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特許7566811包装体の台座シート及び台座シート付き包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】包装体の台座シート及び台座シート付き包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
B65D73/00 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022038395
(22)【出願日】2022-03-11
(65)【公開番号】P2023132839
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000134316
【氏名又は名称】株式会社トービ
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊通
(72)【発明者】
【氏名】服部 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】永井 輝充
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-050008(JP,A)
【文献】特開2015-101406(JP,A)
【文献】特開2015-000760(JP,A)
【文献】特開2015-006911(JP,A)
【文献】特開2012-025483(JP,A)
【文献】特開2020-001751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体が片面のみと対向して配置される平面状の台座シート本体を備え、
前記台座シート本体は、
記包装体が固定される、互いに離間して配置された複数の固定面と、
前記複数の固定面の各々の間に形成された単数又は複数の変形領域であって、前記複数の固定面に固定された前記包装体の変形に応じて、前記複数の固定面同士の間に、前記台座シート本体の表面から離れる向きに沿った変位を生じさせるように、前記台座シート本体を変形する変形領域とを有し、
前記台座シート本体の前記単数又は複数の変形領域は、
前記包装体の変形後の形状に応じて、前記複数の固定面の各々が、平行にシフトして段差を形成するように変形している、
包装体の台座シート。
【請求項2】
前記変形領域には、
前記台座シート本体を、前記複数の固定面の配列方向に交差する向きに沿って横断する、平行な複数の筋が形成されており、
前記複数の筋の各々は、
互いに離間するとともに前記台座シート本体の他の部分より脆弱である、
請求項1に記載の包装体の台座シート。
【請求項3】
前記台座シート本体は、前記台座シート本体を吊下げるための孔又は溝が設けられており、
前記複数の固定面の各々と前記包装体との固定位置は、前記台座シートが前記孔又は溝を利用して吊下げられたさいに、前記孔又は溝の位置よりも下方に位置している、
請求項1又は2に記載の包装体の台座シート。
【請求項4】
前記複数の固定面の各々に設けられた、前記包装体を粘着又は接着により固定する固定体を有する、
請求項1からのいずれかに記載の包装体の台座シート。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の包装体の台座シートと、
被包装物を包装する包装体であって、前記包装体の台座シートの前記台座シート本体に固定される包装体とを備え、
前記包装体は、前記被包装物の外形に追従して非可逆的に変形するものである、
台座シート付き包装体。
【請求項6】
前記台座シート付き包装体の前記包装体により包装された被包装物を更に備え、
前記包装体は、前記被包装物の外形に追従して変形した状態で前記被包装物を包装しており、
前記被包装物は、前記包装体を介して前記台座シート本体に固定されている、
請求項に記載の台座シート付き包装体。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の包装体の台座シートと、
被包装物を包装する包装体であって、可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体とを用い、
前記包装体を前記台座シート本体の前記複数の固定面に固定する工程と、
前記被包装物を前記台座シート本体に固定された前記包装体により包装する工程と、
前記包装体を前記被包装物の外形に追従して可逆的又は非可逆的に変形させる工程と、
前記台座シート本体の前記変形領域を、前記包装体により包装された前記被包装物の外形に対応して変形させる工程とを備え、
前記包装体を前記台座シート本体の固定面に固定する工程は、前記包装体の表面の、前記台座シートからの距離が異なる複数の部分の各々を前記複数の固定面の各々に固定する工程であって、
前記包装体により包装された前記被包装物を、前記包装体を介して前記台座シート本体に固定させる、
被包装物の包装方法。
【請求項8】
平面状の台座シート本体を備え、前記台座シート本体は、可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体が固定される、互いに離間して配置された複数の固定面と、前記複数の固定面の各々の間に形成された単数又は複数の変形領域であって、前記複数の固定面に固定された前記包装体の変形に応じて、前記複数の固定面同士の間に、前記台座シート本体の表面から離れる向きに沿った変位を生じさせるように、変形する変形領域とを有する、包装体の台座シートと、
