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特許7566860アディティブ技法によって適用されたコンバータを備える医療機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】アディティブ技法によって適用されたコンバータを備える医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20241007BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20241007BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
A61M1/36 103
A61B5/145
A61B5/1455
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022205273
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2019552117の分割
【原出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2023040060
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】102017106402.8
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ハイデ
(72)【発明者】
【氏名】デヤン・ニコリック
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532217(JP,A)
【文献】特表2004-512914(JP,A)
【文献】特開2010-258334(JP,A)
【文献】米国特許第04734184(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0214504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
A61B 5/145
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・硬質部を通じて、医療流体を導通するための流体通路を有する少なくとも1つの硬質部と、
・少なくとも1つのコンバータと、ここにおいて、前記コンバータは、前記医療流体の特徴を、それが前記流体通路のうちの1つに存在する間に測定するために配置される、
・少なくとも1つの多極接続デバイスと、
を有し、
前記コンバータが、その少なくとも一区間および前記多極接続デバイスにおいて、少なくとも1つの付加的適用方法によって、前記硬質部に適用される、または重ね合わされる ことを特徴とし、
ここにおいて、前記コンバータは、
・圧力を測定または決定するためのコンバータ、
・レベル決定コンバータまたは距離決定コンバータとして、2つの導電面と間に置かれる誘電体とを有する容量性測定のためのコンバータ、
・重さ決定コンバータ、力決定コンバータ、経路決定コンバータ、またはコンタクト決定コンバータとして、ワイヤに対する外的影響による抵抗性測定のためのコンバータ、
・圧電効果に基づくコンバータ、
・流れ測定コンバータとして磁気誘導コンバータ、または
・光コンバータ、
として具現化または構成される、
医療機器。
【請求項2】
前記コンバータは、前記機器の流体通路の内輪郭または外輪郭上にひずみゲージとして配置される、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記適用方法は、導電インクを適用することを含む、請求項1または2に記載の機器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの適用方法は、テンプレートを用いない適用を含む、請求項1、2または3に記載の機器。
【請求項5】
前記医療機器は、複数のコンバータを備え、その各々は、その少なくとも一区間において、付加的適用方法によって前記硬質部に適用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の機器。
【請求項6】
前記コンバータを含む1つのセンサ配列またはさらなるセンサ配列のさらなる区間は、同じ適用方法を使用する付加的適用方法によって適用されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記付加的適用方法によって適用された前記コンバータおよび/または関連する前記センサ配列の前記さらなる区間は、同じ生産ステップで適用されている、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記付加的適用方法によって適用される前記区間は、追加的に少なくとも1つのコンバータ、少なくとも1つの導体、または1つの多極接続デバイス、またはそれぞれ複数のそれらを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
前記適用方法は、2次元または3次元的な適用をもたらし、および/または前記付加的適用方法によって適用された前記コンバータは、前記適用方法によって2次元または3次元的に適用されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の機器。
【請求項10】
前記さらなる区間は、前記適用方法によって2次元または3次元的に適用されている、請求項6、請求項7、および請求項6を直接的または間接的に引用する請求項8のいずれか一項に記載の機器。
【請求項11】
少なくともさらなる適用方法は、付加的適用方法によって適用された前記区間を適用するために使用されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の機器。
【請求項12】
前記コンバータ(単数または複数)の区間は、射出成形によって適用されており、1つの成分は導電性ポリマーを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の機器。
【請求項13】
前記さらなる区間の区間は、射出成形によって適用されており、1つの成分は導電性ポリマーを備える、請求項6、請求項7、請求項6を直接的または間接的に引用する請求項8、請求項6を直接的または間接的に引用する請求項9、請求項10、および請求項6を直接的または間接的に引用する請求項11のいずれか一項に記載の機器。
