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特許7566871位置検出センサ及び位置検出センサの製法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】位置検出センサ及び位置検出センサの製法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20241007BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20241007BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G06F3/041 420
G06F3/046 B
G06F3/041 660
H05K1/16 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022505794
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2021000434
(87)【国際公開番号】W WO2021181855
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2020042749
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】松本 義治
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-253840(JP,A)
【文献】特開2016-29519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0136762(US,A1)
【文献】国際公開第2016/194543(WO,A1)
【文献】特開2016-194580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/046
H05K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一面に、導線が絶縁被覆された線材からなる複数の電極導体のそれぞれが所定の導体パターンとなるようにされたセンサパターン部が、接着材により被着されて構成される位置検出センサであって、
前記センサパターン部は、前記線材が所定回数巻回されて構成されるループコイルが、第1の方向に所定間隔で複数個配列されてなる第1のループコイル群と、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定間隔で複数個配列されてなる第2のループコイル群とで構成され、
前記第1のループコイル群のループコイルと、前記第2のループコイル群のループコイルとは、1~複数個毎に、交互に重ねられて配設されて、前記接着材により前記基材に被着されている
ことを特徴とする位置検出センサ。
【請求項2】
前記第1のループコイル群及び前記第2のループコイル群のそれぞれの1個ずつのループコイルが交互に重ねられて配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項3】
前記第1のループコイル群の隣り合う複数のループコイルずつと、前記第2のループコイル群の隣り合う複数のループコイルずつとが、交互に重ねられて配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項4】
前記第1のループコイル群の複数のループコイルずつと、前記第2のループコイル群の複数のループコイルずつとが、交互に重ねられて配設されている場合に、前記複数のループコイルは、前記第1のループコイル群と前記第2のループコイル群とで同数である
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項5】
前記第1のループコイル群の1~複数のループコイルずつと、前記第2のループコイル群の1~複数のループコイルずつとが、交互に重ねられて配設されている場合に、前記1~複数のループコイルは、前記第1のループコイル群と前記第2のループコイル群とで異なっている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項6】
前記第1のループコイル群のループコイル及び前記第2のループコイル群のループコイルは、それぞれ互いの重なりを許容された状態で配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項7】
前記第1のループコイル群の前記複数のループコイルは、前記第1の方向の一端側から他端側に向かって、前記1~複数のループコイル毎に、順次に重ねられて配列されていると共に、
前記第2のループコイル群の前記複数のループコイルは、前記第2の方向の一端側から他端側に向かって、前記1~複数のループコイル毎に、順次に重ねられて配列されている
ことを特徴とする請求項6に記載の位置検出センサ。
【請求項8】
前記センサパターン部は、接着材を介して被着された保護シートにより覆われている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項9】
基材の一面に、導線が絶縁被覆された線材が所定回数巻回されて構成されるループコイルが、第1の方向に所定間隔で複数個配列されてなる第1のループコイル群と、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定間隔で複数個配列されてなる第2のループコイル群とで構成されたセンサパターン部が、接着材により被着されて構成される位置検出センサの製法であって、
前記第1のループコイル群の内の1~複数個のループコイルを形成する第1の工程と、
前記第2のループコイル群の内の1~複数個のループコイルを形成する第2の工程と、
前記第1の工程と前記第2の工程とを交互に繰り返して、前記センサパターン部を形成する第3の工程と、
前記基材の前記一面側を、前記接着材を介して、前記第3の工程で形成された前記センサパターン部に対して押し付けて、前記基材に前記センサパターン部を被着させる第4の工程と、
を有する位置検出センサの製法。
【請求項10】
前記第1の工程及び前記第2の工程は、ガイドピンが配設されたピン取付板上において、前記線材を所定回数巻回して前記ループコイルを前記ガイドピンを用いて形成し、
前記第4の工程では、前記基材に前記センサパターン部を被着させた後に、前記センサパターン部が被着された前記基材を、前記ピン取付板から離間させるようにする
ことを特徴とする請求項9に記載の位置検出センサの製法。
【請求項11】
