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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/58 20060101AFI20241007BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20241007BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20241007BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B9/17 Z
E06B9/84 D
E06B9/68 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022186562
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2021164090の分割
【原出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2023015367
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 寿一
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】津田 真伸
(72)【発明者】
【氏名】廣長 遼太
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-077752(JP,A)
【文献】特許第6957385(JP,B2)
【文献】特開平11-182128(JP,A)
【文献】特開2018-010789(JP,A)
【文献】特開2011-233472(JP,A)
【文献】特開2014-148792(JP,A)
【文献】特開2007-032010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の両端部をそれぞれ囲んで開閉方向へ案内する二つのガイドレールと、前記開閉体よりも閉鎖方向側の障害物を非接触感知する光電センサとを備えた開閉装置であって、
前記光電センサは、一方のガイドレールに設けられた投光器と、他方のガイドレールに設けられた受光器とを備え、
前記投光器と前記受光器との間に、開閉体開閉方向に間隔を置いた光線経路を形成するように構成され、
前記ガイドレールには、前記光線経路を通過させるための光通過孔が設けられ、
前記ガイドレールは、躯体側の不動部位に固定される固定支柱と、前記固定支柱に接続されるとともに前記開閉体の端部を上下方向へ案内するガイドレール本体とを備え、
前記光電センサは、前記ガイドレール本体設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記光電センサは、前記固定支柱に対し着脱可能に接続された前記ガイドレール本体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記ガイドレール本体には、前記光電センサの前記光線経路を確保する光通過孔が設けられていることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャッター装置やオーバヘッドドア等、空間を仕切るようにして開閉体を閉鎖動作させる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、対向する投光器と受光器を上下方向に多数配設した多光軸センサを、左右のガイドレールに装着したシャッター装置がある。
このようなシャッター装置によれば、上下方向にわたる広い範囲で障害物を感知することができ、単数の光電センサを用いたシャッター装置に比べて、障害物感知性能を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-77752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、多数の投光器の出射口、及び受光器の受光口が露出しているため、シャッター装置内を通過しようとする車や搬送物等が、投光器や受光器に接触して、破損してしまうおそれがある。
