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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】成形装置及び成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/32 20060101AFI20241007BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C70/54
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022106042
(22)【出願日】2022-06-30
(65)【公開番号】P2024005724
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 了太
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔
(72)【発明者】
【氏名】松岡 潤
(72)【発明者】
【氏名】内田 晃輝
(72)【発明者】
【氏名】可児 祐樹
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-222022(JP,A)
【文献】特開平07-277750(JP,A)
【文献】特開2020-152110(JP,A)
【文献】特開2007-030432(JP,A)
【文献】特開平04-065209(JP,A)
【文献】特開2015-112827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/32
B29C 70/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材が積層されてなる材料をコンソリデーションする成形装置であって、
前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温する第1金型加熱部を有した第1金型と、
該第1金型と対向して配置され、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温する第2金型加熱部を有した第2金型と、
前記第1金型よりも大きな熱容量を持ち、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温する第1熱容量体加熱部を有した第1熱容量体と、
該第1熱容量体と対向して配置され、前記第2金型よりも大きな熱容量を持ち、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温する第2熱容量体加熱部を有した第2熱容量体と、
前記第1金型及び/又は前記第2金型を動かす加圧機構と、
該加圧機構と独立した機構であり、前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体を動かす移動機構と、
を備え、
前記第1金型及び前記第2金型は、前記加圧機構によって動かされることでそれらに挟み込まれた前記材料を加圧し、
前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体は、前記移動機構によって動かされることで前記材料の加圧に影響を与えない接圧で前記第1金型及び/又は前記第2金型と接触する成形装置。
【請求項2】
制御部を備え、
前記制御部は、
前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温した前記第1金型及び前記第2金型が第1圧力で前記材料を加圧するように前記加圧機構を駆動して、
前記第1金型加熱部及び前記第2金型加熱部の発熱を停止させた後、前記第1金型及び前記第2金型が前記第1圧力よりも大きな第2圧力で前記材料を加圧するように前記加圧機構を駆動して、
前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温した前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体が、前記第2圧力で前記材料を加圧している前記第1金型及び/又は前記第2金型と、前記材料の加圧に影響を与えない接圧で接触するように前記移動機構を駆動する請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記第1金型と前記第1熱容量体との間、及び/又は、前記第2金型と前記第2熱容量体との間に設けられた熱抵抗体を備えている請求項1又は2に記載の成形装置。
【請求項4】
繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材が積層されてなる材料をコンソリデーションする成形方法であって、
前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱された第1金型及び第2金型によって第1圧力で前記材料を加圧して、
前記第1金型及び前記第2金型によって前記第1圧力よりも大きな第2圧力で前記材料を加圧して、
前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に加熱された第1熱容量体及び/又は第2熱容量体を、前記第2圧力で前記材料を加圧している前記第1金型及び/又は前記第2金型と、前記材料の加圧に影響を与えない接圧で接触させる成形方法。
【請求項5】