【請求項14】
前記医療機器は、血液カセットである、請求項1~13のいずれか一項に記載の機器。
【請求項15】
前記医療流体は、血液である、請求項1~14のいずれか一項に記載の機器。
【請求項16】
前記付加的適用方法は、プリンティング方法である、請求項1~15のいずれか一項に記載の機器。
【請求項17】
前記射出成形は、2成分射出成形である、請求項12または13のいずれか一項に記載の機器。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の医療機器を生産するための方法であって、
・医療流体のための流体システムを有する前記医療機器の硬質部を提供すること
を行うステップを有し、
・付加的適用方法によって、前記硬質部に、少なくとも1つのコンバータを、その少なくとも1つの区間において適用すること
を行うステップによって特徴付けられ、前記コンバータは、圧力を測定もしくは決定するためのコンバータとして具現化または構成される、方法。
【請求項19】
・後処理ステップと、
・機械インターフェースへの信号接続の付加的適用と、
・前記多極接続デバイスの付加的適用と、
・前記医療機器を形成するように、付加的適用によって処理された2つ以上の区間を組み合わせることと
を行うステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記後処理ステップは、導電路に対して達成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記後処理ステップは、他の材料のさらなる機能層の適用、絶縁、研磨、または研削である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~17のいずれか一項に記載の医療機器の多極接続デバイスに接続された、またはそれに接続するための多極コネクタによって特徴付けられる、処理装置。
【請求項23】
前記多極コネクタは、ADコンバータに接続されている、請求項22に記載の処理装置。
【請求項24】
血液処理装置、アフェレシス装置または透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置、濾過装置、または体外ガス交換のための装置である、請求項22または23に記載の処理装置。
【請求項25】
前記コンバータは、処理装置に備えられず、前記医療機器に配置される、請求項1~17のいずれか一項に記載の機器。
【請求項26】
物理的、化学的、または他のパラメータもしくは値を検出すること、および、このパラメータを電磁的に移行可能な代用値に変換することとが、前記医療機器自体上で、前記コンバータによって行われる、請求項1~17のいずれか一項に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の医療機器に関する。本発明はさらに、請求項14のプリアンブルに記載の医療機器のための生産方法、および請求項16のプリアンブルに記載の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の血液処理装置は、血液が処理または一時的に蓄積される、血液処理のための少なくとも1つの医療機器、例えば血液カセットに接続される。血液カセットとして具現化される医療機器は、DE102009018664A1から既知である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、さらなる医療機器を特定することである。さらに、かかる機器のための生産方法および当該機器を使用するための処理装置が提示される。
【0004】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する医療機器、請求項14に記載の特徴を有する方法、および請求項16に記載の特徴を有する処理装置によって達成され得る。
【0005】
よって、少なくとも1つの硬質部内を、または硬質部を通じて、医療流体、特に血液を導通するための完全または不完全な流体通路を有する硬質部を有する医療機器が、本発明によって特定される。
【0006】
本医療機器はさらに、少なくとも1つのコンバータを備える。コンバータは、医療流体または別の流体の特徴を、当該流体が流体通路に存在している間に測定するために配置される。代替的または追加的に、コンバータは、医療機器の特徴を測定するため、または、例えば医療機器にかけられる外圧もしくは内圧の影響を測定するために配置される。
【0007】
コンバータは、その少なくとも一区間において、ちょうど1つまたは少なくとも1つの付加的適用方法(additive application method)、好ましくはプリンティング方法によって、硬質部上に直接または間接的に適用および/または生成もしくは確立される。
【0008】
本発明による方法は、本発明による医療機器の生産に役立つ。本方法は、医療流体のための流体通路、流体システム、またはそれらの区間を備える医療機器の硬質部を提供することを含む。
【0009】
さらに本方法は、少なくとも1つの付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって、硬質部上に少なくとも1つのコンバータを(その少なくとも一区間において)適用することを含む。
【0010】
本発明による処理装置は、医療機器の多極接続デバイス(この用語は、本発明の範囲内において「マルチプル接続デバイス」とも交換され得る)との接続のための少なくとも1つの多極コネクタを備える。
【0011】
本発明による処理装置は、多極コネクタによって受信される信号を受信および処理するように構成され得る。
【0012】
本発明による処理装置は、本発明による医療機器に接続され得る。
【0013】
本明細書における実施形態のすべてにおいて、「~であり得る」および「~を有し得る」等の表現の使用は、それぞれ、「好ましくは~である」または「好ましくは~を有する」等と同義であり、本発明による一実施形態を例示することを意図している。
【0014】
本発明による実施形態は、上述または以下の特徴のうちの1つまたはいくつかを備え得る。このように、本明細書で言及される特徴は、そのいずれの組合せにおいても、当業者が具体的な組合せを技術的に不可能と認識しない限り、本発明による実施形態の主題であり得る。さらに本発明による実施形態は、従属請求項に記載の主題である。
【0015】
