IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-ガイドプレートを備えたコネクタ 図1
  • 特許-ガイドプレートを備えたコネクタ 図2
  • 特許-ガイドプレートを備えたコネクタ 図3
  • 特許-ガイドプレートを備えたコネクタ 図4
  • 特許-ガイドプレートを備えたコネクタ 図5
  • 特許-ガイドプレートを備えたコネクタ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ガイドプレートを備えたコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20241007BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022529421
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020079868
(87)【国際公開番号】W WO2021099059
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】102019217862.6
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル フンメル
(72)【発明者】
【氏名】ハネス カールハマー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴ アルベルト ラミレス ヴィラロボス
(72)【発明者】
【氏名】マルトン ゴンディック
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-162586(JP,A)
【文献】特開2019-075371(JP,A)
【文献】特開2019-033012(JP,A)
【文献】特開2008-181729(JP,A)
【文献】特開2003-272751(JP,A)
【文献】特開平01-296576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁式に形成されたガイドプレート(2,22,17,18,19)を備えたコネクタ(60)であって、前記ガイドプレート(2,22,17,18,19)は、打抜き加工された複数の電気的なコンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)を有し、該コンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)は、特に四角形である角張った横断面を有し、前記ガイドプレート(2,22,17,18,19)に設けられた貫通部(3,21,51,70,71)を通ってガイドされていて、かつ前記ガイドプレート(2,22,17,18,19)から突出している、コネクタ(60)において、
前記貫通部(3,21,51,70,71)は、前記ガイドプレート(2,22,17,18,19)の厚さ延在方向に沿ってガイド軸部(70,71,72)を有し、該ガイド軸部(70,71,72)は、前記コンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)のフラットな面をガイドするための、平坦に形成された少なくとも1つの壁部(10,23,41)を有し、かつ該壁部(10,23,41)とは反対側に位置する、少なくとも1つの壁部領域を有し、
前記壁部領域は、前記コンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)の角部に接触するように形成されており、
前記壁部領域は、横断面でアーチ形またはV字形に形成されており、
前記ガイド軸部は、前記コンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)の貫通ガイド時に前記角部を前記壁部領域に押し付け、前記角部に形成されたバリをその際に変形し、特に折り曲げるように形成されており、
前記打抜き加工された複数の電気的なコンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)は、打ち抜きによる載置面とバリ面とを有し、
前記コンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)の載置面は平坦に形成された壁部に当接しており、前記コンタクトワイヤ(4,27,59,63,64,65)のバリ面は前記アーチ形またはV字形の壁部領域に当接していることを特徴とする、コネクタ(60)。
【請求項2】
前記壁部領域(11,55,56)は、横断面で円弧形に形成されている、請求項1記載のコネクタ(60)。