前記第1圧力で加圧することによって前記材料の樹脂が含浸したとき、前記第1金型及び前記第2金型の加熱を停止する請求項4に記載の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形装置及び成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材(例えばプリプレグ等)を積層した材料を用いたプレス成型において、樹脂の含浸及びコンソリデーションを経て成形品を得ることがある(例えば特許文献1)。
【0003】
含浸及びコンソリデーションは、いずれも材料を高温下で加圧して行われるという点ではおおよそ共通しているが、含浸は、材料を熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度下で比較的低圧で加圧して行われるのに対して、コンソリデーションは、含浸済みの材料を熱可塑性樹脂の融点以下の温度下で比較的高圧で加圧して行われる点で相違している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5826243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、図8から図10に示すようなプレス装置を使用した場合、比較的高温の含浸工程から比較的低温のコンソリデーション工程へ移行する際には、ポロシティ等の内部欠陥の発生を低減するために、金型110の温度を全面で均等に遷移させる必要があり、サイクルタイムが長くなってしまう。
また、次のサイクルに移行するとき、金型110の全体を熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱する必要があり、時間とエネルギのロスに繋がってしまう。
【0006】
一方で、特許文献1に開示されている装置では、予備加圧工程で使用される金型入り駒にヒータが内蔵されており加熱対象は限定的である。しかしながら、金型入り駒は、本加圧工程で使用される金型(固定金型及び可動金型)に対して加圧機構(弾性体や油圧シリンダ)を介して取り付けられているので、金型用の加圧機構と合わせると、加圧機構が装置全体で少なくとも2系統は必要になる。
更に、金型は金型入り駒を冷却する機能を有しているが、同時に、本加圧工程で金型入り駒を介して材料を加圧する機能も有しているので、金型による冷却と加圧とが一体不可分の関係にある。そのため、加圧の程度及び冷却の程度をそれぞれ細かく調節できない可能性がある。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、構造を簡易化し、また、加圧の程度及び冷却の程度をそれぞれ調節することができる成形装置及び成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の成形装置及び成形方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る成形装置は、繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材が積層されてなる材料をコンソリデーションする成形装置であって、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温する第1金型加熱部を有した第1金型と、該第1金型と対向して配置され、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温する第2金型加熱部を有した第2金型と、前記第1金型よりも大きな熱容量を持ち、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温する第1熱容量体加熱部を有した第1熱容量体と、該第1熱容量体と対向して配置され、前記第2金型よりも大きな熱容量を持ち、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温する第2熱容量体加熱部を有した第2熱容量体と、前記第1金型及び/又は前記第2金型を動かす加圧機構と、該加圧機構と独立した機構であり、前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体を動かす移動機構と、を備え、前記第1金型及び前記第2金型は、前記加圧機構によって動かされることでそれらに挟み込まれた前記材料を加圧し、前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体は、前記移動機構によって動かされることで前記材料の加圧に影響を与えない接圧で前記第1金型及び/又は前記第2金型と接触する。
【0009】
また、本開示の一態様に係る成形方法は、繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材が積層されてなる材料をコンソリデーションする成形方法であって、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱された第1金型及び第2金型によって第1圧力で前記材料を加圧して、前記第1金型及び前記第2金型によって前記第1圧力よりも大きな第2圧力で前記材料を加圧して、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に加熱された第1熱容量体及び/又は第2熱容量体を、前記第2圧力で前記材料を加圧している前記第1金型及び/又は前記第2金型と、前記材料の加圧に影響を与えない接圧で接触させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、構造を簡易化し、また、加圧の程度及び冷却の程度をそれぞれ調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る成形装置の構成図である。
