(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/012 20060101AFI20241007BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241007BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
A61B1/012 511
A61B1/00 715
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2022553832
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2021034268
(87)【国際公開番号】W WO2022070982
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2020167753
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】片山 暁元
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-253393(JP,A)
【文献】特開2007-190118(JP,A)
【文献】特開2013-254153(JP,A)
【文献】特開2010-046300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が通る液体路と、気体が通る気体路とを有し、先端部に液体及び気体が合流する
円筒形状の合流凹部が形成された内視鏡において、
前記液体路の一端側及び前記気体路の一端側は前記合流凹部と連通しており、
前記気体路と前記合流凹部との第1連通孔の大きさは、前記液体路と前記合流凹部との第2連通孔の大きさよりも大きく、
前記合流凹部は、円形の底面を有し、前記先端部の先端面に開口しており、
前記第1連通孔及び前記第2連通孔は、
前記合流凹部の前記底面から側面にかけて形成され、
前記底面の径方向に互いに離隔して
おり、
前記底面からの前記合流凹部の軸長方向の寸法は、前記第1連通孔が前記第2連通孔よりも長いことを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記第1連通孔では、前記気体路の軸長方向での寸法が、前記気体路の軸長方向と交差する方向での寸法よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記気体路には、前記一端側に、気体を前記第1連通孔に案内する気体案内壁が形成されており、
前記気体案内壁は、前記気体路の軸長方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記液体路には、前記一端側に、液体を前記第2連通孔に案内する液体案内壁が形成されており、
前記液体案内壁は、前記液体路の軸長方向に対して垂直に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記液体路は、
円筒形状を有しており、
前記一端側に、縮径部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端部に液体及び気体が合流する合流凹部が形成された内視鏡に関する。
本出願は、2020年10月2日出願の日本出願第2020-167753号に基づく優先権を主張し、前記これらの日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、気体路及び液体路を有し、気体路及び液体路の先端が、体腔内に挿入される挿入部の先端部で連通している内視鏡が広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、送気路管(気体路)と送水路管(液体路)との連通部分において、送気路管の開口の大きさを、空気又は水を噴射するノズルの開口の大きさより小さくすることにより、送水操作時に水が送気路管側に逆流せず、その後の送気操作時に空気と共に水滴が噴出することを抑制できる内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、挿入部の先端部に液体及び気体が合流する合流凹部が形成され、液体又は気体が斯かる合流凹部を介してノズルに流れる内視鏡では、ノズルから気体のみを噴射する送気操作時に、合流凹部内と液体路内との圧力差により、液体路内の液体が吸い上げられ、気体と共にノズルから噴射される問題が生じる場合がある。
【0006】
