(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
A63F 1/06 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
(21)【出願番号】P 2023013098
(22)【出願日】2023-01-31
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2022014290
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158177(WO,A1)
【文献】特開2014-225046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームテーブルにおける管理システムであって、
前記ゲームテーブルは、ディーラのゲーミングチップを収容するためのチップトレイと、ゲームにベットするゲーミングチップを置くためのベットエリアと、前記ベットエリア及び前記チップトレイとは別の回収エリア及び払出エリアとを備え、
ゲームに負けて回収されるゲーミングチップのRFIDタグを前記回収エリアで読み取るための回収読取手段と、
ゲームに勝ったプレイヤに払い出すゲーミングチップのRFIDタグを前記払出エリアで読み取るための払出読取手段と、
を備
え、
前記回収読取手段は、前記回収エリアに設置された回収アンテナと、前記回収アンテナを制御して前記回収アンテナで受信した信号をデコードする回収読取装置とからなり、
前記払出読取手段は、前記払出エリアに設置された払出アンテナと、前記払出アンテナを制御して前記払出アンテナで受信した信号をデコードする払出読取装置とからなり、
前記回収読取装置と前記払出読取装置とは、それぞれ独立したタイミングで読取りを行う、
管理システム。
【請求項2】
RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームテーブルにおける管理システムであって、
前記ゲームテーブルは、ディーラのゲーミングチップを収容するためのチップトレイと、ゲームにベットするゲーミングチップを置くためのベットエリアと、前記ベットエリア及び前記チップトレイとは別の回収エリア及び払出エリアとを備え、
ゲームに負けて回収されるゲーミングチップのRFIDタグを前記回収エリアで読み取るための回収読取手段と、
ゲームに勝ったプレイヤに払い出すゲーミングチップのRFIDタグを前記払出エリアで読み取るための払出読取手段と、
を備え、
前記回収読取手段は、前記回収エリアに設置された回収アンテナと、前記回収アンテナを制御して前記回収アンテナで受信した信号をデコードする回収読取装置とからなり、
前記払出読取手段は、前記払出エリアに設置された払出アンテナと、前記払出アンテナを制御して前記払出アンテナで受信した信号をデコードする払出読取装置とからなり、
前記回収読取装置と前記払出読取装置とは同一の装置である、
管理システム。
【請求項3】
前記同一の装置は、前記回収アンテナと前記払出アンテナとを交互に用いて、前記回収エリアと前記払出エリアの読取りを交互に行う、請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームテーブルにおける管理システムであって、
前記ゲームテーブルは、ディーラのゲーミングチップを収容するためのチップトレイと、ゲームにベットするゲーミングチップを置くためのベットエリアと、前記ベットエリア及び前記チップトレイとは別の回収エリア及び払出エリアとを備え、
ゲームに負けて回収されるゲーミングチップのRFIDタグを前記回収エリアで読み取るための回収読取手段と、
ゲームに勝ったプレイヤに払い出すゲーミングチップのRFIDタグを前記払出エリアで読み取るための払出読取手段と、
を備え、
前記回収読取手段は、前記回収エリアに設置された回収アンテナと、前記回収アンテナを制御して前記回収アンテナで受信した信号をデコードする回収読取装置とからなり、
前記払出読取手段は、前記払出エリアに設置された払出アンテナと、前記払出アンテナを制御して前記払出アンテナで受信した信号をデコードする払出読取装置とからなり、
前記回収アンテナが前記払出エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取ることを制限するジャミングアンテナ、及び/又は前記払出アンテナが前記回収エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取ることを制限するジャミングアンテナをさらに備えた、
管理システム。
【請求項5】
前記回収エリア及び前記払出エリアは、いずれも前記ベットエリアと前記チップトレイとの間にあり、
前記回収読取手段は、前記ベットエリアから回収されて前記チップトレイに入れられる前のゲーミングチップのRFIDタグを読み取り、
前記払出読取手段は、前記チップトレイから取り出されて前記ベットエリアに払い出される前のゲーミングチップのRFIDタグを読み取る、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記ベットエリアから回収されるべきゲーミングチップが前記ベットエリアから回収されて前記回収読取手段で読み取られたか否かを判定する回収判定手段をさらに備えた、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記RFIDタグは、前記ゲーミングチップの額を特定するための情報を記憶しており、
前記ゲームテーブルに設けられ、ゲームにベットされたゲーミングチップのベット対象及びベット額を判定するベット判定手段と、
ゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段と、
をさらに備え、
前記回収判定手段は、前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの額が、前記ベット判定手段で判定されたベット対象及びベット額と前記ゲーム結果判定手段で判定されたゲーム結果とに基づいて決定される回収額と一致するか否かを判定する、請求項6に記載の管理システム。
【請求項8】
前記回収読取手段は、ゲームに負けたベットごとに、回収されるゲーミングチップのRFIDタグを前記回収エリアで読み取り、
前記回収判定手段は、ゲームに負けたベットごとに前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの額が、当該ゲームに負けたベットを行ったプレイヤごとのベット額と一致するか否かを判定する、請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
前記回収判定手段は、前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの、ゲームに負けた複数のベットについての総額が、当該ゲームに負けた複数のベットを夫々行った複数のプレイヤのベット総額と一致するか否かを判定する、請求項7に記載の管理システム。
【請求項10】
前記RFIDタグは、前記ゲーミングチップの額を特定するための情報を記憶しており、
払い出されるべき額のゲーミングチップが前記払出読取手段で読み取られたか否かを判定する払出判定手段をさらに備えた、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項11】
前記ゲームテーブルに設けられ、ゲームにベットされたゲーミングチップのベット対象及びベット額を判定するベット判定手段と、
ゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段と、
をさらに備え、
前記払出判定手段は、前記払出読取手段で読み取られたゲーミングチップの額が、前記ベット判定手段で判定されたベット対象及びベット額と前記ゲーム結果判定手段で判定されたゲーム結果とに基づいて決定される払出額と一致するか否かを判定する、請求項10に記載の管理システム。
【請求項12】
前記回収読取手段及び前記払出読取手段でゲーミングチップのRFIDタグを読み取ったことに基づいて、両替が行われていると判定する両替判定手段をさらに備えた、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項13】
前記両替判定手段は、前記回収読取手段及び前記払出読取手段でゲーミングチップのRFIDタグを読み取ったタイミングに基づいて、前記回収エリアと前記払出エリアに同時にゲーミングチップがあると判定したときに、両替が行われていると判定する、請求項12に記載の管理システム。
【請求項14】
前記RFIDタグは、前記ゲーミングチップの額を特定するための情報を記憶しており、
前記両替判定手段は、両替が行われていると判定したときに、前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額と、前記払出読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額とが一致するか否かを判定する、請求項12に記載の管理システム。
【請求項15】
前記両替判定手段は、両替が行われていると判定したときに、前記回収読取手段と前記払出読取手段でそれぞれ読み取られたゲーミングチップが前記プレイヤから差し出されたゲーミングチップと前記チップトレイから払い出されたゲーミングチップであるか否かを判定する請求項12に記載の管理システム。
【請求項16】
前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額と、前記払出読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額とが一致しないと判定した場合に、その旨のアラートを出力するアラート装置をさらに備えた、請求項14に記載の管理システム。
【請求項17】
前記回収読取手段と前記払出読取手段でそれぞれ読み取られたゲーミングチップが前記プレイヤから差し出されたゲーミングチップと前記チップトレイから払い出されたゲーミングチップでない場合に、その旨のアラートを出力するアラート装置をさらに備えた、請求項15に記載の管理システム。
【請求項18】
前記回収読取手段が、前記払出エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取らず、及び/又は前記払出読取手段が、前記回収エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取らないように、前記回収エリア及び前記払出エリアが互いに距離を隔てて配置される、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームテーブルにおけるゲーミングチップを管理する管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームテーブルでは、ゲーミングチップを用いてゲームが行われる。プレイヤはゲーミングチップをゲームテーブルのベットエリアに置くことでベットを行う。ゲームに勝ったプレイヤはディーラからゲーミングチップの払出しを受け、ゲームに負けたプレイヤはディーラにゲーミングチップを回収される。ディーラの前にはチップトレイが設けられている。ディーラは、チップトレイからゲームに勝ったプレイヤに対してゲーミングチップを払い出し、ゲームに負けたプレイヤから回収したゲーミングチップをチップトレイに収容する。
【0003】
このようなゲームテーブルにおけるゲーミングチップのトランザクションを電子的に把握することが試みられている。そのために、ゲーミングチップに、ゲーミングチップの価値を特定可能な情報を記憶したRFIDタグが内蔵され、ベットエリア及びチップトレイにこのRFIDタグを読み取るためのRFIDアンテナが設けられる。これらのアンテナでゲーミングチップのRFIDタグを読み取ることで、ベットされた額、回収された額、払い出された額等が把握される。さらに、ゲーム結果を判定する手段(例えば、バカラであれば、シューで配布されたカードのランクを読み取ることでゲーム結果を判定できる)と連携することで、回収すべき額が回収されたか、払い出されるべき額が払い出されたかを判定し、回収や払出における不正やミスを検知することができる。
【0004】
さらに、RFIDタグにチップIDを記憶させ、データベースにおいてチップIDとその所有者の情報(カジノ、プレイヤID)とを関連付けることで、ゲーミングチップのトレーシングを行うことができる。トレーシングでは、ゲーミングチップの所有者が変更されるごとに、データベースにおいてチップIDに関連付けられる所有者が更新される。
【0005】
また、ゲーミングチップをカメラで撮影して、ニューラルネットワーク等を用いた画像認識によってベットエリアやチップトレイのゲーミングチップの種類(価値)を認識することでも上記の不正やミスを検知できる。ゲーミングチップの側面にチップIDを表記しておき、画像認識によってチップIDを認識することで、トレーサビリティも実現可能である。
【0006】
さらに、昨今では、ゲームテーブルにおいてゲーミングチップを操作してゲームをするプレイヤのポーズトラッキングをするとともに顔認識をすることで、プレイヤと、ゲーミングチップと、ベット行為とを関連付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カジノ内、特にゲームテーブルにおけるゲーミングチップのトランザクションを電子的に把握するのに役立つ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様の管理システムは、RFIDタグを内蔵したゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームテーブルにおける管理システムであって、前記ゲームテーブルは、ディーラのゲーミングチップを収容するためのチップトレイと、ゲームにベットするゲーミングチップを置くためのベットエリアと、前記ベットエリア及び前記チップトレイとは別の回収エリア及び払出エリアとを備え、ゲームに負けて回収されるゲーミングチップのRFIDタグを前記回収エリアで読み取るための回収読取手段と、ゲームに勝ったプレイヤに払い出すゲーミングチップのRFIDタグを前記払出エリアで読み取るための払出読取手段とを備えた構成を有している。
【0010】
上記の管理システムにおいて、前記回収エリア及び前記払出エリアは、いずれも前記ベットエリアと前記チップトレイとの間にあってよく、前記回収読取手段は、前記ベットエリアから回収されて前記チップトレイに入れられる前のゲーミングチップのRFIDタグを読み取ってよく、前記払出読取手段は、前記チップトレイから取り出されて前記ベットエリアに払い出される前のゲーミングチップのRFIDタグを読み取ってよい。
【0011】
上記の管理システムは、前記ベットエリアから回収されるべきゲーミングチップが前記ベットエリアから回収されて前記回収読取手段で読み取られたか否かを判定する回収判定手段をさらに備えていてよい。
【0012】
上記の管理システムにおいて、前記RFIDタグは、前記ゲーミングチップの額を特定するための情報を記憶していてよく、上記の管理システムは、さらに、前記ゲームテーブルに設けられ、ゲームにベットされたゲーミングチップのベット対象及びベット額を判定するベット判定手段と、ゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段とを備えていてよく、前記回収判定手段は、前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの額が、前記ベット判定手段で判定されたベット対象及びベット額と前記ゲーム結果判定手段で判定されたゲーム結果とに基づいて決定される回収額と一致するか否かを判定してよい。
【0013】
上記の管理システムにおいて、前記回収読取手段は、ゲームに負けたベットごとに、回収されるゲーミングチップのRFIDタグを前記回収エリアで読み取ってよく、前記回収判定手段は、ゲームに負けたベットごとに前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの額が、当該プレイヤのベット額と一致するか否かを判定してよい。
【0014】
上記の管理システムにおいて、前記回収判定手段は、前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの、ゲームに負けた複数のベットについての総額が、当該複数のプレイヤのベット総額と一致するか否かを判定してよい。
【0015】
上記の管理システムにおいて、前記RFIDタグは、前記ゲーミングチップの額を特定するための情報を記憶していてよく、払い出されるべき額のゲーミングチップが前記払出読取手段で読み取られたか否かを判定する払出判定手段をさらに備えていてよい。
【0016】
上記の管理システムは、前記ゲームテーブルに設けられ、ゲームにベットされたゲーミングチップのベット対象及びベット額を判定するベット判定手段と、ゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段とをさらに備えていてよく、前記払出判定手段は、前記払出読取手段で読み取られたゲーミングチップの額が、前記ベット判定手段で判定されたベット対象及びベット額と前記ゲーム結果判定手段で判定されたゲーム結果とに基づいて決定される払出額と一致するか否かを判定してよい。
【0017】
上記の管理システムは、前記回収読取手段及び前記払出読取手段でゲーミングチップのRFIDタグを読み取ったことに基づいて、両替が行われていると判定する両替判定手段をさらに備えていてよい。
【0018】
上記の管理システムにおいて、前記両替判定手段は、前記回収読取手段及び前記払出読取手段でゲーミングチップのRFIDタグを読み取ったタイミングに基づいて、前記回収エリアと前記払出エリアに同時にゲーミングチップがあると判定したときに、両替が行われていると判定してよい。
【0019】
上記の管理システムにおいて、前記RFIDタグは、前記ゲーミングチップの額を特定するための情報を記憶していてよく、前記両替判定手段は、両替が行われていると判定したときに、前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額と、前記払出読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額とが一致するか否かを判定してよい。
【0020】
上記の管理システムにおいて、前記両替判定手段は、両替が行われていると判定したときに、前記回収読取手段と前記払出読取手段でそれぞれ読み取られたゲーミングチップが前記プレイヤから差し出されたゲーミングチップと前記チップトレイから払い出されたゲーミングチップであるか否かを判定してよい。
【0021】
上記の管理システムは、前記回収読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額と、前記払出読取手段で読み取られたゲーミングチップの総額とが一致しないと判定した場合に、その旨のアラートを出力するアラート装置をさらに備えていてよい。
【0022】
上記の管理システムは、前記回収読取手段と前記払出読取手段でそれぞれ読み取られたゲーミングチップが前記プレイヤから差し出されたゲーミングチップと前記チップトレイから払い出されたゲーミングチップでない場合に、その旨のアラートを出力するアラート装置をさらに備えていてよい。
【0023】
上記の管理システムにおいて、前記回収読取手段は、前記回収エリアに設置された回収アンテナと、前記回収アンテナを制御して前記回収アンテナで受信した信号をデコードする回収読取装置とからなっていてよく、前記払出読取手段は、前記払出エリアに設置された払出アンテナと、前記払出アンテナを制御して前記払出アンテナで受信した信号をデコードする払出読取装置とからなっていてよい。
【0024】
上記の管理システムにおいて、前記回収読取装置と前記払出読取装置とは、それぞれ独立したタイミングで読取りを行ってよい。
【0025】
上記の管理システムにおいて、前記回収読取装置と前記払出読取装置とは同一の装置であってよい。
【0026】
上記の管理システムにおいて、前記同一の装置は、前記回収アンテナと前記払出アンテナとを交互に用いて、前記回収エリアと前記払出エリアの読取りを交互に行ってよい。
【0027】
上記の管理システムは、前記回収アンテナが前記払出エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取ることを制限するジャミングアンテナ、及び/又は前記払出アンテナが前記回収エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取ることを制限するジャミングアンテナをさらに備えていてよい。
【0028】
上記の管理システムにおいて、前記回収読取手段が、前記払出エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取らず、及び/又は前記払出読取手段が、前記回収エリアのゲーミングチップのRFIDタグを読み取らないように、前記回収エリア及び前記払出エリアが互いに距離を隔てて配置されてよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ゲーミングチップのトランザクションを電子的に把握するのに役立つ管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカジノの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップ管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るゲームテーブルの構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動の態様を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第1の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第2の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第5の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法で更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施の形態の管理システムの構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施の形態のカメラで撮影された画像における画像認識を説明する図である。
【
図13A】
図13Aは、本発明の第2の実施の形態に係るゲーミングチップの他の例を示す図である。
【
図13B】
図13Bは、本発明の第2の実施の形態に係るゲーミングチップのさらに他の例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るカメラで撮影された画像の例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係るデータベースに記憶されたデータの例を示す表である。
【
図16】
図16は、本発明の第3の実施の形態の複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムの全体の概要を示す図である。
【
図17A】
図17Aは、本発明の第3の実施の形態のチップトレイの詳細を示す図である。
【
図17B】
図17Bは、本発明の第3の実施の形態のチップトレイの他の例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の第3の実施の形態において把握されるカードの汚れを説明するマークの拡大図である。
【
図19】
図19は、本発明の第3の実施の形態において把握されるお札とチップの交換状態の映像を簡略化した説明図である。
【
図20】
図20は、本発明の第3の実施の形態のバカラゲームにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の様子を示す説明図である。
【
図21】
図21は、本発明の第3の実施の形態のバカラゲームにおけるディーラによる勝った客(ゲーム参加人)への支払いの様子を示す説明図である。
【
図22】
図22は、本発明の第3の実施の形態のバカラゲームにおける勝った客(ゲーム参加人)によるチップおよび支払いの受け取りの様子を示す説明図である。
【
図23A】
図23Aは、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図23B】
図23Bは、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図23C】
図23Cは、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図24】
図24は、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるチップの不正回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図25A】
図25Aは、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図25B】
図25Bは、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図25C】
図25Cは、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図25D】
図25Dは、本発明の第3の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図26】
図26は、本発明の第4の実施の形態の第1の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図27】
図27は、本発明の第4の実施の形態の第1の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図28】
図28は、本発明の第4の実施の形態の第1の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図29】
図29は、本発明の第4の実施の形態の第1の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図30】
図30は、本発明の第4の実施の形態の第2の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図31】
図31は、本発明の第4の実施の形態の第3の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図32】
図32は、本発明の第4の実施の形態の第3の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図33】
図33は、本発明の第4の実施の形態の第3の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図34】
図34は、本発明の第4の実施の形態の第3の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図35】
図35は、本発明の第4の実施の形態の第4の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図36】
図36は、本発明の第4の実施の形態の第5の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図37】
図37は、本発明の第4の実施の形態の第6の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図38】
図38は、本発明の第4の実施の形態の第6の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図39】
図39は、本発明の第4の実施の形態の第6の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図40】
図40は、本発明の第4の実施の形態の第6の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図41】
図41は、本発明の第4の実施の形態の第6の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図42】
図42は、本発明の第4の実施の形態の第7の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図43】
図43は、本発明の第4の実施の形態の第7の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図44】
図44は、本発明の第4の実施の形態の第7の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図45】
図45は、本発明の第4の実施の形態の第7の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図46】
図46は、本発明の第4の実施の形態の第7の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図47】
図47は、本発明の第4の実施の形態の第7の例のデータベースの更新の例を説明する図である。
【
図48】
図48は、本発明の第4の実施の形態の第8の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図49】
図49は、本発明の第4の実施の形態の第9の例の管理システムの構成を示す図である。
【
図50】
図50は、本発明の第4の実施の形態の第9の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図51】
図51は、本発明の第4の実施の形態の第9の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図52】
図52は、本発明の第4の実施の形態の第9の例の変動情報の更新の例を説明する図である。
【
図53】
図53は、本発明の第4の実施の形態の第11の例のベットエリアの例を示す図である。
【
図54A】
図54Aは、本発明の第4の実施の形態の第11の例のベットエリアの他の例を示す図である。
【
図54B】
図54Bは、本発明の第4の実施の形態の第11の例のベットエリアの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1の実施の形態:カジノ全体でのゲーミングチップの管理]
ゲーミングチップは、カジノ内のケージを通してカジノに持ち込まれ、廃棄するゲーミングチップもケージから外部に出される。従来のゲーミングチップトレーシングシステムは、必ずしもケージ内部のゲーミングチップの移動やケージとカジノ内の各ロケーションとの間の移動を含めたカジノ内のすべてのゲーミングチップの移動を監視できるものではない。
【0032】
そこで、本実施の形態は、ケージにおけるゲーミングチップの移動及びケージとカジノ内の各ロケーションとの間の移動を監視するためのケージシステム、及びそれを含み、カジノ内のゲーミングチップの管理を行うためのゲーミングチップ管理システムを説明する。
【0033】
本実施の形態のケージシステムは、カジノホールのケージ内でのゲーミングチップの移動を管理するケージシステムであって、前記ケージはキャッシャを含む複数のロケーションに分かれており、前記ゲーミングチップは、チップIDを記憶したRFIDタグを有し、前記ケージシステムは、前記複数のロケーションの間を移動する前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第1読取手段と、前記ケージから前記カジノホールに出ていく前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第2読取手段と、前記第1読取手段及び前記第2読取手段で読み取られた前記チップIDを当該ゲーミングチップの移動履歴として記録する記録手段とを備えた構成を有している。この構成により、ケージ内のゲーミングチップの移動を管理することができる。
【0034】
上記のケージシステムにおいて、前記記録手段は、前記移動履歴に、前記チップIDとともに、移動先及び/又は移動元を記録してよい。この構成により、移動が正確に行われているかを把握することができる。
【0035】
上記のケージシステムは、前記移動履歴に基づいて移動が適切であるか否かを判断する管理手段をさらに備えていてよい。この構成により、不適切な移動を検出できる。
【0036】
上記のケージシステムにおいて、前記管理手段は、あらかじめ定められた移動履歴の可能性に合致しない移動履歴を有する前記ゲーミングチップについて、前記記録手段において、不正又は不正の疑いがある旨の記録をしてよい。
【0037】
上記のケージシステムは、前記カジノホールから前記ケージに入ってくる前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第3読取手段をさらに備えていてよい。この構成により、ケージ内のゲーミングチップを完全に管理できる。
