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▶ ベーペーヴェー ベルギッシェ アクセン コマンディットゲゼルシャフトの特許一覧

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  • 特許-ブレーキドラム及び車両ドラムブレーキ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ブレーキドラム及び車両ドラムブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/10 20060101AFI20241007BHJP
   B60B 35/02 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F16D65/10
B60B35/02 L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023008033
(22)【出願日】2023-01-23
(65)【公開番号】P2024078364
(43)【公開日】2024-06-10
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】10 2022 131 527.4
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501200480
【氏名又は名称】ベーペーヴェー ベルギッシェ アクセン コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BPW BERGISCHE ACHSEN KOMMANDITGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ジーベル
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジーモン
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-343612(JP,A)
【文献】登録実用新案第3112448(JP,U)
【文献】実開昭58-182010(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
B60B 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状に構成され、内側に円筒状のブレーキ面を備えるドラム筐体(11)と、前記ドラム筐体(11)の端面に構成されたフランジ(12)とを含む、車両ドラムブレーキのブレーキドラム(10)であって、前記フランジ(12)は、ホイールボルト(25)の挿通のために、穴軸(31)を有する複数のボルト穴(30)を備え、前記穴軸(31)は共通の穴円の上に配置され、前記フランジ(12)はそのフランジ内面(17)に、それぞれの前記ホイールボルト(25)の拡張されたボルト頭部(26)のための平坦な当接面を各々の前記ボルト穴(30)の周りに備える、ブレーキドラムにおいて、
それぞれの前記当接面は前記フランジ内面(17)にある凹部(35)の平坦な底面(33)として構成され、それぞれの前記凹部(35)は、前記穴軸(31)を中心として案内された、前記穴軸(31)に対する間隔が変動している輪郭(40)によって区切られ
前記輪郭(40)は、直線状の輪郭区域(41)と、前記直線状の輪郭区域(41)の端部にそれぞれ後続する円弧区域(42,43)と、両方の前記円弧区域(42,43)をつなぐ弧状区域(45)とが組み合わされてなり、
前記直線状の輪郭区域(41)は、前記円弧区域(42,43)に対して前記穴軸(31)に向かって凸形状となっていることを特徴とする、ブレーキドラム(10)
【請求項2】
記弧状区域(45)が円弧区域として構成されることを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項3】
記弧状区域(45)の半径中心点は前記穴軸(31)に位置することを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項4】
記弧状区域(45)の半径(R)は両方の前記円弧区域(42,43)の半径rの2.5倍から6倍、好ましくは3倍から5倍であることを特徴とする、請求項または請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項5】
記輪郭(40)の高さは前記底面(33)のレベルに対して変動しており、前記高さの最大値は前記直線状の輪郭区域(41)に存在することを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項6】
ルト頭部を有するホイールボルト(25)を含み、前記ホイールボルト(25)は前記ボルト穴(30)に挿通され、又は前記ボルト穴(30)への挿通のために構成され、前記ボルト頭部(26)はそれぞれ円周の大半の部分で円形の構成部(28)を有するとともにその他の円周に平坦部(27)を有し、前記平坦部(27)と前記円形の構成部(28)との間にエッジ領域(29)が形成され、それにより、前記ホイールボルト(25)が組み付けられたときにそれぞれの前記平坦部(27)がそれぞれの前記直線状の輪郭区域(41)に沿って延びるか、又は、前記エッジ領域(29)のうちの1つが両方の前記円弧区域(42,43)のうちの一方に対して作用することを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項7】