図2】本開示の一実施形態に係る成形装置の構成図である(材料投入中)。
図3】本開示の一実施形態に係る成形装置の構成図である(材料投入完了)。
図4】本開示の一実施形態に係る成形装置の構成図である(加圧及び加熱中)。
図5】本開示の一実施形態に係る成形装置の構成図である(加圧及び冷却中)。
図6】本開示の一実施形態に係る成形装置の構成図である(成形品完成)。
図7】金型及び材料の温度の時間変化を示した図である。
図8】比較例に係る成形装置の構成図である(材料投入完了)。
図9】比較例に係る成形装置の構成図である(加圧及び加熱中)。
図10】比較例に係る成形装置の構成図である(加圧及び冷却中)。
図11】金型及び材料の温度の時間変化について本開示の一実施形態と比較例とを比較した図である。
図12】変形例1に係る成形装置の構成図である。
図13】変形例1に係る成形装置の構成図である。
図14】変形例2に係る成形装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態に係る成形装置及び成形方法について、図面を参照して説明する。
【0013】
[成形装置について]
まず、成形装置1の構成について説明する。
成形装置1は、材料71を所望の形状とされた成形品72に成形(コンソリデーション)する装置である。
【0014】
材料71としては、繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材料(プリプレグ等)が積層された積層体等が例示される。
【0015】
図1に示すように、成形装置1は、金型10、金型10を動かす加圧機構20、熱容量体30及び熱容量体30を動かす移動機構40を備えている。
【0016】
金型10は、第1金型11及び第2金型12を備えている。
各金型11,12は、互いに対向して配置されており、それらの間には材料71が挟み込まれる。
【0017】
第1金型11は、金型本体11a及び加熱部11b(第1金型加熱部)を有している。
【0018】
金型本体11aは、材料71を押圧するブロック状/プレート状の部分である。
金型本体11aは、例えば熱伝導に優れた材料(例えば金属)を主な材料としている。
金型本体11aは、材料71の加圧に耐え得るだけの剛性や強度を持ちつつ、加熱速度(昇温速度)の観点からできる限り熱容量が小さくなるように設計されている。
【0019】
加熱部11bは、自らが昇温することで金型本体11a(すなわち、第1金型11)を加熱する部分である。
加熱部11bは、例えば、金型本体11aに内蔵されている。加熱部11bは、金型本体11aの内部で均等に配置されており、これによって、第1金型11を均等に加熱することができる。
加熱部11bとしては、電流によって発熱するヒータが例示される。
加熱部11bの発熱の程度は、制御部60によって制御される。また、成形装置1の各部位には図示しない温度検知手段が設置されており、制御部60は、温度検知手段から温度情報を取得して加熱部11bの制御に反映する。
【0020】
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御部60は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0021】
第2金型12は、金型本体12a及び加熱部12b(第2金型加熱部)を有している。
【0022】
金型本体12aは、材料71を押圧するブロック状/プレート状の部分である。
金型本体12aは、例えば熱伝導に優れた材料(例えば金属)を主な材料としている。
金型本体12aは、材料71の加圧に耐え得るだけの剛性や強度を持ちつつ、加熱速度(昇温速度)の観点からできる限り熱容量が小さくなるように設計されている。
【0023】
加熱部12bは、自らが昇温することで金型本体12a(すなわち、第2金型12)を加熱する部分である。
加熱部12bは、例えば、金型本体12aに内蔵されている。加熱部12bは、金型本体12aの内部で均等に配置されており、これによって、第2金型12を均等に加熱することができる。
加熱部12bとしては、電流によって発熱するヒータが例示される。
加熱部12bの発熱の程度は、制御部60によって制御される。また、成形装置1の各部位には図示しない温度検知手段が設置されており、制御部60は、温度検知手段から温度情報を取得して加熱部11bの制御に反映する。
【0024】
加圧機構20は、各金型11,12が互いに近接離間するように各金型11,12を動かす機構である。加圧機構20の駆動は、制御部60によって制御される。
加圧機構20は、各金型11,12を動かすことで、各金型11,12を介して材料71に任意の圧力を負荷することができる。これによって、各金型11,12が材料71を加圧するように構成している。
【0025】
加圧機構20は、第1加圧機構21及び第2加圧機構22を有している。
【0026】
第1加圧機構21は、第1金型11が第2金型12に対して近接離間するように第1金型11を動かす機構である。第1加圧機構21としては、サーボモータ、油圧、電動モータ又は空圧等を用いた機構が例示される。
第1加圧機構21は材料71を加圧するために使用される機構なので、第1加圧機構21としては、比較的に高い荷重をかけられるサーボモータや油圧を用いた機構を採用することが好ましい。ただし、これらは例示であって、成形装置1や材料71の仕様・特徴に応じてどのような機構を採用してもよい。