【請求項3】
前記壁部領域(24,25,55,56)は、横断面でV字形に形成されており、
前記V字形の角度(26)は、60~160度である、請求項1記載のコネクタ(60)。
【請求項4】
前記角度(26)は、少なくとも90度である、請求項3記載のコネクタ(60)。
【請求項5】
前記貫通部(3,21,51,70,71)は、導入ファンネル(34,37,44,52)を有し、該導入ファンネル(34,37,44,52)に前記ガイド軸部(70,71,72)が接続する、請求項3記載のコネクタ(60)。
【請求項6】
前記導入ファンネル(34,37,44,52)は、少なくとも部分的に円錐形に形成されている、請求項5記載のコネクタ(60)。
【請求項7】
前記導入ファンネル(34,37,44,52)は、少なくとも部分的に角錐形に形成されている、請求項5または6記載のコネクタ(60)。
【請求項8】
前記導入ファンネル(34,44,52)は、前記平坦な壁部側(10,23,69,41)の領域において、平坦な斜面(37)を有し、該斜面(37)とは反対に位置する側において、錐体部(40)によって形成されている、請求項5から7までのいずれか1項記載のコネクタ(60)。
【請求項9】
前記導入ファンネル(34,44,52)は、前記平坦な壁部側(10,23,69,41)の領域において、平坦な斜面(37)を有し、該斜面(37)とは反対に位置する側でガイド溝を有している、請求項5から8までのいずれか1項記載のコネクタ(60)。
【請求項10】
前記コネクタ(60)は、コネクタケーシング(62)を有し、前記ガイドプレート(2,22,17,18,19)は、前記コネクタケーシング(62)との差込み結合のための切欠き(67)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のコネクタ(60)。
【請求項11】
前記貫通部(3,21,51,70,71)の縦方向寸法(13,33,38,50)は、前記貫通部(3,21,51,70,71)の横方向寸法(14,32,30,49)に等しい、請求項1から10までのいずれか1項記載のコネクタ(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行技術
本発明は、電気絶縁式に形成されたガイドプレートを備えたコネクタ、特に電気的なコネクタに関する。コネクタは、特に打抜き加工された複数の電気的なコンタクトワイヤ、特にコンタクトピンを有している。コンタクトワイヤは、特に四角形である角張った横断面を有し、ガイドプレートに設けられた貫通部を通ってガイドされていて、かつガイドプレートから突出している。
【0002】
米国特許第7004766号明細書からは、コネクタのコンタクトワイヤのためのガイドプレートが知られている。この場合、ガイドプレートは、コンタクトワイヤを貫通ガイドするための貫通部を有しており、これらの貫通部は、楕円形または菱形に形成された導入ファンネルと、対応して成形された貫通部とを有している。
【0003】
プリント基板に設けられた貫通部にはんだ付けするために形成されている、打抜き加工されたコンタクトワイヤを備えたコネクタでは、打抜き時にコンタクトワイヤにおいて形成されたバリが、プリント基板への導入時に、またはガイドプレートを通った貫通ガイド時に折れて取れるか、はがれてしまい、電気的な機器内で破片として短絡を引き起こしてしまう。
【0004】
発明の開示
本発明によれば、貫通部が、ガイドプレートの厚さ延在方向に沿ってガイド軸部を有している。ガイド軸部は、コンタクトワイヤのフラットな面をガイドするための、平坦に形成された少なくとも1つの壁部を有している。ガイド軸部は、平坦に形成された壁部とは反対側に位置する、この壁部に対して斜めに延びる少なくとも1つの壁部領域を有している。この壁部領域は、コンタクトワイヤの角部に接触するように形成されている。さらに好適には、ガイド軸部は、貫通部を通じた貫通ガイド時に、コンタクトワイヤの角部を斜めに延びる壁部領域に押し付け、角部に形成されたバリをその際に変形し、特に折り曲げるように形成されている。有利には、ガイド軸部のフラットな面により、コンタクトワイヤの良好なフラットなガイドを確保することができる。フラットな面とは反対側に位置する、斜めに延びる壁部領域により、平坦な壁部領域によるガイドに関連して、ガイドプレート内でのコンタクトワイヤの高い位置決め精度、ひいては互いに隣り合うコンタクトワイヤ同士の高い位置精度も生じさせることができる。好適には、コンタクトワイヤは、金属薄板打抜き部分として形成されており、この金属薄板打抜き部分は、たとえば、変形加工工程によって付加的に屈曲されるか、かつ/または押込み加工されている。