被包装物を包装する包装体であって、可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体とを用い、
前記包装体を前記台座シート本体の前記複数の固定面に固定する工程と、
前記被包装物を前記台座シート本体に固定された前記包装体により包装する工程と、
前記包装体を前記被包装物の外形に追従して可逆的又は非可逆的に変形させる工程と、
前記台座シート本体の前記変形領域を、前記包装体により包装された前記被包装物の外形に対応して変形させる工程とを備え、
前記包装体を前記台座シート本体の固定面に固定する工程は、前記包装体の表面の、前記台座シートからの距離が異なる複数の部分の各々を前記複数の固定面の各々に固定する工程であって、
前記包装体により包装された前記被包装物を、前記包装体を介して前記台座シート本体に固定させる、
被包装物の包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を包装する包装体が固定される包装体の台座シート及び台座シート付き包装体等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被包装物を、その外形が看取できる立体的な態様にて展示可能な包装容器として、ブリスターやシュリンクフィルムにより被包装物を包装して、台紙に固定するようにした技術が知られている。
【0003】
そのような技術の例として、特許文献1には、台紙と、台紙の表面において一方向へ延びる帯状の接着領域と、台紙の表面に配置されて、被包装物である容器を包装する筒状のシュリンクフィルムと、シュリンクフィルムの内側であって台紙と容器との間に配置された、一方向へ長い板状のトレーとを備えた包装具であって、容器とトレーとが熱収縮したシュリンクフィルムに密着包装されることで、シュリンクフィルムの台紙に対向する固着部位がトレーの介在下に接着領域に塗布された接着剤を介して台紙の表面に固着されるようにした構成が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、シュリンクフィルムに密着包装された容器の周面が円形であったとしても、トレーによってシュリンクフィルムが接着領域に面で固着されるため、シュリンクフィルムを台紙の表面にしっかりと固着することができる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-216353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の包装具には、以下のような課題があった。すなわち、被包装物には種々の形状があり、例えば、化粧品や薬品の液体容器の蓋と容器本体とのように、外径が異なる複数の円柱が軸方向に積層されたものは、その表面に起伏を有する立体的形状を備える。そのような被包装物は、シュリンクフィルムに包まれた状態であっても、表面と台紙との間の距離は、当該被包装物の外形に応じて蓋と容器本体とで異なるため、一様な平面の台紙に固着させる際には、被包装物全体においては固着位置に偏りを生じさせることとなる。
【0007】
これは特に、被包装物の形状に応じて包装具を鉛直方向に沿って展示した場合に、当該被包装物を台紙に安定して固定することを困難としていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、外形に起伏を有し、台座シートからの距離が部分的に異なるような立体的形状を有する被包装物を安定して固定することが可能な包装体の台座シート及び台座シート付き包装体等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体が片面のみと対向して配置される平面状の台座シート本体を備え、前記台座シート本体は、前記包装体が固定される、互いに離間して配置された複数の固定面と、前記複数の固定面の各々の間に形成された単数又は複数の変形領域であって、前記複数の固定面に固定された前記包装体の変形に応じて、前記複数の固定面同士の間に、前記台座シート本体の表面から離れる向きに沿った変位を生じさせるように、前記台座シート本体を変形する変形領域とを有し、前記台座シート本体の前記単数又は複数の変形領域は、前記包装体の変形後の形状に応じて、前記複数の固定面の各々が、平行にシフトして段差を形成するように変形している、包装体の台座シートである。
【0011】
の本発明は、前記変形領域には、前記台座シート本体を、前記複数の固定面の配列方向に交差する向きに沿って横断する、平行な複数の筋が形成されており、前記複数の筋の各々は、互いに離間するとともに前記台座シート本体の他の部分より脆弱である、第1の本発明の包装体の台座シートである。
【0012】
の本発明は、前記台座シート本体は、前記台座シート本体を吊下げるための孔又は溝が設けられており、前記複数の固定面の各々と前記包装体との固定位置は、前記台座シートが前記孔又は溝を利用して吊下げられたさいに、前記孔又は溝の位置よりも下方に位置している、第1又は第2の本発明の包装体の台座シートである。
【0013】
の本発明は、前記複数の固定面の各々に設けられた、前記包装体を粘着又は接着により固定する固定体を有する、第1から第のいずれかの本発明の包装体の台座シートである。
【0014】
第6の本発明は、第1から第のいずれかの本発明の包装体の台座シートと、被包装物を包装する包装体であって、前記包装体の台座シートの前記台座シート本体に固定される包装体とを備え、前記包装体は、前記被包装物の外形に追従して非可逆的に変形するものである、台座シート付き包装体である。
【0015】