【0027】
第2加圧機構22は、第2金型12が第1金型11に対して近接離間するように第2金型12を動かす機構である。第2加圧機構22としては、サーボモータ、油圧、電動モータ又は空圧等を用いた機構が例示される。
第2加圧機構22は材料71を加圧するために使用される機構なので、第2加圧機構22としては、比較的に高い荷重をかけられるサーボモータや油圧を用いた機構を採用することが好ましい。ただし、これらは例示であって、成形装置1や材料71の仕様・特徴に応じてどのような機構を採用してもよい。
【0028】
なお、第1加圧機構21及び第2加圧機構22の少なくとも一方を駆動することで、各金型11,12を互いに近接離間させることができる。そのため、第1加圧機構21及び第2加圧機構22のいずれか一方の駆動を省略してもよい。
【0029】
熱容量体30は、第1熱容量体31及び第2熱容量体32を備えている。
各熱容量体31,32は、互いに対向して配置されており、それらの間に各金型11,12が配置されている。
【0030】
第1熱容量体31は、熱容量体本体31a及び加熱部31b(第1熱容量体加熱部)を有している。
【0031】
熱容量体本体31aは、第1金型11に接触するブロック状/プレート状の部分である。
熱容量体本体31aは、材料71の加圧に寄与する部分ではないので、第1金型11のように頑丈である必要はない。
熱容量体本体31aは、例えば熱伝導に優れた材料(例えば金属)を主な材料としている。
熱容量体本体31aは、第1金型11の金型本体11aよりも熱容量が大きくなるように設計されている。
【0032】
加熱部31bは、自らが昇温することで熱容量体本体31a(すなわち、第1熱容量体31)を加熱する部分である。
加熱部31bは、例えば熱容量体本体31aに内蔵されている。加熱部31bは、熱容量体本体31aの内部で均等に配置されており、これによって、第1熱容量体31を均等に加熱することができる。
加熱部31bとしては、電流によって発熱するヒータが例示される。
加熱部31bの発熱の程度は、制御部60によって制御される。また、成形装置1の各部位には図示しない温度検知手段が設置されており、制御部60は、温度検知手段から温度情報を取得して加熱部31bの制御に反映する。
【0033】
第2熱容量体32は、熱容量体本体32a及び加熱部32b(第2熱容量体加熱部)を有している。
【0034】
熱容量体本体32aは、第2金型12に接触するブロック状/プレート状の部分である。
熱容量体本体32aは、材料71の加圧に寄与する部分ではないので、第2金型12のように頑丈である必要はない。
熱容量体本体32aは、例えば熱伝導に優れた材料(例えば金属)を主な材料としている。
熱容量体本体32aは、第2金型12の金型本体12aよりも熱容量が大きくなるように設計されている。
【0035】
加熱部32bは、自らが昇温することで熱容量体本体32a(すなわち、第2熱容量体32)を加熱する部分である。
加熱部32bは、例えば熱容量体本体32aに内蔵されている。加熱部32bは、熱容量体本体32aの内部で均等に配置されており、これによって、第2熱容量体32を均等に加熱することができる。
加熱部32bとしては、電流によって発熱するヒータが例示される。
加熱部32bの発熱の程度は、制御部60によって制御される。また、成形装置1の各部位には図示しない温度検知手段が設置されており、制御部60は、温度検知手段から温度情報を取得して加熱部31bの制御に反映する。
【0036】
移動機構40は、各熱容量体31,32が互いに近接離間するように各熱容量体31,32を動かす機構である。移動機構40の駆動は、制御部60によって制御される。
移動機構40は、加圧機構20と独立した機構である。これによって、各熱容量体31,32を、各金型11,12と独立させて動かすことができる。
移動機構40は、各熱容量体31,32を動かすことで、各熱容量体31,32を各金型11,12に接触させることができる。
【0037】
移動機構40は、第1移動機構41及び第2移動機構42を有している。
【0038】
第1移動機構41は、第1熱容量体31が第2熱容量体32に対して近接離間するように第1熱容量体31を動かす機構である。
第1移動機構41としては、サーボモータ、油圧、電動モータ又は空圧等を用いた機構が例示される。
【0039】
ここで、第1移動機構41は、第1加圧機構21のように材料71の加圧に寄与する機構ではないので、第1加圧機構21よりも簡易的な機構(例えば小型化された機構や定格荷重が小さい機構等)を採用できる。例えば、第1移動機構41としては、電動モータや空圧を用いた機構を採用することが好ましい。ただし、これらは例示であって、成形装置1や材料71の仕様・特徴に応じてどのような機構を採用してもよい。
【0040】
第2移動機構42は、第2熱容量体32が第1熱容量体31に対して近接離間するように第2熱容量体32を動かす機構である。
第2移動機構42としては、サーボモータ、油圧、電動モータ又は空圧等を用いた機構が例示される。
【0041】
ここで、第2移動機構42は、第2加圧機構22のように材料71の加圧に寄与する機構ではないので、第2加圧機構22よりも簡易的な機構(例えば小型化された機構や定格荷重が小さい機構等)を採用できる。例えば、第2移動機構42としては、電動モータや空圧を用いた機構を採用することが好ましい。ただし、これらは例示であって、成形装置1や材料71の仕様・特徴に応じてどのような機構を採用してもよい。
【0042】