【0038】
上記のケージシステムにおいて、前記管理手段は、前記カジノホールに出ていく前記ゲーミングチップの前記移動履歴に前記移動先が記録される場合において、当該移動先において前記ゲーミングチップが受け取られない場合にアラートを発出し、又は記録をしてよい。この構成により、ケージからカジノホールの所定のロケーションへの移動が正常に完了しなかったことを検知できる。
【0039】
上記のケージシステムにおいて、前記管理手段は、所定時間以内に前記移動先において前記ゲーミングチップが受け取られない場合に前記アラートを発出し、又は前記記録をしてよい。この構成により、所定の時間以内に移動が完了しない場合に異常があると判定できる。
【0040】
本実施の形態のゲーミングチップ管理システムは、上記のいずれかのケージシステムと、ゲームテーブルに設置され、前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第4読取手段とを備えた構成を有している。この構成により、ケージを含むカジノホール内のゲーミングチップを管理できる。
【0041】
上記のゲーミングチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、カジノホールにおいてプレイヤに所持されている前記ゲーミングチップの総額を算出してよい。この構成により、リアルタイムのカジノの債務総額を把握できる。
【0042】
上記のゲーミングチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、前記移動履歴に日時の情報を記録してよい。この構成により、移動履歴をより詳細に記録することができる。
【0043】
上記のゲーミングチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、前記日時の情報に基づいて、前記ゲーミングチップの疑わしい移動を検出してよい。この構成により、種々の疑わしい移動を検出できる。
【0044】
上記のゲーミングチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、前記移動履歴に移動に関与したスタッフの情報を記録してよい。この構成により、不適切な移動があった場合にそれに関与したスタッフを特定することができる。
【0045】
以下に、本実施の形態に係るケージシステム及びゲーミングチップ管理システムについて図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカジノの全体構成を示す模式図である。カジノホール1には、ケージ10と、複数のゲームテーブル42~45が備えられている。ゲームテーブル42~45が備えられるフロアは、VIP用フロアと大衆用フロアとに分かれていてもよい。ケージ10は、セキュリティスタッフしか中に入れない部屋である。ケージ10は、ボールト11、メインバンク室12、F/Cバンク室13、及びキャッシャ室14に分かれている。
【0047】
ボールト11にはケージ10の外部に通じるゲート21が設けられ、ボールト11とメインバンク室12との間にはゲート22が設けられ、メインバンク室12とF/Cバンク室13との間にはゲート23が設けられ、メインバンク室12とキャッシャ室14との間にはゲート25が設けられ、かつF/Cバンク室13には、ゲームテーブル42~45が置かれたカジノホール1に通じるゲート24が設けられる。キャッシャ室14には、カジノホール1に通じるゲート(ウィンドウ)26~28が設けられている。各ゲート21~25は、人及びゲーミングチップの往来が可能であってよく、あるいは、ゲーミングチップのみが通過でき、人の出入り用のドアがゲートとは別に設けられていてもよい。ウィンドウ26~28は、ゲーミングチップとキャッシュとの交換が可能な程度に開いている。
【0048】
ボールト11にはボールトスタッフ31が配置されており、メインバンク室12にはメインバンクスタッフ32が配置されており、F/Cバンク室13には、F/Cバンクスタッフ33が配置されており、キャッシャ室14には、ウィンドウ26~28に対応してキャッシャスタッフ34~36が配置されている。
【0049】
カジノホール1には、ゲームテーブル42~45が設置されており、各ゲームテーブル42~45にはそれぞれ1人のディーラ52~55が配置されている。なお、
図1の例ではゲームテーブルが4つのみ示されているが、実際にはカジノホール1にはより多くのゲームテーブルが配置される。また、隣り合う複数のゲームテーブル42について、ピットマネージャ56が配置されている。
【0050】
図1の例では、カジノホール1内にはプレイヤ61~69がいる。カジノホール1内のプレイヤは、
図1に示すプレイヤ61のように、ウィンドウ26~28のいずれかを介して、ゲーミングチップを購入し、あるいは、ゲーミングチップを換金できる。ケージ10でゲーミングチップを購入したプレイヤはゲームテーブル42~45でゲーミングチップをベットしてゲームを楽しむことができる。プレイヤはゲームに負けるとディーラにゲーミングチップを回収され、ゲームに勝つとゲームのルール及びベット額に応じた払出しをディーラから受ける。このようにして、プレイヤが所持するゲーミングチップは、ゲームによって増減する。プレイヤはゲーミングチップがなくなると、再びケージ10にてゲーミングチップを購入(バイイン)することができる。また、プレイヤはプレイを終了するときには、ケージ10でゲーミングチップを換金(バイアウト)することもできる。
【0051】
ゲームテーブル42~45では、ゲームに負けたプレイヤからゲーミングチップを回収し、ゲームに勝ったプレイヤにゲーミングチップを支払う。これにより、ゲームテーブルにてディーラ(カジノ)が所持しているゲーミングチップは増減する。ゲームテーブルにてゲーミングチップが不足すると、ゲーミングチップ運搬スタッフ51が、F/Cバンク室13のゲート24からゲーミングチップを受け取ってゲームテーブルに運搬し、ゲームテーブルに補充する。このようにしてゲームテーブルにゲーミングチップを補充することを「フィル」(fill)ともいう。また、ゲームテーブルにてゲーミングチップが過剰になると、ゲーミングチップ運搬スタッフ51は、ゲームテーブルからケージ10までゲーミングチップを運搬し、ゲーミングチップは、ゲート24を通じてF/Cバンク室13に保管される。このように、ゲームテーブルからケージ10にゲーミングチップを戻すことを「クレジット」(credit)ともいう。
【0052】
なお、カジノホール1においてゲーミングチップの移動履歴を管理する際に、移動元、移動先、それらの間となり得る場所を以下ではロケーションという。
図1の例の場合は、例えば、ケージ10内の各部屋、各ゲームテーブルはそれぞれロケーションと呼ばれる。
【0053】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの斜視図である。
図2には、100ドルゲーミングチップが示されている。ゲーミングチップ70は、円板形状を有し、両面に額面金額(
図1の場合は「$100」)が示されている。厚さ方向に白色層、着色層、白色層の順に複数の層が積層され、側面に着色層を白色層で挟んだストライプ模様を有する。着色層の色は額面金額によって異なっており、よって、着色層の色を判別することでそのチップの額面金額を判定可能である。
【0054】
ゲーミングチップ70の内部には、RFIDタグ71が内蔵されている。RFIDタグ71には、当該チップのチップID及び額面金額の情報が記憶されている。なお、RFIDタグ71は、書込み可能なものであってよく、その場合に、RFIDタグ71に、当該ゲーミングチップの現在のロケーションないし所持者の情報を記録してよく、さらに過去のロケーションないし所持者の履歴を記録してもよい。ゲーミングチップ70は、複数の板材を圧着させることで構成されてよく、あるいは樹脂成形によって構成されてもよい。
【0055】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るチップ管理システムの構成を示すブロック図である。チップ管理システム1000は、ケージシステム501と複数のテーブルシステム502とを備えている。テーブルシステム502は、ゲームテーブルごとに設けられる。ケージシステム501は、ケージ10内及びカジノホール1内のチップを統合的に管理するためのチップ管理コンピュータ100及びチップ管理データベース101を備えている。
【0056】
また、ケージシステム501は、ボールト11に設置されるボールトコンピュータ111と、それに接続されるボールトカードリーダ112及びボールトチップリーダ113とを備えている。また、ケージシステム501は、メインバンク室12に設置されるメインバンクコンピュータ121と、それに接続されるメインバンクカードリーダ122及びメインバンクチップリーダ123とを備えている。また、ケージシステム501は、F/Cバンク室13に設置されるF/Cバンクコンピュータ131と、それに接続されるF/Cバンクカードリーダ132及びF/Cバンクチップリーダ133とを備えている。また、ケージシステム501は、キャッシャ室14においてウィンドウ26~28の各々に対応して設置されるキャッシャコンピュータ141と、それに接続されるキャッシャカードリーダ142及びキャッシャチップリーダ143とを備えている。
【0057】
テーブルシステム502は、テーブルコンピュータ151と、それに接続されるテーブルカードリーダ152、回収テーブルチップリーダ1531、払出テーブルチップリーダ1532、チップトレイチップリーダ154、及び複数のベットエリアチップリーダ155とを備えている。なお、
図3では、1つのテーブルシステム502のみが示されているが、テーブルシステム502は、複数のゲームテーブルに対応して複数設けられている。また、上記の「リーダ」とは、アンテナと、そのアンテナを制御してRFIDタグに電波を送信するとともにアンテナで受信した信号をデコードしてRFIDタグの情報を取得する読取装置と、を含む構成である。
【0058】
ボールトコンピュータ111、メインバンクコンピュータ121、F/Cバンクコンピュータ131、キャッシャコンピュータ141、テーブルコンピュータ151、及びチップ管理データベース101は、それぞれチップ管理コンピュータ100に接続されている。なお、チップ管理コンピュータ100と他のコンピュータ及びチップ管理データベース101とは、ローカルネットワークを介して有線又は無線で接続されてよい。あるいは、チップ管理コンピュータ100及びチップ管理データベース101が広域ネットワーク(例えば、インターネット)上に設置され、他のコンピュータと広域ネットワークを介して接続されてもよい。すなわち、チップ管理コンピュータ100及びチップ管理データベース101は、カジノではなく、クラウドに設置されてもよい。
【0059】
各コンピュータ100、111、121、131、141、151には、対応するスタッフによる操作入力を受け付けるための図示しない入力デバイスが接続されている。入力デバイスは、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパッド、タッチパネル、音声入力装置である。なお、これらの入力デバイスと通信装置のみを対応するロケーションに残して、各コンピュータの機能はチップ管理コンピュータ100に集約されてよい。この場合には、各ロケーションの入力デバイス、カードリーダ、チップリーダとチップ管理コンピュータ100との間で直接的に各種信号(例えば、入力デバイスに入力された入力信号、チップリーダにて読み取った信号等)が伝達されてよい。
【0060】
各ロケーションのカードリーダ112、122、132,142、152は、スタッフ又はプレイヤが所持しているIDカードからスタッフID又はプレイヤIDを読み取る。具体的には、ボールトカードリーダ112、メインバンクカードリーダ122、及びF/Cバンクカードリーダ132は、対応するスタッフのIDカードからスタッフIDを読み取り、キャッシャカードリーダ142は、キャッシャスタッフのIDカードからスタッフIDを読み取るとともに、キャッシャでゲーミングチップを購入し、又はゲーミングチップを換金するプレイヤのプレイヤIDを読み取る。また、テーブルカードリーダ152は、対応するディーラのスタッフIDを読み取り、プレイするプレイヤのプレイヤIDを読み取る。
【0061】
各ロケーションのチップリーダ113、123、133、143、153、155は、ゲーミングチップ70のRFIDタグ71から情報を読み出し、かつ、RFIDタグ71に情報を書き込む。特に、各チップリーダ113、123、133、143、153は、他のロケーションから当該ロケーションにゲーミングチップ70が移動してきたとき、及び当該ロケーションから他のロケーションにゲーミングチップが移動するとき(即ち、当該ロケーションからゲーミングチップ70が離れるとき)にRFIDタグ71を読み取る。
【0062】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るゲームテーブルの構成を示す模式図である。
図4では、ゲームテーブル42を例示している。ゲームテーブル42には、複数のプレイポジションが設けられている。ゲームテーブル42は、テーブル面上に、複数のプレイポジションに対応した複数のベットエリアと、ディーラのチップを収容するチップトレイと、ゲーミングチップ70のRFIDタグ71に対する情報の読み書きを行うためのディーラエリアと、ディーラ及びプレイヤのIDカードを読み取るためのIDカードエリアとを備えている。
【0063】
チップトレイには、そこに収容されているゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのチップトレイアンテナ514が設けられている。複数のベットエリアの各々には、そこに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのベットエリアアンテナ515a~515eがテーブル面の内部に備えられている。ディーラエリアには、そこに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るための回収ディーラアンテナ5131及び払出ディーラアンテナ5132がテーブル面の内部に設けられている。IDカードエリアにはIDカードアンテナ512がテーブル面の内部に設けられている。
【0064】
各アンテナ512~515は、テーブルコンピュータ151に接続されており、読み出した信号をテーブルコンピュータ151に伝送する。テーブルコンピュータ151は、各アンテナからの信号をデコードすることでRFIDタグ71やIDカードに記憶された各種の情報を取得する。
【0065】
各ロケーションに配置されたスタッフは、自らのカードIDを対応するカードリーダで読み取らせてから仕事に就く。各ロケーションのコンピュータは、読み取ったスタッフIDとその日時をチップ管理コンピュータ100に伝送する。チップ管理コンピュータ100は、各ロケーションのカードリーダで読み取ったスタッフIDをロケーション及び日時の情報とともにチップ管理データベース101に記憶する。
【0066】
チップ管理データベース101には、プレイヤテーブル、チップテーブル、ゲームテーブルテーブル、スタッフテーブル、移動履歴テーブルが記憶されている。プレイヤテーブルには、当該プレイヤの登録情報が記憶されている。プレイヤテーブルには、各プレイヤについて、プレイヤID、各種のプレイヤの属性のほか、VIP、疑惑、ブラックリスト等のプレイヤステータスが記録されている。チップテーブルには、チップID、額面金額、種類、製造情報のほか、有効、行方不明、盗難、無効等のチップステータスが記録されている。ゲームテーブルテーブルには、テーブルID、ゲーム種等が記録されている。スタッフテーブルには、スタッフID、各種のスタッフの属性等が記録されている。移動履歴テーブルは、ゲーミングチップ70のロケーションないし所持者の履歴が記録される。
【0067】
(ゲーミングチップの移動管理)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動の態様を示す図である。
図5に示すように、ボールトを除く各ロケーションには、ゲーミングチップが入ってくる場合には複数の移動元からの移動の可能性があり、出ていく場合にも複数の移動先への移動の可能性がある。本実施の形態のチップ管理システムは、これらの移動を認識する。そのために、以下のいくつかの手法を採用することができる。
【0068】
(第1の方法)
第1の方法では、各ロケーションのコンピュータにおいて、ゲーミングチップ70が入ってくるときに、その移動元を当該ロケーションのコンピュータにおいて指定して、入ってきたゲーミングチップ70のチップIDとともに当該指定をチップ管理コンピュータ100に報告し、各ロケーションからゲーミングチップ70が出ていく際には、当該ロケーション即ち移動元の情報と当該ゲーミングチップ70のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。
【0069】
例えば、メインバンク室12からF/Cバンク室13にゲーミングチップ70が移動する際には、メインバンクコンピュータ121は、メインバンクチップリーダ123でゲーミングチップ70のチップIDを読み取って、読み取ったチップIDとともにメインバンク室12から出ていく旨をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0070】
そして、メインバンク室12からゲーミングチップ70を受け取ったF/Cバンク室13では、F/Cバンクスタッフ33が、F/Cバンクコンピュータ131の入力デバイスを操作して、当該ゲーミングチップ70がメインバンク室12(移動元)から来たゲーミングチップ70であるという指定を入力するとともに、当該ゲーミングチップ70のチップIDをF/Cバンクチップリーダ133で読み取る。F/Cバンクコンピュータ131は、読み取ったチップIDとともに、移動元がメインバンク室12であるという指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0071】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第1の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
図6の例では、チップIDが「24825」であるゲーミングチップ70の移動履歴を示している。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、出入情報602、移動元情報603、移動先情報604、及び日時605の情報を記憶している。
【0072】
第1の方法によれば、
図6に示すように、ロケーションから出ていくゲーミングチップ70については、その移動元の情報が得られ(履歴H61)、ロケーションに入ってくるゲーミングチップ70については、その移動元と移動先の情報が得られるので(履歴H62)、履歴H61及び履歴H62に基づいてゲーミングチップ70が確かにメインバンク室12から出てF/Cバンク室13で受け取られたことを確認できる。
【0073】
(第2の方法)
第2の方法では、各ロケーションのコンピュータにおいて、ゲーミングチップ70が出ていくときに、その移動先を当該ロケーションのコンピュータにおいて指定して、出ていくゲーミングチップ70のチップIDとともに当該指定をチップ管理コンピュータ100に報告し、各ロケーションにゲーミングチップ70が入ってくる際には、当該ロケーション即ち移動先の情報と当該ゲーミングチップ70のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。
【0074】
例えば、テーブル-4からF/Cバンク室13にゲーミングチップ70が移動する(クレジット)際には、ディーラは、ゲームテーブルのテーブルチップリーダ153で当該ゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151の入力デバイスを操作してF/Cバンク室13を移動先と指定する(クレジットを指定する)。テーブルコンピュータ151は、このチップID、移動先としてのF/Cバンク室13とともに、移動元であるテーブル-4のテーブルIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0075】
移動先であるF/Cバンク室13では、ゲーミングチップ70を受け取ると、F/Cバンクスタッフ33は、F/Cバンクチップリーダ133でこのゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。F/Cバンクコンピュータ131は、読み取ったチップIDとF/Cバンク室13に入ってくる旨をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0076】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第2の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
図7の例においても、チップIDが「24825」であるゲーミングチップ70の移動履歴を示している。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、出入情報602、移動元情報603、移動先情報604、及び日時605の情報を記憶している。
【0077】
第2の方法によれば、
図7に示すように、ロケーションから出ていくゲーミングチップ70については、その移動元と移動先の情報が得られ(履歴H71)、ロケーションに入ってくるゲーミングチップ70については、その移動先の情報が得られるので(履歴H72)、履歴H71及び履歴H72に基づいてゲーミングチップ70が確かにテーブル-4から出てF/Cバンク室13で受け取られたことを確認できる。
【0078】
(第3の方法)
第3の方法は、第1の方法と第2の方法との組み合わせである。すなわち、各ロケーションのコンピュータにおいて、ゲーミングチップ70が入ってきた場合には、その移動元を指定し、ゲーミングチップ70が出ていく場合には、その移動先を指定する。
【0079】
(第4の方法)
第4の方法では、各ロケーションのスタッフは、各ロケーションのコンピュータの入力デバイスを用いて、ゲーミングチップ70が出ていくのか入ってくるのかを指定して、チップリーダで読み取ったゲーミングチップ70のチップIDとともに当該指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に基づいて、チップ管理データベース101の出入情報及びロケーション情報を更新する。
【0080】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、出入情報602、ロケーション情報606、及び日時605の情報を記憶している。
【0081】
第4の方法によれば、
図8に示すように、出入情報602とロケーション情報606とが記録されるので、履歴H81及び履歴H82に基づいてゲーミングチップ70が確かにボールト11から出てメインバンク室12にて受け取られたことを確認できる。
【0082】
(第5の方法)
第5の方法では、ロケーション情報のみを記録する。すなわち、各ロケーションのスタッフは、ゲーミングチップ70がそのロケーションにあるときに、当該ロケーションのチップリーダでゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、チップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。各ロケーションのスタッフは、当該ロケーションにゲーミングチップ70が移動してきたタイミングでチップIDを読み取るようにしてもよいし、当該ロケーションからゲーミングチップ70が移動していくタイミングでチップIDを読み取るようにしてもよいし、任意のタイミングでチップIDを読み取るようにしてもよい。
【0083】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第5の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、ロケーション情報606、及び日時605の情報を記憶している。
【0084】
第5の方法によっても、
図9に示すように、ロケーション情報606が記録されるので、履歴H91及び履歴H92に基づいてゲーミングチップ70が確かにボールト11から出てメインバンク室12にて受け取られたことを確認できる。
【0085】
移動元と移動先との組み合わせごとに上記の第1ないし第5の方法のいずれを用いるかを決めてもよい。例えば、ケージ10内でのゲーミングチップ70の移動については、第4又は第5の方法を用い、F/Cバンク室13からゲームテーブルへの移動については、移動元において移動先を指定する第2の方法を用い、ゲームテーブルからF/Cバンク室13への移動については、移動先において移動元を指定する第1の方法を用いるようにしてよい。
【0086】
(キャッシャにおける購入と換金)
また、キャッシャ室14からプレイヤにゲーミングチップ70が移動(プレイヤがキャッシャでゲーミングチップ70を購入)する際には、キャッシャコンピュータ141は、キャッシャチップリーダ143でゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、キャッシャカードリーダ142でプレイヤのIDカードからプレイヤIDを読み取り、読み取ったチップIDとともに移動先であるプレイヤの指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0087】
そして、プレイヤからキャッシャ室14にゲーミングチップ70が移動(プレイヤがキャッシャでゲーミングチップ70を換金)する際には、キャッシャコンピュータ141は、キャッシャチップリーダ143でゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、キャッシャカードリーダ142でプレイヤのIDカードからプレイヤIDを読み取り、読み取ったチップIDとともに移動元であるプレイヤの指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0088】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法で更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
図10の例では、プレイヤ-5がキャッシャ-2でゲーミングチップ70を購入し(履歴H101、H102)、その後、そのゲーミングチップ70をプレイヤ-5がキャッシャ-3で換金している(履歴H103、H104)。なお、第1ないし第3の方法による場合は、出入情報602をN/Aとして、移動元(キャッシャ)と移動先(プレイヤ)の情報のみを記録してよい。
【0089】
また、例えば、キャッシャでは、キャッシャスタッフは、プレイヤからゲーミングチップ70を受け取る場合には、受け取る旨の指定をした上で、キャッシャチップリーダ143を用いて当該ゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、プレイヤにゲーミングチップ70を渡す場合には、渡す旨の指定をした上で、キャッシャチップリーダ143を用いて当該ゲーミングチップ70のチップIDを読み取るようにしてもよい。
【0090】
これにより、1つのチップリーダを用いて、当該チップリーダでチップIDを読み取ったゲーミングチップ70が当該ロケーションに入ってくるのか当該ロケーションから出ていくのかを明確にすることができる。また、チップの両替の場合にも、プレイヤから受け取るゲーミングチップ70とプレイヤに渡すゲーミングチップ70とを明確に区別してチップリーダを用いてそのチップIDを特定することができる。
【0091】
(回収と払出し)
ゲーミングチップ70を購入したプレイヤは、ゲームテーブルでゲームをプレイできる。この際に、ゲームテーブルでは、まず、IDカードアンテナ512を備えたテーブルカードリーダ152でプレイヤのIDカードを読み取る。テーブルカードリーダ152でプレイヤのIDカードを読み取る際には、当該プレイヤのプレイポジションを指定する。これにより、どのベットエリアにどのプレイヤがいるかを認識できる。なお、ベットエリアアンテナ515a~515eは、各プレイヤポジションを区別せずに複数のベットエリアをまとめて1つのベットエリアとして、当該1つのベットエリアに置かれたゲーミングチップ70を読み取る1つ又は複数のアンテナであってもよい。また、ベットエリアのアンテナはなくてもよい。
【0092】
プレイヤは、ゲームテーブルにおいてゲームに負けた場合には、ベットしたゲーミングチップ70を回収される。この場合に、チップトレイアンテナ514は、回収前にチップトレイに収容されているゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、回収後にもチップトレイに収容されているゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。テーブルコンピュータ151は、回収前後のチップトレイのチップIDを比較することで、新たにチップトレイに持ち込まれた(即ち、プレイヤから回収された)ゲーミングチップ70のチップIDを認識する。
【0093】
テーブルコンピュータ151は、プレイヤから回収されたゲーミングチップ70について、ゲームテーブルのチップトレイへの移動であることの指定とともに、チップトレイアンテナ514で読み取ったチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0094】
なお、ベットエリアアンテナ515a~515eを用いて、ベットされたゲーミングチップ70のチップIDを認識し、かつ、ゲーム結果を認識することで、テーブルコンピュータ151が、ベットされた各ゲーミングチップ70について、回収されるべきであるか否かを判断できる場合において、回収されるべきであると判断したときは、当該判断に応じて、チップ管理データベース101において、当該ゲーミングチップ70について、プレイヤから出てゲームテーブルに移動する旨の移動履歴を更新してもよい。このような更新と、その後のチップトレイにて受け入れられた旨の更新とによって、回収すべきゲーミングチップ70が確かにチップトレイに回収されたかを確認することができる。すなわち、回収されるべきであるとして出入情報602を「OUT」、ロケーション情報606をいずれかのプレイヤとする移動履歴が記録されているにもかからず、それに続けてチップトレイでの受け入れの移動履歴が記録されていない場合には、回収すべきゲーミングチップ70が正しく回収されていないことが明らかとなる。
【0095】
また、本実施の形態では、回収前後のチップトレイから読み出されるチップIDを比較することで、回収によって新たにチップトレイに持ち込まれたチップIDを把握するようにしたが、これに代えて、チップトレイにおいて回収したチップトレイを一時的に収容する回収チップエリアを特別に設け、当該回収チップエリアに、他のチップトレイ部分とは独立したアンテナを設けることで、回収したゲーミングチップ70のチップIDを把握するようにしてもよい。
【0096】
あるいは、回収するゲーミングチップ70について、ベットエリアからチップトレイへの移動の途中で回収エリアにおいて、回収ディーラアンテナ5131でRFIDタグ71を読み取らせることで回収されるゲーミングチップ70のチップIDを特定するようにしてもよい。
【0097】
プレイヤがゲームに勝つと、ゲーミングチップ70の払出しを受ける。ディーラは、チップトレイからプレイヤに払い出すゲーミングチップ70について、まず、ゲームテーブルの払出エリアに置く。このとき、払出ディーラアンテナ5132が、払出エリアのゲーミングチップ70のRFIDタグ71からチップIDを読み取る。テーブルコンピュータ151は、各ベットエリアにどのプレイヤがプレイをしているかを把握しているため、払い出されるゲーミングチップ70とその払出しを受けるプレイヤとを紐づける(払い出されるゲーミングチップ70のロケーション情報を当該プレイヤとする)ことができる。
【0098】
なお、払い出されるゲーミングチップ70のチップIDを特定してプレイヤと紐づける方法は上記に限られず、例えば、テーブルコンピュータ151は、払出しの前後でチップトレイに収容されたゲーミングチップ70のチップIDを読み取ることで、払い出されるゲーミングチップ70のチップIDを特定し、払出しを受けるプレイヤと紐づけしてもよい。
【0099】
また、払い出されるゲーミングチップ70がベットエリアに置かれた際に当該ベットエリアのベットエリアアンテナ515によってゲーミングチップ70のチップIDを読み取ってもよい。この場合には、払い出されたゲーミングチップ70のチップID(ディーラないしカジノに紐づけられている)とともにベットされていたゲーミングチップ70のチップID(プレイヤに紐づけされている)も読み取られることになるが、チップ管理コンピュータ100は、払い出されたゲーミングチップ70のチップIDを、ベットされていたゲーミングチップ70のチップIDに紐づけられていたプレイヤに紐づける。