前記第4の工程の前または後に、保護シートを、前記センサパターン部の前記基材側とは反対側に接合する第5の工程を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の位置検出センサの製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁誘導方式の位置検出センサ及び当該位置検出センサの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導方式の位置検出用センサは、絶縁材料からなる基板上に、ループコイルの複数個が、X軸方向及びY軸方向に、所定間隔で配置されて構成される。この基板上へのループコイルの形成方法としては、従来から、ワイヤー布線方式と、エッチング方法とが知られている。
【0003】
そのうちのワイヤー布線方式においては、例えば特許文献1(WO2016/194543号公報)に記載されているように、X軸方向及びY軸方向に並ぶ複数個の布線用ピンを直立させたピンテーブルを用い、布線用ピン間に絶縁被覆された導線からなる線材を順次引っ掛け、折り返すことで、X軸方向ループコイル及びY軸方向ループコイルのパターンを布線することにより、直交布線網として、複数のX軸方向ループコイルからなるX軸方向ループコイル群と、複数のY軸方向ループコイルからなるY軸方向ループコイル群とからなるセンサパターン部を形成する。X軸方向ループコイル及びY軸方向ループコイルは、Y軸方向及びX軸方向を長辺とする矩形のループコイルとして形成される。
【0004】
この場合に、ピンテーブルを用いた直交布線網としてのセンサパターン部は、ピンテーブル上に例えば両面テープからなる接着材層を形成した後、従来は、X軸方向ループコイル群又はY軸方向ループコイル群の一方の群のループコイルの全てを布線した後、他方の群のループコイルの全てを布線するようにして形成している。そして、形成したセンサパターン部の上に接着材(例えば両面テープ)を介して絶縁材料からなる基板を被着させて、ピンテーブルから抜き取り、その後、センサパターン部の上に保護シートを接着材を介して被着して位置検出センサを生成する。
【0005】
このワイヤー布線方式は、
・製造コストが安価であるため、大型の位置検出用センサに好適である、
・センサ形状の自由度が高い、
・絶縁被覆された導線からなる線材を用いているために、線材を跨いで当該線材を引き回すことが可能であるので、ループコイルの重なりを許容した狭ピッチのセンサパターン部を形成できる、
・ループコイルの一端と他端と接続するリード線(以下、給電線という)を基板の周辺に配置する場合に、線材を跨いで当該線材を引き回すことが可能であることと、線材の間に絶縁のための空間を設ける必要がないために無効エリアを少なくすることができる、
などの長所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2016/194543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のワイヤー布線方式では、形成された位置検出センサにおいて、センサパターン部を構成するX軸方向ループコイル群又はY軸方向ループコイル群の内の、布線の順番が後の方のループコイル群に、配線の歪みが集中して発生し、このため、位置検出センサにおける位置検出精度が悪化してしまっているという問題が生じることが判明した。そして、この位置検出精度の悪化は、高精度で位置検出を行えるようにするために、ループコイルを狭ピッチで高密度で配設する場合に、より顕著に生じることが判明した。
【0008】
以下に、この問題が生じる理由について、考察する。
【0009】
ループコイルは、ピンテーブル上で、線材がテンションをかけられた状態で、布線用ピンに引っ掛けられ、折り曲げられて、矩形のループコイルとして形成される。この場合に、Y軸方向ループコイル及びX軸方向ループコイルの例えば矩形のそれぞれの長辺は、位置検出センサの矩形のセンサ領域(位置検出領域)のX軸方向の一端から他端及びY軸方向の一端から他端、のそれぞれに亘る比較的長い長さととなる。
【0010】
ここで、例えばX軸方向ループコイル群の全てのループコイルを布線した後、Y軸方向ループコイルの全てのループコイルを布線するようにした場合、初めに布線するX軸方向ループコイルは、その一部が他のX軸方向ループコイルと重なるとしても、少なくともその長辺部分の大部分は、ピンテーブル上の接着材上に直接的に被着されるので、センサ領域の中央部も含めて、接着材によりしっかりと固定される。
【0011】
一方、後から布線するY軸方向ループコイルは、既に形成されているX軸方向ループコイル群上に配置されるため、その長辺部分は、既にセンサ領域上に存在しているX軸方向ループコイル群の複数本の線材と交差して重なる状態となり、接着材により固定されない部分が、位置検出センサの矩形のセンサ領域の中央部において多数存在することになる。このため、後から布線するY軸方向ループコイルの長辺部分の接着材による接着の固定強度が弱くなってしまう。
【0012】
Y軸方向ループコイルにおいて、X軸方向ループコイル群の複数本の線材と交差して重なる状態となって、接着材により固定されない部分は、ループコイルを狭ピッチで高密度で配設される位置検出精度が高精度の位置検出センサの場合ほど、多くなる。よって、位置検出センサが高精度になるほど、後から布線するY軸方向ループコイルの長辺部分の接着材による接着の固定強度が弱くなってしまう。
【0013】
そして、センサ領域の中央部に位置する、このY軸方向ループコイルの長辺部分は、布線用ピンの間の部分であり、線材が布線用ピンに引っ掛けられ、テンションをかけられた状態とされたとしても、固定強度が弱い場合には、容易に位置ずれを起こす部分である。
【0014】
そのため、X軸方向ループコイル群が形成され、その上にY軸方向ループコイル群が形成されて生成されたセンサパターン部のY軸方向ループコイル上に接着材を介して基材を被着した場合に、接着の固定強度の弱いY軸方向ループコイルの長辺部分の位置が、本来の配線位置からずれてしまう配線の歪みが生じる。このため、位置検出センサにおける位置検出精度が悪化してしまう。
【0015】
そして、上述の説明から明らかなように、センサパターン部の配線の歪みは、位置検出センサが高精度になればなるほど大きくなってしまい、高精度の位置検出センサを得るこことができない恐れがあった。
【0016】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした位置検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、
基材の一面に、導線が絶縁被覆された線材からなる複数の電極導体のそれぞれが所定の導体パターンとなるようにされたセンサパターン部が、接着材により被着されて構成される位置検出センサであって、
