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特許7566809手持ち案内式のポリッシングまたはサンディング電動工具用の支持パッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】手持ち案内式のポリッシングまたはサンディング電動工具用の支持パッド
(51)【国際特許分類】
   B24D 9/08 20060101AFI20241007BHJP
   B24D 7/16 20060101ALI20241007BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B24D9/08 A
B24D7/16
B24B23/02
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034168
(22)【出願日】2022-03-07
(65)【公開番号】P2022136999
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】21161306
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522089332
【氏名又は名称】アンドレア ヴァレンティーニ
【氏名又は名称原語表記】Andrea Valentini
【住所又は居所原語表記】2, Via Senofonte, 20145 Milano, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ヴァレンティーニ
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0157552(US,A1)
【文献】特開2018-183846(JP,A)
【文献】特表2001-522731(JP,A)
【文献】米国特許第06142858(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 9/08
B24D 7/16
B24B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち案内式のポリッシングまたはサンディング電動工具用の支持パッド(2)であって、
剛性材料から製作される支持層(4)であって、前記支持パッド(2)を前記ポリッシングまたはサンディング電動工具の駆動軸(18)または偏心要素に接続するための接続要素(6)を上面(8)に備えている支持層(4)と、
弾性材料から製作される減衰層(10)であって、前記支持層(4)の下面(12)に不動に取り付けられている減衰層(10)と、
前記支持パッド(2)にポリッシングまたはサンディング部材を取り外し可能に取り付けるための付着層(14)であって、前記減衰層(10)の下面(16)に不動に取り付けられている付着層(14)と、
を備える支持パッド(2)において、
前記支持層(4)の前記下面(12)に、前記支持層(4)の曲げ剛性を高めるための補強要素(24,26,28;46;50,52)が設けられており、前記支持層(4)の前記下面(12)に、前記補強要素(24,26,28;46;50,52)同士の間に形成される凹部(30)がさらに設けられており、
前記補強要素が補強リブ(24,26,28)を備えており、前記補強リブ(24,26,28)が、前記支持層(4)の前記下面(12)に設けられ、前記支持層(4)の中心(34)と、前記支持層(4)の環状な外側縁部(40)と、の間に延在する、複数の多角形の幾何学的な要素(36)を備えており、各々の要素(36)が、本質的に多角形のリブの設計を有し、隣り合う要素(36)が、互いに相並んでかつ/または互いにオフセットされて位置しており、
前記支持パッド(2)の製造中、前記減衰層(10)の前記弾性材料が前記凹部(30)内に入り込み、前記弾性材料の硬化後に前記凹部(30)を完全に充填することを特徴とする、
支持パッド(2)。
【請求項2】
前記補強要素が、円形、三角形、方形またはその他の任意の多角形の形態の底面を有する複数の離散的な錐体形の要素(46;50,52)を備えている、請求項1記載の支持パッド(2)。
【請求項3】
前記補強リブ(24,26,28)が、前記支持層(4)の中心(34)周りの少なくとも一部の回転角において、前記支持層(4)の前記中心(34)に対して少なくとも離散的な回転対称の設計を有している、請求項1または2記載の支持パッド(2)。
【請求項4】
前記補強リブ(24,26,28)が、互いに相並んで位置する複数のハニカム(36)を備えたハニカム構造を備えており、各々のハニカム(36)が本質的に正六角形のリブの設計を有しており、隣り合うハニカム(36)が共通のリブ(24,26,28)を共有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の支持パッド(2)。
【請求項5】
前記補強リブ(24,26,28)が、前記支持層(4)の中心(34)周りで延在する円形のクモの巣構造を備えており、前記クモの巣構造が、前記支持層(4)の前記中心(34)から半径方向に延在するかまたは前記半径方向に対して平行に延在する第1の補強リブ(24)と、前記支持層(4)の前記中心(34)周りで周方向に延在し、交差する各々の前記第1の補強リブ(24)に対して本質的に垂直な第2の補強リブ(26)とを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の支持パッド(2)。
【請求項6】
前記補強リブ(24,26,28)が、前記支持層(4)の中心(34)と前記支持層(4)の外側縁部(40)との間の距離の少なくとも一部に沿って、前記支持層(4)の前記中心(34)から半径方向に延在するかまたは前記半径方向に対して平行に延在する第1の補強リブ(24)を備えている、請求項1から5までのいずれか1項記載の支持パッド(2)。
【請求項7】
前記第1の補強リブ(24)同士が、周方向に互いに等間隔に離隔している、請求項5または6記載の支持パッド(2)。
【請求項8】
前記補強リブ(24,26,28)が、前記支持層(4)の中心(34)周りで周方向に延在する第2の補強リブ(26)を備えている、請求項1から7までのいずれか1項記載の支持パッド(2)。
【請求項9】
前記第2の補強リブ(26)が、前記支持層(4)の前記中心(34)周りで同軸的に延在している、請求項5または8記載の支持パッド(2)。
【請求項10】
隣り合う第2の補強リブ(26)が、互いに半径方向に離隔している、請求項5、8または9記載の支持パッド(2)。
【請求項11】
