント以下、より好ましくは約60重量パーセント以下、最も好ましくは約55重量パーセント以下の量で存在してもよい。
【0058】
好ましい可塑剤は、約2,000g/モル以下、より好ましくは約1,000g/モル以下、更により好ましくは約800g/モル以下、最も好ましくは約600g/モル以下の重量平均分子量を有する。可塑剤は、約100℃の温度で液体である。好ましい可塑剤は、約125g/モル、より好ましくは約175g/モル、最も好ましくは約225g/モルの分子量を有する。
【0059】
着色剤
組成物は、任意選択的に、組成物に所定の色彩を提供するための染料、顔料、又はその他の着色剤を含んでもよい。着色剤は、使用される場合、第1の成分、第2の成分、又はその両方に含まれてよい。着色剤は、典型的には、二成分型組成物の総重量を基準に、約1重量パーセント以下、約0.5重量パーセント以下、又は約0.2重量パーセント以下の量で存在する。着色剤は、無希釈材料として提供されてもよく、或いは担体材料(典型的には担体液)と混合されてもよい。担体材料は、好ましくは、第1の成分及び/又は第2の成分中で用いるための本明細書に記載される材料である。例えば、担体材料は、本明細書の教示に従って、エポキシ樹脂、カルバメート含有化合物、可塑剤、ポリオール、触媒、カルバメート反応性化合物、又は表面改質剤であってもよい。
【0060】
第1の成分のマトリックス相(例えば、液状化合物、及び/又は充填材を含む組成物によって画定される)は、好ましくは、相当量のカルバメート含有化合物を含む。好ましくは、第1の成分中のカルバメート含有化合物の量は、第1の成分中の液状化合物の総重量を基準に、約10重量パーセント以上、より好ましくは約15重量パーセント以上、最も好ましくは約18重量パーセント以上である。第1の成分中のカルバメート含有化合物の量は、第1の成分中の液状化合物の総重量を基準に、約90重量パーセント以下、約80重量パーセント以下、約70重量パーセント以下、約60重量パーセント以下、又は約50重量パーセント以下であってもよい。
【0061】
第2の成分のマトリックス相(例えば、液状化合物、及び/又は充填材を含む組成物によって画定される)は、好ましくは、相当量のカルバメート反応性化合物(例えばポリアミン)を含む。好ましくは、第2の成分中のカルバメート反応性化合物の量は、第2の成分中の液状化合物の総重量を基準に、約10重量パーセント以上、より好ましくは約15重量パーセント以上、更により好ましくは約20重量パーセント以上、最も好ましくは約25重量パーセント以上である。第2の成分中のカルバメート反応性化合物(例えばポリアミン)の量は、第2の成分中の液状化合物の総重量を基準に、約90重量パーセント以下、約80重量パーセント以下、約70重量パーセント以下、約60重量パーセント以下、又は約50重量パーセント以下であってもよい。
【0062】
カルバメート含有化合物、1つ以上の触媒、カルバメート反応性化合物、表面改質剤、1つ以上の充填材、及び可塑剤の総量は、好ましくは、組成物の総重量を基準に、約95重量パーセント以上、より好ましくは約97重量パーセント以上、更により好ましくは約98重量パーセント以上、更により好ましくは約99重量パーセント以上、最も好ましくは約99.5重量パーセント以上である。カルバメート含有化合物、1つ以上の触媒、ポリアミン化合物、アルコキシシラン表面改質剤、ATH、任意選択的な炭酸カルシウム及び酸化カルシウム、並びに可塑剤の総量は、好ましくは、組成物の総重量を基準に、約95重量パーセント以上、より好ましくは約97重量パーセント以上、更により好ましくは約98重量パーセント以上、更により好ましくは約99重量パーセント以上、最も好ましくは約99.5重量パーセント以上である。
【0063】
第1の成分中のカルバメート基と第2の成分中のアミン基とのモル比は、好ましくは、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、又は約0.6以上である。第1の成分中のカルバメート基と第2の成分中のアミン基とのモル比は、好ましくは、約10以下、約5.0以下、約3.5以下、約2.5以下、約2.0以下、又は約1.7以下である。
【0064】
間隙充填特性
二成分型組成物は、構成要素間の間隙を充填して2つの構成要素間に熱伝導性経路を提供し得るべきである。典型的には、二成分型組成物は、混合後(すなわち熱界面材料)に、構成要素のうちの一方上に配置され、続いてもう一方の構成要素が混合物中に圧入される。熱界面材料の2つの成分のそれぞれが、好ましくは、材料をもう一方の成分と混合することができ、構成要素を混合物中に容易に圧入することができるように、十分低い粘度を有する。二成分型組成物は、混合後は、混合物が適用された領域から流出しないように(例えば、第2の構成要素を混合物中に圧入する前に)、十分高い粘度を有するべきである。成分のうちの一方、又は混合物の粘度は、本明細書に記載される圧入力によって特性決定され得る。好ましくは、第1の成分、第2の成分、混合物、又は任意のこれらの組み合わせは、約1000N以下、約900N以下、約800N以下、約700N以下、約600N以下、約500N以下、又は約400N以下の圧入力(初期、23℃で測定)によって特性決定される。好ましくは、第1の成分、第2の成分、混合物、又は任意のこれらの組み合わせは、約5N以上、約10N以上、約30N以上、約60N以上、約80N以上、約90N以上、又は約100N以上の圧入力(初期、23℃で測定)によって特性決定される。