の本発明は、前記台座シート付き包装体の前記包装体により包装された被包装物を更に備え、前記包装体は、前記被包装物の外形に追従して変形した状態で前記被包装物を包装しており、前記被包装物は、前記包装体を介して前記台座シート本体に固定されている、第の本発明の台座シート付き包装体である。
【0016】
の本発明は、第1から第のいずれかの本発明の包装体の台座シートと、被包装物を包装する包装体であって、可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体とを用い、前記包装体を前記台座シート本体の前記複数の固定面に固定する工程と、前記被包装物を前記台座シート本体に固定された前記包装体により包装する工程と、前記包装体を前記被包装物の外形に追従して可逆的又は非可逆的に変形させる工程と、前記台座シート本体の前記変形領域を、前記包装体により包装された前記被包装物の外形に対応して変形させる工程とを備え、前記包装体を前記台座シート本体の固定面に固定する工程は、前記包装体の表面の、前記台座シートからの距離が異なる複数の部分の各々を前記複数の固定面の各々に固定する工程であって、前記包装体により包装された前記被包装物を、前記包装体を介して前記台座シート本体に固定させる、被包装物の包装方法である。
第8の本発明は、平面状の台座シート本体を備え、前記台座シート本体は、可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体が固定される、互いに離間して配置された複数の固定面と、前記複数の固定面の各々の間に形成された単数又は複数の変形領域であって、前記複数の固定面に固定された前記包装体の変形に応じて、前記複数の固定面同士の間に、前記台座シート本体の表面から離れる向きに沿った変位を生じさせるように、変形する変形領域とを有する、包装体の台座シートと、被包装物を包装する包装体であって、可逆的又は不可逆的に変形可能な包装体とを用い、前記包装体を前記台座シート本体の前記複数の固定面に固定する工程と、前記被包装物を前記台座シート本体に固定された前記包装体により包装する工程と、前記包装体を前記被包装物の外形に追従して可逆的又は非可逆的に変形させる工程と、前記台座シート本体の前記変形領域を、前記包装体により包装された前記被包装物の外形に対応して変形させる工程とを備え、前記包装体を前記台座シート本体の固定面に固定する工程は、前記包装体の表面の、前記台座シートからの距離が異なる複数の部分の各々を前記複数の固定面の各々に固定する工程であって、前記包装体により包装された前記被包装物を、前記包装体を介して前記台座シート本体に固定させる、被包装物の包装方法である。
【発明の効果】
【0017】
以上のような本発明は、台座シートからの距離が部分的に異なるような立体的形状を有する被包装物を安定して固定することが可能になるという効果を奏する。
【0018】
本発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態1に係る被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す斜視図
図2】本発明の実施の形態1に係る被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す正面図
図3】本発明の実施の形態1に係る被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す左側面図
図4】本発明の実施の形態1に係る被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す平面図
図5】本発明の実施の形態1に係る被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す底面図
図6】(A)本発明の実施の形態1に係る包装体及び被包装物の構成を示す要部断面図(B)図6(A)のA-A直線による要部断面図(C)図6(A)のB-B直線による要部断面図
図7】本発明の実施の形態1に係る台座シート付き包装体の構成を示す分解斜視図
図8】本発明の実施の形態1に係る台座シートの構成を示す正面図
図9】(A)本発明の実施の形態1に係る台座シートの構成を示す左側面図(B)図9(A)の領域R1内を示す要部拡大図
図10】(A)本発明の実施の形態2に係る被包装物の包装方法の一工程を示す図(B)本発明の実施の形態2に係る被包装物の包装方法の一工程を示す図(C)本発明の実施の形態2に係る被包装物の包装方法の一工程を示す図
図11】(A)本発明の実施の形態2に係る被包装物の包装方法の一工程を示す図(B)本発明の実施の形態2に係る被包装物の包装方法の一工程を示す図
図12】本発明の他の実施の形態に係る被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す左側面図
図13】(A)本発明の他の実施の形態に係る台座シートの構成を示す左側面図(B)図13(A)の領域R2内を示す要部拡大図
図14】本発明の他の実施の形態に係る台座シートの構成を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す全体斜視図であり、図2は実施の形態1の被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す正面図であり、図3は実施の形態1の被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す左側面図であり、図4は実施の形態1の被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す平面図であり、図5は実施の形態1の被包装物を包装した台座シート付き包装体の構成を示す底面図である。