そこで、例えば、投光器及び受光器をガイドレール内に収納することが考えられるが、光を通過させるための丸孔を設ける必要があるので、その丸孔が、ゴミや木の葉、雪や、豪風雨時の泥によって塞がれてしまうおそれがあり、工夫を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の両端部をそれぞれ囲んで開閉方向へ案内する二つのガイドレールと、前記開閉体よりも閉鎖方向側の障害物を非接触感知する光電センサとを備えた開閉装置であって、前記光電センサは、一方のガイドレールに設けられた投光器と、他方のガイドレールに設けられた受光器とを備え、前記投光器と前記受光器との間に、開閉体開閉方向に間隔を置いた光線経路を形成するように構成され、前記ガイドレールには、前記光線経路を通過させるための光通過孔が設けられ、前記ガイドレールは、躯体側の不動部位に固定される固定支柱と、前記固定支柱に接続されるとともに前記開閉体の端部を上下方向へ案内するガイドレール本体とを備え、前記光電センサは、前記ガイドレール本体設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、多光軸センサを保護することができる上、光線経路に異物が付着し難い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
図2図1の(II)-(II)線に沿う横断面図である。
図3】同箇所の横断面図であり、固定支柱からガイドレール本体及び多光軸センサ等を外した状態を示す。
図4】ガイドレール本体及び多光軸センサ等をシャッター正面側から視た図である。
図5図2の(V)-(V)線に沿う断面図である。
図6】開閉体の幅方向端部側における下端寄りを示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図7】光遮蔽部材の具体例を示し、(I)は一番上の光遮蔽部材、(II)は上下方向中央の光遮蔽部材、(III)は一番下の光遮蔽部材である。
図8】収納部の端部側構造を示す概略図である。
図9】サイドカバーを骨材に接続するための接続片を示す斜視図である。
図10】収納部の中央側の補強構造を示す概略図である。
図11】収納ケース内の角側の補強片を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
図12】他の発明の光学式センサを装着したガイドレールの側面図である。
図13図12の(IX)-(IX)線に沿う断面図である。
図14】ガイドレールの他例を示す要部横断面図である。
図15】光通過孔の他例を(a)(b)にそれぞれ示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の両端部をそれぞれ囲んで開閉方向へ案内する二つのガイドレールと、前記開閉体よりも閉鎖方向側の障害物を非接触感知する多光軸センサとを備えた開閉装置であって、前記多光軸センサは、一方のガイドレール内で開閉体開閉方向へ延設された第一のユニットと、他方のガイドレール内で開閉体開閉方向へ延設された第二のユニットとを備え、これら二つのユニット間に、開閉体開閉方向に間隔を置いた多数の光線経路を形成するように構成され、前記ガイドレールには、前記光線経路を通過させるための光通過孔が設けられ、前記光通過孔は、前記多数の光線経路の内の一部または全部である複数の光線経路を通過させるように開閉体開閉方向にわたる長尺状に形成されている(図5参照)。
この構成によれば、多光軸センサをガイドレールにより保護することができる上、光通過孔に異物が付着し難い。
【0009】
第二の特徴としては、ガイドレールの強度低下を防ぐために、前記光通過孔が、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けられている。
【0010】
第三の特徴として、多光軸センサを保護するために、前記多数の光線経路は、開閉体厚さ方向において前記開閉体の中心部に対し、一致又は略一致している(図2参照)。
【0011】
第四の特徴として、より防塵性を向上するために、前記光通過孔の開閉体厚さ方向の寸法は、前記開閉体の厚み寸法よりも小さく設定されている(図2及び図5参照)。
【0012】
第五の特徴として、さらに防塵性を向上するために、前記ガイドレール内には、前記開閉体の幅方向の端面に対向する内壁面が設けられ、この内壁面に、前記光通過孔が設けられ、この内壁面の裏側に前記多光軸センサが設けられている(図2参照)。
【0013】
第六の特徴として、多光軸センサの電気配線が開閉体等と緩衝するのを防ぐために、前記内壁面の裏側に、前記多光軸センサの電気配線を設けた(図2参照)。
【0014】
