(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電池パック、車両及びエネルギー蓄積装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20241007BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20241007BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241007BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20241007BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241007BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20241007BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241007BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/474
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2022572730
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021095500
(87)【国際公開番号】W WO2021238860
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】202010447953.8
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-146588(JP,A)
【文献】特開2004-022234(JP,A)
【文献】特開2002-373633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10、50/20
H01M10/04、10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池を含む電池列を少なくとも1つ含む電池パックであって、前記電池の厚さは、第1の方向に沿って延び、複数の前記電池は、前記第1の方向に沿って順に配列されて前記電池列を形成し、少なくとも1つの前記電池は、ケースと、前記ケース内に封止された電極体とを含み、少なくとも2つの隣接する電池の間に隙間があり、前記隙間と前記電池の厚さとの比率は、cであり、cは、c/a=0.01~0.5という関係式を満たし、
式中、aは、前記電池の
第1の方向での膨張率を表し、
a=(電池の膨張後の厚さ-電池の膨張前の厚さ)/電池の膨張前の厚さ×100%であり、
前記電池の膨張前の厚さは、前記電池の使用前の初期厚さであり、前記電池の膨張後の厚さは、前記電池の容量が初期容量の80%以下に減衰したときに測定された厚さである、ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
任意の隣接する2つの前記電池の間に隙間がある、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
隣接する2つの前記電池の間の隙間は、同一の前記電池列における隣接する2つの前記電池の間の間隔である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記ケースは、開口を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記電池の膨張前の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法であり、
前記電池の膨張後の厚さは、第1の方向に沿って前記電池を仮想的に挟持する2つの平行な平面の間の間隔の最小値である、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記隣接する2つの電池の間の隙間は、動作中又は動作後又は使用前の隣接する2つの電池の間の隙間であり、前記電池の厚さは、電池の使用前の初期厚さである、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記ケースは、開口を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、前記2つの隣接する電池の同一側に位置する2つのカバープレートの間の最小距離である第1の隙間を含み、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記ケースは、開口を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記ケースは、前記第1の方向に沿って2つの対向する第1の表面を有し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、第2の隙間を含み、前記第2の隙間は、前記2つの隣接する電池のケースの互いに対向する2つの第1の表面の間の最小間隔であり、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記電池の使用前の第2の隙間は、前記電池の使用後の第2の隙間より大きい、ことを特徴とする請求項
7に記載の電池パック。
【請求項9】
aの値の範囲は、5.8%~17.5%である、ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記電池の長さは、第2の方向に沿って延び、400~2500mmであり、前記第2の方向は、第1の方向と異なる、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項11】