前記センサパターン部は、前記線材が所定回数巻回されて構成されるループコイルが、第1の方向に所定間隔で複数個配列されてなる第1のループコイル群と、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定間隔で複数個配列されてなる第2のループコイル群とで構成され、
前記第1のループコイル群のループコイルと、前記第2のループコイル群のループコイルとは、1~複数個毎に、交互に重ねられて配設されて、前記接着材により前記基材に被着されている
ことを特徴とする位置検出センサを提供する。
【0018】
上述の構成の位置検出センサにおいては、第1のループコイル群のループコイルと、第2のループコイル群のループコイルとは、1~複数個毎に、交互に重ねられて配設されて、接着材により基材に被着されている。
【0019】
したがって、第1のループコイル群のループコイルと、第2のループコイル群のループコイルとは、安定して均一に接着材に接着されながら、配設されることになる。これにより、上述の構成の位置検出センサによれば、第1のループコイル群又は第2のループコイル群の一方に配線の歪みが集中することを回避できるだけでなく、第1のループコイル群及び第2のループコイル群を、安定して歪みの少ない状態で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明による位置検出センサの実施形態の構成例を説明するための図である。
図2】この発明による位置検出センサの実施形態の要部の構成例を説明するための図である。
図3】この発明による位置検出センサに接続される位置検出回路の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による位置検出センサの実施形態を製造する製造装置の一例を説明するための図である。
図5】この発明による位置検出センサの製法の実施形態を説明するために用いる図である。
図6】この発明による位置検出センサの製法の実施形態の流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
図7】この発明による位置検出センサの製法の実施形態を説明するために用いる図である。
図8】この発明による位置検出センサの製法の第1の実施形態を説明するために用いる図である。
図9】この発明による位置検出センサの実施形態の要部の他の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明による位置検出センサの実施形態及びその製法の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0022】
[位置検出センサの実施形態]
図1は、この実施形態の位置検出センサ1の構成を説明するための図であり、図1(A)は、位置検出センサ1のセンサパターン部が形成されている面を、当該面に直交する方向から見た図であり、図1(B)は、位置検出センサ1の断面の構成の概念図である。
【0023】
この実施形態の位置検出センサ1においては、図1(A)及び(B)に示すように、絶縁性材料、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)からなる矩形のシート状あるいはフィルム状の基材(基板)11の一面11a上に、接着材12Sにより複数個の電極導体としての複数個のループコイルからなるセンサパターン部13が被着されて配設されている。そして、絶縁性材料、例えばPETからなる矩形の保護シート14が、センサパターン部13の全体を覆うように、接着材12Pにより被着されて配設されている。
【0024】
そして、基材11の一面11aとは反対側の面の全体を覆うように、電磁シールド層の例としてのメタルシート15が、接着材12Mにより被着される。メタルシート15は、この例では、アルミニウムとアモルファスシートとで構成される。メタルシート15のアモルファスシートは、センサパターン部13から放射される電磁波の、基材11の一面11aとは反対側の外部への放出を防ぐと共に、アルミニウムシートは、基材11の一面11aとは反対側の外部からのノイズのセンサパターン部13への混入を防止する役割をする。なお、メタルシート15は、基材11の一面11aとは反対側の面の全体を覆うようにするのではなく、基材11の一面11aとは反対側の面のうちの、センサパターン部13の領域の裏側の領域のみを覆うように被着してもよい。
【0025】
また、基材11の一面11a上には、図1(B)に示すように、センサパターン部13が配設されている領域とは重ならない端縁部の領域において、接着材12Tを介して端子部16が被着されている。この端子部16は、絶縁性材料、例えばPETで構成されたシート状あるいはフィルム状基板の上に、センサパターン部13の複数個の電極導体のそれぞれとの電気的な接続用の端子導体17が、例えば銅箔パターンが印刷などにより形成された構成とされている。この実施形態では、端子部16の上部は、保護シート14には覆われていない。
【0026】
センサパターン部13は、図1(A)に示すように、複数個の電極導体の例としての複数個のループコイルからなるが、この例では、複数個のループコイルは、複数個のX軸方向ループコイル13Xと、複数個のY軸方向ループコイル13Yとで構成されている。
【0027】
X軸方向ループコイル13Xは、基材11の縦方向(例えば位置座標のY軸方向)を長辺方向とした矩形のループコイルで構成され、このX軸方向ループコイル13Xの複数個が、基材11の横方向(例えば位置座標のX軸方向)に、所定間隔で並べられて配設されている。また、Y軸方向ループコイル13Yは、基材11の横方向(位置座標のX軸方向)を長辺方向とした矩形のループコイルで構成され、このY軸方向ループコイル13Yが、基材11の縦方向(位置座標のY軸方向)に、所定間隔で並べられて配設されている。
【0028】
センサパターン部13を構成する複数個のX軸方向ループコイル13X及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれは、この実施形態では、絶縁被覆された導線からなる線材18によって、互いの重なりを許容して、基材11の一面11a上に配設されている。この場合に、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれは、図1(A)に示すように、この実施形態では、基材11の一面11a上の予め定められた位置に、予め定められたパターン、この例では、矩形のループコイルパターンとなるようにして配設されている。
【0029】