前記補強リブ(24,26,28)が、半径方向に延在する第1の補強リブ(24)または半径方向に対して平行に延在する第1の補強リブ(24’)と、周方向に延在する第2の補強リブ(26)との間の少なくとも一部の交点に位置する円形、半円形または楕円形のリブとして実現された第3の補強リブ(28)を備えており、前記交点が、前記第3の補強リブ(28)の中心を形成している、請求項1から10までのいずれか1項記載の支持パッド(2)。
【請求項12】
隣り合う交点の前記第3の補強リブ(28)が互いに離隔している、請求項11記載の支持パッド(2)。
【請求項13】
前記第3の補強リブ(28)が同一の形状および/または同一の直径を有している、請求項11または12記載の支持パッド(2)。
【請求項14】
平面図では、前記支持パッド(2)が円形の形状を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載の支持パッド(2)。
【請求項15】
前記支持層(4)が、内部に含まれる強化繊維の有無にかかわらず、プラスチック材料から製作されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の支持パッド(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち案内式のポリッシングまたはサンディング電動工具用の支持パッドであって、
剛性材料から製作される支持層であって、支持パッドをポリッシングまたはサンディング電動工具の駆動軸または偏心要素に接続するための接続要素を上面に備える支持層と、
弾性材料から製作される減衰層であって、支持層の下面に不動に取り付けられている減衰層と、
支持パッドにポリッシングまたはサンディング部材を取り外し可能に取り付けるための付着層であって、減衰層の下面に不動に取り付けられている付着層と、
を備える支持パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち案内式のポリッシングまたはサンディング電動工具は、車両のボディ、ボートの船体もしくは船舶の船体または航空機の胴体の表面をサンディングまたはポリッシングする分野で一般に使用されている。工具の意図された使用、加工の種類および/または使用者の好みに応じて、電動工具は、電気的(再充電可能なバッテリまたは主電源接続を伴って)または空気圧的に作動させることができる。ポリッシングまたはサンディング電動工具は、駆動軸を有する電気式のモータまたは空気圧式のモータを備えている。駆動軸は、例えば、傘歯車機構および/または減速機歯車機構によって、トルク伝達可能に直接的または間接的に取付け部材に接続される。取付け部材は、雄ねじ山、アダプタ要素および/または偏心要素を備えることができる。支持パッドは、その接続要素とともに取付け部材に取り外し可能に取り付けられる。公知の支持パッドは、通常、ガラス繊維強化プラスチック材料から製作される剛性的な支持層であって、電動工具に取り外し可能に取り付けるための接続要素を上面に備える支持層を備えている。支持層の下面には、例えばポリウレタンなどの弾性材料から製作された減衰層が、例えば共成形によって不動に取り付けられている。先行技術では、支持層の下面は平坦な表面である。減衰層の下面には、例えばポリッシングパッドまたはシート状の紙やすりもしくは布やすりなどのポリッシングまたはサンディング部材を取り外し可能に取り付けるための、例えば面ファスナなどを備える付着層が取り付けられている。
【0003】
従来の支持パッドの課題は、ランダムオービタル作業運動またはロトオービタル作業運動をもたらす偏心電動工具とともに使用する場合、支持パッドが通常動作する比較的高い回転速度と、意図された使用中の支持パッドの偏心運動とのために、意図された使用中に支持パッドに反りが生じる傾向があるという事実である。反りとは、支持パッドがその延在平面内で波打つ傾向があることを意味する。これにより、支持パッドまたはポリッシングもしくはサンディング部材が、それぞれ加工される表面上に下面全体で平坦に載らなくなり、その結果、作業工程の効率および品質が満足のいくものではなくなるという事態が生じる。さらに、反りの影響を低減するために、従来の支持パッドの支持層は、比較的高価なガラス繊維強化プラスチック材料から製作されている。最後に、状況によっては、減衰層が支持層から外れてしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、公知の支持パッドに比べて、支持パッドの総重量を増加させることなく剛性および曲げ剛性を高め、支持層への減衰層の取付けが安全かつ強固であり、同時にコスト効率がよい支持パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1の特徴を有する支持パッドが提案される。特に上述した形態の支持パッドを起点として、支持層の下面に、支持層の曲げ剛性を高めるための補強要素が設けられており、支持層の下面に、要素同士の間に形成され、要素同士によって少なくとも部分的に制限される凹部がさらに設けられており、支持パッドの製造中、減衰層の弾性材料が凹部内に入り込み、弾性材料の硬化後に凹部を完全に充填することが提案される。
【0006】
特許請求された支持パッドの構造、特にその支持層の構造は、支持層の剛性と、それに伴う支持パッド全体の曲げ剛性とを著しく高めるという利点を有している。補強要素は、意図された使用中の支持パッドの前述した反りの影響を明らかに減少させる。これは、支持パッドが比較的高い回転速度で動作する場合および支持パッドが意図された使用中に偏心運動をもたらす場合に特に当てはまる。特に補強要素は、意図された使用中に支持パッドがその延在平面内で波打つ傾向を著しく減少させる。結果として、支持パッドの意図された使用中に、支持パッドの下面全体が、加工される表面上に平坦に載り、その結果、ポリッシング加工またはサンディング加工の特に高い効率と品質とが得られる。本発明の意味での支持パッドの意図された使用とは、支持パッドが、ポリッシングまたはサンディング電動工具に取り付けられ、付着層の下面にポリッシングまたはサンディング部材を支持し、電動工具が、ワークピース(例えば、車両、ボート、航空機など)の表面を加工するために一般的に使用される速度で動作することを意味する。
【0007】
支持パッドの反り影響の低減およびより高い剛性は、主として、支持パッドの減衰層と支持層との間のより良好かつ強固な干渉と機械的なアンカ固定とによって達成される。これは、支持層の補強要素が減衰層内に沈み込み、減衰層の硬化した材料によって完全に囲まれているためである。
【0008】