【0022】
各図に示すように、本発明の実施の形態1の台座シート10を用いた、被包装物を包装した台座シート付き包装体1は、台座シート10、台座シート10に固定された被包装物20、及び被包装物20を包装する包装体30を主要な構成要素として備える。
【0023】
台座シート10は、紙製又は合成樹脂のシート製、若しくはそれらの積層により作成される部材である。台座シート10は、一対の長辺である左側端11a及び右側端11b、並びに左側端11a及び右側端11bに直交する一対の短辺である上縁端11c及び下縁端11dにより囲まれた表面12及び裏面13を有する、平面視にて略矩形の外形を有する台座シート本体11を本体として備える。
【0024】
ここで、本発明に関する以後の説明においては、上記の説明に基づき、各図を参照して説明する際の方向を次の通り定義する。すなわち、台座シート本体11の一対の長辺に沿った方向を上下方向と定義し、上縁端11cが位置する側を上側、下縁端11dが位置する側を下側とする。台座シート本体11の一対の短辺に沿った方向を左右方向又は側面方向と定義し、左側端11aが位置する側を左側、右側端11bが位置する側を右側、とする。台座シート本体11の一対の長辺及び短辺の両方に直交する方向を前後方向又は、正面方向若しく裏面方向と定義し、表面12が位置する側を正面、裏面13が位置する側を裏面とする。各方向は、各図に示す直交座標にて示し、以後の説明は適宜図中座標の表示を参照して行う。
【0025】
(台座シート)
台座シート10は、上述のように、包装体30に包装された被包装物20を固定する基台となる部材であり、本体部分としての台座シート本体11を有する。
【0026】
台座シート本体11は、上述のように、紙製又は合成樹脂のシート製、若しくはそれらの積層により作成される。台座シート本体11は、上縁端11cの近傍に開口された吊下げ孔11xを有する。台座シート10は、吊下げ孔11xを介して吊下されることで、固定された被包装物を、上縁端11cを、鉛直方向上方となる姿勢にて、展示可能な状態に置くことができる。なお吊下げ孔11xに替えて、台座シート本体11には、上縁端11c、左側端11a又は右側端11bのいずれかを切り欠く溝を形成して、吊下げ孔11xと同様の機能を有する構成としてもよい。
【0027】
台座シート本体11において、表面12及び裏面13は、左側端11a及び右側端11bの中途に位置する変形領域14を間に介することで、その一部が平行を保ちながら前後方向にシフトして段差を形成している。以下、この段差を表面12上から見て段差12sと称す。
【0028】
変形領域14は、上縁端11c及び下縁端11dと平行な方向に延出して、左側端11a及び右側端11bを横断して形成される上折れ線14aと、上折れ線14aから所定長だけ下方に離間した位置にあって、上折れ線14aと同様に左側端11a及び右側端11bを横断して形成される下折れ線14bと、上折れ線14a及び下折れ線14bの間に位置する移行面14cとから構成される。
【0029】
変形領域14が介在することにより、台座シート本体11の表面12は、本来の形状である、平面状の形状に対して、上折れ線14aを軸として後方に向かって屈曲し、且つ、下折れ線14bを軸として前方に向かって屈曲している。これにより、表面12は、上縁端11cに繋がって上方に位置する上側固定面12aと、上側固定面12aと平行をなすとともに、下縁端11dに繋がって上側固定面12aより後方且つ下方にシフトしている下側固定面12bと、上側固定面12aと下側固定面12bとを繋ぐ移行面14cとに区画される。
【0030】
上側固定面12a上の、後述する被包装物20を包装する包装体30との対向位置には、当該包装体30を接着固定するための接着体30aが設けられる。同様に、下側固定面12b上の、後述する被包装物20を包装する包装体30との対向位置には、当該包装体30を接着固定するための接着体30bが設けられる。接着体30bは液体やゲル状の接着剤として塗布されるものであってもよいし、両面テープのような感圧型、感熱型の部材として貼付けられるものであってもよい。
【0031】
上述のように、上側固定面12a及び下側固定面12bは、前後方向に段差12sを形成しつつ、後述する包装体30を介して被包装物20が固定される固定面を構成している。なお、側面視において、上側固定面12a及び下側固定面12bは上下方向に沿って延出する平面であり、移行面14cは、上下方向及び左右方向を含む平面に対して斜行する平面である。
【0032】
(被包装物)
被包装物20は、外形二段の円柱形状を有する薬品、化粧品等の物品である。被包装物20は、略円柱形の本体部21と、本体部21の上部に設けられた略円柱形の蓋部22とから構成される。なお、被包装物20は、包装体30により包装されるものであれば、その種類、機能、目的等に限定されるものではない。
【0033】
本体部21と蓋部22とは、特に図4及び図5に示すように、同軸配置され、且つ、本体部21の外径は蓋部22の外径より大きい。これにより、被包装物20の本体部21と蓋部22の表面は、本体部21のほうが蓋部22よりもより周方向に拡大している。すなわち、被包装物20の中心軸を基準として、本体部21の表面は、蓋部22の表面よりも遠くに位置して、且つ、蓋部22の表面より下方に位置する。
【0034】
これにより、したがって、被包装物20の、台座シート10の表面12との対向面は、上記各図に示すように、側面視で、蓋部22側の対向面22aが本体部21側の対向面22aに対して後退したことに基づく段差20sを形成している。
【0035】
(包装体)