この場合に、この実施形態では、X軸方向ループコイル13Xは、この例では、矩形の基材11の図1における左方端縁側から右方端縁側に向かって、X軸方向に順次に、互いの重なりを許容しながら配設されている。また、Y軸方向ループコイル13Yは、この例では、矩形の基材11の図1における上方端縁側から下方端縁側に向かって、Y軸方向に順次に、互いの重なりを許容しながら配設されている。X軸方向ループコイル13Xのそれぞれ及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれは、重ならずに配設するようにしても勿論良い。
【0030】
この場合に、センサパターン部13の形成に際し、X軸方向ループコイル13Xと、Y軸方向ループコイル13Yのいずれから形成を始めてもよいが、以下の例では、先にX軸方向ループコイル13Xを形成するようにする場合として説明する。
【0031】
この実施形態では、図2(A)に示すように、1個のX軸方向ループコイル13Xが形成された後には、図2(B)に示すように、1個のY軸方向ループコイル13Yが形成され、その次には、図2(C)に示すように、次の1個のX軸方向ループコイル13Xが形成され、さらにその次には、図2(D)に示すように、1個のY軸方向ループコイル13Yが形成され、・・・というように、X軸方向ループコイル13XとY軸方向ループコイル13Yとが、1個毎に交互に形成されるようにして、配設されている。
【0032】
このとき、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部13XE及び13YEは、基材11の一面11a上の予め定められた位置となるようにされるが、当該両端部13XE及び13YEのそれぞれは、図1に示すように、保護シート14からはみ出して、端子部16の、両端部13XE及び13YEが接続されるべきものとして予め定められた、対応する端子導体17上に丁度位置する状態となるように位置合わせされている。X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部13XE及び13YEは、絶縁被覆が剥離されて導線が露出されている状態とされており、当該露出されている導線が、図1(A)に示すように、端子部16の端子導体17上に位置するようにされている。
【0033】
そして、図示は省略するが、端子部16の端子導体17のそれぞれと、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部13XE及び13YEとが、例えば半田付けされて電気的に接続されている。例えば、端子部16の端子導体17のそれぞれには予め半田が盛られており、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部13XE及び13YEが位置している端子部16の端子導体17のそれぞれの半田部分を加熱することで、端子部16の端子導体17のそれぞれと、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yの両端部13XE及び13YEとが半田付けされる。
【0034】
以上のように、この実施形態の位置検出センサ1は、線材18を用いて、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yからなるセンサパターン部13を形成し、このセンサパターン部13を基材11に対して接着材12Sにより固着する。そして、センサパターン部13の基材11とは反対側は、接着材12Pにより保護シート14を固着する。したがって、低コストで位置検出センサ1を製造することが可能となる。
【0035】
上述の実施形態の位置検出センサ1においては、基材11の一面11a上に、予め端子導体17が形成されている端子部16が形成されている。そして、基材11の端子部16とは重複しない領域に配設されたX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yの両端部13XE及び13YEの被覆が剥離されて導線部分が露出され、その露出されている両端部13XE及び13YEの導線部分が、端子部16の端子導体17の対応するものと接続可能となるように位置合わせされて配設されている。
【0036】
したがって、端子部16の端子導体17と、センサパターン部13のX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの露出している導線からなる両端部13XE及び13YEを、半田付けにより、端子部16の対応する端子導体17のそれぞれに容易に電気的に接続することができる。
【0037】
以上のようにして、上述の実施形態の位置検出センサ1は、絶縁被覆された導線からなる線材18を用いて電極導体としてのループコイルが構成されていて、安価で簡単な構成の位置検出センサを提供することができると共に、位置検出センサ1と外部回路との接続は、端子部16を用いることで、非常に容易になる。
【0038】
そして、センサパターン部13においては、X軸方向ループコイル13XとY軸方向ループコイル13Yとが、1個毎に交互に形成されるようにして、配設されているので、X軸方向ループコイル13Xと、Y軸方向ループコイル13Yとは、安定して均一に接着材に接着されながら、配設されることになる。これにより、位置検出センサ1においては、X軸方向ループコイル群又はY軸方向ループコイル群の一方に配線の歪みが集中することを回避して、X軸方向ループコイル群及びY軸方向ループコイル群を、安定して歪みの少ない状態で形成することができる。
【0039】
[実施形態の位置検出センサを用いた位置検出回路について]
次に、上述の実施形態の位置検出センサ1を用いて、ペン型の位置指示器により指示された位置を検出する電磁誘導方式の位置検出回路200の構成例を、図3を用いて説明する。なお、この実施形態の位置検出センサ1と共に使用する、ペン型の位置指示器3は、図3に示すように、コイル31と、このコイル31に並列に接続されるコンデンサ32とから構成される共振回路を内蔵している。
【0040】
この場合、図3の例においては、X軸方向ループコイル13Xは、X軸方向に配列されたn(nは2以上の整数)本の矩形のループコイル13X1~13Xnからなっており,また、Y軸方向のループコイル13Yは、Y軸方向に配列されたm(mは2以上の整数)本のループコイル13Y1~13Ymからなっている。この位置検出センサ1においては、複数個のX軸方向ループコイル13Xと、複数個のY軸方向のループコイル13Yとにより、位置検出エリアが構成される。
【0041】
位置検出センサ1は、端子部16を介して、位置検出回路200に接続される。図3の例においては、位置検出回路200は、選択回路201と、発振器202と、電流ドライバ203と、送受信切替回路204と、受信アンプ205と、指示位置検出回路206と、処理制御部207とを備えて構成されている。
