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特許7566942リチウム二次電池用正極活物質組成物及びこれを含むリチウム二次電池
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  • 特許-リチウム二次電池用正極活物質組成物及びこれを含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極活物質組成物及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20241007BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20241007BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241007BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20241007BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241007BHJP
【FI】
H01M4/525
C01G53/00 A
H01M4/36 E
H01M4/505
H01M10/052
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023006606
(22)【出願日】2023-01-19
(62)【分割の表示】P 2020162601の分割
【原出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2023041746
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2017-0152435
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0058622
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517113750
【氏名又は名称】エコプロ ビーエム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOPRO BM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ムンホ
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ジュンウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジュンハン
(72)【発明者】
【氏名】ナム, ジヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スンウ
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-086693(JP,A)
【文献】国際公開第2008/084679(WO,A1)
【文献】特開2019-029205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/525
H01M 4/505
H01M 4/36
C01G 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表示される粒子1及び、
下記の化学式2で表示される粒子2で構成された正極活物質組成物において、
【化1】
【化2】
(上記化学式1及び2において0.6≦x1≦0.99、0.59≦x2≦0.98であり、0.5≦a1≦1.5、0.5≦a2≦1.5、0.0≦y1≦0.3、0.0≦y2≦0.3、0.0≦z1≦0.3、0.0≦z2≦0.3、0.0≦1-x1-y1-z1≦0.3、0.0≦1-x2-y2-z2≦0.3であり、
Mは、B、Ba、Ce、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
前記化学式1で表示される粒子1のサイズは、6μmを超え30μm以下であり、前記化学式2で表示される粒子2のサイズは、1μm~6μmであり、
前記x1、x2は、0.05≦x1-x2≦0.1の条件を満たし、
前記粒子2は、正極活物質組成物の総重量に対して5~20重量%の割合で混合されるものであるリチウム二次電池用正極活物質組成物。
【請求項2】
前記x1、x2は、x1-x2=0.05の条件を満たす、請求項に記載のリチウム二次電池用正極活物質組成物。
【請求項3】
請求項1による正極活物質組成物を含むリチウム二次電池。
【請求項4】
(a)下記の化学式3で表示される第1の前駆体及び化学式4で表示される第2の前駆体を製造し、混合して前駆体組成物を製造するステップと、
【化3】
【化4】