前記ケース内に封止された電極体は、複数あり、複数の前記電極体は、複数の電極体群に分けられ、前記電極体群は、直列接続される、ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項12】
同一の前記電極体群における複数の前記電極体は、並列接続される、ことを特徴とする請求項
11に記載の電池パック。
【請求項13】
各電極体群の外に封止膜が嵌め合わされ、複数の前記電極体群は、直列接続される、ことを特徴とする請求項
11又は12に記載の電池パック。
【請求項14】
前記ケースと前記電極体との間に封止膜がさらに設置され、前記電極体は、封止膜内に封止される、ことを特徴とする請求項1~
13のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項15】
前記電池の膨張後の厚さを測定する際、前記電池の平均厚さを計算し、前記電池の前記ケース本体に一定の間隔でn個の点を任意に選択し、n個の点での厚さをそれぞれ測定し、それぞれd1、d2、d3...dnと表記し、前記電池の膨張後の厚さは、d=(d1+d2+d3+...dn)/nである、ことを特徴とする請求項
4に記載の電池パック。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか1項に記載の電池パックを含む、ことを特徴とする車両。
【請求項17】
請求項1~
15のいずれか1項に記載の電池パックを含む、ことを特徴とするエネルギー蓄積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、「ビーワイディーカンパニーリミテッド」が2020年5月25日に提出した、名称が「電池パック、電池モジュール、車両及びエネルギー蓄積装置」の中国特許出願第「202010447953.8」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の分野に属し、特に電池パック、車両及びエネルギー蓄積装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車の電池パックのエネルギー密度が日増しに高まっている環境下で、長寿命は、克服しなければならない課題のうちの1つであり、これもユーザー体験に影響を与える非常に重要な指標であり、各電池企業及び新エネルギー自動車企業が常に最適化しようとする方向でもある。1つの電池パック内で、電気化学システムは、電池の耐用年数に影響を与え、それ以外に、外部環境も電池の耐用年数に重要な影響を与え、深刻な影響を受けた電池は、サイクル過程で膨張し、隣接する電池が膨張した後に互いに押圧するため、電池の性能が低くなり、深刻な場合に安全上の問題を引き起こす。
【0004】
関連技術において、電池の膨張を緩和するために、現在最も多くの研究は、電池パック/電池モジュールにおいて隣接する電池の間に一定の隙間を残すことに集中するが、隙間が電池パックの内部空間を占め、電池パック内の電池の数が大きく、残された隙間が大きすぎ、各2つの隣接する電池の間にいずれも隙間を残す場合、電池パックの空間利用率が大きく低下する一方、残された隙間が小さすぎる場合、電池の膨張を効果的に緩和することができなくなる。したがって、どのようにして隣接する電池の間の隙間を合理的に設計することにより、電池の膨張を緩和することができるだけでなく、電池パックの内部空間を過度に占めず、さらに電池パックの総合的な性能を最大化するかは、現在早急に解決すべき課題である。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも上記問題を解決するために、本願は、電池の膨張を緩和して、電池のサイクル寿命を長くすることができるだけでなく、電池パックの配列空間を十分に利用することができる電池パックを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本願の第1の態様に係る電池パックは、複数の電池を含む電池列を少なくとも1つ含み、前記電池の厚さは、第1の方向に沿って延び、複数の前記電池は、前記第1の方向に沿って順に配列されて前記電池列を形成し、少なくとも1つの前記電池は、ケースと、前記ケース内に封止された電極体とを含み、少なくとも2つの隣接する電池の間に隙間があり、該隙間と前記電池の厚さとの比率は、cであり、cは、c/a=0.01~0.5という関係式を満たし、式中、aは、前記電池の膨張率を表す。
【0007】
本願のいくつかの実施形態において、任意の隣接する2つの前記電池の間に隙間がある。
【0008】
本願のいくつかの実施形態において、隣接する2つの前記電池の間の隙間は、同一の前記電池列における隣接する2つの前記電池の間の間隔を指す。
【0009】
本願のいくつかの実施形態において、aは、電池の第1の方向での膨張率を表す。
【0010】
本願のいくつかの実施形態において、a=(電池の膨張後の厚さ-電池の膨張前の厚さ)/電池の膨張前の厚さ×100%である。
【0011】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の膨張前の厚さは、前記電池の使用前の初期厚さであり、前記電池の膨張後の厚さは、前記電池の容量が初期容量の80%以下に減衰したときに測定された厚さである。
【0012】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースは、開口を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記電池の膨張前の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法であり、
前記電池の膨張後の厚さは、第1の方向に沿って前記電池を仮想的に挟持する2つの平行な平面の間の間隔の最小値である。
【0013】
本願のいくつかの実施形態において、前記隣接する2つの電池の間の隙間は、動作中又は動作後又は使用前の隣接する2つの電池の間の隙間であり、前記電池の厚さは、電池の使用前の初期厚さである。