【0042】
選択回路201は、複数のX軸方向ループコイル13X及び複数のY軸方向のループコイル13Yのうちの一のループコイルを順次選択して、当該選択されたループコイルにより、位置指示器3に対して信号を送信させると共に、位置指示器3から帰還される信号を受信させる。
【0043】
選択回路201に対しては、処理制御部207により切替制御される送受信切替回路204が接続される。この送受信切替回路204が送信側端子Tに接続されるときには、発振器202から交流信号が選択回路201に供給され、受信側端子Rに接続されるときには、選択回路201からの信号が、受信アンプ205を通じて指示位置検出回路206に供給される。
【0044】
指示位置検出回路206は、位置検出センサ1のループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をディジタル信号に変換し、処理制御部207に出力する。処理制御部207は、指示位置検出回路206からのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器3のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0045】
[実施形態の位置検出センサ1の製法の実施形態]
次に、図1に示した構成の位置検出センサ1の製法の実施形態について説明する。
【0046】
<位置検出センサの製法の実施形態>
図4及び図5は、位置検出センサ1の製法の実施形態を説明するための図である。図4は、この実施形態の製法を実行する位置検出センサの製造装置の構成例を示す図である。この例の位置検出センサの製造装置は、配線供給ユニット100と、前処理ユニット110と、配線ユニット120とからなる。
【0047】
配線ユニット120は、位置検出センサ1を形成するための作業台121と、当該作業台121上に設けられる2軸移動配線装置122とからなる。2軸移動配線装置122は、位置検出センサ1のX軸方向(図4の矢印Axの方向参照)に摺動移動する移動橋1221と、位置検出センサ1のY軸方向(図4の矢印方向Ayの方向参照)に摺動移動する配線ノズル機構1222とを備える。
【0048】
移動橋1221は、2本の脚部1221a及び1221bと、この2本の2本の脚部1221a及び1221bの間を、位置検出センサ1をそのY軸方向に沿う方向に跨いで橋絡する橋絡部1221cとを備える。移動橋1221の2本の脚部1221a及び1221bは、作業台121において、X軸方向に設けられている2本のレール121a及び121bのそれぞれの上に載置されており、移動橋1221は、橋絡部1221cがY軸方向に平行な状態を維持した状態で、この2本のレール121a及び121bに案内されてX軸方向に摺動移動する。
【0049】
配線ノズル機構1222は、移動橋1221の橋絡部1221cに対して、その橋絡方向(位置検出センサ1のY軸方向(図4の矢印方向Ayの方向参照))に移動可能に取り付けられている。配線ノズル機構1222の、作業台121の面との対向部には、配線ノズル1222aが取り付けられている。配線ノズル1222aは、前処理ユニット110によって前処理がなされた被覆導線を、その射出口から外部に繰り出す。
【0050】
以上の構成により、配線ノズル1222aは、2軸移動配線装置122における移動橋1221のX軸方向の摺動移動と、配線ノズル機構1222のY軸方向の摺動移動とにより、作業台121の2次元平面上において、任意の方向に移動することが可能となる。
【0051】
2軸移動配線装置122は、図4では図示を省略した移動制御部を備え、この移動制御部により、移動橋1221のX軸方向の摺動移動と、配線ノズル機構1222のY軸方向の摺動移動とが制御されるように構成されている。そして、この実施形態では、移動制御部は、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれと、複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれとを配設するように配線ノズル1222aを移動させる移動軌跡の情報を予め記憶している。
【0052】
2軸移動配線装置122の移動制御部は、その記憶している情報に基づいて、移動橋1221のX軸方向の摺動移動と、配線ノズル機構1222のY軸方向の摺動移動とを制御して、配線ノズル1222aを、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれと、複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれとを配設するように移動制御する。
【0053】
配線ユニット120の作業台121には、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yを、線材18によりループコイルパターンとして形成するようにガイドするためのガイドピンが配設されているピンテーブル123が設けられている。
【0054】
図5は、このピンテーブル123の構成例を説明するための図である。図5の上方に示すように、ピンテーブル123は、ガイドピン取付板1231と、中間板1232と、剥離シート1233とからなる。そして、ピンテーブル123は、これらガイドピン取付板1231と、中間板1232と、剥離シート1233とが図5の下方に示すように、結合されて構成される。なお、図5の下方のピンテーブル123の図は、図5の上方の図において、点線で囲んで示す領域の対応する領域の拡大図である。
【0055】
ガイドピン取付板1231には、配線ノズル1222aから排出される線材18によって、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれ及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれを形成するように案内するための多数個のガイドピン124が取り付けられている。図5においては、ガイドピン124は、説明のために、ガイドピン取付板1231の端部にのみ取り付けられているように示されているが、実際上は、少なくとも、複数個のX軸方向ループコイル13Xのそれぞれ及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれを屈曲させるポイント位置のそれぞれに設けられている。
【0056】
中間板1232は、ガイドピン取付板1231と、剥離シート1233との間に設けられるもので、図5に示すように、ガイドピン取付板1231に設けられているガイドピン124のそれぞれと対応する位置には、透孔125が形成されている。
【0057】