包装体30は、被包装物20を包装する部材である。包装体30は、被包装物20の中心軸を含む平面による断面図である図6(A)の要部断面図、並びに図6(A)のA-A直線による要部断面図である図6(B)及び図6(A)のB-B直線による要部断面図である図6(C)の各々に示すように、後述する筒状のシュリンクフィルム31が被包装物20を収容した状態で熱収縮することにより被包装物20の表面に密着して、被包装物20の外形をそのまま拡大するような形状をとって、被包装物20をこれと一体化した態様で包装している。なお、図6の各図においては、包装体30のみを断面として示した。
【0036】
包装体30に包装された被包装物20の表面は、特に図4及び図5並びに図6(A)に示すように、上側に形成された上側開口30x及び上側に形成された下側開口30yを介して外部に露出している。上側開口30x及び下側開口30yは、後述するシュリンクフィルム31の開口部により形成されるものである。なお、図8(A)~(C)においては、包装体30の厚みは、説明の便宜上、実際よりも大きく誇張して示した。
【0037】
また、包装体30は、被包装物20を包装した状態で、接着体40a及び接着体40bを介して台座シート10の表面12に接着される。具体的には、被包装物20の蓋部22側の対向面22aに対応する位置に、台座シート10に接着された接着体40aが面接着される。同様に、被包装物20の本体部21側の対向面21aに対応する位置に、台座シート10に接着された接着体40bが面接着される。なお、上記の状態において、蓋部22側の対向面22aの、接着体40aと面接着している第1の接着領域と、本体部21側の対向面21aの、接着体40bと面接着している第2の接着領域とは、被包装物20の中心軸上に、一定の間隔をおいて配列された位置関係にある。これにより、段差20sは、これらの第1の接着領域及び第2の接着領域にまたがって形成された領域又は面とみなすことができる。また、台座シート10上における接着体40aと接着体40bの配列方向と、被包装物20における第1の接着領域及び第2の接着領域の配列方向とは一致している。
【0038】
以上の構成において、以上の説明において、被包装物を包装した台座シート付き包装体1は本発明の被包装物を包装した台座シート付き包装体に相当する。台座シート10は本発明の台座シートに相当し、台座シート本体11は本発明の台座シート本体に相当する。被包装物20は本発明の被包装物に相当する。包装体30は本発明の非可逆的に変形する包装体に相当する。
【0039】
台座シート本体11における、上側固定面12aと下側固定面12bは本発明の複数の固定面に相当する。変形領域14は本発明の変形領域に相当する。上折れ線14a及び下折れ線14bは本発明の複数の筋に相当する。接着体40a及び40bは、本発明の固定体に相当する。
【0040】
以上のような構成を備えた実施の形態1の台座シート10は、台座シート本体11が、変形領域14を介在させて前後方向に段差12sを形成した、平行な上側固定面12a及び下側固定面12bを有する。これにより、被包装物を包装した台座シート付き包装体1が、表面が対向面21a及び22aからなる段差20sを形成している被包装物20を安定して固定するようにしている。
【0041】
以下、台座シート10と包装体30に包装された被包装物20との固定状態を説明する。台座シート10及び被包装物20は、特に図3~5に示すように、台座シート10の上側固定面12aに設けられた接着体40aと、下側固定面12bに設けられた接着体40bとにより、包装体30を介して互いに接着されることにより固定されている。
【0042】
包装体30に包装された被包装物20においては、本体部21の外径が蓋部22の外径よりも周方向に拡大していることで、被包装物20の、台座シート10の表面12との対向面は、蓋部22側の対向面22aが本体部21側の対向面21aに対して後方にシフトしたことに基づく段差12sを有する。すなわち、被包装物20は、蓋部22側の対向面22aが本体部21側の対向面21aより後方にシフトすることで段差20sを形成しているのに対し、台座シート10は、変形領域14を介在させたことで、上側固定面12aが下側固定面12bより前方にシフトして、変形前の平板上の台座シート本体11に対して、被包装物20の表面とは逆方向に形成された段差12sを生じさせている。
【0043】
特に図3に示すように、台座シート10と被包装物20とは、台座シート本体11と被包装物20との固定位置に相当する、上側固定面12a上の接着体40a及び下側固定面12b上の接着体40bの各々が、前後方向にシフトした状態で固定されている。
【0044】
これにより、被包装物20の本体部21及び蓋部22の両方が台座シート10に対して同一の状態で面接着して、安定して固定されている。
【0045】
従来の包装具において、台座シート10に相当する台紙は、特に紙製である場合は、可撓性を有さない一様な平面として構成されている。したがって、被包装物20のように、本体部21と蓋部22との表面に段差や起伏を有する立体的形状を備えるものを接着剤等により接着固定する場合は、台紙には、台紙との距離が近い本体部21のみが優先的に接し固定されることとなる。これは被包装物20全体から見れば、固定位置に偏りが生じたもので、安定した固定ができるとは言い難いものであった。
【0046】
これに対し、本実施の形態1の台座シート10は、台座シート本体11の上側固定面12a及び下側固定面12bが、被包装物20の本体部21及び蓋部22の外形の異なりである、対向面20a及び対向面20bからなる段差20sを補償する段差12sを形成するよう、前後方向にシフトした形状に変形している。これにより、本体部21及び蓋部22の双方は同一の状態で面接着して固定され、被包装物20全体を、偏りを生じない状態で安定して固定することが可能となる。