[成形方法について]
次に、成形装置1を用いた成形方法について説明する。
【0043】
まず、図2及び図3に示すように、互いに離間した状態の第1金型11と第2金型12との間に材料71を投入する。
このとき、加熱部11bによって第1金型11を予め加熱しておく。また、加熱部12bによって第2金型12を予め加熱しておく。
【0044】
次に、図3及び図4に示すように、加圧機構20を駆動することによって各金型11,12で材料71を挟み込む。
このとき、材料71は、昇温した各金型11,12によって加熱される。これによって、材料71に含まれている熱可塑性樹脂が融点以上の温度に加熱され溶融する。
【0045】
次に、各金型11,12によって材料71の温度を維持しつつ各金型11,12によって材料71を第1圧力で加圧して樹脂を含浸させる。
ここで、第1圧力とは、溶融した樹脂を繊維間に含浸させるために必要な圧力、及び/又は、溶融した樹脂をシート層間に含浸させるために必要な圧力を意味する。
【0046】
次に、含浸が完了したら、材料71を冷却して樹脂を固化させる必要があるので、加熱部11b及び加熱部12bの発熱を停止させる。含浸が完了したかどうかは、例えば、試験によって予め取得された最適な含浸時間に基づいて判断される。
【0047】
次に、図4及び図5に示すように、各金型11,12によって材料71を第1圧力よりも高い第2圧力で加圧する。
ここで、第2圧力とは、シート内部やシート層間に残存する空気等を除去あるいは圧密化させるために必要な圧力を意味する。
【0048】
また、移動機構40を駆動することによって各熱容量体31,32を各金型11,12と接触させる。
このとき、加熱部31bによって第1熱容量体31を熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に加熱しておく。また、加熱部32bによって第2熱容量体32を熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に加熱しておく。
【0049】
第1熱容量体31が第1金型11と接触することよって、第1金型11よりも温度の低い第1熱容量体31は、第1金型11から熱を奪って第1金型11を冷却することになる。
また、第2熱容量体32が第2金型12と接触することよって、第2金型12よりも温度の低い第2熱容量体32は、第2金型12から熱を奪って第2金型12を冷却することになる。
【0050】
ここで、熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度とは、例えば、コンソリデーションに適した温度域にある温度である(この温度を「コンソリデーション温度」という。)。
具体的には、熱可塑性樹脂が一定時間内に固化し、かつ、結晶性樹脂においては結晶化が促進される温度を意味する。
【0051】
第1熱容量体31によって冷却された第1金型11は、やがて第1熱容量体31と同じ温度(コンソリデーション温度)になる。また、第2熱容量体32によって冷却された第2金型12は、やがて第2熱容量体32と同じ温度(コンソリデーション温度)になる。
これによって、コンソリデーション温度に維持された各金型11,12によって材料71が第2圧力で所定時間だけ加圧され、材料71がコンソリデーションされることになる。
【0052】
なお、第1金型11に対する第1熱容量体31の接触及び離間を選択することで、第1金型11に対する冷却の程度を調節できる。また、加熱部31bの発熱量によって第1金型11に対する冷却の程度を調節できる。
第2熱容量体32についても同様である。
また、例えば第1熱容量体31のみを第1金型11に接触させることで、第1金型11のみ冷却する等の調節も可能である。
【0053】
ここで、各熱容量体31,32の「接触」について詳細に説明する。
例えば、第1熱容量体31は第1金型11に接触するが、第1金型11に対する第1熱容量体31の接圧は、第1金型11による材料71の加圧(第2圧力)に影響を与えない程度の接圧とされる。すなわち、第1熱容量体31の接触によって第1金型11には不可避的に僅かな圧力が負荷されるが、この僅かな圧力が材料71の成形に必要な第2圧力に寄与することはない。
第2金型12に対する第2熱容量体32の接圧についても同様である。
以上をまとめると、材料71は各金型11,12及び加圧機構20によってのみ加圧され、各熱容量体31,32及び移動機構40は材料71の冷却には寄与するが加圧には寄与しないことになる。つまり、成形装置1では、各金型11,12の機能(加圧)と各熱容量体31,32の機能(冷却)とが互いに独立して切り離されている。
【0054】
次に、コンソリデーションが完了したら、図6に示すように、移動機構40によって各熱容量体31,32を互いに離間させて、加圧機構20によって各金型11,12を互いに離間させる。そして、成形品72を取り出して1サイクルが完了する。
【0055】
次に、成形品72を取り出したら、加熱部11b及び加熱部12bで再び各金型11,12を加熱して同様のサイクルを繰り返す。このとき、各金型11,12はできる限り熱容量が小さくされているので、短時間で昇温される。
【0056】
[温度の時間変化について]
次に、上記のサイクルにおける金型の温度及び材料の温度の時間変化について説明する。
【0057】
図7に示すように、t=0にて各金型11,12の加熱を開始して、各金型11,12を熱可塑性樹脂の融点以上の温度まで昇温させる。
【0058】
次に、t=t1にて各金型11,12によって材料71を第1圧力で加圧しつつ材料71の加熱を開始する。