剥離シート1233は、この例では両面テープで構成され、ガイドピン取付板1231と被着された中間板1232の上に設けられた後、露出している中間板1232側とは反対側の剥離紙が除去されることで構成されている。したがって、剥離シート1233の露出している中間板1232側とは反対側は、接着材(図1における接着材12Pとなる)が露出している。このとき、ガイドピン124は剥離シート1233を突き刺すようになり、かつ、ガイドピン124の先端が剥離シート1233上に突出している状態となる。なお、ガイドピン124の先端は、この例では、針状に尖らせておくものである。
【0058】
以上のようにして、ガイドピン取付板1231と、中間板1232と、剥離シート1233とが、図5の下方に示すように結合されて、多数個のガイドピン124が所定の位置に植立されているピンテーブル123が構成される。
【0059】
そして、このピンテーブル123の剥離シート1233の露出している接着材12P上に、配線ノズル機構1222の配線ノズル1222aから繰り出される被覆導線によって、複数個のX軸方向ループコイル13X及び複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれが、所定のループコイルパターンとして形成されて、センサパターン部13が形成される。なお、剥離シート1233の中間板1232側には剥離紙が貼りつけられたままとなっているので、形成されたセンサパターン部13を、ピンテーブル123から容易に引き剥がすことができる。
【0060】
以上のような構成を備える位置検出センサの製造装置を用いて、位置検出センサ1が、以下に説明するような手順で製造される。なお、図4の位置検出センサの製造装置は、図示を省略したシーケンス制御部により、配線供給ユニット100、前処理ユニット110、配線ユニット120のそれぞれの動作をシーケンス制御することで、位置検出センサ1の製造を実行する。
【0061】
図6は、この実施形態の位置検出センサ1の製法の第1の実施形態の工程の流れを説明するためのフローチャートであり、この図6を参照しながら、この実施形態の位置検出センサの製法を説明する。なお、以下の各ステップの処理は、位置検出センサの製造装置のシーケンス制御部の制御により実行される。
【0062】
先ず、シーケンス制御部は、配線供給ユニット100、前処理ユニット110、配線ユニット120のそれぞれにX軸方向ループコイル13Xの生成指示をして、配線供給ユニット100から、線材18を前処理ユニット110に繰り出させる(ステップS101)。線材18の供給を受けた前処理ユニット110では、配線供給ユニット100からの線材18を、X軸方向ループコイル13Xに合わせた長さに切断すると共に、その線材18の両端部の被覆を剥離して導線を露出させる前処理を行い、その前処理を行った線材18を、配線ユニット120の配線ノズル機構1222に送る(ステップS102)。
【0063】
配線ユニット120は、2軸移動配線装置122の移動制御部により、配線ノズル機構1222の配線ノズル1222aを移動制御することにより、ピンテーブル123上で、線材18をガイドピンに引っ掛けながら、X軸方向ループコイル13Xを形成するようにする(ステップS103。図2(A)参照)。この場合に、X軸方向ループコイル13Xの、線材18の導線を露出させた両端部13XEは、図7に示すように、ピンテーブル123から、X軸方向に突出するようにされている。そして、この両端部13XEの位置は、ガイドピン124に案内されて線材18が配設されることで、前述の図1の説明で示したように、端子部16の対応する端子導体17の上に位置するように、位置合わせされた状態とされる。
【0064】
この1個のX軸方向ループコイル13Xの形成が終了したら、シーケンス制御部は、配線供給ユニット100、前処理ユニット110、配線ユニット120のそれぞれにY軸方向ループコイル13Yの生成指示をして、配線供給ユニット100から、線材18を前処理ユニット110に繰り出させる(ステップS104)。線材18の供給を受けた前処理ユニット110では、配線供給ユニット100からの線材18を、Y軸方向ループコイル13Yに合わせた長さに切断すると共に、その線材18の両端部の被覆を剥離して導線を露出させる前処理を行い、その前処理を行った線材18を、配線ユニット120の配線ノズル機構1222に送る(ステップS105)。
【0065】
配線ユニット120は、2軸移動配線装置122の移動制御部により、配線ノズル機構1222の配線ノズル1222aを移動制御することにより、ピンテーブル123上で、線材18をガイドピンに引っ掛けながら、Y軸方向ループコイル13Yを形成するようにする(ステップS106。図2(B)参照)。この場合に、Y軸方向ループコイル13Yの、線材18の導線を露出させた両端部13YEは、図7に示すように、ピンテーブル123から、Y軸方向に突出するようにされている。そして、この両端部13YEの位置は、ガイドピン124に案内されて線材18が配設されることで、前述の図1の説明で示したように、端子部16の対応する端子導体17の上に位置するように、位置合わせされた状態とされる。
【0066】
1個ずつのX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yの形成が終了したら、シーケンス制御部は、ピンテーブル123上において、全てのX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yの形成を終了して、センサパターン部13が完成したか否か判別する(ステップS107)。
【0067】
このステップS107で、センサパターン部13が完成してはいないと判別したときには、シーケンス制御部は、処理をステップS101に戻し、図2(C),(D)に示したように、次の位置の1個のX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれについて、ステップS101~ステップS106と同様の処理を繰り返し行うように制御する。この例においては、次の位置のX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yは、その前に形成したX軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yに隣り合うものとなる。
【0068】
ステップS107で、センサパターン部13が完成したと判別したときには、図7に示すように、ピンテーブル123上のセンサパターン部13の上に、例えば両面テープの剥離紙をはがしたものからなる接着材12Sを介して、基材11を位置合わせして押し付け、ピンテーブル123上のセンサパターン部13を基材11に接着材12Sにより被着させるようにする(ステップS108)。