(上記化学式3及び4において0.6≦x1≦0.99、0.59≦x2≦0.98、0.0≦y1≦0.3、0.0≦y2≦0.3、0.0≦z1≦0.30.0.0≦z2≦0.3、0.0≦1-x1-y1-z1≦0.3、0.0≦1-x2-y2-z2≦0.3であり、
前記化学式3で表示される第1の前駆体粒子のサイズは、6μm~30μmであり、前記化学式4で表示される第2の前駆体粒子のサイズは、1μm~6μmであり、
Mは、B、Ba、Ce、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
前記x1、x2は、0.05≦x1-x2≦0.1の条件を満たし、
(b)リチウム化合物と前記前駆体組成物とを混合し、第1の温度で第1熱処理するステップと、
(c)前記第1熱処理した混合物を蒸溜水で水洗及び乾燥するステップと、
を含む請求項1に記載の正極活物質組成物の製造方法。
【請求項5】
前記(b)と前記(c)との間に、前記リチウム化合物と前記前駆体組成物混合物にB、Ba、Ce、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1種以上の元素を混合し、第2の温度で第2熱処理するステップを含む請求項に記載の正極活物質組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用正極活物質組成物及びこれを含むリチウム二次電池に関し、より詳細には、Ni組成及びサイズが異なるが、熱処理温度を同一に製造した粒子の混合物からなるリチウム二次電池用正極活物質組成物及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池、この中で、リチウム二次電池は、モバイル機器、ノートブックコンピュータなどの小型先端電子機器分野で広く使用されている。中大型電池開発もなされているが、特に、電気自動車(EV)の普及により、高容量の電気化学的に安定したリチウム二次電池の開発が進行中である。
【0003】
リチウム二次電池の構成要素のうち、正極活物質は、電池内で電池の容量及び性能を左右するのに重要な役割をする。
【0004】
二次電池の製造会社では、正極活物質の平均粒度及び粒度分布最適化に基づいて、正極板の合剤密度を向上させて二次電池の容量を高めている。
【0005】
正極活物質では、優れたサイクル特性など、諸物性が相対的に優れたリチウムコバルト酸化物(LiCoO)が主に使用されているが、LiCoOに用いられるコバルトは、いわゆる、希少金属と呼ばれる金属であり、埋蔵量が少なく、生産地が偏在されており、供給の面で不安定な問題がある。また、このようなコバルトの供給不安定及びリチウム二次電池の需要増加のため、LiCoOは高価であるという問題がある。
【0006】
このような背景において、LiCoOを代替できる正極活物質に対する研究が着実に進まれており、LiMnO、スピネル結晶構造のLiMnなどのリチウム含有マンガン酸化物と、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)の使用も考慮されたが、LiNiOは、それの製造方法による特性上、合理的な費用で実際の量産工程に適用するのに困難があり、LiMnO、LiMnなどのリチウムマンガン酸化物は、サイクル特性などが悪いという短所を有している。
【0007】
これにより、最近には、代表的な代替物質として、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)のうち、2種以上の遷移金属を含むリチウム複合遷移金属酸化物またはリチウム遷移金属リン酸化物を正極活物質として用いる方法が研究されており、特に、Ni、Mn、Coの3成分系の層状酸化物を使用することに関する研究が着実に進まれてきた。
【0008】
一方、正極活物質のエネルギー密度を高めるためには、大粒子と小粒子とを適宜混合して密度を増加させることが有利である。大粒子と小粒子とは、ニッケル(Ni)の含量によってそれぞれの最適熱処理温度を有しているが、小粒子は、比表面積が大粒子より広いので、相対的に低い熱処理温度でも多くのリチウム(Li)を吸収できる。しかし、小粒子の最適容量を発現する温度区間は、大粒子より低い。
【0009】
また、混合組成物において最適の性能を出す温度区間は、混合割合の高い大粒子の温度に依存するため、相対的に混合割合の低い小粒子は、混合組成物において最適の性能を出すことが難しかった。
【0010】
したがって、大粒子と小粒子との最適温度を同時に満たすことができる正極活物質の開発が必要な実情である。
【0011】
これにより、本発明者らは、上記従来技術等の問題点を克服するために、鋭意研究努力した結果、大粒子及び小粒子のNi組成と混合組成物において小粒子の割合を調節したリチウム二次電池用正極活物質組成物の場合、大粒子及び小粒子のNiの組成を調節して熱処理温度を最適化することにより、出力及び寿命が向上した混合組成物を製造できることを確認し、本発明を完成するようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2014-0098433