しかし、特許文献1の内視鏡では、このような問題について考慮しておらず、解決できない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送気操作時に、液体路内の液体が吸い上げられて気体と共に噴射されることを防止できる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る内視鏡は、液体が通る液体路と、気体が通る気体路とを有し、先端部に液体及び気体が合流する合流凹部が形成された内視鏡において、前記液体路の一端側及び前記気体路の一端側は前記合流凹部と連通しており、前記気体路と前記合流凹部との第1連通孔の大きさは、前記液体路と前記合流凹部との第2連通孔の大きさよりも大きい。
【0009】
本発明にあっては、前記気体路と前記合流凹部との第1連通孔の大きさは、前記液体路と前記合流凹部との第2連通孔の大きさよりも大きいので、ノズルから気体のみを噴射する送気操作の場合、前記第1連通孔付近にて空気の速度が上昇することを抑制し、前記液体路内の液体が吸い上げられることを防止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送気操作時に、液体路内の液体が吸い上げられて気体と共に噴射されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る内視鏡の外観図である。
【
図2】内視鏡の先端部の先端面を示す概略図である。
【
図3】先端部の構成を説明する部分的断面図である。
【
図4】
図3の合流凹部の部分を拡大して示す拡大図である。
【
図7】合流凹部及び送気連繋部の連通状態を説明する説明図である。
【
図8】第1連通孔及び第2連通孔の大きさが同一である場合と、第2連通孔よりも第1連通孔の大きさが大きい場合との空気の流れを示すシミュレーション結果である。
【
図9】実施の形態2に係る内視鏡の合流凹部の部分を拡大して示す拡大図である。
【
図10】実施の形態3に係る内視鏡の合流凹部の部分を拡大して示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態に係る内視鏡について、図面に基づいて詳述する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10の外観図である。本実施の形態の内視鏡10は、撮像手段を有し、被検体の体腔内に挿入される挿入部14と、挿入部14を操作する操作部20と、図示しないプロセッサ、光源装置及び送気送水装置等に接続されるコネクタ部24とを備える。
挿入部14は、折止部16を介して操作部20に接続されており、操作部20はユニバーサルコード25を介してコネクタ部24に接続されている。
【0014】
ユニバーサルコード25は、柔軟性を有しており、挿入部14の前記撮像手段からの電気信号をコネクタ部24に送る電気線と、コネクタ部24から送られる水が通る水路及び空気が通る気路とを含む。
【0015】
操作部20は、把持部205と、給水又は給気等の指示をユーザから受け付けるためのボタン201と、後述する湾曲部12の湾曲を操作する湾曲ノブ21とを有している。
【0016】
把持部205は略円筒形状を有しており、挿入部14に向かって縮径している。把持部205には挿入部14側寄りに、処置具等を挿入するためのチャンネル入口22が設けられている。
【0017】
挿入部14は、細径の円筒形状を有しており、湾曲可能に構成されている。先端側の一端から順に先端部13、湾曲部12及び軟性部11を有する。湾曲部12は、湾曲ノブ21の操作に応じて湾曲する。
【0018】
先端部13は、円柱形状を有しており、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像手段、観察光学系等を含む撮像ユニット(図示せず)が収容されている。
【0019】
図2は、内視鏡10の先端部13の先端面131を示す概略図である。先端部13の先端面131は円形状である。先端部13には、観察光学系132、送気送水ノズル140、チャンネル出口18、照明光学系133等が設けられている。
【0020】
先端面131には2つの照明光学系133が隔てて設けられており、観察光学系132は2つの照明光学系133の間に設けられている。また、先端面131において、送気送水ノズル140、チャンネル出口18が観察光学系132から離隔して設けられている。送気送水ノズル140は観察光学系132に向けて空気又は水を噴射し、照明光学系133は照射光を射出して被写体を照明する。
【0021】
図3は、先端部13の構成を説明する部分的断面図である。
先端部13の先端面131には、操作部20から送られた空気及び水が合流する合流凹部134が形成されており、送気送水ノズル140は一部が合流凹部134と係合している。
【0022】
合流凹部134は断面視円形であり、先端部13の軸長方向に延びる。合流凹部134は長手方向において先端面131寄りの一端側が送気送水ノズル140と係合している。また、合流凹部134は他端側が後述する気体路30及び液体路40と連通している。