【0014】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースは、開口を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、前記2つの隣接する電池の同一側に位置する2つのカバープレートの間の最小距離である第1の隙間を含み、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である。
【0015】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースは、開口を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記ケースは、前記第1の方向に沿って2つの対向する第1の表面を有し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、前記2つの隣接する電池のケースの互いに対向する2つの第1の表面の間の最小間隔である第2の隙間を含み、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である。
【0016】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の使用前の第2の隙間は、前記電池の使用後の第2の隙間より大きい。
【0017】
本願のいくつかの実施形態において、aの値の範囲は、5.8%~17.5%である。
【0018】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の長さは、第2の方向に沿って延び、400~2500mmであり、前記第2の方向は、第1の方向と異なる。
【0019】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケース内に封止された電極体は、複数あり、複数の前記電極体は、複数の電極体群に分けられ、前記電極体群は、直列接続される。
【0020】
本願のいくつかの実施形態において、同一の前記電極体群における複数の前記電極体は、並列接続される。
【0021】
本願のいくつかの実施形態において、各前記電極体群の外にいずれも封止膜が嵌設され、複数の前記電極体群は、直列接続される。
【0022】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースと前記電極体との間に封止膜がさらに設置され、前記電極体は、封止膜内に封止される。
【0023】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の膨張後の厚さを測定する際、前記電池の平均厚さを計算し、前記電池の前記ケース本体に一定の間隔でn個の点を任意に選択し、n個の点での厚さをそれぞれ測定し、それぞれd1、d2、d3...dnと表記し、前記電池の膨張後の厚さは、d=(d1+d2+d3+...dn)/nである。
【0024】
本願の第2の形態に係る車両は、上記電池パックを含む。
【0025】
本願の第3の態様に係るエネルギー蓄積装置は、上記電池パックを含む。
【0026】
上記技術的解決手段により、本願が達成した有益な効果は以下のとおりである。電池の膨張に緩衝空間を残すために、本願において、隣接する電池の間に一定の隙間を残す場合、電池の膨張率などの要素による影響を考慮し、上記複数の要素による影響に対して合理的な特定設計を行うことにより、電池の間の隙間の設計は、より科学的で、合理的である。電池の間の隙間が大きすぎて設定されて、電池パックの空間を浪費することがなく、また電池の間の隙間が小さすぎて設定されて、緩衝の作用を果たさなくなることがないので、電池パックの耐用年数を長くするとともに電池パックの空間利用率を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図5】本願に係る車両及び電池パックの組み立て概略図である。
【
図6】本願に係る電池パックがエネルギー蓄積装置内に設置される場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願は、電池パック200を提供し、上記電池パック200は、複数の電池100を含む電池列201を少なくとも1つ含み、電池100の厚さは、第1の方向Aに沿って延び、複数の電池100は、第1の方向Aに沿って順に配列されて電池列201を形成し、少なくとも1つの電池100は、ケース101と、上記ケース101内に封止された電極体102とを含み、少なくとも2つの隣接する電池100の間に隙間があり、該隙間と電池100の厚さとの比率は、cであり、cは、c/a=0.01~0.5という関係式を満たし、式中、aは、上記電池100の膨張率を表す。
【0029】
本願において、電池パック200は、1つ以上の電池列201を含んでもよく、複数の電池列201を含む場合、複数の電池列201は、直列接続されて電池パック200を形成し、各電池列201は、2つ以上の電池100を含み、実際の製造において、電池100の数と電池列201の数は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本願は、限定しない。
【0030】
電池100の厚さは、第1の方向Aに沿って延び、複数の電池100が第1の方向Aに沿って順に配列されると、少なくとも1つの電池列201において、複数の電池100がそれらの厚さ方向に沿って配列され、電池100の厚さ方向で対向する2つの表面の面積が最も大きく、電池100が厚さ方向に沿って配列されると理解されてもよく、換言すれば、電池100は、大きな表面同士が対向するように順に配列され、面積の大きい表面がより膨張しやすいため、電池100の間に残された一定の隙間は、電池100の膨張に緩衝空間を残すことができる。
【0031】
電池100が膨張する際に発熱するため、電池100の間に一定の隙間を残すと、該隙間は、また放熱通路、例えば、空気ダクトとして機能することができ、電池100の面積の大きい面の放熱効果がより高いため、電池パック200又は電池モジュールの放熱効率を向上させ、さらに電池パック200の安全性能を向上させることができる。