【0100】
また、払い出されるゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのアンテナ及び読取エリアをプレイヤポジションごとに設けてもよい。このようなアンテナ及び読取エリアは、各プレイヤポジションのベットエリアとディーラとの間に設置されてよい。この場合にも、各プレイヤポジションにどのプレイヤがいるかが把握されているため、払い出されるゲーミングチップ70とプレイヤIDとを紐づけることができる。この場合に、ディーラは、まず払い出されるゲーミングチップ70を該当するプレイヤポジションの読取エリアに置いて、そこのアンテナで読み取らせた後に、払い出されるゲーミングチップ70をベットエリアのベットチップの横まで移動させてもよいし、ディーラが読取エリアに置いた払い出されるゲーミングチップ70を該当するプレイヤが取るようにしてもよい。
【0101】
テーブルコンピュータ151は、この払い出されるゲーミングチップ70のチップIDと払出しを受けるプレイヤのプレイヤIDとの組み合わせをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じて、チップ管理データベース101において、ゲームテーブルにあったゲーミングチップ70がプレイヤに移動した旨の移動履歴の更新を行う。
【0102】
払出しの際にも、チップトレイから取り出したゲーミングチップ70について、いったん払出ディーラアンテナ5132でRFIDタグ71を読み取らせることで、払い出すゲーミングチップ70のチップIDを特定するようにしてよい。
【0103】
なお、上記の
図6~
図10の例において、各ゲーミングチップ70の各移動履歴において、ロケーションの情報のみならず、そのロケーションにおいて当該移動に関与したスタッフのスタッフIDを記録するようにしてもよい。また、ロケーション情報がプレイヤID又はカジノである場合は、ロケーション情報は所有者情報ということもできる。また、各移動履歴において、ゲーミングチップ70のステータス情報として「有効」、「無効」、「行方不明」、「疑い」、「換金不可」、「プレイ不可」等のステータスを記録してもよい。また、有効であるか無効であるかをフラグで示すようにしてもよい。さらに、上記の
図6~
図10の例において、各移動履歴のレコードが、各ゲーミングチップ70のチップIDとともにその額面金額の情報も有していてもよい。
【0104】
以上のように、各ロケーションにおいてチップIDを読み取ることで、チップ管理データベース101において各ゲーミングチップ70の移動履歴を記録することができる。これにより、チップ管理コンピュータ100は、以下に説明する種々の機能を実現することができる。
【0105】
(時間制限及び移動先違いの検出)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、F/Cバンク室13とゲームテーブルとの間のゲーミングチップ70の移動において、その移動を監視して問題がある場合にアラートを発出する。すなわち、チップ管理コンピュータ100は、あるゲーミングチップ70について移動先をいずれかのゲームテーブルとしてF/Cバンク室13から出たことの報告をF/Cバンクコンピュータ131から受けた場合に、計時を開始する。そして、チップ管理コンピュータ100は、所定の時間(例えば、5分)以内に移動先のゲームテーブルのテーブルコンピュータ151から、当該ゲーミングチップ70を受け取った旨の報告を受けない場合には、アラートを発出してよい。このアラートは、該当するゲームテーブルのディーラ、該当するゲームテーブルを管理するピットマネージャ等に送信されてよい。このとき、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101において、当該ゲーミングチップ70のステータスを「行方不明」、「換金不可」、「プレイ不可」等に更新してよい。
【0106】
また、チップ管理コンピュータ100は、あるゲーミングチップ70について移動先としていずれかのゲームテーブルを指定してF/Cバンク室13から出たことの報告をF/Cバンクコンピュータ131から受けた場合に、移動先として指定されたゲームテーブル以外のゲームテーブルのテーブルコンピュータ151から、当該ゲーミングチップ70を受け取った旨の報告を受けた場合にもアラートを発出してよい。また、この場合に、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101において、当該ゲーミングチップ70のステータスを「行先違い」、「換金不可」、「プレイ不可」等に更新してよい。
【0107】
(不適切移動の検出)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照して、不適切なゲーミングチップ70の移動がある場合に、アラートを発出する。ゲーミングチップ70の移動は、
図5に示すパターンに限られ、これら以外の移動パターンは不適切な移動である。よって、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を更新するたびに、その更新に係る移動が適切であるか否かを判断する。
【0108】
例えば、ケージ10が
図1に示す構成を有している場合は、ボールト11から直接キャッシャ室14にゲーミングチップ70が移動することはなく、また、例えば、キャッシャ室14からプレイヤに移動していないゲーミングチップ70がゲームテーブルで回収されることもなく、これらの移動履歴が発見された場合は、チップ管理コンピュータ100は、不適切移動と判断する。また、あるプレイヤが所持しているはずのゲーミングチップ70が他のプレイヤによってキャッシャにおいて換金される場合には、マネーロンダリングの可能性が疑われる。このように、チップ管理コンピュータ100は、不適切な移動を検知してアラートを発出する。
【0109】
(リアルタイムのプレイヤチップ総額)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、移動履歴の最新の情報において、いずれかのプレイヤが所持しているゲーミングチップ70のみを抽出して、それらの総額を計算することで、その時点ですべてのプレイヤが総額いくらのゲーミングチップ70を所持しているか、即ち、その時点のカジノの債務残高を計算する機能を有する。
【0110】
また、プレイヤチップの総額は、チップ管理データベース101にて管理されているすべてのゲーミングチップの総額から、ケージ10にあるすべてのゲーミングチップ70の総額とゲームテーブルにあるすべてのゲーミングチップ70の総額とを引いた額として算出してもよい。
【0111】
(フィル/クレジットの中央管理)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、ゲームテーブルごとに、そのゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、額面金額ごとの枚数を検出する。そして、枚数が十分に足りない額面金額のゲーミングチップ70がある場合には、その額面金額のゲーミングチップ70を補充(フィル)するように、F/Cバンク室13のF/Cバンクコンピュータ131及び当該ゲームテーブルのテーブルコンピュータ151に通知を発出してよい。この通知では、補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの枚数、又は補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの総額が指定される。
【0112】
また、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、ゲームテーブルごとに、そのゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、そのゲームテーブルにあるゲーミングチップ70の総枚数を検出する。そして、総枚数が、ゲームテーブルに収容できる上限値に近い所定の枚数以上である場合には、当該テーブルからゲーミングチップ70を回収(クレジット)するように、F/Cバンク室13のF/Cバンクコンピュータ131及び当該ゲームテーブルのテーブルコンピュータ151に通知を発出してよい。この通知では、補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの枚数、又は補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの総額が指定される。
【0113】
また、ケージ10内でのゲーミングチップ70の移動についても、同様にして通知を発出してよい。例えば、キャッシャ室14のあるウィンドウでゲーミングチップ70の枚数が少なくなった場合には、キャッシャコンピュータ141及びメインバンクコンピュータ121に対して、キャッシャ室14へのゲーミングチップ70の補充を促す通知を発出してよい。
【0114】
なお、上記では、移動先及び移動元のいずれにも移動を促す通知が発出されたが、これに代えて移動先及び移動元のいずれか一方にのみ通知を発出するようにしてもよい。移動を促す通知を受信したロケーションでは、スタッフが移動の提案を受け入れるか否かを入力デバイスを介して当該ロケーションのコンピュータに指示し、当該ロケーションのコンピュータは、移動先及び移動元の一方のロケーションが提案を受け入れた場合には、移動の命令を他方のロケーションに通知してもよい。
【0115】
(複数のゲーミングチップの移動管理)
上記では、各ゲーミングチップ70についてチップ管理データベース101における移動履歴を更新することで移動管理を行う方法を説明したが、複数のゲーミングチップ70がロケーション間を移動する場合に、それらの複数のゲーミングチップ70が過不足なく移動したかを管理してもよい。
【0116】
以下では、F/Cバンク室13からゲームテーブルに複数のゲーミングチップ70を移動させる場合(フィル)の例を説明する。F/Cバンク室13から所定のゲームテーブルにゲーミングチップ70が移動する場合には、F/Cバンクスタッフ33が、F/Cバンク室13のF/Cバンクチップリーダ133を用いて、移動するゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。F/Cバンクコンピュータ131は、読み取ったチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、フィルに係る複数のゲーミングチップ70のチップID(移動元チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、フィルに係るゲーミングチップ70の総額(移動元総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、F/Cバンクコンピュータ131からの情報に基づいて、移動元チップID、フィルに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動元総枚数)、及び移動元総額を把握することになる。
【0117】
ゲーミングチップ70がゲームテーブルに運ばれると、ディーラはゲームテーブルのテーブルチップリーダによって運ばれてきたゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151は、読み取った複数のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、それらの複数のチップID(移動先チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、フィルに係るゲーミングチップ70の総額(移動先総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、テーブルコンピュータ151からの情報に基づいて、移動先チップID、フィルに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動先総枚数)、及び移動先総額を把握することになる。
【0118】
チップ管理コンピュータ100は、移動元チップIDと移動先チップIDとを比較して、それらが完全に一致するか否かを判断する。また、チップ管理コンピュータ100は、移動元総額と移動先総額とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。さらに、チップ管理コンピュータ100は、移動元総枚数と移動先総枚数とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。チップ管理コンピュータ100は、上記の比較のいずれかにおいて不一致がある場合には、移動が正確に行われなかったと判断してアラートを発出する。
【0119】
ゲームテーブルからF/Cバンク室13に複数のゲーミングチップ70を移動させる場合(クレジット)は次のとおりである。ゲームテーブルからF/Cバンク室13にゲーミングチップ70が移動する場合には、ディーラが、ゲームテーブルの払出テーブルチップリーダ1532を用いて、移動するゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。テーブルコンピュータ151は、読み取ったチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、クレジットに係る複数のゲーミングチップ70のチップID(移動元チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、クレジットに係るゲーミングチップ70の総額(移動元総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、テーブルコンピュータ151からの情報に基づいて、移動元チップID、クレジットに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動元総枚数)、及び移動元総額を把握することになる。
【0120】
ゲーミングチップ70がF/Cバンク室13に運ばれると、F/Cバンクスタッフ33はF/Cバンクチップリーダ133によって、運ばれてきたゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、F/Cバンクコンピュータ131は、読み取った複数のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、それらの複数のチップID(移動先チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、クレジットに係るゲーミングチップ70の総額(移動先総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、F/Cバンクコンピュータ131からの情報に基づいて、移動先チップID、クレジットに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動先総枚数)、及び移動先総額を把握することになる。
【0121】
チップ管理コンピュータ100は、移動元チップIDと移動先チップIDとを比較して、それらが完全に一致するか否かを判断する。また、チップ管理コンピュータ100は、移動元総額と移動先総額とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。さらに、チップ管理コンピュータ100は、移動元総枚数と移動先総枚数とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。チップ管理コンピュータ100は、上記の比較のいずれかにおいて不一致がある場合には、移動が正確に行われなかったと判断してアラートを発出する。
【0122】
なお、上記では、チップID、総額、及び総枚数のいずれも比較することとしたが、それらのいずれか1つのみを比較することで、移動が正確に行われたか否かを判断してもよい。また、総額及び総枚数については、ゲーミングチップ70の額面金額ごとに算出され、比較されてよい。例えば、移動元総額及び移動先総額は、「10ドルチップ600ドル、100ドルチップ400ドル」のように算出されてよい。
【0123】
また、チップ管理コンピュータ100から移動先又は移動元に対して移動を促す通知がされている場合は、当該通知と移動元総額との比較、当該通知と移動先総額との比較、当該通知と移動元総枚数との比較、当該通知と移動先総枚数との比較の少なくともいずれかを行うことで、移動が正確に行われていたかを判断してもよい。
【0124】
(ゲームテーブルでの増額によるフィルの管理)
F/Cバンク室13からゲームテーブルにゲーミングチップ70が運ばれて、当該ゲームテーブルにゲーミングチップ70が補充される場合(フィル)には、F/Cバンクチップリーダ133にて、ゲームテーブルに向けて運ばれるゲーミングチップ70のチップIDが読み取られ、それらのチップIDがF/Cバンクコンピュータ131からチップ管理コンピュータ100に報告される。チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、報告されたゲーミングチップ70の総額(フィル総額)を算出する。
【0125】
チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することにより、当該フィルの前に当該ゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、その総額(既存総額)を算出する。そして、チップ管理コンピュータ100は、算出した既存総額に、フィル総額を足すことで、フィル後の当該ゲームテーブルにおけるゲーミングチップ70の理論上の総額(理論フィル後総額)を算出する。
【0126】
ゲームテーブルでは、F/Cバンク室13からゲーミングチップ70が運ばれてくると、当該ゲームテーブルの回収テーブルチップリーダ1531で、運ばれてきたゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151によりチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、報告されたチップIDについてチップ管理データベース101を参照して額面金額を取得して、チップトレイにおけるゲーミングチップ70の現実の総額(現実フィル後総額)を算出する。
【0127】
なお、ゲームテーブルにキャビネットが設けられており、あるいは、チップトレイが2重であったりして、即ち、ゲームテーブルにチップトレイ以外のチップを保管する場所がある場合には、テーブルコンピュータ151は、チップトレイにそのような保管場所も加えたゲームテーブル全体のゲーミングチップ70(但し、ベットエリアに置かれたプレイヤのゲーミングチップは含まない)の総額を現実フィル後総額として算出する。
【0128】
チップ管理コンピュータ100は、理論フィル後総額と現実フィル後総額とを比較して、両者が一致しない場合にはアラートを発出する。この構成により、フィルによってゲームテーブルにおいて正しくゲーミングチップ70が増額しているかを確認することができる。
【0129】
また、F/Cバンク室13では、F/Cバンク室13を出る全てのゲーミングチップ70のチップIDが把握され、ゲームテーブルにおいても、F/Cバンク室13から移動してきた全てのゲーミングチップ70のチップIDが検出されるので、理論フィル後総額と現実フィル後総額とが一致しない場合に、不一致の原因となったゲーミングチップ70のチップIDを把握することができる。チップ管理コンピュータ100は、不一致の原因となったゲーミングチップ70のステータスを「無効」、「換金不可」、「プレイ不可」等のステータスに変更する。
【0130】
なお、上記では、理論フィル後総額と現実フィル後総額とを比較したが、ゲーミングチップ70の金額(総額)に加えて、またはそれに代えて、枚数(総枚数)を用いて、ゲームテーブルにおけるフィル後の理論上のゲーミングチップ70の総枚数(理論フィル後総枚数)と、当該ゲームテーブルにおけるフィル後の現実のゲーミングチップ70の総枚数(現実フィル後総枚数)とを比較することで、過不足なくフィルが完了したかを判断してもよい。
【0131】
(ゲームテーブルでの減額によるクレジットの管理)
ゲームテーブルで過剰になったゲーミングチップ70がゲームテーブルからF/Cバンク室13に運ばれる場合(クレジット)には、払出テーブルチップリーダ1532にて、F/Cバンク室13に向けて運ばれるゲーミングチップ70のチップIDが読み取られ、それらのチップIDがテーブルコンピュータ151からチップ管理コンピュータ100に報告される。チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、報告されたゲーミングチップ70の総額(クレジット総額)を算出する。
【0132】
チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することにより、当該クレジットの前に当該ゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、その総額(既存総額)を算出する。そして、チップ管理コンピュータ100は、算出した既存総額から、クレジット総額を引くことで、クレジット後の当該ゲームテーブルにおけるゲーミングチップ70の理論上の総額(理論クレジット後総額)を算出する。
【0133】
ゲームテーブルでは、F/Cバンク室13に向けてゲーミングチップ70が運ばれていくと、当該ゲームテーブルのチップトレイチップリーダ154で、ゲームテーブルに保管されているゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151によりチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、報告されたチップIDについてチップ管理データベース101を参照して額面金額を取得して、チップトレイにおけるゲーミングチップ70の現実の総額(現実クレジット後総額)を算出する。
【0134】
なお、ゲームテーブルにキャビネットが設けられており、あるいは、チップトレイが2重であったりして、即ち、ゲームテーブルにチップトレイ以外のチップを保管する場所がある場合には、テーブルコンピュータ151は、チップトレイにそのような保管場所も加えたゲームテーブル全体のゲーミングチップ70(但し、ベットエリアに置かれたプレイヤのゲーミングチップは含まない)の総額を現実クレジット後総額として算出する。
【0135】
チップ管理コンピュータ100は、理論クレジット後総額と現実クレジット後総額とを比較して、両者が一致しない場合にはアラートを発出する。この構成により、クレジットによってゲームテーブルにおいて正しくゲーミングチップ70が減額しているかを確認することができる。
【0136】
また、ゲームテーブルでは、ゲームテーブルからF/Cバンク室13に運ばれる全てのゲーミングチップ70のチップIDが把握され、F/Cバンク室13においても、ゲームテーブルから移動してきた全てのゲーミングチップ70のチップIDが検出されるので、理論クレジット後総額と現実クレジット後総額とが一致しない場合に、不一致の原因となったゲーミングチップ70のチップIDを把握することができる。チップ管理コンピュータ100は、不一致の原因となったゲーミングチップ70のステータスを「無効」、「換金不可」、「プレイ不可」等のステータスに変更する。
【0137】
なお、上記では、理論クレジット後総額と現実クレジット後総額とを比較したが、ゲーミングチップ70の金額(総額)に加えて、またはそれに代えて、枚数(総枚数)を用いて、ゲームテーブルにおけるクレジット後の理論上のゲーミングチップ70の総枚数(理論クレジット後総枚数)と、当該ゲームテーブルにおけるクレジット後の現実のゲーミングチップ70の総枚数(現実クレジット後総枚数)とを比較することで、過不足なくクレジットが完了したかを判断してもよい。
【0138】
また、上記では、F/Cバンク室13に運ばれるゲーミングチップ70を払出テーブルチップリーダ1532にて読み取ることで、クレジット総額を把握して、既存総額(クレジット実行前にゲームテーブルにあるゲーミングチップ70の総額)からクレジット総額を引くことで理論クレジット後総額を算出したが、これに代えて次のようにしてもよい。すなわち、チップ管理コンピュータ100がゲームテーブルに対してクレジットを促す通知を発出し、ゲームテーブルがこの通知に応じてクレジットを行う場合には、この通知において指定された、クレジットに係るゲーミングチップ70の総額又は総枚数(いずれも額面金額ごとに指定されていてもよい)をクレジット総額として、このクレジット総額を既存総額から減算することで、理論クレジット後総額を算出してもよい。チップ管理コンピュータ100は、理論クレジット総額を算出すると、上記と同様に、この理論クレジット後総額と、現実クレジット後総額(ゲームテーブルにおけるクレジット後の実際のゲーミングチップ70の総額)とを比較することで、指定された額又は枚数のゲーミングチップ70がクレジットのためにゲームテーブルから出て行ったか否かを確認する。
【0139】
(スタッフの勤務シフトに応じた検証)
ケージ10には人の任意の侵入を防ぐべく、ドアに施錠がかけられ、スタッフはセキュリティ条件を満たすことで入退室が可能となる。また、ケージ10内の各部屋の間でも同様の入退室セキュリティが実施されている。ケージ10内で働くスタッフは、ケージ10内ないし持ち場の部屋に入る際及び出る際に、認証を要求される。チップ管理コンピュータ100は、スタッフが退出するための認証を行う際に、当該スタッフが入室してからそれまでに不適切なゲーミングチップ70の移動がなかったかを検証する。チップ管理コンピュータ100は、施錠システムと連携し、不適切なゲーミングチップ70の移動があった場合には、退出を許可しない。
【0140】
また、ゲームテーブルでも同様にして、ディーラがゲームテーブルを離れる際には、勤務の終了を指定した上でディーラは自らのIDカードをテーブルカードリーダ152に読み取らせる。この際に、チップ管理コンピュータ100は、当該ディーラが当該ゲームテーブルに着いてからそれまでに不適切なゲーミングチップ70の移動がなかったかを検証し、不適切な移動がある場合にはアラートを発出する。また、ディーラの交代の際には、チップ管理コンピュータ100は、ディーラがテーブルを離れた後、次のディーラがテーブルに就くまでの間に、ゲームテーブルにあるべきゲーミングチップ70が確かにあるか、即ち、テーブルを離れるディーラがゲームテーブルからゲーミングチップ70を持ち出していないかを検証して、問題がある場合にはアラートを発出する。
【0141】
なお、ゲームテーブルにおいて、ゲーミングチップ70は、チップトレイ以外の場所にも保管されてよい。例えば、チップトレイが2重になっており、補充用のゲーミングチップ70が下段チップトレイに保管されていてよく、ゲームテーブルが備えるキャビネットに補充用のゲーミングチップ70が保管されていてもよい。これらの場合には、ゲームテーブルはそのように保管されたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのアンテナも備えており、テーブルコンピュータ151は、ゲームテーブルにあるすべてのゲーミングチップ70のRFIDタグ71を常に読み取ることができることが望ましい。
【0142】
(プレイヤの不適切な購入/換金の監視)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、各プレイヤについて、ゲーミングチップの購入及び換金の履歴を検証して、疑わしい動きがある場合にアラートを発出する。例えば、所定の時間内に、所定額以上のゲーミングチップ70の購入と所定額以上のゲーミングチップ70の換金がある場合には、そのような行動を疑わしい行動としてアラートを発出する。また、ゲーミングチップ70が購入されてから当該ゲーミングチップ70がゲームテーブルで使用されることなく換金されようとしており、その額が所定額以上である場合にも、そのような行動を疑わしい行動としてアラートが発出される。あるいは、所定の時間以内に所定額以上のゲーミングチップ70を購入したプレイヤについて、そのような行動を疑わしい行動としてアラートが発出される。
【0143】
(ケージにおける有効化/無効化)
ゲーミングチップ70は、ケージ10内において有効化されてもよい。これにより、ゲーミングチップ70が製造されてからケージ10に運び込まれるまでの間に盗難に遭った場合にも、そのようなゲーミングチップ70は有効化されていないので使用することができず、セキュリティが担保される。このために、チップ管理データベース101は、有効なゲーミングチップ70のチップIDを記憶したテーブルを有し、チップ管理コンピュータ100は、キャッシャやゲームテーブルのチップリーダでゲーミングチップ70のチップIDが読み取られるごとに、テーブルを参照して当該チップIDが有効であるか否かを検証する。
【0144】
また、ゲーミングチップ70を廃棄する場合にも、ケージ10内で無効化の処理を行ってからゲーミングチップ70をケージ10の外部に持ち出す。これにより、廃棄のためにケージ10の外部に持ち出されたゲーミングチップ70が盗まれたとしても、そのようなゲーミングチップ70はキャッシャやゲームテーブルでは使用できないので、セキュリティが確保される。
【0145】
(未登録プレイヤ)
未登録のプレイヤであってもゲーミングチップ70を購入し、ゲーミングチップ70を用いてゲームテーブルでゲームをプレイすることができる。未登録のプレイヤについては、共通の匿名プレイヤIDが用いられる。これにより、ゲーミングチップ70がケージ10から出てからケージ10に戻るまで、各ロケーションを転々とする間に、未登録プレイヤに移動したとしても、ゲーミングチップ70のトレースを途切れることなく行うことができる。
【0146】
(その他)
キャッシャのウィンドウに、ゲーミングチップ70の総額及び有効性の確認結果を表示する表示装置を設けてもよい。キャッシャスタッフは、プレイヤに渡すゲーミングチップ70又はプレイヤから受け取るゲーミングチップ70をキャッシャチップリーダ143に置く。キャッシャチップリーダ143は、ゲーミングチップ70(通常は複数)のRFIDタグ71に記憶された額面金額及びステータスを読み出す。キャッシャコンピュータ141は、キャッシャチップリーダ143で読み取られた額面金額を合計した合計値を表示装置に表示する。なお、合計金額に加えて、各額面金額のゲーミングチップ70が何枚あるかを表示してもよい。
【0147】
また、キャッシャコンピュータ141は、読み取ったRFIDタグ71のなかに、ステータスが有効でないゲーミングチップ70がある場合には表示装置にエラー表示をし、すべてのゲーミングチップ70のステータスが有効である場合は表示装置に合格表示をし、又は何も表示しない。また、ステータスのみならず、それまで不適切な移動履歴がなかったかを表示してもよい。これにより、プレイヤに渡す、又はプレイヤから受け取るゲーミングチップが有効なものであること、及びその総額をキャッシャスタッフとプレイヤとの間で合意した上でゲーミングチップ70の受渡しを行うことができる。
【0148】
上記の実施の形態において、各ロケーションのチップリーダでゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取る際には、チップ管理コンピュータ100は、読み取ったチップIDが有効なチップのチップIDであるかを検証することで、チップIDの有効性を確認し、問題があるときはアラートを発出するようにしてもよい。このために、チップ管理データベース101に、有効なチップIDのテーブルを記録しておき、チップ管理コンピュータ100は、このテーブルを参照して各ロケーションで読み取られたチップIDが有効であるかを検証する。なお、チップIDは暗号化されていてもよい。
【0149】
上記の実施の形態において、チップ管理コンピュータ100は、アラートを発出することに加えて、又はその代わりに、該当するプレイヤ、ゲーミングチップ70、又は移動履歴のレコードに異常を示すフラグを立ててその時間を記録するようにしてもよい。
【0150】
また、ケージ10の部屋の構成は上記で説明したものに限らず、部屋数及び部屋の配置は任意であってよい。また、ゲームテーブルは、バカラ、ブラックジャックその他のカードゲームを行うテーブルであってよく、ゲームテーブルに加えて、ルーレット等の他のゲームを行うロケーションが含まれていてもよい。
【0151】
上記の各コンピュータは、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することで上記の動作を行う。プログラムは、非一時的な記憶媒体によってコンピュータに提供されてよく、あるいは、ダウンロードの形式でコンピュータに提供されてもよい。また、コンピュータ間の通信は有線であっても無線であってもよい。また、上記の実施の形態では、各カードリーダがIDカードを読み取ることで、各ロケーションでスタッフやプレイヤを特定したが、IDカードに代えて、指紋、顔画像、虹彩、声紋等の生体認証によってスタッフやプレイヤを特定してもよい。
【0152】