本明細書で数値を表す語が言及されるときはいつでも、当業者はそれらを数値の下限の表示として認識または理解するであろう。それが当業者を明白な矛盾に導かない限り、当業者は、例えば「1つ」という指定が「少なくとも1つ」を包含すると理解するであろう。この理解はまた、当業者にとって明白に技術的に可能であるときはいつでも、数値を表す語、例えば「1つ」が、代替的に「ちょうど1つ」を意味し得るという解釈として、本発明によって同等に包含される。両方が本発明によって包含され、本明細書では使用されるすべての数値を表す語に適用される。
【0016】
「上部」および「下部」という情報は、不確かな場合、それぞれの構成要素の、その意図された使用中の位置を指す、絶対的または相対的な空間情報として当業者によって理解されるべきである。
【0017】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、硬質部(本明細書では、硬質体または基体とも表示)および/またはチューブ等のようなその付属品は、通常射出成形プロセスによって生産される部分として理解されるべきであり、それゆえ本明細書では医療機器の「硬質」体と称され、ここにおいて、当該硬質体は、比較的「軟質」のフィルムによって被覆され得る。硬質部は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA、ABS、PMMA、PC、PVC、または当業者に十分に既知である他のポリマー、もしくは他の材料から作られ得る。それは、特に、例えばセラミックのような絶縁体材料から作られ得る。
【0018】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、硬質部(本明細書では硬質体または基体とも表示)は、通常射出成形プロセスで作られる医療機器の部分のみであり、したがって「硬質」体と表示され、チューブ等のようなその付属品ではないと理解されるべきであり、ここにおいて、当該硬質部は、比較的軟質のフィルムによって被覆され得る。
【0019】
センサおよびセンサ配列(sensor arrangement)という用語は、本明細書の範囲内において、コンバータ、信号送信構成要素、および/または評価ユニットを備える、またはそれから成るシステムについて同義に使用される。それによりコンバータは、好ましくは、測定媒体と―好ましくは直接または間接的に―接触しており、および/または測定関係にある機器側に設けられたセンサの一区間として理解されるべきである。コンバータは、その測定の結果を好適な信号、例えば電流または電圧信号に変換する。同様にセンサ配列に属する信号送信構成要素は、それらの測定の結果を評価ユニットに転送し、これは、先行技術では通常、機械側に設けられている。
【0020】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、導電性インクを適用することを含む、またはそれから成る。
【0021】
導電性インクは、ここでは、適切に密に適用された場合に、例えば、特に信号が送信され得る導電路(本明細書では電極とも称される)のような機能経路を共に形成する、例えばナノ粒子またはマイクロ粒子を有する流体を意味すると理解される。本発明のコンテキストでは、導電性インク以外の材料もまた考慮され得る。理想として導電性インクは生物学的適合性があり得るが、そうでなくてもよい。追加的または代替的に、生細胞、蛋白質等が、導電性があるようにした―可能性もある―インクの一部であり得る。
【0022】
導電性インクまたは代替的な材料は、任意の凝集状態で使用され得る。いくつかの実施形態では、凝集状態は、本発明のコンテキストの範囲内で、バイオマーカが組み込まれた固体または液体のハイドロゲルを意味すると理解され得る。凍結した(すなわち固体)物質またはマイクロカプセル化した活性成分/試薬も処理され得る。経路はまた、昇華/凝結によって気相から分離され得る。
【0023】
導電性インクはここでは、例えば、炭素導電ポリマー、金属粒子、および/またはその組合せを備える液体、さらに金属化されたインクとも理解されるべきである。
【0024】
技術水準から既知のエアロゾルジェットプリンティング技法(これについてはEP2559656A1参照)は、付加的適用および特にプリンティングのための一例であるとみなされる。そこに開示されている技法およびその技法を実施するための説明されている機器は、特に、プリンティングプロセス中の運動のための必要数の自由度を可能にする、ノズル先端部の幾何学的設計にもより、この目的に好適である。
【0025】
本発明は、当然ながらエアロゾルジェットの使用に限定されるものではない。当業者は、特に導電性インクが本明細書において適用され得る、すべてのアディティブおよび/またはテンプレートフリープリンティング方法(additive and/or template-free printing method)が、本発明によって含まれることを認識する。
【0026】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、いくつかの層での適用を含む。
【0027】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、1つの同じ適用方法に属する一連または連続の独立した適用方法もしくはステップを含む。
【0028】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、付加的適用は、いわゆる付加製造(additive manufacturing)または一般の生産方法を含む、および/またはそれから成る。
【0029】
特に以下の方法が、本明細書では理解されるべきである。
・選択的レーザ溶融法(SLM)、
・選択的レーザ焼結法(SLS)、
・選択的加熱焼結法(SHS)、
・バインダジェット方式(結合剤による粉末材料の凝固)、
・電子ビーム溶融法(EBM)、
・熱溶解積層法(FDM、または熱溶融積層法(FFF))、
・アプリケーション溶着またはクラッディング(application welding or cladding)、
・WDM(Wax Deposition Modeling)、
・コンタークラフティング(Contour Crafting)、
・MPA(Metal Powder Application methods)、
・コールドガス噴射(Cold Gas Injection)、
・光造形(SLA)+マイクロSLA、
・露光のためにデジタルライトプロセッシング(DLP)を使用する方法、
・液体複合材成形(LCM)、
・薄膜積層法(LOM)、
・金属の3Dスクリーンプリンティング、および
・光制御電気泳動堆積法。