記フランジ(12)は前記ドラム筐体(11)の端面からフランジ内側縁部(51)まで延び、前記凹部(35)の回転位置は、前記凹部(35)の前記直線状の輪郭区域(41)が前記フランジ内側縁部(51)に沿って延びるようになっていることを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項8】
記フランジ(12)は前記凹部(35)がある円周区域にそれぞれ1つの材料肉厚部(53)を有し、前記材料肉厚部(53)の内側縁部がフランジ内側縁部(51)を形成し、前記材料肉厚部(53)の外側縁部がそれぞれの前記凹部(35)の前記直線状の輪郭区域(41)を形成することを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項9】
記フランジ(12)は、前記ドラム筐体(11)と反対を向くフランジ外面(16)をもって、車両軸に関して回転可能なホイールハブ(20)に対して取付可能であることを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項10】
れぞれの前記凹部(35)は前記フランジ内面(17)にフライス加工されることを特徴とする、請求項に記載のブレーキドラム(10)
【請求項11】
レーキバックプレートと、前記ブレーキバックプレートに可動に支承されたブレーキジョー(15)と、請求項に記載のブレーキドラム(10)とを有し、前記ブレーキジョー(15)は作動時にブレーキ面と協同作用する、車両ドラムブレーキ(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に商用車両のためのブレーキドラム、及びブレーキドラムを有する車両ドラムブレーキに関し、ブレーキドラムはカップ状に構成されており、内側に円筒状のブレーキ面を備えるドラム筐体と、ドラム筐体の端面に構成されたフランジとを有する。フランジは、ドラム筐体と反対を向くフランジ外面をもって、車両軸に関して回転可能なホイールハブに対して取付可能であってよい。さらにブレーキドラムの構成は、フランジが、複数の穴軸を有するボルト穴をホイールボルトの挿通のために備え、これらの穴軸が共通の穴円の上に配置されるようになっている。フランジはそのフランジ内面に、それぞれのホイールボルトの拡張されたボルト頭部のための平坦な当接面を各々のボルト穴の周りに備えている。
【背景技術】
【0002】
後に公開された出願人のドイツ特許出願公開第102022106232A1号明細書には、このようなブレーキドラムを有するドラムブレーキが示されている。このような種類のブレーキは、内側にブレーキ面を備えるドラム筐体と、ドラム筐体の端面のフランジとが組み合わされてなるカップ状のドラム本体を有するブレーキドラムを利用する。フランジはそのフランジ外面をもってホイールハブに対して、ないしは車両のホイールハブフランジに対して、取付可能である。ブレーキドラムの取付は、車両ホイールのホイールボルトを用いて行われる。ホイールボルトの挿通のために、ブレーキドラムのフランジは複数のボルト穴を備えていて、これらのボルト穴の穴軸が共通の穴円の上に配置される。フランジ内面には、ホイールボルトのための平坦な当接面が各々のボルト穴の周りにある。この当接面にホイールボルトが、その拡張されたボルト頭部をもって支持される。
【0003】
ホイールボルトが回転しないよう固定するために、ボルト頭部はその円周の大半の部分で円形に構成され、その他の円周では平坦部として構成される。ホイールボルトが組み付けられたとき、平坦部は、ブレーキドラムのフランジに構成された面に僅少な間隔をもって向かい合い、それにより、付属のホイールナットのねじ嵌めや締付をしている間にホイールボルトが一緒に回転することが排除される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、周知の従来技術を好ましく改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
解決をするために、冒頭に述べた構成要件を有するブレーキドラムないし車両ドラムブレーキにおいて、それぞれの当接面がフランジ内面にある凹部の平坦な底面として構成され、それぞれの凹部は穴軸を中心として案内される特に閉じた輪郭によって区切られ、穴軸に対する該輪郭の間隔が変動していることが提案される。
【0006】
すなわち、ボルト頭部を支持する当接面は、ブレーキドラムのフランジにそのフランジ内面で特にフライス加工された凹部の平坦な底面である。凹部はフライス加工のときに生じる輪郭によって包囲され、それに伴って、その広がりに関して区切られる。この輪郭はボルト穴の周囲で案内されるが、ただし、穴軸に対する輪郭の径方向間隔は円周全体にわたって等しいのではなく、当該間隔が変動している。
【0007】
この輪郭は、直線状の輪郭区域と、その両端部の円弧区域と、これらの円弧区域をつなぐ弧状区域とが組み合わされてなるのが好ましい。
【0008】