【0065】
貯蔵安定性
本明細書の教示に従う材料は、室温及び/又は輸送温度で貯蔵安定性であることが必要となる場合がある。材料の貯蔵安定性は、材料が約55℃の温度に3日間曝露される加速試験によって特性決定され得る。好ましくは、二成分型組成物の各成分は、混合前に約55℃の温度で約3日間エージングした後でさえもその良好な粘度を維持する。具体的には、第1の成分、第2の成分、又はその両方は、55℃で3日間エージングした後で粘度の増加がほとんど又は全くないように選択されるべきである。好ましくは、各成分は、約4.0以下、約3.0以下、約2.0以下、約1.5以下、又は約1.3以下のエージング(例えば55℃で3日間)後圧入力と初期圧入力との比によって特性決定される。典型的には、エージング後圧入力と初期圧入力との比は、約0.5以上、0.75以上、又は約1.0以上であるが、0.5以下の値もまた可能である。エージング(例えば55℃で3日間)後、第1の成分、第2の成分、又はその両方の圧入力は、好ましくは、約1000N以下、約900N以下、約800N以下、約700N以下、約600N以下、約500N以下、又は約400N以下である。
【0066】
用途
本明細書の教示に従う熱界面材料は、良好な熱伝導性を有するポリマー又はオリゴマー材料を必要とする任意のデバイス又はシステムで用いることができる。図5は、熱界面材料12を含むデバイス10の特徴を例示する図である。デバイスは、デバイスの第1の構成要素14からデバイス10の第2の構成要素16までの熱流20を必要とする場合がある。図5に示すように、熱流は熱界面材料12を通過し得る。デバイスの第2の構成要素16は、第2の構成要素から熱を除去することを可能にする表面20(内部又は外部)を有し得る。
【0067】
熱界面材料は間隙充填材料として用いられ得る。熱界面材料はシーリング材料として用いられ得る。いくつかの用途では、熱界面材料の薄層(例えば、約2mm以下、約1mm以下、約0.5mm以下、又は約0.3mm以下)を適用することが必要となる場合がある。かくして、薄領域又は層が調製され得るように、熱界面材料は、好ましくは低い粘度を有し、且つ/又は良好な混合挙動(例えば、混合後に崩壊しない滑らかな外観を有する)を有する。
【0068】
1つ以上の電池セル、冷却ユニット又は循環する冷却液と接触するための表面を有するセルカバーを含む物品は、好ましくは、電池セルとセルカバーとの間に挟入された熱界面材料を有する。熱界面材料は、電池セルの温度を管理するために電池セルからセルカバーまで熱エネルギーを伝導するための経路を提供する。電池セルは、1つ以上のモジュールとして提供され得る。熱界面材料がなければ、電池モジュールと伝導プレート(例えばハウジングの)との間に間隙が存在する場合がある(少なくともいくつかの領域に)。図6は、1つ以上の電池モジュールの熱管理に使用され得る特徴を例示する図である。電池/熱管理システム30は、1つ以上の電池モジュール34と金属表面36との間の間隙を充填するための熱界面材料32を含む。熱界面材料は、電池モジュールの表面上に配置することによって、又は金属表面上に配置することによって適用され得る。金属表面は、冷却プレート、又はシステムから熱を排出するために構成されたその他の構成要素であってよい。
【0069】
試験方法
粒度分布。
特に指定のない限り、充填材の粒度分布は、アセトン中のレーザー回折によって測定する。
【0070】
熱伝導性
熱伝導性は、ASTM5470-12に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で測定する。試験は厚さ1.8~1.2mmのSpaltplusモードで実施する。記載される熱界面材料は、ASTM5470-12に記載されるタイプI(粘稠液体)であると考えられる。上部接触部は約40℃に加熱され、下部接触部は約10℃に加熱されて、約25℃の試料温度をもたらす。A及びB構成要素は手動カートリッジシステムから適用されるとスタティックミキサで混合される。これが本出願の実施例で用いられる方法である。
【0071】
圧入力