第七の特徴として、いっそう防塵性を向上するために、前記開閉体の幅方向の端部には、前記ガイドレールからの抜け出しを阻む抜け防止部材が設けられ、前記ガイドレールの内部には、前記抜け防止部材を抜け出し不能に嵌め合せて開閉体開閉方向へ案内する内ガイドレールが設けられ、前記内壁面及び前記光通過孔が、前記内ガイドレールの内部に設けられている(図2参照)。
【0015】
第八の特徴として、メンテナンス性を向上するために、前記ガイドレールは、開閉体開閉方向へわたって不動部位に固定された固定支柱と、この固定支柱に対し着脱可能に接続されたガイドレール本体とを備え、ガイドレール本体は、前記開閉体の幅方向の端部を囲んで開閉方向へ案内するように形成されるとともに、前記内ガイドレール及び前記多光軸センサを一体的に装着している(図3参照)。
【0016】
第九の特徴として、多光軸センサをより効果的に保護するために、前記多光軸センサが、全閉時の前記開閉体の当接対象部位から開放方向側に所定寸法離れた位置に設けられている(図1参照)。
【0017】
第十の特徴としては、前記開閉体の開放方向側に前記開閉体を収納する収納部が設けられ、この収納部内には、開閉体の開閉動作を制御する制御部が、開閉体幅方向における一方寄りに設けられ、前記第一のユニットと前記第二のユニットのうち、その一方のユニットは、障害物を非接触感知した際の信号を電気配線により前記制御部へ伝達するように構成され、前記一方のユニット及び前記電気配線の少なくとも一部は、前記一方寄りに位置する前記ガイドレール内に配設されている(図14参照)。
【0018】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0019】
開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部20と、開閉体10の幅方向の両端部をそれぞれ横断面凹状に囲んで開閉方向へ案内する二つのガイドレール30,30と、開閉体10よりも下側の障害物を非接触感知する多光軸センサ40とを備え、例えば、ガレージや工場等の比較的幅広い開口を有する躯体に装着される。
【0020】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の下端部に固定座板12を接続し、この固定座板12の下端側に相対的に上下方向へ移動可能に可動座板13を接続している(図1及び図6参照)。
【0021】
この開閉体10の横幅方向の端部には、ガイドレール30からの抜け出しを阻む抜け防止部材14が設けられる(図2及び図6参照)。
抜け防止部材14は、開閉体10の端部から横幅方向へ突出し、その突端側に開閉体幅方向へ拡がった部分を一体に有する(図2参照)。
【0022】
最下端側のスラット11a、可動座板13、固定座板12には、それぞれ、塞ぎ部材15,16,17が設けられている(図6及び図7参照)。
これら塞ぎ部材15,16,17は、開閉体下端側の内部で横幅方向へ連通する空間を遮るように、スラット11a、可動座板13、固定座板12の端部側に、それぞれ、取り付けられている。
そして、これら塞ぎ部材15,16,17は、開閉体10の通常の閉鎖動作中に、多光軸センサ40の光線経路Rを順次に二つずつ遮って、ブランキング制御が行われるようにしている。ここで、ブランキング制御とは、開閉体10の閉鎖動作中に、二つの光線経路Rが塞ぎ部材15,16,17によって遮られる毎に、この二つの光線経路Rの下側に直近する光線経路R以上において障害物感知を無効にし、開閉体10が障害物として感知されないようにする制御である。
【0023】
本実施の形態の好ましい一例では、開閉体厚さ方向において、多数の光線経路Rの中心と、開閉体10の中心部とを、一致又は略一致させている。
この構成によれば、後述する多光軸センサ40の投光面40a1(又は受光面)を、開閉体10の幅方向の端面によって覆って保護することができ、ひいては、投光面40a1(又は受光面)の汚れや異物の付着、損傷等を防ぐことができる。
なお、上記開閉体10に置換して、内部が中実状の開閉体を用いる場合には、塞ぎ部材15,16,17を省くことが可能である。
【0024】
収納部20は、図1に示すように、開閉体10を出没させるための開口部を下部に形成した収納ケース21内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸22と、該巻取軸22をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して駆動回転したり制動したりする開閉機23と、図示しないリモコンや多光軸センサ40の信号等に応じて開閉機23を制御する制御部24とを備える。
【0025】