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために、サイズの異なる粒子が混合された正極活物質組成物において、粒子のサイズによって組成を異なるようにする新しい正極活物質組成物を提供することを目的とする。
【0014】
本発明はさらに、前記正極活物質を含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記のような課題を解決するために、
下記の化学式1で表示される粒子1及び、
下記の化学式2で表示される粒子2で構成された正極活物質組成物において、
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
(上記化学式1及び2において0.6≦x1≦0.99、0.59≦x2≦0.98であり、0.5≦a1≦1.5、0.5≦a2≦1.5、0.0≦y1≦0.3、0.0≦y2≦0.3、0.0≦z1≦0.3、0.0≦z2≦0.3、0.0≦1-x1-y1-z1≦0.3、0.0≦1-x2-y2-z2≦0.3であり、
Mは、B、Ba、Ce、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
前記x1、x2は、0.01≦x1-x2≦0.4の条件を満たす正極活物質を提供する。
【0019】
従来、大粒子及び小粒子の混合組成物において大粒子及び小粒子が最適容量を発現する温度区間が異なり、混合割合の高い大粒子の温度区間に依存するため、混合組成物において小粒子の最適の性能を発揮することが難しかった。
【0020】
したがって、本発明者らは、大粒子と小粒子のニッケル(Ni)組成を調節して大粒子及び小粒子の最適容量を調節しつつ、大粒子及び小粒子の熱処理温度も同様にすることができるようにして、これにより、出力及び寿命が向上したリチウム二次電池を製造できることを確認し、本発明を完成するようになった。
【0021】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質組成物において、前記x1、x2は、0.01≦x1-x2≦0.4の条件を満たすことを特徴とする。
【0022】
すなわち、本発明のリチウム二次電池用正極活物質組成物において、前記粒子2のNi組成は、粒子1のNi組成より1~40%低いことを特徴とし、好ましくは5~40%低いことを特徴とする。
【0023】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質組成物において、前記粒子2の割合が混合組成物の総重量に対して1~40重量%であることを特徴とし、好ましくは5~40重量%であることを特徴とする。
【0024】
本発明の一実験例によれば、混合組成物において小粒子の割合による最適容量発現を確認した結果、小粒子のNi組成が大粒子より5%低く、小粒子の割合が20~40%であるとき、最適の容量が発現されたことに対し、小粒子の割合が20モル%であっても小粒子のNi組成が大粒子と同一であるか、10モル%低い場合には、最適の容量が発現されることができなかった。
【0025】
また、小粒子のNi組成が大粒子より5%低く、小粒子の割合が20%であるとき、出力特性及び寿命特性が向上したことを確認した。このような結果は、大粒子に対して小粒子のNi組成と全体粒子で混合される小粒子の割合が全て満たされてはじめて、混合組成物において最適の容量を発揮でき、出力特性及び寿命特性が改善され得ることを意味する。
【0026】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質組成物において、前記化学式1で表示される粒子1のサイズは、6μm~30μmであり、前記化学式2で表示される粒子2のサイズは、1μm~6μmであることを特徴とする。
【0027】
前記本願発明に係る化学式1で表示される粒子1のサイズと化学式2で表示される粒子2のサイズとは、粒度測定機で分析されたD50値を表す。
【0028】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質組成物において、前記リチウム二次電池用正極活物質組成物の全体平均Niのモル分率が60~99%であることを特徴とする。
【0029】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質組成物において、本発明に係る正極活物質の大粒子及び小粒子の最適容量発現温度は、860~720℃であることを特徴とする。
【0030】
本発明の一実験例によれば、1次熱処理品のニッケル含量による最適容量発現温度を確認した結果、ニッケルの含量によって1次熱処理品の最適性能を発現する温度が変わることを確認した。また、小粒子のニッケル含量が大粒子のニッケル含量より5%低いとき、大粒子及び小粒子の最適容量発現温度が類似していることを確認した。このような結果は、小粒子のニッケル含量を調節して最適容量発現温度を大粒子の最適容量発現温度と類似するようにすることで、第1熱処理温度を同様にし、その結果、小粒子の最適性能を最も発揮できることを意味する。