圧入力は、張力計(Zwick)で測定する。組成物(例えば間隙充填材料)を、金属表面上に配置する。直径約40mmのアルミニウムピストンを上部に配置し、材料を5mmの初期位置まで圧縮する。続いて、材料を約1mm/秒の速度で5mmから0.3mmまで圧縮し、力-たわみ曲線を記録する。続いて厚さ0.5mmにおける力(N)をデータテーブルに記録し、これを圧入力とみなす。低い粘度を有する材料は、700N以下の圧入力を有する。高粘度の材料は、700N超、又は約800N以上の圧入力を有する。低い粘度を有する材料は、好ましくは、約600N以下、更により好ましくは約500N以下、最も好ましくは約400N以下の圧入力を有する。
【0072】
混合能力
組成物を混合する能力を、滑らかな表面を有する材料の単一の塊を生成する能力によって判定した。こうした材料は「良好な」混合を有する。表面が粗く、且つ/又はミキサーから除去すると材料が崩壊する場合は、混合は不良である。
【0073】
材料
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【実施例
【0077】
カルバメートプレポリマー1
カルバメートプレポリマー1は、表2に示す組成物を用いて調製する。カルダノール及びポリイソシアネートプレポリマー1を反応器に添加し、連続的に混合しながら約60℃に加熱する。続いてジブチルスズジラウレート触媒を添加し、約80℃の温度の窒素下で約45分間反応を実施する。45分後、真空を10分間適用してから、反応器を室温に冷却する。反応生成物(カルバメートプレポリマー1)は、表2に示す以下の特性を有する。ポリウレタンプレポリマーの分子量データを、Malvern Viscotek GPC max装置を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。EMSURE-THF(ACS,Reag.Ph EUR、分析用)を溶出剤として用い、PL GEL MIXED D(Ailent、300×7.5mm、5μm)をカラムとして用い、MALVERN Viscotek TDAを検出器として用いた。
【0078】
【表4】
【0079】
実施例A-1、A-2、A-3、及びA-4は、イソシアネートプレポリマーを含む成分A組成物である。これらの組成物は、最初に液体構成要素を混合し、次に充填材を表3に示す量で添加することによって調製される。成分A組成物の全てを混合し、成分B組成物材料の全てを混合するには遊星形ミキサーを用いる。表3に示すように、実施例A-1、A-2、A-3、及びA-4は全て高い初期圧入力を有し、更に、55℃で3日間の後に固形化した。
【0080】
熱伝導性を、ASTM5470-12に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で測定して、試験は厚さ1.8~1.2mmのSpaltplusモードで実施され、記載される熱界面材料は、ASTM5470-12に記載されるタイプI(粘稠液体)であると考えられ、上部接触部は約40℃に加熱され、下部接触部は約10℃に加熱されて、約25℃の試料温度をもたらす。
【0081】
【表5】
【0082】
実施例A-4、A-5、A-6、A-7、及びA-8では、追加のシラン化合物及び/又は更なるマロン酸ジメチルを添加することで、初期圧入力が低減するように見える。しかしながら、これらの材料の全てが、表4に示すように、55℃で3日間の後に組成物が固化したことによって示される劣った貯蔵安定性を有し、そのため、これ以上の組成物の圧入力を試験することができない。
【0083】
【表6】
【0084】
実施例B-1は、ポリオール構成要素を含み、表5に示す組成を有する成分B組成物である。
【0085】
【表7】
【0086】
実施例A-9、A-10、A-11、A-12、A-13、A-14、A-15、A-16、A-17、A-18、A-19、及びA-20は、カルバメートプレポリマー1を用いて調製された成分A組成物であり、これらの組成物の組成及び特性を表7、8、及び9に示す。ここで、低い初期粘度、良好な熱安定性、及び高い熱伝導性を有する成分A組成物を調製することが可能であることが分かる。
【0087】
【表8】
【0088】
【表9】
【0089】
実施例B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、及びB-8は、カルバメート含有化合物を含む成分A組成物と反応可能なカルバメート反応性化合物(例えばポリアミン)を含む成分B組成物である。
【0090】
【表10】
【0091】
【表11】
【0092】
実施例1及び2は、イソシアネートを含む第1の成分と、イソシアネートと反応可能なポリオールを含む第2の成分とに基づく2成分組成物である。これらの組成を表11に示す。
【0093】
【表12】
【0094】
実施例3~14は、カルバメート含有A構成要素及びポリアミン含有B構成要素に基づく熱界面材料である。表12及び13に示すように、カルバメート含有A構成要素及びポリアミン含有B構成要素が混合されると、組成物は概して低い初期圧入力を有し、これが間隙の充填を可能にする。これは、熱伝導性が約3W/mKである場合でさえも可能である。例えば、組成物が85重量パーセント超の水酸化アルミニウム及び/又は89重量パーセント以上の充填材総濃度を有する場合。