収納ケース21は、両端のサイドカバー21aや、サイドカバー21aに接続されて開閉体幅方向へ延設されたケース本体21b等によって内部が中空の直方体状に形成される(図1図8図11参照)。
ケース本体21bは、複数の平板状のパネルを開閉体幅方向へ長尺な筒状に組み合わせた態様や、その一部の複数のパネルを一体の曲げ形状にした態様等とすればよい。
【0026】
なお、図8及び図9中、符号21cは、サイドカバー21aを図示しない骨材に接続するための接続片である。
また、図10及び図11中、符号11dは、収納ケース21の上角側を補強する補強片である。
また、図10中、符号11eは、ケース本体21bの上面と下面を引き合わせて変形を抑制するターンバックルである。
【0027】
制御部24は、例えばマイコン等を備えた電子回路であり、予め記憶したプログラムにより機能することで、多光軸センサ40からの入力信号を処理し、その処理結果に応じて開閉機23を制御する。
詳細に説明すれば、この制御部24は、開閉体10の通常の閉鎖動作中に、多光軸センサ40の光線経路Rが障害物により遮られる等した際の信号を受けると、この信号に応じて開閉機23を制御する。
この制御部24及び開閉機23は、収納ケース21内において、開閉体幅方向における一方寄り(図示例によれば左寄り)に配設される。
【0028】
また、ガイドレール30は、開閉体10の幅方向の端部を凹状に囲むように構成される。
このガイドレール30は、図2図5に示すように、開閉体開閉方向へわたって躯体側の不動部位に固定された固定支柱31と、この固定支柱31に対し着脱可能に接続されたガイドレール本体32と、ガイドレール本体32内に固定された内ガイドレール33とを備え、ガイドレール本体32の裏側面に、ブラケット48によって多光軸センサ40を止着している。
【0029】
固定支柱31は、図示例によれば前記躯体に直接止着される固定部31aと、この固定部31aに嵌合し接続されてガイドレール本体32の止着対象となる被止着部31bとから一体的に構成される。
これら固定部31aと被止着部31bは、予め一体の部材として形成してもよい。
【0030】
この固定支柱31は、図2図3に示すように、開閉体10側(図中左側)を開口した横断面凹状に形成され、当該開閉装置1の設置対象である躯体に沿って上下方向へ延設される。この固定支柱31(詳細には被止着部31b)の内側には、多光軸センサ40およびその電気配線49等を収納する空間部Sが確保されている。
固定支柱31の前記開口側には、ガイドレール本体32を止着固定するための被止着部31b1,31b1が、開閉体厚さ方向へ突出する鍔状に設けられる。
【0031】
ガイドレール本体32は、開閉体10の端部を開口部32aに挿入するようにして囲む横断面凹状に形成され、開閉体10の端部を上下方向へ案内する。なお、開口部32aに設けられた符号32bは、弾性材料からなる気密材である。
このガイドレール本体32には、開口部32aの両縁部からそれぞれ開閉体厚さ方向へ延設され突出した止着部32c,32cが設けられる。各止着部32cは、固定支柱31の被止着部31bに重ね合わせられ、ネジやボルト等の止着具によって止着固定される。
【0032】
そして、ガイドレール本体32内の底部には、開閉体10を開閉体幅方向へ延長したその延長線上に位置するように、横断面略C字状の被嵌合部32dと、多光軸センサ40の光線経路Rを確保する光通過孔32eが設けられる。
そして、被嵌合部32dには、内ガイドレール33が嵌め合わせられ不動に固定されている。
【0033】
内ガイドレール33は、対向する内向き縁33a,33a間の開口を開閉体10側(図2中の左側)へ向けた横断面略凹状であって、上下方向へ連続する長尺状に形成される。
そして、内ガイドレール33は、内向き縁33a,33aの内側に、開閉体10の抜け防止部材14を抜け出し不能に嵌め合せるとともに、この抜け防止部材14を開閉体開閉方向へ案内する。
この内ガイドレール33の底側で、開閉体10の横幅方向の端面(詳細には、抜け防止部材14の端面)に対抗する内壁面33bには、光線経路Rを確保するための光通過孔33b1が設けられる。この光通過孔33b1は、ガイドレール本体32の光通過孔32eに連通している。
そして、内壁面33bの裏側には、被嵌合部32dを間に置いて、多光軸センサ40が固定されている。
【0034】
多光軸センサ40は、一方のガイドレール30内で上下方向へ延設された第一のユニット40aと、他方のガイドレール30内で上下方向へ延設された第二のユニット40bとを備える。