この場合、コンタクトワイヤの製造のために提供された未加工金属薄板の載置面から、打抜き切断工具が載置するように設置され、この打抜き切断工具は、対向切断工具、たとえばダイと協働して、未加工金属薄板から1本以上のコンタクトワイヤを、輪郭を定義しながら剪断もしくは切断する。製造に基づいて、打抜き切断工具の載置面とは反対側に位置するバリ面は、それぞれの剪断エッジにおいて対応するバリを有している。これらのバリは、それぞれの剪断エッジから立ち上がっている。貫通部を通じたコンタクトワイヤの組付け時のバリの剪断は、バリに定義して形状付与することによって効果的に回避することができる。このためには、コンタクトワイヤのバリ面が、斜めに延びている壁領域に向けられている。したがって、コンタクトワイヤの載置面は平坦に形成された壁部に向けられている。特に、貫通部を通したコンタクトワイヤの貫通ガイド時に、当接面が平坦に形成された壁部に接触し、コンタクトワイヤがその当接面への小さな機械的な負荷で貫通部を通ってガイドされることが可能である。さらに、貫通ガイド時に貫通部の壁部に接触する、コンタクトワイヤのバリ面上のバリは、有利には剪断もしくは切断されず、むしろこのバリに斜めに作用する接触力によって単に折り曲げられるだけであることが判った。有利には、バリがコンタクトワイヤに一体成形されたままとなり、これにより分離されたバリ粒子が破片として発生しない。付加的には、折り曲げられたバリはより好適な位置にあるため、この好適な位置により、たとえば次いではんだ接触部を形成するために、プリント基板に設けられた貫通部を通してコンタクトワイヤをあとから貫通ガイドする場合にも、バリは簡単に折れて取れることはない。したがって、バリを、コンタクトワイヤに向かって、特にコンタクトワイヤのフラットな面に向かって折り曲げることによって折り畳むことができ、これにより、破片形成のおそれを極めて簡単かつ効果的に回避することができる。付加的には、プリント基板と、このプリント基板に形成されるはんだ接触部とに設けられた貫通部を通してコンタクトワイヤをあとから貫通ガイドしたのちに、コンタクトワイヤの当接面は、貫通部内の平坦に形成された壁部に支持されているように載置される。このことは、たとえば、プリント基板に対するコンタクトワイヤの対応する配置によっても強制的に得ることができ、この配置により、たとえばコンタクトワイヤの緊締に基づいて、当接面を、貫通部の平坦に形成された壁部の方向に、好適には当接接触するまで移動させる予荷重力が有効である。この平坦な面での載置によって、点負荷が高い場合にさもなければ時間的に有効になるウィスカ形成のおそれは著しく低減される。なぜならば、同時にバリ面も斜め延びる壁部領域に対して最大限に離間したままであるからである。
【0005】
コンタクトワイヤは、好適には銅線であり、特に銅または銅合金から形成されている。付加的にはコンタクトワイヤは、単に部分的であっても、鍍金されていてもよく、またははんだ付け性および/またははんだ濡れ性のコーティングを有していてもよい。有利には、コンタクトワイヤをこれにより低コストで提供することができる。
【0006】
好適には、貫通部は、プレート平面に対して横方向に延びている。有利には、ガイドプレートをこのようにコンタクトワイヤ、特にコンタクトピンに被せ嵌めることができる。
【0007】
好適な1つの実施形態では、壁部領域は横断面においてアーチ形、特に円弧形に形成されている。有利には、これにより半円筒形の貫通部壁部が形成されていてもよい。有利には、アーチ形または円弧形に形成された貫通部壁部により、バリを、アーチ形の貫通部壁に対する押付け時に均一に折り曲げることができる。
【0008】
好適な1つの実施形態では、壁部領域が、V字形または屋根形に形成されている。有利には、バリを、このように形成された屋根形の斜面において、この斜面に対応した角度位置に折り曲げることができる。
【0009】
好適な1つの実施形態では、V字形の角度が、60~160度である。さらに好適には、V字形の角度が少なくとも90度である。有利には、これによりバリを、比較的小さな貫通部寸法で十分に折り曲げることができる。
【0010】
貫通部は、好適には、導入ファンネルを有しており、この導入ファンネルにガイド軸部が接続されている。導入ファンネルは、それぞれの貫通部を通してコンタクトワイヤを導入するか、もしくは通すことを容易にする。この場合、貫通部に対してコンタクトワイヤが同軸に位置調整されていないことを、確実に補償することができる。好適な1つの実施形態において、導入ファンネルは、少なくとも部分的に、または完全に円錐形に形成されている。有利には、導入ファンネルは、これにより、コンタクトワイヤの、全ての側で均一に形成される変位を捉えることができる。
【0011】