【0095】
【表13】
【0096】
【表14】
【0097】
表14は、室温で粘度の増加(圧入力によって特性決定される)に影響を及ぼすためにA構成要素及び/又はB構成要素中に触媒を有することの重要性を示す。
【0098】
【表15】

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] i)少なくとも、
a)2つ以上のカルバメート基を含むプレポリマーを含む第1の成分と、
ii)少なくとも、
b)前記プレポリマーと反応が可能な1つ以上のポリアミン化合物を含む第2の成分と、を含む、熱界面材料用二成分型組成物であって、
前記組成物は、
c)前記プレポリマーと前記ポリアミン化合物との間の反応を触媒するための1つ以上の触媒と、
d)前記二成分型組成物の総重量を基準に50重量パーセント以上の1つ以上の伝導性充填材と、を含む、二成分型組成物。
[2] 前記プレポリマーは、芳香族ポリイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基のうちの1つ以上(好ましくは前記イソシアネート基のほぼそれぞれ、又は完全にそれぞれ)をブロック化化合物のフェノール基でブロック化することによって形成される、[1]に記載の二成分型組成物。
[3] 前記ブロック化化合物は、直鎖炭化水素に結合した末端フェノール基(好ましくは単一の末端フェノール基)を含む(好ましくは、前記直鎖炭化水素は6個以上、8個以上、10個以上、又は12個以上の炭素原子を含む)(好ましくは、前記直鎖炭素は60個以下、30個以下、又は20個以下の炭素原子を含む)、[2]に記載の二成分型組成物。
[4] 前記1つ以上のポリアミン、前記プレポリマー、又はその両方が、2超の平均官能性を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[5] 前記1つ以上の熱伝導性充填材が、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム粉、酸化亜鉛、窒化ホウ素、及び/又はこれらのいずれかの混合物から選択される充填材を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[6] 前記1つ以上の熱伝導性充填材が、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び/又はこれらのいずれかの混合物から選択される充填材を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[7] 前記1つ以上の熱伝導性充填材は水酸化アルミニウムである、[1]~[4]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[8] 前記1つ以上の伝導性充填材は水酸化アルミニウムを含む、[1]~[7]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[9] 前記第1の成分は75重量パーセント以上の水酸化アルミニウムを含み、前記第2の成分は75重量パーセント以上の水酸化アルミニウムを含む、[1]~[8]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[10] 前記水酸化アルミニウムの表面が、前記表面の親水性を低減するために表面改質剤で部分的又は完全にコーティングされている、[1]~[9]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[11] 前記組成物が、約3以上のD 90 /D 50 比を含む広い粒度分布を有する水酸化アルミニウムを含み、前記粒度は、分散媒としてピロリン酸4ナトリウム10水和物の2.24×10 -3 M溶液(1000mlの脱イオン水中に1gのNa ×10H O)を用いてISO13320に従って測定される、[1]~[10]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[12] 前記組成物が1つ以上の可塑剤を含む、[1]~[11]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[13] 前記組成物が脂肪酸又は脂肪酸のエステルを含む、[1]~[12]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[14] 