さらに、本発明の支持パッドの優れた剛性および曲げ剛性のため、支持層を必ずしも比較的高価なガラス繊維強化プラスチック材料から製作する必要はない。むしろ、従来のはるかに安価で取扱いが容易なプラスチック材料から製作され、許容できる量の剛性と曲げ剛性とを維持した支持層を製作することが可能になる。これにより、高い剛性と曲げ剛性とを有しながら、極めてコスト効率のよい支持パッドを得ることができる。
【0009】
本発明による支持パッドでは、支持層の下面に設けられた補強要素の3次元の延在と、補強要素同士の間に設けられた凹部内に入り込む減衰層の材料とにより、減衰層と支持層との間の相互接続が、延在する支持層と減衰層との間に延在する2次元の水平面で有効となるだけではなく、3次元的にも有効となることが特に有利である。これにより、意図された使用時の支持パッドのねじれが大幅に低減される。補強要素の形態と構造とは、支持パッドが取り付けられた電動工具の意図された使用中に支持パッドに局所的に作用する力が吸収され、支持パッドのより広い領域にわたって広がるようになっている。支持パッドに作用する力は、例えば、電動工具の意図された使用中に使用者が電動工具に加えた圧力ひいては支持パッドに加えた圧力によるものである。これにより、意図された使用中の支持パッドの静的な変形を低減することができる。さらに、補強要素の形態と構造とは、全ての方向、すなわち、半径方向、軸線方向および横方向の振動を大幅に吸収するようになっている。この目的のために、補強要素は、消音壁に似た形態を有していてよい。これにより、意図された使用中の支持パッドの動的な変形を低減することができる。
【0010】
最後に、支持パッドの製造中、減衰層の弾性材料が凹部内に入り込み、凹部を完全に充填した弾性材料の硬化後、補強要素と、その間の凹部とは、支持層への減衰層のより安全で信頼性の高い取付けを提供する。特許請求された支持層の下面の構造のため、支持パッドの意図された使用中に減衰層が支持層から外れてしまうことはほとんどあり得ない。
【0011】
補強要素は、支持層の下面から減衰層に向かって延在して、減衰層の材料によって充填される凹部を形成する任意の所望の3次元の形態を有することができる。好ましくは、補強要素は、遠位端部よりも基部に大きな延在量を有する複数の離散的な(discrete)要素を備えている。例えば、補強要素は、円形、三角形、方形、特に正方形の形態またはその他の任意の多角形の形態、特に正多角形の形態の底面を有する複数の離散的なまたは個々の錐体形の要素を備えることが提案されている。
【0012】
代替的に、補強要素は、補強リブを備えることが提案されている。補強リブを備えた支持層の下面の正確な構造は、本発明の所望の結果および利点を達成するために、多くの可能な特定の設計を有することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、補強リブは、支持層の中心周りの少なくとも一部の回転角において、支持層の中心に対して少なくとも離散的な回転対称の設計を有することが提案される。例えば、補強リブは、180°および360°、または120°、240°および360°、または90°、180°、270°および360°、または60°、120°、180°、240°、300°および360°、または45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°および360°、または30°、60°、90°、120°、150°、180°、210°、240°、270°、300°、330°および360°の回転角において、支持層の中心に対して回転対称の設計を有することができる。代替的に、補強リブは、任意の回転角において、支持層の中心に対して完全に回転対称の設計を有することもできる。補強リブの少なくとも離散的な回転対称性は、異なる方向における支持層と支持パッドとの各々の剛性と曲げ剛性とを保証する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、補強リブは、複数の多角形の幾何学的な要素を備えており、各々の要素は、本質的に多角形のリブの設計を有しており、隣り合う要素は、互いに相並んでかつ/または互いにオフセットされて位置していることが提案される。多角形の幾何学的な要素は、例えば、支持層の下面から突出し、補強リブを形成する三角形、方形、正方形、五角形、六角形、八角形、円形、楕円形の外壁を備える任意の所与の形態を有することができる。多角形の幾何学的な要素は、好ましくは、支持層の下面に均等に分布している。多角形の幾何学的な要素では、その1つが他のすぐ隣に位置し、2つの隣り合う要素が同一の外壁の少なくとも一部を共有することができる。代替的に、多角形の幾何学的な要素は、互いに離隔して位置していてもよい。好ましくは、隣り合う多角形の幾何学的な要素の間の距離は、全ての多角形の幾何学的な要素で同一である。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、補強リブは、互いに相並んで位置するハニカムを形成する複数の外壁を有するハニカム構造を備えており、各々のハニカムの外壁は、本質的に正六角形のリブの設計を形成し、隣り合うハニカムは、共通の外壁を共有していることが提案される。このようなハニカム構造は、180°および360°の回転角において離散的な回転対称性を有している。それにより、特に剛性および曲げ剛性の高い支持層と支持パッドとをそれぞれ提供することができる。さらに、ハニカムの各々の本質的に六角形の凹部は、支持パッドの製造中、先行して凹部内に入り込んだ減衰層の弾性材料の硬化後、減衰層と支持層との間の特に安全で耐久性のある信頼性の高い接続を提供する。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、補強リブは、支持層の中心周りで延在する円形のクモの巣構造を備えており、クモの巣構造は、支持層の中心から半径方向に延在するかまたは半径方向に対して平行に延在する第1の補強リブと、支持層の中心周りで周方向に延在し、第1の補強リブとの交点で各々の第1の補強リブに対して本質的に垂直に延びている第2の補強リブとを有することが提案される。当然ながら、第1の補強リブが半径方向に対して平行に延在している場合、第2の補強リブは、第1の補強リブとの交点で第1の補強リブに対して正確に垂直には延びていない。したがって、「本質的に垂直」という用語は、約50°~130°、好ましくは70°~110°の角度を含む。クモの巣構造は、特に剛性および曲げ剛性の高い支持層と支持パッドとをそれぞれ提供することが証明されている。
【0016】