なお、各金型11,12による材料71の加圧及び加熱は、各金型11,12が融点以上の温度になってから開始されてもよいし、融点以上の温度になる前に開始されてもよい。
【0059】
その後、t=t2にて材料71が各金型11,12と同温になり、所定時間経過後のt=t3までこの状態を維持しておく。これによって、樹脂が含浸される。
【0060】
次に、t=t3にて各金型11,12によって材料71を第2圧力で加圧しつつ各熱容量体31,32によって各金型11,12の冷却(すなわち、材料71の冷却)を開始する。
【0061】
冷却が開始されるとt=t4にて各金型11,12及び材料71の温度がコンソリデーション温度になる。
このとき、各熱容量体31,32はコンソリデーション温度に維持されているので、各金型11,12及び材料71もコンソリデーション温度に維持されることになる。
その後、t=t5までこの状態を維持したらコンソリデーションが完了して1回目のサイクルが終了する。
【0062】
次に、成形品72を取り出して、再び各金型11,12の加熱を開始して次のサイクルへ移行する。このとき、各金型11,12は、再加熱が開始される段階で既にコンソリデーション温度とされているので、1回目のサイクルほど加熱に時間を要しない。
以降、同様のサイクルを繰り返す。
【0063】
[加圧機構及び移動機構の制御方法について]
次に、第1加圧機構21及び第2加圧機構22並びに第1移動機構41及び第2移動機構42の制御方法について説明する。
なお、これらの制御に必要な処理は、制御部60によって実行される。また、制御に必要な情報は、図示しない各種センサから取得される。
【0064】
第1加圧機構21及び第2加圧機構22は、例えば、第1金型11及び第2金型12が材料71に負荷している荷重に基づいて制御される。
なぜなら、第1加圧機構21によって動かされる第1金型11及び第2加圧機構22によって動かされる第2金型12は、コンソリデーションをしている時に材料71に一定の荷重(すなわち、一定の圧力)を負荷する必要があるからである。
具体例としては、制御部60が、第1金型11及び第2金型12が材料71に負荷している荷重を取得して、その荷重と目標荷重(本来負荷すべき荷重)とを比較して、第1金型11及び第2金型12が目標荷重で材料71を押圧するように第1加圧機構21及び第2加圧機構22を駆動する。
【0065】
また、第1移動機構41及び第2移動機構42は、例えば、第1熱容量体31が第1金型11に負荷している荷重及び第2熱容量体32が第2金型12に負荷している荷重に基づいて制御される。
なぜなら、第1熱容量体31は第1金型11に対して、第2熱容量体32は第2金型12に対して、接触状態を保つように一定の荷重(すなわち、一定の接圧)を負荷する必要があるからである。
具体例としては、制御部60が、第1熱容量体31が第1金型11に負荷している荷重を取得して、その荷重と目標荷重(本来負荷すべき荷重)とを比較して、第1熱容量体31が目標荷重で第1金型11を押圧するように第1移動機構41を駆動し、第2熱容量体32が第2金型12に負荷している荷重を取得して、その荷重と目標荷重(本来負荷すべき荷重)とを比較して、第2熱容量体32が目標荷重で第2金型12を押圧するように第2移動機構42を駆動する。
【0066】
なお、第1移動機構41及び第2移動機構42を、第1金型11及び第2金型12の位置情報、並びに、第1熱容量体31及び第2熱容量体32の位置情報に基づいて制御してもよい。
具体例としては、制御部60が、第1金型11及び第2金型12の位置の変化量を取得して、その変化量に基づいて第1熱容量体31及び第2熱容量体32の目標位置(目標変化量)を決定して、第1熱容量体31及び第2熱容量体32が目標位置まで移動するように(目標変化量だけ移動するように)第1移動機構41及び第2移動機構42を駆動してもよい。
【0067】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
各熱容量体31,32は各金型11,12よりも大きな熱容量を持っているので、各熱容量体31,32の温度変化を抑制しつつ効率的に各金型を冷却できる。一方で、各金型11,12の熱容量は小さいので、加熱部11b及び加熱部12bによって行われる各金型11,12の加熱の時間を短縮することができサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0068】
サイクルタイムの短縮について、比較例としての図8から図10及び図11を用いて説明する。
図8から図10には、比較例としてのプレス装置100が示されている。プレス装置100は、温調部111bを内蔵した第1金型111及び温調部112bを内蔵した第2金型112を有する金型110を備えている。プレス装置100は、各金型111,112で材料71を挟み込んで成形品72を成形する装置である。
プレス装置100では、各金型111,112で材料71の加熱(融点以上に加熱する工程及びコンソリデーション温度に維持する工程)及び加圧を行う。このため、図11に示すように、各金型111,112の温度を変化させるために時間を要してしまう(図11の上図)。
一方で、本実施形態に係る成形装置1のように、材料71に接触する部分で、かつ、材料71に温度変化を与える部分を、できる限り小さく設計された各金型11,12に限定することで、温度変化に要する時間を短縮できる(図11の下図)。
【0069】