なお、上記の実施の形態では、ロケーションの例として、ケージ10内の各部屋及びゲームテーブルを例に挙げて、ロケーション間のゲーミングチップ70の移動を管理することを説明したが、ロケーションの例はこれに限らず、例えば、ゲームテーブルにおいてディーラがそこに回収チップを収容し、そこから払出チップを払い出すチップトレイ、テーブルにおいてゲーミングチップを保管するキャビネット、チップトレイが2段で構成されている場合の上段及び下段のそれぞれのチップトレイは、それぞれ上記の実施の形態のロケーションとなり得るものであり、それぞれのロケーションの間のゲーミングチップ70の移動について、上記と同様の管理を行うことができる。
【0153】
例えば、あるゲームテーブルのキャビネットから取り出されたゲーミングチップ70のチップID、総額、及び/又は総枚数を把握し、そのチップID、総額、及び/又は総枚数が同じゲームテーブルのチップトレイに所定時間内に移動しなかった場合に、アラートを発出するようにしてよい。また、例えば、ある2重チップトレイにおいて、下段チップトレイから取り出されたゲーミングチップ70が上段チップトレイに移動したこと、あるいは上段チップトレイから取り出されたゲーミングチップ70が下段チップトレイに移動したことを確認するようにしてもよい。
【0154】
また、フィルを行うときに、F/Cバンク室13からゲームテーブルに運んできたゲーミングチップ70を、ディーラアンテナ513、ベットエリアアンテナ515、もしくはチップトレイアンテナ514を用いて読み取る。チップトレイには、フィル操作の開始と終了が認識できるようにボタンが備えられており、フィル前のチップトレイのゲーミングチップ70とフィル後のチップトレイのゲーミングチップ70とを比較して、フィルによって増加したゲーミングチップ70をフィルされたゲーミングチップ70として認識する。
【0155】
クレジットを行うときには、F/Cバンク室13に運んでいくゲーミングチップ70を、回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132、ベットエリアアンテナ515、もしくはチップトレイアンテナ514で読み取る。チップトレイには、クレジット操作の開始と終了が認識できるようにボタンが備えられていて、クレジット前のチップトレイのゲーミングチップ70とクレジット後のゲーミングチップ70とを比較して、クレジットによって減少したゲーミングチップ70をクレジットされるゲーミングチップ70として認識する。
【0156】
チップ管理コンピュータ100は、各ロケーション(ケージ、チップトレイ等)のチップの在庫(チップID)を出力可能であってよい。チップ管理コンピュータ100は、過去の時点を指定して、その時点の在庫を出力可能であってもよい。
【0157】
また、疑わしいゲーミングチップ(フラグがたっているゲーミングチップ)がキャッシャで換金されようとしたときにアラートを出すようにしてもよい。
【0158】
また、チップ管理データベース101は、各プレイヤの換金履歴を記憶可能であってもよい。また、チップ管理コンピュータ100は、プレイヤが所持しているはずのチップIDを出力可能であってよい。
【0159】
RFIDタグ71には、チップセット、カジノ情報、場所情報、換金可能性などの情報が書き込まれていてよい。あるいは、それらの情報がチップIDに関連付けられてチップ管理データベース101に記憶されていてもよい。チップ管理コンピュータ100あるいは各ロケーションのコンピュータは、あるロケーションでRFIDタグ71が読み取られたときに、それらの情報に基づいてその場所にあるべきゲーミングチップ70であるかどうか検査を行ってよい。
【0160】
また、エリア毎に使用可能なゲーミングチップ70の組(チップセット)、及びゲーミングチップの種類が設定されてよい。例えば、テーブルコンピュータ151又はチップ管理コンピュータ100は、あるゲームテーブルでRFIDタグ71が読み取られたときに、当該ゲームテーブルで使われるべきチップセットかどうかを検査する。
【0161】
使用の開始から一定年数経過したゲーミングチップ70についてチップIDと関連付けてフラグをたててもよい。使用の開始から一定年数経過したゲーミングチップ70については、場所を特定して、回収することができる。使用の開始から一定年数経過したゲーミングチップ70をプレイヤが所持している場合には、キャッシャもしくはゲームテーブルでチップIDが検知されたときに信号を出力する。
【0162】
盗難された可能性のあるゲーミングチップ70を所持しているプレイヤがテーブルに着いたときに、テーブルコンピュータ151又はチップ管理コンピュータは、スタッフ(監視員)に警告を発出してよい。キャッシャコンピュータ141又はチップ管理コンピュータ100は、マネーロンダリング防止のために、購入されてから、プレイされずに、換金されるチップを検知する。
【0163】
キャッシャでは、閾値以上の金額の換金もしくはチップ購入が行われる場合には、プレイヤの写真とチップIDを関連付ける。また、匿名プレイヤ(メンバーカードを持たないプレイヤ)にもユニークIDを付与してチップをトレースする。また、匿名プレイヤについては、チップ購入時に顔を撮影し、顔画像にプレイヤIDを紐づけてチップ管理データベース101に登録しておき、その後の各ロケーション(テーブル、キャッシャ等)では、顔認識によってプレイヤIDを特定するようにしてもよい。チップ管理コンピュータ100は、ブラックリストにのったプレイヤと関連付けられているチップのステータスを全て無効にしてよい。
【0164】
チップ管理コンピュータ100は、メンバーカードを持たないプレイヤがゲームテーブルでゲーミングチップ70を賭けたときに、その場で発行したユニークID、及び/又はゲーミングチップ70に紐づけられたプレイヤIDと紐づけてプレイをチップ管理データベース101に記録する。このとき、顔画像または顔認識によるIDをプレイと紐づけてもよい。また、メンバーカードを後から認識した場合には、遡ってプレイ記録をメンバーカードIDに紐付けて記録してもよい。
【0165】
[第2の実施の形態:テーブルチップリーダを用いたゲーミングチップ管理]
(管理システムの構成)
図11は、本発明の第2の実施の形態の管理システムの構成を示す図である。管理システム2000は、RFIDタグ71を内蔵したゲーミングチップ70を用いたゲームを行うためのゲームテーブル42においてゲーミングチップ70を管理するシステムである。ゲームテーブル42は、ディーラのゲーミングチップ70を収容するためのチップトレイ421と、ゲームにベットするゲーミングチップを置くためのベットエリア422a~422eと、ベットエリア422a~422e及びチップトレイ421とは別の回収エリア423a及び払出エリア423bとを備えている。回収エリア423a及び払出エリア423bは、いずれもベットエリア422a~422eとチップトレイ421との間にある。
【0166】
回収エリア423aには、ゲームに負けて回収されるゲーミングチップ70のRFIDタグ71を回収エリア423aで読み取るための回収ディーラアンテナ5131が埋め込まれる。払出エリア423bには、ゲームに勝ったプレイヤに払い出すゲーミングチップ70のRFIDタグ71を払出エリア423bで読み取るための払出ディーラアンテナ5132が埋め込まれる。回収ディーラアンテナ5131は、ベットエリア422a~422eから回収されてチップトレイ421に入れられる前のゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取る。払出ディーラアンテナ5132は、チップトレイ421から取り出されてベットエリア422a~422eに払い出される前のゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取る。
【0167】
チップトレイ421には、チップトレイ421に収容されているゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのチップトレイアンテナ514が設けられている。回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132、及びチップトレイアンテナ514は、それぞれ第1読取装置81に接続される。
【0168】
第1読取装置81は、回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132、及びチップトレイアンテナ514をそれぞれ制御して、RFIDタグ71に電波を送信するとともに各アンテナで受信した信号をデコードしてRFIDタグ71の情報を取得する。本実施の形態では、回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132、及びチップトレイアンテナ514が同一の第1読取装置81に接続しているので、第1読取装置81は、時分割で回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132、及びチップトレイアンテナ514をそれぞれ制御して読取りを行う。
【0169】
なお、回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132、及びチップトレイアンテナ514がそれぞれ別の読取装置に接続されてもよい。この場合には、回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132、及びチップトレイアンテナ514における読取りは独立して行われてよく、各アンテナが任意のタイミングで読取りを行うことができる。
【0170】
ベットエリア422a~422eには、それぞれベットエリアアンテナ515a~515eが埋め込まれている。ベットエリアアンテナ515a~515eは、それぞれのベットエリア422a~422eに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取る。ベットエリアアンテナ515a~515eは、それぞれ第2読取装置82に接続されている。
【0171】
ゲームテーブル42には、カメラ91、92が設置されている。カメラ91及びカメラ92は、それぞれ異なる角度からベットエリア422a~422eに置かれたゲーミングチップ70を撮影して画像を生成する。カメラ91、92は、それぞれ斜め上方からゲームテーブル42のテーブル面を撮影する。カメラ91、92は、それぞれゲームに参加しているプレイヤも撮影する。カメラ91、92はそれぞれ画像認識装置83に接続されている。
【0172】
画像認識装置83は、カメラ91、92によって生成された画像に対して画像認識処理を行うことで、ベットエリア422a~422eに置かれているゲーミングチップ70の位置、種類、及び枚数を認識する。また、画像認識装置83は、さらに、カメラ91、92によって生成された画像に対して画像認識処理を行うことで、ゲームに参加しているプレイヤの骨格モデルを生成する。なお、ゲーミングチップ70を認識するための画像認識装置83とプレイヤの骨格モデルを生成するための画像認識装置83とが別々の装置であってもよい。また、ゲーミングチップ70を認識するための画像を生成するカメラと、プレイヤの骨格モデルを生成するための画像を生成するカメラとが別々のカメラであってもよい。
【0173】
ゲームテーブル42には、カード配布装置及びゲーム結果判定装置としての電子シュー94が設けられる。電子シュー94は、ディーラの操作によってプレイングカードが1枚ずつ引き出される機構を有する。電子シュー94は、引き出されるプレイングカードのランクを読み取る。このために、プレイングカードには、ランクを示すコードマークが表記されており、電子シュー94にはこのコードマークを読み取るための光学センサが設けられている。あるいは、電子シュー94には、引き出されるプレイングカードのランク表記を撮影して画像を生成するカメラと、この画像に対して画像認識をしてランク表記を認識する画像認識装置とが備えられていてもよい。
【0174】
電子シュー94には、引き出されるプレイングカードのランクに基づいて、バカラゲームのルールに従ってゲーム結果を判定するプロセッサが備えられている。また、電子シュー94には、ディーラが操作するためのボタンが備えられている。バカラゲームは、順に電子シュー94から引き出されるプレイングカードのランクのみに基づいてゲーム結果、即ち、プレイヤウィン、バンカウィン、タイ、プレイヤペア、バンカペア、ラッキー6等のゲーム結果を判定する。電子シュー94は、ボタン操作を認識してゲームの開始ないし終了を認識して、1ゲームにおいて引き出されたプレイングカードのランク及びその引き出しの順序を認識する。
【0175】
ゲームテーブル42には、さらに、現金を投入するための現金投入口93が備えられている。現金投入口93には、そこを通過する現金を検知する現金センサ931が備えられている。プレイヤがゲームテーブル42においてゲーミングチップ70を購入する場合には、ディーラはプレイヤから現金を受け取って現金投入口93に投入するとともに、同額のゲーミングチップをチップトレイ421から当該プレイヤに払い出す。
【0176】
管理システム2000は、さらに、管理装置84を備えている。管理装置84は、第1読取装置81、第2読取装置82、画像認識装置83、及び電子シュー94に接続されている。管理装置84は、第1読取装置81及び第2読取装置82におけるゲーミングチップ70のRFIDタグ71の読取結果、画像認識装置83における画像認識結果、電子シュー94におけるゲーム結果を取得して、これらに基づいて、ゲームテーブル42におけるゲーミングチップ70の動きを管理する。
【0177】
(回収及び払出しにおける不正やミスの検出)
管理装置84は、回収判定手段として、ベットエリア422a~422eから回収されるべきゲーミングチップ70がベットエリア422a~422eから回収されて回収ディーラアンテナ5131で読み取られたか否かを判定する。具体的には、管理装置84は、回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70の額が回収すべき額と一致するか否かを判定する。管理装置84は、ベット対象及びベット額とゲーム結果とに基づいて回収すべき額を決定する。
【0178】
このために、管理システム2000は、ベット対象及びベット額を把握する。ベット対象及びベット額は、カメラ91、92、及び画像認識装置83を用いて認識する。画像認識装置83は、ベット判定手段として、ベットエリア422a~422eにベットされたゲーミングチップ70のベット対象及びベット額を判定する。各プレイヤポジションのベットエリア422a~422eには、ベット対象として、プレイヤ(P)、バンカ(B)、タイ(T)、プレイヤペア(PP)、バンカペア(BP)が設けられている。
【0179】
図12は、本発明の第2の実施の形態のカメラで撮影された画像における画像認識を説明する図である。
図12の例は、カメラ91で撮影された画像である。画像901には、ベットエリア、ベットエリアに置かれたゲーミングチップ、及びプレイヤが映っている。画像認識装置83は、画像901に対して、ゲーミングチップを検出するための画像認識処理を行って、画像901からゲーミングチップを検出する。この画像認識処理には、ニューラルネットワークを用いることができる。検出されたゲーミングチップのスタックは、矩形枠c1、c2で囲われる。
【0180】
画像認識装置83は、さらに、骨格検出をすることで、プレイヤの骨格モデルsm1、sm2を生成する。画像認識装置83は、さらに、プレイヤの顔検出を行って顔領域f1、f2を抽出する。これらの骨格検出及び顔検出にもそれぞれニューラルネットワークを用いることができる。
【0181】
画像認識装置83は、検出されたゲーミングチップのスタックの矩形枠c1、c2の下辺の中央cp1、cp2の画像内の位置に基づいて、当該ゲーミングチップのスタックが置かれた位置、すなわち、当該ゲーミングチップのスタックがベットされたベット対象を認識する。
図12に示すように、プレイヤが手にもって移動しているゲーミングチップも認識されるので、画像認識装置83は、電子シュー94からゲームの最初のプレイングカードが引き出されたことを示す信号を受けてその時の画像からゲーミングチップを検知するようにしてもよい。最初のプレイングカードが引き出されるタイミングではプレイヤはベットされたゲーミングチップに触れることはできず、ゲーミングチップの位置は確定している。なお、画像認識処理として、ゲーミングチップのスタックの領域を特定するセグメンテーションを行ってもよく、この場合には、画像認識装置83は、特定されたゲーミングチップのスタックの領域の最下点の画像内での位置に基づいて当該ゲーミングチップのスタックがベットされたベット対象を認識する。
【0182】
画像認識装置83は、さらに、スタックを構成する各ゲーミングチップの種類を画像認識によって認識してよい。
図12に示したように、ゲーミングチップ70の側面には、額面金額(種類)を示す着色層が設けられているので、検出したスタックの矩形枠c1、c2からさらにこの着色層を検出することで、スタックに含まれるゲーミングチップ70の種類及び枚数を認識できる。
【0183】
また、各ベットエリア422a~422eのゲーミングチップの種類及び枚数は、ベットエリアアンテナ515a~515e及び第2読取装置82によって認識してもよい。すなわち、ベットエリア422a~422eにベットされたゲーミングチップの位置(ベット対象)については、カメラ91、92及び画像認識装置83で認識し、種類及び枚数はベットエリアアンテナ515a~515e及び第2読取装置82によって認識してもよい。
【0184】
また、ゲーミングチップ70の側面にチップIDが表記されている場合には、カメラ91、92で生成された画像を画像認識装置83で認識することで、チップIDを認識してもよい。
【0185】
図13Aは、本発明の第2の実施の形態に係るゲーミングチップの他の例を示す図であり、
図13Bは、本発明の第2の実施の形態に係るゲーミングチップのさらに他の例を示す図である。
図13A及び13Bに示すように、ゲーミングチップ70´、70´´では、側面に識別情報であるサイドIDが表記されている。
図13Aの例では、サイドIDは、複数のドットの有無(ドットパターン)によって表現されている。この例では、サイドIDは、8個のドットからなるドット列におけるドットの有無によって表現されるので、2の8乗とおりの情報を表現できる。
図13Bの例では、サイドIDは、数字列によって表現されている。この例では、8桁の数字によって表現するので、10の8乗とおりの情報を表現できる。なお、サイドIDは、マトリクスパターン、バーコード、文字列で表現されるものであってもよい。サイドIDは、ゲーミングチップの側面の周方向の1/6以下の範囲内に表される。ゲーミングチップの側面には、複数のサイドIDが周方向に所定の間隔をあけて表記される。
【0186】
サイドIDは、各ゲーミングチップを唯一に特定するユニークIDであってよく、あるいは、各ゲーミングチップの所属するグループ(例えば、価値)を示す情報、すなわち他のゲーミングチップと重複し得る情報であってもよい。特に、サイドIDが数字列で表現される場合には、サイドIDはユニークIDであってよく、サイドIDがドットパターン(ドット列)で表現される場合には、サイドIDは所属するグループの情報であってよい。
【0187】
ゲーミングチップ70´、70´´の側面は、厚さ方向に3層に分かれている。本実施の形態では、第1層及び第3層がゲーミングチップの価値に応じて異なる色であり、中央の第2層(中心線)は、ゲーミングチップの価値によらずに、いずれの価値のゲーミングチップにも共通の色(例えば、黒色)である。サイドIDは、印刷又はレーザ刻印によって表記することができる。
【0188】
ゲーミングチップ70´、70´´には、RFIDタグが内蔵されている。RFIDタグには、少なくとも当該ゲーミングチップを唯一に特定するユニークID及び当該ゲーミングチップが属するグループ(例えば、価値)の情報が記録される。なお、本実施の形態では、RFIDタグに記憶されたユニークIDとサイドIDとして表記されるユニークIDとは同じIDであるが、これらが互いに異なるIDであって、同一のゲーミングチップに与えられたそれらの2つのIDがデータベースにおいて関連付けられていてもよい。
【0189】
ゲーミングチップ70´、70´´には、カプセルが内蔵されており、RFIDタグは、カプセルに収容される。また、カプセルの外側には、ゲーミングチップの価値の情報、使用されるカジノの情報等が表記されたディキャルが貼付されている。カプセルには、当該ゲーミングチップを唯一に特定するユニークIDが印字されている。このカプセルに印字されたユニークIDは、RFIDタグに記憶されたユニークIDと同一であってもよいし、異なっていてもよい。カプセルに印字されたユニークIDとRFIDタグに記憶されたユニークIDとが異なる場合には、それらのユニークIDが関連付けられてデータベースに記憶されていてよい。ユニークIDは、ディキャルの下のチップ表面に印字されていてもよい。また、ユニークIDは、チップの表面に、UVインクや赤外線吸収インク等の不可視インクによって印字されていてもよい。
【0190】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るカメラで撮影された画像の例を示す図である。
図14の例では、複数のベットエリアに置かれたゲーミングチップの複数のスタックが映っている。カメラ91、92の画像においてもチップの側面が観察可能である。
【0191】
画像認識装置83は、カメラ91及びカメラ92において生成された撮影画像を受けて、これらに対して画像認識を行うことで、複数のゲーミングチップの各々の少なくとも位置、種類、サイドIDの情報を認識する。画像認識装置83は、ニューラルネットワークの画像認識エンジンを少なくとも部分的に用いて画像認識を行う。
【0192】
カメラ91、92の撮影画像では、任意の場所にゲーミングチップのスタックが存在することから、画像認識装置83は、まず、ニューラルネットワークを用いて撮影画像からゲーミングチップのスタック(又は1枚のゲーミングチップ)を抽出する。画像認識装置83は、抽出されたスタックの部分から、別のニューラルネットワークを用いて複数のゲーミングチップの各々の着色層(中心線)を抽出する。
【0193】
画像認識装置83は、さらに、抽出された中心線の上下の色に基づいて、各ゲーミングチップの価値を判断する。画像認識装置83は、さらに、中心線部分からサイドIDを読み取って、
図13Aの場合には、ドットパターンをデコードすることでサイドIDの情報を取得し、
図13Bの場合には、数字を解読することでサイドIDの情報を取得する。
【0194】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係るデータベースに記憶されたデータの例を示す表である。データベース85には、
図15に示すように、サイドIDで表されるチップIDごとに、額面金額(種類)、所有者、ステータスの情報が記憶される。額面金額は、例えば、10ドル、50ドル、100ドル、500ドル等である。ゲーミングチップ70がプレイヤによって所持される場合には、所有者の情報としてプレイヤIDが記憶され、カジノが所有している場合には、所有者はカジノであるとの情報が記憶される。ステータスとしては、有効、無効、疑い等の情報が記憶される。
【0195】
管理装置84は、画像認識装置83で認識されたサイドID(すなわち、チップID)に基づいてデータベース85を参照することで、各ゲーミングチップ70の額面金額、所有者、及びステータスを知ることができる。
【0196】
管理装置84は、上記のようにして認識されたゲーミングチップの価値及び枚数に基づいて、各ベット対象にベットされたゲーミングチップの総額、すなわち、ベット額を算出する。なお、上記の実施の形態では、管理装置84は、カメラ91、92及び画像認識装置83を用いて、各ベット対象にベットされたゲーミングチップの額を求め、あるいは、カメラ91、92及び画像認識装置83を用いてゲーミングチップ70の位置を認識するとともに、ベットエリアアンテナ515a~515e及び第2読取装置82を用いて各ベットエリア422a~422eのベット額を認識したが、これに代えて、ベットエリアアンテナ515a~515e及び第2読取装置82を用いて、ゲーミングチップ70の位置、種類、枚数を認識することもできる。
【0197】
すなわち、ベットエリア422a~422eにおいて、ベット対象ごとに別々のアンテナが設けられて、ベット対象ごとにゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み分けることができる場合には、カメラ91、92及び画像認識装置83を用いずに、ゲーミングチップの位置、種類、枚数を認識することができる。この場合にも、管理装置84は、第2読取装置82から得た位置、種類、枚数の情報に基づいて、各ベットエリア422a~422eにおけるベット対象及びベット額を認識する。
【0198】
管理装置84は、上記のようにして認識されたベット対象及びベット額の情報、及び電子シュー94から得たゲーム結果の情報に基づいて、各ベットエリア422a~422eにベットされたゲーミングチップ70のスタックが、ゲームに勝ったか負けたかを判定し、負けたゲーミングチップ70のスタックについては回収すべきスタックと判定し、勝ったゲーミングチップ70のスタックについては、当該ベット対象に定義された償還率に基づいて払い出すゲーミングチップ70の額を求める。
【0199】
ディーラはゲーム結果が確定すると、まず負けたゲーミングチップ(すなわち、負けたベット)をプレイヤごとに回収する。このとき、あるプレイヤから回収したゲーミングチップ70のスタック(負けたベットスタック)を回収エリア423aに置いて、回収ディーラアンテナ5131に読み取らせる。その後、そのゲーミングチップ70のスタックをチップトレイ421に収容する。その後、別の負けたゲーミングチップ70のスタック(負けたベットスタック)を回収して回収エリア423aに置いて、回収ディーラアンテナ5131に読み取らせて、チップトレイ421に収容する。これをすべての負けたゲーミングチップ70のスタック(負けたベットスタック)について行う。このとき、ディーラは、負けたゲーミングチップ70をプレイヤポジションの順に(例えば、プレイヤポジション番号が小さい順に)回収する。
【0200】
このとき、管理装置84は、回収判定手段として機能し、ゲームに負けたベットごとに回収エリア423aで回収ディーラアンテナ5131によって読み取られたゲーミングチップ70の額及びチップIDが、ベットエリア422a~422eのいずれかにベットされた負けたベットスタックの額及びチップIDと一致するか否かを判定する。管理装置84は、上記のようにしてベット対象、ベット額、ゲーム結果によって決定した回収すべきゲーミングチップ70の額を負けたベットスタックの額とする。あるいは、管理装置84は、ベットエリア422a~422eから読み取られなくなったゲーミングチップ70の額を負けたベットスタックの額及びチップIDとして当該額及びチップIDが回収エリア423aで読み取られた額及びチップIDと一致するかを判定してもよい。
【0201】
すべての負けたベットスタックの回収が完了したら、管理装置84は、チップトレイアンテナ514を用いて読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップ70の増加額が、負けたベットスタックの総額及びチップID、すなわち回収すべき額の総額及びチップIDと一致しているかを判定する。また、管理装置84は、チップトレイアンテナ514を用いて読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップ70の増加額及び追加されたチップIDが、負けたベットスタックを回収するごとに回収エリア423aの回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70の額及びチップIDのすべての回収についての総額及びチップIDと一致するかを判定する。なお、このために、管理装置84は、回収を開始する前にチップトレイアンテナ514によって読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップ70の総額及びチップIDを取得しておき、すべての回収が完了した後に再度チップトレイアンテナ514によって読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップ70の総額及びチップIDを取得して、それらの差分を求めることで増加額及び追加されたチップIDを算出する。
【0202】
なお、ディーラによる回収オペレーションは、上記のように、1スタックごとに回収エリア423aで読取を行ってチップトレイ421に収容するという方法でなくてもよい。例えば、1スタックごとに順に回収エリア423aに移動させて、すべての負けたベットスタックを回収エリア423aに回収した後に、それらをチップトレイ421に収容してもよい。この場合には、管理装置84は、新たに回収されるゲーミングチップ70が回収エリア423aに追加されるごとに回収ディーラアンテナ5131で読み取られた情報に基づいて、追加された情報を新たに回収されたゲーミングチップ70の情報として取得してもよい。
【0203】
なお、負けたベットスタックが複数ある場合には、上記のとおり、回収する順序は既知であるので、管理装置84にとっては、負けたベットスタックを回収するごとに回収エリア423aで読み取られるべきゲーミングチップのスタックの総額及びチップIDも既知である。管理装置84は、この既知の回収されるべき(回収ディーラアンテナ5131で読み取られるべき)ゲーミングチップ70の総額及びチップIDと、実際に回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70の総額及びチップIDとを比較することで、回収が正しく行われたかを判定する。管理装置84は、回収が正しく行われていない場合には、そのような不正回収に関わるベットスタックのプレイヤポジション又はプレイヤの情報を出力し、又は記録する。
【0204】
ディーラは、回収が終了すると、勝ったゲーミングチップ70に対して払出しを行う。このとき、ディーラは、チップトレイ421から払い出すゲーミングチップ70のスタックを払出エリア423bに置いて、払出ディーラアンテナ5132に読み取らせ、その後に、勝ったゲーミングチップの横、すなわちベットエリア422a~422eに払い出すゲーミングチップ70を置く。ゲームに勝ったプレイヤはそのようにしてベットエリア422a~422eに置かれたゲーミングチップ70を自分がベットしたゲーミングチップ70とともに受け取る。
【0205】
このとき、管理装置84は、払出判定手段として機能し、ゲームに勝ったベットごとに、払い出されるべき額のゲーミングチップ70が払出ディーラアンテナ5132で読み取られたか否かを判定する。管理装置84は、勝ったゲーミングチップのベット額及びベット対象に定義された償還率から算出される払出額を払い出されるべき額として、この額と、払出エリア423bで払出ディーラアンテナ5132によって読み取られたゲーミングチップ70の額とが一致するかを判定する。なお、払出しにおいても、勝ったベットスタックが複数ある場合には、ディーラは、プレイヤポジションの順に(例えば、プレイヤポジション番号が小さい順に)ゲーミングチップ70を払い出す。よって、管理装置84にとって、払い出されるべき、即ち、払出ディーラアンテナ5132において読み取られるべきゲーミングチップ70のスタックの総額は既知である。よって、管理装置84は、払出ディーラアンテナ5132で払い出されるゲーミングチップ70が読み取られるたびに、この既知の総額と実際に払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70の総額とを比較して、不一致がある場合には、その不一致に係るプレイヤポジション又はプレイヤを特定して出力し、又は記録する。
【0206】
管理装置84は、さらに、ベットエリア422a~422eに追加されたゲーミングチップの額と、払出エリア423bで払出ディーラアンテナ5132によって読み取られたゲーミングチップ70の額とが一致するかを判定してもよい。この判定により、払出エリア423bに置かれたゲーミングチップ70が正しいプレイヤポジションに支払われたかを確認することができる。
【0207】
すべての勝ったベットスタックに対する払出しが完了したら、管理装置84は、チップトレイアンテナ514を用いて読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップ70の減少額が、払い出すべき額の総額と一致しているかを判定する。また、管理装置84は、チップトレイアンテナ514を用いて読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップの減少額が、勝ったベットスタックに払出しを行うごとに払出エリア423bの払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70の額のすべての払出しについての総額と一致するかを判定する。なお、このために、管理装置84は、すべての回収の終了後、払出しを開始する前に、チップトレイアンテナ514によって読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップ70の総額を取得しており、すべての払出しが完了した後に再度チップトレイアンテナ514によって読み取られたチップトレイ421内のゲーミングチップ70の総額を取得して、それらの差分を求めることで減少額を算出する。
【0208】