前記組成物が前記第1の成分中にエポキシ樹脂を含み、好ましくは、前記プレポリマーと前記エポキシ樹脂との重量比が、約0.5以上、より好ましくは約0.8以上、更により好ましくは約1.0以上である(好ましくは、前記プレポリマーと前記エポキシ樹脂との重量比が、約10以下、約5以下、又は約4以下である)、[1]~[13]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[15] 前記組成物がイソシアネート含有化合物を実質的に含まない(例えば、前記第1の成分のNCOの量が、好ましくは前記第1の成分の総重量を基準に約0.10重量パーセント以下、約0.05重量パーセント以下、又は約0.01重量パーセント以下である)、[1]~[14]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[16] 前記第1の成分中の前記カルバメート基と前記第2の成分中の前記アミン基とのモル比が、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、若しくは約0.6以上、及び/又は約10以下、約5.0以下、約3.5以下、約2.5以下、約2.0以下、若しくは約1.7以下である、[1]~[15]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[17] 前記第1の成分が炭酸カルシウムを含む(好ましくは、前記第1の成分の総重量を基準に、約0.1重量パーセント以上、より好ましくは約0.5重量パーセント以上、最も好ましくは約1.0重量パーセント以上の量で)、[1]~[16]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[18] 前記触媒はルイス酸又はルイス塩基である、[1]~[17]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[19] 前記触媒はスズ触媒である、[1]~[18]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[20] 前記触媒はアミン触媒である、[1]~[18]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[21] 前記触媒はDABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)である、[1]~[20]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[22] 前記第1の成分が前記触媒の一部又は全部を含む、[1]~[21]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[23] 前記組成物が、ASTM5470-12に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で測定して約2.0W/mK以上(好ましくは約2.5以上、より好ましくは約2.8以上、更により好ましくは約2.9以上、及び最も好ましくは約3.0以上)の熱伝導性によって特性決定され、試験は厚さ1.8~1.2mmのSpaltplusモードで実施され、前記記載される熱界面材料は、ASTM5470-12に記載されるタイプI(粘稠液体)であると考えられ、上部接触部は約40℃に加熱され、下部接触部は約10℃に加熱されて、約25℃の試料温度をもたらす、[1]~[22]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[24] 前記二成分型組成物は室温で硬化する(好ましくは、混合後24時間のエージング後に約100%以上の圧入力の増加によって特性決定して)、[1]~[23]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[25] 前記第1の成分は貯蔵安定性である(例えば、55℃で3日間のエージング後に700N未満の前記第1の成分の圧入力によって特性決定して)、[1]~[24]のいずれかに記載の二成分型組成物。
[26] 熱を発生させる第1の構成要素、熱を除去するための第2の構成要素、及び前記第1の構成要素と前記第2の構成要素との間に挟入された熱界面材料の層であって、前記熱界面材料は前記第1の構成要素から前記第2の構成要素に熱を移動させるための経路を提供し、且つ[1]~[25]のいずれかに記載の二成分型組成物から形成される、層、を含む、物品。
[27] 第1の構成要素と第2の構成要素との間に熱界面材料の層を配置する工程と、前記熱界面材料が前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素の両方と接触して前記2つの構成要素間の間隙を充填するように圧力を加える工程とを含み、前記熱界面材料は、[1]~[25]のいずれかに記載の二成分型組成物から形成される、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7