【0032】
上記解決手段において、隣接する2つの電池100の間に隙間を残すことは、電池100の間にいかなる構造部材を設置せず、単に一定の空間を残すと理解され、隣接する2つの電池100に他の構造部材を設置することにより電池100同士が該構造部材により隔てられると理解されてもよい。
【0033】
なお、隣接する2つの電池100の間に構造部材が設置される場合、電池100の間の隙間は、該構造部材と電池100との間の間隔ではなく、該構造部材の両側にある電池100の間の距離であると理解すべきである。
【0034】
なお、構造部材と該構造部材の両側にある電池100との間には、一定の隙間を残してもよく、直接的に接触してもよく、構造部材が両側に位置する電池100と直接的に接触する場合、構造部材は、一定の可撓性を有する必要があり、電池100の膨張を緩和する作用を果たすことができる。
【0035】
構造部材としては、エアロゲル、熱伝導性構造用接着剤又は断熱綿などを含むが、それらに限定されない。
【0036】
本願において、電池パック200が複数の電池列201を含む場合、隣接する2つの電池100の間の隙間は、2つの異なる電池列201における隣接する2つの電池100の間の間隔ではなく、同一の電池列201における隣接する2つの電池100の間の間隔を指すべきである。当然のことながら、異なる電池列201における隣接する2つの電池100の隙間も上記関係式を参照して設定されてもよく、本願は、これを限定しない。
【0037】
同一の電池列201において、各隣接する2つの電池100の間にいずれも一定の隙間を残してもよく、一部の隣接する2つの電池100の間に一定の隙間を残してもよい。
【0038】
なお、隣接する2つの電池100の隙間は、電池100の動作時間の増加に伴って変化するが、動作中であれ、動作後又は電池100の出荷前であれ、隣接する2つの電池100の隙間が上記関係式を満たす技術的解決手段であれば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0039】
本願において、電池100は、全固体電池又はゲルポリマー電池であってもよく、液体電池であってもよく、パウチ電池であってもよく、角型電池であってもよく、電極体102は、正極シート、固体電解質層及び負極シートが順に巻回されるか又は積層されて形成された電極アセンブリを含み、或いは、電極体102は、正極シート、セパレータ、負極シートが順に巻回されるか又は積層されて形成された電池アセンブリを含む(電極体102には、電解液がさらに含まれる)。
【0040】
電池100の膨張は、電池100の厚さに関連し、電池100の厚さが大きければ大きいほど、電池100が膨張しやすいため、隣接する2つの電池100の間の隙間を設定する際に電池100の厚さの要素を考慮する必要がある。
【0041】
電池100の老化過程において、電池100の容量の減衰に伴い、電池100のケース101の内部にある電極体102の厚さは、徐々に増加し、電池100は、膨張することになり、異なる電気化学システムにおいて電池100の膨張性能がそれぞれ異なり、電池100の膨張率aは、電池100の膨張性能を特徴付け、パラメータaが大きければ大きいほど、電池100の膨張性能が低く(膨張しやすく)、パラメータaが小さければ小さいほど、電池100の膨張性能が高い(膨張しにくい)。電池100の膨張性能aは、電池100の耐用年数に直接的に影響を与えるため、隣接する2つの電池100の間の隙間を設定する際に電池100の膨張性能を十分に考慮する必要がある。
【0042】
電池100が膨張すると、電池100の内部にある正極シートと、負極シートとセパレータとの間に隙間が発生し、互いに密着しなくなり、リチウムイオンの物質伝達抵抗を増加させ、リチウムイオンの伝播に寄与しない。したがって、隣接する2つの電池100の間の適当な押圧は、電池100内の界面に対して整形作用を果たし、正極シートと、セパレータと負極シートとの間の密着を保証し、リチウムイオンの物質伝達抵抗を低下させ、リチウムイオンの伝達速度を向上させ、電池100の内部動特性を促進し、電池100の耐用年数を長くすることができ、パラメータtは、電池100の耐用年数に対する電池100の膨張応力の促進作用を特徴付ける。
【0043】
本願の発明者は、複数回の実験から分かるように、c/aが0.01より小さい場合、電極体の間に残された隙間が電池100の自由膨張の需要を満たすことができず、電池100が過度に押圧されやすいため、電池100のケース101の受けた応力が不均一になり、リチウム析出、電池100の容量の大幅な減衰などの現象が発生する。
【0044】
c/aが0.5より大きい場合、電極体の間に残された隙間が大きすぎ、電池パック200/モジュールの内部空間を浪費し、グループ化率を低下させるだけでなく、電池100が長時間使用中に膨張するため、電池100の内部にある電極シートの間に隙間が発生しやすく、隣接する電池100により押圧力を印加しなければ、電池100の性能に影響を与える恐れもある。
【0045】
本願の発明者は、以上の要素を総合的に考慮し、複数回の実験から分かるように、隣接する2つの電池100の間の隙間と電池100の厚さとの比率cの大きさを上記範囲内に限定すると、電池100の間に残された隙間は、電池100の自由膨張の需要を満たし、隣接する電池100が過度に押圧されて電池100のケース101の受けた応力が不均一になり、リチウム析出と電池の容量の大幅な減衰などの現象が発生することを回避し、電池100のサイクル寿命を長くすることができるだけでなく、電池100の間に残された隙間が大きすぎて、電池100の配列空間を浪費し、電池パック200の体積利用率を低下させることを回避することができるとともに、該隙間の設定により、隣接する電池100の間に適当な押圧空間を提供し、電極体102の内部の界面がより緊密に密着することを保証し、電池100のリチウムイオン伝達能力を向上させ、電池100の総合的な性能を向上させることができる。