なお、上記の実施の形態では、すべての回収が完了した時点で、チップトレイ421における増加額が正しいかを判定し、すべての払出しが完了したときに、チップトレイにおける減少額が正しいかを判定したが、これに代えて、すべての回収及び払出しが完了してから、それらのすべての回収及び払出しによるチップトレイ421におけるゲーミングチップの増減額が正しいかを判定してよい。この場合にも、管理装置84は、ベット対象、ベット額、ゲーム結果から算出される増減額とチップトレイ421における実際の増減額とが一致するか否かを判定してもよいし、あるいは、回収エリア423aで回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70の総額と払出エリア423bで払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70の総額とを加減算することで増減額を求め、そのようにして得られた増減額とチップトレイ421における実際の増減額とが一致するかを判定してよい。
【0209】
以上のように、管理装置84は、回収の際には、ベット対象、ベット額、ゲーム結果に基づいて回収されるべきゲーミングチップ70を特定し、回収エリア423aの回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDが回収されるべき額及びチップIDであるかを判定する。また、管理装置84は、回収の際に、ベットエリア422aのベットエリアアンテナ515a~515eで読み取られなくなったゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDが、回収エリア423aの回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDと一致するか否かを判定する。さらに、管理装置84は、回収の際に、回収エリア423aの回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDが、チップトレイ421に追加されたゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDと一致するか否かを判定する。
【0210】
また、払出しについては、管理装置84は、ベット対象、ベット額、ゲーム結果に基づいて払い出されるべきゲーミングチップ70の額を特定し、払出エリア423bの払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70の額が払い出されるべき額であるかを判定する。また、管理装置84は、払出しの際に、チップトレイ421から払い出されてチップトレイ421で減少したゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDが払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDと一致するか否かを判定する。さらに、管理装置84は、払出しの際に、払出エリア423bの払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップの額及び/又はチップIDが、ベットエリア422a~422eに追加されてベットエリアアンテナ515a~515eで読み取られたゲーミングチップ70の額及び/又はチップIDと一致するか否かを判定する。
【0211】
(両替の判定)
管理装置84は、両替、すなわち、プレイヤが差し出したゲーミングチップとディーラが差し出したゲーミングチップとの等価交換が正しく行われたかを判定する。このために、管理装置84は、両替が行われている場合に、両替トランザクションが行われていることを認識する。
【0212】
両替トランザクションは、プレイヤが回収エリア423aに、両替を要求する自らのゲーミングチップ70を置き、ディーラに両替の意思を伝えることで開始される。ディーラは、プレイヤによって差し出されて回収エリア423aに置かれたゲーミングチップと等価の(ただし、額面金額(種類)が異なる)ゲーミングチップ70を払出エリア423bに置く。すなわち、両替トランザクションでは、プレイヤから出されたゲーミングチップ70が回収エリア423aに存在するのと同時に、ディーラから出されたゲーミングチップ70が払出エリア423bに存在することになる。
【0213】
管理装置84は、回収エリア423aの回収ディーラアンテナ5131と払出エリア423bの払出ディーラアンテナ5132が同時に、又は所定の時間間隔以内で同時に、ゲーミングチップ70を検出した場合に、両替トランザクションが行われていると判定して、両替モードを起動する。両替モードでは、管理装置84は、両替トランザクションが行われていると判定した場合は、回収エリア423aで読み取られたゲーミングチップ70の総額と、払出エリア423bで読み取られたゲーミングチップ70の総額とを比較して、両者が等しいかを判定することにより、両替が正しく行われているかを判定する。
【0214】
また、両替モードにおいて、管理装置84は、回収エリア423aで読み取られたゲーミングチップ70の枚数と払出エリア423bで読み取られたゲーミングチップ70の枚数とが異なるかを判断して両替モードを起動し、あるいは両替が正しく行われたかを判断してもよい。また、管理装置84は、回収エリア423aで読み取られたゲーミングチップ70についてデータベース85を参照して、その所有者を特定し、それがいずれかのプレイヤIDになっていること確認し、かつ、払出エリア423bで読み取られたゲーミングチップ70についてデータベース85を参照して、その所有者を特定し、それがカジノになっていることを確認して、両替モードを起動し、あるいは、両替が正しく行われたかを判断してもよい。
【0215】
上記の実施の形態では、両替の際にプレイヤから出されたゲーミングチップ70を置くべきエリアを回収エリア423aとし、ディーラから出されたゲーミングチップ70を置くべきエリアを払出エリア423bとしたが、両替のオペレーションはこれに限られない。例えば、プレイヤから出されたゲーミングチップ70を置くべきエリアを払出エリア423bとし、ディーラから出されたゲーミングチップ70を置くべきエリアを回収エリア423aとしてもよい。あるいは、プレイヤから出されたゲーミングチップ70が回収エリア423aに置かれた場合には、ディーラから出されたゲーミングチップ70を払出エリア423bに置くこととし、プレイヤから出されたゲーミングチップ70が払出エリア423bに置かれた場合には、ディーラから出されたゲーミングチップ70を回収エリア423aに置くこととしてもよい。すなわち、プレイヤから出されるゲーミングチップ70及びディーラから出されるゲーミングチップ70を置くべき場所を固定せずに、一方を回収エリア423a及び払出エリア423bのいずれか一方に置き、他方を回収エリア423a及び払出エリア423bの他方に置くようにしてよい。
【0216】
この場合にも、管理装置84は、回収エリア423aと払出エリア423bに同時にゲーミングチップ70が存在することを検知したときに、両替モードを起動してよい。あるいは、さらに回収エリア423aに置かれたゲーミングチップ70の総額と払出エリア423bに置かれたゲーミングチップ70の総額とを比較して、両者が等しく、かつ/又は、回収エリア423aに置かれたゲーミングチップ70の枚数と払出エリア423bに置かれたゲーミングチップ70の枚数とを比較して、両者が等しい場合に、両替モードを起動し、又は両替が正しく行われたと判断してよい。
【0217】
管理装置84は、両替モードにおいて、回収エリア423aに置かれたゲーミングチップ70の総額と払出エリア423bに置かれたゲーミングチップ70の総額とを比較して、両者が一致しない場合に、アラート装置86を制御してアラートを出力させる。また、管理装置84は、回収エリア423a及び払出エリア423bのいずれか一方で読み取られたゲーミングチップ70の所有者がいずれかのプレイヤIDであり、かつ、回収エリア423a及び払出エリア423bのいずれか他方で読み取られたゲーミングチップ70の所有者がカジノであるかを判定し、そのようになっていない場合、例えば、いずれのゲーミングチップ70の所有者もカジノである場合、又はいずれのゲーミングチップ70の所有者もいずれかのプレイヤIDである場合には、アラート装置86を制御してアラートを出力させる。この場合には、アラート装置86は、特に、プレイヤとカジノとの交換になっていないことを警告する。
【0218】
アラート装置86は、音声出力装置を備え、音声によってアラートを出力してよく、ランプを備え、ランプの点灯によってアラートを出力してよく、あるいは、表示装置を備え、表示画面によってアラートを出力してよい。
【0219】
上記の実施の形態では、管理装置84は、回収エリア423aと払出エリア423bに同時にゲーミングチップ70が存在することを検知したときに、両替モードを起動したが、管理装置84は、回収エリア423aと払出エリア423bに、チップトレイ421にあったゲーミングチップ70と、チップトレイ421になかったゲーミングチップ70とが置かれたことが検知された場合に、両替モードを起動してよい。また、管理装置は、回収エリア423aと払出エリア423bに、所有者がプレイヤであるゲーミングチップ70と所有者がプレイヤでないゲーミングチップ70とが置かれたことが検知された場合に、両替モードを起動してよい。
【0220】
(フィルトランザクション及びクレジットトランザクション)
ゲームテーブル42のチップトレイ421にストックされているゲーミングチップ70が少なくなると、ゲームテーブル42外からチップトレイ421にゲーミングチップ70が補充される(フィルトランザクション)。また、ゲームテーブル42のチップトレイ421にストックされているゲーミングチップ70が過剰になると、チップトレイ421からゲームテーブル外にゲーミングチップ70が移動される(クレジットトランザクション)。
【0221】
フィルトランザクションでは、第1の実施の形態と同様にして、F/Cバンク室13では、F/Cバンク室13を出る全てのゲーミングチップ70のチップIDが把握され、ゲームテーブル42においても、F/Cバンク室13から移動してきた全てのゲーミングチップ70のチップIDを検出する。これにより、フィルされるすべてのゲーミングチップ70の理論上のチップID及び総額と、現実にフィルされたすべてのゲーミングチップ70のチップID及び総額とが比較される。
【0222】
ディーラは、F/Cバンク室13からゲームテーブル42に移動してきたフィルされるゲーミングチップ70のRFIDタグ71を回収エリア423aの回収ディーラアンテナ5131で読み取り、その後、チップトレイ421に収容する。チップトレイ421のチップトレイアンテナ514でフィル後にチップトレイ421に収容されたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取る。
【0223】
管理装置84は、F/Cバンク室13を出た全てのゲーミングチップ70のチップID及び総額を取得して、これらと、回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70のチップID及び総額とを比較する。また、管理装置84は、フィルトランザクションにおいて、回収エリア423aに置かれて回収ディーラアンテナ5131で読み取られたゲーミングチップ70のRFIDタグ71のチップID及び総額と、それらのゲーミングチップ70をチップトレイ421に収容されることで、チップトレイ421に新たに追加されたゲーミングチップ70のチップID及び総額とを比較する。
【0224】
管理装置84は、これらの比較のいずれかにおいて不一致があると判定した場合には、アラート装置86を制御してアラートを出力させる。この場合には、アラート装置86は、特に、フィルトランザクションが正確に行われていないことを警告する。
【0225】
クレジットトランザクションでは、第1の実施の形態と同様にして、F/Cバンク室13では、F/Cバンク室13に入る全てのゲーミングチップ70のチップIDが把握され、ゲームテーブル42においても、F/Cバンク室13に移動するすべてのゲーミングチップ70のチップIDを検出する。これにより、クレジットされるすべてのゲーミングチップ70の理論上のチップID及び総額と、現実にクレジットされたすべてのゲーミングチップ70のチップID及び総額とが比較される。
【0226】
管理装置84は、F/Cバンク室13に入る全てのゲーミングチップ70のチップID及び総額を取得して、これらと、払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70のチップID及び総額とを比較する。また、管理装置84は、クレジットトランザクションにおいて、払出エリア423bに置かれて払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70のRFIDタグ71のチップID及び総額と、それらのゲーミングチップ70がチップトレイ421から除かれることで、チップトレイ421から減少したゲーミングチップ70のチップID及び総額とを比較する。
【0227】
管理装置84は、これらの比較のいずれかにおいて不一致があると判定した場合には、アラート装置86を制御してアラートを出力させる。この場合には、アラート装置86は、特に、クレジットトランザクションが正確に行われていないことを警告する。
【0228】
なお、これらのフィルトランザクション及びクレジットトランザクションは、ゲームが行われていないときにのみ実行されてよい。この場合には、管理装置84は、ゲーム結果が確定し、かつ、すべての清算が完了した後であって、次のゲームの最初のプレイングカードが電子シュー94から引き出される前の期間をフィルトランザクション及びクレジットトランザクションが行われ得るゲーム間期間であると認識する。管理装置84は、この期間に回収エリア423aの回収ディーラアンテナ5131において、ゲーム間期間にゲーミングチップ70のRFIDタグ71が読み取られ、上記の両替の条件を満たさず、後述するチップバイインの条件を満たさない場合には、フィルトランザクションであると認識し、フィルモードを起動する。同様に、管理装置84は、ゲーム間期間に払出エリア423bの払出ディーラアンテナ5132でゲーミングチップ70のRFIDタグ71が読み取られ、上記の両替の条件を満たさず、かつ、後述するチップバイインの条件を満たさない場合には、クレジットトランザクションであると認識し、クレジットモードを起動する。
【0229】
なお、フィルトランザクション及びクレジットトランザクションにおいて、フィル又はクレジットされるゲーミングチップ70の額をオペレータが手で入力することで、管理装置84に指定してよい。この場合は、管理装置84は、回収エリア423a又は払出エリア423bで読み取られたゲーミングチップ70の総額が指定された額であるか否かを判定する。
【0230】
(チップバイイン)
プレイヤは、第1の実施の形態で説明したように、キャッシャでゲーミングチップ70を購入することができるとともに、ゲームテーブル42でもディーラからゲーミングチップ70を購入することができる。ディーラは、プレイヤから現金を受けて現金投入口93に投入し、当該現金と等価のゲーミングチップ70をプレイヤに渡す。このとき、ディーラはプレイヤに払い出すゲーミングチップ70を払出エリア423bに置き、払出ディーラアンテナ5132はこのゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取る。
【0231】
現金投入口93に設けられた現金センサ931は、現金を検知すると、これを管理装置84に通知する。管理装置84は、現金検知の通知を現金センサ931から受けて、チップバイインモードを起動する。
【0232】
チップバイインモードでは、管理装置84は、払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70のチップID及び総額を判定する。管理装置84は、さらに、このチップバイインによってチップトレイ421から除かれたゲーミングチップ70のチップID及び総額と、払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70のチップID及び総額とを比較し、不一致がある場合には、アラート装置86を制御してアラートを出力させる。
【0233】
現金センサ931は、現金投入口93における現金の存在を検知するのみであるが、この現金センサ931の代わりに、現金の金種(額)及び真贋を判定する機能を有していてもよい。この場合には、管理装置84は、この現金センサ931で検知された現金の総額が、払出エリア423bに置かれたゲーミングチップ70の総額と一致するかを判定してよく、不一致がある場合には、アラート装置86を制御してアラートを出力させてよい。なお、チップバイインにおいてプレイヤから出された現金は、カメラ91、92及び画像認識装置83によって認識してもよい。この場合にも、管理装置84は、この認識された現金の総額と、払出エリア423bで読み取られたゲーミングチップ70の総額とを比較して、チップバイインが正しく行われているかを判定してよい。
【0234】
また、チップバイインの際には、現金を回収エリア423aに置くこととし、カメラ91、92で回収エリア423aに置かれた現金を撮影して、画像認識装置83でこの現金の額を認識してもよい。この場合に、管理装置84は、画像認識装置83で認識された現金の額と、払出エリア423bに払い出されて払出ディーラアンテナ5132で読み取られたゲーミングチップ70の総額とを比較して、チップバイインが正しく行われているかを判定してよい。
【0235】
(変形例)
上記の第2の実施の形態では、回収エリア423aと払出エリア423bとが隣り合って設けられ、これらの回収エリア423aと払出エリア423bは、チップトレイ421とベットエリア422a~422eとの間にある。これらの各エリアの距離とそれらのエリアに設けられたアンテナから出力される電磁波の強さの関係によっては、各アンテナが対応するエリア以外にあるゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取ってしまうこともあり得る。例えば、回収ディーラアンテナ5131が払出エリア423bに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取ってしまったり、払出ディーラアンテナ5132が回収エリア423aに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取ってしまったりすることもある。
【0236】
このようなエリア間の干渉ないし誤読取りを防止するために、各エリアに、他のエリアのアンテナからの電磁波を遮断ないし変形するためのジャミングアンテナを設けてよい。あるいは、各エリアの間に他のエリアからの電磁波を遮断するためのシールド部材を設置してもよい。また、隣り合うエリア同士で読取タイミングをずらして読取りを行うようにしてよい。また、ジャミングアンテナやシールド部材を設けなくても、干渉や誤読取りが生じない間隔をあけて上記の複数のアンテナが設置されてもよい。
【0237】
また、上記の第2の実施の形態では、第1読取装置81がチップトレイアンテナ514、回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132を用いた読取りを行い、第2読取装置82が複数のベットエリア422a~422eを用いた読取りを行ったが、アンテナと読取装置との組み合わせはこれに限られない。例えば、各アンテナに読取装置が設けられてよく、すべてのアンテナが1つの読取装置によって制御されてもよい。
【0238】
特に、回収ディーラアンテナ5131と払出ディーラアンテナ5132とが同一の読取装置によって制御される場合には、読取装置は、回収ディーラアンテナ5131と払出ディーラアンテナ5132とを交互に用いて回収エリア423aと払出エリア423bの読取りを交互に行ってよい。また、回収ディーラアンテナ5131と払出ディーラアンテナ5132とが別々の読取装置によって制御される場合には、各読取装置は、それぞれ独立したタイミングで回収ディーラアンテナ5131、払出ディーラアンテナ5132を用いて回収エリア423aと払出エリア423bの読取りを独立したタイミングで行ってよい。
【0239】
なお、上記の実施の形態では、回収エリア423a及び払出エリア423bにゲーミングチップ70を置き、回収ディーラアンテナ5131及び払出ディーラアンテナ5132は、回収エリア423a及び払出エリア423bに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取ったが、回収ディーラアンテナ5131及び払出ディーラアンテナ5132は、回収エリア423a及び払出エリア423bを通過するゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取ってもよい。この場合に、例えば、ディーラは、チップトレイ421から取り出してプレイヤに払い出すゲーミングチップ70を手に持ったまま払出エリア423bに位置させて、払出ディーラアンテナ5132に読み取らせて、そのままベットエリア422a~422eに移動させてよい。また、例えば、ディーラは、ベットエリア422a~422eから回収するゲーミングチップ70を手に持ったまま回収エリア423aに位置させて、回収ディーラアンテナ5131に読み取らせて、そのままチップトレイ421に移動させて良い。
【0240】
また、上記の実施の形態では、管理装置84は、自動で、両替、フィルトランザクション、クレジットトランザクション、又はチップバイインが行われていることを認識したが、これに代えて、管理装置84は、オペレータからの操作入力を受けて(例えば、スイッチやボタンの操作を受けて)、それに応じて両替等が行われていることを認識してよい。
【0241】
[第3の実施の形態:回収及び払出しの不正を検知する不正検知システム]
本実施の形態は、遊技場でのゲームにおける不正行為、又はゲーミングチップの賭けや精算をする際のミスや不正行為を検知するシステムに関する。第3の実施の形態は、第2の実施の形態と組み合わせて用いることができる。
【0242】
本実施の形態の不正検知システムは、複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムであって、前記遊技テーブルで行われるゲームの状態をカメラにより映像として記録するゲーム記録装置と、前記記録されたゲームの状態の映像を画像分析する画像分析装置と、前記遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗結果判定装置と、前記画像分析装置による画像分析結果と前記勝敗結果判定装置が判定する勝敗結果とを用いて、前記遊技テーブルで行われる不正行為を検知する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記画像分析装置を介して各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を把握するとともに、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおけるチップの総額を把握し、各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、当該ゲームですべてのプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数と当該勝敗結果判定装置で得た当該ゲームの勝敗結果とから計算される当該ゲームにおけるチップの増減額を加減算し、当該ゲームの終了時の清算後の前記チップトレイにおけるチップのあるべき総額と、前記画像分析装置を介し得た当該ゲームの終了時の当該チップトレイにおけるチップの現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0243】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置は、前記画像分析装置を介して各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を把握し、各プレーヤの賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と、当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定してもよい。
【0244】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置は、各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と、当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがないと判定し、かつ当該ゲームの終了時の精算後の前記チップトレイにおけるあるべき総額と、前記画像分析装置を介し得た当該ゲームの終了時の当該チップトレイにおけるチップの現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあると判定した場合には、支払いの間違いと判定し、支払いの間違いを知らせる支払い誤りシグナルを発生させてもよい。
【0245】
上記の不正検知システムにおいて、前記チップトレイには、負けたプレーヤの賭けたチップを回収して一時保管する回収チップトレイが設けられ、前記画像分析装置及び前記制御装置は、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から計算される当該回収チップトレイにおけるチップのあるべき額と、当該回収チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、回収チップトレイにおけるあるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定してもよい。
【0246】
上記の不正検知システムにおいて、前記画像分析装置を介してゲームの終了時の清算後にチップトレイにおけるチップの現実の総額を得るのは、
1)勝ちチップに対する償還が終了したとき、
2)当該ゲームで使用されたカードが回収され、当該テーブルの廃棄エリアに廃棄されるとき、
3)前記勝敗結果判定装置に付随する所定のボタンを押したとき、
4)勝敗を示すマーカーを元に戻したとき、のいずれかであってよい。
【0247】
上記の不正検知システムにおいて、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの現実の総額が、すべてのプレーヤの賭けたチップ額と当該ゲームの勝敗結果とから計算されるチップの増減額に対応していない違いを前記制御装置が判定した時、前記ゲーム記録装置において前記違いが生じたゲームの記録が分析可能となるように、前記ゲーム記録装置は、取得した映像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの回収シーンあるいは支払シーンを特定して再生できる構成であってよい。
【0248】
上記の不正検知システムにおいて、前記画像分析装置もしくは制御装置は、遊技テーブル上に置かれた複数のチップが前記カメラの死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、賭けられたチップの種類、枚数と位置の情報を得ることが可能な構造であってよい。
【0249】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置は、
1)遊技テーブルの各プレー位置において賭けたチップの位置と種類と枚数とを把握し、各ゲームの勝敗結果より得られる各プレーヤの勝敗履歴と得たチップの額を、過去のゲームの統計データと比較して特異な状況として抽出するか、または
2)遊技テーブルのプレー位置において、負けた時の賭けチップの額が、勝った時の賭けチップの額より少額である状態が過去のゲームの統計データと比較して特異な状況として抽出する、
ことが可能な構造であってよい。
【0250】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置は、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの額が、お札とチップとの交換が行われた後に、交換したお札に対応したチップの支払額、または交換したチップに対応したお札の支払額に応じて増減したか否かを、比較判定可能であってよい。
【0251】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置はさらにお札とチップの交換の履歴を残すデータベースを備え、一定時間または一日単位で、前記データベースを参照し、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの額が、交換したお札に対応したチップの支払額、または交換したチップに対応したお札の支払額の総額に応じて増減したか否かを、比較判定可能であってよい。
【0252】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置は、前記画像分析装置を介して前記違いまたは特異な状況として抽出されたプレー位置のプレーヤの特定が可能であってよい。
【0253】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置は、前記特定されたプレーヤが、離席して別の遊技テーブルに着いたとき、当該別の遊技テーブルに当該特定プレーヤの存在を知らせる警告機能を有してよい。
【0254】
上記の不正検知システムにおいて、前記制御装置は、さらに
1)各ゲームにおいて、カードの引き出しが開始されてからもしくはディーラのゲーム開始操作からカード配布装置によりゲームの勝敗結果が表示される前の間に、チップの動きがないかどうか、
2)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップを回収している間に、前記敗者がチップを取っていないかどうか、
3)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップを回収している間に、チップの追加がされたかどうか、
4)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの勝者が賭けていたチップの位置に、支払いを行ったかどうか、
5)各ゲームの終了後、ゲーム参加人のうちの勝者が、賭けていたチップおよび支払われたチップを取ったかどうか、
の少なくとも1つを判定する機能を備えていてよい。
【0255】
上記の不正検知システムにおいて、前記勝敗結果判定装置は、遊技テーブルにおいてカードを配布するカード配布装置であるか、または遊技テーブルにおいて配布されたカードをカメラで読取る前記画像分析装置の情報から各ゲームの勝敗結果を判定する制御装置であってよい。
【0256】
本実施の形態の不正検知システムによれば、ゲームの勝敗結果に従ったチップの回収及び償還における不正を検知できる。
【0257】
また、本実施の形態のシステムによれば、バカラゲーム等においてしばしば行われるプレーヤによるカードのスクイーズによりカードが曲がってしまっても、画像分析でカードのランクとスートが判定でき、死角や重なったチップも総額が位置と共に把握することができる。またお札とチップの交換時の不正も検知することができる。
【0258】
本実施の形態の複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムの全体の概要を以下にさらに詳細に説明する。
図16は同システムの全体の概要を示す図であって、複数の遊技テーブル304を有する遊技場における不正検知システムは、遊技テーブル304で行われるゲームの進行状態をプレーヤ306およびディーラ305を含め複数のカメラ302を介して映像として記録するゲーム記録装置311、および記録されたゲームの進行状態の映像を画像分析する画像分析装置312、さらに遊技テーブル304において各ゲームの勝敗結果を判定し表示するカード配布装置303を備える。カード配布装置303は、すでに当業者で使われているいわゆる電子シューであり、あらかじめゲームのルールがプログラムされており、配布されるカードCの情報を読み取って、ゲームの勝敗を判定することができる構造となっている。たとえばバカラゲームでは、バンカーの勝、プレーヤの勝、タイ(引き分け)が、基本的に2-3枚のカードのランクにより決定され、判定結果(勝敗結果)は結果表示ランプ313にて表示される。
【0259】
本不正検知システムは、さらに画像分析装置312による画像分析結果による実際のカードのランクと、カード配布装置303が判定する勝敗結果とを比較し、遊技テーブル304で行われる不正行為(配布されたカードのランク合計と勝敗結果の不一致など)を検知する制御装置314を備える。カード配布装置303は、ディーラ305により手動で配布されるカードCのランク(A,2~10,J,Q,K)とスート(ハート、スペードなど)を読取り可能な構造であって、制御装置314は、遊技テーブル304において配布された各カードの映像(カメラ302を使って撮影する)から画像分析装置312(人工知能を使用する)が得るランクとスートの情報と、カード配布装置303が読取ったカードとスートの情報とを照合して一致不一致を判定可能な構造となっている。本不正検知システムにおける画像分析装置312および制御装置314は、一体もしくは複数の構成からなるコンピュータおよびプログラム、メモリを複合的に備えた構造となっている。