【0047】
更に、本実施の形態1の台座シート10は、特に図1及び2に示すように、台座シート本体11と被包装物20との固定位置に相当する、上側固定面12a上の接着体40a及び下側固定面12b上の接着体40bは、台座シート本体11の吊下げ孔11xより下方に位置した構成を備える。
【0048】
これにより、被包装物を包装した台座シート付き包装体1を吊下げ孔11xから吊下げた態様で展示した場合でも、被包装物20は、上下方向の二点の固定位置である接着体40a及び接着体40bの両方で固定されていることから、吊下げ方向に直交する前後方向又は左右方向において、台座シート10からさらに垂れ下がるような姿勢変化を生ずることがない。したがって、台座シート付き包装体1の全体の美観を保った状態で展示させることが可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、本実施の形態1の台座シート10を用いて被包装物20を包装した台座シート付き包装体1を得るための、被包装物20の包装方法である。
【0050】
図7は、本発明の実施の形態2に係る被包装物20の包装方法に用いられる、台座シート10、被包装物20及び包装体30の各々の構成を示す斜視図である。図8は台座シート10の構成を示す正面図であり、図9(A)は側面図である。また、図9(B)は後述する図9(A)内の領域R1を示す要部拡大図である。
【0051】
なお、以下の説明においては、実施の形態1と同一又は相当する構成については、同一符号を付し、共通する構成及び動作については、詳細な説明は省略する。
【0052】
(台座シート)
台座シート10は、特に図8及び図9(A)に示すように、台座シート付き包装体1として完成される前の部品単体として、側面視にて一様な平面状の外形を有する。具体的には、台座シート本体11の変形領域14において、上側固定面12aと上折れ線14aとの間、及び下側固定面12bと下折れ線14bとの間の間は屈曲していない。これにより、上側固定面12a、下側固定面12b及び移行面14cは、同一平面状に配列される。
【0053】
また、図9(A)の領域R1にて囲んだ変形領域14においては、図9(B)に示すように、上折れ線14a及び下折れ線14bは、側面視では、後方に向かって突出して、表面12に凹面を、裏面13に当該凹面の反転形状としての凸面を生ずる溝として形成される。これにより、上折れ線14a及び下折れ線14bは、台座シート本体11の他の部分よりも、少なくとも平面に交差する方向に対しては、強度が小さくなっている。
【0054】
このような上折れ線14a及び下折れ線14bを備えることにより、台座シート本体11は、上折れ線14a及び下折れ線14bにて屈曲し易い、換言すれば、上折れ線14a及び下折れ線14bを軸として前後方向及び上下方向を含む平面上を回動するような変形を生じ易い構成となっている。
【0055】
図8に示すように、台座シート本体11の上側固定面12a上には、接着体40aが設けられる位置となる接着面40xが設定されている。同様に、下側固定面12b上には、接着体40bが設けられる位置となる接着面40yが設定されている。
【0056】
(包装体)
包装体30は、図7に示すように、両端が開口31x及び開口31yを有する筒状のシュリンクフィルム31により構成される。シュリンクフィルム31は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン等の熱収縮性材料により作成され、開口31x及び開口31yは、被包装物20をシュリンクフィルム31の内側へ挿入させるのに十分な余裕のある外寸を有する。シュリンクフィルム31は、被包装物20を外部から目視させるためには透明又は半透明であることが好ましいが、目的に応じて不透明な材料により作成されるものであってもよい。
【0057】
以上のような構成を有する台座シート10、包装体30を用いて被包装物20を包装して、台座シート付き包装体1を得る、被包装物20の包装方法を、以下、図10及び11を参照して説明する。ただし、上下方向及び前後方向は、以下の説明においてのみ、図10及び11に示す直交座標に基づき定義される。
【0058】
はじめに、図10(A)に示すように、台座シート10を、裏面13を下側として、図示しないベルトコンベア等の周知慣用の搬送手段により、以下の各工程を実行するのに必要な所定の作業位置に搬送可能な状態で、載置する。
【0059】
次に、図10(B)に示すように、台座シート10を所定の作業位置まで搬送させた後、ローラ転写その他の周知慣用の技術的手段より、上側固定面12aの接着面40xに接着体40aを、下側固定面12bの接着面40yに接着体40bを、それぞれ転写又は塗布等の手段により設ける。
【0060】
次に、図10(C)に示すように、接着体40a及び接着体40bが設けられた台座シート10を所定の作業位置まで搬送させた後、シュリンクフィルム31を接着体40a及び接着体40bにより接着させ、シュリンクフィルム31を台座シート本体11上に固定する。なお、図10(C)においては、理解の容易のため、シュリンクフィルム31は厚み又は膨らみを誇張して示した。
【0061】
次に、図11(A)に示すように、シュリンクフィルム31が接着固定された台座シート10を所定の作業位置まで搬送させた後、被包装物20をシュリンクフィルム31内に挿入する。このとき、挿入した被包装物20は、蓋部22の表面が接着体40aに対向し、本体部21の表面が接着体40bに対向するように、台座シート10上に配置する。なお、被包装物20の挿入方向は、開口31x側からでも開口31y側からでもよい。