【0023】
送気送水ノズル140は、断面視円形の筒部143と、筒部143の一端側の開口端を覆う蓋部142とを有する。蓋部142及び筒部143は一体形成されている。筒部143は、合流凹部134の内径よりも少し小さい外径を有しており、大部分が合流凹部134に内嵌されている。蓋部142は、円盤形状を有しており、筒部143の外径よりも大きい径を有している。送気送水ノズル140が合流凹部134に係合された状態で、蓋部142のみが先端面131に露出される。
【0024】
また、送気送水ノズル140は、空気又は水が出射される出射口141を有する。出射口141は略長円形状であり、観察光学系132に向いて開口している。出射口141は筒部143において蓋部142側に設けられている。
【0025】
合流凹部134は、上述の如く、他端側が気体路30及び液体路40と連通している。気体路30は前記送気送水装置から送られる気体(例えば、空気)を送気送水ノズル140に供給する。また、液体路40は前記送気送水装置から送られる液体(例えば、水)を送気送水ノズル140に供給する。
【0026】
気体路30は、送気チューブ32及び送気連繋部31を含む。送気チューブ32は送気連繋部31を介して合流凹部134の他端側と連通している。また、送気チューブ32は、挿入部14を長手方向に貫通しており、湾曲部12及び先端部13を跨るように設けられている。即ち、送気チューブ32の一端は送気連繋部31と連結されており、送気チューブ32の他端は操作部20及びコネクタ部24を経由して前記送気送水装置に連結されている。
【0027】
また、液体路40は、送水チューブ42及び送水連繋部41を含む。送水チューブ42は、送水連繋部41を介して合流凹部134の他端側と連通している。また、送水チューブ42は、挿入部14を長手方向に貫通しており、湾曲部12及び先端部13を跨るように設けられている。即ち、送水チューブ42の一端は送水連繋部41と連結されており、送水チューブ42の他端は操作部20及びコネクタ部24を経由して前記送気送水装置に連結されている。
【0028】
図4は、
図3の合流凹部134の部分を拡大して示す拡大図であり、
図5は、
図4のV-V線による断面図であり、
図6は、
図4のVI-VI線による断面図であり、
図7は、合流凹部134及び送気連繋部31の連通状態を説明する説明図である。
図7においては、合流凹部134及び送気連繋部31の輪郭を表している。
【0029】
送気連繋部31は、略円筒形状を有しており、送気チューブ32から流れ込む空気を合流凹部134に送る。送気連繋部31は、送気チューブ32の内径と等しい径を有しており、上流側の端が送気チューブ32と連結されている。また、送気連繋部31では、下流側の端に、空気を合流凹部134に案内する気体案内壁33が形成されている。気体案内壁33は送気連繋部31の軸長方向と直交するように形成されている。
【0030】
送気連繋部31及び合流凹部134の連通部分には第1連通孔34が形成されている。第1連通孔34は、送気連繋部31の軸長方向での寸法L1が、送気連繋部31の軸長方向と交差する方向での寸法L2よりも長い。
【0031】
即ち、第1連通孔34は、送気連繋部31の軸長方向と直交する方向に向けて開口している直交開口部341(
図5及び
図7参照)と、送気連繋部31の軸長方向と平行な方向に向けて開口している平行開口部342(
図6及び
図7参照)とを含んでいる。直交開口部341が、平行開口部342より広い。即ち、上述の如く、第1連通孔34は、寸法L1が、寸法L2よりも長いので、直交開口部341が平行開口部342より広い。直交開口部341は
図5にて略矩形に見える領域であり、平行開口部342は
図6にて略凸レンズ状に見える領域(
図6の太い線参照)である。
【0032】
送水連繋部41は、略円筒形状を有しており、送水チューブ42から流れ込む水を合流凹部134に送る。送水連繋部41は、送水チューブ42の内径と等しい径を有しており、上流側の端が送水チューブ42と連結されている。また、送水連繋部41では、下流側の端に、送水チューブ42からの水を合流凹部134内に案内する液体案内壁43が形成されている。液体案内壁43は送水連繋部41の軸長方向と直交するように形成されている。
【0033】
送水連繋部41及び合流凹部134の連通部分には第2連通孔44が形成されている。即ち、第1連通孔34と同様、第2連通孔44は、送水連繋部41の軸長方向と直交する方向に向けて開口している直交開口部(図示せず)と、送水連繋部41の軸長方向と平行な方向に向けて開口している平行開口部442(
図6参照)とを含んでいる。第1連通孔34と同様、第2連通孔44の前記直交開口部は略矩形の領域であり、平行開口部442は略凸レンズ状の領域である(
図6の太い線参照)。
【0034】