【0260】
画像分析装置312および制御装置314は、遊技テーブル304において配布されプレーヤ306によって折曲げられもしくは汚れたカードCであっても、カードのランクの情報を得ることが可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する。汚れたカードCでは、
図18に示すように、クラブとスペードの判別が困難な状況が出現する。このような場合でも、人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術を用いた画像の分析、判定により、スートの判別が可能となる。また、バカラゲーム等においてしばしば行われるプレーヤによるカードのスクイーズによりカードが曲がってしまっても、多数の画像の変形例の自己学習等を利用して、人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術により、変形前のカードが有していたスートやランクを認識可能となる。人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術は当業者ですでに既知で利用可能であるため、詳細な説明を略する。
【0261】
人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する制御装置314は、カメラ302、画像分析装置312を介して、各プレーヤ306がチップ309を賭けエリア308のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に賭けたか、賭けたチップ309の種類(チップ309は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能である。チップ309は、垂直方向に整列せず、ずれて積み重ねられることがある。この場合、積み重ねられたチップを側面から撮影するようにカメラ302が位置する場合(もしくは相対的にチップ309の向きが死角になる場合)、チップ309が見えない(死角に入る)ことが想定される。人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術においては、自己学習機能等を用いて、チップ309の死角による隠れ等(一枚のチップの一部が隠れる場合、あるいはチップ全体が隠れる場合)を認識して、正確に枚数等が把握される。このように、チップ309が賭けエリア308のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に賭けたか、賭けたチップ309の種類(チップ309は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能であるため、各ゲームにおいてカード配布装置303が判定するゲームの勝敗結果に従って、各プレーヤ306の賭けた負けチップの回収(矢印Lに示す)および勝ったプレーヤ306Wへの勝ちチップへの支払(309W)が適正に行われたか否かを、制御装置314は、画像分析装置312を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。
【0262】
制御装置314は、遊技テーブル304のディーラ305のチップトレイ317におけるチップ309の総額が画像分析装置312を用いて分析把握可能で、ゲームが終了して清算した後に、各プレーヤ306の賭けた負けチップ309の回収および勝ったプレーヤ306Wへの勝ちチップへの支払309Wの額に応じて、チップトレイ317内のチップ309の総額が増減したか否かを、ゲームの勝敗結果に従って比較計算可能である。チップトレイ317におけるチップ309の総額は、RFIDなどの手段で常に把握されていても、その増減額が正しいか、否かは、制御装置314が、画像分析装置312を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。これらも人工知能活用型もしくはディープラーニング構造が活用される。
【0263】
この例では、ゲームの勝敗結果、どの種類のチップ309が賭けエリア308のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に何枚賭けたかの情報、及び負けチップの回収及び勝ちチップ309に対する償還が終わった後のチップトレイ317におけるチップ309の増減額に基づいて不正やミスを検知するので、ゲーム終了後のチップ309の動き、すなわち、賭けられていたチップ309がプレーヤ側に移動したか、ディーラ側に移動したかを把握しなくても、不正やミスを検知できる。
【0264】
ここで、ゲームの勝敗結果は、例えばバカラの場合には、カード配布装置303において、そのゲームで繰り出されたカードCのランクを読み取ることで、バカラのルールに従って判定することができる。また、ゲームの勝敗結果は、遊技テーブル304上をカメラ302で撮影して、その画像を画像分析装置312で分析し、制御装置314で分析結果をゲームのルールと照らし合わせることでも判定できる。この場合には、カメラ302と画像分析装置312と制御装置314とで勝敗結果判定装置が構成される。各プレー位置307のプレーヤ、どの種類のチップ309が賭けエリア308のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に何枚賭けたかの情報は、賭けエリア308に置かれたチップ309をカメラ302で撮影し、画像分析装置312でプレー位置307毎にその画像を分析することで得られる。
【0265】
また、負けチップ309の回収及び勝ちチップ309に対する償還が行われる前後のチップトレイ317におけるチップ309の増減額は、負けチップ309の回収及び勝ちチップ309に対する償還をする前のチップトレイ317内のチップ309の総額と負けチップ309の回収及び勝ちチップ309に対する償還をした後のチップトレイ317内のチップ309の総額とを比較することで算出できる。負けチップ309の回収及び勝ちチップ309に対する償還をする前のチップトレイ317内のチップ309の総額、及び負けチップ309の回収及び勝ちチップ309に対する償還をした後のチップトレイ317内のチップ309の総額は、それぞれチップ309を収容したチップトレイ317をカメラ302で撮影し、画像分析装置312でその画像を分析することで検知可能である。また、チップ309内にその額を示すRFIDを埋め込むとともにチップトレイ317にRFIDリーダを設けることで、チップトレイ317に収容されているチップ309の総額を検出するようにしてもよい。
【0266】
図17Aは、本実施の形態のチップトレイの詳細を示す図あり、
図17Bはチップトレイの他の例を示す図である。チップトレイ317には、負けたプレーヤ306Lの賭けたチップ309Lを回収して一時保管する回収チップトレイ3171と償還するチップ309Wを保管する償還チップトレイ3172とが設けられている。画像分析装置312および制御装置314は、負けたプレーヤ306Lが賭けたチップ309Lの位置、種類および枚数を把握し、当該ゲームにおけるチップ309Lの増額分(当該回収チップトレイ3171におけるチップ309のあるべき額)を計算する。さらに、画像分析装置312及び制御装置314は、回収した後の回収チップトレイ3171におけるチップ309の現実の総額を把握し、あるべき総額と現実の総額とを比較して違いがあるか否かを判定する。
【0267】
また、勝ったプレーヤ306Wに対するチップ309Wの償還は償還チップトレイ3172にあるチップ309を使用することで、画像分析装置312及び制御装置314が回収した後の回収チップトレイ3171におけるチップ309の現実の総額を把握するのに十分な時間を確保することができる。
【0268】
遊技テーブル304は、ゲームで使用されたカードCを廃棄するための廃棄エリア341及び/又は廃棄スロット342を備える。ゲームが終了する度に当該ゲームで使用されたカードCは、回収され、遊技テーブル304上の廃棄エリア341もしくは廃棄スロット342に入れて廃棄される。
【0269】
以上のように、本実施の形態では、制御装置314は、ゲーム毎に遊技テーブル304上の賭けチップ額とゲームの勝敗結果からチップの収支を計算し、ゲーム後におけるチップトレイ317内のチップの残高の増額を検証する。制御装置314は、この検証において違いが検出されたら、アラームを発出するか、あるいはカメラ302で撮影されたビデオの記録にその旨の記録を追加する。カジノ運営者は、ビデオを確認することで違いの原因を追究することができる。
【0270】
本実施の形態の不正検知システムは、各ゲームの清算前のチップトレイ317におけるチップ309の総額から、当該ゲームですべてのプレーヤ306の賭けたチップ309の位置、種類および枚数と勝敗結果判定装置で得た当該ゲームの勝敗結果とから計算される当該ゲームにおけるチップの増減額を加減算し、当該ゲームの終了時の清算後のチップトレイ317におけるチップ309のあるべき総額と、画像分析装置312を介し得た当該ゲームの終了時のチップトレイ317におけるチップ309の現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0271】
制御装置314は、画像分析装置312を介して各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を把握し、各プレーヤの賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイ317の増額を加算した当該チップトレイ317におけるチップ309のあるべき総額と、当該チップトレイ317におけるチップ309の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0272】
制御装置314は、各ゲームの清算前のチップトレイ317におけるチップ309の総額から、負けたプレーヤの賭けたチップ309の位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイ317の増額を加算した当該チップトレイ317におけるチップ309のあるべき総額と、当該チップトレイ317におけるチップ309の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがないと判定し、かつ当該ゲームの終了時の精算後のチップトレイ317におけるあるべき総額と、画像分析装置312を介し得た当該ゲームの終了時のチップトレイ317におけるチップ309の現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあると判定した場合には、支払いの間違いと判定し、支払いの間違いを知らせる支払い誤りシグナルを発生させる。
【0273】
チップトレイ317には、負けたプレーヤの賭けたチップ309を回収して一時保管する回収チップトレイ3171が設けられ、画像分析装置312は、負けたプレーヤの賭けたチップ309Lの位置、種類および枚数から計算される当該ゲームにおけるチップ309の増額を加算した回収チップトレイ3171におけるチップ309のあるべき総額と、回収チップトレイ3171におけるチップ309の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0274】
制御装置314が遊技テーブル304のディーラ305のチップトレイ317における把握されているチップ309の現実の総額が、すべてのプレーヤの賭けたチップ額と当該ゲームの勝敗結果とから計算されるチップの増減額に対応していない違いを判定したときは、ゲーム記録装置311において上記の違いが生じたゲームの記録が分析可能となるように、ゲーム記録装置311は、取得した映像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップ309の回収シーンあるいは支払シーンを特定して再生できる。
【0275】
このように、制御装置314は、画像分析装置312を介してゲームの終了時の清算後にチップトレイ317におけるチップの総額を得るが、この場合の清算後の判断というのは、以下の1)~4)のいずれかが起こったときとする。
1)勝ちチップ309に対する償還が終了したとき、
2)当該ゲームで使用されたカードCが回収され、当該テーブルの廃棄エリア341もしくは廃棄スロット342に廃棄されるとき、
3)勝敗結果判定装置に付随する所定のボタンを押したとき、
4)勝敗を示すマーカーを元に戻したとき。
【0276】
また、制御装置314は、遊技テーブル304の各プレー位置307において賭けたチップの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)と額(種類と枚数)を把握し、各ゲームの勝敗結果により得られる各プレーヤ306の勝敗履歴と得たチップの額(勝った額)を、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)として抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。典型的にはある額(100万ドル)以上の勝ち額の発生や、ある遊技テーブル304のプレー位置307において、負けた時の賭けチップの額が少なく、勝った時の賭けチップの額が多い状態が数ゲーム続き、それが過去のゲームの統計データ(ビッグデータ等)と比較して特異な状況としてこれを抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造の制御装置314を備えるものである。
【0277】
さらに、本不正検知システムの制御装置314は(画像分析装置312と一体となって)特異な状況として抽出されるか、もしくは所定額以上の勝ちを収めたプレー位置307における個別のプレーヤ306の特定が可能な構造である。このようなプレーヤ306の特定は、画像分析装置312において、顔の画像を特徴点抽出等により得、アイデンティティ番号(ID等)を付して特定しておく。そして制御装置314は、特定されたプレーヤ306が、離席して別の遊技テーブルに着いたとき、当該別の遊技テーブルに当該特定プレーヤの存在を知らせる警告機能を有する。具体的には、各遊技テーブル304を管理するピットマネージャや各テーブル責任者(ディーラでもよい)に知らせて、更なる特異現象の防止を図る。
【0278】
制御装置314は、さらに、お札Kとチップ309の交換の履歴を残すデータベースを備え、一定時間または一日単位で、データベースを参照し、遊技テーブル304のディーラ305のチップトレイ317における把握されているチップ309の額が、交換したお札Kに対応したチップ309の支払額、または交換したチップ309に対応したお札Kの支払額の総額に応じて増減したか否かを比較し判定する。
【0279】
なお、上記の例において、個別のプレーヤ306を特定せずにプレー位置307ごとの勝敗履歴と得たチップの額(勝った額)を監視してもよい。この場合には、各プレーヤ306が離席した場合にそのプレーヤ306をトラッキングできないことになるが、1つの遊技テーブル304の特定のプレー位置307で負けた時の賭けチップの額が少なく、勝った時の賭けチップの額が多い状態が数ゲーム続く等の特異な状況を検知することができる。そして、そのようなプレー位置307が検出された場合には、そのプレー位置307において不正やミスがあった疑いがある。そして、そのプレー位置307を撮影したビデオを検証することで、不正やミスを発見することができる。
【0280】
具体的には、カメラ302は、少なくとも遊技テーブル304の賭けエリア308に置かれたチップ309を撮影するように設置される。画像分析装置312は、カメラ302によって撮影された画像を分析して、プレー位置307ごとに賭けエリア308のプレーヤ、バンカー、タイのいずれの位置にチップが置かれたか、及び置かれたチップの額を検知する。また、カード配布装置303は、勝敗結果判定装置としても機能し、ゲームの勝敗結果を判定する。制御装置314は、チップ309が置かれた賭けエリア308内の位置(プレーヤ、バンカー、又はタイ)及びゲームの勝敗結果に基づいて、プレー位置307ごとの勝敗履歴及び得たチップの額(チップ獲得額)を記録していく(監視する)。なお、勝敗履歴及びチップ獲得額は、そのいずれかのみが記録されてもよい。制御装置314は、この勝敗履歴及び/又はチップ獲得額の履歴が、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)である場合に、このプレー位置307を不正行為が疑われるプレー位置として特定する。
【0281】
あるプレー位置307について不正行為が疑われた場合には、不正検知システムは、その時点で少なくともディーラが知覚できるようにアラーム(光や音や振動)を発生させてよい。これにより、少なくともその場でそれ以降のゲームを中断するなどして、不正行為の継続を阻止することができる。また、カメラ302によって撮影されて記録される映像に、不正行為が疑われたことを示す情報を付加するようにしてよい。これにより、ビデオを確認することで、不正行為の疑いの原因を究明できる。
【0282】
本実施の形態における遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムは、さらに遊技テーブル304においてしばしば行われるお札とチップとの交換時の検査を行う機能を備える。カジノ等の遊技場では、ゲームの前にプレーヤ306は、所定のチップ交換所で、お札(現金など)と遊技用のチップを交換する。しかし、プレーヤ306がチップを使い果たすと、遊技テーブル304から離席せずに、遊技テーブル(バカラテーブル等)上で、現金(お札)からチップ309の交換をしてゲームを続けることができる。しかし、ここにディーラ305とプレーヤとの間で不正が行われる機会が生じる。遊技テーブル(バカラテーブル等)上で、現金(お札)からチップ309の交換は、ゲームが進行していない時に行われる必要がある。カード配布装置303は、ゲームの勝敗を決定するために、カードのディーリング開始と、ディーリング終了(勝敗の決定時期)を検出することが可能である。このため、カード配布装置303において、カードの配布(ディーリング)以外の状況を検出し、制御装置314は、カードのディーリング中以外の状況において、遊技テーブル304においてお札とチップ309との交換が行われていることを検知する(
図19に示す)。カードのディーリング中(またはそれ以外の状況)は、カード配布装置303あるいはディーラ305の動作より得られる情報に基づいて検出できる。
【0283】
制御装置314は、お札Kの表面の画像分析を行いお札の枚数と額を認識可能である。さらに、遊技テーブル304では、チップ309との交換用のお札Kが真正なものか否かが、ブラックライトを照射することでお札の真正マークGを検出して判断される。
図21に示すように、制御装置314は、この真正マークGも画像分析して検証し、真正なお札の総額を認知し、さらに交換対象として遊技テーブル上に出された複数のチップがカメラ302の死角により隠れた状態となっていてもチップの総額を認知可能で、遊技テーブル304上にプレーヤから出されたお札Kの総額と、ディーラ305から出されたチップ309の総額とを比較し、両者の額が一致するか否かを判定可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造となっている。
【0284】
制御装置314は、遊技テーブル304のディーラ305のチップトレイ317におけるチップ309の総額が、お札とチップとの交換が行われて清算した後に、交換したお札に対応したチップの支払額に応じて増減したか否かを、比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。ディーラ305のチップトレイ317におけるチップ309の総額は、チップ309のRFID等によりあらかじめ常に把握されている場合も考えられる。また、チップ309を収容したチップトレイ317をカメラ302で撮影し、画像分析装置312でその画像を分析することでも、チップトレイ317に収容されたチップ309の総額を検知できる。
【0285】
また、制御装置314は、お札とチップとの交換の前後における、チップトレイ317内のチップ309の額の増減と遊技テーブル304上における画像分析結果のチップの交換額とが一致するかを検証する。支払われたお札の額は、ディーラ305がキー入力等によって制御装置314に対して入力してもよいし、カメラ302によってお札の支払いが行われる遊技テーブル304上を撮影して、画像分析装置312でその画像を分析することで特定してもよい。
【0286】
上記のように、制御装置314は、お札とチップとの交換によるチップトレイ317からのチップ309の減額分が、プレーヤ306からディーラ305に支払われたお札の額と一致するか否かを判定する。さらに、制御装置314は、お札とチップとの交換が行われて清算した後に、ディーラ305によるお札の入金額(通常はキー入力等による)と、画像分析装置312による画像分析結果のお札の計算金額の一致不一致を比較計算可能な知能型制御装置であり、さらには人工知能活用型もしくはディープラーニング構造であってもよい。
【0287】
また、さらには、制御装置314は、当該ディーラの担当する遊技テーブル304における当該ディーラの入力によるお札の総入金額と、前記画像分析装置312による画像分析結果によるお札の総額との一致不一致を比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0288】
制御装置314は、遊技テーブル304のディーラ305のチップトレイ317における把握されているチップ309の額が、お札とチップ309との交換が行われた後に、交換したお札に対応したチップ309の支払額、または交換したチップ309に対応したお札の支払額に応じて増減したか否かを比較し判定する。
【0289】
制御装置314は、さらに、バカラゲームのルールに従い、以下の1)から5)に示す機能を有しルールに反する不正が行われていないか否かを判定する。すなわち、
1)各ゲームにおいて、カード配布装置303から得られるカードの引き出しが開始される信号から、もしくはディーラ305が開始ボタンを押すことによるゲーム開始操作から、カード配布装置303によりゲームの勝敗結果が表示される前の間に、チップ309の動きがないかどうかを、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報により監視する(
図16に示す)。
2)各ゲームの終了後、ディーラ305がゲーム参加人306のうちの敗者が賭けていたチップ309を回収している間(
図20に示す)に、敗者306Lがチップ309を不正に取っていないかどうかを、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報により監視する。
3)各ゲームの終了後、ディーラ305がゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップ309を回収している間に、ディーラ305以外の者(勝者もしくは敗者)が勝ちチップ309Wを追加したり、賭けていない勝側に新たにチップ309を置きなおしていないかどうかを、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報により監視する。
4)各ゲームの終了後、ディーラ305がゲーム参加人306のうちの勝者が賭けていたチップ309の位置に、正しく支払いのチップ309Wを置いたかどうか(
図21に示す)を、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報により監視する。
5)各ゲームの終了後(ディーラ305がカード配布装置303を操作して勝敗結果を表示ランプ313に表示させる)、ゲーム参加人306のうちの勝者306Wが、賭けていたチップ309および支払われたチップ309Wを取ったかどうか(
図22に示す)を、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報により監視する。
【0290】
制御装置314は、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報の分析を以下のように行う。すなわち、画像分析装置312の分析結果を用いて、ディーラ305およびゲーム参加人306の手の動き、チップの動き、または前記手の動きとチップの動きを検知することによって、前記1)から5)の監視をするが、その基本となる分析においては、チップ309が誰に取られたかを知ることが少なくとも必要となる。以下にその分析の方法について、以下
図23から25を使って説明する。
【0291】
ゲーム参加人306Lの賭けたチップ309をディーラ305が取ったことの分析(
図23)。ゲームで負けたゲーム参加人306Lの賭けたチップ309は、ディーラ305が回収する。これが確実に回収されたか否かを、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報を分析して監視する。まず、賭けられたチップ309が存在する状態(
図27A)から存在しない状態(
図23C)の変化を画像分析により検出する。そしてチップ309が存在する状態から存在しない状態の間の画像(
図23B)を分析する。チップ309が存在する状態から存在しない状態の間の画像(
図23B)において、手305hがどちらから伸びているか(
図23の上方からかそれ以外か)を分析し、上方から伸びている(あるいは上方から手が出現して、また上方へ退出する手の動き)場合はその手305hをディーラ305のものと判定し、それ以外の方向から手が伸びたときは不正と判定する、というルールをもとにして不正を検出する。
【0292】
ゲームで負けたゲーム参加人306Lの賭けたチップ309をディーラ305が回収している間に、他の者が負けたチップ309を不正に取らないかどうかを監視する(
図23及び26)。チップ309が存在する状態から存在しない状態の間の画像において、
図24に示すように、ゲーム参加人306のうちの敗者306L等が取ったことの分析は、手306hが
図24の下方から(本来は上方から)伸びもしくは移動することを画像分析により検出して、これをディーラ305以外の手306h等がチップ309を取るということであると判定し、これを不正があったと判定する。
【0293】
勝チップ309に対してディーラ305が正しくチップ309を支払い(置き)、それをゲーム参加人306のうちの勝者306Wが取ったことの分析。まず
図25Aに示す勝チップに対して、
図25Bに示すようにゲームのルールに従いチップ309Wが償還される。
図25Aに示す図の状態から
図25Bに示す図の状態の変化を検出し、同時に手がディーラ305の手305hかどうかを画像分析により検出する。この後、
図25Cに示すように今度は同じ賭けエリアにゲーム参加人306のうちの勝者306Wの手306hが伸び(移動し)て、その後チップ309がすべて無くなるかどうか(
図25Dの状態)を画像分析結果から、ゲームのルールに従い制御装置314が検査し不正がなかったか否かを判定する。
【0294】
さらに、制御装置314は、ディーラ305により勝者に支払われたチップの額が、ゲーム参加人306のうちの勝者306Wが賭けていた額にもとづき正しいか否かを判定するように構成されている。以下に具体例を示す。チップ309の位置と総額(プレーヤ側もしくはバンカー側どちらの賭けエリア308にチップ309が賭けられたか)は、チップ309がずれて重なったり、カメラ302の位置からは死角になる場合など、通常では読み取れないことが想定される。制御装置314は、既存の人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術による、自己学習機能等を用いて、チップ309の死角による隠れ等(一枚のチップの一部が隠れる場合、あるいはチップ全体が隠れる場合)を認識して、正確に位置と枚数等を把握可能なように構成されている。さらに、チップ309の賭けエリア308における位置および種類を検知する構造はこれに限定されず、例えばチップに埋め込まれたIDを読取って検知するように構成されていてもよい。
【0295】
制御装置314は、以上に説明したようにカメラ302、画像分析装置312を介して各プレーヤ306が賭けるチップ309の位置(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)、種類(チップ309は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能であり、プレーヤに賭けをしたのはどの客306か(プレーヤに賭けをした客306が複数いる場合は、一番高額を賭けたのはどの客306か)、バンカーに賭けをしたのはどの客306か(バンカーに賭けをした客306が複数いる場合は、一番高額を賭けたのはどの客306か)を、検知することができる。
【0296】
さらに、本ゲームの不正検知システムの制御装置314は、バカラゲームのルールに従い、以上のような手法で、カメラ302を使って画像分析装置312が得る情報を分析して監視する。前述の1)から5)に示す監視を行い、ルールに反する不正が行われていないか否かを判定する。不正検知時には、制御装置314は、カード配布装置303もしくは遊技テーブル304の両方にそれぞれ設けた異常表示ランプを点灯させ、カジノ管理部門等に不正の検知を無線・有線で出力する。判定結果を受けて警告または表示を行うモニタまたはランプをさらに別の場所に備えていてもよい。
【0297】
以上のように不正な行為は、制御装置314により検知され、検知された時点または適切なタイミングで、カード配布装置303の表示ランプ313や異常表示ランプに表示信号を出すか、警告を行うほか、不正または誤りが検知された時点以降にカード配布装置303が有するカードの配布を阻止する機能を作動させて、カードの配布を阻止してもよい。
【0298】
なお、上記の実施の形態では、画像分析装置312や制御装置314が人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する装置であったが、画像分析装置312や制御装置314は、具体的には、スケールが不変の特徴変換(SIFT;Scale-Invariant Feature Transform)アルゴリズム、畳み込みニューラルネットワーク(CNN;Convolutional Neutral Network)、深層学習(deep learning)、機械学習(machine learning)、又は同様のものを用いて画像の分析や上記の各種の制御を行ってよい。これらの技術は、撮像画像に対して画像認識を行って画像内に含まれる対象を認識する技術であって、特に、近年は、ニューラルネットワークを多層化したディープラーニング技術を利用して高い精度で対象を認識することが行われている。このディープラーニング技術は、一般的にはニューラルネットワークの入力層と出力層との間の中間層において複数段階に亘って層を重ねることにより高い精度で対象を認識する。このディープラーニング技術において、特に、畳み込みニューラルネットワークが、従来の画像特徴量に基づいて対象を認識するよりも高い性能を有することで注目されている。
【0299】
畳み込みニューラルネットワークでは、ラベルが付与された認識対象画像を学習し、認識対象画像に含まれる主な対象を認識する。学習画像内に主な対象が複数存在する場合には、領域矩形で指定して、当該指定された領域に対応した画像にラベルを付与して学習を行う。さらに、畳み込みニューラルネットワークにおいて、画像内の主な対象および当該対象の位置を判定することも可能である。
【0300】
畳み込みニューラルネットワークについてさらに説明すると、対象の認識プロセスは、認識対象画像に対してエッジ抽出処理等を実施することにより局所的な特徴に基づいて候補領域を抽出すると共に、候補領域を畳み込みニューラルネットワークに入力して特徴ベクトルを抽出した上で分類を行い、分類された最も確信度が高い候補領域を認識結果として得る。確信度とは、ある画像領域とラベルとともに学習された画像の主体の類似度が、他のクラスの類似度より相対的にどの程度高いかを示す量である。
【0301】
なお、人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する装置については、米国特許9361577号、米国特許公開公報2016-171336号、米国公開公報2015-036920号、日本特許公開公報2016-110232号等に記載されており、これらの記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0302】
[第4の実施の形態:ゲーミングチップの所有者の管理]
以下、本発明の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は、各々の遊技用代用貨幣の所持者情報を常時把握、管理して、セキュリティを高めるために、ディーラがプレイヤに対して遊技用代用貨幣を支払い、当該遊技用代用貨幣の所持者がカジノからプレイヤに移った際に、どのプレイヤに当該遊技用代用貨幣の所有が移ったかを把握し、記録することを可能にするシステムに関する。第4の実施の形態は、第2の実施の形態と組み合わせて用いることができる。