これら第一のユニット40aと第二のユニット40bは、それぞれ、全閉時の開閉体10の当接対象部位G(例えば、下枠や床面、地面等)から開放方向側に所定寸法H離れて位置し、ブラケット48により内ガイドレール33及びガイドレール本体32の裏側に固定される。
所定寸法Hは、約150~1500mmの範囲内に設定され、より好ましくは、約150~500mmの範囲内に設定される。
なお、図示例以外の他例としては、第一のユニット40a及び第二のユニット40bを、開閉体10によって開閉される開口部の全高にわたって設けることも可能である。
そして、これら二つのユニット40a,40bは、上下方向に略一定の間隔を置いた多数の光線経路Rを形成する。
【0035】
第一のユニット40aは、開閉体開閉方向へ長尺な立方体状のケース内に、その長手方向に略一定の間隔を置いて多数の投光器(図示せず)を有する。これら投光器は光電センサを構成するものであり、電気配線49からの電力供給を受けて、障害物感知媒体としての光(例えば赤外線)を発する。
【0036】
第二のユニット40bは、開閉体開閉方向へ長尺な立方体状のケース内に、その長手方向に略一定の間隔を置いた多数の受光器(図示せず)と、これら受光器の感知信号を処理する制御回路(図示せず)とを備えている。
第二のユニット40bの各受光器と、対向する第一のユニット40aの各投光器とは、これらの間に光線経路Rを形成する光電センサとして機能する。
前記制御回路は、前記受光器による感知信号を処理し、その処理結果として、障害物感知信号等を電気配線49へ出力する。
【0037】
第一のユニット40a側の電気配線49と、第二のユニット40b側の電気配線49は、それぞれ、ガイドレール30内の空間部Sを通って上方へ導かれ、収納ケース21内の制御部24に電気的に接続される。
特に受光器を有する第二のユニット40b(一方のユニット)は、光線経路Rが遮られることにより障害物を非接触感知した際の信号を、電気配線49により制御部24へ伝達するように構成される。そして、この第二のユニット40bは、上記一方寄り(図示の左寄り)に位置するガイドレール30内に配設されている。
この構成によれば、第二のユニット40bから出力される信号を良好に制御部24へ伝達することができる。
すなわち、仮に図示とは逆に、第一のユニット40aを受光器側とし、この第一のユニット40aから出力される信号を他方(図示の右側)のガイドレール30内を通じて制御部24へ伝送するようにした場合には、電気配線49が比較的長くなるため、電気抵抗の増大等に起因して感知精度が低下する可能性があるが、本実施の形態ではこのような問題を生じ難い。
【0038】
また、ブラケット48は、図2図4に示すように、直方体ブロック状に形成され、その上下端側に鍔部48aを有する。各鍔部48aは、挿通される止着具(例えばネジやボルト等)によってガイドレール本体32の裏面に止着される。
そして、ブラケット48の側面には、第一のユニット40a又は第二のユニット40bが、止着具(例えばネジやボルト等)によって止着固定される。
この止着構造によれば、第一のユニット40a及び第二のユニット40bを精度よく位置決めすることができる。すなわち、例えば、第一のユニット40a及び第二のユニット40bを一般的なL字状金具等によりガイドレール本体32に止着した場合には、L字状金具等の変形等により光軸の傾きを生じやすいが、このようなことを防ぐことができる。
【0039】
多数の光線経路Rとガイドレール30の関係について詳述すれば、ガイドレール30(詳細には内ガイドレール33とガイドレール本体32)の底部側の光通過孔33b1,32eは、上下方向に間隔を置いて複数設けられる。
各光通過孔33b1,32eは、多数の光線経路Rの内の一部である複数(図5の一例によれば四つ)の光線経路Rを通過させるように上下方向にわたる長孔状に形成されている。
【0040】
第一のユニット40a側の光通過孔33b1,32eは、多光軸センサ40の投光器の投光面40a1の直径よりも若干大きい幅Wを有する。
すなわち、前記投光器は、光を、所定角度で広がる放射状に出射する。光通過孔33b1は、前記放射状の広がりを適度に保持するように、幅Wを設定している。
また、第二のユニット40b側の光通過孔(図示せず)も、前記光通過孔33b1と略同様に形成される。
したがって、前記投光器に対向する受光器は、その位置が製造誤差等により、開閉体厚さ方向(図示の幅W方向)へ若干ずれてしまった場合でも、前記投光器から出射される光を受光することになる。
【0041】
また、光通過孔33b1,32eの幅Wは、開閉体10の幅方向の端面における厚み寸法X(図2参照)よりも小さく設定されている。なお、寸法Xは、本実施の形態の一例によれば、塞ぎ部材15,16,17の厚み方向の寸法である。