また、各熱容量体31,32は材料71の加圧に影響を与えない接圧で各金型11,12に接触するので、各熱容量体31,32を動かす移動機構40は、各金型11,12を動かす加圧機構20のように加圧機能を備えた機構でなくてもよい。したがって、加圧機能を備えた機構を成形装置1全体で1系統とすることができる。したがって、構造の簡易化やコストの低減を図ることができる。
【0070】
また、上述した通り、各熱容量体31,32は各金型11,12に接触するだけなので、耐圧性を考慮しなくてもよい。そのため、各熱容量体31,32は各金型11,12ほど頑丈である必要がなく、構造の簡易化やコストの低減を図ることができる。
【0071】
また、各金型11,12の機能(加圧)と各熱容量体31,32の機能(冷却)とを切り離しているので、加圧の程度及び冷却の程度をそれぞれ細かく調節することができる。
ここで、加圧の程度は、例えば加圧機構20によって調節される。また、冷却の程度は、例えば、移動機構40によって各熱容量体31,32を各金型11,12に接触させる若しくは各金型から離間させることで調節される、又は、加熱部31b及び/又は加熱部32bの発熱量によって調節される。
【0072】
また、例えば、第1金型11にのみに第1熱容量体31を接触させることで材料71の一方の面のみを冷却することも可能であり、コンソリデーションにおけるプロセスの幅が広がる。
【0073】
[変形例1]
図12に示すように、第1金型11に凹部11cを形成して、第2金型12に凸部12cを形成してもよい。
ただし、凹部11c及び凸部12cは、両端がクランプ部51で保持された材料71が生材の状態で変形し得る程度の形状とされている。すなわち、例えば曲率が比較的に小さな湾曲面とされている。
【0074】
図13に示すように、各金型11,12に挟み込まれた材料71は、凹部11cと凸部12cとの間に画定された隙間の形状に沿って変形する。
【0075】
[変形例2]
図14に示すように、各金型11,12と各熱容量体31,32との各間に、熱抵抗体としての挿入部材52を挿入してもよい。
挿入部材52は、例えばシート状の部材とされ、具体的には、ガラスクロスや金属プレートが例示される。
【0076】
挿入部材52を挿入することで、各金型11,12に各熱容量体31,32が接触したときの冷却速度を低下させることができる。これによって、熱ひずみによる各金型11,12の熱変形を抑制することができ、成形品72の形状精度の安定化や品質の向上を図ることができる。
【0077】
以上の通り説明した一実施形態に係る成形装置及び成形方法は、例えば、以下の通り把握される。
すなわち、本開示の第1態様に係る成形装置(1)は、繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材が積層されてなる材料(71)をコンソリデーションする成形装置であって、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温する第1金型加熱部(11b)を有した第1金型(11)と、該第1金型と対向して配置され、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温する第2金型加熱部(12b)を有した第2金型(12)と、前記第1金型よりも大きな熱容量を持ち、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温する第1熱容量体加熱部(31b)を有した第1熱容量体(31)と、該第1熱容量体と対向して配置され、前記第2金型よりも大きな熱容量を持ち、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温する第2熱容量体加熱部(32b)を有した第2熱容量体(32)と、前記第1金型及び/又は前記第2金型を動かす加圧機構(20)と、該加圧機構と独立した機構であり、前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体を動かす移動機構(40)と、を備え、前記第1金型及び前記第2金型は、前記加圧機構によって動かされることでそれらに挟み込まれた前記材料を加圧し、前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体は、前記移動機構によって動かされることで前記材料の加圧に影響を与えない接圧で前記第1金型及び/又は前記第2金型と接触する。
【0078】
本態様に係る成形装置によれば、第1熱容量体は、第2金型との間で材料を加圧している第1金型と接触し、第2熱容量体は、第1金型との間で材料を加圧している第2金型と接触するので、第1金型及び第2金型(以下、まとめて「各金型」ともいう。)が熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温しているとき、熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温した第1熱容量体及び第2熱容量体(以下、まとめて「各熱容量体」ともいう。)を、各金型を冷却する冷却部とすることができる。このとき、各熱容量体は各金型よりも大きな熱容量を持っているので、各熱容量体の温度変化を抑制しつつ効率的に各金型を冷却できる。一方で、各金型の熱容量は小さいので、第1金型加熱部及び第2金型加熱部(以下、まとめて「各金型加熱部」ともいう。)によって行われる各金型の加熱の時間を短縮することができる。なお、「熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度」とは、例えば、コンソリデーションに適した温度域にある温度である。