半径方向に延在する第1の補強リブは、支持層の中心と支持層の外側縁部との間の距離全体に沿って延在することができる。好ましくは、補強リブは、支持層の中心と支持層の外側縁部との間の距離の少なくとも一部に沿って、支持層の中心から半径方向に延在するかまたは半径方向に対して平行に延在する第1の補強リブを備えている。したがって、第1の補強リブは、支持層の中心に対して距離を置いて始まりかつ/または支持層の外側縁部に対して距離を置いて終端することができる。
【0017】
好ましくは、第1の補強リブ同士は、周方向に互いに等間隔に離隔している。これにより、支持層の下面に補強リブが均等に分布し、それぞれ支持層の中心周りで離散的な回転角に均等に分布した、支持層および支持パッドの剛性と曲げ剛性との量が得られる。
【0018】
さらに、補強リブは、支持層の中心周りで周方向に延在する第2の補強リブを備えることが提案される。好ましくは、第2の補強リブは、支持層の中心周りで同軸的に延在している。これにより、支持層の中心に対して支持パッドの重量が均等かつ均一に分布し、その結果、支持層の中心を通って走る回転軸線周りの支持パッドの回転時の振動が最小限に抑えられる。隣り合う第2の補強リブは、互いに半径方向に、好ましくは等距離で離隔している。当然ながら、支持層の中心に向かう隣り合う第2の周方向の補強リブが、支持層の外側縁部に向かう隣り合う第2の周方向の補強リブよりも大きな距離を有するように、あるいはその逆に、補強リブ構造を設計することも可能である。
【0019】
さらに、補強リブは、半径方向に延在する第1の補強リブまたは半径方向に対して平行に延在する第1の補強リブと、周方向に延在する第2の補強リブとの間の少なくとも一部の交点に位置する円形、半円形または楕円形のリブとして実現された第3の補強リブを備えており、交点が、第3の補強リブの中心を形成していることが提案される。第3の補強リブは、支持層と支持パッドとに、それぞれ剛性と曲げ剛性とを付加するものである。第3の補強リブはまた、任意の多角形の形態、特に3つ以上の辺と3つ以上の角とを有する形態を有することができる。例えば、第3の補強リブは、4つの辺と4つの角とを有する菱形の形態を有することができる。当然ながら、支持層の中心および外側縁部に向かって、第3の補強リブは半円形または半楕円形を有していてよい。
【0020】
補強リブ構造は、隣り合う第3の補強リブが、第3の補強リブを形成する外壁の共通点または共通領域で接触するように設計することができる。好ましくは、隣り合う交点の第3の補強リブは、互いに離隔している。
【0021】
補強リブ構造は、第3の補強リブの少なくとも一部が異なる形状および/または直径を有するように設計することができる。例えば、支持層の中心に向かっている第3の補強リブは、支持層の外側縁部に向かって位置している第3の補強リブよりも小さくすることが可能である。好ましくは、第3の補強リブは、支持層の下面の全体にわたって、同一の形状および/または同一の直径を有している。
【0022】
平面図では、支持パッドは、任意の所与の形態、特に方形の形状またはデルタ形状を有することができる。このような支持パッドは、回転の中心軸線周りで回転するのではなく、単に純粋なオービタル作業運動を実施する。この目的のために、支持パッドは、オービタル式のポリッシングまたはサンディング電動工具に取り付けられる。好ましくは、平面図では、支持パッドは円形の形状を有している。このような支持パッドは、それが取り付けられるポリッシングまたはサンディング電動工具の種類に応じて、純粋なオービタル作業運動、ランダムオービタル作業運動またはロトオービタル(歯車駆動)作業運動を実施することができる。
【0023】
本発明による支持パッドの優れた剛性および曲げ剛性の結果として、補強リブを備えないガラス繊維強化プラスチック材料などのより剛性の高い材料から製作された従来の支持パッドと比較して、剛性と曲げ剛性とを失うことなく、より剛性が低く、場合によってはより安価な材料から支持層を製造することが可能となる。この目的のために、支持層は、内部に含まれる強化繊維の有無にかかわらず、プラスチック材料、特に熱可塑性材料から製作されていることが提案される。このような熱可塑性材料の典型的な例は、ポリアミド、特にナイロンポリマーのような脂肪族ポリアミドである。好ましくは、Ixef(登録商標)PARAのようなポリアクリルアミド材料が支持層の製作に使用される。所望される場合には、必ずしも必要ではないが、熱可塑性材料、ポリアミド材料またはポリアクリルアミド材料は、50%~60%の繊維強化材、特にガラス繊維強化材を含むことができ、これにより、支持層に顕著な強度と剛性とが付与される。補強リブにより、従来の支持パッドと比較して、剛性と曲げ剛性とを損なうことなく、支持パッドの全体的な厚さを減少させることができる。これは、プラスチック材料が繊維強化されている場合に特に当てはまる。
【0024】
最後に、減衰層がポリウレタン、特にポリウレタン発泡ゴムから製作されていることが提案される。
【0025】
支持パッドの製造は、以下のようにして実施することができる。まず、支持パッドをポリッシングまたはサンディング電動工具の駆動軸または偏心要素に接続するための接続要素が、射出成形金型の底部に挿入されてよい。次いで、支持層の加熱された材料が、接続要素の少なくとも一部を囲むように射出成形金型に射出される。支持層の下面は、射出成形金型内で上方に向けられている。補強リブは、例えば、補強リブに対応して実現された溝を有する蓋とともに射出成形金型を型締めすることによって製作される。蓋が支持層の材料に押し付けられると、材料が溝に入り込み、それにより補強リブが形成される。その後、減衰層の加熱された材料が、支持層の下面の頂部にある射出成形金型に射出される。蓋は、予め射出成形金型から取り除かれなければならない。減衰層の加熱された材料は、流動性または粘性の状態にあるため、補強リブ同士の間の凹部内に入り込み、凹部を完全に充填する。最後に、付着層が、減衰層の下面に位置決めされる。その後、支持パッドの材料を、場合によっては熱供給および/または圧力の下で硬化させる。材料が硬化したのち、減衰層は支持層の下面に不動に取り付けられ、付着層は減衰層の下面に不動に取り付けられる。
【0026】
本発明の更なる特徴および利点は、添付の図面を参照して以下にさらに詳細に説明される。図面に示された特徴および/または以下に記載された特徴の各々は、それ単独でまたは図面に示された他の特徴および/または以下に記載された他の特徴のいずれかと任意の可能な組み合わせで、たとえその組み合わせが図面に示されていなくても、かつ/または以下の説明で明示的に言及されていなくても、本発明の一部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による支持パッドの一実施形態を下方から見た分解斜視図である。
図2】本発明による支持パッドの一実施形態を上方から見た斜視図である。