【0030】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、テンプレートを用いない適用(template-free application)を含む、またはそれである。
【0031】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、テンプレートを用いない適用は、テンプレートもマスクも使用することのない適用として理解されるべきである。
【0032】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、特にそれぞれの連続的方法においてではなく、テンプレートインクプリンティングでも、インクステンシルプリンティングでも、スクリーンプリンティングでも、フォトリソグラフィプロセスでもない。
【0033】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、接着または接着方法でも、溶着および/または蝋着でもない、もしくはそれを含まない。
【0034】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、テンプレートを用いない適用は、その後除去される必要がある任意の補助層またはベゼルの放棄と理解されるべきである。
【0035】
テンプレートを使用して適用することは、本明細書では、コーティングされてはいけないエリアの、好適な形態でのシャドウイングまたはシェーディング保護と理解され得る。かかる適用は、例えば、ベゼル(例えばスクリーンプリンティング、スプレイラッカリング等)によって、またはラッカーテンプレート(例えばウェハ、プリント回路基板等)によって行われる。
【0036】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療機器は、複数すなわち2つ以上のコンバータを備え、その各々は、その少なくとも1つの区間において、付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって硬質部に直接または間接的に適用される。
【0037】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、1つのセンサ配列または複数のセンサ配列のさらなる区間が、好ましくは同じ適用方法を使用して付加的に適用されている。
【0038】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、付加的適用方法によって適用された1つのセンサ配列または複数のセンサ配列の区間は、同じ生産ステップで適用されている。
【0039】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、付加的適用方法によって適用された区間は、少なくとも1つのコンバータに加えて、少なくとも導体、電極、多極接続デバイス、またはそれぞれそれらのいくつかを備える。
【0040】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、コンバータ(単数または複数)は、導電率、濃度、圧力、電圧、または電流を測定もしくは決定するために配置または構成される。
【0041】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、2次元または3次元的な適用をもたらし、および/または付加的適用方法によって適用されたコンバータならびに/もしくはさらなる区間は、適用方法によって2次元または3次元的に適用されている。
【0042】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つの多極接続デバイスもまた、第1の適用方法を用いて、または第1の適用方法と同時に適用されている。
【0043】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、任意選択で第1の適用方法と同様の第2の適用方法が、付加的適用方法によって適用された区間を適用するために使用されていた。
【0044】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、コンバータ(単数または複数)の、または少なくとも1つのセンサ配列のさらなる区間の区間は、例えば導電性ポリマーによる、例えば2成分プリンティングのような、スプレー方法によって適用されている。
【0045】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、コンバータは、LED(発光ダイオード)でも、OLED(有機発光ダイオード)でも、および/または光検出器でもない、もしくはそれを含まない。
【0046】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療機器は血液カセットである。それは血液処理における単回使用のために提供され得る。
【0047】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本方法はさらに、例えば他の材料のさらなる機能層の適用、絶縁、研磨、研削、機械インターフェースへの信号接続部の、例えばプリンティングによる付加的適用、マルチ接続デバイスの、例えばプリンティングによる付加的適用のような、特に導電路または電極に対する後処理ステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0048】
導電路(本明細書では信号導体とも称される)とマルチ接続デバイスの両方が、1つまたはいくつかのアディティブ・テンプレートフリープリンティング技法で平面的(すなわち2次元的)または3次元的に適用され得る。ここでも、導電路のための上述のような1つまたは複数の後処理ステップが任意選択で含まれる。
【0049】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本方法はさらに、本明細書に説明される付加的適用によって処理された医療機器の2つ以上の区間または構成要素を組み合わせることを含む。
【0050】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本発明による医療機器は、チューブ、チューブシステム、チュービングセット、血液カセット、またはそれらのそれぞれの部分である。
【0051】
本発明の意味における「医療流体」は、各医療用液体および/または各医療ガスならびに任意の組合せを含む。流体は好ましくは血液である。
【0052】