この構成によれば、ブランキング制御の際に、二つの光線経路Rを、開閉体10の幅方向端部によって良好に遮ることができる。
しかも、孔幅が比較的小さいので、この光通過孔33b1,32eに埃等の異物が付着するのを効果的に防ぐことができる。
また、光通過孔33b1の内縁等に、開閉体10の端部側が干渉するようなことを阻み、開閉体10の摺接や引っ掛かり、多光軸センサ40の投光面40a1(受光面)の損傷等を防ぐことできる。
【0042】
なお、ガイドレール本体32側の光通過孔32eは、内ガイドレール33側の光通過孔33b1と同形状にすればよいが、光通過孔33b1を含むようにして、光通過孔33b1よりも幅広にしたり長くしたりしてもよい。
また、第一のユニット40aと第二のユニット40bは、投光器と受光器の関係が逆であってもよい。すなわち、第一のユニット40aに多数の受光器を設け、第二のユニット40bにそれぞれ対向する多数の投光器を設けるようにしてもよい。
【0043】
さらに他例としては、一方のユニットに投光器及び受光器を設け、他方のユニットには反射板を設けて、投光器から発せられる光を反射して受光器に捕捉させるようにしてもよい。
【0044】
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
図1に示すように、開閉体10の閉鎖動作中、この開閉体10よりも下方側には、多光軸センサ40によって上下方向へ間隔を置いた多数の光線経路Rが形成される。
これら光線経路Rのうち、何れかの光線経路Rが障害物により遮られると、第二のユニット40bの前記制御回路から障害物感知信号が出力される。そして、制御部24は、障害物感知信号の入力に応じて、開閉機23を停止や反転等、適切に制御する。
【0045】
このような開閉装置1によれば、第一のユニット40a及び第二のユニット40bが、ガイドレール30内にて開閉体10の幅方向端部に対向するように、内ガイドレール33の裏側に配置される。このため、これら第一のユニット40aや第二のユニット40bが、当該開閉装置1近傍の通過物等に当接されたり、悪戯されたりするようなことを阻むことができ、これらユニットを保護することができる。
【0046】
しかも、光通過孔33b1が上下方向に長尺であるため、この光通過孔33b1に、ゴミや木の葉、雪、泥等が付着し難い上、付着したとしてもこれらを自然落下させ易い。
また、光通過孔33b1が開閉体10の幅方向端面に対向して、ガイドレール本体32及び内ガイドレール33の底部側に位置するため、防塵性に優れている。
また、一つの長孔状の光通過孔33b1に対し複数の光線経路Rを対応させているため、上下方向の光軸合わせが容易であり生産性に優れている。
すなわち、仮に一つの光通過孔33b1に対し一つの光線経路Rを対応させた場合には、多数の光電センサについてそれぞれ光通過孔33b1と光軸を合わせる必要があり、加工精度上の問題等を生じるおそれがあるが、上記構成の開閉装置1によれば、このような問題を軽減して生産性を向上することができる。
【0047】
また、第一のユニット40a及び第二のユニット40bを、当接対象部位Gから上方側に離して配置したため、これらユニットが水没したり、ガイドレール30内下端側に堆積した異物が第一のユニット40aや第二のユニット40bに付着したりするのを防いで、多光軸センサ40を効果的に保護することができる。
【0048】
また、電気配線49がガイドレール本体32の裏側の空間部Sに設けられるため、この電気配線49が、開閉体10や抜け防止部材14等に緩衝するのを防ぐことができる。
【0049】
また、ガイドレール本体32、内ガイドレール33、多光軸センサ40等は、一体ユニット状に構成されており、固定支柱31に対する着脱が容易である(図3参照)。
したがって、多光軸センサ40に対する修理や点検、交換等のメンテナンスも容易である。
【0050】
なお、上記実施の形態によれば、内ガイドレール33の内壁面33bとガイドレール本体32の底壁に、それぞれ、光通過孔33b1,32eを設けたが、他例としては、図示例から抜け防止部材14及び内ガイドレール33を省いた構成において、ガイドレール本体32の底壁のみに光通過孔32eを設けた態様や、ガイドレール本体32の底側に光通過孔を有する別体のプレートを設けた態様等とすることも可能である。
【0051】
また、図12及び図13は、上記実施態様とは異なる発明を示すものである。この発明は、上記開閉装置1のガイドレール30をガイドレール30’に置換したものである。