また、各熱容量体は材料の加圧に影響を与えない接圧で各金型に接触するので、各熱容量体を動かす移動機構は、各金型を動かす加圧機構のように加圧機能を備えた機構(例えば、加圧シリンダ等)でなくてもよい。したがって、加圧機能を備えた機構を成形装置全体で1系統とすることができる。したがって、構造の簡易化やコストの低減を図ることができる。
また、上述した通り、各熱容量体は各金型に接触するだけなので、耐圧性を考慮しなくてもよい。そのため、各熱容量体は各金型ほど頑丈である必要がなく、構造の簡易化やコストの低減を図ることができる。
また、各金型の機能(加圧)と各熱容量体の機能(冷却)とを切り離しているので、加圧の程度及び冷却の程度をそれぞれ細かく調節することができる。ここで、加圧の程度は、例えば加圧機構によって調節される。また、冷却の程度は、例えば、移動機構によって各熱容量体を各金型に接触させる若しくは各金型から離間させることで調節される、又は、第1熱容量体加熱部及び/又は第2熱容量体加熱部の発熱量によって調節される。
また、例えば、一方の金型にのみに熱容量体を接触させることで材料の一方の面のみを冷却することも可能であり、コンソリデーションにおけるプロセスの幅が広がる。
【0079】
また、本開示の第2態様に係る成形装置は、第1態様の成形装置において、制御部(60)を備え、前記制御部は、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温した前記第1金型及び前記第2金型が第1圧力で前記材料を加圧するように前記加圧機構を駆動して、前記第1金型加熱部及び前記第2金型加熱部の発熱を停止させた後、前記第1金型及び前記第2金型が前記第1圧力よりも大きな第2圧力で前記材料を加圧するように前記加圧機構を駆動して、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温した前記第1熱容量体及び/又は前記第2熱容量体が、前記第2圧力で前記材料を加圧している前記第1金型及び/又は前記第2金型と、前記材料の加圧に影響を与えない接圧で接触するように前記移動機構を駆動する。
【0080】
本態様に係る成形装置によれば、制御部は、熱可塑性樹脂の融点以上の温度に昇温した第1金型及び第2金型が第1圧力で前記材料を加圧するように加圧機構を駆動して、第1金型加熱部及び第2金型加熱部の発熱を停止させた後、第1金型及び第2金型が第1圧力よりも大きな第2圧力で材料を加圧するように加圧機構を駆動して、熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に昇温した第1熱容量体及び/又は第2熱容量体が、第2圧力で材料を加圧している第1金型及び/又は第2金型と、材料の加圧に影響を与えない接圧で接触するように移動機構を駆動するので、昇温した金型によって第1圧力で材料を加圧することで熱可塑性樹脂を含浸させ、含浸が完了したら、第1圧力よりも大きい第2圧力で材料を加圧するとともに熱容量体を金型に接触させて金型を冷却することで、材料をコンソリデーションすることができる。
【0081】
また、本開示の第3態様に係る成形装置は、第1態様又は第2態様の成形装置において、前記第1金型と前記第1熱容量体との間、及び/又は、前記第2金型と前記第2熱容量体との間に設けられた熱抵抗体を備えている。
【0082】
本態様に係る成形装置によれば、第1金型と第1熱容量体との間、及び/又は、第2金型と第2熱容量体との間に設けられた熱抵抗体(52)を備えているので、各金型に各熱容量体が接触したときの冷却速度を低下させることができる。これによって、熱ひずみによる各金型の熱変形を抑制することができ、成形品の形状精度の安定化や品質の向上を図ることができる。
【0083】
また、本開示の第4態様に係る成形方法は、繊維及び熱可塑性樹脂を含むシート材が積層されてなる材料をコンソリデーションする成形方法であって、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱された第1金型及び第2金型によって第1圧力で前記材料を加圧して、前記第1金型及び前記第2金型によって前記第1圧力よりも大きな第2圧力で前記材料を加圧して、前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に加熱された第1熱容量体及び/又は第2熱容量体を、前記第2圧力で前記材料を加圧している前記第1金型及び/又は前記第2金型と、前記材料の加圧に影響を与えない接圧で接触させる。
【0084】
また、本開示の第5態様に係る成形方法は、第4態様の成形方法において、前記第1圧力で加圧することによって前記材料の樹脂が含浸したとき、前記第1金型及び前記第2金型の加熱を停止する。
【符号の説明】
【0085】
1 成形装置
10 金型
11 第1金型
11a 金型本体
11b 加熱部(第1金型加熱部)
11c 凹部
12 第2金型
12a 金型本体
12b 加熱部(第2金型加熱部)
12c 凸部
20 加圧機構
21 第1加圧機構
22 第2加圧機構
30 熱容量体
31 第1熱容量体
31a 熱容量体本体
31b 加熱部(第1熱容量体)
32 第2熱容量体
32a 熱容量体本体
32b 加熱部(第2熱容量体)
40 移動機構
41 第1移動機構
42 第2移動機構
51 クランプ部
52 挿入部材(熱抵抗体)
60 制御部
71 材料
72 成形品
100 プレス装置(比較例)
110 金型
111 第1金型
111b 温調部
112 第2金型
112b 温調部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14