好適な1つの実施形態において、導入ファンネルは、少なくとも部分的に、または完全に角錐形に形成されている。有利には、導入ファンネルは、これによって、コンタクトワイヤを、ガイド溝を形成する角錐体コーナに沿ってガイド軸部に向かってガイドすることができる。
【0012】
好適な1つの実施形態において、導入ファンネルは、平坦な壁部側の領域において、平坦な斜面を有しており、導入ファンネルは、平坦な斜面とは反対に位置する側において、錐体部(Kegelabschnitt)、特に切頭錐体部によって形成されている。有利には、コンタクトワイヤを、これにより、平坦な斜面に沿って、さらに好適には平坦な2つの斜面により画定されたV字形の溝により、ガイド軸部内に向かってガイドすることができ、錐体部の領域で丸い壁部領域または屋根形の壁部領域に向かってバリを変形するためにガイドすることができる。
【0013】
好適な1つの実施形態において、導入ファンネルは、平坦な壁部側の領域において平坦な斜面を有しており、この斜面とは反対に位置する側で1つまたは2つのガイド溝を有している。有利には、コンタクトワイヤは、これにより、コンタクトワイヤの角部で、角錐体コーナ、特に角錐体コーナのV字形の溝内でガイド軸部に向かってスライドすることができる。
【0014】
好適な1つの実施形態において、コネクタは、コネクタケーシングを有している。ガイドプレートは、コネクタケーシングとの差込み結合のための切欠きを有している。有利には、ガイドプレートを、これによりコンタクトワイヤ上に被せ嵌めることができ、コネクタケーシングに差込み結合し、特に係止結合することができる。
【0015】
好適な1つの実施形態では、好適には貫通部の横断面において、貫通部、特にガイド軸部の縦方向寸法が、貫通部の横方向寸法に等しい。有利には、導入ファンネル、さらに好適にはガイド軸部が、小さな外形寸法で提供されていてもよい。
【0016】
好適には、ガイドプレート、または付加的にコネクタケーシングが、プラスチックから形成されている。プラスチックは、好適には熱可塑性樹脂であり、たとえば、ポリアミド、PMMA(PMMA=ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、POM(POM=ポリオキシメタクリレート)、またはABS(ABS=アクリロニトリルブタジエンスチロール)、PBT(PBT=ポリブタジエンテレフタレート)またはASAコポリマ(ASA=アクリロニトリルスチロールアクリルエステル)である。
【0017】
本発明を以下に図面および別の実施例につき説明する。別の有利な実施バリエーションは、図面および従属請求項に記載された特徴の組み合わせによって生じる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】コネクタのためのガイドプレートおよびコンタクトワイヤを含むコンタクトシステムの1つの実施例を概略的に示した図であり、ガイドプレートは、コンタクトワイヤのバリを変形するために形成されている丸い壁部領域を備えた貫通部を有している。
図2】コネクタのためのガイドプレートおよびコンタクトワイヤを含むコンタクトシステムの1つの実施例を概略的に示した図であり、ガイドプレートは、コンタクトワイヤのバリを変形するために形成されている屋根形の壁部領域を備えた貫通部を有している。
図3】コンタクトワイヤのバリを変形するために形成されている、ガイドプレートに設けられた貫通部のための1つの実施例を概略的に示した図であり、貫通部は、ファンネル円周に沿って平坦な領域と湾曲した領域とを備えるファンネル壁を備えた導入ファンネルを有している。
図4】コンタクトワイヤのバリを変形するために形成されている、ガイドプレートに設けられた貫通部の1つの実施例を概略的に示した図であり、貫通部は、ファンネル円周に沿ってガイド溝を備えるファンネル壁を備えた導入ファンネルを有している。
図5】コンタクトワイヤのバリを変形するために形成されている、ガイドプレートに設けられた貫通部の1つの実施例を概略的に示す断面図であり、導入ファンネルが段状に形成されている。
図6】コネクタのコンタクトワイヤが貫通ガイドされている、ガイドプレートを備えたコネクタのための1つの実施例を概略的に示した図である。
【0019】