弧状区域の半径Rが両方の円弧区域の半径rの2.5倍から6倍、好ましくは3倍から5倍である実施形態が好ましい。このとき両方の円弧区域の半径rは、凹部の製作のために使用されるフライス工具の半径に等しい。
【0009】
輪郭の高さが底面のレベルに対して変動していてよく、高さの最大値は直線状の輪郭区域に存在するのがよい。
【0010】
さらに、ボルト頭部を有するホイールボルトが設けられ、ホイールボルトがボルト穴に挿通され、又はボルト穴への挿通のために構成され、ボルト頭部がそれぞれ円周の大半の部分で円形の構成部を有するとともにその他の円周に平坦部を有し、平坦部と円形の構成部との間にエッジ領域が形成され、さらに、ホイールボルトが組み付けられたときにそれぞれの平坦部がそれぞれの直線状の輪郭区域に沿って延び、又は、さらにエッジ領域のうちの1つが両方の円弧区域のうちの一方に対して作用すると好ましい。それにより、簡易でありながら機能信頼度の高い方式で、ホイールナットを締め付けるときのホイールボルの回り止めが実現される。
【0011】
さらに、ブレーキドラムのフランジはドラム筐体の端面からフランジ内側縁部まで延び、凹部の回転位置は、凹部の直線状の輪郭区域がフランジ内側縁部に沿って延びるようになっていることが提案される。
【0012】
ブレーキドラムのフランジは、凹部がある円周区域に、それぞれ1つの材料肉厚部を有していると好ましい場合があり、材料肉厚部の内側縁部がフランジ内側縁部を形成し、材料肉厚部の外側縁部がそれぞれの凹部の直線状の輪郭区域を形成する。
【発明の効果】
【0013】
冒頭に述べた課題は、ブレーキバックプレートと、ブレーキバックプレートに可動に支承されたブレーキジョーと、本発明によるブレーキドラムとを有する、特に商用車両のための車両ドラムブレーキによっても解決され、ブレーキジョーは作動時にブレーキ面と協同作用する。図面には、以下の説明が対象とする実施例が掲げられている。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、車両ドラムブレーキをドラム回転軸における縦断面で示す図である。
図2図2は、図1にマーキングされている詳細部「II」を、拡大した縮尺で示す図である。
図3図3は、図2に示すホイールボルトを示す平面図である。
図4a図4aは、ブレーキドラムの内側にフライス加工によって形成される凹部を示す平面図である。
図4b図4bは、凹部に設けられたボルト頭部を含む、図4aに相当する平面図である。
図5図5は、縦断面で示されたブレーキドラムの内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び2は、商用車両又は商用車両トレーラーのための車両ドラムブレーキ5を示している。ドラムブレーキ5は、カップ状のドラム本体の形態のブレーキドラム10を備えている。ドラム本体は、内側にブレーキ面を備えるドラム筐体11と、ドラム筐体11の端面にあるフランジ12とで構成されており、ブレーキバックプレート50に配置された2つのブレーキジョー15を、制動のためにドラム筐体に向かって内側から拡張させることができる。フランジ12はそのフランジ外面16をもって、車両軸上で回転可能なホイールハブ20に対して、又はホイールハブ20のハブフランジに対して、取り付けられている。ホイールハブへのブレーキドラム10のこのような取付は、車両ホイールのホイールボルト25を用いて行われる。したがってこの取付は、ホイール側のボルト端部でホイールナットにより固定されてそれぞれの車両ホイールもホイールハブ20に取り付ける、同一のねじ付きボルトによって行われる。
【0016】
ホイールボルト25の挿通のために、ブレーキドラム10のフランジ12は複数のボルト穴30を備えていて、これらのボルト穴の穴軸31はすべて共通の穴円の上に配置されている。フランジ内面17には、ホイールボルト25のための平坦な当接面が各々のボルト穴30の周りにある。この当接面にホイールボルト25が、径方向に拡張されたそのボルト頭部26の下面をもって支持される。
【0017】
特に図2から明らかとなるように、ホイールボルト25がその拡張されたボルト頭部26の下面をもって支持される当接面は、凹部35の平坦な底面33である。凹部35は、フライス工具によってフランジ12のフランジ内面17にフライス加工された構造である。
【0018】
凹部35の製作のために利用されるフライス工具は、フライス回転軸に対して横向きに配置された平坦な端面を有しており、並びに、好ましくは円筒状である筐体面を有している。フライス回転軸は、フライスプロセス中に常に穴軸31に対して平行にアライメントされる。
【0019】
最初に、フライス工具が長手方向の送りをもってフランジ内面17へと向かう方向に駆動され、この送りは、製作されるべき底面33の平面に工具の端面が達したときに終了する。次いで、工具のさらなる加工運動が横方向運動としてのみ、かつ長手方向運動なしに行われる。このとき工具の端面が平坦な底面33を削り、その間に、同時に工具の筐体面が横方向への凹部35の広がりを形成して規定する。次いで、工具が長手方向運動によって引き戻される。
【0020】
特に図3から明らかとなるように、ボルト頭部26はその円周の大半の部分に円形の構成部28を有している。さらに、ボルト頭部26の半径を縮小する平坦部27が設けられている。平坦部27は平たくなっていて、割線のような形式で構成されている。平坦部27と円形の構成部28との間にある移行領域には、エッジ領域29が形成されている。付属のホイールナットが装着、ねじ嵌め、及び締付けされている間にホイールボルト25が一緒に回転することを排除するために、ボルト頭部26がその平坦部27をもって、又はその両方のエッジ領域29のうちの一方をもって、凹部35の内壁に、ないしは凹部35により形成される輪郭40に、支持される。