図3】本発明による支持パッドの一実施形態の支持層の下面の概略図である。
図4】本発明による支持パッドの一実施形態の支持層の下面の概略図である。
図5】本発明による支持パッドの一実施形態の支持層の下面の概略図である。
図6】本発明による支持パッドの一実施形態の支持層の下面の概略図である。
図7】従来の支持パッドの意図された使用中の側面図である。
図8】従来の支持パッドの意図された使用中の側面図である。
図9】本発明による支持パッドの一実施形態の支持層の下面の概略図である。
図10】本発明による支持パッドの一実施形態の支持層の下面の概略図である。
図11】本発明による支持パッドの一実施形態の支持層の下面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、手持ち案内式のポリッシングまたはサンディング電動工具用の支持パッド2の分解図である。支持パッドは、
剛性材料から製作される支持層4であって、支持パッド2をポリッシングまたはサンディング電動工具の駆動軸または偏心要素に接続するための接続要素6(図2参照)を上面8に備える支持層4と、
弾性材料から製作される減衰層10であって、支持層4の下面12に不動に取り付けられている減衰層10と、
支持パッド2にポリッシングまたはサンディング部材を取り外し可能に取り付けるための付着層14であって、減衰層10の下面16に不動に取り付けられている付着層14と、
を備えている。
【0029】
接続要素6は凹部の形態を有しており、支持パッド2の中心軸線または回転軸線22に対して回転対称でない形態を有している。支持層4は、外側縁部40を有している。減衰層10と付着層14とは、中央開口44を有することができる。好ましくは、接続要素6は、例えばプラスチック材料または金属、特に鋼またはアルミニウムなどの剛性材料から製作されているか、またはそれらを含む。付着層14は、支持パッド2にポリッシングまたはサンディング部材を取り外し可能に取り付けるための、例えば面ファスナの層を備えることができる。ポリッシングまたはサンディング部材は、例えば、サンディングパッド42またはシート状の紙やすりもしくは布やすりであってよい。ポリッシングまたはサンディング部材は、減衰層10と付着層14との中央開口44に対応する中央開口を有することができる。
【0030】
様々な層4,10,14は、層4,10,14の各々を別個に製作したのちに、例えば接着または溶接などによって互いに取り付けられないことが好ましい。むしろ、様々な層4,10,14は、支持パッド2の製造工程中、例えば共成形によって互いに取り付けられることが好ましい。これは、支持パッド2全体を1回の共成形工程で製造することができるという利点を有している。成形工程により、様々な層4,10,14は、特に強く、堅牢で耐久性があるように互いに取り付けられる。
【0031】
手持ち案内式のポリッシングまたはサンディング電動工具は、車両のボディ、ボートの船体もしくは船舶の船体または航空機の胴体の表面をサンディングまたはポリッシングする分野で一般に使用されている。工具の意図された使用、加工の種類および/または使用者の好みに応じて、電動工具は、電気的(再充電可能なバッテリまたは主電源接続を伴って)または空気圧的に作動させることができ、支持パッド2に異なる種類の作業運動(例えば、純粋な回転、純粋なオービタル、ランダムオービタルまたはロトオービタルもしくは歯車駆動)を実施させることができる。ポリッシングまたはサンディング電動工具は、駆動軸18(図2参照)を有する電気式のモータまたは空気圧式のモータを備えている。駆動軸18は、例えば電動工具のハウジング内に位置する傘歯車機構および/または減速機歯車機構などによって、トルク伝達可能に直接的または間接的に電動工具の取付け部材20に接続される。取付け部材20は、支持パッド2を電動工具に取り外し可能に取り付けるために役立つ。取付け部材20は、接続要素6の凹部の内周形状に対応する外周形状を有するアダプタ要素として設計されている。アダプタ要素20は、下方から支持パッド2の中心孔に挿入され、その孔を通過して、アダプタ要素20の底面に開口したねじ穴に螺合するねじ等によって、軸線方向で凹部6内に固定することができる。支持パッド2の中心孔は、好ましくは、減衰層10と付着層14との中央開口44と同軸的に延在している。製造されてすぐに使用できる支持パッド2では、支持層4の接続要素6は、好ましくは、中央開口44の上方に位置している。図には示されていないが、中心孔は、支持層4と接続要素6とを含む支持パッド2全体を貫通して延在している。
【0032】
代替的に、取付け部材20だけでなく、支持パッド2の接続要素6も、上述したものとは異なる設計であってよい。相互作用する取付け部材20と接続要素6との任意の可能な構成が可能である。特に、取付け要素20は、雄ねじ山、アダプタ要素および/または偏心要素を備えることができる。支持パッド2はその接続要素6とともに、取付け部材20に取り外し可能に取り付けられる。
【0033】
従来の支持パッド2の課題は、ランダムオービタル作業運動またはロトオービタル作業運動を実施する偏心電動工具とともに使用する場合、支持パッド2が通常動作する比較的高い回転速度と、意図された使用中の支持パッドの偏心運動とのために、意図された使用中に支持パッドに反りが生じる傾向があるという事実である。反りとは、支持パッド2がその延在平面内で波打つ傾向があることを意味する(図7および図8参照)。これにより、支持パッド2またはポリッシングもしくはサンディング部材が、それぞれ加工される表面32上に下面全体で平坦に載らなくなり(図7および図8参照)、その結果、作業工程の効率および品質が満足のいくものではなくなるという事態が生じる。さらに、反りの影響を低減するために、従来の支持パッド2の支持層4は、比較的高価なガラス繊維強化プラスチック材料から製作されている。最後に、状況によっては、減衰層10が支持層4から外れてしまうことがある。
【0034】
意図された使用中の支持パッド2の反りを回避しかつ支持パッド2の剛性と曲げ剛性とを向上させるために、支持層4の下面12に、補強リブ24,26,28の形態の補強要素が設けられており、支持層4の下面12に、補強リブ24,26,28同士の間に形成され、補強リブ24,26,28同士によって少なくとも部分的に制限される凹部30がさらに設けられており、支持パッド2の製造中、減衰層10の弾性材料が、凹部30内に入り込み、弾性材料の硬化後に凹部30を完全に充填することが提案される。
【0035】