本発明による医療機器は、例えばプラスチック材料で作られた、使い捨て構成要素または使い捨て物品であり得る。
【0053】
本発明による医療機器は、射出成形プロセスによって生産され得る。
【0054】
本発明による医療機器は、液体および/またはガス接続部、半開流路および/またはチャンバを有し得る。膜またはホイルのような1つまたは複数の被覆要素が、流路およびチャンバを閉じ、および/または封止するのに役立ち得る。
【0055】
医療機器が使用される血液処理は、例えば透析法、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および同様のものであり得る。
【0056】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、医療機器は血液カセットである。かかる例における硬質部は、カセットボディまたはカセット本体またはチューブ区間である。
【0057】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、医療機器はさらに、ポンプチューブセグメントの有無にかかわらず、蠕動ポンプのためのポンプチューブセグメントのための少なくとも2つのコネクタを備える。
【0058】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、医療機器は、シングルニードル滅菌膜を有する。
【0059】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、装置は、ひずみゲージ(DMSセンサ)を備える。グラウンドの変形は、測定経路の長さの変化をもたらし、その抵抗を変化させる。代替的に、圧電特性を有する材料、例えばPVDF(ポリマー)または圧電セラミックもまたプリンティングされることができる。圧電効果の助けにより、好ましくは(迅速な)圧力変化または振動が測定されることになる。
【0060】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、処理装置は、血液処理装置、特にアフェレシス装置または透析装置、特に血液濾過装置、血液透析濾過装置、濾過装置、または体外ガス交換のための装置である。
【0061】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、処理装置は、例えばポンプもしくはバルブのようなアクチュエータ、および/またはこれらのアクチュエータを通して医療機器に対して作用するための機械的もしくは非機械的インターフェースを備える。
【0062】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、処理装置は、本発明による医療機器上に配置されるコンバータを備えない。医療機器が、例えば圧力センサをコンバータとして備える場合、機械側の圧力センサは、コンバータと後者によって測定される信号の出力との間の信号通信に何ら組み込まれず、特に医療機器に対して機械的に作用することになる圧力センサはない。
【0063】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、処理装置の多極コネクタは、それによって医療機器に電気電圧が供給される電圧ラインを備える。電気供給は、データ読出しのため、および医療機器のセンサを動作させるために使用され得る。
【0064】
本発明におけるコンバータの例は、特に以下のものを含む。
1)容量性測定のためのコンバータ:2つの導電面間に誘電体が置かれる。測定される特性は、誘電体の誘電率との相互作用を有し、コンデンサ特性によって決定され得る。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:導電率、レベル(液体の充填レベルまたは存在)、圧力、距離(近接センサ)。
2)抵抗性測定のためのコンバータ:ワイヤに対する外的影響がその抵抗に影響を及ぼす。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:温度、圧力(ひずみゲージDMS)、重さ、力、経路、コンタクト(はい、いいえ)。
3)圧電効果に基づくコンバータ:ピエゾドット(piezodot)(例えばPVDF)が、測定セルの表面上にプリンティングされる。測定原理は、圧力受信、すなわち外圧を張力に直接変換することに基づくか、または、送信における受信機として第2のピエゾドットを用いて、もしくは1つのみのピエゾドットを用いた反射に基づいて、密度測定(振幅)または超音波(空間測定(実行時間)を生成することに基づく。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:気泡検出、流れ測定、血液検出、空間測定(水中マイクロフォン、張力モニタリングのための適用されたピエゾ圧力センサを有するスクリュー参照)。
4)磁気誘導コンバータ:流れまたは導電率を測定するための既知の使い捨てMIDセンサ、―この変形例において、電極は使い捨て品に挿入されたりコーティングされたりしないが、プリンティングされる。センサの原理は、例えばWO2011/113838に説明されている。
5)光コンバータ:測定表面上に試薬がプリンティングされる。それは、外部から、または同様のプリンティングされた光エミッタ(ダイオード)によって、照射される。反射、吸収、発光、蛍光の観点で試薬の特性は、測定されるパラメータに依存する。情報は、対応する強度を検出する光検出器によって取得され得る。ここにおいて、光検出器は、好ましくは機械側に据えられ得、変換された信号は、光導体を介してマルチ接続デバイスに、およびそこから機械側に送信される。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:温度による変色、圧力、化学変化、pH、pO2、グルコール濃度(ハイドロゲルオプトロード)。
【0065】
本発明の実施形態の一部または全部は、上述または以下に言及される利点の1つまたは複数を有し得る。
【0066】
血液処理のための現代の医療システムは、通常、(いわゆる「機械側」の)血液処理装置と、それに取り付け可能な(いわゆる「機器側」の)医療機器とを備える。医療機器が使い捨て品である場合、本明細書ではいわゆる「使い捨て品側」とも称される。本発明は使い捨て品に限定されるものではないが、使い捨て医療機器も、それに限定されることなく例示的に参照される。血液処理セッションのために使用される使い捨て品は、それらが患者の血液と接触した、または接触した可能性があるので、血液処理セッション後に、衛生の理由から廃棄される。
【0067】