【0303】
(第1の例)
図26は、本発明の第4の実施の形態の第1の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム110では、データベースを用いずに遊技用代用貨幣の所持者をトレースする。このために、遊技用代用貨幣には、所持者の情報が記憶される。管理システム110は、概略楕円形の遊技テーブル4004を備えている。遊技テーブル4004の一方側(
図26の下側)にプレイヤ282が位置し、反対側にはディーラ(図示省略)が位置する。遊技テーブル4004の上面には、複数のプレイポジションごとにベットエリア422a~422e(以下、総称するときは「ベットエリア422」と表記する。)が区画されている。ベットエリア422は、プレイヤ282がその遊技用代用貨幣283を置くことでベットするためのエリアである。遊技テーブル4004のディーラポジション側には、ディーラの遊技用代用貨幣283を置くためのチップトレイ212が設けられている。
【0304】
遊技用代用貨幣283は、上記の実施の形態の遊技用代用貨幣と同様の構成を有している。すなわち、遊技用代用貨幣283には、固定情報を記憶するための書換不可領域と変動情報を記憶するための書換可能領域とを備えたRFIDタグが埋め込まれている。RFIDタグには、固定情報として、遊技用代用貨幣283を唯一に特定するチップID(識別情報)が記憶されている。また、RFIDタグには、変動情報として、当該遊技用代用貨幣283の所持者を唯一に特定するユーザIDが記憶されている。
【0305】
なお、カジノないしディーラには共通のユーザIDが付与されており、遊技用代用貨幣283をカジノが所有している場合(チップトレイ212に収容されている場合を含む)には、変動情報には、カジノないしディーラを示すユーザIDが記憶される。
【0306】
遊技テーブル4004の各ベットエリア422a~422eには、RFIDアンテナ515a~515e(以下、総称するときは「RFIDアンテナ515」と表記する。)が設けられている。具体的には、RFIDアンテナ515は、それぞれ遊技テーブル4004のラシャの下であって、対応するベットエリア422が区画された位置に埋め込まれている。また、チップトレイ212にもRFIDアンテナ514が設けられている。
【0307】
RFIDアンテナ515は、対応するベットエリア422に置かれた遊技用代用貨幣283に埋め込まれたRFIDタグに対して、データの読取り及び書込みを行う。RFIDアンテナ514は、チップトレイ212に置かれた遊技用代用貨幣283に埋め込まれたRFIDタグに対して、読取り及び書込みを行う。
【0308】
RFIDアンテナ515a~515e及びRFIDアンテナ514は、RF制御装置254に接続されている。なお、
図26では、アンテナ515eとRF制御装置254とを結ぶ線のみを示し、アンテナ515a~515dとRF制御装置254とを結ぶ線は、図の見やすさのため図示を省略しているが、アンテナ515a~515dもアンテナ515eと同様にRF制御装置254と接続されている。以下の図面でも同様である。RF制御装置254は、各アンテナに対して、読取り及び書込みの制御を行う。RF制御装置254は、各アンテナをそれぞれ区別して、読取り及び書込みの制御をする。このために、各アンテナには、当該アンテナで読取り及び書込みを行うエリアを唯一に特定するエリアIDが付与されている。また、RF制御装置254は、読取りを行う場合には、周期的に読み取りを行う。
【0309】
このエリアIDを参照することで、読み取られた遊技用代用貨幣283が、チップトレイ212にあるのか、ベットエリア422にあるのかを特定でき、ベットエリア422については、いずれのプレイポジションのベットエリア422a~422eであるのかも特定できる。
【0310】
RF制御装置254は、読取りを行う場合には、各アンテナから当該アンテナで読み取ったデータを受けるとともに、当該データがいずれのエリアで読み取られたデータであるか、すなわちエリアIDを特定する。また、RF制御装置254は、書込みを行う場合には、書込みを行うアンテナ、即ちエリアIDを特定して、書き込むデータを送信する。これにより、RF制御装置254は、各アンテナに対して、個別に読取り及び書込みの制御を行うことができる。
【0311】
RF制御装置254は、各アンテナにて読み取ったデータに基づいて、遊技用代用貨幣283のユーザID(
図26の「User ID」)及びそのユーザIDを読み取ったエリアのエリアID(
図26の「Area ID」)を出力する。管理システム110は、さらに、RF制御装置254に接続された管理制御装置256を備えている。管理制御装置256は、RF制御装置254からユーザID及びエリアIDを受け取り、RF制御装置254に対して、RFIDタグに書き込むユーザIDを指定する。
【0312】
なお、以下に説明するように、遊技用代用貨幣283のRFIDタグに記憶されるユーザIDは、遊技用代用貨幣283が移動することで変更されるが、RFIDタグには変動情報として、最新のユーザIDのほかに、過去のユーザIDも記憶される。よって、この変動情報を参照することで、各遊技用代用貨幣283について、所持者の変遷を調べることができる。また、以下の説明において、「ユーザIDを書き換える」等の表現は、少なくとも最新のユーザIDを変更することを意味し、必ずしも同時に過去のユーザIDの情報を消去することを意味するものではない。
【0313】
管理制御装置256は、RF制御装置254から受けた遊技用代用貨幣283のデータ(ユーザID及びエリアID)に基づいて、当該遊技用代用貨幣283の変動情報を更新する。以下、変動情報の更新の方法について説明する。
【0314】
図27~29は、変動情報の更新の例を説明する図である。
図27に示すように、プレイヤは、ベットエリア422bに遊技用代用貨幣831をベットしている。管理制御装置256には、プレイヤがベットエリアにベットした遊技用代用貨幣(以下、「ベットチップ831」ともいう。)のRFIDタグを読み取って得られた、ベットチップ831のユーザID及びそのベットエリア422bのエリアIDが入力される。
【0315】
ベットした段階では、
図27に示すように、ベットエリア422bからは同一のユーザID(
図27の例では、「P1」)が読み取られ、チップトレイ212からも同一のID(
図24の例では、所持者がカジノないしディーラであることを示す「D」)が読み取られる。このプレイヤがゲームに勝った場合には、
図28に示すように、ディーラによってチップトレイ212から遊技用代用貨幣(以下、「ペイアウトチップ832」ともいう。)が払い出されて(償還されて)、ベットエリア422bのベットチップ831の隣に置かれる。
【0316】
そうすると、ベットエリア422bからは、ユーザIDとして、「P1」のほかに「D」が読み取られることになる。管理制御装置256は、同一のベットエリア422から読み取った遊技用代用貨幣283のユーザIDが2種類であり、かつ、そのうちの1種類が「D」であり、他の1種類がプレイヤに割り当てられたユーザIDである場合には、当該ベットエリア422のすべての遊技用代用貨幣283のユーザIDを、当該プレイヤに割り当てられたユーザID(
図28の場合は「P1」)に書き換えるようRF制御装置254を制御する。なお、この場合は、ユーザIDとして「P1」が記憶されていたベットチップ831には、更に最新のユーザIDとして、同じ「P1」が書き足されることになる。
【0317】
一方、プレイヤがゲームに負けた場合には、
図29に示すように、ディーラによってベットチップ831がチップトレイ212に回収される。そうすると、チップトレイ212からは、ユーザIDとして、「D」のほかに「P1」が読み取られることになる。管理制御装置256は、チップトレイ212から読み取った遊技用代用貨幣283のユーザIDに「D」以外の、プレイヤに割り当てられたユーザID(
図29の例では「P1」)がある場合には、チップトレイ212のすべての遊技用代用貨幣283のユーザIDを「D」に書き換える。
【0318】
なお、チップトレイ212に回収した遊技用代用貨幣283を一時的に保管する回収フロートを設けて、当該回収フロートと他の部分とでアンテナを分けて、回収フロートに回収された遊技用代用貨幣283のみに対して上記の処理を行うようにしてもよい。
【0319】
管理制御装置256の上記の処理によって、遊技用代用貨幣283に記憶されるユーザIDが実際の所持者の変更に応じて更新される。すなわち、本実施の形態では、遊技用代用貨幣283のRFIDタグにユーザIDを記憶するとともに、ペイアウトチップ832について、ベットチップ831の所持者と同じ所持者になるようにユーザIDを更新するので、後述するデータベースやプレイヤ特定システムを用いずに、また、管理制御装置256がゲームの進行状況(ベット段階、ゲーム段階、清算段階)を把握しなくても、遊技テーブル4004で行われるゲームによる所持者の変遷をトレースすることができる。
【0320】
なお、プレイヤが遊技用代用貨幣283を新たに購入する場合には、後述するプレイヤ特定システムを用いてプレイヤを特定し、カジノないしディーラのユーザIDを、特定したプレイヤのユーザIDに書き換えた上で遊技用代用貨幣283をプレイヤに渡すようにする。また、プレイヤが遊技用代用貨幣283を換金する場合にも、プレイヤから渡された遊技用代用貨幣283のユーザIDをカジノないしディーラのユーザIDに書き換えるようにする。
【0321】
(第2の例)
図30は、第4の実施の形態の第2の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム120は、第1の例の管理システム110の構成に加えて、プレイヤ特定システムが導入されている。プレイヤ特定システムは、カメラ252と画像認識装置255とからなる画像認識システム、及びカード281とカードリーダ253とからなるカード認証システムを含むが、いずれか一方であってもよい。
【0322】
カメラ252はプレイポジションに位置するプレイヤ282の顔を撮影し、撮影によって生成された画像を画像認識装置255に出力する。画像認識装置255は、あらかじめ登録されている複数のプレイヤ282(以下、登録されているプレイヤを「メンバ」ともいう。)の顔画像を学習したニューラルネットワークによる顔認識エンジンを備えている。画像認識装置255は、カメラ252からの画像をニューラルネットワークに入力することで、入力された顔画像が登録されているいずれのメンバの顔画像であるかを特定する。なお、画像認識装置255は、カメラ252からの画像が、登録されているいずれのメンバの顔でもないと判断した場合には、当該顔画像が非メンバの顔画像であるという結果を出力する。
【0323】
また、画像認識装置255は、顔が認証された画像内の位置に基づいて、当該メンバのプレイポジションを特定する。画像認識装置255は、カメラ252からの画像に対応するメンバのユーザID(
図30の「User ID」)とともに、特定したプレイポジションのエリアID(
図30の「Area ID」を出力する。なお、画像認識装置255が、いずれのメンバであるかを特定できない場合は、ユーザIDとして「Unknown」を出力する。
【0324】
カードリーダ253は、プレイヤ282からディーラに手渡されたメンバズカード281をスキャンして、メンバズカード281に記憶された情報を読み取る。メンバズカード281は、磁気ストライプが形成された磁気カードであり、その磁気ストライプには少なくともプレイヤ282(メンバ)のユーザIDが記憶されている。ディーラは、プレイヤ282からメンバズカード281を預かると、カードリーダ253を用いてメンバズカード281をスキャンするとともに、当該プレイヤ282のプレイポジションをカードリーダ253に入力する。カードリーダ253は、メンバズカード281から読み取ったユーザID(
図30の「User ID」)と、ディーラによって入力されたプレイポジションのエリアID(
図30の「Area ID」)とを出力する。
【0325】
管理制御装置256には、RF制御装置254から遊技用代用貨幣283に記憶されアンテナ515を用いて読み取ったユーザID及びエリアIDが入力され、画像認識装置255からプレイヤの顔画像に基づいて特定されたユーザID及びエリアIDが入力され、カードリーダ253からメンバズカード281を読み取って得たユーザID及びディーラによって指定されたエリアIDが入力される。
【0326】
管理制御装置256は、同一のエリアIDについて、アンテナ515から読み取ったユーザID、即ちベットエリア422にベットされた遊技用代用貨幣283に当該遊技用代用貨幣283の所持者として記憶されたユーザIDが、メンバズカード281から読み取ったユーザID又は画像認識装置255で特定されたユーザID、即ち、プレイヤ特定システムにて特定されたプレイヤと一致しない場合には、ベットエリア422にベットされた遊技用代用貨幣283の書換可能領域に所持者として記憶されているユーザIDをプレイヤ特定システムにて特定されたプレイヤのユーザIDに書き換えるよう、RF制御装置254を制御する。
【0327】
RF制御装置254は、アンテナ515を用いて、ベットエリア422に置かれた遊技用代用貨幣283のRFIDタグの書換可能領域に、プレイヤ特定システムにて特定されたプレイヤのユーザIDを書き込む。このとき、RF制御装置254は、書換可能領域に、ユーザIDの不一致により所持者情報としてのユーザIDを書き換えた旨の記録もする。これにより、カジノないしディーラがこの遊技用代用貨幣283を取得したときに、所持者の変遷の履歴を参照することで、所持者の不一致があったことを知ることができ、そのような不一致に関与したプレイヤを特定することも可能である。
【0328】
なお、プレイヤ特定システムにおいては、顔認証システムによるプレイヤの特定及びメンバズカード281の読み取りによるプレイヤの特定のいずれか一方のみを行ってもよい。すなわち、登録されているメンバは、プレイ位置に着いたときに必ずしもメンバズカード281によるプレイヤの特定を行わなくてもよく、その場合には顔認証システムのみによってプレイヤが特定される。また、プレイヤの顔がうまく撮影できず顔認証ができない場合であっても、メンバズカード281によってプレイヤが特定されることもある。
【0329】
さらに、顔認証及びメンバズカード281のいずれによってもプレイヤが特定されることもある。この場合に、顔認証により特定されたプレイヤのユーザIDとメンバズカード281により特定されたプレイヤのユーザIDとが異なることがある。それらのいずれか一方のユーザIDが遊技用代用貨幣283から読み取ったユーザIDと一致している場合には、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、当該遊技用代用貨幣283の書換可能領域に、遊技用代用貨幣283から読み取ったユーザIDと一致しない方のユーザIDとともに、プレイヤ特定システムによるプレイヤの特定に不一致があった旨を記録する。
【0330】
本例によっても、第1の例と同様に、遊技用代用貨幣283に記憶されるユーザIDが実際の所持者に応じて更新される。さらに、本例では、プレイヤ特定システムによって特定されたプレイヤのユーザIDと遊技用代用貨幣283に記憶されたユーザIDとが一致しない場合に、その不一致を是正するとともに、そのような不一致があったことが遊技用代用貨幣283に記録される。よって、遊技用代用貨幣283のこの記録を参照することで、プレイヤ間での遊技用代用貨幣283の授受があったことを知ることができ、それに関与したプレイヤを特定することができる。
【0331】
なお、遊技用代用貨幣283を換金する際に、上記と同様のプレイヤ特定システムを用いることで、顔認証やメンバズカード281によって特定されたプレイヤ(換金しようとするユーザ)のユーザIDと、換金にかかる遊技用代用貨幣283に記憶されたユーザIDとが異なる場合に、その旨のアラームを出力し、オペレータが換金を認めないこととしてよい。
【0332】
(第3の例)
図31は、第4の実施の形態の第3の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム130は、第1の例の管理システム110の構成に加えて、データベース57を備えている。データベース57には、遊技用代用貨幣283を唯一に特定するチップID(
図31の「Chip ID」)と当該遊技用代用貨幣283を所持するプレイヤのユーザIDとが関連付けられて記憶される。なお、上述のように、遊技用代用貨幣283が購入され、ゲームで使用され、換金されることで所持者は変更されるが、データベース57には、過去の所持者の履歴が記録される。よって、データベース57を参照することで、各遊技用代用貨幣283について、所持者の変遷を知ることができる。
【0333】
本例では、遊技用代用貨幣283は、書換不可領域を有していればよく、書換可能領域を有していなくてよい。すなわち、遊技用代用貨幣283には、少なくともチップIDが記憶されていればよい。また、RF制御装置254は、書込みの機能を備えていなくてよく、読取りの機能のみを有するRFリーダであってよい。
【0334】
管理制御装置256は、RF制御装置254から受けた遊技用代用貨幣283のデータ(チップID及びエリアID)に基づいて、データベース57を更新する。以下、データベース57の更新の方法について説明する。
【0335】
図32~
図34は、データベース57の更新の例を説明する図である。
図32に示すように、プレイヤは、ベットエリア422bに遊技用代用貨幣831をベットしている。管理制御装置256には、プレイヤがベットエリア422bにベットしたベットチップ831のRFIDタグを読み取って得られた、ベットチップ831のチップID及びそのベットエリア422bのエリアIDが入力される。
【0336】
ベットした段階では、
図32に示すように、ベットエリア422bからはチップIDとして「C00001」~「C00005」が読み取られ、チップトレイ212からチップIDとして「C20001」~「C20100」が読み取られる。そして、RF制御装置254は、アンテナ515、514によって読み取られたチップIDと当該アンテナ515、514に対応するエリアIDとの組を管理制御装置256に出力する。
図32の例では、RF制御装置254では、チップID「C00001」~「C00005」とエリアID「Area 2」との組み合わせ、及びチップID「C20001」~「C20100」とエリアID「Area T」(チップトレイ212を表すエリアID)との組み合わせが得られ、これを管理制御装置256に出力する。
【0337】
このプレイヤがゲームに勝った場合には、
図33に示すように、ディーラによってチップトレイ212からペイアウトチップ832が払い出されて(償還されて)、ベットエリア422bのベットチップ831の隣に置かれる。そうすると、RF制御装置254では、チップID「C00001」~「C00005」及び「C20001」~「C20005」とエリアID「Area 2」との組み合わせ、及びチップID「C20006」~「C20100」とエリアID「Area T」との組み合わせが得られ、これらが管理制御装置256に出力される。
【0338】
管理制御装置256は、読み取られたすべてのチップIDについてデータベース57を参照して、当該チップIDに関連付けられたユーザIDを得る。そして、管理制御装置256は、RF制御装置254から得たチップIDとエリアIDとの組み合わせを参照して、同じエリアIDが関連付けられた複数のチップIDについて、ユーザIDが異なっている場合には、それらのユーザIDを同じユーザIDにするようにデータベース57を更新する。
【0339】
具体的には、管理制御装置256は、同じベットエリア422のエリアIDで読み取られた複数の遊技用代用貨幣283のユーザIDとして、プレイヤのユーザIDとカジノないしディーラのユーザIDとがある場合には、カジノないしディーラのユーザIDを、プレイヤのユーザIDに書き換えることで、同じエリアIDと組になっているチップIDのユーザIDを統一する。
【0340】
一方、プレイヤがゲームに負けた場合には、
図34に示すように、ディーラよってベットチップ831がチップトレイ212に回収される。そうすると、チップトレイ212からは、チップIDとして、「C20001」~「C20100」のほかに「C00001」~「C00005」が読み取られることになる。RF制御装置254は、このチップID「C20001」~「C20100」及び「C00001」~「C00005」とチップトレイ212のエリアID「Area T」との組を得て、これを管理制御装置256に出力する。
【0341】
管理制御装置256は、読み取られたすべてのチップIDについてデータベース57を参照して、当該チップIDに関連付けられたユーザIDを得る。そして、管理制御装置256は、RF制御装置254から得たチップIDとエリアIDとの組み合わせを参照して、同じエリアIDと組になっている複数のチップIDについて、ユーザIDが異なっている場合には、それらのユーザIDを同じユーザIDにするようにデータベース57を更新する。
【0342】
具体的には、管理制御装置256は、チップトレイ212のエリアIDで読み取られた複数の遊技用代用貨幣283のユーザIDとして、プレイヤのユーザIDとカジノないしディーラのユーザIDとがある場合には、プレイヤのユーザIDを、カジノないしディーラのユーザIDに書き換えることで、チップトレイ212のエリアIDに関連付けられたすべてのチップIDのユーザIDをカジノないしディーラのユーザIDにする。
【0343】
管理制御装置256の上記の処理によって、データベース57に記憶されるユーザIDが実際の所持者に応じて更新される。すなわち、本実施の形態では、同じエリアにある異なるユーザIDに関連付けられた遊技用代用貨幣283について、エリアに応じて、そのうちのいずれかのユーザIDに統一するように、データベース57を書き換える。よって、上述のプレイヤ特定システムを用いずに、また、管理制御装置256がゲームの進行状況(ベット段階、ゲーム段階、清算段階)を把握しなくても、遊技テーブル4004で行われるゲームによる所持者の変遷をトレースすることができる。
【0344】
また、上記の例では、管理制御装置256は、ペイアウトチップ832について、それがベットエリア422で読み取られ、かつ、データベース57においてユーザIDが「D」とされていることに基づいて、それがペイアウトチップ832であると判断して、そのユーザIDをプレイヤのユーザIDに書き換えたが、これに代えて、払出前後における、チップトレイ212から読み取られるチップIDの差分に基づいて、ペイアウトチップ832のチップIDを特定してもよい。
【0345】
例えば、
図32及び
図33の例では、払出前には、
図32に示すように、チップトレイ212からは、チップID「C20001」~「C20100」が読み取られているのに対して、払出後は、
図33に示すように、チップトレイ212からチップID「C20006」~「C20100」が読み取られている。よって、管理制御装置256は、この差分から、チップID「C20001」~「C20005」が払い出されたことを判定できる。
【0346】
(第4の例)
図35は、第4の実施の形態の第4の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム140は、第1の例の管理システム110の構成に加えて、プレイヤ特定システムと、データベース57と、カード配布装置(電子シュー)4003とを備えている。また、遊技テーブル4004には、各プレイポジションのベットエリア422よりディーラ側に、ペイエリア424a~424e(以下、総称するときは「ペイエリア424」と表記する。)が設けられている。また、ペイエリア424a~424eには、それぞれのエリアに対応してアンテナ516a~516e(以下、総称するときは「アンテナ516」と表記する。)が設けられている。
【0347】
ディーラは、ゲームに勝ったプレイヤ282に対して遊技用代用貨幣283の払出し(償還)を行う場合に、チップトレイ212から取り出した遊技用代用貨幣283を勝ったプレイヤ282のペイエリア424に位置させてからそのプレイヤ282のベットエリア422に置く。
【0348】
本例のカメラ252は、プレイヤ282のほかにベットエリア422にベットされたベットチップ831も撮影する。また、画像認識装置255は、プレイヤの顔だけでなく、ベットエリア422のベットチップ831についても画像認識処理を行い、各ベットエリア422のベットチップ831がベットエリア422内のいずれのベット対象(プレイヤ、バンカ、タイ、プレイヤペア、バンカペア等)に賭けられているかを認識し、その認識結果をベット内容(
図35の「Betting」)として出力する。
【0349】
なお、プレイヤ282の顔を撮影するカメラとベットチップ831を撮影するカメラとが別々のカメラであってよい。また、プレイヤの顔の画像に基づいてプレイヤを特定する画像認識装置とベットチップ831の画像に基づいてベット内容を認識する画像認識装置とが別々の装置であってもよい。
【0350】
本例では、カード配布装置4003が、ゲームの進行状況(即ち、ベット中、ゲーム中、清算中のいずれか)を判定してRF制御装置254に出力する。カード配布装置4003は、最初のカードが引き出されたときに、ゲームが開始したと判断し、バカラのゲームルールに従って、引き出されたカードの読み取り結果に基づいて、ゲームが終了したと判断する。また、カード配布装置4003は、ゲームスタートのボタンが押下されたときに、清算が終了してベットが開始したと判断する。
【0351】
また、カード配布装置4003は、引き出されたカードの少なくともランクを読み取ることで、バカラゲームのルールに従って、プレイヤの勝ち、バンカの勝ち、タイ、プレイヤペア、バンカペア等のゲーム結果を判定する。
【0352】
管理制御装置256は、画像認識装置255から得たベット内容と、カード配布装置4003から得たゲーム結果とに基づいて、いずれのプレイポジションが払出しを受けるかを判定する。管理制御装置256は、さらに、画像認識装置255やカードリーダ253からプレイポジションごとのプレイヤのユーザIDを取得するので、この情報にも基づいて、いずれのプレイヤが払出しを受けるかを判定する。
【0353】
RF制御装置254は、カード配布装置4003から受けたゲーム進行状況が清算中であるときに、ペイエリア424のアンテナ516を作動させて、遊技用代用貨幣283のRFIDタグに対する読取り及び書込みを行う。
【0354】
管理制御装置256は、データベース57を参照して、ペイエリア424にて読み取られたペイアウトチップ832のチップIDに関連付けられたユーザIDがカジノないしディーラのユーザIDである場合は、そのユーザIDを、そのとき対応するベットエリア422に置かれているベットチップ831のチップIDに関連付けられているユーザIDで書き換える。
【0355】
なお、ディーラが負けたプレイヤのベットチップ831を回収する際にもペイエリア424のアンテナ516が当該ベットチップ831のチップIDを読み取る可能性があるが、この場合には、ペイエリア424で読み取られたチップIDとその直前に対応するベットエリア422で読み取られたチップIDとが一致することになるので、これにより回収の際にペイエリア424でチップIDが読み取られたことを判断して、この場合にはペイエリア424で読み取られた遊技用代用貨幣283のユーザIDの書き換えは行わないようにする。
【0356】
なお、本例では、プレイヤ特定システムと、データベース57と、カード配布装置(電子シュー)4003とを備えるものとして管理システム140を説明したが、第1の例と同様に、プレイヤ特定システム、データベース57、及びカード配布装置(電子シュー)4003を備えない管理システムにおいて、本例と同様にペイエリア424及びそれに対応するアンテナ516を設けて、ユーザIDの更新を行うようにしてもよい。
【0357】
本例の管理システム140では、ペイエリア424を設けて、ベットエリア422とは区別して、遊技用代用貨幣283のRFIDタグの読取り及び書込みを行うことで、チップトレイ212から払い出されるペイアウトチップ832の読取り及び書込みを高速に行うことができる。すなわち、上記の第1~第3の例のように、ペイアウトチップ832について、ベットチップ831と同じアンテナ516を利用して読取り及び書込みを行うと、ペイアウトチップ832の読取り及び書込みのためにベットチップ831の読取りや書込みもする必要があり、時間がかかるところ、ペイエリア424では、ペイアウトチップ832のみについて読取り及び書込みを行えばよいので、比較的短時間で読取り及び書込みを行うことができ、ゲームのオペレーションにも大きな支障とはならない。
【0358】
(第5の例)
図36は、第4の実施の形態の第5の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム150は、
図35に示した第4の例の管理システム140と同じ構成を有している。すなわち、管理システム150は、第1の例の管理システム110の構成に加えて、プレイヤ特定システムと、データベース57と、カード配布装置(電子シュー)4003とを備えている。
【0359】
本例のカメラ252は、プレイヤ282のほかにベットエリア422にベットされたベットチップ831も撮影する。また、画像認識装置255は、プレイヤの顔だけでなく、ベットエリア422のベットチップ831についても画像認識処理を行い、各ベットエリア422のベットチップ831がベットエリア422内のいずれのベット対象(プレイヤ、バンカ、タイ、プレイヤペア、バンカペア等)にかけられているかを認識し、その認識結果をベット内容(
図33の「Betting」)として出力する。
【0360】
なお、プレイヤ282の顔を撮影するカメラとベットチップ831を撮影するカメラとが別々のカメラであってよい。また、プレイヤの顔の画像に基づいてプレイヤを特定する画像認識装置とベットチップ831の画像に基づいてベット内容を認識する画像認識装置とが別々の装置であってもよい。
【0361】
カード配布装置4003は、順に引き出されるカードの少なくともランクを読み取ることで、バカラゲームのルールに従って、プレイヤの勝ち、バンカの勝ち、タイ、プレイヤペア、バンカペアを含むゲーム結果を判定する。
【0362】
管理制御装置256は、画像認識装置255から得たベット内容と、カード配布装置4003から得たゲーム結果とに基づいて、いずれのプレイポジションが払出し(償還)を受けるかを判定する。管理制御装置256は、さらに、画像認識装置255やカードリーダ253からプレイポジションごとのプレイヤのユーザIDを取得することから、この情報にも基づいて、いずれのプレイヤが払出し(償還)を受けるかを判定する。
【0363】
管理制御装置256には、RF制御装置254から、ベットエリア422ごとに、当該ベットエリア422のエリアIDと当該ベットエリア422で読み取られたベットチップ831のチップIDとの組が入力される。上述のように管理制御装置256は、いずれのプレイポジションが払出しを受けるかを判定しているので、データベース57を参照して、払出しを受けるプレイポジションで読み取られたチップIDに関連付けられているユーザIDを取得して、その取得したユーザIDで、払い出されるペイアウトチップ832のチップIDに関連付けられるユーザIDを更新する。
【0364】
なお、管理制御装置256は、払出し前後においてチップトレイ212から読み取られなくなったチップIDをペイアウトチップ832のチップIDとして認識する。また、払出しを受けるプレイヤが複数ある場合には、ディーラは、端から所定の方向に順に払出しを行う(例えば、ディーラの右手側の端から左手側の端に向けて順に払出を行う)。これにより、払出しを受けるプレイヤが複数ある場合にも、チップトレイ212から取り出されたペイアウトチップ832がどのプレイポジションないしプレイヤに払い出すために取り出されたのかを判定することができる。
【0365】
また、管理制御装置256は、負けたプレイヤのプレイポジションを判定できるので、当該プレイポジションのベットエリア422から読み取られたチップIDに関連付けられたユーザIDをカジノ又はディーラを表す「D」とするように、データベース57を更新する。
【0366】
以上のように、本例では、管理制御装置256は、ベット内容とゲーム結果とを把握することで、どのプレイヤないしプレイポジションのベットチップ831に対して払出しが行われ、どのプレイヤないしプレイポジションのベットチップ831が回収されるかを判定できるとともに、それらのベットチップ831及びペイアウトチップ832のチップIDも特定できるので、データベース57において、どのチップIDについて関連付けるユーザIDを変更し、かつ、どのユーザIDに変更すべきかを判断することができる。これにより、遊技用代用貨幣283の所持者のトレースを行うことができる。
【0367】
(第6の例)
図37は、第4の実施の形態の第6の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム160は、第2の例と同様の構成を備えている。バカラでは、上述のように遊技テーブル4004に複数のプレイポジションが設けられており、遊技テーブル4004の各プレイポジションに対応する位置には、プレイポジションごとにベットエリア422が設けられている。原則として、1つのプレイポジションでは1人のプレイヤがプレイをする。
【0368】