図1は、コンタクトシステム1の1つの実施例を示している。コンタクトシステム1は、ガイドプレート2を有している。ガイドプレート2は、少なくとも1つの貫通部3を有している。貫通部3は、コンタクトワイヤ4を貫通ガイドするために形成されており、コンタクトワイヤ4のためのガイド軸部を形成する。この実施例では、コンタクトワイヤ4は、四角形の、特に長方形の横断面を有している。コンタクトワイヤ4は、特にフラットに形成された面5を有している。フラットに形成された面5は、特にコンタクトワイヤ4の製造時の打抜き切断工具のための当接面に対応している。コンタクトワイヤ4は、面5の反対側に2つの角部6,7を有している。角部6にはバリ8が形成されており、角部7にはバリ9が形成されている。バリ8,9は、本実施例では、打抜き工具を用いた金属薄板からのコンタクトワイヤ4の打抜き時に形成され、打抜き時に、打抜き工具は、面5を包囲しながら、面5を起点として角部6,7に至るようにワイヤ4を打ち抜いている。角部には、バリ8,9が形成されている。したがって、フラットな面5の反対に位置する面は、製造に基づいて発生するコンタクトワイヤ4のバリ面に一致する。
【0020】
貫通部3は、平坦に形成された貫通部壁部10を有している。この貫通部壁部10は、貫通部3の内側面を形成している。平坦な壁部10とは反対側に位置するように、貫通部3、ひいてはガイドプレート2も、凹状に形成された貫通部壁部11を有している。壁部10と凹状の壁部11とは、それぞれ貫通部3の内側面に沿って1つの周方向部分を形成している。
【0021】
貫通部3は、縦方向寸法13と、この縦方向寸法13に対して横方向に延びる横方向寸法14とを有している。本実施例では、縦方向寸法13は横方向寸法14に一致する。平坦に形成された貫通部壁部10と反対側に位置する、凹状に形成された貫通部壁部11の曲率は、本実施例では、所定の曲率半径15を有している。この曲率半径15は、本実施例では、横方向寸法14の半分であり、したがって縦方向寸法13の半分でもある。
【0022】
コンタクトワイヤ4は、貫通部3内に挿入される場合に、バリ8および9とは反対の側に配置されているそのフラットな面5で平坦な壁部10に当接することができ、この壁部10に当接しながら貫通部3内にスライドすることができる。バリ8、9は、丸く形成された貫通部壁部11、特に丸み部によって形成された斜面12において、互いに向かって折り曲げられる。バリ8および9は、これにより、特にコンタクトワイヤ4をプリント基板の貫通部内にさらに導入する場合に、もはやプリント基板の貫通部縁部に衝突せず、貫通部縁部において不都合な形式で折り取られない。
【0023】
図2は、貫通部21を有しているガイドプレート22の1つの実施例を示している。貫通部21は、コンタクトワイヤ27を貫通ガイドするために形成されていて、コンタクトワイヤ27のためのガイド軸部を形成する。貫通部21は、平坦に形成された貫通部壁部23を有している。この貫通部壁部23は、貫通部21の内側周面に沿って周方向部分として形成されている。平坦に形成された貫通部壁部23とは反対の側で、貫通部21は、横断面でV字形または屋根形の貫通部壁部を有している。V字形の貫通部壁部は、平坦に形成された貫通部壁部23に対して斜めに配置された貫通部壁部24と、この貫通部壁部24に対して予め規定された角度26で延びる貫通部壁部25とを有している。貫通部壁部24,25はそれぞれ、貫通部21の横断面においてV字形の脚部を形成している。脚部24、25の交差点から、反対側に位置する平坦な壁部23に向かって延びる垂線20は、平坦な壁部23に垂直に延び、本実施例では、平坦な壁部23に対してそれぞれ斜めに配置された貫通部壁部24,25間に延びる角度26の二等分線を形成する。
【0024】
貫通部21内には、本実施例では、コンタクトワイヤ27が導入されている。コンタクトワイヤ27は、フラットな面16を有しており、このフラットな面16は、本実施例では、貫通部21内への導入時に、平坦な壁部23に密着する。フラットな面16は、特にコンタクトワイヤ27の製造時の打抜き切断工具の当接面に一致する。フラットな面16の反対側に位置して、特にコンタクトワイヤのバリ面で、コンタクトワイヤ27は2つの角部28,29を有している。角部28にはバリ31が形成されており、角部29にはバリ30が形成されている。貫通部21内への導入時に、バリは壁部部分24,25により形成されたV字形の貫通部壁部により折り曲げられ、これにより互いに向かって曲げられる。
【0025】
この実施例では、貫通部21の横方向寸法32が、貫通部21の縦方向寸法33に一致する。別の1つの実施形態では、貫通部21は、貫通部の最大の幅寸法に等しくない、特に貫通部の最大の幅寸法よりも大きいか、または小さい最大の縦方向寸法を有していてもよい。
【0026】
図3は、ガイドプレート17の1つの実施例を示す図である。ガイドプレート17は、コンタクトワイヤを収容するための貫通部70を有している。貫通部70は、本実施例では、コンタクトワイヤのためのガイド軸部を形成している。貫通部70は、本実施例では、導入ファンネル34を有している。貫通部70は、平坦に形成された貫通部壁部69も有している。導入ファンネル34は、平坦に形成された壁部69の領域において、この平坦に形成された壁部69に対して予め規定された角度で延びる、平坦に形成された斜面37を有している。コンタクトワイヤは、これにより、一方の端面に形成されたエッジで、平坦な斜面37において貫通部70内にスライドすることができる。平坦な斜面37は、2つの溝35,36、特にガイド溝により画定されている。