【0046】
電池100が膨張すると、電池100の体積は、同時に電池100の長さ方向、幅方向及び厚さ方向などの各方向に膨張し、電池100及び電極体102は、各方向での膨張率が異なり、圧縮率も異なるが、電池100及び電極体102に対して、長さ方向での膨張率又は圧縮率であれ、厚さ方向での膨張率又は圧縮率であれ、幅方向での膨張率又は圧縮率であっても、本願が提供した関係式を満たせば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0047】
電池100の厚さ方向で反対側に位置する2つの表面は、面積が大きいため、膨張又は収縮がより明らかであるため、本願の一実施形態において、aは、電池100の厚さ方向での膨張率を表し、それに応じて、bは、電極体102の厚さ方向での膨張率を表す。
【0048】
本願のいくつかの実施形態において、電池100の厚さ方向での膨張率の計算式は、
a=(電池の膨張後の厚さ-電池の膨張前の厚さ)/電池の膨張前の厚さ×100%であり、
隣接する2つの電池100の間の隙間と電池100の膨張前の厚さの計算式は、
c=隣接する2つの電池の間の隙間/電池の使用前の初期厚さである。
【0049】
上記解決手段において、電池100の膨張前の厚さは、電池100の使用前の初期厚さとして理解されてもよく、電池100の膨張後の厚さは、電池100の使用後の厚さとして理解されてもよい。
【0050】
「使用前」は、電池100の組み立てが完了した後に出荷されるる前、又は出荷されたが外部に電力を供給し始める前として理解されてもよく、「使用後」は、電池100が外部に電力を供給した後として理解されてもよい。例えば、電池パック200を電気自動車に組み立てる場合、使用前の状態は、新車の状態として理解されてもよく、使用後の状態は、車両が一定の距離走行した後の状態であるべきである。
【0051】
いくつかの実施形態において、電池100の膨張後の厚さは、電池100の容量が電池100の初期容量の80%以下に減衰したときの厚さであり、電池100の容量が初期容量の80%以下に減衰したとき、電池100は、電池100のライフサイクルの末期にあり、この時の充電能力が最も弱く、特に膨張力による影響が最も大きく、電池100の容量が初期容量の80%以下に減衰したときに測定された厚さが上記関係式を満たす場合、電池100が全ライフサイクル内で正常に動作することを保証することができる。したがって、本願に係る電池100の膨張後の厚さは、好ましくは電池100の容量が初期容量の80%以下に減衰したときに測定された厚さである。
【0052】
本願のいくつかの実施形態において、ケース101は、開口を有するケース本体1012と、カバープレート1011とを含み、カバープレート1011は、それぞれケース本体1012の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、電極体102は、収容キャビティ内に位置する。
【0053】
ケース本体1012は、一端のみが開口してもよく、対応するカバープレート1011は、1つのみであり、ケース本体1012は、両端が開口してもよく、対応するカバープレート1011は、2つである。
【0054】
上記実施形態において、カバープレート1011は、強度が高いため、ケース本体1012に対して、膨張しにくく、電池100が一定の時間動作した後、内部に化学反応が発生しても、カバープレート1011の膨張を無視することができるので、電池100の膨張前の初期厚さ又は電池100の使用前の初期厚さは、カバープレート1011の第1の方向Aに沿った寸法と略等しくてもよく、即ち、カバープレート1011の電池100の厚さ方向に沿った寸法は、電池100の厚さと略等しい。
【0055】
電池100は、一定の時間使用された後に電池100の厚さ方向で反対側に位置する2つの表面で明らかに膨張し、かつ該表面の中心に近ければ近いほど、電池100の膨張が明らかになり、この場合、電池100の各点での厚さは、一致せず、電池100の膨張後の厚さを実際に測定する場合、以下の2種類の測定方法を用いることができる。
【0056】
方法1、電池100の平均厚さを計算し、電池100のケース本体1012に一定の間隔でn個の点を任意に選択し、n個の点での厚さをそれぞれ測定し、それぞれd1、d2、d3...dnと表記し、電池100の膨張後の厚さは、d=(d1+d2+d3+...dn)/nである。該方法において、nが大きければ大きいほど、計算結果の誤差が小さく、好ましくは、n≧5である。
【0057】
方法2、電池100の膨張後の厚さは、第1の方向Aに沿って上記電池100を仮想的に挟持する2つの平行な平面の間の間隔の最小値として理解されてもよく、換言すれば、電池100の厚さ方向で対向する2つの表面の間の最大距離又は電池100の膨張が最も明らかな点での厚さを測定して、電池100の膨張後の厚さと略等しくする。実際の測定において、まず表面が平らな2つのプレート本体で第1の方向Aに沿って電池100の2つの表面をそれぞれ挟持し、2つのプレート本体が互いに平行であるように維持し、2つのプレート本体の間の距離を電池100の膨張後の厚さと表記する。
【0058】
「挟持」は、プレート本体がちょうど電池100のケース本体1012の表面に貼り付けられ、ケース本体1012に付勢力を印加せず、即ち、プレート本体とケース本体1012とが互いに押圧されないと理解すべきである。
【0059】
以上の2種類の方法は、参考までに示され、本願は、電池100の膨張後の厚さの測定方法を限定せず、実際の応用において、他の方法で測定された電池100の膨張後の厚さが上記関係式を満たせば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0060】