【0062】
最後に、図11(B)に示すように、シュリンクフィルム31内に被包装物20が挿入された状態の台座シート10を所定の作業位置まで搬送させた後、全体を加熱して所定の高温環境下に曝し、シュリンクフィルム31を熱収縮させて被包装物20の表面に密着させ、被包装物を包装した包装体30を完成する。
【0063】
このとき、シュリンクフィルム31は接着体40aに貼付けられたまま熱収縮して蓋部22の表面に密着する。同様に、シュリンクフィルム31は接着体40bに貼付けられたまま熱収縮して、上方に移動して本体部21の表面に密着するため、シュリンクフィルム31に接着された接着体40aは上方に移動するとともに、接着体40a及び接着体40bの前後方向に沿った距離も縮小する。
【0064】
更に、接着体40a及び40bは台座シート10の台座シート本体11にも接着されていることから、接着体40a及び40bの位置変化は、台座シート本体11に以下の作用を及ぼす。すなわち、台座シート本体11は、接着体40bにより接着された下側固定面12bが上下方向に不動な状態にある一方、接着体40aにより接着された上側固定面12aが上方に移動することで、変形領域14の上折れ線14a及び下折れ線14bが屈曲して移行面14cが斜面となるよう変形する。
【0065】
これにより、台座シート本体11は、前後方向の寸法が収縮するとともに、上側固定面12aが上側に、下側固定面12bが下側になるよう、平行を保ったまま上下方向にシフトして、段差12sを形成する。この段差12sは、被包装物20の本体部21側の対向面21a及び蓋部22側の対向面22aが形成する段差20sを補償する。
【0066】
以上の工程により、台座シート本体11の上側固定面12a及び下側固定面12bが、被包装物20の本体部21及び蓋部22の対向面21a及び22aが形成する段差20sを補償するように、前後方向にシフトした形状の段差12sを有し、本体部21及び蓋部22の双方を同一の条件で面接着して固定する、本実施の形態1の台座シート付き包装体1が得られる。
【0067】
このような本実施の形態2の被包装物20の包装方法によれば、被包装物20を包装するシュリンクフィルム31を熱収縮させる、通常の工程によって、従来物と同様、側面視にて一様な平面状の外形を有する台座シート10を用いて、本実施の形態1の台座シート付き包装体を容易に作成することが可能となる。
【0068】
なお、上記の説明においては、図10(A)~(C)、図11(A)(B)の各工程は、それぞれ異なる作業位置において実行するものとしたが、上述した各工程は、その全部又は一部を同一の作業位置にて行うようにしてもよい。
【0069】
また、上記の説明においては、台座シート本体11の変形領域14の変形は、シュリンクフィルム31の熱収縮に伴う接着体40a及び接着体40bの位置の変化により引き起こされるものとしたが、この際、変形領域14が上折れ線14a及び下折れ線14bにて正確に屈曲するように、治具を用いて上折れ線14a及び下折れ線14bが折れ曲がり易くするようにしてもよい。
【0070】
以上のように、本発明の各実施の形態によれば、台座シートからの距離が部分的に異なるような立体的形状を有する被包装物を安定して固定することが可能となる。
【0071】
(他の実施の形態)
しかしながら、本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0072】
上記の各実施の形態においては、台座シート10の台座シート本体11に形成した変形領域14は、本発明の複数の筋の例である上折れ線14a及び下折れ線14bを有し、上折れ線14a及び下折れ線14bの各々が屈曲することにより、上側固定面12a及び下側固定面12bが、平行を保ちつつ前後方向にシフトして段差12sを形成するものとした。
【0073】
一方で、本発明の変形領域は、以下のように構成されるものであってもよい。一例として、図12に示す被包装物を包装した台座シート付き包装体2は、台座シート10の台座シート本体11が、変形領域として単一の筋である折れ線15を備える。
【0074】
このような台座シート付き包装体2においては、台座シート本体11の変形領域14の折れ線15が、被包装物20の蓋部22が位置する前方に向かって屈曲することにより、上側固定面12aが接着体40aを介して蓋部22に接着固定可能となる距離まで近接させて、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。この構成においては、上側固定面12aと下側固定面12bとは平行ではなく、交差する関係におかれている。なお、台座シート本体11において折れ線15よりも上に設けた折れ線12xは、台座シート付き包装体2の吊下げ時の姿勢を安定させるためのものである。したがって、折れ線12xは省略した構成としてもよい。
【0075】
要するに、本発明の変形領域は、固定面に固定された包装体の変形に応じて、複数の固定面同士の間に台座シート本体の表面から離れる向きに沿った変位を生じさせるように、変形するものであればよい。したがって、複数の固定面同士は、変形前の台座シート本体に対して、互いに対向する向きに屈曲してもよいし、互いに離反する向きに屈曲してもよく、その交差の具体的な態様によって限定されるものではない。しかしながら、実施の形態1のように、複数の固定面が互いに平行を保ち段差を生ずるように変形する構成とすることは、台座シートと被包装物との固定状態を最も安定させることができ、より好適である。
【0076】