【0069】
この場合、図7に示すように、基材11のピンテーブル123と対向する面11aには、複数個の端子導体17(図7では省略。図1参照)が形成されている端子部16が、予め被着されて形成されている。この実施形態では、図1に示したように、基材11は、この端子部16が形成されている領域と、センサパターン部13の領域11s(図7で点線で示す領域参照)を備えている。
【0070】
この実施形態では、接着材12Sを構成する両面テープは、このセンサパターン部13の領域11sの大きさに対応した大きさとされ、この例では、端子部16が形成されている領域の上には、接着材12Sが存在しないように位置決めされる。そして、基材11が、そのセンサパターン部13の領域11sに、ピンテーブル123のセンサパターン部13が対応するように位置決めされて、ピンテーブル123の上に、接着材12Sを介して押し付けられる。
【0071】
接着材12Sとしての両面テープ及び基材11の位置決めは、ピンテーブル123上に突出しているガイドピン124の所定のもの(例えば領域11sの4隅位置に対応するもの)により行われる。なお、接着材12Sは、予め、基材11の領域11sに被着しておくようにしてもよい。
【0072】
一方、ピンテーブル123上のセンサパターン部13は、図7に示すように、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの、導線が露出された両端部13XE及び13YEが、端子部16の対応する端子導体17のそれぞれと接続されるように、センサパターン部13の領域11sから端子部16の方向に突出する状態となっている。
【0073】
以上のようにして、基材11の一面11a側を、位置合わせさせた状態でピンテーブル123に対して押し付けると、ガイドピン124は、基材11を貫通して突き刺さる状態となるが、センサパターン部13が、基材11の領域11sに接着材12Sにより被着される状態となる。そして、図8に示すように、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの両端部13XE及び13YEは、端子部16の対応する端子導体17の上に位置する状態とされる。
【0074】
こうして、基材11の一面11aに、センサパターン部13を接着材12により被着したら、ステップS108では、基材11を、ピンテーブル123から引きはがすようにする。この場合に、図示は省略するロボットハンドなどを用いた持ち上げ機構により、中間板1232及び剥離シート1233の部分と共に基材11が、ピン取付板1231から離間されて持ち上げられて、ガイドピン124から外される。なお、中間板1232及び剥離シート1233の部分と共に基材11を持ち上げるのではなく、図示は省略するロボットハンドなどで、中間板1232及び剥離シート1233の部分と共に基材11を保持した状態において、ピン取付板1231を、下方にガイドピンの高さ以上、下降させることで、基材11ガイドピン124から外すようにしてもよい。
【0075】
以上のようにして、ピンテーブル123から取り外された基材11の一面11aには、センサパターン部13が被着されていると共に、前述したように、複数個のX軸方向ループコイル13Xまたは複数個のY軸方向ループコイル13Yのそれぞれの線材18の被覆が剥離されて導線が露出された両端部13XE及び13YEは、端子部16の対応する端子導体17の上に位置する状態となっている。
【0076】
この実施形態では、図8に示すように、基材11の一面11a上の端子部16の各端子導体17上には、予め半田19が盛られており、当該端子部16の各端子導体17の半田19の部分を加熱することで、当該半田19を溶融させ、線材18の被覆が剥離されて導線が露出された両端部13XE及び13YEを、端子部16の対応する端子導体17に対して半田付けして、電気的に接続する(ステップS109)。
【0077】
その後、ガイドピン124から外された、剥離シート1233付きの基材11の一面11aに被着されているセンサパターン部13の上に接着されている剥離シート1233から剥離紙が剥離されて、接着材12Pが露出される。そして、この接着材12Pにより、基材11の一面11aのセンサパターン部13の上に保護シート14(図1参照)を被着して覆うようにする(ステップS110)。
【0078】
次に、この実施形態では、基材11の一面11aとは反対側の面に、電磁シールド層を構成するメタルシート15を、例えば両面テープからなる接着材12Mにより被着する(ステップS111)。
【0079】
以上で、位置検出センサ1を製造することができる。なお、以上の工程で位置検出センサ1を作成した場合に、製造上、余分な領域を有する大きさとなっているときには、最後に、その不必要な部分を切断することで、外形を所定のものとするようにする。
【0080】
なお、前処理ユニット110においては、線材18の被覆を剥離して導線を露出させる処理のみを行い、X軸方向ループコイル13XまたはY軸方向ループコイル13Yのそれぞれに合わせた長さに合わせて切断する処理は、配線ユニット120の配線ノズル機構1222において行うようにしてもよい。
【0081】
以上のようにして、この実施形態の位置検出センサの製法によれば、絶縁被覆された導線からなる線材18を用いてセンサパターン部13を簡単に基材の一面11a上に配設すると共に、端子部16の端子導体17と、センサパターン部13の各ループコイルとの電気的接続も簡単にできる位置検出センサ1を製造することができる。そして、この実施形態の製法を用いることにより、位置検出センサ1の量産化も可能となる。
【0082】
そして、センサパターン部13のX軸方向ループコイル13XとY軸方向ループコイル13Yとは、ピンテーブル上において、1個毎に交互に形成されて、剥離シート1233の接着材12Pに対して接着されるので、X軸方向ループコイル13Xと、Y軸方向ループコイル13Yとは、安定して均一に接着材12Pにより固着される。したがって、このセンサパターン部13の上に、接着材12Sにより基材11を被着したときにも、X軸方向ループコイル13XとY軸方向ループコイル13Yとの均一な固着状態を維持する。
【0083】
これにより、この実施形態の位置検出センサ1においては、X軸方向ループコイル群又はY軸方向ループコイル群の一方に配線の歪みが集中することを回避して、X軸方向ループコイル群及びY軸方向ループコイル群を、基材11において、安定して配線歪みの少ない状態で形成することができる。
【0084】
そして、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yのそれぞれを狭ピッチで生成したとしても、X軸方向ループコイル群及びY軸方向ループコイル群を、安定して配線歪みの少ない状態で形成することができるので、位置検出センサの高精度化を容易に実現することができる。