【0031】
本発明はさらに、前記正極活物質組成物を含むリチウム二次電池を提供する。
【0032】
本発明はさらに、
下記の化学式3で表示される第1の前駆体及び化学式4で表示される第2の前駆体を製造し、混合して前駆体組成物を製造するステップと、
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
(上記化学式3及び4において0.6≦x1≦0.99、0.59≦x2≦0.98、0.0≦y1≦0.3、0.0≦z1≦0.3、0.0≦1-x1-y1-z1≦0.3、0.0≦y2≦0.3、0.0≦z2≦0.3、0.0≦1-x2-y2-z2≦0.3であり、
Mは、B、Ba、Ce、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
リチウム化合物と前記前駆体組成物とを混合し、第1の温度で第1熱処理するステップと、
前記混合物にB、Ba、Ce、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1種以上の元素を混合し、第2の温度で第2熱処理するステップとを含む本発明による正極活物質組成物の製造方法を提供する。
【0036】
本発明による正極活物質組成物の製造方法は、前記2次熱処理した混合物を蒸溜水で水洗及び乾燥するステップをさらに含むことが可能である。
【0037】
本発明による正極活物質組成物の製造方法は、粒子サイズ及びNi含量の異なる第1の前駆体及び第2の前駆体を各々製造し、前記第1の前駆体及び第2の前駆体を混合した後、第1の前駆体及び第2の前駆体を同じ温度で第1熱処理することを特徴とする。
【0038】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質組成物において、本発明に係る正極活物質の大粒子及び小粒子の最適容量発現温度は、860~720℃であることを特徴とする。
【0039】
本発明において正極活物質のニッケル含量による最適容量発現温度を確認した結果、ニッケルの含量によって熱処理品の最適性能を発現する温度が変わり、サイズの小さい粒子のニッケル含量がサイズの大きい粒子のニッケル含量より5%低いとき、サイズの大きい粒子及びサイズの小さい粒子の最適容量発現温度が類似していることを確認した。
【0040】
これから本発明は、サイズの小さい粒子のニッケル含量を調節して、最適容量発現温度をサイズの大きい粒子の最適容量発現温度と類似するようにすることで、第1の前駆体及び第2の前駆体を同じ温度で第1熱処理し、サイズの小さい粒子も最適容量を発揮して正極活物質組成物が最適性能を最も発揮できるようにすることを特徴とする。
【0041】
本発明による正極活物質組成物の製造方法において、前記x1、x2は、0.01≦x1-x2≦0.4の条件を満たすことを特徴とする。
【0042】
本発明による正極活物質組成物の製造方法において、前記前駆体組成物を混合するステップでは、前記第2の前駆体は、前駆体組成物の総重量に対して5~40重量%の割合で混合されることを特徴とする。
【0043】
本発明による正極活物質組成物の製造方法において、前記化学式3で表示される第1の前駆体粒子のサイズは、6μm~30μmであり、前記化学式4で表示される第2の前駆体粒子のサイズは、1μm~6μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係るリチウム二次電池用正極活物質組成物は、サイズの異なる粒子の混合物からなり、サイズの大きい粒子のNi組成に対してサイズの小さい粒子のNi組成及び混合物全体組成物に対するサイズの小さい粒子の混合割合を調節することにより、最適容量発現温度を類似して調節でき、これにより、出力及び寿命が向上したリチウム二次電池を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】熱処理温度による本発明の正極活物質の放電容量を確認した結果を示した図である。
図2】本発明の正極活物質(実施例1)をSEMで撮影した写真である。
図3】本発明の混合組成物を含むリチウム二次電池の最適容量発現を確認した結果を示した図である。
図4】本発明の混合組成物を含むリチウム二次電池の出力特性を確認した結果を示した図である。
図5】本発明の混合組成物を含むリチウム二次電池の寿命特性を確認した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであるから、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されることとは解釈されない。
【0047】
製造例:正極活物質の製造