処理をモニタリングするために、パラメータを使い捨て物品上または医療機器上で測定する、もしくは後者に対して作用する、センサおよびアクチュエータが必要とされる。
【0068】
使い捨て品自体の機能化、すなわち使い捨て品における特定のパラメータをモニタリングするために必要なそれぞれのセンサすべての一体化は、比較的高価なセンサ構成要素が各使用後に廃棄されることになるので、これまでのところ経済的に利益にならないことが判明している。それゆえ医療血液処理のための従来の使い捨て品は、本質的に血液が通過または流れるためのチューブから成っており、通常、非常に簡易である。上述の理由から、それらは通常、センサを携えない。
【0069】
これらのセンサおよびアクチュエータは、その結果、技術水準では大部分が機械側に設けられている。そこから、それらは、複数のセンサおよび/またはアクチュエータインターフェースを介して医療機器に影響を及ぼす、またはそれと相互作用する。これらのインターフェースは一般に、形状因子または設計を決定し、先行技術の医療システムを所望の通りに小さく具現化できないという事実につながる。
【0070】
これに対して、本発明はここで初めて、医療機器および使い捨て品の機能化の、コスト効率が良く経済的な代替物を提供することを可能にする。これは、使用される血液処理システムの小型化を有利に可能にする。それらの小型化は、とりわけ、それが体外搬送および水力学に必要とされる体外血液量および動力の両方の低減に寄与するので望ましい。
【0071】
上述の欠点を有する使い捨て品に個別のセンサ構成要素を一体化することによって機能化が試された技術水準とは対照的に、本発明は、上述のように、医療機器上にセンサ構成要素を効果的に配置するための解決法を提供する。
【0072】
本発明が、機器側に配置されるすべてのセンサ構成要素が同じ生産プロセスで一体化され得る方法を提供することも有利であり、これは生産労力をさらに低減し得る。
【0073】
本発明はそれにより、本発明による機器の完全な機能化または部分的のみの機能化を可能にし、当該機器はコンバータと共に廃棄されることができるが、コンバータが機器上に位置付けられる特定の方式により著しい経済的損害はない。
【0074】
例えば、コンバータに関して、部分的な機能化とは、コンバータの中心タスク、すなわち物理的、化学的、または他のパラメータもしくは値を検出すること、およびこのパラメータを電磁的に移行可能な代用値に変換することが、医療機器自体上で、侵襲的(すなわち血液または処理液と接触する)または非侵襲的のいずれかで行われることを意味すると理解される。しかしながら、より洗練された、例えば一体化された電気的コンポーネントを必要とする、例えば、信号の処理、および解釈、ならびにさらなるステップが、機械側で実施される。しかしながら、いくつかのケースでは、信号処理の一部または全部がまた、機械側で完全に実施され得る。本発明の後者の実施形態では、完全な機能化が言及され、少なくとも1つのセンサ配列または1つのセンサが、機器に完全に付加的に適用される。ここにおいて、センサ配列またはセンサの機器側構成要素は、上述のものと同じテンプレートフリー・アディティブ生産方法を使用して本発明にしたがって適用され得る。
【0075】
本発明でも提案されているように、使い捨て品が、個別の完全なセンサを装備したときに十分に機能化され得ることも有利である。本明細書で提示されるコンバータまたはセンサの他の構成要素を適用するための方法は、これを可能にする。
【0076】
それゆえ部分的な機能化、したがって機械側での信号の後処理および評価に必要な複合電子回路の残りは、同じアディティブ・テンプレートフリープリンティング技術によって適用されるそれぞれのセンサの大抵より簡易な設計の構成要素のみが機器上に配置されるという点で有利である。
【0077】
さらに、機能化は経済的に有利であり、これは、理想としては機器側に配置されるすべてのセンサ構成要素のための同じ生産ステップにおいて、同じ生産技術を共用することによって、生産が極めてコスト効率よく行われることができるからである。
【0078】
本発明による生産方法が好ましくは、アディティブ・テンプレートフリープリンティング方法であるので、例えば新たなセンサジオメトリを有する修正版の機器が、任意選択で、ソフトウェア内の対応するデータ記録を単純にローディングまたはインストールするだけでも生産され得る。射出成形による医療機器の生産であれば必要となる、例えば射出成形型の購入のような、生産ハードウェアの変更を行う必要はない。この態様も、製造を簡易化し、コスト効率を向上させる。
【0079】
従来の(非機能化)システムに対する本発明のさらなる利点は、例えば、測定される圧力状態が、機械側に配置され使い捨てでない測定膜に空気圧ラインを介してガイドされる既知の圧力センサを有する場合のような、測定される物理的または化学的パラメータが機械側に機械的にガイドされることが必要ないということである。液体から当該膜を保護するために、トランスデューサプロテクタ(TP)と称される、複合保護膜が定期的に必要とされる。よって本発明によれば、機械へのすべての機械的インターフェースは省略され得る。測定されるすべてのパラメータは、センサシステムの一体化された部分によって少なくともアナログ電磁信号(電流、電圧、光信号)に変換され得、機械側の処理および評価ユニットにこの形態のみで送信され得る。機器側のセンサシステム全体を結合するために、1つのみの対応するマルチチャネル電磁および/または光インターフェースが必要とされ(マルチ接続デバイス)、これは後者の著しい低減を可能にする。
【0080】
さらなる利点は、処理装置のマルチ接続デバイスまたは多極接続デバイスである。これもまた、それぞれのパラメータの測定のために医療機器、例えば使い捨てカセットに対して機械的に作用する完全なセンサが処理デバイスに存在する必要がないという事実に寄与し得る。結果として、寸法が大いに低減されることができ、機械側はドッキングステーションとなり、これは、医療機器のタイプを選択すること、およびことによると処理デバイスの制御ユニットにおける対応する制御プログラムの選択によって、治療および関連する治療方法が決定されることを意味する。
【0081】
さらに、機械/患者コンタミネーション源、すなわち、先行技術では例えば滅菌膜によって守られなければならない機械での圧力測定が、排除される。
【0082】
下記に、本発明が、添付図面を参照して説明される。図面では、同一の参照番号が、同様または同一の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本発明による医療機器を用いた血液処理のための医療システムを、部分的に機能化された使い捨て品として示す。