【0085】
<位置検出センサの製法の他の実施形態>
上述の実施形態の位置検出センサの製法では、ガイドピン124が形成されたピンテーブル123を用いるようにしたが、ピンテーブル123を使用せずに、位置検出センサ1を形成することもできる。
【0086】
この位置検出センサの製法の他の実施形態では、基材11の一面11a上に接着材12Sの層を設け、その接着材12Sの層に上に、端子部16と、センサパターン部13とを、配線ノズル機構により配設するようにする。その場合の配線ユニットの配線ノズル機構は、ガイドピンに引っ掛けるようにしてループコイルパターンを形成するのではなく、線材18を、基材11の一面11aの接着材12S側に押し付けて被着させながら、配線ノズルを移動させることにより、ループコイルパターンを形成するようにする。そのための構成は、周知のものを使用することができるので、ここでは、その構成例は省略する。その他は、位置検出センサの製法の上述の実施形態と同様である。
【0087】
なお、上述の位置検出センサの製法の他の実施形態では、基材11の上に接着材12Sの層を塗布した後、被覆導線をその接着材の層に被着するように説明したが、接着材12Sの層を塗布する代わりに、線材18の被覆導線として例えば熱により溶融する接着材付きのものを用いて、被覆導線の接着材を熱により溶融させながら基材11上に被着するようにしてもよい。
【0088】
[上述の実施形態の位置検出センサの変形例]
上述の実施形態の位置検出センサ1においては、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yは、1個毎に交互に形成するようにしたが、複数個毎に交互に形成するように構成してもよい。この場合にも、X軸方向ループコイル13Xは、矩形の基材11の図1における左方端縁側から右方端縁側に向かって、X軸方向に順次に、互いの重なりを許容しながら配設し、また、Y軸方向ループコイル13Yは、矩形の基材11の図1における上方端縁側から下方端縁側に向かって、Y軸方向に順次に、互いの重なりを許容しながら配設するものとされる。
【0089】
図9は、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yを、2個毎に交互に形成するようにした場合の例である。この例の場合にも、X軸方向ループコイル13Xは、矩形の基材11の図1における左方端縁側から右方端縁側に向かって、X軸方向に順次に、互いの重なりを許容しながら配設し、また、Y軸方向ループコイル13Yは、矩形の基材11の図1における上方端縁側から下方端縁側に向かって、Y軸方向に順次に、互いの重なりを許容しながら配設するようにされる。
【0090】
すなわち、図9の例では、先ず、図9(A)に示すように、隣接する2個のX軸方向ループコイル13X1及び13X2を形成する。その後、図9(B)に示すように、隣接する2個のY軸方向ループコイル13Y1及び13Y2を形成する。
【0091】
次に、図9(C)に示すように、前に形成したX軸方向ループコイル13X1及び13X2に隣接する2個のX軸方向ループコイル13X3及び13X4を形成する。この2個のX軸方向ループコイル13X3及び13X4を形成したら、次に、図9(D)に示すように、前に形成したY軸方向ループコイル13Y1及び13Y2に隣接する2個のY軸方向ループコイル13Y3及び13Y4を形成する。以下、順次に、隣接する2個ずつのX軸方向ループコイル13Xと、隣接する2個ずつのY軸方向ループコイル13Yとを、交互に形成するようにする。
【0092】
なお、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yを、2個毎に交互に形成するのではなく、3個以上毎に、交互に形成するようにしてもよい。
【0093】
また、X軸方向ループコイル13X及びY軸方向ループコイル13Yを、複数個毎に交互に形成する場合において、上述の例では、X軸方向ループコイル13XとY軸方向ループコイル13Yとで同数の個数毎としたが、X軸方向ループコイル13XとY軸方向ループコイル13Yとで異なる個数毎とするようにしてもよい。その場合に、X軸方向ループコイル13XとY軸方向ループコイル13Yとで異なる個数は、X軸方向ループコイル13Xの個数、及びY軸方向ループコイル13Yの個数を考慮するようにしてもよい。
【0094】
また、X軸方向ループコイル13Xの複数個からなるX軸方向ループコイル群内において、Y軸方向ループコイルと交互に形成する個数は、例えば1個毎や、2個毎など、全て同数毎とするのではなく、異なる個数となる状態が混在してもよい。Y軸方向ループコイル13Yの複数個からなるY軸方向ループコイル群内において、同様である。すなわち、例えば2個毎にX軸方向ループコイルとY軸方向ループコイルとを交互を形成していたものを、途中から1個毎にX軸方向ループコイルとY軸方向ループコイルとを交互を形成してもよい。この場合に、変更する個数及び個数の変更位置などは、X軸方向ループコイルとY軸方向ループコイルとで、それぞれ独立に定めることができることは勿論である。
【0095】
[その他の実施形態または変形例]
上述の実施形態では、位置検出センサは、外形が矩形形状であったが、外形は矩形に限らず、どのような形状であってもよい。また、基材は平面形状としたが、曲面形状であってもよい。また、ループコイルのパターン形状も上述の実施形態の矩形形状に限られるものではないことは言うまでもない。
【0096】
また、上述の実施形態では、端子部は、矩形形状の基材の一辺側の端部の1か所に形成するようにしたが、端子部は、一つの辺の端部の複数箇所に形成してもよいし、矩形形状の基材の複数の辺の端部に形成するようにしてもよい。
【0097】
なお、上述の位置検出センサの製法では、配線ユニット120により被覆導線によるセンサパターン部を形成する前に、前処理ユニット110で、線材18の絶縁被覆を剥離して、内部の導線を露出させるようにしたが、センサパターン部を形成する処理を行う前に、線材18の絶縁被覆を剥離することは必須ではない。例えば、センサパターン部13を形成した後に、センサパターン部13の複数個の電極導体のパターンの端部の線材18の絶縁被覆を剥離する処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…位置検出センサ、11…基材、12S,12P,12M…接着材、13…センサパターン部、14…保護シート、15…メタルシート、16端子部…、17…端子導体、18…線材、13X…X軸方向ループコイル、13Y…Y軸方向ループコイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9