電極体102において、正極シート又は負極シートでの活性材料層が充放電中に膨張又は収縮するため、活性材料層からの活性材料の剥離、脱落が発生して、内部短絡の原因となる場合がある。また、上記活性材料層の膨張と収縮により、正極シートと負極シートとセパレータが密着しなくなって、リチウムイオンの物質伝達に影響を与え、電池100の内部抵抗が増加し、電池100のサイクル特性が悪くなる。したがって、活性材料層の膨張と収縮を防止するために、電池100をある程度押圧することにより活性材料層のさらなる膨張を防止することができるため、正極シート、負極シート及びセパレータが膨張の場合であっても依然として密着し、リチウムイオンの物質伝達能力に影響を与えることがなく、電池100のサイクル性能の向上に役立つ。
【0061】
したがって、隣接する電池100の間の隙間は、大きければ大きいほど良いものではなく、大きな隙間は、電池パック200のエネルギー密度の向上に寄与せず、また電池100のサイクル性能のさらなる悪化をもたらす。明らかなように、隣接する電池100の隙間を設置する場合、隣接する電池100が互いに押圧することを適当に考慮することは、電池100のサイクル性能の発揮に役立つ。
【0062】
本願に係る電池パック200では、ケース101は、開口を有するケース本体1012と、カバープレート1011とを含み、カバープレート1011は、それぞれケース本体1012の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、電極体102は、上記収容キャビティ内に位置する。
【0063】
2つの電池100の間の隙間は、2つの隣接する電池100の同一側に位置する2つのカバープレート1011の間の最小距離である第1の隙間を含み、電池100の厚さは、カバープレート1011の上記第1の方向Aに沿った寸法である。
【0064】
上記実施形態において、カバープレート1011は、強度が高いため、ケース本体1012に対して、膨張しにくく、電池100が一定の時間動作した後に、内部に化学反応が発生し、電池100が膨張して隣接する電池100を押圧し、第1の隙間が変化しても(例えば、徐々に増大する)、該変化の程度が小さく、無視することができ、或いは、変化しても、第1の隙間と電池100の厚さの比率は、依然として上記関係式を満たす。
【0065】
上記実施形態において、ケース本体1012の両端にそれぞれカバープレート1011が設置され、電池100が厚さ方向に沿って配列されて電池列201を形成する場合、2つの電池100の間の隙間は、電池100の異なる端部に位置する2つのカバープレート1011の間の間隔ではなく、電池列201の同一の端部に位置する2つのカバープレート1011の間の最小間隔を指す。
【0066】
本願のいくつかの実施形態において、ケース101は、第1の方向Aに沿って2つの対向する第1の表面を有し、2つの隣接する電池100の間の隙間は、2つの隣接する電池100のケース101の互いに対向する2つの第1の表面の間の最小間隔である第2の隙間を含み、電池100の厚さは、カバープレート1011の第1の方向Aに沿った寸法である。
【0067】
電池100の使用前の第2の隙間は、電池100の使用後の第2の隙間より大きい。
【0068】
「使用前」は、電池100の組み立てが完了した後に出荷される前、又は出荷されたが外部に電力を供給し始める前として理解されてもよく、「使用後」は、電池100が外部に電力を供給した後として理解されてもよい。例えば、電池を組み立てて電池パック200を形成し、かつ電気自動車に組み立てる場合、使用前の状態は、新車の状態として理解されてもよく、使用後の状態は、車両が一定の距離走行した後の状態であるべきである。
【0069】
該実施形態において、第2の隙間は、2つの隣接する電池100の対向する2つの第1の表面の間の最小間隔を指すべきであり、該間隔は、電池100の使用時間の増加に伴って徐々に小さくなり、主に、電池100が膨張した後、隣接する2つの大きな表面の間の間隔が徐々に小さくなるためである。
【0070】
本願に係る電池パック200では、aの値の範囲は、5.8%~17.5%であり、a<5.8%の状況が発生しにくく、これは、リチウム電池の負極SEI膜が徐々に厚くなる特性により決定され、従来の測定データによれば、a>17.5%の状況も発生しにくい。
【0071】
本発明に係る電池パック200では、電池の長さは、第2の方向Bに沿って延び、電池100の長さは、400~2500mmであり、さらに、600~1000mmであり、又は、1000mm~2000mmであり、さらに、1300mm~2200mmである。
【0072】
本願において、長さが400mmより大きい電池100により適し、電池100が膨張すると、隣接する2つの電池100のケース101が接触し、接触した部位は、電池100の内部に対して電極体102に向う圧力を印加し、現在市販の短い電池100に比べて、電池100が長ければ長いほど、隣接する電池100の間の接触部位が長く、これは、長さ方向で異なる領域において電池100が受けた内部の電極シートに向う押圧力の分布が不均一であることを引き起こしやすく、不均一な圧力分布は、電池100のリチウム析出を引き起こしやすいため、電池100に安全上の問題又は容量の大幅な減衰などの現象が発生する。
【0073】
本願のいくつかの実施形態において、ケース101内に封止された電極体102は、複数あり、複数の上記電極体102は、複数の電極体群に分けられ、電極体群は、直列接続される。
【0074】
換言すれば、ケース101内に複数の電極体群が直列接続され、各電極体群は、少なくとも1つの電極体102を含み、電池100内に電極体102を1つのみ設置する従来の方式に比べて、電池100内に複数の電極体群を設置することにより、長い電池100をより容易に製造することができる。一般的には、電池100が長いと、集電体として使用される内部の銅アルミニウム箔の長さがそれに応じて増加して、電池100の内部抵抗を大幅に増加させ、現在ますます高くなる電力及び急速充電の要件を満たすことができない。
【0075】
電池100の長さが同じである場合、ケース101の内部に複数の電極体群を設置することにより、本実施例では、電池100の内部抵抗を大幅に低下させ、高電力出力、急速充電などの場合の電池100の加熱などによる問題を回避することができる。また、電池100の容量を向上させ、電池100の製造コストを低減することができる。