【0027】
溝35,36は、ファンネル周面に沿った残りのファンネル領域に対する傾斜したファンネル壁部37の画定部を形成している。斜面37は、本実施例では溝35,36と一緒に、かつ溝35,36にそれぞれ隣接するファンネル壁部と共に、切頭角錐体の一部または半分を形成する。導入ファンネル34は、平坦な貫通部壁部69に対して予め規定された角度で斜めに延びる、斜めに形成されたファンネル壁部37に対して、半錐台形状に、特に半円錐台形に形成されている。このように形成されたファンネル壁では、コンタクトワイヤの2つの角部は、貫通部70内への導入時に、貫通部70内にスライドすることができる。
【0028】
貫通部70は、本実施例では、縦方向寸法38を有しており、縦方向寸法は、この縦方向寸法に対して横方向に延びる横方向寸法39に等しい大きさに形成されている。
別の実施形態では、貫通部70は、貫通部の最大の幅寸法に等しくない、特に貫通部の最大の幅寸法よりも大きいかまたは小さい最大の縦方向寸法を有してもよい。
図3に図示した導入ファンネル34は、図1に図示したガイドプレート2において貫通部3に形成されていてもよい。その際に貫通部3は、図3に示した貫通部70の代わりとなる。
【0029】
図4は、導入ファンネル44の1つの実施例を示している。導入ファンネル44は、貫通部71を取り囲んでいて、貫通部71を通って貫通ガイドするためにコンタクトワイヤを捉えるように形成されている。
【0030】
本実施例においてコンタクトワイヤのためのガイド軸部を形成する貫通部71と、この貫通部71を取り囲む導入ファンネル44とは、ガイドプレート18に形成されている。貫通部71は、平坦に形成された貫通部壁部41を有しており、これの貫通部壁部41とは反対側に、横断面においてそれぞれ1つのV字形脚部を形成する2つの貫通部壁部47,48が配置されている。導入ファンネル44は、この実施例では、4つの溝42,43,45,46、特にガイド溝を有しており、これらの溝は、それぞれ貫通部71の貫通部コーナに通じている。有利には、これにより、ガイドワイヤの角部を、複数の溝のうちの1つの溝において、溝の長手方向の延在方向に沿って貫通部71内にガイドすることができる。導入ファンネル44は、平坦な貫通部壁部41とは反対側に、丸く形成されたエッジ領域40を有している。このファンネル壁部領域40は、本実施例では、切頭錐体セグメント、特に切頭円錐体セグメントとして形成されている。
【0031】
貫通部71の縦方向寸法に対して横方向に形成された、貫通部71の横方向寸法49は、本実施例では、縦方向寸法50と同じ長さに形成されている。縦方向寸法50は、本実施例では、貫通部71の横断面における平坦な貫通部壁部41の縦方向延在長さに一致する。横方向寸法49は、本実施例では、斜面47,48により形成された頂点から、平坦に形成された貫通部壁部41への垂線の縦方向寸法に一致する。
【0032】
別の1つの実施形態では、貫通部71が、貫通部の最大の幅寸法と等しくない、特に貫通部の最大の幅寸法よりも大きいかまたは小さい、最大の縦方向寸法を有してもよい。
【0033】
図4に図示した導入ファンネル44は、図2に図示したガイドプレート22において実現されてもいてもよい。図2に図示された貫通部21は、図4に図示された貫通部71の代わりとなる。導入ファンネル44は、これにより、図2に図示された貫通部21を取り囲む。図4に図示された平坦な貫通部壁部41は、図2に図示された平坦な貫通部壁部23の代わりとなり、平坦な貫通部壁部41に対して斜めに配置された、反対側に位置する貫通部壁部47が、貫通部壁部24の代わりとなり、斜めに配置された貫通部壁部48が貫通部壁部25の代わりとなる。コンタクトワイヤ27を、これにより導入ファンネル44内に捉えることができ、確実に貫通部21内にスライドさせることができる。したがって、バリ30もしくは31は、傾斜した貫通部壁部47,48により形成された貫通部71の屋根領域内で折り曲げられる。
【0034】
図5は、ガイドプレート19に形成された導入ファンネル52を備えた貫通部51のための実施例を示している。貫通部51は、ガイド軸部72を有している。ガイド軸部72は、たとえば、横断面で、図1または図2において上述した貫通部のいずれかの形状および寸法を有している。
【0035】
図5に図示した導入ファンネル52は、本実施例では、段付けされた導入角度で形成されている。導入ファンネル52は、予め規定されたファンネル角度73を有しているファンネル壁部領域55を有している。