補強リブ24,26,28によって少なくとも部分的に制限されるとは、ほとんどの凹部30がその側面で各々の補強リブ24,26,28によって制限されることを意味する。しかしながら、特に支持層4の外側縁部40に向かって、または支持パッド2の中央開口44に向かって、補強リブ24,26,28によって全ての側面で制限されず、代わりに、外側/環境に向かって開いている幾つかの凹部30aが存在していてよい。これらの凹部30aもまた、支持パッド2の製造時に減衰層10の弾性材料で完全に充填される。
【0036】
支持パッド2の構造、特に補強リブ24,26,28を備えた支持層4の構造は、支持層4の剛性と、それに伴う支持パッド2全体の曲げ剛性とを著しく高めるという利点を有している。補強リブ24,26,28は、意図された使用中の支持パッド2の反りの影響を明らかに減少させる。これは、特に支持パッド2が駆動軸18の比較的高い回転速度で動作する場合および支持パッド2が意図された使用中に偏心運動(例えばランダムオービタルまたはロトオービタルもしくは歯車駆動)をもたらす場合に特に当てはまる。特に補強リブ24,26,28は、意図された使用中に支持パッド2がその延在平面内で波打つ傾向(図7および8を参照)を著しく減少させる。その結果、本発明による支持パッド2の意図された使用中に支持パッド2の下面全体が、加工される表面32上に平坦に載り、その結果、ポリッシング加工またはサンディング加工の特に高い効率と品質とを得ることができる。本発明の意味での支持パッド2の意図された使用とは、支持パッド2が、ポリッシングまたはサンディング電動工具に取り外し可能に取り付けられ、付着層14の下面にポリッシングまたはサンディング部材を支持し、電動工具が、ワークピース(例えば、車両、ボート、航空機など)の表面を加工するために一般的に使用される速度で動作することを意味する。
【0037】
さらに、本発明による支持パッド2の優れた剛性および曲げ剛性のため、支持層4を必ずしも比較的高価なガラス繊維強化プラスチック材料から製作する必要はない。むしろ、従来のはるかに安価で取扱いが容易な(例えば、強化繊維を含まない)プラスチック材料から製作され、許容できる量の剛性と曲げ剛性とを維持した支持層を製作することが可能になる。これにより、高い剛性と曲げ剛性とを有しながら、極めてコスト効率のよい支持パッド2を得ることができる。
【0038】
本発明による支持パッド2のより優れた剛性および曲げ剛性の結果として、補強リブを備えないガラス繊維強化プラスチック材料などのより剛性の高い材料から製作された従来の支持パッドと比較して、剛性と曲げ剛性とを失うことなく、より剛性が低く、場合によってはより安価な材料から支持層4を製作することが可能となる。この目的のために、支持層4がプラスチック材料、特に熱可塑性材料から製作されることが提案される。このような熱可塑性材料の典型的な例は、ポリアミド、特にナイロンポリマーのような脂肪族ポリアミドである。好ましくは、Ixef(登録商標)PARAのようなポリアクリルアミド材料が支持層4の製造に使用される。所望される場合には、必ずしも必要ではないが、熱可塑性材料、ポリアミド材料またはポリアクリルアミド材料は、最大50%~60%の繊維強化材、特にガラス繊維強化材を含むことができ、支持層4に、従来のガラス繊維強化された支持パッドを明らかに超える顕著な強度と剛性とが付与される。
【0039】
補強リブ24,26,28により、従来の支持パッドと比較して、剛性と曲げ剛性とを損なうことなく、支持パッド2の全体的な厚さを減少させることができる。これは、支持層4に使用されるプラスチック材料が、補強リブ24,26,28を有するだけでなく、繊維強化されている場合に特に当てはまる。減衰層10は、好ましくはポリウレタン、特にポリウレタン発泡ゴムから製作されている。
【0040】
支持パッド2の製造中、減衰層10の弾性材料が凹部30内に入り込み、凹部30を完全に充填した弾性材料の硬化後、補強リブ24,26,28と、その間の凹部30とは、支持層4への減衰層10のより安全で信頼性の高い取付けを提供する。提案された支持層4の下面12の構造のため、支持パッド2の意図された使用中に減衰層10が支持層4から外れてしまうことはほとんどあり得ない。
【0041】
支持層4の下面12の構造は、本発明の所望の結果および利点を達成するために、多くの可能な特定の設計を有することができる。好ましい実施形態によれば、補強リブ24,26,28は、支持層4の中心34周りの少なくとも一部の回転角において、支持層4の中心34に対して少なくとも離散的な回転対称の設計を有することが提案される。回転軸線22は、支持層4の中心34を通る。例えば、補強リブ24,26,28は、180°および360°(図4の実施形態参照)、または120°、240°および360°、または90°、180°、270°および360°(図5の実施形態参照)、または60°、120°、180°、240°、300°および360°(図6の実施形態参照)、または45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°および360°(図3の実施形態参照)、または30°、60°、90°、120°、150°、180°、210°、240°、270°、300°、330°および360°の回転角において、支持層4の中心34に対して回転対称の設計を有することができる。当然ながら、補強リブは、任意の回転角において、支持層4の中心34に対して完全に回転対称の設計を有することもできる。補強リブ24,26,28の少なくとも離散的な回転対称性は、異なる方向における支持層4と支持パッド2との各々の剛性と曲げ剛性とを保証する。
【0042】
図4に示す本発明の好ましい実施形態によれば、補強リブ24,26,28は、複数の多角形の幾何学的な要素36を形成しており、各々の要素36は、本質的に多角形のリブの設計を有し、隣り合う要素36は、互いに相並んで位置していることが提案される。代替的に、隣り合う要素36は、互いにオフセットされていてもよい。多角形の幾何学的な要素36は、例えば、支持層4の下面12から突出し、補強リブ24,26,28を形成する三角形、方形、正方形、五角形、六角形、八角形、円形、楕円形の外壁を備える任意の所与の形態を有することができる。多角形の幾何学的な要素36は、好ましくは、支持層4の下面12に均等に分布している。図4に示すように、多角形の幾何学的な要素36では、その1つが他のすぐ隣に位置し、2つの隣り合う要素が、それぞれ同一の外壁またはリブ24,26,28の少なくとも一部を共有することができる。代替的に、多角形の幾何学的な要素36は、互いに離隔して位置していてもよい。好ましくは、隣り合う多角形の幾何学的な要素36の間の距離は、全ての多角形の幾何学的な要素36で同一である。
【0043】