正極活物質を製造するために、まず、共沈反応によってNiCoMn(OH)で表示される前駆体を製造した。前駆体のNi組成は、下記の表1のようにして製造した。
【0048】
【表1】
【0049】
製造された前駆体にLiOHまたはLiCOのリチウム化合物を添加して、N、O/(1~100LPM)の存在下に1℃/min~20℃/minの昇温速度で4~20時間の間(維持区間基準)1次熱処理後、Alを含む化合物を0~10mol%混合して2次熱処理し、リチウム二次電池用正極活物質を製造した。
【0050】
次に、蒸溜水を用意し、蒸溜水を5~40℃に一定に維持した後、前記製造されたリチウム二次電池用正極活物質を蒸溜水に投入して温度を維持させつつ、0.1時間~10時間の間水洗した。
【0051】
水洗された正極活物質をフィルタプレス(filter press)後、50~300℃で3~24時間の間乾燥した。
【0052】
実験例1:最適容量発現温度及び放電容量の確認
製造例1~12の粒子に対する最適容量を発現する1次熱処理温度を確認する実験を進めた。
【0053】
また、製造された粒子を含む電池を製造して容量を測定し、その結果は、下記の表2及び図1に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
その結果、上記表2及び図1において確認できるように、小粒子のNi含量が大粒子より約5%低いとき、小粒子の最適容量を発現する1次熱処理温度が大粒子と類似していることが分かる。
【0056】
比較例1~4、及び実施例1~6:混合正極活物質組成物の製造
下記の表3のNi組成によって前駆体を先に製造した。次に、前記で製造された前駆体にLiOHまたはLiCOのリチウム化合物を添加して、N、O/(1~100LPM)の存在下に1℃/min~20℃/minの昇温速度で4~20時間の間(維持区間基準)1次熱処理後、Alを含む化合物を0~10mol%混合して2次熱処理し、リチウム二次電池用正極活物質を製造した。
【0057】
次に、蒸溜水を用意し、蒸溜水を5~40℃に一定に維持した後、前記製造されたリチウム二次電池用正極活物質を蒸溜水に投入して温度を維持させつつ、0.1時間~10時間の間水洗した。
【0058】
水洗された正極活物質をフィルタプレス(filter press)後、50~300℃で3~24時間の間乾燥した。
【0059】
【表3】
【0060】
実験例2:正極活物質のSEM測定
上記実施例において製造された全ての正極活物質(実施例1)の粒子サイズを確認するために、電子走査顕微鏡(SEM)で粒子を観察し、その結果を図2に示した。
【0061】
製造例:電池の製造
下記の混合正極活物質組成物を含む電池を製造した。
1)正極スラリ製造[5g基準]及び極板製作
活物質94wt.%、導電剤(super-P)3wt.%、バインダー(Binder)(PVDF)3wt.%を4.7g:0.15g:0.15gの割合でオートーミキサー(Auto Mixer)を利用して1900rpm/10min混合する。次に、Al-foil[15μm]に塗布後、マイクロフィルムアプリケータ(Micro film-applicator)で押して製作する。製作した後、135℃のドライオーブン(Dry-oven)で4時間の間乾燥する。
2)コインセル(Coin-cell)製作
正極としてコーティング極板を単位面積2cmでパンチングして用意し、負極としてリチウムメタルホイル(lithium metal foil)を、分離膜としてW-Scope-20μmポリプロピレンを、電解液としてin EC/EMC=7/3の組成を有する1.15M LiPFを使用する。また、コインセルサイズ(Coin-cell size)は、CR2016、CR2032 typeを使用して、通常の方法にてアルゴンフィルドグローブボックス(Argon-filled glove box)で組立製作する。
【0062】
実験例3:混合組成物において小粒子の割合による最適容量発現確認
上記実施例1~6及び、比較例1及び4のコインセルの最適容量発現を確認し、その結果を下記の表4及び図3に示した。
【0063】
【表4】
【0064】
上記表4及び図3において確認できるように、小粒子のNi組成が大粒子より5%低く、混合組成物において小粒子の割合が20%であるとき、最適の容量が発現されることを確認した。
【0065】
実験例4:大小粒混合組成物の出力特性確認
上記実施例1~6及び比較例1及び4のコインセルの出力特性を確認し、その結果を下記の表5及び図4に示した。
【0066】
【表5】
【0067】
実験例5:大小粒混合組成物の寿命特性
上記実施例1~6及び、比較例1及び4のコインセルの寿命特性を確認し、その結果を下記の表6及び図5に示した。
【0068】
【表6】
【0069】
その結果、上記表6及び図5において確認できるように、実施例2の寿命が最も高いということが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5