更に、上記の各実施の形態において、台座シート10の台座シート本体11に形成した変形領域14は、本発明の複数の筋の例である上折れ線14a及び下折れ線14b並びにその間に位置する移行面14cとから形成されるものとした。
【0077】
一方で、本発明の変形領域は、以下のように構成されるものであってもよい。一例として、図13(A)に示す台座シート100は、台座シート本体11に形成された変形領域14が、図13(A)の領域R2の要部拡大図である図13(B)に示すように、上下方向に広がりを有する帯状の脆弱面14fとして構成される。なお、脆弱面14fと上側固定面12aとは、脆弱面14fの上端をなす上境界14dにより区画される。同様に、脆弱面14fと下側固定面12bとは、脆弱面14fの下端をなす下境界14eにより区画される。
【0078】
このような台座シート100は、変形領域14が、脆弱面14f全体が湾曲するか又は脆弱面14fの上境界14d及び下境界14eの各々が屈曲することにより変形して、上側固定面12aと下側固定面12bとの間に段差12sを生じさせて、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0079】
要するに、本発明の変形領域は、固定面に固定された包装体の変形に応じて、複数の固定面同士の間に台座シート本体の表面から離れる向きに沿った変位を生じさせるように、変形するものであればよく、変形領域を構成する台座シートの表面の具体的な形状その他の具体的な構成によって限定されるものではない。また、変形領域は、単数であるとしたが、複数設けるようにしてもよい。
【0080】
更に、上記の各実施の形態において、台座シート10の台座シート本体11に形成した変形領域14においては、本発明の複数の筋の例である上折れ線14a及び下折れ線14bが、台座シート本体11の上縁端11c及び下縁端11dと平行である、換言すれば、台座シート本体11における被包装物20の固定位置である、接着面40x及び接着面40yを結ぶ直線と略直交するものであるとした。
【0081】
一方で、本発明の変形領域の複数の筋は、図14に示す台座シート110のように、互いに平行を保ったままであれば、台座シート本体11に対して、斜交して形成されるものであってもよい。
【0082】
要するに、本発明の変形領域の複数の筋は、固定面に固定された包装体の変形に応じて、複数の固定面同士の間に台座シート本体の表面から離れる向きに沿った変位を生じさせるように、変形するものであればよく、変形領域を構成する複数の筋は台座シートの表面上における具体的な配置の態様によって限定されるものではない。
【0083】
更に、上記の各実施の形態においては、包装体30は、熱収縮性材料から作成されたシュリンクフィルム31を例とした。
【0084】
一方で、本発明の包装体は、熱収縮性材料に変えて、光収縮性材料や、電気的磁気的作用その他物理的作用又は化学的作用に基づき非可逆的に収縮する任意の材料を用いて作成されたものであってもよい。更に、本発明の包装体の形状は、両端を解放した筒状のほか、両端の一方を閉塞した封筒状の形状や、複数のシート素材の張り合わせからなる形状であってもよい。
【0085】
更に、本発明の包装体は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂その他、本発明の通常の実施環境下では可逆的に変形可能な任意の材料により作成されたものであってもよい。特にこの場合は、被包装物を包装する際に、包装体の内部に負圧をかけることにより、被包装物の表面に包装体を密着させることができ、上記実施の形態1の包装体30と同様の構成が得られる。
【0086】
要するに、本発明の包装体は、被包装物の外形に対応して可逆的又は不可逆的に変形可能であればよく、原材料やその具体的な構成によって限定されるものではない。
【0087】
更に、上記の各実施の形態においては、本発明の固定体は、接着体40a及び40bとして、台座シート本体11に設けられるものとしたが、包装体30のシュリンクフィルム31側に設けるようにしてもよい。更に、本発明の固定体は、接着でなく粘着により台座シート本体と被包装物とを固定するようにしてもよい。
【0088】
以上のように、本発明は、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明したものを含め、上記実施の形態に対し、構成、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を施すことができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のような本発明は、台座シートからの距離が部分的に異なるような立体的形状を有する被包装物を安定して固定することが可能になるという効果を奏し、例えば被包装物を展示可能に包装する包装体への適用において有用である。
【符号の説明】
【0090】
1、2 台座シート付き包装体
10、100 台座シート
11 台座シート本体
11a 左側端
11b 右側端
11c 上縁端
11d 下縁端
11x 吊下げ孔
12 表面
12a 上側固定面
12b 下側固定面
12s、20s 段差
13 裏面
14 変形領域
12x、14a、14b、15 折れ線
14c 移行面
14d 上境界
14e 下境界
14f 脆弱面
20 被包装物
21 本体部
21a、22a 対向面
22 蓋部
30 包装体
40a、40b 接着体
30x 上側開口
30y 下側開口
31 シュリンクフィルム
31x、31y 開口
40x、40y 接着面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14