図4の実施形態では、多角形の幾何学的な要素36はそれぞれ、ハニカムの六角形の形態を有している。全ての要素36が共にハニカム構造を形成している。ハニカムを形成する複数の外壁またはリブ24,26,28がそれぞれ隣り合って位置し、各々のハニカム36の外壁24,26,28は、本質的に正六角形のリブの設計を形成している。隣り合うハニカム36は、共通の外壁24,26,28を共有している。このようなハニカム構造は、180°および360°の回転角において離散的な回転対称性を有している。それにより、特に剛性および曲げ剛性の高い支持層4と支持パッド2とをそれぞれ提供することができる。さらに、ハニカム36の各々の本質的に六角形の凹部30は、支持パッド2の製造中、先行して凹部30内に入り込んだ減衰層10の弾性材料の硬化後、減衰層10と支持層4との間の特に安全で耐久性のある信頼性の高い接続を提供する。
【0044】
図1の実施形態によれば、補強要素は、支持層4の中心34から半径方向に延在する第1の補強リブ24を備えている。補強要素は、中心34から等距離に延在し、第1の補強リブ24に対して垂直に延在する円形の延在部を有する第2の補強リブ26をさらに備えている。凹部30は、隣り合う第1の補強リブ24と隣り合う第2の補強リブ26との間に形成されている。幾つかの凹部30aは、補強リブ24,26によって全ての側面で制限されず、代わりに外側/環境に向かって開いている。
【0045】
図6に示す本発明の別の好ましい実施形態によれば、補強リブ24,26,28は、支持層4の中心34周りで延在する円形のクモの巣構造を形成することが提案される。このクモの巣構造は、支持層4の中心34から半径方向に延在する第1の補強リブ24と、支持層4の中心34周りで本質的に周方向に延在する第2の補強リブ26とを有している。本実施形態では、第2の補強リブ26は、2つの隣接する第1の補強リブ24同士の間を等距離で走る半径方向の仮想線38に対して垂直に延在する直線的な延在部を有している。第2の補強リブ26は、第1の補強リブ24との交点で各々の第1の補強リブ24に対して本質的に垂直に延びている。当然ながら、第2の補強リブ26の直線的な延在部のため、第2の補強リブ26はその交点で第1の補強リブ24に対して正確に垂直には延びていない。したがって、「本質的に垂直」という用語は、約50°~130°、好ましくは70°~110°の角度を含む。図6の実施形態では、第1の補強リブ24と第2の補強リブ26との間の角度は約60°である。クモの巣構造は、特に剛性および曲げ剛性の高い支持層4と支持パッド2とのそれぞれを提供することが証明されている。
【0046】
図5に示す実施形態によれば、補強リブ24,26,28は、支持層4の中心34から半径方向に延在する第1の補強リブ24と、半径方向に延在する仮想線41に対して平行に延在する第1の補強リブ24’とを備えている。仮想線41は、隣り合う2つの第1の補強リブ24の間を等距離で走っている。図5の支持層4の下面12は、第1の補強リブ24によって4つの別個の象限に分割されている。各々の象限は、仮想線41を備えている。第1の補強リブ24’は、それらが存在する象限に応じて異なる延在部を有している。特に、ある象限の第1の補強リブ24’は、その象限の仮想線41に対して平行に延在している。
【0047】
図1および図5のリブ構造は、支持層4の中心34周りで周方向に延在する第2の補強リブ26をさらに備えている。本実施形態では、第2の補強リブ26は、第1の補強リブ24と、各々の交点における半径方向の仮想線41とに対して垂直に延在する円形の延在部を有している。第2の補強リブ26は、その交点において他の第1の補強リブ24’に対して正確に垂直には延びていない。第1の補強リブ24’が正確に半径方向に延在していないため、第2の補強リブ26はその交点において第1の補強リブ24’に対して正確に垂直には延びていない。ある象限の第1の補強リブ24’がその象限の半径方向の仮想線41に近ければ近いほど、第1の補強リブ24と第2の補強リブ26との間の角度は90°に近くなる。したがって、「本質的に垂直」という用語は、約50°~130°、好ましくは70°~110°の角度を含む。
【0048】
半径方向に延在する第1の補強リブ24は、支持層4の中心34と支持層4の外側縁部40との間の距離全体に沿って延在することができる。代替的に、補強リブ24,26,28は、支持層4の中心34と支持層4の外側縁部40との間の距離の少なくとも一部に沿って、支持層4の中心34から半径方向に延在するかまたは半径方向に対して平行に延在する第1の補強リブ24を備えている。したがって、第1の補強リブ24は、支持層4の中心34に対して距離を置いて始まりかつ/または支持層4の外側縁部40に対して距離を置いて終端することができる。
【0049】
好ましくは、第1の補強リブ24同士は、周方向に互いに等間隔に離隔している(図1図3図5(第1のリブ24に関するもので、他の第1のリブ24’に関するものではない)、図6参照)。これにより、支持層4の下面12に補強リブ24が均等に分布し、それぞれ支持層4の中心34周りで離散的な回転角で均等に分布した、支持層4および支持パッド2の剛性と曲げ剛性との量が得られる。
【0050】
好ましくは、第2の補強リブ26は、支持層4の中心34周りで同軸的に延在している。これにより、支持層4の中心軸線22に対して支持パッド2の重量が均等かつ均一に分布し、その結果、支持層4の中心34を通る回転軸線22周りの支持パッド2の回転時の振動が最小限に抑えられる。隣り合う第2の補強リブ26は、互いに半径方向に、好ましくは等距離で離隔している。当然ながら、支持層4の中心34に向かう隣り合う第2の周方向の補強リブ26が、支持層4の外側縁部40に向かう隣り合う第2の周方向の補強リブ26よりも大きな距離を有するように、あるいはその逆に、補強リブ構造を設計することも可能である。
【0051】
さらに、補強リブ24,26,28は、半径方向に延在する第1の補強リブ24(図3および図6参照)または半径方向41に対して平行に延在する第1の補強リブ24’(図5参照)と、周方向に延在する第2の補強リブ26との間の少なくとも一部の交点に位置する円形、半円形または楕円形のリブとして実現された第3の補強リブ28を備えることができ、この交点は、第3の補強リブ28の中心を形成している。第3の補強リブ28は、支持層5と支持パッド2とに、それぞれ付加的な剛性と曲げ剛性とを付加する。
【0052】