【0021】
図4aは、ブレーキドラム10の内側に構成された凹部35を穴軸31に沿って見た図面を示している。凹部35は、ボルト穴30の穴軸31の周りを案内される輪郭40によって包囲され、それに伴って、その広がりに関して区切られている。ただし、穴軸31に対する輪郭40の径方向の間隔は円周全体にわたって等しいのではなく、この間隔は変動している。
【0022】
さらに図4aは、製作された輪郭40が、直線状の輪郭区域41と、直線状の輪郭区域41の両端部にある円弧区域42,43と、円弧区域42,43をつなぐ弧状区域45とが組み合わされてなることを示している。両方の円弧区域42,43の半径rは、フライス工具の半径に等しい。弧状区域45の半径Rは、円弧区域42,43の半径rよりも明らかに大きく、たとえば円弧区域42,43の半径rの2.5倍から6倍である。
【0023】
両方の円弧区域42,43の半径rは、ボルト穴30のラジアスないし半径に等しいか、これよりも小さいか、又はこれよりも大きくてよい。図4では、円弧区域42,43の半径rはボルト穴30のラジアスないし半径よりも若干小さい。
【0024】
好ましくは同じく円弧状の弧状区域45の半径中心点は穴軸31と一致するのが好ましく、弧状区域45の半径Rは、ボルト穴30のラジアスないし半径の1.5倍から2.5倍であるのが好ましい。
【0025】
図4aでは、直線状の輪郭区域41と両方の円弧区域42,43との間の移行部がどのように構成され得るかについて、2通りの異なる態様が図示されている。
【0026】
一方では、直線状の区域41が接線上で、すなわち屈曲や段差なしに、両方の円弧区域42,43へと移行することが考えられる;このような直線状の輪郭区域41´が図4Aに破線で示されている。このような構成が好ましいのは、それぞれのホイールボルト25を回り止めするために、平坦部27が直線状の輪郭区域41に少なくともほぼ平面状に当接する場合である。
【0027】
他方では、直線状の輪郭区域41が両方の円弧区域42,43に比べて穴軸31に向かって若干、図4aでは寸法aだけ、引き込まれていることが考えられる;このような直線状の輪郭区域41”が、図4aでは実線として示されている。それにより、直線状の輪郭区域41”と両方の円弧区域42,43との間の移行領域に、2つのエッジ領域46が形成される。このような構成が好ましいのは、それぞれのホイールボルト25の回り止めのために、平坦部27と直線状の輪郭区域41”との間に比較的多くの空気が存在しており、そのために、付属のホイールナットのねじ嵌めと締付けのとき、それぞれのエッジ領域29が輪郭40に当接するまで、ボルト頭部26の回転がそのボルト軸ないし穴軸31を中心として生じる場合である。
【0028】
このような状況が図4bに例示として示されている。その場合、回り止めをするために、それぞれのボルト頭部26のそれぞれのエッジ領域29が、好ましくは直線状の輪郭区域41”に対してではなく、直線状の輪郭区域41”の近傍に位置する、それぞれの円弧区域42,43の領域に対して作用する。それにより、ねじ頭26と輪郭40との間で純粋に線状の当接が生じるのではなく、少なくとも限定的な平面状の当接が好ましく生じることを実現することができる。平面状の当接は、材料での応力ピークが回避されるという利点がある。
【0029】
凹部35のフライス加工される深さ、及びこれに伴う底面33のレベルと比べたときの輪郭40の高さは、輪郭40の円周に沿って変動することができる。輪郭40の高さがその最大値を有するのは、直線状の輪郭区域41であるのがよい。というのもこの領域では、ホイールボルトの平坦部27が凹部35の直線状の輪郭区域41に間隔なしに、又は僅少な間隔をもって、向かい合うことによって、すでに述べたホイールボルト25の回り止めが行われるからである。
【0030】
ブレーキドラム10のフランジ12の内面の部分図を、3つのボルト穴30を含めて示す図5では、ブレーキドラムのフランジ12は、ドラム筐体11の端面からフランジ内側縁部51まで延びている。明らかに見ることができるフライス加工された3つの凹部35の回転位置は、凹部35の直線状の輪郭区域41がフランジ内側縁部51に対して僅少な間隔で延びるようになっている。中央のボルト穴にボルト頭部26が示されていて、その平坦部27が直線状の輪郭区域41に当接しており、ないしは、そのエッジ領域29がそれぞれの円弧区域43に対して作用する。図5からさらに明らかなように、それぞれのボルト頭部26の外側輪郭は、区域41,42,43及び45を有するそれぞれの凹部35の輪郭40に実質的に相当し、ないしはこれと平行に延びる。
【0031】
凹部35が存在している円周区域では、フランジ12がそのフランジ内側縁部51にそれぞれ1つの材料肉厚部53を有している。材料肉厚部53の内側縁部は、フランジ内側縁部51の対応する円周区域を形成し、材料肉厚部53の外側縁部は、それぞれの凹部35の直線状の輪郭区域41を形成する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5