図2】本発明の第2の例示的な実施形態による医療機器200を示す。
図3図2で説明された圧力コンバータを拡大図で示す。
図4図2で説明されたさらなる圧力コンバータを拡大図で示す。
図5】本発明による医療機器を生産するための、本発明による生産プロセスの出発生産物(starting product)を示す。
図6】本発明によるコンバータの適用後の図5の出発生産物を示す。
図7a】マルチコネクタまたは多極コネクタを示す。
図7b】マルチコネクタまたは多極コネクタを示す。
【詳細な説明】
【0084】
図1は、本発明による医療機器200(つまり機器200)を有する、本発明による血液処理装置100を非常に概略的かつ単に例示的に示す。
【0085】
機器200は、例示的に使い捨て品として設計されている。それは、アディティブ・テンプレートフリープリンティング方法によって部分的に機能化されたものである。
【0086】
本発明による血液処理装置100および機器200は、インターフェース300を介して信号通信して互いに接続される。
【0087】
機器200は、硬質部201を備える。センサ配列の複数部分、ここでは導体203およびコンバータ205が、硬質部201上に設けられる。
【0088】
コンバータ205は、例えば圧力センサであり得る。それは硬質部201上にプリンティングされることができる。使い捨て品側で、それは、測定されるパラメータ、ここでは圧力を、アナログ電気信号に変換することのみできる。
【0089】
付加的にプリンティングされた導体203を介して、電気信号は、定義されたインターフェース300に導通され、これは、評価ユニットによって取得された結果を表示するためのモニタ101によって示されている機械側の評価ユニットに接続される。
【0090】
機械側では、信号は、AD(アナログ・デジタル)コンバータまたはADコンバータ103によってデジタル化されることができる。後処理ステップ(フィルタリング、平滑化、フーリエ変換、ゼロフィリング等)が、最終評価および解釈より前に行われ得る。これらのすべての任意選択のステップが、例えば評価ユニットにおいて実行されることができる。
【0091】
図2は、本発明の第2の例示的な実施形態による医療機器200を示す。
【0092】
医療機器200は、ここでもまた、3つの異なるコンバータ207、209、および211を有する、部分的に機能化された使い捨て品である。
【0093】
導電率を測定するための導体207が、図2の左上に例示的に配置されている。簡易化された本図では、当該コンバータは、機器200の流体導通流路202の内部にある、本発明によるアディティブ・テンプレートフリープリンティング方法によって適用された2つの導電路から成る。
【0094】
他の2つのコンバータ209、211は、圧力センサの例示的な実施形態を示す。これらは、機器200の流体導通流路またはチューブ202の、内輪郭(コンバータ209参照)または外輪郭(コンバータ211参照)上にひずみゲージとして配置されることができる。
【0095】
コンバータ209、211の他に、図2は、インターフェース300に向かう導電路212を有する電磁信号ガイド、ここでは例示的に多極接続デバイス214を例示的に示す。信号ラインに向かう導体路212は、特に同じ生産ステップにおいて、同じアディティブ・テンプレートフリー方法を用いて硬質部201の平面上に適用され得る。
【0096】
しかしながら、上述の意味において、非平面(3次元)ラインがルーティングするまたは走る、もしくは(対応して絶縁された)ラインの交差もまた可能である。
【0097】
導電路212は、コンバータ201、209、211の適用のあとに続く、例えば第2の生産ステップにおいて、第2の同様のアディティブ・テンプレートフリープリンティング方法によって適用され得る。測定されるパラメータを、例えばそれ自体が導電路212によって機械インターフェース300にガイドされる電磁信号に変換するそれぞれのコンバータ207、209、211のロケーションからの信号を導通するために使用される、導電路212の全体は、導電性ポリマーの2成分射出成形によって適用される個別部分も含むことができる。
【0098】
図3および図4は、図2で説明された圧力コンバータ209および211を拡大図で示す。それらは、ただ例示的にひずみゲージとして設計される。コンバータ207、209、211が、本発明によるアディティブ・テンプレートフリープリンティング方法によって平面上に適用されるだけでなく、任意のトポロジ形状を介して3次元的にルーティングされることもできることがわかる。
【0099】
例えば、内面に付加的に適用された圧力コンバータ209の構造は、例示された機器200の半分の表面のエッジを越えて、次いで流体流路202の凹状空洞に沿って、反対側でも同様に再び表面のエッジを越えて延在している。
【0100】
外面に適用された圧力コンバータ211は、流体導通流路またはチューブ202の円筒表面トポロジを辿る。この上部平面だけでなく、電極、導電路等を有する任意の3次元トポロジもコーティングする可能性は、本発明によるアディティブ・テンプレートフリープリンティング方法で使用される技法にさらなる利点を与える。
【0101】
機械側へのインターフェース300において、すべての信号が機器側からコンバータ207、209、211によって送信されるのに役立つマルチコネクタ214も、本発明によるアディティブ・テンプレートフリープリンティング技法によって適用され得る。
【0102】
図5は、本発明による部分的に機能化された使い捨て品を生産するための、本発明による生産プロセスの出発生産物を示す。
【0103】
それは、射出成形によって生産された硬質部201であり得る。さらに図5は、部分的に硬質部201によって形成された流体通路202を示す。
【0104】
硬質部201は、まだコンバータを備えていない。後者は、この後の適用方法で適用される。この適用の結果が図6に示される。
【0105】
図6は、流体通路202の凹状輪郭を部分的に通る、2つの導電路215および接触部217を有するコンバータ213の付加的適用後の図5の硬質部201を示す。
【0106】
ここに図示されていない本発明による生産方法のさらなるステップは、他の材料のさらなる機能層の適用、絶縁、研磨、研削等のような、電極に対するさらなる後処理ステップを含み得る。
【0107】