【0076】
本願のいくつかの実施形態において、ケース101と電極体102との間に封止膜がさらに設置され、電極体102が上記封止膜内に封止される。
【0077】
つまり、まず電極体102を封止膜内に封止し、次に封止膜の外にケース101を嵌設することにより、電極体102に対する2次封止を実現し、電池100の封止性能を向上させる。理解できるように、封止膜内に電解液がさらに注入される。したがって、上記方式により、さらに電解液とケース101との接触を回避し、ケース101の腐食又は電解液の分解を回避することができる。
【0078】
上記解決手段において、封止膜を一体的に設置してもよく、複数の電極体102を同一の封止膜内に封止してもよく、電極体102を複数の電極体群に分け、各電極体群が少なくとも1つの電極体102を含み、同一の電極体群における複数の電極体102が並列接続され、電極体群が直列接続されることにより、電池100の容量を向上させ、製造コストを低減することができる。
【0079】
封止膜は、複数であってもよく、電極体群は、少なくとも1つの電極体102を含み、各封止膜内に1つの電極体群が封止されて電極体アセンブリを形成し、電極体アセンブリは、直列接続される。
【0080】
換言すれば、複数の電極体群の封止膜は、互いに独立し、封止膜の数と電極体群の数は、1対1に対応し、各電極体群は、1つの封止膜に単独で封止され、このような実施形態では、複数の電極体群の製造が完了した後、各電極体群の外に1つの封止膜を単独で嵌着してから、電極体アセンブリを直列接続することができる。
【0081】
いくつかの実施例において、封止膜の材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)又は多層複合膜を含んでもよい。
【0082】
例えば、封止膜が多層複合膜である場合、封止膜は、積層された非金属外層膜及び非金属内層膜を含んでもよい。内層膜は、電極体102の外周に被覆され、外層膜は、非金属内層膜に被覆され、即ち、内層膜は、外層膜と電極体102との間に位置する。
【0083】
内層膜は、化学的安定性が高く、例えば、耐電解液腐食性を有する材料、例えば、ポリプロピレンPP、ポリエチレンPE又はポリエチレンテレフタレートPETであってもよく、或いは上記材料のうちの複数種の組み合わせであってもよい。
【0084】
外層膜は、保護層であり、外層膜を利用して空気、特に水蒸気、酸素などの浸透を阻止することができ、その材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド又はポリプロピレンであってもよく、或いは上記材料の複数種の組み合わせであってもよい。
【0085】
本願の実施例において、外層膜の融点が内層膜の融点より高いため、熱融着して封止する際に、外層膜が溶融されず、内層膜がタイムリーに溶融することにより優れた封止性を保証することができる。さらに、外層膜と内層膜の融点差は、30~80℃の間にあってもよく、例えば、両者の融点差は、50℃又は70℃などであってもよく、具体的な材料について、実際の需要に応じて選択することができる。
【0086】
本願の実施例において、非金属外層膜と非金属内層膜とは、接着剤で接着して複合される。具体的な接着剤について、非金属外層膜及び非金属内層膜の性能に応じて選択することができ、例えば、PPとPET膜を複合し、両者の適合性が低く、層化しやすく、好ましくは、ポリオレフィン系接着剤で接着し、複合膜を形成する。
【0087】
別のいくつかの実施形態において、封止膜は、アルミニウムプラスチック複合膜であってもよい。
【0088】
本願において、電池100は、パウチ電池であってもよく、それに応じて、ケース101は、アルミニウムプラスチック膜であってもよく、電池100は、ハードケーシング電池であってもよく、それに応じて、ケース101は、金属ケースであり、金属ケースは、アルミニウムケース又は鋼ケースを含むが、これらに限定されない。
【0089】
本願の第2の形態に係る電池モジュールは、複数の電池100を含む電池列201を少なくとも1つ含み、上記電池100の厚さは、第1の方向Aに沿って延び、複数の上記電池100は、上記第1の方向Aに沿って順に配列されて上記電池列201を形成し、少なくとも1つの上記電池100は、ケース101と、上記ケース101内に封止された電極体102とを含み、少なくとも2つの隣接する電池100の間に隙間があり、該隙間と上記電池100の厚さとの比率は、cであり、cは、c/a=0.01~0.5という関係式を満たし、式中、aは、上記電池100の膨張率である。
【0090】
本願に係る電池モジュールでは、aは、電池100の第1の方向Aでの膨張率を表す。
【0091】
本願に係る電池モジュールでは、a=(電池100の膨張後の厚さ-電池100の膨張前の厚さ)/電池100の膨張前の厚さ×100%である。
【0092】
本願に係る電池モジュールでは、上記電池100の膨張前の厚さは、上記電池100の使用前の初期厚さであり、上記電池100の膨張後の厚さは、上記電池100の容量が初期容量の80%以下に減衰したときに測定された厚さである。
【0093】
本願に係る電池モジュールでは、上記ケース101は、開口を有するケース本体1012と、カバープレート1011を含み、上記カバープレート1011は、上記ケース本体1012の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、上記電極体102は、上記収容キャビティ内に位置し、
上記電池100の膨張前の厚さは、上記カバープレート1011の上記第1の方向Aに沿った寸法であり、
上記電池100の膨張後の厚さは、第1の方向Aに沿って上記電池100を仮想的に挟持する2つの平行な平面の間の間隔の最小値である。
【0094】
本願に係る電池モジュールでは、上記隣接する2つの電池100の間の隙間は、使用前の隣接する2つの電池100の間の隙間であり、上記電池100の厚さは、電池100の使用前の初期厚さである。
【0095】