しかしながら、すべてのプレイポジションが埋まっている場合には、プレイポジションでプレイをしているプレイヤ(シッティングプレイヤ)の後ろから、当該シッティングプレイヤに割り当てられたベットエリア422にベットするプレイヤ(バックベットプレイヤ)も現れ、カジノないし遊技テーブル4004によってはこのようなベットは許される。バックベットによって、同一のベットエリアにユーザIDの異なる複数の遊技用代用貨幣283がベットされることになる。本例の管理システム160は、このような場合にも遊技用代用貨幣283の所持者のトレースを可能とする。
【0369】
本例の管理システム160では、第2の例と同様に、遊技用代用貨幣283のユーザIDは、遊技用代用貨幣283のRFIDタグの書換可能領域に記憶され、データベースを用いない。ただし、プレイヤを特定するプレイヤ特定システムは有している。
【0370】
図38の例では、同一のベットエリア422bに、ユーザID「P1」のベットチップ831aと、ユーザID「P2」のベットチップ831bとがベットされている。このとき、ベットエリア422bからは、遊技用代用貨幣283のユーザIDとして、「P1」と「P2」が読み取られる。
【0371】
図39~41は、両プレイヤがいずれもゲームに勝った場合の払出しの例を説明する図である。まず、
図38に示すように、ユーザID「P1」のプレイヤ282aに対して払い出しが行われる。このとき、管理システム160は、ユーザID「P1」のプレイヤ282aに対して払い出しが行われたのか、ユーザID「P2」のプレイヤ282bに対して払い出しが行われたのかの区別をすることができず、また、1つのベットエリア422内にある複数の遊技用代用貨幣283について書込み情報を異ならせることができないため、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、当該ベットエリア422bにあるすべての遊技用代用貨幣283について、ユーザIDを「P1 or P2」という選択的な情報に書き換える。
【0372】
払出を受けたプレイヤ282aが自らのベットチップ831a及びペイアウトチップ832aをベットエリア422bから取ると、
図40に示すように、ベットエリア422bには、ユーザIDが「P1 or P2」であるベットチップ831bが残る。ディーラは、プレイヤ282aが遊技用代用貨幣283を取ったことを確認して、
図41に示すように、ベットチップ831bに対して、ユーザIDが「D」であるペイアウトチップ832bを払い出す。このとき、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、当該ベットエリア422のすべての遊技用代用貨幣283について、ユーザIDを「P1 or P2」に書き換える。
【0373】
これにより、同一のベットエリア422にベットしたプレイヤ282a及び282bは、いずれもユーザIDとして「P1 or P2」が記録された遊技用代用貨幣283を所有することになる。
【0374】
仮に、これらのプレイヤ282a及び282bが再びそれらの遊技用代用貨幣283を用いて同一のベットエリア422にベットした場合には、いずれのベットチップ831a及び831bにもユーザIDとして「P1 or P2」が記録されていることになる。あるいは、一部のベットチップにはユーザIDが「P1」又は「P2」である遊技用代用貨幣283が含まれることもある。これらの場合にも、ゲームの結果に従って払出しをする際には、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、払出しの際にベットエリア422に置かれたすべての遊技用代用貨幣283のユーザIDとして「P1 or P2」と選択的に書き込む。
【0375】
なお、ユーザIDが「P1 or P2」であるベットチップ831がチップトレイ212に回収された場合には、ユーザIDとして、カジノないしディーラを表す「D」が書き込まれることになる。
【0376】
その後、プレイヤ282a、282bが単独で、ベットエリア422に、複数のユーザのユーザIDが選択的に記録されている遊技用代用貨幣283をベットした場合であって、プレイヤ特定システムで特定されたプレイヤのユーザIDがその選択肢のユーザIDのいずれかと一致する場合には、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、その遊技用代用貨幣283の選択的なユーザIDを当該一致するユーザIDに書き換える。
【0377】
例えば、プレイヤ282aがユーザIDとして「P1 or P2」が記録された遊技用代用貨幣283を単独でベットエリア422にベットした場合には、RF制御装置254によって、当該ベットエリア422のベットチップ831からユーザID「P1 or P2」が読み出され、プレイヤ特定システムによって、当該ベットエリア422にベットしたプレイヤのユーザIDが「P1」であると認識されることになる。この場合には、ユーザID「P1」が一致しているので、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、当該ベットエリア422のベットチップ831のユーザIDを「P1」に書き換える。
【0378】
一方で、ユーザIDが選択的に記録されている遊技用代用貨幣283を所有しているプレイヤがベットしたときに、同一のベットエリア422に選択肢にはないユーザIDを有するプレイヤがベットし、ゲームの結果に従って払出しを受けるときには、遊技用代用貨幣283のユーザIDには、当該プレイヤのユーザIDも選択肢に含むように選択的に書き込まれる。
【0379】
例えば、プレイヤ282aがユーザIDとして「P1 or P2」が記録された遊技用代用貨幣283をベットエリア422にベットし、同じベットエリア422に他のプレイヤがユーザIDとして「P3」が記録された遊技用代用貨幣283をベットした場合において、ゲームの結果に従って払出しをする場合には、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、当該ベットエリア422のペイアウトチップを含むすべての遊技用代用貨幣283のユーザIDを「P1 or P2 or P3」に書き換える。
【0380】
以上のとおり、本例では、ユーザIDとして選択的な記録を許すことで、同一のベットエリアに複数のプレイヤがベットした場合にも、所持者のトレースをすることができる。さらに、プレイヤ特定システムを用いることで、選択的に記録されていたユーザIDを確定的に書き換えることも可能となる。
【0381】
なお、複数のプレイヤが同一のベットエリア422にベットしており、一部のプレイヤが勝ち、一部のプレイヤが負けた場合には、負けたプレイヤのベットチップの回収が先に行われるので、回収されたベットチップについては、チップトレイ212で読み取られたときに、ユーザIDとして「D」を記録し、ペイアウトチップ832の払出しを受けるベットチップ及びそれに対して払い出されるペイアウトチップについて上記の処理を行えばよい。
【0382】
(第7の例)
図42は、第4の実施の形態の第7の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム170は、第3の例の管理システム130と同様の構成を有している。管理システム170においても、同一のベットエリア422に複数のプレイヤがベットした場合にも遊技用代用貨幣283の所持者のトレースが可能である。
【0383】
図43~
図47は、データベース57の更新の例を説明する図である。プレイヤ282aがベットエリア422bにベットチップ831aをベットし、プレイヤ282bが同じベットエリア422bにベットチップ831bをベットすると、
図43に示すように、RF制御装置254において、このベットエリア422bから、ユーザIDとして、ベットチップ831aのチップID「C00001」~「C00005」と、ベットチップ831bのチップID「C10001」~「C10005」とが読み出され、管理制御装置256に当該ベットエリア422のエリアID「Area 2」との組み合わせとして出力される。また、チップトレイ212からは、チップID「C20001」~「C20100」が読み出され、管理制御装置256では、チップトレイ212のエリアID「Area T」との組み合わせが得られる。
【0384】
図43に示すように、この時点では、データベース57においては、チップID「C00001」~「C00005」にはユーザID「P1」が関連付けられており、チップID「C10001」~「C10005」にはユーザID「P2」が関連付けられており、チップID「C20001」~「C20100」にはユーザID「D」が関連付けられている。
【0385】
ゲームの結果、このプレイヤ282a及び282bのいずれもが勝ったとすると、
図44に示すように、ディーラによって、まず、ベットチップ831a及びベットチップ831bのいずれかに対して払出しが行われる。このとき、ベットエリア422bからは、ベットチップ831aのチップID「C00001」~「C00005」及びベットチップ831bのチップID「C10001」~「C10005」に加えて、ペイアウトチップ832aのチップID「C20001」~「C20005」が読み取られ、管理制御装置256には、当該ベットエリア422のエリアID「Area 2」との組み合わせとして出力される。
【0386】
この段階では、管理制御装置256は、まだペイアウトチップ832aがチップID「C00001」~「C00005」のベットチップ831aに対して払い出されたのか、チップID「C10001」~「C10005」のベットチップ831bに対して払い出されたのか判断できないため、データベース57の更新は行わない。
【0387】
次に、プレイヤ282aが、ベットチップ831aとそれに対して払い出されたペイアウトチップ832aをベットエリア422bから取ると、
図44に示すように、ベットエリア422bからは、残ったベットチップ831bのチップID「C10001」~「C10005」のみが読み取られる。管理制御装置256は、この変化に基づいて、ベットエリア422bで読み取られたチップID「C20001」~「C20005」のペイアウトチップ832aが、チップID「C00001」~「C00005」のベットチップ831aに対して払い出されたと判断して、データベース57におけるチップID「C20001」~「C20005」に関連付けられたユーザIDを「D」から「P1」、すなわちチップID「C20001」~「C20005」のペイアウトチップ832aと一緒にベットエリア422bから取り除かれたベットチップ831aに関連付けられたユーザIDに書き換える。
【0388】
ディーラは、ベットチップ831aとそれに対して払い出されたペイアウトチップ832aがベットエリア422bから取り除かれるのを確認して、
図46に示すように、同じベットエリア422bにベットチップ831bに対するペイアウトチップ832bを払い出す。そうすると、ベットエリア422bからは、ベットチップ831bのチップID「C10001」~「C10005」と、ペイアウトチップ832bのチップID「C20006」~「C20010」が読み取られ、管理制御装置256にベットエリア422のエリアID「Area 2」と組み合わせて記録される。
【0389】
その後、プレイヤ282bがこのベットチップ831b及びペイアウトチップ832bを取ると、
図47に示すように、ベットエリア422bからはチップIDは読み取られず、管理制御装置256には、チップトレイ212から読み取られたチップIDのみが入力される。管理制御装置256は、この変化に基づいて、チップID「C20006」~「C20010」のペイアウトチップ832bが、チップID「C10001」~「C10005」のプレイヤと同じプレイヤに渡ったと判断して、データベース57において、チップID「C20006」~「C20010」に関連付けられるユーザIDをチップID「C10001」~「C10005」に関連付けられたユーザIDと同じくするように、データベース57を更新する。
【0390】
以上のように、本例の管理システム170によれば、ベットチップ831とペイアウトチップ832とが一緒にベットエリアから取り除かれたことを検知して、ペイアウトチップ832のユーザIDが当該ベットチップ831のユーザIDと同じになるように、データベース57を更新する。よって、同一のベットエリア422に複数のプレイヤの遊技用代用貨幣283がベットされている場合にも、それらのプレイヤに順に払出を行うことで、ペイアウトチップ832がいずれのプレイヤに払い出されたのかを把握して、データベース57を更新することができ、遊技用代用貨幣の所持者をトレースすることが可能となる。
【0391】
(第8の例)
図48は、第4の実施の形態の第8の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム180は、第4の例の管理システム140と同様の構成を有している。ただし、管理システム180では、遊技テーブル4004にベットエリアとして、プレイヤペアエリア444、タイエリア445、バンカペアエリア446が設けられている。また、遊技テーブル4004には、プレイヤペアエリア444、タイエリア445、バンカペアエリア446に対応して、アンテナ517、518、519が設けられている。
【0392】
これらのエリア444~446の各々は、当該エリア内でプレイポジションごとに区画されており、プレイヤはこれらのエリア444~446にベットする際には、これらのエリア内の自分のプレイポジションに対応する位置(区画)にベットチップを置く。
【0393】
すなわち、プレイヤペアエリア444、タイエリア445、バンカペアエリア446はそれぞれ、複数のプレイヤが共用する共用ベットエリアである。
図48の例では、プレイヤ282a~282cがゲームに参加しており、そのうちのプレイヤ282b及び282cがそれぞれベットチップ831b及び831cをタイエリア445にベットしている。
【0394】
この例の場合には、共用ベットエリア444~446について、第6の例又は第7の例と同様にして、遊技用代用貨幣283の所持者のトレースを行うことができる。なお、管理システム180がデータベース57を有しない場合にも、第6の例と同様にして遊技用代用貨幣283の所持者のトレースを行うことができ、管理システム180がプレイヤ特定システムを有しない場合にも、共用ベットエリアについて第7の例と同様にして、遊技用代用貨幣283の所持者のトレースを行うことができる。
【0395】
(第9の例)
図49は、第4の実施の形態の第9の例の管理システムの構成を示す図である。管理システム190は、プレイヤ特定システムを備えている。この例では、データベース57を用いずに、遊技用代用貨幣283のトレースを行う。また、遊技テーブル4004には、ペイエリア424a~424e及びそれらに対応するアンテナ516a~516eが設けられている。また、遊技用代用貨幣283のRFIDタグの固定情報には、当該遊技用代用貨幣283の額(価値)を示す情報が記憶されており、変動情報には所持者のユーザIDが記憶されている。
【0396】
なお、本例において、データベース57を用いてもよく、その場合には、遊技用代用貨幣283にはチップIDが記憶されており、データベース57にチップIDと関連付けて当該遊技用代用貨幣283の額(価値)及び所持者のユーザIDが記憶される。
【0397】
図50に示すように、ベットエリア422bにプレイヤ282aのベットチップ831a(額「100」が5枚)と、プレイヤ282bのベットチップ831b(額「1000」が2枚)とが置かれていると、このベットエリア422bからは、額が「100」であってユーザIDが「P1」である遊技用代用貨幣283が5枚読み取られ、額が「1000」であってユーザIDが「P2」である遊技用代用貨幣283が2枚読み取られ、これらがベットエリア422のエリアIDである「Area 2」とともに、管理制御装置256に出力される。
【0398】
管理制御装置256は、各ベットエリア422について、プレイヤごとにベットチップの額の合計値を算出することで、プレイヤごとのベット額を検知する。
図50の場合には、管理制御装置256は、ユーザID「P1」のベット額が「500」であり、ユーザID「P2」のベット額が「2000」であると検知する。
【0399】
ゲームの結果、プレイヤ282a及び282bのいずれもが勝った場合には、ディーラはベットチップ831a及び831bのそれぞれについて順に払出し(償還)を行う。
図51に示すように、まず、ベットチップ831aについて、ペイアウトチップ832aを払い出す場合には、ディーラは、当該ペイアウトチップ832aをペイエリア424bに置く。
【0400】
このとき、RF制御装置254は、ペイエリア424bにおいて、遊技用代用貨幣283を読み取り、額「100」の遊技用代用貨幣283が5枚あることを読み取って、これを管理制御装置256に出力する。管理制御装置256は、ペイエリア424bにおいて読み取ったペイアウトチップ832aの額の合計を算出することで、払出額を検知する。
【0401】
管理制御装置256は、ペイアウトチップ832aの払出額と、ベットエリア422bのプレイヤごとのベット額とを比較して、ベット額が払出額と一致するプレイヤを特定する。
図51の場合には、ペイエリア424bからは額「100」のペイアウトチップ832aが5枚読み取られ、払出額が「500」であると検知される。管理制御装置256は、この払出額「500」が、ユーザID「P1」のベットチップ831aのベット額「500」と一致すると判断して、ペイアウトチップ832aのユーザIDを「P1」に書き換える。
【0402】
その後、プレイヤ282aがペイアウトチップ832aとベットチップ831aとを取ると、
図52に示すように、ベットエリア422bにはプレイヤ282bのベットチップ831bが残る。ディーラが、このベットチップ831bに対して払い出すペイアウトチップ832bをペイエリア424bに置くと、管理制御装置256は、このペイアウトチップ832bの額の合計を算出することで、ペイアウトチップ832bの払出額を検知する。
【0403】
管理制御装置256は、ペイアウトチップ832bの払出額と、ベットエリア422bのプレイヤごとのベット額とを比較して、ベット額が払出額と一致するプレイヤを特定する。
図52の場合には、ペイエリア424bからは額「1000」のペイアウトチップ832bが2枚読み取られ、払出額が「2000」であると検知される。管理制御装置256は、この払出額「2000」が、ユーザID「P2」のベットチップ831bのベット額「2000」と一致すると判断して、ペイアウトチップ832bのユーザIDを「P2」に書き換える。
【0404】
以上のように、本例の管理システム190では、複数のプレイヤが同一のベットエリア422にベットしている場合にも、それらのベット額が異なる場合に、ベット額とペイアウトチップの払出額とに基づいて、当該ペイアウトチップがいずれのプレイヤに払い出されているのかを判断する。
【0405】
(第10の例)
上記の第1~第9の例において、プレイヤ282がメンバとして登録されていない非メンバである場合には、そのような非メンバにはユーザIDが付与されていないので、プレイヤ特定システムによってプレイヤ282を特定することができない。また、上述のように、非メンバが所有する遊技用代用貨幣283については、RFIDタグ又はデータベース57に有効なユーザIDを記憶することができないため、ユーザIDとして「Unknown」が記録される。
【0406】
管理システムは、非メンバのプレイヤに対してペイアウトチップ832を払い出す際には、当該ペイアウトチップ832のユーザIDを「Unknown」とし、非メンバのプレイヤからベットチップ831を回収した場合には、当該ベットチップ831のユーザIDを「D」とする。
【0407】
ディーラは、メンバであるプレイヤと非メンバであるプレイヤとが、同一のベットエリア422にベットする場合において、両プレイヤがいずれもゲームに勝った場合には、常に非メンバから払出しを行い、あるいは、常にメンバから払出しを行うというルールの下に払出しを行ってよい。
【0408】
例えば、常に非メンバから先に払出しを行うというルールが運用されている場合には、管理システムは、最初に払い出されたペイアウトチップ832については、そのユーザIDを「Unknown」と書き換え、後に払い出されたペイアウトチップ832について、上記の例を用いて、メンバであるプレイヤのユーザIDに書き換える。
【0409】
また、例えば、常にメンバから先に払出しを行うというルールが運用されている場合には、管理システムは、最初に払い出されたペイアウトチップ832については、そのユーザIDを、ベットチップ831から特定されているユーザIDに書き換え、後に払い出されたペイアウトチップ832については、ユーザIDを「Unknown」と書き換える。
【0410】
なお、ディーラは、カード認証システムを用いてプレイヤを特定する場合には、自らメンバズカード281のスキャンをするので、どのプレイヤがメンバであるかを把握できるが、顔認識システムによってプレイヤを特定する場合にはどのプレイヤがメンバであるかを把握できない。そこで、顔認識システムによる認識結果として、ユーザIDが認識されたプレイポジション又はベットエリアを示す視覚情報をモニタ等でディーラに示すようにしてよい。
【0411】
(第11の例)
図53は、第4の実施の形態の第11の例におけるベットエリアの例を示す図である。この例では、各プレイポジションのベットエリア422が、メンバ用のベットエリア411と非メンバ用のベットエリア412とに分けられており、アンテナもメンバ用のアンテナ5111と非メンバ用のアンテナ5112に分かれている。
【0412】
管理制御装置256は、RF制御装置254を制御することで、メンバ用のベットエリア411にベットされたベットチップ831については、上記の第1~第9の例のようにして、遊技用代用貨幣283のユーザIDを書き換え、非メンバ用のベットエリア412にベットされたベットチップ831については、それに対して払い出されるペイアウトチップ832のユーザIDをすべて「Unknown」に書き換える。
【0413】
本例によれば、プレイヤに付与されたユーザIDがそれ自身又はデータベース57に記憶されている遊技用代用貨幣283と、プレイヤに付与されたユーザIDがそれ自体又はデータベース57に記憶されていない(ユーザIDが「Unknown」である)遊技用代用貨幣283とが混在して読み取られることがなく、プレイヤに付与されたユーザIDがそれ自身又はデータベース57に記憶されている遊技用代用貨幣283のトレースを効果的に行うことができる。
【0414】
なお、本例において、アンテナ5111と5112に代えて、メンバ用のベットエリア411と非メンバ用のベットエリア412とにまたがって1つのアンテナを設けてもよい。この場合において、メンバ用のベットエリア411と非メンバ用のベットエリア412にそれぞれ遊技用代用貨幣283がベットされているときは、ディーラは、いずれのベットチップ831がメンバのものであり、いずれのベットチップ831が非メンバのものであるかを認識できる。
【0415】
そして、いずれのベットチップ831に対しても払出しをする場合には、ディーラは、先にメンバのベットチップ831に対して払い出しを行うというオペレーションルールの下で払出しを行ってよい。こうすることで、管理システムは、先に払い出されたペイアウトチップ832は、メンバに対して払い出されたものであることを確定できる。なお、ディーラが、先に非メンバのベットチップ831に対して払出しを行うというオペレーションルールに従って払出しを行ってもよい。この場合には、管理システムは、先に払い出されたペイアウトチップ832が非メンバに対して払い出されたものであることを確定できる。
【0416】
図54A及び
図54Bは、第4の実施の形態の第11の例におけるベットエリアの他の例を示す図である。この例では、各プレイポジションのベットエリア422は、
図54Aに示すようなメンバ用のベットエリア422、または
図54Bに示すような非メンバ用のベットエリア422に、選択的に設定される。
【0417】
各ベットエリア422の近傍には、それぞれ当該ベットエリア422がメンバ用として設定されているか、非メンバ用として設定されているかを可変に表示する表示部413が設けられている。この表示部413は遊技テーブル4004のラシャの下に設置され、表示情報はラシャから透けてプレイヤに視認できるようになっている。
【0418】
なお、各ベットエリア422がメンバ用又は非メンバ用のいずれに設定されているかを視覚的に示す手段は、遊技テーブル4004のラシャの下に埋め込まれた表示部413に限られない。例えば、プレイヤに見えるように遊技テーブル4004に設置されたモニタによって、各ベットエリア422がメンバ用又は非メンバ用のいずれに設定されているかを表示してよい。
【0419】
管理制御装置256は、RF制御装置254を制御することで、ベットエリア422がメンバ用に設定されている場合は、そこにベットされたベットチップ831について、上記の第1~第9の例のようにして、遊技用代用貨幣283のユーザIDを書き換え、ベットエリア422が非メンバ用に設定されている場合は、そこにベットされたベットチップ831については、それに対して払い出されるペイアウトチップ832のユーザIDをすべて「Unknown」に書き換える。
【0420】
本例によっても、プレイヤに付与されたユーザIDがそれ自身又はデータベース57に記憶されている遊技用代用貨幣283と、プレイヤに付与されたユーザIDがそれ自身又はデータベース57に記憶されていない(ユーザIDが「Unknown」である)遊技用代用貨幣283とが混在して読み取られることがなく、プレイヤに付与されたユーザIDがそれ自身又はデータベース57に記憶されている遊技用代用貨幣283のトレースを効果的に行うことができる。
【0421】
(第12の例)
上記の第1~第9の例において、遊技テーブル4004においてディーラとプレイヤとの間で遊技用代用貨幣283どうしの両替が行われる場合にも、遊技用代用貨幣283の所持者をトレースすることが可能である。この場合に、管理システムは、ゲームの進行状況(即ち、ベット中、ゲーム中、清算中のいずれか)を判定する進行状況判定手段を備える。かかる進行状況判定手段としては、カード配布装置4003を用いることができるが、他の任意の手段を用いてもよい。
【0422】
本例の管理システムでは、管理制御装置256は、ベット中に、RF制御装置254を制御して、各アンテナに、所定の時間間隔で周期的に読取りを行わせる。管理制御装置256は、ベット中に、いずれかのベットエリア422又はいずれかのペイエリア424(以下、「遊技テーブル4004の読取エリア」という。)において、ユーザIDが「D」である遊技用代用貨幣283が読み取られた場合、及びチップトレイ212において、ユーザIDがメンバに付与されたユーザIDである遊技用代用貨幣283が読み取られた場合に、遊技用代用貨幣283の両替が行われていると判断する。
【0423】
これは、バカラのオペレーション上、ベット中は、両替以外にはチップトレイ212から遊技テーブル4004の上に遊技用代用貨幣283が移動することはありえず、また、遊技テーブル4004の上のプレイヤの遊技用代用貨幣283がチップトレイ212に移動することもないからである。なお、ゲームの進行状況は「ゲーム中」である場合には、このような遊技用代用貨幣283の移動は不正行為となるため、管理制御装置256は、ゲーム中に上記のような遊技用代用貨幣283の移動を検知したときは、アラームを出力してよい。
【0424】
管理制御装置256は、ベット中に、ユーザIDが、メンバに付与されたユーザID又は「Unknown」である遊技用代用貨幣283が、チップトレイ212で読み取られた場合には、当該遊技用代用貨幣283をチップ間の両替のためにプレイヤから遊技テーブル4004に出された遊技用代用貨幣283(両替前チップ)であると判断する。
【0425】
具体的には、管理制御装置256は、遊技用代用貨幣283自体にユーザIDが記憶されている場合には、ベット中に、チップトレイ212からメンバに付与されたユーザID又は「Unknown」が読み取られたときに両替であると判断し、データベース57にユーザIDを記憶している場合には、ベット中に、チップトレイ212から読み取られる遊技用代用貨幣283の数が減少したときに、両替が行われていると判断する。あるいは、データベース57にユーザIDを記憶している場合に、ベット中に、チップトレイから読み取られる遊技用代用貨幣283の数が増加したときに、両替が行われていると判断してもよい。
【0426】
また、管理制御装置256は、ベット中に、ユーザIDが、カジノ又はディーラによって所持されていること示す「D」である遊技用代用貨幣283が、遊技テーブル4004の読取エリアで読み取られた場合には、当該遊技用代用貨幣283を、両替前チップに対応してプレイヤに与えられる遊技用代用貨幣283(両替後チップ)であると判断する。
【0427】
具体的には、管理制御装置256は、遊技用代用貨幣283自体にユーザIDが記憶されている場合には、ベット中に、遊技テーブル4004の読取エリアからユーザID「D」が読み取られたときに両替であると判断し、データベース57にユーザIDを記憶している場合には、管理制御装置256は、ベット中に周期的に遊技テーブル4004の読取エリアの読取りを行って、読取りごとにデータベース57を参照することで、ユーザIDが「D」である遊技用代用貨幣283が遊技テーブル4004の読取エリアから読み取られたことを判断する。
【0428】
管理制御装置256は、両替前チップのユーザIDを、カジノ又はディーラを表す「D」に書き換え、両替後チップのユーザIDを両替前チップのユーザIDに書き換える。具体的には、ユーザIDが遊技用代用貨幣283のRFIDタグに記憶されている場合には、管理制御装置256は、RF制御装置254を制御して、該当する両替前チップ及び両替後チップに記憶されたユーザIDを書き換え、ユーザIDがチップIDと関連付けられてデータベース57に記憶されている場合には、管理制御装置256は、データベース57における該当するチップIDに関連付けられたユーザIDを書き換える。
【0429】
また、管理制御装置256は、両替前チップと両替後チップを特定した後に、それらのユーザIDを交換するように、RF制御装置254を制御し(ユーザIDが遊技用代用貨幣283に記憶されている場合)、あるいはデータベース57を更新してよい(ユーザIDがデータベース57に記憶されている場合)。
【0430】
なお、上記の実施の形態では、メンバズカード281が磁気カードであり、カードリーダ253は、メンバズカード281の磁気ストライプから情報を読み出す磁気カードリーダであったが、これに代えて、メンバズカード281にRFIDタグを埋め込んで、当該RFIDタグにユーザIDを記録してもよい。この場合には、カードリーダ253としては、アンテナとRF制御装置254とからなるRFIDリーダが用いられる。また、そのようなアンテナが、各プレイポジションに設けられてもよい。この場合には、プレイヤは自らのメンバズカード281をディーラに手渡すことなく、各プレイポジションで読み取らせる。各アンテナからはプレイポジションを特定する情報とともに、メンバズカード281から読み取ったユーザIDがRF制御装置254に送信される。さらに、ベットエリア422に設けられたアンテナ515とRF制御装置254とを、メンバズカード281を読み取るためのRFIDリーダとしてもよい。この場合には、プレイヤは自らのプレイポジションにおいてベットエリア422にメンバズカード281を置くことで、アンテナ515にユーザIDを読み取らせることができる。
【0431】
以上、本発明の各種の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態は、本発明の範囲内で当業者により変形可能なことはもちろんであり、適用されるゲームでの必要に応じて、本実施の形態の装置が適当に変形されてよい。
【符号の説明】
【0432】
1 カジノホール
10 ケージ
11 ボールト
12 メインバンク室
13 F/Cバンク室
14 キャッシャ室
21~28 ゲート
31~36 スタッフ
42~45 ゲームテーブル
52~55 ディーラ
61~69 プレイヤ
70 ゲーミングチップ
71 RFIDタグ
1000 チップ管理システム
501 ケージシステム
502 テーブルシステム
100 チップ管理コンピュータ
101 チップ管理データベース
111 ボールトコンピュータ
112 ボールトカードリーダ
113 ボールトチップリーダ
121 メインバンクコンピュータ
122 メインバンクカードリーダ
123 メインバンクチップリーダ
131 F/Cバンクコンピュータ
132 F/Cバンクカードリーダ
133 F/Cバンクチップリーダ
141 キャッシャコンピュータ
142 キャッシャカードリーダ
143 キャッシャチップリーダ
151 テーブルコンピュータ
152 テーブルカードリーダ
153 テーブルチップリーダ
154 チップトレイリーダ
155 ベットエリアチップリーダ
421 チップトレイ
422a~422e ベットエリア
423a 回収エリア
423b 払出エリア
5131 回収ディーラアンテナ
5132 払出ディーラアンテナ
514 チップトレイアンテナ
515a~515e ベットエリアアンテナ
81 第1読取装置
82 第2読取装置
83 画像認識装置
84 管理装置
85 データベース
86 アラート装置
91、92 カメラ
93 現金投入口
931 現金センサ
2000 管理システム