第2連通孔44は、送水連繋部41の軸長方向での寸法L3が、送水連繋部41の軸長方向と交差する方向での寸法L4よりも長い。一方、送水連繋部41の軸長方向の寸法は、送気連繋部31の軸長方向の寸法よりも短い(
図4参照)。
【0035】
即ち、第2連通孔44の寸法L3は、第1連通孔34の寸法L1よりも短く(
図4参照)、第2連通孔44の寸法L4は、第1連通孔34の寸法L2と略等しい(
図4及び
図6参照)。
【0036】
折止部16側から、送気チューブ32を通って送られてくる空気は、送気連繋部31を介して合流凹部134に流れ込み、送水チューブ42を通って送られてくる水は、送水連繋部41を介して合流凹部134に流れ込む。以降、空気及び水は、送気送水ノズル140に流れ込み、出射口141を介して観察光学系132に向けて出射される。
【0037】
一方、空気のみを出射口141から噴射させる送気操作の場合、第1連通孔34付近での空気圧と、送水連繋部41内での空気圧との差が発生する。即ち、空気のみを出射口141から噴射させる場合、第1連通孔34の付近であって、合流凹部134の他端側のP1位置の空気圧と、送水連繋部41内の残水表面近傍のP2位置の空気圧との差が発生する。斯かる空気圧の差は、送水連繋部41内の残水を送水連繋部41から吸い上げる結果を招き、ユーザの本来の意図と異なり、空気と共に多少の水が噴射される問題が生じる。
【0038】
これに対して、実施の形態1の内視鏡10は、上述の如く、第2連通孔44の寸法L4が第1連通孔34の寸法L2と略等しいが、第2連通孔44の寸法L3は第1連通孔34の寸法L1よりも短い。即ち、第1連通孔34の大きさが第2連通孔44の大きさよりも大きい。
【0039】
よって、第1連通孔34及び第2連通孔44の大きさが等しい場合に比べて、第1連通孔34の付近における空気の流速の増加を抑制でき、かつ、空気の流れがスムーズになり、第1連通孔34付近での渦の発生を抑制できる。従って、第1連通孔34近傍、即ち、P1位置における空気圧の低下を抑制することができる。
【0040】
図8は、第1連通孔34及び第2連通孔44の大きさが同一である場合と、第2連通孔44よりも第1連通孔34の大きさが大きい場合との空気の流れを示すシミュレーション結果である。即ち、
図8Aは従来の内視鏡を示しており、
図8Bは実施の形態1の内視鏡10を示している。
なお、
図8において、矢印の方向は空気の流れ方向を示し、矢印の長さは空気の速度を示し、明暗も空気の速度を示す。
【0041】
図8から分かるように、P1位置(
図8中○部分)における矢印の長さは、
図8Bの方が、
図8Aよりも短い。即ち、P1位置における空気の速度は
図8Bが
図8Aよりも抑制されている。
【0042】
以上のように、実施の形態1の内視鏡10では、合流凹部134の他端側のP1位置の空気の速度を抑制し、P1位置の空気圧と、送水連繋部41内の残水表面近傍のP2位置の空気圧との間に差が発生することを抑えることができる。よって、空気のみを出射口141から噴射させる送気操作の場合、空気と共に多少の水が噴射される問題を未然に防止できる。
【0043】
更に、実施の形態1の内視鏡10は、上述の如く、第1連通孔34は、寸法L1が寸法L2よりも長く、直交開口部341が平行開口部342より広い。よって、直交開口部341を通って合流凹部134内に流れ込む空気の割合が、平行開口部342を通って合流凹部134内に流れ込む空気の割合よりも多い。
【0044】
従って、
図8Bでは、空気の流れにおいて高速の部分、即ち、濃度の濃い部分が、
図8Aよりも第2連通孔44から遠方にシフトしている。
即ち、実施の形態1の内視鏡10においては、空気の流れが高速である部分を、第2連通孔44から遠方にシフトさせることによって、P1位置における空気圧の低下抑制に相乗効果をもたらしている。
【0045】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係る内視鏡10の合流凹部134の部分を拡大して示す拡大図である。
【0046】
送気連繋部31は、略円筒形状を有しており、上流側の端が送気チューブ32と連結されている。また、送気連繋部31では、下流側の端に、空気を合流凹部134に案内する気体案内壁33Aが形成されている。気体案内壁33Aは送気連繋部31の軸長方向に対して斜めに形成されており、送気連繋部31の下流側に向かうにつれて、送気連繋部31の径方向の寸法が短くなっている。
【0047】
送気連繋部31及び合流凹部134の連通部分には第1連通孔34が形成されている。実施の形態1と同様、第1連通孔34は、送気連繋部31の軸長方向と直交する方向に向けて開口している直交開口部341(
図5及び
図7参照)と、送気連繋部31の軸長方向と平行な方向に向けて開口している平行開口部342(
図6及び
図7参照)とを含んでおり、直交開口部341が、平行開口部342より広い。