最後に、機械インターフェースへの信号接続部のプリンティング、およびマルチコネクタのプリンティングが行われ得る。導電路およびマルチ接続デバイスの両方が、本発明によるアディティブ・テンプレートフリープリンティング技法の1つまたは複数を使用して平面または3次元的に適用され得る。ここでも、電極のための前述のような1つまたは複数の後処理ステップが考えられる。
【0108】
さらに、このようにして用意された使い捨て品の2つ以上の部分が組み合わされ得、その個別部分のみがまた、本発明による(部分的)機能化の構成要素を含み得る。例えば、流体通路のエリアにおいて組み合わされる使い捨て品の2つの半分が、円形断面を有する閉じた流路をもたらし得る。さらに、他の流路ジオメトリおよび断面形態も考えられる。使い捨て品の第2の半分は、すべての必要な凹部が第1の半分上に配置されるように単に平板状のカバーでもあり得る。
【0109】
第2の半分は膜でもあり得る。使い捨て品の第2の半分に代えて、第1の半分の表面の封止または絶縁も、1つまたは複数の追加の層によって適用され得る。これらの層はプリンティングされ得る。それらも別の既知の方法によって生産され、次いで適用され得る。代替的に、絶縁または封止も、プリンティングされた硬質部の押出コーティングによるさらなる射出成形ステップで適用され得る。
【0110】
図7aは、図7bも同様に、異なる視点からの、図2で説明されている、上記多極コネクタ214またはマルチ接続デバイスを示す。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
それぞれ、少なくとも、
・硬質部を通じて、医療流体、特に血液を導通するための流体通路を有する1つの硬質部と、
・1つのコンバータと、ここにおいて、前記コンバータは、前記医療流体の特徴を、それが前記流体通路のうちの1つに存在する間に測定するために配置される、
を有し、
前記コンバータが、その少なくとも一区間において、少なくとも1つの付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって、前記硬質部に適用される、または重ね合わされる
ことを特徴とする、医療機器。
[C2]
前記適用方法は、導電インクを適用することを含む、C1に記載の機器。
[C3]
前記少なくとも1つの適用方法は、テンプレートを用いない適用を含む、C1または2に記載の機器。
[C4]
前記医療機器は、複数のコンバータを備え、その各々は、その少なくとも一区間において、付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって前記硬質部に適用される、C1~3のいずれか一項に記載の機器。
[C5]
前記コンバータを含む1つのセンサ配列またはさらなるセンサ配列のさらなる区間は、同じ適用方法を使用する付加的適用方法によって適用されている、C1~4のいずれか一項に記載の機器。
[C6]
前記付加的適用方法によって適用された前記コンバータおよび/または関連する前記センサ配列の前記さらなる区間は、同じ生産ステップで適用されている、C3または4に記載の機器。
[C7]
前記付加的適用方法によって適用される前記区間は、追加的に少なくとも1つのコンバータ、少なくとも1つの導体、または1つの多極接続デバイス、またはそれぞれ複数のそれらを備える、C1~6のいずれか一項に記載の機器。
[C8]
前記コンバータ(単数または複数)は、導電率、圧力、張力、または電流を測定もしくは決定するように構成または設計されている、C1~7のいずれか一項に記載の機器。
[C9]
前記適用方法は、2次元または3次元的な適用をもたらし、および/または前記付加的適用方法によって適用された前記コンバータならびに/もしくは前記さらなる区間は、前記適用方法によって2次元または3次元的に適用されている、C1~8のいずれか一項に記載の機器。
[C10]
多極接続デバイスもまた、前記第1の適用方法を用いて適用されている、C1~9のいずれか一項に記載の機器。
[C11]
少なくとも第2の適用方法は、付加的適用方法によって適用された前記区間を適用するために使用されている、C1~10のいずれか一項に記載の機器。
[C12]
前記コンバータ(単数または複数)の、および/または前記さらなる区間の区間は、射出成形、例えば2成分射出成形によって適用されており、1つの成分は導電性ポリマーを備える、C1~11のいずれか一項に記載の機器。
[C13]
前記医療機器は血液カセットである、C1~12のいずれか一項に記載の機器。
[C14]
C1~13のいずれか一項に記載の医療機器を生産するための方法であって、
・医療流体のための流体システムを有する前記医療機器の硬質部を提供すること
を行うステップを有し、
・付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって、前記硬質部に、少なくとも1つのコンバータを、その少なくとも1つの区間において適用すること
を行うステップによって特徴付けられる、方法。
[C15]
・例えば他の材料のさらなる機能層の適用、絶縁、研磨、研削のような、特に導電路に対して達成される、後処理ステップと、
・前記機械インターフェースへの前記信号接続の、例えばプリンティングによる付加的適用と、
・前記マルチコネクタの、例えばプリンティングによる付加的適用と、
・付加的適用によって処理された前記医療機器の2つ以上の区間を組み合わせることと を行うステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、C14に記載の方法。
[C16]
C1~13のいずれか一項に記載の医療機器の多極接続デバイスに接続された、またはそれに接続するための多極コネクタによって特徴付けられる、処理装置。
[C17]
前記多極接続デバイスは、ADコンバータとして設計されている、C16に記載の処理装置。
[C18]
血液処理装置、特にアフェレシス装置または透析装置、特に血液濾過装置、血液透析濾過装置、濾過装置、または体外ガス交換のための装置である、C16または17に記載の処理デバイス。
【符号の説明】
【0111】
100…血液処理装置
101…モニタ
103…ADコンバータ
200…医療機器の一例としての血液カセット
201…カセットボディまたはカセット本体、硬質部、硬質体、基体
202…流体通路、流路、流れ流路
203…導電路または信号導体
205…コンバータ
207…コンバータ
209…コンバータ
211…導体としてのDMS要素
212…導体または信号導体
213…コンバータ
214…多極接続デバイス、多極コネクタ
215…導電路
217…接触部
300…インターフェース、機械インターフェース

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b