【0036】
ガイドプレート19の貫通部のガイド軸部72の長手方向延在長さ53は、本実施例では、ガイドプレート19の厚さ延在方向に沿った導入ファンネル52の長手方向延在長さ54よりも大きく形成されている。
【0037】
導入ファンネル52は、ファンネル壁部領域56を有しており、このファンネル壁部領域56のファンネル角度74は、ファンネル壁部領域55のファンネル角度73よりも小さく形成されている。ファンネル壁部領域56は、ファンネル壁部領域55とガイド軸部72との間に延びている。
【0038】
したがって、ファンネル壁部領域55は、第1のファンネル段を形成しており、この第1のファンネル段に、ファンネル壁部領域56によって形成される第2のファンネル段が続いている。ファンネル壁部56によって形成される第2のファンネル段は、バリ、たとえば図1に図示したバリ8,9または図2に図示したバリ30,31を、このようなバリが形成されてしまうコンタクトワイヤ59の導入時に徐々に折り曲げて、これによりコンタクトワイヤ59に向かって折り畳むように形成されている。これによりバリ8,9を変形させることができる。
【0039】
第2のファンネル段の長手方向寸法58は、本実施例では、それぞれガイドプレート19の厚さ延在方向に沿って、第1のファンネル段の長手方向寸法57に一致する。
【0040】
図6は、コネクタ60のための実施例を断面図で示している。コネクタ60は、コネクタケーシング62、特にプラスチックケーシングを有している。コネクタ60は、複数のコンタクトワイヤ、本実施例では4本のコンタクトワイヤを有している。コンタクトワイヤのうちの1つは、たとえば、図1において既に示したコンタクトワイヤ4である。コンタクトワイヤ4の一方の端部区分は、コネクタ60の、対向コネクタに接触接続するように形成されたコネクタ収容部内に延びている。コンタクトワイヤ4の、反対の側に位置する端部は、折り曲げられてケーシング62から離れるように延びており、プリント基板61にはんだ付けするために形成されている。
【0041】
コネクタ60は、本実施例では、別のコンタクトワイヤ63,64,65をさらに含んでいる。これらのコンタクトワイヤ63,64,65は、それぞれコンタクトワイヤ4に対して平行に、かつコンタクトワイヤ4から離間して延びている。コンタクトワイヤ4,63,64,65はそれぞれ、ガイドプレート2においてそれぞれのコンタクトワイヤのために形成された貫通部を通って貫通ガイドされている。ガイドプレート2は、コネクタ60の構成部材であってもよい。コネクタ60は、ガイドプレート2との接続のために突起68を有しており、この突起68は、ガイドプレート2に設けられた切欠き67に係合するように形成されている。これにより、ガイドプレート2を、突起領域68に被せ嵌め、ひいてはケーシング62に力結合式かつ/または形状結合式に結合させることができる。
【0042】
コンタクトワイヤ4は、ガイドプレート2に設けられた貫通部3を通ってガイドされる。貫通部3は、図1に図示したガイドプレート2の貫通部3に対応して形成されていてもよい。代替的には、構成は、図2に開示されているような貫通部に適合されていてもよい。したがって、コンタクトワイヤ4または別のコンタクトワイヤ63,64,65に形成されたバリを、貫通部の傾斜した壁部領域において折り曲げるように変形することができる。次いでコネクタ60のコンタクトワイヤを、プリント基板61、特にTHTプリント基板(THT=スルーホール技術)のそれぞれの貫通部内で貫通ガイドし、はんだ材66によってプリント基板61にはんだ付けすることができる。はんだ付けされた状態では、コンタクトワイヤ4,63,64,65は、コネクタとプリント基板61との間で特に僅かに緊締された配置にあるので、この配置では、コンタクトワイヤ4,63,64,65を、貫通ガイドされた貫通部3,21内のそれぞれの平坦に形成された壁部5,16に向かって運動させ、特に壁部5,16に当て付ける予荷重力が有効である。コンタクトワイヤ4,63,64,65は、ガイドプレート2、22に設けられた、貫通ガイドされた貫通部3,21内で、コンタクトワイヤ4,63,64,65の当接面5が平坦に形成された壁部10、23に面していて、バリ面が、凹状に形成された貫通部壁部11もしくは斜めに形成された貫通部壁部24、25に面しているように配向されている。
【0043】
したがって有利には、コネクタ60により、コンタクトワイヤから落ちるバリ破片が、短絡を引き起こすことがない。付加的に、コネクタ60の運転中のウィスカ発生が著しく減じられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6