本願に係る電池モジュールでは、上記ケース101は、開口を有するケース本体1012と、カバープレート1011とを含み、上記カバープレート1011は、上記ケース本体1012の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、上記電極体102は、上記収容キャビティ内に位置し、
上記2つの隣接する電池100の間の隙間は、上記2つの隣接する電池100の同一側に位置する2つのカバープレート1011の間の最小距離である第1の隙間を含み、上記電池100の厚さは、上記カバープレート1011の上記第1の方向Aに沿った寸法である。
【0096】
本願に係る電池モジュールでは、上記ケース101は、上記第1の方向Aに沿って2つの対向する第1の表面を有し、
上記2つの隣接する電池100の間の隙間は、上記2つの隣接する電池100のケース101の互いに対向する2つの第1の表面の間の最小間隔である第2の隙間を含み、上記電池100の厚さは、上記カバープレート1011の上記第1の方向Aに沿った寸法である。
【0097】
本願に係る電池モジュールでは、上記電池100の使用前の第2の隙間は、上記電池100の使用後の第2の隙間より大きい。
【0098】
本願に係る電池モジュールでは、aの値の範囲は、5.8%~17.5%である。
【0099】
本願に係る電池モジュールでは、上記電池100の長さは、第2の方向Bに沿って延び、400~2500mmであり、上記第2の方向Bは、第1の方向Aと異なる。
【0100】
本願に係る電池モジュールでは、上記ケース101内に封止された電極体102は、複数あり、複数の上記電極体102は、複数の電極群に分けられ、上記電極体群は、直列接続される。
【0101】
本願に係る電池モジュールでは、上記ケース101と上記電極体102との間に封止膜がさらに設置され、上記電極体102は、封止膜内に封止される。
【0102】
本願に係る電池モジュールは、耐用年数が長く、安全性能が高い。
【0103】
本願の第3の態様に係る電池パック200は、上記電池モジュールを含む。本願に係る電池パック200は、耐用年数が長く、安全性能が高く、体積利用率が高い。
【0104】
図6に示すように、本願の第5の態様に係るエネルギー蓄積装置400は、上記電池パック200を含む。
【0105】
図5に示すように、本願の第4の態様に係る車両300は、上記電池パック200を含む。
【0106】
なお、本願の説明において、別に明確な規定と限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であってもよいし、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0107】
本明細書の説明では、用語「実施例」、「具体的な実施例」、「例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0108】
本願の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【0109】
以下に、具体的な実施例を参照しながら、本願をさらに説明し、これらの実施例は、本願を説明するためのものにすぎず、本願の使用範囲を限定するものではない。
【0110】
実施例1
図1~
図4に示すように、電池パック200は、トレイ
202と、トレイ内に位置し、複数の電池100を含む電池列201とを含み、複数の電池100の厚さは、第1の方向Aに沿って延び、複数の電池100の長さは、第2の方向Bに沿って延び、複数の電池100は、第1の方向Aに沿って順に配列されて電池列201を形成し、隣接する2つの電池の間に隙間Sが設置される。
【0111】
各電池100は、アルミニウムケース101を含み、アルミニウムケース101は、両端が開口したケース本体1012と、2つのカバープレート1011とを含み、カバープレート1011は、ケース本体1012の開口に接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、電極体102は、上記収容キャビティ内に位置し、電極体102は、複数あり、各電極体は、封止膜(図示せず)内に封止され、各電極体は、電流を引き出す正極タブ1021及び負極タブ1022を含み、正極タブ1021と負極タブ1022は、それぞれ電極体の長さ方向に沿って電極体の反対側に位置する両端に設置され、複数の電極体102は、電池の長さ方向に沿って順に配列されて電極体列を形成し、隣接する2つの電極体102のうちの一方の電極体102の正極タブ1021が他方の電極体102の負極タブに電気的に接続されることにより、複数の電極体102が互いに直列接続される。
【0112】
一、電池に関連するパラメータの測定方法
(1)電池の膨張率の測定
電池パックが一定の時間動作してから、電池100のカバープレート1011の第1の方向A(電池の厚さ方向)に沿った寸法を測定し、電池の膨張前の初期厚さDと表記し、電池の厚さ方向に沿って電池を仮想的に挟持する2つの平行な平面の間の距離を測定し(明細書に記載の電池の膨張後の厚さを測定するための方法2を参照して測定する)、電池の膨張後の厚さd1と表記し、電池の膨張率a=(d1-D)/Dである。
【0113】
二、電池パックのサイクル性能の測定
25℃で、実施例と比較例の電池を0.75Cの充電レートで充電し、0.75Cの充電レートで放電し、満充電及び完全放電のサイクル測定を行い、電池パック内の各電池の容量の減衰を記録し、ある電池の容量が80%以下に低下するまで停止する。サイクル数を出力する。正極材料がリン酸鉄リチウムである場合、電圧範囲は、2.5~3.8Vであり、Ni65型のニッケルコバルトマンガンの三元系材料である場合、電圧範囲は、3~4.2Vである。
【0114】
表1には、実施例及び比較例のパラメータ及び性能の測定結果が示される。
【表1】
【0115】
表における実験データから分かるように、隣接する2つの電池の間の隙間と電池の厚さとの比率が本願で限定された範囲内にある場合、電池の耐用年数が大幅に長くされ、大きすぎても、小さすぎても、いずれも電池の容量の減衰を引き起こす。