【0048】
送水連繋部41は、略円筒形状を有しており、上流側の端が送水チューブ42と連結されている。また、送水連繋部41では、下流側の端に、水を合流凹部134に案内する液体案内壁43が形成されている。液体案内壁43は送水連繋部41の軸長方向と直交するように形成されている。
【0049】
送水連繋部41及び合流凹部134の連通部分には第2連通孔44が形成されている。実施の形態1と同様に、第2連通孔44は、送水連繋部41の軸長方向と直交する方向に向けて開口している直交開口部(図示せず)と、送水連繋部41の軸長方向に平行である方向に向けて開口している平行開口部442(
図6参照)とを含んでいる。
【0050】
以上のように、実施の形態2の内視鏡10では、送気チューブ32からの空気を合流凹部134内に案内する気体案内壁33Aが、送気連繋部31の軸長方向に対して斜めに形成されており、液体案内壁43は送水連繋部41の軸長方向と直交するように形成されている。
【0051】
よって、第1連通孔34の付近にて、空気が急激に向きを変えずに、スムーズに流れる。従って、渦の発生が抑制でき、かつ、第1連通孔34付近において空気の流れの高速部分を、第2連通孔44から一層遠い第1連通孔34付近にシフトさせることができる。これにより、P1位置(
図4参照)において空気の流れが低減するので、P1位置とP2位置との間で空気圧の差が発生することを抑制でき、送気操作の場合、空気と共に多少の水が噴射される問題を未然に防止できる。
【0052】
更に、実施の形態2では、気体案内壁33A及び液体案内壁43間の距離(
図9中の実線の矢印参照)が、気体案内壁33Aが送気連繋部31の軸長方向と直交するように設けられた場合の気体案内壁33A及び液体案内壁43間の距離(
図9中の破線の矢印参照)よりも長い。よって、第1連通孔34付近において空気の流れの高速部分が送水連繋部41から遠くなり、送水連繋部41内の残水が上述した空気圧の差の影響を受け難い。
【0053】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3に係る内視鏡10の合流凹部134の部分を拡大して示す拡大図である。
【0055】
送気連繋部31は、略円筒形状を有しており、上流側の端が送気チューブ32と連結されている。また、送気連繋部31では、下流側の端に、空気を合流凹部134に案内する気体案内壁33Aが形成されている。気体案内壁33Aは送気連繋部31の軸長方向に対して斜めに形成されている。
【0056】
送気連繋部31及び合流凹部134の連通部分には第1連通孔34が形成されている。第1連通孔34の形状は実施の形態1と同様であり、詳しい説明は省略する。
【0057】
送水連繋部41は、略円筒形状を有しており、上流側の端が送水チューブ42と連結されている。また、送水連繋部41では、下流側の端に、水を合流凹部134に案内する液体案内壁43が形成されている。液体案内壁43は送水連繋部41の軸長方向と直交するように形成されている。
【0058】
更に、送水連繋部41は、軸長方向における中間部に、下流側に向けて径が徐々に小さくなる縮径部41Aが形成されており、縮径部41Aよりも上流側は、縮径部41Aよりも下流側よりも径が大きい。
【0059】
送水連繋部41及び合流凹部134の連通部分には第2連通孔44が形成されている。第2連通孔44の形状は実施の形態1と同様であり、詳しい説明は省略する。
【0060】
以上のように、実施の形態3の内視鏡10では、送水連繋部41に縮径部41Aが形成されており、縮径部41Aよりも下流側では、上流側よりも径が小さい。即ち、送水連繋部41の下流側の径が小さくなっているので、送水連繋部41内の残水の表面張力が高まり、送水連繋部41内の残水がP1位置及びP2位置(
図4参照)の間で発生した空気圧の差の影響を受け難い。従って、P1位置及びP2位置の間に空気圧の差が発生した場合でも、送水連繋部41内の残水の吸い上げが抑制される。
【0061】
以上においては、液体案内壁43が送水連繋部41の軸長方向と直交するように形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、液体案内壁43が、気体案内壁33Aと同様に、送水連繋部41の軸長方向に対して斜めに形成されても良い。
【0062】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
実施の形態1-3で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
10 内視鏡
13 先端部
14 挿入部
30 気体路
31 送気連繋部
33 気体案内壁
34 第1連通孔
40 液体路
41 送水連繋部
41A 縮径部
43 液体案内壁
44 第2連通孔
134 合流凹部
140 送気送水ノズル