ガイドレール30’は、図13に示すように、躯体に固定される固定支柱35と、開閉体10の幅方向端部を上下方向へ案内するガイドレール本体36と、単光軸の光電センサ37(投光器又は受光器)を支持するセンサ支持支柱38とを開閉体厚さ方向に並べ一体化しており、センサ支持支柱38の手前側に単一の光線経路Rを形成するようにしている。
この発明では、ガイドレール本体36内に、内ガイドレール33’が設けられ、センサ支持支柱38の内部には、光電センサの電気配線49’が設けられる。
この発明によれば、電気配線49’が開閉体10や抜け防止部材14に干渉するのを防ぐことができる上、光電センサ37に対するメンテナンス性が良好である。
【0052】
また、さらに他の発明としては、図12図13に示す発明において、光電センサ37を、長尺上の多光軸センサ40(詳細には第一のユニット40a又は第二のユニット40b)に置換することが考えられる。
【0053】
また、図2及び図3に示すガイドレール30によれば、ガイドレール本体32を被止着部31bに対し開閉体厚さ方向両側の止着具(ねじやボルト等)によって止着したが、他例としては、図14に示すガイドレール30”のように、ガイドレール本体32”を固定支柱31に対し、屋外側で掛止し、屋内側(躯体側)でのみ止着具によって止着した構造とすることも可能である。
ガイドレール30”は、上記ガイドレール30の被止着部31bを被止着部31b”に置換し、ガイドレール本体32をガイドレール本体32”に置換したものである。
被止着部31b”は、上記被止着部31b”から止着具を止着するためのねじ穴を省き、これに代えて、内向き突片状の被掛止部32hを設けたものである。
また、ガイドレール本体32”は、上記ガイドレール本体32から止着具を挿通する貫通孔を省き、これに代えて、被掛止部32hに引っ掛けるための掛止部32gを設けたものである。
このガイドレール30”によれば、屋外側に止着具(ねじやボルト等)が露出しないので、防犯性を向上することができる上、ガイドレール本体32”の着脱が容易なのでメンテナンス性も良好である。
【0054】
また、上記実施の形態の好ましい一例によれば、光通過孔33b1(32e)は、一部の光線経路Rを通過させる長尺状の孔としたが、この光通過孔33b1の他例としては、全ての光線経路Rを含むように上下方向へ長尺に形成することも可能である。
さらに、この光通過孔33b1の他例としては、切欠き状やスリット状に形成することも可能である。例えば、ガイドレール30を、その開閉体厚さ方向に分割された二部材から構成し、その一方と他方の部材に切欠部を設けて、これら二つの切欠部が合わさることで、光通過孔33b1が構成されるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態の好ましい一例によれば、光通過孔33b1(32e)を、多数の光線経路Rの内の一部である複数の光線経路Rを通過させるように開閉体開閉方向にわたる長尺状に形成したが、他例としては、図15(a)に示すように、光通過孔33b1を、多数の光線経路Rの内の全部である複数の光線経路Rを通過させるように開閉体開閉方向にわたる長尺状に形成することも可能である。
この場合、さらに好ましくは、図15(b)に示すように、この光通過孔33b1の長手方向に適宜間隔を置いて補強材33b2を設けるようにしてもよい。この補強材33b2は、上下に隣接する投光面40a1(又は受光面)間で、光通過孔33b1の両長縁部に跨るようにしてガイドレール30に止着される。この構成によれば、ガイドレール30(詳細には内ガイドレール33やガイドレール本体32等)が長尺状の光通過孔33b1(32e)によって強度低下するのを、補強材33b2によって軽減することができる。
【0056】
また、上記実施の形態によれば、投光面40a1(又は受光面)が、開閉体幅方向における開閉体10側で外気に露出する構成としたが、他例としては、光通過孔33b1を、透光性を有する部材(例えば板等)、又は透明の部材により覆うようにしてもよい。この構成によれば、投光面40a1(又は受光面)が、汚れたり、物体当接等により損傷したり等するのを防ぐことできる。
【符号の説明】
【0057】
10:開閉体
20:収納部
30:ガイドレール
31:固定支柱
32:ガイドレール本体
33:内ガイドレール
33b:内壁面
33b1,32e:光通過孔
40:多光軸センサ
40a:第一のユニット
40b:第二のユニット
49:電気配線
R:光線経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15