図3の実施形態では、第3の補強リブ28は、ほとんどが円形の形状を有している。円形の第3のリブ28は、第1の半径方向のリブ24と第2の半径方向のリブ26との間の各々の交点に位置している。当然ながら、支持層4の中心34および支持層4の外側縁部40に向かって、第3の補強リブ28は、半円形または半楕円形の形態を有していてもよい(図3参照)。半楕円形の外部の第3のリブ28の中心は、支持層4の第1の半径方向のリブ24と外側縁部40との間の交点によって構成される。図5の実施形態では、第3の補強リブ28は全て円形の形状を有している。円形の第3のリブ28は、第1の半径方向のリブ24と、半径方向の仮想線41に対して平行に延在する他の第1のリブ24’との間の一部の交点および半径方向の仮想線41に対して平行に延在する他の第1のリブ24’と、第2の半径方向のリブ26との間の一部の交点にのみ位置している。図6の実施形態では、第3の補強リブ28は、楕円形の形状を有している。楕円形の第3のリブ28は、第1の半径方向のリブ24と第2の本質的に半径方向のリブ26との間の一部の交点にのみ位置している。第3の補強リブ28はまた、任意の多角形、特に3つ以上の辺と3つ以上の角とを有する多角形の形態を有することができる。例えば、第3の補強リブ28は、4つの辺と4つの角とを有する菱形の形態を有することができる。
【0053】
補強リブ構造は、隣り合う第3の補強リブ28が、第3の補強リブ28を形成する外壁の共通点または共通領域で接触するように設計することができる。好ましくは、隣り合う交点の第3の補強リブ28は、互いに離隔している。
【0054】
補強リブ構造は、第3の補強リブ28の少なくとも一部が異なる形状および/または異なる直径を有するように設計することができる(図3参照)。例えば、支持層4の中心34に向かっている第3の補強リブ28は、支持層4の外側縁部40に向かって位置している第3の補強リブ28よりも小さくすることが可能である。好ましくは、第3の補強リブ28は、支持層4の下面12の全体にわたって、同一の形状および/または同一の直径を有している(図5参照)。
【0055】
平面図では、支持パッド2は、任意の所与の形態、特に方形の形状またはデルタ形状を有することができる。このような支持パッド2は、回転の中心軸線22周りで回転するのではなく、単に純粋なオービタル作業運動を実施する。この目的のために、支持パッドは、オービタル式のポリッシングまたはサンディング電動工具に取り付けられる。好ましくは、平面図では、支持パッド2は、円形の形状を有している。このような支持パッド2は、それが取り付けられるポリッシングまたはサンディング電動工具の種類に応じて、純粋なオービタル作業運動、ランダムオービタル作業運動またはロトオービタル(歯車駆動)作業運動を実施することができる。
【0056】
支持パッド2の製造は、以下のようにして実施される。まず、支持パッド2をポリッシングまたはサンディング電動工具の駆動軸18または偏心要素に接続するための接続要素6が、射出成形金型の底部に挿入されてよい。次いで、支持層4の加熱された材料が、接続要素6の少なくとも一部を囲むように射出成形金型に射出される。支持層4の下面12は、射出成形金型内で上方に向けられている。補強リブ24,26,28は、例えば、補強リブ24,26,28に対応して実現された溝を有する蓋とともに射出成形金型を型締めすることによって製作される。蓋が支持層4の材料に押し付けられると、材料が溝に入り込み、それにより補強リブ24,26,28が形成される。その後、減衰層10の加熱された材料が、支持層4の下面12の頂部にある射出成形金型に射出される。補強リブ24,26,28の製作に蓋を使用した場合には、減衰層10の材料を射出成形金型に装入する前に蓋を取り除く必要がある。減衰層10の加熱された材料は、流動性または粘性の状態にあるため、補強リブ24,26,28同士の間の凹部30内に入り込み、凹部30を完全に充填する。最後に、付着層14が、減衰層10の下面16に位置決めされる。支持パッド2の材料を、場合によっては熱供給および/または圧力の下で硬化させる。材料が硬化したのち、減衰層10は支持層4の下面12に不動に取り付けられ、付着層14は減衰層10の下面16に不動に取り付けられる。
【0057】
図9は、本発明による支持パッド2の異なる実施形態を示している。意図された使用中の支持パッド2の反りを回避しかつ支持パッド2の剛性と曲げ剛性とを向上させるために、支持層4の下面12に、補強リブ24,26の形態の補強要素が設けられていることが提案される。支持層4の下面12に、補強リブ24,26同士の間に形成され、補強リブ24,26によって少なくとも部分的に制限される凹部30がさらに設けられており、支持パッド2の製造中、減衰層10の弾性材料が、凹部30内に入り込み、弾性材料の硬化後に凹部30を完全に充填する。前述した実施形態とは対照的に、支持層4の下面12から減衰層10に向かって離れる方向に向いている補強リブ24,26の表面は、平坦な延在部ではなく、むしろ起伏のある延在部を有している。特に、補強リブ24,26は、各々の交点で最大の厚さを有している。
【0058】
図9の実施形態によれば、補強要素は、支持層4の中心34から半径方向に延在する複数の第1の補強リブ24を備えている。本実施形態では、合計18個の第1の補強リブ24が、それぞれ20°ずつ互いに離隔して設けられている。補強要素は、中心34から等距離に、かつ第1の補強リブ24に対して垂直に延在する円形の延在部を有する第2の補強リブ26をさらに備えている。本実施形態では、合計3つの第2の補強リブ24が設けられている。凹部30は、隣り合う第1の補強リブ24と、隣り合う第2の補強リブ26との間に形成されている。幾つかの凹部30aは、補強リブ24,26によって全ての側面で制限されず、代わりに、外側/環境に向かって開いている。外部の第2の補強リブ26のみが、支持層4の下面12から減衰層10に向かって離れる方向に向いている均等な延在部を備えた表面を有している。
【0059】
図11は、本発明による支持パッド2の別の実施形態の一部を示しており、補強要素は、方形、特に正方形の形態の底面を有する複数の離散的なまたは個々の錐体形の要素46を備えている。代替的に、底面は、円形、三角形または他の多角形の形態、特に正多角形の形態を有することもできる。離散的な要素46の側面は、支持層4の下面12から減衰層10に向かって離れる方向に向いている先端48に向かって収束する。凹部30は、隣り合う離散的な要素46の間に形成されている。
【0060】
図10は、本発明による支持パッド2のさらに別の実施形態の一部を示しており、補強要素は、起伏のある表面延在部を形成する複数の離散的なまたは個々の要素50,52を備えている。離散的な要素50,52は、下面12から突出した山50と、下面12で陥凹した形態の谷52とを備えている。離散的な要素50,52は、支持パッド2の支持層4の下面12に起伏のある構造を形成するために、全ての縁部が丸められた図11の離散的な要素46と同様である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11